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特開2022-180551改善された抵抗率制御により単結晶シリコンインゴットを形成する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180551
(43)【公開日】2022-12-06
(54)【発明の名称】改善された抵抗率制御により単結晶シリコンインゴットを形成する方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20221129BHJP
   C30B 15/04 20060101ALI20221129BHJP
【FI】
C30B29/06 502H
C30B15/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022151550
(22)【出願日】2022-09-22
(62)【分割の表示】P 2019535251の分割
【原出願日】2017-12-28
(31)【優先権主張番号】62/439,743
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】パルティブ・ダゴル
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ジットリン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・スタンドリー
(72)【発明者】
【氏名】イ・ヒョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ナン
(72)【発明者】
【氏名】リュ・ジェウ
(72)【発明者】
【氏名】スービア・バサク
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジェイ・フィリップス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】インゴットのプライム部分を増加させ、より良好な抵抗制御を可能にし、かつ/または付帯的なドーピング処理を簡素化する、高抵抗シリコンインゴットを生成する方法を提供する。
【解決手段】多結晶シリコンがるつぼに加えられる。多結晶シリコンが加熱され、るつぼ内にシリコン融液が形成される。ガリウムおよびインジウムからなるグループから選択された第1ドーパントがるつぼに添加される。融液から標本インゴットが引き上げられる。標本インゴットの抵抗率が測定される。リンおよびホウ素からなるグループから選択される第2ドーパントがシリコン融液に添加される。融液に添加される第2ドーパントの量は、標本インゴットの測定された抵抗率に部分的に基づく。製品インゴットが融液から引き上げられる。いくつかの実施の形態では、インゴットは比較的高い抵抗率により特徴づけられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
前記るつぼに多結晶シリコンを添加する工程と、
前記多結晶シリコンを加熱する工程と、
これにより、前記るつぼ内にシリコン融液を形成する、
ガリウムおよびインジウムにより構成されるグループから選択された第1ドーパントを前記るつぼに添加する工程と、
前記シリコン融液から標本インゴットを引き上げる工程と、
前記標本インゴットの抵抗率を測定する工程と、
前記シリコン融液に第2ドーパントを添加する工程と、
ここで、前記シリコン融液に添加される前記第2ドーパントの量は、測定された前記標本インゴットの前記抵抗率に部分的に基づく、
前記シリコン融液から製品インゴットを引き上げる工程と、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記シリコン融液に添加される前記第2ドーパントの量は、前記製品インゴットのプライム部分の目標抵抗率に部分的に基づく、
ここで、前記プライム部分は前記目標抵抗率を有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記目標抵抗率は、最小抵抗率である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記最小抵抗率は、少なくとも約1,500Ω-cmである、または少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、または約1,500Ω-cmから約50,000ohm-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記目標抵抗率は、最大抵抗率である、
請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第2ドーパントはリンおよびホウ素から選択される、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2ドーパントはリンである、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1ドーパントはガリウムである、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ガリウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のガリウムの濃度が、約0.5ppma未満である、または約0.1ppma未満、約0.01ppma未満、約0.001ppma未満、約0.00001ppmaから約0.5ppma、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaである、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ガリウムは、シリコンガリウム合金として前記るつぼに添加される、
請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1ドーパントはインジウムである、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
インジウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のインジウムの濃度が、約0.5ppma未満である、または約0.1ppma未満、0.01ppma未満、約0.001ppma未満、約0.00001ppmaから約0.5ppma、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaである。
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
インジウムは、シリコンインジウム合金として前記るつぼに添加される、
請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記標本インゴットは、約10,000ohm-cmまたは約5,000ohm-cm以下または約2,500ohm-cm以下、約500ohm-cmから約10,000ohm-cm、約500ohm-cmから約5,000ohm-cm、または約1000ohm-cmから約3000ohm-cmの抵抗率を有する、
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記多結晶シリコンは、半導体グレードシリコンである、
請求項1ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
前記るつぼに多結晶シリコンを添加する工程と、
前記多結晶シリコンを加熱する工程と、
これにより、前記るつぼ内にシリコン融液を形成する、
シリコンガリウムおよびシリコンインジウムにより構成されるグループから選択された合金を前記るつぼに添加する工程と、
前記シリコン融液から製品インゴットを引き上げる工程と、
を含む、
方法。
【請求項17】
前記合金はシリコンガリウムであり、5wt%未満のガリウム、または1wt%未満、0.5wt%未満、約0.001wt%から約5wt%、または約0.01wt%から約1wt%のガリウムを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記合金はシリコンガリウムであり、ガリウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のガリウムの濃度が、0.5ppma未満である、または約0.1ppma未満、0.01ppma未満、約0.001ppma未満、約0.00001ppmaから約0.5ppma、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaである、
請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記合金はシリコンインジウムであり、5wt%未満のインジウム、または1wt%未満、0.5wt%未満のインジウム、約0.001wt%から約5wt%、または約0.01wt%から約1wt%のインジウムを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記合金はシリコンインジウムであり、インジウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のインジウムの濃度が、0.5ppma未満である、または約0.1ppma未満、0.01ppma未満、約0.001ppma未満、約0.00001ppmaから約0.5ppma、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaである、
請求項16または19に記載の方法。
【請求項21】
前記インゴットは、少なくとも約1,500Ω-cm、または少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、または約1,500Ω-cmから約50,000ohm-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmの抵抗率を持つプライム部分を有する、
請求項16ないし20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記多結晶シリコンは、半導体グレードシリコンである、
請求項16ないし21のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2016年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/439,743号の利益を主張する。この出願の内容は、参照により本明細書に包含される。
【0002】
本開示の技術分野は、改善された抵抗率制御により単結晶シリコンインゴットを生成する方法、特に、ガリウムまたはインジウムのドーピングを含む方法に関する。いくつかの実施の形態において、インゴットは比較的高い抵抗率を特徴とする。
【背景技術】
【0003】
半導体電子部品の製造のほとんどのプロセスの出発原料である単結晶シリコンは、一般的に、いわゆるチョクラルスキー(CZ)法により生成される。チョクラルスキー法では、単一種結晶が溶融シリコンに浸され、ゆっくり引き上げられることにより成長する。溶融シリコンは、石英るつぼに入れられている間、主に酸素である様々な不純物が混入されている。高度無線通信用途、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、および低電力低漏洩装置のようないくつかの用途は、1500ohm-cm(Ω-cm)以上の比較的高い抵抗率を有するウェハを必要とする。製品仕様は、約300Ω-cmの公差内のウェハ目標抵抗率を必要とする、または最小抵抗率を必要とする場合がある。製品仕様はまた、所与のロットのウェハにおいて、原料は型を変更しない(例えば、P型からN型へ、またはその逆)ことが必要とされる。
【0004】
チョクラルスキー法を使用して結晶を成長させると、融液中の不純物は偏析係数により偏析することがある。それにより、不純物は融液中に濃縮し、インゴットの成長に伴いインゴットに包含される不純物の量が増加する。この不純物/ドーパント偏析効果は、インゴットの抵抗率をその長さによって変化させる。さらに、融液中の異なる不純物は異なる割合で偏析することがある。それにより、それぞれの割合がインゴットの長さにわたって変化し、インゴットの型の変化が発生することがある。これにより、インゴットの一部が製品仕様の範囲外になり、インゴットの「非プライム」部分が増加する。
【0005】
高抵抗インゴットの製造には、高純度ポリシリコンが使用される。高純度ポリシリコンは不純物プロファイルの広がりにより特徴づけられる。これにより、ドープされていない材料およびその型の固有抵抗率の範囲が広がる。さらに、1500ohm-cm以上であるような比較的高抵抗ウェハにおいて、インゴットの高抵抗率を維持する極少量のドーパントが添加されるため、抵抗率およびインゴットの型を制御する追加ドーパントの添加は困難である場合がある。
【0006】
インゴットのプライム部分を増加させ、より良好な抵抗制御を可能にし、かつ/または付帯的なドーピング処理を簡素化する、高抵抗シリコンインゴットを生成する方法が必要とされている。
【0007】
本節は、以下に記載および/または特許請求される本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを目的とする。この説明は、本開示の様々な態様のさらなる理解を促進する背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記載はこの観点から読まれるべきであり、先行技術の承認として読まれるべきではないことを理解されたい。
【発明の概要】
【0008】
本開示の一態様は、るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。多結晶シリコンがるつぼに加えられる。多結晶シリコンが加熱され、るつぼ内にシリコン融液が形成される。ガリウムおよびインジウムからなるグループから選択された第1ドーパントがるつぼに添加される。融液から標本インゴットが引き上げられる。標本インゴットの抵抗率が測定される。第2ドーパントがシリコン融液に添加される。融液に添加される第2ドーパントの量は、標本インゴットの測定された抵抗率に部分的に基づく。製品インゴットが融液から引き上げられる。
【0009】
本開示の別の態様は、るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。多結晶シリコンがるつぼに添加される。多結晶シリコンが加熱され、るつぼ内にシリコン融液が形成される。シリコンガリウムおよびシリコンインジウムからなるグループから選択された合金がるつぼに添加される。製品インゴットが融液から引き上げられる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の上述の態様に関連して言及された特徴の様々な改良が存在する。さらなる特徴もまた、本開示の上述の態様に包含されていてもよい。これらの改良および追加の特徴は、個別に、または任意の組み合わせにより存在し得る。例えば、例示される本開示の実施の形態のいずれかに関連して以下で説明される様々な特徴は、本開示の上述の態様のいずれかに単独で、または組み合わせで包含され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】単結晶シリコンインゴットを形成する引き上げ装置の概略側面図である。
図2】偏析係数が1より小さい不純物「A」を含むシリコンの二元状態図である。
図3】シリコン固形割合における不純物Aの濃度プロファイルである。
図4】凝固した固形割合における抵抗率プロファイルである。
図5】実施例1に記載されるガリウムをドープする場合およびしない場合のインゴットの抵抗率プロファイルの図である。
図6】実施例1に記載されるガリウムをドープする場合およびしない場合のインゴットの抵抗率プロファイルの図である。
図7】実施例1に記載されるガリウムをドープする場合およびしない場合のインゴットの抵抗率プロファイルの図である。
図8】実施例1に記載されるガリウムをドープする場合およびしない場合のインゴットの抵抗率プロファイルの図である。
図9】実施例1に従って製造されたインゴットに対するホウ素、リン、およびガリウムの組成偏析曲線を示す図である。
図10】実施例1に記載される、抵抗率に寄与する酸素ドナーを伴ってガリウムをドープする場合およびしない場合のインゴットの抵抗率プロファイルの図である。
図11】サーマルドナー効果を有するガリウム補償システムに対するモデル化された抵抗率プロファイル、および測定された抵抗率プロファイルを示す図である。
図12】実施例2に従って生成された粒状ガリウムシリコン合金の写真である。
【0012】
対応する参照文字は、図面を通して参照する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、ガリウムまたはインジウムがポリシリコン出発原料中の不純物に対する補償のためにガリウムまたはインジウムが使用されるチョクラルスキー法により、単結晶シリコンインゴットを製造する方法に関する。いくつかの態様では、ガリウムまたはインジウムは、固相合金として追加され、比較的少量のドーパントが添加されることを可能にする。これらの、または他の実施の形態では、他のドーパントの添加前に融液の抵抗率を決定するため標本インゴットまたは試験インゴットが製造される前に、ガリウムまたはインジウムが添加される。
【0014】
本開示の実施の形態によれば、図1を参照すると、インゴットは、結晶引き上げ装置23のるつぼ22内に保持されるシリコン融液44からインゴットが取り出される、所謂チョクラルスキー処理により成長する。
【0015】
インゴット引き上げ装置23は、結晶成長室16と成長室よりも小さい横断面寸法を有する引き上げ室20とを画定するハウジング25を含む。成長室16は、成長室16から狭くなった引き上げ室20に移行する、略ドーム形状の上壁45を有する。インゴット引き上げ装置23は、結晶成長中にプロセスガスをハウジング25に導入、およびハウジング25から排出するのに使用される、入口部7と出口部11とを含む。
【0016】
インゴット引き上げ装置23内のるつぼ22はシリコン融液44を含み、そこからシリコンインゴットが引き上げられる。シリコン融液44は、るつぼ22に充填された多結晶シリコンを溶融することにより得られる。るつぼ22は、インゴット引き上げ装置23の中心長手軸Xを中心にるつぼを回転させるためにターンテーブル29に取り付けられる。
【0017】
加熱システム39(例えば、電気抵抗加熱装置39)は、シリコン充填物を溶融して融液44を生成するためにるつぼ22を取り囲む。加熱装置39はまた、米国特許第8,317,919号に示すように、るつぼの下に延伸していてもよい。加熱装置39は制御システム(図示せず)により制御される。そのため、融液44の温度は、引き上げ処理を通して正確に制御される。加熱装置39を取り囲む断熱材(図示せず)は、ハウジング25を通して失われる熱の量を低減することができる。インゴット引き上げ装置23はまた、るつぼ22の熱からインゴットを遮蔽して、固体-融液界面における軸方向の温度勾配を増加させるために、融液表面の上方に熱遮断部品(図示せず)を含む。
【0018】
引き上げ機構(図示せず)は、引き上げ機構から下方に延びる引き上げワイヤ24に取り付けられている。引き上げ機構は、引き上げワイヤ24を上昇させること、および下降させることができる。インゴット引き上げ装置23は、引き上げ装置の種類に応じて、ワイヤではなく引き上げシャフトを有していてもよい。引き上げワイヤ24は、シリコンインゴットを成長させるのに使用される種結晶6を保持する種結晶チャック32を含む引き上げアセンブリ58で終端する。インゴットを成長させる際に、引き上げ機構は、種結晶6がシリコン融液44の表面に接触するまで、種結晶6を下降させる。種結晶6が溶融し始めると、引き上げ機構は、結晶成長室16および引き上げ室20を通って、種結晶をゆっくりと引き上げて、単結晶インゴットを成長させる。引き上げ機構が種結晶6を回転させる速度と、引き上げ機構が種結晶を引き上げる速度(すなわち、引き上げレートv)とは、制御システムにより制御される。
【0019】
プロセスガスは、入口部7を通ってハウジング25に導入され、出口部11から排出される。プロセスガスは、ハウジング内にガス層(atmosphere)を形成し、融液とガス層が融液-ガス界面を形成する。出口部11は、インゴット引き上げ装置の排出システム(図示せず)と流体連通している。
【0020】
これに関して、図1に示され、本明細書に記載される結晶引き上げ装置23は例示であり、明示されていなければ、単結晶シリコンインゴットを融液から引き上げるのに他の結晶引き上げ装置の構成および配置が使用されてもよい。
【0021】
結晶中でドーパントとして作用することができる融液44内の不純物は、通常の凝固または通常の結晶成長の一部として結晶中に偏析する。ある不純物、不純物「A」の、結晶への偏析が図2に示されている。図2は、シリコン-A系統における組成に対してプロットされた温度を示す。この混合物に対して、境界は固相線と液相線とを表す相境界である。固相線より低い温度では、混合物はすべて固体である。逆に、液相線より高い温度では、混合物はすべて液体である。Txとして示される所与の温度では、偏析係数は液体中のAの濃度[Cに対する、固体中のAの濃度[Cの割合として定義される。
【0022】
したがって、偏析は、偏析係数kにより定義される。偏析係数kは、k=[C/[Cで表される。チョクラルスキー結晶成長における「通常の」凝固として知られるものの下では、固体中の不純物Aの濃度は、式1を使用して、固形割合の関数として表すことができる。
[C]=k[C](1-g)ko-1 (式1)
式1において、[C]は、選択された固形割合gにおける、初期液体中の不純物Aの出発濃度[C]に対する固体中の不純物Aの濃度である。不純物Aに対する偏析係数、および初期液体の濃度を知ることにより、増加する固形割合に対する濃度が決定される。1よりも小さい偏析係数を有する不純物に対して、固体中のAの濃度プロファイルの典型的な挙動が図3に示されている。
【0023】
抵抗率は、式2に示すように、ドーパント元素の濃度に関連する。
抵抗率=1/(n q u) (式2)
式2において、nは電荷担体の数、qは基本クーロン電荷、uは電荷担体の移動度を示す。典型的には、ドーパントは完全にイオン化されると考えられる。また、nは関与するドーパントの濃度に等しいと考えられる。抵抗率プロファイルは、図4に示されている。
【0024】
複数の元素がドナーまたはアクセプターとして存在し得るため、電荷担体の正味の量は式3により絶対値として計算され得る。
net=|ndonors-nacceptors|(式3)
ドナーの数がアクセプターの数を超えると、抵抗率は式4により計算することができる。
抵抗率=(nnet q ue′) (式4)
式4において、ue′は電子の移動度を示す。逆に、ドナーの数がアクセプターの数より少ないと、抵抗率は式5により計算することができる。
抵抗率=1/(nnet q uh°) (式5)
式5において、uh°は正孔の移動度である。
【0025】
所与の通常凝固モデルにおいて、マルチドーパント系統における固定された初期濃度に対して、固形割合の関数として固体に偏析される濃度プロファイルは、関与する元素に対する偏析係数により調整されることがわかる。出発液体濃度が等しい場合であっても、固体中の濃度プロファイルは、固体中の個々のドーパントの等しくない蓄積をもたらす。抵抗率は、ドーパントおよび酸素からのサーマルドナーの正味の合計であるため、結晶型(すなわち、n型またはp型)は、抵抗率のきわめて大きな変化と同様に、固形割合の増加に伴い変化し得る。
【0026】
チョクラルスキー結晶引き上げ方法において、融液44を用意するための原料として使用される多結晶シリコンは、固有の量のホウ素、P型ドーパント、および、リン、N型ドーパントを含んでいてもよい。リンは、ホウ素の偏析係数(0.80)よりも小さな偏析係数(0.35)を有する。このため、リンはホウ素と比較して蓄積する。図5に示すように、インゴットの第1の部分はP型であってもよい。リンが蓄積するため、ホウ素を補償して抵抗率におけるスパイクを引き起こす。その後、インゴットはN型となる。
【0027】
ホウ素およびリンのような不純物を含む系統における大きな抵抗率の変化を補償するため、結晶型が偏析変数の相違により変化するのを防止するのと同様に、本開示の実施の形態では、ガリウムまたはインジウムのような、ホウ素およびリンなどの不純物よりも小さい偏析係数(それぞれ、0.008、4×10-4)を有するドーパントが、インゴットが成長する前にるつぼに添加される。
【0028】
高抵抗率半導体製品に関連する抵抗率範囲に対して、ホウ素およびリンとともに添加されるガリウム補償は、4nppma以下、さらに3.5nppma以下、約3nppma未満、または約2.5nppma未満の酸素を維持するのと同様に、結晶中の型変化を回避すること、ならびに抵抗率における大きな変化を減らすことができる。
【0029】
本開示の実施の形態によれば、多結晶シリコンはるつぼ22に添加される。多結晶シリコンは加熱され、シリコンが液化してるつぼ内に融液が形成される。ガリウムおよび/またはインジウムからなるグループから選択された第1ドーパントが(多結晶シリコンの溶融の前または後に)るつぼに添加される。標本インゴットまたは「ロッド」が融液から引き上げられ、標本ロッドの抵抗率が測定される。第2ドーパントが融液に添加される。融液に添加される第2ドーパントの量は、標本ロッドの測定された抵抗率に部分的に基づき、製品インゴットの所望の抵抗率に部分的に基づく。その後、製品インゴットは、インゴットの本体部分の少なくとも一部が所望の目標抵抗率を有する状態で、融液から引き上げられる。
【0030】
第1ドーパントが添加され、標本インゴットおよび製品インゴットが引き上げられるポリシリコンは、半導体グレードのポリシリコンであってもよい。半導体グレードポリシリコンが使用される場合、いくつかの実施の形態では、ポリシリコンは4,000Ω-cmよりも大きい抵抗率を有し、0.02ppba未満のホウ素またはリンを含有する。このようなポリシリコン中の全バルク金属の含有量は、2ppma未満であることが望ましい。
【0031】
いくつかの実施の形態において、るつぼに添加される第1ドーパントはガリウムである。一般的に、比較的少量のガリウムがるつぼに添加される。例えば、融液は約0.5ppma未満のガリウム(ガリウムの添加後で標本インゴットの引き上げ前に計測される場合)を含有してもよい。さらに、約0.1ppma未満、0.01ppma未満、または約0.001ppma未満のガリウムを含有してもよい。いくつかの実施の形態では、ガリウム添加後の融液中のガリウムの濃度は、約0.00001ppmaから約0.5ppmaまで、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaまでである。これに関して、記載されたガリウムの濃度範囲(および以下のインジウム)は例示であり、ガリウムの量は、一部に、所望の抵抗率、および他の電機活性ドーパント(例えば、ホウ素、リン、アルミニウム、および同類のもの)に基づいて選択することができる。
【0032】
体積濃度の点では、得られる溶融物は、約5×1015atoms/cm未満、約1×1015atoms/cm未満、約5×1014atoms/cm未満、または約1×1014atoms/cmのガリウム濃度を有することができる。
【0033】
ガリウムの代替として、またはガリウムに加えて、インジウムを第1ドーパントとして使用してもよい。インジウムがるつぼに添加された後の融液中のインジウムの濃度は、約0.5ppma(インジウムの添加後で標本インゴットの引き上げ前に測定される場合)であってもよい。さらに、インジウムの濃度は、約0.1ppma未満、0.01ppma未満、または約0.001ppma未満であってもよい。いくつかの実施の形態では、インジウム添加後の融液中のインジウムの濃度は、約0.00001ppmaから約0.5ppmaまで、または約0.0001ppmaから約0.1ppmaまでである。体積濃度の点では、得られる融液は、約5×1015atoms/cm未満、約1×1015atoms/cm未満、約5×1014atoms/cm未満、または約1×1014atoms/cmのインジウム濃度を有することができる。列挙された量の第1ドーパントは例示であり、特に明記しない限り、他の量が使用されてもよいことを留意すべきである。
【0034】
いくつかの実施の形態では、第1ドーパントは固相合金としてポリシリコン充填物に添加される。例えば、ガリウムまたはインジウムは、固相ガリウムシリコン合金または固相インジウムシリコン合金として添加されてもよい。このような固相ガリウム/インジウムシリコン合金は、約20wt%未満のガリウムまたはインジウム、または、約5wt%未満のガリウムまたはインジウム、または、約1wt%未満のガリウムまたはインジウム、または、0.5wt%未満のガリウムまたはインジウム、約0.001wt%から約5wt%までまたは約0.01wt%から約1wt%までのガリウムまたはインジウムを含んでもよい。るつぼに添加される合金の量は、充填物の大きさおよびそこに包含されるガリウムの量に依存してもよい。いくつかの実施の形態では、約0.5グラムから約50グラム、または、約1グラムから約15グラムの、ガリウム合金またはインジウム合金がるつぼに添加される。
【0035】
合金は、所望の量の第1ドーパント(例えば、ガリウム)およびシリコンの重量を計測し、低勾配炉で原料を溶融して凝固することにより形成することができる。原料は、その容器(例えば、石英容器)から分離され、酸洗浄(例えば、HF)が行われてもよい。酸洗浄された原料は、乾燥、粉砕、および大きさごとに区分されてもよい。いくつかの実施の形態では、原料は、最大サイズ5mm以下、3mm以下、さらに1mm以下の大きさに区分される。
【0036】
ポリシリコンがるつぼに添加されると、第1ドーパント(すなわち、ガリウムおよび/またはインジウム)が添加され、ポリシリコン原料が溶融される。あるいは、第1ドーパントはポリシリコンの溶融中または溶融後に添加されてもよい。
【0037】
ガリウムまたはインジウムから選択された第1ドーパントが添加され、ポリシリコン充填物が液化されると、標本インゴットが融液から引き上げられ、標本インゴットの抵抗率が測定される。一般的に、標本インゴットは任意の適切な大きさであってもよく、いくつかの実施の形態では、約200mmから約300mmまでの直径、および少なくとも100mm、300mm、またはそれより大きい長さを有する。
【0038】
いくつかの実施の形態では、添加された第1ドーパントの量が標本インゴットの抵抗率を、約10,000ohm-cm以下、約5,000ohm-cm以下、または約2,500ohm-cm以下(例えば、約500ohm-cmから約10,000ohm-cm、約500ohm-cmから約5,000ohm-cm、または約1000ohm-cmから約3000ohm-cm)に調整するのに十分である。
【0039】
標本インゴットが製造されると、標本インゴットの抵抗率が決定される。抵抗率は、固形割合に沿った、および/またはウェハまたは小塊の直径に交差する様々な点で測定(例えば、4探針抵抗率プローブにより)されてもよい。
【0040】
第2ドーパント(例えば、リンまたはホウ素)は、標本インゴットの抵抗率が決定された後に、るつぼに添加される。一般的に、目標抵抗率を達成するために添加される第2ドーパントは、任意のn型ドーパントであり、典型的にはリンである。他の実施の形態では、標本インゴットの抵抗率の測定された大きさに応じて、ホウ素ドーパントが目標抵抗率を達成するために使用されてもよい。
【0041】
添加された第2ドーパントの量は、標本ロッドの測定された抵抗率、および製品インゴットのプライム部分に対する目標抵抗率に基づく。使用された第2ドーパントの量は、上述の式2~式5に少なくとも部分的に基づく。
【0042】
いくつかの実施の形態では、インゴットのプライム部分の目標抵抗率は、最小抵抗率であってもよい。いくつかの実施の形態では、インゴットの全長(例えば、インゴットの本体の長さ)は、目標抵抗率(例えば、最小抵抗率)を有する。いくつかの実施の形態では、目標抵抗率は、少なくとも約1,500Ω-cmの最小抵抗率であり、また、他の実施の形態では、少なくとも約2,000Ω-cm、少なくとも約4,000Ω-cm、少なくとも約6,000Ω-cm、少なくとも約8,000Ω-cm、少なくとも約10,000Ω-cm、または、約1,500Ω-cmから約50,000ohm-cm、または約8,000Ω-cmから約50,000Ω-cmである。
【0043】
第2ドーパントが添加されると、製品インゴットが融液から取り出される。製品インゴットは約150mmの直径を有していてもよい。または、他の実施の形態では、製品インゴットは、約200mm、約300mm以上(例えば、450mm以上)の直径を有していてもよい。
【0044】
従来の方法と比較すると、単結晶シリコンを成長させる本開示の実施の形態の方法は、いくつかの利点を有する。比較的高抵抗率の単結晶シリコンを製造するのに使用される比較的高純度のポリシリコンは、ホウ素およびリンの不純物の量において広い範囲を有する。このため、固有の抵抗率において広い範囲をもたらす。抵抗率の広い範囲および高抵抗率それ自体は、抵抗率測定において誤差を生じさせる。標本インゴットを成長させる前にガリウムまたはインジウムを添加することにより、抵抗率のばらつきおよび抵抗率それ自体が低減され、それにより、ばらつき測定における誤差が低減する。例えば、低減された測定誤差は、ガリウムまたはインジウムの量を調整して、例えば約1,000ohm-cmから約2,000ohm-cmまでの抵抗率をもたらすことにより観察することができる。第2ドーパント(例えば、リン)の添加前にガリウムを添加することにより、添加される第2ドーパントの量は、所望の抵抗率をもたらす所望の正味電荷担体濃度を補償するために増加する。より多量の第2ドーパントの添加(例えば、数ミリグラムの第2ドーパントではなく数グラムの添加のような10倍量の増加)は、重量測定において誤差を低減させ、第2ドーパント(例えば、ポリシリコンスタックに対するドーパントカップ)の移動効率を改善する。さらに、ガリウムのような第1ドーパントの添加は、リンドーパントよりもさらに小さい第1ドーパントが小さな偏析係数により特徴づけられるため、インゴット型の遷移を排除、または少なくとも遅延させる。このため、図9に示すように、ガリウムは、リン濃度の急激な上昇に追従し対抗することができる。第1ドーパントの固相合金が使用される(例えば、5wt%未満のガリウム/インジウムを含有する)実施の形態では、合金原料は、純粋な第1ドーパント単体と比較してより大きな質量および体積を有する。このため、原料の測定誤差を低減し移動効率を改善する。ガリウムまたはインジウムの合金の使用により、原料の溶融温度は(例えば、ガリウムが使用される場合、純ガリウムの溶融温度の29.7℃から)上昇し、るつぼへの移動を容易にする。固相合金はまた、ポリシリコン充填物において溶融されるまで固体のままであるため、原料(例えば、純ガリウム)をその溶融温度を下げるために冷蔵または冷却し続ける必要がなく、容易に取り扱うことができる。
【0045】
(実施例)
本開示のプロセスは、以下の実施例によりさらに説明される。これらの実施例は、限定的な趣旨とみなされるべきではない。
【0046】
<実施例1:インゴットの型変化を遅延させるためのガリウムドーピング>
ホウ素およびリンの不純物蓄積の積み重ねに由来する単結晶シリコンウェハにおける型変化が、図5にモデル化され、示されている。図5に示すように、P型からN型への型変化は、ホウ素と比較したリンの蓄積に起因して約17%の固形割合で発生する。ガリウムの添加は、P型からN型への型変化を約62%の固形割合まで遅延させる。これは、ガリウムがリン不純物蓄積を補償するよう作用していることを示す。約10,000ohm-cmから50,000ohm-cmまでの抵抗率目標が与えられたとき、ガリウムの使用は、40%の歩留まり改善をもたらした。
【0047】
1.0×1014atoms/cmのガリウムを添加する場合およびしない場合の、2.1×1013atoms/cmのホウ素および2.73×1013atoms/cmのリンを有するインゴットの抵抗値プロファイルが図6に示されている。図6に示すように、ガリウムの使用は、固形割合が約70%から約80%まで型変化を遅延させた。
【0048】
3×1014atoms/cmのガリウムを添加する場合およびしない場合の、8×1012atoms/cmのホウ素および1.75×1013atoms/cmのリンを有するインゴットに対する抵抗率プロファイルが図7に示されている。図7に示すように、ガリウムが使用されない場合、約10%の固形割合でN型への型変化が発生した。ガリウムの使用は、本体の長さを通してインゴットがP型のままであることを可能にした。
【0049】
2.67×1014atoms/cmのガリウムを添加する場合およびしない場合の、5.7×1012atoms/cmのホウ素および1.52×1013atoms/cmのリンを有するインゴットの抵抗率プロファイルが図8に示されている。ガリウムドーピングなしのインゴットはN型であり、ガリウムがドープされたインゴットはP型である。ホウ素、リン、およびガリウムに対する組成偏析曲線が図9に示されている。
【0050】
図8と同じドーパントプロファイルを有するインゴットの抵抗率プロファイルが、酸素の効果(すなわち、サーマルドナー)を考慮してモデル化された。図10に示すように、サーマルドナーが考慮されたインゴットは、約75%でN型へ型変化し、サーマルドナーを考慮していないインゴットは本体部分にわたってP型であった。サーマルドナーの効果を考慮すると、サーマルドナーの効果が管理されるよう比較的低い値で酸素を維持することが望ましい。酸素を増加させることは、正味の抵抗率を増加させるが、本体の長さにおいて型変化を早期に発生させることがある。4nppma未満、またはさらに3.5nppma未満の酸素目標は、補償ドーパント管理とともに型変化を抑制する助けとなる。
【0051】
図11は、サーマルドナー効果を考慮したガリウム補償系統の抵抗率プロファイルを示す。一例では、インゴットは、抵抗率に対する酸素の寄与を排除するサーマルドナー除去アニールを受け、別の例では、インゴットは、サーマルドナーを完全にイオン化する熱処理を受けた。図11に示すように、測定された抵抗率の値は、モデル化された値に厳密に一致した。
【0052】
<実施例2:ガリウム合金形成>
抵抗率を制御するために使用される少量のガリウムを促進するために、マスターガリウムシリコン合金が製造された。合金は、0.1から0.3wt%の範囲でガリウム濃度を有していた。シリコンおよびガリウムの量が測定された。原料は低勾配炉中の石英容器で溶融され凝固された。合金材料は容器から分離され、HF中で酸洗浄された。合金は、次に、3mm未満にするために、乾燥、粉砕、大きさごとに区分、および洗浄された。得られた合金材料が、図12に示されている。得られたガリウムシリコン合金は、実施例1に記載されたガリウムドーピングに使用するのに適切であった。
【0053】
本明細書で使用される場合、寸法、濃度、温度、または他の物理的または化学的性質または特徴の範囲と併せて使用される場合、用語「約(about)」、「実質的に(substantially)」、「本質的に(essentially)」、および「およそ(approximately)」は、性質または特徴の範囲の上限および/または加減に存在する変動を網羅することを意味する。例えば、丸め、測定方法、または他の統計的変動からもたらされる変動を含む。
【0054】
本開示または実施の形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つまたは複数の要素があることを意味することを意図している。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」、および「有する(having)」は包括的であることを意図し、列挙された要素以外に追加の要素がある場合があることを意味する。特定の向き(例えば、「上(top)、「下(bottom)」、「横(side)」等」)を示す用語の使用は、説明の便宜上のものであり、記載されたアイテムのいかなる特定の方向も要求するものではない。
【0055】
本開示の範囲を逸脱することなく、上述の構成および方法に様々な変更を加えることが可能である。このため、上述の記載に含まれ、添付の図面に示されるすべての事柄は、例示であり、限定的な意味ではないと解釈されるべきであることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
前記るつぼに多結晶シリコンを添加する工程と、
前記多結晶シリコンを加熱して、前記るつぼ内にシリコン融液を形成する工程と、
前記シリコン融液の抵抗率のばらつきを低減して抵抗率の測定を改善するために、ガリウムおよびインジウムからなるグループから選択された第1ドーパントを前記るつぼに添加する工程と、
前記第1ドーパントを前記るつぼに添加する工程の後に、前記シリコン融液から標本インゴットを引き上げる工程と、
前記標本インゴットの抵抗率を測定する工程と、
前記シリコン融液にリンおよびホウ素からなるグループから選択される第2ドーパントを添加する工程と
前記シリコン融液から製品インゴットを引き上げる工程と、
を含
前記製品インゴットは、目標抵抗率を有するプライム部分を有し、
前記シリコン融液に添加される前記第2ドーパントの量は、測定された前記標本インゴットの前記抵抗率および前記製品インゴットの前記プライム部分の前記目標抵抗率に基づく、
方法。
【請求項2】
前記目標抵抗率は、前記製品インゴットの前記プライム部分の最小抵抗率である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最小抵抗率は、少なくとも約1,500Ω-cmである
請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記目標抵抗率は、前記製品インゴットの前記プライム部分の最大抵抗率である、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2ドーパントはリンである、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1ドーパントはガリウムである、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ガリウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のガリウムの濃度が、約0.5ppma未満である
請求項に記載の方法。
【請求項8】
ガリウムは、シリコンガリウム合金として前記るつぼに添加される、
請求項またはに記載の方法。
【請求項9】
前記第1ドーパントはインジウムである、
請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
インジウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のインジウムの濃度が、約0.5ppma未満である
請求項に記載の方法。
【請求項11】
インジウムは、シリコンインジウム合金として前記るつぼに添加される、
請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
前記標本インゴットは、約10,000ohm-cm以下の抵抗率を有する、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記多結晶シリコンは、半導体グレードシリコンである、
請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
るつぼ内に保持されたシリコン融液から単結晶シリコンインゴットを製造する方法であって、
前記るつぼに多結晶シリコンを添加する工程と、
前記多結晶シリコンを加熱して、前記るつぼ内にシリコン融液を形成する工程と、
抵抗率のばらつきを低減して抵抗率の測定を改善するために、シリコンガリウムおよびシリコンインジウムからなるグループから選択された合金である第1ドーパントを前記るつぼに添加する工程と、
前記第1ドーパントを前記るつぼに添加する工程の後に、前記シリコン融液から標本インゴットを引き上げる工程と、
前記標本インゴットを引き上げる工程の後に、前記シリコン融液にリンおよびホウ素からなるグループから選択された第2ドーパントを添加する工程と、
前記シリコン融液から製品インゴットを引き上げる工程と、
を含む、
方法。
【請求項15】
前記合金はシリコンガリウムであり、5wt%未満のガリウムを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記合金はシリコンガリウムであり、ガリウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のガリウムの濃度が、約0.1ppma未満である、
請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記合金はシリコンインジウムであり、5wt%未満のインジウムを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記合金はシリコンインジウムであり、インジウムが前記るつぼに添加された後の前記シリコン融液中のインジウムの濃度が、約0.1ppma未満、0.01ppma未満である、
請求項14または17に記載の方法。
【請求項19】
前記インゴットは、少なくとも約1,500Ω-cmの抵抗率を持つプライム部分を有する、
請求項14ないし18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記多結晶シリコンは、半導体グレードシリコンである、
請求項14ないし19のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
いくつかの実施の形態では、添加された第1ドーパントの量が標本インゴットの抵抗率を、約10,000ohm-cm以下、約5,000ohm-cm以下、または約2,500ohm-cm以下(例えば、約500ohm-cmから約10,000ohm-cm、または、約500ohm-cmから約5,000ohm-cm、または約1000ohm-cmから約3000ohm-cm)に調整するのに十分である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
従来の方法と比較すると、単結晶シリコンを成長させる本開示の実施の形態の方法は、いくつかの利点を有する。比較的高抵抗率の単結晶シリコンを製造するのに使用される比較的高純度のポリシリコンは、ホウ素およびリンの不純物の量において広い範囲を有する。このため、固有の抵抗率において広い範囲をもたらす。抵抗率の広い範囲および高抵抗率それ自体は、抵抗率測定において誤差を生じさせる。標本インゴットを成長させる前にガリウムまたはインジウムを添加することにより、抵抗率のばらつきおよび抵抗率それ自体が低減され、それにより、抵抗率測定における誤差が低減する。例えば、低減された測定誤差は、ガリウムまたはインジウムの量を調整して、例えば約1,000ohm-cmから約2,000ohm-cmまでの抵抗率をもたらすことにより観察することができる。第2ドーパント(例えば、リン)の添加前にガリウムを添加することにより、添加される第2ドーパントの量は、所望の抵抗率をもたらす所望の正味電荷担体濃度を補償するために増加する。より多量の第2ドーパントの添加(例えば、数ミリグラムの第2ドーパントではなく数グラムの添加のような10倍量の増加)は、重量測定において誤差を低減させ、第2ドーパント(例えば、ポリシリコンスタックに対するドーパントカップ)の移動効率を改善する。さらに、ガリウムのような第1ドーパントの添加は、リンドーパントよりもさらに小さい第1ドーパントが小さな偏析係数により特徴づけられるため、インゴット型の遷移を排除、または少なくとも遅延させる。このため、図9に示すように、ガリウムは、リン濃度の急激な上昇に追従し対抗することができる。第1ドーパントの固相合金が使用される(例えば、5wt%未満のガリウム/インジウムを含有する)実施の形態では、合金原料は、純粋な第1ドーパント単体と比較してより大きな質量および体積を有する。このため、原料の測定誤差を低減し移動効率を改善する。ガリウムまたはインジウムの合金の使用により、原料の溶融温度は(例えば、ガリウムが使用される場合、純ガリウムの溶融温度の29.7℃から)上昇し、るつぼへの移動を容易にする。固相合金はまた、ポリシリコン充填物において溶融されるまで固体のままであるため、原料(例えば、純ガリウム)をその溶融温度を下げるために冷蔵または冷却し続ける必要がなく、容易に取り扱うことができる。
【外国語明細書】