(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022178997
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】オートクレーブ装置
(51)【国際特許分類】
C22B 3/02 20060101AFI20221125BHJP
C22B 3/04 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
C22B3/02
C22B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086182
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】本間 剛秀
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA07
4K001AA19
4K001BA03
4K001BA06
4K001DB14
(57)【要約】
【課題】高温加圧下での浸出処理等に用いられ、隔壁によって内部が複数の区画室に区画されているオートクレーブ装置において、処理方向に逆行するオーバーフローによる原料スラリーの逆流を防止すること。
【解決手段】隔壁15で区画された複数の区画室11と、各々の区画室11に設置されている撹拌機12と、を備え、隔壁15の上辺の一部が鉛直上方に延出してなる逆流防止堰152が設けられている、オートクレーブ装置1とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁で区画された複数の区画室と、
各々の前記区画室内に設置されている撹拌機と、
を備えるオートクレーブ装置であって、
前記隔壁の上辺の一部が鉛直上方に延出してなる逆流防止堰が設けられている、
オートクレーブ装置。
【請求項2】
前記逆流防止堰は、被処理液の撹拌流が前記隔壁の下流側の表面に衝突する際に、前記被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分に設けられている、
請求項1に記載のオートクレーブ装置。
【請求項3】
前記逆流防止堰の一方の側端は、前記区画室の側壁に隙間なく接合している、
請求項1又は2に記載のオートクレーブ装置。
【請求項4】
有価金属を含む原料スラリーに対して高温高圧下での浸出処理を施すために用いられる、
請求項1から3の何れかに記載のオートクレーブ装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のオートクレーブ装置を用いて、原料スラリーに含まれる固形物から有価金属を浸出させる、
有価金属の浸出処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オートクレーブ装置に関するものである。より詳しくは、本発明は、原料スラリーを高温高圧下で浸出する処理に用いられるオートクレーブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉱石や混合硫化物、マット等の原料(固形物)を高温高圧下で浸出する処理では、オートクレーブ装置が用いられている。オートクレーブ装置は、反応容器を複数の隔壁で区画した複数の区画室と、各々の区画室内で原料スラリーを撹拌するための撹拌機とから構成されている。
【0003】
具体的に、オートクレーブ装置では、加熱、加圧された原料スラリー(原料と浸出液の懸濁液)等が、隔壁で複数に区画されたオートクレーブ装置内の第1の区画室に供給され、第1の区画室に設けられた撹拌機によって撹拌しながら原料スラリーを滞留させて、固形物から有価金属の浸出を進行させる。そして、浸出に十分な時間に亘って原料スラリーを滞留させた後に、原料スラリーは、隔壁を越えてオーバーフローし、下流側に隣接する第2の区画室に移送される。そして、その後も、順次、同様にして、区画室内での滞留と、下流側へのオーバーフローを繰り返しながら、有価金属の浸出を進行させる(特許文献1参照)。
【0004】
上記構成からなるオートクレーブ装置においては、上流側の区画室から下流側の区画室に向かう原料スラリーの本来の流れ方向(
図1において矢印Fの示す方向)とは逆行して、下流側から上流側に向かう液流も生じる。これに起因して、従来のオートクレーブ装置においては、原料スラリーの一部が、下流側から上流側に向けてオーバーフローしてしまう現象が生じていた。このような運転中における一部の原料スラリーの逆流は、隣接する区画室間での原料スラリーの混合による反応効率の低下等、オートクレーブ装置の動作に様々な不具合を引き起こす原因となるため、これを解消することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために開発されたものであり、高温加圧下での浸出処理等に用いられ、隔壁によって内部が複数の区画室に区画されているオートクレーブ装置において、原料スラリーの本来の流れ方向(以下、「処理方向」とも言う)と逆行するオーバーフローによる原料スラリーの逆流を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、隣接する2つの区画室を区画している隔壁の上辺の一部に逆流防止堰を設けることによって、原料スラリーの処理方向に沿ったオーバーフローを円滑に進行させながら、当該処理方向と逆行するオーバーフローを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
(1) 隔壁で区画された複数の区画室と、各々の前記区画室内に設置されている撹拌機と、を備えるオートクレーブ装置であって、前記隔壁の上辺の一部が鉛直上方に延出してなる逆流防止堰が設けられている、オートクレーブ装置。
【0009】
(1)のオートクレーブ装置によれば、高温加圧下での浸出処理等に用いられ、隔壁によって内部が複数の区画室に区画されているオートクレーブ装置において、隔壁の上辺における逆流防止堰が設けられていない部分において、処理方向に沿ったオーバーフローを進行させながら、逆流防止堰が設けられている部分において、処理方向に逆行するオーバーフローを防止することができる。
【0010】
(2) 前記逆流防止堰は、被処理液の撹拌流が前記隔壁の下流側の表面に衝突する際に、前記被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分に設けられている、(1)に記載のオートクレーブ装置。
【0011】
(2)のオートクレーブ装置によれば、処理方向に沿ったオーバーフローを円滑に進行させながら、撹拌流によって原料スラリーを含む被処理液の液面が運転中に高くなる部分において処理方向に逆行するオーバーフローを防止して、その他の部分において処理方向に沿ったオーバーフローを円滑に進行させることができる。
【0012】
(3) 前記逆流防止堰の一方の側端は、前記区画室の側壁に隙間なく接合している、(1)又は(2)に記載のオートクレーブ装置。
【0013】
(3)のオートクレーブ装置によれば、(1)又は(2)に記載のオートクレーブ装置において、より高い防止率で、処理方向に逆行する原料スラリーのオーバーフローを防止することができる。
【0014】
(4) 有価金属を含む原料スラリーに対して高温高圧下での浸出処理を施すために用いられる、(1)から(3)の何れかに記載のオートクレーブ装置。
【0015】
(4)のオートクレーブ装置によれば、高圧酸浸出工程を行うニッケル酸化鉱石の製造製錬等、原料スラリーから有価金属を浸出させて回収する処理において、(1)から(3)の何れかの発明の奏する各効果を享受して、有価金属の生産性の向上に寄与することができる。
【0016】
(5) (1)から(4)の何れかに記載のオートクレーブ装置を用いて、原料スラリーに含まれる固形物から有価金属を浸出させる、有価金属の浸出処理方法。
【0017】
(5)のオートクレーブ装置の運転方法によれば、高温加圧下での浸出処理による原料スラリーからの有価金属の抽出を行う場合において、(1)から(4)の何れかの発明の奏する各効果を享受して、有価金属の生産性の向上に寄与することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高温加圧下での浸出処理等に用いられ、隔壁によって内部が複数の区画室に区画されているオートクレーブ装置において、処理方向に逆行するオーバーフローによる原料スラリーの逆流を防止することができる。これにより、オートクレーブ装置内での処理効率の低下を防止することができるため、本発明は、工業的に極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明のオートクレーブ装置の全体構成を模式的に示す図である。(a)はオートクレーブ装置を水平に切断して内部構造を模式的に示した横断平面図であり、(b)はオートクレーブ装置を垂直に切断して内部構造を模式的に示した縦断側面図である。
【
図2】
図1のオートクレーブ装置の備える隔壁の正面図であり、逆流防止堰の形状の説明に供する図面である。
【
図3】
図1のオートクレーブ装置の模式的な部分拡大平面図である。
【
図4】
図1のオートクレーブ装置の模式的な縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0021】
<オートクレーブ装置>
本発明のオートクレーブ装置は、ニッケル及びコバルトの混合硫化物から、ニッケル、コバルトを有価金属として浸出させる処理に好ましく用いることができる工業用の反応槽である。但し、本発明のオートクレーブ装置は、これに限らず、加圧下で各種の気液反応処理を進行させる各種の工業プロセスに広く用いることできる。
【0022】
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態の一例であるオートクレーブ装置1の全体構成を模式的に示す図である。同図に示す通り、オートクレーブ装置1は、隔壁15(15A、15B、15C)によって区画されている複数の区画室11(11A、11B、11C、11D)と、各々の区画室11(11A、11B、11C、11D)内に設置されている撹拌機12と、を備える。そして、それぞれの隔壁15(15A、15B、15C)の上辺の一部には、
図2に示すように、当該上辺の一部が嵩上げされた形状からなる逆流防止堰152が設けられている。
【0023】
尚、隔壁15(15A、15B、15C)の最下部には、通液口151が設けられていてもよい。又、オートクレーブ装置1の最上流側の区画室11Aには、原料スラリー装入管13、最下流側の区画室11Dには、浸出液排出管14が、それぞれ設置されている。
【0024】
図1に示すオートクレーブ装置1においては、3つの隔壁15(15A、15B、15C)によって4区画に区画された4つの区画室11(11A、11B、11C、11D)が設けられていて、撹拌機12(12A、12B、12C、12D)は、4つの区画室11(11A、11B、11C、11D)内にそれぞれ1機ずつ設置されている。但し、オートクレーブ装置における区画室数は、これに限られるものではなく、原料スラリーの種類や浸出処理の処理条件等に応じて、適宜、適切な室数とすることができる。
【0025】
[区画室]
区画室11(11A、11B、11C、11D)は、原料スラリーに施す浸出処理の反応場となる空間である。4つの区画室11(11A、11B、11C、11D)のうち、最上流側の区画室11Aには、原料スラリー装入管13を介して、固形物を含む原料スラリーが装入される。原料スラリーは、必要な反応を進行させながら、各区画室を処理方向Fに沿って順次移動して行き、最下流側の区画室11Dから、浸出液排出管14を介して、処理済のスラリーが排出される。
【0026】
[撹拌機]
撹拌機12(12A、12B、12C、12D)としては、例えば、
図3、4に模式的に示すように、撹拌軸121と複数の撹拌羽根122とを備えるプロペラ形状のものを用いることができる。撹拌機12は、所定の速度で撹拌軸121を回転させ、撹拌羽根122によって原料スラリーを撹拌する。この撹拌機12による撹拌によって、区画室11内の原料スラリーには所定の方向への液流が発生する。
【0027】
撹拌機12(12A、12B、12C、12D)は、各々の区画室11(11A、11B、11C、11D)の上部天井から垂下されていて、オートクレーブ装置1を上部から視たときにおける各々の区画室11内の中心位置の近傍域に撹拌軸121が位置するよう設置される。
【0028】
[隔壁]
隔壁15(15A、15B、15C)は、オートクレーブ装置1の内部を複数に区画するための構造である。各々の隔壁15(15A、15B、15C)を挟んで、隣接する一組の区画室11(一例として区画室Aと区画室B)が構成される。
【0029】
隔壁15(15A、15B、15C)は、
図1(b)の縦断側面図に示すように、オートクレーブ装置1の底部壁面から立設されている。又、隔壁15(15A、15B、15C)は、その上辺の高さが、オートクレーブ装置1を側面視したときの高さより低くなっている。これにより、例えば、上流側の区画室11Aにて浸出処理が施された後に、原料スラリーの液面が、隔壁15の上辺における逆流防止堰152が設けられていない部分の高さよりも高くなったときに、原料スラリーの一部が、同部分からオーバーフローすることによって、下流側の区画室11Bに移送される。
【0030】
(逆流防止堰)
オートクレーブ装置1においては、各々の区画室を区分する隔壁15の上辺に、当該上辺の一部が鉛直上方に延出してなる逆流防止堰152が、設けられている(
図1、
図2参照)。逆流防止堰152は、
図2に示す通り、正面視における形状が矩形状であることが好ましい。又、逆流防止堰152は、隔壁15の上辺の一部が延伸してなる形状に成形されてなる隔壁と一体の構造物であってもよいし、逆流防止堰152を構成する独立した部材が隔壁15の上辺に必要十分な強度で接合されている付属物であってもよい。
【0031】
この逆流防止堰152は、原料スラリーを含んでなる被処理液の撹拌流が、隔壁15の下流側の表面に衝突する際に、当該被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分に設けることが好ましい。「被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分」は、厳密には、各区画室の形状、大きさ、撹拌機の性能・構造と設置位置及び、被処理液の性状と操業条件によって個々のオートクレーブ装置毎に異なるので、「被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分」を、装置毎に予め構造計算や試験操業等で把握した上で、適宜、最適な位置に逆流防止堰152を設ければよい。但し、あくまでも、逆流防止堰152を設ける範囲は、上辺の全部ではなくて一部とする。
【0032】
又、複数の隔壁が存在する場合、逆流防止堰152は、少なくとも何れか一つの隔壁15に設けることができるが、オートクレーブ装置1内の全ての隔壁15に逆流防止堰152を設けることが好ましい。但し、区画室毎に、「被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分」が異なる場合には、隔壁毎に、それぞれ上記部分に対応する異なる位置に逆流防止堰152を設けることが好ましい。
【0033】
ここで、
図3に示すように、隣接する2つの区画室11A、11Bのそれぞれ平面視における中央近傍に撹拌機12が設置されていて、下流側の撹拌機12Bが平面視において時計回り方向に回転している場合であれば、下流側の区画室11B内においては、隔壁15と区画室11Bの側壁との両接合部分のうち、より多くの撹拌流の流れが向かう方向の側の接合部分152Aの周辺(直交する2つの壁で囲まれている部分)が、「被処理液の液面が他の部分よりも相対的に高くなる部分」となる。従って、この場合においては、
図3及び
図4に示す通り、逆流防止堰152を、接合部分152Aにおいて、区画室の側壁にその一方の側端を隙間なく接合させる態様で、隔壁15の上辺に設けることが好ましい。
【0034】
尚、撹拌機12による撹拌流の流れの方向が、隔壁15の各表面に対して直交する方向となる部分が特定されている場合、「被処理液の液面」は、当該部分においても他の周辺部分よりも相対的に高くなるので、隔壁15の上辺のうち、そのような部分に対応する部分に逆流防止堰152を設けてもよい。
【0035】
又、本発明のオートクレーブ装置における、逆流防止堰152の幅と高さは、上述した通り、取り扱う原料スラリーの性状や、撹拌機の撹拌能力等によって適宜調整すればよい。一例として、ニッケルとコバルトとの混合硫化物を含む原料スラリーに対する浸出処理を行う一般的な密閉加圧型のオートクレーブ装置においては、目安として、隔壁15の全幅(
図4に示す幅W)に対する逆流防止堰152の幅(
図4に示す幅w)の比率(w/W)を、25%以上とすることが好ましく、45%以上55%以下とすることがより好ましい。又、この場合において、逆流防止堰152の高さは、隔壁15の全幅Wの10%~20%程度とすることが好ましい。
【0036】
具体的な実施例として、ニッケルとコバルトとの混合硫化物を含む原料スラリーに対する浸出処理を行う密閉加圧型のオートクレーブ装置(各区画室の容積:3m
3~6m
3、隔壁の幅:2400mm、撹拌機の回転径:900mm、回転速度160rpm程度)の場合において、高さ240mm、幅600mm(隔壁の幅の25%)の逆流防止堰を、
図3に示す態様で区画室の側壁を起点として設置した場合には、下流側の区画室から上流側の区画室に逆行するオーバーフロー量を50%程度削減できること、又、上記の逆流防止堰を1200mm(隔壁の幅の50%)とした場合には、下流側の区画室から上流側の区画室に逆行するオーバーフロー量を90%程度削減できることが確認されている。
【0037】
[浸出処理]
オートクレーブ装置1においては、最上流の区画室11Aに処理対象となる原料スラリー、及び、硫酸等の溶液が連続的に供給される。そして、区画室11Aでは、撹拌機12Aによる撹拌によって、原料スラリー中の固形物に含まれる有価金属を、溶液中に浸出させる。
【0038】
区画室11Aにて原料スラリーの撹拌が施されるとともに、その原料スラリーの一部は、隔壁15Aの上辺のうち、逆流防止堰152が設けられていない部分からオーバーフローして、隣接する区画室11Bへと移送される。そして、区画室11Bでは、区画室11Aにおける処理と同様に、撹拌機12Bによる撹拌によって、順次浸出処理が進行する。
【0039】
以降、順次、区画室11C、区画室11Dへと原料スラリーが、上述した態様で進行するオーバーフローにより移送され、各々の区画室11(11A、11B、11C、11D)において、各区画室内に供給されたガスと接触、反応させることにより、浸出処理が進行していく。そして、最下流の区画室11Dにおいても同様にして、原料スラリーに対する浸出処理が施されると、その区画室11Dに設けられた浸出液排出管14を介して、有価金属を浸出させて得た浸出液を含むスラリーが最終的に槽外に排出される。
【0040】
尚、ニッケルとコバルトとの混合硫化物を含む原料スラリーに対する浸出処理に本発明のオートクレーブ装置を用いる場合、各々の区画室内における、ニッケル硫化物やコバルト硫化物の浸出処理時の反応は、下記式(1)及び式(2)となる。
NiS+2O2→NiSO4 ・・・(1)
CoS+2O2→CoSO4 ・・・(2)
【0041】
[オートクレーブ装置の運転方法]
本発明のオートクレーブ装置は、隔壁を間に挟んで隣接する2つの区画室、好ましくは全ての区画室において、各々の区画室に、同一形状同一サイズの撹拌翼を備え、同一条件における最大回転速度が等しい撹拌機を設置した構成とすることができる。この場合、2つの撹拌機、好ましくは全ての撹拌機を同一の最大回転速度で稼働させて、装置の最大処理効率を保持しながら、本発明の効果を享受して、処理方向に逆行するオーバーフローによる原料スラリーの逆流を十分に防止することができる。
【0042】
オートクレーブ装置において、各々の隔壁の上辺の一部に逆流防止堰を設けることにより、運転中における処理方向に沿ったオーバーフローを円滑に進行させながら、同時に処理方向に逆流する原料スラリーのオーバーフローを防ぐことができる。これにより、原料スラリーを構成する鉱石や混合硫化物、マット等の原料(固形物)からの有価金属の浸出率の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 オートクレーブ装置
11(11A、11B、11C、11D) 区画室
12(12A、12B、12C、12D) 撹拌機
121 撹拌軸
122(122A、122B) 撹拌羽根
13 原料スラリー装入管
14 浸出液排出管
15(15A、15B、15C) 隔壁
151(151A、151B、151C) 通液口
152 逆流防止堰