(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181405
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】撮像素子および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20221201BHJP
H04N 5/361 20110101ALI20221201BHJP
【FI】
H04N5/369
H04N5/361
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088333
(22)【出願日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】駒場 貴文
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昇
(72)【発明者】
【氏名】亀川 貴行
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 元輝
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX32
5C024EX26
5C024GY31
5C024HX01
5C024HX23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理回路部で発生した熱によるノイズを低減する撮像素子および撮像装置を提供する。
【解決手段】複数の画素を有する画素部110と、複数の画素から出力された画素信号を処理する制御回路部210とを備えた撮像素子において、制御回路部210の発熱を外に放熱する放熱経路を設ける。画素部110は、それぞれ画素を有する第1画素ブロックと第2画素ブロックとを有し、制御回路部210は、第1画素ブロックが出力した画素信号を処理する第1処理ブロックと、第2画素ブロックが出力した画素信号を処理する第2処理ブロックとを有し、放熱経路は、第1処理ブロックの放熱経路と第2処理ブロックの放熱経路とを有してもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する画素部と、
前記複数の画素から出力された画素信号を処理する処理回路部と、
前記処理回路部の発熱を外に放熱する放熱経路を設けた撮像素子。
【請求項2】
前記画素部は、それぞれ画素を有する第1画素ブロックと第2画素ブロックとを有し、
前記処理回路部は、前記第1画素ブロックが出力した画素信号を処理する第1処理ブロックと、前記第2画素ブロックが出力した画素信号を処理する第2処理ブロックとを有し、
前記放熱経路は、前記第1処理ブロックの放熱経路と前記第2処理ブロックの放熱経路とを有する請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
前記第1処理ブロックおよび前記第2処理ブロックのそれぞれは、前記画素信号をデジタル信号に変換する変換部を有する請求項2に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第1処理ブロックは、前記第1画素ブロックの露光を制御する露光制御部をさらに有し、
前記第2処理ブロックは、前記第2画素ブロックの露光を制御する露光制御部をさらに有する請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1処理ブロックの前記放熱経路および前記第2処理ブロックの前記放熱経路のそれぞれには、互いに独立して駆動される能動的な放熱素子が設けられる請求項2から4のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第1処理ブロックおよび前記第2処理ブロックそれぞれは、前記画素信号を読み出す電流を供給する画素電流源をさらに有し、
前記第1処理ブロックの前記放熱経路および前記第2処理ブロックの前記放熱経路のそれぞれは、前記変換部の放熱経路と前記画素電流源の放熱経路とを有する請求項3、または、請求項3を引用する請求項4もしくは5に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1処理ブロックの前記放熱経路および前記第2処理ブロックの前記放熱経路のそれぞれにおいて、前記変換部の放熱経路および前記画素電流源の放熱経路のそれぞれには、互いに独立して駆動される能動的な放熱素子が設けられる請求項6に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記画素部は第1基板に設けられており、前記処理回路部は、前記第1基板に積層された第2基板に設けられている請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第2基板と積層され、前記処理回路部が出力した前記画素信号を画像処理する画像処理部が配された第3基板をさらに備え、
前記処理回路部の前記放熱経路は、前記処理回路部の発熱を前記第3基板を介して放熱する請求項8に記載の撮像素子。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の撮像素子を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AD変換部を備える撮像素子が知られている(例えば、特許文献1)。従来から、AD変換部で発生した熱によるノイズが問題となっていた。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2013-51674
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、撮像素子であって、複数の画素を有する画素部と、複数の画素から出力された画素信号を処理する処理回路部と、処理回路部の発熱を外に放熱する放熱経路を設けた。
【0004】
本発明の第2の態様においては、撮像装置であって、上記撮像素子を備える。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。
【
図5】処理ブロック220のより具体的な構成の一例を示す。
【
図6】ひとつの処理ブロック220における放熱素子240,260を模式的に示す断面図である。
【
図7】隣接する2つの画素電流源121A,121Bにおける放熱素子240A,250A,240B,250Bを模式的に示す断面図である。
【
図8】実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
本明細書において、X軸とY軸とは互いに直交し、Z軸はXY平面に直交する。XYZ軸は右手系を構成する。Z軸と平行な方向を撮像素子の積層方向と称する場合がある。本明細書において、「上」及び「下」の用語は、重力方向における上下方向に限定されない。これらの用語は、Z軸方向における相対的な方向を指すに過ぎない。なお、本明細書では、X軸方向の配列を「行」とし、Y軸方向の配列を「列」として説明するが、行列方向はこれに限定されない。
【0009】
図1は、撮像素子400の概要を示す図である。撮像素子400は、被写体を撮像する。撮像素子400は、撮像された被写体の画像データを生成する。撮像素子400は、第1基板100、第2基板200および第3基板300を備える。
図1に示すように、第1基板100は、第2基板200に積層されている。また、第2基板200は第3基板300に積層されている。
【0010】
第1基板100は、画素部110を有する。画素部110には、光が入射される。画素部110は、入射された光に基づく画素信号を出力する。第1基板100を画素チップと称することがある。
【0011】
第2基板200は、制御回路部210および周辺回路部230を有する。第2基板200を処理回路チップと称することがある。
【0012】
本例の制御回路部210は、第2基板200において、画素部110と対向する位置に配置されている。制御回路部210は、画素部110の駆動を制御するための制御信号を画素部110に出力する。制御回路部210にはさらに、画素部110から出力された画素信号が入力される。
【0013】
制御回路部210は画素信号に対する信号処理を行う。例えば、制御回路部210は、アナログ信号をデジタル信号に変換する処理を行う。具体的には、制御回路部210は、入力された画素信号をデジタル信号に変換する処理を行う。制御回路部210は他の信号処理を行ってもよい。他の信号処理の例としてアナログまたはデジタルのCDS(相関二重サンプリング)などのノイズ除去処理が挙げられる。
【0014】
周辺回路部230は、制御回路部210の駆動を制御する。周辺回路部230は、第2基板200において、制御回路部210の周辺に配置されている。また、周辺回路部230は、第1基板100と電気的に接続され、画素部110の駆動を制御してもよい。
【0015】
第3基板300は、画像処理部310を有する。第3基板300を画像処理チップと称することがある。
【0016】
本例の画像処理部310は、第3基板300において、制御回路部210と対向する位置に配置されている。制御回路部210は、制御回路部210が出力した画素信号に対する画像処理を行う。さらに、画像処理部310は、制御回路部210の発熱を外に放熱する機能も有する。なお、撮像素子400の構造は、裏面照射型であっても、表面照射型であってもよい。
【0017】
図2は、画素部110の具体的な構成の一例を示す。本例では、画素部110と、画素部110に設けられた画素ブロック120の拡大図を示している。
【0018】
画素部110は、行方向および列方向に沿って並んで配置された複数の画素ブロック120を有する。本例の画素部110は、M×N個(M,Nは、自然数)の画素ブロック120を有する。本例では、MがNと等しい場合を図示しているが、MとNは異なっていてもよい。
【0019】
画素ブロック120は、少なくとも1つの画素112を有する。本例の画素ブロック120は、m×n個(m,nは、自然数)の画素112を有する。例えば、画素ブロック120は、16×16個の画素112を有する。画素ブロック120に対応する画素112の個数はこれに限定されない。本例では、mがnと等しい場合を図示しているが、mはnと異なっていてもよい。画素ブロック120は、行方向において共通の制御線に接続された複数の画素112を有する。例えば、画素ブロック120のそれぞれの画素112は、同一の露光時間に設定されるように共通の制御線に接続されている。一例において、行方向に並ぶn個の画素112が共通の制御線によって接続される。
【0020】
一方、複数の画素ブロック120同士では、それぞれ異なる露光時間に設定されてよい。即ち、画素ブロック120のそれぞれの画素112は同一の露光時間であるが、他の画素ブロック120では異なる露光時間に設定されてよい。例えば、画素ブロック120の画素112が行方向に共通の制御線で接続されている場合に、他の画素ブロック120の画素112が異なる制御線で共通に接続される。
【0021】
画素ブロック120は、後述する処理ブロック220に対応して配置される。本実施形態では、1つの処理ブロック220に対して、1つの画素ブロック120が配置されている。
【0022】
画素112は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。画素112は、光電変換された電荷を蓄積する。m個の画素112は、列方向に沿って並んで配置され、共通の信号線122に接続されている。そして、m個の画素112は、画素ブロック120において、行方向にn列並んで配列されている。
【0023】
換言すれば、画素ブロック120は、共通の制御線で接続された複数の画素112のあつまりである。また、画素ブロック120は、同一の露光時間が設定される複数の画素112の回路の最小単位であるともいえる。
【0024】
図3は、画素112の回路構成の一例を示す。画素112は、光電変換部104と、転送部123と、排出部124と、リセット部126と、画素出力部127とを備える。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。本例では、転送部123、排出部124、リセット部126、増幅部128および選択部129は、Nチャンネル型FETとして説明するが、トランジスタの種類はこれに限られない。
【0025】
光電変換部104は、光を電荷に変換する光電変換機能を有する。光電変換部104は、光電変換された電荷を蓄積する。光電変換部104は、例えば、フォトダイオードである。
【0026】
転送部123は、光電変換部104に蓄積された電荷を蓄積部125に転送する。転送部123は、光電変換部104の電荷を転送するトランスファーゲートの一例である。換言すれば、転送部123をゲートとし、光電変換部104をソースとし、蓄積部125をドレインとして、これらがいわゆる転送トランジスタを構成している。転送部123のゲート端子は、制御信号φTX1を入力するための画素ブロック120ごとのローカルな転送制御線に接続される。
【0027】
排出部124は、光電変換部104に蓄積された電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。排出部124のゲート端子は、排出制御信号φTX2を入力するための画素ブロック120ごとのローカルな排出制御線に接続される。なお、本例では、排出部124は、光電変換部104の電荷を電源電圧VDDが供給される電源配線に排出するとして説明したが、電源電圧VDDとは異なる電源電圧が供給される電源配線に排出してもよい。
【0028】
蓄積部125は、転送部123により光電変換部104からの電荷が転送される。蓄積部125は、フローティングディフュージョン(FD)の一例である。
【0029】
リセット部126は、蓄積部125の電荷を所定の電源電圧VDDが供給される電源配線に排出する。リセット部126のゲート端子は、リセット制御信号φRSTを入力するための複数の画素ブロック120にわたるグローバルなリセット制御線に接続される。
【0030】
画素出力部127は、蓄積部125の電位に基づく信号を信号線122に出力する。画素出力部127は、増幅部128および選択部129を有する。増幅部128は、ゲート端子が蓄積部125に接続され、ドレイン端子が電源電圧VDDの供給される電源配線に接続され、ソース端子が選択部129のドレイン端子に接続される。
【0031】
選択部129は、画素112と信号線122の間の電気的な接続を制御する。選択部129により画素112と信号線122が電気的に接続されると、画素112から信号線122に画素信号が出力される。選択部129のゲート端子は、選択制御信号φSELを入力するための複数の画素ブロック120にわたるグローバルな選択制御線に接続される。選択部129のソース端子は画素電流源121に接続されている。
【0032】
画素電流源121は、信号線122に電流を供給する。画素電流源121は、後述するように第2基板200に設けられる。
【0033】
以降、光電変換部104に蓄積された電荷、蓄積部125に転送された電荷および蓄積部125の電位に基づく信号のいずれか、または、これらを総称して、画素信号と称する場合がある。
【0034】
付言すれば、画素112は少なくとも1つの光電変換部104と、当該少なくとも1つの光電変換部104からの画像信号を信号線122に読み出す読出部としての画素出力部127等と、を備えている。画素112は、画像を構成する画素信号を信号線122に出力する回路の最小単位であるともいえる。
【0035】
図4は、制御回路部210のより具体的な構成の一例を示す。制御回路部210は、行方向および列方向に沿って並んで配置された処理ブロック220を有する。本例の制御回路部210は、M×N個の処理ブロック220を有する。
【0036】
処理ブロック220は、画素ブロック120に対応した位置にそれぞれ配置される。例えば、処理ブロック220と画素ブロック120は第1基板100と第2基板200の積層方向から見て重なった位置に配される。この場合に、処理ブロック220と画素ブロック120の面積は隣接するブロック間のマージンを含めて略同一であってよい。
【0037】
図5は、処理ブロック220のより具体的な構成の一例を示す。処理ブロック220は、対応する画素ブロック120の駆動を制御する。例えば、処理ブロック220は、画素ブロック120の露光時間を制御する。また、処理ブロック220は、ADコンバータ等の処理回路を有し、画素ブロック120が出力した信号を処理する。一例において、処理ブロック220は、対応する画素ブロック120から出力されたアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。本例の処理ブロック220は、露光制御部10と、画素駆動部20と、画素電流源121と、変換部40と、信号出力部50とを備える。
【0038】
露光制御部10は、複数の画素112の露光を制御する。露光制御部10は、画素112の露光時間を制御するための信号を生成する。一例において、露光制御部10は、露光の開始タイミングまたは終了タイミングの少なくとも1つを調整して、画素ブロック120毎の露光時間を制御する。
【0039】
画素駆動部20は、複数の画素112と電気的に接続される。画素駆動部20は、露光制御部10からの信号に基づき、複数の画素112から、任意の画素112を選択して駆動する。撮像素子400は、入射光の強度に応じて、画素ブロック120毎に露光時間の設定が可能であるため、ダイナミックレンジを拡大することができる。
【0040】
画素電流源121は、画素信号を読み出すときに信号線122に電流を供給する。画素電流源121はさらに、第1基板100と第2基板200とを電気的に接合する機能も有する。特に、画素電流源121は信号線122によって、第1基板100から入力された画素信号を信号変換部40に入力する。信号線122は、行方向に配置されたn個の画素112に対応して設けられ、信号変換部40に画素信号を列毎に入力する。
【0041】
変換部40は、画素部110が出力したアナログ信号をデジタル変換する。本例の変換部40は、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。変換部40は、列方向に配列されたm個の画素112からのアナログ信号を順次デジタル変換する。変換部40は、行方向にn列に並んだ画素112からのアナログ信号を並列にデジタル変換する。これは、一つの画素ブロック120に対していわゆるカラムADC方式であるともいえる。
【0042】
信号出力部50は、変換部40からデジタル信号を受信する。一例において、信号出力部50は、デジタル信号を一時的に記憶する。信号出力部50は、デジタル信号を記憶するためのラッチ回路を有してよい。信号出力部50はさらに、一次的に記憶したデジタル信号を画像処理部310に出力する。
【0043】
なお、1つの画素ブロック120に対して1つの処理ブロック220を設けることに代えて、N個(Nは2以上の自然数)の画素ブロック120に対して1つの処理ブロックを設けてもよい。1つの画素ブロックに対応したN個の画素ブロック120を画素ブロック群と称することがある。例えば、列方向に沿って並んで配置された2つの画素ブロック120を1つの画素ブロック群として、1つの処理ブロック220を設けてもよい。この場合、処理ブロック220は、画素ブロック120毎に露光時間を制御してもよい。
【0044】
付言すれば、処理ブロック220は、少なくとも1つの画素ブロック120に電気的に接続され、当該少なくとも1つの画素ブロック120の画素112を制御する回路の最小単位であるともいえる。
【0045】
処理ブロック220は、画素信号の処理時に発熱する。例えば、画素信号を読み出すために画素電流源121に電流が流れることにより発熱する。他にも、読み出された画素信号が変換部40でデジタル信号に変換される処理でも発熱する。この熱が画素112に伝わることにより、画素信号にノイズが生じて、いわゆる画素ムラを生じることがある。
【0046】
そこで、本実施形態では、処理ブロック220に放熱素子240,250,260,270を設けて、処理ブロック220からの熱を吸熱して処理ブロック220の外に放熱する。一対の放熱素子240,250は、画素電流源121をX方向に挟んで配される。一方、一対の放熱素子260,270は、変換部40をX方向に挟んで配される。
【0047】
図6はひとつの処理ブロック220における放熱素子240,260を模式的に示す断面図であり、
図7は隣接する2つの画素電流源121A,121Bにおける放熱素子240,260を模式的に示す断面図である。なお、
図6および
図7において、放熱に関する構成以外は簡略化のため省略されている。
【0048】
図6に示すように、放熱素子240は能動的な放熱素子である。より具体的に放熱素子240、複数のP型熱電半導体とN型熱電半導体とを電気的に接続したペルチェ素子と、当該ペルチェ素子の図中上側に熱的に接続された伝熱板241と、スイッチ243とを有する。放熱素子240はスイッチ243を介して電源に接続される。なお、放熱素子240のグランドが第3基板300の側に描かれているが、これは図示の都合上であり、第2基板200で接地していてよい。また、ペルチェ素子と伝熱板241とは電気的には絶縁されていることが好ましい。
【0049】
放熱素子240における第3基板300の側には貫通ビア340が熱的に接続されている。これにより、スイッチ243がオンされた場合に、放熱素子240と貫通ビア340とで、主に画素電流源121から生じる熱を第3基板300を介して外に放熱する放熱経路が形成される。この観点から、これを画素電流源の放熱経路と呼ぶ場合がある。なお、放熱素子250および伝熱板251の構成は放熱素子240および伝熱板241の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
放熱素子260も能動的な放熱素子である。より具体的に放熱素子260は、複数のP型熱電半導体とN型熱電半導体とを電気的に接続したペルチェ素子と、スイッチ263とを有する。放熱素子260はスイッチ263を介して電源に接続される。なお、放熱素子260のグランドも第3基板300の側に描かれているが、これは図示の都合上であり、第2基板200で接地していてよい。
【0051】
放熱素子260における第3基板300の側には貫通ビア360、362、364が熱的に接続されている。これにより、放熱素子260と貫通ビア360、362、364とで、主に変換部40から生じる熱を第3基板300を介して外に放熱する放熱経路が形成される。この観点から、これを変換部40の放熱経路と呼ぶ場合がある。なお、放熱素子270の構成は放熱素子260の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0052】
さらに、
図7に示すように、第3基板300に放熱素子370A、370Bを設けてもよい。放熱素子370A,370Bもペルチェ素子を有する。なお、
図7において放熱素子370A,370Bのペルチェ素子の部分を図示したが、図を簡略化するためにその他の構成を省略した。
【0053】
放熱素子270Aは画素電流源121Aの第3基板300の側に配される。これにより、画素電流源121Aは、放熱素子240A,250AでX方向に挟まれ、Z方向にも伝熱板241A,251Aと放熱素子370Aで挟まれる。よって、画素電流源121Aで生じた熱をより効率的に外に放熱することができる。同様に、画素電流源121Bで生じた熱も、放熱素子240B,250B,370Bで効率的に外に放熱することができる。
【0054】
この場合に、伝熱板241A、251Aが画素電流源121Aの、中央を除いて第1基板100の側をほぼ覆っている。よって、画素電流源121Aで生じた熱をより効率的に放熱素子240A,250Aで吸熱することができる。特に、画素112への熱の伝達を防ぐことができる。伝熱板241B、251Bも同様の効果を有する。これら伝熱板241A、251A、241B、251Bは、例えば金属やグラフェンなどで形成される。また、第2基板200における配線層の一部が伝熱板241A、251A、241B、251Bとして機能してもよい。なお、変換部40の第1基板100の側を覆い、変換部40と放熱素子260,270とを熱的に接続する伝熱板が設けられてもよい。
【0055】
上記の通り、本実施形態では処理ブロック220毎に放熱経路を有する。さらには、処理ブロック220毎に、画素電流源121の放熱経路と、変換部40の放熱経路を有すると言える。これらの放熱経路は外部、例えばパッケージに熱的に接続され、処理ブロック220の熱を当該パッケージ側に放熱する。
【0056】
ここで、放熱素子240はスイッチ243を有するとともに、放熱素子260はスイッチ263を有する。よって、処理ブロック220毎に互いに放熱素子240,260のオンオフを独立して制御してよい。例えば、電流源がオンの時および・またはAD変換時に処理ブロック220が放熱素子240,260をオンしてもよい。それに代えてまたはそれに加えて、サーモスタットを設けて放熱素子240,260のオンオフを制御してもよい。さらに、各々の処理ブロック220で、画素電流源121の放熱素子240と、変換部40の放熱素子260のオンオフを互いに独立して制御してよい。
【0057】
処理ブロック220毎に放熱素子のオンオフを独立して制御できるので、処理の頻度が大きい処理ブロック220、例えばフレームレートが高い処理ブロック220の放熱素子240,260のオンの時間や頻度を多くしてよい。これにより、発熱が大きい処理ブロック220を効率的に放熱する一方で、発熱が小さい処理ブロック220に対する放熱素子の消費電力を抑えることができる。
【0058】
なお、
図7において、隣接する放熱素子250Aと放熱素子240Bは貫通ビア340に熱的に接続されている。すなわち、放熱素子250Aと放熱素子240Bは放熱経路として貫通ビア340を共用する。これにより、第3基板300の回路面積を抑えることができる。これに代えて、貫通ビア340A,340Cのように、放熱素子250Aと放熱素子240Bとにそれぞれ接続される専用の貫通ビアを設けてもよい。この場合には放熱効率がより高まる。
【0059】
さらに、変換部40における第3基板300の側にさらに放熱素子を設けてもよい。また、能動的な放熱素子に代えて、カーボンナノチューブやグラフェンなど、熱伝導率が高い受動的な素子で放熱経路を形成してもよい。
【0060】
なお、上記いずれの実施形態においても、画素112の排出部124を省略してもよい。さらに、転送部123も省略してもよいが、その場合には蓄積部125はフローティングディフュージョンとしての機能を有しなくなる。また、蓄積部125、画素出力部127を他の画素と共有してもよい。また、画素112は複数の光電変換部104および第1転送部123で構成してもよい。
【0061】
さらに、上記いずれの実施形態においても、処理ブロック220に露光制御部10および画素駆動部20を設けず、主に処理ブロック220ごとに読出しが行われて信号変換部40による変換を行うものであってよい。この場合には画素112は画素ブロック120ごとではなく画素部110の全体として露光時間が制御される。
【0062】
図8は、実施例に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮像素子400と、システム制御部501と、駆動部502と、測光部503と、ワークメモリ504と、記録部505と、表示部506と、駆動部514と、撮影レンズ520とを備える。
【0063】
撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子400へと導く。撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであってもよい。なお、
図8では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
【0064】
駆動部514は、撮影レンズ520を駆動する。一例において、駆動部514は、撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更する。また、駆動部514は、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子400に入射する被写体光束の光量を制御してよい。
【0065】
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子400のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路を有する。また、操作部508は、レリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
【0066】
撮像素子400は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施した画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
【0067】
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。
【0068】
演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子400で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子400に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子400に搭載されてもよい。
【0069】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0070】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0071】
10 露光制御部、20 画素駆動部、40 変換部、50 信号出力部、100 第1基板、104 光電変換部、110 画素部、112 画素、120 画素ブロック、121、121A、121B 画素電流源、122 信号線、123 転送部、124 排出部、125 蓄積部、126 リセット部、127 画素出力部、128 増幅部、129 選択部、200 第2基板、210 制御回路部、220 処理ブロック、230 周辺回路部、240、250、260、270、370A、370B 放熱素子、241、251、241A、251A、241B、251B 伝熱板、243、263 スイッチ、300 第3基板、310 画像処理部、340、340A、340B、340C、360、362、364 貫通ビア、400 撮像素子、500 撮像装置、501 システム制御部、502 駆動部、503 測光部、504 ワークメモリ、505 記録部、506 表示部、508 操作部、511 画像処理部、512 演算部、514 駆動部、520 撮影レンズ