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特開2022-180250非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法
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  • 特開-非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法 図1
  • 特開-非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法 図2
  • 特開-非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180250
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20120101AFI20221129BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087256
(22)【出願日】2021-05-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】港 康晴
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 洋一
(72)【発明者】
【氏名】香田 司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】 特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の交換を好適に管理することの可能なイオン交換樹脂の交換方法を提供する。
【解決手段】 特定のユーザーの非再生式イオン交換装置7から回収したイオン交換樹脂を持ち帰ったら、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂に分離して、情報処理手段23に記録された情報に基づきイオン交換樹脂のグレードなどに応じた再生工程を施すことで再生する。このとき、非再生式イオン交換装置7から回収したイオン交換樹脂を再生すると、イオン交換樹脂のロスが生じ、使用可能な再生イオン交換樹脂の量は回収した量よりも少なくなるので、この減少分のイオン交換樹脂を新品のイオン交換樹脂で補填してやることにより、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のユーザーの超純水製造装置のサブシステムを構成する非再生式イオン交換装置に充填されるイオン交換樹脂の交換方法であって、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報をデータベースで管理し、前記データベースと連動した情報処理手段により、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の情報に基づき、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を予測し、この予測された交換時期に基づいて前記非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を行う、非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項2】
前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報が、前記イオン交換樹脂の直近の交換時期、該非再生式イオン交換装置の設計時の単位時間あたりの想定処理水量、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、及びアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報であり、これらの情報に基づき前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置の次回の交換時期を予測するとともに交換するイオン交換樹脂を準備する、請求項1に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項3】
前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報に、交換するイオン交換樹脂として新品、再生品のいずれを選択するかが含まれる、請求項1又は2に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項4】
前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報に、前記特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質情報が含まれる、請求項1~3のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項5】
前記交換するイオン交換樹脂が、新品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、新品のイオン交換樹脂を事前に準備しておく、請求項2~4のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項6】
前記交換するイオン交換樹脂が、再生品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置から回収したイオン交換樹脂の再生をあらかじめ行う、請求項2~4のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項7】
前記再生品のイオン交換樹脂に新品のイオン交換樹脂を補充する、請求項6に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項8】
前記非再生式イオン交換装置に前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報を記録した情報識別子が付設されており、前記イオン交換樹脂の交換時に、前記情報識別子を認識することにより、前記非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換時期と、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、及びアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報との紐付けがなされる、請求項2~7のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項9】
前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の累積処理水量と、前記非再生式イオン交換装置のイオン負荷及び/又は非再生式イオン交換装置の処理水の水質がそれぞれ計測手段により計測可能となっており、これら処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報に基づいて、前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正する、請求項2~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項10】
前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報を、前記計測手段から無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信する、請求項9に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項11】
前記非再生式イオン交換装置にイオン交換樹脂の充填樹脂高さを計測する光学的センサが設けられており、この光学的センサで測定されるイオン交換装置の充填樹脂高さ情報に基づいて前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正する、請求項2~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項12】
前記イオン交換樹脂の充填樹脂高さ情報を、前記光学的センサから無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信する、請求項11に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項13】
前記イオン交換樹脂の色彩を計測する色度センサが設けられており、この色度センサで測定されるイオン交換樹脂の色度情報に基づいて前記前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を補正する、請求項2~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項14】
前記非再生式イオン交換装置の色度情報を、前記色度センサから無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信する、請求項13に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の交換方法に関し、特に充填されているイオン交換樹脂の交換、特に再生品の交換を適確に管理可能なイオン交換樹脂の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
主に電子分野で使用される超純水は、前処理装置、一次純水製造装置、二次純水製造装置(サブシステム)から構成される超純水製造システムで原水を処理することにより製造される。例えば、図1に示すようにサブシステム1は、一次純水W1を貯留するサブタンク2と、このサブタンク2から一次純水W1を送給する送液ポンプ3と、一次純水W1の熱を回収する熱交換器4と、一次純水W1中の有機物を分解する紫外線酸化装置5と、膜式脱気装置6と、非再生式イオン交換装置7と、膜分離装置としての限外濾過(UF)膜8とから構成される。そして、このようなサブシステム1で製造された二次純水(超純水)W2は、供給路9からユースポイント10に供給され、使用されなかった超純水W2は、返送路11からサブタンク2に還流する。このサブシステム1で使用される非再生式イオン交換装置7には寿命があり、所定量のイオンを交換するとその性能が低下する。そこで、非再生式イオン交換装置7の定期的な交換やメンテナンスが必要となる。
【0003】
この非再生式イオン交換装置7は、使用済のイオン交換樹脂を取り出して、新品もしくは再生処理済のイオン交換樹脂を充填することで、性能を回復することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非再生式イオン交換装置7には、イオン交換樹脂として通常アニオン交換樹脂とカチオン樹脂との混合樹脂が充填されているが、このアニオン交換樹脂とカチオン樹脂には、イオン交換基の差異、基材の相違あるいはイオン交換能力の差異などで各種のグレードが存在し、さらに非再生式イオン交換装置7を使用する顧客の処理水質や要求水質(保証水質)によりイオン交換樹脂の充填量やアニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂の比率も異なる。この結果、ユーザーの超純水製造システムごとに交換するイオン交換樹脂が異なるため、複数のユーザーの超純水製造システムにおける非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換を行うことは非常に手間がかかり、効率的に管理することは困難であった。
【0005】
近年は特に環境負荷の観点から、イオン交換樹脂の廃棄量を削減することが求められており、イオン交換樹脂を再生して再利用することが行われているが、イオン交換樹脂の最適な再生工程もイオン交換樹脂によって異なる上に、イオン交換樹脂の再生に伴うロスは避けられず、不可避的に廃棄しなければならないイオン交換樹脂分を新品のイオン交換樹脂で補填してやる必要がある。この際、再生したイオン交換樹脂をどの程度再利用し、新品のイオン交換樹脂をどの程度補填するかの比率もユーザーの超純水製造システムの要求水質により異なる。
【0006】
このように従来は、特定のユーザーの特定の超純水製造システムごとに非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の交換を管理するのは困難であった。特に非再生式イオン交換装置に再生したイオン交換樹脂を適確に交換することができれば、廃イオン交換樹脂を大幅に削減できて、環境負荷の点で望ましい。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、特定のユーザーの超純水製造システムごとに非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の交換、特に再生品であるイオン交換樹脂への交換を好適に管理することの可能な非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、特定のユーザーの超純水製造装置のサブシステムを構成する非再生式イオン交換装置に充填されるイオン交換樹脂の交換方法であって、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報をデータベースで管理し、前記データベースと連動した情報処理手段により、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂の情報に基づき、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を予測し、この予測された交換時期に基づいて前記非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を行う、非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法を提供する(発明1)。特に上記発明(発明1)においては、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報が、前記イオン交換樹脂の直近の交換時期、該非再生式イオン交換装置の設計時の単位時間あたりの想定処理水量、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、及びアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報であり、これらの情報に基づき前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置の次回の交換時期を予測するとともに交換するイオン交換樹脂を準備することが好ましい(発明2)。
【0009】
上記発明(発明1,2)によれば、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の情報、例えば、直近の交換時期、非再生式イオン交換装置の設計時の想定処理水量、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードなどに基づいて、次回の非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換時期を予測するとともに、条件に合致するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を特定し、この交換時期に応じて条件に合致するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂をそれぞれ所定量事前に用意して、特定のユーザーに供給することで、非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を適確に管理することができる。
【0010】
上記発明(発明1,2)においては、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報に、交換するイオン交換樹脂として新品、再生品のいずれを選択するかが含まれることが好ましい(発明3)。
【0011】
上記発明(発明3)によれば、特定のユーザーが交換する非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂として新品を選択するか、再生品を選択するかにより、次回のイオン交換樹脂の交換樹脂時期にあわせて条件に合致するアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の新品、もしくは再生品を用意することが可能となる。
【0012】
上記発明(発明1~3)においては、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置の情報に、前記特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質情報が含まれることが好ましい(発明4)。
【0013】
上記発明(発明4)によれば、特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質(要求水質)を満たすことができるようにイオン交換樹脂の交換条件を補正し、この補正した条件に合致するようにアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂を用意することが可能となる。
【0014】
上記発明(発明2~4)においては、前記交換するイオン交換樹脂が、新品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、新品のイオン交換樹脂を事前に準備しておくことが好ましい(発明5)。
【0015】
上記発明(発明5)によれば、特定のユーザーが交換時に新品を希望する場合や要求水質から新品のイオン交換樹脂を用いる必要がある場合には、非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の直近の交換時期と該イオン交換樹脂の処理水量と充填量とから次回の交換時期を予測し、この予測された交換時期に応じて所定のグレードの新品のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂をそれぞれ所定量事前に用意して、ユーザーに供給することで、非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0016】
上記発明(発明2~4)においては、前記交換するイオン交換樹脂が、再生品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置から回収したイオン交換樹脂の再生をあらかじめ行うことが好ましい(発明6)。
【0017】
上記発明(発明6)によれば、特定のユーザーが交換時に再生品を希望する場合には、非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の直近の交換時期と該イオン交換樹脂の処理水量と充填量とから次回の交換時期を予測し、この予測された次回の交換時期に応じて該非再生式イオン交換装置から回収したアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂をそれぞれ所定の方法で再生して、ユーザーに供給することで、再生品のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0018】
上記発明(発明6)においては、前記再生品のイオン交換樹脂に新品のイオン交換樹脂を補充することが好ましい(発明7)。
【0019】
上記発明(発明7)によれば、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置から回収したイオン交換樹脂を再生すると、イオン交換樹脂の破損やアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を分離した際の界面のイオン交換樹脂のからみつきなどによりロスが生じ、再利用可能なイオン交換樹脂量は、回収した量よりも少なくなるので、この減少分のイオン交換樹脂をイオン交換樹脂に関する情報に基づいて新品のイオン交換樹脂で補填してやることにより、非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0020】
上記発明(発明2~7)においては、前記非再生式イオン交換装置に前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報を記録した情報識別子が付設されており、前記イオン交換樹脂の交換時に、前記情報識別子を認識することにより、前記非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の直近の交換時期と、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、及びアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報との紐付けがなされることが好ましい(発明8)。
【0021】
上記発明(発明8)によれば、非再生式イオン交換装置にバーコードやQRコード(登録商標)などの情報識別子を付設し、この情報識別子に特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の設計時の単位時間あたりの想定処理水量、イオン交換樹脂の充填量、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率、及びアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードなどの情報を付与しておき、イオン交換樹脂の交換時に情報識別子を読み取ることで、イオン交換樹脂の交換時期を特定して、これらの情報をデータベースに保管・管理して、このデータベースと連動した情報処理手段により、直近のイオン交換樹脂の交換時期のみならず、イオン交換樹脂のグレード、量、あるいは回収したイオン交換樹脂の再生方法などの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の情報と紐付けすることにより、非再生式イオン交換装置の次回のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0022】
上記発明(発明2~8)においては、前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の累積処理水量と、前記非再生式イオン交換装置のイオン負荷及び/又は非再生式イオン交換装置の処理水の水質がそれぞれ計測手段により計測可能となっており、これら処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報に基づいて、前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正することが好ましい(発明9)。
【0023】
上記発明(発明9)によれば、前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の累積処理水量と、前記非再生式イオン交換装置のイオン負荷又は非再生式イオン交換装置の処理水の水質とを連続的、又は断続的に計測して、この情報をデータベースに送信することで、非再生式イオン交換装置の使用状況に応じて情報処理手段により次回のイオン交換樹脂の交換時期を最適なもの補正することができ、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0024】
上記発明(発明9)においては、前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報を、前記計測手段から無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信することが好ましい(発明10)。
【0025】
上記発明(発明10)によれば、前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の処理水量と、前記非再生式イオン交換装置のイオン負荷又は非再生式イオン交換装置の処理水の水質の情報を無線情報伝達手段により遠隔のデータベースおよび情報処理手段に送達することにより、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。
【0026】
上記発明(発明2~8)においては、前記非再生式イオン交換装置にイオン交換樹脂の充填樹脂高さを計測する光学的センサが設けられており、この光学的センサで測定されるイオン交換装置の充填樹脂高さ情報に基づいて前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正することが好ましい(発明11)。
【0027】
上記発明(発明11)によれば、前記非再生式イオン交換装置に充填したイオン交換樹脂は、イオン交換とともに粒径が変動するので樹脂の充填高さも変動する。この非再生式イオン交換装置の樹脂の充填高さを連続的、又は断続的に計測して、この情報をデータベースに送信することで、非再生式イオン交換装置の使用状況(イオン交換情況)に応じて情報処理手段によりイオン交換樹脂の交換時期を最適なもの補正することができ、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0028】
上記発明(発明11)においては、前記イオン交換樹脂の充填樹脂高さ情報を、前記光学的センサから無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信することが好ましい(発明12)。
【0029】
上記発明(発明12)によれば、前記イオン交換樹脂の充填樹脂高さ情報を無線情報伝達手段により遠隔のデータベースおよび情報処理手段に送達することにより、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。
【0030】
上記発明(発明2~8)においては、前記イオン交換樹脂の色彩を計測する色度センサが設けられており、この色度センサで測定されるイオン交換樹脂の色度情報に基づいて前記前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を補正することが好ましい(発明13)。
【0031】
上記発明(発明13)によれば、前記非再生式イオン交換装置に充填したイオン交換樹脂は、イオン交換とともに色合いが変動するので、この非再生式イオン交換樹脂の色度を連続的、又は断続的に計測して、この情報をデータベースに送信することで、非再生式イオン交換装置の使用状況(イオン交換情況)に応じて情報処理手段によりイオン交換樹脂の交換時期を最適なもの補正することができ、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。
【0032】
上記発明(発明13)においては、前記非再生式イオン交換装置の色度情報を、前記色度センサから無線情報伝達手段を介して前記データベースに送信することが好ましい(発明14)。
【0033】
上記発明(発明14)によれば、前記イオン交換樹脂の色彩の情報を無線情報伝達手段により遠隔のデータベースおよび情報処理手段に送達することにより、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施形態による非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法を適用可能な超純水製造装置のサブシステムを示す概略図である。
図2】前記実施形態の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法の適用例を示す概略図である。
図3】前記実施形態の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法の第一の実施形態について添付図面を参照にして詳細に説明する。
【0036】
(サブシステム)
本実施形態の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法を適用可能な超純水製造装置の二次純水製造装置(サブシステム)は、例えば、前述した図1に示す構造のものを用いることができるので、その詳細な説明を省略する。
【0037】
(非再生式イオン交換装置)
本実施形態において、非再生式イオン交換装置7は、一般にアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを混合した状態で充填されたものであり、所定量あるいは所定時間、被処理水を通水したら、非再生式イオン交換装置7ごと取り換えるか、非再生式イオン交換装置7に充填されているイオン交換樹脂を新品もしくは再生処理済のイオン交換樹脂と交換するかする。本実施形態は、非再生式イオン交換装置7ごと取り換える場合ではなく、非再生式イオン交換装置7に充填されているイオン交換樹脂を新品もしくは再生処理済のイオン交換樹脂と交換する場合に適用する。
【0038】
本実施形態においては、この非再生式イオン交換装置7に情報識別子を付与する。この情報識別子としては、バーコードやQRコード(登録商標)などの二次元コードが好適である。この情報識別子には、超純水製造装置を設置しているユーザー(特定のユーザー)の非再生式イオン交換装置7の情報として、イオン交換樹脂に関する情報((1)イオン交換装置7に充填されるアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報(イオン交換樹脂の製造時の管理番号、イオン交換樹脂の銘柄など)、(2)イオン交換樹脂の充填量、及び(3)アニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂(比率))と、(4)非再生式イオン交換装置7の設計時の想定処理水量(標準処理水量)が記録される。また、例えば、イオン交換樹脂の交換時にこの情報識別子を認識することで、この認識した時点を(5)非再生式イオン交換装置7の直近のイオン交換樹脂の交換時期として紐付けることができる。さらに、その他の情報として、(6)交換するイオン交換樹脂として新品を選択するか再生品を選択するか、(7)特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質情報が含まれていてもよい。ここで、(6)交換するイオン交換樹脂として新品を選択するかには、特定のユーザーの希望のみならず、特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質(要求水質)から、全部を新品と交換せざるを得ない、あるいは全部を新品とすることが望ましい場合を含む。
【0039】
(イオン交換樹脂の交換方法)
次に前述したような構成を有する非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換方法について説明する。
【0040】
まず、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換が終了したら図2に示すように作業者Mは、非再生式イオン交換装置7に付設したバーコードなどの情報識別子(図示せず)をスマートフォンなどの携帯端末21で読み取る。この読み取った情報には、前述したように(1)~(4)、(6)及び(7)の情報が含まれており、携帯端末21で情報識別子を読み取った時点を(5)非再生式イオン交換装置7の直近のイオン交換樹脂の交換時期として、上記情報と紐付ける。そして、これらの情報が携帯端末21からデータベース22が付設されたパーソナルコンピュータなどの情報処理手段23を備えた遠隔の管理施設24に向けて送信され、データベース22に記録される。
【0041】
そして、情報処理手段23は、データベース22に記録された(1)イオン交換樹脂の充填量、(2)アニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂(比率)、(3)非再生式イオン交換装置7に充填されるアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報(イオン交換樹脂の製造時の管理番号、イオン交換樹脂の銘柄など)(4)非再生式イオン交換装置7の設計時の想定処理水量(標準処理水量)、(5)非再生式イオン交換装置7の直近のイオン交換樹脂の交換時期の情報に基づき次回のイオン交換樹脂の交換時期を推測する。
【0042】
例えば、(1)イオン交換樹脂の充填量と(2)アニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂(比率)とからアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の充填量を算出し、(3)イオン交換装置7に充填されるアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードからそれぞれのイオン交換樹脂のイオン交換容量を算出する。そして、(4)非再生式イオン交換装置7の設計時の単位時間あたりの想定処理水量(標準処理水量)と1日の平均的稼働時間とから、イオン交換樹脂が破過するまでの日数を推測する。そして、非再生式イオン交換装置7からのイオンリークなどを防止するため、この破過するまでの推測日数に、安全係数をかけた日数に基づいて、次回の交換時期を予測するのが好ましい。
【0043】
また、情報識別子にはその他の必要に応じ、(6)特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質情報と、(7)特定のユーザーが交換するイオン交換樹脂として新品、再生品のいずれを選択したか、などの次回のイオン交換樹脂の交換時において事前準備するイオン交換樹脂を特定するための情報を含ませてもよい。
【0044】
この予測された次回の交換時期に対応して、情報処理手段23に記録された特定のユーザーの非再生式イオン交換装置7に関する情報に基づき、特有のグレード及び量の交換用のイオン交換樹脂をあらかじめ準備して納入すればよい。また、非再生式イオン交換装置7の情報識別子を読み取ることにより、作業者Mは非再生式イオン交換装置7の情報を確認して、搬入されたイオン交換樹脂と照合することで、誤った異なるイオン交換樹脂と交換することを防止することができるので、作業者Mの熟練を必要としなくなる、という効果も奏する。
【0045】
具体的には、図3に示すような流れで判断すればよい。すなわち、次回イオン交換樹脂の交換時期を予測したら、まず、超純水製造装置を保有している特定のユーザーの非再生式イオン交換装置7の交換するイオン交換樹脂として、新品、再生品のいずれを選択したかの条件に基づき、用意するイオン交換樹脂が新品であるか、再生品であるかを判断する。
【0046】
そして、新品のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂への交換を選択した場合には、充填されていたのと同じグレードのアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂が必要量確保できていることを、イオン交換樹脂の交換時期を考慮して事前に確認し、不足するようであればイオン交換樹脂を購入して交換時期までに必要量を確保するように情報処理手段23が指示する。そして、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂を新品のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂に交換すればよい。
【0047】
一方、再生品のイオン交換樹脂を選択した場合には、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置7から回収したイオン交換樹脂を持ち帰り、再生工場にてアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂に分離工程に続いて情報処理手段23に記録されたイオン交換樹脂のグレードなどに応じた再生工程を施すことで再生する。なお、これら分離工程及び再生工程は、非再生式イオン交換装置7から回収して再生工場において行ってもよいが、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換時に、超純水製造装置の設置場所に再生装置を配置してオンサイトで再生を行ってもよい。
【0048】
このとき、非再生式イオン交換装置7から回収したイオン交換樹脂を再生すると、オン交換樹脂の膨潤・収縮などに起因するイオン交換樹脂の破損やアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂を分離した際の界面のイオン交換樹脂のからみつきなどによりロスが生じ、使用可能な再生イオン交換樹脂の量は回収した量よりも少なくなるので、この損失了を算定して新品のイオン交換樹脂で補填してやることにより、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の交換を好適に管理することができる。このとき補填する新品のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂は、非再生式イオン交換装置7の下流側(下向流の場合、下側)に配置することで、非再生式イオン交換装置7の処理水の水質を良好に維持することができる。なお、新品のアニオン交換樹脂及びカチオン交換樹脂の補充量は、40%以下、特に30%以下程度とすればよい。これにより、非再生式イオン交換装置7におけるイオン交換樹脂の廃棄量を最小限に抑制することができる。
【0049】
この新品のイオン交換樹脂を補填する場合においては、ユーザーの要求水質(保証水質)に応じて、イオン交換樹脂の損失分以上に再生品のイオン交換樹脂と新品のイオン交換樹脂との混合比率を調整してもよく、この再生品/新品の比率もユーザーに固有の情報としてデータベース22に記録して、次回の交換時期に対応して特定のユーザーに納入すればよい。さらにイオン交換樹脂の再生回数により、再生品/新品の比率を変化させてもよい。
【0050】
〔第二の実施形態〕
次に本発明の第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、図1に示すサブシステム1において、非再生式イオン交換装置7の前段に流量計を設けるとともに水質計測手段としての比抵抗計を設け、これら流量計の測定値及び比抵抗計の計測値を無線情報伝達手段によりデータベース22に送信し、情報処理手段23により非再生式イオン交換装置7にかかるイオン負荷を計測することで、非再生式イオン交換装置7に情報識別子の情報とあわせて、イオン交換樹脂の交換時期を補正可能となっている。
【0051】
このような本実施形態によれば、非再生式イオン交換装置7の被処理水の比抵抗値と累積流量とから非再生式イオン交換装置7のイオン負荷を算出し、初期の予測値と比較することで、イオン交換樹脂の交換時期の予測値を最適に補正することができる。これにより、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。しかもイオン交換樹脂の交換頻度を削減することができ、さらにはイオン交換樹脂の廃棄量の削減も可能となる。
【0052】
〔第三の実施形態〕
第三の実施形態では、図1に示すサブシステム1において、非再生式イオン交換装置7の後段に水質計測手段としての比抵抗計を設け、この比抵抗計の計測値を無線情報伝達手段によりデータベース22に送信し、情報処理手段23により処理水質の低下傾向を察知することで、非再生式イオン交換装置7に情報識別子の情報とあわせて、イオン交換樹脂の交換時期を補正可能となっている。
【0053】
このような本実施形態によれば、非再生式イオン交換装置7の処理水の水質に基づいて、非再生式イオン交換装置7におけるイオン交換樹脂の破過までの時期を算出し、初期の予測値と比較することで、イオン交換樹脂の交換時期の予測値を最適に補正することができる。これにより、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。しかもイオン交換樹脂の交換頻度を削減することができ、さらにはイオン交換樹脂の廃棄量の削減も可能となる。
【0054】
〔第四の実施形態〕
次に本発明の第四の実施形態について説明する。第四の実施形態では、図1に示すサブシステム1において、非再生式イオン交換装置7には、イオン交換樹脂の充填樹脂高さを計測する光学的センサが設けられており、この光学的センサで計測される充填樹脂高さ情報を、前記光学的センサから無線情報伝達手段によりデータベース22に送信する。イオン交換樹脂は、イオン交換に伴い体積が膨張したり収縮したりするので、イオン交換樹脂の充填樹脂高さが変化する。そこで、情報処理手段23でイオン交換樹脂の充填樹脂高と情報識別子の情報とあわせて、イオン交換樹脂の交換時期を補正可能となっている。
【0055】
このような本実施形態によれば、非再生式イオン交換装置7の充填樹脂高さに基づいて非再生式イオン交換装置7におけるイオン交換樹脂の破過までの時期を推測し、初期に予測した破過までの時期と比較することで、イオン交換樹脂の交換時期の予測値を最適に補正することができる。これにより、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の充填樹脂高さの経時変化に基づいて、イオン交換樹脂の交換時期を最適に補正することができるので、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。しかもイオン交換樹脂の交換頻度を削減することができ、さらにはイオン交換樹脂の廃棄量の削減も可能となる。
【0056】
〔第五の実施形態〕
さらに本発明の第五の実施形態について説明する。第五の実施形態では、図1に示すサブシステム1において、非再生式イオン交換装置7には、イオン交換樹脂の色彩を計測する色度センサが設けられており、この光学的センサから無線情報伝達手段によりデータベース22に送信する。イオン交換樹脂は、イオン交換に伴い色彩が変化するする。そこで、情報処理手段23でイオン交換樹脂の色度情報と情報識別子の情報とあわせて、イオン交換樹脂の交換時期を補正可能となっている。
【0057】
このような本実施形態によれば、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の色彩に基づいて非再生式イオン交換装置7におけるイオン交換樹脂の破過までの時期を推測し、初期に予測した破過までの時期と比較することで、イオン交換樹脂の交換時期の予測値を最適に補正することができる。これにより、非再生式イオン交換装置7のイオン交換樹脂の色度の経時変化に基づいて、イオン交換樹脂の交換時期を最適に補正することができるので、特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の交換を好適に遠隔管理することができる。しかもイオン交換樹脂の交換頻度を削減することができ、さらにはイオン交換樹脂の廃棄量の削減も可能となる。
【0058】
上述したような各実施形態に例示した本発明の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法は、特定のユーザーにイオン交換樹脂の交換時期をその都度提案してユーザーの依頼に基づき実行してもよいが、イオン交換樹脂の交換を担う業者が特定のユーザーの超純水製造装置の保守管理を包括的、もしくは個別的に受任して、メンテナンスとして定期的に実行する場合に特に好適に適用することができる。
【0059】
以上、本発明について添付図面を参照にして前記実施形態に基づき説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の変更実施が可能である。本発明の特徴は遠隔で複数の特定客先の非再生式イオン交換装置7の交換時期を適切に管理することにあるので、例えば、非再生式イオン交換装置7にバーコードなどの情報識別子を付与したが、必ずしも情報識別子を付与する必要はなく、あらかじめデータベース22に顧客情報を入力しておき、直近の交換時期も作業者Mが直接人力するようにしてもよい。また、サブシステム1は、図1に示す構成のものに限らず、非再生式イオン交換装置7を有していれば種々の構成のものに適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 サブシステム
2 サブタンク
W1 一次純水
3 送液ポンプ
4 熱交換器
5 紫外線酸化装置
6 膜式脱気装置
7 非再生式イオン交換装置
8 限外濾過(UF)膜(膜分離装置)
W2 二次純水(超純水)
9 供給路
10 ユースポイント
11 超純水
M 作業者
21 携帯端末
22 データベース
23 情報処理手段
24 管理施設
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-08-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理手段を用いた、特定のユーザーの超純水製造装置のサブシステムを構成する非再生式イオン交換装置に充填されるイオン交換樹脂の交換方法であって
前記情報処理手段には、データベースが付設されており、
前記データベースが、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報を受信し、受信した前記情報を記録するステップと、
前記データベースに記録された前記情報に基づき、前記情報処理手段が、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を予測するステップと、
を含み、
前記情報が、下記(1)~(5)を含む、
非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
(1)前記非再生式イオン交換装置に充填されているアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂のグレードに関する情報
(2)前記イオン交換樹脂の充填量
(3)前記非再生式イオン交換装置に充填されているアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の比率
(4)前記非再生式イオン交換装置の設計時の単位時間あたりの想定処理水量
(5)前記イオン交換樹脂の直近の交換時期
【請求項2】
予測した前記交換時期に基づいて前記非再生式イオン交換装置の前記イオン交換樹脂の交換を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項3】
前記情報下記(6)をさらに含む、請求項1又は2に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
(6)交換するイオン交換樹脂として新品、再生品のいずれを選択するか
【請求項4】
前記情報下記(7)をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
(7)前記特定のユーザーの超純水製造装置の保証水質情報
【請求項5】
交換する前記イオン交換樹脂が、新品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、新品のイオン交換樹脂を事前に準備しておくステップをさらに含む、請求項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項6】
交換する前記イオン交換樹脂が、再生品のイオン交換樹脂であり、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期の予測に応じて、該特定のユーザーの非再生式イオン交換装置から回収したイオン交換樹脂の再生をあらかじめ行うステップをさらに含む、請求項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項7】
前記再生品のイオン交換樹脂に新品のイオン交換樹脂を補充する、請求項6に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項8】
前記非再生式イオン交換装置に前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置に充填されているイオン交換樹脂に関する情報を記録した情報識別子が付設されており
前記イオン交換樹脂の交換時に、前記情報識別子を認識することにより、前記情報(5)と、前記情報(1)、(2)及び(3)との紐付けがなされる、請求項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項9】
前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の累積処理水量と、前記非再生式イオン交換装置のイオン負荷及び/又は非再生式イオン交換装置の処理水の水質がそれぞれ計測手段により計測可能となっており
前記情報処理手段が、前記計測手段で計測された処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報に基づいて、前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正するステップをさらに含む、請求項~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項10】
前記データベースが、前記サブシステム又は非再生式イオン交換装置の処理水量とイオン負荷及び/又は処理水の水質との情報を、前記計測手段から無線情報伝達手段を介して受信し、受信した前記情報を記録するステップをさらに含む、請求項9に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項11】
前記非再生式イオン交換装置にイオン交換樹脂の充填樹脂高さを測定する光学的センサが設けられており
前記情報処理手段が、前記光学的センサで測定されイオン交換装置の充填樹脂高さ情報に基づいて前記イオン交換樹脂の次回の交換時期を補正するステップをさらに含む、請求項~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項12】
前記データベースが、前記イオン交換樹脂の充填樹脂高さ情報を、前記光学的センサから無線情報伝達手段を介して受信し、受信した前記情報を記録するステップをさらに含む、請求項11に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項13】
前記イオン交換樹脂の色彩を測定する色度センサが設けられており、
前記情報処理手段が、前記色度センサで測定されイオン交換樹脂の色度情報に基づいて、前記特定のユーザーの非再生式イオン交換装置のイオン交換樹脂の次回の交換時期を補正するステップをさらに含む、請求項~8のいずれか1項に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。
【請求項14】
前記データベースが、前記非再生式イオン交換装置の色度情報を、前記色度センサから無線情報伝達手段を介して受信し、受信した前記情報を記録するステップをさらに含む、請求項13に記載の非再生式イオン交換装置におけるイオン交換樹脂の交換方法。