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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022175866
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/72 20060101AFI20221117BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20221117BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20221117BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20221117BHJP
   C11D 1/62 20060101ALI20221117BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C11D1/72
C11D3/50
C11D1/722
C11D3/26
C11D1/62
C11D17/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082621
(22)【出願日】2021-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 慶太郎
(72)【発明者】
【氏名】小西 加奈
(72)【発明者】
【氏名】花井 健人
(72)【発明者】
【氏名】前田 有紀
(72)【発明者】
【氏名】小鍛治 泰斗
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC23
4H003AE05
4H003BA12
4H003DA06
4H003EB05
4H003EB19
4H003ED02
4H003FA26
4H003FA30
4H003FA36
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、温度変化や水の混入によっても、ゲル化せずに粘度変化が生じ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を提供することである。
【解決手段】(A)炭素数11~15のアルキル基を有し、1重量%水溶液での曇点が80℃超である特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤と、(B)香料成分とを含み、且つ25℃での粘度が60~800mPa・sである水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、温度変化や水の混入によっても、ゲル化が抑制され、粘度変化が生じ難くいという特性を備え得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表され、1重量%水溶液での曇点が80℃超であるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
【化1】
[一般式(1)において、R1は炭素数11~15の直鎖状又は分岐状のアルキル基、EOはオキシエチレン基、aはEOの平均付加モル数でa≧3を示す。]、及び
(B)香料成分、を含有し、且つ
25℃での粘度が60~800mPa・sである、水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に、(C)一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤を含有する、請求項1に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【化2】
[一般式(2)において、R2は炭素数8~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、bはEOの平均付加モル数でb≧5、cはPOの平均付加モル数で0≦c、[(EO)b/(PO)c]はEOとPOのランダム付加又はブロック付加を示す。]
【請求項3】
更に、(D)下記一般式(3)で表されるトリアルキルベンジルアンモニウムのハロゲン化物、及び下記一般式(4)で表されるトリアルキルアンモニウムサルフェートよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【化3】
[一般式(3)において、R31は炭素数8~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R32及びR33は同一又は異なって炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す。]
【化4】
[一般式(4)において、R41及びR42は同一又は異なって炭素数6~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R43及びR44は同一又は異なって炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R45は炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は水素原子を示す。]
【請求項4】
前記一般式(1)においてaが3≦a≦30である、請求項1~3のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(A)成分を1~60重量%、前記(B)成分を0.1~20重量%含む、請求項1~4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項6】
水洗トイレのオンタンク用として使用される、請求項1~5のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項7】
水洗トイレのリム部用として使用される、請求項1~5のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に関する。より詳細には、本発明は、温度変化や水との接触によっても、ゲル化することなく、粘度変化が生じ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレ用液体洗浄剤は、一般に、排出孔を有する容器に収容された状態で使用され、当該容器の排出孔から排出された水洗トイレ用液体洗浄剤がフラッシュ水と混合されて、フラッシュ時に、当該水洗トイレ用液体洗浄剤によって便器を洗浄することが可能になる。従来、水洗トイレ用液体洗浄剤は、水洗トイレの手洗い部上に設置して使用されるもの、水洗トイレの便器のリム部に取り付けて使用されるもの等がある。このような水洗トイレ用液体洗浄剤は、設置が容易である、便器の洗浄が簡便に行える、洗浄剤の残存量を容易に確認できる、等の使用上の利点があり、今日では広く流通している。
【0003】
このような水洗トイレ用液体洗浄剤は、毎使用時に安定した洗浄作用を発揮させるために、容器からの毎排出量が一定になるように設計することが重要である。特に、一般にトイレの室内空間は、一年を通じた寒暖による温度変化があり、このような温度変化によって、水洗トイレ用液体洗浄剤の粘度が大きく変動したり、ゲル化したりすると、容器からの毎排出量が変動し、所望の洗浄作用を発揮できなくなる。また、容器に収容された水洗トイレ用液体洗浄剤は、適量が容器外に排出されてフラッシュ水と混合されるように使用態様が設計されているが、容器中の水洗トイレ用液体洗浄剤の中に、フラッシュ水が不可避的に逆流することがある。水洗トイレ用液体洗浄剤は、洗浄成分が高濃度で含まれているため、このようにフラッシュ水が混入した場合、粘度変化を生じたり、ゲル化が生じて、容器からの毎排出量が不均一になることがある。そこで、従来、水洗トイレ用液体洗浄剤に温度変化や水の混入によっても、ゲル化を生じずに粘度を一定範囲に保持できる処方が検討されている。例えば、特許文献1には、20℃で流動性を有する非イオン性界面活性剤と、20℃で流動性を有しない非イオン性界面活性剤と、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーと、水とを特定の比率で含有する液体洗浄組成物は、温度変化や水の混入によっても粘度変化を受け難く、容器からの排出量が不均一になるのを抑制できることが報告されている。また、特許文献2には、特定の構造のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤40~95重量%と、香料5~60重量%を含む液体芳香洗浄組成物は、高濃度の界面活性剤及び香料を含有していながら、広い温度領域で水と接触してもゲル化しないで優れた洗浄作用を発揮できることが報告されている。更に、特許文献3には、特定の2種のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤と共に香料を含む液体芳香洗浄組成物は、香料成分の種類に拘わらず、香料成分を可溶化でき、しかも温度変化や水の混入によっても、ゲル化せずに粘度変化が生じ難いことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-84456号公報
【特許文献2】特開2004-182902号公報
【特許文献3】特開2013-221119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温度変化や水との接触によっても物性を変化させ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に関し、特許文献1~3には有益な技術が記載されているが、処方の多様化等を図るべく、新たな処方の開発が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、温度変化や水の混入によっても、ゲル化せずに粘度変化が生じ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、(A)炭素数11~15のアルキル基を有し、1重量%水溶液での曇点が80℃超であるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤と、(B)香料成分とを含み、且つ25℃での粘度が60~800mPa・sである水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、温度変化や水の混入によっても、ゲル化し難く、粘度変化が生じ難いことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0008】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)下記一般式(1)で表され、1重量%水溶液での曇点が80℃超であるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤
【化1】
[一般式(1)において、R1は炭素数11~15の直鎖状又は分岐状のアルキル基、EOはオキシエチレン基、aはEOの平均付加モル数でa≧3を示す。]、及び
(B)香料成分、を含有し、且つ
25℃での粘度が60~800mPa・sである、水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
項2. 更に、(C)一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤を含有する、項1に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【化2】
[一般式(2)において、R2は炭素数8~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基、
EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、bはEOの平均付加モル数でb≧5、cはPOの平均付加モル数で0≦c、[(EO)b/(PO)c]はEOとPOのランダム付加又はブロック付加を示す。]
項3. 更に、(D)下記一般式(3)で表されるトリアルキルベンジルアンモニウムのハロゲン化物、及び下記一般式(4)で表されるトリアルキルアンモニウムサルフェートよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含有する、項1又は2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【化3】
[一般式(3)において、R31は炭素数8~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R32及びR33は同一又は異なって炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、Xはハロゲン原子を示す。]
【化4】
[一般式(4)において、R41及びR42は同一又は異なって炭素数6~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R43及びR44は同一又は異なって炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基、R45は炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は水素原子を示す。]
項4. 前記一般式(1)においてaが3≦a≦30である、項1~3のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
項5. 前記(A)成分を1~60重量%、前記(B)成分を0.1~20重量%含む、項1~4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
項6. 水洗トイレのオンタンク用として使用される、項1~5のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
項7. 水洗トイレのリム部用として使用される、項1~5のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、季節や地域等に起因する温度変化に晒されても、粘度変化が生じ難く、更に水が混入しても粘度変化が生じ難いため、容器からの排出量が不均一になるのを抑制して、容器からの毎排出量を一定に維持することができる。
【0010】
また、本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の一実施形態では、香料成分の構造や特性の別を問わず、あらゆるタイプの香料成分を可溶化させることができるので、1つの基本処方を採用することによって、備える香気が異なる複数タイプの水洗トイレ用液体洗浄剤を提供することが可能になる。そのため、本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の一実施形態では、使用する香料成分の種類に応じた個別の処方設計が不要になり、様々な香気を呈する水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を簡便に提供でき、消費者の香気に対する嗜好性の多様化に追従することが容易になる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、(A)炭素数11~15のアルキル基を有し、1重量%水溶液での曇点が80℃超である特定構造のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、及び(B)香料成分を含み、且つ25℃での粘度が60~800mPa・sであることを特徴とする。以下、本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物について詳述する。
【0012】
[(A)ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で表され、1重量%水溶液での曇点が80℃超であるポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤((A)成分と表記することもある)を含有する。本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物では、当該特定のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤を使用することにより、温度変化や水の混入によっても、ゲル化し難く、粘度変化が生じ難い特性を備えることができる。
【化5】
【0013】
一般式(1)において、R1は、炭素数11~15の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R1として、好ましくは炭素数12~14の分岐状のアルキル基が挙げられる。また、一般式(1)におけるR1の好適な一例として、下記一般式(11)で表される分岐状アルキル基が挙げられる。
【化6】
【0014】
一般式(11)において、n及びmは、それぞれ同一又は異なって、0以上の整数であり、n+mは8~12、好ましくは9~11である。
【0015】
また、一般式(1)において、EOはオキシエチレン基を示す。また、aはEOの平均付加モル数を示し、a≧3である。EOの平均付加モル数aとして、好ましくは3≦a≦30、より好ましくは5≦a≦20、更に好ましくは8≦a≦15が挙げられる。
【0016】
本発明で使用される(A)成分は、前記一般式(1)で示す構造を備え、且つ1重量%水溶液にした場合の曇点が80℃超である。(A)成分の当該曇点として、具体的には、81~93℃、好ましくは81~86℃、より好ましくは82~84℃が挙げられる。ここで、当該曇点は、測定対象となる界面活性剤を精製水に1重量%となるように溶解し、ISO1065-1991に記載の測定法により決定される値である。
【0017】
本発明で使用される(A)成分のHLB値については、特に制限されないが、例えば、10.0~18.0、好ましくは12.0~16.5、より好ましくは13.0~15.5が挙げられる。ここで、(A)成分のHLB値は、グリフィン法によって算出される値である。
【0018】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、(A)成分として、前記構造及び曇点を満たすポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤を1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、(A)成分の含有量としては、例えば1~60重量%、好ましくは10~50重量%、更に好ましくは20~40重量%が挙げられる。
【0020】
[(B)香料]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、前記(A)成分に加えて、香料成分(単に(C)成分と表記することもある)を含有する。このように香料成分を含有することにより、トイレ空間に所望の香気を付与することができる。
【0021】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に含有される香料成分の種類については、備えさせる香気に応じて適宜選択すればよく、例えば、天然香料の他、炭化水素系香料、エーテル系香料、エステル系香料、アルコール系香料、アルデヒド系香料、ケトン系香料等の合成香料が挙げられる。
【0022】
これらの香料成分は、単品香料として1種単独で使用してもよく、また所望の香りが呈するように2種以上を組み合わせて調合香料として使用してもよい。
【0023】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、(B)成分の含有量については、(B)成分の種類や備えさせる香気の強さ等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、より好ましくは2~15重量%、更に好ましくは4~15重量%が挙げられる。
【0024】
[(C)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、前記(A)及び(B)成分に加えて、下記一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤((C)成分と表記することもある)を含有してもよい。本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、更に(C)成分を含有する場合には、温度変化や水の混入による物性変化をより一層効果的に抑制することが可能になる。
【化7】
【0025】
一般式(2)において、R2は、炭素数8~10の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R2として、好ましくは炭素数8~10の分岐状のアルキル基、より好ましは炭素数10の分岐状のアルキル基、特に好ましくはイソデシル基が挙げられる。
【0026】
一般式(2)において、EOはオキシエチレン基を示す。また、bはEOの平均付加モル数を示し、b≧5である。EOの平均付加モル数bは、好ましくは5≦b≦40、更に好ましくは5≦b≦30が挙げられる。
【0027】
また、一般式(2)において、POはオキシプロピレン基を示す。また、cはPOの平均付加モル数を示し、0≦cである。POの平均付加モル数cは、好ましくは0≦c≦40、更に好ましくは0≦c≦30が挙げられる。
【0028】
また、一般式(2)において、[(EO)a/(PO)b]は、EOとPOのランダム付加又はブロック付加を示す。
【0029】
本発明で使用される(C)成分について、1重量%水溶液にした場合の曇点については、特に制限されないが、例えば、85℃以下、好ましくは50~85℃、より好ましくは55~80℃が挙げられる。ここで、当該曇点は、測定対象となる界面活性剤を精製水に1重量%となるように溶解し、ISO1065-1991に記載の測定法により決定される値である
【0030】
本発明で使用される(C)成分のHLB値については、特に制限されないが、例えば、16.0以下、好ましくは12.0~16.0、より好ましくは13.0~15.5が挙げられる。ここで、(C)成分のHLB値は、グリフィン法によって算出される値である。
【0031】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、(C)成分として、一般式(2)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤の中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、前記(C)成分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば0.1~50重量%、好ましくは1~40重量%、更に好ましくは10~30重量%が挙げられる。
【0033】
[(D)カチオン性界面活性剤]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、前記(A)及び(B)成分に加えて、下記一般式(3)で表されるトリアルキルベンジルアンモニウムのハロゲン化物、及び下記一般式(4)で表されるトリアルキルアンモニウムサルフェートよりなる群から選択される少なくとも1種のカチオン性界面活性剤((D)成分と表記することもある)を含有してもよい。本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、更に(D)成分を含有する場合には、温度変化や水の混入による物性変化をより一層効果的に抑制することが可能になる。
【化8】
【化9】
【0034】
一般式(3)において、R31は、炭素数8~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R31として、好ましくは炭素数10~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、より好ましは炭素数14~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基、更に好ましくは炭素数14~18の直鎖状のアルキル基が挙げられる。
【0035】
一般式(3)において、R32及びR33は、同一又は異なって、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R32及びR33として、好ましくは炭素数1~3の直鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基、更に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0036】
一般式(3)において、Xはハロゲン原子を示す。Xとして、好ましくは塩素原子又は臭素原子、より好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0037】
一般式(4)において、R41及びR42は、同一又は異なって、炭素数6~18の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R41及びR42として、好ましくは炭素数6~14の直鎖状又は分岐状のアルキル基、より好ましは炭素数8~12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、更に好ましくは炭素数8~12の直鎖状のアルキル基、特に好ましくはデシル基が挙げられる。
【0038】
一般式(4)において、R43及びR44は、同一又は異なって、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。R43及びR44として、好ましくは炭素数1~3の直鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基、更に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0039】
一般式(4)において、R45は、炭素数1~4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又は水素原子を示す。R45として、好ましくは炭素数1~3の直鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基又はエチル基、更に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0040】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、(D)成分として、一般式(3)で表されるトリアルキルベンジルアンモニウムのハロゲン化物、及び一般式(4)で表されるトリアルキルアンモニウムサルフェートの中から1種を選択して単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物において、前記(D)成分を含有させる場合、その含有量については、使用する(D)成分の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~40重量%、好ましくは1~30重量%、更に好ましくは10~30重量%が挙げられる。
【0042】
[水]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物では、その基剤成分として水を含んでいてもよい。本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に水を含有させる場合、その含有量については、特に制限されないが、例えば0.1~80重量%、好ましくは1~70重量%、更に好ましくは2~60重量%が挙げられる。
【0043】
[可溶化剤]
更に、水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、必要に応じて、可溶化剤を含んでいてもよい。可溶化剤を含むことによって、各種配合成分に良好な溶解性や分散性を付与することが可能になる。本発明に使用される可溶化剤としては、特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、ジプロピレングリコール、グリセリン、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール等が挙げられる。
【0044】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に可溶化剤を含有させる場合、当該可溶化剤の含有量については、特に制限されないが、例えば0.1~40重量%、好ましくは1~35重量%、更に好ましくは5~30重量%が挙げられる。
【0045】
[その他の添加剤]
水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物には、更に必要に応じて、酵素、殺菌剤、キレート剤、着色剤、顔料、消臭剤、油性成分の乳化可溶化剤、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、撥水剤、親水剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、成形性向上剤、滑沢剤、緩衝剤、白濁化剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適量含むことができる。
【0046】
[粘度]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、25℃での粘度が60~800mPa・sを充足する。このような粘度範囲を充足することにより、温度変化や水の混入を受けても、粘度変化を容器からの毎排出量を均一にできる範囲に保持でき、トイレ用液体洗浄剤として適した特性を備えさせることができる。
【0047】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の25℃での粘度として、好ましくは60~800mPa・s、更に好ましくは70~600mPa・s、最も好ましくは80~300mPa・sが挙げられる。ここで、当該粘度は、100mPa・s未満の範囲は、B型粘度計(TV-10型、東機産業株式会社製)でSPINDLE No-M1のローターを用いて、25℃にて30rpmの回転速度で測定され、100mPa・s以上の範囲は、B型粘度計(TV-10型、東機産業株式会社製)でSPINDLE No-M2のローターを用いて、25℃にて30rpmの回転速度で測定される。
【0048】
[使用態様]
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、洗浄対象となる便器にそのまま塗布して洗浄に使用してもよいが、フラッシュ水で希釈して、水洗トイレのフラッシュ時にフラッシュ水を用いた便器の洗浄に使用することが好ましい。本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物をフラッシュ水に希釈して使用する場合、その希釈倍率については、特に制限されないが、例えば1万~100万倍程度、好ましくは2万~50万倍程度が挙げられる。
【0049】
発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物をフラッシュ水に希釈して使用する場合、本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤として使用してもよく、またリム部用の洗浄剤として使用してもよい。ここで、オンタンク用の洗浄剤とは、水洗トイレの手洗い部の上に設置して使用されるものであって、液体芳香洗浄剤組成物が収容された容器に、手洗い部に供給された洗浄用のフラッシュ水と接触することにより、当該液体芳香洗浄剤組成物が容器から流出され、液体芳香洗浄剤組成物が溶け込んだフラッシュ水が便器内に放出されることによって便器を洗浄する洗浄剤である。また、リム部用の洗浄剤とは、水洗トイレのリム部に取り付けて使用されるものであって、液体芳香洗浄剤組成物が収容された容器に、便器に放出されるフラッシュ水が接触することにより、当該液体芳香洗浄剤組成物が容器から流出され、液体芳香洗浄剤組成物が溶け込んだフラッシュ水が便器内に放出されることによって便器を洗浄する洗浄剤である。
【0050】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物によれば、温度変化等による排出量の不均一性が改善されているので、水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤やリム部用の洗浄剤として使用される場合であっても、共に流されるフラッシュ水の温度は通常の範囲であれば限定されず、冷水や温水も使用できる。
【0051】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物を水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤又はリム部用の洗浄剤として使用する場合、当該液体芳香洗浄剤組成物を収容する容器については、当該液体芳香洗浄剤組成物を収容する収容部と、当該液体芳香洗浄剤組成物を容器外に排出するための排出孔を備え、当該容器が水と接触すると、収容部内の当該液体芳香洗浄剤組成物が当該排出孔を介して容器外に排出可能であることを限度として、その構造については、特に制限されず、水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤用の容器又はリム部用の洗浄剤用の容器として、従来使用されているものを用いることができる。例えば、オンタンク用の洗浄剤用の容器の構造については、特開2004-300861号、特開2006-283539号公報、特開2006-283540号公報等に開示されている。また、リム部用の洗浄剤用の容器の構造については、特表2003-517124号、特開2009-57769号、特開2010-242480号公報等に開示されている。但し、本発明の液体芳香洗浄剤組成物を収容する容器の構造については、オンタンク用又はリム部用として使用し得る限り、これらの容器に限定されるものではない。
【実施例0052】
以下、実施例を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0053】
試験例1
表1に示す界面活性剤、及び表2に示す香料を使用して、表3及び4に示す各成分を所定量混合し、トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を調製した。各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物について、25℃での香料成分の可溶化の状態、25℃での粘度、5℃での粘度、及び水を混入させた後の5℃でのゲル化の有無について、以下の条件で測定を行った。
【0054】
<25℃での粘度>
B型粘度計(TV-10型、東機産業株式会社製)を用いて、25℃にて30rpmの回転速度で、各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の粘度を測定した。100mPa・s未満の範囲はSPINDLE No-M1のローターを用い、100mPa・s以上の範囲は、SPINDLE No-M2のローターを用いて行った。
【0055】
<5℃での粘度>
温度条件を5℃に変えたこと以外は、上記25℃での粘度の測定と同条件で測定を行った。
【0056】
<水を混入させた後の5℃でのゲル化の有無>
各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物80gと水20gを混合した後に、5℃の温度条件にして静置した。その後、ゲル化の有無を目視にて確認し、ゲル化していないものについては、5℃での粘度の測定を行った。当該度の測定条件は、温度条件を5℃に変えたこと以外は、上記25℃での粘度の測定の場合と同様である。得られた結果を下記の判定基準に従って分類した。
判定基準
○:ゲル化が認められず、且つ5℃での粘度が1000mPa・S未満である。
△:ゲル化が認められず、且つ5℃での粘度が1000mPa・S以上5000mPa・S未満である。
×:ゲル化が認められた、又は5℃での粘度が5000mPa・S以上である。
【0057】
<25℃での香料成分の可溶化の状態>
25℃における各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の外観を評価するために、500mL容量でφ92mmの透明ガラスビーカーを、黒文字(縦20mm、横20mm)を表示した白色紙状に設置し、このガラスビーカーに25℃の各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物500gを入れて、ガラスビーカーの上面から黒文字を目視にて観察し、下記の判定基準に従って、各トイレ用液体芳香洗浄剤組成物における香料成分の可溶化の状態を評価した。
判定基準
○:黒文字がクリアに読める完全に透明な状態
△:黒文字がややぼやけているやや不透明な状態
×:黒文字が全く読めない不透明な状態
【0058】
得られた結果を表3及び4に併せて示す。一般式(1)に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤と香料を含む処方では、あらゆる種類の香料の可溶化が可能であり、しかも、低温(5℃)での粘度も300~1000mPa・sの範囲内になり、温度変化に晒されても、ゲル化せずに粘度変化を抑制できていた。特に、一般式(1)に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤に加えて、一般式(2)に示すポリオシキアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤、一般式(3)に示すカチオン性界面活性剤、及び/又は一般式(4)に示すカチオン性界面活性剤を含む場合には、低温(5℃)での粘度の増大をより効果的に抑制できていた。これに対して、一般式(1)に示すポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤に該当しないポリオシキアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤を使用した場合には、低温(5℃)や水の混入によってゲル化して、トイレ用液体洗浄剤として要求される特性を満足できていなかった。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】