(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022180997
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ハーネス取付部材及びハーネスの固定構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/30 20060101AFI20221130BHJP
F16B 2/08 20060101ALI20221130BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H02G3/30
F16B2/08 U
B60R16/02 623H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087808
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022EA15
3J022EB02
3J022EB14
3J022EC13
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA02
3J022GB45
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA16
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】この発明は、第1ハーネスに対して第2ハーネスを容易に取り付けることができるハーネス取付部材及びハーネスの固定構造を提供すること。
【解決手段】長尺状の第1ハーネスWH1を固定するハーネス固定部12と、ハーネス固定部12を取り付ける取付箇所に設けられたスタッドボルトVを挿入して取り付けるスタッド取付部11とが備えられたハーネスクランプ10におけるスタッド取付部11に外嵌して装着する取付部本体30と、第2ハーネスWH2を取り付ける延設体40とが備えられ、取付部本体30には、スタッド取付部11における長手方向Lの両側に設けられ、長手方向Lに交差する幅方向Wに延びるフランジ14がスライドするスライド溝33が設けられるとともに、取付部本体30におけるスライド溝33の一端側が、フランジ14を挿入可能に開口されたハーネス取付部材20である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びる長尺状の第1ハーネスを固定するハーネス固定部と、該ハーネス固定部を取り付ける取付箇所に設けられたスタッドボルトを挿入して取り付ける略箱状のスタッド取付部とが備えられたハーネスクランプにおける前記スタッド取付部に外嵌して装着する嵌着部と、
第2ハーネスを取り付けるハーネス取付部とが備えられ、
前記嵌着部には、
前記スタッド取付部における前記長手方向の両側に設けられ、前記長手方向に交差する幅方向に延びるフランジがスライドするスライド溝が設けられるとともに、
前記嵌着部における前記スライド溝の一端側が、前記フランジを挿入可能に開口され、
前記ハーネスクランプによって前記取付箇所に取り付けられた前記第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付ける
ハーネス取付部材。
【請求項2】
前記スライド溝は、
前記スタッドボルトに対する前記スタッド取付部の挿入方向及び前記長手方向に直交する方向に沿って設けられ、前記フランジがスライドする
請求項1に記載のハーネス取付部材。
【請求項3】
前記嵌着部における前記開口の反対側に、
挿入された前記スタッド取付部に当接する当接部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のハーネス取付部材。
【請求項4】
前記当接部は、前記スライド溝の他端側に設けられ、前記フランジと当接するフランジ当接部で構成された
請求項3に記載のハーネス取付部材。
【請求項5】
前記当接部は、前記長手方向の両側に設けられた前記スライド溝の間に設けられた当接凸部で構成された
請求項3又は請求項4に記載のハーネス取付部材。
【請求項6】
前記嵌着部に、
挿入された前記スタッド取付部の側面に沿う側壁部が設けられた
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載のハーネス取付部材。
【請求項7】
前記嵌着部に、
嵌着状態において抜け出しを防止する抜出し防止部が設けられ、
前記抜出し防止部は、
前記スタッド取付部の上方部分に係止する係止部と、
前記係止部を前記スタッド取付部の上方部分に向かって弾性変形する変形部とで構成された
請求項1乃至請求項6のうちいずれかに記載のハーネス取付部材。
【請求項8】
前記ハーネス取付部によって取り付けられた前記第2ハーネスが前記嵌着部の上部に載置され、
前記嵌着部に、
前記抜出し防止部の前記変形部が変形できる変形空間を、上部に載置された前記第2ハーネスと前記変形部の間に形成する空間形成部が設けられた
請求項7に記載のハーネス取付部材。
【請求項9】
前記ハーネス取付部は、前記長手方向に延び、載置された第2ハーネスを固定テープで固定する延設体で構成された
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載のハーネス取付部材。
【請求項10】
前記延設体が、
前記第2ハーネスを前記開口と離れた側及び上方側で固定できるように構成された
請求項9に記載のハーネス取付部材。
【請求項11】
前記延設体は、前記長手方向に延びる側面部を有する断面L字状に形成された
請求項10に記載のハーネス取付部材。
【請求項12】
断面L字状に形成された前記延設体における内角側に、内角部を跨ぐリブが長手方向に間隔を隔てて複数設けられた
請求項11に記載のハーネス取付部材。
【請求項13】
前記延設体の端部付近に、前記固定テープの外れを防止する凸部が設けられた
請求項10乃至請求項12のうちいずれかに記載のハーネス取付部材。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のうちいずれかに記載のハーネス取付部材が用いられ、
長手方向に延びる長尺状の前記第1ハーネスを固定する前記ハーネス固定部と、前記第1ハーネスを取り付ける前記取付箇所に設けられた前記スタッドボルトを挿入して取り付ける略箱状の前記スタッド取付部とが備えられた前記ハーネスクランプの前記ハーネス固定部に前記第1ハーネスを固定するとともに、前記スタッド取付部に前記スタッドボルト挿入して前記取付箇所に前記第1ハーネスを取り付け、
前記ハーネスクランプによって前記取付箇所に取り付けられた前記第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付ける
ハーネスの固定構造。
【請求項15】
前記ハーネス取付部に取り付けた第2ハーネスの長手方向が、前記第1ハーネスの長手方向に略平行である
請求項14に記載のハーネスの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付けるハーネス取付部材及びハーネスの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されている電気機器同士を電気的に接続している長尺状のワイヤーハーネスは、車両の凹凸形状に合わせて、直線部分と湾曲部分とを組み合わせた2次元的、又は、3次元的に複雑な配索経路で配索されており、例えば取付部を介して車両のボディパネルにおける取付箇所に取り付けられている。
【0003】
近年、車両の快適性を向上するために様々な電気機器類が開発されており、車両に対して後から電気機器類を追加することが増加している。このため、従来から配索されているワイヤーハーネス(仮に「第1ハーネス」とする)に沿って、新たなワイヤーハーネス(仮に「第2ハーネス」とする)を配索することがあった。
【0004】
このような第2ハーネスを第1ハーネスに沿って配索するため、例えば、所定の取付箇所に係止するとともに、第1ハーネスを固定するハーネス固定部が設けられたクランプ本体に、第2ハーネスを固定するハーネス取付部が設けられた第2クランプ本体部を挿入可能な第2クランプ挿入予定穴がクランプの挿入方向に沿って設けられたハーネス取付部材が特許文献1に開示されている。
【0005】
この特許文献1に開示されているハーネス取付部材では、取付箇所に固定された第1ハーネスに対してクランプの挿入方向に第2ハーネスを取り付けることで、第1ハーネスに沿って第2ハーネスを取り付けることができるとされている。
【0006】
しかしながら、様々な電気機器類の開発・増加に伴い、納車後に電気機器類をオプションとして搭載させることが増加しており、納車後に搭載させる電気機器類と接続される第2ハーネスを容易に第1ハーネスに対して取り付けることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、第1ハーネスに対して第2ハーネスを容易に取り付けることができるハーネス取付部材及びハーネスの固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、長手方向に延びる長尺状の第1ハーネスを固定するハーネス固定部と、該ハーネス固定部を取り付ける取付箇所に設けられたスタッドボルトを挿入して取り付ける略箱状のスタッド取付部とが備えられたハーネスクランプにおける前記スタッド取付部に外嵌して装着する嵌着部と、第2ハーネスを取り付けるハーネス取付部とが備えられ、前記嵌着部には、前記スタッド取付部における前記長手方向の両側に設けられ、前記長手方向に交差する幅方向に延びるフランジがスライドするスライド溝が設けられるとともに、前記嵌着部における前記スライド溝の一端側が、前記フランジを挿入可能に開口され、前記ハーネスクランプによって前記取付箇所に取り付けられた前記第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付けるハーネス取付部材である。
【0010】
またこの発明は、上述のハーネス取付部材が用いられ、長手方向に延びる長尺状の第1ハーネスを固定するハーネス固定部と、前記第1ハーネスを取り付ける取付箇所に設けられたスタッドボルトを挿入して取り付ける略箱状のスタッド取付部とが備えられたハーネスクランプの前記ハーネス固定部に前記第1ハーネスを固定するとともに、前記スタッド取付部に前記スタッドボルト挿入して前記取付箇所に第1ハーネスを取り付け、前記ハーネスクランプによって前記取付箇所に取り付けられた前記第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付けるハーネスの固定構造である。
【0011】
前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスとは、一方がいわゆるメインハーネスであり、他方がサブハーネスである場合、双方がメインハーネス又はサブハーネスである場合を含む。すなわち、前記第1ハーネス及び前記第2ハーネスは、特定のワイヤーハーネスではない。
【0012】
この発明によると、スタッド取付部に設けられたフランジに対してスライド溝の開口を配置するとともに、スライド溝の開口からフランジに挿入してスライドすることで、スタッド取付部に対して容易かつ確実に嵌着部を装着することができる。このため、ハーネス固定部に第1ハーネスが取り付けられたハーネスクランプに対して、ハーネス取付部を備えたハーネス取付部材を容易かつ確実に装着できる。したがって、容易かつ確実に第1ハーネスに対して第2ハーネスを取り付けることができる。
【0013】
さらにまた、嵌着部をフランジに対してスライドさせることにより、ハーネスクランプに対してハーネス取付部材を容易に後付けすることができるため、新たにワイヤーハーネスを追加する場合に、ハーネス取付部を装着させることができる。すなわち、必要に応じて容易にハーネス取付部をハーネスクランプに対して装着させ、第1ハーネスに沿って第2ハーネスを取り付けることができる。
【0014】
この発明の態様として、前記スライド溝は、前記スタッドボルトに対する前記スタッド取付部の挿入方向及び前記長手方向に直交する方向に沿って設けられ、前記フランジがスライドしてもよい。
この発明により、スタッドボルトに対するスタッド取付部の挿入方向に対して嵩張ることを防止できるため、車両にはおける配索空間が狭い箇所であっても第2ハーネスを第1ハーネスに取り付けることができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記嵌着部における前記開口の反対側に、挿入された前記スタッド取付部に当接する当接部が設けられてもよい。
この発明により、嵌着部が当接部に当接するまで嵌着部をスライドさせることで、嵌着部を所定の位置まで容易かつ確実に挿入できるとともに、当接部をスタッド取付部に当接させることにより、嵌着状態において嵌着部を安定させることができる。また、嵌着部の停止位置が明確であるため、スタッド取付部に対して嵌着部をスライドさせる作業の作業効率を向上させることができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記当接部は、前記スライド溝の他端側に設けられ、前記フランジと当接するフランジ当接部で構成されてもよい。
この発明により、前記スタッド取付部における前記長手方向の両側に設けられたフランジに対してフランジ当接部が当接するまで、嵌着部をスタッド取付部に対してスライドさせることができるため、安定して嵌着部をスライドさせることができるとともに、嵌着部を所定の位置で確実に止めることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記当接部は、前記長手方向の両側に設けられた前記スライド溝の間に設けられた当接凸部で構成されてもよい。
この発明により、スライド溝以外の箇所を用いて嵌着部を所定の位置で止めることができる。
【0018】
またこの発明の態様として、前記嵌着部に、挿入された前記スタッド取付部の側面に沿う側壁部が設けられてもよい。
この発明により、ハーネス取付部の強度を向上させることができるとともに、嵌着部をスタッド取付部に嵌着した状態において、側壁部をスタッド取付部に沿わせることができるため、安定した状態で嵌着部をスタッド取付部に取り付けることができる。したがって、ハーネス取付部に取り付けた第2ハーネスを安定して第1ハーネスに沿わせることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記嵌着部に、嵌着状態において抜け出しを防止する抜出し防止部が設けられ、前記抜出し防止部は、前記スタッド取付部の上方部分に係止する係止部と、前記係止部を前記スタッド取付部の上方部分に向かって弾性変形する変形部とで構成されてもよい。
【0020】
この発明によると、嵌着部とスタッド取付部とを嵌着した状態で、係止部とスタッド取付部とが係止されるため、嵌着部がスタッド取付部から抜け出しすることを防止できる。また、嵌着部をスタッド取付部に対してスライドさせることで、抜出し防止部がスタッド取付部と当接して変形部を上方に向かって弾性変形させて付勢させることができるため、抜出し防止部によりスライドが阻害されることなく、嵌着部を容易にスタッド取付部に嵌着させることができる。
【0021】
したがって、スタッド取付部に対して嵌着部を容易にスライドさせることができるとともに、スライドさせてスタッド取付部に取り付けた嵌着部が抜け出ることを防止でき、嵌着部がスタッド取付部から脱落することを防止できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部によって取り付けられた前記第2ハーネスが前記嵌着部の上部に載置され、前記嵌着部に、前記抜出し防止部の前記変形部が変形できる変形空間を、上部に載置された前記第2ハーネスと前記変形部の間に形成する空間形成部が設けられてもよい。
【0023】
この発明により、抜出し防止部が第2ハーネスに干渉することがなく変形部を上方に弾性変形できるため、嵌着部を容易にスライドさせつつスタッド取付部に対して嵌着させることができ、さらには、第2ハーネスと抜出し防止部との干渉を防止できる。したがって、第2ハーネスが変形部と干渉して、嵌着部がスタッド取付部から脱落することを防止できる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部は、前記長手方向に延び、載置された第2ハーネスを固定テープで固定する延設体で構成されてもよい。
この発明により、第2ハーネスを取り付ける際に、第1ハーネスに干渉することを防止できる。このため、第2ハーネスを容易に取り付けることができるとともに、第2ハーネスを安定して固定することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記延設体が、前記第2ハーネスを前記開口と離れた側及び上方側で固定できるように構成されてもよい。
この発明により、開口と離れた側又は上方側に第2ハーネスを配索することができるため、第2ハーネスの配索位置を選択することができる。また、開口と離れた側及び上方側の双方に配索することができるため、電子機器類をさらに追加できる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記延設体は、前記長手方向に延びる側面部を有する断面L字状に形成されてもよい。
この発明により、特定の方向に沿って第1ハーネスと第2ハーネスとが重なることがなく、安定して第2ハーネスを固定できるとともに、スペースを有効活用することができる。また、スライド溝の開口と反対側か上方のどちらかに第2ハーネスを固定することができるため、スタッド取付部の取付箇所や車両におけるスペースに応じて第2ハーネスを延設体に固定できる。
【0027】
またこの発明の態様として、断面L字状に形成された前記延設体における内角側に、内角部を跨ぐリブが長手方向に間隔を隔てて複数設けられてもよい。
この発明により、延設体の剛性を向上させることができるため、第2ハーネスをより安定して固定することができる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記延設体の端部付近に、前記固定テープの外れを防止する凸部が設けられてもよい。
この発明により、凸部により固定テープが外れることを防止できるため、延設体に対して第2ハーネスをより確実に固定することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記ハーネス取付部に取り付けた第2ハーネスの長手方向が、前記第1ハーネスの長手方向に略平行としてもよい。
この発明により、第1ハーネスと第2ハーネスとの干渉を防止できる。
【発明の効果】
【0030】
この発明により、第1ハーネスに沿って第2ハーネスを容易に取り付けることができるハーネス取付部材及びハーネスの固定構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施態を以下図面とともに説明する。
本実施形態のハーネスの固定構造1は、ハーネス取付部材20を嵌着させたハーネスクランプ10が、車両における所定の取付箇所に固定された構造である。なお、ハーネスクランプ10には第1ハーネスWH1が固定されており、ハーネス取付部材20には第2ハーネスWH2を取り付けられている。このようなハーネスクランプ10に対して嵌着させるハーネス取付部材20及びハーネスの固定構造1について、
図1から
図9に基づいて説明する。
【0033】
図1はパネルPにおける所定箇所に固定されたハーネスの固定構造1の概略斜視図を示し、
図2はハーネスの固定構造1から第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2を除いたハーネスクランプ10及びハーネス取付部材20の概略分解斜視図を示す。
図3(a)はハーネスクランプ10の側面図を示し、
図3(b)はハーネスクランプ10の平面図を示し、
図4は
図3(b)におけるA-A矢視断面図を示す。
【0034】
図5(a)はハーネス取付部材20の平面図を示し、
図5(b)はハーネス取付部材20の背面図を示し、
図6は
図5(a)におけるB-B矢視断面図を示す。
図7はハーネスクランプ10に対してハーネス取付部材20を嵌着させる方法を示した概略斜視図を示す。なお、
図7において、ハーネス取付部材20を明確にするため、便宜上第2ハーネスWH2及び固定テープTを点線で表示する。
【0035】
図8(a)は取付部本体30をハーネスクランプ10に装着させる途中におけるハーネスの固定構造1の断面図を示し、
図8(b)は取付部本体30をハーネスクランプ10に装着させた状態におけるハーネスの固定構造1の断面図を示す。
図9は取付部本体30をハーネスクランプ10に装着させた状態におけるハーネスの固定構造1の断面図を示す。
なお、
図8は
図5(a)におけるB-B矢視断面図に対応する断面図を示し、
図9は
図3(b)におけるA-A矢視断面図に対応する断面図を示す。
【0036】
ここで、
図1における上下方向を高さ方向Hとし、高さ方向Hと直交するとともに第1ハーネスWH1の延びる方向を長手方向Lとする。また高さ方向H及び長手方向Lに直交する方向を幅方向Wとする。また、
図1中において高さ方向Hに沿って上側を上方とし、下側を下方とする。
【0037】
ハーネスの固定構造1は、
図1及び
図2に示すように、第1ハーネスWH1を固定するとともに、パネルPに取り付けられたハーネスクランプ10に対して、第2ハーネスWH2を取り付けたハーネス取付部材20を外嵌させ、第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付けた構造である。
【0038】
ハーネスクランプ10に固定されている第1ハーネスWH1は、車両に標準装備として搭載されているバッテリーなどの電気機器類(標準機器類)を電気的に接続するメインハーネスであり、配索経路における所定の位置において、ハーネスクランプ10を介してパネルPに固定されている。
【0039】
第2ハーネスWH2は、追加オプションとして車両に搭載される電気機器類と標準機器類とを電気的に接続するサブハーネスである。第2ハーネスWH2は、ハーネスクランプ10がパネルPに対して固定された取付箇所において、第1ハーネスWH1と略平行に配索されている。
【0040】
なお、本実施形態において、便宜上、第1ハーネスWH1をメインハーネスとし、第2ハーネスWH2をサブハーネスとしているが、この実施形態に限定されるものではなく、例えば、第1ハーネスWH1及び第2ハーネスWH2をともにメインハーネス又はサブハーネスとしてもよい。
【0041】
ハーネスクランプ10は、上述のように第1ハーネスWH1を所定の位置に固定して配索するための固定具であり、
図2に示すように、パネルPに立設されたスタッドボルトVを挿入して取り付ける略箱状のスタッド取付部11と、長手方向Lに延びる長尺状の第1ハーネスWH1を固定するハーネス固定部12とを備えている。
【0042】
スタッド取付部11は、
図3及び
図4に示すように、高さ方向Hに沿って貫通する貫通孔を有する平面視略長円状の筒状体であり、スタッド取付部11の下端にスタッドボルトVを挿通させて固定するボルト固定部13が設けられている。また、スタッド取付部11の上端には、スタッド取付部11における長手方向Lの両側に設けられ、幅方向Wに延びるフランジ14がそれぞれ設けられている。
【0043】
ボルト固定部13は、
図3(b)及び
図4に示すように、スタッド取付部11の長手方向Lの両内壁から長手方向Lに沿って内側に突出しており、先端に内径がスタッドボルトVの外径と略同径の略円形状の切込みが形成されている。このように構成されたスタッド取付部11をスタッドボルトVに圧入することで、ボルト固定部13とスタッドボルトVとを係止することができる。これにより、スタッド取付部11をパネルPに固定することができる。
【0044】
フランジ14は、
図2及び
図3に示すように、スタッド取付部11の長手方向L側の外形に沿って円弧状に形成され、スタッド取付部11の上端から長手方向Lの外側に突出している。具体的には、ボルト固定部13の中央部分に対応する位置(最大突出箇所14aとする。)において最も長手方向Lの外側に突出するとともに、幅方向Wにおける一方側(ハーネス固定部12と反対側)が他方側よりも長手方向Lの内側に配置された円弧状に形成されている。
【0045】
ハーネス固定部12は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、長尺状に形成された可撓性を有する平板のバンド部15と、バンド部15を内部に挿通させて係止固定するバンド固定部16とで構成され、スタッド取付部11の幅方向Wの他方側に、第1ハーネスWH1を固定することができる。
【0046】
バンド固定部16は、スタッド取付部11に対して幅方向Wの一方側において、スタッド取付部11と一体に構成されており、スタッド取付部11との間にバンド部15を挿通させて係止させることができる挿通空間が高さ方向Hに沿って設けられている。なお、バンド部15はバンド固定部16の下端から幅方向Wの一方側に向けて延出している。
【0047】
ハーネス取付部材20は、
図5及び
図6に示すように、ハーネスクランプ10に対して嵌着可能な取付部本体30と、取付部本体30から長手方向Lの外側に向けて延びる延設体40,40とで一体に構成されている。
【0048】
取付部本体30は、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、ハーネスクランプ10に対してハーネス取付部材20を嵌着した状態において、スタッド取付部11の上方に配置される上方嵌着部31と、上方嵌着部31の長手方向Lの両端から下方に向けて延出する側壁部32とで一体に構成されている。
【0049】
上方嵌着部31は、スタッド取付部11の外形よりも一回り大きな、平面視で略長方形状に構成された略柱体であり、上方嵌着部31の下方側は、スタッド取付部11の上部と略同形の凹状に構成されている。また、上方嵌着部31における幅方向Wの他方側には、スタッド取付部11を挿通可能な開口が形成されている。
【0050】
上方嵌着部31における長手方向Lの両端からは、
図5(b)に示すように、ハーネスクランプ10に対してハーネス取付部材20を嵌着させた状態において、スタッド取付部11の側面に沿うように形成された側壁部32が下方に向けて延設されている。
【0051】
上方嵌着部31における下方側には、フランジ14がスライドするスライド溝33、33が長手方向Lの両端に設けられるとともに、幅方向Wの他方側におけるスライド溝33,33の中央部分に中央当接部34が設けられている。そして、上方嵌着部31における上方には、取付部本体30とハーネスクランプ10との嵌着状態において抜け出しを防止する抜出し防止部35が設けられている。
【0052】
スライド溝33は、幅方向Wの他方側が直線状に形成されるとともに、幅方向Wの一方側がフランジ14における最大突出箇所14aよりも幅方向Wの一方側の外形に沿って形成された円弧状の溝であり、幅方向Wの他方側に最大突出箇所14aにおけるフランジ14を挿入可能な開口を有する。
【0053】
なお、スライド溝33における開口の反対側、すなわち幅方向Wの一方側の端部には、
図5(b)に示すように、スライド溝33を閉じるように形成されたフランジ当接部331が設けられている。このフランジ当接部331は、取付部本体30とハーネスクランプ10との嵌着状態においてスタッド取付部11と当接する。
【0054】
中央当接部34は、
図5(b)に示すように、上方嵌着部31における幅方向Wの一方側の端部から下方に向けて突出した、正面視略長方形状の突片であり、スライド溝33に対してフランジ14を幅方向Wに沿ってスライドさせた場合に、スタッド取付部11における幅方向Wの一方側の端部と当接するように設けられている。
【0055】
抜出し防止部35は、上方嵌着部31の上方において平面視略長方形状に形成された枠体で構成される空間形成部36の内部に備えられ、幅方向Wに沿って延出する変形部351と、スタッド取付部11の上方部分に係止する係止部352とで構成されている。
【0056】
詳述すると、空間形成部36は、
図5(a)及び
図6に示すように、平面視略正方形状に構成された窪みであり、区切り枠361を挟んで長手方向Lに沿って2つ並んで配置されている。また、空間形成部36における底部の一部分は、高さ方向Hに沿って貫通する貫通部362が設けられ、抜出し防止部35が備えられている。このように窪みで構成された空間形成部36は、区切り枠361の高さと同じ高さの変形空間Sを形成する(
図6参照)。
なお、区切り枠361の高さは、空間形成部36の底部から下方に突出する係止部352の突出量よりも高くなっている。
【0057】
変形部351は、
図6に示すように、空間形成部36において幅方向Wの一方側から他方側に延出する長方形状の係止片である。なお、変形部351における幅方向Wの一方側の端部は上方嵌着部31と連結しており、変形部351の幅方向Wの他方側の端部は上方嵌着部31との間に隙間が設けられている。このように、変形部351は幅方向Wの一方側のみが上方嵌着部31と連結しているため、空間形成部36の底部の上方に形成された変形空間Sに向かって弾性変形することができる。
【0058】
係止部352は、
図6に示すように、空間形成部36の底部から下方に突出する。具体的には、係止部352は、変形部351の幅方向Wの他方側端部から幅方向Wの一方側に向かうに伴い徐々に下方に向かって突出する、側面視略直角三角形状に形成されている。なお、係止部352の幅方向Wの一方側端部と、上方嵌着部31との間隔はスタッド取付部11の板厚と略等しくなるように構成されている。
【0059】
延設体40,40は、スライド溝33の開口と離れた側、すなわち幅方向Wの一方側において、長手方向Lの両側に向けて延びており、第2ハーネスWH2を固定テープTで固定することができる。
詳述すると、延設体40は、上方嵌着部31における上面に沿って長手方向Lに延びる上面部41と、上方嵌着部31におけるスライド溝33の開口と離れた側の側面に沿って長手方向Lに延びる側面部42とで断面L字状に形成されており、上面部41及び側面部42の端部には、固定テープTの外れを防止する上方凸部411及び、側方凸部421がそれぞれ設けられている。
【0060】
また、
図5(b)に示すように、上面部41と側面部42とが形成する内角側は上面部41と側面部42とを跨ぐリブ43が長手方向Lに沿って所定の間隔を隔てて複数設けられており、延設体40の剛性を向上させている。
【0061】
このように取付部本体30と延設体40,40とで構成されたハーネス取付部材20は、ハーネスクランプ10に対して嵌着させることができる。以下、ハーネス取付部材20をハーネスクランプ10に嵌着させ、第1ハーネスWH1に第2ハーネスWH2を取り付ける方法について、簡単に説明する。
【0062】
はじめに、ハーネス固定部12の幅方向Wの他方側に第1ハーネスWH1を配置するとともに、バンド部15で第1ハーネスWH1を巻き回す。そして、バンド部15をバンド固定部16に挿通させてバンド固定部16に係止固定させる。これにより、第1ハーネスWH1をハーネス固定部12に固定することができる。
【0063】
次に、所定の取付箇所に立設するスタッドボルトVを、第1ハーネスWH1を固定したハーネスクランプ10におけるスタッド取付部11に挿通させて、ボルト固定部13とスタッドボルトVとを係止固定させる。これにより、第1ハーネスWH1が固定されたハーネスクランプ10をパネルPに取り付けることができる(
図7参照)。
【0064】
また、延設体40に第2ハーネスWH2を沿わせるとともに、固定テープTでテープ固定をする。そして、スライド溝33がフランジ14に対応する位置に取付部本体30を配置し、フランジ14に沿ってスライド溝33をスライドさせる(
図7参照)。
【0065】
このように、スライド溝33をフランジ14に対してスライドさせることにより、
図8(a)示すように、係止部352の他端側がスタッド取付部11の上端と干渉して、変形部351が上方に弾性変形して付勢する。
【0066】
そして、フランジ当接部331がフランジ14の一端側に当接するとともに、スタッド取付部11の幅方向Wの一端が中央当接部34に当接することにより、
図8(b)示すように、スタッド取付部11における幅方向W一端側を係止部352が越え、係止部352がスタッド取付部11に対して係止することができる。
【0067】
これにより、取付部本体30をスタッド取付部11に対して係止固定することができ、第2ハーネスWH2を取り付けたハーネス取付部材20を、第1ハーネスWH1を固定したハーネスクランプ10に対して取り付けることができる。
【0068】
このようにハーネス取付部材20は、ハーネスクランプ10によって取付箇所に取り付けられた第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付けることができる。このハーネスクランプ10には、長手方向Lに延びる長尺状の第1ハーネスWH1を固定するハーネス固定部12と、ハーネス固定部12を取り付ける取付箇所に設けられたスタッドボルトVを挿入して取り付ける略箱状のスタッド取付部11とが備えられている。そして、ハーネス取付部材20には、ハーネスクランプ10におけるスタッド取付部11に外嵌して装着する取付部本体30と、第2ハーネスWH2を取り付ける延設体40とが備えられている。また、取付部本体30には、スタッド取付部11における長手方向Lの両側に設けられ、長手方向Lに交差する幅方向Wに延びるフランジ14がスライドするスライド溝33が設けられるとともに、取付部本体30におけるスライド溝33の一端側が、フランジ14を挿入可能に開口されている。
【0069】
また、ハーネスの固定構造1は、ハーネス取付部材20が用いられ、ハーネスクランプ10のハーネス固定部12に第1ハーネスWH1を固定するとともに、スタッド取付部11にスタッドボルトV挿入して取付箇所に第1ハーネスWH1を取り付け、ハーネスクランプ10によって取付箇所に取り付けられた第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付ける構造である。
【0070】
このハーネス取付部材20によると、スタッド取付部11に設けられたフランジ14に対してスライド溝33の開口を配置するとともに、スライド溝33の開口からスライド溝33をフランジ14に挿入してスライドすることで、スタッド取付部11に対して容易かつ確実に取付部本体30を装着することができる。
【0071】
このため、ハーネス固定部12に第1ハーネスWH1が取り付けられたハーネスクランプ10に対して、延設体40を備えたハーネス取付部材20を容易かつ確実に装着できる。したがって、容易かつ確実に第1ハーネスWH1に対して第2ハーネスWH2を取り付けることができる。
【0072】
さらにまた、取付部本体30をフランジ14に対してスライドさせることにより、ハーネスクランプ10に対してハーネス取付部材20を容易に後付けすることができるため、新たにワイヤーハーネスを追加する場合に、延設体40を装着させることができる。すなわち、必要に応じて容易に延設体40をハーネスクランプ10に対して装着させ、第1ハーネスWH1に沿って第2ハーネスWH2を取り付けることができる。
【0073】
また、スライド溝33は、スタッドボルトVに対するスタッド取付部11の挿入方向(幅方向W)及び長手方向Lに直交する方向、すなわち、幅方向Wに沿って設けられ、フランジ14がスライドしている。
【0074】
これにより、スタッドボルトVに対するスタッド取付部11の挿入方向(高さ方向H)に対して嵩張ることを防止できるため、車両にはおける配索空間が狭い箇所であっても第2ハーネスWH2を第1ハーネスWH1に取り付けることができる。
【0075】
また、取付部本体30における開口の反対側に、挿入されたスタッド取付部11に当接するフランジ当接部331及び中央当接部34が設けられている。これにより、取付部本体30をフランジ当接部331及び中央当接部34に当接するまで取付部本体30をスライドさせることで、取付部本体30を所定の位置まで容易かつ確実に挿入させることができる。
【0076】
さらにまた、フランジ当接部331及び中央当接部34をスタッド取付部11に当接させることにより、取付部本体30をハーネスクランプ10に対して装着させた装着状態において取付部本体30を安定させることができる。加えて、取付部本体30の停止位置が明確であるため、スタッド取付部11に対して取付部本体30をスライドさせる作業の作業効率を向上させることができる。
【0077】
また、フランジ当接部331は、スライド溝33の他端側に設けられ、フランジ14と当接するように構成されている。これにより、スタッド取付部11における長手方向Lの両側に設けられたフランジ14に対してフランジ当接部331が当接するまで、取付部本体30をスタッド取付部11に対してスライドさせることができる。このため、安定して取付部本体30をスライドさせることができるとともに、取付部本体30を所定の位置で確実に止めることができる。
【0078】
さらにまた、中央当接部34は、長手方向Lの両側に設けられたスライド溝33の間に設けられていることにより、スライド溝33以外の箇所を用いて取付部本体30を所定の位置で止めることができる。
【0079】
また、取付部本体30に、挿入されたスタッド取付部11の側面に沿う側壁部32が設けられていることにより、延設体40の強度を向上させることができるとともに、取付部本体30をスタッド取付部11に嵌着した状態において、側壁部32をスタッド取付部11に沿わせることができる(
図9参照)。
【0080】
このため、安定した状態で取付部本体30をスタッド取付部11に取り付けることができる。したがって、延設体40に取り付けた第2ハーネスWH2を安定して第1ハーネスWH1に沿わせることができる。
【0081】
また、取付部本体30に、嵌着状態において抜け出しを防止する抜出し防止部35が設けられ、抜出し防止部35は、スタッド取付部11の上方部分に係止する係止部352と、係止部352をスタッド取付部11の上方部分に向かって弾性変形する変形部351とで構成されている。
【0082】
これにより、取付部本体30とスタッド取付部11とを嵌着した状態で、係止部352とスタッド取付部11とが係止されるため、取付部本体30がスタッド取付部11から抜け出しすることを防止できる。また、取付部本体30をスタッド取付部11に対してスライドさせることで、抜出し防止部35がスタッド取付部11と当接して変形部351を上方に向かって弾性変形させることができるため、抜出し防止部35によりスライドが阻害されることなく、取付部本体30を容易にスタッド取付部11に嵌着させることができる。
【0083】
したがって、スタッド取付部11に対して取付部本体30を容易にスライドさせることができるとともに、スライドさせてスタッド取付部11に取り付けた取付部本体30が抜け出ることを防止できるため、したがって、取付部本体30がスタッド取付部11から脱落することを防止できる。
【0084】
また、延設体40によって取り付けられた第2ハーネスWH2が取付部本体30の上部に載置され、取付部本体30に、抜出し防止部35の変形部351が変形できる変形空間Sを、上部に載置された第2ハーネスWH2と変形部351の間に形成する空間形成部36が設けられている。
【0085】
これにより、抜出し防止部35が第2ハーネスWH2に干渉することがなく変形部351を上方に弾性変形して付勢できるため、取付部本体30を容易にスライドさせつつスタッド取付部11に対して嵌着させることができ、さらには、第2ハーネスWH2と抜出し防止部35との干渉を防止できる。したがって、第2ハーネスWH2が変形部351と干渉して、取付部本体30がスタッド取付部11から脱落することを防止できる。
【0086】
さらにまた、延設体40は、開口と離れた側の取付部本体30の上面に沿って長手方向Lに延び、載置された第2ハーネスWH2を固定テープTで固定する延設体40で構成されていることにより、第2ハーネスWH2を取り付ける際に、第1ハーネスWH1に干渉することを防止できる。このため、第2ハーネスWH2を容易に取り付けることができるとともに、第2ハーネスWH2を安定して固定することができる。
【0087】
また、延設体40は、取付部本体30の開口と離れた側の側面に沿って長手方向Lに延びる側面部42を有する断面L字状に形成されていることにより、特定の方向に沿って第1ハーネスWH1と第2ハーネスWH2とが重なることがなく、安定して第2ハーネスWH2を固定できるとともに、スペースを有効活用することができる。また、スライド溝33の開口と反対側か上方のどちらかに第2ハーネスWH2を固定することができるため、スタッド取付部11の取付箇所や車両におけるスペースに応じて第2ハーネスWH2を延設体40に固定できる。
【0088】
さらにまた、断面L字状に形成された延設体40における内角側に、内角部を跨ぐリブ43が長手方向Lに間隔を隔てて複数設けられていることにより、延設体40の剛性を向上させることができるため、第2ハーネスWH2をより安定して固定することができる。
【0089】
また、延設体40の端部付近に、固定テープTの外れを防止する上方凸部411及び側方凸部421が設けられている。これにより、上方凸部411及び側方凸部421により固定テープTが外れることを防止できるため、延設体40に対して第2ハーネスWH2をより確実に固定することができる。
【0090】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
長手方向は、長手方向Lに対応し、同様に
第1ハーネスは、第1ハーネスWH1に対応し、
ハーネス固定部は、ハーネス固定部12に対応し、
スタッドボルトは、スタッドボルトVに対応し、
スタッド取付部は、スタッド取付部11に対応し、
ハーネスクランプは、ハーネスクランプ10に対応し、
嵌着部は、取付部本体30に対応し、
第2ハーネスは、第2ハーネスWH2に対応し、
ハーネス取付部は、延設体40に対応し、
幅方向は、幅方向Wに対応し、
フランジは、フランジ14に対応し、
スライド溝は、スライド溝33に対応し、
ハーネス取付部材は、ハーネス取付部材20に対応し、
当接部は、フランジ当接部331及び中央当接部34に対応し、
フランジ当接部は、フランジ当接部331に対応し、
当接凸部は、中央当接部34に対応し、
側壁部は、側壁部32に対応し、
抜出し防止部は、抜出し防止部35に対応し、
係止部は、係止部352に対応し、
変形部は、変形部351に対応し、
空間形成部は、空間形成部36に対応し、
延設体は、延設体40に対応し、
側面部は、側面部42に対応し、
リブは、リブ43に対応し、
凸部は、上方凸部411及び側方凸部421に対応し、
ハーネスの固定構造は、ハーネスの固定構造1に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0091】
例えば、本実施形態において、第2ハーネスWH2は上面部41に対してテープ固定しているが、
図10に示すように、側面部42に対してテープ固定してもよい。このように、本願発明では、延設体40を断面L字状に形成することにより、第2ハーネスWH2を固定する箇所を2か所とし、ワイヤーハーネスの配索経路や配索空間によって固定箇所を選択することができる。
【0092】
また、本実施形態では、延設体40を断面L字状としているが、必ずしもL字状である必要はなく、第2ハーネスWH2を取付部本体30における開口と離れた側及び上方側で固定できる他の構成としてもよい。具体的には、延設体40を長手方向Lに沿って視て、高さ方向Hに沿って延びる辺と幅方向Wに沿って延びる辺を有する断面形状が略T字状などとしてもよい。
【0093】
これにより、本実施形態のように、取付部本体30における開口と離れた側又は上方側に第2ハーネスWH2を配索することができるため、第2ハーネスWH2の配索位置を選択することができる。また、取付部本体30における開口と離れた側及び上方側の双方に第2ハーネスWH2を配索することができるため、電子機器類をさらに追加できる。
【符号の説明】
【0094】
1 ハーネスの固定構造
10 ハーネスクランプ
11 スタッド取付部
12 ハーネス固定部
14 フランジ
20 ハーネス取付部材
30 取付部本体
33 スライド溝
331 フランジ当接部
34 中央当接部
32 側壁部
35 抜出し防止部
352 係止部
351 変形部
36 空間形成部
40 延設体
41 上面部
411 上方凸部
42 側面部
421 側方凸部
43 リブ
L 長手方向
V スタッドボルト
W 幅方向
WH1 第1ハーネス
WH2 第2ハーネス