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特開2022-177427ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177427
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/03 20060101AFI20221124BHJP
   C08G 65/22 20060101ALI20221124BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20221124BHJP
   C08L 1/02 20060101ALI20221124BHJP
【FI】
C08L71/03
C08G65/22
C08L1/00
C08L1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021083671
(22)【出願日】2021-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】乾 章朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茉由加
【テーマコード(参考)】
4J002
4J005
【Fターム(参考)】
4J002AB002
4J002AB012
4J002CH041
4J002DE027
4J002GH01
4J002GJ01
4J002GJ02
4J002GN00
4J005AA10
4J005AA12
4J005BA00
4J005BB04
4J005BC00
(57)【要約】
【課題】 ポリウレタン原料として用いた際に影響を及ぼす可能性のあるアルミ触媒を効率よく除去する製造方法を提供する。
【解決手段】 以下の(A)工程、及び(B)工程を含むハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法。
(A)工程;オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに、多糖類および水を添加し加熱攪拌する工程。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)工程及び(B)工程を含むハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法。
(A)工程;オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを製造する工程。
(B)工程;(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに、多糖類および水を添加し加熱攪拌する工程。
【請求項2】
(B)工程における加熱攪拌の温度が、50~130℃であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
(B)工程で添加する多糖類が、セルロースであることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
セルロースが粉末であり、その平均粒径が10~4000μmであることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、下記式(1)で示され、分子量が200~100,000であり、かつ不飽和度が0.02meq/g以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【化1】
(上記式(1)中、Qは下記構造単位[I]を含む重合体成分を表し、mは2又は3の整数、Rはポリエーテルポリオール残基またはポリエステルポリオール残基を表す。)
【化2】
(式[I]中、Xはハロゲン原子を表す。)
【請求項6】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、上記式(1)中、Qが上記構造単位[I]と下記構造単位[II]とを含む重合体成分を表すことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の製造方法。
【化3】
(上記構造単位[II]中、Aは水素原子又は炭素数が1~10の炭化水素基を表す。)
【請求項7】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、末端に構造単位[II]を持つ割合が50mol%以上99.5mol%以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、下記式(2)で示され、分子量が200~100,000であり、かつ不飽和度が0.02meq/g以下であることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【化4】
(上記式(2)中、Xはハロゲン原子、nは1~500の整数、mは2又は3の整数、Rはポリエーテルポリオール残基またはポリエステルポリオール残基を表す。)
【請求項9】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、不飽和度が0.01meq/g以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、Mw/Mnが1.50以下(ただし、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定から求めた数平均分子量をMn、重量平均分子量をMwとする)であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテルポリオールは、アルキレンオキシドを開環重合することで得ることができ、ポリウレタンのソフトセグメントとして、塗料や接着剤、シーリング剤、自動車シート用フォーム等幅広い用途で用いられている。
【0003】
さらに、せん断強度、耐湿性、及び耐水性に優れるポリウレタン系接着剤の原料としてハロゲン含有ポリエーテルポリオールが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、機械物性と難燃性に優れたポリウレタンを製造する原料となるハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールも知られている。このようなハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールは、三フッ化ホウ素化合物のようなルイス酸触媒を用い、ハロゲン含有アルキレンオキシドを開環重合することにより合成できる。
【0004】
しかしながら、ルイス酸触媒を用いハロゲン含有ポリエーテルポリオールを製造した場合、これをポリウレタン原料として用いるためには、ウレタン化反応に影響を与えることから、このルイス酸触媒の除去が必要である。
【0005】
また、ポリアルキレンオキシド(ポリエーテルポリオールに相当)を製造する方法において、イミノホスファゼニウム塩とルイス酸として有機アルミニウム及び/又は有機亜鉛よりなる触媒を用いる方法が提案されている(例えば特許文献2参照。)。そして、これらの触媒を用い、ポリアルキレンオキシドを生産した場合、高分子量、低不飽和度かつ狭分子量分布を示すポリアルキレンオキシドを、低温での製造条件であっても効率よく製造することが可能な反面、ウレタン化反応に影響を与えることから、得られたポリアルキレンオキシドをポリウレタン原料として用いるためには、これらの触媒の除去が必要であった。
【0006】
その際の有機アルミニウムの除去方法として、例えば、特許文献3には、ポリマー溶液の精製方法において、ポリマー溶液中のアルミニウム含有化合物を除去する目的で、有機溶剤(N-メチル-2-ピロリドン)により処理したセルロースパウダーを濾過助剤として予め濾過機にプレコートし、当該濾過機にアルミニウム含有化合物を含むポリマー溶液を流し込んで濾過する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2-202573号公報
【特許文献2】特開2016-40345号公報
【特許文献3】特許第5262975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1では精製処理の際にトルエンと水を共沸蒸留し、脱水濃縮する工程が含まれ処理に長時間を要した。また、特許文献2にはルイス酸である有機アルミニウム及び/又は有機亜鉛よりなる触媒の除去方法について言及した記載はなく、特許文献3に記載の方法は、有機溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)によるセルロースパウダーの処理および処理したセルロースパウダーの濾過機へのプレコート層の形成を、濾過を行う前に予め行っておく必要があり、工程の過多が課題として挙げられた。
【0009】
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポリウレタン原料として用いた際に影響を及ぼすおそれのある有機アルミニウムをはじめとするルイス酸触媒残渣を効率よく除去することができるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ルイス酸触媒を用いて製造した場合であっても、ルイス酸触媒の残存量が極めて低減されたハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下に示す実施形態を含むものである。
【0012】
[1]以下の(A)工程及び(B)工程を含むハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法。
【0013】
(A)工程;オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを製造する工程。
【0014】
(B)工程;(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに、多糖類および水を添加し加熱攪拌する工程。
【0015】
[2](B)工程における加熱攪拌の温度が、50~130℃であることを特徴とする上記[1]に記載の製造方法。
【0016】
[3](B)工程で添加する多糖類が、セルロースであることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の製造方法。
【0017】
[4]セルロースが粉末であり、その平均粒径が10~4000μmであることを特徴とする上記[3]に記載の製造方法。
[5]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、下記式(1)で示され、分子量が200~100,000であり、かつ不飽和度が0.02meq/g以下であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
【化1】
【0019】
(上記式(1)中、Qは下記構造単位[I]を含む重合体成分を表し、mは2又は3の整数、Rはポリエーテルポリオール残基またはポリエステルポリオール残基を表す。)
【0020】
【化2】
【0021】
(式[I]中、Xはハロゲン原子を表す。)
[6]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、上記式(1)中、Qが上記構造単位[I]と下記構造単位[II]とを含む重合体成分を表すことを特徴とする上記[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
【化3】
【0023】
(上記構造単位[II]中、Aは水素原子又は炭素数が1~10の炭化水素基を表す。)
[7]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、末端に構造単位[II]を持つ割合が50mol%以上99.5mol%以下であることを特徴とする[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
【0024】
[8]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、下記式(2)で示され、分子量が200~100,000であり、かつ不飽和度が0.02meq/g以下であることを特徴とする上記[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
【0025】
【化4】
【0026】
(上記式(2)中、Xはハロゲン原子、nは1~500の整数、mは2又は3の整数、Rはポリエーテルポリオール残基またはポリエステルポリオール残基を表す。)
[9]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、不飽和度が0.01meq/g以下であることを特徴とする上記[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
【0027】
[10]ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、Mw/Mnが1.50以下(ただし、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定から求めた数平均分子量をMn、重量平均分子量をMwとする)であることを特徴とする上記[1]~[9]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明により、ポリウレタン原材料として期待される品質に優れ、ルイス酸触媒の残存量が少ないハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを効率よく製造することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に関して詳細に説明する。
【0030】
本発明のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法は、下記の(A)工程、及び(B)工程を含むことをその特徴とする。
【0031】
(A)工程;オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いて、アルキレンオキシドの重合反応を行い、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを製造する工程。
【0032】
(B)工程;(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに、多糖類および水を添加し加熱攪拌する工程。
【0033】
該(A)工程は、オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む触媒組成物を用いてアルキレンオキシドを重合することで、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを製造する工程である。
【0034】
本発明において、(A)工程で使用するオニウム塩としては、ホスファゼニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等を挙げることができる。
【0035】
ホスファゼニウム塩の構造は特に限定しないが、例えば、下記式(3)で表される。
【0036】
【化5】
【0037】
上記式(3)中、R及びRは各々独立して、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基、RとRが互いに結合した環構造、R同士又はR同士が互いに結合した環構造、Zはヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、よう素アニオン又は炭酸水素アニオンを表す。
【0038】
、Rで表される炭素数1~20の炭化水素基としては、特に限定しないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基、シクロデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基等を挙げることができる。
【0039】
とRが互いに結合し環構造を形成した場合としては、例えば、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、インドリル基、イソインドリル基等を挙げることができる。
【0040】
同士又はR同士が互いに結合した環構造としては、特に限定しないが、例えば、一方の置換基がエチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基となって、他方の置換基と互いに結合した環構造を挙げることができる。
【0041】
これらの中で、R及びRとしては、特に触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール重合触媒となり、原料の入手が容易という点から、メチル基、エチル基、イソプロピル基であることが好ましい。
【0042】
また、上記式(3)におけるZは、ヒドロキシアニオン、炭素数1~4のアルコキシアニオン、カルボキシアニオン、炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオン、又は炭酸水素アニオンである。
【0043】
炭素数1~4のアルコキシアニオンとしては、特に限定しないが、例えば、メトキシアニオン、エトキシアニオン、n-プロポキシアニオン、イソプロポキシアニオン、n-ブトキシアニオン、イソブトキシアニオン、t-ブトキシアニオン等を挙げることができる。
【0044】
炭素数2~5のアルキルカルボキシアニオンとしては、特に限定しないが、例えば、アセトキシアニオン、エチルカルボキシアニオン、n-プロピルカルボキシアニオン、イソプロピルカルボキシアニオン、n-ブチルカルボキシアニオン、イソブチルカルボキシアニオン、t-ブチルカルボキシアニオン等を挙げることができる。
【0045】
これらの中で、Zとしては、触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール重合触媒となることから、ヒドロキシアニオン、炭酸水素アニオンが特に好ましい。
【0046】
上記式(3)で示されるホスファゼニウム塩としては、特に限定しないが特に限定しないが、具体的には、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-プロピル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-ブチル)グアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラエチルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-プロピル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトライソプロピルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラ(n-ブチル)グアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラフェニルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,1,3,3-テトラベンジルグアニジノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホニウムハイドロゲンカーボネート等を例示することができる。
【0047】
また、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジn-プロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、1-tert-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス(トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ)-2λ5,4λ5-カテナジ(ホスファゼン)、テトラキス[トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジn-ブチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシド、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジエチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジn-プロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジイソプロピルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジn-ブチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジフェニルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-イミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムハイドロゲンカーボネート等を例示することができる。
【0048】
これらの中で、触媒性能に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造触媒となることから、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムヒドロキシド、テトラキス(1,1,3,3-テトラメチルグアニジノ)ホスファゼニウムハイドロゲンカーボネート、テトラキス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]ホスホニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0049】
アンモニウム塩又はホスホニウム塩の構造は、例えば、下記式(4)で表される。
【0050】
【化6】
【0051】
上記式(4)中、Dは窒素原子又はリン原子を表し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでも良い炭素数1~20のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ハロゲン原子又は水素原子を表し、Eは無機又は有機の基からなる対イオンを表す。R~Rのうち2~4つが結合して環状構造を形成しても良く、またその環状構造中にヘテロ原子を含んでいても良い。
【0052】
、R、R及びRで表される炭素数1~20のアルキル基又はアリール基としては、特に限定しないが、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、ノルマルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、ベンジル基、トリル基、オクチル基、シクロオクチル基、キシリル基等が例示され、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ビニルオキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、シクロプロポキシ基、アリルオキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基、シクロブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、フェノキシ基、へプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基、トリルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、キシリルオキシ基が例示され、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ジノルマルプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジシクロプロピルアミノ基等が挙げられる。
【0053】
触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造触媒となることから、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでも良い炭素数1~10のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、メチル基、エチル基、ノルマルブチル基又はノルマルオクチル基又はフェニル基であることが特に好ましい。
【0054】
~Rのうち2つ又は3つが結合して環状構造を形成したアンモニウム塩の構造としては、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩が例示され、触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造触媒となることからイミダゾリウム塩であることが好ましい。
【0055】
上記式(4)におけるEは無機又は有機の基である。
【0056】
これらの中で、特に限定しないが、具体的には、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、水素化ホウ素基、ヘキサフルオロリン酸基が例示され、触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造触媒となることから、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子、ヘキサフルオロリン酸基のいずれかであることが好ましい。
【0057】
上記式(4)で表されるアンモニウム塩又はホスホニウム塩としては、特に限定しないが、具体的には、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラノルマルプロピルアンモニウムブロミド、テトラノルマルブチルアンモニウムブロミド、テトラノルマルペンチルアンモニウムブロミド、テトラノルマルヘキシルアンモニウムブロミド、テトラノルマルヘプチルアンモニウムブロミド、テトラノルマルオクチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラノルマルプロピルアンモニウムクロライド、テトラノルマルブチルアンモニウムクロライド、テトラノルマルペンチルアンモニウムクロライド、テトラノルマルヘキシルアンモニウムクロライド、テトラノルマルヘプチルアンモニウムクロライド、テトラノルマルオクチルアンモニウムクロライド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、テトラメチルホスホニウムブロミド、テトラエチルホスホニウムブロミド、テトラノルマルプロピルホスホニウムブロミド、テトラノルマルブチルホスホニウムブロミド、テトラノルマルペンチルホスホニウムブロミド、テトラノルマルヘキシルホスホニウムブロミド、テトラノルマルヘプチルホスホニウムブロミド、テトラノルマルオクチルホスホニウムブロミド、テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラノルマルプロピルホスホニウムクロライド、テトラノルマルブチルホスホニウムクロライド、テトラノルマルペンチルホスホニウムクロライド、テトラノルマルヘキシルホスホニウムクロライド、テトラノルマルヘプチルホスホニウムクロライド、テトラノルマルオクチルホスホニウムクロライド、ブロモトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等が例示される。
【0058】
これらの中で、触媒活性に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造触媒となることから、テトラノルマルオクチルアンモニウムクロリド、テトラノルマルオクチルアンモニウムブロミド、テトラノルマルブチルホスホニウムブロミドが好ましく用いられる。
【0059】
本発明のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法において、ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを効率よく製造することが可能となることから、活性水素含有化合物中の活性水素1モルに対し、オニウム塩は0.001~0.1モルが好ましく、0.001~0.05モルであることが特に好ましい。
【0060】
本発明において、(A)工程で使用する使用するルイス酸としては、例えば、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、ホウ素化合物等を挙げることができる。
【0061】
アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジフェニルモノイソブチルアルミニウム、モノフェニルジイソブチルアルミニウム等の有機アルミニウム;メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、メチル-イソブチルアルミノキサン等のアルミノキサン;塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム等の無機アルミニウムを挙げることができる。
【0062】
亜鉛化合物としては、例えば、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジフェニル亜鉛等の有機亜鉛;塩化亜鉛、酸化亜鉛等の無機亜鉛を挙げることができる。
【0063】
ホウ素化合物としては、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフルオロボラン等を挙げることができる。
【0064】
これらの中でも、触媒性能に優れるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール製造用触媒となることから、有機アルミニウム、アルミノキサン、有機亜鉛が好ましく、有機アルミニウムが特に好ましい。
【0065】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを効率よく製造することが可能となることから、活性水素含有化合物中の活性水素1モルに対し、ルイス酸は0.002~0.2モルが好ましく、0.002~0.1モルであることが特に好ましい。
【0066】
本発明において、(A)工程で使用する活性水素含有化合物としては、特に限定しないが、例えば、ヒドロキシ化合物、水酸基を有するポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール等を挙げることができる。
【0067】
ヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等を挙げることができる。
【0068】
水酸基を有するポリエーテルポリオールとしては、例えば、分子量200~2000のポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール及びその共重合体等を挙げることができる。
【0069】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールを効率よく製造することが可能となることから、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,9-ノナンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、エチレンジアミン、分子量200~2000のポリプロピレングリコールが好ましく、トリプロピレングリコール、2,5-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、分子量が200~1000のポリプロピレングリコールがより好ましい。
【0070】
また、水酸基を有するポリエステルポリオールとしては、例えば、芳香族系又は/及び脂肪族系多塩基酸又は酸無水物と、2又は3個のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)とを公知の方法によってエステル化反応させることにより製造されたもの、又は、2又は3個のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)を開始剤としてε―カプロラクトンを開環重合することにより製造されたものが挙げられる。
【0071】
芳香族系多塩基酸としては、特に限定されないが、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などが挙げられ、製造されるポリエステルポリオールの汎用性の高さから、オルトフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸が好ましい。
【0072】
脂肪族系多塩基酸としては、特に限定されないが、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、アジピン酸などが挙げられ、製造されるポリエステルポリオールの汎用性の高さから、アジピン酸、セバシン酸又はコハク酸が好ましい。
【0073】
芳香族系又は/及び脂肪族系多塩基酸は、それぞれ単独で又は2種類以上を組み合わせて使用しても良く、得られるポリウレタンの難燃性が高いため、芳香族系多塩基酸単独又は、芳香族及び脂肪族系多塩基酸を2種類以上組み合わせて使用することが好ましい。
【0074】
酸無水物としては、特に限定されないが、無水マレイン酸又は無水フタル酸が挙げられる。
【0075】
2又は3個のヒドロキシル基を有する化合物(多価アルコール)としては、特に限定されないが、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAなどの短鎖ジオール;グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパンなどの短鎖トリオールなどが挙げられ、製造されるポリエステルポリオールの汎用性の高さから、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオールが特に好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールは、特に制限はなく、従来公知の製造方法で製造することができる。
【0077】
例えば、オニウム塩、ルイス酸及び活性水素含有化合物を含む組成物の存在下、活性水素含有化合物を開始剤とし、2種類以上のアルキレンオキシドを開環重合することにより得られる。
【0078】
その際の第一のアルキレンオキシドとしては、例えば、ハロゲン含有アルキレンオキシドを挙げることができ、具体的には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピフルオロヒドリン等を挙げることができる。これらの中で、入手が容易で、得られるポリアルキレンオキシドの工業的価値の高いことから、エピクロロヒドリンが好ましい。
【0079】
第二のアルキレンオキシドとしては、例えば、炭素数2~12のアルキレンオキシドを挙げることができ、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、ペンテンオキシド、スチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等を挙げることができる。これらの中で、アルキレンオキシドの入手が容易で、得られるポリアルキレンオキシドの工業的価値の高いことから、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシドが好ましい。
【0080】
第一及び第二のアルキレンオキシドは、いずれも単一で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0081】
本発明のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法において、重合圧力は、常圧~1.0MPaの範囲、好ましくは、常圧~0.5MPaの範囲が良い。本発明の一態様にかかるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法において、重合温度は、0~180℃の範囲であり、50~130℃の範囲がより好ましい。
【0082】
本発明のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法において、重合反応は無溶媒でも、溶媒中でも行うこともできる。溶媒を使用する際は、溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等を挙げることができる。
【0083】
該(A)工程においては、上記したオニウム塩及びルイス酸を含有する粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが得られる。
【0084】
本発明において、(B)工程では、多糖類を、上記した粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに添加する。
【0085】
多糖類としては、セルロース、デンプン、グリコーゲン、カードラン、パラミロン、グルカン、デキストラン、ニゲラン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン、キシラン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、アラビノキシラン、ラミナラン、フコイダン、キサンタンガム、キトサン、プルラン、フルクタン、ペクチン、シゾフィラン、レンチラン、カロース、サクラン、グアーガム、レバン、キチン等を挙げることができる。これらの中でも、ルイス酸の吸着能に優れるセルロースの使用が好ましい。
【0086】
上記多糖類の使用量は、(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール100重量部に対して、通常0.1~10重量部であり、ルイス酸の吸着が効率的になり、かつ上記多糖類を濾別する際の濾過抵抗の低減が可能なことから、0.3~5重量部であることが好ましく、0.5~3重量部であることが特に好ましい。
【0087】
セルロースとして、粉末を使用する場合、その平均粒径は10~4000μmが好ましく、セルロース粉末を濾別する際の濾過抵抗の低減から、40~700μmの平均粒径であることが特に好ましい。
【0088】
セルロース粉末としては、例えば、(商品名)ビスコパールミニ、ビスコパールA、ビスコパールP(レンゴー株式会社製)、KCフロックW-50、W-50GK(日本製紙ケミカル株式会社製)、セルロース,粉末(富士フィルム和光純薬株式会社製)等を市販品として入手することができる。
【0089】
(B)工程では、多糖類へのルイス酸の吸着を促進するために、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールに水を添加する。水の添加は、上記した多糖類の添加と同時であっても、前後であってもどちらでもよい。
【0090】
この際の水の添加量は、(A)工程により得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール100重量部に対して、水を1~10重量部であることが好ましく、特に効率的なルイス酸の吸着が可能となることから、2.5~5重量部であることが特に好ましい。
【0091】
該水としては、超純水、蒸留水、イオン交換水、水道水などを挙げることができ、使用する水に特に制限はない。
【0092】
水を添加した場合、減圧処理して脱水操作を行う際の条件としては、例えば、80~120℃、0.01~5kPaを挙げることができる。
【0093】
また、(B)工程においては、過酸化物、アルデヒド等の発生を抑制するために酸化防止剤を存在させることが好ましい。その際の酸化防止剤の添加量としては、粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたは粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール100重量部に対して0.01~0.2重量部とすることが好ましく、特に0.06~0.1重量部とすることが好ましい。
【0094】
また、その際の酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤等が例示できる。具体的には、フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(以下、BHTと略する)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート(商品名:イルガノックス1076、BASF社製)、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート(商品名:イルガノックス1135、BASF社製)、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート(商品名:イルガノックス1010、BASF社製)、2-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、6-tert-ブチル-2,4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジーtert-ブチル-4-エチルフェノール等が挙げられる。また、アミン系酸化防止剤としては、n-ブチル-p-アミノフェノール、4,4-ジメチルジフェニルアミン、4,4-ジオクチルジフェニルアミン、4,4-ビス-α,α’-ジメチルベンジルフェニルアミン等が挙げられる。
【0095】
これらの酸化防止剤は単独で、又は2種類以上併用しても構わない。これらの酸化防止剤の中で、BHT、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、オクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナメート、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートの使用が好ましい。
【0096】
(B)工程では、多糖類へのルイス酸の吸着時間を確保するため、加熱撹拌時間として30分以上が好ましく、特に2~5時間とすることが好ましい。
【0097】
(B)工程では、多糖類へのルイス酸の吸着を促進するため、加熱攪拌の温度は、50~130℃であることが好ましく、特に80~130℃であることが好ましい。
【0098】
本発明のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの製造方法においては、各ポリオールの濾過工程、回収工程等の付加的工程を付随することもできる。
【0099】
本発明により得られるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールは、例えば上記式(1)で示される。
【0100】
上記式(1)中、Qは上記構造単位[I]を含む重合体成分を表す。上記構造単位[I]中、Xはハロゲン原子を表す。
【0101】
上記構造単位[I]中、Xで表されるハロゲン原子は、特に限定するものではないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、取扱いの容易さよりフッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましく、フッ素原子又は塩素原子であることがさらに好ましい。
【0102】
上記式(1)中、Qは上記構造単位[I]と上記構造単位[II]とを含む重合体成分であってもよい。上記構造単位[II]中、Aは水素原子又は炭素数が1~10の炭化水素基を表す。
【0103】
上記構造単位[II]中、Aで表される水素原子又は炭素数が1から10の炭化水素としては、特に限定するものではないが、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、ビニル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、アリル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、へプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、ノニル基、シクロノニル基、デシル基が挙げられる。これらのうち、前駆物質の入手しやすさより、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0104】
上記式(1)中、Qが上記構造単位[I]と上記構造単位[II]とを含む重合体成分である場合、それぞれの構造単位の配列はブロックでもランダムでもよい。
【0105】
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールが、ポリウレタン樹脂とする際にイソシアネートとの反応性が向上するため、末端に構造単位[II]を持つ割合が50mol%以上99.5mol%以下であることが好ましく、特に70mol%以上99.5mol%以下であることが好ましい。
【0106】
上記式(1)中、Rはポリエーテルポリオール残基またはポリエステルポリオール残基であり、これらの残基を含む化合物としては、特に限定するものではないが、例えば、ヒドロキシ化合物、水酸基を有するポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール等を挙げることができる。
【0107】
本発明により得られるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの分子量は200~100,000であることが好ましく、ポリウレタン用原材料として用いる際の取扱い性、ポリウレタン生産効率に優れたものとなることから、分子量200~20,000であることが好ましく、500~10,000であることが特に好ましい。
【0108】
本発明により得られるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールの不飽和度は、0.02meq/g以下であることが好ましく、得られるポリウレタンのヒステリシスロス、圧縮永久歪み等の物性が向上するため、0.010meq/g以下が好ましい。
【0109】
本発明により得られるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールのMw/Mnは、ポリウレタン樹脂とする際の成形性が向上するため、2.00以下が好ましく、特に好ましくは1.50以下である(ただし、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定から求めた数平均分子量をMn、重量平均分子量をMwとする)。
【0110】
本発明により得られるハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールは、イソシアネートとの反応生成物からなるポリウレタンフォームの特徴から、自動車・車両用の天井材やシート、枕、家具・インテリア、寝装具、シューソール、スポンジ、各種クッション、テニスボール、着地マット等、軟質系のポリウレタンフォームが適用される用途に用いることができる。また、ポリウレタンフォームは、断熱・保冷材、防振・吸音材、緩衝材、浮力材等の硬質系のポリウレタンフォームが適用される用途に用いることができる。例えば、漁船・大型船・冷凍貨物船・LNG船、LPG船、液化ガス船、コンテナーの断熱材やFRPボートの芯材、大型船舶・救命艇・ブイ・浮き類の浮力材として船舶用に、冷凍車・保冷車・鉄道のコンテナー、タンクローリーの断熱材、車両・トラックの天井の断熱材としての車両用に、化学工業設備タンク・配管の断熱材、重油タンク・配管等の保温材、LPG・LNG低温液化ガス保冷・配管の断熱材、断熱カバー、タンク蓋用としてプラント用に、冷蔵庫・冷凍機の断熱材、エアコンの断熱部材、ショーケース・ストッカー・自動販売機・温水器・貯湯槽等の各種断熱機器の断熱材用に、さらに、住宅・オフィスビルの断熱材(壁、床下、天井、屋根下等)、断熱建材(ラミネートボード、複合パネル、サイデイング材等)、浴槽(ステンレス・FRP・ほうろう)の断熱材、冷凍倉庫・冷蔵倉庫・農業倉庫・畜舎等の断熱材、ボイド充填(断熱サッシ)、恒温室・地域集中冷暖房の断熱材としての建築・建材用に、道路床の断熱材や振動防止材としての土木用に、その他として、椅子芯材、ドアーパネル、装飾工芸品、娯楽用具(クーラーボックス・水筒) 、教材(立体地図等)、型材・治具関係、サーフィンの芯材、RIM方式製品(スキー芯材・ラケット芯材・ハウジング類)、梱包材等が挙げられる。
【実施例0111】
以下に本発明の実施例を示し、本発明の態様を明らかにするが、本発明はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。なお、評価項目は以下に示す方法により評価した。
【0112】
~セルロース粉末の粒径~
メーカー提供のカタログ値を参照。
【0113】
~アルミニウム濃度の測定~
ハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを、灰化した後、酸溶液に溶融してICP-AES(パーキンエルマー製、(商品名)Optima8300)を用いて測定した。事前に作成した検量線を使用して、ピーク強度から濃度を算出した。
【0114】
~濾過速度の測定~
孔径25μmの濾紙を敷いた濾過器を100℃に加熱し、セルロース粉末を含有する脱水後のハロゲン含有ポリエーテルポリオールまたはハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオールを投入し、窒素圧0.3MPaを加圧して1分間で単位面積あたりに濾出する濾液の重量を測定した。
【0115】
実施例1.
(A工程)
攪拌翼を付した2リットルのオートクレーブに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)[三洋化成工業社製、(商品名)サンニックスPP400;水酸基価280mgKOH/g]226.6g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)4.56gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウム(富士フイルム和光純薬社製、TiBAL)の1.0mol/Lのトルエン溶液42.5mLを加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い、組成物[A-1]を得た。得られた組成物[A-1]を95℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH)720mLを間欠的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温85~90℃の範囲で2時間エージングを行った後、95℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこなった。次いで、PO100mLを反応圧力0.25MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留POの除去をおこない、淡黄色の粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]を得た。得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]の分子量は2040g/mol、不飽和度は0.004meq/g、Mw/Mnは1.45、末端[II]率は54mol%、アルミニウム濃度は1040ppmであった。
【0116】
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0117】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]を回収した。この際、濾過速度は10.4(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0118】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]は、アルミニウム濃度10ppmだった。
【0119】
実施例2.
(A工程)
攪拌翼を付した2リットルのオートクレーブに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量400のポリプロピレングリコール(PPG)[三洋化成工業社製、(商品名)サンニックスPP400;水酸基価280mgKOH/g]180.2g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)、3.63gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウム(富士フイルム和光純薬社製、TiBAL)の1.0mol/Lのトルエン溶液33.8mLを加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い、組成物[A-2]を得た。得られた組成物[A-2]を95℃に昇温し、エピクロロヒドリン840mLを間欠的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温85~90℃の範囲で2時間エージングを行った後、95℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこなった。次いで、ブチレンオキシド(BO)220mLを反応圧力0.25MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留BOの除去をおこない、淡黄色の粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]を得た。得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]の分子量は3010g/mol、不飽和度は0.008meq/g、Mw/Mnは1.48、末端[II]率は82mol%、アルミニウム濃度は700ppmであった。
【0120】
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0121】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]を回収した。この際、濾過速度は11.4(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0122】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]は、アルミニウム濃度9ppmだった。
【0123】
実施例3.
(A工程)
攪拌翼を付した0.2リットルの四つ口フラスコに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量400のポリエーテルポリオール[三洋化成工業社製、(商品名)サンニックスPP400;水酸基価280mgKOH/g]12.5g(31mmol、活性水素量63mmol)、及びテトラノルマルオクチルアンモニウムブロミド1.2g(0.78mmol、活性水素1molに対して0.012mol)を加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を80℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウムの1.0mol/lのトルエン溶液2.3ml(2.3mmol、活性水素1molに対して0.037mol)を加え、内温を80℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い、組成物Hを得た。得られた組成物Hを90℃に昇温し、ハロゲン含有アルキレンオキシドとしてエピクロロヒドリン50gを常圧下で間欠的に5.5時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後2時間エージングを行った。エピクロロヒドリン供給時及びエージングは、内温85~90℃の範囲で実施した。次いで、90℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去を行い、淡黄色無臭の粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を得た。転化率は99.9%であり、得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]の分子量は1900g/mol、不飽和度は0.004meq/g、Mw/Mnは1.22、アルミニウム濃度は972ppmであった。
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0124】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。この際、濾過速度は10.5(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0125】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度15ppmだった。
【0126】
実施例4.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、1重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で30分間攪拌した。
【0127】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。この際、濾過速度は11.1(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0128】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度26ppmだった。
【0129】
実施例5.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0130】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。
【0131】
この際、濾過速度は7.5(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度72ppmだった。
実施例6.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、0.1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0132】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。
【0133】
この際、濾過速度は12.1(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度30ppmだった。
【0134】
実施例7.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、0.05重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0135】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。
【0136】
この際、濾過速度は6.8(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度60ppmだった。
【0137】
【表1】
【0138】
PO:プロピレンオキシド BO:ブチレンオキシド ECH:エピクロロヒドリン
【0139】
【表2】
【0140】
実施例8.
(A工程)
攪拌翼を付した2リットルの四口フラスコに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量600の硬質フォーム用ポリエステルポリオール(PES)[川崎化成社製、(商品名)マキシモールRLK-087;水酸基価203mgKOH/g]を788.3g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)23.0gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウム(富士フイルム和光純薬社製、TiBAL)の1.0mol/Lのトルエン溶液107mLを加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行った。得られた組成物を98℃に昇温し、エピクロロヒドリン(ECH、富士フイルム和光純薬社製)540mLを連続的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温90~100℃の範囲で2時間エージングを行った後、100℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこない、淡黄色の粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を得た。この得られた粗ポリオール[B-1]の分子量は1020g/mol、不飽和度は0.022meq/g、Mw/Mnは1.55、アルミニウム濃度は2050ppmであった。
【0141】
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0142】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。この際、濾過速度は10.7(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0143】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]は、アルミニウム濃度56ppmだった。
【0144】
実施例9.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、1重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で30分間攪拌した。
【0145】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。この際、濾過速度は8.4(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0146】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]は、アルミニウム濃度96ppmだった。
【0147】
実施例10.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0148】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。
【0149】
この際、濾過速度は6.2(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度135ppmだった。
【0150】
実施例11.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、0.05重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0151】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。
【0152】
この際、濾過速度は5.1(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]は、アルミニウム濃度176ppmだった。
【0153】
実施例12.
攪拌翼を付した2リットルのオートクレーブに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量600の硬質フォーム用ポリエステルポリオール(PES)[川崎化成社製、(商品名)マキシモールRLK-087;水酸基価203mgKOH/g]を335.6g、及びテトラブチルアンモニウムブロミド(富士フイルム和光純薬社製)、9.78gを加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソプロポキシアルミニウム(川研ファインケミカル社製、PADM)を9.30g加え、内温を100℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い、組成物[B-2]を得た。得られた組成物[B-2]を95℃に昇温し、エピクロロヒドリン360mLを間欠的に4時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後、内温85~90℃の範囲で2時間エージングを行った後、95℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去をおこなった。次いで、PO330mLを反応圧力0.25MPa以下を保つように間欠的に供給しながら、反応させた反応終了後、0.5kPaの減圧下で残留POの除去をおこない、淡黄色のハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を得た。得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]の分子量は1730g/mol、不飽和度は0.014meq/g、Mw/Mnは1.64、末端[II]率は88mol%、アルミニウム濃度は1200ppmであった。
【0154】
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0155】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、濾過速度は9.8(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0156】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度25ppmだった。
【0157】
実施例13.
実施例12の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、1重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で30分間攪拌した。
【0158】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、濾過速度は9.4(g/(min.・cm))であり、良好な濾過性を示した。
【0159】
また、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度55ppmだった。
【0160】
実施例14.
実施例12の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0161】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。
【0162】
この際、濾過速度は8.3(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度70ppmだった。
【0163】
実施例15.
実施例12の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、0.05重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0164】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。
【0165】
この際、濾過速度は6.8(g/(min.・cm))であり、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度90ppmだった。
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
比較例1.
実施例1の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]100重量部に対して、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0169】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]を回収した。この際、濾過速度は0.4(g/(min.・cm))と濾過速度が遅く、効率的なアルミニウム残渣の除去はできなかった。
【0170】
比較例2.
実施例2の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]100重量部に対して、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0171】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]を回収した。この際、濾過速度は0.1(g/(min.・cm))と濾過速度が遅く、効率的なアルミニウム残渣の除去はできなかった。
【0172】
比較例3.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0173】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。この際、濾過速度は0.4(g/(min.・cm))と濾過速度が遅く、効率的なアルミニウム残渣の除去はできなかった。
【0174】
比較例4.
実施例1の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0175】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-1]は、アルミニウム濃度1010ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0176】
比較例5.
実施例2の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0177】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-2]は、アルミニウム濃度690ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0178】
比較例6.
実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0179】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度950ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0180】
【表5】
【0181】
比較例7.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0182】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。この際、濾過速度は0.05(g/(min.・cm))と濾過速度が遅く、効率的なアルミニウム残渣の除去はできなかった。
【0183】
比較例8.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0184】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-1]は、アルミニウム濃度2010ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0185】
比較例9.
実施例12の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0186】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、濾過速度は0.1(g/(min.・cm))と濾過速度が遅く、効率的なアルミニウム残渣の除去はできなかった。
【0187】
比較例10.
実施例12の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0188】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度1160ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0189】
【表6】
【0190】
比較例11.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、1重量部に相当するセルロース粉末(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)、5重量部に相当するN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0191】
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度2030ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0192】
比較例12.
実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]100重量部に対して、5重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)、1重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
その後、100℃に昇温し、0.2kPaの減圧下で3時間撹拌を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を回収した。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度2020ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0193】
比較例13.
(A工程)
攪拌翼を付した0.2リットルの四つ口フラスコに、活性水素含有化合物として2個の水酸基を有する分子量400のポリエーテルポリオール[三洋化成工業社製、(商品名)サンニックスPP400;水酸基価280mgKOH/g]12.5g(31mmol、活性水素量63mmol)、及びテトラノルマルオクチルアンモニウムブロミド2.5g(1.61mmol、活性水素1molに対して0.026mol)を加えた。フラスコ内を窒素雰囲気とした後、内温を80℃とし、0.5kPaの減圧下で2時間脱水処理を行った。その後、トリイソブチルアルミニウムの1.0mol/lのトルエン溶液4.8ml(4.8mmol、活性水素1molに対して0.077mol)を加え、内温を80℃とし、0.5kPaの減圧処理を2時間行い、組成物Hを得た。得られた組成物Hを90℃に昇温し、ハロゲン含有アルキレンオキシドとしてエピクロロヒドリン50gを常圧下で間欠的に5.5時間かけて供給した。エピクロロヒドリン供給後2時間エージングを行った。エピクロロヒドリン供給時及びエージングは、内温85~90℃の範囲で実施した。次いで、90℃、0.5kPaの減圧下で残留エピクロロヒドリンの除去を行い、淡黄色無臭の粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-4]を得た。
【0194】
(B工程)
得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-4]100重量部に対して、1重量部に相当する珪藻土(ラヂオライト#3000、平均粒径75μm)、5重量部に相当する水(イオン交換水)、0.07重量部に相当する酸化防止剤(Irganox1076)を添加し、80℃で2時間攪拌した。
【0195】
その後、昇温及び減圧をしながら脱水を開始し、最終的に100℃、0.2kPaの条件で3時間減圧脱水操作を行った。そして濾過を実施し、ハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-4]を回収した。
【0196】
得られたポリオール[A-4]の分子量は1900g/mol、不飽和度は0.005meq/g、Mw/Mnは1.26、アルミニウム濃度は2010ppmであった。また、得られたハロゲン含有ポリエーテルポリオール[A-4]は、アルミニウム濃度1100ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0197】
【表7】
【0198】
【表8】
【0199】
比較例14.
セルロース粉末45g(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)およびN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)105gを激しく攪拌しながら、濾過器に流し込み濾過することで、厚さ40mmのプレコート層を有する濾過器を得た。
【0200】
続いて、実施例8の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]20gをN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)480gに溶解したポリオール溶液を上記濾過器に流し込んで濾過し、濾液から溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)を留去することで、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]を得た。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[B-3]は、アルミニウム濃度2030ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。
【0201】
比較例15.
セルロース粉末45g(ビスコパールミニ、平均粒径300μm)およびN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)105gを激しく攪拌しながら、濾過器に流し込み濾過することで、厚さ40mmのプレコート層を有する濾過器を得た。
【0202】
続いて、実施例3の(A)工程で得られた粗ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[A-3]20gをN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)480gに溶解したポリオール溶液を上記濾過器に流し込んで濾過し、濾液から溶媒であるN-メチル-2-ピロリドン(有機溶剤)を留去することで、ハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[A-3]を得た。この際、得られたハロゲン含有ポリエーテルエステルポリオール[A-3]は、アルミニウム濃度960ppmと高濃度を示し十分に除去できていなかった。