(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181162
(43)【公開日】2022-12-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、測定システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A61B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003197
(22)【出願日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2021087935
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰久
(72)【発明者】
【氏名】平上 智英
(72)【発明者】
【氏名】永宮 研二
(72)【発明者】
【氏名】北村 暢也
(72)【発明者】
【氏名】細野 康幸
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA07
4C117XB01
4C117XC01
4C117XC29
4C117XC30
4C117XD16
4C117XD38
4C117XE15
4C117XE17
4C117XE23
4C117XE37
4C117XE43
4C117XH11
4C117XH16
(57)【要約】
【課題】生体情報の測定に用いられる接触部が複数ある場合でも、適切に生体情報を取得できる情報処理装置、測定システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを得る。
【解決手段】情報処理装置10は少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、特定した接触部と、接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、接触部と連結された測定部によって測定された被検体の生体情報を取得する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、
特定した前記接触部と、前記接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、
前記接触部と連結された前記測定部によって測定された前記被検体の生体情報を取得する
情報処理装置。
【請求項2】
複数の被検体の各々が、互いに異なる前記接触部に身体の部位を接触させている場合、
前記プロセッサは、
前記複数の接触部のうち、前記複数の被検体が接触している接触部を被検体ごとに特定する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記複数の接触部のうち、前記被検体の身体の複数の部位の各々が接触している2以上の接触部を特定し、
特定した前記2以上の接触部と、前記測定部と、を連結し、
前記2以上の接触部と連結された前記測定部によって測定された前記被検体の生体情報を取得する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記複数の接触部のうち、1の被検体が同時に接触し得る2以上の接触部の組合せごとに導通状態を確認し、
導通していることが確認された前記組合せに含まれる2以上の接触部に、前記被検体の身体の複数の部位の各々が接触していると特定する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記複数の接触部をカメラで撮影した画像を解析することで、前記被検体の身体の部位が接触している接触部を特定する
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
特定した前記接触部に接触している前記被検体が所有する端末装置に対して、取得した前記被検体の生体情報を送信する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
無線通信を用いて、前記端末装置に対して前記生体情報を送信する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
特定した前記接触部に接触している前記被検体の身体の部位を介して、前記端末装置に対して前記生体情報を送信する
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生体情報は、心電図である
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記被検体は、四足歩行の動物であり、
前記プロセッサは、
平面上に配置された5以上の前記接触部のうち、前記被検体の足底部が接触している接触部を特定する
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れか1項に記載の情報処理装置と、
被検体の身体の部位が接触する複数の接触部と、
前記接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、
を備えた測定システム。
【請求項12】
複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、
特定した前記接触部と、前記接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、
前記接触部と連結された前記測定部によって測定された前記被検体の生体情報を取得する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項13】
複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、
特定した前記接触部と、前記接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、
前記接触部と連結された前記測定部によって測定された前記被検体の生体情報を取得する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、測定システム、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接触部に接触した被検体の生体情報を測定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ハット型携行ユニットに含まれる脳波検出デバイスによって、ハット型携行ユニットをかぶったユーザの脳波を検出することが記載されている。また例えば、特許文献2には、椅子の肘掛部及び足置部に心電図測定用の電極をそれぞれ設けることで、椅子に座ったユーザの心電図を採ることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-182973号公報
【特許文献2】国際公開WO2019/163028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、街なかに配置された心電計、体温計及び血圧計等の機能を有する生体情報の測定装置によって、不特定多数の被検体の生体情報を測定する技術が望まれている。特に、例えば、電車の吊り革、新幹線及び飛行機等の座席の肘掛け、並びに飲食店及び図書館等の複数人掛けのテーブル等にセンサを設けることで、当該センサに接触している被検体の生体情報を無意識的に測定する技術が望まれている。
【0005】
この場合、それぞれにセンサが備えられた複数の接触部(例えば吊り革)と、当該センサにより取得された生体信号を解析し生体情報として測定する測定部と、を含むシステム構成が考えられる。システムサイズの縮小及びコスト低減のためには、接触部ごとに測定部が設けられる構成ではなく、複数の接触部に1つの測定部が対応可能な構成が好ましい。例えば、1つの測定部と連結される接触部が切り替え可能となっており、複数の接触部のうち、被検体が接触している接触部とだけ測定部が連結されるような技術が望まれている。
【0006】
本開示は、生体情報の測定に用いられる接触部が複数ある場合でも、適切に生体情報を取得できる情報処理装置、測定システム、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、情報処理装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、特定した接触部と、接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、接触部と連結された測定部によって測定された被検体の生体情報を取得する。
【0008】
上記第1の態様において、複数の被検体の各々が、互いに異なる接触部に身体の部位を接触させている場合、プロセッサは、複数の接触部のうち、複数の被検体が接触している接触部を被検体ごとに特定してもよい。
【0009】
上記第1の態様において、プロセッサは、複数の接触部のうち、被検体の身体の複数の部位の各々が接触している2以上の接触部を特定し、特定した2以上の接触部と、測定部と、を連結し、2以上の接触部と連結された測定部によって測定された被検体の生体情報を取得してもよい。
【0010】
上記第1の態様において、プロセッサは、複数の接触部のうち、1の被検体が同時に接触し得る2以上の接触部の組合せごとに導通状態を確認し、導通していることが確認された組合せに含まれる2以上の接触部に、被検体の身体の複数の部位の各々が接触していると特定してもよい。
【0011】
上記第1の態様において、プロセッサは、複数の接触部をカメラで撮影した画像を解析することで、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定してもよい。
【0012】
上記第1の態様において、プロセッサは、特定した接触部に接触している被検体が所有する端末装置に対して、取得した被検体の生体情報を送信してもよい。
【0013】
上記第1の態様において、プロセッサは、無線通信を用いて、端末装置に対して生体情報を送信してもよい。
【0014】
上記第1の態様において、プロセッサは、特定した接触部に接触している被検体の身体の部位を介して、端末装置に対して生体情報を送信してもよい。
【0015】
上記第1の態様において、生体情報は、心電図であってもよい。
【0016】
上記第1の態様において、被検体は、四足歩行の動物であり、プロセッサは、平面上に配置された5以上の接触部のうち、被検体の足底部が接触している接触部を特定してもよい。
【0017】
本開示の第2の態様は、測定システムであって、上記第1の態様に係る情報処理装置と、被検体の身体の部位が接触する複数の接触部と、接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を備える。
【0018】
本開示の第3の態様は、情報処理方法であって、複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、特定した接触部と、接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、接触部と連結された測定部によって測定された被検体の生体情報を取得する処理をコンピュータが実行するものである。
【0019】
本開示の第4の態様は、情報処理プログラムであって、複数の接触部のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、特定した接触部と、接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部と、を連結し、接触部と連結された測定部によって測定された被検体の生体情報を取得する処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0020】
上記態様によれば、本開示の情報処理装置、測定システム、情報処理方法及び情報処理プログラムは、生体情報の測定に用いられる接触部が複数ある場合でも、適切に生体情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】複数のユーザに対応可能な測定システムの具体例である。
【
図10】複数のユーザに対応可能な測定システムの具体例である。
【
図11】動物を被検体とした測定システムの具体例である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。まず、
図1を参照して、本実施形態に係る測定システム1の構成の一例について説明する。
図1に示すように、測定システム1は、情報処理装置10と、複数の接触部11A~11Dと、少なくとも1つの連結部12と、少なくとも1つの測定部13と、を備える。複数の接触部11A~11Dの各々は、連結部12を介して測定部13に連結される。なお、接触部の数は
図1に示すような4つに限らず、複数であればよい。以下、複数の接触部11A~11Dを特に区別しない場合、単に「接触部11」という。
【0023】
接触部11は、例えば手、肘及び足等の被検体の身体の部位が接触する部位であり、接触した被検体の生体信号を検出するセンサを備える。測定部13は、接触部11に接触している被検体の生体情報を測定する機能を有する。具体的には、測定部13は、接触部11に備えられたセンサによって検出された被検体の生体信号を解析し、生体情報として出力する。生体情報とは、例えば、心電図、体温、血圧及び動脈血酸素飽和度(SpO2)等である。例えば、測定システム1が被検体の心電図を測定する場合、複数の接触部11の各々は心電電極をセンサとして備え、測定部13は心電電極で検出された生体信号を解析し、心電図として出力する。
【0024】
ここで、本実施形態に係る複数の接触部11とは、例えば、電車の吊り革、新幹線及び飛行機等の座席の肘掛け、並びに飲食店及び図書館等の複数人掛けのテーブル等に設けられ、不特定多数の被検体が接触するものである。本実施形態に係る測定システム1においては、連結部12によって、複数の接触部11のうち一部の接触部11が測定部13と連結され、連結される接触部11は切り替え可能となっている。このように測定システム1において、複数の接触部11が1つの測定部13を共有する構成とすることで、測定システム1のサイズの縮小及びコスト低減を図ることができる。
【0025】
情報処理装置10と測定部13は、有線又は無線通信により互いに通信可能とされている。本実施形態に係る情報処理装置10は、複数の接触部11のうち、被検体が接触している接触部11と測定部13を連結させ、連結した接触部11に接触している被検体の生体情報を測定部13に測定させる指示を行う。また、情報処理装置10は、測定部13から、測定された生体情報を取得する。以下、情報処理装置10の詳細な構成について説明する。
【0026】
まず、
図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)21、不揮発性の記憶部22、及び一時記憶領域としてのメモリ23を含む。また、情報処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ24、キーボード、マウス及びボタン等の入力部25、並びにネットワークI/F(Interface)26を含む。ネットワークI/F26は、測定部13、被検体が所有する端末装置18(詳細は後述)及び外部のネットワーク(不図示)との有線又は無線通信を行う。CPU21、記憶部22、メモリ23、ディスプレイ24、入力部25及びネットワークI/F26は、システムバス及びコントロールバス等のバス28を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
【0027】
記憶部22は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記憶媒体によって実現される。記憶部22には、情報処理装置10における情報処理プログラム27が記憶される。CPU21は、記憶部22から情報処理プログラム27を読み出してからメモリ23に展開し、展開した情報処理プログラム27を実行する。CPU21が本開示のプロセッサの一例である。情報処理装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン及びウェアラブル端末等を適用できる。
【0028】
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の機能的な構成の一例について説明する。
図3に示すように、情報処理装置10は、特定部30、取得部32及び制御部34を含む。CPU21が情報処理プログラム27を実行することにより、特定部30、取得部32及び制御部34として機能する。
【0029】
特定部30は、複数の接触部11のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定する。また、特定部30は、複数の接触部11のうち、被検体の身体の複数の部位の各々が接触している2以上の接触部を特定してもよい。この場合、特定部30は、複数の接触部11のうち、1の被検体が同時に接触し得る2以上の接触部の組合せごとに導通状態を確認し、導通していることが確認された組合せに含まれる2以上の接触部に、被検体の身体の複数の部位の各々が接触していると特定してもよい。
【0030】
図4~
図6を参照して、特定部30による特定方法の具体例について説明する。
図4は、測定システム1の具体例を示す構成図である。
図4の測定システム1においては、ユーザAが両手で隣り合う2つの接触部11(電車の吊り革)を掴み、連結部12によってユーザAが掴んでいる2つの接触部11と測定部13が連結された場合に、ユーザAの生体情報としての心電図が測定される。すなわち、ユーザAが接触する2つの接触部11のそれぞれに備えられた2つのセンサが、それぞれ心電図測定におけるプラス電極及びマイナス電極の役割を持つ。測定部13は、2つのセンサ(プラス電極及びマイナス電極)の各々によって検出されたユーザAの生体信号を解析することで、1つの心電図を出力する。ユーザAは本開示の被検体の一例である。
【0031】
図4に示すように、連結部12は3つのスイッチSW1~SW3を含む。スイッチSW1は接触部11A又は11Bと測定部13を連結するスイッチであり、スイッチSW2は接触部11C又は11Dと測定部13を連結するスイッチであり、スイッチSW3は接触部11B又は11Cと測定部13を連結するスイッチである。スイッチSW1及びSW2は、測定部13がそれぞれ何れの接触部11とも連結されない状態をとることもできる。
【0032】
図5には、
図4に示した各スイッチSW1~SW3が同時に取る状態(測定部13との連結先)の組合せを示している。連結部12において、
図5に示す各組合せの状態となるようスイッチSW1~SW3を切り替えることで、1人のユーザAが同時に接触し得る2つの接触部11(隣り合う2つの接触部11)と、測定部13と、がそれぞれ連結される。なお、スイッチSW1~SW3の切り替えは、特定部30が測定部13に指示することで測定部13を介して行われてもよいし、特定部30が直接連結部12を制御することで行われてもよい。
【0033】
特定部30は、
図5に示す組合せ1~3ごとに導通状態を確認し、導通していることが確認された組合せに含まれる2つの接触部11に、ユーザAの両手の各々が接触していると特定する。具体的には、特定部30は、測定部13と連結された2つの接触部11の何れか一方に対して、測定部13から導通確認信号(例えばパルス信号等)を送信させる。導通確認信号を送信した接触部11と、他方の接触部11と、の両方にユーザAが同時に接触していれば、ユーザAの身体及び他方の接触部11を介して、導通確認信号が測定部13に返ってくる。
【0034】
そこで、特定部30は、導通確認信号が測定部13に返ってきた場合、測定部13と連結されている2つの接触部11に、ユーザAの両手の各々が接触していると特定する。一方、特定部30は、導通確認信号が測定部13に返ってこない場合、測定部13と連結されている2つの接触部11の少なくとも一方には、ユーザAの両手の少なくとも一方が接触していないと特定する。特定部30は、
図5に示す組合せ1~3ごとに順番にこの導通確認信号による導通状態の確認を行うことで、ユーザAが両手で接触している2つの接触部11を特定する。
【0035】
例えば、
図4に示すように、ユーザAが両手で接触部11B及び11Cに接触しており、測定部13と接触部11A及び11Bが連結された状態(
図5の組合せ1に対応)の場合は、導通確認信号は測定部13に返ってこない。そこで、特定部30は、接触部11A及び11Bの少なくとも一方には、ユーザAの両手の少なくとも一方が接触していないと特定し、次の組合せ(
図5の組合せ2)について導通状態の確認を行う。
【0036】
図6は、
図5の組合せ1に対応する状態(
図4参照)から、
図5の組合せ2に対応する状態にスイッチSW1~SW3が切り替わった図である。この場合、測定部13からSW3を介して接触部11Cに送信された導通確認信号は、ユーザAの身体及び接触部11Bを介して、測定部13に返ってくる。そこで、特定部30は、接触部11B及び11Cに、ユーザAの両手が接触していると特定する。
【0037】
制御部34は、連結部12に対して、特定部30が特定した2つの接触部11と、測定部13と、を連結させる制御を行う。例えば、
図6に示すように、制御部34は、スイッチSW1を接触部11Bに連結させ、スイッチSW3を接触部11Cに連結させ、スイッチSW2を何れの接触部11にも連結させない状態となるよう、連結部12を制御する。なお、制御部34による連結部12の制御は、測定部13を介して行われてもよいし、制御部34が直接連結部12を制御することで行われてもよい。
【0038】
測定部13は、連結部12によって連結された2つの接触部11のそれぞれに備えられた2つのセンサの各々によって検出された被検体(ユーザA)の生体信号を解析することで、心電図を出力する。取得部32は、2つの接触部11と連結された測定部13によって測定された被検体(ユーザA)の生体情報(心電図)を取得する。
【0039】
また、制御部34は、特定部30が特定した接触部11に接触している被検体(ユーザA)が所有する端末装置18に対して、取得部32が取得した被検体(ユーザA)の生体情報を送信してもよい。ここで、端末装置18とは、例えば、スマートフォン、タブレット端末、及びスマートフォン等のウェアラブル端末等である。
【0040】
例えば、制御部34は、例えばWi-Fi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)等の無線通信を用いて、ネットワークI/F26を介して、端末装置18に対して生体情報を送信してもよい。この場合、他の被検体が所有する端末装置に生体情報を誤送信することを防止するため、例えば、特定部30が特定した接触部11の真下に向けて指向性のある電波を送信する等してもよい。
【0041】
また例えば、制御部34は、特定部30が特定した接触部11に接触している被検体(ユーザA)の身体の部位を介して、端末装置18に対して生体情報を送信してもよい。例えば、端末装置18の一例としてのスマートウォッチに生体情報を送信する場合、接触部11に接触した手及び手首を介して、スマートウォッチに生体情報を送信してもよい。
【0042】
次に、
図7を参照して、本実施形態に係る情報処理装置10の作用を説明する。情報処理装置10において、CPU21が情報処理プログラム27を実行することによって、
図7に示す情報処理が実行される。情報処理は、例えば、ユーザによって入力部25を介して実行開始の指示があった場合に実行される。
【0043】
ステップS10で、特定部30は、複数の接触部11のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定する。ステップS12で、制御部34は、連結部12に対して、ステップS10で特定部30が特定した接触部と、測定部13と、を連結させる制御を行う。ステップS14で、取得部32は、ステップS12において連結部12により2つの接触部11と連結された測定部13によって測定された被検体の生体情報を取得する。ステップS16で、制御部34は、ステップS10で特定部30が特定した接触部に接触している被検体が所有する端末装置18に対して、ステップS14で取得部32が取得した被検体の生体情報を送信し、本情報処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、情報処理装置10は、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、複数の接触部11のうち、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定し、特定した接触部と、当該接触部に接触している被検体の生体情報を測定する測定部13と、を連結し、接触部と連結された測定部13によって測定された被検体の生体情報を取得する。すなわち、情報処理装置10によれば、生体情報の測定に用いられる接触部11が複数ある場合でも、何れの接触部に被検体が接触しているかを特定できるので、適切に生体情報を取得できる。
【0045】
また、情報処理装置10によれば、複数の接触部11が1つの測定部13を共有する構成とすることができるので、測定システム1のサイズの縮小及びコスト低減を図ることができる。
【0046】
なお、上記実施形態においては、
図4~
図6を例に挙げ、連結部12が、特定部30が特定した2つの接触部11と、測定部13と、を連結させる制御を行う形態について説明したが、連結部12により測定部13と連結される接触部11の数は特に限定されない。例えば、連結部12は、1つの接触部11と測定部13とを連結させる制御を行ってもよいし、3つ以上の接触部11と測定部13とを連結させる制御を行ってもよい。
【0047】
また、特定部30が特定する接触部11の数と、連結部12が測定部13と連結させる接触部11の数と、は必ずしも一致しなくともよい。例えば、特定部30が導通確認信号によって被検体が同時に接触している2以上の接触部11を特定した後、特定された2以上の接触部11のうち一部の接触部11と測定部13とを連結させる制御を連結部12が行ってもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、特定部30が導通確認信号によって被検体が接触している接触部11を特定する形態について説明したが、特定部30による特定方法はこれに限定されない。例えば、特定部30は、複数の接触部11をカメラで撮影した画像を解析することで、被検体の身体の部位が接触している接触部を特定してもよい。この場合、被検体が1つの接触部11のみに接触していたり、
図5のように被検体が同時に接触し得る組合せを予め決めておくことが困難であったりしても、被検体が接触している接触部11を特定できる。
【0049】
また例えば、全ての接触部11が被検体の接触を検知する接触センサを備えるようにし、特定部30は、接触センサによって被検体の身体の部位が接触している接触部を特定してもよい。この場合において、接触していると特定された接触部11が複数ある場合、連結部12は、接触していると特定された接触部11を1つずつ順番に測定部13に接続するようスイッチを切り替えることで、1つの接触部11と測定部13とを連結させる制御を行ってもよい。
【0050】
また、上記実施形態において、測定部13が測定し、取得部32が取得する生体情報の種類は1つに限定されず、複数であってもよい。例えば、
図6の例において、接触部11Bには体温センサが備えられ、接触部11CにはSpO2センサが備えられ、測定部13が各センサにより測定された生体信号に基づき、体温及びSpO2を測定する形態としてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、
図4~
図6を例に挙げ、測定システム1において1人のユーザAが接触部11に両手を接触させている形態について説明したが、これに限らない。例えば、測定システム1は、複数の被検体の各々が、互いに異なる接触部11に身体の部位を接触させている形態に対応させることも可能である。すなわち、特定部30は、複数の接触部11のうち、複数の被検体が接触している接触部を被検体ごとに特定してもよい。以下、
図8~
図10を参照して、この場合の特定部30による特定方法の具体例について説明する。
【0052】
図8は、複数の被検体に対応可能な測定システム1の具体例を示す構成図である。
図8の測定システム1は、3つの接触部11A~11C、1つの連結部12A及び1つの測定部13Aを含むセットと、3つの接触部11C~11E、1つの連結部12B及び1つの測定部13Bを含むセットと、を備えている。
図8の測定システム1においては、セットごとに、特定部30がユーザA及びBの各々が接触している接触部11を特定し、制御部34が測定部13と連結させる制御を行う。ユーザA及びBは本開示の複数の被検体の一例である。
【0053】
図8に示すように、連結部12Aは1つのスイッチSWAを含み、連結部12Bは1つのスイッチSWBを含む。スイッチSWAは接触部11A又は11Cと測定部13Aを連結するスイッチであり、スイッチSWBは接触部11C又は11Eと測定部13Bを連結するスイッチである。
図8に示すように、セット間に位置する1つの接触部11Cは、測定部13A及び13Bの双方に連結可能となっている。
【0054】
図9には、
図8に示した各スイッチSWA及びSWBが同時に取る状態(測定部13A及び13Bとの連結先)の組合せを示している。連結部12A及び12Bにおいて、
図9に示す各組合せの状態となるようスイッチSWA及びSWBを切り替えることで、ユーザA及びBが接触する接触部11と、測定部13A及び13Bと、がそれぞれ連結される。
【0055】
特定部30は、
図9に示す組合せ1~2ごとに導通状態を確認し、導通していることが確認された組合せに含まれる2つの接触部11の各々に、ユーザA及びBの片手がそれぞれ接触していると特定する。例えば、
図8に示すように、ユーザAが両手で接触部11B及び11Cに接触しており、ユーザBが両手で接触部11D及び11Eに接触している状態を例に挙げる。この場合において、
図8に示すように、測定部13Aと接触部11A及び11Bが連結され、測定部13Bと接触部11C及び11Dが連結された状態(
図9の組合せ1に対応)であれば、導通確認信号は測定部13A及び13Bに返ってこない。そこで、特定部30は、ユーザAの両手が接触部11A及び11Bに接触し、ユーザBの両手が接触部11C及び11Dに接触しているわけではないと特定し、次の組合せ(
図9の組合せ2)について導通状態の確認を行う。
【0056】
図10は、
図9の組合せ1に対応する状態(
図8参照)から、
図9の組合せ2に対応する状態にスイッチSWA及びSWBが切り替わった図である。この場合、測定部13Aから接触部11Bに送信された導通確認信号は、ユーザAの身体、接触部11C及びスイッチSWAを介して、測定部13Aに返ってくる。また、測定部13Bから接触部11Dに送信された導通確認信号は、ユーザBの身体、接触部11E及びスイッチSWBを介して、測定部13Bに返ってくる。そこで、特定部30は、ユーザAの両手が接触部11B及び11Cに接触し、ユーザBの両手が接触部11D及び11Eに接触していると特定する。
【0057】
制御部34は、連結部12Aに対して、特定部30が特定した2つの接触部11B及び11Cと、測定部13Aと、を連結させる制御を行う。また、制御部34は、連結部12Bに対して、特定部30が特定した2つの接触部11D及び11Eと、測定部13Bと、を連結させる制御を行う。測定部13A及び13Bの各々は、連結部12A及び12Bの各々によって連結された2つの接触部11のそれぞれに備えられた2つのセンサの各々によって検出されたユーザの生体信号を解析することで、心電図を出力する。取得部32は、測定部13A及び13Bの各々から、測定されたユーザA及びBの心電図(生体情報)を取得する。
【0058】
また、上記実施形態においては、測定システム1において被検体が人間である形態について説明したが、本開示の測定システム1は被検体として人間以外の動物(以下、単に「動物」という)を適用してもよい。以下、一例として
図11を参照して、動物を被検体とし、生体情報として動物の心電図を測定する測定システム1について説明する。
【0059】
図11に示す測定システム1は、情報処理装置10と、複数の接触部11と、連結部12と、測定部13と、を備える。
図11に示す測定システム1は、
図1に示す測定システム1とは複数の接触部11の形態が異なるものの、情報処理装置10、複数の接触部11、連結部12及び測定部13の機能は同様であるため、一部説明を省略する。
【0060】
図11において、複数の接触部11は、XY平面上に5以上配置されており、全体としてシート状に形成されている。具体的には、複数の接触部11は、X方向に3以上かつX方向に交差するY方向に3以上のマトリクス状に配置されている。複数の接触部11の各々は、動物の足底部が接触し得る部位であり、接触した動物の生体信号を検出する心電電極を備える。動物は、その四足がそれぞれ複数の接触部11の何れかに接触するように、複数の接触部11の上に立たされる又は座らされる。
【0061】
また、複数の接触部11の各々は、動物の接触を検知する接触センサ(不図示)を備える。特定部30は、接触部11に備えられた接触センサによって、動物の足底部が接触している4つの接触部11を特定する。制御部34は、連結部12に対して、特定部30により特定された4つの接触部11と、測定部13と、を連結させる制御を行う。測定部13は、連結部12により連結された4つの接触部11に備えられた心電電極によって検出された動物の生体信号を解析し、心電図として出力する。取得部32は、測定部13によって測定された動物の心電図を取得する。
【0062】
動物の場合は、心電図の測定中に体勢を変えてしまい、測定部が接触する接触部11が変化してしまう場合が想定される。そこで、特定部30は、接触部11に備えられた接触センサによって、動物の足底部が接触している4つの接触部11が変化したことを検知した場合、接触部11の特定をし直してもよい。制御部34は、連結部12に対して、特定部30により特定し直された4つの接触部11と、測定部13と、を連結し直すよう制御してもよい。
【0063】
このような形態によれば、5以上の接触部11のうち、動物が現在接触している4つの接触部11を特定できるので、動物が動いてもその動きに追従して適切に生体情報を取得できる。また、複数の接触部11の上に動物を立たせることによって心電図を測定できるので、動物を寝かせた状態で心電電極を胸等に張り付けて測定する従来の方法と比較して、動物への負担を軽減できる。
【0064】
なお、
図11に示す測定システム1が対象とする被検体としては、四足歩行の動物を適宜適用でき、特に、接触部11と接触する足底部に生体信号を解析可能な無毛部位を有する動物が好適である。足底部に無毛部位を有する動物としては、例えば、イヌ科、ネコ科、クマ科、イタチ科、アライグマ科、有袋類及びネズミ目等の足底部に肉球を有する動物、並びに、霊長目(例えばサル、チンパンジー及びゴリラ)等の足底部全体が無毛である動物が挙げられる。
【0065】
また、
図11に示す測定システム1では、複数の接触部11がXY平面上でマトリクス状に配列されている形態について説明したが、これに限らない。複数の接触部11の個々の形状、複数の接触部11の全体の形状、及び複数の接触部11の配列方法は特に限定されず、例えば、複数の接触部11がハニカム構造で配列されていてもよい。また、複数の接触部11のそれぞれが異なる形状をしていてもよい。また、複数の接触部11の数は、5以上、500以下であることが好ましい。
【0066】
また、
図11に示す測定システム1では、接触部11と動物の足が1対1で対応する形態を例示したが、これに限らない。例えば、複数の接触部11の各々の大きさ(面積)及び形状は、フレキシブルに変更できるように構成されていてもよい。具体的には、被検体の動物の足底部の大きさ及び形状に応じて、複数の接触部11のうち一部の2以上の接触部11を組み合わせることで、1の接触部11よりも大きな足底部を有する動物に対応可能としてもよい。例えば、1の接触部11の大きさよりも足底部が大きな動物を被検体とする場合に、足1本に対してX方向に3列、Y方向に3列の合計9の接触部11を連結させて、接触部11と動物の足が9対1で対応する形態に変更可能にしてもよい。
【0067】
また、
図11に示す測定システム1において、特定部30は、複数の接触部11をカメラで撮影した画像を解析することで、動物の足底部が接触している4つの接触部11を特定してもよい。
【0068】
また、
図11に示す測定システム1において、制御部34は、被検体である動物の管理者(例えば、飼育者及び獣医師等)が所有する端末装置18に対して、取得部32が取得した動物の生体情報を送信してもよい。被検体である動物と、管理者が所有する端末装置18と、は予め対応付けられて記憶部22に記憶されていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、例えば、特定部30、取得部32及び制御部34といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0070】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0071】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0072】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0073】
また、上記実施形態では、情報処理プログラム27が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。情報処理プログラム27は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、情報処理プログラム27は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。さらに、本開示の技術は、情報処理プログラムに加えて、情報処理プログラムを非一時的に記憶する記憶媒体にもおよぶ。
【0074】
本開示の技術は、上記実施形態例を適宜組み合わせることも可能である。以上に示した記載内容及び図示内容は、本開示の技術に係る部分についての詳細な説明であり、本開示の技術の一例に過ぎない。例えば、上記の構成、機能、作用及び効果に関する説明は、本開示の技術に係る部分の構成、機能、作用及び効果の一例に関する説明である。よって、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容及び図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0075】
1 測定システム
10 情報処理装置
11A~11E 接触部
12 連結部
13 測定部
18 端末装置
21 CPU
22 記憶部
23 メモリ
24 ディスプレイ
25 入力部
26 ネットワークI/F
27 情報処理プログラム
28 バス
30 特定部
32 取得部
34 制御部
SW1~SW3、SWA、SWB スイッチ