(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176127
(43)【公開日】2022-11-25
(54)【発明の名称】CVD装置及び成膜処理方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20221117BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221117BHJP
【FI】
C23C16/44 B
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077018
(22)【出願日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】63/187,547
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】相田 弘栄
(72)【発明者】
【氏名】サム・キム
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030KA11
4K030KA46
4K030KA47
5F045AA08
5F045AC02
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AD11
5F045BB02
5F045DP03
5F045EB03
5F045EB06
5F045EC02
5F045EC05
5F045EF05
5F045EF11
5F045EH14
5F045EH18
5F045EK07
5F045EM09
5F045EM10
5F045EN04
(57)【要約】
【課題】成膜処理時において、成膜処理対象の基板の温度が不均一になることを防止する。
【解決手段】本発明の一態様に係るCVD装置は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に、上下方向に移動可能に配置されたサセプタと、基板の出入口と、前記基板の出入口に設けられたゲートバルブと、を備え、前記サセプタは、上面に前記基板が載置される載置板と、前記載置板の下面に接続する支柱と、を有し、前記基板の出入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられており、前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の外側側面とのそれぞれが、セラミックライナーで被覆されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバーと、
前記チャンバーの内部に、上下方向に移動可能に配置されたサセプタと、
基板の出入口と、
前記基板の出入口に設けられたゲートバルブと、を備え、
前記サセプタは、上面に前記基板が載置される載置板と、前記載置板の下面に接続する支柱と、を有し、
前記基板の出入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられており、
前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の外側側面とのそれぞれが、セラミックライナーで被覆されている、CVD装置。
【請求項2】
前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの前記内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の前記外側側面とのそれぞれが、隙間を介して前記セラミックライナーで被覆されている、請求項1に記載にCVD装置。
【請求項3】
前記隙間に不活性ガスの供給管が接続されている、請求項2に記載のCVD装置。
【請求項4】
前記基板の出入口の内側表面がセラミックライナーで被覆されている、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項5】
前記基板の出入口の前記内側表面が隙間を介して前記セラミックライナーで被覆されている、請求項4に記載のCVD装置。
【請求項6】
前記隙間に不活性ガスの供給管が接続されている、請求項5に記載のCVD装置。
【請求項7】
前記載置板及び前記支柱は窒化アルミニウムを含み、前記載置板の前記下面及び前記支柱の前記外側側面を被覆する前記セラミックライナーはAl2O3を含む、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項8】
さらに、チャンバー洗浄ガスの導入口を備え、前記チャンバー洗浄ガスの導入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられている、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項9】
前記チャンバー洗浄ガスが、フッ素を含むガスである、請求項8に記載のCVD装置。
【請求項10】
前記チャンバーが金属製である、請求項1に記載のCVD装置。
【請求項11】
チャンバーと、
前記チャンバーの内部に、上下方向に移動可能に配置されたサセプタと、
基板の出入口と、
前記基板の出入口に設けられたゲートバルブと、を備え、
前記サセプタは、上面に前記基板が載置される載置板と、前記載置板の下面に接続する支柱と、を有し、
前記基板の出入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられており、
前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の外側側面とのそれぞれが、隙間を介してセラミックライナーで被覆されている、CVD装置を用意する工程と、
前記隙間に不活性ガスを供給しながら、前記基板に対してCVD法により成膜処理を行なう工程と、を含む成膜処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVD装置及び成膜処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CVD装置は、薄膜成分を含む原料ガスの化学反応によって生成した物質を、基板の表面に堆積させることによって薄膜を形成させる薄膜形成装置として知られている。CVD装置としては、プラズマCVD装置が広く利用されている。プラズマCVD装置では、原料ガスをプラズマ状態にし、活性な励起分子、ラジカル、イオンを生成させることによって、化学反応を促進させる。プラズマCVD装置は、チャンバーの上部に反応ガスをチャンバーに導入するためのシャワーヘッドが配置されている。そして、シャワーヘッドの下方に成膜処理対象の基板(例えば、シリコンウェハ)を載置する載置板を有するサセプタが配置されていて、シャワーヘッドとサセプタの間に高周波(RF)の電圧を印加することによってプラズマを発生させる。
【0003】
プラズマCVD装置のチャンバー内への成膜処理前の基板の搬入と、成膜処理後の基板の搬出を行なうために、サセプタを上下方向に移動可能とし、チャンバー側部の下方に基板の出入口を設けた構成のチャンバーが知られている(US2009/0297731A1)。この構成のチャンバーでは、成膜処理時はサセプタを上下方向の上端に移動させて、基板をシャワーヘッドの近くに位置させる。そして、成膜処理後はサセプタを上下方向の下端に移動させて、基板を基板の出入口の近くに位置させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャンバー側部の下方に基板の出入口を設けた構成のチャンバーでは、成膜処理時において、サセプタの載置板から下方の空間が広くなる。その結果、成膜処理時のサセプタの熱が、その下方の空間に流出されやすくなり、成膜処理対象の基板の温度が不均一になることがある。成膜処理時において、成膜処理対象の基板の温度が不均一になると、基板に形成された薄膜の特性や膜厚にばらつきが生じる原因となる。また、サセプタの載置板の下方の空間が広くなると、シャワーヘッドとサセプタの間に印加された高周波電圧が下方の空間内に伝わることによって、異常放電の原因となるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係るCVD装置は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に、上下方向に移動可能に配置されたサセプタと、基板の出入口と、前記基板の出入口に設けられたゲートバルブと、を備え、前記サセプタは、上面に前記基板が載置される載置板と、前記載置板の下面に接続する支柱と、を有し、前記基板の出入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられており、前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の外側側面とのそれぞれが、セラミックライナーで被覆されている。
【0006】
上記のCVD装置において、前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの前記内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の前記外側側面とのそれぞれが、隙間を介して前記セラミックライナーで被覆されていてもよい。
【0007】
上記のCVD装置において、前記隙間に不活性ガスの供給管が接続されていてもよい。
【0008】
上記のCVD装置において、前記基板の出入口の内側表面がセラミックライナーで被覆されていてもよい。
【0009】
上記のCVD装置において、前記基板の出入口の前記内側表面が隙間を介して前記セラミックライナーで被覆されていてもよい。
【0010】
上記のCVD装置において、前記隙間に不活性ガスの供給管が接続されていてもよい。
【0011】
上記のCVD装置において、前記載置板及び前記支柱は窒化アルミニウムを含み、前記載置板の前記下面及び前記支柱の前記外側側面を被覆する前記セラミックライナーはAl2O3を含んでいてもよい。
【0012】
上記のCVD装置において、さらに、チャンバー洗浄ガスの導入口を備え、前記チャンバー洗浄ガスの導入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられていてもよい。
【0013】
上記のCVD装置において、前記チャンバー洗浄ガスが、フッ素を含むガスであってもよい。
【0014】
上記のCVD装置において、前記チャンバーが金属製であってもよい。
【0015】
本発明の一態様に係る成膜処理方法は、チャンバーと、前記チャンバーの内部に、上下方向に移動可能に配置されたサセプタと、基板の出入口と、前記基板の出入口に設けられたゲートバルブと、を備え、前記サセプタは、上面に前記基板が載置される載置板と、前記載置板の下面に接続する支柱と、を有し、前記基板の出入口は、前記チャンバーの側部の一部であって、前記チャンバーの内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲に設けられており、前記チャンバーの前記内側底面と、前記チャンバーの内側側面の一部であって、前記チャンバーの前記内側底面から、前記サセプタが前記上下方向の上端に位置したときの前記載置板の前記下面に相当する位置までの範囲と、前記載置板の前記下面と、前記支柱の外側側面とのそれぞれが、隙間を介してセラミックライナーで被覆されている、CVD装置を用意する工程と、前記隙間に不活性ガスを供給しながら、前記基板に対してCVD法により成膜処理を行なう工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るCVD装置のチャンバーの一例の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るCVD装置のチャンバーの別の一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るCVD装置のチャンバーの一例の断面図である。
図1は、成膜処理時のチャンバーの状態を示している。
図2は、本発明の一実施形態に係るCVD装置のチャンバーの別の一例の断面図である。
図2は、成膜処理後の基板を搬出し、成膜処理前の基板を搬入する際のチャンバーの状態を示している。
図3は、
図1のIII-III線断面図である。
【0019】
図1~
図3に示すように、本実施形態のCVD装置100のチャンバー10は、略円筒体であり、その側部に、基板出入口11と、チャンバー洗浄ガスの導入口12が備えられている。また、チャンバー10の底部には、サセプタ用貫通孔13が設けられている。さらに、チャンバー10の側部の下方もしくは底部に排気孔(不図示)が備えられている。チャンバー10の内部の上方には、シャワーヘッド40が配置されている。シャワーヘッド40の下方には、サセプタ20が配置されている。サセプタ20は上下方向に移動可能とされている。上下方向は、チャンバー10の内側底面10aに対して垂直な方向を意味する。チャンバー10は、例えば、ステンレス鋼などの金属製である。
【0020】
シャワーヘッド40は、原料ガス管41と接続されている。シャワーヘッド40は、多数の通気孔(不図示)を有している。シャワーヘッド40は、原料ガス管41から供給された原料ガスを、その通気孔を介して下方に向けて放出する。
【0021】
サセプタ20は、載置板21と支柱22とを有する。載置板21の上面21aには成膜処理前の基板1aが載置される。載置板21の下面21bには支柱22が接続されている。サセプタ20の支柱22はサセプタ用貫通孔13を貫通している。サセプタ20の支柱22は、チャンバー10の外側底面に支持された移動板23に固定されている。移動板23は上下方向に移動可能とされており、移動板23が上下方向に移動することによって、サセプタ20が上下方向に移動するように構成されている。本実施形態のCVD装置では、サセプタ20の上下方向の上端は、シャワーヘッド40とサセプタ20の載置板21の上面21aとの間で成膜処理を実施できる位置とされている。また、サセプタ20の上下方向の下端は、基板出入口11を介して成膜処理後の基板1bを搬出し、成膜処理前の基板1aを搬入することが可能となる位置とされている。以下、本明細書では、サセプタ20が上下方向の上端に位置したときに、サセプタ20の載置板21の上面21aから上方の領域を反応領域15と呼び、サセプタ20の載置板21の下面21bから下方の領域をサセプタ移動領域16と呼ぶことがある。
【0022】
サセプタ20の載置板21及び支柱22は、高熱伝導性材料が形成されていることが好ましい。高熱伝導性材料の例としては、窒化アルミニウムを挙げることができる。窒化アルミニウムを含むサセプタ20の載置板21及び支柱22は、通電によりヒータとして作動させてもよい。
【0023】
基板出入口11は、成膜処理前の基板1aを外部からチャンバー10の内部に搬入し、成膜処理後の基板1bをチャンバー10の内部から外部に搬出するための出入口である(
図2参照)。基板出入口11は、サセプタ移動領域16のチャンバー10の側部(すなわち、チャンバー10の側部の一部であって、チャンバー10の内側底面10aから、サセプタ20が上下方向の上端に位置したときの載置板21の下面21bに相当する位置までの範囲)に設けられている。
【0024】
基板出入口11には、ゲートバルブ50が設けられている。ゲートバルブ50は、扉部51と、扉部51と接続した駆動部52とを有する。基板出入口11は、駆動部52により扉部51を移動させることによって、外部に対して開閉できるようにされている。
【0025】
チャンバー洗浄ガスの導入口12は、チャンバー10の内部にチャンバー洗浄ガスを導入するための導入口である。チャンバー洗浄ガスとしては、成膜処理時に生成し、チャンバー10の内部に堆積した副生物を揮発できるガスを用いることができる。チャンバー洗浄ガスとしては、フッ素を含むフッ素含有化合物ガス、酸素ガス、フッ素含有化合物ガスと酸素ガスの混合物を用いることができる。フッ素含有化合物ガスの例としては、NF3ガス、SF6ガス、CF4ガス、C2F6ガスを挙げることができる。チャンバー洗浄ガスは、リモートプラズマユニット(RPU)を用いてプラズマ化させてもよい。チャンバー洗浄ガスの導入口12は、サセプタ移動領域16のチャンバー10の側部に設けられている。また、チャンバー洗浄ガスの導入口12は、基板出入口11と対向する位置に設けられていてもよい。
【0026】
チャンバー洗浄ガスを用いてチャンバー10の内部を洗浄する際は、サセプタ20を上下方向の下端に移動させてもよい。また、チャンバー10の内部を洗浄する際は、チャンバー10の内部を加熱してもよい。サセプタ20の加熱温度は、例えば、300℃以上700℃以下の範囲内としてもよい。また、チャンバー10の内部温度は、50℃以上200℃以下の範囲内としてもよい。
【0027】
本実施形態のCVD装置100において、サセプタ移動領域16のチャンバー10の内側表面及びサセプタ20の表面はセラミックライナーで被覆されている。具体的には、チャンバー10の内側底面10aは、セラミックライナー30aで被覆されている。チャンバー10の内側底面10aとセラミックライナー30aとの間には隙間31aが設けられている。チャンバー10の内側側面10bは、その一部であって、チャンバー10の内側底面10aから、サセプタ20が上下方向の上端に位置したときの載置板21の下面21bに相当する位置までの範囲がセラミックライナー30bで被覆されている。チャンバー10の内側側面10bとセラミックライナー30bとの間には隙間31bが設けられている。サセプタ20の載置板21の下面21bは、セラミックライナー30cで被覆されている。載置板21の下面21bとセラミックライナー30cとの間は隙間31cが設けられている。サセプタ20の支柱22の外側側面22aは、セラミックライナー30dで被覆されている。支柱22の外側側面22aとセラミックライナー30dとの間には隙間31dが設けられている。さらに、基板出入口11の内側表面11aがセラミックライナー30eで被覆されている。基板出入口11の内側表面11aとセラミックライナー30eとの間には隙間31eが設けられている。
【0028】
セラミックライナー30aとセラミックライナー30bとセラミックライナー30eとは互いに接続し、これにより隙間31aと隙間31bと隙間31eとも互いに接続している。また、隙間31aは不活性ガス供給管32aと接続し、隙間31eは不活性ガス供給管32eと接続している。不活性ガス供給管32aは隙間31aに不活性ガスを供給し、不活性ガス供給管32eは隙間31eに不活性ガスを供給する。隙間31aと隙間31eに供給された不活性ガスは、隙間31bを通って、チャンバー10の内部に放出される。放出された不活性ガスは、チャンバー10の底部もしくは側部の下方に備えられた排気孔(不図示)により外部に排気される。
【0029】
セラミックライナー30cとセラミックライナー30dは互いに接続し、これにより隙間31cと隙間31も互いに接続している。隙間31dは不活性ガス供給管32dと接続している。不活性ガス供給管32dは隙間31dに不活性ガスを供給する。隙間31dに供給された不活性ガスは、隙間31cを通って、チャンバー10の内部に放出される。放出された不活性ガスは、チャンバー10の底部もしくは側部の下方に備えられた排気孔(不図示)により外部に排気される。
【0030】
セラミックライナー30a~30eは、チャンバー10及びサセプタ20と比較して熱伝導率が低いことが好ましい。セラミックライナー30a~30eの材料としては、例えば、Al2O3などの各種セラミック材料を用いることができる。セラミックライナー30a~30eの厚さは、例えば、0.5mm以上8mm以下の範囲内にあってもよい。
【0031】
隙間31a~31eに供給される不活性ガスは、原料ガスと反応しないものであれば特に制限はない。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス及びこれらのガスを2種以上含む混合ガスを用いることができる。隙間31a~31eの間隔は、例えば、0.5mm以上15mm以下の範囲内にあってもよい。隙間31a~31eに供給される不活性ガスは、隙間31a~31e内を通って、
図1の矢印に示すようにチャンバー10内に放出され、チャンバー10の側部の下方もしくは底部に備えられた排気孔(不図示)を通って外部に排出される。
【0032】
チャンバー10の内側底面10aとセラミックライナー30aは、互いに対向する面の一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ設けられていて、両者を契合されることによって固定されていてもよい。また、チャンバー10の内側側面10bとセラミックライナー30b、載置板21の下面21bとセラミックライナー30c、支柱22の外側側面22aとセラミックライナー30d、基板出入口11の内側表面11aとセラミックライナー30eについても同様に、互いに対向する面の一方に凸部が、他方に凹部がそれぞれ設けられていて、両者を契合されることによって固定されていてもよい。セラミックライナー30a~30eは、着脱可能とされていてもよい。
【0033】
シャワーヘッド40の下面は、第1絶縁部材17を介してチャンバー10に支持されている。シャワーヘッド40の上面は、第2絶縁部材18を介してチャンバー10に支持されている。第1絶縁部材17及び第2絶縁部材18の材料としては、Al2O3などの各種セラミック材料を用いることができる。
【0034】
次に、CVD装置100を用いた成膜処理方法について説明する。
CVD装置100を用いた成膜処理は、例えば、下記の工程を含んでいてもよい。
サセプタ20の載置板21の上面に基板1aを載置する搬入工程、基板1aに対してCVD法により成膜処理を行なう成膜工程、成膜処理後の基板1bを外部に取り出す搬出工程。
【0035】
搬入工程では、まず、サセプタ20を上下方向の下端に移動させる。次に、ゲートバルブ50の扉部51を移動させて、基板出入口11を外部に開口させる。次に、サセプタ20の載置板21の上面21aに基板1aを載置した後、ゲートバルブ50の扉部51を移動させることにより、基板出入口11を外部に閉口させる。そして、サセプタ20を上下方向の上端に移動させる。これによって、基板1aは反応領域15に配置される。
【0036】
成膜工程では、シャワーヘッド40の通気孔から原料ガスを基板1aに向けて放出させると共に、シャワーヘッド40とサセプタ20の載置板21との間に高周波(RF)の電圧を印加して、原料ガスをプラズマ状態とする。これにより、活性な励起分子、ラジカル、イオンが生成し、化学反応が促進され、基板1aの表面に薄膜が形成される。
【0037】
搬出工程では、まず、サセプタ20を上下方向の下端に移動させる。次いで、ゲートバルブ50の扉部51を移動させて、基板出入口11を開口させる。これにより、成膜処理された基板1bは外部に取り出し可能とされる。
【0038】
本実施形態に係るCVD装置100は、サセプタ20が上下方向に移動可能に配置されている。また、基板出入口11は、チャンバー10の側部の一部であって、チャンバー10の内側底面10aから、前記サセプタ20が上下方向の上端に位置したときの載置板21の下面21bに相当する位置までの範囲に設けられている。このため、サセプタ20を上下方向の下端に移動させることができる。よって、本実施形態のCVD装置100によれば、成膜処理前の基板1aの外部からチャンバー10の内部への搬入を円滑に行なうことができる。
【0039】
本実施形態に係るCVD装置100は、サセプタ移動領域16のチャンバー10の内側表面(すなわち、内側底面10aと、内側側面10bの一部であって、チャンバー10の内側底面10aから、サセプタ20が上下方向の上端に位置したときの載置板21の下面21bに相当する位置までの範囲)が、セラミックライナー30a、30bで被覆されている。これにより、成膜処理時において、サセプタ移動領域16(載置板21の下面21bから下方の領域)の熱が外部に放出されにくくなる。さらに、サセプタ移動領域16のサセプタ20(載置板21の下面21bと支柱22の外側側面22a)が、セラミックライナー30c、30dで被覆されている。これにより、成膜処理時において、サセプタ20の熱がサセプタ移動領域16に流出されにくくなる。また、サセプタ移動領域16のチャンバー10の内側表面と、チャンバー10の内部空間内にセラミックライナー30a、30bが介在するので、サセプタ20の載置板21の下方の空間(サセプタ移動領域16)への高周波電圧の絶縁性が高くなる。これにより、下方空間での異常放電が起こりにくくなる。以上の理由から、成膜処理時において、サセプタ20の温度が不均一となりにくく、基板1aの温度が均一となりやすくなる。よって、本実施形態のCVD装置100によれば、基板1aの表面に形成される薄膜の特性や膜厚が均一になりやすくなる。
【0040】
また、本実施形態に係るCVD装置100において、基板出入口11の内側表面11aがセラミックライナー30eで被覆されている場合は、成膜処理時において、さらにサセプタ移動領域16の熱が基板出入口11を介して外部に放出されにくくなる。このため、成膜処理時の基板1aの温度がより均一になる。よって、基板1aの表面に形成される薄膜の特性や膜厚がより均一になりやすくなる。
【0041】
また、本実施形態に係るCVD装置100において、チャンバー10の内側底面10aと、チャンバー10の内側側面10bと、載置板21の下面21bと、支柱22の外側側面22aと、基板出入口11の内側表面11aとのそれぞれが、隙間31を介してセラミックライナー30a~30eで被覆されている場合は、例えば、それらの部材とセラミックライナー30a~30eとの間で熱膨張率が異なっていても、それらの部材とセラミックライナー30a~30eとの間に応力が生じにくくなる。このため、セラミックライナー30a~30eが長期間にわたって破損しにくくなる。
【0042】
また、本実施形態に係るCVD装置100において、隙間31a~31eのいずれかに不活性ガスの供給管が接続されている場合は、隙間31a~31eに不活性ガスを供給しながら成膜処理を行なうことによって、成膜処理時に生成する副生物が隙間31a~31eに堆積することを抑えることができる。これにより、成膜処理時において、パーティクルの発生が低減し、薄膜に副生物が混入することが起こりにくくなる。よって、特性がさらに均一な薄膜を安定して形成することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態に係るCVD装置100において、さらに、チャンバー洗浄ガス導入口12を備え、チャンバー洗浄ガスの導入口12は、チャンバー10の側部の一部であって、チャンバー10の内側底面10aから、サセプタ20が上下方向の上端に位置したときの載置板21の下面21bに相当する位置までの範囲に設けられている場合は、チャンバー洗浄ガスをチャンバー10に導入することによって、チャンバー10の内側表面に蓄積している副生物を除去できる。これにより、チャンバー10の内部に堆積する副生物の量が低減するので、パーティクルの発生をより低減させることができる。なお、支柱22はセラミックライナー30dで被覆されているので、チャンバー10の側部からチャンバー洗浄ガスが導入されても支柱22の損傷を抑えることができる。
【0044】
また、本実施形態に係るCVD装置100において、載置板21及び支柱22は窒化アルミニウムを含み、載置板21の下面21bを被覆するセラミックライナー30c及び支柱22の外側側面を被覆するセラミックライナー30dはAl2O3を含む場合、載置板21及び支柱22は熱伝導性が高く、セラミックライナー30c、30dは熱伝導性が低く、熱を外部に放出させにくい。このため、成膜処理時でのサセプタ20の温度がより不均一となりにくく、成膜処理時の基板1aの温度がより均一となりやすくなる。よって、基板1aの表面に形成される薄膜の特性や膜厚がより均一になりやすくなる。
【0045】
上記のチャンバー洗浄ガスが、NF3ガスなどのフッ素含有化合物ガスである場合、チャンバー10の内側表面に蓄積している副生物をより効率よく除去できる。フッ素含有化合物ガスを用いてチャンバー10の内側表面を洗浄する際は、チャンバー10の内部を、例えば、50℃以上に加熱して、洗浄効率を向上させてもよい。本実施形態に係るCVD装置100では、サセプタ20の載置板21及び支柱22がセラミックライナー30c、30dで被覆されているので、チャンバー10の内部を、50℃以上に加熱しても、サセプタ20は損傷を受けにくくなる。
【0046】
本実施形態に係るCVD装置100において、チャンバー10の内側底面10aとセラミックライナー30aとが互いに対向し、一方の表面に凸部が設けられ、他方の表面に凹部がそれぞれ設けられていて、凸部と凹部を契合されることによってセラミックライナー30aを固定できるようにされている場合には、隙間31aの間隔を均一にしやすくなり、隙間31aに流れる不活性ガスの流量を一定にしやすくなる。チャンバー10の内側側面10bとセラミックライナー30b、載置板21の下面21bとセラミックライナー30c、支柱22の外側側面22aとセラミックライナー30d、基板出入口11の内側表面11aとセラミックライナー30eについても同様である。
【0047】
本実施形態に係る成膜処理方法は、上述のCVD装置100を用い、隙間31に不活性ガスを供給しながら、基板1aに対してCVD法により薄膜を形成するので、基板1aの温度が均一で、かつ形成された薄膜に副生物が混入することが起こりにくくなる。このため、本実施形態の成膜処理方法によれば、特性や膜厚の均一性が高い薄膜を形成することができる。
【0048】
これまで本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明した。本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0049】
例えば、上述の実施形態のCVD装置100は、チャンバー10の内部の上方にシャワーヘッド40を備えたプラズマCVD装置とされているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば、成膜処理対象の基板を支持する支持部(サセプタ20)が上下方向に移動可能であって、支持部を上端に移動させた状態で成膜処理を行い、支持部を上下方向の下端に移動させた状態で成膜処理後の基板を外部に取り出すように構成されているCVD装置に適用することができる。
【0050】
また、本実施形態の上述の実施形態のCVD装置100では、チャンバー10の基板出入口11の内側表面11aがセラミックライナー30eで被覆されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、チャンバー10の側部の肉厚が薄く、基板出入口11の内側表面11aから流出する熱が少ない場合には、セラミックライナー30eを省略してもよい。
【符号の説明】
【0051】
1a、1b 基板
10 チャンバー
10a 内側底面
10b 内側側面
11 基板出入口
11a 内側表面
12 チャンバー洗浄ガス導入口
13 サセプタ用貫通孔
15 反応領域
16 サセプタ移動領域
20 サセプタ
21 載置板
21a 上面
21b 下面
22 支柱
22a 外側側面
23 移動板
30a~30e セラミックライナー
31a~31e 隙間
32a、32d、32e 不活性ガス供給管
40 シャワーヘッド
41 原料ガス管
50 ゲートバルブ
51 扉部
52 駆動部
100 CVD装置
【外国語明細書】