(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180387
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】物理的気相堆積処理システムのターゲットの冷却
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20221129BHJP
【FI】
C23C14/34 L
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022136565
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2019539191の分割
【原出願日】2018-01-16
(31)【優先権主張番号】15/411,579
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ウェイ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
(72)【発明者】
【氏名】パーンデー, ビスワス クマール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物理的気相堆積処理中にPVDターゲットを効率的に冷却するターゲットアセンブリ及び方法を提供する。
【解決手段】物理的気相堆積ターゲットアセンブリ360は、原料313と、その前面に原料を支持するように構成されたバッキング板361と、バッキング板に連結されたカバー板と、カバー板とバッキング板との間に配置されたチャネル369とを備え、チャネルは、単一の注入端部390と単一の排出端部392とに流体接続されている少なくとも4つの列部と3つの湾曲部396とを含む流れパターンを画定する複数の湾曲部を含み、注入列は、前記少なくとも4つの列部を、注入列の第1の側面上の第1の列部のペアと、注入列の第2の側面上の第2の列部のペアに分割し、チャネルは、物理的気相堆積処理中に、バッキング板とターゲットを冷却するため、バッキング板の裏面に隣接して冷却流体を流すように構成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的気相堆積ターゲットアセンブリであって、
原料と、
前面及び裏面を有するバッキング板であって、前記バッキング板の前面に前記原料を支持するように構成されたバッキング板と、
冷却流体に接続されるように構成された注入端部、前記注入端部に流体連結された排出端部、及び前記注入端部と前記排出端部との間の複数の湾曲部を含む冷却チューブであって、物理的気相堆積処理中に前記バッキング板と前記原料を冷却するため、前記バッキング板の前記裏面に隣接して配置されるように構成された冷却チューブと、
を備える、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項2】
前記冷却チューブは前記バッキング板から分離し、前記冷却チューブは前記冷却流体を含む冷却閉ループを提供する、請求項1に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項3】
前記複数の湾曲部は、複数の列部を含む流れパターンを画定し、前記バッキング板は更に、前記冷却チューブを受容するように構成された前記裏面にチャネルを備える、請求項1に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項4】
前記流れパターンは、少なくとも6つの列部と5つの湾曲部とを備える、請求項3に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項5】
前記流れパターンは、第1の列部のペアと第2の列部のペアとを備え、前記注入端部が分岐接続によって前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続された単一の列部に流体接続され、前記排出端部が前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項2に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項6】
前記流れパターンは、第1の列部のペアと第2の列部のペアとを備え、前記注入端部が分岐接続によって前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続された単一の列部に流体接続され、前記排出端部が前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項3に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項7】
前記冷却チューブは、単一の注入端部と単一の排出端部とを備える、請求項6に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項8】
前記冷却チューブは、複数の注入端部と複数の排出端部のうちの少なくとも1つを備える、請求項6に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項9】
カバー板を更に備え、前記冷却チューブが前記バッキング板と前記カバー板との間に配置されている、請求項3に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項10】
物理的気相堆積ターゲットアセンブリであって、
原料と、
前面及び裏面を有するバッキング板であって、前記バッキング板の前面に前記原料を支持するように構成されたバッキング板と、
前記バッキング板に連結されたカバー板と、
前記カバー板と前記バッキング板との間に配置されたチャネルとを備え、前記チャネルは、注入端部と排出端部とに流体接続されている少なくとも4つの列部と3つの湾曲部とを含む流れパターンを画定する複数の湾曲部を含み、前記チャネルは、物理的気相堆積処理中に、前記バッキング板と前記ターゲットを冷却するため、前記バッキング板の前記裏面に隣接して冷却流体を流すように構成されている、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項11】
前記チャネルは、前記注入端部に流体接続されている注入列を含む少なくとも5つの列部を含む流れパターンを画定し、前記注入列は、分岐接続によって第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項10に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項12】
前記チャネルは、少なくとも6つの列部と5つの湾曲部とを備える流れパターンを画定している、請求項11に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項13】
前記チャネルは、第1の列部のペアと第2の列部のペアとを備える流れパターンを画定し、前記注入端部は分岐接続によって前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続された単一の列部に流体接続され、前記排出端部は前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項10に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項14】
前記チャネル内に配置され、前記注入端部及び前記排出端部とに流体接続されたチューブを更に備える、請求項10に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項15】
物理的気相堆積ターゲットを冷却する方法であって、物理的気相堆積処理中に、請求項10に記載のチャネルを通って冷却流体を連続的に流すことを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は概して基板処理システムに関し、より具体的には物理的気相堆積(PVD)処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 物理的気相堆積(PVD)チャンバ等のプラズマ強化基板処理システムでは、高い磁場及び高い直流電力を用いた高出力密度のPVDスパッタリングにより、スパッタリングターゲットにおいて高いエネルギーが発生し、スパッタリングターゲットの表面温度が大幅に上昇する場合がある。スパッタリングターゲットは、ターゲットのバッキング板を冷却流体に接触させることによって冷却される。しかしながら、上記冷却は、ターゲットからの熱を捕らえて除去するのには十分ではない可能性があることが分かっている。ターゲットに熱が残った結果、スパッタ材料とバッキング板全体の熱勾配に起因する大きな機械的反りが生じうる。機械的反りは、処理されるウエハのサイズが大きければ大きいほど増加する。この更に大きいサイズにより、ターゲットが熱、圧力、及び重力荷重下で反る/変形する傾向が悪化する。反りの影響には、ターゲット材料において誘発される破砕につながりうる機械応力、ターゲットの損傷、及びプラズマ特性に変化を生じさせうる(例えば、プラズマを維持する能力、スパッタ/堆積速度、及びターゲットの腐食に影響を与える最適なあるいは好ましい処理条件から処理レジームが逸脱する)磁石アセンブリからターゲット材料の面までの距離の変化が含まれうる。
【0003】
[0003] 加えて、ターゲットの温度が高いとターゲット材料の再スパッタリングが起こり、これは、粒子が生成され、PVDチャンバの他の部品及びチャンバ内で処理されるウエハに欠陥が生じる原因となる。ターゲット冷却の温度管理は、ターゲットの寿命のためだけでなく、粒子及び欠陥を削減するためにも重要であり、これによって工程の歩留まりが改善する。物理的気相堆積処理中にPVDターゲットを効率的に冷却する装置及び方法を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本開示の一又は複数の実施形態は、物理的気相堆積ターゲットアセンブリを対象としたものであり、物理的気相堆積ターゲットアセンブリは、原料と、前面及び裏面を有するバッキング板であって、バッキング板の前面に原料を支持するように構成されたバッキング板と、冷却流体に接続されるように構成された注入端部、注入端部に流体連結された排出端部、及び注入端部と排出端部との間の複数の湾曲部を含む冷却チューブであって、物理的気相堆積処理中にバッキング板と原料を冷却するため、バッキング板の裏面に隣接して配置されるように構成された冷却チューブと、を備える。
【0005】
[0005] 別の態様は、物理的気相堆積ターゲットアセンブリに関連し、物理的気相堆積ターゲットアセンブリは、原料と、前面及び裏面を有するバッキング板であって、バッキング板の前面に原料を支持するように構成されたバッキング板と、バッキング板に連結されたカバー板と、カバー板とバッキング板との間に配置されたチャネルとを備え、チャネルは、注入端部と排出端部とに流体接続されている少なくとも4つの列部と3つの湾曲部とを含む流れパターンを画定する複数の湾曲部を含み、また、チャネルは、物理的気相堆積処理中にバッキング板とターゲットとを冷却するために、バッキング板の裏面に隣接して冷却流体を流すように構成されている。
【0006】
[0006] 本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明は、実施形態を参照することによって、得ることができる。そのうちの幾つかの実施形態は添付の図面で例示されている。しかし、添付の図面は本開示の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なすべきではなく、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容しうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の幾つかの実施形態による処理チャンバの概略断面図である。
【
図2】従来のターゲットアセンブリの斜視図を示す。
【
図3】
図2の線3-3に沿って切り取った断面図を示す。
【
図4】従来のターゲットアセンブリの断面図を示す。
【
図5】一実施形態によるターゲットアセンブリの斜視図を示す。
【
図6】
図5の線6-6に沿って切り取った断面図を示す。
【
図7】一実施形態によるターゲットアセンブリの断面図を示す。
【
図8】一実施形態による流れパターンを画定するチャネルを示す。
【
図9】一実施形態による流れパターンを画定するチャネルを示す。
【
図10】一実施形態による流れパターンを画定するチャネルを示す。
【
図11】一実施形態によるマルチカソードPVD堆積チャンバを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0020] 本開示の幾つかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示が以下の説明で提示される構成又は処理ステップの詳細に限定されないということを理解されたい。本開示は、他の実施形態も可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。
【0009】
[0021] 本明細書で使用する「水平」という語は、その配向性と関係なく、マスクブランクの面又は表面に平行する面として定義される。「垂直」という語は、ここで定義されたように水平に対して垂直の方向を指すものである。例えば「上方(above)」、「下方(below)」、「底部(bottom)」、「上部(top)」、(「側壁」等における)「側方(side)」、「高い(higher)」、「低い(lower)」、「上方(upper)」、「上側(over)」、「下側(under)」等の語は、図に示すように、水平面に対して定義される。
【0010】
[0022] 「の上(on)」という語は、要素間で直接の接触があることを示す。「すぐ上、真上(directly on)」という語は、介在する要素がない要素間での直接の接触を示す。
【0011】
[0023] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「前駆体」、「反応物質」、「反応性ガス」などの用語は、基板表面と反応することができる任意のガス種を指すために、交換可能に使用される。
【0012】
[0024] 当業者であれば、処理領域について説明するための「第1(first)」や「第2(second)」などの序数の使用が、処理チャンバにおける具体的な場所、又は、処理チャンバ内での曝露の順序を示唆するものではないことが理解されよう。
【0013】
[0025]
図1に、本開示の幾つかの実施形態による物理的気相堆積(PVD)処理システム100の簡略断面図を示す。本書に記載の教示内容による変更に適切な他のPVDチャンバ例には、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社からいずれも市販されているALPS(登録商標)Plus及びSIP ENCORE(登録商標)PVD処理チャンバが含まれる。PVD以外の他の種類の処理用に構成されたものを含む、アプライドマテリアルズ社又は他のメーカーからの他の処理チャンバもまた、本書に開示されている教示内容による変更から恩恵を受けることができる。
【0014】
[0026] 本開示の幾つかの実施形態では、PVD処理システム100は、処理チャンバ104の上に取り外し可能に配置されたチャンバ本体101を含む。チャンバ本体101は、ターゲットアセンブリ114と接地アセンブリ103とを含みうる。処理チャンバ104は、上に基板108を受け入れるための基板支持体106を含む。基板支持体106は、処理チャンバ104のチャンバ壁であってよい、下方接地エンクロージャ壁110内に位置していてよい。下方接地エンクロージャ壁110は、高周波帰還経路がチャンバ本体101の上に配置される高周波又は直流電源182に配設されるように、チャンバ本体101の接地アセンブリ103に電気的に結合されうる。高周波又は直流電源182は、以下に説明するように、ターゲットアセンブリ114へ高周波又は直流電力を送りうる。
【0015】
[0027] 基板支持体106は、ターゲットアセンブリ114の主面に面し、ターゲットアセンブリ114の主面の反対側の平面位置においてスパッタコーティングされる基板108を支持する材料受け入れ面を有する。基板支持体106は、処理チャンバ104の中心領域120において基板108を支持しうる。中心領域120は、処理中は(例えば、処理位置にあるときは、ターゲットアセンブリ114と基板支持体106との間の)基板支持体106の上の領域として画定される。
【0016】
[0028] 幾つかの実施形態では、基板支持体106は、処理チャンバ104の下部のロードロックバルブ(図示せず)を通して基板支持体106上に基板108を移送し、その後堆積、又は処理位置へ持ち上げることができるように、垂直に可動であってよい。処理チャンバ104の外の大気から処理チャンバ104の内部容積を分離させ続けながら基板支持体106の垂直移動を促進するために、底のチャンバ壁124に接続されたベローズ122が設けられうる。ガス供給源126から一又は複数のガスが、質量流コントローラ128を通して処理チャンバ104の下部の中へ供給されうる。処理チャンバ104内部を排気して、処理チャンバ104内の所望の圧力を維持しやすくするために排気口130が設けられ、バルブ132を介してポンプ(図示せず)に連結されうる。
【0017】
[0029] 基板108上にマイナスの直流バイアスを誘発するために、基板支持体106に高周波バイアス電源134が連結されうる。加えて、幾つかの実施形態では、処理中に基板108上にマイナスの直流セルフバイアスが形成されうる。例えば、高周波バイアス電源134によって供給される高周波エネルギーは、約2MHzから約60MHzまでの周波数範囲であってよく、例えば約2MHz、13.56MHz、又は60MHz等の非限定的な周波数が使用されうる。他の用途では、基板支持体106は接地されてもよく、あるいは電気的に浮遊したままであってもよい。代替的に、又は組み合わせて、高周波バイアス電力が好ましくない場合がある用途において基板108上の電圧を調節するために、キャパシタンス調節器136が基板支持体106に連結されていてよい。
【0018】
[0030] 処理チャンバ104は更に、処理チャンバ104の処理容積又は中心領域120を囲むため及び処理による損傷及び/又は汚染から他のチャンバ構成要素を保護するために、処理キットシールド、又はシールド138を含む。幾つかの実施形態では、シールド138は、処理チャンバ104の上方接地エンクロージャ壁116のレッジ140に接続されうる。
図1に示すように、チャンバ本体101は、上方接地エンクロージャ壁116のレッジ140に置かれうる。下方接地エンクロージャ壁110と同様に、上方接地エンクロージャ壁116は、下方接地エンクロージャ壁116と、チャンバ本体101の接地アセンブリ103との間に高周波帰還経路の一部を提供しうる。しかしながら、接地シールド138を介して等、他の高周波帰還経路が可能である。
【0019】
[0031] シールド138は下向きに延在し、中心領域120をほぼ囲む概ね一定の直径を有する一般的に管状の部分を含みうる。シールド138は、上方接地エンクロージャ壁116及び下方接地エンクロージャ壁110の壁に沿って基板支持体106の上面の下まで下向きに延在し、基板支持体106(シールド138の底部においてU字部分を形成する)の上面に到達するまで上向きに戻る。カバーリング148は、スパッタ堆積から基板支持体106を保護するために、基板支持体106がそれ自体の下方のロード位置にあるときは、上向きに延在しているシールド138の内部の上に置かれ、基板支持体106がそれ自体の上方の堆積位置にあるときは、基板支持体106の外周に置かれる。付加的な堆積リング(図示せず)を使用して、基板108のエッジ周囲への堆積から基板支持体106のエッジを保護することができる。
【0020】
[0032] 幾つかの実施形態では、磁石152は、基板支持体106とターゲットアセンブリ114との間に磁場を選択的に発生させるために、処理チャンバ104の近くに配置されうる。例えば、
図1に示すように、磁石152は、処理位置にあるときに、基板支持体106の真上の領域内のエンクロージャ壁110の外側の近くに配置されうる。幾つかの実施形態では、磁石152は、例えば上方接地エンクロージャ壁116の隣等の他の場所に付加的に又は代替的に配置されうる。磁石152は電磁石であってよく、電磁石によって生成される磁場の規模を制御するための電源(図示せず)に連結されうる。
【0021】
[0033] チャンバ本体101は一般に、ターゲットアセンブリ114の近くに配置された接地アセンブリ103を含む。接地アセンブリ103は、ターゲットアセンブリ114の裏側とおおよそ平行であり、ターゲットアセンブリ114の裏側の反対側であってよい第1の面157を有する接地板156を含みうる。接地シールド112は、接地板156の第1の面157から延在し、ターゲットアセンブリ114を囲んでいてよい。接地アセンブリ103は、接地アセンブリ103内でターゲットアセンブリ114を支持する支持部材175を含みうる。
【0022】
[0034] 幾つかの実施形態では、支持部材175は、支持部材175の外側周辺エッジに近接した接地シールド112の下方端部に連結され、シールリング181、ターゲットアセンブリ114、及びオプションとして暗空間シールド179を支持するために半径方向内向きに延在しうる。シールリング181は、所望の断面を有するリング又は他の環状形であってよい。シールリング181は、シールリング181の第1の側面上のターゲットアセンブリ114、例えばバッキング板アセンブリ160とのインタフェーシング、及びシールリング181の第2の側面上の支持部材175とのインタフェーシングを促進するために、2つの対向する平面、及びほぼ平行な面を含みうる。シールリング181は、セラミックなどの誘電体材料から作られうる。シールリング181は、接地アセンブリ103からターゲットアセンブリ114を絶縁しうる。
【0023】
[0035] 暗空間シールド179は一般的に、ターゲットアセンブリ114の外側エッジの近く、つまりターゲットアセンブリ114の原料113の外側エッジの近くに配置される。幾つかの実施形態では、シールリング181は、暗空間シールド179の外側エッジ(すなわち、暗空間シールド179の半径方向外向き)に隣接して配置される。幾つかの実施形態では、暗空間シールド179は、例えばセラミック等の誘電体材料でできている。暗空間シールド179を設けることによって、高周波で高温となった、暗空間シールドと、隣接する構成要素との間のアーキング(アーク放電)が回避されうる、あるいは最小限に抑えられうる。あるいは、幾つかの実施形態では、暗空間シールド179は、例えばステンレス鋼、アルミニウム等の導電性材料でできている。導電性暗空間シールド179を設けることによって、PVD処理システム100内でより均一な電場を維持することができ、これにより、その中の基板をより均一に処理することが促進される。幾つかの実施形態では、暗空間シールド179の下部は導電性材料でできていてよく、暗空間シールド179の上部は誘電体材料でできていてよい。
【0024】
[0036] 支持部材175は、暗空間シールド179及びターゲットアセンブリ114を収容する中心開口部を有するおおよそ平面の部材であってよい。幾つかの実施形態では、支持部材175は、円形、又は円盤状の形状であってよいが、形状は、チャンバリッドの対応する形状、及び/又はPVD処理システム100内で処理される基板の形状によって変化しうる。使用中、チャンバ本体101が開放又は閉鎖されているときに、ターゲットアセンブリ114に対して適切に揃えられるように支持部材175が暗黒空間シールド179を維持することにより、チャンバアセンブリ、あるいはチャンバ本体101の開放及び閉鎖に起因する不揃いの危険性が最小限に抑えられる。
【0025】
[0037] PVD処理システム100は、ターゲットアセンブリ114の裏側に対向し、ターゲットアセンブリ114の周辺エッジに沿ってターゲットアセンブリ114に電気的に結合されているソース分配板158を含みうる。ターゲットアセンブリ114は、基板、例えばスパッタリング中の基板108に堆積される、金属、金属酸化物、金属合金等の原料113を含みうる。一又は複数の実施形態では、ターゲットアセンブリ114は、原料113を支持するために、バッキング板アセンブリ160を含む。原料113は、
図1に示すように、バッキング板アセンブリ160の側面に向いた基板支持体に配置されうる。バッキング板アセンブリ160は、導電性材料、例えば銅-亜鉛、銅-クロム、又はターゲットと同じ材料を含んでいてよく、これにより、バッキング板アセンブリ160を介して原料113に高周波及び直流電力が結合されうる。あるいは、バッキング板アセンブリ160は非導電性であってよく、例えば電気フィードスルー等の導電素子(図示せず)を含んでいてよい。
【0026】
[0038] 一又は複数の実施形態では、バッキング板アセンブリ160は、バッキング板161とカバー板162とを含む。バッキング板161とカバー板162とは、PVD処理システム100によって収容可能な円盤状、長方形、正方形、又は、他のいずれかの形状であってよい。バッキング板の前面は、基板108がある場合、原料の前面が基板108に対向するように、原料113を支持するように構成される。原料113は、いずれかの好適な方法でバッキング板161に結合されうる。例えば、幾つかの実施形態では、原料113はバッキング板161に拡散接合されうる。
【0027】
[0039] バッキング板161とカバー板162との間に複数のチャネル169が配置されうる。一又は複数の実施形態では、バッキング板161は、バッキング板161の裏側に形成された複数のチャネル169を有していてよく、カバー板162は各チャネルの上のキャップ/カバーを提供する。他の実施形態では、複数のチャネル169は、部分的にバッキング板161に、部分的にカバー板162に形成されうる。また、他の実施形態では、複数のチャネル169は完全にカバー板162内に形成され、バッキング板は、複数のチャネル169の各々をキャップ/カバーしうる。バッキング板161及びカバー板162は互いに連結されうる。幾つかの実施形態では、複数のチャネル169は、冷却流体を流すように構成され、バッキング板161とカバー板162とは、複数のチャネル169に送られる冷却液の漏れを防止するために互いに連結され、実質的な防水シール(例:バッキング板161とカバー板162との間の流体シール)を形成する。つまり、冷却流体は、チャネル169と直接接触する。例えば、幾つかの実施形態では、バッキング板161とカバー板162とは互いにろう付けされて実質的な防水シールを形成する、あるいは、バッキング板161とカバー板162とは拡散接合、ろう付け、糊付け、ピン止め、リベット打ち、又は他のいずれかの固定手段によって結合されて、液体シールを形成し、バッキング板161とカバー板162との間に形成されたチャネル169は、冷却流体と直接接触する。以下で更に説明するように、本開示の幾つかの実施形態によれば、冷却流体がチャネル169内に配置されたチューブ内に含まれるため、バッキング板161とカバー板162との間に流体密封シールは必要ない。
【0028】
[0040] バッキング板161及びカバー板162は、例えば真ちゅう、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、銅合金等を含む導電性金属又は金属合金等の導電性材料を含みうる。幾つかの実施形態では、チャネルが機械加工されうる、あるいはそうでなければバッキング板161の表面上に形成されうるように、バッキング板161は、機械加工可能な金属又は金属合金(例:C18200クロム銅合金)であってよい。幾つかの実施形態では、カバー板162は、バッキング板アセンブリ160の剛性を改善し、変形を抑えるために、バッキング板の金属又は金属合金よりも高い剛性/弾性率を有する機械加工可能な金属又は金属合金(例:C18200クロム銅合金)であってよい。バッキング板161とカバー板162の材料及びサイズは、バッキング板アセンブリ160全体の剛性により、原料113を含むターゲットアセンブリ114の変形あるいは反りが起きることなく(又は非常にわずかしか起きずに)、堆積処理中にターゲットアセンブリ114に作用する真空力、重力、熱的力、及び他の力に耐えるようなもので(すなわち、原料113の前面は基板108の上面に対してほぼ平行のままで)なければならない。
【0029】
[0041] 幾つかの実施形態では、ターゲットアセンブリ114の全厚は約20mmと約100mmとの間であってよい。例えば、原料113は約10~約15mmの厚さであってよく、バッキング板アセンブリは約10~約30mmの厚さであってよい。他の厚さも使用することができる。
【0030】
[0042] 複数のチャネル169は、一又は複数のチャネルのセット(以下に詳細に説明する)を含みうる。例えば、幾つかの例示の実施形態では、1つのチャネルのセットが存在しうる。他の実施形態では、2つ以上のチャネルのセットが存在しうる。各チャネルのサイズ及び断面形状、及び各セットのチャネルの数、及びチャネルの数は、以下の特性:すなわち、チャネルを通る好ましい最大流量、及び全てのチャネルを通る全体の好ましい最大流量の提供、最大伝熱特性の提供、バッキング板161とカバー板162内のチャネルの製造の容易性及び一貫性、負荷下のバッキング板アセンブリ160の変形を防止するのに十分な構造的完全性を保持しながら、バッキング板アセンブリ160の表面の上への最大熱交換流範囲の提供等のうちの一又は複数に基づいて最適化されうる。幾つかの実施形態では、各チャネルの断面形状は、長方形、多角形、楕円形、円形等であってよい。
【0031】
[0043] 幾つかの実施形態では、ターゲットアセンブリは、チャネル169又はチューブに流体連結されている(
図1に示していないが、以下に詳細に説明する)一又は複数の注入口を含む。一又は複数の注入口は、熱交換流体を受け入れ、熱交換流体を複数のチャネル169又はチューブに送るように構成される。例えば、一又は複数の排出口のうちの少なくとも1つは、複数の一又は複数のチャネル169又はチューブから熱交換流体を収集するプレナムであってよい。アセンブリは更に、カバー板162を通して配置され、複数のチャネル169又はチューブによって、対応する注入口に流体連結された一又は複数の排出口(
図1に示せず、以下に詳細に示す)を含む。例えば、一又は複数の排出口のうちの少なくとも1つは、複数の一又は複数のチャネル又はチューブから熱交換流体を収集するプレナムであってよい。幾つかの実施形態では、1つの注入口及び1つの排出口が設けられ、複数のチャネル169のセット内の各チャネルのセットは、1つの注入口及び1つの排出口に流体連結される。
【0032】
[0044] 注入口及び排出口は、カバー板162又はバッキング板161の周辺エッジに、あるいは周辺エッジ近くに配置されうる。加えて、注入口及び排出口は、一又は複数の注入口に連結された供給導管167及び、一又は複数の排出口に連結された戻し導管が空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、カバー板162に配置されうる。他の実施形態では、注入口及び排出口は、一又は複数の注入口に連結された供給導管167及び、一又は複数の排出口に連結された戻し導管(断面のため図示せず)が空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、バッキング板161に配置されうる。更に別の実施形態では、注入口及び排出口は、一又は複数の注入口に連結された供給導管167及び、一又は複数の排出口に連結された戻し導管(断面のため図示せず)が空洞170内のマグネトロンアセンブリ196の回転に干渉しないように、チューブに連結されうる。
【0033】
[0045] 幾つかの実施形態では、PVD処理システム100は、熱交換流体をバッキング板アセンブリ160に供給するための一又は複数の供給導管167を含みうる。幾つかの実施形態では、各注入口は、対応する供給導管167に連結されうる。同様に、各排出口は、対応する戻し導管に連結されうる。供給導管167及び戻し導管は、絶縁材料でできていてよい。流体供給導管167は、流体供給導管167と注入口との間の熱交換流体の漏れを防止するために、シールリング(例:圧縮型Oリング又は同様のガスケット材)を含みうる。幾つかの実施形態では、供給導管167の上端部は、チャンバ本体101の上面に配置された流体分配マニホールド163に連結されうる。流体分配マニホールド163は、供給ライン165を介して複数の流体供給導管の各々に熱交換流体を供給するために、複数の流体供給導管167に流体連結されうる。同様に、戻し導管の上端部は、チャンバ本体101の上面に配置された戻し導管マニホールド(図示していないが、163と同様である)に連結されうる。戻し導管マニホールドは、戻しラインを介して複数の流体戻し導管の各々から熱交換流体を戻すために、複数の流体戻し導管に流体連結されうる。
【0034】
[0046] 流体分配マニホールド163は、液体の形態の熱交換流体をバッキング板アセンブリ160に送るために、熱交換流体源(図示せず)に連結されうる。熱交換流体は、例えばエチレングリコール、脱イオン水、ペルフッ素化ポリエーテル(例えばSolvay社(Solvay S. A.)から入手可能なGalden(登録商標))等の、処理に対応できるいずれかの冷却液等、又は溶液又はこれらの組合せであってよい。幾つかの実施形態では、チャネル169又はチューブを通る冷却液の流れは合計で毎分約8~約20ガロンであってよいが、正確な流れは、冷却液チャネルの構成、利用可能な冷却液圧力等によって変化する。
【0035】
[0047] 中心開口部を有する導電性支持リング164は、カバー板162の周辺エッジに沿ってカバー板162の裏側に連結される。幾つかの実施形態では、導電性支持リング164は、別々の供給導管及び戻し導管の代わりに、流体供給ライン(図示せず)から熱交換流体を受け入れるリング注入口を含みうる。導電性支持リング164は、チューブ又はチャネル169に接続された注入口に熱交換流体を分配するために、導電性支持リング164の本体内に配置された注入マニホールドを含みうる。導電性支持リング164は、一又は複数の排出口から熱交換流体を受け入れるために、導電性支持リング164の本体内に配置された排出マニホールドと、導電性支持リング164から熱交換流体を排出するためのリング排出口とを含みうる。導電性支持リング164とバッキング板アセンブリ160とは、導電性支持リング164とカバー板162との間に液体シールを設けるために、処理に対応する形で互いにねじ式に留められうる、ピンで留められうる、ボルト締めされうる、又は固定されうる。導電性支持リング164とカバー板162との間にシールを設けやすくするために、Oリング又は他の適切なガスケット材料を提供することも可能である。
【0036】
[0048] 幾つかの実施形態では、ターゲットアセンブリ114は更に、ターゲットアセンブリ114をチャンバ本体101内で支持する中心支持部材192を備えうる。中心支持部材192は、バッキング板161とカバー板162の中心部に連結され、カバー板162の裏側から離れるように垂直に延びていてよい。幾つかの実施形態では、バッキング板161とカバー板162の中心開口部の中に中心支持部材192の底部が螺入されうる。他の実施形態では、バッキング板161とカバー板162の中心部に中心支持部材192の底部がボルト締めされうる、あるいは締め付けられうる。中心支持部材192の上部は、ソース分配板158を通して配置され、中心支持部材192とターゲットアセンブリ114とを支持するソース分配板158の上面に置かれる特徴を含みうる。
【0037】
[0049] 幾つかの実施形態では、ソース分配板からターゲットアセンブリ114の周辺エッジまで高周波エネルギーを伝播させるために、導電性支持リング164がソース分配板158とターゲットアセンブリ114の裏側との間に配置されうる。導電性支持リング164は円筒形であってよく、第1の端部166は、ソース分配板158の周辺エッジに近接するソース分配板158のターゲットに向いている面に連結され、第2の端部168は、ターゲットアセンブリ114の周辺エッジに近接するターゲットアセンブリ114のソース分配板に向いている面に連結される。幾つかの実施形態では、第2の端部168は、バッキング板アセンブリ160の周辺エッジに近接するバッキング板アセンブリ160のソース分配板に向いている面に連結される。
【0038】
[0050] PVD処理システム100は、ターゲットアセンブリ114の裏側とソース分配板158との間に配置された空洞170を含みうる。空洞170は、以下に説明するようにマグネトロンアセンブリ196を少なくとも部分的に収納しうる。空洞170は、導電性支持リング164の内面、ソース分配板158のターゲットに向いている面、及びターゲットアセンブリ114(又はバッキング板アセンブリ160)のソース分配板に向いている面(例:裏側)によって少なくとも部分的に画定される。
【0039】
[0051] 接地板156と、ソース分配板158、導電性支持リング164、及びターゲットアセンブリ114(及び/又は、バッキング板アセンブリ160)の外面との間に絶縁用間隙180が設けられる。絶縁用間隙180は、空気、又はセラミック、プラスチック等の他の何らかの好適な誘電体材料で充填されていてよい。接地板156とソース分配板158との間の距離は、接地板156とソース分配板158との間の誘電体材料によって変わる。誘電体材料の大部分が空気である場合、接地板156とソース分配板158との間の距離は、約15mmと約40mmとの間であってよい。
【0040】
[0052] 接地アセンブリ103及びターゲットアセンブリ114は、シールリング181によって、及び接地板156の第1の面157とターゲットアセンブリ114の裏側、例えばソース分配板158のターゲットに面していない側との間に配置された一又は複数の絶縁体(図示せず)によって、電気的に分離されうる。
【0041】
[0053] PVD処理システム100は、電極154(例:高周波供給構造)に接続された高周波又は直流電源182を有する。電極154は接地板156を通過し、ソース分配板158に連結されうる。高周波又は直流電源182は、例えば、作動中に高周波生成器に反射して戻る反射高周波エネルギーを最小限に抑えるために、高周波生成器と整合回路とを含みうる。例えば、高周波電源又は直流電源182によって供給される高周波エネルギーは、約13.56MHzから約162MHz以上の周波数の範囲であってよい。例えば、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz、又は162MHz等の非限定的な周波数が使用可能である。
【0042】
[0054] 幾つかの実施形態では、PVD処理システム100は、処理中にターゲットアセンブリ114に追加のエネルギーを送る第2のエネルギー源183を含みうる。幾つかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、例えばターゲット材料のスパッタリング率(したがって、基板上の堆積率)を改善するために、直流エネルギーを送る直流電源であってよい。幾つかの実施形態では、第2のエネルギー源183は、例えば、高周波電源又は直流電源182によって送る高周波エネルギーの第1の周波数とは異なる第2の周波数で、高周波エネルギーを送る高周波又は直流電源182と同様の第2の高周波電源であってよい。第2のエネルギー源183が直流電源である実施形態では、第2のエネルギー源は、直流エネルギーをターゲットアセンブリ114、例えば電極154、又は他の何らかの導電性部材(以下に説明するソース分配板158等)に電気的に結合させるのに好適な任意の場所においてターゲットアセンブリ114に結合されうる。第2のエネルギー源183が第2の高周波電源である実施形態では、第2のエネルギー源は電極154を介してターゲットアセンブリ114に連結されうる。
【0043】
[0055] 電極154は、円筒形又はそうでなければ棒状であってよく、PVD処理システム100の中心軸186に対して揃えられていてよい(例:電極154は、中心軸186と一致するターゲットの中心軸と一致する点においてターゲットアセンブリに連結されうる)。PVD処理システム100の中心軸186に対して揃えられた電極154により、高周波電源又は直流電源182からターゲットアセンブリ114へ高周波エネルギーを軸対称に印加することが促進される(例えば、電極154は、PVDチャンバの中心軸に対して揃えられた単一点において、高周波エネルギーをターゲットに結合させうる)。電極154の中心位置により、基板堆積処理における堆積の非対称性をなくす、あるいは減らす助けとなる。電極154は、任意の適切な直径を有しうる。例えば、他の直径も使用可能であるが、幾つかの実施形態では、電極154の直径は約0.5~約2インチであってよい。電極154は概して、PVDチャンバの構成に応じて、いずれかの好適な長さを有しうる。いくつかの実施形態では、電極は約0.5と約12インチの間の長さを有しうる。電極154は、任意の適した導電性材料、例えばアルミニウム、銅、銀などから製造されうる。あるいは、いくつかの実施形態では、電極154は管状であってもよい。幾つかの実施形態では、管状電極154の直径は、例えばマグネトロンに中心軸をもたらしやすくなる適切なものであってよい。
【0044】
[0056] 電極154は接地板156を通って通過し、ソース分配板158に連結されうる。接地板156は、例えばアルミニウム、銅等のいずれかの好適な導電性材料を含みうる。一又は複数の絶縁体(図示せず)の間に開放空間があることによって、ソース分配板158の表面に沿った高周波伝播が可能になる。幾つかの実施形態では、一又は複数の絶縁体は、PVD処理システムの中心軸186に対して対称に位置づけされうる。上記の位置づけは、ソース分配板158の表面に沿った、最終的にソース分配板158に連結されたターゲットアセンブリ114までの対称な高周波伝播を促進しうる。高周波エネルギーは、少なくとも一部において電極154の中心位置に起因して、従来のPVDチャンバと比べてより対称に、また均一に送られうる。
【0045】
[0057] マグネトロンアセンブリ196の一又は複数の部分は、少なくとも部分的に空洞170内に配置されうる。マグネトロンアセンブリは、チャンバ本体101内のプラズマ処理を支援するために、ターゲットに近接して回転磁場を発生させる。幾つかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は、モータ176と、モータ軸174と、ギアボックス178と、ギアボックス軸アセンブリ184と、回転可能な磁石(例:磁石支持部材172に連結された複数の磁石188)と、仕切り194とを含みうる。幾つかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は固定されたままである。
【0046】
[0058] 幾つかの実施形態では、マグネトロンアセンブリ196は、空洞170内で回転する。例えば、幾つかの実施形態では、磁石支持部材172を回転させるために、モータ176、モータ軸174、ギアボックス178、及びギアボックス軸アセンブリ184が設けられうる。マグネトロンを有する従来のPVDチャンバでは、マグネトロンドライバ軸は通常、チャンバの中心軸に沿って配置され、チャンバの中心軸に対して揃えられた位置における高周波エネルギーとの結合が防止される。一又は複数の実施形態では、電極154は、PVDチャンバの中心軸186に対して揃えられている。このため、幾つかの実施形態では、マグネトロンのモータ軸174は、接地板156の中心から外れた開口部を通して配置されうる。接地板156から突出しているモータ軸174の端部は、モータ176に連結される。モータ軸174は更に、ソース分配板158(例:第1の開口部146)を通して対応する中心から外れた開口部を通して配置され、ギアボックス178に連結される。幾つかの実施形態では、ソース分配板158に沿って軸対称の高周波分配を有利に維持するために、ソース分配板158を通して、一又は複数の第2の開口部(図示せず)が、第1の開口部146に対して対称な関係に配置されうる。一又は複数の第2の開口部はまた、例えば光センサ等のアイテムの空洞170へのアクセスを可能にするためにも使用されうる。
【0047】
[0059] ギアボックス178は、例えばソース分配板158の底面に連結されることなどによって、いずれかの好適な手段によって支持されうる。ギアボックス178は、少なくともギアボックス178の上面を誘電体材料から製造することによって、あるいは、ギアボックス178とソース分配板158との間に絶縁体層(図示せず)を介在させること等によって、又は好適な誘電体材料からモータ軸174を構成することによって、ソース分配板158から絶縁されうる。ギアボックス178は更に、モータ176によってもたらされる回転運動を磁石支持部材172(したがって、複数の磁石188)に伝達するために、ギアボックス軸アセンブリ184を介して磁石支持部材172に連結される。
【0048】
[0060] 磁石支持部材172は、複数の磁石188をしっかりと支持するのに十分な機械強度を付与するのに好適ないずれかの材料から構成されうる。例えば、幾つかの実施形態では、磁石支持部材172は、例えば非磁性ステンレス鋼等の非磁性金属から構成されうる。磁石支持部材172は、複数の磁石188を所望の位置で磁石支持部材172に連結させることを可能にするのに好適ないずれかの形状を有しうる。例えば、幾つかの実施形態では、磁石支持部材172は、板、円盤、横材等を含みうる。複数の磁石188は、所望の形状及び強度を有する磁場を発生させるようないずれかの方法で構成されうる。
【0049】
[0061] あるいは、磁石支持部材172は、空洞170において、磁石支持部材172に、及び取り付けられている複数の磁石188(存在する場合)に生じる引張力に打ち勝つのに十分なトルクで、他のいずれかの手段によって回転しうる。例えば、幾つかの実施形態(図示せず)では、マグネトロンアセンブリ196は、空洞170内に配置され、磁石支持部材172(例えば、パンケーキモータ)に直接接続されたモータ176及びモータ軸174を使用して空洞170内で回転しうる。モータ176は、仕切り194がある場合に、空洞170内に、又は空洞170の上部内に適合するのに十分なサイズに設定されうる。モータ176は、必要なトルクを付与できる電気モータ、空気圧又は油圧ドライバ、又は他のいずれかの処理対応型機構であってよい。
【0050】
[0062] ここで
図2~
図4を参照すると、従来のターゲットアセンブリ200が示されており、ターゲットアセンブリ200は、ターゲット210と、バッキング板212と、接地板256と、高周波電源又は直流電源282と、空洞270内のマグネトロンアセンブリ296(
図4に示す)とを含む。空洞270は、ターゲットアセンブリの裏側と、流体注入端部218と流体排出端部220の延長部も含むソース分配板との間に配置された流れ空間又は空洞である。既存の設計では、この空洞は、
図1の空洞170に対応し、ターゲット210の熱交換流体で充填され、チャネルを用いずにバッキング板212の上に熱交換流体を流すことによってバッキング板212全体を冷却する。
図3に、ターゲットアセンブリの裏側とソース分配板との間に配置された空洞に形成された流体導管222を示す
図2の線3-3に沿って切り取った断面図を示す。
図3に、ターゲットアセンブリの裏側とソース分配板との間に形成された流体導管222の簡略断面図を提供する。
図2~
図4に示した構成では、ターゲット210は冷却されるが、冷却液が継続的に交換されないために効率的には冷却されず、これが原因でターゲット温度が高くなり、ターゲットの反り、剥離、粒子の生成及び欠陥につながりうる。
【0051】
[0063] ここで
図5及び
図6を参照すると、PVD処理システム100のターゲットアセンブリとして一体化されうる、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ314の第1の実施形態が
図1に示されている。
図5及び
図6に示した実施形態では、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ314は、物理的気相堆積(又はスパッタリング)処理中に基板に堆積される原料313を含む。原料313は、金属、金属酸化物、金属合金等であってよい。特定の実施形態では、原料はモリブデンを含む。他の特定の実施形態では、原料は、ケイ素、チタン、又は他のいずれかの物質を含む。一又は複数の実施形態では、ターゲットアセンブリ314は、原料313を支持するために、バッキング板アセンブリ360を含む。原料313は、バッキング板アセンブリ360の側面に向いた基板支持体に配置されうる。バッキング板アセンブリ360は、導電性材料、例えば銅-亜鉛、銅-クロム、又はターゲットと同じ材料を含んでいてよく、これにより、バッキング板アセンブリ360を介して原料313に高周波及び直流電力が結合されうる。あるいは、バッキング板アセンブリ360は非導電性であってよく、例えば電気フィードスルー等の導電素子(図示せず)を含んでいてよい。特定の実施形態では、バッキング板アセンブリは、クロム銅合金であるC18200合金を備える。
【0052】
[0064] 一又は複数の実施形態では、バッキング板アセンブリ360は、バッキング板361を含む。バッキング板アセンブリ360はオプションとして、カバー板362(
図7A、7B及び7Cに示す)を含みうる。バッキング板361とオプションのカバー板362とは、
図1に示すPVD処理システム100、又は他の好適なPVD処理システムによって収容可能な円盤状、長方形、正方形、又は、他のいずれかの形状であってよい。バッキング板361の前面370は、PVD処理中に原料313の前面が基板に対向するように、原料313を支持するように構成される。原料313は、いずれかの好適な方法でバッキング板361に結合されうる。例えば、幾つかの実施形態では、原料313はバッキング板361に拡散接合されうる。
【0053】
[0065] バッキング板361とカバー板362との間に複数のチャネル369が配置されうる。一又は複数の実施形態では、
図7Bに示すように、バッキング板361は、バッキング板361の裏側に形成された複数のチャネル369を有していてよく、カバー板362は各チャネルの上のキャップ/カバーを提供する。他の実施形態では、複数のチャネル369は、(
図7Cに示すように)部分的にバッキング板361に、部分的にカバー板362に形成されうる。また、他の実施形態では、
図7Aに示すように、複数のチャネル369は完全にカバー板362内に形成され、バッキング板361は、複数のチャネル369の各々をキャップ/カバーしうる。
【0054】
[0066] 一部の実施形態では、バッキング板361とカバー板362とは互いに連結されうる。幾つかの実施形態では、複数のチャネル369は、冷却流体を流すように構成され、バッキング板361とカバー板362とは、複数のチャネル369に送られる冷却液の漏れを防止するために互いに連結され、実質的な防水又は液密シール(例:バッキング板361とカバー板362との間の流体又は液体シール)を形成する。つまり、冷却流体は、チャネル369と直接接触するということである。例えば、幾つかの実施形態では、バッキング板361とカバー板362とは互いにろう付けされて実質的な防水シールを形成する、あるいは、バッキング板361とカバー板362とは拡散接合、ろう付け、糊付け、ピン止め、リベット打ち、又は他のいずれかの固定手段によって結合されて、液体シールを形成し、バッキング板361とカバー板362との間に形成されたチャネル369は、冷却流体と直接接触する。
【0055】
[0067]
図5及び
図6に示した実施形態等の幾つかの実施形態では、冷却流体が、チャネル369内に配置された冷却チューブ380内に含まれるため、バッキング板361とカバー板362との間に流体密封シールは必要ない。他の実施形態では、冷却流体は冷却チューブ380内に含まれるため、カバー板362は全く必要ない。
【0056】
[0068] 特定の第1の実施形態では、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ360は、原料313と、前面370と裏面372とを有するバッキング板361と、バッキング板361の前面370で原料313を支持するように構成されたバッキング板361とを含む。第1の実施形態は更に、冷却流体に接続されるように構成された注入端部390と、注入端部に流体連結された排出端部392と、注入端部390と排出端部392との間の複数の湾曲部396とを含む冷却チューブ380であって、物理的気相堆積処理中に、バッキング板と原料313とを冷却するためにバッキング板361の裏面372に隣接して配置されるように構成された冷却チューブ380を含む。
【0057】
[0069] 第2の実施形態では、冷却チューブ380は、バッキング板361から分離され、冷却チューブは冷却流体を含む冷却閉ループを提供する。つまり、冷却流体又は冷却液は、バッキング板のチャネル369と直接接触しないということである。
【0058】
[0070] 上述したように、冷却流体は、複数の湾曲部を有する冷却チューブを通って流れうる、あるいは、冷却流体は、バッキング板361とカバー板362との間のチャネルを通って流れうる。いずれの場合にも、冷却チューブ380又はチャネル369は、冷却流体が流れ、流体の流れパターンが画定される流体導管を提供する。
図8~
図10は、
図5に示す複数の湾曲部396を有する冷却チューブ380を含みうる、又は例えば
図7A、
図7B及び
図7Cに示すように、バッキング板361とカバー板362との間に形成されたチャネルを含みうる流れパターンの例示の実施形態を示す。
【0059】
[0071]
図8に、複数の列部400を含む流れパターン又は流路を示す。図示した実施形態では、列部は実質的に平行である。図示した特定の実施形態では、少なくとも8つの列部400と、単一の注入部と単一の排出部が存在する。
図8において、注入端部390は注入列402に流体接続されている。
図8において、列部400aと列部400bとで第1の列部のペアが形成され、列部400e、及び列部400fにより第2の列部のペアが形成されている。列部400aと400bとを含む第1の列部のペアは、分岐(split)接続420によって列部400eと400fとを含む第2の列部のペアに流体接続されている。したがって、
図8では、注入列402は、列部400aと列部400bとを含む第1の列部のペアと、列部400eと400fとを含む第2の列部のペアに流体の流れを分割あるいは分ける分岐接続420に流体接続された注入端部に流体接続されている。幾つかの実施形態では、流れパターンは、注入列402の第1の側面401に列部400a、列部400b、列部400c及び列部400dを含み、注入列402の第2の側面403に列部400e、列部400f、列部400g及び列部400hを含む。したがって、第1の側面401は、2つの列部のペアを含み、第1の側面の反対側の第2の側面403は、2つの列部のペアを含む。
図8を再度参照すると、流れパターンのペアの隣接する列部は、湾曲部において流体連結されている。したがって、
図8において、列部400aと列部400bとは湾曲部405で流体連結され、列部400cと列部400dとは湾曲部407で流体連結され、列部400eと列部400fとは湾曲部409で連結され、列部400gと列部400hとは湾曲部411で連結されている。湾曲部413は列部400bと列部400cとを流体連結し、湾曲部415は列部400fと列部400gとを流体連結している。湾曲部417は、注入列402を列部400dと列部400hとに流体連結する分岐接続420を提供する。したがって、分岐接続420は、三方接続と見なされる。
図8において、矢印は、列部内で流れる流体の方向を示している。したがって、液体であってよい流体は、注入端部390を通り注入列402に沿って分岐接続420まで流れ、分岐接続420において流れは第1の側面401と第2の側面403の2つの方向に分流する。第1の側面において、流体は、列部400dを注入列402の流れの反対方向に流れ、湾曲部407を回った後に、列部400cを注入列402の流れと同じ方向に流れ、その後湾曲部413を回って、列部400dを注入列402の流れ方向とは反対の方向に流れて湾曲部405を回り、列部400aを注入列402と同じ方向に流れる。流体は、列部400aから排出端部392に向かって流れる。第2の側面403でも同様の流れパターンが見られ、第2の側面403では、液体の形態の流体が注入列402内を図示した方向に分岐接続420まで流れ、その後、注入列402の流れ方向とは反対の方向に列部400hへ流れ、湾曲部411を回ってから、列部400gを注入列402の流れと同じ方向に流れ、湾曲部415を回って、注入列402の流れとは反対の方向に列部400fへ流れ、湾曲部409を回って、列部400eを注入列402と同じ流れ方向に流れる。流体は、一又は複数の実施形態にしたがって、注入列402から排出端部392に向かって流れ、排出端部392においてその後再循環し、冷却される。したがって、図示した実施形態では、少なくとも8つの列部400と少なくとも5つの湾曲部、及び単一の注入口及び単一の排出口が存在する。
図8に示す実施形態に示される注入端部と排出端部を逆にすることができ、その結果、流体は直前に説明したものとは逆の方向に流れることになる。
【0060】
[0072]
図9は、注入端部690が、列部600a、600b、600c、600d、600e、600f、及び600gによって、排出端部692に流体連結されていることを示す代替的な実施形態を示している。列部600aと列部600bは湾曲部605によって流体連結され、列部600bと列部600cは湾曲部607によって流体連結され、列部600cと列部600dは湾曲部609によって流体連結され、列部600dと列部600eは湾曲部611によって流体連結され、列部600eと列部600fは湾曲部613によって流体連結され、列部600fと列部600gは湾曲部615によって流体連結され、連続的な流路を提供する。
【0061】
[0073]
図10は、2つの排出端部792a及び792bに流体連結された注入端部790を含む、別の実施形態を示している。この実施形態には、少なくとも8つの列部、少なくとも5つの湾曲部、1つの注入端部と2つの排出端部が示されている。注入端部790は、第1の側面701と第1の側面に向かい合う第2の側面703を備えた流路をもたらす注入列702に流体連結されている。
図10において、列部700aと列部700bとで第1の列部のペアが形成され、列部700eと列部700fにより第2の列部のペアが形成されている。列部700aと700bとを含む第1の列部のペアは、分岐接続720によって列部700eと700fとを含む第2の列部のペアに流体接続されている。したがって、
図10では、注入列702は、列部700aと列部700bとを含む第1の列部のペアと、列部700eと700fとを含む第2の列部のペアに流体の流れを分割あるいは分ける分岐接続720に流体接続された注入端部790に流体接続されている。幾つかの実施形態では、流れパターンは、注入列702の第1の側面701に列部700a、列部700b、列部700c及び列部700dを含み、注入列702の第2の側面703に列部700e、列部700f、列部700g及び列部700hを含む。したがって、第1の側面701は、2つの列部のペアを含み、第1の側面の反対側の第2の側面703は、2つの列部のペアを含む。
図10を再度参照すると、流れパターンのペアの隣接する列部は、湾曲部において流体連結されている。したがって、
図10において、列部700aと列部700bとは湾曲部705で流体連結され、列部700cと列部700dとは湾曲部707で流体連結され、列部700eと列部700fとは湾曲部709で連結され、列部700gと列部700hとは湾曲部711で連結されている。湾曲部713は列部700bと列部700cとを流体連結し、湾曲部715は列部700fと列部700gとを流体連結している。湾曲部717は、注入列702を列部700dと列部700hとに流体連結する分岐接続720を提供する。したがって、分岐接続720は、三方接続と見なされる。
図10において、矢印は、列部内で流れる流体の方向を示している。したがって、液体であってよい流体は、注入端部790を通り注入列702に沿って分岐接続720まで流れ、分岐接続720において流れは第1の側面701と第2の側面703の2つの方向に分流する。第1の側面において、流体は、列部700dを注入列702の流れの反対方向に流れ、湾曲部707を回った後に、列部700cを注入列702の流れと同じ方向に流れ、その後湾曲部713を回って、列部700bを注入列702の流れ方向とは反対の方向に流れて湾曲部705を回り、列部700aを注入列702と同じ方向に流れる。流体は、列部700aから排出端部792aに向かって流れる。第2の側面703でも同様の流れパターンが見られ、第2の側面703では、液体の形態の流体が注入列702内を図示した方向に分岐接続720まで流れ、その後、注入列702の流れ方向とは反対の方向に列部700hへ流れ、湾曲部711を回ってから、列部700gを注入列702の流れと同じ方向に流れ、湾曲部715を回って、注入列702の流れとは反対の方向に列部700fへ流れ、湾曲部709を回って、列部700eを注入列702と同じ流れ方向に流れる。流体は、一又は複数の実施形態にしたがって、注入列702から排出端部792bに向かって流れ、排出端部792bにおいてその後再循環し、冷却される。一又は複数の実施形態にしたがって、流体の流れは逆転又は入れ替わることがあり、流体は排出端部から注入端部へ流れることがありうる。つまり、
図10の実施形態に示した注入端部と排出端部は入れ替え可能で、これにより、熱交換流体を前述の方向とは反対の方向に流すことができる。
【0062】
[0074] 第3の実施形態では、複数の湾曲部により複数の列部を含む流れパターンが画定され、バッキング板が更に、冷却チューブを受容するように構成された裏面にチャネルを含むように第1又は第2の実施形態を変更することができる。第4の実施形態では、第1~第3の実施形態が、複数の湾曲部により複数の列部を含む流れパターンが画定され、バッキング板が更に、冷却チューブを受容するように構成された裏面にチャネルを含むようになる。
【0063】
[0075] 第5の実施形態では、流れパターンが少なくとも4つの列部と少なくとも2つの湾曲部とを含むように、第1~第4の実施形態を変更することができる。第6の実施形態では、流れパターンが少なくとも6つの列部と5つの湾曲部とを含むように、第1~第4の実施形態を変更することができる。第7の実施形態では、流れパターンが少なくとも8つの列部と6つの湾曲部とを含むように、第1~第4の実施形態を変更することができる。
【0064】
[0076] 第8の実施形態では、流れパターンは第1の列部のペアと第2の列部のペアと、分岐接続によって第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている単一の列部に流体接続されている注入端部と、第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている排出端部とを含む。第9の実施形態では、流れパターンは第1の列部のペアと第2の列部のペアと、分岐接続によって第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている単一の列に流体接続されている注入端部と、第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている排出端部とを含む。
【0065】
[0077] 一又は複数の実施形態では、冷却チューブは単一の注入端部と単一の排出端部とを含む。一又は複数の実施形態では、冷却チューブは、単一の注入端部と第1の排出端部と第2の排出端部とを含み、第1の排出端部は第1の列部のペアに流体接続され、第2の排出端部は第2の列部のペアに流体接続されている。一又は複数の実施形態では、アセンブリは更に、カバー板と、バッキング板とカバー板との間に配置されている冷却チューブとを含む。一又は複数の実施形態では、冷却チューブ又はチャネルは、複数の注入端部と複数の排出端部のうちの少なくとも1つを含む。これは、冷却チューブが複数の注入端部と単一の排出端部、単一の注入端部と複数の排出端部、又は複数の注入端部と複数の排出端部を有しうることを意味する。複数の注入端部を有する一又は複数の実施形態では、全ての注入端部は、単一の供給導管に接続されうる、あるいは、複数の供給導管に流体接続されうる。同様に、複数の排出端部を有する実施形態では、全ての排出端部は、単一の戻し導管に接続されうる、あるいは、複数の戻し導管に流体接続されうる。
【0066】
[0078] 一又は複数の実施形態は、物理的気相堆積ターゲットアセンブリに関連し、物理的気相堆積ターゲットアセンブリは、原料と、前面及び裏面を有し且つ前面で原料を支持するように構成されたバッキング板と、バッキング板に連結されたカバー板とを含み、カバー板とバッキング板との間にチャネルが配置され、チャネルは、注入端部と排出端部とに流体接続されている少なくとも4つの列部と3つの湾曲部とを含む流れパターンを画定する複数の湾曲部を含み、物理的気相堆積処理中にバッキング板とターゲットとを冷却するために、バッキング板の裏面に隣接して冷却流体を流すように構成されている。
【0067】
[0079] 一又は複数の実施形態では、チャネルは、注入端部に流体接続されている注入列を含む少なくとも5つの列部を含む流れパターンを画定し、注入列は、分岐接続によって第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている。一又は複数の実施形態では、チャネルは、少なくとも6つの列部と5つの湾曲部とを含む流れパターンを画定している。一又は複数の実施形態では、チャネルは、少なくとも8つの列部と6つの湾曲部とを含む流れパターンを画定している。
【0068】
[0080] 一又は複数の実施形態では、チャネルは、第1の列部のペアと第2の列部のペアと、分岐接続によって第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている単一の列に流体接続されている注入端部と、第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている排出端部とを含む流れパターンを画定している。一又は複数の実施形態では、チャネルは、単一の注入端部と単一の排出端部とに流体接続されている。一又は複数の実施形態では、チャネルは、単一の注入端部と第1の排出端部と第2の排出端部とに流体接続され、第1の排出端部は、第1の列部のペアに流体接続され、第2の排出端部は第2の列部のペアに流体接続されている。特定の実施形態では、チャネルは、複数の注入端部と複数の排出端部のうちの少なくとも1つに流体接続されている。これは、チャネルが複数の注入端部と単一の排出端部、単一の注入端部と複数の排出端部、又は複数の注入端部と複数の排出端部を有しうることを意味する。複数の注入端部を有する一又は複数の実施形態では、全ての注入端部は、単一の供給導管に接続されうる、あるいは、複数の供給導管に流体接続されうる。同様に、複数の排出端部を有する実施形態では、全ての排出端部は、単一の戻し導管に、あるいは、複数の戻し導管に流体接続されうる。
【0069】
[0081] 特定の実施形態では、チューブは、前記チャネル内に配置され、注入端部と排出端部とに流体接続されている。
【0070】
[0082] 物理的気相堆積ターゲットを冷却する方法に関する別の態様は、本書に記載の装置を通して冷却流体を継続的に流すことを含む方法である。
【0071】
[0083] 本書に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリの一又は複数の実施形態は、
図1に示すPVD処理システム100で使用可能である。一又は複数の実施形態では、装置を通して液体の形態の冷却流体を継続的に流すことで、未使用の冷却流体がバッキング板に継続的に接触するように、冷却流体が交換される。このような設計は、現在の
図2及び
図3に示す種類の設計と比較して、ターゲット温度の25%の低下をもたらすためのモデルにおいて有益に示されている。本開示に記載の設計は、より効率的で効果的な熱伝達を提供するという課題に解決策を与える、冷却流体/液体の連続的な交換を提供し、その結果、ターゲットの冷却が向上し、粒子の生成が抑えられ、ターゲットの反りが防止される。水等の液体の形態の冷却流体は、チャネルの1つの端部から供給され、幾つかのねじれ、折り返し及び湾曲部を含む蛇行路であってよい曲がりくねった経路を通過した後で別の端部から排出される。この設計により、ターゲットの寿命も有益に延びる。これらの利点は、三次元活用モデルを使用し、既存のターゲットアセンブリの設計を本書に記載のターゲットアセンブリの設計と比べることによって示されている。
【0072】
[0084] 本書に記載のターゲットアセンブリは、極紫外線(EUV)マスクブランクの製造に特に有用でありうる。EUVマスクブランクは、マスクパターンを有する反射マスクを形成するために使用される光学的に平坦な構造である。一又は複数の実施形態では、EUVマスクブランクの反射面は、極紫外線等の入射光を反射させるための平坦な焦点面を形成する。EUVマスクブランクは、EUVレチクル等の極紫外線反射素子に構造支持体を提供する基板を含む。一又は複数の実施形態では、基板は、温度が変化する間の安定性を付与するために、低い熱膨張係数(CTE)を有する材料から作られる。一又は複数の実施形態による基板は、ケイ素、ガラス、酸化物、セラミック、ガラスセラミック、又はこれらの組み合わせ等の材料から形成される。
【0073】
[0085] EUVマスクブランクは、極紫外線に対して反射性を有する構造である多層スタックを含む。多層スタックは、第1の反射層と第2の反射層の交互反射層を含む。第1の反射層と第2の反射層は、反射ペアを形成する。非限定的な実施形態では、多層スタックは、20~60個の範囲の反射ペア、合計で最大120個の反射層を含む。
【0074】
[0086] 第1の反射層と第2の反射層は、様々な材料から形成されうる。一実施形態では、第1の反射層と第2の反射層はそれぞれ、ケイ素とモリブデンから形成される。多層スタックは、ブラッグリフレクタ又はミラーを作るために異なる光学特性を有する材料の薄層を交互に有することによって、反射性構造を形成する。例えばモリブデン及びケイ素の交互層は、例えばマルチカソードソースチャンバ内で物理的気相堆積によって形成されうる。
【0075】
[0087] ここで
図11を参照すると、一実施形態によるマルチカソードソースチャンバ500の上部が示されている。マルチカソードチャンバ500は、上部アダプタ504によって覆われている円筒形本体部502を有する基礎構造501を含む。上部アダプタ504は、上部アダプタ504の周りに配置されたカソードソース506、508、510、512、及び514等の幾つかのカソードソースを提供する。多層スタックだけでなく、キャッピング層及び吸収体層を形成するために、マルチカソードソースチャンバ500内で
図1に関連して説明したPVD処理システム100を用いることができる。例えば、物理的気相堆積システムは、ケイ素、モリブデン、酸化チタン、二酸化チタン、酸化ルテニウム、酸化ニオブ、ルテニウムタングステン、ルテニウムモリブデン、ルテニウムニオブ、クロム、タンタル、窒化物、化合物、又はこれらの組み合わせの層を形成しうる。幾つかの化合物を酸化物として記載したが、化合物には酸化物、二酸化物、酸素原子を有する原子混合物、又はこれらの組み合わせが含まれうると理解されたい。
【0076】
[0088] この明細書全体を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「一又は複数の実施形態」、又は「実施形態」に対する言及は、実施形態に関連して説明されている特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体の様々な箇所での「一又は複数の実施形態で」、「特定の実施形態で」、「一実施形態で」、又は「実施形態で」などの表現は、必ずしも、本開示の同一の実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、一又は複数の実施形態において任意の適切な様態で組み合わせることができる。
【0077】
[0089] 本書の開示は特定の実施形態を参照して説明されているが、これらの実施形態は、本開示の原理及び用途の例示にすぎないことを理解されたい。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の方法及び装置に対して様々な改変及び変形を行いうることが、当業者には明らかになろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である改変例及び変形例を含むことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的気相堆積ターゲットアセンブリであって、
原料と、
前面及び裏面を有するバッキング板であって、前記バッキング板の前面に前記原料を支持するように構成されたバッキング板と、
前記バッキング板に連結されたカバー板と、
前記カバー板と前記バッキング板との間に配置されたチャネルとを備え、前記チャネルは、単一の注入端部と単一の排出端部とに流体接続されている少なくとも4つの列部と3つの湾曲部とを含む流れパターンを画定する複数の湾曲部を含み、注入列は、前記少なくとも4つの列部を、前記注入列の第1の側面上の第1の列部のペアと、前記注入列の第2の側面上の第2の列部のペアに分割し、前記チャネルは、物理的気相堆積処理中に、前記バッキング板と前記ターゲットを冷却するため、前記バッキング板の前記裏面に隣接して冷却流体を流すように構成されている、物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項2】
前記流れパターンは、前記注入端部に流体接続されている注入列を含む少なくとも5つの列部を含み、前記注入列は、分岐接続によって前記第1の列部のペアと前記第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項1に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項3】
前記流れパターンは、少なくとも6つの列部と5つの湾曲部とを備える、請求項2に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項4】
前記流れパターンは、少なくとも8つの列部と6つの湾曲部とを備える、請求項2に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項5】
前記流れパターンは、前記第1の列部のペアと前記第2の列部のペアとを備え、前記注入端部は分岐接続によって前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続された単一の列部に流体接続され、前記第1の排出端部は前記第1の列部のペアと第2の列部のペアとに流体接続されている、請求項1に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項6】
前記チャネルは、単一の注入端部と単一の排出端部とに流体接続されている、請求項5に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項7】
前記チャネルは、前記単一の注入端部と前記第1の排出端部と第2の排出端部とに流体接続されており、前記第1の排出端部は前記第1の列部のペアに流体接続され、前記第2の排出端部は前記第2の列部のペアに流体接続されている、請求項5に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【請求項8】
前記チャネル内に配置され、前記注入端部と前記第1の排出端部とに流体接続されたチューブを更に備える、請求項1に記載の物理的気相堆積ターゲットアセンブリ。
【外国語明細書】