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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181119
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】MEMSデバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/24 20060101AFI20221130BHJP
   H04R 17/02 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 41/09 20060101ALI20221130BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H03H9/24 A
H04R17/02
H01L41/09
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021087966
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】榎本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 英雄
(72)【発明者】
【氏名】片上 崇治
(72)【発明者】
【氏名】臼井 孝英
【テーマコード(参考)】
3C081
5D004
5J108
【Fターム(参考)】
3C081AA13
3C081BA06
3C081BA22
3C081BA43
3C081BA46
3C081BA48
3C081BA77
3C081CA14
3C081CA45
3C081DA03
3C081DA27
3C081DA29
3C081EA21
5D004AA01
5D004BB01
5D004CC01
5D004DD03
5D004EE00
5J108AA09
5J108BB08
5J108CC09
5J108EE03
5J108FF02
(57)【要約】
【課題】音響圧力の検出感度の低下の抑制されたMEMSデバイスを提供する。
【解決手段】MEMSデバイス200は振動子220と支持台210を有する。振動子は圧力を電気信号に変換する圧電素子の構成材料を含んでいる。支持台は振動子を支持する。振動子は支持台に一部が固定される支持端部221と支持端部に一体的に連結された開放端部222を有する。音響圧力を抜くための隙間が振動子によって形作られている。複数の凹凸部260が開放端部に形成されている。これにより振動子の開放端部側は支持端部側よりも断面二次モーメントが高くなっている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力を電気信号に変換する圧電素子の構成材料を含む複数の片持ち梁(220)と、
複数の前記片持ち梁それぞれを支持する支持台(210)と、を備え、
複数の前記片持ち梁それぞれは、前記支持台に一部が固定される支持端部(221)と、前記支持端部に一体的に連結された開放端部(222)と、を有し、
複数の前記片持ち梁の間に音響圧力を抜くための隙間が構成され、
複数の凹凸部(260)が前記開放端部に形成されることで、前記開放端部は前記支持端部よりも断面二次モーメントが高くなっているMEMSデバイス。
【請求項2】
圧力を電気信号に変換する圧電素子の構成材料を含む片持ち梁(220)と、
前記片持ち梁を支持する支持台(210)と、
前記片持ち梁との間に音響圧力を抜くための隙間を構成する規定部(270)と、を備え、
前記片持ち梁は、支持台に一部が固定される支持端部(221)と、前記支持端部に一体的に連結された開放端部(222)と、を有し、
複数の凹凸部(260)が前記開放端部に形成されることで、前記開放端部は前記支持端部よりも断面二次モーメントが高くなっているMEMSデバイス。
【請求項3】
前記支持端部に含まれる前記圧電素子と、前記開放端部に含まれる前記圧電素子とが絶縁し、
前記支持端部に含まれる前記圧電素子と外部装置(300)とを接続するための電極(250)が前記支持台に形成されている請求項1または請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
複数の前記凹凸部のうちの少なくとも一部は、前記支持端部と前記開放端部の並ぶ並び方向に延びている請求項1~3いずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
複数の前記凹凸部のうちの少なくとも一部は、交差している請求項1~4いずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
複数の前記凹凸部のうちの少なくとも一部は、前記開放端部の縁に沿って延びている請求項1~5いずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項7】
複数の前記凹凸部のうちの少なくとも2つは、前記開放端部の縁側の所定箇所を起点として、前記支持端部側に向かって延びている請求項1~6いずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記開放端部は前記支持端部から離れるにしたがって先細りになっており、
複数の前記凹凸部の形成密度が、前記開放端部の前記支持端部側から先端側に向かうにしたがって高くなっている請求項7に記載のMEMSデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、圧電素子を備えるMEMSデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、音響圧力を電圧に変換する圧電型MEMSマイクロフォンが知られている。この圧電型MEMSマイクロフォンは片持ち支持梁構造の振動板を備えている。この振動板に圧電薄膜が形成されている。振動板が音響圧力によって振動した際に圧電薄膜に応力が作用する。この結果、圧電薄膜で音響圧力に応じた電圧が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-137297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の圧電型MEMSマイクロフォンでは、振動板の開放端側を支持端側よりも弾性係数を高めるために、開放端側に付加薄膜を形成している。このために振動板の開放端側が重くなり、音響圧力に対して振動しがたくなる虞がある。この結果、音響圧力の検出感度が低下する虞がある。
【0005】
本開示の目的は、音響圧力の検出感度の低下の抑制されたMEMSデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によるMEMSデバイスは、圧力を電気信号に変換する圧電素子の構成材料を含む複数の片持ち梁(220)と、
複数の片持ち梁それぞれを支持する支持台(210)と、を備え、
複数の片持ち梁それぞれは、支持台に一部が固定される支持端部(221)と、支持端部に一体的に連結された開放端部(222)と、を有し、
複数の片持ち梁の間に音響圧力を抜くための隙間が構成され、
複数の凹凸部(260)が開放端部に形成されることで、開放端部は支持端部よりも断面二次モーメントが高くなっている。
【0007】
本開示の一態様によるMEMSデバイスは、圧力を電気信号に変換する圧電素子の構成材料を含む片持ち梁(220)と、
片持ち梁を支持する支持台(210)と、
片持ち梁との間に音響圧力を抜くための隙間を構成する規定部(270)と、を備え、
片持ち梁は、支持台に一部が固定される支持端部(221)と、支持端部に一体的に連結された開放端部(222)と、を有し、
複数の凹凸部(260)が開放端部に形成されることで、開放端部は支持端部よりも断面二次モーメントが高くなっている。
【0008】
これによれば、付加薄膜の形成などによって開放端部(222)が重くなることが抑制される。開放端部(222)が音響圧力によって振動しがたくなることが抑制される。この結果、音響圧力の検出感度の低下が抑制される。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】圧電型MEMSマイクロフォンの概略構成を示す断面図である。
図2】MEMSデバイスの上面図である。
図3図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
図4】圧電素子の電気的な構成を示す回路図である。
図5】振動子の物理モデルを示す模式図である。
図6】バネ定数比と振動振幅の関係を示すグラフ図である。
図7】1つの振動子を示す上面図である。
図8図7に示すVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9】準備工程を示す断面図である。
図10】エッチング工程を示す断面図である。
図11】第2設計薄膜形成工程を示す断面図である。
図12】第1電極薄膜形成工程を示す断面図である。
図13】第1圧電薄膜形成工程を示す断面図である。
図14】第2電極薄膜形成工程を示す断面図である。
図15】第2圧電薄膜形成工程を示す断面図である。
図16】第3電極薄膜形成工程を示す断面図である。
図17】ダイシング工程を示す断面図である。
図18】MEMSデバイスの変形例を示す断面図である。
図19】凹凸部の変形例を示す上面図である。
図20】凹凸部の変形例を示す上面図である。
図21】凹凸部の変形例を示す上面図である。
図22】振動子を示す上面図である。
図23】凹凸部の変形例を示す上面図である。
図24】凹凸部の変形例を示す上面図である。
図25】MEMSデバイスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0012】
各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせが可能である。また、特に組み合わせに支障が生じなければ、組み合わせが可能であることを明示していなくても、実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
図1図17に基づいてMEMSデバイスを説明する。
【0014】
<圧電型MEMSマイクロフォン>
図1に示す圧電型MEMSマイクロフォン100は、MEMSデバイス200、ASIC300、および、パッケージ400を有する。MEMSはMicro Electro Mechanical Systemsの略である。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。
【0015】
MEMSデバイス200とASIC300は電気的に接続されている。パッケージ400は基板410と蓋部420を有する。基板410の内面410aにMEMSデバイス200とASIC300それぞれが搭載されている。この内面410aが蓋部420によって覆われている。基板410と蓋部420とによって構成されるパッケージ400の内部空間にMEMSデバイス200とASIC300が収納されている。
【0016】
基板410には、内面410aとその裏側の外面410bとに開口する導入孔410cが形成されている。導入孔410cはパッケージ400の内部空間とその外側の外部空間とを連通している。この導入孔410cの内部空間側の開口がMEMSデバイス200によって覆われている。
【0017】
係る構成のため、外部空間で空気の振動(音)が発生すると、その振動が音響圧力としてMEMSデバイス200に作用する。MEMSデバイス200はその音響圧力に応じた電気信号(電圧)をASIC300に出力する。これにより外部空間で発生した音が検出される。
【0018】
<MEMSデバイス>
以下、MEMSデバイス200を詳説する。それにあたって、以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、z方向と示す。
【0019】
図2図3に示すようにMEMSデバイス200は支持台210と振動子220を有する。支持台210に振動子220が一体的に連結されている。
【0020】
<支持台>
支持台210はz方向で積層された基部211と設計層212を有する。基部211はシリコンから成る。設計層212は酸化シリコンから成る。
【0021】
基部211と設計層212とが一体的に連結されている。基部211と設計層212それぞれにはz方向に開口する開放孔210aが形成されている。基部211と設計層212それぞれはz方向まわりの周方向で環状を成している。
【0022】
<振動子>
MEMSデバイス200は複数の振動子220を有する。これら複数の振動子220それぞれが支持台210の設計層212に一体的に連結されている。複数の振動子220は設計層212に片持ち支持されている。複数の振動子220によって、開放孔210aの設計層212側の開口が覆われている。
【0023】
図2に示すように、1つの振動子220はz方向に直交する平面で三角形を成している。振動子220の備える3辺のうちの1つの下辺220a側が支持台210に固定されている。残り2つの斜辺220bは下辺220aから離間するように延びた後、交差して先端220cを構成している。この振動子220の先端220c側が支持台210から開放されている。振動子220は片持ち梁に相当する。
【0024】
以下においては説明を簡便とするため、振動子220の下辺220a側を支持端部221、先端220c側を開放端部222と示す。そして支持端部221と開放端部222とが並ぶ方向を延長方向と示す。図2では支持端部221と開放端部222の境界を破線で示している。
【0025】
振動子220は延長方向に延びている。振動子220は支持台210から離れるにしたがって先細りになっている。振動子220の備える支持端部221はz方向に直交する平面で台形を成している。開放端部222はz方向に直交する平面で三角形を成している。
【0026】
支持端部221は上記の下辺220aを有している。台形を成す支持端部221における下辺220aと延長方向で離間して並ぶ上辺側が開放端部222に一体的に連結されている。
【0027】
支持端部221の下辺220a側は支持台210のz方向への投影領域に位置している。支持端部221の上辺側は開放孔210aのz方向への投影領域に位置している。支持端部221の下辺220a側と上辺側はそれぞれz方向に直交する平面で台形を成している。
【0028】
開放端部222は支持端部221の上辺側とともに、開放孔210aのz方向への投影領域に位置している。図2では、振動子220における支持台210のz方向への投影領域に位置する部位と開放孔210aの投影領域に位置する部位との境界を一点鎖線で示している。この一点鎖線は、支持端部221の下辺220a側と上辺側の境である。
【0029】
<隙間>
図2に示すように、MEMSデバイス200は振動子220を4つ有する。これら4つの振動子220はz方向まわりの周方向で順に並んでいる。4つの振動子220のうちの2つはx方向で並び、残り2つはy方向で並んでいる。x方向で並ぶ2つの振動子220それぞれの延長方向と、y方向で並ぶ2つの振動子220それぞれの延長方向とは交差している。
【0030】
この延長方向が交差する2つの振動子220が周方向で隣り合って並んでいる。これら2つの振動子220のうちの一方の備える2つの斜辺220bのうちの1つと、他方の備える2つの斜辺220bのうちの1つとが微小な隙間を介して周方向で対向している。
【0031】
周方向で並ぶ4つの振動子220それぞれの斜辺220bの間で構成される隙間は、z方向に直交する平面においてバツ印を構成している。このバツ印の隙間の中心を介して、x方向で並ぶ2つの振動子220それぞれの先端220cがx方向で対向している。同様にして、このバツ印の隙間の中心を介して、y方向で並ぶ2つの振動子220それぞれの先端220cがy方向で対向している。MEMSデバイス200の中心点は、このバツ印の隙間の中心をz方向に通る中心軸に位置している。図2ではこのバツ印の中心を通る2つのガイド線を二点鎖線で示している。2つのガイド線の一方はx方向に沿い、他方はy方向に沿っている。
【0032】
<振動>
図1図3に示すように、振動子220の備える支持端部221と開放端部222それぞれにおける開放孔210aのz方向への投影領域に位置する部位は、開放孔210aの設計層212側の開口を覆っている。そして、支持端部221と開放端部222それぞれにおける開放孔210aのz方向への投影領域に位置する部位と、支持台210の開放孔210aを区画する部位とが、導入孔410cの内部空間側の開口を覆っている。
【0033】
係る構成のため、外部空間で発せられた音によって開放孔210aの空気が振動すると、その振動が音響圧力として振動子220に作用する。これにより振動子220の支持端部221と開放端部222それぞれが振動する。支持端部221と開放端部222に撓みが生じる。
【0034】
なお、音響圧力の一部は、上記した隙間を介して、パッケージ400の内部空間に抜ける。係る構成のため、隙間が設計値よりも広がると、音響圧力がパッケージ400の内部空間へと抜けやすくなる。音響圧力によって振動子220が振動しがたくなる。係る不具合が生じることを避けるために、隙間は微小になっている。また後述するように、この隙間が広がらないように、振動子220の斜辺220bの縁側の強度が高められている。
【0035】
<材料>
振動子220には圧力を電圧に変換する圧電素子が含まれている。図3に示すように、振動子220は圧電層230と電極層240を有する。圧電層230と電極層240がz方向で積層されている。圧電層230は窒化アルミニウムなどの圧電材料を含んでいる。電極層240はモリブデンなどの導電材料を含んでいる。
【0036】
圧電層230は第1圧電層231と第2圧電層232を有する。電極層240は第1電極層241と、第2電極層242と、第3電極層243と、を有する。
【0037】
図3に示すように、第1電極層241、第1圧電層231、第2電極層242、第2圧電層232、および、第3電極層243がz方向で順次積層されている。第1電極層241と第2電極層242が第1圧電層231を介してz方向で並ぶことで、下層コンデンサが形成されている。第2電極層242と第3電極層243が第2圧電層232を介してz方向で並ぶことで、上層コンデンサが形成されている。
【0038】
これら2つのコンデンサは第2電極層242を共通の構成要素として備えている。この共通の構成要素を介して、2つのコンデンサはz方向で電気的に直列接続されている。図4に示すように、本実施形態のMEMSデバイス200は、これら電気的に直列接続された2つのコンデンサから成る合成コンデンサを12個備えている。図4では、第1圧電層231と第2圧電層232にハッチングを付与している。合成コンデンサをC1,C2,…C12と表記している。以下においては表記を簡便とするため、合成コンデンサを単にコンデンサと表記する。なおもちろんではあるが、このコンデンサの数は12個に限定されない。
【0039】
<取り出し電極>
振動子220の支持端部221には、これら12個のコンデンサそれぞれを電気的に接続するとともに、このコンデンサの電圧を検出するための取り出し電極250が13個形成されている。この取り出し電極250の数はコンデンサの数よりも多いものの、その数は13個に限定されない。
【0040】
nを2以上12未満の整数とすると、13個の取り出し電極250のうちの11個は、Cnのコンデンサの第2電極層242と、Cn+1のコンデンサの第1電極層241と第3電極層243それぞれとを電気的に接続している。これにより、図4に示すように、C1~C12のコンデンサが順に電気的に接続されている。
【0041】
残り2個の取り出し電極250のうちの1つは、C1のコンデンサの第1電極層241と第3電極層243それぞれに電気的に接続されている。この第1電極層241と第3電極層243はグランドに接続される。最後の1個の取り出し電極250はC12のコンデンサの第2電極層242に接続される。これら残り2個の取り出し電極250それぞれがワイヤ310を介してASIC300に接続される。この結果、12個の電気的に接続されたコンデンサの両端電圧がASIC300に出力される。ASIC300が外部装置に相当する。
【0042】
<音響圧力の検出>
コンデンサの両端電圧は、音響圧力などによって振動子220が撓むことで変化する。音響圧力が作用すると、振動子220がz方向に振動する。第1圧電層231と第2圧電層232のうちの一方に引張応力が作用し、他方に圧縮応力が作用する。
【0043】
この作用する応力の差のため、第1圧電層231と第2圧電層232に極性の異なる電圧が発生する。この電圧が上記したコンデンサの電極層240に発生する。12個のコンデンサそれぞれで発生した電圧を合計した電圧が、音響圧力に応じた電圧としてASIC300に出力される。
【0044】
上記したように支持端部221の一部が支持台210に固定され、開放端部222の全てが支持台210から開放されている。係る構成の差のため、音響圧力が作用すると、開放端部222は支持端部221よりも振動振幅が大きくなる。その反面、開放端部222には支持端部221よりも小さな応力が作用する。支持端部221は振動振幅が小さいが、大きな応力が作用する。係る応力の差のため、支持端部221側に形成されたコンデンサの出力が音響圧力の検出に用いられる。開放端部222側に形成されたコンデンサは音響圧力の検出に用いられない。
【0045】
支持端部221側のコンデンサと開放端部222側のコンデンサとを電気的に非接続とするため、図3に示すように、支持端部221側の電極層240と開放端部222側の電極層240とは電気的に非接続(絶縁)となっている。係る構成のため、支持端部221に形成された取り出し電極250と、開放端部222の電極層240とは電気的に非接続となっている。図4に示すコンデンサは支持端部221側のコンデンサである。
【0046】
<検出感度>
音響圧力の検出感度は、支持台210に固定された支持端部221の撓みやすさに依存する。この支持台210に固定された支持端部221の撓みやすさは、音響圧力に対する支持端部221の振動振幅に依存する。この振動振幅は、例えば図5に示す簡易的な物理モデルで推定することができる。
【0047】
この物理モデルでは、支持端部221の質量をm1、バネ定数をk1としている。開放端部222の質量をm2、バネ定数をk2としている。支持端部221と開放端部222それぞれの共振周波数は一定値にしている。音響圧力によって支持端部221に力F1+F2が作用し、開放端部222に力F2が作用するとしている。
【0048】
これら力F1と力F2は音響圧力を受ける面積に依存した値として設定することができる。力F1は支持端部221のz方向に直交する平面での面積に依存した値である。力F2は開放端部222のz方向に直交する平面での面積に依存した値である。
【0049】
係る構成において、力F1が力F2よりも小さい場合、力F1が力F2と等しい場合、力F1が力F2よりも大きい場合、いずれにおいても図6に示す結果が得られた。
【0050】
図6に示す横軸はk2をk1で割ったバネ定数比を示している。縦軸は支持端部221の振動振幅をAで示している。縦軸は任意単位である。この図6に示すように、バネ定数比が大きくなるにしたがって、振動振幅は上昇する。
【0051】
バネ定数比が0から5程度になるまで、振動振幅は非線形的に上昇する。振動振幅は対数的に上昇する。バネ定数比が5程度よりも大きくなると、振動振幅は線形的に上昇する。このように、バネ定数比に対する振動振幅の上昇の変化度合いは、バネ定数比が5程度の変曲点を境にして、非線形的と線形的とに変化する。図6において変曲点をIPで示している。
【0052】
この図6に示す結果から、支持端部221のバネ定数k1よりも開放端部222のバネ定数k2が高いほうが、支持端部221の振動振幅が上昇することがわかる。バネ定数k1よりもバネ定数k2のほうが、上記の変曲点以上大きい場合、支持端部221の振動振幅を制御しやすくなる。音響圧力に対する、線形的なセンシング結果を得やすくなる。
【0053】
以上に示した支持端部221と開放端部222それぞれのバネ定数は、それぞれの形状の変形のしにくさ(強度)に依存している。この形状の変形のしにくさは、構成材料や断面二次モーメントを異ならせることで、調整することができる。
【0054】
<凹凸部>
これまでに説明したように、支持端部221と開放端部222それぞれの構成材料は同等である。そして両者のz方向の厚みも同等である。そのために両者の単位体積当たりの質量は同等になっている。
【0055】
しかしながら、例えば図7図8に示すように、開放端部222には複数の凹凸部260が形成されている。複数の凹凸部260は開放端部222に非局在的に形成されている。複数の凹凸部260が開放端部222に均等に形成されている。
【0056】
この凹凸部260のために支持端部221と開放端部222とは断面二次モーメントが異なっている。支持端部221よりも開放端部222のほうが、断面二次モーメントが高くなっている。この結果、支持端部221よりも開放端部222のほうが、バネ定数が高くなっている。
【0057】
なお、図8では取り出し電極250の図示を省略している。以下においては、振動子220における導入孔410c側の面を下面220d、その反対側を上面220eと示す。
【0058】
凹凸部260は開放端部222の下面220dと上面220eそれぞれに形成されている。この下面220dの一部がz方向において上面220e側に凹むことで、下面220dの一部が凹形状を成している。この下面220dにおける凹形状を成す部位の隣側は、z方向において上面220eから離間して突起することで、凸形状を成している。
【0059】
同様にして、開放端部222の上面220eの一部がz方向において下面220d側に凹むことで、上面220eの一部が凹形状を成している。この上面220eにおける凹形状を成す部位の隣側は、z方向において下面220dから離間して突起することで、凸形状を成している。
【0060】
開放端部222の下面220dの凹形状部位と上面220eの凸形状部位はz方向で並んでいる。同様にして、開放端部222の下面220dの凸形状部位と上面220eの凹形状部位はz方向で並んでいる。
【0061】
係る構成のため、下面220dの凹形状部位と凸形状部位それぞれにおける開放端部222のz方向の厚みが同等になっている。換言すれば、開放端部222の上面220eの凹形状部位と凸形状部位それぞれにおける開放端部222のz方向の厚みが同等になっている。開放端部222の延長方向での単位長さ当たりのz方向の厚みが全体的に同等になっている。
【0062】
以上に示したように、開放端部222の下面220d側と上面220e側それぞれが凹凸している。それに応じて、開放端部222の圧電層230と電極層240も凹凸している。開放端部222の延長方向に対して直交する平面で切断した断面形状の少なくとも一部は、V字形状やU字形状を成している。
【0063】
これに対して、支持端部221の下面220d側と上面220e側それぞれは凹凸していない。下面220dと上面220eそれぞれは平坦形状となっている。支持端部221の延長方向に対して直交する平面で切断した断面形状は、長方形状を成している。
【0064】
以上に示した開放端部222と支持端部221の断面形状の差のため、支持端部221よりも開放端部222のほうが、強度が高くなっている。支持端部221よりも開放端部222のほうが、バネ定数が高くなっている。
【0065】
<凹部>
図7では、開放端部222に形成された複数の凹凸部260のうち、上面220eにおいて凹形状を成す部位を実線で示している。複数の凹凸部260が交差している。本実施形態では、複数の凹凸部260の形成密度が、開放端部222の支持端部221側と先端220c側とで同等になっている。
【0066】
本実施形態の複数の凹凸部260には、縁凹部261、延長凹部262、および、傾斜凹部263が含まれている。縁凹部261は開放端部222の2つの斜辺220bそれぞれを区画する2つの縁に沿って延びている。
【0067】
延長凹部262は、振動子220の延長方向に沿って連続的に延びている。図7に示す一例では、延長凹部262はx方向に沿って延びている。延長凹部262は斜辺220b側から支持端部221の上辺側に向かって延びている。複数の延長凹部262は上面220eと下面220dそれぞれにおいて延長方向に直交する方向で離間して並んでいる。図7に示す一例では、複数の延長凹部262がy方向で離間して並んでいる。
【0068】
なお、延長凹部262は振動子220の延長方向に沿って断続的に延びてもよい。延長凹部262の延長方向で並ぶ断片の離間間隔がこの断片の延長方向の長さよりも長くとも短くともよい。係る断続的な延長は、上記の縁凹部261と下記の傾斜凹部263それぞれにおいても適用することができる。
【0069】
傾斜凹部263は第1傾斜凹部263aと第2傾斜凹部263bを有する。開放端部222の備える2つの斜辺220bのうちの1つを第1斜辺、残り1つを第2斜辺とすると、第1傾斜凹部263aは第1斜辺の延びる方向に延びている。第1傾斜凹部263aは第2斜辺側から支持端部221の上辺側に向かって延びている。複数の第1傾斜凹部263aは上面220eと下面220dそれぞれにおいて第2斜辺の延びる方向で離間して並んでいる。
【0070】
同様にして、第2傾斜凹部263bは第2斜辺の延びる方向に延びている。第2傾斜凹部263bは第1斜辺側から支持端部221の上辺側に向かって延びている。複数の第2傾斜凹部263bは上面220eと下面220dそれぞれにおいて第1斜辺の延びる方向で離間して並んでいる。
【0071】
本実施形態では、縁凹部261と傾斜凹部263とによって複数のひし形が形作られている。延長凹部262はこのひし形の対角線になっている。延長凹部262はこのひし形の備える2組の対頂点のうち延長方向で並ぶ1組の対頂点を結んでいる。図7に示す一例では、延長凹部262はひし形の備える2組の対頂点のうちx方向で並ぶ1組の対頂点を結んでいる。
【0072】
<製造方法>
次に、MEMSデバイス200の製造方法を図9図17に基づいて説明する。なお、この図9図17では取り出し電極250の図示を省略している。
【0073】
先ず、図9に示すようにウエハ500を準備する。ウエハ500はz方向に並ぶ表面500aと裏面500bを有する。この表面500aの表層にはボロンなどの不純物が添加されている。そしてこの表面500aに第1設計薄膜510が形成されている。第1設計薄膜510は酸化シリコンである。
【0074】
次に、図10に示すように、第1設計薄膜510を選択的にエッチングする。振動子220の開放端部222の形成予定領域の第1設計薄膜510を選択的にエッチングする。こうすることで第1設計薄膜510のz方向の厚さを局所的に異ならせる。第1設計薄膜510に凹凸を形成する。なお、例えば選択的なエピタキシャル成長などによって、第1設計薄膜510を凹凸に形成してもよい。
【0075】
次に、図11に示すように、第2設計薄膜520を第1設計薄膜510の上面510a側に形成する。この第2設計薄膜520は酸化シリコンである。上記した第1設計薄膜510の凹凸のために、第2設計薄膜520にも凹凸が形成される。
【0076】
次に、図12に示すように、第1電極薄膜530を第2設計薄膜520の上面520a側に形成する。そして第1電極薄膜530をパターニングする。この第1電極薄膜530はモリブデンなどの導電材料を含んでいる。上記した第2設計薄膜520の凹凸のために、第1電極薄膜530にも凹凸が形成される。
【0077】
次に、図13に示すように、第1圧電薄膜540を第1電極薄膜530の上面530a側に形成する。この第1圧電薄膜540は窒化アルミニウムなどの圧電材料を含んでいる。上記した第1設計薄膜510の凹凸のために、第1圧電薄膜540にも凹凸が形成される。
【0078】
次に、図14に示すように、第2電極薄膜550を第1圧電薄膜540の上面540a側に形成する。そして第2電極薄膜550をパターニングする。第2電極薄膜550はモリブデンなどの導電材料を含んでいる。上記した第1設計薄膜510の凹凸のために、第2電極薄膜550にも凹凸が形成される。
【0079】
次に、図15に示すように、第2圧電薄膜560を第2電極薄膜550の上面550a側に形成する。第2圧電薄膜560は窒化アルミニウムなどの圧電材料を含んでいる。上記した第2電極薄膜550の凹凸のために、第2圧電薄膜560にも凹凸が形成される。
【0080】
次に、図16に示すように、第3電極薄膜570を第2圧電薄膜560の上面560a側に形成する。そして第3電極薄膜570をパターニングする。第3電極薄膜570はモリブデンなどの導電材料を含んでいる。上記した第2圧電薄膜560の凹凸のために、第3電極薄膜570にも凹凸が形成される。
【0081】
次に、図17に示すように、複数の振動子220に切り分けるための切れ目を、第1設計薄膜510、第2設計薄膜520、第1電極薄膜530、第1圧電薄膜540、第2電極薄膜550、第2圧電薄膜560、第3電極薄膜570に入れる。この切れ目は、例えばドライエッチングなどによって形成することができる。
【0082】
最後に、ウエハ500の裏面500b側から、ウエハ500、第1設計薄膜510、および、第2設計薄膜520を例えばドライエッチングなどによって選択的に除去する。そして、ウエハ500を例えばダイシングなどによって複数のMEMSデバイス200に切り分ける。これにより、図3に示す振動子220と支持台210とが形成される。
【0083】
これまでに説明した処理によって、ウエハ500が基部211に成形される。第1設計薄膜510と第2設計薄膜520が設計層212に成形される。第1電極薄膜530が第1電極層241に成形される。第1圧電薄膜540が第1圧電層231に成形される。第2電極薄膜550が第2電極層242に成形される。第2圧電薄膜560が第2圧電層232に成形される。第3電極薄膜570が第3電極層243に成形される。
【0084】
<作用効果>
これまでに説明したように、複数の凹凸部260が開放端部222に形成されている。これにより開放端部222は支持端部221よりも断面二次モーメントが高くなっている。
【0085】
これによれば、開放端部222に付加薄膜などが形成される構成とは異なり、開放端部222の延長方向での単位長さ当たりの質量が重くなることが抑制される。開放端部222が音響圧力によって振動しがたくなることが抑制される。この結果、支持端部221が音響圧力によって振動しがたくなることが抑制される。音響圧力の検出感度の低下が抑制される。
【0086】
支持端部221側に形成された電極層240に取り出し電極250が接続されている。開放端部222側に形成された電極層240は支持端部221側に形成された電極層240と電気的に非接続となっている。
【0087】
このように、支持端部221と開放端部222のうち支持端部221に形成された電極層240が圧電層230で生じた電圧を取り出し電極250に出力する機能を果たしている。支持端部221に形成された電極層240と圧電層230が音響圧力の検出に用いられるが、開放端部222に形成された電極層240と圧電層230が音響圧力の検出に用いられなくなっている。この開放端部222に凹凸部260が形成されている。
【0088】
このため、支持端部221に凹凸部260が形成された構成とは異なり、この凹凸部260のために、音響圧力の検出に用いられる圧電層230や電極層240にひずみの生じることが抑制される。このひずみのために、音響圧力の検出感度が低下することが抑制される。
【0089】
複数の凹凸部260には、振動子220の延長方向に沿って連続的に延びる延長凹部262が含まれている。
【0090】
これによれば、開放端部222が振動子220の延長方向とz方向それぞれに直交する方向まわりに反ることが抑制される。これにより隣り合って並ぶ振動子220の斜辺220bの間の隙間が広がることが抑制される。特に、複数の振動子220の先端220cの間の中心隙間が広がることが抑制される。
【0091】
複数の凹凸部260には、斜辺220bの延びる方向に延びる傾斜凹部263が含まれている。傾斜凹部263は第1斜辺の延びる方向に延びる第1傾斜凹部263aと第2斜辺の延びる方向に延びる第2傾斜凹部263bを有する。第1傾斜凹部263aと第2傾斜凹部263bが交差している。
【0092】
これによれば、開放端部222が振動子220の延長方向まわりに反ることが抑制される。これにより隙間が広がることが抑制される。音響圧力の検出感度の低下が抑制される。
【0093】
複数の凹凸部260には、開放端部222の斜辺220bそれぞれを区画する縁に沿って延びる縁凹部261が含まれている。
【0094】
これによれば、開放端部222の斜辺220b側に反りの生じることが抑制される。これにより隣り合って並ぶ振動子220の斜辺220bの間の隙間が広がることが抑制される。
【0095】
図7に示すように、開放端部222の縁側の複数の所定箇所で、縁凹部261、延長凹部262、および、傾斜凹部263が交差している。縁側の所定箇所を起点として、複数の凹部が支持端部221の上辺側に向かって延びている。
【0096】
これによれば、開放端部222の縁側の所定箇所で反りの生じることが効果的に抑制される。
【0097】
(第1の変形例)
本実施形態では図3図8に示すように振動子220の開放端部222側が設計層212を有さない例を示した。これに対して、例えば図18に示すように、設計層212における第2設計薄膜520で形成される部位(薄膜層213)が振動子220に連結された構成を採用することもできる。
【0098】
(第2の変形例)
本実施形態では複数の凹凸部260に、縁凹部261、延長凹部262、および、傾斜凹部263が含まれる例を示した。しかしながら、複数の凹凸部260の構成としては上記例に限定されない。
【0099】
例えば図19に示すように、複数の凹凸部260に縁凹部261と傾斜凹部263が含まれる構成を採用することができる。
【0100】
例えば図20に示すように、複数の凹凸部260に縁凹部261と延長凹部262が含まれる構成を採用することができる。
【0101】
例えば図21に示すように、複数の凹凸部260に縁凹部261が含まれる構成を採用することができる。このように凹凸部260が開放端部222に非局在的に形成される構成を採用することもできる。
【0102】
なお、図示しないが、複数の凹凸部260に延長凹部262と傾斜凹部263が含まれる構成を採用することもできる。
【0103】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図22に基づいて説明する。
【0104】
第1実施形態では複数の凹凸部260に、縁凹部261、延長凹部262、および、傾斜凹部263が含まれる例を示した。これに対して本実施形態では複数の凹凸部260に、縁凹部261と傾斜凹部263の他に、放射凹部264が含まれている。
【0105】
この放射凹部264は開放端部222の先端220cから支持端部221側に放射状に延びている。係る構成のため、複数の凹凸部260の形成密度が、開放端部222の先端220c側から支持端部221側に向かうにしたがって低くなっている。換言すれば、複数の凹凸部260の形成密度が、支持端部221側から開放端部222の先端220c側に向かうにしたがって高くなっている。
【0106】
係る構成のため、開放端部222の先端220c側で反りの生じることが効果的に抑制される。
【0107】
なお本実施形態に記載のMEMSデバイス200には、第1実施形態に記載のMEMSデバイス200と同等の構成要素が含まれている。そのために本実施形態のMEMSデバイス200が第1実施形態に記載のMEMSデバイス200と同等の作用効果を奏することは言うまでもない。そのためにその記載を省略する。以下に示す他の実施形態でも重複する作用効果の記載を省略する。
【0108】
(第3の変形例)
本実施形態では複数の凹凸部260に、縁凹部261、傾斜凹部263、および、放射凹部264が含まれている例を示した。しかしながら、例えば図23に示すように、複数の凹凸部260に放射凹部264が含まれる構成を採用することができる。
【0109】
(第4の変形例)
例えば図24に示すように、複数の凹凸部260に、ハニカム凹部265が含まれる構成を採用することができる。ハニカム凹部265はz方向に直交する平面において複数の六角形が連結された構造を成している。この変形例では、開放端部222の上面220e側と下面220d側それぞれで複数の微小な六角柱がz方向に起立しつつ、z方向に直交する方向で複数の六角柱が隣り合っている。
【0110】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図25に基づいて説明する。
【0111】
第1実施形態では複数の振動子220の間で隙間の構成される例を示した。これに対して本実施形態のMEMSデバイス200は振動子220の構成材料を含む規定部270を有する。規定部270によって支持台210に片持ち支持された振動子220の周りが囲まれている。振動子220と規定部270との間で隙間が構成されている。
【0112】
第1実施形態では振動子220が先細りの三角形を成す例を示した。これに対して本実施形態の振動子220は長方形を成している。
【0113】
第1実施形態では振動子220の数が4である例を示した。これに対して本実施形態の振動子220の数が1になっている。
【0114】
なお、図示しないが、振動子220の数が2の構成を採用することもできる。この構成では、2つの振動子220の間と、振動子220と規定部270との間それぞれに隙間が構成される。振動子220の数としては特に限定されない。
【0115】
本実施形態の振動子220にも、これまでに説明した凹凸部260が開放端部222に形成されている。これにより開放端部222は支持端部221よりも断面二次モーメントが高くなっている。
【0116】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0117】
100…圧電側MEMSマイクロフォン、200…MEMSデバイス、210…支持台、220…振動子、221…支持端部、222…開放端部、230…圧電層、240…電極層、250…取り出し電極、260…凹凸部、261…縁凹部、262…延長凹部、263…傾斜凹部、264…放射凹部、265…ハニカム凹部、270…規定部、300…ASIC、400…パッケージ、500…ウエハ、510…第1設計薄膜、520…第2設計薄膜、530…第1電極薄膜、540…第1圧電薄膜、550…第2電極薄膜、560…第2圧電薄膜、570…第3電極薄膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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