(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178421
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】樹脂、硬化性樹脂組成物、硬化物及び物品
(51)【国際特許分類】
C08G 73/06 20060101AFI20221125BHJP
C08L 79/08 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C08G73/06
C08L79/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021085211
(22)【出願日】2021-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】桑田 康介
【テーマコード(参考)】
4J002
4J043
【Fターム(参考)】
4J002CD012
4J002CD022
4J002CD032
4J002CD052
4J002CD062
4J002CM041
4J002EU110
4J002GN00
4J002GQ00
4J002GQ05
4J043PA02
4J043PB15
4J043QB58
4J043RA05
4J043RA34
4J043SA11
4J043SA31
4J043SB01
4J043TA21
4J043TA37
4J043TA71
4J043TB01
4J043TB03
4J043UA022
4J043UA041
4J043UA042
4J043UA052
4J043UA081
4J043UA122
4J043UA131
4J043UA141
4J043UA171
4J043UA261
4J043UA262
4J043UA391
4J043UB211
4J043XA03
4J043XA15
4J043ZB47
4J043ZB50
4J043ZB51
(57)【要約】
【課題】硬化物における優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有する樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物、及び前記硬化物からなる塗膜を有する物品を提供する。
【解決手段】少なくとも1つの酸基を有し、アミド結合及び/又はイミド結合を有する樹脂であり、一般式(1)~(6)の何れか1つで表される構造を有するものであることを特徴とする樹脂、及びこれを含有する硬化性樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの酸基を有し、アミド結合及び/又はイミド結合を有する樹脂であり、、下記一般式(1)~(6)の何れか1つで表される構造を有するものであることを特徴とする樹脂。
【化1】
[式(1)~(6)中、Aは、それぞれ独立して、ベンゼン環又は脂環であり、Xは、下記式(x-1)~(x-24)の何れかを表し、Yは、それぞれ独立して、-OR
1又は-NH-X-(Z)
lを表し、nは、0又は1~3の整数であり、mは、0又は1~3の整数であり、n+mは、2又は3である。また、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、前記Zは、下記式(z-1)又は(z-2)を表し、前記lは、1又は2である。なお、式(1)~(6)、(z-1)及び(z-2)中のYの少なくとも1つが-OR
1であり、前記R
1の少なくとも1つが水素原子である。]
【化2】
[式(x-1)~(x-24)中、「*」は窒素原子との結合点を示す。]
【化3】
[式(z-1)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【化4】
[式(z-2)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【請求項2】
前記樹脂が、ポリイソシアネート化合物及び2官能多塩基酸無水物との反応物(1)と、アルコール化合物とを必須原料とするものである請求項1記載の樹脂。
【請求項3】
前記2官能多塩基酸無水物が、2官能脂肪族多塩基酸無水物、及び/又は2官能脂環式多塩基酸無水物である請求項2記載の樹脂。
【請求項4】
前記2官能多塩基酸無水物の使用量が、前記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基1モルに対して、0.1~5モルの範囲である請求項2又は3記載の樹脂。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の樹脂と、硬化性樹脂とを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項7】
請求項6記載の硬化物からなる塗膜を有することを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化物における優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有する樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物の硬化物及び物品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な活性エネルギー線硬化性組成物や、熱により硬化可能な熱硬化性組成物などの硬化性組成物は、インキ、塗料、コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において広く用いられている。なかでも、前記コーティング剤用途としては、一般に、各種基材表面へ意匠性を付与できるとともに、優れた硬化性を有しており、また、基材表面の劣化を防止可能な塗膜を形成できることが求められている。さらに、近年は、得られた硬化物の耐熱性や基材密着性だけでなく優れた弾性を有する材料が産業界から求められている。
【0003】
従来の硬化性樹脂としては、脂肪族構造を有するイソシアネートから合成されたイソシアヌレート型ポリイソシアネートと脂肪族構造を有するトリカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂や、脂肪族構造を有するイソシアネートから合成されたイソシアヌレート型ポリイソシアネートとトリカルボン酸無水物とを反応させて得られるポリアミドイミド樹脂の末端基の酸無水物基をアルコール化合物で変性することにより得られるアルコール変性ポリアミドイミド樹脂等が知られているが(例えば、下記特許文献1及び2参照。)、耐熱性、弾性及び基材密着性においては今後ますます高まる要求特性を満足するものではなく、昨今の市場要求に対し十分なものではなかった。
【0004】
そこで、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた材料が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/107045号
【特許文献2】国際公開第2015/068744号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、硬化物における優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有する樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物及び物品を提供することである。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有する硬化物を形成可能な樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物の硬化物及び物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも1つの酸基記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、少なくとも1つの酸基を有し、アミド結合及び/又はイミド結合を有する樹脂であり、、下記一般式(1)~(6)の何れか1つで表される構造を有するものであることを特徴とする樹脂、これを含有する硬化性樹脂組成物、前記硬化性樹脂組成物からなる硬化物及び物品に関するものである。
【0010】
【化1】
[式(1)~(6)中、Aは、それぞれ独立して、ベンゼン環又は脂環であり、Xは、下記式(x-1)~(x-24)の何れかを表し、Yは、それぞれ独立して、-OR
1又は-NH-X-(Z)
lを表し、nは、0又は1~3の整数であり、mは、0又は1~3の整数であり、n+mは、2又は3である。また、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、前記Zは、下記式(z-1)又は(z-2)を表し、前記lは、1又は2である。なお、式(1)~(6)、(z-1)及び(z-2)中のYの少なくとも1つが-OR
1であり、前記R
1の少なくとも1つが水素原子である。]
【0011】
【化2】
[式(x-1)~(x-24)中、「*」は窒素原子との結合点を示す。]
【0012】
【化3】
[式(z-1)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【0013】
【化4】
[式(z-2)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【発明の効果】
【0014】
本発明の樹脂は、硬化物において優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有することから、絶縁材料及びレジスト部材に好適に用いることができる。なお、本発明において、「優れた弾性」とは、「高弾性」のことを云う。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の樹脂は、少なくとも1つの酸基を有し、アミド結合及び/又はイミド結合を有するものであって、下記一般式(1)~(6)の何れか1つで表される構造を有するものであることを特徴とする。
【0016】
【化5】
[式(1)~(6)中、Aは、それぞれ独立して、ベンゼン環又は脂環であり、Xは、下記式(x-1)~(x-24)の何れかを表し、Yは、それぞれ独立して、-OR
1又は-NH-X-(Z)
lを表し、nは、0又は1~3の整数であり、mは、0又は1~3の整数であり、n+mは、2又は3である。また、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基であり、前記Zは、下記式(z-1)又は(z-2)を表し、前記lは、1又は2である。なお、式(1)~(6)、(z-1)及び(z-2)中のYの少なくとも1つが-OR
1であり、前記R
1の少なくとも1つが水素原子である。]
【0017】
【化6】
[式(x-1)~(x-24)中、「*」は窒素原子との結合点を示す。]
【0018】
【化7】
[式(z-1)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【0019】
【化8】
[式(z-2)中、Aは、ベンゼン環又は脂環であり、Yは、それぞれ独立して、-OR
1を表し、前記R
1は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基である。なお、式(z-1)中、「*」は、Xとの結合点を示す。]
【0020】
前記酸基としては、カルボキシル基を示す。
【0021】
式(1)~(6)中、前記Xとしては、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、(x-1)、(x-2)、(x-3)、(x-4)、(x-8)、(x-9)、(x-10)、(x-13)、(x-14)、(x-15)、(x-16)が好ましく、(x-1)、(x-13)がより好ましい。
【0022】
式(1)~(6)中、前記Yとしては、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、Yの少なくとも2つが-OR1であり、前記R1の少なくとも1つが水素原子であり、少なくとも1つが炭素原子数1~20の炭化水素基であることが好ましい。
【0023】
本発明の樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物及び2官能多塩基酸無水物との反応物(1)と、アルコール化合物とを必須原料とする樹脂(I)、ポリイソシアネート化合物、及び単官能多塩基酸無水物の反応物(2)に、さらに単官能多塩基酸無水物を反応させて得られた反応物(3)と、アルコール化合物を必須原料とする樹脂(II)等が挙げられる。
【0024】
前記樹脂(I)の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。例えば、前記ポリイソシアネート化合物及び前記2官能多塩基酸無水物とを、無触媒又は塩基性触媒の存在下、100~180℃の温度範囲で反応させ、次いで前記アルコール化合物を添加し、塩基性触媒の存在下、80~140℃して製造する方法等が挙げられる。
【0025】
前記塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等を用いることもできる。これらの塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0026】
また、前記樹脂(I)の製造においては、必要に応じて、有機溶剤中で行ってもよく、前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1~5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
【0027】
前記樹脂(II)の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法により製造することができる。例えば、前記ポリイソシアネート化合物と及び前記単官能多塩基酸無水物とを、無触媒又は塩基性触媒の存在下、100~180℃の温度範囲で反応させ、次いで、さらに前記単官能多塩基酸無水物を、無触媒又は塩基性触媒の存在下、100~200℃の温度範囲で反応させ、次いで、前記アルコール化合物を添加し、塩基性触媒の存在下、80~140℃して製造する方法等が挙げられる。
【0028】
前記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0029】
また、前記樹脂(II)の製造においては、必要に応じて、有機溶剤中で行ってもよく、前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0030】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記式(7)で表される繰り返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0031】
【化9】
[式中、R
1はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~6の炭化水素基の何れかである。R
2はそれぞれ独立に炭素原子数1~4のアルキル基、又は構造式(7)で表される構造部位と*印が付されたメチレン基を介して連結する結合点の何れかである。lは0又は1~3の整数であり、mは1~15の整数である。]
【0032】
前記2官能多塩基酸無水物としては、例えば、2官能脂肪族多塩基酸無水物、2官能脂環式多塩基酸無水物等が挙げられる。なお、本発明において、「2官能多塩基酸無水物」とは、酸無水物基を2つ有する多塩基酸無水物を示す。また、本発明において、「脂環式多塩基酸無水物」とは、一分子中に脂環構造を含有する多塩基酸無水物を示す。
【0033】
前記2官能脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物挙げられる。
【0034】
前記2官能脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル-3,4,3’,4’-テトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、オクタヒドロビフェニレン-4a,8b:4b,8a-テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン-2,3,5,6-テトラカルボン酸2,3:5,6-二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等、が挙げられる。これらの2官能脂環式多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物が好ましい。
【0035】
前記2官能多塩基酸無水物の使用量は、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、前記ポリイソシアネート化合物が有するイソシアネート基1モルに対して、0.1~5モルの範囲が好ましく、0.1~3モルの範囲がより好ましく、0.15~1.5モルの範囲が特に好ましい。
【0036】
前記単官能多塩基酸無水物としては、例えば、単官能脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物、芳香族多塩基酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、単官能脂肪族多塩基酸無水物、単官能脂環式多塩基酸無水物が好ましい。なお、本発明において、「単官能多塩基酸無水物」とは、酸無水物基を1つ有する多塩基酸無水物を示す。
【0037】
前記単官能脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。また、前記単官能脂肪族多塩基酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。これらの単官能脂肪族多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0038】
前記単官能脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの単官能脂環式多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0039】
前記単官能芳香族多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。これらの単官能芳香族多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0040】
これらの単官能多塩基酸無水物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの単官能多塩基酸無水物を反応させて2官能多塩基酸無水物として用いることもできる。
【0041】
前記アルコール化合物としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ベンジルアルコール等の炭素原子数が10以下のアルコール;2-メトキシエチルアルコール、2-エトキシエチルアルコール、1-メトキシ-2-プロピルアルコール、1-エトキシ-2-プロピルアルコール、3-メトキシ-1-ブチルアルコール、2-イソプロポキシエチルアルコール等のエーテル結合を含む炭素原子数が10以下のアルコール;3-ヒドロキシ-2-ブタノン等のケトン基を含む炭素原子数が10以下のアルコール;ヒドロキシイソ酪酸メチル等のようなエステル基を含む炭素原子数が10以下のアルコールなどが挙げられる。これらのアルコール化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、炭素原子数10以下の一価アルコールが好ましく、炭素原子数5以下の一価アルコールがより好ましい。
【0042】
前記樹脂(I)及び樹脂(II)の製造においては、必要に応じ原料として前記必須原料以外のその他の化合物を含有することもできる。
【0043】
前記その他の化合物としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0044】
前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンと各種フェノール類とを反応させて得られる各種ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノールのエポキシ化物、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)のエポキシ化物、ナフトールやビナフトールあるいはナフトールやビナフトールのノボラック変性等ナフタレン骨格から誘導されたエポキシ、フルオレン骨格のフェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ樹脂等が挙げられる。また、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1、6-へキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス-(3,4-エポキシビシクロヘキシル)アジペート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物等の環式脂肪族系エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の主鎖にポリアルキレングリコール鎖を含有するエポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のヘテロ環含有エポキシ樹脂も用いることができる。さらに、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4-ヒドロキジブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、5-ヒドロキシ-3-メチルペンチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ラクトン変成(メタ)アクリル酸-3,4-エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等の(メタ)アクリロイル基やビニル基等重合性不飽和二重結合を有するエポキシ化合物の不飽和基を重合させて得られるエポキシ基含有重合系樹脂及びその他の重合性不飽和結合を有するモノマー類との共重合体も用いることができる。これらのエポキシ樹脂は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0045】
前記環式脂肪族系エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ナガセケムテックス株式会社製「デナコールEX-252」、株式会社ダイセル製「EHPE3150」、「EHPE3150CE」等が挙げられる。
【0046】
前記その他の化合物の含有量は、前記原料中に50質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましい。
【0047】
本発明の硬化性樹脂組成物は、前述した樹脂以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、酸基を有する樹脂、硬化性樹脂等が挙げられる。
【0048】
前記酸基を有する樹脂としては、例えば、酸基を有するエポキシ樹脂、酸基を有するウレタン樹脂、酸基を有するアクリル樹脂、酸基を有するアミドイミド樹脂、酸基を有するアクリルアミド樹脂、酸基を有するエステル樹脂等が挙げられる。これらの酸基を有する樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0049】
前記酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。
【0050】
前記硬化性樹脂としては、本発明の樹脂が有する酸基と反応し得る官能基を有するものであり、例えば、1分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂、1分子中に1個以上のマレイミド基を有する化合物、ベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート化合物、シリケート及びアルコキシシラン化合物、(メタ)アクリル系樹脂等が挙げられる。これらの硬化性樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、エポキシ樹脂が好ましい。
【0051】
なお、本発明に記載される上記及び後述の硬化物性の意味は、本発明の樹脂とこれと反応する成分との硬化物以外に本発明の樹脂単独あるいは本発明の樹脂と反応しないその他の樹脂、添加剤、無機材料成分などをも含む単純に溶剤乾燥した塗膜や成形体をも含めた意味を含むものとする。またさらに本発明の樹脂と加熱や光により反応する硬化剤と混合して及び/又は本発明の樹脂と反応しないが添加成分それ自体、熱や光などで硬化せしめた硬化物及びその硬化物性としたものも、その意味の中に含まれるものとする。
【0052】
前記エポキシ樹脂としては、上述のエポキシ樹脂として例示したものと同様のものを用いることができ、前記エポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0053】
前記マレイミド基を有する化合物としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-n-ブチルマレイミド、N-ヘキシルマレイミド、N-tert-ブチルマレイミド等のN-脂肪族マレイミド;N-フェニルマレイミド、N-(P-メチルフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド等のN-芳香族マレイミド;4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4,4’-ジフェニルスルホンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、ビス(3-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタン等のビスマレイミド類などが挙げられる。これらのマレイミド基を有する化合物は単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、ビスマレイミドが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(3,5-ジメチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、ビス(3,5-ジエチル-4-マレイミドフェニル)メタンがより好ましい。
【0054】
前記硬化性樹脂の含有量は、耐熱性、弾性及び基材密着性に優れた硬化物を形成可能な樹脂が得られることから、本発明の樹脂が有する酸基1モルに対して、硬化性樹脂が有する前記酸基と反応し得る官能基のモル数が、0.6~2モルの範囲が好ましく、0.8~1.5モルの範囲がより好ましい。
【0055】
また、本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、硬化促進剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、酸化防止剤、有機溶剤、無機質充填材やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
【0056】
前記硬化促進剤としては、硬化反応を促進するものであり、例えば、リン系化合物、アミン系化合物、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、前記硬化促進剤の添加量は、例えば、前記硬化性樹脂組成物の固形分中に0.01~10質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0057】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-{(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ}-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン誘導体、2-(2’-キサンテンカルボキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-o-ニトロベンジロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-キサンテンカルボキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン、2-o-ニトロベンジロキシ-4-ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0058】
前記重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの重合禁止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0059】
前記酸化防止剤としては、前記重合禁止剤で例示した化合物と同様のものを用いることができ、前記酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0060】
また、前記重合禁止剤、及び前記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80が」等が挙げられる。
【0061】
前記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0062】
前記無機質充填材としては、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、水酸化アルミ等が挙げられる。
【0063】
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0064】
前記無機顔料としては、例えば、白色顔料、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらの無機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0065】
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン,酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛等が挙げられる。
【0066】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0067】
前記難燃剤としては、例えば、赤リン、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム、リン酸アミド等の無機リン化合物;リン酸エステル化合物、ホスホン酸化合物、ホスフィン酸化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスホラン化合物、有機系含窒素リン化合物、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5―ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状有機リン化合物、及びそれをエポキシ樹脂やフェノール樹脂等の化合物と反応させた誘導体等の有機リン化合物;トリアジン化合物、シアヌル酸化合物、イソシアヌル酸化合物、フェノチアジン等の窒素系難燃剤;シリコーンオイル、シリコーンゴム、シリコーン樹脂等のシリコーン系難燃剤;金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属粉、ホウ素化合物、低融点ガラス等の無機難燃剤などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独でも用いることも2種以上を併用することもできる。また、これら難燃剤を用いる場合は、全樹脂組成物中0.1~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0068】
本発明の硬化物は、前記硬化性樹脂組成物を熱することで得ることができる。
【0069】
熱で硬化させる方法としては、例えば、熱重合を開始させる触媒や、添加剤の存在下で、硬化温度80℃~300℃の範囲、好ましくは120℃~250℃の範囲で行う方法が挙げられる。なお、被塗装物に塗装、キャスティング等施した後に、加熱により硬化させてもよく、また、各種温度でのステップ硬化を行っても良い。さらに、50℃~170℃程度の温度で半硬化させたシート状あるいは塗膜状の組成物を貯蔵して、必要な時に上述の硬化温度にて処理を施してもよい。
【0070】
本発明の物品は、前記硬化物からなる塗膜を有するものである。前記物品としては、例えば、携帯電話、家電製品、自動車内外装材、OA機器等のプラスチック成形品や、半導体デバイス、表示デバイス、撮像デバイスなどが挙げられる。
【実施例0071】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、以下に挙げた実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1:樹脂(1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート651質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)244質量部、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物250質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.1質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、140℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認し、中間体であるアミドイミド樹脂(A1)を得た。このアミドイミド樹脂(A1)にn-ブタノール43質量部、トリフェニルホスフィン1.4質量部を添加し、110℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(1)を得た。この樹脂(1)の不揮発分は42質量%で固形分酸価は140mgKOH/gであった。なお、前記酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定した値である。なお、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体が有するイソシアネート基1モルに対する5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のモル数は、1.03モルであった。
【0073】
(実施例2:樹脂(2)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、アミドイミド樹脂(A1)1086質量部に2-エチルヘキサノール76質量部、トリフェニルホスフィン1.5質量部を添加し、窒素雰囲気下、110℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(2)を得た。この樹脂(2)の不揮発分は44質量%で固形分酸価は129mgKOH/gであった。
【0074】
(実施例3:樹脂(3)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート607質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)244質量部、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物204質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.0質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、140℃で15時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認し、中間体であるアミドイミド樹脂(A2)を得た。このアミドイミド樹脂(A2)にn-ブタノール43質量部、トリフェニルホスフィン1.4質量部を添加し、110℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(3)を得た。この樹脂(3)の不揮発分は42質量%で固形分酸価は164mgKOH/gであった。なお、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体が有するイソシアネート基1モルに対する1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物のモル数は、1.03モルであった。
【0075】
(実施例4:樹脂(4)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、アミドイミド樹脂(A2)1012質量部に2-エチルヘキサノール70質量部、トリフェニルホスフィン1.4質量部を添加し、窒素雰囲気下、110℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(4)を得た。この樹脂(4)の不揮発分は44質量%で固形分酸価は141mgKOH/gであった。
【0076】
(実施例5:樹脂(5)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート473質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)244質量部、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸171質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.1質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、140℃で42時間反応させた。次いで、無水マレイン酸202質量部添加し、200℃で5時間反応させた後、減圧して未反応の無水マレイン酸を回収し、アミドイミド樹脂(A3)を得た。アミドイミド樹脂(A3)1000質量部にn-ブタノール40質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート40質量部を添加し、110℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(5)を得た。この樹脂(5)の不揮発分は50質量%で固形分酸価は108mgKOH/gであった。
【0077】
(実施例6:樹脂(6)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、アミドイミド樹脂(A1)1086質量部にn-ブタノール43質量部、トリフェニルホスフィン1.4質量部を添加し、窒素雰囲気下、110℃で5時間反応させ、次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート126質量部、フェニルグリシジルエーテル41質量部を添加し、120℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(6)を得た。この樹脂(6)の不揮発分は40質量%で固形分酸価は100mgKOH/gであった。
【0078】
(実施例7:樹脂(7)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート460質量部、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物無水物74質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、無水トリメリット酸144質量部、n-ブタノール24質量部及びトリフェニルホスフィン0.7質量部を加えて、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させた。次いで、イソホロンジイソシアネート222質量部を加えて、140℃で12時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、n-ブタノール11質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート14質量部を添加し、110℃で4時間反応させて、目的とする樹脂(7)を得た。この樹脂(7)の不揮発分は45質量%であり、固形分酸価は118mgKOH/gであった。なお、イソホロンジイソシアネートが有するイソシアネート基1モルに対する1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物無水物のモル数は、0.19モルであった。
【0079】
(実施例8:樹脂(8)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート460質量部、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物無水物74質量部、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、無水トリメリット酸144質量部、n-ブタノール24質量部及びトリフェニルホスフィン0.7質量部を加えて、窒素雰囲気下、120℃で5時間反応させた。次いで、イソホロンジイソシアネート222質量部を加えて、140℃で12時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、n-ブタノール11質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート29質量部を添加し、110℃で4時間反応させた。次いで、フェニルグリシジルエーテル13質量部を添加し、110℃で4時間反応させ、目的とする樹脂(8)を得た。この樹脂(8)の不揮発分は45質量%であり、固形分酸価は102mgKOH/gであった。なお、イソホロンジイソシアネートが有するイソシアネート基1モルに対する1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物無水物のモル数は、0.19モルであった。
【0080】
(実施例9:樹脂(9)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート820質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)244質量部、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物363質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.4質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、140℃で10時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、n-ブタノール126質量部、トリフェニルホスフィン2.1質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。次いで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート69質量部、フェニルグリシジルエーテル54質量部を添加し、120℃で5時間反応させ、目的とする樹脂(9)を得た。この樹脂(9)の不揮発分は45質量%で固形分酸価は140mgKOH/gであった。なお、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体が有するイソシアネート基1モルに対する5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物のモル数は、1.5モルであった。
【0081】
(比較例1:樹脂(R1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコにジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート276質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)146質量部及びシクロヘキサン-1,3,4-トリカルボン酸-3,4-無水物125質量部を加え、窒素雰囲気下140℃で4時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、n-ブタノール25質量部を加え、120℃にて2時間反応させ、樹脂(R1)を得た。この樹脂(R1)の不揮発分は50質量%で固形分酸価は162mgKOH/gであった。
【0082】
(実施例10:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
実施例1で得た不揮発分42質量%の樹脂(1)100質量部(固形分として42質量部)と、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)22.2質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート12質量部と、熱硬化触媒としてイミダゾール1.28質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0083】
(実施例11~19:硬化性樹脂組成物(2)~(10)の調製)
表1に示す配合比率で実施例10と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(2)~(10)を得た。
【0084】
(比較例2:硬化性樹脂組成物(R1)の調製)
比較例1で得た不揮発分50質量%の樹脂(R1)100質量部(固形分として50質量部)と、エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)30.6質量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート16.5質量部と、熱硬化触媒としてイミダゾール1.61質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(R1)を得た。
【0085】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0086】
[耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に膜厚50μmとなるように塗布し、180℃で2時間加熱し、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜を銅箔から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0087】
[密着性の評価方法]
密着性の評価は、ピール強度の測定により行った。
<試験片の作製>
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、180℃で2時間加熱し、試験片を得た。
【0088】
<ピール強度の測定方法>
前記試験片を幅1cm、長さ12cmの大きさに切り出し、剥離試験機(株式会社A&D製「A&Dテンシロン」、剥離速度50mm/分)を用いて90°ピール強度を測定した。
【0089】
実施例10~19で作製した硬化性樹脂組成物(1)~(10)、並びに比較例2で作製した硬化性樹脂組成物(R2)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0090】
【0091】
なお、表1における樹脂の質量部の記載は、固形分値である。
【0092】
表1中の「エポキシ樹脂」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)を示す。
【0093】
表1及び2中の「有機溶剤」は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。
【0094】
表1に示した実施例10~19は、少なくとも1つの酸基を有し、アミド結合及び/又はイミド結合を有する樹脂であり、一般式(1)~(6)の何れか1つで表される構造を有するもの樹脂を用いた例である。本発明の樹脂を含有した硬化性樹脂組成物の硬化物は、優れた耐熱性、弾性及び基材密着性を有することが確認できた。
【0095】
一方、比較例2は、一般式(1)~(6)で表される構造の何れも有しない樹脂を用いた例である。この硬化性樹脂組成物の硬化物は、耐熱性、弾性及び基材密着性が著しく不十分であることが確認できた。