(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181144
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】顕微鏡ユニット
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20221130BHJP
G02B 21/08 20060101ALN20221130BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088020
(22)【出願日】2021-05-25
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本間 崇司
(72)【発明者】
【氏名】福本 泰
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AC27
2H052AC29
2H052BA09
(57)【要約】
【課題】照明鏡筒全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることができる顕微鏡ユニットを提供する。
【解決手段】顕微鏡ユニットは、撮像素子及び対物レンズを取付可能に構成された結像光学系の主鏡筒と、主鏡筒に接続されると共に光源を取付可能に構成された照明光学系の照明鏡筒と、を備え、照明光学系は、光源から照射された光を集光するコレクタレンズと、コレクタレンズからの光を透過させるフライアイレンズと、フライアイレンズからの光をリレーする複数枚のレンズを有する第1リレーレンズと、第1リレーレンズからの光の範囲を絞る視野絞りと、第1リレーレンズからの光をビームスプリッタへリレーする第2リレーレンズと、主鏡筒の光軸上に設けられ、入射した少なくとも一部の光を対物レンズに導くと共に、対物レンズから入射した少なくとも一部の光を撮像素子側へ透過させるビームスプリッタと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子及び対物レンズを取付可能に構成された結像光学系の主鏡筒と、
前記主鏡筒に接続されると共に光源を取付可能に構成された照明光学系の照明鏡筒と、を備え、
前記照明光学系は、
前記光源から照射された光を集光するコレクタレンズと、
前記コレクタレンズからの光を透過させるフライアイレンズと、
前記フライアイレンズからの光をリレーする第1リレーレンズと、
前記第1リレーレンズからの光の範囲を絞る視野絞りと、
前記第1リレーレンズからの光をビームスプリッタへリレーする第2リレーレンズと、
前記主鏡筒の光軸上に設けられ、入射した少なくとも一部の光を前記対物レンズに導くと共に、前記対物レンズから入射した少なくとも一部の光を前記撮像素子側へ透過させる前記ビームスプリッタと、を有し、
前記第1リレーレンズは、お互いに接合されていない複数枚のレンズを有する
顕微鏡ユニット。
【請求項2】
前記第1リレーレンズから前記第2リレーレンズまでの光路における距離は、前記第2リレーレンズの外径の5倍以下である
請求項1記載の顕微鏡ユニット。
【請求項3】
前記第1リレーレンズは、平凸レンズからなる第1レンズ及び第2レンズを有し、
前記第1レンズ及び前記第2レンズは、凸面同士が向かい合うように配置されている
請求項1又は2記載の顕微鏡ユニット。
【請求項4】
前記視野絞りと前記第2リレーレンズとの間に配置され、前記第1リレーレンズからの光を前記主鏡筒に向けて反射させる反射ミラーを有し、
前記第2リレーレンズは、前記反射ミラーで反射された光を前記ビームスプリッタへリレーする
請求項1~3のいずれか1項記載の顕微鏡ユニット。
【請求項5】
前記照明鏡筒は、
前記光源を取付可能に構成された第1鏡筒と、
前記主鏡筒及び前記第1鏡筒を接続する中間鏡筒と、を有し、
前記第1鏡筒は、前記コレクタレンズと、前記フライアイレンズと、前記第1リレーレンズと、を収容し、
前記中間鏡筒は、前記視野絞りと、前記第2リレーレンズと、前記反射ミラーと、を収容し、
前記主鏡筒は、前記ビームスプリッタを収容する
請求項4記載の顕微鏡ユニット。
【請求項6】
前記反射ミラーは、ミラー枠部材に保持された状態で前記中間鏡筒に収容されている
請求項5記載の顕微鏡ユニット。
【請求項7】
前記視野絞りは、前記ミラー枠部材の外周面よりも内側に配置されている
請求項6記載の顕微鏡ユニット。
【請求項8】
前記視野絞りは、前記第1鏡筒の一部である
請求項5~7のいずれか1項記載の顕微鏡ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象機器に取付可能な顕微鏡ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子及び対物レンズを取付可能に構成された結像光学系の主鏡筒と、主鏡筒に接続されると共に光源を取付可能に構成された照明光学系の照明鏡筒と、を備える顕微鏡ユニットが知られている。この様な顕微鏡ユニットは、例えば、光源から射出された光束(発散光線束)をコレクタレンズで集光し、リレーレンズ系、視野絞りを通してミラーで反射させ、リレーレンズ系、開口絞り、コンデンサレンズを通して観察面を照明する様に構成されている。
【0003】
この様な顕微鏡ユニットは、種々の光源を取付可能な場合がある。しかしながら、顕微鏡ユニットに取り付けられる光源の種類によっては、観察面における照度が不均一になってしまう場合があった。そこで、例えば、下記特許文献1記載の顕微鏡照明装置においては、照明光学系中にフライアイレンズを配置し、これによって観察面における照度の均一化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記顕微鏡照明装置においては、照明光学系中にフライアイレンズを設ける必要がある。また、フライアイレンズからの光をリレーするため、フライアイレンズと視野絞りとの間に、リレーレンズを設ける必要がある。この様な構成においては、リレーレンズから視野絞りまでの焦点距離として、ある程度の長さを確保する必要がある。これにより、照明鏡筒の光路長の増大に伴う照明鏡筒の大型化を招き、ひいては顕微鏡ユニットの大型化を招いてしまう恐れがある。
【0006】
本発明は、この様な課題に鑑みてなされたものであり、照明鏡筒全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることができる顕微鏡ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る顕微鏡ユニットは、撮像素子及び対物レンズを取付可能に構成された結像光学系の主鏡筒と、主鏡筒に接続されると共に光源を取付可能に構成された照明光学系の照明鏡筒と、を備え、照明光学系は、光源から照射された光を集光するコレクタレンズと、コレクタレンズからの光を透過させるフライアイレンズと、フライアイレンズからの光をリレーする第1リレーレンズと、第1リレーレンズからの光の範囲を絞る視野絞りと、第1リレーレンズからの光をビームスプリッタへリレーする第2リレーレンズと、主鏡筒の光軸上に設けられ、入射した少なくとも一部の光を対物レンズに導くと共に、対物レンズから入射した少なくとも一部の光を撮像素子側へ透過させるビームスプリッタと、を有する。また、第1リレーレンズは、お互いに接合されていない複数枚のレンズを有する。
【0008】
この様な顕微鏡ユニットでは、照明光学系の第1リレーレンズを、お互いに接合されていない複数枚のレンズにより構成している。従って、例えば第1リレーレンズを単一のレンズや一枚のレンズとみなされる接合レンズにより構成した場合と比較して、第1リレーレンズから視野絞りまでの焦点距離を短くすることが可能である。これにより、照明鏡筒の光路長を縮小して全長を短く構成し、照明鏡筒全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0009】
第1リレーレンズから第2リレーレンズまでの光路における距離は、第2リレーレンズの外径の5倍以下であっても良い、
【0010】
上記第1リレーレンズは、平凸レンズからなる第1レンズ及び第2レンズを有していても良い。また、第1レンズ及び第2レンズは、凸面同士が向かい合うように配置されていても良い。
【0011】
上記顕微鏡ユニットは、視野絞りと第2リレーレンズとの間に配置され、第1リレーレンズからの光を主鏡筒に向けて反射させる反射ミラーを有していても良い。この様な場合、第2リレーレンズは、反射ミラーで反射された光をビームスプリッタへリレーする様に構成されていても良い。
【0012】
上記照明鏡筒は、光源を取付可能に構成された第1鏡筒と、主鏡筒及び第1鏡筒を接続する中間鏡筒と、を有していても良い。この様な場合、第1鏡筒は、コレクタレンズと、フライアイレンズと、第1リレーレンズと、を収容し、中間鏡筒は、視野絞りと、第2リレーレンズと、反射ミラーと、を収容し、主鏡筒は、ビームスプリッタを収容する様に構成されていても良い。
【0013】
上記反射ミラーは、ミラー枠部材に保持された状態で前記中間鏡筒に収容されていても良い。
【0014】
また、視野絞りは、ミラー枠部材の外周面よりも内側に配置されていても良いし、第1鏡筒の一部であっても良い。
【発明の効果】
【0015】
この様な構成によれば、照明鏡筒全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることができる顕微鏡ユニットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態に係る顕微鏡ユニットの全体構成を示す概略的な説明図である。
【
図2】顕微鏡ユニットの全体構成を示す概略的な説明図である。
【
図3】顕微鏡ユニットのミラー枠部材の構成を示す模式的な側面図である。
【
図4】顕微鏡ユニットのミラー枠部材の構成を示す模式的な斜視図である。
【
図5】顕微鏡ユニットの主鏡筒に対する照明鏡筒の姿勢と照明範囲との関係を説明するための図である。
【
図6】取付位置調整済みの場合と未調整の場合の照明範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態に係る顕微鏡ユニットを詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。なお、以下の実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合、及び一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0018】
また、以下の説明では、「X軸方向」は
図1に示す顕微鏡ユニットの紙面(正面)に正対した場合の左右方向を意味し、「Y軸方向」はこの場合の奥行き方向を意味し、「Z軸方向」はこの場合の上下方向、すなわち主鏡筒の光軸方向を意味する。なお、顕微鏡ユニットの基本的な構造については既知であるので、ここでは必要な場合を除き全体構成については概略のみを説明する。
【0019】
[第1実施形態]
[構成]
図1及び
図2は、第1実施形態に係る顕微鏡ユニット100の全体構成を示す概略的な説明図である。
図1及び
図2では、顕微鏡ユニット100の照明光学系が実線で描かれると共に一部が断面図として示されており、一部が透過図として示されている。
図2は
図1に対して照明鏡筒20の主鏡筒10に対する姿勢が180°異なる様子を示している。以下、
図1に示す状態を顕微鏡ユニット100の基本姿勢として説明する。
【0020】
図1及び
図2に示す様に、顕微鏡ユニット100は、図示しない顕微鏡の一部を構成するものであり、主鏡筒10と、主鏡筒10に接続された照明鏡筒20と、を備える。
【0021】
主鏡筒10は、いわゆる顕微鏡の結像光学系を構成し、例えば、
図1に例示したZ軸方向の上方側(以下、単に「上方側」と呼ぶ。)の端部に撮像素子30を内蔵するカメラ31を取付可能であると共に、
図1に例示したZ軸方向の下方側(以下、単に「下方側」と呼ぶ。)の端部に対物レンズ32を取付可能に構成されている。なお、撮像素子30は、各種の画像センサ(CMOS,CCD)等を含む。
【0022】
主鏡筒10は、上方側(カメラ31側)に配置される円筒状の第1スリーブ部11と、この第1スリーブ部11の下方側に配置される円筒状の第2スリーブ部12と、を有する。第1スリーブ部11は、その最小外径が、第2スリーブ部12の最小外径よりも僅かに小さくなる様に形成されている。
【0023】
また、主鏡筒10は、第2スリーブ部12の下方側に配置された外観矩形状の筐体本体部13と、この筐体本体部13の下方側に配置されて対物レンズ32が接続される円筒状の第3スリーブ部14と、を有する。なお、筐体本体部13は、第1筐体15と、この第1筐体15の下方側に配置された第2筐体16と、により構成されている。
【0024】
主鏡筒10における第2スリーブ部12及び筐体本体部13の第1筐体15の内部には、結像レンズ(チューブレンズ)17が収容されている。また、筐体本体部13の第2筐体16の内部には、後述するビームスプリッタ(以下、「B/S」とする。)18が、主鏡筒10の光軸MLに対して所定角度で傾斜する様に収容されている。これら主鏡筒10を構成する第1スリーブ部11、第2スリーブ部12、筐体本体部13、及び第3スリーブ部14は、主鏡筒10の光軸MLに沿って、Z軸方向に直線的に同軸配置されている。
【0025】
照明鏡筒20は、いわゆる顕微鏡の照明光学系を構成し、基本姿勢においてZ軸方向の上方側の端部に種々の光源LSを着脱自在に取付可能な第1鏡筒21と、この第1鏡筒21を主鏡筒10に接続する中間鏡筒22と、を有する。なお、第1鏡筒21はZ軸方向に光軸L1を形成し、中間鏡筒22はX軸方向に光軸L2を形成する。
【0026】
第1鏡筒21は、基本姿勢における上方側に配置される円筒状の第4スリーブ部23と、この第4スリーブ部23の下方側に配置される円筒状の第5スリーブ部24と、を有する。なお、第4スリーブ部23は、その最小外径が、第5スリーブ部24の最小外径よりも小さくなる様に形成されている。
【0027】
また、第1鏡筒21は、第5スリーブ部24の下方側に配置される外観段付き円環状の連結筐体部26と、連結筐体部26の下方側に配置される外観段付き円筒状の第6スリーブ部27と、を有する。連結筐体部26は、第5スリーブ部24と第6スリーブ部27とを連結する。なお、第6スリーブ部27の一部(中間鏡筒22内に配置される部分)は、下方に向かって先細りの円錐台状に形成された円錐台部27aとなっている。図示の例では、第5スリーブ部24と第6スリーブ部27の外径はほぼ同径で、連結筐体部26の最小外径がこれらの外径よりも大きく示されているが、第5スリーブ部24、連結筐体部26及び第6スリーブ部27の外径は、ほぼ同径となる様に構成されていても良い。
【0028】
第1鏡筒21における第4スリーブ部23の内部には、取り付けられた光源LSの射出端LEが収容されている。また、第1鏡筒21における第5スリーブ部24は、上方側の内部にコレクタレンズ(集光レンズ)33を収容する。更に、第5スリーブ部24と連結筐体部26との接続箇所の内部には、フライアイレンズ34が収容されている。
【0029】
第1鏡筒21における第6スリーブ部27は、上方側の内部に第1リレーレンズとしての第1リレーレンズ群35を収容する。第1リレーレンズ群35は、お互いに接合されていない複数枚のレンズを有する。例えば、図示の例において、第1リレーレンズ群35は、Z軸方向の下方側に向けた凸面を有する平凸レンズからなる第1レンズ35aと、Z軸方向の上方側に向けた凸面を有する平凸レンズからなる第2レンズ35bと、を備える。これら第1レンズ35a及び第2レンズ35bは、凸面同士が向かい合う様に配置されている。第1レンズ35a及び第2レンズ35bは、お互いに離間して配置されていても良いし、凸面の一部が接触していても良い。この様な構成によれば、例えば、第1リレーレンズとして単一レンズ或いは接合レンズ等の両凸レンズを採用する場合と比較して、球面収差の量を抑えつつ、後述する視野絞り36までの焦点距離を小さくすることが可能である。これは、レンズ系としての屈折力の大きさを第1レンズ35a及び第2レンズ35bの各レンズで分担することができるためである。また、平凸レンズは、初期の金型代が別途必要となる非球面レンズ等に比べて、安価に製造可能なので、照明光学系の製造コストを抑えることも可能である。
【0030】
なお、第1鏡筒21における第6スリーブ部27の第1リレーレンズ群35の収容箇所より下方側の内周面27bは、下方に向けて徐々に小径となるテーパ状に形成されている。また、第6スリーブ部27の外周部の一部には、外周方向に突出する円環状のフランジ部27cが形成されている。
【0031】
第1鏡筒21における第6スリーブ部27のフランジ部27cの下端面27dよりも下方側には、第6スリーブ部27の最小外径よりも小径の外周部27eを経て、さらに下方に形成された段差部を介して、下方に向けて徐々に小径となるテーパ状に形成された円錐台部27aの外周部27fが配置されている。
【0032】
なお、第1鏡筒21を構成する第4スリーブ部23、第5スリーブ部24、連結筐体部26、及び第6スリーブ部27は、第1鏡筒21の光軸L1に沿って、直線的に同軸配置されている。そして、第6スリーブ部27の円錐台部27aの下端部は、視野絞り36を構成している。即ち、第1の実施形態の照明鏡筒20における視野絞り36は、第1鏡筒21の一部(円錐台部27aの下端部)により構成される。
【0033】
中間鏡筒22は、第1鏡筒21と主鏡筒10とを接続すると共に、基本姿勢において主鏡筒10からX軸方向に離隔する端部側に、上方側から主鏡筒10の方に向けて斜め下方側に傾斜する傾斜壁28aが形成された外観矩形状の中間筐体部28を有する。
【0034】
なお、中間筐体部28のX軸方向における主鏡筒10側の端部は、円筒状の嵌合円筒部28bとして形成され、筐体本体部13の第2筐体16に形成された穴状の嵌合部16aに嵌合される。これにより、中間鏡筒22は、主鏡筒10に対して、第1鏡筒21の光軸L1と直交する光軸L2を中心として回動可能に接続される(
図2参照)。なお、嵌合円筒部28bの内部には、第2リレーレンズ38が収容されている。
【0035】
また、基本姿勢における中間筐体部28の上壁部28cには、第1鏡筒21の第6スリーブ部27が嵌合される嵌合穴28dが形成されている。即ち、第6スリーブ部27は、フランジ部27cの下端面27dが上壁部28cの外壁面に当接すると共に、嵌合穴28dの開口端側の内周面に外周部27eが嵌まる様な状態で、中間筐体部28に嵌合される。
【0036】
なお、第6スリーブ部27は、フランジ部27cが取付ボルト19により上壁部28cに取り付けられることによって、中間筐体部28に固定される。これにより、第1鏡筒21は、中間鏡筒22に対して位置決めされた上で固定される。この構成によれば、第1鏡筒21が中間鏡筒22に対してこの様に固定されるので、上述した第1鏡筒21の視野絞り36は、中間鏡筒22の外周面(中間筐体部28の上壁部28cの外壁面)よりも内側に配置されることとなる。
【0037】
また、中間鏡筒22には、反射ミラー37と、この反射ミラー37を保持するミラー枠部材40と、が収容されている。また、中間鏡筒22には、ミラー枠部材40の中間鏡筒22に対する取付位置(中間筐体部28に対する取付位置)を調整する位置調整機構(図示せず)が設けられている。
【0038】
図3は、顕微鏡ユニット100のミラー枠部材40の構成を示す模式的な側面図である。また、
図4は、顕微鏡ユニット100のミラー枠部材40の構成を示す模式的な斜視図である。
【0039】
図3及び
図4に示す様に、ミラー枠部材40は、中間筐体部28の内部に収容可能となる様に、一端部側を斜めに切断した様な円筒状の枠体49により形成されている。ミラー枠部材40の枠体49は、反射ミラー37を保持する。この反射ミラー37は、枠体49の楕円開口部41の形状に合わせて反射部分が楕円形状となる様に、例えば楕円形又は多角形(八角形など)の外形で形成されている。また、この反射ミラー37は、例えば、ミラー枠部材40の枠体49に対し、上記反射部分を除く部分が図示しない接着剤等を介して貼着されている。
【0040】
また、ミラー枠部材40の枠体49は、楕円開口部41とX軸方向に反対側の端部に形成された主鏡筒側開口部42と、楕円開口部41から見てZ軸方向に離間する位置に形成された第1鏡筒側開口部43と、を有する。第1鏡筒側開口部43は、第1鏡筒21の第6スリーブ部27における円錐台部27aの視野絞り36の外径よりも大きく、且つ視野絞り36からZ軸方向の上方側の所定範囲における外周部27fの外径よりも大きな開口径を有する。これにより、ミラー枠部材40の枠体49が第6スリーブ部27の円錐台部27aと干渉することなく、視野絞り36を極力反射ミラー37に近づけて配置することができる。
【0041】
なお、この様に構成されたミラー枠部材40は、中間筐体部28の内部に収容された後に、図示しない位置調整機構により中間筐体部28に対して取付位置が調整される。位置調整機構は、図示は省略するが、例えば、中間筐体部28に対し、Y軸方向に穿設された一対の座グリ孔に螺合された複数の調整用ねじにより構成される。取付位置の調整後には、ミラー枠部材40を中間筐体部28に、例えばねじ止め固定する。
【0042】
なお、こうして形成された中間鏡筒22と、別途組み立てた第1鏡筒21とは、円錐台部27aを嵌合穴28dに挿入した状態でフランジ部27cを取付ボルト19により中間筐体部28にねじ止め固定するだけの簡単な構造で一体化することができるので、照明鏡筒20は容易に製造することが可能である。
【0043】
[光学系]
本実施形態に係る顕微鏡ユニット100の結像光学系は、対物レンズ32と、結像レンズ(チューブレンズ)17と、を備える。また、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100の照明光学系は、コレクタレンズ(集光レンズ)33と、フライアイレンズ34と、第1リレーレンズ群35と、視野絞り36と、反射ミラー37と、B/S18と、第2リレーレンズ38と、を備える。
【0044】
光源LSの射出端LEと、対物レンズ32の座の位置(対物レンズ32の瞳)と、フライアイレンズ34の射出端面とは、共役関係となる。また、これらの位置は、B/S18及び反射ミラー37とは、共役関係にならない。また、視野絞り36と、対物レンズ32の焦点位置と、結像レンズ17の焦点位置とは、共役関係となる。
【0045】
光源LSの射出端LEからの光束(発散光線束)は、コレクタレンズ33を介して集光された光束(集束光線束)に変換され、フライアイレンズ34を通してフライアイレンズ34を構成する複数のレンズの数だけ分割される。これにより、フライアイレンズ34の射出端面には、フライアイレンズ34を構成する複数のレンズの数だけ光源像が形成され(二次光源)、フライアイレンズ34を構成する複数のレンズ毎に射出した光束(発散光線束)は、第1リレーレンズ群35を通して集光されて、設計された焦点距離だけ離れた視野絞り36上で各々重なる様にリレーされる。従って、フライアイレンズ34の射出端面には、配光特性が異なる種々の光源LSを用いた場合であっても、配光ムラの少ないほぼ均一な配光特性となる擬似的な面光源(二次光源)が形成される。
【0046】
光軸L1に沿って視野絞り36を通り光の範囲が絞られた光束(発散光線束)は、中間鏡筒22内の反射ミラー37で光軸L2に沿った光束(発散光線束)となる様に反射され、第2リレーレンズ38を通して集光された上でB/S18に照射される様にリレーされる。なお、B/S18は、第2リレーレンズ38を通って入射した少なくとも一部の光束(集束光線束)を図示しない開口絞り及び対物レンズ32側へ反射させて導くと共に、対物レンズ32等を通って入射した撮像面ISからの少なくとも一部の光束を結像レンズ17側へ透過させる。
【0047】
[照明鏡筒20の回転及び反射ミラー37の位置決め]
上述の通り、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100では、照明鏡筒20が主鏡筒10に対して回動可能に構成されている。ここで、反射ミラー37のB/S18に対する位置が好適に調整されていない場合、照明鏡筒20を主鏡筒10に対して回転させた際に、視野絞り36の中心位置が照明光学系の光軸からずれてしまう恐れがある。そこで、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100は、反射ミラー37のB/S18に対する位置を調整可能に構成されている。以下、この点について説明する。
【0048】
図5は、顕微鏡ユニット100の主鏡筒10に対する照明鏡筒20の姿勢と照明範囲との関係を説明するための図である。
図6は、取付位置調整済みの場合と未調整の場合の照明範囲を説明するための図である。なお、
図5及び
図6においては、顕微鏡ユニット100の外観については
図1及び
図2に示すものとは異なっている。また、ここでは、主鏡筒10のB/S18の取付位置及び取付角度が既に調整されたものとして説明する。
【0049】
図5(a)に示す様に、主鏡筒10の光軸MLと照明鏡筒20の第1鏡筒21の光軸L1とがZ軸方向となる基本姿勢における顕微鏡ユニット100では、
図5(b)に示す様に、撮像面ISにおける撮像範囲51の中心と、照明鏡筒20を通した光源LSからの光の照明範囲52の中心とが、主鏡筒10の光軸MLを中心とした正規の位置、即ち撮像範囲51の中心と照明範囲52の中心とが光軸MLと一致する様な位置に定まっている。
【0050】
本実施形態に係る顕微鏡ユニット100では、この基本姿勢の状態から、
図6(a)に示す様に、例えば、照明鏡筒20を主鏡筒10に対して光軸L2を中心として90°回転させることが可能である。これにより、撮像範囲51の像はそのままに、照明範囲52が90°回転する。
【0051】
ここで、例えば、上述した位置調整機構によりミラー枠部材40の取付位置が調整されていれば、
図6(b)に示す様に、図中矢印で示す姿勢変更があったにも拘わらず、撮像範囲51の中心と照明範囲52の中心とが光軸MLと一致した状態を保持することが可能である。
【0052】
一方、ミラー枠部材40の取付位置の調整がなされていない場合は、
図6(c)に示す様に、照明範囲52の中心が撮像範囲51の中心から大きくずれた状態となってしまうため、視野内における光源LSによる照明分布が不均一となってしまう。
【0053】
この様な事態を避けるために、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100では、ミラー枠部材40の中間鏡筒22に対する取付位置が位置調整機構を介して調整される。ミラー枠部材40の取付位置は、例えば、照明鏡筒20を組み立てた後に、これらの調整用ねじを操作することによって、ミラー枠部材40の中間筐体部28に対するX軸方向の配置位置、及びX軸方向を中心とした回転方向の配置位置を調整するように行われる。
【0054】
調整の際には、光源LSからの光の光軸L1が反射ミラー37によって光軸L2の光に変換されたときの、第1鏡筒21の姿勢変化に伴う光軸L2の偏心量が所定範囲内に収まるように調整が行われる。これにより、照明光学系による照明範囲52がずれることなく照明鏡筒20の主鏡筒10に対する姿勢を自在に変更することが可能となる。
【0055】
[顕微鏡ユニットの小型化]
従来より、撮像素子及び対物レンズを取付可能に構成された結像光学系の主鏡筒と、主鏡筒に接続されると共に光源を取付可能に構成された照明光学系の照明鏡筒と、を備える顕微鏡ユニットが知られている。この様な顕微鏡ユニットは、例えば、光源から射出された光束(発散光線束)をコレクタレンズで集光し、リレーレンズ系、視野絞りを通してミラーで反射させ、リレーレンズ系、開口絞り、コンデンサレンズを通して観察面を照明する様に構成されている。
【0056】
この様な顕微鏡ユニットには、種々の光源を取付可能な場合がある。しかしながら、顕微鏡ユニットに取り付けられる光源の種類によっては、観察面における照度が不均一になってしまう場合があった。そこで、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100では、照明光学系に、フライアイレンズ34を配置し、これによって観察面における照度の均一化を図っている。
【0057】
しかしながら、この様な構成を採用した場合、照明光学系を構成する光学部品の点数が増えて全長が長くなってしまい、小型化が図り難くなってしまう場合がある。そこで、第1実施形態に係る顕微鏡ユニット100の照明鏡筒20では、下記の様な方法によって、顕微鏡ユニットの小型化を図っている。
【0058】
[第1リレーレンズ群35の追加]
第1実施形態に係る第1リレーレンズ群35は、上述の通り、お互いに接合されていない第1レンズ35a及び第2レンズ35bを備える。この様な構成によれば、上述の通り、第1リレーレンズとして単一レンズ或いは接合レンズ等の両凸レンズを採用する場合と比較して、球面収差の量を抑えつつ、後述する視野絞り36までの焦点距離を小さくすることが可能である。従って、第1鏡筒21内にフライアイレンズ34の他に第1リレーレンズ群35を収容しているにも拘わらず、第1リレーレンズ群35から視野絞り36までの焦点距離を短く設計することができるので、第1鏡筒21の全長を短く構成することが可能である。これにより、照明鏡筒の全長を短くして全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることができる。なお、照明鏡筒全体の小型化の観点からは、第1リレーレンズ群35から第2リレーレンズ38までの光路における距離を、例えば、第2リレーレンズ38の外径の5倍以下となるように設定することが好適である。この様にすれば、照明鏡筒の全長を短く設計することが可能である。
【0059】
[視野絞り36の位置調整]
第1実施形態に係る顕微鏡ユニット100においては、視野絞り36を、中間鏡筒22の外周面よりも内側に配置している。従って、例えば視野絞り36を中間鏡筒22の外周面よりも外側(例えば、
図1の、第6スリーブ部27のフランジ部27cの下端面27dよりも上方側)に配置する様な場合と比較して、第1鏡筒21内部のスペースを有効に活用することが可能である。これにより、照明鏡筒の全長を短くして、照明鏡筒全体の小型化を図り、ひいては顕微鏡ユニットの小型化を図ることが可能となる。
【0060】
この様な構成によって顕微鏡ユニット100の小型化を図る場合、視野絞り36を、反射ミラー37の近傍に極力近づけて配置することが望ましい。例えば、
図1に示す様に、視野絞り36を中間鏡筒22の内周面28eよりも内側に配置することが望ましい。ただし、視野絞り36が反射ミラー37の光束と干渉してしまった場合、照明光学系の照明性能(明るさや照度の均一性)の劣化が生じてしまう。従って、例えば
図1に示す様に、視野絞り36は、反射ミラー37の光束と干渉しない程度に、反射ミラー37から離れていることが望ましい。また、上述の通り、視野絞り36と、対物レンズ32の焦点位置とは、共役関係となる様に構成されている。ここで、反射ミラー37が視野絞り36の焦点深度の範囲外に位置していない場合、反射ミラー37の表面の汚れや傷等が、撮像面ISに映し出されてしまう恐れがある。従って、反射ミラー37は、視野絞り36の焦点深度の範囲外に設けられていることが望ましい。
【0061】
なお、本実施形態に係る照明鏡筒20の第6スリーブ部27は、
図1における下端部に円錐台部27aが形成されており、この円錐台部27aの下端部が視野絞り36を構成している。この様な視野絞り36は、第6スリーブ部27を成形する際に、例えば、旋盤機器等によって一つのチャックで作製することができるので、製造工数を抑えつつ高精度に製造可能である。また、別途絞りのための部品等を使用することなく実現可能である。
【0062】
また、上述の通り、本実施形態に係る顕微鏡ユニット100では、照明鏡筒20を主鏡筒10に対して回転させることが可能である。ここで、視野絞りの構成によっては、照明鏡筒20を主鏡筒10に対して回転させた場合に、視野絞りの中心位置が照明光学系の光軸からずれてしまう恐れがある。ここで、本実施形態に係る視野絞り36は、第1リレーレンズ群35を収容する第6スリーブ部27の一部から構成されている。従って、照明鏡筒20を主鏡筒10に対して回転させた場合であっても、視野絞りの中心位置と照明光学系の光軸との位置関係を、好適に維持することが可能である。
【0063】
[その他の実施形態]
上述した実施形態の顕微鏡ユニット100の各部について、その外形や寸法等は、適宜変更可能である。例えば、主鏡筒10の筐体本体部13を円筒状に形成し、第1スリーブ部11~第3スリーブ部14までの全体を円筒状に形成することもできる。また、第1スリーブ部11、第2スリーブ部12及び第3スリーブ部14を矩形状に形成し、第1スリーブ部11~第3スリーブ部14までの全体を矩形(角筒)状に形成することもできる。更に、第1スリーブ部~第3スリーブ部14の外径を上述したものとは異ならせることもできる。これらのことは、照明鏡筒20にも適用され得る。また、複数の部材からなる構成として例示したものを一つの部材から構成しても良いし、一つの部材からなる構成として例示したものを複数の部材から構成しても良い。
【0064】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 主鏡筒
11 第1スリーブ部
12 第2スリーブ部
13 筐体本体部
14 第3スリーブ部
18 ビームスプリッタ(B/S)
20 照明鏡筒
21 第1鏡筒
22 中間鏡筒
23 第4スリーブ部
24 第5スリーブ部
26 連結筐体部
27 第6スリーブ部
28 中間筐体部
30 撮像素子
32 対物レンズ
33 コレクタレンズ
34 フライアイレンズ
35 第1リレーレンズ群
35a 第1レンズ
35b 第2レンズ
36,36A 視野絞り
37 反射ミラー
38 第2リレーレンズ
40,40A ミラー枠部材
100 顕微鏡ユニット