(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179098
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】出力回路
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20221125BHJP
H03K 19/0185 20060101ALI20221125BHJP
H03K 19/0944 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
H03K19/0185
H03K19/0944
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021086354
(22)【出願日】2021-05-21
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮島 一之
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 将伍
【テーマコード(参考)】
5J056
【Fターム(参考)】
5J056AA04
5J056BB17
5J056BB51
5J056CC01
5J056CC26
5J056DD13
5J056DD28
5J056FF08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な構成で消費電流が小さくオープンドレインのトランジスタの小型化が可能な出力回路を提供する。
【解決手段】出力回路1Aの電流生成部2は、ゲートアスペクト比が異なるトランジスタMN1、MN2のゲートを差動入力段22とするトランスコンダクタンスアンプAMPと、トランジスタMN1、MN2のゲート間に接続された抵抗R1と、トランスコンダクタンスアンプAMPの出力に応じた電流を抵抗R1に供給するトランジスタMP3とを有する。出力駆動部3は、トランジスタMP3にゲートとソースが夫々共通接続されたトランジスタMP4と、トランジスタMP4にミラーされたトランジスタMP3に流れる電流が供給される抵抗R2とトランジスタMN5とを有する。出力駆動部3は、抵抗R2に発生する電圧降下とトランジスタMN5のゲート・ソース電圧に応じたゲート・ソース電圧Vgsn6をトランジスタMN6のゲート・ソース間に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子にドレインが接続される第1のMOSトランジスタと、
ドレイン・ソースが前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソースに接続され、ゲートに前記第1のMOSトランジスタをオン又はオフにするための駆動信号が入力される第2のMOSトランジスタと、
ソースがお互いに電流源に接続され、ゲートアスペクト比が異なる第3のMOSトランジスタ及び第4のMOSトランジスタのゲートを差動入力段とするトランスコンダクタンスアンプと、第1の抵抗と、前記トランスコンダクタンスアンプの出力に応じた電流を前記第1の抵抗に供給する第5のMOSトランジスタと、を有し、前記第3のMOSトランジスタ及び前記第4のMOSトランジスタのゲート間に前記第1の抵抗を接続することにより、前記トランスコンダクタンスアンプによる負帰還で定まる電流を前記第1の抵抗に流す電流生成部と、
前記第5のMOSトランジスタにゲートおよびソースがそれぞれ共通接続された第6のMOSトランジスタと、前記第6のMOSトランジスタにミラーされた前記第5のMOSトランジスタに流れる電流と等しい電流が供給される第2の抵抗およびドレイン・ゲートがダイオード接続された第7のMOSトランジスタと、を有し、前記第2の抵抗に発生する電圧降下と前記第7のMOSトランジスタのゲート・ソース電圧に応じた駆動電圧を前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソース間に供給する出力駆動部と、を備えた、
出力回路。
【請求項2】
請求項1に記載の出力回路において、
前記第1のMOSトランジスタのドレイン電圧が低下したときに前記出力駆動部から前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソース間に供給する前記駆動電圧を遮断して前記第1のMOSトランジスタのゲート電圧を引き上げるスイッチをさらに備えた、
出力回路。
【請求項3】
請求項2に記載の出力回路において、
前記スイッチは、ドレイン・ソースが前記第2の抵抗とグランドとの間に接続され、ゲートが前記第1のMOSトランジスタのドレインに接続された第8のMOSトランジスタから構成される、
出力回路。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の出力回路において、
前記第1のMOSトランジスタ及び前記出力駆動部が、複数設けられ、
複数の前記出力駆動部の前記第6のMOSトランジスタが1つの前記第5のMOSトランジスタにカレントミラー接続されている、
出力回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路に関する。
【背景技術】
【0002】
オープンドレインの出力端子は、例えばマイコンと、それにより駆動されるモータドライバ回路など電源電圧の異なるIC間で通信を行う際のインタフェースの出力としてしばしば用いられる。出力端子として用いられるトランジスタのドレインは、電源電圧に抵抗などでプルアップされる。このため、抵抗の両端が短絡した場合、トランジスタに大きな電流が流れて破損する場合がある。このため、トランジスタに流れる電流を制限する過電流保護回路が必要となる。
【0003】
このような過電流保護回路として特許文献1、2に記載されたものが提案されている。特許文献1の過電流保護回路は、トランジスタに流れる電流を検出し、過電流が流れたと判定した場合、トランジスタをオフする。しかしながら、特許文献1の過電流保護回路は、トランジスタが複数ある場合、複数のトランジスタ毎に電流を検出する電流センス抵抗、過電流を判定するアンプが必要であるため、回路規模が大きくなる、という問題があった。
【0004】
特許文献2の過電流保護回路は、出力端子となるオープンドレインのトランジスタをカレントミラー回路の出力とし、入力のトランジスタに参照電流を供給する。この過電流保護回路によれば、入力のトランジスタ及び出力のトランジスタのゲートアスペクト比と参照電流により出力のトランジスタの制限電流が決まる。例えば、このカレントミラー回路の入出力間の電流比を100倍程度にして50mAで電流制限する場合、参照電流は500μA程度になる。この参照電流を小さくしようとすると、出力のトランジスタのゲート幅を入力のトランジスタのゲート幅に対して大きくする必要があり、オープンドレインのトランジスタの素子面積が拡大する、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-38363号公報
【特許文献2】特開2013-232760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でかつ消費電流が小さく出力端子であるオープンドレインのトランジスタの小型化が可能な出力回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る出力回路は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
出力端子にドレインが接続される第1のMOSトランジスタと、
ドレイン・ソースが前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソースに接続され、ゲートに前記第1のMOSトランジスタをオン又はオフにするための駆動信号が入力される第2のMOSトランジスタと、
ソースがお互いに電流源に接続され、ゲートアスペクト比が異なる第3のMOSトランジスタ及び第4のMOSトランジスタのゲートを差動入力段とするトランスコンダクタンスアンプと、第1の抵抗と、前記トランスコンダクタンスアンプの出力に応じた電流を前記第1の抵抗に供給する第5のMOSトランジスタと、を有し、前記第3のMOSトランジスタ及び前記第4のMOSトランジスタのゲート間に前記第1の抵抗を接続することにより、前記トランスコンダクタンスアンプによる負帰還で定まる電流を前記第1の抵抗に流す電流生成部と、
前記第5のMOSトランジスタにゲートおよびソースがそれぞれ共通接続された第6のMOSトランジスタと、前記第6のMOSトランジスタにミラーされた前記第5のMOSトランジスタに流れる電流と等しい電流が供給される第2の抵抗およびドレイン・ゲートがダイオード接続された第7のMOSトランジスタと、を有し、前記第2の抵抗に発生する電圧降下と前記第7のMOSトランジスタのゲート・ソース電圧に応じた駆動電圧を前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソース間に供給する出力駆動部と、を備えた、
出力回路であること。
[2]
[1]に記載の出力回路において、
前記第1のMOSトランジスタのドレイン電圧が低下したときに前記出力駆動部から前記第1のMOSトランジスタのゲート・ソース間に供給する前記駆動電圧を遮断して前記第1のMOSトランジスタのゲート電圧を引き上げるスイッチをさらに備えた、
出力回路であること。
[3]
[2]に記載の出力回路において、
前記スイッチは、ドレイン・ソースが前記第2の抵抗とグランドとの間に接続され、ゲートが前記第1のMOSトランジスタのドレインに接続された第8のMOSトランジスタから構成される、
出力回路であること。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の出力回路において、
前記第1のMOSトランジスタ及び前記出力駆動部が、複数設けられ、
複数の前記出力駆動部の前記第6のMOSトランジスタが1つの前記第5のMOSトランジスタにカレントミラー接続されている、
出力回路であること。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構成でかつ消費電流が小さく出力端子であるオープンドレインのトランジスタの小型化が可能な出力回路を提供することができる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態における本発明の出力回路を示す回路図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態における本発明の出力回路を示す回路図である。
【
図3】
図3は、第3実施形態における本発明の出力回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
(第1実施形態)
第1実施形態の出力回路1Aは、
図1に示すように、オープンドレインの出力端子となるトランジスタMN6(第1のMOSトランジスタ)と、トランジスタMN4(第2のMOSトランジスタ)と、電流生成部2と、出力駆動部3と、を備えている。トランジスタMN6は、ドレインが出力端子Toutに接続され、ソースがグランドに接続されている。また、出力端子Toutとグランドとの間には、抵抗RL、バッテリV2が接続される。
【0013】
トランジスタMN4は、NchのMOSFETから構成されている。トランジスタMN4は、ドレイン・ソースがトランジスタMN6のゲート・ソース間に接続されている。このトランジスタMN4のゲートにトランジスタMN6をオン又はオフするための駆動信号VINが供給される。このトランジスタMN4に駆動信号VINが供給され、トランジスタMN4がオンすると、トランジスタMN6のゲート・ソースが短絡されて、トランジスタMN6がオフする。一方、トランジスタMN4の駆動信号VINが遮断され、トランジスタMN4がオフすると、トランジスタMN6はゲート・ソース間に後述するゲート電圧Vgsn6が供給されてオンする。
【0014】
電流生成部2は、1/R1に比例したドレイン電流Idp3を生成する回路である。また、出力駆動部3は、ドレイン電流Idp3と等しいドレイン電流Idp4を抵抗R2に供給することにより、R2/R1に比例したゲート・ソース電圧Vgsn6(駆動電圧)を生成して、トランジスタMN6のゲート・ソースに供給する回路である。ここで、R1およびR2は抵抗R1および抵抗R2の抵抗値である。
【0015】
電流生成部2は、トランスコンダクタンスアンプAMPと、トランジスタMP3(第5のMOSトランジスタ)と、抵抗R1(第1の抵抗)と、トランジスタMN3と、を備えている。トランスコンダクタンスアンプAMPは、トランジスタMP1、MP2から構成されるカレントミラー回路21と、トランジスタMN1、MN2(第3、第4のMOSトランジスタ)から構成される差動入力段22と、電流源I1と、を有している。
【0016】
カレントミラー回路21を構成するトランジスタMP1、MP2は、PchのMOSFETから構成されている。トランジスタMP1、MP2のソースがバッテリV1から供給される電源電圧VDDに接続され、トランジスタMP1、MP2のゲート同士が接続される。トランジスタMP2は、ゲートとドレインが接続される。トランジスタMP1、MP2は、カレントミラー比が1:1となるように設けられている。これにより、トランジスタMP1、MP2のドレイン電流が等しくなる。
【0017】
差動入力段22を構成するトランジスタMN1、MN2は、NchのMOSFETから構成されている。トランジスタMN1のドレインが、トランジスタMP1のドレインに接続され、トランジスタMN2のドレインが、トランジスタMP2のドレインに接続される。トランジスタMN1、MN2のソースは、電流源I1に接続される。また、トランジスタMN1のアスペクト比>トランジスタMN2のアスペクト比となる。本実施形態では、トランジスタMN1のアスペクト比:トランジスタMN2のアスペクト比を4:1としている。電流源I1は、トランジスタMN1、MN2のソースとグランドとの間に接続される。
【0018】
トランジスタMP3、抵抗R1、トランジスタMN3は互いに直列接続されている。トランジスタMP3は、PchのMOSFETから構成されている。トランジスタMP3は、ゲートがトランスコンダクタンスアンプAMPの出力(トランジスタMP1、MN1のドレイン)に接続されている。トランジスタMP3は、ソースが電源電圧VDDに接続されている。抵抗R1は、トランジスタMP3のドレインと後述するトランジスタMN3のドレインとの間に接続されている。
【0019】
トランジスタMN3は、NchのMOSFETから構成されている。トランジスタMN3は、ゲートがドレインに接続されたダイオード接続となり、ソースがグランドに接続されている。このトランジスタMN3は、差動入力段22を構成するトランジスタMN1、MN2の動作電圧を設定するために設けられている。トランジスタMN1、MN2の動作電圧を設定する構成であればよく、トランジスタMN3以外の構成としてもよい。
【0020】
上述した差動入力段22を構成するトランジスタMN1のゲートが、抵抗R1のグランド側の一端に接続され、トランジスタMN2のゲートが、抵抗R1の電源VDD側の一端に接続される。これにより、抵抗R1に流れるトランジスタMP3のドレイン電流Idp3を、トランスコンダクタンスアンプAMPによる負帰還で定まる電流とすることができる。
【0021】
トランスコンダクタンスアンプAMPは、カレントミラー回路21によりトランジスタMN1、MN2に同じドレイン電流が流れるように動作する。また、トランジスタMN1のアスペクト比>トランジスタMN2のアスペクト比である。このため、トランスコンダクタンスアンプAMPは、抵抗R1に電圧降下を発生させ、トランジスタMN1のゲート電圧をトランジスタMN2のゲート電圧よりも低くして、トランジスタMN1、MN2のドレイン電流Idn1、Idn2を等しくする。即ち、トランスコンダクタンスアンプAMPは、トランジスタMN1、MN2のドレイン電流Idn1、Idn2が互いに等しくなるような、出力をトランジスタMP3のゲートに出力する。これにより、後述するようにトランジスタMP3のドレイン電流Idp3は、1/R1に比例した電流となる。
【0022】
出力駆動部3は、トランジスタMP4(第6のMOSトランジスタ)と、抵抗R2(第2の抵抗)と、トランジスタMN5(第7のMOSトランジスタ)と、を有している。トランジスタMP4と、抵抗R2と、トランジスタMN5と、は互いに直列接続されている。トランジスタMP4は、PchのMOSFETから構成されている。トランジスタMP4は、トランジスタMP3にゲート同士、ソース同士が共通接続され、トランジスタMP3、MP4のアスペクト比は1:1に設けられている。これにより、トランジスタMP3のドレイン電流Idp3が、トランジスタMP4のドレイン電流Idp4にミラーされ、ドレイン電流Idp3、Idp4が等しくなる。
【0023】
抵抗R2は、トランジスタMP4のドレインと、トランジスタMN5のドレインとの間に接続され、ドレイン電流Idp4が供給される。トランジスタMN5は、NchのMOSFETから構成されている。トランジスタMN5は、ゲートがドレインに接続されたダイオード接続となり、ソースがグランドに接続されている。
【0024】
トランジスタMN1のドレイン電流Idn1とトランジスタMN1のゲート・ソース電圧Vgsn1との関係式は以下の式(1)により表される。
【0025】
【0026】
また、トランジスタMN2のドレイン電流Idn2とトランジスタMN1のゲート・ソース電圧Vgsn1との関係式は以下の式(2)により表される。
【0027】
【0028】
また、上述したように、カレントミラー回路21によりトランジスタMN1、MN2に同じドレイン電流が流れるように動作し、下記の式(3)、(4)に示すように、トランジスタMN1、MN2のドレイン電流Idn1、Idn2は互いに等しく、その和は、電流源I1に等しい。
Idn1=Idn2 …(3)
Idn1+Idn2=I1 …(4)
また、トランジスタMN1のアスペクト比:トランジスタMN2のアスペクト比を4:1とすると、下記の式(5)が得られる。
βn1=4βn2 …(5)
【0029】
上記式(1)~(5)により、トランジスタMP3のドレイン電流Idp3は下記の式(6)で表すことができる。式(6)に示すように、ドレイン電流Idp3は、1/R1に比例する。
【0030】
【0031】
トランジスタMP4のドレイン電流Idp4は、ドレイン電流Idp3がミラーされ、下記の式(7)で表すことができる。
【0032】
【0033】
このため、抵抗R2にドレイン電流Idp4を供給すると、抵抗R2には、下記の式(8)に示す電圧降下VR2が生じる。
【0034】
【0035】
また、トランジスタMN5のゲート・ソース電圧Vgsn5は下記の式(9)で表すことができる。
【0036】
【0037】
また、トランジスタMN6のゲート・ソース電圧Vgsn6は、下記の式(10)により表すことができる。
【0038】
【0039】
ここで、トランジスタMN5のゲートアスペクト比を大きく取りトランスコンダクタンス係数βn5を大きくすると、ゲート・ソース電圧Vgsn5は閾値電圧Vthnに近くなるため、下記の式(11)で表すことができる。
【0040】
【0041】
また、トランジスタMN6のドレイン電流Idn6は下記の式(12)で表すことができる。
【0042】
【0043】
よって、式(11)、(12)より、ドレイン電流Idn6は、下記の式(13)で表すことができる。
【0044】
【0045】
上記式(13)から明らかのようにドレイン電流Idn6は、トランジスタMN1、MN2及びMN5、MN6が同一の閾値電圧Vthn、キャリア移動度μn、ゲート酸化膜厚COXを持つ素子を使用した場合、Vthnの影響を受けない。即ち、ドレイン電流Idn6を抵抗R1、R2の比と、トランスコンダクタンス係数βn6、βn2の比とに応じた値に制限することができる。この場合、トランスコンダクタンス係数βn6、βn2の比はトランジスタMN2、MN6のサイズ比となる。結果、本実施形態は、トランジスタMN1、MN2及びMN5、MN6の素子の特性ばらつき、抵抗R1、R2の絶対値のばらつき、さらには温度変動に対して影響を受けにくいトランジスタMN6のドレイン電流Idn6の制限を行うことができる。
【0046】
以上の構成によれば、ドレイン電流Idn6の制限電流が、トランジスタMN2、MN6のサイズ比だけでなく、抵抗R2、R1の抵抗値比にも応じているため、電流源I1を小さな値に絞ったとしても、トランジスタMN2、MN6のサイズ比を巨大なものとする必要がなくなる。これにより、簡単な構成でかつ消費電流が小さくトランジスタMN6の小型化を図ることができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図2を参照して説明する。同図において、
図1について上述した第1実施形態で既に説明した
図1に示す出力回路1Aと同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0048】
第1実施形態と第2実施形態とで大きく異なる点は、出力回路1Bが、トランジスタMN7(スイッチ、第8のMOSトランジスタ)を備えている点である。トランジスタMN7は、NchのMOSFETから構成されている。トランジスタMN7は、ソース・ドレインがトランジスタMN5とグランドとの間に接続されている。また、トランジスタMN7は、ゲートがトランジスタMN6のドレインに接続されている。
【0049】
このトランジスタMN7の役割は、トランジスタMN6のドレイン電圧が抵抗RLの素子間の短絡などにより高い場合のみ、過電流保護機能を動作させることである。
図1に示す第1実施形態の場合、トランジスタMN6のゲート・ソース電圧Vgns6が常に式(11)に示す一定値に制限される。トランジスタMN6のON抵抗Ron6は以下の式(14)で表される。
【0050】
【0051】
式(14)に示すように、ON抵抗Ron6は、ゲート・ソース電圧Vgsn6が小さいほど、大きくなる。第1実施形態の場合、抵抗RLの抵抗値を小さく設定した場合、トランジスタMN6がオンしてもそのドレイン電圧を十分に下げきれない場合が考えられる。
図2に示す第2実施形態はこうした点を改善するための回路である。トランジスタMN6がオンしてそのドレイン電圧が、トランジスタMN7の閾値電圧Vthnよりも低ければ、トランジスタMN7がオフする。これにより、出力駆動部3からトランジスタMN6のゲート・ソース間に供給する式(11)に示すゲート・ソース電圧Vgsn6が遮断され、トランジスタMN6のゲート電圧が電源電圧VDDまで引き上げられるため、式(14)で表されるON抵抗Ron6を下げることが出来る。抵抗RLの短絡等でドレイン電圧が下がらない場合は、トランジスタMN7がオンして、第1実施形態同様のドレイン電流の制限を行う事が出来る。
【0052】
なお、第2実施形態によれば、トランジスタMN7のゲートをトランジスタMN6のドレインに接続し、ドレイン電圧が閾値電圧Vthnより低下したときにトランジスタMN7がオフしていたが、これに限ったものではない。トランジスタMN6のドレイン電圧が入力されるコンパレータを設けて、コンパレータの出力によってトランジスタMN7をオンオフする構成としてもよい。
【0053】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図3を参照して説明する。同図において、
図2について上述した第2実施形態で既に説明した
図2に示す出力回路1Bと同等の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0054】
第2実施形態と第3実施形態とで大きく異なる点は、出力回路1Cは、複数(
図3では2つ)のオープンドレインのトランジスタMN6、MN6Bを制御する点である。トランジスタMN6、MN6Bのドレインには抵抗RL、RLBが接続されている。即ち、第3実施形態の出力回路1Cは、複数の出力駆動部3、3Bを備えている。
【0055】
図3においては、トランジスタMP3に並列に複数の出力駆動部3、3Bを構成するトランジスタMP4、MP4Bをミラー接続して、そのドレイン電流Idp3をそれぞれ抵抗R2、R2Bに供給する。これにより、電流生成部2としては1回路で済み、従来例のような出力回路を複数設けた場合に比べ、より一層簡単な回路構成となる。
【0056】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1A~1C 出力回路
2 電流生成部
3 出力駆動部
22 差動入力段
I1 電流源
MP3 トランジスタ(第5のMOSトランジスタ)
MP4 トランジスタ(第6のMOSトランジスタ)
MN1 トランジスタ(第3のMOSトランジスタ)
MN2 トランジスタ(第4のMOSトランジスタ)
MN4 トランジスタ(第2のMOSトランジスタ)
MN5 トランジスタ(第7のMOSトランジスタ)
MN6 トランジスタ(第1のMOSトランジスタ)
MN7 トランジスタ(第8のMOSトランジスタ)
R1 抵抗(第1の抵抗)
R2 抵抗(第2の抵抗)