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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177056
(43)【公開日】2022-11-30
(54)【発明の名称】焦点検出装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/28 20210101AFI20221122BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20221122BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20221122BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221122BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221122BHJP
【FI】
G02B7/28 Z
G02B7/34
G03B13/36
H04N5/225 300
H04N5/232 120
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138985
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2020531388の分割
【原出願日】2019-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2018137262
(32)【優先日】2018-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】喜多 祐起
(72)【発明者】
【氏名】木下 朗
(57)【要約】      (修正有)
【課題】焦点検出精度を向上する。
【解決手段】焦点検出装置は、光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷に基づく焦点検出に用いる信号を出力する画素であって、前記光電変換部が光を受光する幅が互いに異なることにより光を受光する面積が互いに異なる第1画素と第2画素とを有する撮像部と、像面における位置と前記光学系の射出瞳距離とに関する第1情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記第1情報に基づいて、第1画素から出力された信号に基づく第1焦点検出または第2画素から出力された信号に基づく第2焦点検出を選択する選択部と、前記選択部による選択に基づいて、前記第1焦点検出または前記第2焦点検出を行う焦点検出部と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷に基づく焦点検出に用いる信号を出力する画素であって、前記光電変換部が光を受光する幅が互いに異なることにより光を受光する面積が互いに異なる第1画素と第2画素とを有する撮像部と、
像面における位置と前記光学系の射出瞳距離とに関する第1情報が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記第1情報に基づいて、第1画素から出力された信号に基づく第1焦点検出または第2画素から出力された信号に基づく第2焦点検出を選択する選択部と、
前記選択部による選択に基づいて、前記第1焦点検出または前記第2焦点検出を行う焦点検出部と、
を備える焦点検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類のAF画素対から、レンズの射出瞳位置に応じたAF画素対を選択して、焦点検出を行う撮像装置が知られている(特許文献1)。従来から焦点検出精度の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2009-204987号公報
【発明の概要】
【0004】
発明の第1の態様によると、焦点検出装置は、光学系を透過した光を光電変換して電荷を生成する光電変換部を有し、前記光電変換部で生成された電荷に基づく焦点検出に用いる信号を出力する画素であって、前記光電変換部が光を受光する幅が互いに異なることにより光を受光する面積が互いに異なる第1画素と第2画素とを有する撮像部と、像面における位置と前記光学系の射出瞳距離とに関する第1情報が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記第1情報に基づいて、第1画素から出力された信号に基づく第1焦点検出または第2画素から出力された信号に基づく第2焦点検出を選択する選択部と、前記選択部による選択に基づいて、前記第1焦点検出または前記第2焦点検出を行う焦点検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図2】第1の実施の形態に係る撮像装置の撮像面の焦点検出領域を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る撮像装置の焦点検出領域内の画素の配置例を示す図である。
図4】第1の実施の形態に係る撮像装置における画素の構成例を示す図である。
図5】第1の実施の形態に係る撮像装置における中央の領域に配置される3種類のAF画素対を示す断面図である。
図6】第1の実施の形態に係る撮像装置における所定の像高位置の領域に配置される3種類のAF画素対を示す断面図である。
図7】第1の実施の形態に係る撮像装置における所定の像高位置の領域に配置される3種類のAF画素対を示す断面図である。
図8】第1の実施の形態に係る撮像装置における基準射出瞳と像高との関係を示す図である。
図9】第1の実施の形態に係る撮像装置における交換レンズの、像高に応じて射出瞳距離が変化する種々の光学特性を示したものである。
図10】第1の実施の形態に係る撮像装置における像高と射出瞳との関係を示す図である。
図11】第1の実施の形態に係る撮像装置におけるフォーカス位置区間とそのフォーカス位置区間の代表光学特性曲線を近似する関数の定数項及び係数とを示す表であ る。
図12】第1の実施の形態に係る撮像装置における区間とその区間の代表光学特性曲線を近似する関数の定数項及び係数とを示す表である。
図13】第1の実施の形態に係る撮像装置における射出瞳距離に関する閾値と、第1~第3の射出瞳距離範囲と、光学特性曲線とを示す図である。
図14】第1の実施の形態に係る撮像装置における動作を説明するフローチャートである。
図15】第1の実施の形態に係る撮像装置における動作を説明するフローチャートである。
図16】第1の実施の形態に係る撮像装置における動作を説明するフローチャートである。
図17】第1の実施の形態に係る撮像装置における焦点検出画素の構成例を示す図である。
図18】第2の実施の形態に係る撮像装置における射出瞳像が像高によって変化する様子を示すものである。
図19】第2の実施の形態に係る撮像装置における一対の光電変換部と射出瞳像との関係を示す図である。
図20】第2の実施の形態に係る撮像装置における焦点検出部が実行する複数の機能を機能毎にブロック化して示すブロック図である。
図21】第2の実施の形態に係る撮像装置における動作を説明するフローチャートである。
図22】変形例に係る撮像装置における焦点検出画素の構成例を示す図である。
図23】変形例に係る撮像装置における焦点検出画素の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例である電子カメラ1(以下、カメラ1と称する)の構成例を示す図である。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とにより構成される。カメラ1は、カメラボディ2と交換レンズ3とから構成されるので、カメラシステムと称することもある。
【0007】
カメラボディ2には、交換レンズ3が取り付けられるボディ側マウント部201が設けられる。交換レンズ3には、カメラボディ2に取り付けられるレンズ側マウント部301が設けられる。レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201には、それぞれレンズ側接続部302、ボディ側接続部202が設けられる。レンズ側接続部302及びボディ側接続部202には、それぞれクロック信号用の端子やデータ信号用の端子、電源供給用の端子等の複数の端子が設けられている。交換レンズ3は、レンズ側マウント部301及びボディ側マウント部201により、カメラボディ2に着脱可能に装着される。
【0008】
カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、ボディ側接続部202に設けられた端子とレンズ側接続部302に設けられた端子とが電気的に接続される。これにより、カメラボディ2から交換レンズ3への電力供給や、カメラボディ2及び交換レンズ3間の通信が可能となる。
【0009】
交換レンズ3は、撮影光学系(結像光学系)31と、レンズ制御部32と、レンズメモリ33とを備える。撮影光学系31は、焦点距離を変更するズームレンズ(変倍レンズ)31aやフォーカスレンズ(焦点調節レンズ)31bを含む複数のレンズと絞り31cとを含み、撮像素子22の撮像面22aに被写体像を形成する。なお、図1では、ズームレンズ31aとフォーカスレンズ31bとを模式的に図示したが、通常の撮影光学系は、一般に多数の光学素子から構成される。
【0010】
また、後述するように、交換レンズ3の撮影光学系31は、その射出瞳の位置、即ち射出瞳距離が像高によって変化する光学特性を有する。換言すると、撮影光学系31の射出瞳距離は、撮像面22aにおける位置、即ち、撮像面22aにおける撮影光学系31の光軸OA1からの距離によって変化する。撮影光学系31の光軸OA1は、撮像面22aの中心位置で、撮像面22aと交差する。撮影光学系31の射出瞳距離は、撮像面22aの中心から距離によって変化するともいえる。ここで、射出瞳距離とは、撮影光学系31の射出瞳と撮影光学系31による像の像面との間の距離である。なお、撮像素子22の撮像面22aは、例えば、後述する光電変換部が配置される面、またはマイクロレンズが配置される面である。
また、撮影光学系31は、ボディ側マウント部201に装着される交換レンズ3の種類によって異なる。そのため、撮影光学系31の射出瞳距離は、交換レンズ3の種類によって異なる。さらに、像高によって変化する射出瞳距離の光学特性も、交換レンズ3の種類によって異なる。
【0011】
レンズ制御部32は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいて交換レンズ3の各部を制御する。レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部210から出力される信号に基づき、ズームレンズ31aの位置、フォーカスレンズ31bの位置、及び絞り31cの駆動を制御する。レンズ制御部32は、ボディ制御部210からフォーカスレンズ31bの移動方向や移動量などを示す信号が入力されると、その信号に基づいてフォーカスレンズ31bを光軸OA1方向に進退移動させて撮影光学系31の焦点位置を調節する。また、レンズ制御部32は、カメラボディ2のボディ制御部210から出力される信号に基づき、ズームレンズ31aの位置や絞り31cの開口径を制御する。
【0012】
レンズメモリ33は、例えば、不揮発性の記憶媒体等により構成される。レンズメモリ33には、交換レンズ3に関連する情報がレンズ情報として記憶(記録)される。レンズ情報は、撮影光学系31の光学特性(射出瞳距離やF値)に関するデータや、フォーカスレンズ31bの無限遠位置や至近位置に関するデータや、交換レンズ3の最短焦点距離と最長焦点距離に関するデータなどを含む。撮影光学系31の光学特性は、射出瞳距離やF値(絞り31cの絞り値)などを含む。なお、レンズ情報は、交換レンズ3の種類によって異なる。また、レンズ情報は、レンズ制御部32の内部のメモリに記憶するようにしてもよい。また、レンズ情報は、後述のカメラボディ2が有するボディメモリ23に記憶してもよい。この場合、ボディメモリ23は、複数の交換レンズ3のレンズ情報を記憶する。
【0013】
本実施の形態では、レンズ情報は、撮影光学系31の射出瞳距離に関する情報を含む。射出瞳距離に関する情報は、後述するが、撮像面22aと光軸OA1とが交差する位置(像高がゼロの位置)における射出瞳距離(Co)を示す情報と、射出瞳距離と像高との関係を表す演算式に含まれる係数(h4、h2)の情報とを含む。レンズメモリ33へのデータの書き込みや、レンズメモリ33からのデータの読み出しは、レンズ制御部32によって制御される。交換レンズ3がカメラボディ2に装着されると、レンズ制御部32は、レンズ側接続部302及びボディ側接続部202の端子を介して、レンズ情報をボディ制御部210に送信する。また、レンズ制御部32は、制御したズームレンズ31aの位置情報(焦点距離情報)や、制御したフォーカスレンズ31bの位置情報や、制御した絞り31cのF値の情報などをボディ制御部210に送信する。
本実施の形態では、レンズ制御部32は、撮影光学系31の射出瞳距離に関する情報をカメラボディ2に送信する出力部として機能する。ボディ制御部210は、交換レンズ3から撮影光学系31の射出瞳距離に関する情報が入力される入力部として機能する。
【0014】
また、レンズ制御部32は、レンズ側接続部302及びボディ側接続部202の端子を介して、カメラボディ2と交換レンズ3との間で双方向に情報を送受信する通信を行う。レンズ制御部32は、カメラボディ2から射出瞳距離に関する情報(h4、h2、Co)の送信を要求する信号が入力されると、射出瞳距離に関する情報をカメラボディ2に送信する。なお、射出瞳距離に関する情報は、交換レンズ3の種類によって異なる。また、レンズ制御部32は、撮像素子22が撮像を行う毎に射出瞳距離に関する情報をカメラボディ2に送信してもよい。レンズ制御部32は、ズームレンズ31aが移動して、撮影光学系31の焦点距離が変化すると、射出瞳距離に関する情報をカメラボディ2に送信するようにしてもよい。レンズ制御部32は、1回の双方向通信によって、撮影光学系31の焦点距離の情報と射出瞳距離に関する情報とをカメラボディ2に送信してもよい。
【0015】
次に、カメラボディ2の構成について説明する。カメラボディ2は、撮像素子22と、ボディメモリ23と、表示部24と、操作部25と、ボディ制御部210とを備える。撮像素子22は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサである。撮像素子22は、撮影光学系31により形成される被写体像を撮像する。撮像素子22は、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子22は、受光した光を光電変換部で光電変換して信号を生成し、生成した信号をボディ制御部210に出力する。
【0016】
撮像素子22は、後に説明するように、画像生成に用いる信号を出力する撮像画素と、焦点検出に用いる信号を出力する焦点検出画素とを有する。撮像画素には、入射した光のうち第1の波長域の光(赤(R)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、R画素と称する)と、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、G画素と称する)と、入射した光のうち第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する画素(以下、B画素と称する)とがある。R画素とG画素とB画素とは、ベイヤー配列に従って配置されている。焦点検出画素は、撮像画素の一部に置換して配置され、撮像素子22の撮像面22aのほぼ全面に分散して配置される。
【0017】
ボディメモリ23は、例えば、不揮発性の記憶媒体等により構成される。ボディメモリ23には、画像データや制御プログラム等が記録される。ボディメモリ23へのデータの書き込みや、ボディメモリ23からのデータの読み出しは、ボディ制御部210によって制御される。表示部24は、画像データに基づく画像、AF枠などの焦点検出領域(AFエリア)を示す画像、シャッター速度やF値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部25は、レリーズボタン、電源スイッチ、各種モードを切り替えるためのスイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に応じた操作信号をボディ制御部210へ出力する。また、操作部25は、複数の焦点検出領域から任意の焦点検出領域を設定可能な設定部であり、ユーザは、操作部25を操作することによって任意の焦点検出領域を選択できる。
【0018】
ボディ制御部210は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリによって構成され、制御プログラムに基づいてカメラ1の各部を制御する。ボディ制御部210は、画像データ生成部211と、領域設定部212と、距離演算部213と、選択部214と、焦点検出部215とを有する。画像データ生成部211は、撮像素子22の撮像画素から出力される信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。なお、画像データ生成部211は、焦点検出画素から出力される信号も用いて画像データを生成してもよい。
【0019】
領域設定部212は、図2(a)に示した撮像素子22の撮像面22aに設けられた複数の焦点検出領域100のうち、少なくとも一つの焦点検出領域100を設定(選択)する。表示部24に表示される複数のAF枠は、撮像素子22に設けられた複数の焦点検出領域100とそれぞれ対応している。領域設定部212は、表示部24に表示された複数のAF枠のうち、ユーザが操作部25の操作によって選択したAF枠に対応する焦点検出領域100、又はカメラ1が自動的に選択した焦点検出領域100を、焦点検出を行う領域として設定する。後述するが、焦点検出部215は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100内の焦点検出画素から出力される信号を用いて、撮影光学系31による像と撮像面22aとのずれ量(デフォーカス量)を検出する。
【0020】
焦点検出領域100は、図2(b)に模式的に示すように、撮像画素に加えて、複数の種類の一対の焦点検出画素(AF画素対)、本実施の形態では第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対とが配置されている。像高または交換レンズの種類によって異なる射出瞳距離でも精度良くデフォーカス量を検出するために、第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対とは配置される。AF画素対を構成する一方の焦点検出画素は第1の信号Sig1を出力し、AF画素対を構成する他方の焦点検出画素は第2の信号Sig2を出力する。第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対については後述する。
【0021】
なお、図2(a)に示すように、複数の焦点検出領域100は、2次元方向(行方向及び列方向)に配置されており、像高が異なる位置に設けられている。撮像面22aの中央の焦点検出領域100a内の小領域110a(図2(b)参照)は、撮影光学系31の光軸OA1上に位置し、その像高Hは略ゼロである。焦点検出領域100は、撮像面22aの中央(撮影光学系31の光軸OA1)から離れるに従って、その像高Hは高くなる。換言すると、焦点検出領域100は、撮像面22aの中央からの距離が長くなるに従って、その像高Hは高くなる。従って、焦点検出領域100aがある行において撮影光学系31の光軸OA1から最も離れた(像高Hが最も高い)焦点検出領域100は、行の左端(-X方向における端)及び右端(+X方向における端)に位置する焦点検出領域100b、100cである。撮像素子22において像高Hが最も高い焦点検出領域100は、撮像面22aの隅にある4つの焦点検出領域100である。
【0022】
なお、焦点検出領域100は、所定の面積を有するので、焦点検出領域100内での位置によって、焦点検出画素毎に像高は異なる。同一の焦点検出領域100内での中央の小領域110a(図2(b)参照)と左端(-X方向における端)及び右端(+X方向における端)に位置する小領域110b、110c(図2(b)参照)とでは、像高が異なる。しかし、本実施の形態において、1つの焦点検出領域100の中心位置の像高Hの値を、その焦点検出領域100全体の像高の値としている。撮像面22aの中央の焦点検出領域100aの像高はゼロであり、焦点検出領域100b、100cの像高は所定の像高Hである。
【0023】
距離演算部213は、像高Hにおける撮影光学系31の射出瞳距離を算出する。距離演算部213は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100の像高Hにおける撮影光学系31の射出瞳距離Po(H)を次式(1)により算出する。
Po(H)=h4×H+h2×H+Co …(1)
式(1)は、像高Hを変数とする演算式であり、パラメータ(h4)は変数Hの4次の項の係数であり、パラメータ(h2)は変数Hの2次の項の係数であり、定数項Coは、像高がゼロの位置(撮像面22aにおける光軸OA1の位置)における射出瞳距離である。パラメータ(h4)、(h2)及び定数項Coは、異なる像高に応じた射出瞳距離に関する情報であり、撮影光学系31の光学特性によって決まる値である。パラメータ(h4)、(h2)及び定数項Coを示す情報は、交換レンズ3からレンズ情報としてカメラボディ2に送信される。なお、この演算式(1)は、ボディ制御部210の内部のメモリに記憶されている。距離演算部213は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100の像高Hとレンズ情報(h4、h2、Co)と演算式(1)とに基づき、設定された焦点検出領域100の像高Hに関する射出瞳距離Po(H)を算出する。なお、演算式(1)は、レンズ制御部32の内部のメモリに記憶するようにしてもよい。レンズ制御部32は、パラメータ(h4)、(h2)及び定数項Coと共に演算式(1)を、交換レンズ3からレンズ情報としてカメラボディ2に送信するようにしてもよい。
【0024】
選択部214は、撮像素子22に設けられた複数種類のAF画素対のうち、いずれのAF画素対から出力される第1及び第2の信号Sig1、Sig2を用いて焦点検出を行うかを選択する。本実施の形態では、選択部214は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100内に配置された複数種類のAF画素対のうち、いずれか1種類のAF画素対を選択する。後述するが、選択部214は、距離演算部213によって算出された射出瞳距離Po(H)に適したAF画素対を、複数種類のAF画素対のうちから選択する。また、領域設定部212により複数の焦点検出領域100が設定された場合、選択部214は、選択された各焦点検出領域100において同じ種類のAF画素対を選択する。
【0025】
焦点検出部215は、撮影光学系31の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。焦点検出部215は、撮影光学系31による像が撮像素子22の撮像面22a上に合焦(結像)するためのフォーカスレンズ31bの合焦位置(合焦位置までのフォーカスレンズ31bの移動量)を検出する。焦点検出部215は、選択部214により選択されたAF画素対から出力される第1及び第2の信号Sig1、Sig2を用いて、瞳分割型の位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。
焦点検出部215は、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した第1の光束による像を撮像して生成した第1の信号Sig1と第2の瞳領域を通過した第2の光束による像を撮像して生成した第2の信号Sig2とを相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部215は、この像ズレ量を所定の換算式に基づきデフォーカス量に換算する。焦点検出部215は、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
【0026】
焦点検出部215は、デフォーカス量が許容値以内か否かを判定する。焦点検出部215は、デフォーカス量が許容値以内であれば合焦していると判断する。一方、焦点検出部215は、デフォーカス量が許容値を超えている場合は合焦していないと判断し、交換レンズ3のレンズ制御部32へフォーカスレンズ31bの移動量とレンズ移動を指示する信号を送信する。レンズ制御部32が、移動量に応じてフォーカスレンズ31bを移動することにより、焦点調節が自動で行われる。
【0027】
また、焦点検出部215は、位相差検出方式の焦点検出処理に加えて、コントラスト検出方式の焦点検出処理を行うこともできる。ボディ制御部210は、撮影光学系31のフォーカスレンズ31bを光軸OA1方向に移動させながら、撮像画素から出力される信号に基づき被写体像のコントラスト評価値を順次算出する。ボディ制御部210は、交換レンズ3から送信されるフォーカスレンズ31bの位置情報を用いて、フォーカスレンズ31bの位置とコントラスト評価値との対応付けを行う。そして、ボディ制御部210は、コントラスト評価値がピーク、即ち極大値を示すフォーカスレンズ31bの位置を合焦位置として検出する。ボディ制御部210は、検出した合焦位置に対応するフォーカスレンズ31bの位置の情報を、レンズ制御部32に送信する。レンズ制御部32は、フォーカスレンズ31bを合焦位置に移動して焦点調節を行う。
【0028】
図3は、焦点検出領域100内の画素の配置例を示す図である。図3において、R画素13とG画素13とが±X方向、即ち行方向に交互に配置された第1の画素群401と、G画素13とB画素13とが行方向に交互に配置された第2の画素群402とが±Y方向、即ち、列方向に交互に配置されている。撮像画素13は、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0029】
複数の第2の画素群402のうちの一部の第2の画素群402は、第1または第2の焦点検出画素11、12を含んでいる。第1および第2の焦点検出画素11、12は遮光部43をそれぞれ有する。図3では、第1の焦点検出画素11を含む第2の画素群402を、第2の画素群402a、402c、402eで示し、第2の焦点検出画素12を含む第2の画素群402を、第2の画素群402b、402d、402fで示す。第1の焦点検出画素11を含む第2の画素群402a、402c、402eと、第2の焦点検出画素12を含む第2の画素群402b、402d、402fとについて、以下に説明する。
【0030】
第2の画素群402aは、B画素13が第1の焦点検出画素11aと置換されている。第2の画素群402aは、第1の焦点検出画素11aとG画素13とが交互に配置されている。なお、第1の焦点検出画素11aの光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域のうちの一方を通過した光束を受光する。第1の焦点検出画素11aの遮光部は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域のうちの他方を通過した光束を遮光する。以下の説明では、第1の焦点検出画素11aの光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を受光するものとする。第1の焦点検出画素11aの遮光部は、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を遮光するものとする。
【0031】
第2の画素群402aから所定の行だけ離れた第2の画素群402bは、B画素13が第2の焦点検出画素12aに置換されている。第2の画素群402bは、第2の焦点検出画素12aとG画素13とが交互に配置されている。なお、第2の焦点検出画素12aの光電変換部は、第1の焦点検出画素11aとは異なる射出瞳の瞳領域を通過した光束を受光する。第2の焦点検出画素11aの遮光部は、第1の焦点検出画素11aとは異なる射出瞳の瞳領域を通過した光束を遮光する。以下の説明では、第2の焦点検出画素12aの光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を受光するものとする。第2の焦点検出画素12aの遮光部は、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を遮光するものとする。
【0032】
なお、第2の画素群402a中における第1の焦点検出画素11aの配置位置と第2の画素群402b中における第2の焦点検出画素12aの配置位置とは、互いに同一である。即ち、第1の焦点検出画素11aと第2の焦点検出画素12aとは、同一列に配置されている。
第2の画素群402aの第1の焦点検出画素11a及び第2の画素群402bの第2の焦点検出画素12aは、第1のAF画素対を構成する。なお、複数の行に第2の画素群402aおよび第2の画素群402bが配置され、複数の第1のAF画素対が配置されるようにしてもよい。
【0033】
第2の画素群402bから所定の行だけ離れた第2の画素群402cは、B画素13が第1の焦点検出画素11bと置換されている。第2の画素群402cは、第1の焦点検出画素11bとG画素13とが交互に配置されている。第1の焦点検出画素11bの光電変換部は、第1の焦点検出画素11aと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を受光する。第1の焦点検出画素11bの遮光部は、第1の焦点検出画素11aと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を遮光する。
【0034】
第2の画素群402cから所定の行だけ離れた第2の画素群402dは、B画素13が第2の焦点検出画素12bと置換されている。第2の画素群402dは、第2の焦点検出画素12bとG画素13とが交互に配置されている。第2の焦点検出画素12bの光電変換部は、第2の焦点検出画素12aと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を受光する。第2の焦点検出画素12bの遮光部は、第2の焦点検出画素12aと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を遮光する。
【0035】
なお、第2の画素群402c中における第1の焦点検出画素11bの配置位置と第2の画素群402d中における第2の焦点検出画素12bの配置位置とは、互いに同一である。即ち、第1の焦点検出画素11bと第2の焦点検出画素12bとは、同一列に配置されている。
第2の画素群402cの第1の焦点検出画素11b及び第2の画素群402dの第2の焦点検出画素12bは、第2のAF画素対を構成する。なお、複数の行に第2の画素群402cおよび第2の画素群402dが配置され、複数の第2のAF画素対が配置されるようにしてもよい。
【0036】
第2の画素群402dから所定の行だけ離れた第2の画素群402eは、B画素13が第1の焦点検出画素11cと置換されている。第2の画素群402eは、第1の焦点検出画素11cとG画素13とが交互に配置されている。第1の焦点検出画素11cの光電変換部は、第1の焦点検出画素11a、11bと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を受光する。第1の焦点検出画素11cの遮光部は、第1の焦点検出画素11a、11bと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を遮光する。
【0037】
第2の画素群402eから所定の行だけ離れた第2の画素群402fは、B画素13が第2の焦点検出画素12cと置換されている。第2の画素群402fでは、第2の焦点検出画素12cとG画素13とが交互に配置されている。なお、第2の焦点検出画素12cの光電変換部は、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束を受光する。第2の焦点検出画素12cの遮光部は、第2の焦点検出画素12a、12bと同様に、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束を遮光する。
【0038】
なお、第2の画素群402e中における第1の焦点検出画素11cの配置位置と第2の画素群402f中における第2の焦点検出画素12cの配置位置とは、互いに同一である。即ち、第1の焦点検出画素11cと第2の焦点検出画素12cとは、同一列に配置されている。
第2の画素群402eの第1の焦点検出画素11c及び第2の画素群402fの第2の焦点検出画素12cは、第3のAF画素対を構成する。なお、複数の行に第2の画素群402eおよび第2の画素群402fが配置され、複数の第3のAF画素対が配置されるようにしてもよい。
【0039】
なお、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある画素対を除いて、第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対の各々が有する遮光部43の面積は異なる。射出瞳距離が異なると、撮影光学系31の光軸OA1周辺にある焦点検出画素を除いて、焦点検出画素に入射する光の入射角が異なる。射出瞳距離が短くなると入射角は大きく、射出瞳距離が長くなると入射角は小さくなる。射出瞳距離によって異なる入射角で入射する光の一部を遮光するために、遮光部43の面積はAF画素対によって異なる。これにより、焦点検出部215は、異なる射出瞳距離でも精度良くデフォーカス量を検出することができる。ただし、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある画素対は、射出瞳距離によらず、入射角は0°である。そのため、第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対の各々が有する遮光部43の面積は同じである。後述するが、遮光部43の面積は焦点検出画素の位置(像高)によっても異なる。
【0040】
本実施の形態では、第1の焦点検出画素11a、11b、11cと第2の焦点検出画素12a、12b、12cは、それぞれ、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するフィルタを有する。なお、第1の焦点検出画素11a~11cと第2の焦点検出画素12a~12cの各々の焦点検出画素が有するフィルタは、第1の波長域の光(赤(R)の光)または第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するフィルタであってもよい。また、第1の焦点検出画素11a~11cと第2の焦点検出画素12a~12cは、入射した光のうち第1および第2および第3波長域の光を分光する分光特性を有するフィルタを有していてもよい。
【0041】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子22に設けられる焦点検出画素および撮像画素の構成例を説明するための図である。図4(a)は、AF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11、12のうちの第1の焦点検出画素11の断面の一例を示し、図4(b)は、第1及び第2の焦点検出画素11、12のうちの第2の焦点検出画素12の断面の一例を示す。図4(c)は、撮像画素13(R画素、G画素、B画素)の断面の一例を示す。
【0042】
図4において、第1及び第2の焦点検出画素11、12と撮像画素13は共に、マイクロレンズ44と、カラーフィルタ51と、マイクロレンズ44及びカラーフィルタ51を透過(通過)した光を光電変換する光電変換部42(PD42)とを有する。第1の光束61は、撮影光学系31の射出瞳を略2等分する第1の瞳領域を通過した光束である。第2の光束62は、撮影光学系31の射出瞳を略2等分する第2の瞳領域を通過した光束である。
【0043】
図4(a)において、第1の焦点検出画素11には、第1及び第2の光束61、62のうちの第2の光束62を遮光する遮光部43Lが設けられる。遮光部43Lは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間に位置し、光電変換部42の上に設けられている。図4(a)に示す例では、遮光部43Lは、光電変換部42の左半分(-X方向側)を遮光するように配置される。遮光部43Lの右端(+X方向における端)は、光電変換部42を左右に2等分する中心線に略一致する。第1の焦点検出画素11の光電変換部42は、第1の光束61を受光する。第1の焦点検出画素11の光電変換部42は第1の光束61を光電変換して電荷を生成し、第1の焦点検出画素11は光電変換部42で生成された電荷に基づく第1の信号Sig1を出力する。
【0044】
なお、遮光部43Lの面積は、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある第1の焦点検出画素11を除いて、第1の焦点検出画素11の位置(像高)によって異なる。第1の焦点検出画素11の位置が異なる、即ち像高が異なると、第1の焦点検出画素11に入射する光の入射角が異なる。像高が高くなると入射角は大きくなり、像高が低いと入射角は小さくなり、像高が0であれば入射角は0°である。像高によって異なる入射角で入射する光のうち第2の光束62を遮光するために、遮光部43Lの面積は像高によって異なる。
【0045】
図4(b)において、第2の焦点検出画素12には、第1及び第2の光束61、62のうちの第1の光束61を遮光する遮光部43Rが設けられる。遮光部43Rは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間に位置し、光電変換部42の上に設けられている。図4(b)に示す例では、遮光部43Rは、光電変換部42の右半分(+X方向側)を遮光するように配置される。遮光部43Rの左端(-X方向における端)は、光電変換部42を左右に2等分する中心線に略一致する。第2の焦点検出画素12の光電変換部42は、第2の光束62を受光する。第2の焦点検出画素12の光電変換部42は第2の光束62を光電変換して電荷を生成し、第2の焦点検出画素12は光電変換部42で生成された電荷に基づく第2の信号Sig2を出力する。
【0046】
なお、第1の焦点検出画素11と同様に、遮光部43Rの面積は、撮影光学系31の光軸OA1(撮像面22aの中心)周辺にある第2の焦点検出画素12を除いて、第2の焦点検出画素12の位置(像高)によって異なる。像高によって異なる入射角で入射する光のうち第1の光束61を遮光するために、遮光部43Rの面積は像高によって異なる。
【0047】
図4(c)において、撮像画素13の光電変換部42は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束61、62を受光する。撮像画素13の光電変換部42は第1及び第2の光束61、62を光電変換して電荷を生成し、撮像画素13は光電変換部42で生成された電荷に基づく信号を出力する。
【0048】
図5は、焦点検出領域100a内の小領域110a(図2(b)参照)に配置される3種類のAF画素対の断面図である。図5(a)は、図3の第2の画素群402a、402bにそれぞれ配置された第1のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11a、12aを示す。図5(b)は、図3の第2の画素群402c、402dにそれぞれ配置された第2のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bを示す。図5(c)は、図3の第2の画素群402e、402fにそれぞれ配置された第3のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11c、12cを示す。図5に示すように、第1の焦点検出画素11a~11c及び第2の焦点検出画素12a~12cの各々は、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とが略一致している。マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°の入射角で入射した光は、マイクロレンズの光軸OA2上に集光する。光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とが一致することで、マイクロレンズ44に入射した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。即ち、撮影光学系31を透過した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。
【0049】
図5(a)において、第1の焦点検出画素11aは、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。第1の焦点検出画素11aの遮光部43Lは、光電変換部42の左半分(-X方向側)を遮光する。マイクロレンズ44を透過した第2の光束62は、光電変換部42に入射する前に、遮光部43Lにより遮光される。これにより、第1の焦点検出画素11aの光電変換部42は、第1の光束61を受光する。第2の焦点検出画素12aは、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。マイクロレンズ44を透過した第1の光束61は、光電変換部42に入射する前に、遮光部43Rにより遮光される。これにより、第2の焦点検出画素12aの光電変換部42は、第2の光束62を受光する。
【0050】
図5(b)、(c)に示すように、第1の焦点検出画素11b、11cの各々は、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。したがって、第1の焦点検出画素11aと同様に、第1の焦点検出画素11b、11cの各々の光電変換部42は、第1の光束61を受光する。また、第2の焦点検出画素12b、12cの各々は、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2に略一致する。したがって、第1の焦点検出画素12aと同様に、第2の焦点検出画素12b、12cの各々の光電変換部42は、第2の光束62を受光する。
【0051】
図6は、焦点検出領域100a内の小領域110aから+X方向に離れた小領域110c(図2(b)参照)に配置される3種類のAF画素対の断面図である。図6(a)は、第1のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11a、12aを示す。図6(b)は、第2のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bを示す。図6(c)は、第3のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11c、12cを示す。
【0052】
図6において、第1の焦点検出画素11a~11c及び第2の焦点検出画素12a~12cの各々は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれている。本実施の形態では、小領域110aから+X方向に離れて配置された第1及び第2の焦点検出画素は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれている。また、小領域110aから-X方向に離れて配置された第1及び第2の焦点検出画素は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して-X方向にずれている。
【0053】
また、図6において、第1の焦点検出画素11a~11cの各々が有する遮光部43Lの面積は異なる。第1の焦点検出画素11aの遮光部43Lの面積は、第1の焦点検出画素11bの遮光部43Lの面積よりも小さい。第1の焦点検出画素11bの遮光部43Lの面積は、第1の焦点検出画素11cの遮光部43Lの面積よりも小さい。第2の焦点検出画素12a~12cの各々が有する遮光部43Rの面積は異なる。第2の焦点検出画素12aの遮光部43Rの面積は、第2の焦点検出画素12bの遮光部43Rの面積よりも大きい。第2の焦点検出画素12bの遮光部43Rの面積は、第2の焦点検出画素12cの遮光部43Rの面積よりも大きい。
【0054】
図6において、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれ、かつ、第1及び第2の焦点検出画素の遮光部43の面積が異なるため、第1及び第2の焦点検出画素の遮光部の端とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれる。図6(a)において、例えば、第1の焦点検出画素11aは、遮光部43Lの右端(+X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2よりもずれ量d1だけ+X方向側に位置する。また、第2の焦点検出画素12aは、遮光部43Rの左端(-X方向における端)が、マイクロレンズ44の光軸OA2よりもずれ量d1だけ+X方向側に位置する。
【0055】
図6に示すように、第2及び第3のAF画素対と第1のAF画素対とは、ずれ量が相違する。第2のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bのずれ量d2は、第1のAF画対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11a、12aのずれ量d1よりも大きい。第3のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11c、12cのずれ量d3は、第2のAF画対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bのずれ量d2よりも大きい。即ち、d1<d2<d3である。
【0056】
図7は、図2の焦点検出領域100aから+X方向に離れた焦点検出領域100cにおける一部の3種類のAF画素対の断面図である。図7(a)は、第1のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11a、12aを示す。図7(b)は、第2のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bを示す。図7(c)は、第3のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11c、12cを示す。
【0057】
図6に示す3種類のAF画素対と同様に、図7に示す第1の焦点検出画素11a~11c及び第2の焦点検出画素12a~12cの各々は、光電変換部42の中心を通る線がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれている。また、図6に示す3種類のAF画素対と同様に、第1の焦点検出画素11a~11cの各々が有する遮光部43Lの面積が異なる。第2の焦点検出画素12a~12cの各々が有する遮光部43Rの面積が異なる。
【0058】
なお、図6図7とに示す3種類のAF画素対は、マイクロレンズ44の光軸OA2に対する光電変換部42の中心を通る線のずれ量が異なる。また、第1の焦点検出画素11bと第2の焦点検出画素12bとを除いて、遮光部43Lの面積と遮光部43Rの面積とが異なる。図7に示す3種類のAF画素対は、図6と比較すると、マイクロレンズ44の光軸OA2に対するずれ量が大きい。また、図7に示す第1の焦点検出画素11aと第2の焦点検出画素12aとは、図6と比較すると、遮光部43Lの面積が小さく、遮光部43Rの面積が大きい。図7に示す第1の焦点検出画素11cと第2の焦点検出画素12cとは、図6と比較すると、遮光部43Lの面積が大きく、遮光部43Rの面積が小さい。図7に示す第1の焦点検出画素11bと第2の焦点検出画素12bとは、図6の遮光部43Lの面積と同じであり、遮光部43Rの面積と同じである。
【0059】
第1の焦点検出画素11aは、遮光部43Lの右端(+X方向における端)がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれ量d4、ずれている。第2の焦点検出画素12aは、遮光部43Rの左端(-X方向における端)がマイクロレンズ44の光軸OA2に対して+X方向にずれ量d4、ずれている。
【0060】
第2及び第3のAF画素対と第1のAF画素対とは、ずれ量が相違する。第2のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bのずれ量d5は、第1のAF画対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11a、12aのずれ量d4よりも大きい。第3のAF画素対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11c、12cのずれ量d6は、第2のAF画対を構成する第1及び第2の焦点検出画素11b、12bのずれ量d5よりも大きい。即ち、d4<d5<d6である。
【0061】
図5図6及び図7に示したように、光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とのずれ量は、像高によって異なる。像高が高いほど、ずれ量は大きくなり、像高が低いほど、ずれ量は小さくなる。像高が高い位置において、撮影光学系31を透過した光はマイクロレンズ44へ斜めに入射する。即ち、光は、マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°より大きい入射角で入射する。したがって、光のマイクロレンズ44への入射角が大きくなるほど、ずれ量が大きくなるとも言える。マイクロレンズ44の光軸OA2に対して0°より大きい入射角で入射した光は、マイクロレンズの光軸OA2上から+X方向または-X方向にずれて集光する。光電変換部42の中心を通る線とマイクロレンズ44の光軸OA2とがずれることで、マイクロレンズ44に入射した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。即ち、撮影光学系31を透過した光は、光電変換部42の中心を通る線上に集光する。これにより、撮影光学系31を透過して光電変換部42に入射する光量を多くできる。
【0062】
図5図6及び図7に示したように、遮光部43の面積はAF画素対によって異なる。前述したように、撮影光学系31の射出瞳距離は交換レンズ3の種類によって異なる。そのため、第1のAF画素対と第2のAF画素対と第3のAF画素対の各々は、異なる射出瞳距離で精度良くデフォーカス量を検出するために、面積が異なる遮光部43を有する。また、第1のAF画素対が有する遮光部43Lの面積と遮光部43Rの面積とは、第1のAF画素対の配置された位置(像高)によって異なる。前述したように、撮影光学系31の射出瞳距離は像高によって異なる。そのため、第1のAF画素対は、異なる射出瞳距離で精度良くデフォーカス量を検出するために、像高によって変化する面積の遮光部43Lと遮光部43Rとを有する。第3のAF画素対も、第1のAF画素対と同様である。これにより、焦点検出部215は、異なる射出瞳距離でも精度良くデフォーカス量を検出できる。即ち、焦点検出部215は、像高または交換レンズの種類が変わっても精度良くデフォーカス量を検出できる。
【0063】
したがって、第1~第3のAF画素対の遮光部43とマイクロレンズ44の光軸とのずれ量は、図2(b)の小領域110aから+X方向に像高が高い領域ほど、大きくなる。像高がHa、Hb、Hc(Ha<Hb<Hc)の三つの領域の第1~第3のAF画素対のずれ量を比べると、次のようになる。像高Hbの領域の第1のAF画素対のずれ量は、像高Haの領域の第1のAF画素対のずれ量よりも大きく、像高Hcの領域の第1のAF画素対のずれ量よりも小さい。同様に、像高Hbの領域の第2及び第3のAF画素対のずれ量は、それぞれ、像高Haの領域の第2及び第3のAF画素対のずれ量よりも大きく、像高Hcの領域の第2及び第3のAF画素対のずれ量よりも小さい。図7に示した焦点検出領域100cに配置された第1のAF画素対のずれ量d4は、図6に示した小領域110cに配置された第1のAF画素対のずれ量d1よりも大きい。図7に示した焦点検出領域100cに配置された第2及び第3のAF画素対のずれ量d5、d6は、それぞれ、図6に示した小領域110cに配置された第2及び第3のAF画素対のずれ量d2、d3よりも大きい。
【0064】
図2(b)の小領域110aから-X方向に離れた小領域110bに配置される第1~第3のAF画素対では、図6に示したずれ方向と反対方向にずれ量d1~d3と同様のずれ量が付与される。図2(a)の焦点検出領域100bに配置される第1~第3のAF画素対では、図7に示したずれ方向と反対方向にずれ量d4~d6と同様のずれ量が付与される。小領域110aから-X方向に離れて配置される第1~第3のAF画素対のずれ量も、像高が大きくなるほど大きくなる。
【0065】
上述のように、第1~第3のAF画素対は、ずれ量が相違する。したがって、光が入射する方向と交差する面において、第1の焦点検出画素11a~11cの各々の光電変換部42が光を受光する面積は互いに異なり、第2の焦点検出画素12a~12cの各々の光電変換部42が光を受光する面積は互いに異なる。このように、本実施の形態では、第1~第3のAF画素対は、光電変換部42の受光面積が相違するため、互いに異なる入射角に対応して瞳分割を行うことができる。これにより、焦点検出部215は精度良くデフォーカス量を検出できる。
【0066】
次に、焦点検出領域100における第1~第3のAF画素対のずれ量の決定方法の一例を説明する。図8において、撮影光学系31の光軸OA1が撮像素子22の撮像面22aと交差する位置0(撮像面22aの中心位置)から像高Hdに位置する小領域110の位置を110αで表す。撮影光学系31のOA1上に第1の基準射出瞳EP1と、第2の基準射出瞳EP2と、第3の基準射出瞳EP3とを設定する。第2の基準射出瞳EP2は、第1の基準射出瞳EP1よりも撮像面22aに近い位置にあり、第1の基準射出瞳EP1よりも+Z方向側に位置する。第3の基準射出瞳EP3は、第2の基準射出瞳EP2よりも撮像面22aに近い位置にあり、第2の基準射出瞳EP2よりも+Z方向側に位置する。
第1の基準射出瞳EP1と撮像面22aとの距離を第1の基準射出瞳距離Po1、第2の基準射出瞳EP2と撮像面22aとの距離を第2の基準射出瞳距離Po2、第3の基準射出瞳EP3と撮像面22aとの距離を第3の基準射出瞳距離Po3とする。なお、Po1>Po2>Po3である。
【0067】
図8において、L1は、第1の基準射出瞳EP1を通過して、位置110αにある小領域110内の焦点検出画素に入射する光束の主光線を示している。L2は、第2の基準射出瞳EP2を通過して、位置110αにある小領域110内の焦点検出画素に入射する光束の主光線を示している。L3は、第3の基準射出瞳EP3を通過して位置110αにある小領域110内の焦点検出画素に入射する光束の主光線を示している。
【0068】
図8において、θ1を主光線L1の焦点検出画素への入射角とすると、像高Hdの小領域110内の第1のAF画素対のずれ量は、入射角θ1に基づき決定される。同様に、θ2、θ3をそれぞれ主光線L2、L3の焦点検出画素への入射角とすると、像高Hdの小領域110内の第2及び第3のAF画素対のずれ量は、それぞれ入射角θ2、θ3に基づき決定される。前述したように、ずれ量は、入射角が大きいほど大きくなる。また、像高が0の位置(位置0)を除いて、入射角は、射出瞳距離が長いほど小さくなるので、θ1<θ2<θ3である。したがって、図6(a)~(c)に示す第1、第2、及び第3のAF画素対のずれ量d1、d2、d3は、d1<d2<d3となる。また、図7(a)~(c)に示す第1、第2、及び第3のAF画素対のずれ量d4、d5、d6は、d4<d5<d6となる。
【0069】
こうして、第1の基準射出瞳EP1(第1の基準射出瞳距離Po1)に対する第1のAF画素対のずれ量が決定される。同様に、第2の基準射出瞳EP2(第2の基準射出瞳距離Po2)に対する第2のAF画素対のずれ量が決定され、第3の基準射出瞳EP3(第3の基準射出瞳距離Po3)に対する第3のAF画素対のずれ量が決定される。
【0070】
次に、撮影光学系31の射出瞳距離と第1~第3のAF画素対との関係を説明する。図8において、第1の基準射出瞳EP1と第2の基準射出瞳EP2との中間位置に、射出瞳距離に関する第1の閾値Th1を設定し、第2の基準射出瞳EP2と第3の基準射出瞳EP3との中間位置に、射出瞳距離に関する第2の閾値Th2を設ける。射出瞳距離が第1の閾値Th1以上である領域を第1の射出瞳距離範囲R1とし、射出瞳距離が第1の閾値Th1と第2の閾値Th2との間の領域を第2の射出瞳距離範囲R2とし、射出瞳距離が第2の閾値Th2以下である領域を第3の射出瞳距離範囲R3とする。
【0071】
選択部214は、撮影光学系31の射出瞳距離が、第1の閾値Th1以上である場合、即ち第1の射出瞳距離範囲R1に属する場合には、第1のAF画素対を選択する。選択部214は、撮影光学系31の射出瞳距離が、第1の閾値Th1と第2の閾値Th2との間である場合、即ち第2の射出瞳距離範囲R2に属する場合には、第2のAF画素対を選択する。選択部214は、撮影光学系31の射出瞳距離が、第2の閾値Th2以下である場合、即ち第3の射出瞳距離範囲R3に属する場合には、第3のAF画素対を選択する。
以上のように、選択部214は、撮影光学系の射出瞳距離が第1~第3の射出瞳距離範囲R1~R3のいずれに属するかによって、第1~第3のAF画素対から適切なAF画素対を選択する。
【0072】
次に、交換レンズ3の撮影光学系31の光学特性、即ち、その射出瞳距離が像高によって変化する光学特性について説明する。図9は、図1のカメラボディ2に装着される交換レンズ3の、像高によって射出瞳距離が変化する光学特性を示したものである。図9において、横軸は射出瞳距離Poを表し、縦軸は像高Hを表している。図9(a)(b)(c)(d)は、種類の異なる交換レンズがそれぞれ有する光学特性を表す。図9(a)に示した交換レンズ3の撮影光学系31の光学特性は、光学特性曲線200aで表され、像高Hが大きくなるにつれて、射出瞳距離Poが小さくなる。図9(a)の光学特性曲線200aは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPoaであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に小さくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Poa-Δp1)になることを表す。
【0073】
図9(b)に示した交換レンズ3の撮影光学系31の光学特性は、光学特性曲線200bで表され、像高Hが大きくなるにつれて、射出瞳距離Poが大きくなる。図9(b)の光学特性曲線200bは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPobであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に大きくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Pob+Δp2)になることを表す。
以下の説明においては、光学特性曲線200aのように、像高Hが大きくなると射出瞳距離Poが小さくなる光学特性曲線を負の光学特性曲線と称する。また、光学特性曲線200bのように、像高Hが大きくなると射出瞳距離Poも大きくなる光学特性曲線を正の光学特性曲線と称する。
【0074】
図9(c)に示した交換レンズ3の撮影光学系31は、その光学特性曲線が図1のフォーカスレンズ31bの位置によって、異なる、即ち変化するものである。この撮影光学系31は、フォーカスレンズ31bが第1の位置に位置する時に、光学特性曲線200cを呈し、フォーカスレンズ31bが第2の位置に位置する時に、光学特性曲線200dを呈する。フォーカスレンズ31bの第1及び第2の位置は、フォーカスレンズ31bの無限遠位置及び至近位置を含め、無限遠位置と至近位置との間の任意の位置である。なお、フォーカスレンズ31bの無限遠位置は、無限遠距離の被写体にピントが合う位置であり、至近位置は、至近距離の被写体にピントが合う位置である。
【0075】
図9(c)において、光学特性曲線200cは、フォーカスレンズ31bが第1の位置に位置している時の撮影光学系31の光学特性を表す。光学特性曲線200cは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPocであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に小さくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Poc-Δp3)になることを表す。光学特性曲線200dは、フォーカスレンズ31bが第2の位置に位置している時の撮影光学系31の光学特性を表す。光学特性曲線200dは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPodであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に大きくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Pod+Δp4)になることを表す。
なお、図9(c)では、フォーカスレンズ31bが第1の位置にある時の光学特性曲線200cを負の光学特性曲線とし、フォーカスレンズ31bが第2の位置にある時の光学特性曲線200dを正の光学特性曲線として示した。しかし、光学特性曲線200cと光学特性曲線200dとが、共に正、又は、共に負となる光学特性を有する交換レンズ3もある。
【0076】
図9(d)に示した交換レンズ3の撮影光学系31は、その光学特性曲線がズームレンズの焦点距離(図1のズームレンズ31aの位置)によって、異なる、即ち変化するものである。この撮影光学系31は、焦点距離がf1である時に、光学特性曲線200eを呈し、焦点距離がf2である時に、光学特性曲線200fを呈する。
【0077】
図9(d)において、光学特性曲線200eは、焦点距離がf1である時の撮影光学系31の光学特性を表す。光学特性曲線200eは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPoeであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に小さくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Poe-Δp5)になることを表す。光学特性曲線200fは、焦点距離がf2である時の撮影光学系31の光学特性を表す。光学特性曲線200fは、像高ゼロにおいて射出瞳距離はPofであり、像高Hが大きくなるにつれて射出瞳距離が徐々に大きくなり、最大像高Hmaxにおいて射出瞳距離が(Pof+Δp6)になることを表す。
なお、図9(d)では、焦点距離がf1の時の光学特性曲線200eを負の光学特性曲線とし、焦点距離がf2の時の光学特性曲線200fを正の光学特性曲線として示した。しかし、光学特性曲線200eと光学特性曲線200fが、共に正、又は、共に負となる光学特性を有する交換レンズ3もある。
【0078】
なお、上述の説明における像高Hにおける射出瞳距離Poは、撮像面22aの像高Hから見た撮影光学系31の射出瞳の距離である。換言すると、像高Hにおける射出瞳距離Poは、撮影光学系31を通過した光束であって、撮像面22aの像高Hの位置に入射する光束が通過する撮影光学系31の射出瞳の距離(撮像面22aからの距離)である。
図10は、この像高Hと射出瞳距離Poとの関係を示したものである。図10において、撮像面22aの中心位置0(像高ゼロ)に位置する焦点検出画素(図10では、焦点検出画素を代表してマイクロレンズ44が図示されている)には、撮影光学系31の射出瞳EPa(射出瞳距離Poa)を通過した光束が入射する。この射出瞳EPaの射出瞳距離Poaが、像高ゼロに対する射出瞳EPaの射出瞳距離である。
また、像高Heに位置する焦点検出画素(図10では、焦点検出画素を代表してマイクロレンズ44が図示されている)には、撮影光学系31の射出瞳EPbを通過した光束が入射する。この射出瞳EPbの射出瞳距離(Poa-Δp)が、像高Hに対する射出瞳EPbの射出瞳距離である。
【0079】
ここで、各交換レンズ3の光学特性と上記の式(1)との関係について説明する。上記の式(1)のPo(H)=h4×H+h2×H+Coは、図9(a)~図9(d)に示した光学特性曲線200a、200b、200c、200d、200e、200fなどを近似する関数である。図9(a)の光学特性曲線200aは、演算式(1)の定数項Coを図9(a)の像高ゼロにおける射出瞳距離Poaに設定し、係数h4、h2を光学特性曲線200aのカーブに応じた係数h4a、h2aに設定することによって、式(1)の演算によって近似される。図9(a)の光学特性を有する交換レンズ3は、上述のように、定数項Poa及び係数h4a、h2aを、レンズ情報としてレンズメモリ33に記憶する。
同様に、図9(b)の光学特性を有する交換レンズ3は、その光学特性曲線200bを近似する式(1)の演算を特定する定数項Pob及び係数h4b、h2bを、レンズ情報としてレンズメモリ33に記憶する。
【0080】
また、図9(c)の交換レンズ3は、フォーカスレンズ31bの位置によって光学特性曲線が変化する光学特性を有する。交換レンズ3は、フォーカスレンズ31bの位置毎の光学特性曲線を近似する式(1)の演算の定数項Co及び係数h4、h2を、レンズメモリ33に記憶する。フォーカスレンズ31bが移動する範囲(無限遠位置と至近位置との間)を複数の区間Z1~Znに分割し、区間Z1~Zn毎にその区間(範囲)を代表する一つの光学特性曲線を定める。例えば、1つの区間の中央位置にフォーカスレンズ31bがあるときの光学特性曲線を、その区間を代表する光学特性曲線とする。
【0081】
区間Zkを代表する光学特性曲線を光学特性曲線Zk(k=1、2・・・n)とする。区間Z1の代表光学特性曲線Z1を近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、Poz1、h4z1、h2z1に設定する。区間Z2の光学特性曲線Z2を近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、それぞれPoz2、h4z2、h2z2に設定する。以下同様に、区間Znの光学特性曲線Znを近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、それぞれPozn、h4zn、h2znに設定する。図11は、これらの区間とその区間を代表する光学特性曲線を近似する演算の定数項及び係数を示したものである。交換レンズ3は、図11に示した、区間Z1~Znと定数項Poz1~Pozn及び係数h4z1~h4zn、h2z1~h2znとの関係を、レンズ情報としてレンズメモリ33に記憶する。
【0082】
図9(d)の交換レンズ3は、ズームレンズであり、焦点距離によって光学特性曲線が変化する光学特性を有する。交換レンズ3は、焦点距離毎の光学特性曲線を近似する式(1)の演算の定数項Co及び係数h4、h2を、レンズメモリ33に記憶する。図1のズームレンズ31aによって設定されるズームレンズの最大焦点距離と最小焦点距離との間を複数の区間W1~Wnに分割し、区間W1~Wn毎にその区間を代表する一つの光学特性曲線を定める。例えば、1つの区間の中間の焦点距離における光学特性曲線を、その区間を代表する光学特性曲線とする。
【0083】
区間Wkを代表する光学特性曲線を光学特性曲線Wk(k=1、2・・・n)とする。区間W1の光学特性曲線W1を近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、それぞれPow1、h4w1、h2w1に設定する。区間W2の光学特性曲線W2を近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、それぞれPow2、h4w2、h2w2に設定する。以下同様に、区間Wnの光学特性曲線Wnを近似する式(1)の演算について、その定数項Coと係数h4、h2を、それぞれPown、h4wn、h2wnに設定する。図12は、これらの区間とその区間を代表する光学特性曲線を近似する演算の定数項及び係数を示したものである。交換レンズ3は、図12に示した区間W1~Wnと定数項Pow1~Pown及び係数h4w1~h4wn、h2w1~h2wnとの関係を、レンズ情報としてレンズメモリ33に記憶する。
【0084】
なお、図9(d)の交換レンズ3は、焦点距離によって光学特性曲線が変化する光学特性を有するズームレンズであったが、別のズームレンズは、焦点距離によって光学特性曲線が変化すると共に、更にフォーカスレンズ31bの位置によっても光学特性曲線が変化する光学特性を有する。即ち、別のズームレンズは、その光学特性曲線がズームレンズ31aの位置(焦点距離)及びフォーカスレンズ31bの位置の両方によって変化する。
【0085】
次に、図9に示した交換レンズ3の光学特性を示す光学特性曲線と、図8に示した第1~第3の射出瞳距離範囲R1~R3との関係を説明する。図13は、図8に示した射出瞳距離に関する第1及び第2の閾値Th1、Th2と、第1~第3の射出瞳距離範囲R1~R3と、図9に例示した光学特性曲線とを示したものである。図13において、光学特性曲線200gは、その曲線全体が、即ち像高ゼロから最大像高Hmaxまでの射出瞳距離が、第2の射出瞳距離範囲R2内に位置している。このような光学特性曲線200gを有する交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合は、選択部214は、領域設定部212がいかなる像高Hの焦点検出領域100を設定した場合にも、第2のAF画素対を選択する。
【0086】
光学特性曲線200hは、像高ゼロから像高Hfまでの射出瞳距離が第2の射出瞳距離範囲R2に属しているが、像高Hf~最大像高Hmaxまでの射出瞳距離が第1の射出瞳距離範囲R1に属している。選択部214は、領域設定部212が像高がHf以下である焦点検出領域100を設定した場合には、第2のAF画素対を選択し、領域設定部212が像高Hfより大きい像高の焦点検出領域を設定した場合には、第1のAF画素対を選択する。
【0087】
光学特性曲線200iは、像高ゼロから像高Hgまでの射出瞳距離が第3の射出瞳距離範囲R3に属しているが、像高Hg~最大像高Hmaxまでの射出瞳距離が第2の射出瞳距離範囲R2に属している。選択部214は、領域設定部212が像高がHg以下である焦点検出領域100を設定した場合には、第3のAF画素対を選択し、領域設定部212が像高Hgより大きい像高の焦点検出領域を設定した場合には、第2のAF画素対を選択する。
【0088】
なお、上述したように、領域設定部212により複数の焦点検出領域100が設定された場合、選択部214は、選択された各焦点検出領域100において同じ種類のAF画素対を選択する。この場合、選択部214は、選択された複数の焦点検出領域100のうち、撮影光学系31の光軸OA1から最も離れた(像高Hが最も高い)焦点検出領域100の位置に基づいて、AF画素対を選択する。本実施の形態では、選択部214は、選択された複数の焦点検出領域100のうち、像高が最も高い焦点検出領域100の像高によって、上述のようにAF画素対を選択する。選択部214は、選択された複数の焦点検出領域100のうちの像高が最も高い焦点検出領域100において選択したAF画素対と同じ種類のAF画素対を、他の焦点検出領域100においても選択する。
【0089】
図14図16は、本実施の形態のカメラ1の動作例を示したフローチャートである。図14は、撮影光学系31が図9(a)又は(b)のように単一の光学特性曲線を有するタイプの交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合の動作を示す。以下の説明では、図9(a)に示した単一の光学特性曲線200aを有する交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合を説明する。
【0090】
図14において、ステップS100では、カメラボディ2は、例えば電源が投入されると、レンズ情報の送信を要求する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS200において、交換レンズ3は、カメラボディ2からレンズ情報の要求信号を受信する。ステップS201において、交換レンズ3は、レンズメモリ33(又はレンズ制御部32の内部のメモリ)に記憶されたレンズ情報をカメラボディ2に送信する。このレンズ情報は、光学特性曲線200aを近似する演算の上述の定数項Poa及び係数h4a、h2aを含む。ステップS101において、カメラボディ2は、交換レンズ3からレンズ情報を受信して、レンズ情報をボディ制御部210の内部のメモリに記憶させる。なお、レンズ情報は、ボディメモリ23に記憶するようにしてもよい。
【0091】
ステップS102では、例えばユーザにより操作部25が操作されてオートフォーカス(AF)モードが設定されると、カメラボディ2の領域設定部212は、所定の像高Hxの焦点検出領域100を焦点検出を行う領域として設定する。ステップS103では、カメラボディ2の距離演算部213は、レンズ情報の定数項Poa及び係数h4a、h2aによって定まる式(1)に、設定された焦点検出領域100の像高Hxを代入して、像高Hxに対する射出瞳距離Poxを算出する。
【0092】
ステップS104では、カメラボディ2の距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第1の射出瞳距離範囲R1に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合には、ステップS105に進み、選択部214は第1のAF画素対を選択する。
ステップS104の判定結果がNOである場合には、ステップS106に進み、距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第2の射出瞳距離範囲R2に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合に、ステップS107に進み、選択部214は第2のAF画素対を選択する。
ステップS106の判定結果がNOである場合には、射出瞳距離Poxが第3の射出瞳距離範囲R3に属するので、ステップS108に進み、選択部214は第3のAF画素対を選択する。
【0093】
ステップS109では、カメラボディ2の焦点検出部215は、ステップS105、S107又はS108で選択されたAF画素対の第1及び第2の焦点検出画素の第1及び第2の信号Sig1、Sig2を相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部215は、算出した像ズレ量をデフォーカス量に換算し、このデフォーカス量に基づきフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
【0094】
ステップS110では、カメラボディ2は、算出したフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS202では、交換レンズ3は、カメラボディ2からフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を受信する。ステップS203において、交換レンズ3は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを移動して、焦点調節動作を行う。
【0095】
ステップS111では、カメラボディ2は、操作部25によるレリーズ操作が行われたか否かを判定する。カメラボディ2は、レリーズ操作が行われるまで、ステップS102からステップS110までの一連の動作を繰り返す。
【0096】
図15は、フォーカスレンズ位置によって光学特性曲線が変化する交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合の動作を示す。以下の説明では、図9(c)に示したフォーカスレンズ位置によって光学特性曲線が変化する交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合を説明する。
【0097】
図15において、ステップS300では、カメラボディ2は、例えば電源が投入されると、レンズ情報の送信を要求する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS400において、交換レンズ3は、カメラボディ2からレンズ情報の要求信号を受信する。ステップS401において、交換レンズ3は、レンズメモリ33等に記憶されたレンズ情報をカメラボディ2に送信する。このレンズ情報は、図11に示した区間Z1~Znと、各区間に対する定数項Poz1~Pozn及び係数h4z1~h4zn、h2z1~h2znとを含む。更に、レンズ情報は、その送信時点のフォーカスレンズ31bの位置情報も含む。このフォーカスレンズ31bの位置情報は、周期的に、又はフォーカスレンズ31bの位置が変化する毎に、繰り返しカメラボディ2に送信される。ステップS301において、カメラボディ2は、交換レンズ3からレンズ情報を受信して、レンズ情報をボディ制御部210の内部のメモリ等に記憶させる。
【0098】
ステップS302では、カメラボディ2の領域設定部212は、AFモードが設定されると、所定の像高Hxの焦点検出領域100を焦点検出を行う領域として設定する。ステップS303Aでは、距離演算部213は、送信された最新の位置情報が表すフォーカスレンズ31bの位置が区間Z1~Znのいずれに属するかを判定する。ステップS303Bでは、判定された区間に関連する定数項Poz及び係数h4z、h2zによって定まる式(1)に、設定された焦点検出領域100の像高Hxを代入して、像高Hxに対する射出瞳距離Poxを算出する。判定された区間がZ1である場合には、定数項Poz1及び係数h4z1、h2z1によって定まる式(1)に像高Hxが代入されて、その像高Hxに対する射出瞳距離Poxが算出される。
【0099】
ステップS304では、距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第1の射出瞳距離範囲R1に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合には、ステップS305に進み、選択部214は第1のAF画素対を選択する。
ステップS304の判定結果がNOである場合には、ステップS306に進み、距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第2の射出瞳距離範囲R2に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合に、ステップS307に進み、選択部214は第2のAF画素対を選択する。
ステップS306の判定結果がNOである場合には、射出瞳距離Poxが第3の射出瞳距離範囲R3に属するので、ステップS308に進み、選択部214は第3のAF画素対を選択する。
【0100】
ステップS309では、焦点検出部215は、ステップS305、S307又はS308で選択されたAF画素対の第1及び第2の信号Sig1、Sig2を相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部215は、算出した像ズレ量をデフォーカス量に換算し、このデフォーカス量に基づきフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
ステップS310では、カメラボディ2は、算出したフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS402では、交換レンズ3は、カメラボディ2からフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を受信する。ステップS403において、交換レンズ3は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを移動して、焦点調節動作を行う。
ステップS311では、カメラボディ2は、操作部25によるレリーズ操作が行われたか否かを判定する。カメラボディ2は、レリーズ操作が行われるまで、ステップS302からステップS310までの一連の動作を繰り返す。
【0101】
図16は、交換レンズ3がズームレンズであり、その撮影光学系31の光学特性が図9(d)のように焦点距離に応じて変化する場合の動作を示す。
図16において、ステップS500では、カメラボディ2は、例えば電源が投入されると、レンズ情報の送信を要求する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS600において、交換レンズ3は、カメラボディ2からレンズ情報の要求信号を受信する。ステップS601において、交換レンズ3は、レンズメモリ33等に記憶されたレンズ情報をカメラボディ2に送信する。このレンズ情報は、図12に示した区間W1~Wnと、各区間に対する定数項Pow1~Pown及び係数h4w1~h4wn、h2w1~h2wnとを含む。更に、レンズ情報は、その送信時点の撮影光学系31の焦点距離の情報(即ち、ズームレンズ31aの位置情報)も含む。この焦点距離の情報は、周期的に、又はズームレンズ31aの位置が変化する毎に、繰り返しカメラボディ2に送信される。ステップS501において、カメラボディ2は、交換レンズ3からレンズ情報を受信して、レンズ情報をボディ制御部210の内部のメモリ等に記憶させる。
【0102】
ステップS502では、領域設定部212は、AFモードが設定されると、所定の像高Hxの焦点検出領域100を焦点検出を行う領域として設定する。ステップS503Aでは、距離演算部213は、送信された最新の位置情報に基づき、撮影光学系31の焦点距離が区間W1~Wnのいずれに属するかを判定する。ステップS503Bでは、判定された区間に関連する定数項Pow及び係数h4w、h2wによって定まる式(1)に、設定された焦点検出領域100の像高Hxを代入して、像高Hxに対する射出瞳距離Poxを算出する。判定された区間がW1である場合には、定数項Pow1及び係数h4w1、h2w1によって定まる式(1)に像高Hxが代入されて、その像高Hxに対する射出瞳距離Poxが算出される。
【0103】
ステップS504では、距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第1の射出瞳距離範囲R1に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合には、ステップS505に進み、選択部214は第1のAF画素対を選択する。
ステップS504の判定結果がNOである場合には、ステップS506に進み、距離演算部213は、算出した射出瞳距離Poxが第2の射出瞳距離範囲R2に属するか否かを判定する。この判定結果がYESの場合に、ステップS507に進み、選択部214は第2のAF画素対を選択する。
ステップS506の判定結果がNOである場合には、射出瞳距離Poxが第3の射出瞳距離範囲R3に属するので、ステップS508に進み、選択部214は第3のAF画素対を選択する。
【0104】
ステップS509では、焦点検出部215は、ステップS505、S507又はS508で選択されたAF画素対の第1及び第2の信号Sig1、Sig2を相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部215は、算出した像ズレ量をデフォーカス量に換算し、このデフォーカス量に基づきフォーカスレンズ31bの移動量を算出する。
ステップS510では、カメラボディ2は、算出したフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS602では、交換レンズ3は、カメラボディ2からフォーカスレンズ31bの移動量に関する信号を受信する。ステップS603において、交換レンズ3は、フォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを移動して、焦点調節動作を行う。
ステップS511では、カメラボディ2は、操作部25によるレリーズ操作が行われたか否かを判定する。カメラボディ2は、レリーズ操作が行われるまで、ステップS502からステップS510までの一連の動作を繰り返す。
【0105】
なお、図14図15図16において、説明したAFモードは、ユーザが任意の焦点検出領域100を選択できる第1AFモードと、カメラ1が自動的に焦点検出領域100を選択する第2AFモードとを有する。また、第1AFモードと第2AFモードとはそれぞれ、1つの焦点検出領域100を選択するモードと、複数の焦点検出領域100を選択するモードとを有する。領域設定部212は、ユーザ又はカメラ1が選択した焦点検出領域100を、焦点検出を行う領域として設定する。
【0106】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。(1)焦点検出装置は、光学系を透過した光を受光して焦点検出に用いる信号を出力する第1画素と第2画素とを有する撮像部(撮像素子22)と、像面における位置と光学系の射出瞳距離とに関する第1情報が入力される入力部(ボディ制御部210)と、入力部に入力された第1情報に基づいて、第1画素から出力された信号に基づく第1焦点検出または第2画素から出力された信号に基づく第2焦点検出を選択する選択部214と、選択部による選択に基づいて、第1焦点検出または第2焦点検出を行う焦点検出部215と、を備える。本実施の形態では、ボディ制御部210には、交換レンズ3から射出瞳距離に関する情報(h4、h2、Co)が入力される。ボディ制御部210は、焦点検出領域100の像高における撮影光学系31の射出瞳距離を算出し、算出した射出瞳距離に基づいてAF画素対を選択する。また、ボディ制御部210は、異なる光学特性を有する撮影光学系31によって焦点検出に用いるAF画素対を選択する。つまり、カメラ1は、1つの交換レンズ3で変化する射出瞳距離によって、または交換レンズ3が変わることで変化する射出瞳距離によって、焦点検出に用いるAF画素対を選択する。これにより、カメラ1は、射出瞳距離が変化しても精度の高い焦点検出ができる。この結果、焦点検出精度の低下を抑制できる。
【0107】
(2)撮像装置は、焦点検出装置を備える撮像装置であって、光学系を有する交換レンズ3が着脱可能な着脱部(ボディ側マウント部201、ボディ側接続部202)を備え、入力部は、着脱部に装着された交換レンズ3から第1情報が入力される。本実施の形態では、ボディ制御部210には、ボディ側接続部202を介して、交換レンズ3から射出瞳距離に関する情報が入力される。このため、ボディ制御部210は、射出瞳距離に関する情報に基づいて、焦点検出に用いるAF画素対を選択でき、射出瞳距離が変化しても精度の高い焦点検出ができる。
【0108】
(3)交換レンズ3は、撮像部を有するカメラに着脱可能な交換レンズであって、撮像部の像面における位置によって射出瞳距離が変化する光学系と、像面における位置と射出瞳距離とに関する第1情報をカメラに出力する出力部(レンズ制御部32)と、を備える。本実施の形態では、交換レンズ3のレンズ制御部32は、撮影光学系31の射出瞳距離に関する情報をカメラボディ2に出力する。これにより、カメラボディ2は、射出瞳距離に関する情報に基づいて、焦点検出に用いるAF画素対を選択でき、射出瞳距離が変化しても精度の高い焦点検出ができる。
【0109】
(変形例1)
図17(a)は、図3に示した撮像素子22の画素のうちのAF画素対の第1及び第2の焦点検出画素を抜き出して示したものである。図17(b)、(c)は、その変形例の焦点検出画素を示したものである。なお、図3に示す例では、光電変換部42、遮光部43L、及び遮光部43Rをそれぞれ矩形状として図示したが、円形やそれ以外の形状であっても良い。図17(a)~(c)においては、光電変換部42、遮光部43L、及び遮光部43Rをそれぞれ略円形状として図示している。
【0110】
図17(a)では、AF画素対を構成する第1の焦点検出画素11(マイクロレンズ44及び遮光部43L)と第2の焦点検出画素12(マイクロレンズ44及び遮光部43R)とは、異なる行にそれぞれ配置されている。他方、図17(b)に示した変形例のAF画素対を構成する第1の焦点検出画素11(マイクロレンズ44及び遮光部43L)と第2の焦点検出画素12(マイクロレンズ44及び遮光部43R)とは、同一行で互いに交互に配置されている。図17(a)及び(b)において、第1の焦点検出画素11は、第1の信号Sig1を出力し、第2の焦点検出画素12は、第2の信号Sig2を出力する。なお、第1の焦点検出画素11と第2の焦点検出画素12との間に、撮像画素13が配置されていてもよい。
【0111】
第1の実施の形態にあっては、1画素に1つの光電変換部を配置する例について説明したが、画素の構成を、1画素あたり2つ以上の光電変換部を有する構成にしてもよい。図17(c)に示した変形例では、複数の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズ44とこのマイクロレンズ44を透過した光を光電変換する第1の光電変換部42a及び第2の光電変換部42bとを有する。即ち、この焦点検出画素は、撮影光学系31の射出瞳の第1及び第2の瞳領域をそれぞれ通過した第1及び第2の光束が入射するマイクロレンズ44と、このマイクロレンズ44を透過した第1及び第2の光束をそれぞれ受光する第1及び第2の光電変換部42a、42bとを有する。第1の光電変換部42aは、第1の信号Sig1を出力し、第2の光電変換部42bは、第2の信号Sig2を出力する。
【0112】
なお、第1の光電変換部42aと第2の光電変換部42bとは、光を受光する受光面積が異なる。上述した第1の焦点検出画素11の遮光部43L、第2の焦点検出画素12の遮光部43Rの面積が像高によって変化したのと同様に、第1の光電変換部42aの受光面積と第2の光電変換部42bの受光面積とは像高によって変化する。また、上述したAF画素対の種類(第1及び第2及び第3のAF画素対)によって遮光部43の面積が異なったのと同様に、第1の光電変換部42aの受光面積と第2の光電変換部42bの受光面積とは、AF画素対によって異なる。
【0113】
(変形例2)
第1の実施の形態にあっては、基準射出瞳は、3つの基準射出瞳(第1~第3の射出瞳EP1~EP3)を用いたが、2つの基準射出瞳でも、4以上の基準射出瞳であってもよい。
【0114】
(変形例3)
図15に示したフローチャートでは、ステップS401において、図11に示した区間Z1~Znと、各区間に対する定数項Poz1~Pozn及び係数h4z1~h4zn、h2z1~h2znとを全てカメラボディ2に送信したが、この代わりに、交換レンズ3は、図15のステップ303Aで判定された区間に関連する定数項Poz及び係数h4z、h2zをカメラボディ2に送信してもよい。
【0115】
同様に、図16に示したフローチャートでは、ステップS601において、図12に示した区間W1~Wnと、各区間に対する定数項Pow1~Pown及び係数h4w1~h4wn、h2w1~h2wnとを全てカメラボディ2に送信したが、この代わりに、交換レンズ3は、図16のステップ503Aで判定された区間に関連する定数項Pow及び係数h4w、h2wをカメラボディ2に送信してもよい。
【0116】
(変形例4)
所定の像高における射出瞳距離を求める方法は、上述した式(1)を用いて求める方法に限らない。例えば、式(1)の代わりに、像高の3乗を用いる演算式を用いることもできる。更には、演算式を用いずに、像高と射出瞳距離との関係を表した情報(テーブル)を用いてもよい。
【0117】
(変形例5)
第1の実施の形態では、射出瞳距離に関する情報はレンズメモリ33等に予め記憶され、カメラボディ2には交換レンズ3から射出瞳距離に関する情報が入力される例について説明した。しかし、カメラボディ2には、交換レンズ3以外から射出瞳距離の情報を入力するようにしてもよい。例えば、ボディメモリ23に射出瞳距離の情報を予め記憶させ、ボディ制御部210は、ボディメモリ23から射出瞳距離の情報を取得するようにしてもよい。また、カメラボディ2は、記憶媒体から射出瞳距離の情報を取得してもよいし、有線通信や無線通信によって外部装置から射出瞳距離の情報を取得してもよい。なお、射出瞳距離に関する情報は、1つの像高に対応した射出瞳距離に関する情報であってもよい。
【0118】
(変形例6)
第1の実施の形態では、射出瞳距離に関する情報として、射出瞳距離Po(H)の算出に用いるパラメータ(h4)、(h2)及び定数項Coを例に挙げて説明した。しかし、カメラボディ2は、射出瞳距離に関する情報として、所定の像高における射出瞳距離の値Po(H)そのものを交換レンズ3や記憶媒体等から取得するようにしてもよい。
【0119】
(変形例7)
第1の実施の形態では、選択部214は、領域設定部212により設定された焦点検出領域100内に配置された複数種類のAF画素対のうちから、焦点検出に用いるAF画素対を選択する例について説明した。しかし、選択部214は、焦点検出に用いる第1及び第2の信号Sig1、Sig2を選択するようにしてもよい。この場合、撮像素子22は、第1及び第2及び第3のAF画素対の各々の第1及び第2の信号Sig1、Sig2をボディ制御部210に出力する。選択部214は、第1及び第2及び第3のAF画素対の各々から出力された第1及び第2の信号Sig1、Sig2のうちから、焦点検出に用いるAF画素対から出力された第1及び第2の信号Sig1、Sig2を選択するようにしてもよい。
【0120】
選択部214は、カメラボディ2(或いはカメラ1)の撮影モード(動作モード)に応じて、AF画素対の選択を行うか、第1及び第2の信号Sig1、Sig2の選択を行うかを切り替えるようにしてもよい。例えば、表示部24に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合や、低解像度の動画撮影を行う場合に、選択部214は、焦点検出に用いるAF画素対の選択を行うようにしてもよい。また、高速連写を行う場合や、高解像度の動画撮影を行う場合に、選択部214は、焦点検出に用いるAF画素対から出力された第1及び第2の信号Sig1、Sig2の選択を行うようにしてもよい。
【0121】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態のカメラを説明する。第2の実施の形態のカメラは、焦点検出部215において像ズレ量をデフォーカス量に、変換する、即ち換算する換算式を像高によって変化させるものである。以下の説明では、第1の実施の形態のカメラの構成及び動作と同一の部分の説明は省略し、第1の実施の形態のカメラの構成及び動作と異なる構成及び動作を主に説明する。
【0122】
図18は、撮像素子22の撮像面22aにおける射出瞳像300a~300i、300B~300Iが像高によって変化する様子を示したものである。射出瞳像とは、撮影光学系31の射出瞳を、焦点検出画素のマイクロレンズによって、光電変換部に投影した像である。撮影光学系31の射出瞳の形状は、絞り31cの開口の形状によって変化する。
【0123】
図18は、像高ゼロ(撮像面22aの中心位置)における射出瞳像300aと、第1の像高H1における射出瞳像300b~300iと、第1の像高H1よりも大きい第2の像高H2における射出瞳像300B~300Iと、を例示している。第1の像高H1の射出瞳像300b~300iは、第1の像高H1を半径とする同心円上に分布し、第2の像高H2の射出瞳像300B~300Iは、第2の像高H2を半径とする同心円上に分布する。
【0124】
撮像面22aの中心を原点としたx座標y座標を定めると、射出瞳像300bと射出瞳像300Bはx軸上に位置し、射出瞳像300fと射出瞳像300Fもx軸上に位置する。射出瞳像300b及び射出瞳像300Bと、射出瞳像300f及び射出瞳像300Fとは、原点に関して点対称である。射出瞳像300dと射出瞳像300Dはy軸上に位置し、射出瞳像300hと射出瞳像300Hもy軸上に位置する。射出瞳像300d及び射出瞳像300Dと、射出瞳像300h及び射出瞳像300Hとは、原点に関して点対称である。
【0125】
射出瞳像300c、射出瞳像300C、射出瞳像300g、及び射出瞳像300Gは、x軸に対して45°傾いた放射線M1上に位置し、射出瞳像300c及び射出瞳像300Cと射出瞳像300g及び射出瞳像300Gとは、原点に関して点対称である。射出瞳像300e、射出瞳像300E、射出瞳像300i、及び射出瞳像300Iは、y軸に対して45°傾いた放射線M2上に位置し、射出瞳像300e及び射出瞳像300Eと射出瞳像300i及び射出瞳像300Iとは、原点に関して点対称である。
【0126】
像高ゼロにおける射出瞳像300aは、絞り31cの開口の形状、即ち射出瞳の形状である略円を縮小した略円である。同心円上に位置する第1の像高H1の射出瞳像300b~300iは、互いに同一の略楕円形状であり、同心円上に位置する第2の像高H2の射出瞳像300B~300Iも、互いに同一の略楕円形状である。第1の像高H1の射出瞳像300b~300iの略楕円形状は、その長軸の長さ、即ち長径MA1と短軸の長さ、即ち短径MI1とが、それぞれ像高ゼロの射出瞳像300aの略円の直径D0よりも小さい。第2の像高H2の射出瞳像300B~300Iの略楕円形状は、その長径MA2が第1の像高H1の射出瞳像300b~300iの長径MA1よりも小さく、その短径MI2も第1の像高H1の射出瞳像300b~300iの短径MI1よりも小さい。
【0127】
なお、各射出瞳像の楕円形状の長径MAの方向は、放射方向に垂直である。即ち、x軸上の射出瞳像300b、300B、300f、300Fの長径は、x軸に垂直であり、y軸上の射出瞳像300d、300D、300h、300Hの長径は、y軸に垂直である。また、放射線M1上の射出瞳像300c、300C、300g、300Gの長径は、放射線M1に垂直であり、放射線M2上の射出瞳像300e、300E、300i、300Iの長径は、放射線M2に垂直である。
【0128】
以上のように、射出瞳像は、像高ゼロでは、略円形であるが、像高Hが大きいと略楕円形状となる。その略楕円形状は、その長径MA及び短径MIは像高Hが大きくなるにつれて徐々に小さくなる。射出瞳像の形状及び大きさは、像高Hによって変化する。また、射出瞳像の形状及び大きさは、撮影光学系31の光学特性によって変化するため、交換レンズ3の種類によっても異なる。
【0129】
次に、焦点検出画素の光電変換部と、この光電変換部にマイクロレンズによって投影された射出瞳像との関係を説明する。図19は、図17(c)に示した焦点検出画素を例にとって、一対の光電変換部42a、42bと射出瞳像300との関係を示す。図示例では、一対の光電変換部42a、42bはそれぞれ、直径D0の円を2等分した半円形状である。
【0130】
図19(a)は、像高ゼロにおける焦点検出画素の光電変換部42a、42bと射出瞳像300aとの関係を示す。略円形状の射出瞳像300aは、直径D0であるので、一対の光電変換部42a、42bの全体を覆っている。
【0131】
図19(b)は、第1の像高H1の射出瞳像300bと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300bは、縦長の略楕円形状であり、その長径MA1が直径D0よりも小さくなる。射出瞳像300bの短径MI1の方向は、一対の光電変換部42a、42bの並び方向(図18のx軸方向)に一致し、この短径MI1は、直径D0よりも小さい。なお、原点に関して射出瞳像300bと点対称な位置の射出瞳像300fと、その位置における焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係も、図19(b)と同一である。
【0132】
図19(c)は、第2の像高H2の射出瞳像300Bと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300Bは、射出瞳像300bよりも小さい縦長の略楕円形状になり、その長径MA2及び短径MI2がそれぞれ射出瞳像300bの長径MA1及び短径MI1よりも更に小さくなる。なお、原点に関して射出瞳像300Bと点対称な位置の射出瞳像300Fと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係も、図19(c)と同一である。
【0133】
図19(d)は、第1の像高H1の射出瞳像300dと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300dは、横長の略楕円形状となる。射出瞳像300dの長径MA1の方向は、一対の光電変換部42a、42bの並び方向に一致し、この長径MA1は、直径D0よりも小さくなる。なお、原点に関して射出瞳像300dと点対称な位置の射出瞳像300hと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係も、図19(d)と同一である。
【0134】
図19(e)は、第2の像高H2の射出瞳像300Dと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300Dは、射出瞳像300dよりも小さい横長の略楕円形状であり、その長径MA2及び短径MI2がそれぞれ射出瞳像300dの長径MA1及び短径MI1よりも更に小さくなる。なお、原点に関して射出瞳像300Dと点対称な位置の射出瞳像300Hと、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係も、図19(e)と同一である。
【0135】
図19(f)は、放射線M1、M2上の第1の像高H1の射出瞳像300c、300g、300e、300iの各々と、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300c、300g、300e、300iは、その長径MAの方向及び短径MIの方向が一対の光電変換部42a、42bの並び方向に対して傾斜する。
【0136】
図19(g)は、放射線M1、M2上の第2の像高H2の射出瞳像300C、300G、300E、300Iの各々と、その位置の焦点検出画素の光電変換部42a、42bとの関係を示す。射出瞳像300C、300G、300E、300Iも、その長径MAの方向及び短径MIの方向が一対の光電変換部42a、42bの並び方向に対して傾斜する。
【0137】
第1の実施の形態において、焦点検出部215は像ズレ量をデフォーカス量に換算すると説明したが、この像ズレ量のデフォーカス量への換算について、以下に説明する。像ズレ量Δをデフォーカス量Defに換算する換算式は、換算係数K1を用いて以下のように表すことができる。
Def=K1×Δ …(2)
換算係数K1は、射出瞳像300a~300Iと光電変換部42aとの重なり領域の重心位置と、射出瞳像300a~300Iと光電変換部42bとの重なり領域の重心位置との重心間隔に依存する。換算係数K1は、重心間隔の逆数に比例する。
【0138】
図19(a)に、射出瞳像300aと光電変換部42aとの重なり領域の重心位置g1と、射出瞳像300aと光電変換部42bとの重なり領域の重心位置g2との重心間隔Gを例示した。なお、上述の射出瞳像と光電変換部42aとの重なり領域とは、撮影光学系31の射出瞳の第1の瞳領域を通過した光束が光電変換部42aに入射する領域である。同様に、上述の射出瞳像と光電変換部42bとの重なり領域とは、撮影光学系31の射出瞳の第2の瞳領域を通過した光束が光電変換部42bに入射する領域である。
【0139】
図19(b)に示した第1の像高H1の射出瞳像300bの焦点検出画素は、その重心間隔が図19(a)の像高ゼロの射出瞳像300aの焦点検出画素に関する重心間隔よりも小さいので、図19(b)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(a)の換算係数K1よりも大きい。
また、図19(c)に示した第2の像高H2の射出瞳像300Bの焦点検出画素は、その重心間隔が図19(b)の第1の像高H1の射出瞳像300bの焦点検出画素に関する重心間隔よりも小さいので、図19(c)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(b)の換算係数よりも大きい。
【0140】
図19(d)に示した第1の像高H1の射出瞳像300dの焦点検出画素は、その重心間隔が図19(a)の像高ゼロの射出瞳像300aの焦点検出画素に関する重心間隔よりも小さいので、図19(d)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(a)の換算係数K1よりも大きい。
また、図19(e)に示した第2の像高H2の射出瞳像300Dの焦点検出画素は、その重心間隔が図19(d)の第1の像高H1の射出瞳像300dの焦点検出画素に関する重心間隔よりも小さいので、図19(e)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(d)の換算係数K1よりも大きい。
【0141】
図19(f)に示した第1の像高H1の射出瞳像300c、300g、300e、300iの各々の焦点検出画素は、その重心間隔が、図19(b)の焦点検出画素に関する重心間隔と図19(d)の焦点検出画素に関する重心間隔との中間の値である。図19(f)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(b)の焦点検出画素の換算係数K1と図19(d)の焦点検出画素の換算係数K1との中間の値になる。
【0142】
同様に、図19(g)に示した第2の像高H2の射出瞳像300C、300G、300E、300Iの各々の焦点検出画素は、その重心間隔が、図19(c)の焦点検出画素に関する重心間隔と図19(e)の焦点検出画素に関する重心間隔との中間の値である。図19(g)の焦点検出画素の換算係数K1は、図19(c)の焦点検出画素の換算係数K1と図19(e)の焦点検出画素の換算係数K1との中間の値になる。なお、図19(f)、(g)のように、射出瞳像の長軸及び短軸が光電変換部42a、42bの並び方向に対して傾斜している場合の重心間隔は、光電変換部42a、42bの並び方向における間隔である。
【0143】
次に、第2の実施の形態のカメラボディ2の焦点検出部215の構成例を説明する。図20では、焦点検出部215が実行する複数の機能を機能毎にブロック化して示している。図20において、焦点検出部215は、相関演算部215Aと、デフォーカス量算出部215Bと、レンズ移動量算出部215Cと、射出瞳像算出部215Dと、換算係数算出部215Eと、を有する。また、領域設定部212は、複数の焦点検出領域100から一つの焦点検出領域100を設定し、設定した焦点検出領域100の像高H及びその焦点検出領域の座標(x、y)を出力する。上述したように、領域設定部212は、設定した焦点検出領域100の像高Hとして、設定した焦点検出領域100の中心における像高を出力し、焦点検出領域の座標(x、y)として焦点検出領域100の中心の座標を出力する。
【0144】
焦点検出部215の相関演算部215Aは、第1及び第2の信号Sig1、Sig2が入力され、第1及び第2の信号Sig1、Sig2を相関演算して、第1及び第2の信号Sig1、Sig2の位相差、即ち像ズレ量Δを算出する。デフォーカス量算出部215Bは、式(2)に示した換算式によって、像ズレ量Δをデフォーカス量Defに換算する、即ち、像ズレ量Δに射出瞳像に応じた換算係数K1を乗じて、デフォーカス量Defを算出する。レンズ移動量算出部215Cは、デフォーカス量算出部215Bにより算出されたデフォーカス量Defに基づき、フォーカスレンズ31bの移動量を算出する。交換レンズ3のレンズ制御部32は、算出されたフォーカスレンズ31bの移動量に基づき、フォーカスレンズ31bを移動して焦点調節を行う。
【0145】
射出瞳像算出部215Dには、領域設定部212が設定した焦点検出領域100の像高Hと、交換レンズ3から送信された絞り31cのF値(絞り値)Foと、交換レンズ3から送信された後述する係数K2、K3などがそれぞれ入力される。射出瞳像算出部215Dは、像高Hを変数とする像高Hの同心円上の射出瞳像を表す次式(3)及び(4)の演算式を、予め内部のメモリ等に記憶して有する。
FoT=(1+K2×H)×Fo …(3)
FoR=(1+K3×H)×Fo …(4)
式(3)及び(4)において、Foは、例えば撮影光学系31の絞り31cの開放F値(開放絞り値)である。変数Hの係数K2及びK3は、撮影光学系31の光学特性によって決まる値である。これらの係数K2、K3は、交換レンズ3のレンズメモリ33等に記憶されており、カメラボディ2に送信される。これにより、カメラボディ2は、例えば開放絞り状態での射出瞳の形状に基づく係数K2及びK3の情報を、交換レンズ3から取得する。なお、カメラボディ2は、絞り31cを1段絞った状態での射出瞳の形状に基づく係数K2及びK3の情報を、交換レンズ3から取得するようにしてもよい。
【0146】
式(3)のFoTは、撮像面22aの中心(撮影光学系31の光軸)からの放射方向における射出瞳像の大きさ、即ち略楕円形状の射出瞳像の短径MIを、撮影光学系31の絞り31cのF値Foを用いて表したものである。同様に、式(4)のFoRは、像高Hの同心円の円周方向における射出瞳像の大きさ、即ち略楕円形状の射出瞳像の長径MAを、撮影光学系31の絞り31cのF値Foを用いて表したものである。これは、上述したように射出瞳像300が撮影光学系31の射出瞳の投影像であるので、この射出瞳像の形状を絞り31cのF値を用いて表している。なお、F値Foは、絞り31cの開放F値でなく、開放F値よりも絞った絞りのF値であってもよい。
【0147】
像高ゼロであるH=0を式(3)、(4)に代入すると、射出瞳像の放射方向の大きさを表すFoT及び円周方向の大きさを表すFoRは共にFoになる。これは、図18に示した像高ゼロの射出瞳像300aの形状を表す。また、式(3)、(4)は、像高Hが大きくなるにつれて、射出瞳像の放射方向の大きさFoT及び円周方向の大きさFoRは共に増大する。式(3)、(4)は、図18に示したように、像高Hが大きくなるにつれて、射出瞳像300の長径MA及び短径MIが減少することを示している。
【0148】
再び図20において、換算係数算出部215Eには、領域設定部212が設定した焦点検出領域100の像高H及び座標値(x、y)と、射出瞳像算出部215Dによって算出された射出瞳像の放射方向の大きさFoT及び円周方向の大きさFoRとがそれぞれ入力される。換算係数算出部215Eは、図19に示した一対の光電変換部42a、42bの並び方向(図18のx軸方向)における射出瞳像300の長さ、即ちx方向の大きさを表すFLを算出する次式(5)の演算式を、予め内部のメモリ等に記憶して有する。
FL=(FoT×x+FoR×y)/(x+y) …(5)
このFLは、F値Foで表されるので、FLが大きくなると、射出瞳像300のx方向の長さは短くなる。
式(5)において、例えば図18に示した射出瞳像300bのx方向の大きさFLは、射出瞳像300bの座標(xb、0)を代入すると、放射方向の大きさFoTとなる。同様に、例えば図18に示した射出瞳像300dのx方向の大きさFLは、射出瞳像300dの座標(0、yd)を代入すると、放射方向の大きさFoRとなる。
【0149】
換算係数算出部215Eは、算出した射出瞳像300のx方向の大きさFLを換算係数として、デフォーカス量算出部215Bに送る。デフォーカス量算出部215Bは、式(2)の換算係数K1として、K1=a×FL+bを用いて、像ズレ量Δをデフォーカス量Defに換算する。但し、a、bは、定数である。
【0150】
以上の説明では、換算係数K1として、図19(a)を用いて説明した重心間隔Gの代わりに、射出瞳像300のx方向の大きさFLを用いた。これは、射出瞳像300のx方向の大きさFLが大きくなるにつれて、重心間隔Gが小さくなるためである。
像ズレ量をデフォーカス量に変換する精度を高めるために、大きさFLから重心間隔を算出して、その重心間隔を用いてデフォーカス量の換算を行うこともできる。
【0151】
図21は、第2の実施の形態のカメラの焦点検出部215における像ズレ量をデフォーカス量に換算する動作例を示したフローチャートである。図21は、撮影光学系31が図18のような射出瞳像300a~300i、300B~300Iを生じる光学特性の交換レンズ3がカメラボディ2に装着された場合の動作を示す。
【0152】
図21において、ステップS700では、カメラボディ2は、例えば電源が投入されると、レンズ情報の送信を要求する信号を交換レンズ3に送信する。ステップS800において、交換レンズ3は、カメラボディ2からレンズ情報の要求信号を受信する。ステップS801において、交換レンズ3は、レンズメモリ33等に記憶されたレンズ情報をカメラボディ2に送信する。レンズ情報は、係数K2、K3、及び絞り31cのF値Foを含む。絞り31cのF値Foは、例えば絞り31cの開放F値である。ステップS701において、カメラボディ2は、交換レンズ3からレンズ情報を受信して、レンズ情報をボディ制御部210の内部のメモリ等に記憶させる。
【0153】
ステップS702では、カメラボディ2の領域設定部212は、AFモードが設定されると、所定の像高Hの焦点検出領域100を焦点検出を行う領域として設定する。領域設定部212は、設定された焦点検出領域100の像高Hと座標(x、y)を、焦点検出部215に出力する。
【0154】
ステップS703では、射出瞳像算出部215Dは、レンズ情報の係数K2、K3、F値Foによって定まる式(3)、(4)に、設定された焦点検出領域100の像高Hを代入して、FoT、FoRを算出する。換算係数算出部215Eは、領域設定部212が設定した焦点検出領域100の座標値(x、y)と、射出瞳像算出部215Dによって算出されたFoT及びFoRとを式(5)に代入して、一対の光電変換部42a、42bの並び方向(図18のx軸方向)における射出瞳像300の大きさFLを算出する。換算係数算出部215Eは、算出した射出瞳像300のx方向の大きさFLを換算係数として、デフォーカス量算出部215Bに送る。
【0155】
ステップS704では、デフォーカス量算出部215Bは、式(2)の換算係数K1として、K1=a×FL+bを用いて、像ズレ量Δをデフォーカス量Defに換算する。
カメラ1は、焦点検出時の絞り31cのF値が変更された場合や、焦点検出領域が変更された場合には、ステップS801、ステップS701~ステップS704の一連の動作を繰り返す。
【0156】
なお、交換レンズ3が、第1の実施の形態において図9を用いて説明した光学特性と第2の実施の形態において図18を用いて説明した光学特性とを併せ持つ場合には、第1及び第2の実施の形態で説明した動作が行われる。
【0157】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。(1)入力部(ボディ制御部210)は、光学系の射出瞳の形状に関する第2情報が入力され、焦点検出部215は、第2情報と、第1画素から出力される信号または第2画素から出力される信号とに基づいて焦点検出を行う。本実施の形態では、ボディ制御部210には、交換レンズ3から射出瞳の形状に関する情報(K2、K3)が入力される。ボディ制御部210は、焦点検出領域の像高における射出瞳像の大きさを算出し、算出した射出瞳距離に応じた換算係数を像ズレ量に乗じて、デフォーカス量を算出する。カメラ1は、1つの交換レンズ3で変化する射出瞳像によって、または交換レンズ3が変わることで変化する射出瞳像によって、デフォーカス量の算出に用いる換算係数を変更する。これにより、カメラ1は、射出瞳像が変化しても精度の高い焦点検出ができる。この結果、焦点検出精度の低下を抑制できる。
【0158】
(変形例8)
第2の実施の形態にあっては、射出瞳像300a~300i、300B~300Iの放射方向の大きさ、即ち略楕円形状の射出瞳像の短径MIを絞り31cのF値を用いた式(3)により表した。同様に、射出瞳像300a~300i、300B~300Iの周方向の大きさ、即ち略楕円形状の射出瞳像の長径MAを絞り31cのF値を用いた式(4)により表した。この絞り31cのF値の代わりに、射出瞳像の短径MI及び長径MAを絞り31cの開口径を用いて表してもよい。
【0159】
(変形例9)
第2の実施の形態では、射出瞳像算出部215Dが像高Hと係数K2、K3とF値Foとを用いてFoT及びFoRを算出し、換算係数算出部215EがFoT及びFoRと座標(x、y)とを用いて、FLを算出するものであった。変形例は、射出瞳像算出部215Dを省き、換算係数算出部215Eが係数K2、K3とF値Foと座標(x、y)とを用いて、直接にFLを算出するものである。以下に説明する。
【0160】
上述の式(5)のFoT及びFoRに、式(3)のFoT及び式(4)のFoRを代入すると、次式(6)になる。
FL={(1+K2×H)Fo×x+(1+K3×H)Fo×y}/(x+y)…(6)
領域設定部212が設定した焦点検出領域100の像高Hと、その焦点検出領域の座標(x、y)との間には、H=x+yが成立する。このH=x+yを式(6)のHに代入すると、FLを次式(7)で表すことができる。
FL={(1+K2(x+y))Fo×x+(1+K3(x+y))Fo×y}/(x+y) …(7)
【0161】
変形例に係る換算係数算出部215Eは、交換レンズ3から送信された係数K2、K3及びF値Foと、領域設定部212からの座標値(x、y)とを用いて式(7)に基づき、FLを算出する。
【0162】
なお、FoT及びFoRを求める方法は、上述した式(3)、(4)を用いて求める方法に限らない。式(3)、(4)以外の演算式を用いてもよい。像高とFoT及びFoRとの関係を表すテーブルを用いてもよい。
また、FLを求める方法は、上述した式(5)又は(6)を用いて求める方法に限らない。それ以外の演算式を用いてもよい。座標(x、y)とF値Fo、FLとの関係を表すテーブルを用いてもよい。
【0163】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0164】
(変形例10)
上述した実施の形態では、撮像素子22に、複数種類のAF画素対として、ずれ量が互いに異なる第1~第3のAF画素対が配置される例について説明した。しかし、カラーフィルタ51と光電変換部42との間における遮光部の配置位置が互いに異なる複数種のAF画素対を、撮像素子22に配置するようにしてもよい。図22は、変形例に係る撮像素子22の焦点検出画素の構成例を示す図である。なお、図中、上述の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付す。
【0165】
第1の焦点検出画素11aの遮光部43Lは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間において、光電変換部42から所定の間隔h1に設けられる。第1の焦点検出画素11bの遮光部43Lは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間において、光電変換部42から所定の間隔h2に設けられる。また、第1の焦点検出画素11cの遮光部43Lは、カラーフィルタ51と光電変換部42との間において、光電変換部42から所定の間隔h3に設けられる。間隔h2は、間隔h1よりも小さく、間隔h3よりも大きい。即ち、h1>h2>h3である。このように、第1の焦点検出画素11a、11b、11cは、遮光部43Lの配置位置が相違する。また、各AF画素対を構成する他方の第2の焦点検出画素12a、12b、12cは、遮光部43Rの配置位置が相違する。これにより、第1~第3のAF画素対は、上述した実施の形態の場合と同様に、互いに異なる入射角に対応して瞳分割を行うことができる。
【0166】
(変形例11)
図23は、変形例に係る撮像素子22の焦点検出画素の構成例を示す図である。一例として、図23では、図2の焦点検出領域100cにおける一部の3種類のAF画素対の断面図を示している。なお、図中、上述の実施の形態と同一もしくは相当部分には、同一の参照番号を付す。図23(a)~(c)に示す3種類の焦点検出画素の各々は、マイクロレンズ44と、このマイクロレンズ44を透過した光を光電変換する第1の光電変換部42a及び第2の光電変換部42bとを有する。本変形例では、第1~第3のAF画素対は、各々の第1の光電変換部42a及び第2の光電変換部42bが光を受光する受光面積が互いに異なる。この場合も、第1~第3のAF画素対は、上述した実施の形態の場合と同様に、互いに異なる入射角に対応して瞳分割を行うことができる。
【0167】
(変形例12)
選択部214は、複数種類のAF画素対を選択するようにしてもよい。この場合、焦点検出部215は、複数種類のAF画素対からそれぞれ出力される第1及び第2の信号を用いて複数のデフォーカス量を算出し、デフォーカス量の平均値に基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を算出するようにしてもよい。例えば、第1のAF画素対の第1及び第2の信号Sig1、Sig2を用いて算出されるデフォーカス量、及び、第2のAF画素対の第1及び第2の信号Sig1、Sig2を用いて算出されるデフォーカス量の平均値に基づいてフォーカスレンズ31bの移動量を決定するようにしてもよい。
【0168】
(変形例13)
上述した実施の形態では、撮像素子22に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0169】
(変形例14)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0170】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0171】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特願2018-137262号(2018年7月20日出願)
【符号の説明】
【0172】
1…撮像装置、2…カメラボディ、3…交換レンズ、11…焦点検出画素、12…焦点検出画素、13…撮像画素、22…撮像素子、23…ボディメモリ、31…撮影光学系、31a…ズームレンズ、31b…フォーカスレンズ、31c…絞り、32…レンズ制御部、33…レンズメモリ、42…光電変換部、44…マイクロレンズ、210…ボディ制御部、211…画像データ生成部、212…領域設定部、213…距離演算部、214…選択部、215…焦点検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図23