(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176553
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】ゲーム制御システム及びゲーム制御プログラム
(51)【国際特許分類】
A63F 13/75 20140101AFI20221122BHJP
【FI】
A63F13/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083042
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000134855
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコエンターテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】阿須名 孝次
(72)【発明者】
【氏名】南 清志
(72)【発明者】
【氏名】小倉 建一
(72)【発明者】
【氏名】恩田 明生
(72)【発明者】
【氏名】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】村井 伸太郎
(57)【要約】
【課題】操作入力を自動化するような不正行為を精度良く防止することが可能なゲーム制御システム等を提供すること。
【解決手段】ゲーム制御システムは、ゲームに対するプレーヤの操作に依らない不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する不正判定部と、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合に、不正なゲーム制御命令に対応するプレーヤが不利になるようにゲームをペナルティ状態に移行するペナルティ制御部と、ペナルティ状態に移行する原因となった不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、ペナルティ状態を解除するための解除条件を決定する解除条件決定部と、ペナルティ状態中にプレーヤによって解除条件が満たされた場合に、ペナルティ状態を解除する解除制御部とを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーヤの操作に基づいてゲームを進行させるゲーム制御システムであって、
前記ゲームに対するプレーヤの操作に依らない不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する不正判定部と、
前記不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合に、当該不正なゲーム制御命令に対応するプレーヤが不利になるように前記ゲームをペナルティ状態に移行するペナルティ制御部と、
前記ペナルティ状態に移行する原因となった前記不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、当該ペナルティ状態を解除するための解除条件を決定する解除条件決定部と、
前記ペナルティ状態中に前記プレーヤによって前記解除条件が満たされた場合に、当該ペナルティ状態を解除する解除制御部とを含むことを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記解除条件を前記プレーヤに提示する解除条件提示部を更に含むことを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記不正判定部は、
プレーヤの操作に依らない自動的なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項4】
請求項3において、
前記不正判定部は、
前記自動的なゲーム制御命令を受け付けた場合に、当該自動的なゲーム制御命令によるゲーム状況の変化に基づいて、前記不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記不正判定部は、
所定期間内に同一のゲーム制御命令を繰り返し受け付けたか否かを判定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記解除条件決定部は、
前記解除条件として、プレーヤに入力させる操作内容を決定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項7】
請求項2に従属する請求項6において、
前記解除制御部は、
前記解除条件の提示後に当該解除条件として提示された操作内容の入力があった場合に、前記ペナルティ状態を解除することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項8】
請求項6又は7において、
プレーヤに入力させる前記操作内容は、前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作であることを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項において、
前記解除条件決定部は、
前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれていないゲーム制御命令を抽出し、抽出されたゲーム制御命令が入力される操作を用いて、前記解除条件を決定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項10】
請求項6乃至8のいずれか1項において、
前記不正なゲーム制御命令には複数のゲーム制御命令が含まれており、
前記解除条件決定部は、
前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせ以外の複数のゲーム制御命令の組み合わせが入力される操作を用いて、前記解除条件を決定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項11】
請求項6乃至8のいずれか1項において、
前記不正なゲーム制御命令には複数のゲーム制御命令が含まれており、
前記解除条件決定部は、
前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の順番を抽出し、抽出された順番以外の順番で複数のゲーム制御命令が入力される操作を用いて、前記解除条件を決定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項において、
前記解除条件決定部は、
プレーヤに入力させる前記操作内容をランダムに決定することを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項において、
前記ペナルティ状態は、前記ゲームの一時停止であることを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項14】
請求項2に従属する請求項13において、
前記解除条件提示部は、
前記ペナルティ状態に移行した場合に、一時停止中のゲーム画面に前記解除条件を表示させることを特徴とするゲーム制御システム。
【請求項15】
プレーヤの操作に基づいてゲームを進行させるためのゲーム制御プログラムであって、
前記ゲームに対するプレーヤの操作に依らない不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する不正判定部と、
前記不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合に、当該不正なゲーム制御命令に対応するプレーヤが不利になるように前記ゲームをペナルティ状態に移行するペナルティ制御部と、
前記ペナルティ状態に移行する原因となった前記不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、当該ペナルティ状態を解除するための解除条件を決定する解除条件決定部と、
前記ペナルティ状態中に前記プレーヤによって前記解除条件が満たされた場合に、当該ペナルティ状態を解除する解除制御部としてコンピュータを機能させることを特徴とするゲーム制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム制御システム及びゲーム制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コントローラのボタン等による操作入力を自動化するような不正行為(チート行為)への対策として、不正行為と判定された操作入力を無効にする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術のように単に操作入力を無効にしただけでは、誤判定されてしまったプレーヤの興趣性を低下させてしまう可能性がある。それを嫌って、判定を甘くしてしまうと、不正行為を許容することになってしまい、ゲームバランスや公平性が損なわれる可能性がある。すなわち、従来の技術では、プレーヤの利便性と不正行為の防止を両立させることができなかった。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、操作入力を自動化するような不正行為を精度良く防止することが可能なゲーム制御システム及びゲーム制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、プレーヤの操作に基づいてゲームを進行させるゲーム制御システムであって、前記ゲームに対するプレーヤの操作に依らない不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する不正判定部と、前記不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合に、当該不正なゲーム制御命令に対応するプレーヤが不利になるように前記ゲームをペナルティ状態に移行するペナルティ制御部と、前記ペナルティ状態に移行する原因となった前記不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、当該ペナルティ状態を解除するための解除条件を決定する解除条件決定部と、前記ペナルティ状態中に前記プレーヤによって前記解除条件が満たされた場合に、当該ペナルティ状態を解除する解除制御部とを含むことを特徴とするゲーム制御システムに関する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるためのゲーム制御プログラムに関する。また本発明は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記ゲーム制御プログラムを記憶した情報記憶媒体に関する。
【0007】
本発明によれば、ペナルティ状態の解除条件を固定化せず、原因となった不正なゲーム制御命令の内容に基づいて解除条件を決定することで、解除条件を見越して不正行為を行うこと(例えば、ペナルティ状態に移行しても自動的に解除条件が満たされるように予めゲーム制御命令を入力させる行為)を防止することができる。
【0008】
(2)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除条件を前記プレーヤに提示する解除条件提示部を更に含む(解除条件提示部として更にコンピュータを機能させる)ようにしてもよい。
【0009】
本発明によれば、プレーヤは、誤判定によりペナルティ状態に移行してしまった場合であっても、提示された解除条件を満たすことでペナルティ状態を解除することができるため、プレーヤの利便性を確保することができる。
【0010】
(3)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記不正判定部は、プレーヤの操作に依らない自動的なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定してもよい。
【0011】
(4)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記不正判定部は、前記自動的なゲーム制御命令を受け付けた場合に、当該自動的なゲーム制御命令によるゲーム状況の変化に基づいて、前記不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定してもよい。
【0012】
本発明によれば、自動的なゲーム制御命令によるゲーム状況の変化に応じて適正にペナルティを与えることができる。
【0013】
(5)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記不正判定部は、所定期間内に同一のゲーム制御命令を繰り返し受け付けたか否かを判定してもよい。
【0014】
(6)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除条件決定部は、前記解除条件として、プレーヤに入力させる操作内容を決定してもよい。
【0015】
(7)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除制御部は、前記解除条件の提示後に当該解除条件として提示された操作内容の入力があった場合に、前記ペナルティ状態を解除してもよい。
【0016】
本発明によれば、プレーヤは、誤判定によりペナルティ状態に移行してしまった場合でも、解除条件として提示された操作内容を入力することでペナルティ状態を解除することができるため、プレーヤの利便性を確保することができる。
【0017】
(8)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、プレーヤに入力させる前記操作内容は、前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作であってもよい。
【0018】
本発明によれば、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作を解除条件として決定することで、解除条件を見越して不正行為を行うことを防止することができる。
【0019】
(9)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除条件決定部は、前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれていないゲーム制御命令を抽出し、抽出されたゲーム制御命令が入力される操作を用いて、前記解除条件を決定してもよい。
【0020】
(10)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記不正なゲーム制御命令には複数のゲーム制御命令が含まれており、前記解除条件決定部は、前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせ以外の複数のゲーム制御命令の組み合わせが入力される操作を用いて、前記解除条件を決定してもよい。
【0021】
(11)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記不正なゲーム制御命令には複数のゲーム制御命令が含まれており、
前記解除条件決定部は、前記不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の順番を抽出し、抽出された順番以外の順番で複数のゲーム制御命令が入力される操作を用いて、前記解除条件を決定してもよい。
【0022】
(12)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除条件決定部は、プレーヤに入力させる前記操作内容をランダムに決定してもよい。
【0023】
本発明によれば、例えば不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令をランダムに抽出して、抽出したゲーム制御命令が入力される操作を解除条件として決定することで、解除条件を見越して不正行為を行うことを防止することができる。
【0024】
(13)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記ペナルティ状態は、前記ゲームの一時停止であってもよい。
【0025】
(14)また本発明に係るゲーム制御システム、ゲーム制御プログラム及び情報記憶媒体では、前記解除条件提示部は、前記ペナルティ状態に移行した場合に、一時停止中のゲーム画面に前記解除条件を表示させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】本実施形態の端末の機能ブロックの一例を示す図。
【
図4】本実施形態のゲーム制御システムの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必要構成要件であるとは限らない。
【0028】
1.構成
図1は、本実施形態のゲーム制御システムを示す。本実施形態では、複数の端末10とサーバ20(サーバ装置)とによって構成される。つまり、
図1に示すように、本実施形態のゲーム制御システムは、サービスを提供するサーバ20と、端末10(10A、10B、10C・・・)とが、ネットワークに接続可能に構成される。
【0029】
サーバ20は、端末10からの要求に応じてオンラインゲームサービスを提供する情報処理装置である。サーバ20は、1又は複数のサーバ(認証サーバ、マッチングサーバ、ゲーム処理サーバ、通信サーバ、課金サーバ、データベースサーバ等)により構成することができる。
【0030】
本実施形態では、プレーヤの端末10においてゲームが実行され、サーバ20では、プレーヤのアカウント情報や、端末10で実行されるゲームのゲーム結果、当該ゲームで使用可能なゲーム媒体(キャラクタ、アイテム等)、当該ゲームで使用可能なゲーム内通貨などの情報が管理される。
【0031】
端末10は、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機等)、パーソナルコンピュータ(PC)、ゲーム装置などの情報処理装置であり、インターネット(WAN)、LANなどのネットワークを介してサーバ20に接続可能な装置である。なお、端末10とサーバ20との通信回線は、有線でもよいし無線でもよい。
【0032】
図2に、本実施形態の端末10の機能ブロックの一例を示す。なお本実施形態の端末は
図2の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0033】
入力部150は、プレーヤからの入力情報を入力(検出)するための機器であり、プレーヤの入力情報(操作情報)を処理部100に出力する。入力部150の機能は、タッチパネル、タッチパッド、マウス、方向キーやボタン、キーボード、慣性センサ(例えば、加速度センサや角速度センサ)等の入力機器により実現することができる。
【0034】
記憶部170は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0035】
表示部190は、処理部100で生成されたゲーム画像を出力するものであり、その機能は、入力部150としても機能するタッチパネル、LCD或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのディスプレイにより実現できる。
【0036】
音出力部192は、処理部100で生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0037】
通信部196はサーバ20や他の端末10との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0038】
なお、サーバ20が有する情報記憶媒体や記憶部に記憶されている処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを、ネットワークを介して受信し、受信したプログラムやデータを記憶部170に記憶してもよい。このようにプログラムや各種データを受信して端末を機能させる場合も本発明の範囲内に含む。
【0039】
処理部100(プロセッサ)は、入力部150からの入力情報(操作情報)、プログラム、通信部196を介して受信したデータなどに基づいて、ゲームを進行させる処理、画像生成処理、音生成処理、などの処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。端末10の処理部100は、ゲーム処理部101、不正判定部110、ペナルティ制御部112、解除条件決定部114、解除条件提示部116、解除制御部118、画像生成部120、音生成部130を含む。
【0040】
ゲーム処理部101は、プレーヤの操作(入力部150に対する操作入力)に基づいてゲームを進行させる制御を行う。
【0041】
不正判定部110は、ゲームに対するプレーヤの操作に依らない不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する。ここで、ゲーム制御命令とは、入力部150に対する操作入力によって入力されるゲーム制御命令であってもよいし、チートツール(マクロ等の自動化スクリプト、プログラム)の実行によって入力されるゲーム制御命令であってもよい。また、不正判定部110は、プレーヤの操作に依らない自動的なゲーム制御命令を受け付けた場合(例えば、所定期間内に同一のゲーム制御命令を繰り返し受け付けた場合)
に、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定してもよい。この場合、不正判定部110は、当該自動的なゲーム制御命令によるゲーム状況の変化(例えば、ゲームパラメータの変化、アイテムの獲得)に基づいて、不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定してもよい。
【0042】
ペナルティ制御部112は、不正判定部110によって不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合に、当該不正なゲーム制御命令に対応するプレーヤが不利になるようにゲームをペナルティ状態に移行する。例えば、ペナルティ制御部112は、ゲームを一時停止することで、ペナルティ状態に移行してもよい。
【0043】
解除条件決定部114は、ペナルティ状態に移行する原因となった前記不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、当該ペナルティ状態を解除するための解除条件を決定する。例えば、解除条件決定部114は、解除条件として、プレーヤに入力させる操作内容を決定してもよい。プレーヤに入力させる操作内容は、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作であってもよい。この場合、解除条件決定部114は、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれていないゲーム制御命令を抽出し、抽出されたゲーム制御命令が入力される操作を用いて解除条件を決定してもよいし、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせ以外の複数のゲーム制御命令の組み合わせが入力される操作を用いて解除条件を決定してもよいし、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の順番を抽出し、抽出された順番以外の順番で複数のゲーム制御命令が入力される操作を用いて解除条件を決定してもよい。ここで、解除条件決定部114は、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令(例えば、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれていないゲーム制御命令や、抽出された組み合わせ以外の複数のゲーム制御命令の組み合わせ、抽出された順番以外の順番)をランダムに決定してもよい。
【0044】
解除条件提示部116は、解除条件決定部114によって決定された解除条件をプレーヤに提示する(例えば、解除条件を表す画像を表示部190に表示させる、解除条件を通知する音声を音出力部192に出力する)。ゲームが一時停止することでペナルティ状態に移行する場合、解除条件提示部116は、一時停止中のゲーム画面に解除条件を表示させてもよい。
【0045】
解除制御部118は、ペナルティ状態中にプレーヤによって解除条件が満たされた場合に、当該ペナルティ状態を解除する。例えば、解除条件としてプレーヤに入力させる操作内容を決定・提示する場合、解除制御部118は、解除条件の提示後に当該解除条件として提示された操作内容の入力があった場合に、ペナルティ状態を解除してもよい。
【0046】
画像生成部120は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて描画処理を行い、これによりゲーム画像を生成し、表示部190に出力する。画像生成部120は、オブジェクト空間(ゲーム空間)内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像(いわゆる3次元画像)を生成してもよい。
【0047】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0048】
また、本実施形態のゲーム制御システムをサーバシステムとして構成してもよい。サーバシステムは、1又は複数のサーバ(認証サーバ、ゲーム処理サーバ、通信サーバ、課金サーバ、データベースサーバ等)により構成することができる。この場合には、サーバシ
ステムは、ネットワークを介して接続された1又は複数の端末(例えば、スマートフォン、携帯電話、携帯型ゲーム機等)から送信された操作入力(端末の入力部に入力されたデータ)に基づいて、処理部100の各部の処理を行って、画像を生成するための画像生成用データを生成し、生成した画像生成用データを各端末に対して送信する。ここで、画像生成用データとは、本実施形態の手法により生成された画像を各端末において表示するためのデータであり、画像データそのものでもよいし、各端末が画像を生成するために用いる各種データ(オブジェクトデータ、ゲーム処理結果データ等)であってもよい。また、処理部100の各部の処理を、サーバと端末で分散して実行するようにゲーム制御システムを構成し、例えばゲーム処理部101の処理を端末で実行し、不正判定部110、ペナルティ制御部112、解除条件決定部114、解除条件提示部116及び解除制御部118の各処理をサーバで実行するようにしてもよい。また、ゲーム制御システムは、ゲーム処理部101の処理を実行する端末やサーバ(ゲームサーバ)とは別に、不正判定部110、ペナルティ制御部112、解除条件決定部114、解除条件提示部116及び解除制御部118の各処理を実行するサーバ(監視サーバ、不正検知サーバ)で構成されるようにしてもよい。
【0049】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。本実施形態のゲーム制御システムは、ゲームにおいてプレーヤの不正行為を検知した場合に、ゲームをペナルティ状態に移行するとともに、不正行為の内容に基づいて解除条件を決定してプレーヤに提示し、プレーヤによって解除条件が満たされた場合に、ペナルティ状態を解除するように構成される。
【0050】
例えば、プレーヤがゲーム空間(ゲームフィールド)内の所定の場所にキャラクタを移動させた状態でコントローラ(入力部150)のAボタンを操作(押下)すると、プレーヤにアイテムが付与され、Aボタンを操作した回数が多いほど(Aボタンを連打するほど)付与されるアイテムの数が多くなるゲーム(第1の例)において、プレーヤは、Aボタンが押下された状態で固定されるように細工することで、自ら操作することなく自動的にアイテムを獲得し続けることができる。
【0051】
また、プレーヤが端末(スマートフォン)を持って歩行すると、端末の慣性センサにより検出された歩数に応じてプレーヤにアイテムが付与されたりパラメータが増加するゲーム(第2の例)において、プレーヤは、例えばレール上を周回する玩具の電車に端末を取り付けて端末に周期的な振動(レールの接続部分を通過するときに発生する振動)を与えるようにすることで、自ら歩行することなく自動的にアイテムを獲得し続けたりパラメータを増加させることができる。
【0052】
本実施形態では、このような不正行為(不正なゲーム制御命令を受け付けたこと)を検知する。具体的には、所定期間内に同一のゲーム制御命令(第1の例では、Aボタンの操作によるゲーム制御命令、第2の例では、所定方向の所定の加速度)を繰り返し受け付けた場合に、不正なゲーム制御命令を受け付けた(プレーヤの操作に依らない自動的なゲーム制御命令を受け付けた)と判定する。例えば、所定期間内に繰り返し受け付けた同一のゲーム制御命令の数や、同一のゲーム制御命令を繰り返し受け付けた期間が所定値以上である場合に、自動的なゲーム制御命令を受け付けたと判定してもよい。また、所定期間内に繰り返し受け付けた同一のゲーム制御命令の繰り返し間隔が所定値以下であり、及び/又は、当該繰り返し間隔が一定である場合に、自動的なゲーム制御命令を受け付けたと判定するようにしてもよい。また、自動的なゲーム制御命令を受け付けた場合、当該自動的なゲーム制御命令によるゲーム状況の変化に基づいて、不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定するようにしてもよい。例えば、自動的なゲーム制御命令により獲得した単位時間当たりのアイテムの数や、自動的なゲーム制御命令により増加したパラメータ(
例えば、キャラクタの能力値、経験値、レベル等)の単位時間当たりの増加量が所定値以上である場合に、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定し、当該アイテムの数や当該パラメータの増加量が所定値未満である場合には、ゲームバランスや公平性に与える影響が軽微であるとして、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定しないようにしてもよい。なお、不正なゲーム制御命令は、複数のゲーム制御命令が含まれていてもよく、例えば、AボタンとBボタンを同時に押下する操作による命令であってもよいし、Aボタンを押下した後Bボタンを押下する操作による命令であってもよいし、AボタンとBボタンとCボタンを所定の順番で押下する操作による命令であってもよい。
【0053】
不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合、ゲームは一時停止する(ペナルティ状態に移行する)。ゲームが一時停止するとは、後述する解除条件を満たすための操作以外のプレーヤの操作を受け付けない状態であって、プレーヤの操作によりゲームが進行することのない状態になることである。なお、ゲームの一時停止中において、キャラクタ(プレーヤキャラクタ、敵キャラクタ)が所与のアルゴリズムに従って自動で動作する(例えば、特定のモーションを繰り返す)ようにしてもよい。なお、ゲームを一時停止することでペナルティ状態に移行することに代えて、ペナルティ状態への移行後、プレーヤが不正なゲーム制御命令に係る操作を行ってもアイテムが獲得できなくなる(或いは、獲得できるアイテムが少なくなる、価値の高いアイテムが獲得できなくなる)ようにしたり、当該操作を行ってもパラメータが増加しなくなるようにしたりしてもよいし、敵キャラクタのパラメータの増加させる(敵キャラクタを強化する)ようにしてもよいし、プレーヤ(プレーヤキャラクタ)のパラメータを減少(低下)させるようにしてもよい。
【0054】
ゲームがペナルティ状態に移行すると、ペナルティ状態を解除するための解除条件が決定され、プレーヤに提示される。解除条件は、ペナルティ状態に移行する原因となった不正なゲーム制御命令の内容に基づいて決定される。より詳細には、解除条件として、プレーヤに入力させる操作内容を決定し、当該操作内容は、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作とする。
【0055】
具体的には、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令には含まれていないゲーム制御命令を抽出し、抽出されたゲーム制御命令が入力される操作を解除条件として決定してもよい。第1の例では、不正なゲーム制御命令と判定されるゲーム制御命令はAボタンの操作による命令であるから、Aボタンの操作以外の操作(例えば、Bボタンの操作や方向キーの操作、コントローラを所定方向に振る操作)の中からランダムに選択した操作を解除条件として決定する。また、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令が、例えばAボタンを押下した後Bボタンを押下する操作による命令である場合、Aボタンの操作及びBボタンの操作以外の操作(例えば、Cボタンを押下した後Dボタンを押下する操作や、方向キーの操作)の中からランダムに選択した操作を解除条件として決定する。また、例えばAボタンの操作による命令が不正なゲーム制御命令と判定される可能性があり、且つBボタンの操作による命令も不正なゲーム制御命令と判定される可能性がある場合、Aボタンの不正操作によるペナルティ状態を解除するための解除条件を、Cボタンの操作や上方向キーの操作とし、Bボタンの不正操作によるペナルティ状態を解除するための解除条件を、Dボタンの操作や下方向キーの操作とするようにして、ペナルティ状態に移行する原因となった不正なゲーム制御命令の内容によって解除条件が異なるようにする。
【0056】
また、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の組み合わせを抽出し、抽出された組み合わせ以外の複数のゲーム制御命令の組み合わせが入力される操作を解除条件として決定するようにしてもよい。例えば、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令が、Aボタンを押下した後Bボタンを押下する操作による命令である場合、AボタンとBボタンの組み合わせ以外の組み合わせの操作
(例えば、Aボタンを押下した後Cボタンを押下する操作、Bボタンを押下した後Cボタンを押下する操作)の中からランダムに選択した組み合わせの操作を解除条件として決定してもよい。
【0057】
また、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令に含まれている複数のゲーム制御命令の順番を抽出し、抽出された順番以外の順番で複数のゲーム制御命令が入力される操作を解除条件として決定するようにしてもよい。例えば、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令が、Aボタン、Bボタン、Cボタンの順番で押下する操作による命令である場合、この順番以外のランダムに選択した順番でAボタン、Bボタン及びCボタンを押下する操作(例えば、Cボタン、Bボタン、Aボタンの順番で押下する操作)を解除条件として決定してもよい。
【0058】
決定された解除条件は、一時停止中のゲーム画面に表示される。
図3に示す例では、一時停止中のゲーム画面GIに、不正な操作(不正なゲーム制御命令の受け付け)が検出されたこと、及び、解除条件である「上方向キーを押下する」操作を行うことで一時停止(ペナルティ状態)が解除されることを通知するウィンドウWDが表示されている。
【0059】
プレーヤが提示された解除条件に従った操作を行うと、ペナルティ状態が解除され、プレーヤの操作に基づき進行するゲームが再開される。ここで、ゲームが一時停止した(ペナルティ状態に移行した)時点の状態からゲームを再開するようにしてもよいし、一時停止中であってもゲーム内時間が経過し、ペナルティ状態が解除された時点の状態からゲームを再開するようにしてもよいし、ゲームの最初の状態から開始する(ゲームをリセットする)ようにしてもよい。また、ペナルティ状態の解除後に、ペナルティによるプレーヤの損失を補償する(例えば、ゲームの一時停止により獲得できなかったアイテムを獲得できるようにする)ようにしてもよい。また、ペナルティ状態が解除された後に、再度、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合、ペナルティをより重くする(例えば、解除条件として提示された操作内容の入力があり且つペナルティ状態に移行してから所定時間が経過した場合のみペナルティ状態を解除する、獲得できるアイテムが少なくなるペナルティからアイテムが獲得できなくなるペナルティに変更する)ようにしてもよいし、以後、不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定され易くする(不正なゲーム制御命令と判定され易くなる方向に判定基準を変更する)ようにしてもよい。
【0060】
本実施形態によれば、プレーヤは、誤判定によりペナルティ状態に移行してしまった場合であっても、提示された解除条件を満たす(提示された操作内容を入力する)ことでペナルティ状態を解除することができるため、プレーヤの利便性を確保することができる。また、ペナルティ状態の解除条件を固定化せず、原因となった不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、当該ゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令が入力される操作を(例えばランダムに)解除条件として決定することで、解除条件を見越して不正行為を行うこと(例えば、Bボタンの操作により解除条件が満たされることが分かっている場合に、予め、Bボタンが押下された状態で固定されるように細工するような行為)を防止することができる。
【0061】
3.処理
次に、本実施形態のゲーム制御システム(端末10)の処理の一例について
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0062】
まず、不正判定部110は、入力部150に対する操作や自動化スクリプト等の実行によって入力されるゲーム制御命令を受け付け(ステップS10)、不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する(ステップS11)。例えば、所定期間内に同一のゲーム制御命令を繰り返し受け付けたか否か、当該同一のゲーム制御命令の繰り返し回数や繰り
返し期間、繰り返し間隔などに基づいて、不正なゲーム制御命令を受け付けたか否かを判定する。
【0063】
不正なゲーム制御命令を受け付けたと判定された場合(ステップS11のY)には、ペナルティ制御部112は、ゲームをペナルティ状態に移行させ、ゲームを一時停止する(ステップS12)。次に、解除条件決定部114は、不正なゲーム制御命令の内容に基づいて、プレーヤに入力させる操作内容を解除条件として決定する(ステップS13)。例えば、不正なゲーム制御命令と判定されたゲーム制御命令とは異なるゲーム制御命令をランダムに抽出し、抽出されたゲーム制御命令が入力される操作を解除条件として決定する。次に、解除条件提示部116は、解除条件として決定された操作内容を一時停止中のゲーム画面GIに表示させる(ステップS14)。次に、解除制御部118は、解除条件として提示された操作内容の入力があったか否かを判定し(ステップS15)、当該操作内容の入力があった場合(ステップS15のY)には、ペナルティ状態を解除し、ゲームを再開させる(ステップS16)。
【0064】
次に、ゲーム処理部101は、ゲーム処理を継続するか否かを判断し(ステップS17)、ゲーム処理を継続する場合(ステップS17のY)には、ステップS10に移行する。
【0065】
本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0066】
10…端末、20…サーバ、100…処理部、101…ゲーム処理部、110…不正判定部、112…ペナルティ制御部、114…解除条件決定部、116…解除条件提示部、118…解除制御部、120…画像生成部、130…音生成部、150…入力部、170…記憶部、190…表示部、192…音出力部、196…通信部