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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178902
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/04 20060101AFI20221125BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20221125BHJP
   G02B 23/26 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
A61B1/04 530
G02B23/24 B
G02B23/24 A
G02B23/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086018
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】坂本 利男
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040DA12
2H040DA17
2H040GA02
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161JJ12
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP08
4C161PP10
(57)【要約】
【課題】同軸ケーブルを有する内視鏡において、挿入部をより小型化できる内視鏡を提供する。
【解決手段】被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡であって、挿入部内で配線される1以上の同軸ケーブル、および、1以上の同軸ケーブルの外周を覆う一括シールドを備えるケーブルを有し、同軸ケーブルの同軸シールドと、一括シールドとが、一括シールドの内側でハンダ接合されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡であって、
前記挿入部内で配線される1以上の同軸ケーブル、および、前記1以上の同軸ケーブルの外周を覆う一括シールドを備えるケーブルを有し、
前記同軸ケーブルの同軸シールドと、前記一括シールドとが、前記一括シールドの内側でハンダ接合されている、内視鏡。
【請求項2】
撮像面に入射した光を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子が実装される回路基板と、を有し、
前記一括シールドは、前記回路基板の接地端子に接続されている、請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記同軸ケーブルは、外被の色と、芯線を覆う芯線被覆とが同じである、請求項1または2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記撮像素子の前記撮像面に光を結像させるレンズと、
前記レンズを保持する鏡胴と、
前記鏡胴を保持するセンサホルダと、
前記センサホルダに対して、前記ケーブルを保持するアンカーと、を有する請求項2または3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記アンカーは、基端側に、前記ケーブルをカシメる保持部を有する、請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記アンカーの前記保持部の断面形状が三角形状である、請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記アンカーの前記保持部は、前記一括シールドにハンダ接合されている、請求項5または6に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部の先端部に搭載される撮像装置は、一般に、撮像素子(イメージセンサ)と、撮像素子が実装される回路基板とを備え、挿入部に挿通された複数のケーブルが回路基板に接続される。
【0003】
撮像素子からの信号を伝送するケーブルとしては、ノイズを抑制するために、芯線を覆う同軸シールドを有する同軸ケーブルが用いられている。また、複数の同軸ケーブルの外周を覆う一括シールドを有する構成として、ノイズをさらに抑制することも行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、挿入部と、挿入部の先端に配置される回路基板と、互いに結束される複数本の単線ケーブルと、複数本の単線ケーブルとともに互いに結束される複数本の同軸ケーブルと、互いに結束された複数本の単線ケーブルと複数本の同軸ケーブルとの周囲を覆う束線シールドと、束線シールドの周囲を覆う束線被覆とを備え、挿入部内に配置されて、回路基板に接続される束線ケーブルと、回路基板の単線接続端子形成領域に設けられ、複数本の単線ケーブルの芯線が個別に接続される複数個の単線接続端子と、回路基板の同軸芯線接続端子形成領域に設けられ、複数本の同軸ケーブルの芯線が個別に接続される複数個の同軸芯線接続端子と、回路基板の同軸シールド接続端子形成領域に設けられ、複数本の同軸ケーブルのシールドが接続される同軸シールド接続端子と、回路基板の束線シールド接続端子形成領域に設けられ、束線シールドが接続される束線シールド接続端子と、を備え、単線接続端子形成領域と、同軸芯線接続端子形成領域と、同軸シールド接続端子形成領域と、束線シールド接続端子形成領域とが、同一平面の同一直線上に所定の間隔をもって縦列して配置される内視鏡が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-013666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内視鏡の挿入部はさらなる小型化が求められている。しかしながら、同軸ケーブルは、芯線と同軸シールドの両方を回路基板の接続端子に接続しなければならない。そのため、同軸ケーブルの数を増やすと、回路基板上に形成される接続端子の数も増え、小型化が阻害されるという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、このような問題点を解決することにあり、同軸ケーブルを有する内視鏡において、挿入部をより小型化できる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の構成によって課題を解決する。
[1] 被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡であって、
挿入部内で配線される1以上の同軸ケーブル、および、1以上の同軸ケーブルの外周を覆う一括シールドを備えるケーブルを有し、
同軸ケーブルの同軸シールドと、一括シールドとが、一括シールドの内側でハンダ接合されている、内視鏡。
[2] 撮像面に入射した光を光電変換する撮像素子と、
撮像素子が実装される回路基板と、を有し、
一括シールドは、回路基板の接地端子に接続されている、[1]に記載の内視鏡。
[3] 同軸ケーブルは、外被の色と、芯線を覆う芯線被覆とが同じである、[1]または[2]に記載の内視鏡。
[4] 撮像素子の撮像面に光を結像させるレンズと、
レンズを保持する鏡胴と、
鏡胴を保持するセンサホルダと、
センサホルダに対して、ケーブルを保持するアンカーと、を有する[2]または[3]に記載の内視鏡。
[5] アンカーは、基端側に、ケーブルをカシメる保持部を有する、[4]に記載の内視鏡。
[6] アンカーの保持部の断面形状が三角形状である、[5]に記載の内視鏡。
[7] アンカーの保持部は、一括シールドにハンダ接合されている、[5]または[6]に記載の内視鏡。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同軸ケーブルを有する内視鏡において、挿入部をより小型化できる内視鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の内視鏡を用いる内視鏡システムの一例を概念的に示す図である。
図2】本発明の内視鏡が有する撮像装置の一例を概念的に示す斜視図である。
図3図2においてアンカーを除いた状態を示す斜視図である。
図4】ケーブルの先端部を拡大して示す概念図である。
図5】アンカーの保持部を概念的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の内視鏡の実施形態について、図面に基づいて説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。本明細書の図面において、視認しやすくするために各部の縮尺を適宜変更して示している。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
[内視鏡]
本発明の内視鏡は、
被検体内に挿入される挿入部を備えた内視鏡であって、
挿入部内で配線される1以上の同軸ケーブル、および、1以上の同軸ケーブルの外周を覆う一括シールドを備えるケーブルを有し、
同軸ケーブルの同軸シールドと、一括シールドとが、一括シールドの内側でハンダ接合されている、内視鏡である。
【0013】
図1に、本発明の内視鏡を有する内視鏡システムの一例を概念的に示す。
【0014】
内視鏡システム1は、内視鏡2と、光源ユニット3と、プロセッサユニット4とを備える。
【0015】
内視鏡2は、被検体内に挿入される挿入部と、挿入部に連なる操作部と、操作部から延びるユニバーサルコードとを有し、挿入部は、先端部と、先端部に連なる湾曲部と、湾曲部と操作部とを繋ぐ軟性部とで構成されている。
【0016】
先端部には、観察部位を照明するための照明光を出射する照明光学系、観察部位を撮像する撮像装置及び撮像光学系などが設けられている。湾曲部は挿入部の長手軸と直交する方向に湾曲可能に構成されており、湾曲部の湾曲動作は操作部にて操作される。また、軟性部は、挿入部の挿入経路の形状に倣って変形可能な程に比較的柔軟に構成されている。
【0017】
操作部には、先端部の撮像装置の撮像動作を操作するボタン、湾曲部の湾曲動作を操作するノブなどが設けられている。また、操作部には、電気メスなどの処置具が導入される導入口が設けられており、挿入部の内部には、導入口から先端部に達し、鉗子等の処置具が挿通される処置具チャンネルが設けられている。
【0018】
ユニバーサルコードの末端にはコネクタが設けられ、内視鏡2は、コネクタを介して、先端部の照明光学系から出射される照明光を生成する光源ユニット3、及び先端部の撮像装置によって取得される映像信号を処理するプロセッサユニット4と接続される。
【0019】
プロセッサユニット4は、撮像装置の撮像素子で光電変換された映像信号が入力され、入力された映像信号を処理して観察部位の映像データを生成し、生成した映像データをモニタに表示させ、また記録する。なお、プロセッサユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等のプロセッサによって構成されるものであっても良い。
【0020】
光源ユニット3は、内視鏡2の撮像装置によって体腔内の観察対象部位を撮像して画像信号を取得するために、赤光(R)、緑光(G)、及び青光(B)等の3原色光からなる白色光や特定波長光等の照明光を、発生させて、内視鏡2に供給し、内視鏡2内のライトガイド等によって伝搬し、内視鏡2の挿入部の先端部の照明光学系から出射して、体腔内の観察対象部位を照明するためのものである。
【0021】
挿入部及び操作部並びにユニバーサルコードの内部にはライトガイドおよび電線群(信号ケーブル)等が収容されている。光源ユニット3にて生成された照明光がライトガイドを介して先端部の照明光学系に導光され、また、先端部の撮像装置とプロセッサユニット4との間で信号および/または電力が電線群(ケーブル)を介して伝送される。
【0022】
また、内視鏡システム1は、更に、洗浄水等を貯留する送水タンク、体腔内の吸引物(供給された洗浄水等も含む)を吸引する吸引ポンプ等を備えていてもよい。更に、送水タンク内の洗浄水、又は外部の空気等の気体を内視鏡内の管路(図示せず)に供給する供給ポンプ等を備えていても良い。
【0023】
図2に、本発明の内視鏡が有する撮像装置の一例を模式的に表す斜視図を示す。図3には、図2においてアンカーを除いた状態の斜視図を示す。
【0024】
図2図3に示す撮像装置10は、レンズ(図示せず)、レンズを保持する鏡胴14、撮像素子16、カバーガラス17、光学部材18、センサホルダ20、回路基板22、アンカー40、および、ケーブル32を有する。
【0025】
レンズは、入射する光を撮像素子16の撮像面に結像する光学系である。レンズは鏡胴14に保持される。
【0026】
鏡胴14は、筒状の部材であり、1以上のレンズを保持するものである。鏡胴14は、レンズの光軸が光学部材18のレンズと対面する面に垂直になるように、レンズを保持する。
【0027】
レンズおよび鏡胴14の構成は特に制限されない。例えば、レンズを1つ有する構成であってもよいし、2つ、あるいは、4つ以上のレンズを有する構成でもよい。また、各レンズは、凸レンズであっても凹レンズであってもよい。
【0028】
撮像素子16は、レンズによって撮像素子16の撮像面に結像された光を光電変換によって電気信号に変換することで撮像を行う素子である。撮像素子16は、CCD(Charge-Coupled Device)センサー、CMOS(Complementary MOS)センサー等の従来公知の素子である。
【0029】
撮像素子16は、鏡胴14よりも内視鏡の基端側に配置されている。また、図示例では、撮像素子16は、撮像面がレンズの光軸に垂直になるように回路基板22上に実装されている。
【0030】
カバーガラス17は、撮像素子16の撮像面上に配置され、撮像面を保護するものである。カバーガラス17は、平面視における大きさが撮像素子16の撮像面の大きさと略同じである。カバーガラス17は、撮像素子16の撮像面の全面に接着固定されている。
【0031】
カバーガラス17の、撮像素子16とは反対側の面(入射面)には光学部材18が配置される。なお、本発明においては、カバーガラス17を有さない構成としてもよい。その場合は、撮像素子16の撮像面上に光学部材18が配置される。
【0032】
回路基板22は、撮像素子16を実装する基板である。また、回路基板22には、撮像素子16以外の電子部品が実装されていてもよい。また、回路基板22には、撮像素子16および電子部品に対する信号または電力が入出力される複数の接続端子が設けられている。接続端子には、ケーブル32が有する各同軸ケーブルが電気的に接続される。
【0033】
図示例において、回路基板22は、板状の部材を2か所で湾曲させた形状を有する。具体的には、回路基板22は、レンズの光軸方向(以下、軸方向ともいう)の2箇所に、軸方向と直交する方向を軸として湾曲させた湾曲部を有する。回路基板22の先端側は、その表面が軸方向に垂直になるように配置されており、軸方向に垂直な表面をレンズ(鏡胴14)側に向けて配置される。軸方向に垂直な表面のレンズ側には、撮像素子16が実装されている。
【0034】
回路基板22は、内視鏡の撮像装置に用いられる従来公知の回路基板である。回路基板22は、可撓性を有するフレキシブル基板であってもよい。フレキシブル基板としても、特に制限はなく、従来公知のフレキシブル基板を用いることができる。一例として、フレキシブル基板は、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂材料からなるベースフィルム上に銅箔等からなる回路を形成したものである。
【0035】
図示例においては、回路基板22は、2箇所で折り曲げられた形状を有するものとしたがこれに限定はされず、折り曲げ箇所の無いものであってもよいし、あるいは、回路基板22は、1箇所、あるいは、3箇所以上で折り曲げられた形状であってもよい。また、折り曲げ位置は、図3に示す例には限定されない。
【0036】
また、回路基板22上における撮像素子16、電子部品、および、接続端子等の配置には特に制限はない。図3に示す例においては、回路基板22の先端側の部位に撮像素子16が実装され、基端側の部位に同軸ケーブル33~36の各芯線が接続される4つの接続端子27~30、および、ケーブル32の一括シールド32aが接続される接地用の接続端子(以下、接地端子)26が配置されている。
【0037】
回路基板22(の回路)と撮像素子16とは、1以上の半田ボール、異方性導電膜(ACF)等を介して電気的に接続さる構成であってもよい。また、撮像素子16と回路基板22とが半田ボールで接続される構成の場合には、撮像素子16と回路基板22との間の空間の半田ボールが無い部分にアンダーフィルが充填されていてもよい。
【0038】
半田ボールとしては、内視鏡の撮像装置において、センサーと基板とを電気的に接続するために用いられる従来公知の半田ボールが適宜利用可能である。例えば、半田ボールの材料としては、Sn-Ag-Cu系合金用いることができる。
【0039】
アンダーフィルとしては、内視鏡の撮像装置において、アンダーフィルとして用いられる、従来公知のアンダーフィルが適宜利用可能である。例えば、アンダーフィルとしては、エポキシ樹脂等の樹脂材料を用いることができる。
【0040】
回路基板22には、ケーブル32が接続される。図3に示す例では、ケーブル32は、4本の同軸ケーブル33~36と、4本の同軸ケーブル33~36をまとめて外周を覆うチューブ状の一括シールド32aと、一括シールド32aの外周を覆うチューブ状の外被32bと、を有する。一括シールド32aは、複数本のシールド線をチューブ状に編んで構成される。外被32bは絶縁物で構成される。一括シールド32aは先端部が外被32bから露出している。
【0041】
同軸ケーブル33~36は、それぞれ、芯線(33c~36c)と、芯線の周囲を覆うチューブ状の芯線被覆(33d~36d)と、芯線被覆の周囲を覆うチューブ状の同軸シールド(33a~36a)と、同軸シールドの周囲を覆うチューブ状の同軸外被(33b~36b)と、を有する。芯線は、導線で構成される。同軸シールドは、複数本のシールド線をチューブ状に編んで構成される。芯線被覆および同軸外被は、絶縁物で構成される。各同軸ケーブル33~36において、芯線(33c~36c)は、先端部が芯線被覆(33d~36d)から露出しており、芯線被覆(33d~36d)は、先端部が同軸シールド(33a~36a)から露出しており、同軸シールド(33a~36a)は、先端部が同軸外被(33b~36b)から露出している。
【0042】
図3に示すように、各同軸ケーブル(33~36)の芯線(33c~36c)は、回路基板22上の接続端子(27~30)にそれぞれ接続されている。また、一括シールド32aは、回路基板22上の接地端子26に接続されている。
【0043】
ここで、本発明においては、同軸ケーブルの同軸シールドと、一括シールド32aとが、一括シールド32aの内側でハンダ接合されている。
【0044】
図4に、ケーブル32の先端部を拡大して表す概念図を示す。図4においては、一括シールド32aを断面で表している。
【0045】
図4に示すように、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)を先端部で撚り線にして、各撚り線を、チューブ状の一括シールド32aの内側面のハンダ接合部38の位置でハンダ接合している。
【0046】
各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)は、一括シールド32aの内側面で一括シールド32aにハンダ接合されているため、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)の同軸外被(33b~36b)から露出している先端部は、一括シールド32aに覆われており、露出していない。また、同軸外被(33b~36b)も一括シールド32aに覆われており、露出していない。芯線被覆(33d~36d)は、一部が一括シールド32aに覆われているが、先端部の一部が一括シールド32aから露出している。
【0047】
前述のとおり、内視鏡の挿入部はさらなる小型化が求められているが、同軸ケーブルは、芯線と同軸シールドの両方を回路基板の接続端子に接続しなければならないため、同軸ケーブルの数を増やすと、回路基板上に形成される接続端子の数も増え、小型化が阻害されるという問題があった。
【0048】
これに対して、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)を、一括シールド32aの内側面で一括シールド32aにハンダ接合する構成とすることで、一括シールド32aを回路基板22上の接地端子26に接続することで、各同軸シールド(33a~36a)も接地端子26に電気的に接続することができる。これにより、同軸ケーブルの数が多い場合でも、回路基板22は、1つの接地端子26を有していればよく、接続端子の数を増やす必要がないため、小型化が可能になる。また、1回の接続で複数のシールドを接地端子に接続できるため作製が容易になる。
【0049】
ここで、図4に示す例においては、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)の撚り線をまとめて一か所で一括シールド32aにハンダ接合する構成としたがこれに限定はされず、同軸シールド(33a~36a)の撚り線をそれぞれ別の位置で一括シールド32aの内側面にハンダ接合する構成としてもよい。
【0050】
また、図4に示す例では、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)の先端側を撚り線にして一括シールド32aにハンダ接合する構成としたがこれに限定はされず、網線の状態のまま一括シールド32aにハンダ接合する構成としてもよい。
【0051】
各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)を一括シールド32aの内側面で一括シールド32aにハンダ接合する方法としては特に制限はない。例えば、一括シールド32aを一旦裏返して一括シールド32aの内側面を露出させた状態にして、各同軸ケーブル(33~36)の同軸シールド(33a~36a)を一括シールド32aの内側面にハンダ接合して、一括シールド32aを元の状態に戻すことで、同軸シールド(33a~36a)を一括シールド32aの内側面にハンダ接合することができる。
【0052】
なお、図示例においては、ケーブル32は、4本の同軸ケーブルを有する構成としたがこれに限定はされない。ケーブル32は、1本~3本の同軸ケーブルを有するものであってもよいし、5本以上の同軸ケーブルを有するものであってもよい。また、ケーブル32は、同軸ケーブルを少なくとも1本有していれば他のケーブルを有していてもよい。例えば、ケーブル32は、内部導体と、内部導体の外周を覆うシースとからなる単軸ケーブルを有していてもよい。
【0053】
また、複数の同軸ケーブルを有する場合には、少なくとも1つの同軸ケーブルの同軸シールドが一括シールドに接合されていればよい。回路構成によっては、一部の同軸ケーブルの同軸シールドは回路基板等の他の部材に接合したり、何にも接合しない場合もある。
【0054】
また、同軸ケーブル(33~36)はそれぞれ、同軸外被(33b~36b)の色と、芯線被覆(33d~36d)の色が同じであることが好ましい。一般に、複数の同軸ケーブルを有する場合には、各同軸ケーブルの同軸外被は、識別するために異なる色にされている。一方で、芯線を被覆する芯線被覆の色は各同軸ケーブルで同じである場合がある。上述のとおり、同軸シールド(33a~36a)を一括シールド32aの内側面にハンダ接合する本発明においては、同軸ケーブル(33~36)の同軸外被(33b~36b)は、一括シールド32aに覆われる。そのため、同軸ケーブルの同軸外被の色を識別しにくくなる。そのため、各同軸ケーブル(33~36)の同軸外被(33b~36b)の色と、芯線被覆(33d~36d)の色とを同じにすることで、芯線被覆(33d~36d)の色で同軸ケーブル(33~36)を識別しやすくすることができ、間違いを防止できる。
【0055】
光学部材18は、鏡胴14と撮像素子16(カバーガラス17)との間に配置される。光学部材18は、鏡胴14に保持されたレンズを通過した光を撮像素子16の撮像面に導くものである。光学部材18は、光の入射面および出射面が軸方向に垂直に配置されている。光学部材18は、単に光を透過させるものであってもよく、あるいは、光を集光する効果を有するものであてもよい。光学部材18が光を集光する効果を有することで、レンズと撮像素子16との距離をより近くすることができ、小型化することができる。
【0056】
センサホルダ20は、鏡胴14と光学部材18とを保持する部材である。センサホルダ20は、略筒状の部材であり、筒部の内部に鏡胴14を嵌入されて、鏡胴14を保持する。センサホルダ20の内面と鏡胴14の外周面とは接着固定される。
【0057】
センサホルダ20と鏡胴14とを接着する接着剤としては、従来の内視鏡で用いられている種々の公知の接着剤を用いることができる。この点は、他の部材同士を接着する接着剤についても同様である。
【0058】
センサホルダ20は、筒部の基端側の端面に、多角形状のフランジ部20aを有する。また、フランジ部20aの基端側の面には、フランジ部20aから基端側に立設する2つの位置決め羽20bを有する。図3に示す例では、2つの位置決め羽20bは、回路基板22の幅方向に離間して対面するように配置されている。2つの位置決め羽20bの間の間隔は、光学部材18の幅と略同じである。このようなセンサホルダ20のフランジ部20aの2つの位置決め羽20bの間には、光学部材18の入射面が当接される。光学部材18は、フランジ部20aおよび2つの位置決め羽20bによって位置決めされる。
【0059】
センサホルダ20は、鏡胴14および光学部材18を所定の位置に保持することで、鏡胴14と光学部材18との相対位置、すなわち、鏡胴14と撮像素子16との相対位置を固定する。
【0060】
ここで、鏡胴14は、レンズの光軸方向における、センサホルダ20に対する相対位置を、撮像素子16の撮像面にピントが合うように調整されて、センサホルダ20に接着固定される。
【0061】
アンカー40は、センサホルダ20に対して、ケーブル32を保持するものである。図示例においては、アンカー40は、光軸方向に延在する2枚の板状部40cを有し、各板状部40cの先端側にアーム部40aを有する。アーム部40aは、センサホルダ20の位置決め羽20bの外側の面(2つの位置決め羽20bが対面する面とは反対側の面)に接着されている。また、2枚の板状部40cは、回路基板22の幅方向に離間して、回路基板22を挟んで対面するように配置されている。
【0062】
また、アンカー40は、基端側に2枚の板状部40cを連結するとともに、ケーブル32を保持する保持部40eを有する。保持部40eは、ケーブル32を押圧するようにカシメられてケーブル32を保持する。
【0063】
図5に保持部40eの位置における断面図を示す。図2図3および図5に示す例では、保持部40eは、断面形状が略三角形状に形成されており、略三角形状の内側でケーブル32を押圧して、ケーブル32を保持している。すなわち、保持部40eは、軸方向と直交する方向に、板状部40cよりも外側に突出する部位を有し、この部位を、ケーブル32が配置される側に向けて折り曲げることで、略三角形状に形成されて、ケーブル32を保持する。
【0064】
また、保持部40eは、少なくとも一部がケーブル32の一括シールド32aに接することが好ましい。保持部40eが一括シールド32aに接する構成とすることで、アンカー40を接地することができ、アンカー40の内側に配置される撮像素子16および電子部品等のノイズをより低減することができる。従って、軸方向における、アンカー40の保持部40eの位置と、回路基板22の接地端子26が配置される位置とは、重複することが好ましい。
【0065】
なお、保持部40eの形状は、ケーブル32を保持できる形状であれば、上記例に限定はされない。例えば、保持部40eは、ケーブル32の外皮に沿って曲げられる形状であってもよい。ここで、上述のとおり、保持部40eが一括シールド32aに接する構成とする場合には、回路基板22の一部が保持部40e内に配置されることになる。この場合に、保持部40eをケーブル32の外皮に沿って曲げると、保持部40eの湾曲によって回路基板22が曲げられてしまい、破損してしまうおそれがある。これに対して、保持部40eの形状を図5に示すような略三角形状とすることで、回路基板22が配置されるスペースを確保しつつ、保持部40eでケーブル32を保持することができる。
【0066】
アンカー40の保持部40eとケーブル32との接合部は、接着剤等で接着されていてもよい。ここで、保持部40eと一括シールド32aとは、ハンダ接合されていることが好ましい。これにより、保持部40eと一括シールド32aとの電気的接続をより確実にすることができる。また、アンカー40と一括シールド32aとを直接、電気的に接続することで、他の部材を介して接続する場合に比べてより低抵抗にすることができ、ノイズ耐性をより向上することができる。
【0067】
アンカー40の2つの板状部40cの先端側のアーム部40aはそれぞれ、センサホルダ20のフランジ部20aの位置決め羽20bの外側面に当接するように配置され、接着剤で固定される。図示例においては、アーム部40aは、先端に凹部を有しており、この凹部に接着剤を充填することで位置決め羽20bと接着固定される。
【0068】
なお、アンカー40とセンサホルダ20とを固定する方法は上記例に限定はされない。例えば、アンカー40のアーム部40aの先端が内側に向かって湾曲した爪部を有する構成として、この爪部がセンサホルダ20のフランジ部20aに係合する構成としてアンカー40とセンサホルダ20とを固定してもよい。あるいは、アンカー40のアーム部40aの先端に凸部または凹部を有し、センサホルダ20のフランジ部20aに凹部または凸部を有する構成とし、凸部と凹部とが係合するものであってもよい。
【0069】
このように、アンカー40は、センサホルダ20およびケーブル32それぞれに接続されることで、ケーブル32が引っ張られた際などに、回路基板22上の接続端子と信号線との接続箇所が引っ張られて、接続端子と信号線との接続が断線することを防止することができる。
【0070】
アンカー40を形成する材料としては特に限定はなく、内視鏡の撮像モジュールを構成する部品として利用される各種の樹脂材料および金属材料を用いることができる。放熱性および耐ノイズ性の観点から金属材料が好ましい。加工性、入手性、強度等を考慮すると、アンカー40としては、ステンレス鋼、および、銅合金が好ましい。
【0071】
以上、本発明の内視鏡について詳細に説明したが、本発明は上記の態様に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々、改良や変更を行ってもよい。
【0072】
例えば、アンカー40と回路基板22とで囲まれる空間には、接着剤等の充填剤が充填されていてもよい。また、アンカー40の2つの板状部40cの側面に架け渡されるように配置される板状のカバー部材を有する構成としてもよい。
【0073】
また、上述した例では、撮像素子16の撮像面がレンズの光軸方向に垂直になるように配置される構成としたが、撮像素子16の撮像面がレンズの光軸方向に平行になるように配置される構成としてもよい。この場合、撮像素子16(カバーガラス17)とレンズ(鏡胴14)との間に配置される光学部材として、光を90°屈曲させるプリズムを用いればよい。
【符号の説明】
【0074】
1 内視鏡システム
2 内視鏡
3 光源ユニット
4 プロセッサユニット
10 撮像装置
14 鏡胴
16 撮像素子
17 カバーガラス
18 光学部材
20 センサホルダ
20a フランジ部
20b 位置決め羽
22 回路基板
26 接地端子
27~30 接続端子
32 ケーブル
32a 一括シールド
32b 外被
33~36 同軸ケーブル
33a~36a 同軸シールド
33b~36b 同軸外被
33c~36c 芯線
33d~36d 芯線被覆
38 ハンダ接合部
40 アンカー
40a アーム部
40c 板状部
40e 保持部
図1
図2
図3
図4
図5