(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178915
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】エキスパンド方法及びエキスパンド装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20221125BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L21/78 W
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086044
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 曄
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA31
5F063DD70
5F063DD71
5F063DD74
5F131AA02
5F131BA52
5F131CA09
5F131EB01
5F131EC33
5F131EC68
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】テープがフレームから剥離することを抑制することができること。
【解決手段】エキスパンド方法は、挟持部材でテープを挟持するとともに挟持部材を互いに離反させることでテープをエキスパンドするエキスパンドステップ1001と、開口を有したフレームをテープに貼着し、テープをフレームに沿って切断するフレームマウントステップ1005と、を備え、エキスパンドステップ1001を実施した後、フレームマウントステップ1005を実施する前に、テープを挟持部材で挟持してエキスパンドした状態で、フレームの開口の内側に対応するテープの領域を吸引保持する吸引保持ステップ1002と、吸引保持ステップ1002を実施した後、フレームマウントステップ1005を実施する前に、挟持部材を互いに近接移動させることでテープの領域の拡張は維持しつつ領域の外側の拡張を解除する外側拡張解除ステップ1003と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが貼着されたテープをエキスパンドするエキスパンド方法であって、
ワークを挟んで対向する挟持部材で該テープを挟持するとともに該挟持部材を互いに離反させることで該テープをエキスパンドするエキスパンドステップと、
該エキスパンドステップを実施した後、内部に該ワークを収容できる直径の開口を有したフレームを該テープに貼着して該開口内に該ワークを収容し、該テープを該フレームに沿って切断して該ワークと該ワークが貼着された該テープと該テープが貼着された該フレームとからなるフレームユニットを形成するフレームマウントステップと、を備え、
該エキスパンドステップを実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該テープを該挟持部材で挟持してエキスパンドした状態で、該フレームマウントステップで貼着する該フレームの該開口の内側に対応する該テープの領域を吸引保持して該領域の拡張を維持する吸引保持ステップと、
該吸引保持ステップを実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該挟持部材を互いに近接移動させることで該テープの該領域の拡張は維持しつつ該領域の外側の拡張を解除する外側拡張解除ステップと、を備えるエキスパンド方法。
【請求項2】
該吸引保持ステップでは、該開口の内側に対応する該テープの領域の全面を吸引保持する保持面を有した吸引保持ユニットで該テープを吸引保持する、請求項1に記載のエキスパンド方法。
【請求項3】
該吸引保持ステップでは、該開口の内周に対応する該テープの領域を吸引する環状吸引部を有した吸引保持ユニットで該テープを吸引保持する、請求項1に記載のエキスパンド方法。
【請求項4】
該吸引保持ステップと、該外側拡張解除ステップと、を実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該フレームの該開口を該領域に位置合わせする位置決めステップと、を更に備えた、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のエキスパンド方法。
【請求項5】
ワークが貼着されたテープをエキスパンドするエキスパンド装置であって、
ワークを挟んで該テープを挟持する互いに対向した一対の挟持ユニットと、
該挟持ユニットを互いに近接離反方向に移動させる移動ユニットと、
該挟持ユニットで挟持されエキスパンドされた該テープに貼着されたワークを内部に収容できる直径の開口を有したフレームを保持する保持ユニットと、
該保持ユニットを移動して該保持ユニットで保持した該フレームを該テープに貼着する保持ユニット移動機構と、
該フレームの該開口の内側に対応する領域の該テープを吸引保持する吸引保持ユニットと、
該保持ユニットで保持されて該テープに貼着された該フレームに沿って該テープを切断する切断ユニットと、を備えたエキスパンド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキスパンド方法及びエキスパンド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを分割して形成したチップは、フレームを用いてハンドリングされる。テープを介してウェーハをフレームに装着した状態でウェーハの分割を行うエキスパンド装置が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、テープがエキスパンドされることで弛み、ハンドリング中に分割され形成されたチップが隣接するチップに接触して損傷してしまうおそれがあった。また、チップサイズが小さいウェーハの場合には十分にテープを拡張できず、未分割領域が生じるおそれもあった。
【0004】
そこで、エキスパンドした後にフレームを貼着するエキスパンド装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-022382号公報
【特許文献2】特開2019-110188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示されたエキスパンド装置では、テープを拡張した状態でフレームを貼着し、テープをフレームに沿って切断している。しかし、テープがフレームにから剥離してしまうことがあった。テープがフレームから剥離してしまうと、隣接するチップ同士が接触して損傷するおそれがある上、ハンドリングができない。
【0007】
本発明の目的は、テープがフレームから剥離することを抑制することができるエキスパンド方法及びエキスパンド装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のエキスパンド方法は、ワークが貼着されたテープをエキスパンドするエキスパンド方法であって、ワークを挟んで対向する挟持部材で該テープを挟持するとともに該挟持部材を互いに離反させることで該テープをエキスパンドするエキスパンドステップと、該エキスパンドステップを実施した後、内部に該ワークを収容できる直径の開口を有したフレームを該テープに貼着して該開口内に該ワークを収容し、該テープを該フレームに沿って切断して該ワークと該ワークが貼着された該テープと該テープが貼着された該フレームとからなるフレームユニットを形成するフレームマウントステップと、を備え、該エキスパンドステップを実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該テープを該挟持部材で挟持してエキスパンドした状態で、該フレームマウントステップで貼着する該フレームの該開口の内側に対応する該テープの領域を吸引保持して該領域の拡張を維持する吸引保持ステップと、該吸引保持ステップを実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該挟持部材を互いに近接移動させることで該テープの該領域の拡張は維持しつつ該領域の外側の拡張を解除する外側拡張解除ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記エキスパンド方法において、該吸引保持ステップでは、該開口の内側に対応する該テープの領域の全面を吸引保持する保持面を有した吸引保持ユニットで該テープを吸引保持しても良い。
【0010】
前記エキスパンド方法において、該吸引保持ステップでは、該開口の内周に対応する該テープの領域を吸引する環状吸引部を有した吸引保持ユニットで該テープを吸引保持しても良い。
【0011】
前記エキスパンド方法において、該吸引保持ステップと、該外側拡張解除ステップと、を実施した後、該フレームマウントステップを実施する前に、該フレームの該開口を該領域に位置合わせする位置決めステップと、を更に備えても良い。
【0012】
本発明のエキスパンド装置は、ワークが貼着されたテープをエキスパンドするエキスパンド装置であって、ワークを挟んで該テープを挟持する互いに対向した一対の挟持ユニットと、該挟持ユニットを互いに近接離反方向に移動させる移動ユニットと、該挟持ユニットで挟持されエキスパンドされた該テープに貼着されたワークを内部に収容できる直径の開口を有したフレームを保持する保持ユニットと、該保持ユニットを移動して該保持ユニットで保持した該フレームを該テープに貼着する保持ユニット移動機構と、該フレームの該開口の内側に対応する領域の該テープを吸引保持する吸引保持ユニットと、該保持ユニットで保持されて該テープに貼着された該フレームに沿って該テープを切断する切断ユニットと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、テープがフレームから剥離することを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るエキスパンド装置の構成例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたエキスパンド装置の加工対象のワークを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されたワークとテープ等を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されたエキスパンド装置の吸引保持ユニット等を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態1に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップにおいてテープ挟持ユニットがテープを挟持した状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップにおいてテープをエキスパンドした状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示されたエキスパンド方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図5に示されたエキスパンド方法の外側拡張解除ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図10】
図10は、
図5に示されたエキスパンド方法の位置決めステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図11】
図11は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてテープにフレームを貼着する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図12】
図12は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてフレームが貼着されたテープを切断する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図13】
図13は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてテープを貼着した後にフレーム及びワークを搬出する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の変形例に係るエキスパンド装置のエキスパンド方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0016】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係るエキスパンド装置を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るエキスパンド装置の構成例を示す斜視図である。
図2は、
図1に示されたエキスパンド装置の加工対象のワークを示す斜視図である。
図3は、
図2に示されたワークとテープ等を示す斜視図である。
図4は、
図1に示されたエキスパンド装置の吸引保持ユニット等を模式的に示す斜視図である。
【0017】
実施形態1に係る
図1に示すエキスパンド装置1は、
図2に示すワーク200が貼着されたテープ201(
図3に示す)をエキスパンド(拡張ともいう)して、ワーク200を個々のチップ220に分割する装置である。実施形態1に係るエキスパンド装置1の加工対象であるワーク200は、
図2に示すように、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素又はSiC(炭化ケイ素)などを基板203とする円板状の半導体ウェーハや光デバイスウェーハなどのウェーハである。
【0018】
実施形態1では、ワーク200は、
図2に示すように、基板203の表面204の互いに交差する複数の分割予定ライン205で区画された各領域にそれぞれデバイス202が形成されている。ワーク200は、分割予定ライン205に沿って基板203の内部に分割起点である改質層206(
図2中に破線で示す)が形成されている。改質層206は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。実施形態1では、改質層206は、基板203の他の部分よりも機械的な強度が低い。
【0019】
また、実施形態1において、ワーク200は、
図3に示すように、基板203の裏面207側にテープ201が貼着され、エキスパンド装置1によりテープ201がエキスパンドされて、改質層206に沿って個々のチップ220に分割される。チップ220は、基板203の一部分と、基板203の表面204に形成されたデバイス202とを備える。
【0020】
テープ201は、伸縮性を有し、例えば、加熱された合成樹脂が第1方向211に沿って伸長されながら、第1方向211に対して直交する第2方向212に延伸されて、帯状に成形される。テープ201は、伸縮性を有する合成樹脂により構成された基材層と、基材層に積層されかつ伸縮性と粘着性とを有する合成樹脂により構成された粘着層とを備える。実施形態1では、第1方向211は、所謂流れ方向(MD:Machine Direction方向)であり、第2方向212は、所謂垂直方向(TD:Transverse Direction方向)である。なお、粘着層の表面を、以下、粘着面201-1と記し、基材層の表面を、以下、基材面201-2と記す。
【0021】
実施形態1に係るエキスパンド装置1は、ワーク200に貼着したテープ201を第1方向211と、第2方向212とにエキスパンドして、ワーク200を個々のチップ220に分割するとともに、互いに隣接するチップ220間に間隔を形成する装置である。また、エキスパンド装置1は、テープ201をエキスパンドして、互いに隣接するチップ220間に間隔を形成した後、テープ201に内径がワーク200よりも大径なフレーム209を貼着して、フレーム209の開口210内にワーク200を支持するとともに、テープ201をフレーム209の内縁と外縁との間で切断する。エキスパンド装置1は、ワーク200とワーク200が貼着されたテープ201とテープ201が貼着されたフレーム209とからなるフレームユニット213を形成する。なお、フレーム209は、内径がワーク200よりも大径であるために、ワーク200を内部である内側に収容できる直径の開口210を有することとなる。
【0022】
エキスパンド装置1は、
図1に示すように、平板状の固定基台2と、固定基台2の中央に設けられた吸引保持ユニット10と、図示しないワーク搬送ユニットと、テープ挟持ユニット30と、移動ユニット40と、保持ユニット50と、保持ユニット移動機構60と、制御ユニット100とを備える。
【0023】
吸引保持ユニット10は、円板状に形成され、保持面11がテープ201に接触する。吸引保持ユニット10は、
図4に示すように、昇降機構20によって鉛直方向に移動自在に設けられ、回動機構21により鉛直方向と平行でかつ保持面11の中心を通る軸心回りに回転自在に設けられている。実施形態1では、昇降機構20は、鉛直方向に沿って伸縮自在な伸縮ロッド22の上端に吸引保持ユニット10を支持している。実施形態1では、回動機構21は、固定基台2上に設けられ、昇降機構20を支持した円盤状部材23を軸心回りに回転する。回動機構21は、円盤状部材23を軸心回りに回転することで、昇降機構20とともに吸引保持ユニット10を軸心回りに回転する。なお、実施形態1では、円盤状部材23は、吸引保持ユニット10と同軸となる位置に配置されている。
【0024】
吸引保持ユニット10は、ポーラスセラミックス等の多孔質材で構成された円板状の保持部材12と、保持部材12をはめ込む凹部14を上面に設けかつステンレス鋼等の非多孔質材で構成された枠体13とを備える。保持部材12の上面は、テープ201を保持する保持面11であり、水平方向に沿って平坦に形成されている。
【0025】
保持部材12即ち保持面11の外径は、ワーク200の外径よりも大きく、かつフレーム209の内径以下であるとともに、フレーム209の外径よりも小さい。なお、実施形態1では、保持部材12即ち保持面11の外径は、フレーム209の内径と等しい。保持面11は、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214(
図8に示す)に接触する。なお、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214とは、テープ201の貼着されたフレーム209の開口210により周りが囲まれる領域である。枠体13の凹部14の平面形状は、内径が保持部材12の外径と等しい円形である。
【0026】
吸引保持ユニット10は、昇降機構20により上昇されると、保持面11がテープ挟持ユニット30により挟持されたテープ201の基材面201-2と同一平面上に位置する。吸引保持ユニット10は、昇降機構20により下降されると、保持面11がテープ挟持ユニット30により挟持されたテープ201の基材面201-2よりも下方に位置する。
【0027】
吸引保持ユニット10は、枠体13の凹部14内に設けられた保持部材12が開閉弁15が設けられた吸引路16により吸引源17に接続している。吸引保持ユニット10は、開閉弁15が開いて、吸引源17により吸引されることで、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214、即ちフレーム209の開口210の内側に対応する領域214のテープ201を保持面11に吸引保持する。実施形態1では、吸引保持ユニット10は、保持部材12が円板状に形成されているので、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214の全面を保持面11に吸引保持する。
【0028】
ワーク搬送ユニットは、テープ挟持ユニット30の上方に配置され、かつ下面にワーク200を保持する。ワーク搬送ユニットは、昇降ユニットにより鉛直方向に移動自在に設けられているとともに、水平方向移動ユニットにより水平方向に移動自在に設けられる。ワーク搬送ユニットは、水平方向移動ユニットにより、下面に保持したワーク200が吸引保持ユニット10と同軸となる位置に配置されて、吸引保持ユニット10と鉛直方向に対面する位置にワーク200を位置付ける。また、ワーク搬送ユニットは、昇降ユニットにより下降されることで、テープ201にワーク200を貼着する。
【0029】
テープ挟持ユニット30は、テープ201を保持するものである。テープ挟持ユニット30は、一対の第1挟持ユニット31-1と、一対の第2挟持ユニット31-2とを備える。第1挟持ユニット31-1及び第2挟持ユニット31-2は、ワーク200が貼着されたテープ201をワーク200の外周で挟持する挟持ユニットである。第1挟持ユニット31-1及び第2挟持ユニット31-2は、それぞれテープ201のワーク200よりも外周側の位置を挟持して保持する。
【0030】
なお、第1挟持ユニット31-1と第2挟持ユニット31-2の同一部分には、同一符号を付して説明する。第1挟持ユニット31-1及び第2挟持ユニット31-2は、固定基台2上に設けられた柱状の移動基台32を備える。
【0031】
一対の第1挟持ユニット31-1は、それぞれ、第1挟持部材33-1を一対備える。一方の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と他方の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1とは、吸引保持ユニット10の保持面11に接触するテープ201に貼着されたワーク200を挟んで、互いに対向している。実施形態1では、一方の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と他方の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1とは、第1方向211に沿って互いに対向している。各第1挟持ユニット31-1の一対の第1挟持部材33-1は、第2方向212と平行な直線状に形成され、鉛直方向に間隔をあけて配置されている。
【0032】
各第1挟持ユニット31-1の一対の第1挟持部材33-1のうちの一方は、各第1挟持ユニット31-1の移動基台32の上端部から水平方向に伸びた支持アーム34の先端に支持され、他方は、各第1挟持ユニット31-1の移動基台32の中央部から水平方向に伸びた支持アーム34の先端に支持されている。各第1挟持ユニット31-1の一対の第1挟持部材33-1は、互いに対応する面に複数の円柱状のコロ35を軸心回りに回転自在に支持している。なお、第1挟持ユニット31-1は、コロ35の軸心が第1方向211と平行であるとともに、コロ35を第2方向212に等間隔に配置している。
【0033】
また、一対の第1挟持ユニット31-1は、それぞれ、部材移動ユニット36を備える。部材移動ユニット36は、第1挟持ユニット31-1それぞれの移動基台32に設けられている。
【0034】
部材移動ユニット36は、第1挟持ユニット31-1それぞれの移動基台32に設けられたモータ37と、モータ37により鉛直方向と平行な軸心回りに回転されるボールねじ38と、ボールねじ38に螺合しかつ第1挟持部材33-1を先端に支持した支持アーム34と連結したナット39とを備える。
【0035】
部材移動ユニット36は、モータ37がボールねじ38を軸心回りに回転させることで、ナット39、支持アーム34及び第1挟持部材33-1を鉛直方向に沿って互いに近づけたり離れる方向に移動させる。なお、以下、互いに近づけたり離れる方向を近接離反方向と記す。また、部材移動ユニット36は、モータ37によりボールねじ38を軸心回りに回転することで、一対の第1挟持部材33-1を鉛直方向に互いに同方向に移動させることもできる。
【0036】
一対の第2挟持ユニット31-2は、それぞれ、第2挟持部材33-2を一対備える。一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2は、吸引保持ユニット10の保持面11に載置されたテープ201に貼着されたワーク200を挟んで、互いに対向している。実施形態1では、一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2は、第2方向212に沿って互いに対向している。各第2挟持ユニット31-2の一対の第2挟持部材33-2は、第1方向211と平行な直線状に形成され、鉛直方向に間隔をあけて配置されている。
【0037】
各第2挟持ユニット31-2の一対の第2挟持部材33-2のうちの一方は、各第2挟持ユニット31-2の移動基台32の上端部から水平方向に伸びた支持アーム34の先端に支持され、他方は、各第2挟持ユニット31-2の移動基台32の中央部から水平方向に伸びた支持アーム34の先端に支持されている。各第2挟持ユニット31-2の一対の第2挟持部材33-2は、互いに対応する面に複数の円柱状のコロ35を軸心回りに回転自在に支持している。なお、第2挟持ユニット31-2は、コロ35の軸心が第2方向212と平行であるとともに、コロ35を第1方向211に等間隔に配置している。
【0038】
また、一対の第2挟持ユニット31-2は、それぞれ、部材移動ユニット36を備える。部材移動ユニット36は、第2挟持ユニット31-2それぞれの移動基台32に設けられている。
【0039】
部材移動ユニット36は、第2挟持ユニット31-2それぞれの移動基台32に設けられたモータ37と、モータ37により鉛直方向と平行な軸心回りに回転されるボールねじ38と、ボールねじ38に螺合しかつ第2挟持部材33-2を先端に支持した支持アーム34と連結したナット39とを備える。
【0040】
部材移動ユニット36は、モータ37がボールねじ38を軸心回りに回転させることで、ナット39、支持アーム34及び第2挟持部材33-2を鉛直方向に沿って近接離反方向に移動させる。また、部材移動ユニット36は、モータ37によりボールねじ38を軸心回りに回転することで、一対の第2挟持部材33-2を鉛直方向に互いに同方向に移動させることもできる。
【0041】
テープ挟持ユニット30は、第1挟持ユニット31-1及び第2挟持ユニット31-2の各挟持部材33-1,33-2を鉛直方向に互いに近づく方向に移動させることで、各挟持部材33-1,33-2間にテープ201を挟持するとともに、各挟持部材33-1,33-2を鉛直方向に互いに離れる方向に移動させることで、各挟持部材33-1,33-2間のテープ201の挟持を解除する。
【0042】
移動ユニット40は、一対の第1挟持ユニット31-1を互いに近接離反方向に移動させるとともに、一対の第2挟持ユニット31-2を互いに近接離反方向に移動させるものである。移動ユニット40は、一対の第1方向移動ユニット41-1と、一対の第2方向移動ユニット41-2とを備える。
【0043】
第1方向移動ユニット41-1は、それぞれ、第1挟持ユニット31-1の移動基台32を第1方向211に沿って移動させることで、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1を第1方向211に沿って近接離反方向に移動させるものである。
【0044】
第2方向移動ユニット41-2は、それぞれ、第2挟持ユニット31-2の移動基台32を第2方向212に沿って移動させることで、一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2を第2方向212に沿って近接離反方向に移動させるものである。
【0045】
第1方向移動ユニット41-1及び第2方向移動ユニット41-2は、互いに構成が略等しいので、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0046】
第1方向移動ユニット41-1及び第2方向移動ユニット41-2は、固定基台2に設けられたモータ42と、モータ42により軸心回りに回転されて各挟持ユニット31-1,31-2の移動基台32を第1方向211又は第2方向212に移動させるボールねじ43とを有する。
【0047】
第1方向移動ユニット41-1及び第2方向移動ユニット41-2は、各挟持ユニット31-1,31-2を第1方向211又は第2方向212に互いに離れる方向に移動させることで、挟持ユニット51-1,51-2が挟持したテープ201をエキスパンドするとともに、各挟持ユニット31-1,31-2を第1方向211又は第2方向212に互いに近づく方向に移動させることで、挟持ユニット51-1,51-2が挟持したテープ201のエキスパンドを解除する。
【0048】
保持ユニット50は、フレーム209を保持するものである。実施形態1では、保持ユニット50は、下面にフレーム209の上面を吸引保持する吸引パッド51を複数備えている。
【0049】
保持ユニット移動機構60は、保持ユニット50を移動して、保持ユニット50で吸引保持したフレーム209をテープ201に貼着するものである。実施形態1では、保持ユニット移動機構60は、保持ユニット50を鉛直方向に移動させるとともに、水平方向に移動させる。
【0050】
保持ユニット移動機構60は、保持ユニット50が吸引保持したフレーム209の開口210を、テープ挟持ユニット30に挟持されたテープ201のフレーム209の開口210の内側に対応する領域に位置合わせする。なお、実施形態1では、保持ユニット移動機構60は、吸引保持ユニット10よりも上方で、かつ、保持ユニット50が吸引保持したフレーム209の開口210が吸引保持ユニット10と同軸となる位置に、保持ユニット50を位置付けることで、フレーム209の開口210を、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域に位置合わせする。
【0051】
また、保持ユニット移動機構60は、前述した位置合わせした位置から保持ユニット50を下降することで、テープ挟持ユニット30により挟持されてエキスパンドされたテープ201にフレーム209を貼着する。このために、保持ユニット50は、挟持ユニット31-1,31-2で挟持されエキスパンドされたテープ201に貼着されたフレーム209を保持することとなる。
【0052】
また、エキスパンド装置1は、
図4に示すように、切断ユニット70を備える。切断ユニット70は、フレーム209が貼着されたテープ201のフレーム209の内縁と外縁との間を切断することで、保持ユニット50で保持されてテープ201に貼着されたフレーム209に沿ってテープ201を切断するものである。
【0053】
切断ユニット70は、
図2に示すように、ローラー昇降機構71と、支持部材72と、ローラー73と、カッター昇降機構74と、カッター75とを備える。ローラー昇降機構71は、円盤状部材23の外縁部上に設けられ、鉛直方向に沿って伸縮自在な伸縮ロッド76の上端に支持部材72を支持している。ローラー昇降機構71は、伸縮ロッド76を伸縮させることで、支持部材72を介してローラー73及びカッター75を鉛直方向に移動させる。実施形態1では、ローラー昇降機構71は、伸縮ロッド76を円盤状部材23の周方向に間隔をあけて互いに平行に2本備えている。支持部材72は、長手方向の両端部がローラー昇降機構71の伸縮ロッド76の上端に支持されている。
【0054】
ローラー73は、円柱状に形成され、支持部材72の長手方向の一端部に軸心回りに回転自在に支持されている。ローラー73の回転中心である軸心は、円盤状部材23及び吸引保持ユニット10の径方向と平行である。ローラー73の外周面の上端は、ローラー昇降機構71により上昇されると、テープ挟持ユニット30が挟持したテープ201を吸引保持した吸引保持ユニット10の保持面11と同一平面上に位置する。ローラー73の外周面の上端は、ローラー昇降機構71により下降されると、テープ挟持ユニット30が挟持したテープ201を吸引保持した吸引保持ユニット10の保持面11よりも下方に位置する。
【0055】
カッター昇降機構74は、支持部材72の他端部上に設けられ、鉛直方向に沿って伸縮自在な図示しない伸縮ロッドの上端にカッター75を支持している。カッター75は、外縁にテープ201に切り込む切り刃77が形成された円盤状に形成され、カッター昇降機構74の伸縮ロッドの上端に軸心回りに回転自在に支持されている。
【0056】
カッター75の回転中心である軸心は、円盤状部材23及び吸引保持ユニット10の径方向と平行である。カッター75の切り刃77の上端は、カッター昇降機構74により上昇されると、テープ挟持ユニット30が挟持したテープ201を吸引保持した吸引保持ユニット10の保持面11よりも上方に位置する。カッター75の切り刃77の上端は、カッター昇降機構74により下降されると、テープ挟持ユニット30が挟持したテープ201を吸引保持した吸引保持ユニット10の保持面11よりも下方に位置する。また、カッター75の切り刃77の上端は、保持ユニット移動機構60によりテープ201に貼着されたフレーム209の内縁と外縁との間に位置する。
【0057】
切断ユニット70は、テープ挟持ユニット30が挟持したテープ201を吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持し、吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持されたテープ201に保持ユニット移動機構60によりフレーム209が貼着されると、カッター昇降機構74がカッター75を下降した状態でローラー昇降機構71によりローラー73等を上昇させて、ローラー73が、回動機構21により回転されて、フレーム209との間にテープ201を挟み込んで、テープ201にフレーム209を貼着する。切断ユニット70は、ローラー73がフレーム209との間にテープ201を挟み込んで、テープ201にフレーム209を貼着した後に、カッター昇降機構74によりカッター75を上昇させて、カッター75が回動機構21により回転されて、切り刃77の上端がテープ201のフレーム209の内縁と外縁との間に切り込んで、フレーム209が貼着されたテープ201をフレーム209に沿って切断する。
【0058】
制御ユニット100は、エキスパンド装置1の各構成要素を制御して、エキスパンド装置1にテープ201に対するワーク200の貼着動作、テープ201のエキスパンド動作及びテープ201に対するフレーム209の貼着動作等を実施させるものである。なお、制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有するコンピュータである。制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、エキスパンド装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してエキスパンド装置1の各構成要素に出力する。
【0059】
また、制御ユニット100は、各種の情報や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットとが接続されている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等の外部入力装置とのうち少なくとも一つにより構成される。
【0060】
なお、本発明では、エキスパンド装置1は、上述した構成に加え、ロールに巻かれたテープ201を保持するシート挟持ユニットと、粘着面201-1を上向きにしてシート挟持ユニットからテープ201をテープ挟持ユニット30に送り出す送り出しユニットとを備えても良い。
【0061】
次に、本明細書は、実施形態1に係るエキスパンド方法を図面に基づいて説明する。
図5は、実施形態1に係るエキスパンド方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係るエキスパンド方法は、ワーク200が貼着されたテープ201をエキスパンドする方法である。
【0062】
実施形態1に係るエキスパンド方法は、前述したエキスパンド装置1のテープ201のエキスパンド動作でもある。エキスパンド装置1は、オペレータが入力ユニットを操作するなどして入力した加工内容情報を受け付け、オペレータが入力ユニットを操作する等して入力した加工動作の開始指示を受け付けると、制御ユニット100がエキスパンド装置1の各構成要素を制御して、エキスパンド動作即ちエキスパンド方法を開始する。エキスパンド方法は、
図5に示すように、エキスパンドステップ1001と、吸引保持ステップ1002と、外側拡張解除ステップ1003と、位置決めステップ1004と、フレームマウントステップ1005とを備える。
【0063】
(エキスパンドステップ)
図6は、
図5に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップにおいてテープ挟持ユニットがテープを挟持した状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
図7は、
図5に示されたエキスパンド方法のエキスパンドステップにおいてテープをエキスパンドした状態を模式的に一部断面で示す側面図である。エキスパンドステップ1001は、ワーク200を挟んで対向する挟持部材33-1,33-2でテープ201を挟持するとともに、挟持部材33-1,33-2を互いに離反させることで、テープ201をエキスパンドするステップである。
【0064】
エキスパンドステップ1001では、エキスパンド装置1は、昇降機構20により吸引保持ユニット10を下降し、ローラー昇降機構71によりローラー73及びカッター75を下降し、カッター昇降機構74によりカッター75を下降し、移動ユニット41-1,41-2により一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1を互いに近づけ一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2を互いに近づけた状態にする。エキスパンドステップ1001では、エキスパンド装置1は、
図6に示すように、テープ201を一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1間に挟持し、一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2間に挟持する。
【0065】
エキスパンドステップ1001では、エキスパンド装置1は、ワーク搬送ユニットに保持した改質層206が形成されたワーク200の裏面207をテープ201の一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2とで囲まれた領域に対向させた後、ワーク搬送ユニットを下降させて、
図6に示すように、テープ201の領域214の中央にワーク200の裏面207を貼着する。
【0066】
エキスパンドステップ1001では、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2とでテープ201を挟持した状態で、エキスパンド装置1は、
図6中の矢印300で示すように、移動ユニット41-1,41-2に挟持ユニット51-1,51-2の挟持部材33-1,33-2を第1方向211又は第2方向212に沿って互いに離反する同時に方向に移動させる。すると、エキスパンド装置1は、挟持ユニット51-1,51-2の移動基台32の移動とともに、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1を第1方向211に沿って互いに離反する方向に移動させるとともに、一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2を第2方向212に沿って互いに離反する方向に移動させて、テープ201を第1方向211と第2方向212との双方にエキスパンドする。テープ201のエキスパンドの結果、テープ201に第1方向211と第2方向212との双方に沿った引張力が作用する。
【0067】
このようにワーク200が貼着されたテープ201に第1方向211と第2方向212との双方に沿った引張力が作用すると、ワーク200は、分割予定ライン205に沿って改質層206が形成されているので、改質層206を基点として分割予定ライン205に沿って個々のチップ220に分割され、隣り合うチップ220間に間隔が形成される。なお、実施形態1において、エキスパンドステップ1001では、挟持ユニット51-1,51-2の挟持部材33-1,33-2を第1方向211又は第2方向212に沿って離反する同時に方向に移動させたが、本発明では、これに限定されることなく、第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1を第1方向211に沿って離反する方向に移動させたのち、第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2を第2方向212に沿って離反させる方向に移動させても良い。
【0068】
(吸引保持ステップ)
図8は、
図5に示されたエキスパンド方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。吸引保持ステップ1002は、エキスパンドステップ1001を実施した後、フレームマウントステップ1005を実施する前に、テープ201を挟持部材33-1,33-2で挟持してエキスパンドした状態で、フレームマウントステップ1005で貼着するフレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214を吸引保持して領域214の拡張を維持するステップである。
【0069】
吸引保持ステップ1002では、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2とでテープ201を挟持した状態で、エキスパンド装置1は、昇降機構20により吸引保持ユニット10を上昇させて、保持面11をテープ201の領域214に接触させ、
図8に示すように、開閉弁15を開いて吸引源17により保持面11にテープ201の領域214を吸引保持させる。こうして、吸引保持ステップ1002では、エキスパンド装置1は、テープ201の領域214の全面を吸引保持する保持面11を有した吸引保持ユニット10でテープ201を吸引保持する。
【0070】
(外側拡張解除ステップ)
図9は、
図5に示されたエキスパンド方法の外側拡張解除ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。外側拡張解除ステップ1003は、吸引保持ステップ1002を実施した後、フレームマウントステップ1005を実施する前に、挟持部材33-1,33-2を互いに近接移動させることでテープ201の領域214の拡張は維持しつつ領域214よりも外周側の外側領域215の拡張を解除するステップである。
【0071】
外側拡張解除ステップ1003では、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2とでテープ201を挟持した状態で、エキスパンド装置1は、
図9中の矢印300と逆向きの矢印301で示すように、移動ユニット41-1,41-2に挟持ユニット51-1,51-2の挟持部材33-1,33-2を第1方向211又は第2方向212に沿って互いに近接する方向に同時に移動させる。
【0072】
すると、テープ201の領域214が吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持されているので、保持面11上にテープ201の領域214が固定され、テープ201の領域214の拡張が維持される。また、テープ201の領域214よりも外周側の外側領域215は、保持面11に吸引保持されていないために、挟持部材33-1,33-2の移動とともに縮小して、拡張が解除される。また、吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持されて固定されたテープ201の領域214の中央にワーク200が貼着されているので、互いに隣り合うチップ220間の間隔が維持される。なお、実施形態1において、外側拡張解除ステップ1003では、エキスパンド装置1は、移動ユニット41-1,41-2により挟持ユニット51-1,51-2の挟持部材33-1,33-2を近接させて、エキスパンドステップ1001のテープ201をエキスパンドする前の位置に挟持ユニット51-1,51-2の挟持部材33-1,33-2を位置付ける。
【0073】
(位置決めステップ)
図10は、
図5に示されたエキスパンド方法の位置決めステップを模式的に一部断面で示す側面図である。位置決めステップ1004は、吸引保持ステップ1002と、外側拡張解除ステップ1003と、を実施した後、フレームマウントステップ1005を実施する前に、フレーム209の開口210をテープ201の領域214に位置合わせするステップである。
【0074】
位置決めステップ1004では、エキスパンド装置1は、保持ユニット移動機構60によりフレーム209を吸引保持した保持ユニット50を移動して、
図10に示すように、フレーム209の開口210の内側が吸引保持ユニット10の上方でかつ吸引保持ユニット10と同軸となる位置に保持ユニット50を位置付ける。
【0075】
(フレームマウントステップ)
図11は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてテープにフレームを貼着する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
図12は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてフレームが貼着されたテープを切断する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
図13は、
図5に示されたエキスパンド方法のフレームマウントステップにおいてテープを貼着した後にフレーム及びワークを搬出する状態を模式的に一部断面で示す側面図である。
【0076】
フレームマウントステップ1005は、エキスパンドステップ1001を実施した後、フレーム209をテープ201に貼着して開口210内にワーク200を収容し、テープ201をフレーム209に沿って切断して、フレームユニット213を形成するステップである。フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、保持ユニット移動機構60により保持ユニット50を下降させて、保持ユニット50が保持したフレーム209をテープ201の外側領域215の内縁部に貼着する。
【0077】
フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、ローラー昇降機構71によりローラー73を上昇させ、ローラー73をテープ201の外側領域215に接触させる。フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、
図11に示すように、回動機構21により円盤状部材23即ちローラー73を回転させて、全周に亘って、テープ201の外側領域215をフレーム209とローラー73との間に挟んで、テープ201の外側領域215にフレーム209を密に貼着する。
【0078】
フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、
図12に示すように、回動機構21により円盤状部材23を回転させたまま、カッター昇降機構74によりカッター75を上昇させて、カッター75の切り刃77のテープ201の外側領域215のフレーム209の内縁と外縁との間に切り込ませる。フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、切断ユニット70のカッター75でテープ201の外側領域215のフレーム209の内縁と外縁との間をフレーム209に沿って切断させて、フレームユニット213を形成する。
【0079】
フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、回動機構21により円盤状部材23の回転を停止し、開閉弁15を閉じて保持面11のテープ201の領域214の吸引保持を停止する。フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、
図13に示すように、保持ユニット移動機構60によりフレームユニット213のフレーム209を吸引保持した保持ユニット50を上昇させて、フレームユニット213をエキスパンド装置1から搬出する。フレームマウントステップ1005では、エキスパンド装置1は、フレームユニット213を所定の位置まで搬送して、エキスパンド装置1のエキスパンド動作即ち実施形態1に係るエキスパンド方法を終了する。
【0080】
こうして、エキスパンド装置1の制御ユニット100は、一対の第1挟持ユニット31-1及び一対の第2挟持ユニット31-2にテープ201を挟持させ、ワーク搬送ユニットにワーク200をテープ201に貼着させた後、移動ユニット40に挟持ユニット31-1,31-2の挟持部材33-1,33-2を互いに離反する方向に移動させる。エキスパンド装置1の制御ユニット100は、テープ201の領域214を吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持してから挟持ユニット31-1,31-2の挟持部材33-1,33-2を互いに近接する方向に移動させる。エキスパンド装置1の制御ユニット100は、保持ユニット移動機構60にフレーム209の開口210をテープ201の領域214に位置合わせさせて、フレーム209をテープ201の外側領域215に貼着させる。エキスパンド装置1の制御ユニット100は、切断ユニット70にテープ201のフレーム209の内縁と外縁との間をフレーム209に沿って切断させる。また、実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、テープ201の領域214を吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持して拡張を維持し、フレーム209が貼着されるテープ201の外側領域215の拡張を解除して、フレーム209をテープ201に貼着する。
【0081】
テープ201に拡張による張力が生じて、テープ201が拡張された状態でフレーム209がテープ201に貼着されると、テープ201には拡張による張力の反作用の収縮が生じてテープ201がフレーム209から剥離してしまう。一方で、テープ201の拡張を解除してフレーム209を貼着すると、折角形成したチップ220間の間隙が狭められてチップ220同士の接触リスクが生じる。
【0082】
そこで、以上説明した実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、エキスパンドステップ1001においてテープ201を拡張した状態で、吸引保持ステップ1002において、テープ201を拡張した状態でテープ201のフレーム209の開口210の内側に対応する領域214を吸引保持ユニット10の保持面11に吸引保持して拡張を維持し、外側拡張解除ステップ1003においてフレーム209が貼着されるテープ201の外側領域215の拡張を解除して、フレーム209をテープ201に貼着するため、フレーム209の開口210の内側に対応するテープ201の領域214の拡張は維持しつつ、テープ201がフレーム209から剥離することを防止できる。
【0083】
このために、実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、フレーム209が貼着されたテープ201の外側領域215には収縮する力が生じることを抑制できる。その結果、実施形態1に係るエキスパンド方法及びエキスパンド装置1は、テープ201がフレーム209から剥離することを抑制することができるという効果を奏する。
【0084】
〔変形例〕
本発明の実施形態1の変形例に係るエキスパンド装置及びエキスパンド方法を図面に基づいて説明する。
図14は、実施形態1の変形例に係るエキスパンド装置のエキスパンド方法の吸引保持ステップを模式的に一部断面で示す側面図である。なお、
図14は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
実施形態1の変形例に係るエキスパンド装置1-1は、
図14に示すように、吸引保持ユニット10-1のポーラスセラミックス等の多孔質材で構成された保持部材12-1が円環状に形成され、枠体13-1の凹部14-1が円環状に形成されていること以外、実施形態1と同じである。保持部材12-1即ち保持面11-1の内径及び外径が、ワーク200の外径よりも大きく、かつ保持部材12-1即ち保持面11-1の外径が、フレーム209の内径以下であるとともに、フレーム209の外径よりも小さい。なお、変形例では、保持部材12-1即ち保持面11-1の外径は、フレーム209の内径と等しい。変形例では、保持面11-1は、環状に形成され、テープ201の領域214の外縁部を吸引保持する環状吸引部である。
【0086】
実施形態1の変形例に係るエキスパンド装置1-1は、吸引保持ステップ1002では、一対の第1挟持ユニット31-1の第1挟持部材33-1と一対の第2挟持ユニット31-2の第2挟持部材33-2とでテープ201を挟持した状態で、エキスパンド装置1-1は、昇降機構20により吸引保持ユニット10-1を上昇させて、保持面11-1をテープ201の領域214の外縁部に接触させる。変形例に係るエキスパンド装置1-1は、吸引保持ステップ1002では、
図14に示すように、開閉弁15を開いて吸引源17により保持面11-1にテープ201の領域214の外縁部を吸引保持させる。こうして、変形例において、吸引保持ステップ1002では、エキスパンド装置1-1は、テープ201の領域214の外縁部を吸引保持する環状吸引部である保持面11-1を有した吸引保持ユニット10-1でテープ201を吸引保持する。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、本発明では、レーザビームが照射されてアブレーション加工が施されて形成されたレーザー加工溝や切削加工が施されて形成された切削溝が分割起点としてワーク200に形成されても良い。また、本発明では、分割予定ライン205に沿ってチップ220に分割されたテープ201がエキスパンド装置1,1-1に搬入されて、エキスパンド装置1,1-1が、テープ201をエキスパンドしてチップ220間の間隔を拡げても良い。
【符号の説明】
【0088】
1,1-1 エキスパンド装置
10,10-1 吸引保持ユニット
11 保持面
11-1 保持面(環状吸引部)
31-1 第1挟持ユニット(挟持ユニット)
31-2 第2挟持ユニット(挟持ユニット)
33-1 第1挟持部材(挟持部材)
33-2 第2挟持部材(挟持部材)
40 移動ユニット
50 保持ユニット
60 保持ユニット移動機構
70 切断ユニット
200 ワーク
201 テープ
209 フレーム
210 開口
213 フレームユニット
214 領域
1001 エキスパンドステップ
1002 吸引保持ステップ
1003 外側拡張解除ステップ
1004 位置決めステップ
1005 フレームマウントステップ