(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179459
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】測定方法及び試験測定システム
(51)【国際特許分類】
G01R 13/20 20060101AFI20221125BHJP
G01R 13/02 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
G01R13/20 L
G01R13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022083026
(22)【出願日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】63/191,908
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/747,954
(32)【優先日】2022-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】カン・タン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(57)【要約】
【課題】測定速度を改善する。
【解決手段】試験測定装置20は、プローブ32を介して被試験デバイス10からの信号を受け、1つ以上のプロセッサ38は、信号から波形を生成し、波形にイコライザを適用し、波形について行われる1つ以上の測定を特定する入力をユーザ・インタフェース装置44から受け、既知のデータ・パターンについてユニット・インターバル(UI)の数を選択し、このUI数の長さを有する既知のデータ・パターンを探して波形を調査し、既知のデータ・パターンをショート・パターン波形として特定し、ショート・パターン波形に機械学習システム46を適用して1つ以上の測定の値を得て、波形の1つ以上の測定の値を供給する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイスから信号を受ける処理と、
上記信号から波形を生成する処理と、
上記波形にイコライザを適用する処理と、
上記波形について行われる1つ以上の測定を特定する入力を受ける処理と、
ユニット・インターバル(UI)の数を選択する処理と、
上記波形を調査して上記UIの数に等しい長さを有するショート・パターン波形を特定する処理と、
機械学習システムを上記ショート・パターン波形に適用して、上記1つ以上の測定の値を取得する処理と、
上記機械学習システムからの上記波形の上記1つ以上の測定の値を供給する処理と
を具える測定方法。
【請求項2】
上記機械学習システムを上記ショート・パターン波形に適用する処理が、上記ショート・パターン波形としてのテンソルに上記機械学習システムを適用する処理を含む請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
上記機械学習システムを適用する処理が、1つ以上のショート・パターン・データベースを使用して上記ショート・パターン波形を分析する処理を含む請求項1記載の測定方法。
【請求項4】
1つ以上のショート・パターン・データベースを使用する処理が、入力データ・サイズを小さくするために、特定の閾値未満の係数値を有するショート・パターン・データベースを上記機械学習システムから除去する処理を更に含む請求項3記載の測定方法。
【請求項5】
上記UIの数を選択する処理が、上記イコライザのタップ数に基づいて上記UIの数を選択する処理を含む請求項1記載の測定方法。
【請求項6】
上記機械学習システムをトレーニングする処理を更に具え、該トレーニングする処理が、
ショート・パターンの使用する長さを設定する処理と、
上記機械学習システムで使用するデータセットとして、波形からショート・トレーニング・パターンのセットを選択すると共に上記ショート・トレーニング・パターンのセットの関連する測定値を選択する処理と、
上記機械学習システムによって生成される結果が所望の結果を満たすか判断するために上記機械学習システムを試験する処理と、
上記結果が上記所望の結果を満たさない場合に、上記ショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択し、上記ショート・トレーニング・パターンの上記異なるセットを使用して上記試験する処理を繰り返す処理とを有する請求項1記載の測定方法。
【請求項7】
上記ショート・トレーニング・パターンの上記異なるセットを選択する処理が、同じ長さのショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択する処理か、又は、もっと長い長さを有するショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択する処理を含む請求項6記載の測定方法。
【請求項8】
上記ショート・パターンは、特定の個数のショート・パターン・データベースに記憶され、ショート・パターン・シーケンス・データベースの上記個数Lは、L=SNの関係に従って、シグナリングの特定の形式において使用される信号レベルの個数S及びパターン長Nによって定まる請求項1記載の測定方法。
【請求項9】
被試験デバイスからの信号を受けるように構成された試験測定装置と、
1つ以上のプロセッサと
を具え、該1つ以上のプロセッサが、
上記信号から波形を生成する処理と、
上記波形にイコライザを適用する処理と、
上記波形について行われる1つ以上の測定を特定する入力を受ける処理と、
既知のデータ・パターンのユニット・インターバル(UI)の数を選択する処理と、
上記UIの数の長さを持つ上記既知のデータ・パターンを探すために上記波形を調査する処理と、
上記既知のデータ・パターンをショート・パターン波形として特定する処理と、
上記ショート・パターン波形に機械学習システムを適用して上記1つ以上の測定の値を取得する処理と、
上記波形の上記1つ以上の測定の値を供給する処理と
を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される試験測定システム。
【請求項10】
上記ショート・パターン波形に上記機械学習システムを適用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、1つ以上のショート・パターン波形データベースを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを含む請求項9記載の試験測定システム。
【請求項11】
1つ以上のショート・パターン波形データベースを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、入力データ・サイズを縮小するために、特定の閾値未満の係数値を有するショート・パターン波形データベースを上記機械学習システムから除去する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムを更に含む請求項10記載の試験測定システム。
【請求項12】
UIの数を選択する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、上記波形に適用される上記イコライザのタップの個数に基づいてUIの数を選択するためのプログラムを更に含む請求項9記載の試験測定システム。
【請求項13】
上記波形を調査して上記既知のデータ・パターンをショート・パターン波形として特定する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、ショート・パターン波形を選択し、時系列情報を含めるためのプログラムを含む請求項9記載の試験測定システム。
【請求項14】
上記1つ以上のプロセッサは、上記機械学習システムをトレーニングするためのプログラムを実行するように更に構成され、該プログラムが、上記1つ以上のプロセッサに、
ショート・トレーニング・パターンの使用する長さを設定すると共に、設定された上記ショート・パターンの長さを有する上記ショート・トレーニング・パターンのサブセットを設定する処理と、
機械学習システムにデータセットとして提供される、波形の利用可能な上記ショート・トレーニング・パターンのサブセットと、上記ショート・トレーニング・パターンの関連する測定値とを選択する処理と、
上記機械学習システムによって生成される結果が所望の結果を満たすかどうかを判断するために上記機械学習システムを試験する処理と、
上記結果が上記所望の結果を満たさない場合に、上記ショート・トレーニング・パターンの別のサブセットを選択し、上記試験する処理を繰り返す処理と
を行わせる請求項9記載の試験測定システム。
【請求項15】
上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットを選択する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラムが、同じ長さを有する上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットか、又は、もっと長い長さの上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットを選択する処理を含む請求項14記載の試験測定システム。
【請求項16】
上記ショート・パターンは、特定の個数のショート・パターン・データベースに記憶され、ショート・パターン・シーケンス・データベースの個数Lは、L=SNの関係に従って、シグナリングの特定の形式において使用される信号レベルの個数S及びパターン長Nによって定まる請求項9記載の試験測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、試験測定システム及び方法に関し、より詳しくは、被試験デバイスからの信号の測定に機械学習を適用することに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの電子装置及びシステムは、通信及びデータ転送に高速な信号、具体的には、例えば、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)及びイーサネット(登録商標)のような高速シリアル・データ・プロトコルに従って、トランスミッタとレシーバの間で送信される信号を使用する。従来、オシロスコープなどの試験測定装置が、これらの高速信号を取り込み(アクイジションし)、アイ・ダイアグラムを生成して信号の特性を測定するのに使用されてきた。
【0003】
信号速度が速くなると、システム性能を向上させるために、トランスミッタとレシーバにおいて、イコライザが広く使用されている。例えば、PCIe第5世代(PCIe Gen5)のレシーバは、連続時間線形イコライザ(CTLE:continuous time linear equalizer)に加えて、3タップの判定帰還型イコライザ(DFE:decision feedback equalizer)を有している。例えば、PCI-SIG, 「PCI Express Base Specification 5.0, Version 10」2019年(https://pcisig.com/specifications/ で入手可能)」を参照ください。IEEE100G/400G イーサネット規格は、5タップ・フィード・フォワード・イコライザ(FFE:feed forward equalizer)を使った測定を定義している。例えば、「IEEE P802.3bs-2017」2017年(http://standards.ieee.org/findstds/standard/802.3bs-2017.html で入手可能)、「IEEE P802.3cd-2018」2018年(http://standards.ieee.org/develop/project/802.3cd.html で入手可能)を参照ください。
【0004】
レシーバがイコライザを有する場合、測定の一部は、等化された信号に対して実行される。例えば、PCIe第5世代では、アイの高さとアイの幅の測定値は、等化波形のアイ・ダイアグラムに基づいて定義される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-25662号公報
【特許文献2】特開2016-213834号公報
【特許文献3】特開2013-257329号公報
【特許文献4】国際公開第2021/092156号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「PCI Express Base Specification 5.0, Version 10」、PCI-SIG、公開日2019年7月23日、[online]、[2022年5月19日検索]、インターネット<https://pcisig.com/specifications/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いくつかの手法において、機械学習システムが、等化処理の前のアイ・ダイアグラムを入力として使用することがある。次いで、機械学習システムは、所望の測定値を提供できる。しかし、等化処理前のアイ・ダイアグラムは、時系列情報を含まず、イコライザ適用後(post-equalizer)の波形は、イコライザ適用前(pre-equalizer)波形と、大きく異なることがあり、これは、プロセスを不正確なものにする。
【0008】
本発明の実施形態は、これら及び他の問題に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、入力波形について信号測定を実行するために、機械学習技術を適用するシステム及び方法を含む。本発明の実施形態は、概して、波形から作成されたショート・パターンのデータベースを利用する。これにより、プロセスは、機械学習を用いて、全ての又は一部のパターン波形を使用した場合よりも、分析を高速化できる。その代わり、実施形態は、1つ以上のデータベースに記憶された多数の様々なシンボルのショート・パターンでトレーニングされた機械学習システムを使用する。その後、システムは、これらのパターンを見つけるためにスキャンし、ショート・パターンに関連付けられた測定値を生成できる。本発明の実施形態は、アイ・ダイアグラムを使用する技術と比較して、測定の精度が改善する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、光トランシーバ試験システムの一実施形態を示す。
【
図3】
図3に、イコライザ適用前後のアイ・ダイアグラムの2つの例を示す。
【
図4】
図4は、5タップ・フィード・フォワード・イコライザのタップのグラフィカル表現を示す。
【
図5】
図5は、時系列情報を有するパターン波形の部分的な表示を示す。
【
図6】
図6は、様々なパターン長の波形データベースの例を示す。
【
図7】
図7は、様々なシンボル・シーケンスの波形データベースの例を示す。
【
図9】
図9は、ショート・パターン波形データベースを含む機械学習システムの一実施形態を示す。
【
図10】
図10は、ショート・パターン波形テンソル画像の一例を示す。
【
図11】
図11は、ショート・パターン波形テンソル画像の一例を示す。
【
図12】
図12は、長さが1シンボルのパターンのショート・パターン波形データベースの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述のように、信号速度が速くなるにつれて、多くのシステムでは、システム性能を向上させるために、イコライザを採用している。上述のように、PCIe(Peripheral Component Interface Express)第6世代は、連続時間線形イコライザ(CTLE)に加えて、3タップの判定帰還型イコライザ(DFE)を使用する。別の例では、100G/400Gの米国電気電子学会(IEEE)規格802.3は、26ギガ・ボー(GBaud)及び53ギガ・ボーのPAM4光シグナリングの重要な(key)合否基準として、TDECQ(transmitter and dispersion eye closure quaternary)測定を指定している。これは、機械学習システムへの入力として時系列情報のない波形を使用することの問題を示す例を与える。
【0012】
TDECQ測定には、5タップFFEが含まれる。
図1は、トランスミッタ(Tx)又は被試験トランシーバ10からの光信号の取り込み(アクイジション)を示す試験ブロック図を示す。光信号は、偏光回転子や可変反射器のような光学系12と相互作用しても良い。信号は、試験ファイバ14を通過し、光電(O/E)変換器16に到達し、これは、光信号を電気信号に変換する。オシロスコープ20は、クロック・リカバリ・ユニット(CRU)18を有していても良く、次に、得られた電気信号をサンプリングし、その信号をデジタル化する。デジタル化されたサンプルは、波形として保存される。
【0013】
従来のオシロスコープ中の基準イコライザ及び分析モジュール22は、次いで、TDECQ測定及び分析を実行しても良い。
図2は、TDECQ測定を行う際に用いるダイアグラムの一例を示す。この例では、波形は、TDECQ値が最小になるよう1ユニット・インターバル(UI)の間隔を最適化することで、5タップのフィード・フォワード・イコライザ(FFE)から得られる。「0」と「1」の間隔は、UIの間隔を示す。
【0014】
TDECQ値は、次の式(数式1)で計算される。
【数1】
ここで、OMA
outerは、光信号のパワーに関係する。Q
rは、シンボル・エラー比(symbol error ratio)に関係する定数値である。σ
G
2は、
図2に示すアイ・ダイアグラムに加算されることがある重み付きガウス・ノイズの標準偏差であって、0.45及び0.55の2つの垂直スライサーにおいて、シンボル・エラー比が更に大きくなることがあり、0.1UIの隔たりは、4.8e-4である。σ
Sの項は、オシロスコープのノイズを表し、信号がO/Eモジュールに供給されないときに記録される。
【0015】
コンプライアンス(compliance:規格準拠)パターンSSPRQ(short stress pattern random quaternary)についての1回のTDECQ測定には、従来の方法を使用して、完了するまでに数秒かかる。上記特許文献4は、TDECQを含む光トランシーバに関する測定値を取得する時間を短縮することを目的とした機械学習技術を開示している。開示された機械学習手法の1つは、波形のアイ・ダイアグラム画像表現を、ニューラル・ネットワークのトレーニング用の入力として、次いで、光トランシーバの試験用として受ける。
【0016】
図3は、波形にFFEを適用する前(左側)と、適用した後(右側)のアイ・ダイアグラムの例を示す。右側のFFE適用後のアイ・ダイヤグラムは、より大きなアイ開口部を有する。FFE前のアイ・ダイアグラムを機械学習用のニューラル・ネットワークへの入力として使用すると、FFE後のアイ・ダイアグラムの情報を与えないことになる。5つのFFEタップは、現在のサンプルの近辺の5つのUI(ユニット・インターバル)のサンプルに適用される。FFE前のアイ・ダイアグラムは、全てのサンプルが1つ又は2つのUIに折りたたまれて(wrap)いるため、時系列(time sequence)の情報を含んでいない。
図4は、
図3の右側のアイ・ダイアグラムを作成するために、この例で使用したFFEタップを示す。
【0017】
これに対して、
図5に示すように、実際のパターン波形では、全てのサンプルに、それに関連付けられた時間がある。その時系列(time sequence:時間シーケンス)情報は、FFE処理で使用できる。アイ・ダイアグラムを使用する別の機械学習手法では、等化処理された実際のパターン波形を、ニューラル・ネットワークへのトレーニング用の入力として使用し、次に試験用の入力として使用する。
【0018】
しかし、パターン波形のサンプルは、多すぎるために、トレーニングには実用的ではない場合がある。例えば、SSPRQパターンには、65535個のシンボルがある。1UIごとに複数のサンプルがある場合、サンプリング波形が非常に大きくなる。実際にサンプリングされた波形を使用すると、機械学習トレーニングの実行に時間がかかる。1つの選択肢は、部分的なパターン波形を使用することであるが、この手法では、波形中の重要な情報が含まれないことがあり、これは、測定誤差を増加させる可能性がある。
【0019】
上述したように、本願の実施形態は、機械学習モジュール(例えば、ニューラル・ネットワーク)を有するショート・パターン波形データベースを使用して、信号測定を実行する。更に、イコライザを必要とする測定の場合、より正確な結果を得るためには、イコライザが、時系列のサンプルで動作するため、ニューラル・ネットワークへの入力データに時系列情報を含める必要がある。従来のアイ・ダイアグラムでは、シンボルとシンボルの間の時系列情報が失われていた。本願の実施形態は、時系列情報を含むショート・パターン波形を使用し、波形のサイズと精度及び時系列の問題に対する解決策を提供する。
【0020】
このプロセスは、波形中に現れるショート・パターンに基づいて、ショート・パターン波形データベースを構築する。本願で使用される用語「ショート(short:短い)」は、所定数のUIに等しい長さを有する波形の部分を意味する。システムは、データ・パターンをスキャン(調査)し、ショート・パターン波形を特定して抽出し、抽出されたショート・パターン波形の波形サンプルを、対応するショート・パターン波形データベースに入れる。このスキャン・プロセスは、対象となるショート・パターン波形ごとに、複数のショート・パターン波形データベースを構築するために、繰り返したり、並列に動作したりしても良い。データベースの選択は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)シグナリング又はノン・リターン・トゥ・ゼロ(NRZ)シグナリングなどのシグナリングの形式及びパターンの信号レベルによって決定しても良い。例えば、PAM4には、シンボル0、1、2及び3に対応する4つのレベルがあり、NRZには、シンボル1又は0の2つのレベルがある。以下の説明では、変数Sは、シグナリングの形式に由来する信号レベルの数を示す。データ・パターンは、既知の場合が多いか、又は、検出可能である。
【0021】
UIの数Nは、ショート・パターンの長さを定義する。この長さの選択は、現在のシンボルに対して先行するシンボルの影響を考慮に入れても良い。
図6は、PAM4信号に関して、現在の3のシンボルにつながる様々な個数の先行するシンボルの波形データベースを示している。例えば、PAM4信号中の1つのシグナリング・レベルを表す3のシンボルに先行するシンボルとして1から4個のゼロを検討する。考慮するシンボルの数が増えるほど、現在のシンボルに関する波形データベースが、よりきれいになる(つまり、先行するシンボルに由来する混在の影響が、より少なくなる)。本願で使用される場合、用語「波形データベース」は、全パターン波形の中の、所与のショート・パターン長Nにわたって同じシンボル・パターンを有するパターン波形部分の全ての集合を意味する。以下でより詳細に説明するように、システムは、データベースのサブセット(一部分)を使用しても良く、使用されるサブセットは、対象となるパターンや取り込まれた波形について行われる測定によって決まる。
【0022】
左上の波形データベースは、それぞれが2つのUIにまたがり、それぞれがパターン長2で、そのショート・パターンが03を示す全てのショート・パターン波形を含む。右上は、3シンボルの前に2つの0シンボルがあり、そのショート・パターンが003で、3つのUIにまたがるショート・パターン波形の波形データベースを示す。左下は、4個のシンボルの波形データベースを示し、そのショート・パターンは0003であり、そして、右下は、5個のシンボルの波形データベースを示し、そのショート・パターンは00003である。
【0023】
レシーバのイコライザの構成では、チャンネル損失などのチャンネル障害を補償する。チャンネル損失は、シンボル間干渉に反映される。イコライザを必要とする測定では、イコライザの影響する範囲(reach:リーチ)に合わせてショート・パターンの長さを選択できる。これは、時系列に関する重要な情報を提供し、このために、機械学習ブロックに入力されるデータが正確なモデルになり、よって、正確な測定結果が得られる。
【0024】
例えば、TDECQ測定では、5タップFFEが必要なため、プロセスは、ショート・パターン長を5に設定する。
図7に示すように、SSPRQデータ・パターンから作成されたショート・パターン波形データベースは、各ショート・パターンの時系列情報を持っており、機械学習システムは、正確な測定結果を得るために、データの重要な情報を捕捉できる。一番上の行の画像は、左から右に、シンボル・シーケンスが00030、01030及び02030のショート・パターン波形データベースを示している。中央の組は、左から右に、シンボル・シーケンスが03030、00300及び10300のショート・パターン・データベースを示している。一番下の行は、左から右に、シンボル・シーケンス20300と30300を示している。
【0025】
これらのデータベースを利用するために、機械学習システムは、最初に、高速かつ正確なトレーニングとランタイムを可能にする形式で波形を入力として受ける必要がある。
図1を再度参照すると、オシロスコープ20等の試験測定装置は、トランシーバから信号を受けて、波形を生成する。この説明での被試験デバイス(DUT)は、光トランシーバで構成されているが、本願で使用されるシステムと方法は、光又は電気のあらゆるタイプのDUTに適用されることに注意されたい。
【0026】
図8は、DUT(10など)に関する性能測定を提供する、機械学習システム46と共に使用可能な試験測定装置20の一実施形態を示す。試験測定装置は、概して、プローブ32を介してDUT10と接続される。
図1に関して説明したように、入力経路は、入力される光信号を電気信号に変換する光電変換器を有していても良い。装置20のアクイジション回路36は、入力信号をデジタル化するアナログ・デジタル・コンバータ(ADC)と、タイミングを提供するクロック・リカバリ及びトリガ・ハードウェアとを有していても良い。プロセッサ38は、アクイジション・ハードウェア及び波形への信号のレンダリングを制御しても良い。表示部42は、ユーザに対して得られる波形を表示する。ユーザ・インタフェース装置44は、表示部上の任意のタッチスクリーン機能を含んでも良く、ユーザが装置をインタラクティブに操作して予め設定されたメニューから選択できるようにする。この選択には、波形に必要な測定の種類、ショート・パターン波形の長さなどが含まれる。この長さは、システム内の予め選択された変数又は予め設定された変数などから生じても良い。
【0027】
メモリ40によって、プロセッサは、波形データを記憶し、波形データに対する処理が可能となり、また、メモリ40は、実行可能なコード(プログラム)を記憶しても良い。試験測定装置を含むシステム全体は、1つ以上のプロセッサを有し、1つ以上のプロセッサは、本願で説明する様々なタスクを1つ以上のプロセッサに行わせるコード(プログラム)を実行するように構成される。1つ以上のプロセッサには、試験測定装置上の1つ以上のプロセッサと、機械学習システム46内の1つ以上のプロセッサとが含まれても良い。機械学習システムは、試験測定装置からデータを受ける独立した1つ以上のコンピュータ・デバイスを有していても良い。独立したデータベース構造48は、全ての波形データベースを記憶していても良いし、又は、機械学習システム及びそのコンピューティング・デバイスの一部を含んでもよい。
【0028】
DUTから信号を受けると、試験測定装置は、信号の波形を生成し、1つ以上のイコライザを波形に適用する。これは、イコライザが波形を構成するサンプルに作用することを意味する。システム内の1つ以上のプロセッサが、これらのタスクを実行する場合がある。システムは、UIの個数を単位としてショート・パターンの長さNを指定する入力を受ける。上述したように、ユーザがこの入力を提供しても良いし、又は、システムが、予め定義されたパラメータなどからそれを決定しても良い。同様にして、TDECQ又は他の測定値のような1つ以上の必要な性能測定が特定されるであろう。いくつかの実施形態では、ショート・パターン長を、選択された測定に基づいて自動的に決定しても良い。例えば、TDECQ測定が選択された場合、システムは、TDECQ測定用に指定されている5タップFFEイコライザのリーチに対応して、ショート・パターン長を5UIであると自動的に決定しても良い。
【0029】
次に、システムは、波形をスキャン(調査)して、その長さからなる既知のパターンを探し、ショート・パターン波形のセット(set:組、グループ)を生成する。一実施形態では、システムが、ショート・パターン波形をテンソルに変換しても良いが、本願での説明の目的では、これらは依然としてショート・パターン波形とみなすことにする。ショート・パターンが特定されると、それらは機械学習システムに送信される。次いで、機械学習システムは、所望の測定値を返す。このシステムは、従来の方法で測定値を計算するよりも、はるかに高速に動作し、測定の値を提供する。
【0030】
図9は、ショート・パターン波形データベースを用いた機械学習構造の一実施形態を示す。ショート・パターン波形データベースは、トレーニング及び試験のためのニューラル・ネットワークへの入力として、テンソル50のような機械学習に適した形式の形態をとっても良い。その出力は、測定結果である。測定結果は、スカラー値又はベクトルとすることができ、機械学習のラベルとして使用できる。トレーニング中は、ショート・パターン波形と測定結果の両方が使用される。試験中は、ショート・パターン波形のみを使用して測定結果を得る。
【0031】
トレーニング・プロセスには、ショート・パターンの長さを選択するプロセスが含まれる。これは、小さな値(3など)から始めることができる。あり得るショート・シンボル・シーケンスの数Lは、数式2で、信号レベルSとショート・パターン長Nによって決まる。
L=SN (2)
【0032】
例えば、PAM4シグナリングの場合、3個のシンボルのショート・パターンについて、43=64個の波形データベースが存在する可能性がある。NRZシグナリングの場合、3個のシンボルのショート・パターンについて、23=8個の波形データベースが存在する可能性がある。上述のように、これは、特定のデータベース内のショート・パターンを全てカバーする非常に大きなデータベースに至る可能性がある。例えば、PAM4シグナリングでは、N=5の場合、45、つまり、1024個のショート・パターンがあり得る。機械学習システムのトレーニングには、あり得る1024個のショート・パターンのそれぞれについて多数の例と、各パターンに関連付けられた測定値とが必要になる。これでは、機械学習システムをトレーニングするのに、余りに多くの時間と、余りに多くのリソースとがかかりすぎる。
【0033】
一実施形態では、システムは、データベースからのあり得るショート・パターンのサブセットと、これらショート・パターンに関連する測定値とを使用する。例えば、所望の結果は、PAM4信号の4つのレベルに影響を与えるチューニング(調整)パラメータを予測する深層学習(deep learning:ディープ・ラーニング)ネットワークの形態の機械学習システムを得ることと仮定する。システムは、同じレベルの連続したUIを持つ4つのショート・パターンを使用するとする。一実施形態では、これら4つのシーケンス(連続するもの)の全てが、1つのテンソル画像に配置され、これが、ランタイム及びトレーニングの両方のための深層学習システムへの入力となる。
図10は、4つのレベルに関する4つのシーケンスのテンソル画像の例を示す。
【0034】
例えば、システム内の1つのチューニング・パラメータは、信号利得を調整することができ、これにより、4つのレベルの全ては、利得設定が低いほど互いにより近くなり、利得設定が高いと更に離れるようになるであろう。トランスミッタにおけるオフセット・コントロールは、4つのシンボル全てが画像内で垂直に移動又は下に移動するであろうが、それらの間の距離は同じままであろう。3つ目のトランスミッタ・パラメータによって、利得とオフセットの両方を変化させても良いであろう。あり得る全てのショート・パターン波形を含むショート・パターン・データベースのサブセット(一部分)を表すこの画像を使用することにより、深層学習(ディープ・ラーニング)ネットワークは、3つのパラメータ全てのこれら効果を簡単に確認し、それらの値について予測を行うことが可能になる。
【0035】
別の例では、機械学習システムが、FFEタップを予測することもできる。
図11に示すようなパルスを示すショート・パターン波形を用いると、FFEタップがパルス形状に影響を与えことから、深層学習ネットワークがパルス形状をいくつかのFFEタップのセットに関連付けることができるため、機械学習がより良好に機能する。
図11の画像は、水平に端から端までレイアウトされた3つのショート・パターンを含む単一のテンソル画像を示す。各シーケンスは、左から右に、第1パルスに関しては、PAM4信号のレベル0からレベル1、第2パルスに関しては、レベル0からレベル2、第3パルスに関しては、レベル0からレベル3までの異なるパルスの高さを示している。深層学習ネットワークは、この画像を見て、複数のFFEタップ値が何であるかを予測できる。もちろん、他のアプリケーションも存在し、これらは、単に、機械学習システムが画像をどのように使用できるかの例を提供するものである。
【0036】
現在のショート・パターン長の設定から、機械学習トレーニングで望ましい結果が得られない場合、プロセスは、ショート・パターンの長さを増やして、トレーニングを再試行しても良い。このプロセスは、また、ショート・トレーニング・パターンの別のサブセットを選択して、トレーニングに使用しても良い。ショート・パターンの長さによって使用されるパターンが変更されるため、これは、ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットを選択することも含まれることになる。トレーニングに使用されるショート・パターン波形は、ショート・トレーニング・パターン波形又はショート・トレーニング・パターンと呼ばれることがある。
【0037】
上述のように、ショート・パターンの長さは、イコライザのリーチ(影響する範囲)によって定まるが、「過剰」にイコライザのリーチを超えるべきではない。例えば、イコライザが5タップFFEの場合、パターンの長さは、5UIを過剰に超えるべきではない。例えば、パターンの長さは、5、6又は7に選択できる。イコライザが3タップDFEの場合、DFEは、先行する3つのシンボルのみを参照するため、パターンの長さは、4を過剰に超えないようにする必要がある。「過剰」の意味の決定は、機械学習システムへの入力の性質(nature:特性)によって決まることがある。例えば、一実施形態では、ニューラル・ネットワークの入力が、上述したような画像データである場合、画像サイズの制限が、パターンのUIの数(つまり、長さ)を決める要因となっても良い。一実施形態では、画像サイズは、224×224画素に制限され、このサイズの入力画像を受け入れるように設計された機械学習システムを採用する。
【0038】
プロセスが、所望の機械学習の結果をもたらす適切なショート・パターン長を見つけると、プロセスは、入力層52内の重み付け(つまり、係数)を確認(check:調査)しても良い。これにより、関連付けられた重みの小さい接続が特定でき、これには、しきい値との比較が含まれても良い。システムは、入力データ・サイズを縮小するために、その対応するショート・パターン波形データベースを入力から除去し、それから、トレーニング結果が、依然として要件を満たしているかどうかを確認する。一部の機械学習ツールには、入力データ・サイズを自動的に縮小する次元(dimension)縮小機能がある。このプロセスは、次元縮小(dimensionality reduction)と見なすことができる。
【0039】
ここまでの説明は、主にPAM4シグナリングと関連する波形データベースに焦点を当ててきた。Nを異なる値に設定すると、ショート・パターン波形データベース手法は、従来のアイ・ダイアグラム手法やフル・データ・パターン波形手法など、機械学習のための他の手法もカバーできる。
【0040】
Nを1に設定すると、
図12の左上に0、右上に1、左下に2、右下に3を示すように、PAM4信号の4つのショート・パターン波形データベースが存在する。4つの波形データベースを重ね合わせると、従来のアイ・ダイアグラムが得られる。長さNを1に設定すると、機械学習のためのショート・パターン波形データベース手法は、機械学習が従来のアイ・ダイアグラムを使用する場合と同様の結果をもたらすことが期待できる。
【0041】
Nがフル・パターン波形の長さに設定されている場合、データを含むショート・パターン波形データベースは1つだけである。このショート・パターン波形データベースは、信号のフル・パターンと同じシンボル・シーケンスを持つ。ショート・パターン波形データベース手法は、Nを柔軟に設定できるため、機械学習を用いた測定の精度と速度の調整が可能になる。
【0042】
この手法は、例えば、特に、シンボル間干渉ジッタ測定のように、限定された時系列情報を必要とする他の測定についても改善できる。
【0043】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0044】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0045】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0046】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0047】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0048】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
実施例
【0049】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0050】
実施例1は、方法であって、被試験デバイスから信号を受ける処理と、上記信号から波形を生成する処理と、上記波形にイコライザを適用する処理と、上記波形について行われる1つ以上の測定を特定する入力を受ける処理と、ユニット・インターバル(UI)の数を選択する処理と、上記波形をスキャン(調査)して、上記UIの数に等しい長さを有するショート・パターン波形を特定する処理と、機械学習システムを上記ショート・パターン波形に適用して、上記1つ以上の測定の値を取得する処理と、上記機械学習システムからの上記波形の上記1つ以上の測定の値を供給する処理とを具える。
【0051】
実施例2は、実施例1の方法であって、上記機械学習システムを上記ショート・パターン波形に適用する処理が、上記ショート・パターン波形としてのテンソルに上記機械学習システムを適用する処理を含む。
【0052】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの方法であって、上記機械学習システムを適用する処理が、1つ以上のショート・パターン・データベースを使用して上記ショート・パターン波形を分析する処理を含む。
【0053】
実施例4は、実施例3の方法であって、1つ以上のショート・パターン・データベースを使用する処理が、上記1つ以上のショート・パターン・データベースのサブセットのみを使用する処理を含む。
【0054】
実施例5は、実施例3の方法であって、1つ以上のショート・パターン・データベースを使用する処理が、入力データ・サイズを小さくするために、特定の閾値未満の係数値を有するショート・パターン・データベースを上記機械学習システムから除去する処理を更に含む。
【0055】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの方法であって、上記UIの数を選択する処理が、上記イコライザのタップ数に基づいて上記UIの数を選択する処理を含む。
【0056】
実施例7は、実施例1から6のいずれかの方法であって、上記UIの数を選択する処理が、上記波形について行われる上記1つ以上の測定に基づいて上記UIの数を選択する処理を含む。
【0057】
実施例8は、実施例1から7のいずれかの方法であって、上記機械学習システムをトレーニングする処理を更に具え、該トレーニングする処理が、ショート・パターンの使用する長さを設定する処理と、上記機械学習システムで使用するデータセットとして、波形からショート・トレーニング・パターンのセットを選択すると共に上記ショート・トレーニング・パターンのセットの関連する測定値を選択する処理と、上記機械学習システムによって生成される結果が所望の結果を満たすか判断するために上記機械学習システムを試験する処理と、上記結果が上記所望の結果を満たさない場合には、上記ショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択し、上記ショート・トレーニング・パターンの上記異なるセットを使用して上記試験する処理を繰り返す処理とを有する。
【0058】
実施例9は、実施例8の方法であって、上記ショート・トレーニング・パターンの上記異なるセットを選択する処理が、同じ長さのショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択する処理か、又は、もっと長い長さを有するショート・トレーニング・パターンの異なるセットを選択する処理を含む。
【0059】
実施例10は、実施例9の方法であって、上記ショート・パターンは、特定の個数のショート・パターン・データベースに記憶され、このとき、ショート・パターン・シーケンス・データベースの上記個数Lは、L=SNの関係に従って、シグナリングの特定の形式において使用される信号レベルの個数S及びパターン長Nによって定まる。
【0060】
実施例11は、試験測定システムであって、被試験デバイスからの信号を受けるように構成された試験測定装置と、1つ以上のプロセッサとを具え、該1つ以上のプロセッサは、上記信号から波形を生成する処理と、上記波形にイコライザを適用する処理と、上記波形について行われる1つ以上の測定を特定する入力を受ける処理と、既知のデータ・パターンのユニット・インターバル(UI)の数を選択する処理と、上記UIの数の長さを持つ上記既知のデータ・パターンを探すために上記波形をスキャン(調査)する処理と、上記既知のデータ・パターンをショート・パターン波形として特定する処理と、上記ショート・パターン波形に機械学習システムを適用して上記1つ以上の測定の値を取得する処理と、上記波形の上記1つ以上の測定の値を供給する処理とを上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)を実行するよう構成される。
【0061】
実施例12は、実施例11の試験測定システムであって、上記ショート・パターン波形が、テンソルから構成される。
【0062】
実施例13は、実施例11又は12のいずれかの試験測定システムであって、上記ショート・パターン波形に上記機械学習システムを適用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、1つ以上のショート・パターン波形データベースを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)を含む。
【0063】
実施例14は、実施例13の試験測定システムであって、1つ以上のショート・パターン波形データベースを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、入力データ・サイズを縮小するために特定の閾値未満の係数値を有するショート・パターン波形データベースを上記機械学習システムから除去する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)を更に含む。
【0064】
実施例15は、実施例13の試験測定システムであって、1つ以上のショート・パターン波形データベースを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、上記1つ以上のショート・パターン波形データベースのサブセットのみを使用する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)を更に含む。
【0065】
実施例16は、実施例11から15のいずれかの試験測定システムであって、UIの数を選択する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、上記波形に適用される上記イコライザのタップの個数に基づいてUIの数を選択するためのプログラム(コード)を更に含む。
【0066】
実施例17は、実施例11から16のいずれかの試験測定システムであって、上記波形をスキャン(調査)して上記既知のデータ・パターンをショート・パターン波形として特定する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、ショート・パターン波形を選択し、時系列(time sequence:時間シーケンス)情報を含めるためのプログラム(コード)を含む。
【0067】
実施例18は、実施例11から17のいずれかの試験測定システムであって、上記1つ以上のプロセッサは、ショート・トレーニング・パターンの使用する長さを設定すると共に、設定された上記ショート・パターンの長さを有する上記ショート・トレーニング・パターンのサブセットを設定する処理と、機械学習システムにデータセットとして提供される、波形の利用可能な上記ショート・トレーニング・パターンのサブセットと、上記ショート・トレーニング・パターンの関連する測定値とを選択する処理と、上記機械学習システムによって生成される結果が所望の結果を満たすかどうかを判断するために上記機械学習システムを試験する処理と、上記結果が上記所望の結果を満たさない場合に、上記ショート・トレーニング・パターンの別のサブセットを選択し、上記試験する処理を繰り返す処理とを含む、上記機械学習システムをトレーニングするためのプログラム(コード)を実行するように更に構成される。
【0068】
実施例19は、実施例18の試験測定システムであって、上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットを選択する処理を上記1つ以上のプロセッサに行わせるプログラム(コード)が、同じ長さを有する上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットと、もっと長い長さの上記ショート・トレーニング・パターンの異なるサブセットとの中からいずれかを選択する処理を含む。
【0069】
実施例20は、実施例11から19のいずれかの試験測定システムであって、ショート・パターンは、特定の個数のショート・パターン・データベースに記憶され、ショート・パターン・シーケンス・データベースの上記個数Lは、L=SNの関係に従って、シグナリングの特定の形式において使用される信号レベルの個数S及びパターン長Nによって定まる。
【0070】
説明の都合上、本開示技術の具体的な態様を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0071】
10 トランスミッタ(Tx)又は被試験トランシーバ(DUT)
12 光学系
14 試験ファイバ
16 光電(O/E)変換器
18 クロック・リカバリ・ユニット(CRU)
20 試験測定装置(オシロスコープ)
22 基準イコライザ及び分析モジュール
32 プローブ
36 アクイジション回路
38 プロセッサ
40 メモリ
42 表示部
44 ユーザ・インタフェース装置
46 機械学習システム
48 データベース構造
50 入力テンソル
52 入力層
54 隠れ層1
56 隠れ層2
58 出力層
【外国語明細書】