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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176101
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】重合体、組成物、硬化物及び成形物
(51)【国際特許分類】
   C08G 12/00 20060101AFI20221117BHJP
   C08L 61/20 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C08G12/00
C08L61/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022067176
(22)【出願日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2021081635
(32)【優先日】2021-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入沢 正福
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 広真
【テーマコード(参考)】
4J002
4J033
【Fターム(参考)】
4J002CD012
4J002CD052
4J002CD062
4J002CD132
4J002CD142
4J002EB017
4J002EE029
4J002EJ016
4J002EJ026
4J002EJ036
4J002EJ046
4J002EK029
4J002EK039
4J002EK069
4J002EN008
4J002EN028
4J002EN036
4J002EN046
4J002EN076
4J002EQ017
4J002ER006
4J002ET006
4J002ET016
4J002EU048
4J002EU056
4J002EU078
4J002EU106
4J002EU118
4J002EU186
4J002EU238
4J002EV247
4J002EW127
4J002EY017
4J002FD142
4J002FD146
4J002GQ00
4J033DA01
4J033DA02
4J033DA03
4J033DA05
4J033DA12
4J033EA01
4J033EA02
4J033EA03
4J033EA05
4J033EA07
4J033EA09
4J033EA33
4J033EA51
4J033EA62
4J033EA63
4J033EA72
4J033EA74
4J033EB02
4J033EB18
4J033EC01
4J033EC05
4J033EC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐熱性及び耐溶剤性に優れた硬化物を与える組成物を提供すること。
【解決手段】下記一般式(I)で表される構成単位を含む重合体である。

式中、Aは、炭素原子数6の炭化水素環を表し、Ar及びArは、炭素原子数6~30のアリール基又は炭素原子数3~30のヘテロアリール基を表し、R~Rは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基等を表し、aは、0~3の整数を表し、bは、0~3の整数を表す。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される構成単位を含む重合体。
【化1】
式中、Aは、炭素原子数6の炭化水素環を表し、
Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素原子数3~30のヘテロアリール基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
とRは、直接、又はメチレン基、-O-若しくは-S-を介して互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~3の整数を表し、
bは、0~3の整数を表す。
<群A>:-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR11-、-NR12CO-、-S-
11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。
【請求項2】
前記一般式(I)中のAr及びArが、置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基及びフルオレニル基からなる群より選ばれる基である請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
前記一般式(I)で表される構成単位が、2つ以上の反応性基を有する請求項1に記載の重合体。
【請求項4】
前記反応性基が、フェノール性水酸基、エチレン性不飽和結合又は炭素-炭素三重結合である請求項3に記載の重合体。
【請求項5】
前記一般式(I)中のRが、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30のアリール基である請求項1に記載の重合体。
【請求項6】
前記一般式(I)で表される構成単位が、下記一般式(Ia)、(Ib)又は(Ic)で表される構成単位である請求項1に記載の重合体。
【化2】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【化3】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【化4】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【請求項7】
重量平均分子量が、500以上30,000未満である請求項1に記載の重合体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の重合体を含有する組成物。
【請求項9】
重合開始剤を含有する請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
架橋剤を含有する請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
電子部品用である、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
請求項8に記載の組成物の硬化物。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか一項に記載の重合体を含有する成形物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の骨格を有する構成単位を含む重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやプリント基板等に用いられる電子部品用樹脂材料として、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを組み合わせた熱硬化性樹脂組成物をはじめとする様々な材料が用いられているが、近年、特に耐熱性及び耐溶剤性に優れた材料が望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トリフェニルメタン構造を有するフェノール樹脂組成物を用いることによって、耐熱性、耐湿性、及び接着性に優れる硬化物が得られることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、キサンテン骨格を有するフェノール樹脂を用いた組成物が、加熱硬化時の流動性と成形収縮率、弾性率のバランスに優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-110695号公報
【特許文献2】特開2020-100768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐熱性に優れた硬化物を与える組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の骨格を有する構成単位を含む重合体を用いることで、耐熱性に優れた硬化物を与える組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)で表される構成単位を含む重合体(以下、「重合体(I)」ともいう。)である。
【0009】
【化1】

式中、Aは、炭素原子数6の炭化水素環を表し、
Ar及びArは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30のアリール基又は置換基を有していてもよい炭素原子数3~30のヘテロアリール基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、置換基を有していてもよい炭素原子数2~10の複素環基若しくは置換基を有していてもよい炭素原子数3~30の複素環含有基、又は前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、若しくは前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が下記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基を表し、
とRは、直接、又はメチレン基、-O-若しくは-S-を介して互いに結合して環を形成していてもよく、
aは、0~3の整数を表し、
bは、0~3の整数を表す。
<群A>:-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NR11-、-NR12CO-、-S-
11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表す。
【発明の効果】
【0010】
本発明の重合体を含む組成物は、耐熱性に優れた硬化物を与えるものである。そのため、高い耐熱性が必要とされる電子部品用途の組成物として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の重合体は、前記一般式(I)で表される構成単位を含むものである。
【0012】
前記一般式(I)中のAで表される炭素原子数6の炭化水素環としては、ベンゼン環、シクロヘキサジエン環、シクロヘキセン環及びシクロヘキサン環が挙げられる。
【0013】
前記一般式(I)中のAr及びArで表される炭素原子数6~30のアリール基は、単環構造であってもよく、縮合環構造であってもよく、更に2つの芳香族炭化水素環が連結したものであってもよい。
単環構造のアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等が挙げられる。縮合環構造のアリール基としては、例えば、ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、ペリレニル、フルオレニル及びインデノフルオレニル等が挙げられる。
【0014】
2つの芳香族炭化水素環が連結したアリール基としては、2つの単環構造の芳香族炭化水素環が連結したものであってもよく、単環構造の芳香族炭化水素環と縮合環構造の芳香族炭化水素環とが連結したものであってもよく、縮合環構造の芳香族炭化水素環と縮合環構造の芳香族炭化水素環とが連結したものであってもよい。
2つの芳香族炭化水素環を連結する連結基としては、単結合、スルフィド基(-S-)及びカルボニル基等が挙げられる。
2つの単環構造の芳香族炭化水素環が連結したアリール基としては、例えば、ビフェニル、ジフェニルスルフィド、ベンゾイルフェニル等が挙げられる。
【0015】
前記一般式(I)中のAr及びArで表される炭素原子数3~30のヘテロアリール基は、芳香族複素環の単環構造であってもよく、芳香族炭化水素環と芳香族複素環との縮合環構造、又は2つの芳香族複素環の縮合環構造であってもよい。
【0016】
単環構造のヘテロアリール基としては、ピロリル、ピリジル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル及びトリアジニル等が挙げられる。
縮合環構造のヘテロアリール基としては、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インドリル、カルバゾリル、キノリル、ナフチリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル及びベンゾチオフェニル等が挙げられる。
【0017】
前記一般式(I)中のR、R、R、R、R及びR(以下、「R等」という。)で表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基としては、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数3~20のシクロアルキル基及び炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
【0018】
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。直鎖のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、iso-アミル、tert-アミル、ヘキシル、ヘプチル及びオクチルが挙げられる。分岐のアルキル基としては、iso-プロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、iso-ブチル、iso-ペンチル、tert-ペンチル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、iso-ヘプチル、tert-ヘプチル、iso-オクチル、tert-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へブロタデシル及びオクタデシル等が挙げられる。
【0019】
炭素原子数3~20のシクロアルキル基としては、炭素原子数3~20の飽和単環式アルキル基、炭素原子数3~20の飽和多環式アルキル基、及びこれらの基の環中の水素原子の1つ以上がアルキル基で置換された炭素原子数4~20の基が挙げられる。上記飽和単環式アルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル等が挙げられる。上記飽和多環式アルキル基としては、アダマンチル、デカハイドロナフチル、オクタヒドロペンタレン及びビシクロ[1.1.1]ペンタニル等が挙げられる。飽和単環式又は飽和多環式アルキル基の環中の水素原子を置換するアルキル基としては、上記炭素原子数1~20のアルキル基として例示した基が挙げられる。飽和多環式アルキル基の環中の水素原子の1つ以上が、アルキル基で置換された基としては、例えば、ボルニル等が挙げられる。
【0020】
炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基とは、アルキル基の水素原子が、シクロアルキル基で置換された炭素原子数4~20の基を意味する。シクロアルキルアルキル基中のシクロアルキル基は単環であってもよく、多環であってもよい。シクロアルキル基が単環である炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基としては、例えば、シクロプロピルメチル、2-シクロブチルエチル、3-シクロペンチルプロピル、4-シクロヘキシルブチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチル、2-シクロノニルエチル及び2-シクロデシルエチル等が挙げられる。シクロアルキル基が多環である炭素原子数4~20のシクロアルキルアルキル基としては、3-3-アダマンチルプロピル及びデカハイドロナフチルプロピル等が挙げられる。
【0021】
前記一般式(I)中のR等で表される炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基は、芳香族炭化水素環を含み、複素環を含まない炭化水素基であり、脂肪族炭化水素基を有していてもよい。芳香族炭化水素環含有基としては、例えば、炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数7~30のアリールアルキル基が挙げられる。
【0022】
炭素原子数6~30のアリール基としては、Ar及びArで表される炭素原子数6~30のアリール基として例示した基が挙げられる。
【0023】
炭素原子数7~30のアリールアルキル基とは、アルキル基中の水素原子の1つ以上がアリール基で置換された基を意味する。炭素原子数7~30のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フルオレニル、インデニル、9-フルオレニルメチル、α-メチルベンジル、α,α-ジメチルベンジル、フェニルエチル及びナフチルプロピル基等が挙げられる。
【0024】
前記一般式(I)中のR等で表される炭素原子数2~10の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子を1つ除いた基を意味する。複素環基としては、例えば、ピリジル、キノリル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、テトラヒドロピラニル、ベンゾチオフェニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、ベンゾオキサゾール-2-イル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル及びモルホルニル等が挙げられる。
【0025】
前記一般式(I)中のR等で表される炭素原子数3~30の複素環含有基とは、炭化水素基中の水素原子の1つ以上が複素環基で置換された炭素原子数3~30の基を意味する。複素環基としては、前記炭素原子数2~30の複素環基として例示した基が挙げられる。炭化水素基としては、炭素原子数1~20の炭化水素基が挙げられ、例えば、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基及び炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基が挙げられる。これらの基の具体例は上述の通りである。
【0026】
前記一般式(I)中のR11及びR12で表される炭素原子数1~20の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基及び炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基が挙げられる。これらの基の具体例は上述の通りである。
【0027】
前記一般式(I)中のR等は、前記炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基中のメチレン基の1つ以上が前記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、前記炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基中のメチレン基の1つ以上が前記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基、又は前記炭素原子数3~30の複素環含有基中のメチレン基の1つ以上が前記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基であってもよい。これらの基における炭素原子数はメチレン基が<群A>より選ばれる2価の基により置換される前の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素環含有基及び複素環含有基の炭素原子数を表す。
【0028】
本発明においては、前記一般式(I)中のAがベンゼン環、シクロヘキサジエン環又はシクロヘキサン環である重合体が、得られる硬化物が耐熱性に優れることから好ましい。すなわち、前記一般式(I)で表される構成単位が、下記一般式(Ia)、(Ib)又は(Ic)で表される構成単位であることが好ましい。
【0029】
【化2】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【0030】
【化3】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【0031】
【化4】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【0032】
なかでも、前記一般式(Ia)又は(Ib)で表される構成単位からなる重合体がより好ましく、(Ia)で表される構成単位からなる重合体は、得られる硬化物の耐熱性がより優れたものとなるので特に好ましい。
【0033】
前記一般式(I)中の置換基とは、Ar及びArで表される炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数3~30のヘテロアリール基、並びにR~Rで表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、炭素原子数2~10の複素環基及び炭素原子数3~30の複素環含有基中の水素原子を置換する1価の基であり、特に制限されないが、耐熱性が向上することから、反応性基または反応性基を有する基であることが好ましい。反応性基以外の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基に代表される炭素原子1~10のハロゲン化アルキル基などが挙げられる。
【0034】
本発明で規定する炭素原子数は、置換基の炭素原子数を含めたものである。例えばビニルフェニル基は、炭素原子数8のアリール基である。
【0035】
前記反応性基とは、他の反応性基と共有結合を形成できる性質を有する官能基を意味する。ここで他の反応性基は、同種の反応性基であってもよく、異種の反応性基であってもよい。前記反応性基としては、エチレン性不飽和結合(ビニル基)、炭素-炭素三重結合(エチニル基)、シアノ基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基(フェノール性水酸基を含む)、アミノ基及びチオール基などが挙げられる。なお、シアノ基は三量化反応によりトリアジン環を形成することが可能であるため反応性基に含める。
【0036】
前記反応性基を有する基とは、2価の基を介して反応性基が結合している置換基を意味する。2価の基は、置換後の炭素原子数が所定の範囲内であれば特に制限されないが、硬化性が良好であることから、炭素原子数1~10のアルキレン基又は、炭素原子数1~10のアルキレン基のメチレン基の1つ以上が上記<群A>より選ばれる2価の基により置換された基が好ましい。
【0037】
エチレン性不飽和結合を有する基としては、炭素原子数2~20のアルケニル基及び炭素原子数2~20のアルケニルオキシ基が挙げられる。炭素原子数2~20のアルケニル基としては、アリル基、2-メチル-2-プロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基及び5-ヘキセニル基等が挙げられる。炭素原子数2~20のアルケニルオキシ基としては、アリルオキシ基、2-メチル-2-プロペニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、4-ペンテニルオキシ基及び5-ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。また、アクリロイル基及びメタクリロイル基、並びにアクリロイル基又はメタクリロイル基が末端に置換した炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基等も挙げられる。得られる硬化物が耐熱性に優れることから、炭素原子数2~10のアルケニル基及び炭素原子数2~10のアルケニルオキシ基が好ましく、ビニルオキシ基がより好ましい。
【0038】
炭素-炭素三重結合を有する基としては、炭素原子数2~20のアルキニル基及び炭素原子数2~20のアルキニルオキシ基が挙げられる。炭素原子数2~20のアルキニル基としては、例えば、プロパルギル基、2-メチル-2-プロピニル基、3-ブチニル基、4-ペンチニル基及び5-ヘキシニル基等が挙げられる。炭素原子数2~20のアルキニルオキシ基としては、例えば、プロパルギルオキシ基、2-メチル-2-プロピニルオキシ基、3-ブチニルオキシ基、4-ペンチニルオキシ基及び5-ヘキシニルオキシ基等が挙げられる。なかでも炭素原子数2~10のアルキニル基及び炭素原子数2~10のアルキニルオキシ基が好ましく、プロパルギル基及びプロパルギルオキシ基が、得られる硬化物が耐熱性に優れることから、好ましい。
【0039】
前記一般式(I)で表される構成単位が2つ以上の反応性基を有する重合体は、耐熱性に優れる硬化物が得られることから好ましく、反応性基がフェノール性水酸基、エチレン性不飽和結合又は炭素-炭素三重結合である場合、反応性(硬化性)が高く、硬化物の耐熱、耐溶媒性が高いことから好ましい。
【0040】
反応性基又は反応性基を有する基を、Ar、Ar、R又はRに1つ以上有する重合体は、硬化性に優れることから好ましい。反応性基がフェノール性水酸基の場合は、より一層、硬化性に優れることから、Ar及びArがフェノール性水酸基を有することが特に好ましい。反応性基がエチレン性不飽和結合又は炭素-炭素三重結合の場合は、より一層、硬化性に優れることから、Ar、Ar、R又はRの全てがエチレン性不飽和結合又は炭素-炭素三重結合を有する基であることが、特に好ましい。
【0041】
前記一般式(I)中のAr及びArが、置換基を有していてもよい、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基及びフルオレニル基から選ばれる基である重合体は、溶剤への溶解性に優れる硬化物が得られることから好ましく、特に置換基を有していてもよいフェニル基であることが、反応性(硬化性)が高いため好ましく、置換基としては、耐熱性に優れる硬化物が得られることから、反応性基又は反応性基を有する基が好ましく、反応性基の中でもフェノール性水酸基、エチレン性不飽和結合を有する基又は炭素-炭素三重結合を有する基が好ましい。
【0042】
Ar及びArが同一であることが、製造が容易であり、耐熱性に優れる硬化物が得られることから好ましい。
【0043】
及びRが同一であることが、製造が容易であり、耐熱性に優れる硬化物が得られることから好ましい。
【0044】
前記一般式(I)中のRが、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30のアリール基であり、Rが水素原子である重合体は、溶剤への溶解性に優れることから好ましく、Rは、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基及びフルオレニル基から選ばれる基であることがより好ましく、特にフェニル基であることが溶剤への溶解性が良好であることから好ましい。
【0045】
前記一般式(I)中のR及びRが、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素原子数6~30のアリール基であり、これらが互いに直接結合して環を形成している重合体は、耐熱性に優れる硬化物が得られることから好ましく、R及びRがフェニル基であり、これらが互いに直接結合して環を形成していることが、耐熱性が高いことから好ましい。
【0046】
前記一般式(I)中のR及びRが水素原子以外の基である場合、重合体を含む組成物の熱硬化物の耐熱性および耐溶媒性が向上することから、該基が反応性基または反応性基を有する基を置換基として有することが好ましく、反応性基の中でもフェノール性水酸基、エチレン性不飽和結合を有する基又は炭素-炭素三重結合を有する基が好ましい。
【0047】
耐熱性に優れる硬化物が得られることから、a及びbは、0が好ましい。
【0048】
重量平均分子量が500以上30,000未満である重合体は、溶剤への溶解性に優れ、耐熱性に優れる硬化物が得られることから好ましく、700以上15,000未満であることがより好ましく、1,000以上10,000未満であることが、溶剤への溶解性、成膜性が良好なことから特に好ましい。
本発明において、重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の分子量である。
【0049】
重量平均分子量(Mw)は、例えば、日本分光(株)製のGPC(LC-2000plusシリーズ)を用い、溶出溶剤をテトラヒドロフランとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw1,110,000、707,000、397,000、189,000、98,900、37,200、15,700、9,490、5,430、3,120、1,010、589(東ソー(株)製 TSKgel標準ポリスチレン)とし、測定カラムをKF-804、KF-803、KF-802(昭和電工(株)製)として測定することができる。
【0050】
前記一般式(I)で表される構成単位の具体例を以下に示す。
【0051】

【化5】
【0052】

【化6】
【0053】

【化7】
【0054】

【化8】
【0055】

【化9】
【0056】

【化10】
【0057】

【化11】
【0058】

【化12】
【0059】
前記重合体(I)は、下記一般式(1)で表される化合物と、アルデヒド又はケトンとを、酸触媒の存在下で縮合反応させることにより製造できる。
【0060】
【化13】
式中の各記号は、前記一般式(I)と同じである。
【0061】
前記縮合反応に使用される酸触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸一水和物、蟻酸、シュウ酸、シュウ酸二水和物、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、四塩化チタン、四臭化チタン、酸化チタン等のルイス酸類等が挙げられる。
【0062】
前記一般式(I)中のR及びRは、重合体の原料であるアルデヒド又はケトンに由来する基である。例えば、ホルムアルデヒドを用いると、R及びRが水素原子である重合体が得られる。また、ベンズアルデヒドを用いると、Rがフェニル基であり、Rが水素原子である重合体が得られる。同様に、ナフトアルデヒド、アントラセンカルボキシアルデヒド、ピレンカルボキシアルデヒド又はフルオレンカルボキシアルデヒドを用いると、Rが、それぞれ、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基又はフルオレニル基であり、いずれもRが水素原子である重合体が得られる。
【0063】
前記一般式(I)中のR及びRが、いずれも水素原子ではない重合体は、ケトンを用いることにより得られる。ケトンとしては、ジアリールケトン及びアルキルアリールケトンが挙げられ、例えば、ジフェニルケトンを用いると、R及びRがフェニル基である重合体が得られ、メチルフェニルケトンを用いると、Rがメチル基であり、Rがフェニル基である重合体が得られる。
【0064】
前記一般式(I)中のR及びRが互いに直接結合して環を形成している重合体は、環状ケトンを用いることにより得られる。例えば、フルオレノンを用いると、R及びRがフェニル基であり、これらが互いに直接結合して環を形成している重合体が得られる。
【0065】
前記アルデヒド及びケトンの使用量は、得られる重合体が所望の分子量及び共重合比率となるよう調整すればよいが、前記一般式(1)で表される化合物1モルに対して、0.05~1.1モルであることが好ましく、0.3~1.0モルであることがより好ましい。
【0066】
前記縮合反応は、無溶媒で行ってもよいが、通常は溶媒を用いて行われる。溶媒としては、反応を阻害しないものであれば使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤類、トルエン、キシレン等の炭化水素類、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられ、これらを単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0067】
前記縮合反応の反応温度は通常50~200℃であり、100~200℃であることが反応時間の点から好ましい。反応時間は、触媒量及び反応温度等により調整すればよいが、通常30分~50時間である。
【0068】
本発明の組成物は、前記重合体(I)を含有するものである。組成物が前記重合体(I)を含有することで、耐熱性及び耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
【0069】
前記重合体(I)を固形分中に20~100質量%含有する組成物は、耐熱性に優れた硬化物が得られることから好ましい。固形分中の含有量は、より好ましくは、40~100質量%であり、特に好ましくは60~100質量%である。ここでいう固形分とは、組成物より後述する溶剤を除いた成分を指す。
【0070】
本発明の組成物は、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤とは、反応性基を有する重合体(I)と反応して、化学的結合により複数分子を連結し、重合反応後のポリマーに取り込まれ、物理的、化学的性質を変化させる化合物を意味する。ただし、反応性基を有する重合体(I)は架橋剤に含めない。なお、反応性基を有する重合体(I)とは、前記一般式(I)中のAr及びArで表される炭素原子数6~30のアリール基及び炭素原子数3~30のヘテロアリール基、並びにR1~R6で表される炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環含有基、炭素原子数2~10の複素環基及び炭素原子数3~30の複素環含有基中の少なくとも1つの水素原子が前記反応性基又は前記反応性基を有する基で置換されているものを意味する。架橋剤を含有することで、より耐熱性及び耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。架橋剤としては、例えば、フェノール化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物、アミン化合物、ベンゾオキサジン化合物、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、イソシアネート化合物、アジド化合物等が挙げられる。
上記反応性基としては、架橋剤添加による効果(耐熱性、耐溶剤性の向上等)が高いことからフェノール性水酸基が特に好ましい。
【0071】
フェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール類、キシレノール類等のアルキルフェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン等のビスフェノール類;α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン等のトリスフェノール類;フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等のフェノール樹脂類;下記の一般式で表される直鎖状トリスフェノール類、メタン型トリスフェノール類、直鎖状テトラキスフェノール類及び放射状六核体化合物等の樹脂状フェノール誘導体等が挙げられる。
【0072】
【化14】
式中、R13は、炭素原子数1~4のアルキル基を表し、nは0~2の整数を表し、mは0~1の整数を表す。
【0073】
エポキシ化合物としては、例えば、前記フェノール化合物のグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物を架橋剤として使用すると、硬化物の架橋密度を高めることができ、耐熱性、耐湿性及び耐溶剤性等に優れた硬化物が得られる。
【0074】
シアネート樹脂としては、例えば、前記フェノール化合物の水酸基をシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
【0075】
アミン化合物としては、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルプロパン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族アミン類;ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン類;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族アミン類等が挙げられる。
【0076】
ベンゾオキサジン化合物としては、ジアミン化合物と単官能フェノール化合物から得られるP-d型ベンゾオキサジン、アミン化合物と二官能フェノール化合物から得られるF-a型ベンゾオキサジン等が挙げられる。
【0077】
メラミン化合物としては、例えば、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1~6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1~6個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0078】
グアナミン化合物としては、例えば、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1~4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0079】
グリコールウリル化合物としては、例えば、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1~4個がアシロキシメチル化した化合物又はその混合物等が挙げられる。
【0080】
ウレア化合物としては、例えば、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1~4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等が挙げられる。
【0081】
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。アジド化合物としては、1,1’-ビフェニル-4,4’-ビスアジド、4,4’-メチリデンビスアジド、4,4’-オキシビスアジド等が挙げられる。
【0082】
前記架橋剤としては、硬化性に優れ、耐溶剤性及び耐熱性に優れた硬化物が得られることから、フェノール化合物及びグリコールウリル化合物が好ましい。反応性基として、フェノール性水酸基を有する重合体(I)と併用することで、特に、硬化性に優れ、耐溶剤性及び耐熱性に優れた硬化物が得られるからである。
【0083】
前記架橋剤の含有量は、重合体(I)100質量部に対して、0.1~20質量部であることが好ましく、1~10質量部であることが好ましい。含有量が前記範囲の場合、耐熱性が高い硬化物が得られる。
【0084】
本発明の組成物は、溶剤を含有していてもよい。溶剤とは、25℃、1気圧で液体であり、上述した成分(重合体(I)及び架橋剤)に分類されない化合物を意味する。溶剤としては、通常、必要に応じて上記の各成分を溶解または分散し得る溶剤、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸-n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;メタノール、エタノール、イソ-またはn-プロパノール、イソ-またはn-ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルエーテルアセテート、エトキシエチルエーテルプロピオネート等のエーテルエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶剤;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;テレピン油、D-リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油社)、ソルベッソ#100(エクソン化学社)等のパラフィン系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶剤;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶剤;カルビトール系溶剤;アニリン;トリエチルアミン;ピリジン;酢酸;アセトニトリル;二硫化炭素;N,N-ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc);N-メチルピロリドン;ジメチルスルホキシド;水等が挙げられ、これらの溶剤は1種または2種以上の混合溶剤として使用することができる。
【0085】
これらの中でも、ケトン類、エーテルエステル系溶剤等、特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン等が、重合体(I)及び架橋剤の溶解性が良いので好ましい。
【0086】
溶剤の含有量は、前記組成物100質量部中に、50質量部以上99質量部以下であることが好ましく、70質量部以上95質量部以下であることがより好ましい。溶剤の含有量が前記範囲である場合、塗膜にしたときの膜厚の制御が容易になり、また、均一な塗膜が得られる。
【0087】
本発明の組成物は、重合開始剤を含有してもよい。重合開始剤とは、加熱又は活性エネルギー線の照射等により活性種を発生し、重合を開始できる化合物を意味し、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、酸発生剤、塩基発生剤及びラジカル重合開始剤が挙げられる。重合開始剤を含有することで、組成物の硬化促進が期待できる。
【0088】
重合開始剤は、活性エネルギー線の照射によって活性種を発生する光重合開始剤、及び加熱により活性種を発生する熱重合開始剤に分類できる。光重合開始剤としては、光酸発生剤、光塩基発生剤及び光ラジカル重合開始剤が挙げられ、熱重合開始剤としては、熱酸発生剤、熱塩基発生剤熱及びラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0089】
本発明の組成物は、前記架橋剤の硬化反応を促進するため、重合開始剤として酸発生剤を含有していてもよい。酸発生剤は、所定の条件により酸を発生させることが可能な化合物であればどのようなものでもよく、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩及びアンモニウム塩のようなオニウム塩が挙げられる。酸発生剤は、熱によって酸を発生する熱酸発生剤、及び光によって酸を発生する光酸発生剤のいずれであってもよいが、硬化性がよいことから、熱によって酸を発生する熱酸発生剤が特に好ましい。
【0090】
具体的な熱酸発生剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム ノナフルオロブタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリエチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸ピリジニウム、カンファースルホン酸トリエチルアンモニウム、カンファースルホン酸ピリジニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn-ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p-トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸(p-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ビス(p-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリス(p-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p-トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p-トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2-ノルボニル)メチル(2-オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2-オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’-ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩が挙げられる。
【0091】
光酸発生剤は、光が照射されることにより、酸を発生させる化合物である。上記光酸発生剤としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により酸を発生する化合物であり、具体的には、オニウム塩化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物、スルホンイミド化合物、ジアゾメタン化合物等の公知の化合物が挙げられる。なかでも、上記光酸発生剤は、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、及び、ジアゾメタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、オニウム塩化合物であることがより好ましく、トリアリールスルホニウム塩であることが更に好ましい。
【0092】
上記オニウム塩化合物としては、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、トリアリールホスホニウム塩等を挙げることができる。
【0093】
上記ジアリールヨードニウム塩としては、具体的には、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム-p-トルエンスルホナート等のジフェニルヨードニウム塩;4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウム-p-トルエンスルホナート等の4-メトキシフェニルフェニルヨードニウム塩;ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロアセテート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム-p-トルエンスルホナート等のビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0094】
上記トリアリールスルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホナート等のトリフェニルスルホニウム塩;4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホナート等の4-メトキシフェニルジフェニルスルホニウム塩;4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム-p-トルエンスルホナート等の4-フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム塩等が挙げられる。
【0095】
上記トリアリールホスホニウム塩としては、例えば、トリフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルホスホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルホスホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルホスホニウム-p-トルエンスルホナート等のトリフェニルホスホニウム塩;4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムヘキサフルオロアルセネート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウムトリフルオロアセテート、4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウム-p-トルエンスルホナート等の4-メトキシフェニルジフェニルホスホニウム塩;トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムテトラフルオロボレート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウムトリフルオロアセテート、トリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウム-p-トルエンスルホナート等のトリス(4-メトキシフェニル)ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0096】
上記スルホンイミド化合物としては、例えば、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等のN-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)基を有するスルホンイミド化合物;N-(カンファニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシミド、N-(カンファニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等のN-(カンファニルスルホニルオキシ)基を有するスルホンイミド化合物;N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシミド、N-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等のN-(4-メチルフェニルスルホニルオキシ)基を有するスルホンイミド化合物;N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ-[2,2,1]-ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ビシクロ-[2,2,1]-ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシミド、N-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)ナフチルイミド等のN-(2-トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)基を有するスルホンイミド化合物等が挙げられる。
【0097】
上記ジアゾメタン化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン、1-シクロヘキシルスルホニル-1-1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0098】
光酸発生剤としては市販品を用いることもできる。光カチオン重合開始剤の市販品として、例えば、日本化薬株式会社製の“カヤラッド(登録商標)PCI-220”、“カヤラッド(登録商標)PCI-620”;ダウ・ケミカル株式会社製の“UVI-6990”;株式会社ADEKA製の“アデカアークルズ(登録商標)SP-150”、“アデカアークルズ(登録商標)SP-170”“アデカアークルズ(登録商標)SP-500” “アデカアークルズ(登録商標)SP-606”;日本曹達株式会社製の“CI-5102”、“CIT-1370”、“CIT-1682”、“CIP-1866S”、“CIP-2048S”、“CIP-2064S”;みどり化学株式会社製の“DPI-101”、“DPI-102”、“DPI-103”、“DPI-105”、“MPI-103”、“MPI-105”、“BBI-101”、“BBI-102”、“BBI-103”、“BBI-105”、“TPS-101”、“TPS-102”、“TPS-103”、“TPS-105”、“MDS-103”、“MDS-105”、“DTS-102”、“DTS-103”;ソルベイジャパン株式会社製の“PI-2074”;及びサンアプロ株式会社製のCPI-100P等が挙げられる。
【0099】
酸発生剤の含有量は、全固形分100質量部に対して、0.001~50質量部であることが好ましく、0.01~20質量部であることが好ましい。含有量が前記範囲内である場合、硬化性に優れた組成物が得られ、耐熱性及び耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
【0100】
本発明の組成物は、前記架橋剤の硬化反応を促進するため、重合開始剤として塩基発生剤を含有していてもよい。塩基発生剤は、所定の条件により塩基を発生させることが可能な化合物であればどのようなものでもよく、熱によって塩基を発生する熱塩基発生剤、及び光によって塩基を発生する光塩基発生剤のいずれであってもよいが、硬化性がよいことから、熱によって塩基を発生する熱塩基発生剤が特に好ましい。
【0101】
熱塩基発生剤としては、2-(4-ビフェニル)-2-プロピル カルバメート、及び1、1-ジメチル-2-シアノエチル カルバメート等のカルバメート誘導体、尿素やN,N,N’-トリメチル尿素等の尿素誘導体、1,4-ジヒドロニコチンアミド等のジヒドロピリジン誘導体、ジシアンジアミド、有機塩や無機塩等の酸と塩基からなる塩等が挙げられる。
【0102】
光塩基発生剤としては、カルバメート化合物、α-アミノケトン化合物、4級アンモニウム化合物、O-アシルオキシム化合物、アミノシクロプロペノン化合物などが挙げられる。
【0103】
カルバメート化合物としては、例えば、1-(2-アントラキノニル)エチル 1-ピペリジンカルボキシレート、1-(2-アントラキノニル)エチル 1H-2-エチルイミダゾール-1-カルボキシレート、9-アントリルメチル 1-ピペリジンカルボキシレート、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート、9-アントリルメチル N-プロピルカルバメート、9-アントリルメチル N-シクロヘキシルカルバメート、9-アントリルメチル 1H-イミダゾール-1-カルボキシレート、9-アントリルメチル N,N-ジオクチルカルバメート、9-アントリルメチル 1-(4-ヒドロキシピペリジン)カルボキシレート、1-ピレニルメチル 1-ピペリジンカルボキシレート、ビス〔1-(2-アントラキノニル)エチル〕 1,6-ヘキサンジイルビスカルバメート、ビス(9-アントリルメチル) 1,6-ヘキサンジイルビスカルバメート等が挙げられる。
α-アミノケトン化合物としては、例えば、1-フェニル-2-(4-モルホリノベンゾイル)-2-ジメチルアミノブタン、2-(4-メチルチオベンゾイル)-2-モルホリノプロパン等が挙げられる。
【0104】
光塩基発生剤となる4級アンモニウム化合物としては、例えば、1-(4-フェニルチオフェナシル)-1-アゾニア-4-アザビシクロ[2,2,2]オクタンテトラフェニルボレート、5-(4-フェニルチオフェナシル)-1-アザ-5-アゾニアビシクロ[4,3,0]-5-ノネンテトラフェニルボレート、8-(4-フェニルチオフェナシル)-1-アザ-8-アゾニアビシクロ[5,4,0]-7-ウンデセンテトラフェニルボレート等が挙げられる。
光塩基発生剤となるアミノシクロプロペノン化合物としては、例えば、2-ジエチルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン、2-ジエチルアミノ-3-(1-ナフチル)シクロプロペノン、2-ピロリジニル-3-フェニルシクロプロペノン、2-イミダゾリル-3-フェニルシクロプロペノン、2-イソプロピルアミノ-3-フェニルシクロプロペノン等が挙げられる。
【0105】
塩基発生剤の含有量は、全固形分100質量部に対して、0.001~50質量部であることが好ましく、0.01~20質量部であることが好ましい。含有量が前記範囲内である場合、硬化性に優れた組成物が得られ、耐熱性及び耐溶剤性に優れた硬化物が得られる。
【0106】
前記重合体(I)が反応性基としてエチレン性不飽和結合を有する場合、本発明の組成物は、重合開始剤としてラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤のいずれも用いることができる。
【0107】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンジルジメチルケタール等のベンジルケタール類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ベンジル-1-ジメチルアミノ-1-(4’-モルホリノベンゾイル)プロパン、2-モルホリル-2-(4’-メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-ヒドロキシ-1-ベンゾイルシクロヘキサン、2-ヒドロキシ-2-ベンゾイルプロパン、2-ヒドロキシ-2-(4’-イソプロピル)ベンゾイルプロパン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、4-ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4-フェノキシベンゾイルジクロロメタン等のアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、1-クロロアントラキノンおよび2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントンおよび2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトンおよび4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド等のオキサイド類;3-(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-メチルカルバゾール等のカルバゾール類;ベンジル、ベンゾイル蟻酸メチル等のα-ジカルボニル類;特開2000-80068号公報、特開2001-233842号公報、特開2005-97141号公報、特表2006-516246号公報、特許第3860170号公報、特許第3798008号公報、WO2006/018973号公報、特開2011-132215号公報、WO2015/152153号公報に記載の化合物等のオキシムエステル類;p-メトキシフェニル-2,4-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ナフチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-ブトキシスチリル)-s-トリアジン等のトリアジン類;過酸化ベンゾイル、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、エチルアントラキノン、1,7-ビス(9’-アクリジニル)ヘプタン、チオキサントン、1-クロル-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、2-(p-ブトキシスチリル)-5-トリクロロメチル-1,3,4-オキサジアゾール、9-フェニルアクリジン、9,10-ジメチルベンズフェナジン、ベンゾフェノン/ミヒラーズケトン、ヘキサアリールビイミダゾール/メルカプトベンズイミダゾール、チオキサントン/アミン等が挙げられる。
【0108】
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブチルバレレート、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物類;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物類;テトラメチルチラウムジスルフィド等が挙げられる。
【0109】
ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性並びに硬化物の耐熱性及び耐溶剤性に優れる組成物が得られることから、エチレン性不飽和結合を有する重合体(I)100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下が好ましく、0.5質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0110】
本発明の組成物は、上述の各成分に加え、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
その他の成分としては、無機フィラー、有機フィラー、シランカップリング剤、着色剤、光増感剤、消泡剤、増粘剤、チクソ剤、界面活性剤、レベリング剤、難燃剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤及び接着促進剤等の各種添加物等が挙げられる。
【0111】
反応性基を有する重合体(I)を含有する本発明の組成物は、ホットプレート等の熱板や、大気オーブン、イナートガスオーブン、真空オーブン、熱風循環式オーブン等による加熱により、硬化させることができる。
【0112】
熱硬化の際の加熱温度は、反応性基の種類によって適宜選択すればよいが、例えば、反応性基が、炭素-炭素三重結合、フェノール性水酸基、ビニル基が好ましく、特に炭素-炭素三重結合である場合、200℃~400℃が好ましく、250℃~350℃がより好ましい。また、硬化時間としては、特に限定されないが、生産性向上の点から、1分~60分が好ましく、1分~30分がより好ましい。
【0113】
本発明の重合体、組成物及びその硬化物は、耐熱性に優れることから、半導体封止材、回路基板、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板、半導体レジスト、半導体ハードマスク及び多層フレキブルフィルム等の電子部品用途に好適に使用可能である。本発明の組成物を用いたコーティング材、接着剤、耐熱部材及び電子部品は、各種用途に好適に使用可能であり、例えば、産業用機械部品、一般機械部品、自動車・鉄道・車両等部品、宇宙・航空関連部品、電子・電気部品、建築材料、容器・包装部材、生活用品、スポーツ・レジャー用品、風力発電用筐体部材等の用途が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0114】
また本発明の組成物は、凹凸のある基板への埋め込み性に優れることから、基板に形成された凹部に充填されるギャップフィル材料(埋め込み平坦化膜)としても使用することができ、基板に形成された凹部に充填される絶縁材料(埋め込み絶縁膜)、バリア材料、半導体レジスト材料、半導体パッケージ材料及びシリコン貫通ビア用絶縁膜などの形成に使用できる。
【0115】
本発明の硬化物とは、反応性基を有する重合体(I)を含有する組成物を重合反応により硬化させたものを意味する。
【0116】
本発明の成形体とは、本発明の組成物を圧縮成形、ナノインプリント、射出成形、フォトリソグラフィーなどによって、成形したものを意味する。
【0117】
本発明の成形体の用途は限定されないが、本発明の成形体が有する耐熱性及び耐溶剤性に優れる効果をより効果的に発揮できることから電子材料部品、回路基板及びレンズ等光学部品等に好ましく使用することができる。
【実施例0118】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0119】
[合成例1]
還流管付き反応フラスコに、インドールを29.3g(250mmol)、3-ヒドロキシベンズアルデヒドを30.5g(250mmol)、アセトニトリルを166g入れ、攪拌しながら、完全に溶解させた。水冷し、48%臭化水素酸4.2g(25mmol)をゆっくりと滴下した。発熱が収まっていることを確認した後、室温に戻し、そのまま2時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、析出物をろ過し、アセトニトリル70gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、化合物M1を淡黄色粉体で得た。
収量28.5g(収率54%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:5.57(s,2H),6.59-7.25(m,16H),9.16(s,2H),10.66(s,2H)
【0120】
【化15】
【0121】
[合成例2]
還流管付き反応フラスコに、化合物M1を26.6g(60mmol)、ヨウ素を18.3g(72mmol)、アセトニトリルを80g入れ、昇温し、80℃で14時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液25gを滴下し、攪拌しながら10℃まで冷却した。析出物をろ過し、アセトニトリル50gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、化合物M2を淡黄色粉体で得た。
収量20.7g(収率78%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:6.83-7.49(m,16H),9.68(s,2H),10.49(s,2H)
【0122】
【化16】
【0123】
[合成例3]
還流管付き反応フラスコに、インドールを40.0g(341mmol)、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒドを47.2g(341mmol)、アセトニトリルを243g入れ、攪拌しながら、完全に溶解させた。水冷し、48%臭化水素酸5.7g(34mmol)をゆっくりと滴下した。発熱が収まっていることを確認した後、室温に戻し、そのまま2時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、析出物をろ過し、アセトニトリル100gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、M3を灰色粉体で得た。
収量33.2g(収率41%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:6.00(s,2H),6.04-7.33(m,14H),8.27(s,2H),9.25(s,2H),10.42(s,2H)
【0124】
【化17】
【0125】
[合成例4]
還流管付き反応フラスコに、M3を30.0g(63.2mmol)、ヨウ素を19.3g(75.9mmol)、アセトニトリルを90g入れ、昇温し、80℃で14時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液30gを滴下し、攪拌しながら10℃まで冷却した。析出物をろ過し、アセトニトリル50gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、化合物M4を淡褐色粉体で得た。
収量29.7g(収率99%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:6.80-7.43(m,14H),8.60(s,2H),8.89(s,2H),10.27(s,2H)
【0126】
【化18】
【0127】
[合成例5]
還流管付き反応フラスコに、インドールを7.0g(60mmol)、1-ナフトアルデヒドを9.4g(60mmol)、アセトニトリルを45g入れ、攪拌しながら、完全に溶解させた。水冷し、48%臭化水素酸1.0g(6mmol)をゆっくりと滴下した。発熱が収まっていることを確認した後、室温に戻し、そのまま3時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、析出物をろ過し、アセトニトリル20gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、M5を淡橙色粉体で得た。
収量7.3g(収率48%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:6.66(s,2H),6.77-8.27(m,22H),10.82(s,2H)
【0128】
【化19】
【0129】
[合成例6]
還流管付き反応フラスコに、インドールを90.0g(768mmol)、ベンズアルデヒドを81.5g(768mmol)、アセトニトリルを450g入れ、攪拌しながら、完全に溶解させた。水冷し、48%臭化水素酸8.6g(154mmol)をゆっくりと滴下した。発熱が収まっていることを確認した後、室温に戻し、そのまま2時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、析出物をろ過し、アセトニトリル150gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、6,12-ジフェニル-5,6,11,12-テトラヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾール133gを淡黄色粉体で得た。
還流管付き反応フラスコに、6,12-ジフェニル-5,6,11,12-テトラヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを130.0g(317mmol)、ヨウ素を40.2g(158mmol)、アセトニトリルを400g入れ、昇温し、80℃で8時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液125gを滴下し、攪拌しながら10℃まで冷却した。析出物をろ過し、アセトニトリル150gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、化合物M6を淡黄色粉体で得た。
収量31.0g(収率24%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:6.80-7.76(m,18H),10.53(s,2H)
【0130】
【化20】
【0131】
[合成例7]
還流管付きフラスコに、化合物M1を3.10g(7.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を20g入れ、攪拌しながら、窒素気流下、室温で48%水酸化ナトリウム水溶液2.92g(35.0mmol)を滴下した。続いて、3-ブロモ-1-プロペン4.23g(35.0mmol)を滴下し、そのまま室温で3時間攪拌を行なった。反応液を100gの水に投入し、30分攪拌後、析出物をろ過した。採取したろ物にメタノール30gを加え、30分間攪拌させた。懸濁液をろ過し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで化合物M7を淡黄色粉体で得た。
収量3.0g(収率71%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:4.52(m,4H),4.89(m,4H),5.17-5.34(m,10H),5.89(s,2H),5.96(m,2H),6.72-7.46(m,16H)
【0132】
【化21】
【0133】
[合成例8]
還流管付き反応フラスコに、化合物M4を5.20g(11mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を50g入れ、攪拌しながら、窒素気流下、室温で48%水酸化ナトリウム水溶液5.50g(66mmol)を滴下した。続いて、3-ブロモ-1-プロピン7.50g(63mmol)を滴下し、そのまま室温で2時間攪拌を行なった。反応液を300gの水に投入し、30分攪拌後、析出物をろ過した。採取したろ物を酢酸エチル50gに溶解させた後、水50gを加え、30分攪拌し、油水分離した。有機層を脱溶媒した残渣を40℃で減圧乾燥させることで化合物M8を淡褐色粉体で得た。
収量4.90g(収率65%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:3.09(t,2H),3.44(t,2H),3.52(t,2H),4.65-4.85(m,12H),6.72-7.49(m,14H)
【0134】
【化22】
【0135】
[合成例9]
還流管付き反応フラスコに、インドールを11.7g(100mmol)、2-フルオレンカルボキシアルデヒドを19.4g(100mmol)、アセトニトリルを90g入れ、攪拌しながら、完全に溶解させた。水冷し、48%臭化水素酸1.7g(10mmol)をゆっくりと滴下した。反応液を室温に戻し、そのまま2時間攪拌した。反応液を10℃まで冷却し、析出物をろ過し、アセトニトリル20gで洗浄し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、6,12-ジ(9H-フルオレン-2-イル)5,6,11,12-テトラヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを褐色粉体で得た。
収量27.0g(収率92.1%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:3.84(s,4H)、5.85(s,2H)、6.77-7.87(m,22H)、10.76(s,2H)
【0136】
還流管付き反応フラスコに、6,12-ジ(9H-フルオレン-2-イル)5,6,11,12-テトラヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを17.6g(30.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を250g入れ、攪拌しながら、窒素気流下、室温で48%水酸化ナトリウム水溶液22.5g(270.0mmol)を滴下した。続いて、3-ブロモ-1-プロピン31.8g(270.0mmol)を滴下し、そのまま室温で3時間攪拌を行なった。反応液を800gの水に投入し、30分攪拌後、析出物をろ過した。採取したろ物に酢酸エチル100gを加え、30分間攪拌後、ろ過し、ろ物を40℃で減圧乾燥させることで化合物M9を淡橙色粉体で得た。
収量12.4g(収率51%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:2.94(t,2H)、3.86(s,4H)、4.72(d,2H)、4.92(d,2H)、6.10(s,2H)、6.91-8.30(m,22H)
【0137】
【化23】
【0138】
[合成例10]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を6.61g(15mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を60g入れ、攪拌しながら、窒素気流下、室温で48%水酸化ナトリウム水溶液5.29g(66mmol)を滴下した。続いて、3-ブロモ-1-プロピン7.55g(63mmol)を滴下し、そのまま室温で2時間攪拌を行なった。反応液を350gの水に投入し、30分攪拌後、析出物をろ過した。採取したろ物を酢酸エチル50gに溶解させた後、水50gを加え、30分攪拌し、油水分離した。有機層を脱溶媒した残渣を40℃で減圧乾燥させることで化合物M10を淡褐色粉体で得た。
収量3.8g(収率42%)
H-NMR(DMSO-d) δ/ppm:3.10(t,2H)、3.56(t,2H)、4.65(d,4H)、4.92(d,4H)6.61-7.69(m,16H)
【0139】
【化24】
【0140】
[合成例11]
還流管付きフラスコに、6,12-ジ(9H-フルオレン-2-イル)5,6,11,12-テトラヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを15.0g(26mmol)、o-キシレンを450g入れ、攪拌しながら、ヨウ素7.8g(31mmol)を添加し、140℃で5時間反応を行なった。反応液を室温まで冷却し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液120gを滴下して30分間攪拌した。析出物をろ過した後、ろ物をo-キシレン50gで洗浄し、更に水/メタノール=1/2(重量比)混合溶媒100gで2回洗浄した。ろ物を40℃で減圧乾燥させることで、6,12-ジ(9H-フルオレン-2-イル)5,11-ジヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを灰色粉体で得た。
収量13.3g(収率89%)
H-NMR(THF-d) δ/ppm:4.12(s,4H)、6.77-8.19(m,22H)、9.72(s,2H)
【0141】
還流管付き反応フラスコに、6,12-ジ(9H-フルオレン-2-イル)5,11-ジヒドロインドロ[3,2-b]カルバゾールを5.0g(9.0mmol)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を250g入れ、攪拌しながら、窒素気流下、室温で48%水酸化カリウム水溶液9.0g(77mmol)を滴下した。続いて、3-ブロモ-1-プロピン9.2g(77mmol)を滴下し、そのまま室温で1時間攪拌を行なった。反応液を250gの水に投入し、30分攪拌後、ろ過した。ろ液に水250gを加え、30分間攪拌後、ろ過し、ろ物を水/メタノール=1/2(重量比)混合溶媒100gで2回洗浄した。40℃で減圧乾燥させることで化合物M11を黄色粉体で得た。
収量2.2g(収率44%)
H-NMR(THF-d) δ/ppm:2.51(d,8H)、2.63(t,4H)、3.05(t,2H)、4.67(d,4H)、6.76-8.19(m,22H)
【0142】
【化25】
【0143】
[実施例1]
還流管付き反応フラスコに、化合物M1を2.20g、ベンズアルデヒドを0.54g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を24g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.14gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P1を2.1g得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重合体P1の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)2,050、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)1.83であった。
【0144】
【化26】
【0145】
[実施例2]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を2.20g、ベンズアルデヒドを0.54g、PGMEAを24g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.14gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P2を2.2g得た。GPCにより測定した重合体P2の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量1,450、分散度1.25であった。
【0146】
【化27】
【0147】
[実施例3]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を2.20g、1-ナフトアルデヒドを0.78g、PGMEAを16gおよびN-メチルピロリドンを8g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.14gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P3を2.6g得た。GPCにより測定した重合体P3の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量3,450、分散度3.00であった。
【0148】
【化28】
【0149】
[実施例4]
還流管付き反応フラスコに、化合物M4を2.36g、ベンズアルデヒドを0.54g、PGMEAを16gおよびN-メチルピロリドンを8g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.14gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒100g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒色粉体の重合体P4を2.4g得た。GPCにより測定した重合体P4の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量3,170、分散度1.79であった。
【0150】
【化29】
【0151】
[実施例5]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を2.20g、フルオレノンを0.90g、N-メチルピロリドンを24g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.32gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒色粉体の重合体P5を2.3g得た。GPCにより測定した重合体P5の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量1,990、分散度1.07であった。
【0152】
【化30】
【0153】
[実施例6]
還流管付き反応フラスコに、化合物M5を2.56g、ベンズアルデヒドを0.54g、N-メチルピロリドンを24g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.32gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黄土色粉体の重合体P6を2.2g得た。GPCにより測定した重合体P6の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量1,350、分散度1.42であった。
【0154】
【化31】
【0155】
[実施例7]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を2.20g、1-ピレンカルボキシアルデヒドを1.15g、N-メチルピロリドンを25g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.32gを添加した。窒素気流下、昇温し、140℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒120g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、赤褐色粉体の重合体P7を2.8g得た。GPCにより測定した重合体P7の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量1,220、分散度1.26であった。
【0156】
【化32】
【0157】
[実施例8]
還流管付き反応フラスコに、化合物M7を1.92g、ベンズアルデヒドを0.34g、PGMEAを20g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.20gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒100g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、灰色粉体の重合体P8を1.40g得た。GPCにより測定した重合体P8の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量3,880、分散度1.26であった。
【0158】
【化33】
【0159】
[実施例9]
還流管付き反応フラスコに、化合物M8を2.10g、ベンズアルデヒドを0.32g、PGMEAを24g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.20gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒100g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒褐色粉体の重合体P9を1.70g得た。GPCにより測定した重合体P9の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量2,640、分散度1.17であった。
【0160】
【化34】
【0161】
[実施例10]
還流管付き反応フラスコに、化合物M9を2.85g、ベンズアルデヒドを0.37g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を30g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.22gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒150g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P10を1.5g得た。GPCにより測定した重合体P10の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量2,350、分散度1.17であった。
【0162】
【化35】
【0163】
[実施例11]
還流管付き反応フラスコに、化合物M9を3.42g、9-フルオレノンを0.75g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を24g及びN-メチルピロリドンを12g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.33gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒180g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒色粉体の重合体P11を1.2g得た。GPCにより測定した重合体P11の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量2,030、分散度1.46であった。
【0164】
【化36】
【0165】
[実施例12]
還流管付き反応フラスコに、化合物M9を2.44g、1-ピレンカルボアルデヒドを0.70g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を14g及びN-メチルピロリドンを10g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸0.23gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒140g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒色粉体の重合体P12を1.8g得た。GPCにより測定した重合体P12の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量2,370、分散度1.21であった。
【0166】
【化37】
【0167】
[実施例13]
還流管付き反応フラスコに、化合物M10を2.14g、ベンズアルデヒドを0.38g、1,2-ジクロロエタンを20g入れ、窒素気流下40℃まで昇温した。メタンスルホン酸0.24gをゆっくりと滴下し、更に昇温し、80℃で8時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、1,2-ジクロロエタンを20g加え、イオン交換水15gで6回洗浄した。油水分離後、減圧下、重量が半分になるまで脱溶媒し、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒60g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒色粉体の重合体P13を1.4g得た。得られた粉体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重合体P13の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)2,760、分散度1.32であった。
【0168】
【化38】
【0169】
[実施例14]
還流管付き反応フラスコに、化合物M11を2.28g、ベンズアルデヒドを0.30g、N-メチルピロリドンを30g入れ、窒素気流下50℃まで昇温した。メタンスルホン酸0.18gをゆっくりと滴下し、更に昇温し、80℃で8時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒150g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P14を1.3g得た。得られた粉体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重合体P14の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)2,490、分散度1.17であった。
【0170】
【化39】
【0171】
[実施例15]
還流管付き反応フラスコに、化合物M2を1.60g、3-ヒドロキシベンズアルデヒドを0.44g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを12g、N-メチルピロリドンを10g入れ、窒素気流下50℃まで昇温した。メタンスルホン酸0.24gをゆっくりと滴下し、更に昇温し、80℃で8時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=9/1混合溶媒100g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、黒褐色粉体の重合体P15を1.4g得た。得られた粉体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重合体P15の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)1,410、分散度1.08であった。
【0172】
【化40】
【0173】
[実施例16]
還流管付き反応フラスコに、化合物M11を2.40g、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを0.36g、N-メチルピロリドンを28g入れ、窒素気流下50℃まで昇温した。メタンスルホン酸0.18gをゆっくりと滴下し、更に昇温し、80℃で8時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒150g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、褐色粉体の重合体P16を1.2g得た。得られた粉体をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重合体P16の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量(Mw)2,570、分散度1.14であった。
【0174】
【化41】
【0175】
[比較例1]
還流管付き反応フラスコに、カルバゾールを8.35g、ベンズアルデヒドを5.30g、PGMEAを50g入れ、攪拌しているところに、メタンスルホン酸3.20gを添加した。窒素気流下、昇温し、100℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、不溶物を除去後、n-ヘキサン/2-プロパノール=2/1混合溶媒300g中に反応液を滴下し、30分間攪拌した。析出物をろ別し、60℃で減圧乾燥させることで、灰褐色粉体の重合体R1を12.0g得た。GPCにより測定した重合体R1の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量6,360、分散度2.54であった。
【0176】
【化42】
【0177】
[比較例2]
還流管付き反応フラスコに、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンを10.0g、ホルムアルデヒド液(37%)を3.90g、ジオキサンを10.0g入れ、攪拌しているところに、蓚酸二水和物0.25gを添加した。窒素気流下、昇温し、80℃で20時間攪拌を行なった。室温まで冷却し、2-ブタノン25g、蒸留水20gを入れ、30分間攪拌した後に、静置した。油水分離した下層を除去後脱溶媒し、淡黄色不定形固体の重合体R2を11.3g得た。GPCにより測定した重合体R2の分子量(ポリスチレン換算)は、重量平均分子量4,020、分散度1.73であった。
【0178】
【化43】
【0179】
[実施例17~32及び比較例3~7]
表1に示した配合(質量部)で各成分を混合し、撹拌して溶解させた。固体が完全に溶解していることを確認後、PTFE製フィルター(孔径0.45μm)でろ過し、得られたろ液を評価用組成物とした。
【0180】
表中の各成分は以下の通りである。
P1~P10:重合体P1~P10 重合体(I)
R1:重合体R1 重合体(I)以外の重合体
R2:重合体R2 重合体(I)以外の重合体
R3:化合物M6 合成例6で合成した特定の骨格を有する化合物
B1:下記化合物(B1) 架橋剤(グリコールウリル化合物)
B2:下記化合物(B2) 架橋剤(フェノール化合物)
C1:ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム ノナフルオロブタンスルホナート 重合開始剤(熱酸発生剤)
D1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA) 溶剤
【0181】
【化44】
【0182】
調製した評価用組成物を、加熱後の膜厚が1.0μmになるようスピンコーターを使用してガラス基板(コーニング製イーグルXG)に塗布した。塗布後の基板を170℃に設定したホットプレートで120秒間加熱後、300℃に設定したホットプレートで更に120秒加熱し、評価用基板を作製し、以下の基準で膜状態、耐熱性及び耐溶剤性を評価した。結果を表1に示した。
【0183】
(膜状態)
加熱後の基板上の膜表面を目視で観察し、変色が無く表面が均一であるものをA、黒変等の変色又は析出や揮発などがあるものをB、変色に加えて析出や揮発等によるムラがあるものをCとした。
【0184】
(耐熱性)
評価用基板の膜厚を、触針式表面形状測定機(Dektak150)を使用して測定した。その後、この基板を300℃に設定したホットプレート上で更に120秒間加熱し、室温に戻した後の膜厚を測定した。加熱前後の膜厚の変化が3%未満のものをA、3%以上5%未満のものをB、5%以上のものをCとした。
【0185】
(耐溶剤性)
評価用基板の膜厚を、触針式表面形状測定機(Dektak150)を使用して測定した。その後、この基板を25℃で、PGMEAに60秒間浸漬し、膜表面に付着した溶媒をエアーブローにより除去した。120℃で60秒間乾燥させた後、室温に戻し、膜厚を測定した。溶剤浸漬前後の膜厚の変化が1%未満のものをA、1%以上3%未満のものをB、3%以上のものをCとした。
【0186】
【表1】
【0187】
表1に示したように、本発明の重合体を用いた組成物から得られた膜は、変色が無く表面が均一で、耐熱性及び耐溶剤性に優れるものであった。