(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022179533
(43)【公開日】2022-12-02
(54)【発明の名称】ダイ・ダイ検査用適応性ケアエリア
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221125BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20221125BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20221125BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
H01J37/22 502Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022151488
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2020521368の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】62/574,189
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/158,774
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バジャリア ヒマンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラウバー ジャン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ヨン
(57)【要約】
【課題】下にある構造の空間的シフトという問題に対応する。
【解決手段】本件開示に記載の方法、システム及び製品では、適応性ケアエリア(ACA)を用いダイ画像の欠陥検査が実行される。ACAの使用によって、ケアエリアの回動が必要となる部材回動の取り扱い、各ケアエリア自身の回動、並進又はアフィン変換が必要な状況の取り扱い、並びに欠陥又はプロセスばらつきにより引き起こされた強度差をサイズばらつきにより引き起こされた強度差から分離させる状況、なる問題が解決される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
欠陥検査を実行する方法であって、
x座標、
y座標、及び
形状、
を含めそれぞれ複数通りの所定特性を有する第1の適応性ケアエリアと第2の適応性ケアエリアを少なくとも画定するステップと、
非一時的コンピュータ可読格納媒体を含む電子データ格納ユニット内に格納されるレシピにその適応性ケアエリアを保存するステップと、
粒子エミッタ及び検出器を備える検査ツールを用いステージ上のウェハのダイ画像を取得するステップと、
プロセッサにて前記レシピを前記電子データ格納ユニットから読み込み、そのレシピに保存されている適応性ケアエリアに関し、そのプロセッサを用いて、
前記ダイ画像上で前記第1の適応性ケアエリアに対応する第1個所を特定し、
そのダイ画像上の第1個所上に前記第1の適応性ケアエリアを重ね、
そのダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャに前記第1の適応性ケアエリアを合わせ込み、前記第2の適応性ケアエリアは、前記合わせ込みの間に前記ダイ画像上の第1個所に関して固定され、前記第1の適応性ケアエリアと前記第2の適応性ケアエリアそれぞれに独立な位置原点シフトが付され、そして
前記第1の適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査を実行する、
ステップと、
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記粒子エミッタが広帯域プラズマ光源、電子ビーム源、ランプ又はレーザを有する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記形状が多角形又は楕円である方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記形状が、ユーザが定めた不規則形状である方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記複数通りの所定特性が、更に、少なくとも一通りのフィーチャ特性を含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記フィーチャ特性が、スケール不変特徴変換、ロバスト特徴量高速化、オリエンテッドFASTと回転ブリーフ、勾配方向ヒストグラム、隅部検出子又は勾配ベース記述子を含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャへの前記第1の適応性ケアエリアの合せ込みが、並進、回動、スケーリング、アフィン変換、遠近法ワープ及び投影歪曲のうち一種類又は複数種類を含む方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
更に、一通り又は複数通りの調整限界を画定するステップを有し、前記ダイ画像内の1個又は複数個の対応フィーチャへの前記第1の適応性ケアエリアの合せ込みが、当該一通り又は複数通りの調整限界により拘束される方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記形状が多角形であり、前記ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャへの前記第1の適応性ケアエリアの合せ込みが、その多角形の少なくとも1個の隅部の合せ込みを含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
更に、一通り又は複数通りの調整限界を画定するステップを有し、前記多角形の隅部の合せ込みが当該一通り又は複数通りの調整限界により拘束される方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
更に、前記検査ツールを用い前記ダイ画像を取得する前に前記第1の適応性ケアエリアへの予合わせを実行するステップを有し、前記第1の適応性ケアエリアへのその予合わせが、
確認済フィーチャを有する絶好ダイ、近隣ダイのメディアンから計算された合成ダイ又はデザインファイルから模擬導出されたデザイン画像を参照ダイとし、その参照ダイの参照ダイ画像を取得するステップと、
前記プロセッサにて前記レシピを前記電子データ格納ユニットから読み込み、そのレシピに保存されている適応性ケアエリアに関し、そのプロセッサを用いて、
前記参照ダイ画像上で前記第1の適応性ケアエリアに対応する第2個所を特定し、
その参照ダイ画像上の第2個所上に前記第1の適応性ケアエリアを重ね、そして
その参照ダイ画像上の1個又は複数個の対応要素に前記第1の適応性ケアエリアを予合わせする、
ステップと、
を含む方法。
【請求項12】
欠陥検査システムであって、
検査ツールを備え、その検査ツールが、
粒子を粒子ビームの態で放出するよう構成された粒子エミッタと、
その粒子エミッタにより放出される粒子ビームの経路上にてウェハを保持するよう構成されたステージと
そのウェハにより反射された粒子のうち一部分を検出しダイ画像をもたらすよう構成された検出器と、
を有し、
非一時的コンピュータ可読格納媒体を含む電子データ格納ユニットを備え、その電子データ格納ユニットが、
x座標、
y座標、及び
形状、
を含めそれぞれ複数通りの所定特性を有する第1の適応性ケアエリアと第2の適応性ケアエリアを少なくとも含むレシピを格納しうるよう構成されており、
それら検査ツール及び電子データ格納ユニットと電子通信するプロセッサを備え、そのプロセッサが、
その検査ツールから前記ダイ画像を受け取り、
前記レシピをその電子データ格納ユニットから読み込み、そのレシピに保存されている前記第1の適応性ケアエリアに、
そのダイ画像上で前記第1の適応性ケアエリアに対応する第1個所を特定し、
そのダイ画像上の第1個所上に前記第1の適応性ケアエリアを重ね、
そのダイ画像上の1個又は複数個の対応要素に前記第1の適応性ケアエリアを合せ込み前記第2の適応性ケアエリアは、前記合わせ込みの間に前記ダイ画像上の第1個所に関して固定され、前記第1の適応性ケアエリアと前記第2の適応性ケアエリアそれぞれに独立な位置原点シフトが付され、そして
前記第1の適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査を実行するよう、
構成されているシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記プロセッサが、更に、前記レシピを前記電子データ格納ユニットから読み込み、そのレシピに保存されている前記第1の適応性ケアエリアに関し、
確認済フィーチャを有する絶好ダイ、近隣ダイのメディアンから計算された合成ダイ又はデザインファイルから模擬導出されたデザイン画像、から取得された参照ダイ画像上で、前記第1の適応性ケアエリアに対応する第2個所を特定し、
その参照ダイ画像上の第2個所上に前記第1の適応性ケアエリアを重ね、そして
その参照ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャに前記第1の適応性ケアエリアを予合わせするよう、
構成されているシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、
前記粒子が光子又は電子であるシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
前記形状が多角形又は楕円であるシステム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、
前記形状が、ユーザが定めた不規則形状であるシステム。
【請求項17】
x座標、
y座標、及び
形状、
を含めそれぞれ複数通りの所定特性を有する第1の適応性ケアエリアと第2の適応性ケアエリアを画定するステップと、
その適応性ケアエリアをレシピに保存するステップと、
粒子エミッタ及び検出器を備える検査ツールからステージ上のウェハのダイ画像を取得するステップと、
前記レシピを読み込み、そのレシピに保存されている前記第1の適応性ケアエリアに、
前記ダイ画像上で前記第1の適応性ケアエリアに対応する個所を特定し、
そのダイ画像上のその個所の上に前記第1の適応性ケアエリアを重ね、
そのダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャに前記第1の適応性ケアエリアを合せ込み、前記第2の適応性ケアエリアは、前記合わせ込みの間に前記ダイ画像上の第1個所に関して固定され、前記第1の適応性ケアエリアと前記第2の適応性ケアエリアそれぞれに独立な位置原点シフトが付され、そして
前記第1の適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査を実行せよとの命令を送る、
ステップと、
を1個又は複数個の情報処理装置上で実行させる1個又は複数個のプログラムを有する非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項18】
請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記形状が多角形又は楕円である非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項19】
請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
前記形状が、ユーザが定めた不規則形状である非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【請求項20】
請求項17に記載の非一時的コンピュータ可読格納媒体であって、
一通り又は複数通りの調整限界が画定され、前記ダイ画像内の1個又は複数個の対応フィーチャへの前記第1の適応性ケアエリアの合せ込みが、当該一通り又は複数通りの調整限界により拘束される非一時的コンピュータ可読格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は、総じて、半導体デバイスにおける欠陥識別に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願への相互参照)
本願は、2017年10月18日付米国暫定特許出願第62/574189号に基づく優先権を主張するものであり、ここに参照によってその開示内容を本願に繰り入れることにする。
【0003】
半導体製造業界の発展につれ歩留まり管理、とりわけ計量及び検査システムへの要請が強まっている。限界寸法が縮まり続けているのに、業界には短時間で高歩留まり高付加価値生産を達成することが求められている。歩留まり問題を察知してからそれを正すまでの合計時間を縮めることが、半導体製造業者にとり投資収益率の決め手となっている。
【0004】
半導体デバイス、例えば論理デバイス及び記憶デバイスを製造する際には、通常、多数の製造プロセスを用い半導体ウェハを処理することで、それら半導体デバイスに備わる様々なフィーチャ(外形特徴)及び複数の階層が形成される。例えばリソグラフィなる半導体製造プロセスにおいては、パターンがレティクルから半導体ウェハ上に配置されたフォトレジストへと転写される。半導体製造プロセスの更なる例としては、これに限られるものではないが化学機械研磨(CMP)、エッチング、堆積及びイオンインプランテーションがある。単一の半導体ウェハ上にある配列をなして複数個の半導体デバイスを作成した後、それらを個別の半導体デバイスへと分けるようにするとよい。
【0005】
検査プロセスは半導体製造中の様々な工程にて用いられており、それによりウェハ側の欠陥を検出することで、その製造プロセスの歩留まり向上ひいては利益増進を促すことができる。検査は、常に、半導体デバイス例えば集積回路(IC)製造の重要部分とされてきた。しかしながら、半導体デバイスの寸法縮小につれ、より小さな欠陥でもデバイス不調につながりうることとなったため、許容しうる半導体デバイスの首尾よい製造のため、検査がかつてなく重要になっている。例えば、半導体デバイスの寸法縮小につれてより小さな欠陥の検出が必要になってきており、何故かといえば相対的に小さな欠陥でさえもそれら半導体デバイスに不要なずれを引き起こしかねないからである。
【0006】
半導体検査レシピのなかにはユーザがケアエリアたる長方形を描くものがあり、それら長方形は、自身の幅と、高さと、固定原点例えばダイ隅部からのx及びyオフセットと、により定義される。それらケアエリアは設定時に単一のウェハを用い定義される。検査中には、後刻検査されるウェハ毎に、それらケアエリアがダイ隅部を基準にして配置される。ある種の条件下では、この手法は検査向けに十分正確なものとなる。しかしながら、この手法では正確度が不足し不十分な用例が幾つかある。例えば、ダイを整列させること及びケアエリアをシフトさせることが正確度に悪影響を及ぼしうる。
【0007】
複数個のダイで単一のダイ(例.再構成ダイ)を組成する場合、ダイ隅部を基準とした配置が組成ダイ毎に異なることとなろう。これが妨げとなり、ある共通シフトで以てそれらケアエリアのずれを打ち消すことができない。即ち、ケアエリア毎にそれ自身の調整、例えばシフト及び回動を含むそれを行う必要がある。
【0008】
従来手法では、その下にあるフィーチャのサイズ変化を勘案することができない。例えば、現ウェハにおけるボンディングパッドのサイズが、ケアエリアが描かれたウェハ上のそれと異なっている場合、それらボンディングパッドの諸部分が検査されないかもしれず、またヌーサンス欠陥を引き起こすかもしれない。
【0009】
従来手法では、複数個の層が見えていて各層内の構造を取り巻くケアエリアが存する場合を、勘案することもできない。ステッパによる幾ばくかのシフトが個別の層に現れうるため、大域整列ではケアエリアを適正にシフトさせられないであろう。
【0010】
図1~
図4に、本件開示により解決される諸問題について例及び付加的説明を示す。
【0011】
図1にはダイ画像の一例100が描かれている。ダイ画像100内には正方形フィーチャ101、再分配層(RDL)102及び柱状フィーチャ103がある。ダイ画像100は、フィーチャが理想整列及び理想スケーリングされているダイの例である。この理想整列及び理想スケーリングを視認できるのは、ダイ画像上にケアエリアが重なっているときである。
【0012】
図2にはダイ画像200上におけるケアエリア配置例が描かれている。複数個のケアエリアがフィーチャ上に重ねられているなか(破線)、正方形フィーチャ201には正方形ケアエリア領域、RDLフィーチャ202には長方形ケアエリア領域、柱状フィーチャ203には円形ケアリア領域が重ねられている。
図2に示したケアエリアは、ダイ画像200上でフィーチャ201、202及び203と整列しており、且つそれらに対し適正スケーリングされている。
【0013】
図3にはダイ画像の一例300が描かれている。ダイ画像300内には正方形フィーチャ301、RDLフィーチャ302及び柱状フィーチャ303がある。ダイ画像300は、フィーチャが非理想整列又は非理想スケーリングされているダイの例であり、本願で論ずる用例のうち幾つかに係るものである。この非理想整列又は非理想スケーリングを視認できるのは、ダイ画像上にケアエリアが重なっているときである。
【0014】
図4にはダイ画像400上におけるケアエリア配置例が描かれている。複数個のケアエリアがフィーチャ上に重ねられているなか(破線)、正方形フィーチャ401には正方形ケアエリア領域、RDLフィーチャ402には長方形ケアエリア領域、柱状フィーチャ403には円形ケアリア領域が重ねられている。
図4に示したケアエリアは、ダイ画像400上でフィーチャ401、402及び403に対し非整列であり、且つそれらに対し不適正スケーリングされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0376802号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0246931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
概して、従来方法ではその下にある構造の空間的シフトなる核心問題に対策されていない。
【0017】
従って、欠陥識別方法及びシステムの改善が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本件開示の一実施形態に係る欠陥検査実行方法では、少なくとも1個の適応性ケアエリアが画定される。その適応性ケアエリアは、x座標、y座標、及び形状を含め、複数通りの所定特性を有する。その適応性ケアエリアが、電子データ格納ユニット内に格納されるレシピに保存される。ステージ上のウェハのダイ画像が、粒子エミッタ及び検出器を備える検査ツールを用い取得される。プロセッサにて、前記レシピが前記電子データ格納ユニットから読み込まれる。そのレシピに保存されている適応性ケアエリアに関し、そのプロセッサを用いて、ダイ画像上でその適応性ケアエリアに対応する第1個所が特定され、そのダイ画像上の第1個所上にその適応性ケアエリアが重ねられ、そのダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャにその適応性ケアエリアが合せ込まれ、そしてその適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査が実行される。
【0019】
粒子エミッタは、広帯域プラズマ光源、電子ビーム源、ランプ又はレーザを有するものとすることができる。その粒子エミッタから電子又は光子を放射させることができる。幾つかの実施形態によれば、その粒子エミッタから光、例えば赤外線、可視光、紫外線又はX線たりうるそれをも放射させることができる。
【0020】
前記形状は、多角形、楕円、或いはユーザが定めた何らかの不規則形状とすることができる。前記複数通りの所定特性には、更に、少なくとも一通りのフィーチャ特性、例えばスケール不変特徴変換、ロバスト特徴量高速化、オリエンテッドFASTと回転ブリーフ、勾配方向ヒストグラム、隅部検出子又は勾配ベース記述子たりうるそれを含めることができる。前記形状は何れの多角形ともすることができ、また適応性ケアエリアの合せ込み(調整)はその多角形の少なくとも1個の隅部の合せ込みを含むものとすることができる。その多角形の隅部の合せ込みを、一通り又は複数通りの調整限界により拘束することができる。
【0021】
ある例によれば、ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャへの適応性ケアエリアの合せ込みを、並進、回動、スケーリング、アフィン変換、遠近法ワープ及び投影歪曲のうち一種類又は複数種類とすることができる。適応性ケアエリアの合せ込みにおいて、更に、一通り又は複数通りの調整限界を画定し、当該一通り又は複数通りの調整限界により適応性ケアエリアの合せ込みを拘束することができる。
【0022】
本件開示のある実施形態では、検査ツールを用いダイ画像を取得する前に適応性ケアエリアへの予合わせ(予備調整)が実行される。適応性ケアエリアへのこの予合わせでは、参照ダイの参照ダイ画像を取得し、プロセッサにてレシピを電子データ格納ユニットから読み込むことができる。そのレシピに保存されている適応性ケアエリアに関し、そのプロセッサを用いて、参照ダイ画像上でその適応性ケアエリアに対応する第2個所を特定し、その参照ダイ画像上の第2個所上にその適応性ケアエリアを重ね、そしてその参照ダイ画像上の1個又は複数個の対応要素にその適応性ケアエリアを予合わせすることができる。その参照ダイは、確認済フィーチャを有する絶好ダイ、近隣ダイのメディアンから計算された合成ダイ又はデザインファイルから模擬導出されたデザイン画像とすることができる。
【0023】
本件開示の他実施形態に係る欠陥検査システムは、検査ツール、電子データ格納媒体、並びにそれら検査ツール及び電子データ格納ユニットと電子通信するプロセッサを備える。検査ツールは、更に、粒子を粒子ビームの態で放出するよう構成された粒子エミッタ、その粒子エミッタにより放出される粒子ビームの経路上にてウェハを保持するよう構成されたステージ、並びにそのウェハにより反射された粒子のうち一部分を検出しダイ画像をもたらすよう構成された検出器を有する。電子データ格納媒体は、少なくとも1個の適応性ケアエリアを含むレシピを格納しうるよう構成される。その適応性ケアエリアは、x座標、y座標、及び形状を含め複数通りの所定特性を有する。プロセッサは、検査ツールから前記ダイ画像を受け取り、前記レシピを電子データ格納ユニットから読み込み、そのレシピに保存されている適応性ケアエリア毎に、そのダイ画像上でその適応性ケアエリアに対応する第1個所を特定し、そのダイ画像上の第1個所上にその適応性ケアエリアを重ね、そのダイ画像上の1個又は複数個の対応要素にその適応性ケアエリアを合せ込み、そしてその適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査を実行するよう、構成される。
【0024】
本件開示の一実施形態に係るシステムのプロセッサは、更に、前記レシピを電子データ格納ユニットから読み込むよう構成することができる。そのレシピに保存されている適応性ケアエリアに関し、そのプロセッサにより、参照ダイ画像上でその適応性ケアエリアに対応する第2個所を特定し、その参照ダイ画像上の第2個所上にその適応性ケアエリアを重ね、そしてその参照ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャにその適応性ケアエリアを予合わせしてもよい。その参照ダイ画像を、確認済フィーチャを有する絶好ダイ、近隣ダイのメディアンから計算された合成ダイ又はデザインファイルから模擬導出されたデザイン画像から、取得してもよい。
【0025】
粒子エミッタから放出される粒子は光子又は電子とすることができる。幾つかの実施形態によれば、その粒子エミッタにより光、例えば赤外線、可視光、紫外線又はX線たりうるそれをも放射させることができる。
【0026】
適応性ケアエリアに備わる形状なる所定特性は、多角形、楕円、或いはユーザが定めた不規則形状とすることができる。
【0027】
本件開示のもう一つの実施形態は、1個又は複数個のプログラムを有する非一時的コンピュータ可読格納媒体でありうる。その1個又は複数個のプログラムにより、1個又は複数個の情報処理装置上で、以下の諸ステップを実行することができる。適応性ケアエリアが画定される。その適応性ケアエリアは、x座標、y座標、及び形状を含め複数通りの所定特性を有する。その適応性ケアエリアがレシピに保存される。ステージ上のウェハのダイ画像が、粒子エミッタ及び検出器を備える検査ツールから取得される。前記レシピが読み込まれる。そのレシピに保存されている適応性ケアエリア毎に、ダイ画像上でその適応性ケアエリアに対応する個所が特定される。そのダイ画像上のその個所の上にその適応性ケアエリアが重ねられる。そのダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャにその適応性ケアエリアが合せ込まれる。その適応性ケアエリア内でそのダイ画像の欠陥検査を実行せよとの命令が送られる。
【0028】
その非一時的コンピュータ可読格納媒体を、更に、多角形、楕円、或いはユーザが定めた他の不規則形状たる形状を含め、複数通りの所定特性を有する適応性ケアエリアを画定するよう構成されたプログラムを、有するものとすることができる。
【0029】
その非一時的コンピュータ可読格納媒体を、更に、画定された一通り又は複数通りの調整限界を実施するよう構成されたプログラムを有し、当該一通り又は複数通りの調整限界により、ダイ画像内の1個又は複数個の対応フィーチャへの適応性ケアエリアの合せ込みが拘束されるようにすることができる。
【0030】
本件開示の性質及び目的をより遺漏なく理解頂くため、後掲の詳細記述と併せ以下の添付図面を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ダイ画像の一部分を描いた図であり、複数個のフィーチャが理想整列及び理想スケーリングとなっている。
【
図2】ダイ画像上でのケアエリアの配置を描いた図であり、複数個のフィーチャが理想整列及び理想スケーリングとなっている。
【
図3】ダイ画像の一部分を描いた図であり、複数個のフィーチャが非理想整列又は非理想スケーリングとなっている。
【
図4】ダイ画像上でのケアエリアの配置を描いた図であり、複数個のフィーチャが非理想整列又は非理想スケーリングとなっている。
【
図5】本件開示に係る欠陥検査実行方法を描いた図である。
【
図6】ダイ上に描かれたかのようにケアエリアを描いた図である。
【
図7】検査対象ダイにフィットさせたケアエリアを描いた図である。
【
図8】本件開示に係る適応性ケアエリアへの予合わせの実行方法を描いた図である。
【
図9】本件開示のあるシステム実施形態を描いた図である。
【
図10】本件開示の他のシステム実施形態を描いた図である。
【
図11】ケアエリアによる欠陥報告を本件開示のある実施形態における適応性ケアエリアとの対比で描いた図である。
【
図12】ケアエリア整列におけるケアエリア誤整列を描いた図である。
【
図13】本件開示のある実施形態に係るACA整列を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ある特定の諸実施形態によって特許請求の範囲記載の主題を記述するが、本願にて説明されている諸利益及び諸特徴が全ては提供されない諸実施形態を含め、他の諸実施形態も本件開示の技術的範囲内にあるものとする。様々な構造的、論理的、処理ステップ的及び電子的改変が、本件開示の技術的範囲から離隔せずになされることがある。従って、本件開示の技術的範囲は別項の特許請求の範囲への参照のみにより定まる。
【0033】
本件開示に記載の新規方法は、適応性ケアエリア(以下ACA)を画定しダイ画像の検査に用いるものである。本願開示の諸実施形態では、従来の下方画像整列方法と比べケアエリアが動的に修正される。本願開示の諸実施形態に記載の方法、システム及び製品によれば、組み込まれているソフトウェアによりダイ画像の欠陥検査を実行することができる。本件開示に記載のACAは従来技術の諸問題を解決するものである。即ち、開示されている諸技術により、ケアエリアを回動させることが必要となりうる部材回動を扱うことができる。開示されている諸技術により、各ケアエリアがそれ自身の回動、並進及び恐らくはアフィン変換を受ける状況を扱うこともできる。これにより、ACAがより高い精度で以て検査対象フィーチャにフィットすることとなるため、欠陥又はプロセスばらつきにより引き起こされた強度差を、サイズばらつきにより引き起こされた強度差から、分離させることができる。従前の方法を用いたときには、不精密にフィットしているケアエリアから強度読み値がもたらされるため、偽欠陥報告(フォルスレポート)が発生していた。
【0034】
図11には、ケアエリアの不精密フィットが欠陥報告に及ぼす影響が、本件開示のある実施形態におけるACAの精密フィットとの対比で描かれている。例えばケアエリア1103は、ダイ1101上のフィーチャ1102向けに画定され、レシピ内に格納される。従前の方法を用いたダイ1104の検査にこのレシピを用いた場合、フィーチャ1105のサイズが小さめであると、ケアエリア1106を整列させうるものの、ケアエリアのサイズ及び形状が不変なため不精密フィットになりうる。この不精密フィットは不正確な強度読み値、ひいては偽欠陥報告につながりうるものであり、そのフィーチャが許容サイズばらつき範囲内であった場合ですらそうなりうる。これに対し、本件開示のある実施形態によれば、そのケアエリアがACA1105であり、ダイ1107上の小サイズフィーチャ1108に適応させる(即ち「ぴっちりさせる」)ことができる。これにより、適応が生じたという事実を報告すること、ひいては欠陥又はプロセスばらつきにより引き起こされた強度差とサイズばらつきにより引き起こされた強度差とを検査により区別することが可能となる。このように、本件開示の諸実施形態では旧来の整列方法よりも正確度が高くなる。
【0035】
本願開示の諸方法、システム及び製品によれば、ダイ上のフィーチャサイズが異なっている、フィーチャが回動を受けている、フィーチャのオフセットがてんでばらばらな大きさである、及び/又は、そのジョブフレーム内の様々な構造が異なるオフセットを受けている、という状況を扱うことができる。更に、本件開示によれば、従来は全て単一の誤差に括られていた配置誤差、サイズ誤差及び構造的欠陥を分離させることができる。
【0036】
本件開示の諸実施形態は旧来の画像整列方法よりも高速である。加えて、本件開示の諸実施形態で利用される情報処理リソースは従来の整列方法よりも少ない。例えば、旧来の整列方法例えばテンプレートベースの画像整列では、その画像内の全画素が勘案されるため、画素単位の画像寸法がnであるときの情報処理複雑度がO(n2)となる。画素に係るサーチ窓がmである場合、サーチをm回実行しなければならないため、マッチを見出すまでにm2*n2回の演算が行われることとなろう。本件開示のある実施形態に従いACAに関し重要点整列をなす場合、k回の整列を実行できればよいため、m2*k回の演算のみでマッチを形成することができる。即ち、本件開示のある実施形態では、m2/k倍少ない演算しか必要でないため、フィーチャマッチングの情報処理効率が高まる。
【0037】
本件開示の諸実施形態では、フィーチャ誤整列問題への対策が、ダイの整列のみに頼ってその問題を覆い隠すのではなく、直に行われる。本件開示によれば、任意なシフト、回動及び空間的変形に対処することができる。それを、長方形、一般的な多角形、円錐及び非パラメトリック形状であるケアエリアで以て用いることができる。異なるシフトを呈する複数個の層がダイ画像内に存する場合にも、対処することができる。
【0038】
図5に、本件開示のある実施形態を、ダイ画像その他のファイルについて欠陥検査を実行する方法500の態で示す。本方法500は、ACAの画定501、そのACAのレシピへの保存502、ウェハのダイ画像の取得503、そのダイ画像上でそのACAに対応する第1個所の特定504、その第1個所上へのそのACAの重ね合わせ505、そのダイ画像上の対応フィーチャへのそのACAの合せ込み506、並びにそのACA内でのそのダイ画像の欠陥検査の実行507、で構成されている。欠陥検査507にはそのACA内での欠陥の探査も含めることができる。
【0039】
第1個所は、ACAで以て定義される重要点に基づき特定すればよい。この例では、そのACA内の各重要点が居所及び特徴記述子に対応付けられ、それらがレシピ内に格納される。その後、第1個所を特定すべく、重要点毎に、その重要点からある半径内にある全点のなかから特徴記述子が抽出される。その後、それらをそのレシピ内の特徴記述子とマッチさせ、そのマッチ値が最大になるものがその重要点の新たな居所とされる。幾つかの例によれば、その後、サブ画素居所推定を実行することで、その第1個所に対し、より精細に整列させることができる。
【0040】
従来方法に対する本件開示の諸実施形態の違いを示すため、従前の方法を述べることにする。ある例によれば、ケアエリアが
図12に描かれる如く画定され重ねられよう。ある従来方法によれば、ティーチダイ1200上にて、第1ケアエリア1203が、フィーチャ1201の高さh1、幅w1及び原点に対し固定な位置(x1,y1)に基づき画定されよう。また、ティーチダイ1200上にて、第2ケアエリア1204が、フィーチャ1202の高さh2、幅w2及び同じ原点に対し固定な位置(x2,y2)に基づき画定されよう。それら第1及び第2ACAがレシピに格納されよう。検査中にはこのレシピが用いられる。ケアエリア1203,1204が、ダイ1210上のフィーチャ1211,1212上にそれぞれ重ねられる。それらケアエリア1203及び1204の位置には原点シフト(dx,dy)分のシフトが現れうるので、これと同じオフセットを用い各ケアエリアの位置を調整することで、大域シフトだけは実行することができる。これが問題となるのは、個別フィーチャが互いにオフセットしている場合であり、何故ならダイ1210上に描いた如く一部又は全ての構造に非最適シフトが適用されてしまうからである。ダイ1210上に描かれている通り、原点シフト(dx,dy)によりケアエリア1203がフィーチャ1211にフィットする一方でケアエリア1204がフィーチャ1212に対し非最適オフセットするのは、この方法ではどのケアエリアにも必ず同じ原点シフトが適用されるためである。
【0041】
これに対し、本件開示のある実施形態によれば、
図13のティーチダイ1300上にて、第1ACA1303が、フィーチャ1301の高さh1
*、幅w1
*及び位置(x1
*,y1
*)に基づき、且つ重要点1305を有するものとして画定されよう。また、ティーチダイ1300上にて、第2ACA1304が、フィーチャ1302の高さh2
*、幅w2
*及び位置(x2
*,y2
*)に基づき、且つ重要点1306を有するものとして画定されよう。例えば1305及び1306により与えられる重要点はそれぞれユニークな特徴記述子、例えば単純な勾配或いはよりリッチなロバスト特徴量高速化(SURF)様特徴を有している。そうした特徴としては、これに限られるものではないが、二値特徴検出子例えばスケール不変特徴変換(SIFT)、SURF、オリエンテッドFASTと回転ブリーフ(ORB)、及び勾配方向ヒストグラム(HOG)のほか、隅部検出子及び勾配ベース画像記述子がある。それら第1及び第2ACAを、就中それ自身の相対寸法、座標及び重要点を含むめいめいの特徴記述子と併せレシピに格納すればよい。検査時には、それらACA1303及び1304をダイ1310上に重ねる。そのレシピ内に格納されておりACA1303に係る特徴記述子に基づき、サーチを実行して重要点を検出することができる。そのサーチ結果に基づき、高さh1
*+dh1
*、幅w1
*+dw1
*及び位置(x1
*+dx1
*,y1
*+dy1
*)を有するものとなるよう修正することで、ACA1303を現フィーチャ1311に適応させることができる。各重要点1305を独立に動かすことが許容されるため、ACA1303を並進、回動及び一般投影変換させてフィーチャ1311の実際の重要点315に正確にフィットさせることが可能となる。同様に、そのレシピ内に格納されておりACA1304に係る特徴記述子に基づき、サーチを実行して重要点を検出することができる。そのサーチ結果に基づき、高さh2
*+dh2
*、幅w2
*+dw2
*及び位置(x2
*+dx2
*,y2
*+dy2
*)を有するものとなるよう修正することで、ACA1304を現フィーチャ1312に適応させることができる。各重要点1306を独立に動かすことが許容されるため、ACA1304を並進、回動及び一般投影変換させてフィーチャ1312の実際の重要点1316に正確にフィットさせることが可能となる。このように、各ACAに独立な位置原点シフトを付すことができる。これによりACAを実構造に適正フィットさせることが可能となり、それら構造が互いに独立な並進、回動更にはどのような投影変換を受けている場合ですらそうなる。これはロバストな欠陥検出につながり、更にサイズ/形状の違いによる強度差の曖昧さが少なくなる。
【0042】
ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャに対するACAの合せ込みは、並進、回動、スケーリング、アフィン変換、遠近法ワープ及び投影歪曲のうち一種類又は複数種類を含むものとすることができる。
【0043】
翻って
図5によれば、本件開示の幾つかの実施形態では、1個又は複数個のACAが501にて画定され、502にてレシピに保存され、そして503~507にてフィットされ検査に用いられることとなろう。
【0044】
図5に示すように、本件開示のある実施形態では、各ACAが一種類又は一組の形状により画定される。ランタイムには、セットアップ中に画定された個所にACAが初期配置される。その後、それらACAを合せ込み、被検査ウェハ上のフィーチャとマッチさせる。例えば、各隅部、中心点又は屈曲点によりそのフィーチャ集合へのマッチを図ることができる。これにより、そのACAを、その寸法及び回動の面で柔軟なものとすることができる。
【0045】
検査プロセスのうち欠陥報告フェーズにて、回動、並進、スケーリングその他の変換の量を、構造的誤差から配置又はサイズ決め誤差を分かつ属性として、追加することできる。その一環として、ACAをそれに対応するフィーチャに合せ込んだ後に、並進及び回動の規模やスケーリング、アフィン又は投影歪曲を定量可能な他パラメタを捕捉するのに相応しい諸属性を用い、合せ込みの度合いを報告することができる。これにより、従来発見可能であった強度ベース属性を超え、欠陥の形状不整ベース属性がもたらされる。その分離により、より良好な欠陥分析が可能となる。
【0046】
各隅部、中心点又は屈曲点に許容しうる運動を、画定済形状の変形許容量を定める変形限界により拘束してもよい。その変形限界を、許容変換種別についての制限とすることもできる。例えば、並進、回動、スケーリング、アフィン及び投影変換からなる一群のうち一通り又は複数通りの変換に、変形を制限することができる。変形が、ACAを変形させうる許容形状に制限されることもあろう。
【0047】
本件開示のある実施形態によれば、ダイ画像の検査中に、そのACA内の諸領域にアフィン又は遠近法ワープを施し、画素単位減算を行えるようにすることができる。これに代え、それら領域をそのまま、情報処理統計目的で用いることもできる。
【0048】
ある例によれば、検査時に、変換をダイ上のフィーチャに対しフィーチャマッチング目的及び強度判別目的で適用することができる。
【0049】
本件開示のある実施形態では、1個又は複数個のACAの画定が、1個又は複数個のケアエリアをACAへと転換することで行われる。
【0050】
本件開示のある実施形態では、ユーザがダイ画像上にケアエリアを描画することでACAが確定される。それらは、就中、長方形、円、平行四辺形、或いは何らかの任意多角形(凸及び非凸)等の形状として描画することができ、またどのような自在描画形状ともされうる。ユーザは、見出されるべきフィーチャ、例えば隅部、エッジ、若しくは円、又はその他のフィーチャを、選択することができる。ユーザは、それらフィーチャを検出するのに用いる方法を選択することや、特徴記述子を選択することができる。ユーザは、許容される変形の種類及び範囲を選択することもできる。ユーザ選択元のACAフィーチャ群は、デフォルトのそれに初期化されるであろうが、ユーザはそうした自動選択結果を精練・改善することができる。
【0051】
ACAを画定する個々の形状又は形状集合は、多角形、楕円、円或いは何らかの不規則又は自在描画形状として定義することができ、曲線平滑化が伴うことも伴わないこともありうる。自在描画形状は、自在描画形状のままとすることも、重要点を付加することも、或いは多角形へと転換することもできる。その形状を、それら自身の空間特性によって、更にはそれらの重要点又はエッジの特徴によって、符号化してもよい。その空間特性の例としては、例えば隅部、集束半径、辺長その他の諸特性がある。それら形状の特徴を単純な勾配又はよりリッチなSURF様特徴とすることができる。そうした特徴の例としては、これに限られるものではないが、二値特徴検出子例えばSIFT、SURF、ORB及びHOGに加え、隅部検出子及び勾配ベース画像記述子がある。同様に、エッジ特徴を、勾配、エッジの各側における投影和、或いはエッジ、曲線又は隅部の近隣にて算出される他のよりリッチな特徴と、することができる。
【0052】
ACAを画定する個々の形状又は形状集合は、二次元プリミティブではなく三次元形状とすること、就中、平行六面体、角柱、角錐、円筒等とすることもできる。これら三次元形状は、ユーザが定めたパラメタに基づき二次元プリミティブから自動転換させることができる。
【0053】
幾つかの実施形態では、ACAの画定又は描画を受けてその重要点が自動検出される。
【0054】
本件開示のある実施形態では、ACAの形状が長方形とされ、その長方形が、ダイ上でのそのx及びy位置、その幅、高さ、並びに隅部及びエッジから算出された特徴によって、定義される。その後は、この長方形を変形させることで、就中、任意四辺形、平行四辺形、台形又は長方形へと、その用例で必要とされうる通り変形させることができる。この変形を変形限界により拘束してもよく、その変形限界をユーザがACAのパラメタとして決めるようにしてもよい。
【0055】
本件開示のある実施形態では、ACAが、原初的には非パラメトリックに画定され、その輪郭に沿い重要点を計算することでパラメタ化され、その計算がその近隣における特徴の計算と結合される。
【0056】
図6及び
図7には、本件開示に係るACAの実現例であり、ケアエリアがダイ画像600に基づき画定されダイ画像700のフィーチャに合せ込まれるものが描かれている。ダイ600内にはフィーチャ601、602、603及び604がある。ダイ画像700内にはフィーチャ701、702、703及び704がある。それらのACA4個が、ダイ画像600を用い、それぞれx座標、y座標及び形状を含め複数通りの特性を有する態で初期画定される。本実施形態では、それら4個のケアエリアそれぞれの形状が長方形とされている。それらACAはレシピに保存され、その後、ダイ画像700を検査するのに用いられる。画像700のフィーチャ群は、画像600のフィーチャ群から、以下の点で異なっている。フィーチャ701は、フィーチャ601に比し、オフセットも回動もスケーリングもされていない。フィーチャ702はフィーチャ602に比し回動されている。フィーチャ703は、フィーチャ603に比し幅が増大している。フィーチャ704はフィーチャ604に比しシフトを被っている。ダイ画像700内のフィーチャ毎に、そのACAが関連フィーチャに合せ込まれている。フィーチャ601に元々対応していたACAには、フィーチャ701に合せ込むための変換が施されていない。フィーチャ602に元々対応していたACAには回動が施され、それによりフィーチャ702に合せ込まれている。フィーチャ603に元々対応していたACAにはスケーリングが施され、それによりフィーチャ703に合せ込まれている。フィーチャ604に元々対応していたACAには並進が施され、それによりフィーチャ704に合せ込まれている。即ち、元々はダイ画像600のフィーチャに基づき画定されていたACAの用法を、ダイ画像700のフィーチャ群に合せ込むことで、ダイ画像700のフィーチャ群の適正検査が可能とされている。この合せ込みは、例えば、各隅部を重要点として検出し、隅部毎にフィーチャを判別し、判別されたフィーチャに基づきそのACAをパラメタ化し、各重要点の周りにサーチ窓を設定し、そしてマッチを探査して実フィーチャにそのACAを適応させることで、実行することができる。更に、この適応済ACAの形状を元々のACAと比較することができる。そうすることで、それらACAの合せ込み変形を、ダイ画像600及びダイ画像700のフィーチャ間での変化の種類及び量として、定量することができる。こうして定量された合せ込み変形を、処理追跡目的で欠陥属性として用いることができる。
【0057】
本件開示の幾つかの実施形態では、参照ダイを用いたACAへの予合わせが、そのACAをレシピに保存する前又はレシピに保存した後に実行される。
図8には、本件開示の幾つかの実施形態に従い、ACAへのそうした予合わせを実行する方法800が描かれている。方法800では、801にて参照ダイ画像が取得される。802にて、その参照ダイ画像上にてそのACAに対応する第2個所が特定される。803にて、そのACAが、802にて特定された個所上に重ねられる。804にて、そのACAが、その参照ダイ画像でそれに対応しているフィーチャに合せ込まれる。この合せ込みには、回動、並進、スケーリングその他の変換を含めることができる。804でもたらされる合せ込み後のACAは、次いでレシピに格納され、更なる供試ウェハ検査に用いられる。
【0058】
参照ダイ画像は参照ダイから得ることができ、またレシピセットアップ中にユーザが選択した確認済フィーチャを有する絶好ダイ、検査下ダイに隣接する2個以上のダイのメディアン、或いはデザインファイルから模擬導出されたデザイン画像を以て参照ダイとすることができる。実体のあるダイから得るのであれば、参照ダイ画像は、光学顕微鏡、ブロードビームプラズマツール又は走査型電子顕微鏡等のツールを用い得ることができる。
【0059】
幾つかの実施形態によれば、参照ダイ画像上の第2個所を、上述の第1個所と同じ要領で画定することができる。
【0060】
本件開示のある実施形態では、本願記載の方法500又は800がプロセッサ上で実施される。
【0061】
本件開示の他実施形態では、上掲の諸方法が、1個又は複数個の情報処理装置上での実行に備え1個又は複数個のプログラムとして実施される。この実施形態では、当該1個又は複数個のプログラムが非一時的コンピュータ可読格納媒体上に格納される。そのコンピュータ実施方法に、本願記載の何れの方法(群)の何れのステップ(群)を含めてもよい。
【0062】
一実施形態に係るシステム900を
図9に示す。本システム900は光学ベースサブシステム901を有している。大略、光学ベースサブシステム901は、試料902に光を差し向け(又はその上を光で走査し)そこから光を検出することで、試料902に係る光学ベース出力を生成するよう、構成されている。一実施形態に係る試料902はウェハである。このウェハは本件技術分野で既知な何れのウェハでもよい。他実施形態に係る試料はレティクルである。このレティクルは本件技術分野で既知な何れのレティクルでもよい。
【0063】
図9に示した実施形態に係るシステム900では、光学ベースサブシステム901が、試料902に光を差し向けるよう構成された照明サブシステムを有している。その照明サブシステムは少なくとも1個の光源(例.粒子エミッタ)を有している。例えば、
図9に示す照明サブシステムは光源903を有している。一実施形態に係る照明サブシステムは一通り又は複数通りの入射角、例えば一通り又は複数通りの斜め角及び/又は一通り又は複数通りの直交角を含むそれにて、試料902に光を差し向けるよう、構成されている。例えば、
図9に示すように、光源903からの光を、光学素子904、次いでレンズ905を通し、試料902へとある斜め入射角にて差し向ける。この斜め入射角は、好適であればどのような斜め入射角でもよく、例えばその試料902の特性次第で変わりうる。
【0064】
光源903即ち粒子エミッタから放出される粒子を光子とすることができる。光源903即ち粒子エミッタから光、例えば赤外線、可視光、紫外線又はX線たりうるそれを放射させることもできる。
【0065】
光学ベースサブシステム901を、異なる時点では異なる入射角にて試料902に光を差し向けるよう、構成してもよい。例えば、光学ベースサブシステム901を、照明サブシステムに備わる1個又は複数個の素子の特性一通り又は複数通りを変化させるよう、ひいては
図9に示したそれとは異なる入射角にて光を試料902に差し向けうるよう、構成してもよい。その一例としては、光学ベースサブシステム901を、光源903、光学素子904及びレンズ905を動かせるよう、ひいては別の斜め入射角又は直交(又は近直交)入射角にて試料902に光を差し向けうるよう、構成するとよい。
【0066】
場合によっては、光学ベースサブシステム901を、同時に複数通りの入射角にて試料902に光を差し向けるよう構成してもよい。例えば、その照明サブシステムが複数個の照明チャネルを有していてもよいし、それら照明チャネルのうち1個が
図9に示す如く光源903、光学素子904及びレンズ905を有していてもよいし、他の1個(図示せず)がそれに類する諸素子を有していてもよいし、それらが別様に構成されていても同様に構成されていてもよいし、また少なくとも1個の光源と恐らくは1個又は複数個の他部材例えば本願詳述のそれらとを有していてもよい。こうした光を他の光と同時に試料に差し向ける場合、異なる入射角にて試料902に差し向ける光に備わる一通り又は複数通りの特性(例.波長、偏向等々)を異ならせること、ひいては異なる入射角での試料902の照明に由来する光をその又はそれらの検出器にて互いに弁別することができる。
【0067】
また例えば、その照明サブシステムが1個しか光源を有しておらず(例.
図9に示した光源903)、その光源からの光が、その照明サブシステムに備わる1個又は複数個の光学素子(図示せず)によって(例.波長、偏向等々に基づき)異なる光路へと分離されるように、してもよい。その後は、異なる光路それぞれに沿い光を試料902へと差し向ければよい。複数個の照明チャネルを、試料902に光を同時に差し向けるよう構成しても異なる時点で差し向けるよう構成してもよい(例.異なる照明チャネルを用い試料を順次照明する際)。また例えば、それと同じ照明チャネルを、異なる時点では異なる特性で以て試料902に光を差し向けるよう構成してもよい。例えば、光学素子904がスペクトルフィルタとして構成される例では、そのスペクトルフィルタの諸特性を多様な要領で(例.スペクトルフィルタの換装によって)変化させ、異なる波長の光を異なる時点で試料902に差し向けることができる。照明サブシステムは、異なる又は同じ特性を有する光を異なる又は同じ入射角にて順次又は同時に試料902に差し向けるのに適し、本件技術分野で既知な、他の何れの構成を有するものとしてもよい。
【0068】
実施形態によっては、光源903に広帯域プラズマ(BBP)光源が備わることがある。こうすることで、光源903により生成され試料902へと差し向けられる光に広帯域光を含めてもよい。しかしながら、光源が他の何れの好適光源、例えばレーザ又はランプを有していてもよい。そのレーザが、本件技術分野にて既知な何れの好適レーザを有していてもよく、また本件技術分野にて既知な何れの好適波長又は波長群にて光を生成するよう構成されていてもよい。加えて、そのレーザが、単色又は近単色な光を生成するよう構成されていてもよい。こうすることで、そのレーザを狭帯域レーザとしてもよい。光源903が、複数個の離散波長又は波帯にて光を生成する多色光源を有していてもよい。
【0069】
光学素子904からの光をレンズ905により試料902上に集束させてもよい。
図9ではレンズ905が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、実際には、レンズ905に多数の屈折性及び/又は反射性光学素子が備わり、それらが協働してその光学素子からの光を試料に集束させるようにしてもよい。
図9に示す本願記載の照明サブシステムに、他の何らかの好適な光学素子(図示せず)を組み込んでもよい。そうした光学素子の例としては、これに限られるものではないが、偏向部材(群)、スペクトルフィルタ(群)、空間フィルタ(群)、反射性光学素子(群)、アポダイザ(群)、ビームスプリッタ(群)(例えばビームスプリッタ913)、アパーチャ(群)等があり、これには本件技術分野にて既知なあらゆる類種好適光学素子が包含されうる。加えて、光学ベースサブシステム901を、その光学ベース出力を生成するのに用いられる照明の種類に基づき照明サブシステムの素子のうち1個又は複数個を変化させるように、構成してもよい。
【0070】
光学ベースサブシステム901が、試料902上を光で走査するよう構成された走査サブシステムを有していてもよい。例えば、光学ベースサブシステム901がステージ906を有し、光学ベース出力生成中にその上に試料902が配置されるようにしてもよい。走査サブシステムに何らかの好適な機械及び/又はロボットアセンブリ(ステージ906を有するそれ)を組み込み、試料902を動かせるようそれを構成することで、光で試料902上を走査できるようにすればよい。これに加え又は代え、光学ベースサブシステム901を、その光学ベースサブシステム901に備わる1個又は複数個の光学素子が光による試料902上の走査のうち幾ばくかを実行するよう、構成してもよい。光による試料902上の走査は、例えば蛇状路沿い又は螺旋路沿い等、好適であればどのような形式に則っていてもよい。
【0071】
光学ベースサブシステム901は、更に、1個又は複数個の検出チャネルを有している。当該1個又は複数個の検出チャネルのうち少なくとも1個が検出器を有していて、そのサブシステムにより試料902が照明されたことによる試料902からの光を検出するよう、且つ検出した光に応じた光を生成するよう、その検出器が構成されている。例えば、
図9に示す光学ベースサブシステム901は2個の検出チャネルを有しており、そのうち1個は集光器907、素子908及び検出器909、他の1個は集光器910、素子911及び検出器912で形成されている。
図9に示すように、それら2個の検出チャネルは、異なる集光角にて光を集め検出するよう構成されている。場合によっては、両検出チャネルが散乱光を検出するよう構成され、試料902にて異なる角度にて散乱された光を検出するようそれら検出チャネルが構成される。とはいえ、検出チャネルのうち1個又は複数個を、試料902から他種の光(例.反射光)を検出するよう構成してもよい。
【0072】
図9に詳示されているように、両検出チャネルは図上で紙面内に位置しており、照明サブシステムも図上で紙面内に位置している。従って、本実施形態では両検出チャネルが入射面内に位置している(例.その中心に位置している)。しかしながら、検出チャネルのうち1個又は複数個が入射面外に位置していてもよい。例えば、集光器910、素子911及び検出器912で形成される検出チャネルを、入射面外に散乱された光を集め検出するよう構成してもよい。従って、そうした検出チャネルは「側方」チャネルと通称されうるものであり、その側方チャネルを入射面に対し実質的に垂直な面の中心に配置してもよい。
【0073】
図9に示す実施形態では光学ベースサブシステム901が2個の検出チャネルを有しているが、光学ベースサブシステム901が違う個数の検出チャネル(例.単一の検出チャネル又は3個以上の検出チャネル)を有していてもよい。そうした例の一つは、集光器910、素子911及び検出器912により形成された検出チャネルが上述の側方チャネルを1個形成しており、光学ベースサブシステム901が付加的な検出チャネル(図示せず)を有し、それがもう1個の側方チャネルとして形成されていて入射面を挟み逆側に位置するものであろう。ひいては、この光学ベースサブシステム901にて、集光器907、素子908及び検出器909を有し入射面の中心に位置する検出チャネルを設け、試料902の表面に対し直交するかそれに近い一通り又は複数通りの散乱角にて光を集め検出するようそれを構成してもよい。この検出チャネルは従って「上方」チャネルと通称されうるものであり、その光学ベースサブシステム901に上述の如く構成された2個以上の側方チャネルをも設けてもよい。このように、光学ベースサブシステム901に、少なくとも3個のチャネル(即ち1個の上方チャネルと2個の側方チャネル)を設け、それら少なくとも3個のチャネルそれぞれにそれ自身の集光器を設け、その集光器それぞれを、他の集光器の何れとも異なる散乱角の光を集めるよう構成してもよい。
【0074】
先に詳述した通り、光学ベースサブシステム901内に備わる検出チャネルそれぞれを、散乱光を検出するよう構成してもよい。従って、
図9に示した光学ベースサブシステム901を、試料902に係る暗視野(DF)出力の生成向けに構成してもよい。とはいえ、その光学ベースサブシステム901を、これに加え又は代えて、試料902に係る明視野(BF)出力の生成向けに構成された1個又は複数個の検出チャネルを有するものとしてもよい。言い換えれば、光学ベースサブシステム901が、試料902にて鏡面反射された光を検出するよう構成された少なくとも1個の検出チャネルを有していてもよい。従って、本願記載の光学ベースサブシステム901は、DFイメージング専用、BFイメージング専用或いはDF,BFイメージング両用に構成されうる。
図9では各集光器が単体の屈折性光学素子として示されているが、ご理解頂けるように、各集光器が1個又は複数個の屈折性光学ダイ及び/又は1個又は複数個の反射性光学素子を有していてもよい。
【0075】
1個又は複数個の検出チャネルが、本件技術分野にて既知な何れの好適検出器を有していてもよい。例えば、それら検出器が、光電子増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)、時間遅延積分(TDI)カメラその他、本件技術分野にて既知な何れの好適検出器を含んでいてもよい。それら検出器が非イメージング型検出器を含んでいてもイメージング型検出器を含んでいてもよい。このように、それら検出器が非イメージング型検出器であれば、各検出器が、散乱光の特定特性例えば強度を検出するよう構成されているが、その特性をイメージング面内位置の関数として検出するようには構成されていないことがある。この場合、光学ベースサブシステムの各検出チャネル内に備わる検出器それぞれにより生成される出力は、信号やデータではあっても、画像信号や画像データには当たらない。こうした場合、プロセッサ例えばプロセッサ914を、それら検出器の非イメージング出力から試料902の画像を生成するよう構成すればよい。これに対し、別の諸例では、それら検出器がイメージング型検出器として構成され、イメージング信号又は画像データを生成するようそれらが構成されることがある。従って、光学ベースサブシステムは、光学像を生成するようにも本願記載の他の光学ベース出力を生成するようにも、多様なやり方で構成されうる。
【0076】
なお、本願に
図9を設けたのは、本願記載の諸システム実施形態に備わりうる、或いは本願記載の諸システム実施形態にて用いられる光学ベース出力を生成しうる、光学ベースサブシステム901の構成を大まかに描出するためである。市販の出力獲得システムの設計時に通常行われている通り、本願記載の構成を有する光学ベースサブシステム901を改変して、その光学ベースサブシステム901の性能を最適化させてもよい。加えて、本願記載の諸システムを、既存のシステムを用い(例.本願記載の機能を既存システムに付加することで)実施してもよい。そうした類のシステムにて、本願記載の諸方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供してもよい。これに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計してもよい。
【0077】
図10は、一実施形態に係るシステム1000のブロック図である。本システム1000は(電子カラム1001を有する)ウェハ検査ツールを有しており、試料1004の画像、例えばウェハ又はレティクルを含むそれを生成するよう、それが構成されている。
【0078】
そのウェハ検査ツールは出力獲得サブシステムを有しており、それが少なくともエネルギ源及び検出器を有している。その出力獲得サブシステムを電子ビームベース出力獲得サブシステムとしてもよい。例えばある実施形態では、試料1004に向かうエネルギが電子を含むものとされ、その試料1004から検出されるエネルギが電子を含むものとなる。このようにして、エネルギ源を電子ビーム源にするとよい。
図10に示したこの種の実施形態では、出力獲得サブシステムが電子カラム1001を有しており、それがコンピュータサブシステム902に結合されている。ステージ1010は試料1004を保持しうるものである。
【0079】
同じく
図10に示すように、電子カラム1001は、電子を生成するよう構成された電子ビーム源1003(例.粒子エミッタ)を有しており、それら電子が1個又は複数個の素子1005により試料1004へと集束されている。電子ビーム源1003は、例えば、カソードソース又はエミッタチップを有している。1個又は複数個の素子1005に含まれうるものとしては、例えばガンレンズ、アノード、ビーム制限アパーチャ、ゲートバルブ、ビーム流選択アパーチャ、対物レンズ及び走査サブシステムがあり、それらの何れにも、本件技術分野にて既知なあらゆる類種好適素子が含まれうる。
【0080】
試料1004からの返戻電子(例.二次電子)を、1個又は複数個の素子1006により検出器1007に集束させてもよい。1個又は複数個の素子1006に含まれうるものとしては例えば走査サブシステムがあり、これは1個又は複数個の素子1005に含まれる走査サブシステムと同じものとされうる。
【0081】
電子カラム1001が、本件技術分野にて既知な他の何れの好適素子を有していてもよい。
【0082】
図10に示した電子カラム1001は、電子が試料1004にある斜め入射角にて差し向けられその試料1004から他の斜め角にて散乱されるように構成されているが、電子ビームが試料1004に向かいそこから散乱される角度を、どのような好適角度にしてもよい。加えて、電子ビームベース出力獲得サブシステムを、複数個のモードを用い(例.異なる照明角、収集角等々で以て)試料1004の画像を生成するよう構成してもよい。電子ビームベース出力獲得サブシステムに備わる複数個のモードは、その出力獲得サブシステムの何らかの画像生成パラメタを違わせればよい。
【0083】
コンピュータサブシステム1002は、上述の如く検出器1007に結合させればよい。その検出器1007にて試料1004の表面からの返戻電子を検出することで、その試料1004の電子ビーム画像を形成すればよい。それら電子ビーム画像にはあらゆる好適な電子ビーム画像が包含されうる。コンピュータサブシステム1002は、検出器1007の出力及び/又は電子ビーム画像を用い本願記載の諸機能のうち何れを実行するよう構成してもよい。コンピュータサブシステム1002を、本願記載の何れか付加的なステップ(群)を実行するよう構成してもよい。
図10に示す出力獲得サブシステムを有するシステム1000を、更に、本願記載の如く構成してもよい。
【0084】
なお、本願に
図10を設けたのは、本願記載の諸実施形態にて用いうる電子ビームベース出力獲得サブシステムの構成を大まかに描出するためである。市販の出力獲得システムの設計時に通常行われている通り、本願記載の構成を有する電子ビームベース出力獲得サブシステムを改変して、その出力獲得サブシステムの性能を最適化することができる。加えて、本願記載の諸システムを、既存のシステムを用い(例.本願記載の機能を既存システムに付加することで)実施してもよい。そうした類のシステムにて、本願記載の諸方法を、(例.そのシステムの他の機能に加え)そのシステムのオプション的機能として提供してもよい。これに代え、本願記載のシステムを完全に新規なシステムとして設計してもよい。
【0085】
電子ビームベース出力獲得サブシステムたる出力獲得サブシステムを上述したが、出力獲得サブシステムをイオンビームベース出力獲得サブシステムとしてもよい。そうした出力獲得サブシステムは、本件技術分野にて既知な何れかの好適イオンビーム源で以て電子ビーム源が置換されうる点を除き、
図10に示した如く構成すればよい。加えて、その出力獲得サブシステムが他の何らかの好適なイオンビームベース出力獲得サブシステム、例えば市販の集束イオンビーム(FIB)システム、ヘリウムイオン顕微(HIM)システム及び二次イオン質量分析(SIMS)システムに組み込まれているそれらを有していてもよい。
【0086】
コンピュータサブシステム1002はプロセッサ1008及び電子データ格納ユニット1009を有している。プロセッサ1008には、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラその他のデバイスが含まれうる。
【0087】
プロセッサ914又はコンピュータサブシステム1002は、そのプロセッサ914又は1008がそれぞれ出力を受け取れるよう、何らかの好適要領にて(例.1個又は複数個の伝送媒体、例えば有線及び/又は無線伝送媒体を含むそれを介し)それぞれシステム900又は1000の構成諸部材に結合させればよい。プロセッサ914又は1008は、その出力を用い多数の機能を実行するよう構成すればよい。システム900又は1000は、それぞれそのプロセッサ914又は1008から命令その他の情報を受け取ることができる。プロセッサ914又は1008及び/又は電子データ格納ユニット915又は1009は、それぞれ、付随的に他のウェハ検査ツール、ウェハ計量ツール又はウェハレビューツール(図示せず)と電子通信させ、付加的な情報を受け取り又は命令を送れるようにするとよい。例えば、プロセッサ914又は1008及び/又は電子データ格納ユニット915又は1009を、それぞれ、走査型電子顕微鏡と電子通信させることができる。
【0088】
プロセッサ914又は1008、或いはコンピュータサブシステム1002、他の1個又は複数個のシステム、或いは他の1個又は複数個のサブシステムであり、本願記載のものを、パーソナルコンピュータシステム、イメージコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワーク機器、インターネット機器その他の装置を初め、様々なシステムの一部としてもよい。その又はそれらのサブシステム又はシステムは本件技術分野にて既知な何れの好適プロセッサを有するのでもよく、例えば並列プロセッサを有していてもよい。加えて、その又はそれらのサブシステム又はシステムを、スタンドアロンかネットワーク接続ツールかを問わず、高速処理プラットフォーム及びソフトウェアを有するものとしてもよい。
【0089】
プロセッサ914又は1008及び電子データ格納ユニット915又は1009を、それぞれ、システム900又は1000内に配置しても、そのシステムの他部分に配置しても、或いは他装置内に配置してもよい。一例としては、プロセッサ914又は1008、並びに電子データ格納ユニット915又は1009を、それぞれ、スタンドアロン制御ユニットの一部とし又は集中品質制御ユニット内のものとするのがよい。複数個のプロセッサ914又は1008、或いは電子データ格納ユニット915又は1009を、それぞれ用いてもよい。
【0090】
プロセッサ914又は1008は、実際、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施してもよい。また、それらの機能であり本願記載のものを、単一ユニットで実行しても複数個の異なる部材間で分かち合ってもよいし、それら部材それぞれが翻ってハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアのどのような組合せで実施されてもよい。プロセッサ914又は1008に様々な方法及び機能を実行・実施させるためのプログラムコード又は命令は可読格納媒体内、例えばそれぞれ電子データ格納ユニット915又は1009内にあるメモリかその他のメモリ内に、格納すればよい。
【0091】
システム900又は1000が複数個のプロセッサ914又はプロセッサ1008或いはコンピュータサブシステム1002をそれぞれ有している場合、それら異なるサブシステム同士を結合させ、それらサブシステム間で画像、データ、情報、命令等々を送れるようにするとよい。例えば、一サブシステムを1個又は複数個の付加的サブシステムに何れの好適伝送媒体により結合させてもよく、またそれを、本件技術分野にて既知な何れの好適有線及び/又は無線伝送媒体を含むものとしてもよい。そうしたサブシステムのうち2個以上を共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質結合させてもよい。
【0092】
プロセッサ914又は1008は、それぞれ、システム900又は1000の出力或いはその他の出力を用い多数の機能を実行するよう、構成すればよい。例えば、プロセッサ914又は1008を、それぞれ電子データ格納ユニット915又は1009へと、或いはその他の格納媒体へと、出力を送るよう構成してもよい。プロセッサ914又は1008を、更に、本願記載の如く構成してもよい。
【0093】
プロセッサ914、プロセッサ1008又はコンピュータサブシステム1002を、欠陥レビューシステム、検査システム、計量システムその他、何らかの他種システムの一部としてもよい。即ち、本願開示の諸実施形態により記述されている幾つかの構成を、異なる能力を有し異なるアプリケーション向けに多少の差はあれ適するシステム向けに、多様な要領にて仕立て上げることができる。
【0094】
そのシステムが複数個のサブシステムを有している場合、それら異なるサブシステム同士を結合させ、それらサブシステム間で画像、データ、情報、命令等々を送れるようにするとよい。例えば、一サブシステムを1個又は複数個の付加的サブシステムに何れの好適伝送媒体により結合させてもよく、またそれを、本件技術分野にて既知な何れの好適有線及び/又は無線伝送媒体を含むものとしてもよい。それらサブシステムのうち2個以上を、やはり、共有型コンピュータ可読格納媒体(図示せず)により実質結合させてもよい。
【0095】
プロセッサ914又は1008を、本願記載の諸実施形態のうち何れに従い構成してもよい。また、プロセッサ914又は1008を、それぞれシステム900又は1000の出力を用い、或いは他の源泉からの画像又はデータを用い、他の諸機能又は付加的ステップを実現・実行するよう、構成してもよい。
【0096】
プロセッサ914又は1008を、それぞれ、システム900又は1000に備わる様々な部材又はサブシステムの何れに、本件技術分野で既知な何れの要領で可通信結合させてもよい。更に、プロセッサ914又は1008を伝送媒体、例えば有線及び/又は無線区間を有するそれにより、他の諸システムからのデータ又は情報(例.検査システム例えばレビューツールからの検査結果、リモートデータベース内のデザインデータ等)を受領及び/又は獲得するよう、構成してもよい。このようにして、その伝送媒体を、プロセッサ914又は1008と、それぞれシステム900又は1000に備わるその他のサブシステム或いはそれぞれシステム900又は1000外にあるシステムと、の間のデータリンクとして働かせるとよい。
【0097】
プロセッサ914又は1008はウェハ検査ツール、例えば検出器909又は912或いは検出器1007とそれぞれ電子通信する。プロセッサ914又は1008を、それぞれ検出器909又は912或いは検出器1007からの計測結果を用い生成された画像を処理するよう、構成してもよい。例えば、プロセッサ914又は1008を、諸実施形態に係る方法500又は800を実行するよう構成してもよい。
【0098】
付加的な実施形態は、コントローラ上で実行可能なプログラム命令が格納された非一時的コンピュータ可読媒体、特に本願開示の如く試料902又は1004の画像を処理するコンピュータ実施方法を実行するためのそれに関するものである。具体的には、
図9又は
図10に示す電子データ格納ユニット915又は1009、或いはその他の格納媒体に、それぞれプロセッサ914又は1008上で実行可能なプログラム命令入りの非一時的コンピュータ可読媒体を組み込めばよい。そのコンピュータ実施方法に、方法500又は800を初め、本願記載の何れの方法(群)の何れのステップ(群)を含めてもよい。
【0099】
方法例えば本願記載のそれらを実現するプログラム命令はコンピュータ可読媒体上、例えば電子データ格納ユニット915又は1009内、或いはその他の格納媒体内に格納すればよい。そのコンピュータ可読媒体を格納媒体、例えば磁気ディスク、光ディスク、磁気テープ等としてもよいし、本件技術分野にて既知な他の何れの好適非一時的コンピュータ可読媒体としてもよい。
【0100】
プログラム命令は、就中、手続きベース技術、要素ベース技術及び/又はオブジェクト指向技術を初め、多々あるやり方の何れで実施してもよい。例えば、それらプログラム命令を、ActiveX(登録商標)コントロール、C++オブジェクト、JavaBeans(登録商標)、Microsoft(登録商標)FoundationClasses(MFC)、ストリーミングSIMDエクステンション(SSE)その他のテクノロジ又は方法論を随意使用して実施すればよい。
【0101】
ある実施形態によれば、プロセッサ914又はプロセッサ1008が、検査ツール900又は検査ツール1000からダイ画像を受け取り、x座標、y座標及び形状を含め複数通りの所定特性を有するACAを含むレシピを読み込み、そしてACA毎に、そのダイ画像上でそのACAに対応する第1個所を特定し、そのダイ画像上の第1個所上にそのACAを重ね、そのダイ画像上の1個又は複数個の対応要素にそのACAを合せ込み、そしてそのACA内でそのダイ画像の欠陥検査を実行するよう構成されうる。
【0102】
ある実施形態によれば、プロセッサ914又はプロセッサ1008が、更に、検査ツールから参照ダイ画像を受け取り、x座標、y座標及び形状を含め複数通りの所定特性を有するACAを含むレシピを読み込み、その参照ダイ画像上でそのACAに対応する第2個所を特定し、その参照ダイ画像上の第2個所上にそのACAを重ね、そしてその参照ダイ画像上の1個又は複数個の対応フィーチャにそのACAを予合わせするよう構成されうる。
【0103】
ある実施形態によれば、プロセッサ914又はプロセッサ1008が、更に、多角形、楕円、或いはユーザが定めた不規則形状である形状を含むACAを読み込むよう、構成されうる。
【0104】
本願開示のシステム900又はシステム1000及び諸方法の様々なステップ、機能及び/又は動作は、電子回路、論理ゲート、マルチプレクサ、プログラマブル論理デバイス、ASIC、アナログ又はディジタルコントローラ/スイッチ、マイクロコントローラ、或いは情報処理システムのうち、1個又は複数個により実行される。方法例えば本願記載のそれらを実現するプログラム命令を、キャリア媒体上で伝送させてもキャリア媒体上に格納してもよい。そのキャリア媒体の例は格納媒体、例えばリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク、光ディスク、不揮発性メモリ、固体メモリ、磁気テープ等であろう。キャリア媒体の例は伝送媒体、例えばワイヤ、ケーブル又は無線伝送リンクであろう。例えば、本件開示の随所に記載されている様々なステップを、単一のプロセッサ914又は単一のプロセッサ1008(或いはコンピュータサブシステム1002)で実行してもよいし、それに代え複数個のプロセッサ914又は複数個のプロセッサ1008(或いは複数個のコンピュータサブシステム1002)で実行してもよい。更に、システム900又はシステム1000に備わる別々のサブシステムが1個又は複数個の情報処理又は論理システムを有していてもよい。従って、上掲の記述は本件開示に対する限定としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0105】
幾つかの実施形態では、ウェハのダイ画像の取得503に際し、デザインファイルから取得した模擬導出画像がウェハのダイ画像とされる。ACAはその模擬導出画像上に重ねられる。フィーチャマッチングが本願記載の如く実行され、それらACAを適応させ、そして検査が実行される。
【0106】
幾つかの実施形態では、ウェハのダイ画像の取得503に際し、デザインファイルがウェハのダイ画像とされる。ACAはそのデザインファイル上に重ねられる。フィーチャマッチングが本願記載の如く実行され、それらACAを適応させ、そして検査が実行される。
【0107】
本願開示の様々な実施形態及び例にて述べた方法の諸ステップは、本発明の方法を実行するのに十分なものである。即ち、一実施形態では、本方法が、本質的に、本願開示の諸方法の諸ステップの組合せにより構成される。他実施形態では、本方法がそれらステップのみで構成される。
【0108】
1個又は複数個の具体的実施形態及び/又は例を基準にして本件開示を記述してきたが、理解し得るように、本件開示の技術的範囲から離隔することなく本件開示の他の諸実施形態及び/又は例をなすこともできる。