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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022177830
(43)【公開日】2022-12-01
(54)【発明の名称】イメージ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/235 20060101AFI20221124BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20221124BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20221124BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20221124BHJP
【FI】
H04N5/235 500
H04N5/225 300
H04N5/232 190
H04N5/369
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022081257
(22)【出願日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063985
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】310024033
【氏名又は名称】エスケーハイニックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】SK hynix Inc.
【住所又は居所原語表記】2091, Gyeongchung-daero,Bubal-eub,Icheon-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢幡 和浩
【テーマコード(参考)】
5C024
5C122
【Fターム(参考)】
5C024GX02
5C122DA03
5C122DA04
5C122EA21
5C122EA37
5C122FA07
5C122FC01
5C122FC02
5C122FC06
5C122FH01
5C122FH10
5C122FH11
5C122FH14
5C122FH18
5C122HA42
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB06
5C122HB08
5C122HB10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の互いに異なる感度を有するピクセルが混在しているピクセルアレイによって生成された複数のイメージの合成時にボケ現象を低減できるようにするイメージ処理装置を提供する。
【解決手段】イメージ処理装置10において、イメージ信号プロセッサ200は、第1感度を有する少なくとも一つの第1ピクセルと、第1感度と相違する第2感度を有する第2ピクセルと、第1ピクセルおよび第2ピクセルでサンプリング位置を算出し、算出したサンプリング位置に基づいて基準位置を決定し、第1ピクセルおよび第2ピクセルのうち基準位置として選択された第2ピクセルを基準として、第1ピクセルに対するサンプリング位置を調整する処理部210と、処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部220とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1感度を有する少なくとも一つの第1ピクセルと、
前記第1感度と相違する第2感度を有する第2ピクセルと、
前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルでサンプリング位置を算出し、前記算出したサンプリング位置に基づいて基準位置を決定し、前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルのうち前記基準位置として選択された前記第2ピクセルを基準として、前記第1ピクセルに対するサンプリング位置を調整する処理部と、
前記処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む、イメージ処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、
前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルの位置で重心を算出し、前記サンプリング位置を決定する、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記第1ピクセルの位置値を加算して平均し、第1サンプリング位置を求める、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記第2ピクセルの第2サンプリング位置を求め、前記第2サンプリング位置が前記基準位置として決定されると、前記第2サンプリング位置から前記第1サンプリング位置を減算し、前記第1サンプリング位置のシフト量を算出する、請求項3に記載のイメージ処理装置。
【請求項5】
前記合成部は、
算出した前記シフト量にしたがって補間処理を行う、請求項4に記載のイメージ処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、
前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルの応答が有効応答範囲以上になる飽和区間内のピクセルの数を検出し、前記基準位置を設定する、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項7】
前記処理部は、
イメージ内にエッジ、テクスチュア、顔、プレビュー用イメージのうち少なくとも一つを含む特定の領域の輝度に対応して前記基準位置を設定する、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、
撮影モードで撮影されたイメージの輝度に対応して前記基準位置を設定する、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項9】
前記処理部は、
前記撮影モードが予め設定された輝度未満の夜間撮影モードである場合、前記複数の第1ピクセルが前記基準位置として設定され、前記撮影モードが予め設定された輝度以上の昼間撮影モードである場合、前記第2ピクセルが前記基準位置として設定される、請求項8に記載のイメージ処理装置。
【請求項10】
前記処理部は、
人物写真モードで顔面検出により検出した顔の輝度が背景より高いか否かを判断し、前記基準位置を設定する、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、
夜間を背景にして前記顔を撮影したイメージで、前記背景より前記顔の輝度が高い場合、前記第2ピクセルが、前記基準位置として設定される、請求項10に記載のイメージ処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、
昼間を背景にして前記顔を撮影したイメージで、前記背景より前記顔の輝度が低い場合、前記第1ピクセルが、前記基準位置として設定される、請求項10に記載のイメージ処理装置。
【請求項13】
前記第1感度は、前記第2感度より高い、請求項1に記載のイメージ処理装置。
【請求項14】
第1感度を有する第1ピクセルと、
前記第1感度と相違する第2感度を有する少なくとも一つの第2ピクセルと、
前記第1感度および前記第2感度と相違する第3感度を有する第3ピクセルと、
前記第1ピクセル、前記第2ピクセルおよび前記第3ピクセルでサンプリング位置を算出し、前記算出したサンプリング位置で基準位置を決定し、前記第1ピクセル、前記第2ピクセルおよび前記第3ピクセルのうち前記基準位置として選択された場合、前記第2ピクセルを基準として前記第1ピクセル、前記第3ピクセルに対するサンプリング位置を調整する処理部と、
前記処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む、イメージ処理装置。
【請求項15】
前記処理部は、
前記第1ピクセル、前記第2ピクセルおよび前記第3ピクセルで重心を算出し、前記サンプリング位置を決定する、請求項14に記載のイメージ処理装置。
【請求項16】
前記処理部は、
前記第2ピクセルの位置値を加算して平均し、第1サンプリング位置を求め、
前記第1ピクセルの第2サンプリング位置および前記第3ピクセルの第3サンプリング位置を求め、
前記第1サンプリング位置が前記基準位置として決定されると、前記第1サンプリング位置から前記第2サンプリング位置および前記第3サンプリング位置をそれぞれ減算し、前記第2サンプリング位置および前記第3サンプリング位置のシフト量を算出する、請求項14に記載のイメージ処理装置。
【請求項17】
前記第1感度は、前記第2感度より高く、前記第2感度は、前記第3感度より高い、請求項14に記載のイメージ処理装置。
【請求項18】
第1感度を有する少なくとも一つの第1ピクセルと、
前記第1感度と相違する第2感度を有する第2ピクセルと、
前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルでサンプリング位置を算出し、一つのイメージ内に基準輝度未満の低照度領域と基準輝度以上の高照度領域が含まれる場合、前記前記第1ピクセルおよび前記第2ピクセルが異なる加重値を有するように設定して基準位置を決定する処理部と、
前記処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む、イメージ処理装置。
【請求項19】
前記処理部は、
前記低照度領域で前記第1ピクセルに前記加重値を付与し、前記第1ピクセルの第1サンプリング位置を前記基準位置として設定し、
前記高照度領域で前記第2ピクセルに前記加重値を付与し、前記第2ピクセルの第2サンプリング位置を前記基準位置として設定する、請求項18に記載のイメージ処理装置。
【請求項20】
前記処理部は、
前記低照度領域と前記高照度領域の両方を含む境界領域で、前記第1サンプリング位置および前記第2サンプリング位置を前記基準位置として設定する、請求項19に記載のイメージ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージ処理装置に関し、イメージセンシング装置からセンシングされた複数のイメージを合成するようにする技術である。
【背景技術】
【0002】
イメージセンシング装置は、光に反応する光感知半導体物質の性質を用いて、光学イメージをキャプチャ(capture)する装置である。自動車、医療、コンピュータおよび通信などの産業の発展に伴い、スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機器、モノのインターネット(Internet of Things)、ロボット、警備用カメラ、医療用マイクロカメラなどの様々な分野において、高性能(high‐performance)イメージセンシング装置に対する需要が増加している。
【0003】
イメージセンシング装置は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンシング装置と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンシング装置とに大別することができる。CCDイメージセンシング装置は、CMOSイメージセンシング装置に比べてより良好なイメージ品質を提供するものの、より大きいサイズに具現され、より多い電力を消費する傾向がある。一方、CMOSイメージセンシング装置は、CCDイメージセンシング装置に比べてより小さいサイズに具現可能であり、より少ない電力を消費する。また、CMOSイメージセンシング装置は、CMOS製造技術を用いて製造されることから、光感知素子および信号処理回路を単一チップに統合することができ、これにより、低コストで小型のイメージセンシング装置を生産することができる。かかる理由から、CMOSイメージセンシング装置は、モバイル装置を含む多くのアプリケーションのために開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、複数の互いに異なる感度を有するピクセルが混在しているピクセルアレイによって生成された複数のイメージの合成時にボケ(bokeh)現象を低減できるようにするイメージ処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によるイメージ処理装置は、第1感度を有する少なくとも一つの第1ピクセルと、第1感度と相違する第2感度を有する第2ピクセルと、第1ピクセルおよび第2ピクセルでサンプリング位置を算出し、算出したサンプリング位置に基づいて基準位置を決定し、第1ピクセルおよび第2ピクセルのうち基準位置として選択された第2ピクセルを基準として、第1ピクセルに対するサンプリング位置を調整する処理部と、処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む。
【0006】
本発明の他の実施形態によるイメージ処理装置は、第1感度を有する第1ピクセルと、第1感度と相違する第2感度を有する少なくとも一つの第2ピクセルと、第1感度および第2感度と相違する第3感度を有する第3ピクセルと、第1ピクセル、第2ピクセルおよび第3ピクセルでサンプリング位置を算出し、算出したサンプリング位置で基準位置を決定し、第1ピクセル、第2ピクセルおよび第3ピクセルのうち基準位置として選択された場合、第2ピクセルを基準として第1ピクセル、第3ピクセルに対するサンプリング位置を調整する処理部と、処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む。
【0007】
本発明のさらに他の実施形態によるイメージ処理装置は、第1感度を有する少なくとも一つの第1ピクセルと、第1感度と相違する第2感度を有する第2ピクセルと、第1ピクセルおよび第2ピクセルでサンプリング位置を算出し、一つのイメージ内に基準輝度未満の低照度領域と基準輝度以上の高照度領域が含まれる場合、第1ピクセルおよび前記第2ピクセルが異なる加重値を有するように設定して基準位置を決定する処理部と、処理部で処理されたピクセル値に対するイメージを合成し、出力ピクセル値を決定する合成部とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態は、複数の互いに異なる感度を有するピクセルが混在しているピクセルアレイで複数のイメージの合成時に補間によるボケ(bokeh)現象を改善できるようにする効果を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態によるイメージ処理装置を示すブロック図である。
図2図1のイメージセンシング装置の詳細構成を示すブロック図である。
図3図1のイメージ信号プロセッサの動作を説明するためのフローチャートである。
図4図3のサンプリング位置および基準位置を決定するステップに関する詳細なフローチャートである。
図5図2のピクセルアレイの一実施形態を示す図である。
図6図5に図示されている高感度ピクセルと低感度ピクセルに対して照度による応答を例示的に示すグラフである。
図7図2に図示されているピクセルアレイの他の実施形態を示す図である。
図8図7に図示されている高感度ピクセル、中感度ピクセルおよび低感度ピクセルに対して照度による応答を例示的に示すグラフである。
図9図5に図示されているピクセルアレイで高感度ピクセルと低感度ピクセルを配置する一例を示す図である。
図10図9のピクセルアレイにおいてサンプリング位置の調整を示す図である。
図11図7に図示されているピクセルアレイでサンプリング位置の調整を示す図である。
図12図1のイメージ信号プロセッサにおいて基準イメージを選択する動作を説明するためのフローチャートである。
図13図1のイメージ信号プロセッサにおいてイメージ領域別に基準位置を設定する動作を説明するための図である。
図14図13において基準位置の決定を説明するためのグラフである。
図15図1のイメージ信号プロセッサにおいて撮影モードに応じて基準位置を設定する動作を説明するためのフローチャートである。
図16図1のイメージ信号プロセッサにおいて顔検出に応じて基準位置を設定する動作を説明するためのフローチャートである。
図17図16において基準位置決定動作を説明するための図である。
図18図16において基準位置決定動作を説明するための図である。
図19図3のピクセル値を決定するステップに関する詳細なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、様々な実施形態について説明する。しかし、本開示は、特定の実施形態に限定されず、実施形態の様々な変更(modification)、均等物(equivalent)、および/または代替物(alternative)を含むものと理解すべきである。本開示の実施形態は、本開示により直間接に認識され得る様々な効果を提供することができる。
【0011】
図1は本発明の一実施形態によるイメージ処理装置を示すブロック図である。
【0012】
図1を参照すると、イメージ処理装置10は、電子装置に内蔵(embedded)されるかまたは電子装置として具現され得る。ここで、電子装置は、イメージを撮影し、撮影したイメージをディスプレイするか、または撮影したイメージに基づく動作を行う装置であり、例えば、デジタルカメラ、スマートフォン、ウェアラブル機器、モノのインターネット(Internet of Things(IoT))機器、PC(Personal Computer)、タブレットPC、PDA(Personal Digital Assistant)、PMP(portable Multimedia Player)、ナビゲーション(navigation)装置、ドローンなどの電子機器を含むか、または車両、医療機器、家具、製造設備、保安装置、ドア、各種計測機器などに部品として備えられる電子機器に搭載され得る。
【0013】
イメージ処理装置10は、イメージセンシング装置100およびイメージ信号プロセッサ(Image Signal Processor;ISP)200を含むことができる。
【0014】
イメージセンシング装置100は、光学レンズLSを介して入射された被写体(Object)の光学的信号を電気的信号に変換し、電気的信号に基づいてイメージを生成することができる。イメージセンシング装置100は、イメージ信号プロセッサ200に生成されたイメージを転送することができる。
【0015】
イメージセンシング装置100は、同じ被写体に対して輝度が相違する複数のイメージを生成することができる。例えば、イメージセンシング装置100は、互いに異なる露出時間に基づいて同じ被写体を撮像することで、多重露出イメージを生成することができる。
【0016】
他の例として、イメージセンシング装置100は、単一イメージを生成するか、(例えば、連続した)多重イメージを生成するか、またはビデオデータを生成することができる。さらに他の例として、イメージセンシング装置100は、ピクセル数が高い高解像度イメージデータを生成するか、ピクセル数が低い低解像度イメージデータを生成することもできる。さらに他の例として、イメージセンシング装置100は、1秒当たりのフレームが高い高速撮影イメージデータを生成するか、1秒当たりのフレームが低い低速撮影イメージデータを生成することもできる。
【0017】
また、イメージ信号プロセッサ200は、受信するイメージに対してイメージ処理を行うことができる。ここで、イメージ処理とは、イメージ合成のための処理、ハイダイナミックレンジ(HDR;High Dynamic Range)のイメージ生成のための処理、ノイズ除去、明度調整、鮮明度(sharpness)調整などの画質向上のための処理、イメージサイズ変更、データ形式を変更するイメージ処理などの様々な処理を含むことができる。イメージ信号プロセッサ200でHDR処理が行われることに伴いダイナミックレンジが増加し、SNR(signal to noise ratio)が向上したHDRイメージ(HDRI)が生成され得る。
【0018】
イメージ信号プロセッサ200は、ハードウェア、ソフトウェア(またはファームウエア)またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで具現され得る。実施形態によって、イメージ信号プロセッサ200は、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などイメージ処理を行うことができる様々な種類のプロセッサのうち一つに具現されてもよい。イメージ信号プロセッサ200は、単一チップに具現されるか、またはAP(Application Processor)に内蔵され得る。
【0019】
実施形態によって、イメージ信号プロセッサ200は、処理部(Processor)210および合成部(Synthesizer)220を含むことができる。
【0020】
ここで、処理部210は、イメージセンシング装置100を介して露出が互いに異なるイメージおよびダイナミックレンジを有するイメージの入力を受ける。例えば、処理部210は、高感度ピクセル(high sensitivity pixel、HPX)および低感度ピクセル(low sensitivity pixel、LPX)のピクセル値の入力を受けることができる。他の実施形態によって、処理部210は、高感度ピクセル(high sensitivity pixel、HPX)、中感度ピクセル(Middle sensitivity pixel、MPX)および低感度ピクセル(low sensitivity pixel、LPX)のピクセル値の入力を受けることができる。また、処理部210は、イメージセンシング装置100を介して印加されるピクセル値に基づいてサンプリング位置を算出し、算出したサンプリング位置に応じて基準位置を決定することができる。
【0021】
合成部220は、決定された基準位置で高感度ピクセル(high sensitivity pixel、HPX)、中感度ピクセル(Middle sensitivity pixel、MPX)および低感度ピクセル(low sensitivity pixel、LPX)のシフト量を算出し、算出したシフト量に基づいて補間処理を行うことができる。合成部220は、処理部210で処理されたピクセル値を合成し、出力ピクセル値を決定することができる。合成部220は、処理部210で処理されたピクセル値を合成し、HDRイメージ(HDRI)を出力することができる。
【0022】
図2図1のイメージセンシング装置100の詳細構成を示すブロック図である。
【0023】
図2を参照すると、イメージセンシング装置100は、ピクセルアレイ(pixel array)110と、ロードライバ(row driver)120と、相関二重サンプラ(Correlate Double Sampler;CDS)130と、アナログ‐デジタルコンバータ(Analog‐Digital Converter;ADC)140と、出力バッファ(output buffer)150と、カラムドライバ(column driver)160と、タイミングコントローラ(timing controller)170とを含むことができる。ここで、イメージセンシング装置100の各構成は、例示的なものに過ぎず、必要に応じて、少なくとも一部の構成が追加または省略され得る。
【0024】
ピクセルアレイ110は、複数のロー(rows)および複数のカラム(columns)で配列された複数の単位ピクセルを含むことができる。一実施形態において、複数の単位ピクセルは、ローおよびカラムを含む二次元ピクセルアレイで配列され得る。他の実施形態において、複数の単位イメージピクセルは、三次元ピクセルアレイで配列され得る。複数の単位ピクセルは、単位ピクセル単位でまたはピクセルグループ単位で光信号を電気的信号に変換することができ、ピクセルグループ内の単位ピクセルは、少なくとも特定の内部回路を共有することができる。ピクセルアレイ110は、ロードライバ120からロー選択信号、ピクセルリセット信号および転送信号などを含む駆動信号を受信することができ、駆動信号によって、ピクセルアレイ110の当該単位ピクセルは、ロー選択信号、ピクセルリセット信号および転送信号に対応する動作を行うように活性化することができる。
【0025】
ロードライバ120は、タイミングコントローラ170によって供給される命令および制御信号に基づいて、当該ローに含まれた単位ピクセルに対して特定の動作を行うようにピクセルアレイ110を活性化することができる。一実施形態において、ロードライバ120は、ピクセルアレイ110の少なくとも一つのローに配列された少なくとも一つの単位ピクセルを選択することができる。ロードライバ120は、複数のローのうち少なくとも一つのローを選択するために、ロー選択信号を生成することができる。ロードライバ120は、選択された少なくとも一つのローに対応するピクセルに対して、ピクセルリセット信号および転送信号を順にイネーブルさせることができる。これにより、選択されたローのピクセルそれぞれから生成されるアナログ形態の基準信号と映像信号が、順に相関二重サンプラ130に伝達され得る。ここで、基準信号は、単位ピクセルのセンシングノード(例えば、フローティングディフュージョンノード)がリセットされた時に相関二重サンプラ130に提供される電気的信号であり、映像信号は、単位ピクセルによって生成された光電荷がセンシングノードに蓄積された時に相関二重サンプラ130に提供される電気的信号であり得る。ピクセル固有のリセットノイズ(reset noise)を示す基準信号と、入射光の強度を示す映像信号は、通称、ピクセル信号とする。
【0026】
CMOSイメージセンサは、二つのサンプル間の差を除去するために、ピクセル信号を2回サンプリングすることで、固定パターンノイズのようなピクセルの好ましくないオフセット値を除去するように相関二重サンプリングを用いることができる。一例として、相関二重サンプリングは、入射光によって生成された光電荷がセンシングノードに蓄積する前後に取得したピクセル出力電圧を比較することで、好ましくないオフセット値を除去し、単に入射光に基づくピクセル出力電圧が測定可能である。一実施形態において、相関二重サンプラ130は、ピクセルアレイ110から複数のカラムラインそれぞれに提供される基準信号と映像信号を順にサンプルアンドホールド(sampling and holding)することができる。すなわち、相関二重サンプラ130は、ピクセルアレイ110のカラムそれぞれに対応する基準信号と映像信号のレベルをサンプルアンドホールドすることができる。
【0027】
相関二重サンプラ130は、タイミングコントローラ170からの制御信号に基づいて、カラムそれぞれの基準信号と映像信号を相関二重サンプリング信号として、ADC140に伝達することができる。
【0028】
ADC140は、相関二重サンプラ130から出力される各カラムに対する相関二重サンプリング信号をデジタル信号に変換し出力することができる。一実施形態において、ADC140は、ランプ比較タイプ(ramp‐compare type)ADCに具現され得る。ランプ比較タイプADCは、時間によって上昇または下降するランプ信号とアナログピクセル信号を比較する比較回路、およびランプ信号がアナログピクセル信号にマッチ(matching)するまでカウント動作を行うカウンタを含むことができる。一実施形態において、ADC140は、カラムそれぞれのための相関二重サンプラ130によって生成された相関二重サンプリング信号をデジタル信号に変換し出力することができる。
【0029】
ADC140は、ピクセルアレイ110のカラムそれぞれに対応する複数のカラムカウンタを含むことができる。ピクセルアレイ110の各カラムは、各カラムカウンタに連結され、映像データは、カラムカウンタを用いてカラムそれぞれに対応する相関二重サンプリング信号をデジタル信号に変換することにより生成され得る。他の実施形態によって、ADC140は、一つのグローバルカウンタを含み、グローバルカウンタから提供されるグローバルコードを用いて、カラムそれぞれに対応する相関二重サンプリング信号をデジタル信号に変換することができる。
【0030】
出力バッファ150は、ADC140で提供されるそれぞれのカラム単位の映像データを一時的にホールドして出力することができる。出力バッファ150は、タイミングコントローラ170の制御信号に基づいて、ADC140から出力される映像データを一時格納することができる。出力バッファ150は、イメージセンシング装置100と連結された他の装置の間の転送(または処理)速度の差を補償するインターフェースとして動作することができる。
【0031】
カラムドライバ160は、タイミングコントローラ170の制御信号に基づいて出力バッファ150のカラムを選択し、出力バッファ150の選択されたカラムに一時格納された映像データが順に出力されるように制御することができる。一実施形態において、カラムドライバ160は、タイミングコントローラ170からアドレス信号を受信することができ、カラムドライバ160は、アドレス信号に基づいてカラム選択信号を生成して出力バッファ150のカラムを選択することで、出力バッファ150の選択されたカラムから映像データが外部に出力されるように制御することができる。
【0032】
タイミングコントローラ170は、ロードライバ120、相関二重サンプラ130、ADC140、出力バッファ150およびカラムドライバ160の少なくとも一つを制御することができる。
【0033】
タイミングコントローラ170は、イメージセンシング装置100の各構成の動作に求められるクロック信号、タイミングコントロールのための制御信号、およびローまたはカラムを選択するためのアドレス信号を、ロードライバ120、相関二重サンプラ130、ADC140、出力バッファ150およびカラムドライバ160の少なくとも一つに提供することができる。一実施形態によって、タイミングコントローラ170は、ロジッグ制御回路(Logic control circuit)、位相固定ループ(Phase Lock Loop、PLL)回路、タイミングコントロール回路(timing control circuit)および通信インターフェース回路(communication interface circuit)などを含むことができる。
【0034】
図3図1のイメージ信号プロセッサの動作を説明するためのフローチャートである。
【0035】
図3を参照すると、イメージ信号プロセッサ200の処理部210は、イメージセンシング装置100から互いに異なる感度を有する第1~第N感度ピクセルに対するピクセル値をそれぞれ取得することができる(ステップS1)。ここで、Nは、2以上の整数を示すことができる。例えば、処理部210は、高感度ピクセルHPXに対するピクセル値および低感度ピクセルLPXに対するピクセル値を取得することができる。実施形態によって、処理部210は、高感度ピクセルHPXに対するピクセル値、中感度ピクセルMPXに対するピクセル値および低感度ピクセルLPXに対するピクセル値を取得することができる。
【0036】
次いで、処理部210は、第1~第N感度ピクセルに対するサンプリング位置を求め、サンプリング位置に基づいて基準位置を決定することができる(ステップS2)。ここで、「サンプリング位置」とは、第1~第N感度ピクセルのうち同一の感度を有するピクセルの平均位置を意味し得る。
【0037】
次に、合成部210は、決定された基準位置でのピクセル値を決定することができる(ステップS3)。すなわち、合成部210は、決定された基準位置に基づいて処理されたピクセル値を合成し、HDRイメージ(HDRI)を出力することができる。
【0038】
図4図3のサンプリング位置および基準位置を決定するステップに関する詳細なフローチャートである。
【0039】
図4を参照すると、処理部210は、第1~第N感度ピクセルの位置で重心(center of gravity)を算出し、サンプリング位置を決定することができる(ステップS21)。実施形態によって、処理部210は、第1~第N感度ピクセル別にサンプリング位置を1回だけ計算し、格納することができる。また、処理部210は、新たなピクセル値が入力される場合にサンプリング位置をまた計算する過程を省略し、格納されたサンプリング位置を用いて、以降のステップを処理することができる。処理部210でサンプリング位置を決定する動作は、後述する図5~11で詳細に説明する。
【0040】
例えば、処理部210は、高感度ピクセルHPXでサンプリング位置を決定し、低感度ピクセルLPXでサンプリング位置を決定することができる。実施形態によって、高感度ピクセルHPXでサンプリング位置を決定し、中感度ピクセルMPXでサンプリング位置を決定し、低感度ピクセルLPXでサンプリング位置を決定することができる。
【0041】
次いで、処理部210は、ステップS21で決定された第1~第N感度ピクセルのサンプリング位置に基づいて、基準位置を決定することができる(ステップS22)。例えば、処理部210は、高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置に基づいて、基準位置を決定することができる。実施形態によって、処理部210は、高感度ピクセルHPXと、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置に基づいて、基準位置を決定することができる。処理部210で基準位置を決定する動作は、後述する図12~18で詳細に説明する。
【0042】
図5図2のピクセルアレイの一実施形態を示す図である。
【0043】
図5を参照すると、ピクセルアレイ110Aは、図2のピクセルアレイ110の一実施形態であり、高感度ピクセル(high sensitivity pixel、HPX)および低感度ピクセル(low sensitivity pixel、LPX)を含むことができる。これは、ピクセルアレイ110Aが2個のピクセルのみを含むことを意味するものではなく、ピクセルアレイ110Aに含まれたピクセルが、高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXの2種類に区分され得ることを意味し得る。したがって、ピクセルアレイ110Aに含まれたピクセルそれぞれは、高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXのいずれか一つに相当し、ピクセルアレイ110Aには、高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXがともに配置され得る。ピクセルアレイ110Aに含まれた高感度ピクセルHPXの個数と低感度ピクセルLPXの個数は、任意に選択され得る。
【0044】
高感度ピクセルHPXは、入射光の強度の増加による応答(response)の増加量が相対的に大きいピクセルであり得る。ここで、応答は、高感度ピクセルHPXが入射光の強度を感知して生成するピクセル信号を意味し得る。すなわち、高感度ピクセルHPXは、入射光に対する感度が相対的に高いピクセルであり得る。
【0045】
低感度ピクセルLPXは、入射光の強度の増加による応答の増加量が相対的に小さいピクセルであり得る。すなわち、低感度ピクセルLPXは、入射光に対する感度が相対的に低いピクセルであり得る。
【0046】
図6図5に図示されている高感度ピクセルと低感度ピクセルに対して照度による応答を例示的に示すグラフである。
【0047】
図6を参照すると、当該ピクセルに入射される入射光の強度である照度(illumination)による高感度ピクセルHPXの応答(response)と低感度ピクセルLPXの応答が図示されている。
【0048】
応答は、SNR(signal to noise ratio)限界レベル(SNR limit)と飽和レベル(saturation)を有することができる。
【0049】
SNR限界レベルは、予め定められた基準SNRを満たすことができる応答の臨界値を意味し得る。SNR限界レベル未満の応答は、基準SNRを満たすことができない無効応答になり、SNR限界レベル以上の応答は、基準SNRを満たすことができる有効応答になり得る。基準SNRは、イメージセンシング装置100の特性を考慮して実験的に決定された値であり得る。
【0050】
飽和レベルは、入射光の強度を示すことができる最大応答を意味し得る。飽和レベルは、ピクセルが入射光の強度を光電荷に変換することができる能力(例えば、光電変換素子の容量)および光電荷を電気的信号に変換することができる能力(例えば、フローティングディフュージョン領域の容量)によって決定され得る。入射光の強度が増加するときに、応答が飽和レベルに逹するまでは応答が入射光の強度によって増加し得る。しかし、応答が飽和レベルに逹してからは、入射光の強度が増加しても、応答は飽和レベルを超えて増加することができず、飽和レベルと同じ値を有し得る。
【0051】
ピクセルの有効応答を基準SNRを満たすとともに入射光の強度を示すことができる応答として定義すると、ピクセルの有効応答に対応する入射光の強度の範囲は、ピクセルのダイナミックレンジ(dynamic range)として定義され得る。すなわち、ピクセルのダイナミックレンジは、ピクセルが有効応答を有することができる入射光の強度の範囲を意味し得る。
【0052】
入射光の強度の増加による応答の増加量が相対的に大きいピクセルである高感度ピクセルHPXの応答は、入射光の強度の増加に対応して相対的に高い勾配で増加し、飽和レベルに逹した後、入射光の強度とは無関係に飽和レベルに相当するレベルを有することができる。
【0053】
入射光の強度の増加による応答の増加量が相対的に小さいピクセルである低感度ピクセルLPXの応答は、入射光の強度の増加に対応して相対的に低い勾配で増加し、飽和レベルに逹した後、入射光の強度とは無関係に飽和レベルに相当するレベルを有することができる。
【0054】
図6に図示されているように、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジ(HPX dynamic range)の下限値は、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジ(LPX dynamic range)の下限値より小さく、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジの上限値は、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジの上限値より小さくてもよい。したがって、入射光の強度が相対的に小さい照度範囲(低照度)では、高感度ピクセルHPXが入射光の強度を感知するのにより適し、入射光の強度が相対的に大きい照度範囲(高照度)では、低感度ピクセルLPXが入射光の強度を感知するのにより適し得る。
【0055】
低照度に適する高感度ピクセルHPXと高照度に適する低感度ピクセルLPXそれぞれの応答を用いて、HDR(high dynamic range)が具現され得る。すなわち、高感度ピクセルHPXまたは低感度ピクセルLPXのいずれか一つのみを用いる場合に比べて、高感度ピクセルHPXおよび低感度ピクセルLPXをともに用いると、ピクセルアレイ110Aは、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジの下限値で低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジの上限値までの範囲に相当するハイダイナミックレンジHDRを有することができる。このために、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジの少なくとも一部と低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジの少なくとも一部は、互いに重なり得る。
【0056】
高感度ピクセルHPXおよび低感度ピクセルLPXを用いて、ハイダイナミックレンジに相当するHDRイメージを合成する方法は、高感度ピクセルHPXの応答と低感度ピクセルLPXの応答を演算(例えば、合算)して合成する方法、低照度では高感度ピクセルHPXの応答に基づいてイメージを生成し、高照度では低感度ピクセルLPXの応答に基づいてイメージを生成する方法などが用いられ得るが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0057】
本発明の一実施形態によるイメージセンシング装置100では、ピクセルアレイ110Aに高感度ピクセルHPXおよび低感度ピクセルLPXがともに配置されており、1回の露出時間(exposure time)により取得するイメージを用いて、HDRイメージが合成され得る。
【0058】
図7図2に図示されているピクセルアレイの他の実施形態を示す図である。
【0059】
図7を参照すると、ピクセルアレイ110Bは、図2のピクセルアレイ110の他の実施形態であり、高感度ピクセルHPXと、中感度ピクセル(middle sensitivity pixel)MPXと、低感度ピクセルLPXとを含むことができる。これは、ピクセルアレイ110Bが3個のピクセルのみを含むことを意味するものではなく、ピクセルアレイ110Bに含まれたピクセルが高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルlpxの3種類に区分され得ることを意味し得る。したがって、ピクセルアレイ110Bに含まれたピクセルそれぞれは、高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXのいずれか一つに相当し、ピクセルアレイ110Bには、高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXがともに配置され得る。ピクセルアレイ110Bに含まれた高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXそれぞれの個数は、任意に選択され得る。
【0060】
高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXは、図6を参照して説明しているものと実質的に同一であるため、重複した説明は省略する。中感度ピクセルMPXは、入射光の強度の増加による応答の増加量が、低感度ピクセルLPXより大きく、高感度ピクセルHPXより小さいピクセルであり得る。すなわち、中感度ピクセルMPXは、入射光に対する感度が、低感度ピクセルLPXより高く、高感度ピクセルHPXより低いピクセルであり得る。
【0061】
図8図7に図示されている高感度ピクセル、中感度ピクセルおよび低感度ピクセルに対して、照度による応答を例示的に示すグラフである。
【0062】
図8を参照すると、当該ピクセルに入射される入射光の強度である照度による高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXそれぞれの応答が図示されている。高感度ピクセルHPXおよび低感度ピクセルLPXそれぞれの応答に関する説明をはじめ、図3と重複する説明は省略する。
【0063】
入射光の強度の増加による応答の増加量が低感度ピクセルLPXより高く、高感度ピクセルHPXより低い中感度ピクセルMPXの応答は、入射光の強度の増加に対応して、低感度ピクセルLPXより高く、高感度ピクセルHPXより低い勾配で増加し、飽和レベルに逹した後、入射光の強度とは無関係に飽和レベルに相当するレベルを有することができる。
【0064】
図8に図示されているように、図7に比べて高いハイダイナミックレンジHDRを具現するために、低感度ピクセルLPXの入射光の強度の増加による応答の増加量を下げるか、高感度ピクセルHPXの入射光の強度の増加による応答の増加量を上げることができる。この場合、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジ(LPX dynamic range)の下限値が、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジ(HPX dynamic range)の上限値を超えることができる。すなわち、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジ(LPX dynamic range)と高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジ(HPX dynamic range)との間に空白が発生することがあり、かかる空白に対応する照度に対してイメージセンシング装置100は、有効応答を取得できなくなり得る。
【0065】
しかし、入射光の強度の増加による応答の増加量が、低感度ピクセルLPXより高く、高感度ピクセルHPXより低い中感度ピクセルMPXのダイナミックレンジ(MPX dynamic range)は、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジ(LPX dynamic range)の下限値より大きい上限値を有し、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジ(HPX dynamic range)の上限値より低い下限値を有することができる。したがって、中感度ピクセルMPXのダイナミックレンジ(MPX dynamic range)は、低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジ(LPX dynamic range)と高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジ(HPX dynamic range)との間の空白をカバーすることができる。
【0066】
低照度に適する高感度ピクセルHPX、中照度に適する中感度ピクセルMPXおよび高照度に適する低感度ピクセルLPXそれぞれの応答を用いて、HDR(high dynamic range)が具現され得る。すなわち、高感度ピクセルHPXおよび低感度ピクセルLPXを用いる場合に比べて、高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXをともに用いると、ピクセルアレイ110Bは、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジと低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジとの間の空白なしに、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジの下限値から低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジの上限値までの範囲に相当するハイダイナミックレンジHDRを有することができる。このために、高感度ピクセルHPXのダイナミックレンジの少なくとも一部と中感度ピクセルMPXのダイナミックレンジの少なくとも一部、および中感度ピクセルMPXのダイナミックレンジの少なくとも一部と低感度ピクセルLPXのダイナミックレンジの少なくとも一部は、互いに重なり得る。
【0067】
高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXを用いてハイダイナミックレンジに相当するHDRイメージを合成する方法は、高感度ピクセルHPXの応答、中感度ピクセルMPXの応答および低感度ピクセルLPXの応答を演算(例えば、合算)して合成する方法、低照度では、高感度ピクセルHPXの応答に基づいてイメージを生成し、中照度では、中感度ピクセルMPXの応答に基づいてイメージを生成し、高照度では、低感度ピクセルLPXの応答に基づいてイメージを生成する方法などが用いられ得るが、本発明の範囲はこれに限定されない。
【0068】
本発明の一実施形態によるイメージセンシング装置100では、ピクセルアレイ110Bに高感度ピクセルHPX、中感度ピクセルMPXおよび低感度ピクセルLPXがともに配置されており、1回の露出時間により取得するイメージを用いてHDRイメージが合成され得る。
【0069】
図9図5に図示されているピクセルアレイで高感度ピクセルと低感度ピクセルを配置する一例を示す図である。
【0070】
図9を参照すると、ピクセルアレイ110Aは、3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3と1個の低感度ピクセルLPXが、2個のローと2個のカラムで構成された2×2マトリックスで配置された例示的な配置構造を示す。説明の便宜上、ピクセルアレイ110Aは、4個のピクセルを含むものと図示しているが、本発明の範囲は、これに限定されない。例えば、4個のピクセルがロー方向およびカラム方向それぞれに沿って繰り返して配列され得る。
【0071】
高感度ピクセルHPX1~HPX3のうち高感度ピクセルHPX1は、y座標およびx座標が交差する領域に配置され得、高感度ピクセルHPX2は、y座標およびx+1座標が交差する領域に配置され得、高感度ピクセルHPX3は、y+1座標およびx座標が交差する領域に配置され得る。また、低感度ピクセルLPXは、y+1座標およびx+1座標が交差する領域に配置され得る。
【0072】
ピクセルアレイ110Aで低感度ピクセルLPXは、2×2マトリックスの右側下端に相当する位置に配置されるが、本発明の範囲はこれに限定されず、他の位置に配置されてもよい。また、ピクセルアレイ110Aで含まれる低感度ピクセルLPXの個数は、2個または3個であってもよい。
【0073】
図10図9のピクセルアレイでサンプリング位置の調整を示す図である。
【0074】
図10を参照すると、感度が同一である3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3の位置値は、加算されて単一の高感度ピクセルHPXとして処理され得る。3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するイメージと、1個の低感度ピクセルLPXに対するイメージとを合成するために、3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3のサンプリング位置HSを低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSに合わせて調整することができる。
【0075】
例えば、3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3が位置する座標値をすべて加算し、加算した位置値を平均して、高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HSを求めることができる。低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを基準位置として決定し、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSから前記高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HS値を減算すると、高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HSのシフト程度(量)を知ることができる。
【0076】
3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HSは、以下の[数学式1]のように求めることができる。
【0077】
[数学式1]
{(x、y)+(x+1、y)+(x、y+1)}/3=(x+1/3、y+1/3)
【0078】
上記の[数学式1]において、(x、y)は、高感度ピクセルHPX1が位置する座標値であり、(x+1、y)は、高感度ピクセルHPX2が位置する座標値であり、(x、y+1)は、高感度ピクセルHPX3が位置する座標値である。高感度ピクセルHPX1~HPX3が位置する位置値をすべて合算し、合算した位置値を高感度ピクセルHPX1~HPX3の個数である3で除して平均することができる。これにより、高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HS値である(x+1/3、y+1/3)を求めることができる。高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HS値において、x=yであり得る。
【0079】
高感度ピクセルHPX1~HPX3の位置値を加算しない場合、高感度ピクセルHPX1~HPX3それぞれのサンプリング位置は、各ピクセルの中心点(座標値が交差する領域(x、y)、(x+1、y)、(x、y+1))になり得る。しかし、本発明の実施形態は、同じ感度を有する3個の高感度ピクセルHPX1~HPX3が一つの高感度ピクセルHPXとして処理されるため、サンプリング位置HSが、図10のように、高感度ピクセルHPX1~HPX3位置の平均値、すなわち(x+1/3、y+1/3)だけ移動することができる。
【0080】
また、1個の低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LSは、以下の[数学式2]のように求めることができる。
【0081】
[数学式2]
(x+1、y+1)
【0082】
上記の[数学式2]において、低感度ピクセルLPXは、x+1座標とy+1座標が交差する領域にサンプリング位置LSが設定され得る。すなわち、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSは、(1、1)として設定され得る。低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LS値において、x=yであり得る。
【0083】
また、高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HSのシフト程度(量)は、以下の[数学式3]のように求めることができる。
【0084】
[数学式3]
(x+1、y+1)-(x+1/3、y+1/3)=(2/3、2/3)
【0085】
上記の[数学式2]で求めた低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LS値(x+1、y+1)から、上記の[数学式1]で求めた高感度ピクセルHPX1~HPX3のサンプリング位置HS値(x+1/3、y+1/3)を減算すると、上記の[数学式3]のように、高感度ピクセルHPX1~HPX3に対するサンプリング位置HSのシフト量(2/3、2/3)を求めることができる。すなわち、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを基準位置として設定すると、高感度ピクセルHPX1~HPX3のサンプリング位置HSは、x座標側に2/3だけ、y座標側に2/3だけシフトすることを知ることができる。
【0086】
ここで、「シフト量」とは、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSと高感度ピクセルHPX1~HPX3のサンプリング位置HSとを一致させるために必要なピクセルの移動量である。すなわち、イメージを、感度に応じて低感度ピクセルLPXと高感度ピクセルHPXの2種類に区分する場合を仮定することができる。これにより、いずれか一方のイメージのサンプリング位置に他の一方のイメージのサンプリング位置を合わせる場合、サンプリング位置のずれ程度を「シフト量」とすることができる。
【0087】
ピクセルアレイ110Aで露出量が互いに異なる多数のイメージを重ねて合成するためには、各イメージを補間処理してサンプリング位置を合わせなければならない。すなわち、合成しようとするイメージ間のサンプリング位置の差が、常にピクセルサイズの整数倍にならない。そのため、補間処理によりサンプリング位置が同一になるようにイメージ間の位置を調整する。
【0088】
しかし、このように、各イメージを補間処理する場合、イメージにボケ(Bokeh)現象が発生し得る。ここで、ボケは、近い被写体をより鮮明にするか焦点を合わせ、遠い被写体を焦点から離れるようにすることで、イメージの背景被写体をぼやけることである。例えば、露出時間またはフィルターなどを使用して露出を変化した2枚のイメージを合成してダイナミックレンジを拡大する場合を仮定する。かかる場合、露出量が小さいイメージと露出量が大きいイメージの位置を調整する必要があるが、かかる位置調整によってイメージにボケ現象が発生し得る。
【0089】
これにより、本発明の実施形態は、露出量が互いに異なるイメージのいずれか一つのイメージを基準位置として他のイメージのサンプリング位置を調整し、ボケ現象が発生することを防止することができる。例えば、露出量が多い高感度イメージのサンプリング位置を、露出量が少ない低感度イメージに合わせて調整するか、露出量が少ない低感度イメージのサンプリング位置を、露出量が多い高感度イメージに合わせて調整することができる。
【0090】
図11図7に図示されているピクセルアレイでサンプリング位置の調整を示す図である。
【0091】
図11を参照すると、ピクセルアレイ110Bは、1個の高感度ピクセルHPXと、2個の中感度ピクセルMPX1、MPX2および1個の低感度ピクセルLPXが、2個のローと2個のカラムで構成された2×2マトリックスで配置された例示的な配置構造を示す。説明の便宜上、ピクセルアレイ110Bは、4個のピクセルを含むものと図示されているが、本発明の範囲は、これに限定されない。例えば、4個のピクセルが、ロー方向およびカラム方向それぞれに沿って繰り返して配列され得る。
【0092】
高感度ピクセルHPXは、y座標およびx座標が交差する領域に配置され得る。また、中感度ピクセルMPX1、MPX2のうち中感度ピクセルMPX1は、y座標およびx+1座標が交差する領域に配置され得る。中感度ピクセルMPX2は、y+1座標およびx座標が交差する領域に配置され得る。また、低感度ピクセルLPXは、y+1座標およびx+1座標が交差する領域に配置され得る。
【0093】
ピクセルアレイ110Bにおいて、低感度ピクセルLPXは、2×2マトリックスの右側下端に相当する位置に配置され、高感度ピクセルHPXは、2×2マトリックスの左側上端に相当する位置に配置され得るが、本発明の範囲は、これに限定されず、他の位置に配置されてもよい。また、ピクセルアレイ110Bにおいて、含まれる高感度ピクセルHPX、低感度ピクセルLPXの個数は、2個または3個であってもよい。
【0094】
図11の実施形態は、感度が同一である2個の中感度ピクセルMPX1、MPX2の位置値は、加算され、単一の中感度ピクセルMPXとして処理され得る。1個の高感度ピクセルHPXに対するイメージと、2個の中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するイメージおよび1個の低感度ピクセルLPXに対するイメージを合成するために、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSおよび低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを、中感度ピクセルMPX1、MPX2のサンプリング位置MSに合わせて調整することができる。
【0095】
例えば、2個の中感度ピクセルMPX1、MPX2が位置する座標値をすべて加算し、加算した位置を平均して中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSを求めることができる。中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSを基準位置として決定し、中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSから高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HS値を減算すると、高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HSのシフト程度(量)を知ることができる。また、中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSを基準位置として決定し、中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSから低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LS値を減算すると、低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LSのシフト程度(量)を知ることができる。
【0096】
高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HSは、以下の[数学式4]のように求めることができる。
【0097】
[数学式4]
(x、y)
【0098】
上記の[数学式4]において、高感度ピクセルHPXは、x座標とy座標が交差する領域にサンプリング位置HSが設定され得る。すなわち、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSは、(0、0)として設定され得る。
【0099】
また、中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MSは、以下の[数学式5]のように求めることができる。
【0100】
[数学式5]
{(x+1、y)+(x、y+1)}/2=(x+1/2、y+1/2)
【0101】
上記の[数学式5]において、(x+1、y)は、中感度ピクセルMPX1が位置する座標値であり、(x、y+1)は、中感度ピクセルMPX2が位置する座標値である。中感度ピクセルMPX1、MPX2が位置する座標値をすべて合算し、合算した値を中感度ピクセルMPX1、MPX2の個数である2で除して平均することができる。これにより、中感度ピクセルMPX1、MPX2に対するサンプリング位置MS値である(x+1/2、y+1/2)を求めることができる。
【0102】
中感度ピクセルMPX1、MPX2を加算しない場合、中感度ピクセルMPX1、MPX2それぞれのサンプリング位置は、各ピクセルの中心点(座標値が交差する領域(x+1、y)、(x、y+1))になり得る。しかし、本発明の実施形態は、同じ感度を有する2個の中感度ピクセルMPX1、MPX2が一つの中感度ピクセルMPXとして処理されるため、サンプリング位置MSが、図14のように、中感度ピクセルMPX1、MPX2位置の平均値、すなわち、(x+1/2、y+1/2)だけ移動することができる。
【0103】
また、1個の低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LSは、以下の[数学式6]のように求めることができる。
【0104】
[数学式6]
(x+1、y+1)
【0105】
上記の[数学式6]において、低感度ピクセルLPXは、x+1座標とy+1座標が交差する領域にサンプリング位置LSが設定され得る。すなわち、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSは、(1、1)として設定され得る。低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LS値において、x=yであり得る。
【0106】
また、高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HSのシフト程度(量)は、以下の[数学式7]のように求めることができる。
【0107】
[数学式7]
(x+1/2、y+1/2)-(x、y)=(1/2、1/2)
【0108】
上記の[数学式5]で求めた中感度ピクセルMPX1、MPX2のサンプリング位置MS値(x+1/2、y+1/2)から、上記の[数学式4]で求めた高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HS値(x、y)を減算すると、上記の[数学式7]のように、高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HSのシフト量(1/2、1/2)を求めることができる。すなわち、中感度ピクセルMPX1、MPX2のサンプリング位置MSを基準位置として設定すると、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSは、x座標側に1/2だけ、y座標側に1/2だけシフトすることを知ることができる。
【0109】
ここで、「シフト量」とは、中感度ピクセルMPX1、MPX2のサンプリング位置MSと高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSを一致させるために必要なピクセルの移動量である。すなわち、イメージを感度に応じて、低感度ピクセルLPXと高感度ピクセルHPXおよび中感度ピクセルMPXの3種類に区分する場合を仮定することができる。これにより、いずれか一方のイメージのサンプリング位置を基準位置として、他の二つのイメージのサンプリング位置を合わせる場合、サンプリング位置のずれ程度を「シフト量」とすることができる。
【0110】
ピクセルアレイ110Bにおいて、露出量が互いに異なる多数のイメージを合成するためには、各イメージを補間処理してサンプリング位置を合わせなければならない。しかし、各イメージを補間処理する場合、ボケ(Bokeh)現象が発生し得る。
【0111】
これにより、本発明の実施形態は、露出量が互いに異なる三つのイメージのいずれか一つのイメージを基準位置として、他の二つのイメージのサンプリング位置を調整することで、ボケ現象が発生することを防止することができる。例えば、露出量が多い高感度イメージのサンプリング位置を露出量が中間である中感度イメージに合わせて調整するか、露出量が少ない低感度イメージのサンプリング位置を露出量が中間である中感度イメージに合わせて調整することができる。
【0112】
図12図1のイメージ信号プロセッサにおいて、基準イメージを選択する動作を説明するためのフローチャートである。
【0113】
図12を参照すると、処理部210は、撮像条件、撮影モードまたは撮影された複数枚のイメージのうち少なくとも1枚のイメージに基づいて、複数枚のイメージのうちサンプリングの基準になる基準イメージを選択することができる(ステップS4)。
【0114】
次に、選択された基準イメージで基準位置を設定することができる(ステップS5)。実施形態によって、基準位置は、露出に基づいて設定され得る。例えば、露出量が大きいイメージの高感度部分の面積に基づいて基準位置を設定することができる。他の実施形態によって、一つのイメージのうち、飽和などによって合成に使用することができないピクセルを検出し、合成に使用することができないピクセルの量に応じて基準位置を設定することができる。
【0115】
さらに他の実施形態によって、エッジ(Edge)またはテクスチュア(Texture)が多いイメージを基準位置として設定することができる。すなわち、イメージ内で、エッジ(Edge)またはテクスチュア(Texture)が多い特定の領域の輝度にしたがって基準位置を設定することができる。例えば、イメージ内でエッジ(Edge)またはテクスチュア(Texture)が多い特定の領域の輝度が基準輝度以上の場合、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを基準位置として設定することができる。一方、イメージ内でエッジ(Edge)またはテクスチュア(Texture)が多い特定の領域の輝度が基準輝度未満の場合、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSを基準位置として設定することができる。
【0116】
さらに他の実施形態によって、フォーカスを合わせた被写体の露出が適正なイメージ(例えば、顔)を基準位置として設定することができる。例えば、イメージ内で顔が含まれた領域の輝度にしたがって基準位置を設定することができる。顔検出にしたがって基準位置を設定する動作は、後述する図16~18で詳細に説明する。
【0117】
さらに他の実施形態によって、合成には使用しないプレビュー(Preview)用イメージを基準位置として選択することができる。ここで、プレビュー用イメージとは、イメージセンシング装置100を介して写真を撮影する目的の他に、プレビュー状態で被写体にある特定の情報を読み込むためのイメージを示すことができる。
【0118】
具体的には、イメージセンシング装置100は、被写体を様々な方式でキャプチャ(capture)し、様々なイメージを生成することができる。一例として、イメージセンシング装置100は、スケールダウン(scale‐down)イメージを生成することもある。ここで、スケールダウンイメージは、ユーザが停止映像または動画を撮影する前後にユーザに提供されるプレビュー(preview)映像を提供するイメージであり得る。すなわち、イメージセンシング装置100は、ユーザが撮影をする間には、撮影モードで設定された実際の解像度のイメージデータを生成し、ユーザの撮影前後に提供されるプレビュー映像のためには、撮影モードで設定された実際の解像度より低いスケールダウンイメージを生成することができる。これにより、処理部210は、イメージセンシング装置100から提供されるスケールダウンしたプレビュー用イメージを基準位置として選択することができる。
【0119】
さらに他の実施形態によって、ステップS4で選択されたイメージを基準として、基準イメージ以外のイメージに対して位置調製を行って、イメージ間のサンプリング位置が一致するようにすることができる。他の実施形態によって、一つのイメージで互いに異なる輝度を有する領域が混在する場合、各領域別に異なる加重値を有するように設定して、基準位置を決定することができる。
【0120】
図13図1のイメージ信号プロセッサにおいて、イメージ領域別に基準位置を設定する動作を説明するための図である。
【0121】
図13を参照すると、処理部210は、撮影された複数枚のイメージのうち少なくとも1枚のイメージに基づいて領域(場所)別に基準位置を決定することができる。処理部210は、各領域別に異なる加重値を有するように設定し、設定した加重値に基づいて、イメージの基準位置を決定することができる。他の実施形態によって、処理部210は、イメージの合成に使用される負荷を計算し、計算した負荷を基準として、基準位置を決定することができる。
【0122】
例えば、一つのイメージが、露出量が予め設定された基準輝度以上の高照度領域Aと、露出量が基準輝度未満の低照度領域Bの両方を含む場合を仮定する。これにより、一つのイメージ内で、高照度領域Aは、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSが基準位置として設定され得る。また、一つのイメージ内で、低照度領域Bは、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSが基準位置として設定され得る。また、境界領域Cは、露出量が多い高照度領域Aと露出量が少ない低照度領域Bが混在する領域であるため、高感度ピクセルHPXと低感度ピクセルLPXの基準位置をそれぞれ少しずつ移動させて位置を調整することができる。
【0123】
図14図13において基準位置の決定を説明するためのグラフである。
【0124】
図14の(a)、(b)を参照すると、L1区間は、輝度が低い低照度区間を示し、L11区間は、低照度区間と高照度区間の境界区間を示し、T2区間は、輝度が高い高照度区間を示すことができる。
【0125】
高感度ピクセルHPXが飽和レベルに逹する前の低照度区間T1では、高感度ピクセルHPXに加重値を「1」と付与し、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSを基準位置として設定することができる。すなわち、入射光の強度が相対的に小さい照度範囲(低照度)では、高感度ピクセルHPXを基準位置として設定することができる。例えば、高感度ピクセルHPXに対するサンプリング位置HS値は、上記の[数学式1]で説明したように、1/3として設定され得る。
【0126】
また、境界区間T11は、図13に図示されているように、高照度領域Aと低照度領域Bのイメージが合成される領域を示すことができる。高照度領域Aと低照度領域Bのイメージが合成される領域では、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSと低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを少しずつ移動させて基準位置を調整することで、イメージをスムーズに連結させることができる。すなわち、境界区間T11では、高感度ピクセルHPXの加重値を「1」から「0」に下げ、低感度ピクセルLPXの加重値を「0」から「1」に上げて、基準位置を徐々に変更させることができる。
【0127】
また、高感度ピクセルHPXが飽和レベルに逹し、低感度ピクセルLPXが飽和レベルに逹するまでの高照度区間T2では、低感度ピクセルLPXに加重値を「1」として付与して、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSを基準位置として設定することができる。すなわち、入射光の強度が相対的に大きい照度範囲(高照度)では、低感度ピクセルLPXを基準位置として設定することができる。例えば、低感度ピクセルLPXに対するサンプリング位置LS値は、前記の[数学式2]で説明したように、1として設定され得る。
【0128】
以上、本発明の実施形態は、低照度区間T1では、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSが基準位置として設定され、境界区間T11では、高感度ピクセルHPXのサンプリング位置HSと低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSがいずれも基準位置として設定され、高照度区間T2では、低感度ピクセルLPXのサンプリング位置LSが基準位置として説明され得る。
【0129】
T2後の区間では、応答が飽和レベルに逹した状態であるため、入射光の強度が増加しても、応答は、飽和レベルを超えて増加することができず、飽和レベルと同じ値を有することができる。
【0130】
図15図1のイメージ信号プロセッサにおいて撮影モードに応じて基準位置を説明する動作を説明するためのフローチャートである。
【0131】
図15を参照すると、処理部210は、イメージを撮影する撮影モードを取得することができる(ステップS6)。また、取得した撮影モードに応じて基準位置を決定することができる(ステップS7)。
【0132】
例えば、撮影モードが夜間撮影モードである場合を仮定する。撮影したシーンが夜景の場合、全体的にイメージが暗いため、高感度ピクセルHPXが多く使用され得る。かかる場合、露出量が多い高感度ピクセルHPXが基準位置として設定され得る。
【0133】
一方、撮影モードが昼間撮影モードである場合を仮定する。撮影したシーンが昼間の場合、全体的にイメージが明るいため、低感度ピクセルLPXが多く使用され得る。かかる場合、露出量が少ない低感度ピクセルLPXが基準位置として設定され得る。
【0134】
図16図1のイメージ信号プロセッサにおいて顔検出に応じて基準位置を設定する動作を説明するためのフローチャートである。
【0135】
図16を参照すると、本発明の実施形態は、第1~第N感度のイメージのうち顔を検出することができる(ステップS8)。例えば、客体領域が指定される場合、客体の形状、サイズ、位置、色相、パターンの密度などを基準として、イメージ内で認識する客体領域を探すことができる。代表的な場合が、写真やプレビューイメージで顔領域を認識するものとして主に色相を用いて、顔領域候補を探し、この領域で眉毛、目、口などの位置情報に基づいて、顔であるか否かを判別することができる。
【0136】
人物写真(Portrait)モードなど、人物を対象にする場合、顔面検出により検出した顔の露出程度に応じて基準位置を設定することができる(ステップS9)。すなわち、撮影したイメージの背景を基準として、顔部分が含まれた領域の輝度が基準輝度以上の場合、相対的に顔が明るい場合のように、互いに異なる感度を有するイメージから顔部分を検出し、顔が検出された高感度ピクセルHPXまたは低感度ピクセルLPXのうち一つを基準位置として決定することができる。
【0137】
図17および図18図16において基準位置決定動作を説明するための図である。
【0138】
図17は、夜間を背景にして顔を撮影したシーンを示す。夜間を背景にする場合、暗い夜景部分が高感度ピクセルHPXとして使用され、明るい顔部分が低感度ピクセルLPXとして使用され得る。したがって、夜間を背景にして顔を撮影したイメージで背景より顔の輝度より高い場合、低感度ピクセルLPXを基準位置として決定することができる。
【0139】
図18は、きれいな空を背景にして顔を撮影したシーンを示す。昼間を背景にする場合、暗い顔部分が高感度ピクセルHPXに相当し、明るい空部分が低感度ピクセルLPXに相当することができる。したがって、昼間を背景にして顔を撮影したイメージで背景より顔の輝度が低い場合、高感度ピクセルHPXを基準位置として決定することができる。
【0140】
図19図3のピクセル値を決定するステップに関する詳細なフローチャートである。
【0141】
図19を参照すると、処理部210は、図4のステップによって決定された基準位置に基づいて、第1~第N感度ピクセルに対するシフト量をそれぞれ算出することができる(ステップS31)。
【0142】
次に、合成部220は、ステップS31で算出されたシフト量によって補間処理を行い、第1~第N感度ピクセルのピクセル値を算出することができる(ステップS32)。ここで、補間処理は、バイリニア(bilinear)補間方式、バイキュービック(bicubic)補間方式などで行われ得るが、補間処理の方式は、これに限定されない。
【0143】
次に、合成部220は、補間された第1~第N感度ピクセルのピクセル値を合成し、出力ピクセル値を決定することができる(ステップS33)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19