(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181308
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】撮像素子、及び、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/3745 20110101AFI20221201BHJP
H04N 5/369 20110101ALI20221201BHJP
【FI】
H04N5/3745
H04N5/369 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088185
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】松本 繁
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX51
5C024CY17
5C024EX12
5C024GX03
5C024GX14
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY39
5C024GY41
(57)【要約】
【課題】画素の信号の品質低下を抑制可能な撮像素子を提供する。
【解決手段】撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部及び第2光電変換部と、電荷を蓄積する第1蓄積部と、前記第1光電変換部に接続され、電荷を転送する第1転送部と、前記第1転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第1接続部と、前記第2光電変換部に接続され、電荷を転送する第2転送部と、前記第2転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第2接続部と、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、電荷を蓄積する第2蓄積部と、前記第3光電変換部に接続され、電荷を転送する第3転送部と、前記第3転送部と前記第2蓄積部とを電気的に接続可能な第3接続部と、前記第1転送部と前記第1接続部との間または前記第2転送部と前記第2接続部との間と、前記第3転送部と前記第3接続部との間とを電気的に接続可能な第4接続部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、
光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と、
電荷を蓄積する第1蓄積部と、
前記第1光電変換部に接続され、電荷を転送する第1転送部と、
前記第1転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第1接続部と、
前記第2光電変換部に接続され、電荷を転送する第2転送部と、
前記第2転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第2接続部と、
光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、
電荷を蓄積する第2蓄積部と、
前記第3光電変換部に接続され、電荷を転送する第3転送部と、
前記第3転送部と前記第2蓄積部とを電気的に接続可能な第3接続部と、
前記第1転送部と前記第1接続部との間または前記第2転送部と前記第2接続部との間と、前記第3転送部と前記第3接続部との間とを電気的に接続可能な第4接続部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部は、前記第1光電変換部または前記第2光電変換部で生成された電荷を蓄積する撮像素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部で生成された電荷を蓄積する第3蓄積部と、
前記第2光電変換部で生成された電荷を蓄積する第4蓄積部と、
前記第3光電変換部で生成された電荷を蓄積する第5蓄積部と、を備え、
前記第4接続部は、前記第3蓄積部または前記第4蓄積部と、前記第5蓄積部とを電気的に接続可能である撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記第1転送部は、前記第3蓄積部に電荷を転送し、
前記第2転送部は、前記第4蓄積部に電荷を転送し、
前記第3転送部は、前記第5蓄積部に電荷を転送し、
前記第1接続部は、前記第1蓄積部と前記第3蓄積部とを電気的に接続可能であり、
前記第2接続部は、前記第1蓄積部と前記第4蓄積部とを電気的に接続可能であり、
前記第3接続部は、前記第2蓄積部と前記第5蓄積部とを電気的に接続可能である撮像素子。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第1出力部と、
前記第2蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する第2出力部と、
所定の電圧を供給する供給部と、
前記第1蓄積部と前記供給部とを接続し、前記第1蓄積部に蓄積された電荷をリセットする第1リセット部と、
前記第2蓄積部と前記供給部とを接続し、前記第2蓄積部に蓄積された電荷をリセットする第2リセット部と、を備える撮像素子。
【請求項6】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する出力部と、
前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を前記出力部により出力させるとともに、前記第2光電変換部と前記第2蓄積部とを前記第2転送部及び前記第3接続部及び前記第4接続部により電気的に接続させる制御を行う制御部と、を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
所定の電圧を供給する供給部と、
前記第1蓄積部と前記供給部とを接続し、前記第1蓄積部に蓄積された電荷をリセットする第1リセット部を備え、
前記制御部は、前記第1蓄積部と前記供給部とを前記第1リセット部により接続させ、前記第1蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を前記出力部により出力させる制御を行う撮像素子。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像素子において、
前記第2蓄積部と前記供給部とを接続し、前記第2蓄積部に蓄積された電荷をリセットする第2リセット部を備え、
前記制御部は、前記第2光電変換部と前記第2蓄積部とを前記第2転送部及び前記第3接続部及び前記第4接続部により接続させるとともに、前記第2蓄積部と前記供給部とを前記第2リセット部により接続させる制御を行う撮像素子。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
光を光電変換して電荷を生成する第4光電変換部と、
電荷を蓄積する第3蓄積部と、
前記第4光電変換部に接続され、電荷を転送する第4転送部と、
前記第4転送部と前記第3蓄積部とを電気的に接続可能な第5接続部と、
前記第1転送部と前記第1接続部との間または前記第2転送部と前記第2接続部との間と、前記第4転送部と前記第5接続部との間とを電気的に接続可能な第6接続部と、
を備える撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部を備える撮像素子。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部は、光学系の瞳の第1の領域および第2の領域をそれぞれ通過した第1の光束および第2の光束のいずれか一方を受光する撮像素子。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力される信号に基づいて画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、及び、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焦点検出用画素を用いた焦点検出技術が知られている(例えば特許文献1)。従来から、焦点検出の精度向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、撮像素子は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と、電荷を蓄積する第1蓄積部と、前記第1光電変換部に接続され、電荷を転送する第1転送部と、前記第1転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第1接続部と、前記第2光電変換部に接続され、電荷を転送する第2転送部と、前記第2転送部と前記第1蓄積部とを電気的に接続可能な第2接続部と、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、電荷を蓄積する第2蓄積部と、前記第3光電変換部に接続され、電荷を転送する第3転送部と、前記第3転送部と前記第2蓄積部とを電気的に接続可能な第3接続部と、前記第1転送部と前記第1接続部との間または前記第2転送部と前記第2接続部との間と、前記第3転送部と前記第3接続部との間とを電気的に接続可能な第4接続部と、を備える。
第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、前記撮像素子から出力される信号に基づいて画像データを生成する生成部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】変形例1に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
【
図7】変形例1に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(実施の形態)
図1は、実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1の構成例を示す図である。カメラ1は、撮影光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮影光学系2は、フォーカスレンズ(焦点調節レンズ)を含む複数のレンズと絞り(開口絞り)を有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮影光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
【0007】
撮像素子3は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等の撮像素子である。撮像素子3は、撮影光学系2を通過した光束を受光し、撮影光学系2により形成される被写体像を撮像する。撮像素子3には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に設けられる。光電変換部は、フォトダイオード(PD)によって構成され、入射した光を電荷に変換する。撮像素子3は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
【0008】
撮像素子3は、画像生成に用いる信号を出力する画素(撮像画素)と、焦点検出に用いる信号を出力する画素(AF画素)とを有する。撮像画素は、ベイヤー配列に従って配置されている。AF画素は、撮像画素の一部に置換して配置され、撮像素子3の像面(撮像面)のほぼ全面に分散して配置される。なお、以下の説明では、単に画素と称する場合は、撮像画素およびAF画素のいずれか一方または両方を指す。
【0009】
メモリ5は、不揮発性の記憶媒体等により構成される。メモリ5には、画像データ、カメラ1の各部の制御に用いるプログラム及びデータ等が記憶される。制御部4は、メモリ5へのデータの書き込み、及びメモリ5からのデータの読み出しを行う。
【0010】
表示部6は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。表示部6は、被写体のスルー画像(ライブビュー画像)、メモリ5に記憶された画像データに基づく画像、AF枠などの焦点検出領域(AFエリア)を示す画像、シャッター速度、絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。表示部6は、タッチパネルを含んでもよく、入出力部としても機能し得る。表示部(入出力部)6は、ユーザによる操作に基づく信号を生成し、制御部4に出力してもよい。
【0011】
操作部7は、レリーズボタン、電源ボタン(スイッチ)、操作ボタン、各種モードを切り替えるためのスイッチ等の部材を含み、カメラ1に対する操作を受け付ける。操作部7は、ユーザによる操作を検出し、操作に基づく信号を制御部4へ出力する。なお、操作部7は、表示部6のタッチパネルを含み得る。
【0012】
制御部4は、プロセッサ及びメモリを有し、カメラ1の各部の制御を行う。制御部4は、CPU、GPU、FPGA、ASIC等のデバイス、及びROM、RAM等のメモリを有する。制御部4は、メモリに格納されたプログラムを読み込んで実行する。制御部4は、プログラムに基づいて情報処理を行う処理部(情報処理部)ともいえる。制御部4は、撮像制御部4aと、画像処理部4bと、焦点検出部4cとを有する。
【0013】
撮像制御部4aは、撮像素子3を制御する信号を撮像素子3に供給し、撮像素子3の動作を制御する。撮像制御部4aは、静止画撮影を行う場合、動画撮影を行う場合、表示部6に被写体のスルー画像を表示する場合等に、撮像素子3に被写体像を撮像させて、画素の信号を出力させる。撮像制御部4aは、撮像素子3の画素を行単位で順次選択して、選択した画素から信号を読み出す、いわゆるローリングシャッタ方式の読み出し制御を行う。
【0014】
撮像制御部4aは、撮像素子3を制御して、AF画素が配置された画素の行(以下、AF画素行と称する)からの信号の読み出しと、AF画素が配置されていない画素の行(以下、撮像画素行と称する)からの信号の読み出しとを分けて行う処理を行う。また、撮像制御部4aは、AF画素行の信号読み出しと撮像画素行の信号読み出しとを分けて行わずに、画素行を順次選択して、各画素の信号を読み出す処理も行う。
【0015】
例えば、撮像制御部4aは、表示部6にスルー画像を表示する場合や動画撮影を行う場合に、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。また、撮像制御部4aは、高解像度の静止画撮影を行う場合には、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行わずに、画素行を順次選択して信号を読み出す処理を行う。
【0016】
画像処理部4bは、撮像素子3の撮像画素から出力される信号に各種の画像処理を行って、各画素の信号を含む画像データ(静止画像データ、動画像データ)を生成する。画像処理部4bは、色補間処理、階調変換処理などの画像処理を行う。なお、画像処理部4bは、AF画素から出力される信号も用いて、画像データを生成するようにしてもよい。画像処理部4bは、画像データを生成する画像データ生成部である。
【0017】
焦点検出部4cは、撮影光学系2の自動焦点調節(AF)に必要な焦点検出処理を行う。焦点検出部4cは、撮像素子3の一対のAF画素(AF画素対)から出力される信号を用いて、位相差検出方式によりデフォーカス量を算出する。焦点検出部4cは、撮影光学系2の射出瞳の第1の領域を通過した第1の光束による像を撮像して生成した第1の信号と、射出瞳の第2の領域を通過した第2の光束による像を撮像して生成した第2の信号とを相関演算して、像ズレ量を算出する。焦点検出部4cは、この像ズレ量を所定の換算式に基づきデフォーカス量に換算する。
【0018】
焦点検出部4cは、算出したデフォーカス量に基づいて、合焦位置までのフォーカスレンズの移動量を算出する。移動量に応じてフォーカスレンズが移動され、焦点調節が行われる。このように、制御部4は、撮影光学系2による被写体の像が撮像素子3に合焦(結像)するようフォーカスレンズの位置を制御する。
【0019】
図2は、実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。撮像素子3は、画素が二次元状(行方向及び列方向)に設けられた画素部(画素領域)100と、供給部60と、読み出し制御部70と、複数の処理部80とを有する。撮像素子3の画素部100には、複数の撮像画素10及びAF画素20(20a、20b)が配置される。
図2においては、左上隅の画素を第1行第1列の撮像画素10(1,1)とし、右下隅の画素を第16行第8列の撮像画素10(16,8)として、16行8列の計128個の画素を図示している。なお、撮像素子3に配置される画素の数及び配置は、図示した例に限られない。
【0020】
撮像画素10には、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)41のいずれかが設けられる。撮像素子3の複数の撮像画素10には、入射した光のうち第1の波長域の光(赤(R)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、R画素と称する)と、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、G画素と称する)と、入射した光のうち第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41を有する画素(以下、B画素と称する)とが含まれる。
図2において、「R」、「G」、「B」は、それぞれ、R、G、Bのカラーフィルタ41が配置されることを示している。R画素と、G画素と、B画素とは、ベイヤー配列に従って配置されている。
【0021】
第1のAF画素20a及び第2のAF画素20bは、上述のようにベイヤー配列されたR、G、Bの撮像画素10の一部に置換して配置される。第1及び第2のAF画素20a、20bには、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ41が配置される。なお、第1及び第2のAF画素20a、20bの各々が有するカラーフィルタは、第1の波長域の光(赤(R)の光)または第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタであってもよい。また、第1及び第2のAF画素20a、20bは、入射した光のうち第1及び第2及び第3波長域の光を分光する分光特性を有するフィルタを有していてもよい。あるいは、第1及び第2のAF画素20a、20bには、カラーフィルタ41を配置しなくてもよい。
【0022】
第1のAF画素20a及び第2のAF画素20bは、それぞれ、光電変換部に入射する光の一部を遮光する遮光部43を有する。第1のAF画素20aと第2のAF画素20bとは、その遮光部43の位置が異なる。第1のAF画素20a及び第2のAF画素20bの各々の遮光部43は、撮影光学系2の射出瞳の互いに異なる領域を通過した光が光電変換部に入射するように配置される。これにより、第1のAF画素20aの光電変換部は、撮影光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第1の領域を通過した光束を受光する。また、第2のAF画素20bの光電変換部は、撮影光学系2の射出瞳の第1及び第2の領域のうちの第2の領域を通過した光束を受光する。
【0023】
撮像素子3は、
図2に示すように、G画素10gとB画素10bとが左右方向、即ち行方向に交互に配置される画素群(第1の撮像画素行)401と、R画素10rとG画素10gとが行方向に交互に配置される画素群(第2の撮像画素行)402とを有する。また、撮像素子3は、G画素10gと第1のAF画素20aとが行方向に交互に配置される画素群(第1のAF画素行)403aと、G画素10gと第2のAF画素20bとが行方向に交互に配置される画素群(第2のAF画素行)403bとを有する。
【0024】
撮像素子3では、水平方向(行方向)に配置された複数の画素ごとに、複数の垂直信号線55(
図2では、第1の垂直信号線55a、第2の垂直信号線55b)が設けられる。垂直方向(列方向)に並んだ複数の画素の列である画素列に対して、第1の垂直信号線55a及び第2の垂直信号線55bが設けられるともいえる。複数の垂直信号線55の各々に対して、後述する電流源56(
図3参照)と処理部80が設けられる。
【0025】
供給部60は、カメラ1の撮像制御部4aによって制御され、各画素に所定の電圧(電位)を供給する。供給部60は、後述する供給部65を介して、撮像画素10及びAF画素20に電源電圧VDDを供給する。
【0026】
読み出し制御部70は、タイミングジェネレータ、論理回路(AND回路、OR回路等)、ラッチ回路、バッファ等の複数の回路により構成される。読み出し制御部70は、撮像制御部4aによって制御され、後述する信号TX、信号RST、信号SEL、信号FDSWなどの信号を各画素に供給して、各画素の動作を制御する。読み出し制御部70は、画素の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。各画素の信号は、その画素に接続された第1の垂直信号線55a又は第2の垂直信号線55bに出力される。
【0027】
処理部80(第1の処理部80a、第2の処理部80b)は、アナログ/デジタル変換部(AD変換部)を含んで構成される。処理部80は、各画素から垂直信号線55を介して入力されるアナログ信号である画素の信号を、デジタル信号に変換する。なお、処理部80は、垂直信号線55を介して入力される画素の信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅するアンプ部を有していてもよい。この場合、処理部80は、アンプ部により増幅された画素の信号をデジタル信号に変換するようにしてもよい。
【0028】
処理部80は、デジタル信号に変換された画素の信号を、不図示の信号処理部に出力する。信号処理部は、入力された画素の信号に対して、相関二重サンプリング、信号量を補正する処理等の信号処理を行った後に、処理後の信号をカメラ1の制御部4に出力する。第1の垂直信号線55aに出力された画素の信号は、第1の処理部80aに入力され、第1の処理部80aにより信号処理が行われた後に、制御部4に出力される。また、第2の垂直信号線55bに出力された画素の信号は、第2の処理部80bに入力され、第2の処理部80bにより信号処理が行われた後に、制御部4に出力される。なお、画素の信号に対する相関二重サンプリング等の信号処理を、処理部80において行うようにしてもよい。この場合、処理部80は、デジタル信号に変換された画素の信号に対して、相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の信号を制御部4に出力するようにしてもよい。
【0029】
図3は、実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
図3は、列方向(垂直方向)及び列方向に交差する行方向(水平方向)に配置される複数の画素のうち、列方向に配置された複数の画素列の一つの画素列の一部を示している。
図3に示す例では、
図2に示す複数の画素のうち、第3行第2列の第1のAF画素20a(3,2)と、第4行第2列のG画素10g(4,2)と、第5行第2列のB画素10b(5,2)と、第6行第2列のG画素10g(6,2)とを図示している。なお、他の画素列の構成も、
図3の画素列の構成と同様である。
【0030】
各画素(AF画素20、撮像画素10)は、それぞれ、光電変換部11と転送部12と蓄積部13と接続部14とを含んで構成される。列方向で隣り合う2つの画素のうち、一方の画素(例えばAF画素20)は、光電変換部11aと転送部12aと蓄積部13aと接続部14aを有し、他方の画素(例えば撮像画素10)は、光電変換部11bと転送部12bと蓄積部13bと接続部14bを有する。接続部14a及び接続部14bは、接続および切断を切り替える切替部(スイッチ部)であるともいえる。光電変換部11a及び光電変換部11bは、それぞれフォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
【0031】
撮像素子3は、
図3において破線45で示すように、隣り合う2つの画素がフローティングディフュージョン(FD)15と、リセット部16と、増幅部17と、第1の選択部18と、第2の選択部19とを共有する構成となる。供給部65は、撮像素子3のうち、電源電圧VDDをリセット部16及び増幅部17に供給(印加)する部分(配線、電極等)である。供給部65は、供給部60(
図2参照)から電源電圧VDDが与えられる。なお、供給部65を、供給部60の一部としてもよい。
【0032】
転送部12aは、信号TX1により制御されるトランジスタM1aから構成される。転送部12aは、接続部12aであり、光電変換部11aと蓄積部13a及び接続部14aとを電気的に接続又は切断する。転送部12aは、光電変換部11aで光電変換された電荷を蓄積部13a及びFD15に転送し得る。転送部12bは、信号TX3により制御されるトランジスタM1bから構成される。転送部12bは、接続部12bであり、光電変換部11bと蓄積部13b及び接続部14bとを電気的に接続又は切断する。転送部12bは、光電変換部11bで光電変換された電荷を蓄積部13b及びFD15に転送し得る。トランジスタM1a、M1bは、それぞれ転送トランジスタである。
【0033】
蓄積部13aには、蓄積部13aに接続されるトランジスタの容量(寄生容量)、配線容量等の容量が付加される。蓄積部13aは、蓄積部13aに転送された電荷を蓄積(保持)可能な部分(領域)である。蓄積部(保持部)13aは、光電変換部11で生成された電荷を蓄積し得る。蓄積部13bには、蓄積部13bに接続されるトランジスタの容量、配線容量等の容量が付加される。蓄積部13bは、蓄積部13bに転送された電荷を蓄積(保持)可能な部分(領域)である。蓄積部(保持部)13bは、光電変換部11で生成された電荷を蓄積し得る。
【0034】
接続部14aは、信号TX2により制御されるトランジスタM2aから構成される。接続部14aは、転送部12a及び蓄積部13aとFD15とを電気的に接続又は切断する。接続部14aは、光電変換された電荷をFD15に転送する。接続部14bは、信号TX4により制御されるトランジスタM2bから構成される。接続部14bは、転送部12b及び蓄積部13bとFD15とを電気的に接続又は切断する。接続部14bは、光電変換された電荷をFD15に転送する。
FD15の容量Cは、FD15に転送された電荷を蓄積(保持)する容量である。FD15は、蓄積部15であり、光電変換部11で生成された電荷を蓄積する。
【0035】
増幅部17は、第1の光電変換部11a、第2の光電変換部11bから転送された電荷による信号を増幅して出力する。増幅部17は、ゲート(端子)がFD15に接続されるトランジスタM4から構成される。トランジスタM4のドレイン(端子)は、電源電圧VDDを供給する供給部65に接続される。トランジスタM4のソース(端子)は、第1の選択部18を介して第1の垂直信号線55aに接続され、第2の選択部19を介して第2の垂直信号線55bに接続される。トランジスタM4は、増幅トランジスタである。増幅部17と第1の選択部18と第2の選択部19とは、光電変換部により生成された電荷に基づく信号を生成し出力する出力部を構成する。
【0036】
リセット部16は、信号RSTにより制御されるトランジスタM3から構成され、FD15により蓄積された電荷をリセットする。リセット部16は、接続部16であり、供給部65とFD15とを電気的に接続又は切断する。リセット部16は、供給部65とFD15とを接続することによって、FD15により蓄積された電荷を供給部65に排出する。リセット部(排出部)16は、FD15に蓄積された電荷を排出し、FD15の電圧をリセットする。リセット部16は、接続部14a及び転送部12aを介して、光電変換部11aに蓄積された電荷を排出し、光電変換部11aの電圧をリセットし得る。また、リセット部16は、接続部14b及び転送部12bを介して、光電変換部11bに蓄積された電荷を排出し、光電変換部11bの電圧をリセットし得る。トランジスタM3は、リセットトランジスタである。
【0037】
第1の選択部18は、信号SEL1により制御されるトランジスタM5から構成され、増幅部17と第1の垂直信号線55aとを電気的に接続又は切断する。第1の選択部18のトランジスタM5は、オン状態の場合に、増幅部17からの信号を第1の垂直信号線55aに出力する。第2の選択部19は、信号SEL2により制御されるトランジスタM6から構成され、増幅部17と第2の垂直信号線55bとを電気的に接続又は切断する。第2の選択部19のトランジスタM6は、オン状態の場合に、増幅部17からの信号を第2の垂直信号線55bに出力する。トランジスタM5、M6は、選択トランジスタである。
【0038】
接続部25は、信号FDSWにより制御されるトランジスタM7から構成される。接続部25は、FD15等を共有する2つの画素のうちの一方の画素の蓄積部13と、その2つの画素とは別の画素の蓄積部13とを電気的に接続又は切断する。接続部25は、FD15等を共有する2つの画素のうちの一方の画素の転送部12と接続部14との間と、その2つの画素とは別の画素の転送部12と接続部14との間とを電気的に接続又は切断するともいえる。
【0039】
図3に示す例では、例えば、第1のAF画素20a(3,2)及びG画素10g(4,2)のうちのG画素10g(4,2)の蓄積部13bと、B画素10b(5,2)の蓄積部13aとを電気的に接続可能な接続部25(接続部25B)が設けられている。なお、G画素10g(4,2)の蓄積部13bとG画素10g(6,2)の蓄積部13bとを電気的に接続可能な接続部25を設けてもよい。また、接続部25を、第1のAF画素20a(3,2)の蓄積部13aと、B画素10b(5,2)の蓄積部13a(又はG画素10g(6,2)の蓄積部13b)とを電気的に接続可能となるように構成してもよい。なお、AF画素20を含まない複数の画素間では、接続部25は配置されなくてもよい。接続部25は、接続および切断を切り替える切替部(スイッチ部)であるともいえる。
【0040】
第1の電流源56aは、第1の垂直信号線55aを介して各画素に接続される。第1の電流源56aは、画素から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を第1の垂直信号線55aと各画素の増幅部17及び第1の選択部18とに供給する。第2の電流源56bは、第2の垂直信号線55bを介して各画素に接続される。第2の電流源56bは、画素から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を第2の垂直信号線55bと各画素の増幅部17及び第2の選択部19とに供給する。
【0041】
画素は、FD15の電圧をリセットしたときの信号(ダーク信号)と、光電変換部11からFD15に転送された電荷に応じた信号(光電変換信号)とを、第1の垂直信号線55a又は第2の垂直信号線55bに順次出力する。光電変換信号は、光電変換部11によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。ダーク信号は、光電変換信号に対する基準レベルを示すアナログ信号となり、光電変換信号の補正に用いられる。ダーク信号は、光電変換信号に含まれるノイズの除去に用いる信号ともいえる。
【0042】
撮像画素10から出力される信号は、処理部80による信号処理が施された後に、カメラ1の制御部4に出力される。第1のAF画素20a及び第2のAF画素20bから出力される信号は、処理部80による信号処理が施された後に、一対の信号(第1及び第2の信号)として制御部4に出力される。
【0043】
本実施の形態では、撮像制御部4aは、ローリングシャッタ方式の読み出し制御を行う。撮像素子3の撮像画素行およびAF画素行は、読み出し制御部70によって順次選択される。撮像素子3では、画素に蓄積された電荷の排出(リセット動作)と画素に蓄積された電荷に基づく信号を画素から読み出す動作(読み出し動作)とが、例えば最上行から最下行に向かって1行または複数行毎に走査しながら行われる。撮像制御部4aは、読み出し制御部70を制御して、全ての画素行を順次選択して各画素の信号を読み出す第1の読み出し処理と、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う第2の読み出し処理とを行う。
【0044】
読み出し制御部70は、撮像制御部4aにより第1の読み出し処理が指示された場合、複数の画素行を順次選択して各画素から信号を出力させる。読み出し制御部70は、
図2では第1行目から第16行目に向かって、画素行を1行または2行単位で順次選択する。読み出し制御部70は、選択した画素行の各画素から信号を垂直信号線55に出力させる。各画素から読み出される信号は、処理部80によって信号処理が施された後に、制御部4に出力される。
【0045】
読み出し制御部70は、撮像制御部4aにより第2の読み出し処理が指示された場合、AF画素行の各画素の信号の読み出しと撮像画素行の各画素の信号の読み出しとを分けて行う。AF画素行(第1のAF画素行403a、第2のAF画素行403b)から信号の読み出しを行う場合、読み出し制御部70は、撮像素子3の複数のAF画素行を最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。撮像画素行(第1の撮像画素行401、第2の撮像画素行402)から信号の読み出しを行う場合、読み出し制御部70は、撮像素子3の複数の撮像画素行を最上行から最下行に向かって順次選択して、各画素の信号を読み出す。
【0046】
第2の読み出し処理では、AF画素行の各画素の信号が撮像画素行の各画素の信号とは別に読み出されるため、焦点検出に用いる信号を効率的に得ることができ、AFのための信号処理の負担を軽減することができる。なお、読み出し制御部70は、第2の読み出し処理が指示された場合に、撮像画素行よりも先にAF画素行の各画素から信号を読み出すようにしてもよい。この場合、AF画素対の第1及び第2の信号を高速に読み出すことができ、焦点調節に要する時間を短縮することができる。また、読み出し制御部70は、AF画素行よりも先に撮像画素行の各画素から信号を読み出すようにしてもよい。
【0047】
図4は、実施の形態に係る撮像素子の動作例を示す図であり、第2の読み出し処理を行って画素の信号を読み出す場合の動作例を示している。縦軸は、画素行を示し、横軸は、各画素行のリセット動作及び読み出し動作が行われるタイミング(時刻t)を示す。
図4では、リセット動作及び読み出し動作が行われる画素行の遷移を模式的に示している。
【0048】
読み出し制御部70は、
図4に示すように、撮像画素行のリセット動作及び読み出し動作を行うと共に、AF画素行のリセット動作及び読み出し動作を行う。なお、本実施の形態では、
図2に模式的に示すように、AF画素行の数は撮像画素行の数よりも少ない。
図4に示す例では、リセット動作及び読み出し動作が行われるAF画素行の総数が、リセット動作及び読み出し動作が行われる撮像画素行の総数よりも少なく、撮像画素行の場合よりもAF画素行の場合の方が、走査に要する時間が短くなっている。
【0049】
図4に示す例では、点線で示した枠G1内において、撮像画素行の読み出し動作が行われるタイミングと、その撮像画素行の隣のAF画素行のリセット動作が行われるタイミングとが同時になる場合が生じている。また、点線の枠G2内においては、AF画素行の読み出し動作が行われるタイミングと、そのAF画素行の隣の撮像画素行のリセット動作が行われるタイミングとが同時になる場合が生じている。
【0050】
点線の枠G1内の期間において、読み出し制御部70は、読み出し動作が行われる撮像画素行の隣のAF画素行の画素に蓄積された電荷の排出を行う場合、そのAF画素行の各画素の接続部14をオフ状態とし、そのAF画素行の各画素の転送部12及びその転送部12に接続される接続部25をオン状態とする。また、読み出し制御部70は、その接続部25に接続される隣の画素行の接続部14及びリセット部16をオン状態とする。読み出し動作が行われる撮像画素行の隣のAF画素行の画素の光電変換部11は、転送部12及び接続部25及び接続部14及びリセット部16を介して、供給部65に電気的に接続される。これにより、AF画素行の各画素において、光電変換部11に蓄積された電荷が供給部65に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。
【0051】
このように、読み出し制御部70は、撮像画素行の画素からFD15に蓄積された電荷に基づく信号を出力させると共に、AF画素行の画素の光電変換部11と供給部65とを接続部25等を介して電気的に接続させる制御を行う。撮像素子3は、接続部25を制御することにより、撮像画素行の読み出し動作を行っている場合であっても、その撮像画素行の隣のAF画素行の各画素に蓄積された電荷の排出を行うことができる。
【0052】
点線の枠G2内の期間では、読み出し制御部70は、読み出し動作が行われるAF画素行の隣の撮像画素行の画素に蓄積された電荷の排出を行う場合、その撮像画素行の各画素の接続部14をオフ状態とし、その撮像画素行の各画素の転送部12及びその転送部12に接続される接続部25をオン状態とする。また、読み出し制御部70は、その接続部25に接続される隣の画素行の接続部14及びリセット部16をオン状態とする。読み出し動作が行われるAF画素行の隣の撮像画素行の画素の光電変換部11は、接続部25等を介して、供給部65に電気的に接続される。これにより、撮像画素行の各画素において、光電変換部11に蓄積された電荷が供給部65に排出され、光電変換部11の電圧がリセットされる。
【0053】
このように、読み出し制御部70は、AF画素行の画素からFD15に蓄積された電荷に基づく信号を出力させると共に、撮像画素行の画素の光電変換部11と供給部65とを接続部25等を介して電気的に接続させる制御を行う。撮像素子3は、接続部25を制御することにより、AF画素行の読み出し動作を行っている場合でも、そのAF画素行の隣の撮像画素行の各画素に蓄積された電荷の排出を行うことができる。
【0054】
本実施の形態では、FD15を共有する構成となる隣り合う画素のうち、一方の画素の読み出し動作が行われるタイミングと他方の画素のリセット動作が行われるタイミングとが同時となっても、画素の信号の品質が低下することを抑制することが可能となる。以下では、画素の信号の品質が低下することを抑制できることを、比較例と対比して説明する。
【0055】
比較例は、
図3の撮像素子3が接続部25を有しない場合である。比較例では、光電変換部11a(又は11b)に蓄積された電荷の排出を行う場合、転送部12a(又は12b)と接続部14a(又は14b)とFD15とリセット部16を介して、光電変換部11a(又は11b)に蓄積された電荷を供給部65に排出する必要がある。また、光電変換信号の読み出しを行う場合、転送部12b(又は12a)を介して、光電変換部11b(又は11a)で光電変換された電荷がFD15に転送される。このため、FD15を共有する隣り合う2つの画素のうちの一方の画素のリセット動作と他方の画素の読み出し動作とを同時に行おうとすると、光電変換部11a、11bの各々で生成された電荷が混合されてしまったり、読み出し対象となる画素の光電変換部11からFD15に転送された電荷が供給部65に排出されてしまったりすることになる。読み出し動作とリセット動作との衝突が生じるともいえる。この場合、読み出し対象となる画素の光電変換部11で光電変換された電荷に応じた信号を適切に読み出すことができなくなる。
【0056】
本実施の形態では、読み出し制御部70は、隣り合う2つの画素のうち一方の画素の読み出し動作を行っている場合、上述したように接続部25を制御することにより、読み出し動作が行われる画素のFD15を介さずに、他方の画素の光電変換部11の電荷の排出を行うことができる。画素の信号の読み出しに用いられる経路とは別の経路で、リセット動作が行われる。撮像素子3は、読み出し動作とリセット動作との衝突を回避することができる。
【0057】
このように、本実施の形態に係る撮像素子3は、読み出し対象となる画素の光電変換部11で光電変換された電荷に応じた信号を適切に読み出すことができる。撮像画素行の各画素の信号の品質が低下することを抑制することができ、画素の信号を用いて生成される画像の画質が低下することを抑制することが可能となる。また、AF画素行の各画素の信号の品質が低下することを抑制することができ、画素の信号を用いた焦点検出の精度が低下することを防ぐことができる。
【0058】
図5は、実施の形態に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。このフローチャートを参照して、
図3に示す撮像素子3の動作例について説明する。
図5に示すタイミングチャートにおいて、縦軸は信号の電圧レベルを示し、横軸は時刻を示している。
図5において、ハイレベル(例えば電源電圧VDD)の制御信号(信号RST、信号TX、信号SEL、信号FDSW)が入力されるトランジスタはオン状態となり、ローレベル(例えば接地電圧)の制御信号が入力されるトランジスタはオフ状態となる。
【0059】
図5に示す時刻t1において、信号RST<0>がハイレベルになる。信号RST<0>がハイレベルになることで、第3行目の第1のAF画素20a(3,2)と第4行目のG画素10g(4,2)とで共有されるリセット部16のトランジスタM3がオン状態になる。また、時刻t1では、信号TX1<0>及び信号TX2<0>がハイレベルになることで、転送部12aのトランジスタM1aと接続部14aのトランジスタM2aとがオン状態になる。信号RST<0>と信号TX1<0>と信号TX2<0>が共にハイレベルであるため、供給部65とFD15と蓄積部13aと光電変換部11aとが電気的に接続される。これにより、FD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電荷が排出され、FD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電圧がリセットされる。
【0060】
時刻t2では、信号RST<0>がハイレベルになり、第1のAF画素20a(3,2)とG画素10g(4,2)とで共有されるFD15の電荷がリセットされ、FD15の電圧がリセット電圧になる。また、時刻t2では、信号SEL1<0>がハイレベルになる。信号SEL1<0>がハイレベルになることで、第1のAF画素20a(3,2)とG画素10g(4,2)とで共有される第1の選択部18のトランジスタM5がオン状態になる。これにより、第1のAF画素20a(3,2)のリセット電圧に基づく信号、即ち第1のAF画素20a(3,2)のFD15の電荷をリセットした後の信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線55aに出力される。リセット電圧に基づく信号は、ダーク信号(リセット信号)として、第1の垂直信号線55aを介して第1の処理部80aに入力されデジタル信号に変換される。
【0061】
また、時刻t2では、信号RST<1>がハイレベルになる。信号RST<1>がハイレベルになることで、第5行目のB画素10b(5,2)と第6行目のG画素10g(6,2)とで共有されるリセット部16のトランジスタM3がオン状態になる。また、信号TX1<1>及び信号TX2<1>がハイレベルになり、第5行目及び第6行目の画素において、転送部12aと接続部14aとがオン状態となる。
【0062】
更に、時刻t2では、信号FDSW<1>及び信号TX3<0>がハイレベルになることで、接続部25BのトランジスタM7とG画素10g(4,2)の転送部12bのトランジスタM1bとがオン状態になる。信号TX3<0>と、信号FDSW<1>と、信号TX1<1>と、信号TX2<1>と、信号RST<1>とが、共にハイレベルとなる。この場合、G画素10g(4,2)の光電変換部11b及び蓄積部13bと、B画素10b(5,2)の光電変換部11a及び蓄積部13a及びFD15とが、供給部65に電気的に接続される。これにより、B画素10b(5,2)のFD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電荷が排出され、FD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電圧がリセットされる。また、接続部25Bを介して、G画素10g(4,2)の光電変換部11b及び蓄積部13bの電荷が排出され、光電変換部11b及び蓄積部13bの電圧がリセットされる。
【0063】
時刻t3では、信号TX1<0>及び信号TX2<0>がハイレベルになる。信号TX1<0>及び信号TX2<0>がハイレベルになることで、第1のAF画素20a(3,2)において、転送部12aと接続部14aとがオン状態になり、光電変換部11aとFD15とが電気的に接続される。このため、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t3では、信号SEL1<0>がハイレベルである。このため、第1のAF画素20a(3,2)の光電変換部11aで生成された電荷に基づく信号(光電変換信号)が、増幅部17及び第1の選択部18によって第1の垂直信号線55aに出力される。光電変換信号は、第1の垂直信号線55aを介して第1の処理部80aに入力され、デジタル信号に変換される。
【0064】
時刻t4において、信号SEL1<0>がローレベルになり、第1の選択部18がオフ状態になる。また、信号FDSW<1>がローレベルになり、接続部25Bがオフ状態になる。時刻t5では、信号RST<0>及び信号TX1<0>及び信号TX2<0>がハイレベルになり、第3行目及び第4行目の画素において、FD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電荷が排出され、FD15及び蓄積部13a及び光電変換部11aの電圧がリセットされる。
【0065】
時刻t6では、信号RST<0>がハイレベルになり、第3行目及び第4行目の画素において、FD15の電荷がリセットされ、FD15の電圧がリセット電圧になる。また、時刻t6では、信号SEL1<0>がハイレベルになることで、第3行目及び第4行目の画素において、第1の選択部18がオン状態になる。G画素10g(4,2)のリセット電圧に基づくダーク信号が、増幅部17及び第1の選択部18により第1の垂直信号線55aに出力される。第3行目の各画素のダーク信号は、第1の垂直信号線55aを介して第1の処理部80aに入力されデジタル信号に変換される。
【0066】
また、時刻t6では、信号RST<1>がハイレベルになり、第5行目及び第6行目の画素において、FD15の電荷がリセットされ、FD15の電圧がリセット電圧になる。また、時刻t6では、信号SEL2<1>がハイレベルになることで、第5行目及び第6行目の画素において、第2の選択部19がオン状態になる。B画素10b(5,2)のリセット電圧に基づくダーク信号が、増幅部17及び第2の選択部19により第2の垂直信号線55bに出力される。第5行目の各画素のダーク信号は、第2の垂直信号線55bを介して第2の処理部80bに入力されデジタル信号に変換される。
【0067】
時刻t7において、信号TX3<0>及び信号TX4<0>がハイレベルになることで、第3行目及び第4行目の画素において、光電変換部11bとFD15とが電気的に接続され、光電変換部11bで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t7では、信号SEL1<0>がハイレベルである。このため、G画素10g(4,2)の光電変換部11bで生成された電荷に基づく光電変換信号が、増幅部17及び第1の選択部18によって第1の垂直信号線55aに出力される。第4行目の各画素の光電変換信号は、第1の垂直信号線55aを介して第1の処理部80aに入力され、デジタル信号に変換される。
【0068】
また、時刻t7では、信号TX1<1>及び信号TX2<1>がハイレベルになることで、第5行目及び第6行目の画素において、光電変換部11aとFD15とが電気的に接続され、光電変換部11aで光電変換された電荷がFD15に転送される。また、時刻t7では、信号SEL2<1>がハイレベルである。このため、B画素10b(5,2)の光電変換部11aで生成された電荷に基づく光電変換信号が、増幅部17及び第2の選択部19によって第2の垂直信号線55bに出力される。第5行目の各画素の光電変換信号は、第2の垂直信号線55bを介して第2の処理部80bに入力され、デジタル信号に変換される。
【0069】
処理部80(第1の処理部80a、第2の処理部80b)は、デジタル信号に変換されたダーク信号と光電変換信号とを用いて相関二重サンプリング等の信号処理を行った後に、処理後の信号を制御部4に出力する。このように、本実施の形態では、撮像素子3は、接続部25を制御することにより、光電変換部11及び蓄積部13に対するリセット動作を行うことができる。撮像素子3は、画素の信号の読み出しに用いられる経路とは別の経路で光電変換部11及び蓄積部13のリセット動作を行うことができ、読み出し動作によって読み出される画素の信号の品質が低下することを抑制することができる。
【0070】
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部(光電変換部11)と、光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と、電荷を蓄積する第1蓄積部(FD15)と、第1光電変換部に接続され、電荷を転送する第1転送部(転送部12)と、第1転送部と第1蓄積部とを電気的に接続可能な第1接続部(接続部14)と、第2光電変換部に接続され、電荷を転送する第2転送部と、第2転送部と第1蓄積部とを電気的に接続可能な第2接続部と、光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、電荷を蓄積する第2蓄積部と、第3光電変換部に接続され、電荷を転送する第3転送部と、第3転送部と第2蓄積部とを電気的に接続可能な第3接続部と、第1転送部と第1接続部との間または第2転送部と第2接続部との間と、第3転送部と第3接続部との間とを電気的に接続可能な第4接続部(接続部25)と、を備える。このようにしたので、本実施の形態に係る撮像素子3は、接続部25を制御することにより、画素の信号の読み出しに用いている経路とは別の経路で、光電変換部11の電荷のリセットを行うことが可能となる。
【0071】
(2)本実施の形態では、第1及び第2の光電変換部の一方で生成された電荷に基づく信号の読み出しを行う場合に、他方の光電変換部の電荷をリセットすることができる。読み出し動作とリセット動作との衝突を回避することができ、画素の信号の品質が低下することを抑制することができる。
【0072】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0073】
(変形例1)
撮像素子3は、接続部25及び接続部14を制御することにより、複数のFD15を電気的に連結(接続)した状態で、画素の信号の読み出しを行うようにしてもよい。
図6は、変形例1に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。
図6に示す例では、B画素10b(1,2)、G画素10g(2,2)、第1のAF画素20a(3,2)、G画素10g(4,2)、B画素10b(5,2)、G画素10g(6,2)、B画素10b(7,2)、G画素10g(8,2)を図示している。
図7は、変形例1に係る撮像素子の動作例を示すタイミングチャートである。
【0074】
図7に示す時刻t2から時刻t4までの期間では、信号TX4<0>、信号FDSW<0>、及び信号TX2<1>がハイレベルになる。これにより、B画素10b(1,2)及びG画素10g(2,2)で共有されるFD15(FD15A)と、第1のAF画素20a(3,2)及びG画素10g(4,2)で共有されるFD15(FD15B)とが電気的に接続された状態となる。この場合、これらの画素の光電変換部11から電荷が転送されると、2つのFD15に分配されることになる。即ち、光電変換部11から転送された電荷が、FD15AとFD15Bとに分けて蓄積されることになる。光電変換部11から電荷が転送される領域の容量が大きくなり、電荷を電圧に変換する際の変換ゲインを小さくすることが可能となる。
【0075】
時刻t2において、信号RST<0>及び信号RST<1>がハイレベルになり、FD15A及びFD15Bの電圧がリセットされる。また、時刻t2では、信号SEL1<0>及び信号SEL1<1>がハイレベルになる。これにより、FD15A及びFD15Bのリセット電圧に基づくダーク信号が、B画素10b(1,2)及びG画素10g(2,2)で共有される第1の選択部18と、第1のAF画素20a(3,2)及びG画素10g(4,2)で共有される第1の選択部18とにより、第1の垂直信号線55aに出力される。
【0076】
時刻t3では、信号TX1<1>がハイレベルになることで、第1のAF画素20a(3,2)の光電変換部11aで光電変換された電荷が、FD15A及びFD15Bに転送されて蓄積される。また、時刻t3では、信号SEL1<0>及び信号SEL1<1>がハイレベルである。このため、FD15A及びFD15Bに蓄積された電荷に基づく信号、即ち第1のAF画素20a(3,2)の光電変換信号が、第1の垂直信号線55aに出力される。
【0077】
図7に示す時刻t6から時刻t8までの期間では、時刻t2から時刻t4までの期間の場合と同様に、FD15AとFD15Bとが電気的に接続された状態となる。また、信号TX4<2>、信号FDSW<2>、及び信号TX2<3>がハイレベルになる。これにより、B画素10b(5,2)及びG画素10g(6,2)で共有されるFD15(FD15C)と、B画素10b(7,2)及びG画素10g(8,2)で共有されるFD15(FD15D)とが電気的に接続された状態となる。
【0078】
時刻t6において、信号RST<0>及び信号RST<1>がハイレベルになり、信号SEL1<0>及び信号SEL1<1>がハイレベルになる。これにより、FD15A及びFD15Bのリセット電圧に基づくダーク信号が、第1の垂直信号線55aに出力される。また、時刻t6では、信号RST<2>及び信号RST<3>がハイレベルになり、信号SEL2<2>及び信号SEL2<3>がハイレベルになる。これにより、FD15C及びFD15Dのリセット電圧に基づくダーク信号が、第2の垂直信号線55bに出力される。
【0079】
時刻t7では、信号TX3<1>及び信号TX4<1>がハイレベルになることで、G画素10g(4,2)の光電変換部11bで光電変換された電荷が、FD15A及びFD15Bに転送されて蓄積される。また、時刻t7では、信号SEL1<0>及び信号SEL1<1>がハイレベルである。このため、FD15A及びFD15Bに蓄積された電荷に基づく信号、即ちG画素10g(4,2)の光電変換信号が、第1の垂直信号線55aに出力される。また、時刻t7では、信号TX1<2>及び信号TX2<2>がハイレベルになることで、B画素10b(5,2)の光電変換部11aで光電変換された電荷が、FD15C及びFD15Dに転送されて蓄積される。また、時刻t7では、信号SEL2<2>及び信号SEL2<3>がハイレベルである。このため、FD15C及びFD15Dに蓄積された電荷に基づく信号、即ちB画素10b(5,2)の光電変換信号が、第2の垂直信号線55bに出力される。
【0080】
なお、上記では、2つの第1の選択部18(又は2つの第2の選択部19)を共にオン状態として、画素の信号を第1の垂直信号線55a(又は第2の垂直信号線55b)に出力する例について説明した。しかし、2つの第1の選択部18のいずれか一方をオン状態として、画素の信号を第1の垂直信号線55aに出力するようにしてもよい。また、2つの第2の選択部19のいずれか一方をオン状態として、画素の信号を第2の垂直信号線55bに出力するようにしてもよい。
【0081】
(変形例2)
上述した実施の形態では、隣り合う2つの画素がFD15及び増幅部17等を共有する例について説明したが、画素の構成はこれに限らない。3つの画素、又はそれ以上の画素で、FD15等を共有する構成としても良い。例えば、4つの画素でFD15等を共有する構成としても良い。
【0082】
(変形例3)
上述した実施の形態では、光電変換部としてフォトダイオードを用いる例について説明した。しかし、光電変換部として光電変換膜(有機光電膜)を用いるようにしてもよい。
【0083】
(変形例4)
上述した実施の形態では、撮像素子3に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0084】
(変形例5)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像素子及び撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
【0085】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…撮像装置、3…撮像素子、4a…撮像制御部、4b…画像処理部、4c…焦点検出部、10…撮像画素、11a,11b…光電変換部、12a,12b…転送部、13a,13b…蓄積部、14a,14b、25…接続部、15…FD、16…リセット部、17…増幅部、18…第1の選択部、19…第2の選択部、20a…第1のAF画素、20b…第2のAF画素、43…遮光部、60,65…供給部、70…読み出し制御部、80a…第1の処理部、80b…第2の処理部