(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180224
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】リードフレーム、半導体装置及びリードフレームの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
H01L23/50 U
H01L23/50 A
H01L23/50 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087209
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 哲一郎
(72)【発明者】
【氏名】中西 元
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝治
(72)【発明者】
【氏名】出岡 淳
【テーマコード(参考)】
5F067
【Fターム(参考)】
5F067AA04
5F067BC12
5F067BE07
5F067CB03
5F067DA07
5F067DA16
5F067DC18
5F067DC19
5F067EA02
5F067EA04
(57)【要約】
【課題】樹脂からのダイパッドの脱離を抑制すること。
【解決手段】リードフレームは、ダイパッドを有する第1フレーム部材と、第1フレーム部材に積層され、リードを有する第2フレーム部材と、ダイパッド及びリードの周囲の空間に充填される樹脂とを有し、ダイパッドは、突出部と埋込部とからなり、突出部は、樹脂から突出しており、埋込部は、樹脂に埋め込まれており、且つ半導体素子の搭載面と、搭載面と連続する側面とを有し、側面は、樹脂によって被覆されると共に、搭載面と平行な方向に凹む括れを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイパッドを有する第1フレーム部材と、
前記第1フレーム部材に積層され、リードを有する第2フレーム部材と、
前記ダイパッド及び前記リードの周囲の空間に充填される樹脂とを有し、
前記ダイパッドは、突出部と埋込部とからなり、
前記突出部は、前記樹脂から突出しており、
前記埋込部は、前記樹脂に埋め込まれており、且つ半導体素子の搭載面と、前記搭載面と連続する側面とを有し、
前記側面は、前記樹脂によって被覆されると共に、前記搭載面と平行な方向に凹む括れを有することを特徴とするリードフレーム。
【請求項2】
前記括れの底部は、
前記搭載面の周縁よりも前記埋込部の内方に位置することを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項3】
前記ダイパッドは、
前記突出部の外周に形成され、前記樹脂の表面に沿って前記突出部の外方に延伸する延伸部を有することを特徴とする請求項1に記載のリードフレーム。
【請求項4】
前記延伸部は、
前記樹脂の表面における前記リードに対応する位置まで延伸することを特徴とする請求項3に記載のリードフレーム。
【請求項5】
リードフレームと、
前記リードフレームに搭載される半導体素子と、
前記半導体素子を封止する封止樹脂とを有し、
前記リードフレームは、
ダイパッドを有する第1フレーム部材と、
前記第1フレーム部材に積層され、リードを有する第2フレーム部材と、
前記ダイパッド及び前記リードの周囲の空間に充填される樹脂とを有し、
前記ダイパッドは、突出部と埋込部とからなり、
前記突出部は、前記樹脂から突出しており、
前記埋込部は、前記樹脂に埋め込まれており、且つ前記半導体素子の搭載面と、前記搭載面と連続する側面とを有し、
前記側面は、前記樹脂によって被覆されると共に、前記搭載面と平行な方向に凹む括れを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
第1金属板から、半導体素子の搭載面を有する台座が第1凹部によって区画された第1フレーム部材を成形する工程と、
第2金属板から、複数の第1突起が第2凹部によって区画された第2フレーム部材を成形する工程と、
前記第1フレーム部材に前記第2フレーム部材を積層する工程と、
前記台座及び前記複数の第1突起の周囲において前記第1凹部及び前記第2凹部によって形成される空間に封止樹脂を充填する工程と、
前記第1フレーム部材及び前記第2フレーム部材のうち少なくとも前記台座及び前記複数の第1突起と重ならない所定部分をエッチングすることにより、前記第1フレーム部材にダイパッドを形成するとともに前記第2フレーム部材にリードを形成する工程とを有し、
前記第1フレーム部材を成形する工程は、
前記第1金属板に異方性エッチングを施すことより、前記搭載面と連続する側面に前記搭載面と平行な方向に凹む括れを有する前記台座を前記第1フレーム部材に形成し、
前記エッチングする工程は、
側面が前記封止樹脂によって被覆される埋込部であって、前記側面に前記括れを有する埋込部と、前記封止樹脂から突出する突出部とを有する前記ダイパッドを形成することを特徴とするリードフレームの製造方法。
【請求項7】
前記エッチングする工程は、
前記埋込部と、前記突出部と、前記突出部の外周から前記封止樹脂の表面に沿って前記突出部の外方に延伸する延伸部とを有する前記ダイパッドを形成することを特徴とする請求項6に記載のリードフレームの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレーム、半導体装置及びリードフレームの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばIC(Integrated Circuit)チップなどの半導体素子を金属製のリードフレームに搭載する半導体装置が知られている。すなわち、例えばリードフレームの中央に設けられる面状のダイパッドに半導体素子が搭載され、この半導体素子がダイパッドの周囲に設けられる複数のリードに例えばワイヤボンディングによって接続される。そして、リードフレームに搭載された半導体素子が例えばエポキシ樹脂などの樹脂によって封止され、半導体装置が形成されることがある。
【0003】
このようなリードフレームには、2つのフレーム部材が積層された2層構造を有するものがある。すなわち、2層構造を有するリードフレームは、ダイパッドを有するフレーム部材にリードを有するフレーム部材が積層されて構成される。ダイパッド及びリードの周囲の空間には、例えば樹脂が充填される。こうすることにより、2つフレーム部材が樹脂によって補強されるため、リードフレーム全体の強度を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2層構造を有するリードフレームでは、ダイパッドが樹脂から脱離するおそれがあるという問題がある。すなわち、ダイパッド全体の厚さの半分に相当する部分が樹脂に埋め込まれ、残り半分に相当する部分が樹脂から突出しているため、ダイパッドは、樹脂に埋め込まれている部分の側面のみにおいて封止樹脂と接触している。しかしながら、ダイパッドの表面積において樹脂に埋め込まれている部分の側面が占める面積は小さく、ダイパッドと樹脂の密着性はそれほど高くない。このため、例えばリードフレームに反り等の変形が発生する場合、変形による応力がダイパッドと樹脂の境界に加わることにより、ダイパッドが樹脂から容易に脱離するおそれがある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂からのダイパッドの脱離を抑制することができるリードフレーム、半導体装置及びリードフレームの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示するリードフレームは、一つの態様において、ダイパッドを有する第1フレーム部材と、前記第1フレーム部材に積層され、リードを有する第2フレーム部材と、前記ダイパッド及び前記リードの周囲の空間に充填される樹脂とを有し、前記ダイパッドは、突出部と埋込部とからなり、前記突出部は、前記樹脂から突出しており、前記埋込部は、前記樹脂に埋め込まれており、且つ半導体素子の搭載面と、前記搭載面と連続する側面とを有し、前記側面は、前記樹脂によって被覆されると共に、前記搭載面と平行な方向に凹む括れを有する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示するリードフレームの一つの態様によれば、樹脂からのダイパッドの脱離を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るリードフレームの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るリードフレームの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第1フレーム部材成形工程の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、第2フレーム部材成形工程の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、フレーム部材積層工程の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、樹脂封止工程の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、エッチングレジスト形成工程の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、エッチング工程の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、エッチングレジスト剥離工程の具体例を示す図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係るリードフレームの構成の一例を示す断面図である。
【
図16】
図16は、エッチングレジスト形成工程の具体例を示す図である。
【
図19】
図19は、エッチングレジストが形成された第1フレーム部材及び第2フレーム部材の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示するリードフレーム、半導体装置及びリードフレームの製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0011】
(第1実施形態)
[リードフレームの構成]
図1は、第1実施形態に係るリードフレーム100の構成の一例を示す図である。
図1においては、リードフレーム100の断面を模式的に示している。
図1に示すリードフレーム100は、破線で囲まれた単位が例えば
図1の左右方向及び奥行方向に繰り返し配列された集合体として製造される。破線で囲まれた単位は、リードフレーム100に半導体素子が搭載され且つ樹脂封止された後に、個々の半導体装置として分離される単位である。以下では、リードフレーム100の例として破線で囲まれた単位を用いて実施形態の説明を行う。破線で囲まれた単位の数は特に限定されない。
【0012】
なお、以下の説明においては、リードフレーム100の半導体素子を搭載する面が上側の面(上面)であるものとして説明するが、リードフレーム100は、例えば上下反転して製造及び使用されても良く、任意の姿勢で製造及び使用されても良い。
【0013】
リードフレーム100は、第1フレーム部材110と第2フレーム部材120とが積層された2層構造を有する。第1フレーム部材110が有する各要素及び第2フレーム部材120が有する各要素は、樹脂130によって封止されている。
【0014】
第1フレーム部材110は、半導体素子が搭載される金属製の板状部材であり、且つリードフレーム100を外部の部品に電気的に接続する外部接続端子を形成する部材である。第1フレーム部材110の材料としては、例えば銅又は銅合金、並びに42アロイ等の鉄-ニッケル合金などを用いることができる。また、第1フレーム部材110の厚さは、例えば0.1~0.3mm程度とすることができる。
【0015】
第1フレーム部材110は、ダイパッド111と、複数の端子112とを有する。
【0016】
ダイパッド111は、第1フレーム部材110の中央に形成される板状の領域である。ダイパッド111の上面は、半導体素子が搭載される搭載面である。このため、ダイパッド111の上面は、樹脂130によって被覆されていない。ダイパッド111は、上面(つまり、搭載面)と連続する側面が樹脂130によって被覆される埋込部111aと、樹脂130の下面から突出する突出部111bとを有する。埋込部111a及び突出部111bは、それぞれダイパッド111全体の厚さの半分程度の厚さを有する。埋込部111aの側面には、埋込部111aの上面(つまり、搭載面)と平行な方向に凹む括れ111cが形成されている。
【0017】
端子112は、ダイパッド111の周囲に配置され、リードフレーム100を外部の部品に電気的に接続する外部接続端子として用いられる。端子112の上面とダイパッド111の上面とは同一の平面内に位置し、端子112の下面とダイパッド111の下面とは同一の平面内に位置する。つまり、端子112とダイパッド111の厚さは等しい。端子112は、樹脂130の内部に位置する埋込部112aと、樹脂130の下面から突出する突出部112bとを有する。埋込部112a及び突出部112bは、それぞれ端子112全体の厚さの半分程度の厚さを有する。埋込部112aの側面は、樹脂130によって被覆されている。埋込部112aの側面には、埋込部112aの上面と平行な方向に凹む括れ112cが形成されている。
【0018】
第2フレーム部材120は、ダイパッド111の上面に搭載される半導体素子を接地する金属製の板状部材であり、且つ半導体素子と外部接続端子である端子112とを接続する配線パターンを形成する部材である。第2フレーム部材120の材料としては、例えば銅又は銅合金、並びに42アロイ等の鉄-ニッケル合金などを用いることができる。また、第2フレーム部材120の厚さは、例えば0.1~0.3mm程度とすることができる。
【0019】
第2フレーム部材120は、接地用パッド121と、複数のリード122と、複数の配線123とを有する。
【0020】
接地用パッド121は、ダイパッド111の上面に半導体素子が搭載された場合に、この半導体素子をダイパッド111と電気的に接続して接地するパッドである。接地用パッド121は、ダイパッド111の上面の周縁に沿って配置され、中央にダイパッド111の上面を露出する開口121aを有する。接地用パッド121の下端は、樹脂130の内部に位置しており、接地用パッド121の上端は、樹脂130の上面から突出している。ダイパッド111の上面に半導体素子が搭載される場合には、半導体素子は、ワイヤボンディングによって接地用パッド121に接続される。
【0021】
リード122は、ダイパッド111の上面に半導体素子が搭載された場合に、この半導体素子を配線123を介して外部接続端子である端子112と電気的に接続する端子である。リード122は、接地用パッド121の周囲に配置されている。リード122の下端は、樹脂130の内部に位置しており、リード122の上端は、樹脂130の上面から突出している。リード122の上端端面は、接地用パッド121の上端端面と同一の平面内に位置し、リード122の下端端面は、接地用パッド121の下端端面と同一の平面内に位置する。つまり、リード122と接地用パッド121の厚さは等しい。ダイパッド111の上面に半導体素子が搭載される場合には、半導体素子は、ワイヤボンディングによってリード122に接続される。
【0022】
配線123は、上面が樹脂130の上面から露出された状態で、樹脂130の内部に位置している。配線123は、樹脂130の内部において予め定められたパターン状に延在し、先端においてリード122と適宜接続している。また、複数の配線123は、第1フレーム部材110の複数の端子112と1対1で対応しており、複数の端子112と平面視で重なる位置をそれぞれ通過している。配線123の端子112と平面視で重なる位置には、層間接続部123aが形成されている。層間接続部123aは、配線123の他の部位の幅よりも大径の円盤形状を有しており、配線123を端子112と電気的に接続する。すなわち、層間接続部123aの中央には、端子112(埋込部112a)の上面まで貫通する開口部124が形成されている。そして、層間接続部123aの上面、開口部124の内壁面、及び開口部124から露出する端子112の上面が後述のめっき層142によって被覆されることにより、配線123と端子112とが層間接続部123a及びめっき層142を介して電気的に接続される。これにより、配線123及びリード122は、ダイパッド111の上面に搭載される半導体素子と外部接続端子である端子112とを接続する配線パターンを形成する。
【0023】
これら第1フレーム部材110が有する各要素及び第2フレーム部材120が有する各要素は、樹脂130によって封止される。すなわち、ダイパッド111、端子112、接地用パッド121、リード122及び配線123の周囲の空間には、樹脂130が充填されている。樹脂130の材料としては、例えばポリイミド系樹脂やエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれらの樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。
【0024】
第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の樹脂130に覆われずに露出する面には、めっき層が形成されている。例えば、ダイパッド111のうち突出部111bの下面、突出部111bの側面、端子112のうち突出部112bの下面、突出部112bの側面には、めっき層141が形成されている。接地用パッド121の上端側面、接地用パッド121の上端端面、開口121aの内壁面、開口121aから露出するダイパッド111の上面、リード122の上端端面、リード122の上端側面、配線123の上面には、めっき層142が形成されている。また、配線123の上面に形成されるめっき層142は、層間接続部123aの上面、開口部124の内壁面、及び開口部124から露出する端子112の上面を被覆している。
【0025】
ところで、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120からなる2層構造を有するリードフレーム100では、ダイパッド111が樹脂130から脱離する可能性がある。すなわち、2層構造を有するリードフレーム100では、ダイパッド111全体の厚さの半分に相当する埋込部111aが樹脂130に埋め込まれ、残り半分に相当する突出部111bが樹脂130から突出している。このため、ダイパッド111は、埋込部111aの側面のみにおいて樹脂130と接触しており、樹脂130との接触面積がそれほど大きくない。その結果、ダイパッド111が樹脂130から脱離する可能性がある。
【0026】
そこで、本実施形態に係るリードフレーム100では、
図1に示すように、ダイパッド111の埋込部111aの側面に括れ111cを形成している。括れ111cの底部111ccは、埋込部111aの上面(つまり、搭載面)の周縁よりも埋込部111aの内方に位置している。括れ111cの底部111ccとは、括れ111cの深さが最も大きくなる部位を指す。
【0027】
埋込部111aの側面に括れ111cが形成されることにより、括れ111cに樹脂130が充填されるため、アンカー効果によりダイパッド111と樹脂130の密着性を向上させることができる。結果として、樹脂130からのダイパッド111の脱離を抑制することができる。
【0028】
また、括れ111cの底部111ccが埋込部111aの上面の周縁よりも埋込部111aの内方に位置することにより、ダイパッド111と樹脂130の密着性をより向上させることができることから、ダイパッド111の脱離の可能性をより低減させることができる。
【0029】
なお、2層構造を有するリードフレーム100では、端子112は、ダイパッド111と同様に、埋込部112aの側面のみにおいて樹脂130と接触しており、樹脂130との接触面積がそれほど大きくない。これに対して、リードフレーム100では、
図1に示すように、端子112の埋込部112aの側面にも括れ112cを形成している。これにより、端子112と樹脂130の密着性を向上させることができる。結果として、樹脂130からの端子112の脱離を抑制することができる。
【0030】
[リードフレームの製造方法]
次に、上記のように構成されるリードフレーム100の製造方法について、
図2を参照しながら、具体的に例を挙げて説明する。
図2は、第1実施形態に係るリードフレーム100の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【0031】
まず、リードフレーム100の骨格となる第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120が成形される(ステップS101、S102)。第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120は、それぞれ金属板のエッチングによって成形される。
【0032】
具体的には、例えば
図3に示すように、第1金属板310は、第1金属板310の上面からのハーフエッチングにより台座311と台座311の周囲に配置される複数の突起312とを残存させるように溶解される。
図3は、第1フレーム部材成形工程の具体例を示す図である。残存する台座311及び複数の突起312の周囲には、第1凹部310aが形成される。つまり、第1金属板310から、台座311及び複数の突起312が第1凹部310aによって区画された第1フレーム部材110が成形される。
【0033】
第1金属板310のエッチングには、異方性エッチング液が用いられる。すなわち、第1フレーム部材110が成形される際に、第1金属板310に異方性エッチング液を用いた異方性エッチングが施されることにより、台座311の溶解が第1金属板310の厚さ方向だけでなく面方向にも進行する。これにより、第1フレーム部材110には、側面に上面と平行な方向に凹む括れ111cを有する台座311が形成される。このとき、台座311は、括れ111cの底部111ccが台座311の上面の周縁よりも台座311の内方に位置するように形成される。また、第1金属板310に異方性エッチングが施されることにより、台座311と同様に、突起312の溶解が第1金属板310の厚さ方向だけでなく面方向にも進行する。これにより、第1フレーム部材110には、側面に上面と平行な方向に凹む括れ112cを有する突起312が形成される。このとき、突起312は、括れ112cの底部が突起312の上面の周縁よりも突起312の内方に位置するように形成される。
【0034】
また、例えば
図4に示すように、第2金属板320は、第2金属板320の下面からのハーフエッチングにより、台座321と台座321の周囲に配置される複数の突起322と複数の突起323とを残存させるように溶解される。
図4は、第2フレーム部材成形工程の具体例を示す図である。残存する台座321、複数の突起322、及び複数の突起323の周囲には、第2凹部320aが形成される。つまり、第2金属板320から、台座321、複数の突起322、及び複数の突起323が第2凹部320aによって区画された第2フレーム部材120が成形される。
【0035】
突起323は、第2金属板320の面方向に沿って予め定められたパターン状に延在し、先端において突起322と適宜接続する。突起323の延在方向の予め定められた位置には、層間接続部123aが形成される。第2金属板320のハーフエッチングにより、層間接続部123aの両端面には、互いに連通しない凹部がそれぞれ形成される。また、第2金属板320の両面からのハーフエッチングにより、台座321の中央には、開口121aが形成される。
【0036】
金属板のエッチングにより第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120が成形されると、第1フレーム部材110に第2フレーム部材120が積層される(ステップS103)。具体的には、台座321が台座311の上面の周縁に沿って配置され且つ突起323の層間接続部123aが突起312の上面と接触するように、第1フレーム部材110に第2フレーム部材120が積層される。これにより、例えば
図5に示すように、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120からなる2層構造を有する中間構造体が形成される。このとき、中間構造体の台座311、突起312、台座321、突起322及び突起323の周囲には、第1凹部310a及び第2凹部320aによって空間が形成される。また、台座321の開口121aにおいて台座311の上面が露出する。
図5は、フレーム部材積層工程の具体例を示す図である。
【0037】
中間構造体は、例えばトランスファーモールド成形により、樹脂封止される(ステップS104)。すなわち、中間構造体が金型のキャビティに設置され、未硬化の樹脂130が金型のキャビティへ注入された後、樹脂130が加熱されて硬化する。樹脂封止の方法としては、トランスファーモールド法の他に、例えばコンプレッションモールド法やインジェクションモールド法等を用いても良い。中間構造体が樹脂封止されることにより、例えば
図6に示すように、台座311、突起312、台座321、突起322及び突起323の周囲の空間に樹脂130が充填される。このとき、台座311の側面に括れ111cが形成されているため、樹脂130が括れ111cにまで充填され、台座311と樹脂130の密着性が向上する。また、突起312の側面に括れ112cが形成されているため、樹脂130が括れ112cにまで充填され、突起312と樹脂130の密着性が向上する。
図6は、樹脂封止工程の具体例を示す図である。
【0038】
中間構造体が樹脂封止されると、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の表面にそれぞれエッチングレジストが形成される(ステップS105)。具体的には、例えば
図7に示すように、第1フレーム部材110の下面側にはエッチングレジスト410が形成され、第2フレーム部材120の上面側にはエッチングレジスト420が形成される。
図7は、エッチングレジスト形成工程の具体例を示す図である。エッチングレジスト410、420は、ダイパッド111、端子112、接地用パッド121及びリード122として残される位置に形成される。例えば、エッチングレジスト410は、それぞれダイパッド111及び端子112として残される台座311及び突起312の位置に形成される。また、例えば、エッチングレジスト420は、それぞれ接地用パッド121及びリード122として残される台座321及び突起322の位置に形成される。また、例えば、エッチングレジスト420は、開口121aの内壁面及び開口121aにおいて露出する台座311の上面の位置にも形成される。なお、エッチングレジスト410、420の台座311、突起312、台座321及び突起322と重ならない所定部分には、エッチングレジストの空隙が形成される。
【0039】
このようなエッチングレジストが形成された第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120は、エッチング液に浸漬されエッチングが行われる(ステップS106)。具体的には、例えば硫酸-過酸化水素や過硫酸塩などのエッチング液に第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120が浸漬されることにより、エッチングレジストに被覆されていない所定部分が溶解し、リードフレーム100の形状に成形される。
【0040】
すなわち、例えば
図8に示すように、第1フレーム部材110の台座311及び突起312と重ならない所定部分がエッチングされ、ダイパッド111及び端子112が形成される。また、例えば、第2フレーム部材120の台座321、台座311の上面、突起322と重ならない所定部分がエッチングされ、接地用パッド121、リード122及び配線123が形成される。また、配線123の層間接続部123aの両端面に形成された凹部が層間接続部123aの上面側からのエッチングにより連通されることにより、開口部124が形成される。
図8は、エッチング工程の具体例を示す図である。
【0041】
このように、エッチングにより、第1フレーム部材110にダイパッド111及び端子112が形成されると同時に、第2フレーム部材120に接地用パッド121、リード122及び配線123が形成される。ダイパッド111は、側面が樹脂130によって被覆される埋込部111aであって、側面に括れ111cを有する埋込部111aと、樹脂130から突出する突出部111bとを有する。端子112は、樹脂130の内部に位置する埋込部112aであって、側面に括れ112cを有する埋込部112aと、樹脂130の下面から突出する突出部112bとを有する。第2フレーム部材120においては、配線123の層間接続部123aの両端面に形成された凹部を連通させるエッチングが行われることによって、層間接続部123aに開口部124が形成される。
【0042】
エッチングが完了すると、例えばアミン系又は非アミン系の剥離液を用いてエッチングレジスト410、420が剥離され(ステップS107)、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120からなる2層構造を有するリードフレーム100が得られる。すなわち、例えば
図9に示すように、ダイパッド111及び端子112を有する第1フレーム部材110と、接地用パッド121、リード122及び配線123を有する第2フレーム部材120とが積層された2層構造を有するリードフレーム100が得られる。
図9は、エッチングレジスト剥離工程の具体例を示す図である。
【0043】
成形されたリードフレーム100には、電解めっきが施され(ステップS108)、リードフレーム100が完成する。具体的には、第1フレーム部材110側又は第2フレーム部材120側からリードフレーム100に給電されることにより、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の樹脂130に覆われずに露出する金属部分にめっき層が形成される。
【0044】
すなわち、例えば
図10に示すように、ダイパッド111のうち突出部111bの下面、突出部111bの側面、端子112のうち突出部112bの下面、及び突出部112bの側面には、めっき層141が形成される。接地用パッド121の上端側面、接地用パッド121の上端端面、開口121aの内壁面、開口121aから露出するダイパッド111の上面、リード122の上端端面、リード122の上端側面、及び配線123の上面には、めっき層142が形成される。めっき層142は、層間接続部123aの上面、開口部124の内壁面、及び開口部124から露出する端子112の上面を被覆するとともに、開口121aの内壁面及び開口121aから露出する埋込部111aの上面を被覆している。これにより、めっき層142によって層間接続部123aを端子112に接合し且つ接地用パッド121をダイパッド111に接合することができる。その結果、層間接続部123aと端子112の結合強度、及び接地用パッド121とダイパッド111の結合強度が向上することから、ダイパッド111及び端子112が樹脂130から脱離する可能性をより低減することができる。
図10は、電解めっき工程の具体例を示す図である。
【0045】
めっき層141、142に用いられる金属としては、例えばNi(ニッケル)/Ag(銀)、Ni/Pd(パラジウム)/Au(金)、Sn(錫)、Ag等がある。ここで、Ni/Agとは、下層側から順にNi層とAg層とを積層しためっき層であり、Ni/Pd/Auとは、下層側から順にNi層とPd層とAu層とを積層しためっき層である。めっき層141、142の形成方法としては、電解めっき法の他に、例えばPPF(Pre Plated leadFrame)法等を用いても良い。
【0046】
完成後のリードフレーム100では、ダイパッド111の埋込部111aの側面に括れ111cを有する。埋込部111aの側面に括れ111cが形成されることにより、括れ111cに樹脂130が充填されるため、アンカー効果によりダイパッド111と樹脂130の密着性を向上させることができる。結果として、樹脂130からのダイパッド111の脱離を抑制することができる。
【0047】
[半導体装置を製造する工程]
次に、リードフレーム100に半導体素子を搭載して半導体装置を製造する工程について説明する。
【0048】
半導体素子は、リードフレーム100のダイパッド111に搭載される。具体的には、はんだ又はダイアタッチペーストなどの接合材によって、半導体素子510は、例えば
図11に示すように、接地用パッド121の開口121aから露出するダイパッド111の上面に接合される。
図11は、半導体素子の搭載を説明する図である。
【0049】
半導体素子510がダイパッド111の上面に接合されると、例えば
図12に示すように、半導体素子510と接地用パッド121がワイヤボンディング接続されるとともに、半導体素子510とリード122がワイヤボンディング接続される。すなわち、半導体素子510の接地用電極がワイヤ520によって接地用パッド121上のめっき層142と電気的に接続されるとともに、半導体素子510の信号用電極がワイヤ530によってリード122上のめっき層142と電気的に接続される。このとき、半導体素子510が接地用パッド121の開口121aから露出するダイパッド111の上面に搭載されているため、半導体素子510の上面の高さが接地用パッド121及びリード122上のめっき層142の高さにほぼ等しくなっている。その結果、半導体装置の薄厚化が可能になると同時に、ワイヤ520、530の長さを短縮することができる。
図12は、ワイヤボンディングを説明する図である。
【0050】
そして、リードフレーム100に搭載された半導体素子510を封止樹脂により封止するモールドが行われる。具体的には、半導体素子510を搭載したリードフレーム100が金型に収容され、流動化した封止樹脂が金型内に注入される。そして、封止樹脂が所定の温度に加熱されて硬化することにより、例えば
図13に示すように、半導体素子510の周囲の空間に封止樹脂540が充填され、リードフレーム100に搭載された半導体素子510が封止される。
図13は、モールドを説明する図である。
【0051】
リードフレーム100に搭載された半導体素子510が封止樹脂540によって封止されると、例えば
図13に示す破線部分において、封止樹脂540及びリードフレーム100が切断される。これにより、リードフレーム100が個片に分離され、例えば
図14に示すように、ダイパッド111、端子112、接地用パッド121、リード122、配線123、半導体素子510及び封止樹脂540を有する半導体装置が完成する。
図14は、半導体装置の構成の一例を示す図である。
【0052】
以上のように、本実施形態に係るリードフレーム(例えば、リードフレーム100)は、第1フレーム部材(例えば、第1フレーム部材110)と、第2フレーム部材(例えば、第2フレーム部材120)と、樹脂(例えば、樹脂130)とを有する。第1フレーム部材は、半導体素子(例えば、半導体素子510)の搭載面を有するダイパッド(例えば、ダイパッド111)を有する。第2フレーム部材は、リード(例えば、リード122)を有する。樹脂は、ダイパッド及びリードの周囲の空間に充填される。ダイパッドは、埋込部(例えば、埋込部111a)と、突出部(例えば、突出部111b)とを有する。埋込部は、搭載面と連続する側面が樹脂によって被覆される埋込部であって、側面に搭載面と平行な方向に凹む括れ(例えば、括れ111c)を有する。突出部は、樹脂から突出する。これにより、本実施形態に係るリードフレームによれば、樹脂からのダイパッドの脱離を抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態に係る括れの底部(例えば、底部111cc)は、搭載面の周縁よりも埋込部の内方に位置する。これにより、本実施形態に係るリードフレームによれば、ダイパッドの脱離の可能性をより低減させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態におけるダイパッド111のバリエーションに関する。
【0055】
図15は、第2実施形態に係るリードフレーム100の構成の一例を示す断面図である。
図15において、
図1と同じ部分には同じ符号を付す。
図15に示すダイパッド111は、埋込部111a及び突出部111bに加えて、延伸部111dを有する。
【0056】
延伸部111dは、突出部111bの外周が樹脂130の表面(下面)に沿って端子112の方向へ延伸することにより形成される。具体的には、延伸部111dは、樹脂130の表面におけるリード122に対応する位置まで延伸している。
【0057】
延伸部111dは、ダイパッド111が樹脂130から脱離する可能性を低減する。すなわち、延伸部111dが形成されることにより、ダイパッド111と樹脂130との接触面積が増大するため、ダイパッド111と樹脂130の結合強度が向上する。また、延伸部111dが樹脂130の表面におけるリード122に対応する位置まで延伸していることにより、リード122とダイパッド111の上面に搭載された半導体素子とのワイヤボンディング時にリード122とワイヤの接続信頼性が向上する。
【0058】
次に、上記のように構成されるリードフレーム100の製造方法について、具体的に例を挙げながら説明する。なお、以下においては、上記第1実施形態と同様の工程についての説明を簡略化する。
【0059】
まず、上記第1実施形態と同様に、
図2の第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の成形工程(ステップS101、S102)から樹脂封止工程(ステップS104)までの各工程が行われる。
【0060】
そして、中間構造体が樹脂封止されると、第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の表面にそれぞれエッチングレジストが形成される(ステップS105)。具体的には、例えば
図16に示すように、第1フレーム部材110の下面側にはエッチングレジスト410Aが形成され、第2フレーム部材120の上面側にはエッチングレジスト420が形成される。
図16は、エッチングレジスト形成工程の具体例を示す図である。エッチングレジスト410A、420は、ダイパッド111、端子112、接地用パッド121及びリード122として残される位置に形成される。例えば、エッチングレジスト410Aは、それぞれダイパッド111及び端子112として残される台座311及び突起312の位置に形成される。エッチングレジスト410Aは、ダイパッド111の延伸部111dとして残される、台座311の外周よりも外側の位置まで、延伸して形成される。エッチングレジスト420は、上記第1実施形態におけるエッチングレジスト420と同様に形成される。
【0061】
このようなエッチングレジストが形成された第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120は、エッチング液に浸漬されエッチングが行われる(ステップS106)。具体的には、例えば硫酸-過酸化水素や過硫酸塩などのエッチング液に第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120が浸漬されることにより、エッチングレジストに被覆されていない所定部分が溶解し、リードフレーム100の形状に成形される。
【0062】
すなわち、例えば
図17に示すように、第1フレーム部材110の台座311、台座311の外周よりも外側の位置まで延伸する領域、及び突起312と重ならない所定部分がエッチングされ、ダイパッド111及び端子112が形成される。また、例えば、第2フレーム部材120の台座321、台座311の上面、突起322と重ならない所定部分がエッチングされ、接地用パッド121、リード122及び配線123が形成される。また、配線123の層間接続部123aの両端面に形成された凹部が層間接続部123aの上面側からのエッチングにより連通されることにより、開口部124が形成される。
図17は、エッチング工程の具体例を示す図である。
【0063】
台座311の外周よりも外側の位置まで延伸する領域においては、第1フレーム部材110の金属部分が残存することにより、延伸部111dが形成される。このとき、延伸部111dは、樹脂130の表面におけるリード122に対応する位置まで延伸するように形成される。延伸部111dは、ダイパッド111の上面に搭載される半導体素子とリード122とがワイヤボンディングによって接続される際に、ワイヤを接合するためにリード122に伝達される熱、超音波及び荷重の伝達効率を向上する。すなわち、延伸部111dが形成されることにより、リード122の下方からリード122を加熱するヒーターからの熱が延伸部111dを介してリード122へ効率的に伝達される。また、延伸部111dが形成されることにより、リード122が延伸部111dによって下方から支持され、リード122の上方からリード122にワイヤを押し当てるワイヤボンダーからの超音波及び荷重がワイヤへ効率的に伝達される。半導体素子とリード122のワイヤボンディングについては、後述する。
【0064】
エッチングが完了すると、上記第1実施形態と同様に、
図2のエッチングレジスト剥離工程(ステップS107)から電解めっき工程(ステップS108)までの各工程が行われる、リードフレーム100が完成する。
【0065】
ここで、
図18を参照して、ワイヤボンディングについて説明する。
図18は、ワイヤボンディングを説明する図である。半導体装置を製造する工程において半導体素子510がダイパッド111の上面に接合されると、例えば
図18に示すように、半導体素子510と接地用パッド121がワイヤボンディング接続されるとともに、半導体素子510とリード122がワイヤボンディング接続される。すなわち、半導体素子510の接地用電極がワイヤ520によって接地用パッド121上のめっき層142と電気的に接続される。また、半導体素子510の信号用電極がワイヤ530によってリード122上のめっき層142と電気的に接続される。このとき、樹脂130の表面におけるリード122に対応する位置には、延伸部111dが位置しているため、ワイヤ530を接合するためにリード122を加熱するヒーター610からの熱がリード122へ効率的に伝達される。また、リード122が延伸部111dによって下方から支持されるため、リード122にワイヤ530を押し当てるワイヤボンダー620からの超音波及び荷重がワイヤ530へ効率的に伝達される。その結果、ワイヤ530をリード122上のめっき層142に確実に接合することができることから、リード122とワイヤ530の接続信頼性を向上させることができる。
【0066】
以上のように、本実施形態に係るリードフレームのダイパッドは、突出部(例えば、突出部111b)の外周に形成され、樹脂(例えば、樹脂130)の表面に沿って突出部の外方に延伸する延伸部(例えば、延伸部111d)を有する。これにより、本実施形態に係るリードフレーム100によれば、ダイパッドと封止樹脂の結合強度を向上させることができる。
【0067】
また、本実施形態に係る延伸部は、樹脂の表面におけるリード(例えば、リード122)に対応する位置まで延伸する。これにより、本実施形態に係るリードフレーム100によれば、半導体素子とリードがワイヤボンディング接続される際に、リードとワイヤの接続信頼性を向上させることができる。
【0068】
(その他)
上記実施形態では、エッチングレジストが形成された第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120をエッチング液に浸漬することにより、エッチングレジストに被覆されていないエッチング対象部分を溶解する例を示した(エッチング工程、
図8、
図17参照)。このとき、第1フレーム部材110のエッチング対象部分の厚さが第2フレーム部材120のエッチング対象部分の厚さよりも小さい場合、第1フレーム部材110のエッチング対象部分が過剰に溶解されて埋込部111aの側面が侵食される。結果として、埋込部111aの側面の括れ111cの形状が損なわれるおそれがある。そこで、括れ111cの形状を保つ観点から、
図19に示すように、第1フレーム部材110のエッチング対象部分Aの厚さと第2フレーム部材120のエッチング対象部分Bの厚さとを略同一とすることが好ましい。
図19は、エッチングレジストが形成された第1フレーム部材110及び第2フレーム部材120の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
100 リードフレーム
110 第1フレーム部材
111 ダイパッド
111a 埋込部
111b 突出部
111c 括れ
111cc 底部
111d 延伸部
120 第2フレーム部材
122 リード
130 樹脂
510 半導体素子
540 封止樹脂