(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180185
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221129BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087143
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】常次 喜貴
(72)【発明者】
【氏名】松下 裕亮
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
5L049BB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】デジタルチャネルを通じた顧客への活動を好適に支援することができる情報処理方法、情報処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】サーバ1及び端末2により構成されるMedical Representative(MR)支援システムであって、サーバ(情報処理装置)1は、医療従事者に関連する医療従事者情報を取得し、医療従事者情報と、MRが医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値とを入力した場合に、MRの活動の成果値を算出するよう学習済みの第1モデルに、取得した医療従事者情報と、各チャネルの利用値の組み合わせが互いに異なる複数パターンの各チャネルの利用値とを入力することで、各パターンに対応する成果値を算出し、算出した各パターンの成果値に基づき、MRに推奨すべき各チャネルの利用値を決定する処理を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者に関連する医療従事者情報を取得し、
前記医療従事者情報と、MR(Medical Representative)が前記医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値とを入力した場合に、前記MRの活動の成果値を算出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医療従事者情報と、各チャネルの利用値の組み合わせが互いに異なる複数パターンの各チャネルの利用値とを入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出し、
算出した各パターンの前記成果値に基づき、前記MRに推奨すべき前記各チャネルの利用値を決定する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記医療従事者による医薬品の処方伸長度を前記成果値として算出する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記利用値は、前記チャネルを通じた前記医療従事者への単位期間当たりの活動回数であり、
前記成果値に基づき、前記チャネル別の活動回数を決定する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記医療従事者情報は、前記医療従事者の属性、前記医療従事者が所属する医療施設の属性、前記医療従事者の行動特性を表す特性値、又は前記医療従事者と前記MRとの親密度を含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記特性値は、医療に関連する所定のデジタルコンテンツの、前記医療従事者による視聴状況を集計した集計値を含む
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者が前記MRから活動を受ける際に利用する、前記各チャネルの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルに、取得した前記医療従事者情報を入力することで前記各チャネルの利用値を推定し、
推定した前記各チャネルの利用値に基づき、前記第1モデルに入力する前記複数パターンの各チャネルの利用値を生成し、
生成した各パターンの利用値を前記第1モデルに入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出する
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
互いに異なる前記チャネルの利用値を推定するよう学習済みの複数の前記第2モデルを用いて、前記各チャネルの利用値を推定する
請求項6に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記第2モデルに入力した前記医療従事者情報と、前記第2モデルにより推定した前記利用値とに基づき、前記医療従事者情報に含まれる複数のパラメータそれぞれの前記利用値に対する寄与度を算出し、
算出した各パラメータの寄与度を出力する
請求項6又は7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
医療従事者に関連する医療従事者情報を取得する取得部と、
前記医療従事者情報と、MRが前記医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値とを入力した場合に、前記MRの活動の成果値を算出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医療従事者情報と、各チャネルの利用値の組み合わせが互いに異なる複数パターンの各チャネルの利用値とを入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出する算出部と、
算出した各パターンの前記成果値に基づき、前記MRに推奨すべき前記各チャネルの利用値を決定する決定部と
を備える情報処理装置。
【請求項10】
医療従事者に関連する医療従事者情報を取得し、
前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者がMRから活動を受ける際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルに、取得した前記医療従事者情報を入力することで各チャネルの利用値を推定する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項11】
MRの活動対象とする複数の医療従事者の一覧を表示部に表示し、
前記複数の医療従事者からいずれかを選択する選択入力を受け付け、
前記医療従事者の選択入力を受け付けた場合、選択された前記医療従事者に関連する医療従事者情報に基づき、MRが該医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値の推奨値を表示する
処理をコンピュータが実行するプログラム。
【請求項12】
前記推奨値は、前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者が前記MRから活動を受ける際に利用する、各チャネルの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルを用いて決定された値であり、
前記第2モデルに入力した前記医療従事者情報と、前記第2モデルにより推定された前記各チャネルの利用値とに基づき算出された、前記医療従事者情報に含まれる複数のパラメータそれぞれの前記利用値に対する寄与度をチャネル別に表示する
請求項11に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客に対し商品説明等の活動を行う営業担当者を支援する技術がある。例えば特許文献1では、MR(Medical Representative;医薬情報担当者)等の営業員の営業計画を作成するための情報処理システムであって、顧客への営業行為の履歴データと、営業行為の目的である商品の業績評価指標の実測データとに基づき、営業評価指標の予測値を算出する予測モデルを構築する情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る発明は、単純な回帰分析により予測モデルを構築するものに過ぎない。
【0005】
一つの側面では、デジタルチャネルを通じた顧客への活動を好適に支援することができる情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの側面に係る情報処理方法は、医療従事者に関連する医療従事者情報を取得し、前記医療従事者情報と、MRが前記医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値とを入力した場合に、前記MRの活動の成果値を算出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医療従事者情報と、各チャネルの利用値の組み合わせが互いに異なる複数パターンの各チャネルの利用値とを入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出し、算出した各パターンの前記成果値に基づき、前記MRに推奨すべき前記各チャネルの利用値を決定する処理をコンピュータが実行する。
【0007】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記医療従事者による医薬品の処方伸長度を前記成果値として算出する。
【0008】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記利用値は、前記チャネルを通じた前記医療従事者への単位期間当たりの活動回数であり、前記成果値に基づき、前記チャネル別の活動回数を決定する。
【0009】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記医療従事者情報は、前記医療従事者の属性、前記医療従事者が所属する医療施設の属性、前記医療従事者の行動特性を表す特性値、又は前記医療従事者と前記MRとの親密度を含む。
【0010】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記特性値は、医療に関連する所定のデジタルコンテンツの、前記医療従事者による視聴状況を集計した集計値を含む。
【0011】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者が前記MRから活動を受ける際に利用する、前記各チャネルの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルに、取得した前記医療従事者情報を入力することで前記各チャネルの利用値を推定し、推定した前記各チャネルの利用値に基づき、前記第1モデルに入力する前記複数パターンの各チャネルの利用値を生成し、生成した各パターンの利用値を前記第1モデルに入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出する。
【0012】
一つの側面に係る情報処理方法は、互いに異なる前記チャネルの利用値を推定するよう学習済みの複数の前記第2モデルを用いて、前記各チャネルの利用値を推定する。
【0013】
一つの側面に係る情報処理方法は、前記第2モデルに入力した前記医療従事者情報と、前記第2モデルにより推定した前記利用値とに基づき、前記医療従事者情報に含まれる複数のパラメータそれぞれの前記利用値に対する寄与度を算出し、算出した各パラメータの寄与度を出力する。
【0014】
一つの側面に係る情報処理装置は、医療従事者に関連する医療従事者情報を取得する取得部と、前記医療従事者情報と、MRが前記医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値とを入力した場合に、前記MRの活動の成果値を算出するよう学習済みの第1モデルに、取得した前記医療従事者情報と、各チャネルの利用値の組み合わせが互いに異なる複数パターンの各チャネルの利用値とを入力することで、各パターンに対応する前記成果値を算出する算出部と、算出した各パターンの前記成果値に基づき、前記MRに推奨すべき前記各チャネルの利用値を決定する決定部とを備える。
【0015】
一つの側面に係る情報処理方法は、医療従事者に関連する医療従事者情報を取得し、前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者がMRから活動を受ける際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルに、取得した前記医療従事者情報を入力することで各チャネルの利用値を推定する処理をコンピュータが実行する。
【0016】
一つの側面に係るプログラムは、MRの活動対象とする複数の医療従事者の一覧を表示部に表示し、前記複数の医療従事者からいずれかを選択する選択入力を受け付け、前記医療従事者の選択入力を受け付けた場合、選択された前記医療従事者に関連する医療従事者情報に基づき、MRが該医療従事者に対する活動を行う際に利用する、デジタルチャネルを含む複数のチャネルそれぞれの利用値の推奨値を表示する処理をコンピュータが実行する。
【0017】
一つの側面に係るプログラムは、前記推奨値は、前記医療従事者情報を入力した場合に、前記医療従事者が前記MRから活動を受ける際に利用する、各チャネルの利用値を推定するよう学習済みの第2モデルを用いて決定された値であり、前記第2モデルに入力した前記医療従事者情報と、前記第2モデルにより推定された前記各チャネルの利用値とに基づき算出された、前記医療従事者情報に含まれる複数のパラメータそれぞれの前記利用値に対する寄与度をチャネル別に表示する。
【発明の効果】
【0018】
一つの側面では、デジタルチャネルを通じた顧客への活動を好適に支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】MR支援システムの構成例を示す説明図である。
【
図4】MRDB、医師DB、施設DB及び売上DBのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【
図9】第1モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】第2モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】推奨値の決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態)
図1は、MR支援システムの構成例を示す説明図である。本実施の形態では、顧客である医療従事者に対し、MRがWeb面談、電話、電子メール等の各デジタルチャネルを利用して営業活動等を行う際に、推奨される各チャネルの利用値(各チャネルを通じた医療従事者への活動回数)を提示するMR支援システムについて説明する。MR支援システムは、情報処理装置1、端末2、2、2…を含む。各装置は、インターネット等のネットワークNに接続されている。
【0021】
なお、本明細書で言う「デジタルチャネル」とは、通信回線を介した情報伝達手段を指し、その具体的な手段は特に限定されない。例えばデジタルチャネルは、Web面談(Web会議)、電話、電子メールのほか、SNS(Social Networking Service)、スマートフォンアプリ等も含み得る。
【0022】
情報処理装置1は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ等である。本実施の形態では情報処理装置1がサーバコンピュータであるものとし、以下では簡潔のためサーバ1と読み替える。本実施の形態においてサーバ1は、機械学習モデルを利用して医療従事者のデジタルチャネルの嗜好性を推定し、推定した嗜好性に基づき、MRが医療従事者に対し営業活動等を行う際の、各チャネルの利用値の推奨値を決定する。
【0023】
医療従事者は、MRが活動対象とする顧客であり、例えば医師である。なお、活動対象とする医療従事者は医師に限定されず、例えば薬剤師等であってもよい。
【0024】
後述するように、サーバ1は、所定の訓練データを学習済みの第2モデル52を用いて、デジタルチャネルを含む各チャネルを医療従事者がどの程度利用するか、各チャネルの利用値を推定する(
図5、
図7等参照)。これによりサーバ1は、医療従事者のデジタルチャネルの嗜好性を推定する。そしてサーバ1は、第2モデル52による推定結果に基づき、所定の訓練データを学習済みの第1モデル51を用いて、MRに推奨すべき各チャネルの利用値(以下、「推奨値」と呼ぶ)を決定する。
【0025】
利用値とは、Web面談、電話、電子メール等の各チャネルの利用量であり、本実施の形態では、各チャネルを通じた単位期間(例えば1ヶ月)当たりの利用従事者への活動回数を指す。なお、利用値は活動回数に限定されるものではなく、活動時間(面談時間)等であってもよい。
【0026】
また、「デジタルチャネルを含むチャネル」とは、Web面談、電話、電子メール等の通信回線を介した情報伝達手段(デジタルチャネル)のほか、対面での面談、書類の郵送など、通信回線を介しない情報伝達手段を含み得る。すなわち、本実施の形態では、デジタルチャネル以外のチャネルも、MRが利用する活動ツールの対象とする。
【0027】
MRの活動とは、MRが業務として医療従事者に対し行う活動を指す。例えばMRの活動は、製薬会社が提供する医薬品の営業活動である。なお、MRの活動は営業活動のみならず、医薬品に関する医療従事者への情報提供活動、医療従事者からの情報収集活動等も含み得る。
【0028】
端末2は、MRが使用する情報処理端末であり、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等である。後述するように、サーバ1は、第1モデル51を用いて決定した各チャネルの推奨値を端末2に表示し、MRに提示する。
【0029】
図2は、サーバ1の構成例を示すブロック図である。サーバ1は、制御部11、主記憶部12、通信部13、及び補助記憶部14を備える。
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを有し、補助記憶部14に記憶されたプログラムP1を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部13は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。
【0030】
補助記憶部14は、大容量メモリ、ハードディスク等の不揮発性記憶領域であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラムP1、その他のデータを記憶している。また、補助記憶部14は、第1モデル51、第2モデル52、MRDB141、医師DB142、施設DB143、売上DB144を記憶している。
【0031】
第1モデル51は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、医療従事者に関連する医療従事者情報と、デジタルチャネルを含む各チャネルの利用値とを入力した場合に、MRの活動の成果値を算出するモデルである。第2モデル52は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、医療従事者情報を入力した場合に、医療従事者の各チャネルの利用値を推定するモデルである。第1モデル51及び第2モデル52は、人工知能ソフトウェアの一部を構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。
【0032】
MRDB141は、MRの情報を格納するデータベースである。医師DB142は、活動対象となる医師(医療従事者)の情報を格納するデータベースである。施設DB143は、医師が所属(勤務)する医療施設(病院等)の情報を格納するデータベースである。売上DB144は、医薬品の売上(医療従事者による処方量)の情報を格納するデータベースである。
【0033】
なお、補助記憶部14はサーバ1に接続された外部記憶装置であってもよい。また、サーバ1は複数のコンピュータからなるマルチコンピュータであっても良く、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよい。
【0034】
また、本実施の形態においてサーバ1は上記の構成に限られず、例えば操作入力を受け付ける入力部、画像を表示する表示部等を含んでもよい。また、サーバ1は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体1aを読み取る読取部を備え、記録媒体1aからプログラムP1を読み込んでもよい。また、プログラムP1は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0035】
図3は、端末2の構成例を示すブロック図である。端末2は、制御部21、主記憶部22、通信部23、表示部24、入力部25、及び補助記憶部26を備える。
制御部21は、一又は複数のCPU等のプロセッサを有し、補助記憶部26に記憶されたプログラムP2を読み出して実行することにより、種々の情報処理を行う。主記憶部22は、RAM等の一時記憶領域であり、制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。通信部23は、通信に関する処理を行うための通信モジュールであり、外部と情報の送受信を行う。表示部24は、液晶ディスプレイ等の表示画面であり、画像を表示する。入力部25は、キーボード、マウス等の操作インターフェイスであり、ユーザから操作入力を受け付ける。補助記憶部26は、ハードディスク、大容量メモリ等の不揮発性記憶領域であり、制御部21が処理を実行するために必要なプログラムP2、その他のデータを記憶している。
【0036】
なお、端末2は、非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体2aを読み取る読取部を備え、記録媒体2aからプログラムP2を読み込んでもよい。また、プログラムP2は単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。
【0037】
図4は、MRDB141、医師DB142、施設DB143及び売上DB144のレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
MRDB141は、MRID列、MR名列、担当医師列、活動履歴列を含む。MRID列は、各MRを識別するためのMRIDを記憶している。MR名列、担当医師列、及び活動履歴列はそれぞれ、MRIDと対応付けて、MRの氏名、MRが担当する医師(医療従事者)、及び医師に対するMRの活動履歴を記憶している。活動履歴列には、例えば活動日時、活動対象の医療従事者、及び活動内容(チャネル)が記憶されている。
【0038】
医師DB142は、医師ID列、医師名列、所属列、医師属性列、行動特性列、親密度列を含む。医師ID列は、各医師(医療従事者)を識別するための医師IDを記憶している。医師名列、所属列、医師属性列、行動特性列、及び親密度列はそれぞれ、医師IDと対応付けて、医師の氏名、医師が所属する医療施設、医師の属性、行動特性、及び担当MRとの親密度を記憶している。行動特性列には、医師の行動特性を表す特性値であって、例えばWebサイトの閲覧回数、電子メールの開封率等、所定のデジタルコンテンツの視聴状況を集計した集計値が記憶されている。
【0039】
施設DB143は、施設ID列、施設名列、施設属性列を含む。施設ID列は、各医療施設を識別するための施設IDを記憶している。施設名列、及び施設属性列はそれぞれ、医療施設の名称、及び医療施設の属性が記憶されている。施設属性列には、例えば本システムで独自に規定する医療施設の区分、医薬品の市場シェア、医療施設内におけるデジタルコンテンツの視聴率等が記憶されている。
【0040】
売上DB144は、医薬品ID列、医薬品名列、及び売上列を含む。医薬品ID列は、各医薬品を識別するための医薬品IDを記憶している。医薬品名列、及び売上列はそれぞれ、医薬品IDと対応付けて、医薬品名、及び医薬品の売上を記憶している。売上列には、例えば年月、医療施設、及び医療従事者と対応付けて、医薬品の処方量(売上数量)及び売上金額が記憶されている。
【0041】
図5は、本実施の形態の概要を示す説明図である。
図5では、医療従事者情報(医療従事者(医師)の属性、医療施設の属性、医療従事者の行動特性、MRとの親密度(関係性))と、複数のチャネルそれぞれの利用値(活動回数)とを第1モデル51に入力することで、MRの活動の成果値(医薬品の処方伸長度)を推定する様子を図示している。また、医療従事者情報を第2モデル52に入力することで、医療従事者の各チャネルの利用値を推定し、推定された利用値を第1モデル51に入力する様子を図示している。
図5に基づき、本実施の形態の概要を説明する。
【0042】
第1モデル51は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、例えばCNN(Convolutional Neural Network;畳み込みニューラルネットワーク)等のニューラルネットワークである。なお、第1モデル51はCNN以外のニューラルネットワークであってもよい。また、第1モデル51は、決定木、ランダムフォレスト、SVM(Support Vector Machine)等、他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0043】
第1モデル51は、MRが医療従事者に対し各チャネルを通じて活動を行った場合にどの程度の成果が出るか、MRの活動の成果を予測するモデルである。具体的には、第1モデル51は、一定期間(例えば現時点から直近6ヶ月間)の医療従事者情報と、当該一定期間と異なる推定対象期間(例えば現時点から1ヶ月間)の各チャネルの利用値とを入力した場合に、MRの活動の成果値を算出する。
【0044】
本実施の形態では、成果予測用の第1モデル51を利用して、MRが各チャネルをどの程度利用すればよいか、各チャネルの推奨値を決定する。具体的には、サーバ1は、第1モデル51に入力する各チャネルの利用値を複数パターン用意し、複数パターンの各チャネルの利用値を第1モデル51に入力することで、各パターンに対応する成果値を算出する。サーバ1は、第1モデル51により推定した各パターンの成果値に基づき、各チャネルの推奨値(利用値)を決定する。
【0045】
図6は、第1モデル51に関する説明図である。
図6では、学習時及び推定時それぞれにおける、第1モデル51の入出力データを概念的に図示している。
図6に基づき、第1モデル51について説明する。
【0046】
上述の如く、第1モデル51は、医療従事者情報と、MRの各チャネルの利用値とを入力とする。医療従事者情報は、医療従事者の属性、医療従事者が所属する医療施設の属性、医療従事者の行動特性を表す特性値、及びMRとの親密度を含む。
【0047】
医療従事者の属性は、例えば医療従事者(医師)の診療科、専門性(所属学会、論文投稿数等)、年齢、重点的に営業対象とすべきターゲット医師であるか否か、等を含む。なお、これらは例示であって、その他の属性(例えば病院内での役職等)を含めてもよい。
【0048】
医療施設の属性は、例えば本システム独自の医療施設の区分、医療施設が占める医薬品の市場シェア、医療施設内におけるデジタルコンテンツの視聴率等を含む。なお、これらは例示であって、その他の属性(例えば医療施設の立地地域等)を含めてもよい。
【0049】
なお、デジタルコンテンツの視聴率とは、医療従事者が所定のデジタルコンテンツを視聴する割合を指す。デジタルコンテンツとは、医療に関連するコンテンツを指し、例えば医療情報を掲載するWebサイト、MR又は製薬会社から医療従事者に送信又は配信する電子メール等を指す。サーバ1は、医療施設全体でのデジタルコンテンツの視聴率を、医療施設の属性として扱う。
【0050】
医療従事者の行動特性を表す特性値とは、デジタル上の、又は医療上の医療従事者の行動又は嗜好性を測る指標値を指す。本実施の形態では当該特性値として、上述のデジタルコンテンツの視聴状況を集計した集計値、及び成果目標である医薬品を医療従事者が第1選択薬としているか否か、を特性値として用いる。
【0051】
デジタルコンテンツの視聴状況の集計値は、例えば医療情報を掲載するWebサイトの視聴回数、視聴時間帯、MR又は製薬会社から医療従事者に送信又は配信する電子メールの開封率等を含む。サーバ1は、一又は複数のWebサイトの視聴ログ、電子メールの開封ログ等を収集し、視聴回数等を集計する。サーバ1は、集計値を医療従事者の特性値として医師DB142に記憶してある。
【0052】
第1選択薬とは、ある疾患に対して医療従事者が最初に投与すべきものとして選択する医薬品を指す。該当医薬品を該当医療従事者が第1医薬品としているか否かは、例えば医療従事者(医師)の過去の医薬品の処方履歴からサーバ1が自動的に判定してもよく、あるいはMR等が手動で設定してもよい。
【0053】
サーバ1は、これらの特性値を第1モデル51の入力に用いる。特に本実施の形態では、デジタルコンテンツの視聴状況の集計値を特性値に加えることで、医療従事者のデジタル上の嗜好性を好適に判断することができる。
【0054】
なお、上記の特性値は一例であって、例えばサーバ1は、医療従事者による各チャネルの過去の利用値(利用履歴)を特性値として用いてもよい。
【0055】
MRとの親密度は、医療従事者とMRとの親密度合いを表す数値、又は親密度合いを分類したクラスである。親密度も第1選択薬と同様に、例えばMRの活動履歴(医療従事者との面談履歴)等からサーバ1が自動的に判定してもよく、あるいはMR等が手動で設定してもよい。
【0056】
第1モデル51は、これらの医療従事者情報と、デジタルチャネルを含む各チャネルの利用値とが入力された場合、MRの活動の成果値を算出する。成果値は、成果目標の達成度合いを測る指標値であり、本実施の形態では、医薬品の処方伸長度を成果値とする。処方伸長度は、医療従事者による該当医薬品の処方量を所定の基準量で除算した数値であり、医薬品の売上の伸びを表す。
【0057】
なお、上記では処方伸長度を医薬品の処方量(売上数量)を基準に定義したが、医薬品の売上金額を基準に定義してもよい。また、成果値は医薬品の処方伸長度に限定されず、例えば医療従事者からMRへの医薬品に関する情報提供数(資料請求数)等、その他の尺度であってもよい。
【0058】
サーバ1は、一定期間分の各医療従事者の医療従事者情報と、当該一定期間に続く対象期間においてMRが各医療従事者に対する活動を行った際の、各チャネルの利用値とから成る入力データ群に対し、成果値の正解値が対応付けられた訓練データを用いて、第1モデル51を生成する。例えばサーバ1は、MRの活動の実績値を訓練データとして用いる。すなわち、サーバ1は、MRが活動対象とした各医療従事者の医療従事者情報と、各医療従事者とのWeb面談数、対面面談数、電話数等と、各医療従事者による医薬品の処方伸長度とを訓練データとする。
【0059】
サーバ1は、訓練用の入力データを第1モデル51に入力することで成果値を算出する。サーバ1は、算出した成果値が正解値と近似するように、ニューロン間の重み等のパラメータを更新する。サーバ1は、各入力データを第1モデル51に順次与えてパラメータを更新し、最終的にパラメータを最適化した第1モデル51を生成する。
【0060】
サーバ1は、上述の第1モデル51を用いて、活動対象の医療従事者に対しMRが活動を行う際の、各チャネルの推奨値を決定する。具体的には、サーバ1は、各チャネルの利用値の組み合わせが異なる複数パターンの各チャネルの利用値を用意し、複数パターンの各チャネルの利用値を第1モデル51に入力することで、各パターンに対応する成果値を算出する。そしてサーバ1は、算出した成果値に基づき、各チャネルの推奨値を決定する。
【0061】
図6下側に、推奨値決定時の第1モデル51の入出力データを概念的に図示している。
図6では、各パターンで同じ医療従事者情報と、各パターンで異なる各チャネルの利用値(太枠で図示)とを入力として、各パターンで異なる処方伸長度が出力される様子を図示している。
【0062】
サーバ1は、対象の医療従事者に関連する医療従事者情報を各データベース(医師DB142、施設DB143等)から読み出す。そしてサーバ1は、医療従事者情報と組み合わせる各チャネルの利用値を、複数パターン生成する。なお、複数パターンの各チャネルの利用値は、後述する第2モデル52が推定する医療従事者の各チャネルの利用値のほか、MRが所属する製薬会社内の部署単位で定められた目標活動回数(上限値及び/又は下限値)、MR別に定められた目標活動回数(上限値及び/又は下限値)等の制約条件の下で生成される。
【0063】
サーバ1は、医療従事者情報と共に入力する利用値のパターンを入れ換えながら、各パターンの入力データを第1モデル51に順次入力する。これによりサーバ1は、各パターンに対応する成果値を算出する。
【0064】
サーバ1は、算出した各パターンの成果値に基づき、MRに推奨すべき各チャネルの推奨値を決定する。例えばサーバ1は、成果値が最大となるパターンの各チャネルの利用値を推奨値に決定する。すなわち、サーバ1は、処方伸長度が最大となる、複数のチャネルそれぞれを通じた活動回数を決定する。
【0065】
なお、上記の推奨値の決定方法は一例であって、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えばサーバ1は、各パターンの成果値を所定の閾値と比較し、成果値が閾値以上となる一又は複数パターンの各チャネルの利用値を、各パターンの成果値に応じた順序でMRに提示する等してもよい。
【0066】
このように、サーバ1は、MRの活動の成果を予測する第1モデル51を利用して、医療従事者に対しMRが各チャネルを通じて営業活動を行う際の各チャネルの推奨値(活動回数)を決定する。これにより、成果が最大化するようにMRの活動を支援することができる。
【0067】
図7は、第2モデル52に関する説明図である。上記では、サーバ1は第1モデル51に複数パターンの各チャネルの利用値を入力する旨を説明した。本実施の形態においてサーバ1は更に、第1モデル51に入力する各チャネルの利用値を、第1モデル51とは異なる第2モデル52を利用して生成する。
【0068】
第2モデル52は、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、例えば第1モデル51と同じくCNN等のニューラルネットワークである。なお、第2モデル52は、CNN以外のニューラルネットワーク、又は決定木、ランダムフォレスト、SVM等の他の学習アルゴリズムに基づくモデルであってもよい。
【0069】
第2モデル52は、医療従事者がデジタルチャネルを含む各チャネルをどの程度嗜好しているか、医療従事者の嗜好性を推定するモデルである。具体的には、第2モデル52は、過去一定期間の医療従事者情報を入力した場合に、推定対象期間における医療従事者の、デジタルチャネルを含む各チャネルの利用値を推定する。例えば第2モデル52は第1モデル51と同様、過去6ヶ月間の医療従事者情報を入力した場合に、次の1ヶ月間において医療従事者がWeb面談、対面面談、電話等の各チャネルをどの程度利用するか、その利用回数を推定する。
【0070】
第2モデル52に入力する医療従事者情報は、第1モデル51に入力する医療従事者情報とほぼ同様であり、医療従事者の属性、医療従事者が所属する医療施設の属性、医療従事者の行動特性を表す特性値、及びMRとの親密度を含む。第2モデル52は、各種情報から各チャネルの利用値を推定する。
【0071】
サーバ1は、一定期間の医療従事者情報群に対し、当該一定期間に続く対象期間における各チャネルの利用値の正解値が対応付けられた訓練データを用いて、第2モデル52を生成する。第2モデル52の訓練データは、第1モデル51の訓練データと同様に実績値であり、各データベースに記憶されているデータである。サーバ1は、ある一定期間(例えば6ヶ月間)の医療従事者情報を訓練用の入力データとし、次の対象期間(例えば1ヶ月間)における医療従事者の各チャネルの利用値を正解値として用いる。
【0072】
本実施の形態においてサーバ1は、チャネル毎に利用値を推定すべく、各チャネルに対応する複数の第2モデル52、52、52…を生成する。すなわち、サーバ1は、Web面談数推定用の第2モデル52、対面面談数推定用の第2モデル52、電話数推定用の第2モデル52、…というように、互いに異なるチャネルの利用値を推定する複数の第2モデル52、52、52…を生成する。
【0073】
なお、本実施の形態ではチャネル毎に第2モデル52を生成するものとするが、単一の第2モデル52で複数のチャネルそれぞれの利用値を推定可能としてもよい。
【0074】
サーバ1は、訓練用の医療従事者情報を各第2モデル52に入力し、各チャネルの利用値を推定する。サーバ1は、推定された各チャネルの利用値を正解値と比較し、両者が近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。これにより、サーバ1は各第2モデル52を生成する。
【0075】
第1モデル51を利用して各チャネルの推奨値を決定する場合に、サーバ1はまず、医療従事者情報を各第2モデル52に入力することで、医療従事者の各チャネルの利用値を推定する。そしてサーバ1は、推定した各チャネルの利用値に基づき、第1モデル51に入力する複数パターンの各チャネルの利用値を生成する。
【0076】
例えばサーバ1は、各チャネルの利用値に所定値を加減することで、第1モデル51に入力する利用値が取り得る上限値及び下限値をチャネル毎に設定する。サーバ1は、当該上限値から下限値までの数値範囲で、複数パターンの各チャネルの利用値を生成する。なお、上述の如くサーバ1は、MRが所属する部署単位の目標活動回数、MR別の目標活動回数等の制約条件も参照して、複数パターンの各チャネルの利用値を生成する。
【0077】
なお、
図7では第2モデル52から出力される利用値が単一の数値であるものとして図示してあるが、第2モデル52が各チャネルの利用値の上限値及び下限値、すなわち数値範囲を直接推定するようにしてもよい。
【0078】
サーバ1は、第2モデル52を利用して生成した複数パターンの各チャネルの利用値を、対象の医療従事者に関連する医療従事者情報と組み合わせ、第1モデル51に入力する。上述の如く、サーバ1は第1モデル51により算出された成果値を元に、MRに推奨すべき各チャネルの推奨値を決定する。
【0079】
図8は、端末2の表示画面の一例を示す説明図である。
図8では、営業対象となる医療従事者(医師)の情報を閲覧可能な画面であって、上述の推奨値を表示する画面を図示している。
【0080】
当該画面は、対象者一覧81、利用値グラフ82、寄与度グラフ83を含む。対象者一覧81は、医師DB142に登録されている医師(医療従事者)の一覧を表示する表示欄である。利用値グラフ82は、第1モデル51を利用して決定した推奨値と、MRの活動の実績値とをチャネル別に表示するグラフである。寄与度グラフ83は、医療従事者情報に含まれる各パラメータがチャネルの利用にどの程度寄与するか、利用値に対する各パラメータの寄与度をチャネル別に表示するグラフである。
【0081】
端末2は、MRの活動対象となる医療従事者を対象者一覧81に表示する。そして端末2は、対象者一覧81からいずれかの医療従事者を選択する選択入力を受け付ける。なお、対象者一覧81の「品目」は、医療従事者がよく処方する医薬品を表す。対象者一覧81の「スコア」は、該当の医療従事者に対する1面談当たりの医薬品の売上への寄与度を表す。例えばサーバ1はMRDB141及び売上DB144を参照して、医療従事者に対するMRの面談数(活動回数)と、当該医療従事者による各医薬品の処方量とから医薬品毎にスコアを算出し、スコアが最も高い医薬品、及び当該医薬品のスコアを医療従事者と対応付けて対象者一覧81に表示させる。
【0082】
端末2は、対象者一覧81で選択された医療従事者の情報を画面右側に表示する。具体的には、端末2は、選択された医療従事者に係る各医薬品のスコアを画面上側に表示すると共に、当該医療従事者に係る利用値グラフ82及び寄与度グラフ83を表示する。
【0083】
利用値グラフ82は、第1モデル51を利用して決定した推奨値と、MRの活動の実績値とを表示するグラフである。端末2は、各チャネルの推奨値と、現時点から直近所定期間(例えば1ヶ月間)のチャネル別の活動実績値とを利用値グラフ82に表示する。これにより、MRは各チャネルを通じてどの程度活動を行えば良いか、客観的な指標を得ることができる。
【0084】
寄与度グラフ83は、医療従事者情報に含まれる各パラメータが医療従事者による各チャネルの利用にどの程度寄与するか、各パラメータの寄与度を示すグラフである。上述の如く、サーバ1は、医療従事者情報を第2モデル52に入力することで、医療従事者の各チャネルの利用値を推定する。本実施の形態においてサーバ1は、第2モデル52の入出力(医療従事者情報及び利用値)に基づき、医療従事者情報として第2モデル52に入力した各パラメータの寄与度を算出する。
【0085】
例えばサーバ1は、寄与度としてShap値(Shapley Additive explanations)を算出する。Shapは機械学習モデルの解釈に用いられる可視化アルゴリズムであり、モデルの出力に対する入力特徴量の寄与度を算出するアルゴリズムである。Shapは公知のアルゴリズムであるため、詳細な説明は省略する。なお、サーバ1は、Shap以外のアルゴリズムで寄与度を算出してもよい。
【0086】
上述の如く、サーバ1は、各チャネルに対応する第2モデル52、52、52…を用いて、医療従事者の各チャネルの利用値を推定する。サーバ1は、各第2モデル52の入出力に基づき、推定した利用値に対する医療従事者情報の各パラメータの寄与度をチャネル毎に算出する。
【0087】
例えば端末2は、チャネル選択欄831により、寄与度グラフ83で表示対象とするチャネルの選択入力を受け付ける。端末2は、選択されたチャネルの利用値に対する各パラメータの寄与度を寄与度グラフ83に表示する。
図8に示すように、寄与度は正負の値で表現され、寄与度が正の場合は当該チャネルの利用にポジティブな影響を与えることを表し、寄与度が負の場合はネガティブな影響を与えることを表す。寄与度グラフ83により、医療従事者の反応(チャネルの利用)に寄与する重要因子を可視化することができる。
【0088】
その他、端末2は医療従事者の属性(年齢等)、医療施設の属性(区分、デジタル視聴率等)、デジタルコンテンツの視聴状況などを当該画面に表示する(
図8では不図示)。
【0089】
以上より、本実施の形態によれば、デジタルチャネルを含む各チャネルを通じて医療従事者にどの程度アプローチすればよいか、第1モデル51及び第2モデル52を利用して各チャネルの推奨値を提示する。これにより、MRの活動を好適に支援することができる。
【0090】
図9は、第1モデル51の生成処理の手順を示すフローチャートである。
図9に基づき、機械学習により第1モデル51を生成する処理について説明する。
サーバ1の制御部11は、第1モデル51を生成するための訓練データを取得する(ステップS11)。訓練データは、一定期間の医療従事者情報と、当該一定期間と異なる対象期間における各チャネルの利用値とから成る入力データ群に対し、MRの活動の成果値の正解値が対応付けられたデータである。医療従事者情報は、医療従事者の属性、医療従事者が所属する医療施設の属性、医療従事者の行動特性を表す特性値、及びMRとの親密度を含む。成果値は、例えば医療従事者による医薬品の処方伸長度である。
【0091】
制御部11は訓練データに基づき、医療従事者情報と、デジタルチャネルを含む各チャネルの利用値とを入力した場合に、MRの活動の成果値を算出する第1モデル51を生成する(ステップS12)。例えば制御部11は、ニューラルネットワークを第1モデル51として生成する。制御部11は、訓練用の入力データを第1モデル51に入力することで成果値を算出する。制御部11は、算出した成果値が正解値と近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで、第1モデル51を生成する。
【0092】
図10は、第2モデル52の生成処理の手順を示すフローチャートである。
図10は、機械学習により第2モデル52を生成する処理について説明する。
サーバ1の制御部11は、第2モデル52を生成するための訓練データを取得する(ステップS31)。訓練データは、一定期間の医療従事者情報群に対し、当該一定期間と異なる対象期間における医療従事者の各チャネルの利用値の正解値が対応付けられたデータである。
【0093】
制御部11は訓練データに基づき、医療従事者情報を入力した場合に、推定対象期間における医療従事者の各チャネルの利用値を推定する第2モデル52を生成する(ステップS32)。例えば制御部11は、Web面談、対面面談、電話等のチャネル別に、複数のニューラルネットワークを各チャネル用の第2モデル52、52、52…として生成する。制御部11は、訓練用の医療従事者情報を第2モデル52に入力することで、医療従事者によるチャネルの利用値を推定する。制御部11は、推定した利用値が正解値と近似するようにニューロン間の重み等のパラメータを最適化することで、第2モデル52を生成する。
【0094】
図11は、推奨値の決定処理の手順を示すフローチャートである。
図11に基づき、各チャネルの推奨値を決定する処理について説明する。
サーバ1の制御部11は、医師DB142を参照して、MRの活動対象となる複数の医療従事者(医師)の一覧を端末2に表示させる(ステップS51)。制御部11は、表示された複数の医療従事者からいずれかを選択する選択入力を受け付ける(ステップS52)。
【0095】
制御部11は、選択された医療従事者に関連する医療従事者情報を各データベースから取得する(ステップS53)。具体的には、制御部11は、選択された医療従事者の属性、行動特性を表す特性値、及び親密度を医師DB142から取得する。また、制御部11は、当該医療従事者が所属する医療施設の属性を施設DB143から取得する。
【0096】
制御部11は、取得した医療従事者情報を第2モデル52に入力することで、医療従事者の各チャネルの利用値を推定する(ステップS54)。具体的には、制御部11は、各チャネルに対応する第2モデル52、52、52…に、過去一定期間の医療従事者情報を各々入力することで、推定対象期間における各チャネルの利用値を推定する。制御部11は、第2モデル52により推定した各チャネルの利用値に基づき、複数パターンの各チャネルの利用値を生成する(ステップS55)。
【0097】
制御部11は、医療従事者情報と、ステップS55で生成した複数パターンの各チャネルの利用値とを第1モデル51に入力することで、各パターンに対応するMRの活動の成果値を算出する(ステップS56)。すなわち、制御部11は、医療従事者情報と組み合わせる各チャネルの利用値のパターンを入れ換えて第1モデル51に入力することで、各パターンに対応する成果値を順次推定する。
【0098】
制御部11は、推定した各パターンの成果値に基づき、MRに推奨すべき各チャネルの推奨値(利用値)を決定する(ステップS57)。例えば制御部11は、成果値(処方伸長度)が最大となるパターンの各チャネルの利用値を推奨値に決定する。
【0099】
また、制御部11は、第2モデル52により推定された利用値に対する、医療従事者情報に含まれる各パラメータの寄与度をチャネル別に算出する(ステップS58)。例えば制御部11は、寄与度としてSHAP値を算出する。
【0100】
制御部11は、ステップS57で決定した各チャネルの推奨値、及びステップS58で算出した寄与度を端末2に表示させる(ステップS59)。例えば制御部11は、推奨値及び実績値をチャネル別に示す利用値グラフ82を表示させる。また、制御部11は、医療従事者情報の各パラメータの寄与度をチャネル別に示す寄与度グラフ83を表示させる。制御部11は、一連の処理を終了する。
【0101】
なお、上記では第1モデル51及び第2モデル52の学習を行う装置と、第1モデル51及び第2モデル52を利用した推論を行う装置とが同一のコンピュータ(サーバ1)であるものとして説明したが、各装置は別々のコンピュータであってもよい。例えば各モデルの学習をサーバ1が行い、サーバ1が生成した各モデルのデータを端末2にインストールして、端末2が各モデルによる推論を行うようにしてもよい。
【0102】
また、上記ではMRの営業活動(医薬品の販売)に本システムを適用する形態について説明したが、本実施の形態はこれに限定されるものではない。例えば本システムを、教育コンテンツの販売、経営コンサルティング、カウンセリング等の他分野に適用してもよい。これらの分野で顧客に対し複数のチャネルを通じてアプローチする場合に、本システムを適用することが考えられる。
【0103】
例えば教育コンテンツの販売では、目標とする成果値を顧客(学習者)の成績で定義することができる。また、経営コンサルティングでは、成果値を顧客企業の業績で定義することができる。また、カウンセリングでは、成果値をカウンセリングを受ける人の満足度で定義することができる。サーバ1は、これらの成果値が最大化するように、担当者が顧客に活動を行う際の各チャネルの利用値を決定するようにしてもよい。
【0104】
すなわち、サーバ1は、顧客に関連する顧客情報と、複数パターンの各チャネルの利用値とを第1モデル51に入力することで成果値を算出し、算出した成果値に基づいて各チャネルの推奨値を決定可能であればよい。また、サーバ1は、顧客情報を第2モデル52に入力することで顧客の各チャネルの利用値を推定し、推定した利用値に基づいて、第1モデル51に入力する複数パターンの各チャネルの利用値を生成可能であればよい。このように、種々の分野に本システムを適用することが考えられる。
【0105】
以上より、本実施の形態によれば、デジタルチャネルを通じた顧客への活動を好適に支援することができる
【0106】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0107】
1 サーバ(情報処理装置)
11 制御部
12 主記憶部
13 通信部
14 補助記憶部
P1 プログラム
51 第1モデル
52 第2モデル
141 MRDB
142 医師DB
143 施設DB
144 売上DB
2 端末
21 制御部
22 主記憶部
23 通信部
24 表示部
25 入力部
26 補助記憶部
P2 プログラム