(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178226
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、移動型の医用画像撮影装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20221125BHJP
【FI】
A61B6/00 350D
A61B6/00 310
A61B6/00 330B
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021084859
(22)【出願日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 英憲
(72)【発明者】
【氏名】谷内 光史
(72)【発明者】
【氏名】牧野 和浩
(72)【発明者】
【氏名】林 拓
(72)【発明者】
【氏名】小林 丈恭
(72)【発明者】
【氏名】別当屋敷 豪人
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093EC04
4C093EC16
4C093EE30
4C093FF28
(57)【要約】
【課題】診断支援処理または撮影支援処理である支援処理にかかる負荷を低減することができる画像処理装置、移動型の医用画像撮影装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】移動型の放射線画像撮影装置1のコンソール30は、CPU32が、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の透視画像の撮影に関する動画像として、放射線検出器38により撮影された透視画像及び可視光カメラ40により撮影された可視光画像を取得する。CPU32は、動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出する。GPU34は、抽出されたフレームに対して支援処理を行う。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、
前記動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、
抽出された前記フレームに対して前記支援処理を行う
画像処理装置。
【請求項2】
前記支援処理を開始する条件が予め定められており、
前記プロセッサは、
前記条件に基づいて前記支援処理を開始するタイミングを検知し、
検知したタイミングに応じたフレームを、前記支援処理を開始するフレームとして前記動画像から抽出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
取得した動画像を用いて前記支援処理を開始するタイミングを検知する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記動画像における前記被写体の動きに基づいて、前記支援処理を開始するタイミングを検知する
請求項2または請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
被写体の生態情報を検知する生態情報検知センサの検知結果に基づいて、前記支援処理を開始するタイミングを検知する
請求項2または請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記支援処理の実行指示を受け付けたタイミングに応じて、前記支援処理を開始するタイミングを検知する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
一定周期毎に前記動画像から前記支援処理の対象となるフレームを抽出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記支援処理の対象となるフレームから関心領域を特定し、
前記フレームの前記関心領域に対して前記支援処理を行う
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記医用画像撮影装置は放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であり、
前記動画像は透視画像であり、
前記プロセッサは、
前記放射線画像撮影装置における放射線の照射野に基づいて前記関心領域を特定する
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、
取得した前記フレームに対して前記支援処理を行う
画像処理装置。
【請求項11】
前記医用画像撮影装置は放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であり、
前記動画像は、前記放射線画像撮影装置により撮影された前記被写体の透視画像である
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記動画像は、可視光画像撮影装置により撮影された可視光画像である
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置のプロセッサに電力を供給する電源部と、
を備えた移動型の医用画像撮影装置。
【請求項14】
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、
前記動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、
抽出された前記フレームに対して前記支援処理を行う
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項15】
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、
取得した前記フレームに対して前記支援処理を行う
処理をコンピュータが実行する画像処理方法。
【請求項16】
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、
前記動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、
抽出された前記フレームに対して前記支援処理を行う
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【請求項17】
医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、
取得した前記フレームに対して前記支援処理を行う
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、移動型の医用画像撮影装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線画像等の医用画像に対して診断支援処理や撮影支援処理等の支援処理を行う技術が知られている。例えば、特許文献1には、医用画像のうちで画像診断の対象となる解剖学的部位を内在する一部領域を画像診断支援処理装置における診断支援処理の診断対象画像として抽出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、1枚の医用画像のうちの一部領域を診断支援処理の対象としているため画像全体を診断支援処理の対象とする場合に比べて、診断支援処理にかかる負荷が低減される。
【0005】
ところで、支援処理の処理対象である処理対象画像が動画像である場合、処理対象画像の数が比較的、多くなる。処理対象画像の数が多くなるほど、支援処理にかかる負荷が大きくなる。このように支援処理の処理対象画像が動画像である場合、上記従来の技術では、支援処理にかかる負荷を低減するには十分とは言えない場合があった。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みて成されたものであり、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理にかかる負荷を低減することができる画像処理装置、移動型の医用画像撮影装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本開示の第1の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、抽出されたフレームに対して支援処理を行う。
【0008】
本開示の第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、支援処理を開始する条件が予め定められており、プロセッサは、条件に基づいて支援処理を開始するタイミングを検知し、検知したタイミングに応じたフレームを、支援処理を開始するフレームとして動画像から抽出する。
【0009】
本開示の第3の態様の画像処理装置、第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、取得した動画像を用いて支援処理を開始するタイミングを検知する。
【0010】
本開示の第4の態様の画像処理装置は、第2の態様または第3の態様の画像処理装置において、プロセッサは、動画像における被写体の動きに基づいて、支援処理を開始するタイミングを検知する。
【0011】
本開示の第5の態様の画像処理装置は、第2の態様または第3の態様の画像処理装置において、プロセッサは、被写体の生態情報を検知する生態情報検知センサの検知結果に基づいて、支援処理を開始するタイミングを検知する。
【0012】
本開示の第6の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、支援処理の実行指示を受け付けたタイミングに応じて、支援処理を開始するタイミングを検知する。
【0013】
本開示の第7の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、一定周期毎に動画像から支援処理の対象となるフレームを抽出する。
【0014】
本開示の第8の態様の画像処理装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、支援処理の対象となるフレームから関心領域を特定し、フレームの関心領域に対して支援処理を行う。
【0015】
本開示の第9の態様の画像処理装置、第8の態様の画像処理装置において、医用画像撮影装置は放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であり、動画像は透視画像であり、プロセッサは、放射線画像撮影装置における放射線の照射野に基づいて関心領域を特定する。
【0016】
上記目的を達成するために本開示の第10の態様の画像処理装置は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、取得したフレームに対して支援処理を行う。
【0017】
本開示の第11の態様の画像処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、医用画像撮影装置は放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置であり、動画像は、放射線画像撮影装置により撮影された被写体の透視画像である。
【0018】
本開示の第12の態様の画像処理装置は、第1の態様から第10の態様のいずれか1態様の画像処理装置において、動画像は、可視光画像撮影装置により撮影された可視光画像である。
【0019】
上記目的を達成するために第13の態様の移動型の医用画像撮影装置は、本開示の画像処理装置と、画像処理装置のプロセッサに電力を供給する電源部と、を備える。
【0020】
また、上記目的を達成するために本開示の第14の態様の画像処理方法は、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、抽出されたフレームに対して支援処理を行う処理をコンピュータが実行する方法である。
【0021】
また、上記目的を達成するために本開示の第15の態様の画像処理方法は、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、取得したフレームに対して支援処理を行う処理をコンピュータが実行する方法である。
【0022】
また、上記目的を達成するために本開示の第16の態様の画像処理プログラムは、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像を取得し、動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出し、抽出されたフレームに対して支援処理を行う処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【0023】
また、上記目的を達成するために本開示の第17の態様の画像処理プログラムは、医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、取得したフレームに対して支援処理を行う処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理にかかる負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態の移動型の放射線画像撮影装置における、全体の構成の一例を表す構成図である。
【
図2】実施形態の移動型の放射線画像撮影装置の構成の一例を表したブロック図である。
【
図3】実施形態のコンソールにおける、診断支援処理を行う機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図である。
【
図4】実施形態のコンソールによる画像処理の流れの一例を表したフローチャートである。
【
図5】ポジショニングを支援するための診断支援処理を行う場合における診断支援処理の対象について説明するための図である。
【
図6】透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合における診断支援処理の対象について説明するための図である。
【
図7】表示制御部により、表示部に透視画像の読影を支援するための診断支援処理の結果を表示させた表示形態の一例を示す図である。
【
図8】実施形態のコンソールにおける、診断支援処理を行う機能に係る構成の他の例を表す機能ブロック図である。
【
図9】実施形態のコンソールにおける、診断支援処理を行う機能に係る構成の他の例を表す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。下記の実施形態では、本開示の医用画像の一例として放射線画像を適用し、また、本開示の移動型の医用画像撮影装置の一例としてCアームを備えた移動型の放射線画像撮影装置を適用した形態について説明する。なお、本実施形態は本発明を限定するものではない。
【0027】
まず、本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置における、全体の構成の一例について説明する。
図1には、本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1における、全体の構成の一例を表す構成図が示されている。
【0028】
図1に示すように本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1は、アーム部22と保持部24とを有するCアーム20を備えている。アーム部22の一端には、放射線源12により発生した放射線Rを射出する放射線照射部10が設けられている。
【0029】
放射線照射部10には、放射線源12及び照射野限定器14が収納されている。放射線源12は、放射線Rを発生する放射線管(図示省略)を有し、放射線管により発生した放射線Rを出射する機能を有する。照射野限定器14は、放射線管により発生された放射線Rの照射野を限定する機能を有する、いわゆるコリメータである。照射野限定器14は、例えば、放射線Rを遮蔽する鉛等の4枚の遮蔽板が四角形の各辺上に配置され、放射線Rを透過させる四角形の開口部が中央部に形成された構成である。照射野限定器14は、各遮蔽板の位置を変更することで開口部の大きさを変化させ、これにより放射線Rの照射野を変更する。
【0030】
また、
図1に示すように放射線照射部10の放射線Rが出射する側、換言すると、放射線検出器38と対向する側には、可視光カメラ40が設けられている。可視光カメラ40は、可視光画像を撮影する可視光画像撮影装置であり、本実施形態では、少なくとも動画像の撮影が可能とされている。具体的には、可視光カメラ40は、予め定められた間隔に応じて静止画像を撮影し、撮影した静止画像を表す画像データを順次、動画像として出力する機能を有する。なお、本実施形態において「動画像」とは、時間的に連続した静止画像の集まりのことをいう。また、本実施形態では、動画像の元となる静止画像の1コマのことを「フレーム」という。以下では、可視光カメラ40により撮影された可視光画像について、静止画像及び動画像のいずれであるかを言及しない場合、動画像のことをいう。
【0031】
本実施形態では、可視光カメラ40により撮影された可視光画像は、被写体のポジショニングを操作者が確認するために用いられる。そのため、放射線検出器38の撮影対象である被写体のポジショニングの確認に必要とされる範囲を、可視光カメラ40による撮影範囲としている。
【0032】
一方、アーム部22の他端には、保持部24が設けられている。保持部24は、収納部16を保持する。収納部16は、放射線Rを検出して放射線画像を表す画像データを生成する放射線検出器38を収納する。本実施形態のCアーム20は、
図1に示したZ方向(垂直方向)に対する放射線検出器38の角度を変更する機能を有する。
【0033】
放射線検出器38は、被写体を通過した放射線Rを検出する。詳細には、放射線検出器38は、収納部16内に進入して放射線検出器38の検出面に到達した放射線Rを検出し、検出した放射線Rに基づいて放射線画像を生成し、生成した放射線画像を表す画像データを出力する。以下では、放射線源12から放射線Rを照射して、放射線検出器38により放射線画像を生成する一連の動作を「撮影」という場合がある。本実施形態の放射線検出器38の種類は、特に限定されず、例えば、放射線Rを光に変換し、変換した光を電荷に変換する間接変換方式の放射線検出器であってもよいし、放射線Rを直接電荷に変換する直接変換方式の放射線検出器であってもよい。また、本実施形態では放射線検出器38は、静止画像及び動画像のうち、少なくとも動画像である放射線画像の撮影が可能とされている。なお、動画像として撮影された放射線画像は透視画像とも呼ばれる。
【0034】
収納部16の放射線照射部10と対向する側には、放射線照射部10から射出された放射線Rが照射される撮影面17が設けられている。なお、本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1では、撮影面17と放射線照射部10の放射線源12との距離である、いわゆるSID(Source Image Distance)が固定値とされている。
【0035】
Cアーム20は、Cアーム保持部26によって
図1に示した矢印A方向に移動可能に保持されている。また、Cアーム保持部26は軸部27を有しており、軸部27は、Cアーム20を軸受け28に連結する。Cアーム20は、軸部27を回転軸として回転可能とされている。
【0036】
また、
図1に示すように本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1は、底部に複数の車輪19が設けられた本体部18を備えている。本体部18の筐体の
図1における上部側には、
図1のZ軸方向に伸縮する支軸29が設けられている。支軸29の上部には、軸受け28が、矢印B方向に移動可能に保持されている。
【0037】
また、本体部18の上部には、表示部36及び操作部37が設けられている。表示部36及び操作部37はユーザインタフェースとして機能する。表示部36は、移動型の放射線画像撮影装置1により放射線画像の撮影を行う技師や医師等の操作者に対して、撮影された放射線画像や、放射線画像の撮影に関する情報を提供する。表示部36は特に限定されるものではなく、液晶モニタ及びLED(Light Emission Diode)モニタ等が挙げられる。なお、本実施形態では、表示部36の一例として操作部37と一体化したタッチパネルディスプレイを適用している。また、操作部37は、放射線画像の撮影に関する指示を行う際に操作者によって操作される。操作部37は特に限定されるものではなく、例えば、各種スイッチ、タッチパネル、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。また、操作部37は、複数設けられていてもよく、例えば、操作部37としてタッチパネル及び操作者が足で操作するフットスイッチが設けられていてもよい。
【0038】
また、本体部18の内部には、コンソール30のCPU(Central Processing Unit)32、GPU(Graphics Processing Unit)34、及び移動型の放射線画像撮影装置1の各部に電力を供給するバッテリー48等が収納されている。
【0039】
図2には、本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1の構成の一例を表したブロック図が示されている。
図2に示すように本実施形態の移動型の放射線画像撮影装置1は、放射線源12、照射野限定器14、コンソール30、放射線検出器38、可視光カメラ40、給電部46、及びバッテリー48を備えている。
【0040】
コンソール30は、移動型の放射線画像撮影装置1による放射線画像の撮影に関する制御を行う機能を有する。本実施形態のコンソール30が、本開示の画像処理装置の一例である。
【0041】
コンソール30は、CPU32、メモリ33、GPU34、表示部36、操作部37、記憶部42、及びI/F部45を備える。CPU32、メモリ33、GPU34、表示部36、操作部37、記憶部42、及びI/F部45はシステムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。なお、バス49には、放射線源12、照射野限定器14、可視光カメラ40、及び給電部46も接続されている。
【0042】
CPU32は、記憶部42に記憶された画像処理プログラム43を含む各種のプログラムをメモリ33へ読み出し、読み出したプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、CPU32は、移動型の放射線画像撮影装置1の各部の動作を制御する。本実施形態のCPU32が、本開示のプロセッサの一例である。メモリ33は、CPU32が処理を実行するためのワークメモリである。GPU34は、CPU32の制御に応じて、記憶部42に記憶されたCAD(Computer-Assisted Detection/Diagnosis)44を適用して詳細を後述する診断支援処理または撮影支援処理である支援処理を実行する機能を有する。
【0043】
記憶部42には、画像処理プログラム43、支援処理に適用されるアルゴリズムであるCAD44、及び放射線検出器38により撮影された放射線画像の画像データや、その他の各種情報等が記憶される。CAD44には、後述する支援処理の種類に応じた各種のアルゴリズムが含まれる。一例として、本実施形態のCAD44には、ポジショニングを支援するための撮影支援処理に適用されるポジショニングCAD44Aが含まれる。また、CAD44には、透視画像の読影を支援するための診断支援処理に適用される胸部CAD44B、及び関節CAD44C等が含まれる。なお、CAD44に含まれるアルゴリズムはこれらに限定されるものではない。記憶部42の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
【0044】
I/F部45は、無線通信または有線通信により、放射線検出器38との間で各種情報の通信を行う。また、I/F部45は、ネットワークを介して無線通信または有線通信により外部装置との間で各種情報の通信を行う。外部装置としては、例えば、撮影オーダを管理するRIS(Radiology Information System)、及びPACS(Picture Archiving and Communication Systems)等が挙げられる。
【0045】
また、上述したようにバス49には、給電部46が接続されている。給電部46は、バッテリー48からの電力を、移動型の放射線画像撮影装置1の各部に供給する。給電部46は、バッテリー48からの直流電圧を、供給先に応じた値の電圧に変換するDC(Direct Current)-DCコンバータ、変換した電圧の値を安定化させる電圧安定化回路等を含む。本実施形態のバッテリー48は、上述したように本体部18に内蔵されている。このように、移動型の放射線画像撮影装置1は、バッテリー48によりワイヤレス駆動される。なお、移動型の放射線画像撮影装置1は、本体部18の下部から延びる電源コードのプラグ(図示省略)を商用電源のコンセントに接続することで、バッテリー48を充電したり、商用電源からの電力で動作したりすることが可能である。
【0046】
また、本実施形態のコンソール30は、放射線検出器38により撮影された透視画像及び可視光カメラ40により撮影された可視光画像の各々における支援処理の対象となるフレームに対して詳細を後述する支援処理を行う機能を有する。一例として本実施形態のコンソール30は、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の放射線画像の撮影に関する動画像に対して支援処理を行う機能を有する。一例として本実施形態では、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の放射線画像の撮影において可視光カメラ40により被写体が撮影された可視光画像、及び移動型の放射線画像撮影装置1による放射線画像の撮影において放射線検出器38により撮影された放射線画像の各々に対して支援処理を行う機能を有する。
【0047】
換言すると、コンソール30は、被写体のポジショニングを支援するための撮影支援処理を可視光カメラ40により撮影された可視光画像から抽出した処理対象のフレームに対して行う機能を有する。また、コンソール30は、透視画像の読影を支援するための診断支援処理を放射線検出器38により撮影された透視画像から抽出した処理対象のフレームに対して行う機能を有する。以下では、放射線検出器38により撮影された透視画像及び可視光カメラ40により撮影された可視光画像を区別せずに総称する場合、単に「動画像」という。なお、本実施形態における放射線検出器38により撮影された透視画像、及び可視光カメラ40により撮影された可視光画像の各々が、本開示の医用画像撮影装置による被写体の医用画像の撮影に関する動画像の一例である。
【0048】
図3には、本実施形態のコンソール30における、支援処理を行う機能に係る構成の一例の機能ブロック図を示す。
図3に示すようにコンソール30は、画像取得部50、処理対象抽出部52、関心領域特定部54、支援処理部56、表示制御部58、及びタイミング検知部60を備える。一例として本実施形態のコンソール30は、CPU32が記憶部42に記憶されている画像処理プログラム43を実行することにより、CPU32が画像取得部50、処理対象抽出部52、関心領域特定部54、表示制御部58、及びタイミング検知部60として機能し、GPU34が支援処理部56として機能する。
【0049】
画像取得部50は、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の放射線画像の撮影に関する動画像を取得する機能を有する。具体的には、上述したように本実施形態の画像取得部50は、可視光カメラ40により撮影された可視光画像を取得する機能を有する。より具体的には、本実施形態の画像取得部50は、移動型の放射線画像撮影装置1において撮影オーダに応じた放射線画像の撮影が指示されると、可視光カメラ40が撮影した可視光画像を表す画像データを、可視光カメラ40から順次、取得する。また、本実施形態の画像取得部50は、放射線検出器38により撮影された透視画像を取得する機能を有する。より具体的には、画像取得部50は、放射線検出器38が透視画像の撮影を開始すると、放射線検出器38が撮影した透視画像を表す画像データを、放射線検出器38から順次、取得する。画像取得部50は、取得した動画像を表す画像データを、処理対象抽出部52、表示制御部58、及びタイミング検知部60に出力する。
【0050】
タイミング検知部60は、予め定められた条件に基づいて支援処理を開始するタイミングを検知する機能を有する。本実施形態では、支援処理を開始するための条件が予め定められている。ポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う場合は、予め定められた条件の一例として、操作者が操作部37を用いて指示した支援処理の実行指示を受け付けたこととしている。そのため、タイミング検知部60は、ポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う場合、支援処理の実行指示を受け付けると、支援処理を開始するタイミングを検知したとして、支援処理を開始させるための開始信号を処理対象抽出部52に出力する。
【0051】
また、透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合は、予め定められた条件の一例として、操作者が操作部37を用いて指示した支援処理の実行指示を受け付けたこと、または被写体が所定の動きを行ったこととしている。そのため、タイミング検知部60は、透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合、支援処理の実行指示を受け付ける、または被写体の所定の動きを検知すると、支援処理を開始するタイミングを検知したとして、支援処理を開始させるための開始信号を処理対象抽出部52に出力する。なお、支援処理を開始するための条件は、本実施形態で例示した条件に限定されない。また、操作者により、支援処理を開始するための条件の設定が可能であってもよい。
【0052】
処理対象抽出部52は、画像取得部50から入力された動画像から支援処理の対象となるフレームを抽出する機能を有する。なお、本実施形態の処理対象抽出部52は、タイミング検知部60から入力された開始信号に応じたフレームを、支援処理を開始するフレームとして動画像から抽出する。本実施形態の処理対象抽出部52における、具体的な処理対象となるフレームの抽出については詳細を後述する。処理対象抽出部52は、抽出したフレームを表す画像データを、関心領域特定部54に抽出する。
【0053】
関心領域特定部54は、支援処理の対象となるフレームから関心領域を特定する機能を有する。関心領域とは、各フレームにおいて操作者が関心を示す領域であり、支援処理の対象となる領域である。例えば、操作者が関心を示す領域とは、ポジショニングの際に確認を行う部位が含まれる領域や、読影を行う領域が挙げられる。一例として本実施形態における関心領域は、放射線源12により放射線Rが照射される領域としており、具体的には、照射野限定器14により限定された放射線Rの照射野の領域としている。そのため、本実施形態の関心領域特定部54は、照射野限定器14から放射線Rの照射野の範囲を表す情報を取得し、取得した情報に基づいて、各フレームにおける関心領域を特定する。関心領域特定部54は、支援処理の対象となる各フレームにおいて特定した関心領域を表す情報を支援処理部56に出力する。
【0054】
なお、上述のように本実施形態では、関心領域を照射野の領域としているが、関心領域は、本形態に限定されない。例えば、支援処理の種類に応じて関心領域が予め定められていてもよい。例えば、ポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う場合、撮影を行う部位や撮影方法等に応じて、ポジショニングの際に操作者が確認を行うべき領域を関心領域としてもよい。また例えば、透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合、施術や撮影を行う部位等に応じて、操作者が読影を行う領域を関心領域としてもよい。これらの関心領域を表す情報は、支援処理の種類や撮影部位等に対応付けられて記憶部42に記憶させておく形態としてもよいし、外部の装置等から取得する形態としてもよい。
【0055】
また関心領域として、操作者が注視した部位を適用する形態としてもよい。この場合、例えば、関心領域特定部54は、放射線検出器38から取得した透視画像を表示部36に表示させ、透視画像に対して操作者が注視した領域を関心領域としてもよい。また例えば、被写体に対して操作者が注視した領域を関心領域としてもよい。なお、関心領域特定部54が、操作者が注視した領域を特定する形態は特に限定されず、既存の技術を適用することができる。例えば、関心領域特定部54は、可視光カメラ40等により操作者の顔を撮影した動画像に対して画像解析を行い、操作者の顔の向きや眼球の位置等を解析することにより、操作者の視線及び視線が維持された時間を含む情報を導出し、導出した情報に基づいて、操作者が注視した領域を特定する形態を適用してもよい。
【0056】
支援処理部56は、処理対象抽出部52により抽出された各フレームにおける関心領域に対して、支援処理を行う機能を有している。具体的には、支援処理部56は、診断支援処理の対象であるフレームの関心領域に対して、操作者により指定された支援処理の種類に応じて、記憶部42に記憶されているCAD44のうちから選択したCADのアルゴリズムを適用することにより、支援処理を行う。なお、操作者による支援処理の種類の指定については詳細を後述する。支援処理部56は、支援処理の処理結果を表示制御部58に出力する。このように本実施形態の支援処理部56は、フレームの一部の領域である関心領域に対して支援処理を行うため、フレーム全体に対して支援処理を行う場合に比べて、支援処理にかかる負荷を低減することができる。
【0057】
表示制御部58は、支援処理部56による処理結果を表示部36に表示させる機能を有する。本実施形態の表示制御部58は、画像取得部50が取得した可視光画像または透視画像のうち、支援処理の対象以外のフレームについても表示部36に表示させる。
【0058】
次に、支援処理に関するコンソール30の作用について図面を参照して説明する。本実施形態のコンソール30では、撮影オーダに応じた放射線画像の撮影が指示されると、
図4に示した画像処理を実行する。
図4には、本実施形態のコンソール30による画像処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。本実施形態のコンソール30は、一例として、CPU32が、記憶部42に記憶されている画像処理プログラム43を実行することにより、
図4に一例を示した画像処理を実行する。
【0059】
図4のステップS100で画像取得部50は、可視光画像の取得を開始する。上述したように、本実施形態の画像取得部50は、可視光カメラ40により撮影された可視光画像の取得を開始する。
【0060】
次のステップS102で画像取得部50は、放射線検出器38から透視画像が入力されたか否かを判定する。上述したように、放射線検出器38は、透視画像の撮影を開始すると、透視画像を構成するフレームを順次、コンソール30に出力する。そこで、画像取得部50は、放射線検出器38から透視画像を構成するフレームがコンソール30に入力されたか否かを判定する。
【0061】
透視画像が未だコンソール30に入力されていない場合、ステップS102の判定が否定判定となり、ステップS106へ移行する。一方、透視画像がコンソール30に入力された場合、ステップS102の判定が肯定判定となり、ステップS104へ移行する。
【0062】
ステップS104で画像取得部50は、透視画像の取得を開始する。上述したように、本実施形態の画像取得部50は、放射線検出器38から出力された透視画像の取得を開始する。
【0063】
次のステップS106でタイミング検知部60は、支援処理の種類を特定する。上述したように、本実施形態では、支援処理の種類として、ポジショニングを支援するための撮影支援処理と、透視画像の読影を支援するための診断支援処理とがある。また、各支援処理についても、複数の種類がある。例えば、透視画像の読影を支援するための診断支援処理については、透視画像中の術具等の位置や状態に関する読影を支援するための診断支援処理、及び各種の病変に関する読影等の読影を支援するための診断支援処理が挙げられる。さらに、診断支援の種類として、撮影対象の部位等に応じた種類がある。このように、支援処理の種類は特に限定されず、操作者、読影者、被写体、及び撮影方法等に応じて複数の種類を設けることができる。
【0064】
一例として、本実施形態のタイミング検知部60は、支援処理において適用するCADの名称等の支援処理の種類を表す情報を表示部36に表示させ、表示された中から操作者によって選択された支援処理の種類を表す情報を受け付けることにより、支援処理の種類を特定する。なお、タイミング検知部60が支援処理の種類を特定する方法は特に限定されない。例えば、撮影オーダに、支援処理の種類が対応付けておき、タイミング検知部60は、撮影オーダに対応付けられた支援処理の種類を特定する形態としてもよい。
【0065】
次のステップS108でタイミング検知部60は、上記ステップS106で特定した支援処理の種類がポジショニングを支援するための撮影支援処理であるか否かを判定する。特定した支援処理の種類がポジショニングを支援するための診断支援処理である場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0066】
ステップS110でタイミング検知部60は、支援処理の実行指示を受け付けたか否かを判定する。支援処理の実行指示を受け付けるまでステップS110の判定が否定判定となる。一方、支援処理の実行指示を受け付けると、ステップS110の判定が肯定判定となり、ステップS112へ移行する。
【0067】
ステップS112でタイミング検知部60は、上述したように支援処理を開始させるための開始信号を処理対象抽出部52に出力する。また、本実施形態では、上記ステップS106で特定した支援処理の種類であるポジショニングを支援するための撮影支援処理であることを表す情報も処理対象抽出部52に出力する。
【0068】
次のステップS114で処理対象抽出部52は、可視光画像から支援処理の対象となるフレームを抽出する。本実施形態の処理対象抽出部52は、ポジショニングを支援するための撮影支援処理として定められたフレームレートで、可視光画像から支援処理の対象となるフレームを抽出する。
【0069】
図5を参照して、ポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う場合における支援処理の対象について説明する。上述したように本実施形態では、上記ステップS100で画像取得部50が取得を開始した可視光画像70は、処理対象抽出部52に入力される。処理対象抽出部52は、上記ステップS112でタイミング検知部60が出力した開始信号を受信すると、可視光画像70のうち、開始信号に対応するフレーム70
1以降のフレーム(70
2、70
3、・・・)を処理対象のフレームとして抽出する。
【0070】
次のステップS116で関心領域特定部54は、上記ステップS114で処理対象抽出部52が抽出した処理対象のフレームから関心領域72(
図5参照)を特定する。上述したように、本実施形態の関心領域特定部54は、照射野限定器14の開口部によって定まる照射野に応じた領域を関心領域72として、処理対象のフレームから特定する。
【0071】
次のステップS118で支援処理部56は、上記ステップS114で処理対象抽出部52が抽出した処理対象のフレームから、上記ステップS116で特定した関心領域72に対して、撮影支援処理を行う。具体的には、支援処理部56は、ポジショニングを支援するため撮影支援処理に応じたポジショニングCAD44Aのアルゴリズムを、記憶部42に記憶されているCAD44の中から選択する。さらに支援処理部56は、選択したポジショニングCAD44Aのアルゴリズムを撮影支援処理の対象のフレームにおける関心領域72に適用することでポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う。
【0072】
なお、ポジショニングCAD44Aの詳細については特に限定されず、移動型の放射線画像撮影装置1による透視画像の撮影において必要とされるポジショニングを支援するための情報を提供することが可能なものであればよい。例えば、ポジショニングCAD44Aは、被写体の所望の部位が照射野内に入っているか否かを判定するためのCADであってもよい。また例えば、ポジショニングとして、被写体がうつ伏せであるか仰向けであるか、換言すると、放射線検出器38に対する被写体の向きが重要となる場合がある。このような場合、ポジショニングCAD44Aは、被写体の向きが適切であるかを判定するためのCADとしてもよい。
【0073】
次のステップS120で表示制御部58は、上記ステップS120による撮影支援処理の結果を表示部36に表示させる。なお、表示制御部58による撮影支援処理の結果の表示形態は特に限定されない。一例として、本実施形態の表示制御部58は、撮影支援処理を行っていない可視光画像70と共に、撮影支援処理の結果を表示させる。
【0074】
次のステップS122で支援処理部56は、実行中の撮影支援処理を終了するか否かを判定する。ポジショニングを支援するための撮影支援処理を行う場合、撮影支援処理の終了条件として、操作者が操作部37を用いて指示した支援処理の終了指示を受け付けた場合、または操作者による放射線Rの照射指示を受け付けた場合としている。支援処理部56は、終了条件を満たす場合、撮影支援処理を終了すると判定する。終了条件を満たすまでステップS122の判定が否定判定となり、ステップS114に戻り、ステップS114~S118の処理を繰り返す。一方、終了条件を満たすとステップS122の判定が肯定判定となり、ステップS140へ移行する。
【0075】
一方、上記ステップS106で特定した支援処理の種類がポジショニングを支援するための撮影支援処理以外である場合、ステップS108の判定が否定判定となり、ステップS124へ移行する。
【0076】
ステップS124でタイミング検知部60は、上記ステップS110と同様に、支援処理の実行指示を受け付けたか否かを判定する。支援処理の実行指示を受け付けた場合、ステップS124の判定が肯定判定となり、ステップS128へ移行する。一方、支援処理の実行指示を受け付けていない場合、ステップS124の判定が否定判定となり、ステップS126へ移行する。
【0077】
ステップS126でタイミング検知部60は、被写体の所定の動きを検知したか否かを判定する。一例として本実施形態のタイミング検知部60は、可視光画像または透視画像を用いて被写体の所定の動きの検知を行う。なお、タイミング検知部60が、被写体の所定の動きを検知する方法は特に限定されない。例えば、肺(胸部)の撮影では、呼吸を止めた場合等、被写体の呼吸に応じて撮影タイミングを定めることがある。このような場合、タイミング検知部60は、呼吸に応じた被写体の動きを動画像から画像解析等により検出することで所定の動きを検知する形態とすることができる。タイミング検知部60が所定の動きを検知していない場合、ステップS126の判定が否定判定となり、ステップS124に戻る。一方、タイミング検知部60が所定の動きを検知した場合、ステップS126の判定が肯定判定となり、ステップS128へ移行する。
【0078】
ステップS128でタイミング検知部60は、上記ステップS112と同様に、支援処理を開始させるための開始信号を処理対象抽出部52に出力する。また、本実施形態では、上記ステップS106で特定した支援処理の種類である透視画像の読影を支援するための診断支援処理であることを表す情報も処理対象抽出部52に出力する。
【0079】
次のステップS130で処理対象抽出部52は、透視画像から診断支援処理の対象となるフレームを抽出する。本実施形態の処理対象抽出部52は、診断支援処理の種類に応じて定められたフレームレートで、透視画像から診断支援処理の対象となるフレームを抽出する。
【0080】
図6を参照して、透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合における診断支援処理の対象について説明する。上述したように本実施形態では、上記ステップS104で画像取得部50が取得を開始した透視画像80は、処理対象抽出部52に入力される。処理対象抽出部52は、上記ステップS128でタイミング検知部60が出力した開始信号を受信すると、透視画像80のうち、開始信号に対応するフレーム80
1以降のフレーム(80
2、80
3、・・・)のうち、一定周期毎のフレームを処理対象のフレームとして抽出する。
図6に示した例では、透視画像80から、4枚に1枚の周期で、処理対象のフレームを抽出する。例えば、
図6に示すように、タイミング検知部60は、開始タイミングに応じたフレーム80
1を処理対象のフレームとして抽出し、フレーム80
2~80
4は抽出せず、次のフレーム80
5を処理対象のフレームとして抽出する。
【0081】
次のステップS132で関心領域特定部54は、上記ステップS116と同様に、上記ステップS130で処理対象抽出部52が抽出した処理対象のフレームから関心領域82(
図6参照)を特定する。すなわち、関心領域特定部54は、照射野限定器14の開口部によって定まる照射野に応じた領域を関心領域82として、処理対象のフレームから特定する。
【0082】
次のステップS134で支援処理部56は、上記ステップS130で処理対象抽出部52が抽出した処理対象のフレームから、上記ステップS132で特定した関心領域82に対して、診断支援処理を行う。具体的には、支援処理部56は、透視画像の読影を支援するための診断支援処理のうち、さらに診断支援処理の種類に応じたCADのアルゴリズムを、記憶部42に記憶されているCAD44の中から選択する。例えば、診断支援処理の種類が胸部に対する診断の支援である場合、支援処理部56は、CAD44の中から胸部CAD44Bを選択する。また例えば、診断支援処理の種類が関節に対する診断の支援である場合、支援処理部56は、CAD44の中から関節CAD44Cを選択する。さらに支援処理部56は、選択したCADのアルゴリズムを診断支援処理の対象のフレームにおける関心領域82に適用することで透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う。
【0083】
なお、胸部CAD44Bの詳細については特に限定されず、撮影部位が胸部である場合に要する読影を支援するためのCADであればよい。例えば、胸部CAD44Bは、カテーテルを挿入する場合におけるカテーテルの先端の位置を特定するCAD、及び気胸や心肥大等の病変を特定するCADの少なく一方であってもよい。また関節CAD44Cの詳細については特に限定されず、撮影部位が関節である場合に要する読影を支援するためのCADであればよい。例えば、関節CAD44Cは、骨折を特定するCAD、及び骨の曲がり具合を特定するCADの少なくとも一方であってもよい。
【0084】
次のステップS136で表示制御部58は、上記ステップS134による診断支援処理の結果を表示部36に表示させる。なお、表示制御部58による診断支援処理の結果の表示形態は特に限定されない。
図7には、表示制御部58により、表示部36に透視画像80の読影を支援するための診断支援処理の結果を表示させた表示形態の一例を示す。
図7は、透視画像80に、胸部CAD44Bを適用し、カテーテル86の先端の位置の特定した診断支援処理の結果84を表示させた表示形態の一例である。
【0085】
次のステップS138で支援処理部56は、実行中の診断支援処理を終了するか否かを判定する。透視画像の読影を支援するための診断支援処理を行う場合、診断支援処理の終了条件として、操作者が操作部37を用いて指示した診断支援処理の終了指示を受け付けた場合、または放射線Rの照射が停止した場合としている。支援処理部56は、終了条件を満たす場合、診断支援処理を終了すると判定する。終了条件を満たすまでステップS138の判定が否定判定となり、ステップS130に戻り、ステップS130~S134の処理を繰り返す。一方、終了条件を満たすとステップS138の判定が肯定判定となり、ステップS140へ移行する。
【0086】
ステップS140で画像取得部50は、
図4に示した画像処理を終了するか否かを判定する。本実施形態では、画像処理を終了する終了条件として、移動型の放射線画像撮影装置1による透視画像の撮影が終了した場合としている。画像取得部50は、終了条件を満たすまで、ステップS140の判定が否定判定となり、ステップS106に戻り、ステップS106~S138の処理を繰り返す。一方、終了条件を満たすと、ステップS140の判定が肯定判定となり、ステップS142へ移行する。
【0087】
ステップS142で画像取得部50は、可視光画像及び透視画像の取得を終了する。上述したように、本実施形態の画像取得部50は、可視光カメラ40により撮影された可視光画像の取得、及び放射線検出器38により撮影された透視画像の取得を終了する。ステップS142の処理が終了すると、
図4に示した画像処理が終了する。
【0088】
以上説明したように、上記形態の移動型の放射線画像撮影装置1のコンソール30は、CPU32が、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の透視画像の撮影に関する動画像として、放射線検出器38により撮影された透視画像及び可視光カメラ40により撮影された可視光画像を取得する。CPU32は、動画像から診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを抽出する。GPU34は、抽出されたフレームに対して支援処理を行う。
【0089】
このように上記形態のコンソール30では、取得した全ての動画像に対して支援処理を行うのではなく、処理対象として抽出されたフレームに対して支援処理を行う。従って、診断支援処理を行うフレーム数を削減することができるため、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理にかかる負荷を低減することができる。
【0090】
なお、上記形態では、タイミング検知部60が、画像取得部50が取得した動画像を用いて、予め定められた条件に基づいて支援処理を開始するタイミングを検知する形態について説明したが、動画像以外を用いて、予め定められた条件に基づいて支援処理を開始するタイミングを検知する形態であってもよい。例えば、タイミング検知部60が、画像取得部50が取得した動画像以外から被写体動きを検出する形態としてもよい。この場合の例としては、
図8に示すように、移動型の放射線画像撮影装置1は、生態情報検知センサ41を備え、生態情報検知センサ41により検知した被写体の生態情報を用いて、タイミング検知部60が予め定められた条件に基づいて支援処理を開始するタイミングを検知する形態としてもよい。生態情報検知センサ41としては、モーションセンサや、呼気または吸気を測定する測定計等が挙げられる。
【0091】
また、上記形態では、画像取得部50が取得した動画像から処理対象抽出部52が支援処理の対象となるフレームを抽出する形態について説明したが、処理対象抽出部52が支援処理の対象となるフレームを抽出する形態は本形態に限定されない。
図9に示した形態のように、処理対象抽出部52は、タイミング検知部60から入力された開始信号に応じた動画像のフレームを、放射線検出器38で撮影された透視画像または可視光カメラ40で撮影された可視光画像から取得することで、支援処理の対象となるフレームを抽出する形態としてもよい。換言すると、コンソール30は、移動型の放射線画像撮影装置1による被写体の医用画像の撮影に関する動画像から、診断支援処理または撮影支援処理である支援処理の対象となるフレームを取得し、取得したフレームに対して支援処理を行う形態であってもよい。
【0092】
また、上記形態では、支援処理部56がCADのアルゴリズムを適用して支援処理を行う形態について説明したが、支援処理を行う形態やCADについては、本形態に限定されない。例えば、支援処理部56が、AI(Artificial Intelligence)技術を適用して支援処理を行う形態であってもよいし、ディープラーニング等により機械学習がなされた学習済みモデルを適用して支援処理を行う形態であってもよい。
【0093】
また、上記形態では、コンソール30が本開示の画像処理装置の一例である形態について説明したが、コンソール30以外の装置が本開示の画像処理装置の機能を備えていてもよい。換言すると、画像取得部50、処理対象抽出部52、関心領域特定部54、支援処理部56、表示制御部58、及びタイミング検知部60の一部または全部をコンソール30以外の装置等が備えていてもよい。例えば、コンソール30として機能するCPU32と、支援処理部56として機能するGPU34及び記憶部42とを、別体としてもよく、GPU34をいわゆるGPUボックスとして設けてもよい。
【0094】
また、上記形態では、移動型の医用画像撮影装置の一例として、Cアームを有する移動型の放射線画像撮影装置に適用した形態について説明したが、移動型の医用画像撮影装置は本形態に限定されない。例えば、移動型の医用画像撮影装置は、放射線照射部10を有する移動型のモバイルカートと、いわゆる電子カセッテである放射線検出器38とを組み合わせて用いる形態であってもよい。また例えば、操作者が携帯して移動させる携帯型の医用画像撮影装置であってもよい。また、移動型の医用画像撮影装置に限定されず、据え置き型の医用画像撮影装置であってもよい。また、例えば、CT(Computed Tomography)画像、または超音波画像等を撮影する医用画像撮影装置であってもよい。
【0095】
また、上記形態において、例えば、画像取得部50、処理対象抽出部52、関心領域特定部54、支援処理部56、表示制御部58、及びタイミング検知部60といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0096】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0097】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0098】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0099】
また、上記各形態では、画像処理プログラム43が記憶部42に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム43は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム43は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 移動型の放射線画像撮影装置
10 放射線照射部
12 放射線源
14 照射野限定器
16 収納部
17 撮影面
18 本体部
19 車輪
20 Cアーム
22 アーム部
24 保持部
26 Cアーム保持部
27 軸部
28 軸受け
29 支軸
30 コンソール
32 CPU
33 メモリ
34 GPU
36 表示部
37 操作部
38 放射線検出器
40 可視光カメラ
41 生態情報検知センサ
42 記憶部
43 画像処理プログラム
44 CAD、44A ポジショニングCAD、44B 胸部CAD、44C 関節CAD
45 I/F部
46 給電部
48 バッテリー
49 バス
50 画像取得部
52 処理対象抽出部
54 関心領域特定部
56 支援処理部
58 表示制御部
60 タイミング検知部
70 可視光画像、701~703 フレーム
72、82 関心領域
80 透視画像、801~805 フレーム
84 処理結果
86 カテーテル
A、B 矢印
R 放射線