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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176556
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】測定機器および測定機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/18 20060101AFI20221122BHJP
   G01B 3/20 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G01B3/18
G01B3/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083049
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 敏彦
【テーマコード(参考)】
2F061
【Fターム(参考)】
2F061AA02
2F061AA16
2F061DD07
2F061FF72
2F061FF73
2F061GG03
2F061GG40
2F061QQ02
2F061QQ14
2F061QQ18
2F061QQ25
2F061RR01
2F061RR07
2F061RR18
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減し、より高精度な測定ができる測定機器の提供。
【解決手段】測定機器1は、測定対象Wの表面Sに測定子2を当接させ、測定子2の移動方向を測定方向とし測定子2の位置から測定値を算出する。測定機器1は、測定方向において基準位置に対する測定子2の位置を測定する位置測定手段3と、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段4と、検知手段4が振動を検知した場合に、位置測定手段3により測定された位置を測定値とする制御手段5と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の表面に測定子を当接させ、前記測定子の移動方向を測定方向とし前記測定子の位置から測定値を算出する測定機器であって、
測定方向において基準位置に対する前記測定子の位置を測定する位置測定手段と、
前記測定子が前記測定対象の表面に当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段と、
前記検知手段が振動を検知した場合に、前記位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御手段と、を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項2】
請求項1に記載された測定機器において、
基準位置からの前記測定子の位置と、前記測定子が前記測定対象の表面に当接することで生じる振動が前記検知手段まで伝播し検知されるまでの時間である伝播時間と、を記憶する記憶手段を備え、
前記記憶手段は、所定の周期で前記測定子の位置を記憶し、
前記制御手段は、
前記検知手段が振動を検知した場合に、前記検知手段が振動を検知した時間から前記伝播時間分だけ前に前記記憶手段に記憶された前記測定子の位置を測定値として補正する補正部を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された測定機器において、
前記測定子が前記測定対象の表面に当接することで生じる振動が前記検知手段まで伝播し検知されるまでの時間である伝播時間を記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記位置測定手段により測定される測定子の変位量から移動速度を取得する速度取得部と、
前記速度取得部により取得された移動速度と前記伝播時間とから、前記測定子が前記測定対象の表面に当接した後、前記測定対象に前記測定子が押し込まれることで生じる変位量である押込量を算出する押込量算出部と、
前記検知手段が振動を検知した場合に、前記検知手段が振動を検知した検知時間における前記測定子の位置から前記押込量算出部により算出された押込量を演算することで算出される位置を測定値として補正する補正部と、を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された測定機器において、
前記検知手段により検知された振動が、前記測定子が前記測定対象の表面に当接した場合の振動であるか否かの判定に用いる判定用振動パターンを記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、
前記検知手段が振動を検知した場合に、前記測定子が前記測定対象の表面に当接した場合の振動であるか否かを前記判定用振動パターンと検知された振動のパターンとに基づいて判定する判定部を備え、
前記判定部により前記測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動であると判定された場合に、前記位置測定手段により測定された位置を測定値とすることを特徴とする測定機器。
【請求項5】
請求項4に記載された測定機器において、
前記記憶手段は、前記測定子が前記測定対象の表面に当接した際に前記検知手段が検知した振動のパターンを複数記憶し、
前記制御手段は、
複数の前記パターンに基づいて判定用振動パターンを算出するパターン算出部と、
前記パターン算出部により算出された判定用振動パターンを判定用振動パターンとして前記記憶手段に記憶された判定用振動パターンを更新する更新部と、を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載された測定機器において、
少なくとも前記検知手段にて検出された振動と前記判定用振動パターンとに基づいて、前記測定子が前記測定対象の表面に当接した場合の振動のパターンとは異なる使用者による使用時の振動による使用パターンを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記使用パターンを測定に反映させる反映手段と、を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項7】
請求項4から請求項6のいずれかに記載された測定機器において、
少なくとも前記判定部による判定に基づいて前記位置測定手段による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達するフィードバック手段を備えることを特徴とする測定機器。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載された測定機器において、
前記検知手段は、加速度センサであることを特徴とする測定機器。
【請求項9】
測定対象の表面に測定子を当接させ、前記測定子の移動方向を測定方向とし前記測定子の位置から測定値を算出する測定機器の制御方法であって、
測定方向において基準位置に対する前記測定子の位置を測定する位置測定手段と、
前記測定子が前記測定対象の表面に当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段と、を備え、
前記検知手段が振動を検知した場合に、前記位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御ステップを実行することを特徴とする測定機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定機器および測定機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象の表面に測定子を当接させ、測定子の位置から測定値を算出する測定機器が知られている。
例えば、特許文献1に記載されたマイクロメータ(測定機器)は、操作スリーブを回転させることでスピンドル(測定子)を軸方向に変位させ、スピンドルの変位量から被測定物(測定対象)の寸法を測定する。
【0003】
ここで、被測定物の寸法を測定するため、スピンドルを被測定物の表面に当接させた際、スピンドルに付加された力により被測定物が変形してしまうことがある。被測定物が変形すると、マイクロメータが測定した被測定物の寸法に誤差が生じることがある。
このため、マイクロメータは、スピンドルが被測定物の表面に当接した際の被測定物にかかる圧力である測定圧を一定にする定圧装置を備えている。
【0004】
定圧装置は、支軸と、第1爪車と、第2爪車と、中間爪車と、付勢部材と、ロック機構とを備える。第1爪車は、支軸に対して回転可能に取り付けられ、支軸の軸方向に突出した第1鋸歯状突起を有する。第2爪車は、支軸に対して回転不能で、かつ支軸に沿って移動可能に取り付けられ、第1鋸歯状突起に対向する面に第2鋸歯状突起を有する。中間爪車は、第1,第2爪車間において支軸に対して回転可能で、かつ支軸に沿って移動可能に取り付けられ、第1,第2鋸歯状突起にそれぞれ噛合する一対の中間鋸歯状突起を有する。付勢部材は、第2爪車を第1爪車に向けて付勢する。ロック機構は、第1爪車及および中間爪車間を接続状態または非接続状態に設定する。第1,第2鋸歯状突起は、突出高さが異なるように構成されている。
【0005】
定圧装置は、スピンドルが被測定物に当接し、スピンドルに一定以上の負荷がかかると、付勢部材の付勢力に抗して第2爪車が中間爪車から離間する方向に逃げ、中間爪車の回転力が第2爪車に伝達されず、操作スリーブは空転する。また、ロック機構を利用して、第1爪車および中間爪車間を非接続状態に設定し、中間爪車および第2爪車間を接続状態に設定した場合において、定圧装置は、スピンドルが被測定物に当接し、スピンドルに一定以上の負荷がかかると、非接続状態にある第1爪車および中間爪車間で回転力が伝達されず、操作スリーブが空転する。
【0006】
すなわち、スピンドルに一定以上の負荷がかかると、非接続状態にある爪車間で回転力が伝達されず、操作スリーブが空転する。これにより、被測定物に付与される測定力は、非接続状態にある爪車間で噛合する第1,第2鋸歯状突起の突出高さに応じた測定力に維持される。このような構成により、マイクロメータは、定圧装置にて被測定物にかかる測定圧を一定にし、測定値の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-72775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のマイクロメータにおける定圧装置は、支軸と、第1爪車と、第2爪車と、中間爪車と、付勢部材と、ロック機構とを備え、さらに、それぞれの構成部材は、第1,第2鋸歯状突起等を備えている。定圧装置は、多くの構成部材を有し、その構成が複雑であるという問題がある。また、定圧装置により制御されたとしても、制御された測定圧により測定子が測定対象(被測定物)に押し込まれ測定対象が変形してしまうことがあるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減し、より高精度な測定ができる測定機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の測定機器は、測定対象の表面に測定子を当接させ、測定子の移動方向を測定方向とし測定子の位置から測定値を算出する。測定機器は、測定方向において基準位置に対する測定子の位置を測定する位置測定手段と、測定子が測定対象の表面に当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段と、検知手段が振動を検知した場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、測定機器は、測定圧を一定にするための手段として検知手段と制御手段とを備えている。制御手段は、検知手段が振動を検知した場合に、位置測定手段により測定された基準位置からの測定子の位置を測定値とするため、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減することができる。したがって、測定機器は、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減するとともに測定値の安定化を図り、従来と比較してより高精度な測定をすることができる。
【0012】
この際、測定機器は、基準位置からの測定子の位置と、測定子が測定対象の表面に当接することで生じる振動が検知手段まで伝播し検知されるまでの時間である伝播時間と、を記憶する記憶手段を備える。記憶手段は、所定の周期で測定子の位置を記憶する。制御手段は、検知手段が振動を検知した場合に、検知手段が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段に記憶された測定子の位置を測定値として補正する補正部を備えることが好ましい。
【0013】
ここで、測定子の当接面から検知手段までの間に距離がある場合、測定子が測定対象の表面に当接してから検知手段が振動を検知するまでに時間差が生じることがある。すなわち、検知手段が振動を検出した際、測定子は、測定対象の表面と当接した瞬間の位置から移動していることがある。この場合、位置測定手段により測定された位置を測定値とすると、制御手段は、当該時間内における測定子の移動分の誤差を有する位置を測定値とすることとなる。これにより、測定値に誤差が生じることがある。
【0014】
しかしながら、このような構成によれば、制御手段が備える補正部は、検知手段が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前の測定子の位置を測定値とするため、測定子が測定対象の表面に当接した瞬間から検知手段が振動を検知するまでの時間に測定子が移動することで生じ得る誤差を補正することができる。したがって、測定機器は、補正しない場合よりも正確な位置を測定値とすることができる。
【0015】
また、制御手段は、位置測定手段により測定される測定子の変位量から移動速度を取得する速度取得部と、速度取得部により取得された移動速度と伝播時間とから、測定子が測定対象の表面に当接した後、測定対象に測定子が押し込まれることで生じる変位量である押込量を算出する押込量算出部と、検知手段が振動を検知した場合に、検知手段が振動を検知した検知時間における測定子の位置から押込量算出部により算出された押込量を演算することで算出される位置を測定値として補正する補正部と、を備えることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、制御手段が備える補正部は、検知手段が振動を検知した検知時間における測定子の位置から押込量を演算することで算出される位置を測定値とするため、測定子が測定対象の表面に当接してから検知手段が振動を検知するまでの時間に測定子が移動することで生じ得る誤差を補正することができる。したがって、測定機器は、補正しない場合よりも正確な位置を測定値とすることができる。また、柔らかい測定対象を測定する場合であっても、測定機器は、補正部を備えることで、測定子が測定対象に押し込まれることで生じる測定対象の変形による測定値への影響を抑制することができる。
【0017】
この際、測定機器は、検知手段により検知された振動が、測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動であるか否かの判定に用いる判定用振動パターンを記憶する記憶手段を備える。制御手段は、検知手段が振動を検知した場合に、測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動であるか否かを判定用振動パターンと検知された振動のパターンとに基づいて判定する判定部を備える。制御手段は、判定部により測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動であると判定された場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とすることが好ましい。
【0018】
ここで、検知手段は、測定子が測定対象の表面に当接した際の振動のみならず、使用者が測定機器を操作した際に生じる振動や、測定機器本体を移動したり測定台に置いたりすることにより生じる振動など、様々な振動を検知する。制御手段は、検知手段により測定子が測定対象の表面に当接した際の振動が検知された場合のみ、位置測定手段により測定された位置を測定値とすることが好ましい。
【0019】
このような構成によれば、制御手段は、判定部により測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動であると判定された場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とするため、検知手段にて様々な振動が検知されたとしても、適切な振動に基づいて、その振動が検出された際の位置を測定値とすることができる。
【0020】
この際、記憶手段は、測定子が測定対象の表面に当接した際に検知手段が検知した振動のパターンを複数記憶する。制御手段は、複数の振動のパターンに基づいて判定用振動パターンを算出するパターン算出部と、記憶手段に記憶された判定用振動パターンについてパターン算出部により算出された判定用振動パターンに更新する更新部と、を備えることが好ましい。
【0021】
ここで、ステンレス等の測定機器を構成する素材は、組み合わせや形状などにより固有の振動のパターンを有する。この振動のパターンは、同じ素材等を用いて製造された測定機器であったとしても、それぞれ若干異なる場合がある。このため、前述の判定用振動パターンは、測定機器により異なる場合がある。また、測定対象の素材と測定子の素材との組み合わせにより、生じる振動のパターンが異なる場合がある。
【0022】
しかしながら、このような構成によれば、制御手段は、複数のパターンに基づいて判定用振動パターンを算出するパターン算出部と、記憶手段に記憶された判定用振動パターンについてパターン算出部により算出された判定用振動パターンに更新する更新部と、を備える。これにより、あらかじめ判定用振動パターンを調べて記憶手段に記憶させておかなくても、測定機器を操作して測定する度にパターン算出部と更新部とによる学習により、測定用に記憶された判定用振動パターンを用いて測定をすることができる。
【0023】
この際、測定機器は、少なくとも検知手段にて検出された振動と判定用振動パターンとに基づいて、測定子が測定対象の表面に当接した場合の振動のパターンとは異なる使用者による使用時の振動による使用パターンを抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出された使用パターンを測定に反映させる反映手段と、を備えることが好ましい。
【0024】
ここで、使用者が測定機器を操作する際、使用者による位置測定手段の動かし方や圧力のかけ方によっては、測定対象に測定子が押し込まれ、測定子の位置である測定値に誤差が生じることがある。
しかしながら、このような構成によれば、測定機器は、抽出手段と反映手段とを備えるため、使用者による測定機器の使用時の特徴、例えば使用者による位置測定手段の動かし方や圧力のかけ方などを抽出し測定に反映させることで、測定値に誤差が生じることを抑制することができる。
【0025】
この際、測定機器は、少なくとも判定部による判定に基づいて位置測定手段による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達するフィードバック手段を備えることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、測定機器は、位置測定手段による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達するフィードバック手段を備えるため、使用者は、正確に測定できているか否かを把握することができる。
【0027】
この際、検知手段は、加速度センサであることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、加速度センサは、振動を検知する他の検知手段であるマイクロフォンやひずみ計測器などと比較して、非常に微細な振動である例えば音波も検出することができる。したがって、検知手段は、高精度に振動を検知することができる。
【0029】
本発明の測定機器の制御方法は、測定対象の表面に測定子を当接させ、測定子の移動方向を測定方向とし測定子の位置から測定値を算出する。測定機器は、測定方向において基準位置に対する測定子の位置を測定する位置測定手段と、測定子が測定対象の表面に当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段と、を備える。測定機器は、検知手段が振動を検知した場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御ステップを実行することを特徴とする。
【0030】
本発明によれば、測定機器は、検知手段が振動を検知した場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御ステップを実行するため、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減することができる。したがって、測定機器は、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減するとともに測定値の安定化を図り、従来と比較してより高精度な測定をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態に係る測定機器を示す概略図
図2】前記測定機器を示すブロック図
図3】前記測定機器における検知手段が検知する振動を示す模式図
図4】前記測定機器の制御方法を示すフローチャート
図5】前記測定機器における判定用振動パターンの学習を示すフローチャート
図6】前記測定機器における使用パターンの学習方法と使用者へのフィードバックを示すフローチャート
図7】第2実施形態に係る測定機器を示す概略図
図8】前記測定機器を示すブロック図
図9】前記測定機器における測定子の位置と移動速度との関係を示すグラフ
図10】前記測定機器の制御方法を示すフローチャート
図11】第3実施形態に係る測定機器を示す概略図
図12】前記測定機器を示すブロック図
図13】前記測定機器の制御方法を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図1から図6に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る測定機器を示す概略図である。
測定機器1は、図1に示すように、測定対象Wの表面S(図3参照)に測定子2を当接させ、移動方向を測定方向(X方向)とし測定子2の位置から測定値を算出するマイクロメータヘッドである。
なお、以下の説明および各図面において、測定子2の移動方向である測定方向をX方向とし、X方向と直交する測定機器1の幅方向をY方向とし、X方向およびY方向と直交する測定機器1の高さ方向をZ方向と記す。
【0033】
測定機器1は、測定子2と、位置測定手段3と、検知手段4と、表示手段10と、を備える。
測定子2は、円柱状のスピンドル21と、当接面22と、を備える。当接面22は、測定対象Wの表面Sと当接するスピンドル21の先端に設けられる面である。
位置測定手段3は、測定方向であるX方向において基準位置に対する測定子2の位置を測定する。位置測定手段3は、シンブル31と、ラチェットつまみ32と、スリーブ33と、を備える。シンブル31およびラチェットつまみ32は、回転させることでスピンドル21を測定対象Wに対して進退させる。スリーブ33は、スピンドル21において当接面22とは反対側に配置される。
【0034】
測定機器1は、スピンドル21を軸としてシンブル31またはラチェットつまみ32を図中矢印方向に回転させることでスピンドル21を測定対象Wに向かって進退させる。測定機器1は、シンブル31またはラチェットつまみ32の回転による回転角の変位量から測定対象Wを測定する。測定機器1による測定結果である測定値などは、表示手段10に表示される。
表示手段10は、液晶パネルで構成される。表示手段10は、主に7セグメントのデジタル式表示で測定値などを表示する。なお、表示手段10は、液晶パネルに限らず、有機EL(Electro-Luminescence)や電子ペーパーであってもよい。すなわち、表示手段10には、測定機器1に関する情報や測定値などが表示できればよい。
【0035】
検知手段4は、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃から生じる振動を検知する。具体的には、検知手段4は、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃から生じる振動である音波を検知する。検知手段4は、測定機器1においてスピンドル21の延長線上でありスピンドル21において当接面22とは反対側に配置されている。検知手段4は、測定機器1の内部に設けられる加速度センサである。
【0036】
測定機器1は、スピンドル21を固定するクランプ11と、使用者からの操作を受け付け、測定機器1を操作するためのボタン式の複数の操作部12a~12cと、をさらに備える。
操作部12aは、ON/OFFボタンである。使用者は、操作部12aを操作することで測定機器1の電源のON/OFFを操作する。操作部12bは、ZEROボタンである。使用者は、測定機器1にて測定を開始する際の原点の設定を行う際などに操作部12bを操作する。操作部12cは、HOLDボタンである。使用者は、測定機器1にて測定した値を保持する際などに操作部12cを操作する。なお、操作部12a~12cは、スライド式でもよく、使用者が操作することができれば、どのような構成であってもよい。また、操作部12a~12cは、使用者が操作することができれば、どのような機能であってもよいし、どのような位置に配置されていてもよい。
【0037】
図2は、測定機器1を示すブロック図である。
図2に示すように、測定機器1は、制御手段5と、記憶手段6と、をさらに備える。
制御手段5は、測定機器1を制御し、検知手段4が振動を検知した場合に、位置測定手段3により測定された位置を測定値とする。制御手段5は、判定部51と、補正部52と、パターン算出部53と、更新部54と、を備える。制御手段5は、記憶手段6に記憶されたこれらの情報に基づき測定機器1を制御する。
【0038】
記憶手段6は、測定機器1に関する情報を記憶する。具体的には、記憶手段6は、測定子2の位置と、伝播時間と、判定用振動パターンと、複数の測定に関する振動のパターンと、を記憶する。
記憶手段6は、測定子2の位置を所定の周期で記憶する。具体的には、記憶手段6は、測定子2が移動し始めたときから、測定子2が移動を停止するまで、所定の周期で測定子2の位置を複数記憶する。
【0039】
伝播時間とは、測定子2が測定対象Wの表面S(図3参照)に当接することで生じる振動が検知手段4まで伝播し検知されるまでの時間のことをいう。伝播時間は、測定機器1を構成するステンレス等の素材が有する固有の振動のパターンや当接面22から検知手段4までの距離、測定対象Wの素材と測定機器1を構成する素材との組み合わせなどから算出することができる。伝播時間は、あらかじめ算出されたものが記憶手段6に記憶されている。
【0040】
判定用振動パターンは、検知手段4により検知された振動が、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であるか否かの判定に用いる振動のパターンである。
複数の測定に関する振動のパターンは、本実施形態では、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した際に検知手段4が検知した振動のパターンをいう。記憶手段6は、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した際に検知手段4が検知した振動のパターンを複数記憶する。
【0041】
判定部51は、検知手段4が振動を検知した場合に、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であるか否かを判定する。具体的には、判定部51は、検知された振動と、記憶手段6に記憶された判定用振動パターンと、を比較する。比較した結果、検知された振動と判定用振動パターンとが略同一であるとき、判定部51は、検知された振動を測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であると判定する。検知された振動と判定用振動パターンとが異なるとき、判定部51は、検知された振動を測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動ではないと判定する。
【0042】
補正部52は、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2の位置を測定値として補正する。制御手段5は、判定部51により測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であると判定された場合に、補正部52にて補正された位置を測定値とする。
パターン算出部53は、複数のパターンに基づいて判定用振動パターンを算出する。
更新部54は、記憶手段6に記憶された判定用振動パターンについてパターン算出部53により算出された判定用振動パターンに更新する。
【0043】
図3は、測定機器1における検知手段4が検知する振動を示す模式図である。具体的には、図3(A)は、測定子2が測定対象Wに当接する前の状態を示す図である。また、図3(B)は、測定子2が測定対象Wに当接した状態を示す図である。また、図3(C)は、測定子2が測定対象Wに当接した後、測定子2が測定対象Wに押し込まれている状態を示す図である。なお、図3では、測定子2および検知手段4を実線にて表し、その他を破線にて表している。また、図3(A)中に示す矢印は、測定子2の移動を示し、図3(B)中に示す矢印は、スピンドル21内を伝達する振動である音波Cを示している。
以下、図3を用いて検知手段4が検知する振動について説明する。
【0044】
図3(A)に示すように、先ず、使用者は、シンブル31(図1参照)またはラチェットつまみ32(図1参照)を回転させ、当接面22が測定対象Wに当接するまで矢印方向に測定子2を移動させる。
図3(B)に示すように、測定子2が測定対象Wに当接すると、測定対象Wの表面Sと当接面22とが衝突した瞬間に音波Cが生じる。この音波Cは、微細な振動として、図中矢印のように、当接面22からスピンドル21内を伝達する。検知手段4は、スピンドル21内を伝達する振動を検知する。
【0045】
ここで、図3(C)に示すように、スピンドル21は、当接面22から検知手段4までの間に距離L1を有するため、当接面22と測定対象Wとが衝突することにより生じる振動は、当接した瞬間ではなく、伝播時間を経て検知手段4に到達する。このとき、測定子2は、当接面22と測定対象Wとが衝突した瞬間の位置から伝播時間分だけ移動してしまうことがある。具体的には、使用者は、測定子2が測定対象Wに当接した後もシンブル31またはラチェットつまみ32をさらに回転させ、測定対象Wに測定子2を押し込んでしまうことがある。
【0046】
測定対象Wが例えば弾性を有するゴム等といった柔らかい素材である場合、測定機器1は、測定対象Wの表面Sに当接面22が当接した瞬間の測定値に、測定対象Wに測定子2が押し込まれた変位量である押込量L2の誤差を有する測定値を取得することとなる。このため、制御手段5は、補正部52にて押込量L2による誤差を補正する。
【0047】
また、使用者が測定機器1を操作することで、検知手段4は、音波C以外の振動である振動Dも取得することがある。振動Dは、例えば使用者の測定機器1を操作する際に生じる振動や、測定機器1を測定台に置いたときに生じる振動などである。測定機器1は、測定値を得るために用いる振動である音波Cと音波C以外の振動Dとを区別し、検知手段4が音波Cを検知したときに測定値を取得する。
【0048】
具体的には、判定部51は、記憶手段6に記憶された判定用振動パターンを用いて、検知手段4が検知した振動が音波Cであるか否か判定する。音波Cであると判定された場合に、補正部52は、検知手段4が音波Cを検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2の位置を測定値として補正する。制御手段5は、補正された測定値を表示手段10に表示する。
【0049】
ここで、測定機器1を構成するステンレス等の素材は、組み合わせや形状などにより固有の振動のパターンを有する。この振動のパターンは、同じ形状であり同じ素材などを用いて製造された測定機器であったとしても、それぞれ若干異なる場合がある。判定用振動パターンも同様に、測定機器ごとに異なる場合がある。
このため、パターン算出部53は、複数のパターンに基づいて判定用振動パターンを算出する。更新部54は、パターン算出部53により算出された判定用振動パターンを判定用振動パターンとして記憶手段6に記憶された判定用振動パターンを更新する。これにより、測定機器1は、学習により判定用振動パターンを用いて測定をすることができる。
【0050】
図2に示すように、測定機器1は、抽出手段7と、反映手段8と、フィードバック手段9と、識別手段15と、をさらに備える。
抽出手段7は、少なくとも検知手段4にて検出された振動と判定用振動パターンとに基づいて、測定子2が測定対象Wの表面S(図3参照)に当接した場合の振動のパターンとは異なる使用者による使用時の振動による使用パターンを抽出する。
反映手段8は、抽出手段7により抽出された使用パターンを測定に反映させる。
【0051】
ここで、使用者が測定機器1を操作する際、位置測定手段3の動かし方や圧力のかけ方は、使用者ごとに異なる。すなわち、同じ測定機器1を用いたとしても、測定時の特徴は、測定対象Wの表面Sへの測定子2の押し込み具合など、使用者ごとに異なる。これにより、測定子2の位置である測定値に誤差が生じることがある。
【0052】
このため、抽出手段7は、判定用振動パターンと異なる振動のパターンであり、位置測定手段3が使用されているときの振動のパターンである使用パターンを抽出する。具体的には、抽出手段7は、判定用振動パターンと測定時に繰り返し生じる振動パターンとを比較し、判定用振動パターンと異なり、かつ、測定時に繰り返し生じる振動パターンを使用者の圧力のかけ方などの特徴的な使用パターンとして抽出する。
反映手段8は、抽出された使用パターンを記憶手段6に記憶させる等して学習させて測定に反映させる。
【0053】
フィードバック手段9は、判定部51による判定と、抽出手段7により抽出された使用パターンと、に基づいて位置測定手段3による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達する。本実施形態では、フィードバックとは、測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達することをいう。具体的には、フィードバック手段9は、測定が正しく実行されていないときに表示手段10に「エラー」などの文字を表示させることで測定が正しく実行されているか否かの評価を視覚的に使用者に伝達する。
【0054】
なお、フィードバック手段9は、表示手段10に文字を表示させることで測定が正しく実行されているか否かの評価の伝達をしなくてもよい。例えば測定機器1がLED(Light Emitting Diode)(不図示)を備える場合、フィードバック手段9は、測定が正しく実行されているときはLEDを消灯し、測定が正しく実行されていないときはLEDを点灯または点滅させることで評価を使用者に伝達してもよい。また、例えば測定機器1がフィードバック手段9の指令に基づき振動する振動手段(不図示)を備える場合、フィードバック手段9は、測定が正しく実行されていないときに振動手段を振動させることで評価を使用者に伝達してもよい。また、例えば測定機器1が発音手段(不図示)を備える場合、フィードバック手段9は、測定が正しく実行されていないときにビープ音等を発音手段に発音させることで評価を使用者に伝達してもよい。要するに、フィードバック手段9は、使用者に測定が正しく実行されているか否かの評価を伝達することができれば、どのような手段を用いて評価を使用者に伝達してもよい。
【0055】
識別手段15は、測定機器1の使用者を識別する指紋センサである。識別手段15は、シンブル31またはラチェットつまみ32(図1参照)に設けられている。識別手段15は、測定開始前にシンブル31またはラチェットつまみ32を持った使用者の指紋を認識し、誰が測定機器1を使用しているかを識別する。識別手段15が使用者を識別することで、抽出手段7や反映手段8は、測定機器1を使用している使用者に応じて測定機器1の使用感などの設定等を切り替えることができる。
【0056】
なお、識別手段15は、指紋センサでなくてもよい。例えば、識別手段は、測定機器1に設けられる特定のボタンであってもよい。この場合、使用者は、測定開始前に、特定のボタンを操作することで、あらかじめ測定機器1に記憶された使用者から自身を選択したり、ID入力等をすることで、誰が測定機器1を使用しているかを測定機器1に識別させる。また、識別手段は、RFID(Radio Frequency Identifier)読取機器であり、使用者は、測定開始前にRFIDをRFID読取機器にかざすことで、測定機器1に使用者を識別させてもよい。また、識別手段は、抽出手段7であってもよい。抽出手段7が特定の使用パターンを識別したとき、誰が測定機器1を使用しているかについて識別してもよい。また、識別手段は、測定開始前ではなく任意のタイミングで使用者を識別してもよい。要するに、識別手段は、誰が測定機器1を使用しているか識別できれば、どのような方法で使用者を識別してもよいし、任意のタイミングで使用者を識別してもよい。
【0057】
図4は、測定機器1の制御方法を示すフローチャートである。
以下、図4を用いて測定機器1の制御方法について説明する。
先ず、使用者は、シンブル31またはラチェットつまみ32を持ち、指紋を識別手段15に読み取らせて、誰が測定機器1を使用しているかを識別させる。次に、図4に示すように、使用者は、測定対象Wの測定をするために位置測定手段3を操作し、位置測定ステップを実行する(ステップST01)。このとき、記憶手段6は、所定の周期で測定子2の位置を記憶する。
続いて、測定子2の当接面22が測定対象Wの表面Sに当接するまで位置測定ステップを実行する。検知手段4は、当接面22が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃により生じた振動である音波C(図3参照)を検知する検知ステップを実行する(ステップST02)。
【0058】
判定部51は、検知ステップ(ステップST02)にて検知された振動が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃により生じた音波Cであるか否かを判定する(ステップST03)。検知された振動が音波Cであると判定された場合(ステップST03でYES)、補正部52は、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2の位置を測定値として補正する補正ステップを実行する(ステップST04)。そして、制御手段5は、位置測定手段3により測定され、補正ステップ(ステップST04)にて補正された位置を測定値とする制御ステップを実行する(ステップST05)。
検知された振動が音波Cであると判定されなかった場合(ステップST03でNO)、判定部51は、検知ステップ(ステップST02)にて検知された振動が音波Cであると判定されるまで、ステップST03を実行する。
【0059】
図5は、測定機器1における判定用振動パターンの学習を示すフローチャートである。
以下、図5に基づいて判定用振動パターンの学習について説明する。
判定用振動パターンは、前述のように各測定機器で異なることがある。そのため、判定用振動パターンは、あらかじめ記憶手段6に記憶されているものの、測定に適した判定用振動パターンではないこともあるため、使用者は、測定を開始する前などに、測定に適した判定用振動パターンを測定機器1に学習させる。
【0060】
具体的には、図5に示すように、先ず、使用者は、測定対象W(図3参照)の予備的な測定を複数回実行し、測定対象Wの表面Sに測定子2の当接面22が当接した衝撃により生じた音波Cを検知手段4に検出させる。このとき、複数回の測定の実行により検知手段4に検出された振動のパターンに基づいて、パターン算出部53は、判定用振動パターンを算出するパターン算出ステップを実行する(ステップST11)。パターン算出ステップにより判定用振動パターンが算出された後、更新部54は、記憶手段6に記憶された判定用振動パターンについてパターン算出部53により算出された判定用振動パターンに更新する更新ステップを実行する(ステップST12)。このようにして、例えば測定を開始する前などに使用者は、測定機器1に判定用振動パターンを学習させる。
【0061】
図6は、測定機器1における使用パターンの学習方法と使用者へのフィードバックを示すフローチャートである。
以下、図6に基づいて使用パターンの学習方法と使用者へのフィードバックとについて説明する。
前述のように、使用者の操作の仕方によっては測定子2等にかかる圧力等が変化するため、使用者の操作時の特徴が測定値に影響を及ぼすことがある。そのため、使用者は、測定開始前などに、測定値への影響を抑制するため、使用者による使用パターンを測定機器1に学習させる。
【0062】
具体的には、図6に示すように、先ず、使用者は、測定対象W(図3参照)の予備的な測定を複数回実行し、位置測定手段3を移動させる際に生じる振動D(図3参照)を検知手段4に検出させる。判定用振動パターンに基づいて音波Cが検知された場合、抽出手段7は、音波Cが検出される前の振動Dを記憶手段6に記憶させる。抽出手段7は、記憶手段6に記憶された複数回の測定における複数の振動Dに基づいて使用者による使用時の振動による使用パターンを抽出する。
【0063】
すなわち、抽出手段7は、少なくとも検知手段4にて検出された振動と判定用振動パターンとに基づいて、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動のパターンとは異なる使用者による使用時の振動による使用パターンを抽出する抽出ステップを実行する(ステップST21)。反映手段8は、抽出手段7により抽出された使用パターンを記憶手段6に記憶させ測定に反映させることができるようにする反映ステップを実行する(ステップST22)。制御手段5は、記憶手段6に記憶された使用パターンと判定用振動パターンとを用いて、測定時に生じる振動による測定値への影響を抑制する。なお、判定用振動パターンと使用パターンとの学習は、測定前の予備的な測定ではなく、実際の測定中に実行されてもよく、どのタイミングで実行するかは任意である。
【0064】
そして、フィードバック手段9は、判定部51による判定と、抽出手段7により抽出された使用パターンと、に基づいて位置測定手段3による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達するフィードバックステップを実行し(ステップST23)、使用パターンの学習方法と使用者へのフィードバックに関するステップを終了する。
【0065】
このような第1実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)制御手段5は、検知手段4が振動を検知した場合に、位置測定手段3により測定された基準位置からの位置を測定値とするため、測定機器1は、検知手段4および制御手段5による簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減することができる。したがって、測定機器1は、簡単な構成で測定圧による測定対象の変形の影響を低減するとともに測定値の安定化を図り、従来と比較してより高精度な測定をすることができる。
(2)制御手段5は、判定部51により、検知手段4にて検知された振動が測定子2が測定対象Wの表面Sに当接することにより生じた振動(音波C)であると判定された場合に、位置測定手段3により測定された位置を測定値とするため、検知手段4にて様々な振動が検知されたとしても、判定用振動パターンに基づいて、音波Cが検出された際の位置を測定値とすることができる。
【0066】
(3)測定機器1は、あらかじめ判定用振動パターンを調べて記憶手段に記憶させておかなくても、測定機器1を操作して測定する度にパターン算出部53と更新部54とによる学習により、測定用に記憶された判定用振動パターンを用いて測定をすることができる。
(4)測定機器1は、使用者による操作した際に生じる振動である使用パターンを抽出する抽出手段7と、使用パターンを制御手段5による制御に反映させる反映手段8と、を備えるため、使用者による測定機器1の使用時の特徴を抽出し、測定値の誤差を抑制することができる。
(5)測定機器1は、位置測定手段3による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達するフィードバック手段9を備えるため、使用者は、正確に測定できているか否かを把握することができる。
【0067】
(6)測定機器1は、検知手段4として加速度センサを用いることで微細な振動である音波を検出することができるため、他の検知手段を用いる場合と比較して高精度に振動を検知することができる。
(7)測定機器1は、補正部52を備えることで柔らかい測定対象Wを測定する場合であっても、測定子2が押し込まれることによる測定対象Wの変形の影響を補正することができる。
【0068】
(8)補正部52は、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前の測定子2の位置を測定値とするため、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接してから検知手段4が振動を検知するまでの時間に測定子2が移動することで生じ得る誤差を補正することができる。したがって、測定機器1は、補正しない場合よりも正確な位置を測定値とすることができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図7から図10に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0070】
図7は、第2実施形態に係る測定機器1Aを示す概略図である。
前記第1実施形態では、測定機器1は、マイクロメータヘッドであった。
第2実施形態では、図7に示すように、測定機器1Aは、マイクロメータである点で前記第1実施形態と異なる。
マイクロメータである測定機器1Aは、マイクロメータヘッドと略同様の構成を備え、アンビル13と、アーム部14と、をさらに備える。
【0071】
アンビル13は、測定子2の当接面22に対向して配置されている測定機器1Aにおける基準位置である。アーム部14は、略U字状に形成されている。アーム部14の一端側には、測定子2および位置測定手段3が配置されている。アーム部14の他端側には、アンビル13が配置されている。測定機器1Aは、測定子2の当接面22とアンビル13とで測定対象W(図3参照)を挟むことで、測定対象Wにおける当接面22からアンビル13までの長さを測定する。ここで、測定子2の当接面22とアンビル13とが接した状態を基準位置(ゼロ)とする。そして、測定子2の当接面22とアンビル13とが接した状態から離間する方向を+X方向とし、測定子2の当接面22とアンビル13とが離間した状態から接近する方向を-X方向とする。測定値は、測定子2の当接面22とアンビル13とが+X方向に離間することで増加する。また、測定値は、測定子2の当接面22とアンビル13とが-X方向に接近することで減少する。
【0072】
図8は、測定機器1Aを示すブロック図である。
前記第1実施形態では、記憶手段6は、測定子2の位置を記憶し、制御手段5における補正部52は、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2の位置を測定値として補正していた。
第2実施形態では、記憶手段6Aは、測定子2の位置を記憶せず、伝播時間と、判定用振動パターンと、複数の測定に関する振動のパターンと、を記憶する。制御手段5Aにおける補正部52Aは、測定子2の位置を用いずに補正をする点で前記第1実施形態と異なる。また、図8に示すように、制御手段5Aは、速度取得部55Aと、押込量算出部56Aと、を備える点で前記第1実施形態と異なる。
【0073】
速度取得部55Aは、位置測定手段3により測定される測定子2の変位量から移動速度を取得する。
押込量算出部56Aは、速度取得部55Aにより取得された移動速度と伝播時間とから、測定子2が測定対象Wの表面S(図3参照)に当接した後、測定対象Wに測定子2が押し込まれることで生じる変位量である押込量を算出する。
【0074】
補正部52Aは、検知手段4が振動を検知した場合に、検知手段4が振動を検知した検知時間における測定子2の位置から押込量算出部56Aにより算出された押込量を演算(加算)することで算出される位置を測定値として補正する。
制御手段5Aは、判定部51により測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であると判定された場合に、補正部52Aにて補正された位置を測定値とする。
【0075】
図9は、測定機器1Aにおける測定子2の位置と移動速度との関係を示すグラフである。具体的には、図9に示すグラフにおいて、縦軸は、測定子2の位置(μm)であり、横軸は、測定子2の移動速度(mm/sec)である。
ここで、測定子2を構成するステンレスは、振動を約6,000mm/secの速度で伝達する。例えば、スピンドル21の長さL1(図3参照)が100mmである場合、測定対象Wの表面Sに当接面22が当接することで生じる振動である音波Cは、スピンドル21内を約16.7μsecの伝播時間をかけて検知手段4に到達する。
【0076】
図9に示すように、例えば6mm/secの速度で測定子2を移動させた場合、検知手段4が振動である音波Cを検知するまでの伝播時間において、測定子2は、0.1μm移動することになる。このため、測定機器1Aにおいて、測定誤差は約0.1μmとなる。
制御手段5Aは、速度取得部55Aで測定子2の移動速度を取得し、取得した移動速度に基づいて押込量算出部56Aで測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した後に移動した移動量である押込量を算出する。補正部52Aは、測定結果から算出された押込量を基準位置からの位置に演算(加算)することで測定結果である測定値を補正する。制御手段5Aは、補正部52Aにて補正された位置を測定値とする。
【0077】
図10は、測定機器1Aの制御方法を示すフローチャートである。
以下、図10を用いて測定機器1Aの制御方法について説明する。なお、識別手段15による使用者の識別は第1実施形態と同様のため省略する。
先ず、図10に示すように、使用者は、測定対象Wの測定をするために位置測定手段3を操作する。速度取得部55Aは、位置測定手段3により測定される測定子2の変位量から移動速度を取得する速度取得ステップを実行する(ステップST31)。
次に、検知手段4は、当接面22が測定対象Wの表面S(図3参照)に当接した衝撃により生じた振動である音波Cを検知する検知ステップを実行する(ステップST32)。
【0078】
判定部51は、検知ステップ(ステップST32)にて検知された振動が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃により生じた音波Cであるか否かを判定する(ステップST33)。検知された振動が音波Cであると判定された場合(ステップST33でYES)、押込量算出部56Aは、速度取得部55Aにより取得された移動速度と伝播時間とから、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接した後に移動した変位量である押込量を算出する押込量算出ステップを実行する(ステップST34)。検知された振動が音波Cであると判定されなかった場合(ステップST33でNO)、判定部51は、検知ステップ(ステップST32)にて検知された振動が音波Cであると判定されるまで、ステップST33を実行する。
【0079】
そして、補正部52Aは、検知手段4が振動を検知した検知時間における測定子2の位置に押込量算出部56Aにより算出された押込量を演算(加算)することで算出される位置を測定値として補正する補正ステップを実行する(ステップST35)。
制御手段5Aは、位置測定手段3により測定され、補正ステップ(ステップST35)にて補正された位置を測定値とする制御ステップを実行する(ステップST36)。
【0080】
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(7)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(9)補正部52Aは、検知手段4が振動を検知した検知時間における測定子2の位置に押込量算出部56Aにより算出された押込量を演算(加算)することにより算出される位置を測定値とするため、測定子2が測定対象Wの表面Sに当接してから検知手段4が振動を検知するまでの時間に測定子2が移動することで生じ得る誤差を補正することができる。したがって、測定機器1Aは、補正しない場合よりも正確な位置を測定値とすることができる。
【0081】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態を図11から図13に基づいて説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
図11は、第3実施形態に係る測定機器1Bを示す概略図である。
前記第1実施形態では、測定機器1はマイクロメータヘッドであり、前記第2実施形態では、測定機器1Aはマイクロメータであった。
第3実施形態では、図11に示すように、測定機器1Bはノギスである点で前記第1実施形態および前記第2実施形態と異なる。
【0083】
ノギスである測定機器1Bは、位置測定手段3Bとして長尺状の本尺30Bと、本尺30Bの長手方向(X方向)に沿って摺動自在に設けられたスライダ31Bと、を備えている。
本尺30Bは、略T字状に形成され、矩形板状の本尺基礎32Bと、本尺基礎32Bから突出し測定対象W(図3参照)に当接させて測定する測定子2Bである測定ジョウ20Bと、を備えて構成されている。
【0084】
本尺基礎32Bは、本尺基礎32Bの長手方向(X方向)に沿って形成された溝部33Bと、溝部33Bに収納されたスケール板34Bと、本尺基礎32Bの長手方向の一端側(-X方向)の端面に形成された段差測定基準面35Bと、本尺基礎32Bの長手方向の他端側(+X方向)の端面に形成された深度測定基準面36Bと、を備える。
測定ジョウ20Bは、本尺基礎32Bの長手方向の一端側(-X方向)に形成された外側測定ジョウ20Ba(-Z方向)と、外側測定ジョウ20Baの反対側に形成された内側測定ジョウ20Bb(+Z方向)と、で構成されている。
【0085】
スライダ31Bは、測定ジョウ20Bと対になる測定子2Bである測定ジョウ21Bと、深度測定に用いる測定子2Bであるデプスバー23Bと、測定機器1Bの正面に設けられる表示手段10と、を備えている。
測定ジョウ21Bは、スライダ31Bの長手方向の一端側(-X方向)に形成され外側測定ジョウ20Baと対になる外側測定ジョウ21Ba(-Z方向)と、外側測定ジョウ21Baの反対側に形成され内側測定ジョウ20Bbと対になる内側測定ジョウ21Bb(+Z方向)と、で構成されている。
測定機器1Bは、測定子2Bと位置測定手段3Bとを用いて、外側測定と、内側測定と、深度測定と、段差測定と、をすることができる。
【0086】
図12は、測定機器を示すブロック図である。
前記第2実施形態では、記憶手段6Aは、測定子2の位置を記憶していなかった。
第3実施形態における記憶手段6は、第1実施形態の記憶手段6と同様に、測定子2Bの位置と、伝播時間と、判定用振動パターンと、複数の測定に関する振動のパターンと、を記憶する点で前記第2実施形態と異なる。
【0087】
図12に示すように、測定機器1Bにおける制御手段5Bは、補正部52Bを除き、前記第2実施形態の制御手段と略同様の構成を有する。
補正部52Bは、検知手段4が振動を検知した場合に、押込量算出部56Aにより算出された押込量と、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2Bの位置とに基づき測定値を補正する。
制御手段5Bは、判定部51により測定子2Bが測定対象Wの表面Sに当接した場合の振動であると判定された場合に、補正部52Bにて補正された位置を測定値とする。
【0088】
図13は、測定機器1Bの制御方法を示すフローチャートである。
以下、図13を用いて測定機器1Bの制御方法について説明する。具体的には、測定機器1Bの測定子2Bである測定ジョウ20B,21Bの外側測定ジョウ20Ba,21Baを用いた外側測定における制御方法を説明する。また、測定対象Wの表面Sに当接する外側測定ジョウ21Baの面を当接面22Bとし、外側測定ジョウ20Baを当接面22Bに対向して配置される測定機器1Bの外側測定における基準位置として説明する。なお、識別手段15による使用者の識別は第1実施形態と同様のため省略する。
【0089】
先ず、図13に示すように、使用者は、測定対象W(図3参照)の測定をするために位置測定手段3Bであるスライダ31Bを操作し、位置測定ステップを実行する(ステップST41)。このとき、記憶手段6は、所定の周期で測定子2Bの位置を記憶する。
次に、速度取得部55Aは、位置測定手段3Bにより測定される測定子2Bの変位量から移動速度を取得する速度取得ステップを実行する(ステップST42)。
続いて、検知手段4は、当接面22Bが測定対象Wの表面Sに当接した衝撃により生じた振動である音波C(図3参照)を検知する検知ステップを実行する(ステップST43)。
【0090】
判定部51は、検知ステップ(ステップST43)にて検知された振動が測定対象Wの表面Sに当接した衝撃により生じた音波Cであるか否かを判定する(ステップST44)。検知された振動が音波Cであると判定された場合(ステップST44でYES)、押込量算出部56Aは、速度取得部55Aにより取得された移動速度と伝播時間とから、測定子2Bが測定対象Wの表面Sに当接した後に移動した押込量を算出する押込量算出ステップを実行する(ステップST45)。検知された振動が音波Cであると判定されなかった場合(ステップST44でNO)、判定部51は、検知ステップ(ステップST43)にて検知された振動が音波Cであると判定されるまで、ステップST44を実行する。
【0091】
そして、補正部52Bは、押込量算出部56Aにより算出された押込量と、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2Bの位置とに基づき測定値を補正する補正ステップを実行する(ステップST46)。制御手段5Bは、位置測定手段3Bにより測定され、補正ステップ(ステップST46)にて補正された位置を測定値とする制御ステップを実行する(ステップST47)。
【0092】
このような第3実施形態においても、前記第1実施形態における(1)~(7)と同様の作用、効果を奏することができる他、以下の作用、効果を奏することができる。
(10)補正部52Bは、検知手段4が振動を検知した場合に、押込量算出部56Aにより算出された押込量と、検知手段4が振動を検知した時間から伝播時間分だけ前に記憶手段6に記憶された測定子2Bの位置とに基づき測定値を補正するため、測定子2Bが測定対象Wの表面Sに当接してから検知手段4が振動を検知するまでの時間に測定子2Bが移動することで生じ得る誤差を補正することができる。したがって、測定機器1Bは、補正しない場合よりも正確な位置を測定値とすることができる。
【0093】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記第1実施形態では、測定機器1はマイクロメータヘッドであり、前記第2実施形態では、測定機器1Aはマイクロメータであり、前記第3実施形態では、測定機器1Bはノギスであったが、測定機器は、測定対象の表面に測定子を当接させ、測定子の位置から測定値を算出する測定機器であれば、検出器の形式や検出方式等は特に限定されるものではない。
【0094】
前記各実施形態では、測定機器1,1A~1Bは、パターン算出部53と更新部54とを用いて判定用振動パターンを学習していたが、判定用振動パターンはあらかじめ記憶手段に記憶されていてもよく、パターン算出部と更新部とを用いて学習をしなくてもよい。
また、前記各実施形態では、判定部51は、判定用振動パターンを用いて判定を実行していたが、制御手段は、判定部を備えていなくてもよく、検知手段4が振動を検知したら、その際の基準位置からの測定子の位置を測定値としてもよい。
【0095】
前記第2実施形態では、補正部52Aは、検知手段4が振動を検知した検知時間における測定子2の位置に押込量算出部56Aにより算出された押込量を加算することで算出される位置を測定値として補正していたが、補正部は、検知手段が振動を検知した検知時間における測定子の位置に押込量算出部により算出された押込量を減算することで算出される位置を測定値としてもよい。要するに、補正部は、検知手段が振動を検知した場合に、検知手段が振動を検知した検知時間における測定子の位置から押込量算出部により算出された押込量を演算することで算出される位置を測定値として補正することができれば、どのような演算を実行してもよい。
【0096】
前記各実施形態では、測定機器1,1A~1Bは、抽出手段7と反映手段8とを用いて使用パターンの学習をしていたが、測定機器は、使用パターンを学習しなくてもよい。また、前記各実施形態では、フィードバック手段9は、判定部51の判定と、抽出手段7により抽出された使用パターンと、に基づいて位置測定手段3による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達していたが、フィードバック手段は、判定部51の判定に加えてその他の情報に基づき使用者に評価を伝達してもよいし、判定部51の判定のみに基づき使用者に評価を伝達してもよい。要するに、フィードバック手段は、少なくとも判定部による判定に基づいて位置測定手段による測定が正しく実行されているか否かの評価を使用者に伝達することができればよい。また、測定機器は、フィードバック手段を備えていなくてもよい。
前記各実施形態では、測定機器1,1A~1Bは、識別手段15を備えていたが、測定機器は識別手段を備えていなくてもよい。
【0097】
要するに、測定機器は、測定方向において基準位置に対する前記測定子の位置を測定する位置測定手段と、測定子が測定対象の表面に当接した衝撃から生じる振動を検知する検知手段と、検知手段が振動を検知した場合に、位置測定手段により測定された位置を測定値とする制御手段と、を備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上のように、本発明は、測定機器および測定機器の制御方法に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0099】
1,1A~1B 測定機器
2,2B 測定子
3,3B 位置測定手段
4 検知手段
5,5A~5B 制御手段
52,52A~52B 補正部
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