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特開2022-176803固体電解質材料、その製造方法及び電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022176803
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】固体電解質材料、その製造方法及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20221122BHJP
【FI】
H01M10/0562
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083422
(22)【出願日】2021-05-17
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100145104
【弁理士】
【氏名又は名称】膝舘 祥治
(72)【発明者】
【氏名】以西 健人
(72)【発明者】
【氏名】森本 譲太
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 友興
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙一
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK04
5H029AK05
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM12
5H029CJ02
5H029DJ17
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ14
(57)【要約】
【課題】電池における抵抗値を低減することができる固体電解質材料を提供する。
【解決手段】リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物と、リン酸リチウムと、硫酸イオンとを含む固体電解質材料である。固体電解質材料においては、硫酸イオンの含有量が0.5質量%以上である。また固体電解質材料は、X線回折パターンにおいて、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で測定した場合に、回折角2θの値が21°以上23°未満の範囲に第1ピークが観測され、さらに回折角2θの値が25°以上27°未満の範囲に第2ピークが観測され、第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比が、0.03以上0.15未満である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムを含む化合物、リン及び硫黄を含む化合物、金属硫酸塩並びに金属リン酸塩を含む混合物を得ることと、
前記混合物を熱処理して硫酸イオン及びリン酸リチウムを含む熱処理物を得ることと、を含み、
前記リチウムを含む化合物は、硫化リチウム、酸化リチウム及び炭酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種を含み、
前記混合物は、前記金属リン酸塩の含有量が15.0質量%未満である固体電解質材料の製造方法。
【請求項2】
前記混合物は、塩素を含む化合物を更に含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記リン及び硫黄を含む化合物は、三硫化二リン及び五硫化二リンの少なくとも一方を含む請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記リチウムを含む化合物が硫化リチウムを含み、前記リン及び硫黄を含む化合物が五硫化二リンを含み、前記塩素を含む化合物が塩化リチウムを含み、前記金属硫酸塩が硫酸リチウムを含み、前記金属リン酸塩がリン酸リチウムを含む請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記混合物は、前記金属硫酸塩の含有量が1.0質量%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記混合物は、前記金属硫酸塩の含有量が0.7質量%以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記混合物は、前記金属リン酸塩の含有量が10.0質量%以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記混合物の熱処理を400℃以上の温度で行う請求項1から7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物と、リン酸リチウムと、硫酸イオンと、を含み、
前記硫酸イオンの含有量が0.5質量%以上であり、
X線回折パターンにおいて、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で測定した場合に、回折角2θの値が21°以上23°未満の範囲に第1ピークが観測され、さらに回折角2θの値が25°以上27°未満の範囲に第2ピークが観測され、前記第2ピークの強度に対する前記第1ピークの強度の比が、0.03以上0.15未満である固体電解質材料。
【請求項10】
前記硫酸イオンの含有量が1.0質量%以下である請求項9に記載の固体電解質材料。
【請求項11】
前記硫化物が塩素を更に含む請求項9又は10に記載の固体電解質材料。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか1項に記載の固体電解質材料を含む固体電解質と、正極と、負極とを備える電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体電解質材料、その製造方法及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電解質として固体電解質を用いた、より安全性に優れる全固体リチウムイオン二次電池が望まれている。固体電解質としては、リチウムと金属元素と酸素を含む酸化物系固体電解質、リチウムとリンと硫黄を含む硫化物系固体電解質、リチウムと金属元素とハロゲンを含むハロゲン系固体電解質等が挙げられる。これらのうち、硫化物系固体電解質としてアルジロダイト型構造を有する硫化物がイオン伝導率の高さ、製造コストの面から注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、X線回折測定において、LiPSに該当するピークと、LiPOに該当するピークを有する固体電解質材料であって、Liイオン伝導性が高く、熱安定性が高い材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-33858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の一態様は、電池における抵抗値を低減することができる固体電解質材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、リチウムを含む化合物、リン及び硫黄を含む化合物、金属硫酸塩並びに金属リン酸塩を含む混合物を得ることと、混合物を熱処理して硫酸イオン及びリン酸リチウムを含む熱処理物を得ることと、を含む固体電解質材料の製造方法である。製造方法におけるリチウムを含む化合物は、硫化リチウム、酸化リチウム及び炭酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む。また製造方法における混合物は、金属リン酸塩の含有量が15.0質量%未満である。
【0007】
第二態様は、リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物と、リン酸リチウムと、硫酸イオンとを含む固体電解質材料である。固体電解質材料は、硫酸イオンの含有量が0.5質量%以上である。固体電解質材料は、X線回折パターンにおいて、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で測定した場合に、回折角2θの値が21°以上23°未満の範囲に第1ピークが観測され、さらに回折角2θの値が25°以上27°未満の範囲に第2ピークが観測され、第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比が、0.03以上0.15未満である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、電池における抵抗値を低減することができる固体電解質材料及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電池1000の概略構成を示す断面図である。
図2】電池特性評価の測定セルの概略構成を示す断面図である。
図3】実施例1及び比較例1に係る固体電解質材料のX線回折(XRD)パターンである。
図4】実施例2、実施例3及び実施例4に係る固体電解質材料のXRDパターンである。
図5】比較例2、比較例3及び比較例4に係る固体電解質材料のXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、当該数値を任意に選択して組み合わせることが可能である。以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための、固体電解質材料、その製造方法及び電池を例示するものであって、本発明は、以下に示す固体電解質材料、その製造方法及び電池に限定されない。
【0011】
固体電解質材料の製造方法
固体電解質材料の製造方法は、リチウムを含む化合物、リン及び硫黄を含む化合物、金属硫酸塩並びに金属リン酸塩を含む混合物を得る準備工程と、準備した混合物を熱処理して硫酸イオン及びリン酸リチウムを含む熱処理物を得る熱処理工程と、を含む。混合物に含まれるリチウムを含む化合物は、硫化リチウム、酸化リチウム及び炭酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む。また混合物における金属リン酸塩の含有量は15.0質量%未満である。
【0012】
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物を含む固体電解質材料を製造する際に、金属リン酸塩に加えて、金属硫酸塩を所定量で添加することで、製造される固体電解質材料を用いて構成される電池における抵抗値が低減される。これは例えば、固体電解質材料中に所定量の硫酸イオンとリン酸リチウムとが存在することで、リチウムイオンの伝導性が向上するためと考えることができる。
【0013】
準備工程
準備工程では、リチウムを含む化合物、リン及び硫黄を含む化合物、金属硫酸塩並びに金属リン酸塩を含む混合物を得る。また混合物は、塩素を含む化合物をさらに含んでいてもよい。混合物は、例えば固体電解質材料の原料組成物であってよい。
【0014】
リチウムを含む化合物としては、硫化リチウム(例えば、LiS)、酸化リチウム(例えば、LiO)、炭酸リチウム(例えば、LiCO)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくとも硫化リチウムを含んでいてよい。
【0015】
混合物におけるリチウムを含む化合物の含有量は、例えば、リン及び硫黄を含む化合物1モルに対して3モル以上7モル以下であってよく、好ましくは3.1モル以上5モル以下であってよく、より好ましくは3.3モル以上4.3モル以下であってよい。ここでリチウムを含む化合物の含有量には、後述する金属硫酸塩、金属リン酸塩及び塩素を含む化合物は含まれない。
【0016】
リン及び硫黄を含む化合物は、例えばリン-硫黄結合を有する化合物であってよい。リン及び硫黄を含む化合物としては、三硫化二リン(例えば、P)、五硫化二リン(例えば、P)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくとも五硫化二リンを含んでいてよい。
【0017】
金属硫酸塩は、例えばアルカリ金属硫酸塩であってよい。金属硫酸塩としては、硫酸リチウム(例えば、LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくとも硫酸リチウムを含んでいてよい。
【0018】
混合物における金属硫酸塩の含有量は、混合物に対して例えば1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.7質量%以下、0.6質量%以下、又は0.55質量%以下であってよい。また、金属硫酸塩の含有量の下限は、混合物に対して例えば0.01質量%以上であってよく、好ましくは0.1質量%以上、0.2質量%以上、又は0.4質量%以上であってよい。金属硫酸塩の含有量が上記範囲であることで、製造される固体電解質材料のリチウムイオン伝導性がより向上し、電池抵抗がより低減されて電池特性がより向上する傾向がある。
【0019】
金属リン酸塩は、例えばアルカリ金属リン酸塩であってよい。金属リン酸塩としては、リン酸リチウム(例えば、LiPO)、リン酸ナトリウム(NaPO)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくともリン酸リチウムを含んでいてよい。
【0020】
混合物における金属リン酸塩の含有量は、混合物に対して例えば15.0質量%以下であってよく、好ましくは10.0質量%以下、7.0質量%以下、5.0質量%以下、又は3.0質量%以下であってよい。また、金属リン酸塩の含有量の下限は、混合物に対して例えば0.1質量%以上であってよく、好ましくは0.5質量%以上、又は1.0質量%以上であってよい。金属リン酸塩の含有量が上記範囲内であると、製造される固体電解質材料の電池抵抗がより低減される傾向がある。
【0021】
塩素を含む化合物は、例えば金属塩化物であってよく、好ましくはアルカリ金属塩化物であってよい。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)等を挙げることができる。塩素を含む化合物として具体的には、塩化リチウム(例えば、LiCl)、塩化ナトリウム(例えば、NaCl)、塩化カリウム(例えば、KCl)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくとも塩化リチウムを含んでいてよい。
【0022】
混合物における塩素を含む化合物の含有量は、例えば、リン及び硫黄を含む化合物1モルに対して0モル以上3.9モル以下であってよく、好ましくは1モル以上3.7モル以下、より好ましくは、2.9モル以上3.5モル以下であってよい。混合物における塩素を含む化合物の含有量が上記範囲内であると、後述の内部抵抗低減の効果がより大きくなる傾向がある。
【0023】
塩素を含む化合物の一部は、臭素を含む化合物に置換されてもよい。臭素を含む化合物は、例えば金属臭化物であってよく、好ましくはアルカリ金属臭化物であってよい。アルカリ金属としては、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)等を挙げることができる。臭素を含む化合物として具体的には、臭化リチウム(例えば、LiBr)、臭化ナトリウム(例えば、NaBr)、臭化カリウム(例えば、KBr)等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、好ましくは、少なくとも臭化リチウムを含んでいてよい。塩素を含む化合物の一部が、臭素を含む化合物に置換される場合、臭素を含む化合物の含有量は、塩素を含む化合物1モルに対して、0モルより大きく1モル未満であってよく、好ましくは0.5モル以下であってよく、より好ましくは0.1モル以下であってよい。臭素を含む化合物の塩素を含む化合物に対する含有量の下限は、例えば0.001モル以上であってよい。また、塩素を含む化合物の一部が、臭素を含む化合物に置換される場合、塩素を含む化合物と臭素を含む化合物の合計量がリン及び硫黄を含む化合物1モルに対して0モル以上3.9モル以下であってよく、好ましくは1モル以上3.7モル以下であってよく、より好ましくは、2.9モル以上3.5モル以下であってよい。
【0024】
混合物では、塩素を含む化合物の一部が、塩素及び臭素以外のハロゲン原子を含む化合物に置換されていてもよい。塩素及び臭素以外のハロゲン原子を含む化合物に含まれるハロゲン原子としては、フッ素、ヨウ素が挙げられ、これらのうち少なくとも一方を含んでいてよい。塩素及び臭素以外のハロゲン原子を含む化合物は、例えば金属ハロゲン化物を含んでいてよく、好ましくはアルカリ金属ハロゲン化物を含んでいてよく、少なくともハロゲン化リチウムを含んでいてよい。
【0025】
混合物が塩素及び臭素以外のハロゲン原子を含む化合物を含む場合、混合物における塩素及び臭素以外のハロゲン原子を含む化合物の含有量は、例えば、塩素を含む化合物1モルに対して0モルより大きく0.1モル以下であってよく、好ましくは0モルより大きく0.05モル以下であってよい。
【0026】
混合物は、リチウムを含む化合物、リン及び硫黄を含む化合物、金属硫酸塩、金属リン酸塩並びに必要に応じて塩素を含む化合物を、それぞれ所望の含有量となるように秤量し、混合することで調製することができる。例えば、混合物におけるリン及び硫黄を含む化合物に対する、リチウムを含む化合物及び塩素を含む化合物の総モル含有比は、例えば3以上8以下であってよく、好ましくは、5以上7.8以下、より好ましくは6以上7.5以下であってよい。
【0027】
各原料を混合する混合方法としては、例えば、高速せん断ミキサー、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、遊星ボールミル等の機械的応力を付与することができる混合方法を挙げることができる。
【0028】
熱処理工程
熱処理工程では、準備した混合物を熱処理して、硫酸イオン及びリン酸リチウムを含む熱処理物を得る。熱処理物には、リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物が含まれていてよく、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物は結晶相を含んでいてよい。硫化物が結晶相を含む場合、LiPSで表される組成を有する結晶相を含んでいてよい。
【0029】
混合物の熱処理温度は、例えば400℃以上であってよく、好ましくは450℃以上、又は500℃以上であってよい。また熱処理温度の上限は、例えば1000℃以下であってよく、好ましくは800℃以下、又は600℃以下であってよい。熱処理の時間は、例えば1時間以上20時間以下であってよく、好ましくは5時間以上15時間以下である。熱処理の雰囲気は、例えば、窒素ガス、希ガス等の不活性ガス雰囲気であってもよく、減圧下で熱処理を行ってもよい。
【0030】
固体電解質材料
固体電解質材料は、リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物と、リン酸リチウムと、硫酸イオンとを含む。固体電解質材料は、X線回折パターンにおいて、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で測定した場合に、回折角2θの値が21°以上23°未満の範囲に第1ピークが観測され、さらに回折角2θの値が25°以上27°未満の範囲に第2ピークが観測される。さらに第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比は、例えば0.03以上0.15未満であってよい。固体電解質材料に含まれる硫酸イオンの含有量は、固体電解質材料に対して例えば、0.5質量%以上であってよい。
【0031】
固体電解質材料が、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物に加えて、リン酸リチウム及び硫酸イオンを含むことで、リチウムイオンの伝導性が向上する。また、電池を構成する場合に内部抵抗が低減され、優れた電池特性を示すことができる。これは、例えば以下のように考えることができる。アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物を固体電解質とする際、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物よりリチウム濃度が高いリン酸リチウムが固体電解質の粒子表面に存在することで、リチウムイオンの拡散性が向上し、電池抵抗が改善されると考えられる。また、アルジロダイト型結晶構造は、LiS-LiPS-LiSという構造からなるが、近傍に硫酸リチウムが存在すると、その一部がLiPSと置き換わって固溶していると考えられる。これにより固体電解質中にリチウム欠損が起こり、空のリチウムサイトができるため、より固体電解質中のリチウムの移動が起こりやすくなると考えられる。なお、固体電解質材料が塩化リチウムを含む場合、塩化リチウムの一部がLiSと置き換わって固溶してリチウム欠損が起こり、空のリチウムサイトを形成すると考えられる。このようにLiSとLiPSのそれぞれのユニットが置き換えられることでリチウムイオン伝導性が相乗的に向上すると考えられる。
【0032】
固体電解質材料は、リチウム、リン及び硫黄を組成に含み、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物を含む。固体電解質材料を構成する硫化物は、例えばLiPSで表される組成を有する結晶相を含んでいてよい。硫化物におけるLiPSで表される組成を有する結晶相の存在は、例えば、X線回折(XRD)測定によって確認することができる。具体的には、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で固体電解質材料についてXRD測定する場合、LiPSで表される組成を有する結晶相に対応するピークは、通常、2θ=25.7°、30.2°、31.6°、45.3°、48.2°、52.7°の位置に現れる。
【0033】
硫化物の組成におけるリチウムの含有量は、例えば、リン1モルに対して4モル以上7モル以下であってよく、好ましくは5モル以上6モル以下であってよい。また、硫化物の組成における硫黄の含有量は、例えば、リン1モルに対して3モル以上6モル以下であってよく、好ましくは4モル以上5モル以下であってよい。
【0034】
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物は、その組成にハロゲンを含んでいてもよい。ハロゲンを含むことでリチウムイオン伝導性がより向上する傾向がある。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよく、塩素及び臭素の一方を含んでいてよく、少なくとも塩素を含んでいてよい。塩素を含むことで、化学的安定性のより高い硫化物固体電解質とできる傾向がある。
【0035】
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物が組成にハロゲンを含む場合、硫化物の組成におけるハロゲンの含有量は、例えば、リン1モルに対して0モルより大きく2モル以下であってよく、好ましくは1モル以上2モル以下であってよく、より好ましくは1.4モル以上1.8モル以下であってよい。アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物の組成に含まれるハロゲンが上記範囲であることで、硫化物のリチウムイオン伝導性がより向上しやすい傾向がある。
【0036】
固体電解質材料は、アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物に加えて、リン酸リチウムを含む。固体電解質材料におけるリン酸リチウムの存在は、X線回折パターンを用いて評価することができる。具体的には、波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線をX線源としてθ-2θ法で固体電解質材料についてXRD測定する場合、リン酸リチウム(例えば、LiPO)に対応するピークは、通常、2θ=22.3°、23.2°、24.8°、33.9°、36.6°の位置に現れる。
【0037】
アルジロダイト型結晶構造を有する硫化物に加えて、リン酸リチウムを含む固体電解質材料は、CuKα線をX線源とするX線回折パターンにおいて、リン酸リチウム(例えば、LiPO)に対応する第1ピークと、LiPSで表される組成を有する結晶相に対応する第2ピークとを有していてよい。第1ピークは、例えば回折角2θの値が21°以上23°未満であってよく、約22.3°であってよい。第2ピークは、例えば回折角2θの値が25°以上27°未満であってよく、約25.7°であってよい。
【0038】
固体電解質材料が含むリン酸リチウムの含有量は例えば、X線回折パターンを用いて評価することができる。具体的には、第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比(以下、単に「ピーク強度比」ともいう)によって評価することができる。固体電解質材料は、第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比が、例えば0.03以上0.15未満であってよく、好ましくは0.04以上、又は0.045以上であってよく、また好ましくは0.10以下、又は0.06以下であってよい。リン酸リチウムの含有量に対応するピーク強度比が上記範囲内であると、電池抵抗がより低減される傾向がある。
【0039】
固体電解質材料は硫酸イオンを含む。固体電解質材料に含まれる硫酸イオンの含有量は、固体電解質材料に対して例えば、0.5質量%以上であってよいが、好ましくは0.54質量%以上である。また硫酸イオンの含有量の上限は、固体電解質材料に対して例えば、1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.8質量%以下である。硫酸イオンが上記範囲内の含有量で存在することで、リチウムイオン伝導性がより向上し、電池抵抗がより低減されて電池特性がより向上する傾向がある。
【0040】
固体電解質材料に含まれる硫酸イオンの含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)により測定される。
【0041】
固体電解質材料の組成は、リチウム原子の組成比が、例えばリン1モルに対して4モル以上7モル以下であってよく、好ましくは5モル以上6モル以下であってよい。また、硫黄原子の組成比が、例えばリン1モルに対して3モル以上6モル以下であってよく、好ましくは4モル以上5モル以下であってよい。また、酸素原子の組成比が、例えばリン1モルに対して0モル以上4モル以下であってよく、好ましくは0.1モル以上2.0モル以下であってよい。また、ハロゲン原子の組成比が、例えばリン1モルに対して0モル以上2モル未満であってよく、好ましくは1.4モル以上1.8モル以下であってよい。
【0042】
固体電解質材料は、例えば、下記式(I)で表される組成を有していてもよい。
LiPS (I)
式(I)中、r、s、t、uはそれぞれ、4≦r≦7、3≦s≦6、0≦t≦4及び0≦u<2であり、XはF、Cl、Br、Iからなる群から選択される少なくとも1種であってよい。好ましくは、5≦r≦6、4≦s≦5、0.1≦t≦2及び1.4≦u≦1.8であってよく、XはBr、Clの少なくとも一方であってよい。
【0043】
電池
電池は、上記の固体電解質材料を含む電解質と、正極と、負極とを備えて構成される。電解質は正極と負極との間に配置される電解質層を形成していてよい。ここで電池の構成例を、図面を参照して説明する。図1は電池1000の概略構成を示す断面図である。電池1000は、正極201及び負極203と、正極201及び負極203の間に配置される電解質層202とを備える。正極201は正極活物質204を含む正極活物質層を備える。正極201を構成する正極活物質層は正極活物質204に加えて、導電助剤、固体電解質材料100等を含んでいてよい。また、正極201は集電体と集電体に接続するリードを備えていてよい。負極203は負極活物質205を含む負極活物質層を備える。負極203を構成する負極活物質層は負極活物質205に加えて、導電助剤、固体電解質材料100等を含んでいてよい。また、負極203は集電体と集電体に接続するリードを備えていてよい。電解質層202は固体電解質材料を含んで構成される。また電池の一例としては、リチウムイオン電池であり、全固体二次電池であってよい。
【0044】
本明細書におけるリチウムイオン電池は、正極にリチウム遷移金属複合酸化物を用いたリチウムイオン二次電池、負極にリチウムを吸蔵放出する材料を用いたリチウム硫黄電池を含む。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例については、例えば、国際公開第2017/141735号明細書の第0066段落(米国公開特許公報第2018/0309167号明細書の第0152段落から第0156段落)等を参照することができる。またリチウムを吸蔵放出する材料としては、国際公開第2015/056564号明細書の第0058段落(米国公開特許公報第2016/0254529号明細書の第0070段落)などを参照することができる。
【0045】
正極活物質204には、例えばリチウム遷移金属複合酸化物が用いられ、上述した公報に記載の層状岩塩型構造を有する遷移金属酸化物、スピネル型構造を有する遷移金属酸化物等を適用することができる。また、正極活物質204には、リチウム含有遷移金属リン酸化合物、リチウム含有遷移金属ハロゲン化リン酸化合物及びリチウム含有遷移金属ケイ酸化合物のほか、遷移金属フッ化物、遷移金属硫化物、遷移金属オキシフッ化物、遷移金属オキシ硫化物、遷移金属オキシ窒化物なども用いられる。リチウム硫黄電池の場合には、正極活物質として単体の硫黄などを用いることができる。
【0046】
正極活物質204の平均粒径は、例えば0.1μm以上30μm以下であってよい。正極活物質204の平均粒径が30μm以下であると、正極活物質204内におけるリチウム拡散が遅くなり過ぎず、電池の高出力での動作がより容易になる可能性がある。正極活物質層の厚みは、例えば10μm以上500μm以下であってよい。正極活物質層の厚みが10μm以上であれば、十分な電池のエネルギー密度の確保がより容易になる可能性がある。また、正極活物質層の厚みが500μm以下であれば、高出力での動作が容易になる可能性がある。
【0047】
正極活物質204の平均粒径は、固体電解質材料100の平均粒径よりも大きくてもよい。これにより、正極活物質層において正極活物質204と固体電解質材料とが良好な分散状態を形成できる。
【0048】
正極活物質層に含まれる、正極活物質204及び固体電解質材料100の体積和に対する正極活物質204の体積比率は、例えば30%以上95%以下であってよい。体積比率が30%以上であると、電池のエネルギー密度を充分に確保することができる。また、体積比率が95%以下であると、高出力での動作がより容易になる可能性がある。
【0049】
電解質層202は、上記の固体電解質材料を含む固体電解質層であってよい。固体電解質層の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であってよい。固体電解質層の厚みが1μm以上であれば、正極201と負極203との短絡を抑制することができる。また、固体電解質層の厚みが100μm以下であれば、高出力での動作がより容易になる可能性がある。
【0050】
負極活物質205は、リチウムイオン等の金属イオンを吸蔵・放出可能な特性を有する材料を含んで構成される。負極活物質205として具体的には、金属材料、炭素材料などが使用される。金属材料は単体の金属または合金であってもよい。金属材料の例として、リチウム金属、リチウム合金などが挙げられる。炭素材料の例として、天然黒鉛、コークス、黒鉛化途上炭素、炭素繊維、球状炭素、人造黒鉛、非晶質炭素などが挙げられる。
【0051】
負極活物質205の平均粒径は、例えば0.1μm以上100μm以下であってよい。負極活物質205の平均粒径が0.1μm以上であると、負極活物質層において負極活物質205と固体電解質材料100とが、良好な分散状態を形成できる可能性がある。これにより、電池の充放電特性が低下することを抑制することができる。また、負極活物質205の平均粒径が100μm以下であると、負極活物質205内におけるリチウム拡散が遅くなりすぎず、電池の高出力での動作がより容易になる可能性がある。
【0052】
負極活物質205の平均粒径は、固体電解質材料100の平均粒径よりも大きくてもよい。これにより、負極活物質層において負極活物質205と固体電解質材料とが良好な分散状態を形成できる。
【0053】
負極活物質層に含まれる、負極活物質205及び固体電解質材料100の体積和に対する負極活物質205の体積比率は、例えば30%以上95%以下であってよい。体積比率が30%以上であると、電池のエネルギー密度を充分に確保することができる。また、体積比率が95%以下であると、高出力での動作がより容易になる可能性がある。
【0054】
正極201及び負極203のうちの少なくとも一方は必要に応じて導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤は、電池の電気抵抗を低減するために用いられる。導電助剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボン類などが挙げられる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0056】
実施例1
露点-50℃以下の乾燥雰囲気下で、原材料LiS、P、LiCl、LiSO、LiPOを、モル比でLiS:P:LiCl:LiSO:LiPO=3.74:1:3.28:0.03:0.05となるように秤量した。これらをアブソリュートミルで粉砕、混合して混合物を得た。得られた混合物をルツボに充填し、石英製の密閉容器に入れた。密閉容器には炭素パッキンを挟み、3.4Nmのトルクで締めた。密閉容器を窒素雰囲気下で500℃、8時間熱処理して、実施例1の固体電解質材料の粉末を得た。実施例1の固体電解質材料は、Li5.5PS4.20.1Cl1.7で表される組成を有していた。また、混合物におけるLiSOの含有率(質量%)を表1に示した。
【0057】
実施例2
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiSO:LiPO=3.76:1:3.43:0.03:0.14となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の固体電解質材料の粉末を得た。実施例2の固体電解質材料は、Li5.5PS4.00.5Cl1.6で表される組成を有していた。
【0058】
実施例3
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiSO:LiPO=3.90:1:3.68:0.025:0.25となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の固体電解質材料の粉末を得た。実施例3の固体電解質材料は、Li5.4PS3.60.9Cl1.6で表される組成を有していた。
【0059】
実施例4
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiSO:LiPO=3.65:1:3.43:0.04:0.14となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の固体電解質材料の粉末を得た。実施例4の固体電解質材料は、Li5.2PS3.90.6Cl1.6で表される組成を有していた。
【0060】
比較例1
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl=3.8:1:3.2となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の固体電解質材料の粉末を得た。比較例1の固体電解質材料は、Li5.4PS4.4Cl1.6で表される組成を有していた。
【0061】
比較例2
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiSO=3.84:1:3.22:0.03となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の固体電解質材料の粉末を得た。比較例2の固体電解質材料は、Li5.3PS4.350.05Cl1.6で表される組成を有していた。
【0062】
比較例3
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiPO=3.92:1:3.23:0.30となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、比較例3の固体電解質材料の粉末を得た。比較例3の固体電解質材料は、Li5.2PS3.90.5Cl1.4で表される組成を有していた。
【0063】
比較例4
混合物における原材料のモル比がLiS:P:LiCl:LiSO:LiPO=3.85:1:3.99:0.03:0.5となるように秤量したこと以外は実施例1と同様にして、比較例4の固体電解質材料の粉末を得た。比較例4の固体電解質材料は、Li5.0PS3.11.4Cl1.4で表される組成を有していた。
【0064】
評価
結晶構造解析
固体電解質材料の結晶構造の解析は、露点-50℃で密閉セルに詰めた試料を、X線回折装置(RIGAKU社製、SmartLab)を用いてX線回折パターンを測定して行った。X線源については波長0.15405nm及び0.15444nmであるCuKα線を用いた。
【0065】
得られたX線回折パターンにおいて、LiPOに対応する第1ピークとして2θ=22.3°のピークを、LiPSに対応する第2ピークとして2θ=25.7°のピークを選択し、第2ピークの強度に対する第1ピークの強度の比(ピーク強度比)を算出した。結果を表1に示す。
【0066】
実施例1及び比較例1で得られた固体電解質材料のXRDパターンを図3に示す。図3に示されるように実施例1及び比較例1の固体電解質材料には、LiPSに該当するピーク(2θ=、25.7°、30.2°、31.6°、45.3°、48.2°、52.7°)が確認された。また実施例1の固体電解質材料には、LiPOに該当するピーク(2θ=22.3°、23.2°、24.8°、33.9°、36.6°)が確認された。
【0067】
実施例2、実施例3及び実施例4で得られた固体電解質材料のXRDパターンを図4に示す。図4に示されるように実施例2、実施例3及び実施例4の固体電解質材料には、LiPSに該当するピーク(2θ=、25.7°、30.2°、31.6°、45.3°、48.2°、52.7°)と、LiPOに該当するピーク(2θ=22.3°、23.2°、24.8°、33.9°、36.6°)が確認された。
【0068】
比較例2、比較例3及び比較例4で得られた固体電解質材料のXRDパターンを図5に示す。図5に示されるように比較例2、比較例3及び比較例4の固体電解質材料には、LiPSに該当するピーク(2θ=、25.7°、30.2°、31.6°、45.3°、48.2°、52.7°)が確認され、比較例3及び比較例4で得られた固体電解質材料のXRDパターンにはさらに、LiPOに該当するピーク(2θ=22.3°、23.2°、24.8°、33.9°、36.6°)が確認された。
【0069】
硫酸イオン含有量
実施例及び比較例で得られたそれぞれの固体電解質材料の粉末について、酢酸亜鉛で処理することで硫黄を硫化亜鉛として取り除いてから、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP発光分光分析法)を用いて硫酸イオン(SO 2-)の含有量を測定した。結果を表1に示す。
【0070】
電池特性の評価
充放電特性
露点-50℃以下の乾燥雰囲気下で、図2に示す冶具を用いて310MPaで加圧し、実施例及び比較例で得られたそれぞれの固体電解質材料を押し固めた。その後、パンチ上部303を抜いて、正極材と上記の固体電解質材料と導電助剤を混ぜた合剤を詰めて、310MPaで加圧した。その後、パンチ下部302を抜いて、Li負極を詰めて310MPaで加圧して電池を作製した。作製した電池をポテンショスタッドに繋いで、充電容量および放電容量を測定した。測定された充電容量で放電容量を除して効率(%)を算出した。結果を表1に示す。
【0071】
電池抵抗
上記で作製した電池について、インピーダンス測定装置(キーサイト製、インピーダンスアナライザーE4990A))を用いて20Hzから120MHzの範囲の周波数で電池抵抗(Ω)を測定した。結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1に示すように、実施例1から実施例4の固体電解質材料を用いて作製した電池では、電池抵抗が低減された。
【符号の説明】
【0074】
1000 電池
100 固体電解質材料
201 正極
202 電解質層
203 負極
204 正極活物質
205 負極活物質
300 加圧成形用ダイス
301 枠型
302 パンチ下部
303 パンチ上部
図1
図2
図3
図4
図5