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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181794
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】コロナウイルス不活化剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/47 20060101AFI20221201BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K38/47
A61P31/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088957
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001421
【氏名又は名称】キユーピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504300088
【氏名又は名称】国立大学法人北海道国立大学機構
(71)【出願人】
【識別番号】598133665
【氏名又は名称】学校法人国際医療福祉大学
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100211100
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】與田 昭一
(72)【発明者】
【氏名】大野 敦之
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小川 晴子
(72)【発明者】
【氏名】松本 哲哉
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084DC22
4C084NA14
4C084ZB331
(57)【要約】
【課題】本発明は、リゾチーム変性物の新たな用途を提供する。
【解決手段】リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化剤。
【請求項2】
請求項1に記載のコロナウイルス不活化剤であって、
前記リゾチーム変性物の下記に規定されるコロナウイルス不活化活性が2.0以上である、コロナウイルス不活化剤。
コロナウイルス不活化活性:コロナウイルス液と前記リゾチーム変性物を含まない水溶液を等量混合して得た混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数から、コロナウイルス液とリゾチーム変性物のA質量%水溶液を等量混合して得られた混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数を引いた値。ただし、Aは正の数とする。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコロナウイルス不活化剤であって、
前記リゾチーム変性物の含有量が、前記コロナウイルス不活化剤の全量を基準として、0.05質量%以上である、コロナウイルス不活化剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のコロナウイルス不活化剤であって、
液剤である、コロナウイルス不活化剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のコロナウイルス不活化剤に含まれる前記リゾチーム変性物を製造する方法であって、
リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、前記リゾチーム変性物を得る工程を含む、方法。
【請求項6】
リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、前記リゾチーム変性物を得る工程と、
前記リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を得る工程と、を含む、方法。
【請求項7】
請求項6に記載のコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
前記リゾチーム変性物を得る工程が、
リゾチーム及び/又はその塩の濃度が固形分換算で0.5質量%以上7質量%以下であるリゾチーム含有水溶液を、
該リゾチーム含有水溶液の中心品温が70℃以上100℃以下で25分間以上720分間以下となるように加熱して、リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載のコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
前記リゾチーム変性物を得る工程が、
前記リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程の後に、前記リゾチーム変性物含有水溶液を噴霧乾燥又は凍結乾燥させて、粉末状の前記リゾチーム変性物を得る工程をさらに含む、方法。
【請求項9】
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス感染の予防薬又は治療薬。
【請求項10】
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用外用剤。
【請求項11】
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用食品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コロナウイルス不活化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
リゾチーム又はその変性物に関して、例えば、特許文献1にはノロウイルスを不活化する技術に用いられ得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5806434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、リゾチーム変性物の新たな用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、意外にもリゾチーム変性物がコロナウイルスに対して優れた不活化作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化剤。
[2]
[1]に記載のコロナウイルス不活化剤であって、
リゾチーム変性物の下記に規定されるコロナウイルス不活化活性が2.0以上である、コロナウイルス不活化剤。
コロナウイルス不活化活性:コロナウイルス液とリゾチーム変性物を含まない水溶液を等量混合して得た混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数から、コロナウイルス液とリゾチーム変性物のA質量%水溶液を等量混合して得られた混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数を引いた値。ただし、Aは正の数とする。
[3]
[1]又は[2]に記載のコロナウイルス不活化剤であって、
リゾチーム変性物の含有量が、コロナウイルス不活化剤の全量を基準として、0.05質量%以上である、コロナウイルス不活化剤。
[4]
[1]~[3]のいずれかに記載のコロナウイルス不活化剤であって、
液剤である、コロナウイルス不活化剤。
[5]
[1]~[4]のいずれかに記載のコロナウイルス不活化剤に含まれるリゾチーム変性物を製造する方法であって、リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、リゾチーム変性物を得る工程を含む、方法。
[6]
リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、リゾチーム変性物を得る工程と、
リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を得る工程と、を含む、方法。
[7]
[6]に記載のコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
リゾチーム変性物を得る工程が、
リゾチーム及び/又はその塩の濃度が固形分換算で0.5質量%以上7質量%以下であるリゾチーム含有水溶液を、
該リゾチーム含有水溶液の中心品温が70℃以上100℃以下で25分間以上720分間以下となるように加熱して、リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程を含む、方法。
[8]
[7]に記載のコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、
リゾチーム変性物を得る工程が、
リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程の後に、リゾチーム変性物含有水溶液を噴霧乾燥又は凍結乾燥させて、粉末状のリゾチーム変性物を得る工程をさらに含む、方法。
[9]
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス感染の予防薬又は治療薬。
[11]
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用外用剤。
[12]
リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用食品組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リゾチーム変性物の新たな用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
<本発明の特徴>
(コロナウイルス不活化剤)
本発明は、リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を提供することに特徴を有する。
【0010】
(コロナウイルス不活化剤の製造方法)
本発明は、リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を製造する方法であって、リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、リゾチーム変性物を得る工程と、リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を得る工程と、を含む、方法を提供することに特徴を有する。
【0011】
(コロナウイルス感染の予防薬又は治療薬)
本発明は、リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス感染の予防薬又は治療薬を提供することに特徴を有する。
【0012】
(コロナウイルス不活化用外用剤)
本発明は、リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用外用剤を提供することに特徴を有する。
【0013】
(コロナウイルス不活化用食品組成物)
本発明は、リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用食品組成物を提供することに特徴を有する。
【0014】
<コロナウイルス不活化剤>
本発明のコロナウイルス不活化剤は、リゾチーム変性物を有効成分とすることができる。コロナウイルス不活化剤は、コロナウイルスの消毒剤、コロナウイルス感染の予防薬又は治療薬等として使用することができる。
【0015】
リゾチーム変性物が、ノンエンベロープウイルスであるノロウイルスを不活化する作用は知られている。リゾチーム変性物のノロウイルス不活化作用は、リゾチーム変性物のアミノ酸配列のうち疎水性で正電荷をもつ所定の配列が、ノロウイルスのカプシドに結合することによって発揮されると考えられる。一方、コロナウイルスはノンエンベロープウイルスの様にカプシドがウイルスゲノムを覆う様な構造を取らない代わりに、脂質と糖タンパク質から成るエンベロープがヌクレオカプシド(カプシドとウイルスゲノムの複合体)を覆う構造を取る。従ってノンエンベロープウイルスと異なる粒子構造と有するコロナウイルスに対しリゾチーム変性物が不活化作用を発揮するかは不明である。
【0016】
(コロナウイルス)
コロナウイルスは、エンベロープと呼ばれる脂質膜構造を持つエンベロープウイルスである。コロナウイルス不活化剤の対象となるコロナウイルスは、例えば、SARS-CoV-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)、風邪の10~15%の原因となる4種のコロナウイルスHCoV(Human Coronavirus)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、及び動物に対する各種の病原性コロナウイルスからなる群より少なくとも1種であってよい。
【0017】
(コロナウイルス不活化)
「コロナウイルス不活化」とはコロナウイルスの活性を低下させることをいう。コロナウイルスの不活化には、コロナウイルスを死滅させて、活性を低下させること、及び、コロナウイルスが生存した状態で活性を低下させること等が含まれる。
【0018】
<リゾチーム変性物>
本明細書において、「リゾチーム変性物」とは、リゾチームの三次構造が変化したものをいう。ここで、リゾチームの立体構造の変化とは、本来、リゾチームが有する立体構造が変化し、その結果、表面疎水性の指標であり、後述する方法により測定される蛍光強度が4,000以上となる程度の変化をいう。なお、「リゾチーム」は、N-アセチルグルコサミンとN-アセチルムラミン酸とのβ-1,4結合を加水分解する性質を有するタンパク質である。また、リゾチーム(リゾチーム非変性物)は、表面疎水性の指標である上記蛍光強度が280以下であってよい。
【0019】
<リゾチーム変性物の蛍光強度>
上記蛍光強度が高いほど、リゾチーム変性物の表面疎水性が高くなる。上記蛍光強度は、コロナウイルス不活化剤としてより適したものとなる観点から、5,000以上であることが好ましい。また、上記蛍光強度は、10,000以下であってもよい。
【0020】
<蛍光強度の測定>
(蛍光強度の測定方法)
上記蛍光強度は、Canadian Institute of FoodScience and Technology 1985 Vol.18 No.4p.290-295に記載された方法に準じて測定される。すなわち、リゾチーム変性物の濃度が固形分換算で0.05質量%になり、かつリン酸塩の濃度が0.2Mになるようにリン酸緩衝液(pH7.0)で希釈して、希釈液を得る。得られる希釈液5mLに8mMの1,8-アニリノナフタレンスルホン酸のメタノール溶液25μLを添加して得られる液を20℃以上25℃以下(室温)の条件下、30分間反応させた後の該液について、励起波長390nm(励起バンド幅10nm)の条件で、波長470nm(蛍光バンド幅10nm)の蛍光強度を測定する。上記蛍光強度は、0.2Mリン酸緩衝液(pH7.0、リン酸塩としてリン酸二水素ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムを含有する)の蛍光強度をブランク値として別途測定し、該ブランク値を差し引いた値である。
【0021】
(希釈液の調製)
上記希釈液は、具体的には、例えば、リゾチーム変性物を固形分換算で1質量%含有する水溶液の蛍光強度を測定する場合、該水溶液5gと0.25Mのリン酸緩衝液80mLとを100mLのメスフラスコに入れた後、精製水で100mLにメスアップすることで調製される。
【0022】
(蛍光強度の測定装置及び測定条件)
上記蛍光強度は、蛍光分光光度計(日本分光株式会社製、型名FP-8500)を用いて、励起波長390nm、励起バンド幅10nm、蛍光波長470nm、蛍光バンド幅10nm、レスポンス0.5sec、感度Low(約270±10V)(電源周波数(50/60Hz))、ペリスタシッパSHP-820型使用の条件で測定したときの値である。なお、他の蛍光分光光度計(例えば、株式会社日立製作所製、型名F-2000蛍光分光光度計)を用いて測定することもできるが、その際は感度等の測定条件を、日本分光株式会社製の蛍光分光光度計(型名FP-8500)を用いた場合における条件に合わせる必要がある。
【0023】
<抗コロナウイルス活性>
リゾチーム変性物の下記に規定されるコロナウイルス不活化活性が2.0以上である
コロナウイルス不活化活性:コロナウイルス液とリゾチーム変性物を含まない水溶液を等量混合して得た混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数から、コロナウイルス液とリゾチーム変性物のA質量%水溶液を等量混合して得られた混合液を室温で5分間放置した際の感染価の対数を引いた値。ただし、Aは正の数とする。Aは、0.05以上、0.1以上、又は0.2以上であってよく、10.0以下、5.0以下又は3.0以下であってよい。コロナウイルス不活化活性は、具体的に後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。ここで、「室温」は20℃以上25℃以下の条件下であることをいう。等量混合は、1:1の体積比(液量比)で混合されることをいう。
【0024】
<二量体及び三量体>
リゾチーム変性物は、約29KDa(KDa=10Da)の蛋白質及び/又は約36.5KDaの蛋白質を含むことができる。すなわち、本発明のコロナウイルス不活化剤は、約29KDaの蛋白質及び/又は約36.5KDaの蛋白質を含むことができる。本発明のコロナウイルス不活化剤並びにリゾチーム変性物の中に約29KDaの蛋白質及び/又は約36.5KDaの蛋白質が含まれていることは、電気泳動によって確認することができる。なお、電気泳動は、市販の電気泳動キットを用いて行うことができる。約29KDaの蛋白質は、リゾチーム変性物の二量体であると推測され、約36.5KDaの蛋白質は、リゾチーム変性物の三量体であると推測される。
【0025】
<リゾチーム変性物の含有量>
リゾチーム変性物の含有量は、コロナウイルス不活化剤の使用態様等に応じて、適宜設定することができる。例えば、リゾチーム変性物の含有量は、コロナウイルス不活化剤の全量基準で、0.05質量%以上、0.1質量%以上、又は0.2質量%以上であってよく、35.0質量%以下、10.0質量%以下、5.0質量%以下又は3.0質量%以下であってよい。
【0026】
<リゾチーム変性物の製造方法>
リゾチーム変性物は、リゾチーム及び/又はその塩を、変性処理して、リゾチーム変性物を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0027】
<リゾチーム変性物の原料>
リゾチームは、大きく以下の5種のファミリーに分類される。本発明では、以下の5種のファミリーのいずれも使用することができる。これらのリゾチームのなかでも、リゾチーム変性物の原料としては、食品添加物等として広く使用されている観点から、卵白リゾチーム、ヒトリゾチーム等のリゾチーム(ニワトリ型)が好ましく、さらに低コストでありかつ入手容易である点で、卵白リゾチームであることがより好ましい。
1.リゾチーム(細菌型)
2.リゾチーム(ニワトリ型)
3.リゾチーム(グース型)
4.リゾチーム(ファージ型;Vタイプ)
5.リゾチーム(CH型)
【0028】
<リゾチームの塩>
リゾチームの塩は、食品添加物として許容可能又は薬学的に許容可能である塩であってよい。リゾチームの塩としては、例えば、塩酸、炭酸、リン酸、ホウ酸、へキサメタリン酸、硝酸、硫酸等の無機酸の塩、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、酢酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グルコン酸等の有機酸の塩があげられる。リゾチームの塩のなかでも、無機酸の塩が好ましく、消炎剤として広く使用され、安全性が確立している点から、塩化リゾチーム等の塩酸塩がより好ましい。
【0029】
<リゾチーム及び/又はその塩の変性処理>
リゾチーム及び/又はその塩を変性処理する方法としては、加熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、有機溶剤処理、界面活性剤処理、酸化処理、還元処理、高圧力処理等をあげることができる。これらの変性処理は、単独又は併用して行うことができる。なお、リゾチーム変性物には、リゾチーム及び/又はその塩を分解処理したリゾチーム由来ペプチドも含まれていてよい。
【0030】
<リゾチーム加熱変性物>
リゾチーム変性物は、コロナウイルス不活化剤としてより適したものとなる観点から、リゾチーム及び/又はその塩の加熱処理物であるリゾチーム加熱変性物であることが好ましい。
【0031】
<リゾチーム加熱変性物の製造方法>
リゾチーム加熱変性物は、リゾチーム及び/又はその塩を加熱変性して、リゾチーム変性物(加熱変性物)を得る工程を含む方法によって得ることができる。
【0032】
<加熱変性の温度>
加熱変性の温度は、リゾチーム及び/又はその塩の変性が適度に行われていれば特に限定されない。例えば、リゾチーム及び/又はその塩を50℃以上130℃以下で加熱することが好ましい。加熱変性の温度の下限は、60℃以上又は70℃以上であってもよい。
【0033】
<加熱変性の方法>
加熱変性の方法としては、リゾチーム及び/又はその塩を溶媒に溶解させて加熱しても、粉末のままで加熱してもよい。加熱時間は、リゾチーム加熱温度等に応じて、適宜決定することができる。リゾチーム及び/又はその塩を溶媒に溶解させて加熱した場合、加熱時間は、例えば、1分以上720分以下であってもよい。粉末のまま加熱する場合、加熱時間は1日以上30日未満であることが好ましい。なお、溶媒は、リゾチーム及び/又はその塩を溶解することができる溶媒であってよく、例えば、水、又は、水及び有機溶媒の混合溶媒であってよい。
【0034】
<リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程(工程A)>
リゾチーム変性物を得る工程は、リゾチーム及び/又はその塩を含む水溶液であるリゾチーム含有水溶液を加熱して、リゾチーム変性物含有水溶液を得る工程(工程A)を含んでいてよい。
【0035】
(リゾチーム含有水溶液中のリゾチーム及び/又はその塩の濃度)
リゾチーム含有水溶液中のリゾチーム及び/又はその塩の濃度は、リゾチームの立体構造を確実に変化させることができ、かつ、リゾチームの凝集をより抑制して、コロナウイルス不活化作用をより高めることができる観点から、リゾチーム含有水溶液全量を基準として、固形分換算で、0.5質量%以上、又は1質量%以上であることが好ましく、7質量%以下、又は5質量%以下であることが好ましい。
【0036】
(リゾチーム含有水溶液の溶媒)
リゾチーム含有水溶液を構成する溶媒は水を含む。溶媒として、リゾチーム及び/又はその塩の水への溶解性に影響しない範囲で水と混和し得る有機溶媒を使用してもよい。リゾチーム含有水溶液を構成する溶媒における水の割合は、80質量%以上100質量%以下であってよい。リゾチーム含有水溶液を構成する溶媒が、水と混和し得る有機溶媒を含む場合、リゾチーム含有水溶液を構成する溶媒における有機溶媒の割合は、1質量%以上20質量%以下であってよい。
【0037】
(有機溶媒)
有機溶媒としては、水と混和し得る有機溶媒であればよく、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1、4-ジオキサン等が挙げられる。有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】
(pH)
リゾチームの凝集をより抑制でき、かつ、得られるリゾチーム変性物の表面疎水性をより高めることができる観点から、リゾチーム含有水溶液のpHは、5.0以上、5.5以上、6.0以上、又は6.5以上であってよく、7.0以下、又は6.5以下であってよい。リゾチーム含有水溶液のpHは、5.0以上7.0以下、6.0以上7.0以下、又は6.5以上7.0以下であってよい。
【0039】
(pHの調整)
リゾチーム含有水溶液は、必要に応じて、酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、クエン酸、酢酸、リン酸等の有機酸)、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基)又は緩衝液(例えば、酢酸緩衝液)を使用して、上記範囲のpHに調整されていてよい。
【0040】
(リゾチームの塩を用いる場合のpHの調整)
リゾチームの塩(例えば塩化リゾチーム)が用いられる場合、酸、アルカリ又は緩衝液を使用して、リゾチーム含有水溶液のpHを上記範囲に調整したうえで、工程Aが行われてよい。
【0041】
(加熱温度)
リゾチーム変性物を得る工程では、より高い収率でリゾチーム変性物を得ることができる等の観点から、リゾチーム含有水溶液の中心品温が70℃以上となるようにリゾチーム含有水溶液を加熱することが好ましい。リゾチーム含有水溶液を加熱する際のリゾチーム含有水溶液の中心品温は、加熱時間を短くして、製造時間をより短縮する観点から、80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。リゾチーム含有水溶液を加熱する際のリゾチーム含有水溶液の中心品温は、例えば、130℃以下であってもよく、約100℃以下であってもよい。リゾチーム含有水溶液を加熱する際のリゾチーム含有水溶液の中心品温は、70℃以上100℃以下であってよい。加熱温度は、連続的又は段階的に変化させてもよい。
【0042】
(加熱時間)
加熱時間は、加熱温度及び処理量に応じて適宜決定することができる。工程Aでは、リゾチーム含有水溶液を、リゾチーム含有水溶液の中心品温が70℃以上100℃以下で25分間以上720分間以下、又は、中心品温が100℃超で10分間以上120分間以下となるように加熱してよい。リゾチーム含有水溶液の中心品温が70℃以上100℃以下で25分間以上720分間以下となるように加熱する場合、加熱時間は、例えば、中心品温が70℃以上75℃以下の場合は125分間以上720分間以下、中心品温が75℃超80℃以下の場合は80分間以上435分間以下、中心品温が80℃超85℃以下の場合は70分間以上305分間以下、中心品温が85℃超90℃以下の場合は50分間以上240分間以下、中心品温が90℃超95℃以下の場合は40分間以上185分間以下、又は中心品温が95℃超100℃以下の場合は25分間以上120分間以下であることが好ましい。
【0043】
(噴霧乾燥/凍結乾燥)
工程Aは、加熱工程の後に、リゾチーム変性物含有水溶液を噴霧乾燥又は凍結乾燥させて、粉末状のリゾチーム変性物を得る工程をさらに含むことができる。噴霧乾燥及び凍結乾燥は、常法に則り行うとよい。
【0044】
<配合素材>
本発明のコロナウイルス不活化剤は、リゾチーム変性物と共に他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、コロナウイルス不活化剤の剤型等に応じて適宜選択することができる。他の成分としては、例えば、水;エタノール、イソプロパノール等の炭素数5以下の低級アルコール;グリセリン、ポリエチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール;グリシン、有機酸、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、デヒドロ酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、亜硫酸ナトリウム、EDTA、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヨードチンキ、ポピドンヨード、セチル酸化ベンザルコニウム、トリクロサン、クロルキシレノール、イソプロピルメチルフェノール、ε-ポリリシン、ラクトフェリン、ナイシン、バクテリオシン、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物、しらこタンパク抽出物、ツヤプリシン、ペクチン分解物等の静菌剤、クエン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン等のpH調整剤、トコフェロール酢酸エステル等の酸化防止剤、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース等の増粘剤等が挙げられる。他の成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられてよい。
【0045】
<剤型>
本発明のコロナウイルス不活化剤は、必要に応じて種々の剤型をとることができる。コロナウイルス不活化剤は、例えば、液剤としてもよく、粉末、錠剤、カプセル等の固形剤としてもよい。
【0046】
(液剤)
液剤とする場合、その粘度は使用方法に応じて適宜定めることができる。噴霧可能な粘度の液剤であるコロナウイルス不活化剤は、例えば、スプレー容器に充填して用いることができる。スプレー容器としては、例えば、トリガースプレーヤー、スクイズ容器、エアゾル容器等が挙げられる。スプレー容器に充填して用いる場合、コロナウイルス不活化の対象物に液滴を噴霧することにより、コロナウイルスの不活化を手軽に行うことができる。コロナウイルス不活化剤を含む液剤に、不活化の対象物を浸すことにより、コロナウイルスの不活化を手軽に行うこともできる。液剤であるコロナウイルス不活化剤を湿潤させたシートとして用いることもできる。また、コロナウイルス不活化剤を含むローション、クリーム等とすることにより皮膚外用剤として使用することができる。皮膚外用剤とすることによって、コロナウイルスが手指に付着してもその場で不活化し、コロナウイルスが経口感染することを防止する感染予防薬として使用することができる。コロナウイルス不活化の対象物は、例えば、手指、食品、医療機器、医療器具、調理器具、住居環境、嘔吐物、排泄物が挙げられる。
【0047】
(固形剤)
固形剤とする場合、例えば、予め経口摂取しておくことにより、コロナウイルスが口に入ったとしても、それを不活化して感染を予防する感染予防薬として使用することができる。コロナウイルスによる感染症が発症した場合にも体内のコロナウイルスを不活化する治療薬として使用することができる。
【0048】
<コロナウイルスを不活化する方法>
本発明は、リゾチーム変性物を使用し、住居、食品工場、公共施設、病院等の種々の環境及び状況においてコロナウイルスを不活化する方法を包含する。但し、医療行為としてコロナウイルスを不活化する場合は除いてもよい。本発明のコロナウイルスを不活化する方法は、上述のコロナウイルス不活化剤の剤型に応じてコロナウイルス不活化剤を、コロナウイルスを不活化する対象領域へ噴霧又は塗布すること、コロナウイルスを不活化する対象物と混合すること、又は、コロナウイルス不活化剤を摂取させることを含むことができる。本発明のコロナウイルス不活化剤の摂取方法としては、例えば、経口摂取、坐薬、点滴、静脈注射等が挙げられる。
【0049】
<コロナウイルス不活化剤の製造方法>
本発明のコロナウイルス不活化剤は、リゾチーム及び/又はその塩を、変性処理して、リゾチーム変性物を得る工程(工程A)と、リゾチーム変性物を含むコロナウイルス不活化剤を得る工程(工程B)と、を含む方法によって製造することができる。工程Aは、上述した態様を際限なく適用することができる。工程Bは、リゾチーム変性物と、その他の配合素材とを混合することを含んでいてよい。その他の配合素材は、上述したものを使用することができる。工程Bは、リゾチーム変性物と、必要に応じて、その他の配合素材とを含むリゾチーム変性物含有物を所望の剤型に調製することを含んでいてもよい。
【0050】
<作用効果について>
本発明のコロナウイルス不活化剤が有効成分とするリゾチーム変性物は、コロナウイルスに対して優れた不活化作用を有する。本発明のエタノール等のコロナウイルスに対する不活化作用を有する物質と併用することもできる。本発明のコロナウイルス不活化剤は、エタノールが使用できない又はエタノールの使用が適さない用途(例えば、対象がエタノールに過敏に反応する場合の用途)等にも用いることも可能である。
【0051】
<予防薬若しくは治療薬、外用剤、又は食品組成物>
本発明の実施形態として、リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス感染の予防薬若しくは治療薬、リゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用外用剤、又はリゾチーム変性物を含む、コロナウイルス不活化用食品組成物が提供される。本発明のコロナウイルス感染の予防薬若しくは治療薬、コロナウイルス不活化用外用剤及びコロナウイルス不活化用食品組成物は、上述した態様を際限なく適用することができる。
【0052】
<コロナウイルス不活化剤の製造のための、リゾチーム変性物の使用>
本発明の一実施形態として、コロナウイルス不活化剤の製造のための、リゾチーム変性物の使用が提供される。当該実施形態において、上述したコロナウイルス不活化剤の態様を際限なく適用することができる。
【0053】
<コロナウイルスの不活化に使用される、リゾチーム変性物>
本発明の一実施形態として、コロナウイルスの不活化に使用される、リゾチーム変性物が提供される。当該実施形態において、上述したコロナウイルス不活化剤の態様を際限なく適用することができる。
【実施例0054】
以下、実施例等に基づいて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0055】
<ウイルス液>
ウイルスとして、国立感染症研究所より供与を受けたJPN/TY/WK-521株を用いた。実験には、SARS-CoV-2を含むウイルス増殖培地 (VGM; 組成は下記参照、)をウイルス液(ウイルス力価: 約6.75 log10 TCID50/ml)として使用した。
【0056】
<使用細胞、培地>
国立感染症研究所にて樹立されたVeroE6/TMPRSS2細胞をJCRB細胞バンクを通じて入手し、実験に用いた(細胞番号:JCRB1819)。細胞増殖培地としては、10% 牛胎仔血清(FBS)、2mM L-グルタミン、100μg/ml カナマイシン、2μg/ml アムホリシンB、及び500μg/ml G418を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)を用いた。VGMとしては、1% FBS、2mM L-グルタミン、100μg/ml カナマイシン、2μg/ml アムホリシンBを添加したDMEMを用いた。
【0057】
<リゾチーム変性物>
リゾチーム変性物は、次に示す方法によって調製した。
変性リゾチームを含有する水溶液(変性リゾチーム水溶液)は、特許第5806434号公報に記載の方法に準じて製造した。すなわち、清水900kgに卵白(鶏卵卵白)リゾチーム(キユーピー株式会社製、商品名:卵白リゾチーム)50kgを添加、混合し、リゾチーム水溶液を調製した。pH6.0以上7.0以下で、変性リゾチームの含有量が固形分換算で4.0質量%であったリゾチーム水溶液を中心品温95℃、加熱時間2時間の条件で加熱処理した後、25℃に冷却し、変性リゾチーム(加熱変性リゾチーム)水溶液を得た。得られた変性リゾチーム水溶液に、添加剤として、非還元糖であるトレハロース(株式会社 林原製、商品名:トレハ)を添加して、混合し、混合液を調製した(調製工程)。トレハロースは、変性リゾチーム(固形分換算)に対するトレハロースの含有質量比が2.0となるように添加した。次に、得られた混合液を、入口温度170℃、排風温度80℃の条件で、竪型スプレードライヤー(大川原化工機株式会社製)を用いて噴霧乾燥を行った(粉末化工程)。
【0058】
<評価サンプルの調製>
リゾチーム変性物を滅菌超純水(UPW)に溶解し、この溶解液を0.2μmのシリンジフィルターに通し、滅菌処理を行った。その後、更にUPWで希釈を行い、66mg/ml(含有リゾチーム変性物濃度20mg/ml[2%(w/v)]),33mg/ml(含有リゾチーム変性物濃度10mg/ml[1%(w/v)]),16.5mg/ml(含有リゾチーム変性物濃度5mg/ml[0.5%(w/v)])のリゾチーム変性物/UPW液を作製した。
【0059】
トレハロースをUPWに溶解し0.2μmのシリンジフィルターに通した後に、46mg/ml、23mg/ml、又は11.5mg/mlのトレハロース/UPW液を作製し、それぞれ66mg/ml、33mg/ml、16.5mg/mlのリゾチーム変性物/UPW液に対する陰性対照として使用した。
【0060】
0.45μmのシリンジフィルターに通した場合では、リゾチーム変性物/UPW液中及びトレハロース/UPW液中に細菌が存在しており、培養細胞液中に添加した際にコンタミネーションが認められた。また、0.2μmのシリンジフィルターに通す前後でリゾチーム変性物/UPW液の280nmの吸光度を比較したところ、両者で大きな違いは認められなかった。よって、0.2μmのシリンジフィルターに通した後も含有しているリゾチーム変性物の濃度は大きく変化しないと考えられた。
【0061】
<評価方法>
試験当日にVeroE6/TEMPRSS2細胞が90-100% confluentになるようあらかじめ細胞を96well plateに播種しておき、実験直前に血清不含DMEMで1回洗浄した後、VGMを180μl/well加えた。また、実験直前に上記の各試験液を作製した。これら各試験液とウイルス液(SARS-CoV-2/VGM)をスクリューキャップチューブ内で1:1の液量比で混合し、10回以上ピペッティングを行った。即ち、評価を行ったリゾチーム変性物の混合液中の最終濃度は、0.25%(w/v)、0.50%(w/v)、又は1.00%(w/v)となっている。なお、1群3本のチューブを置いて試験を行った(n=3)。混合液を室温(22℃)で5分反応させた後、この混合液のうち20μlをあらかじめVeroE6/TMPRSS2細胞を接種しておいた96well plateに添加した(各チューブから2wellずつへ)。その後96well plate上で10倍階段希釈を行った。37℃のCOインキュベーター内で3日間培養した後、顕微鏡でウイルス感染・増殖に起因する細胞変性効果を観察し、それをもとにベーレンスケルバー法を用いてウイルス力価(TCID50/ml)を算出した。その後、陰性対照群と各試験液群でウイルス力価を比較し、試験液のウイルス不活化活性を評価した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示すとおり、リゾチーム変性物が優れたコロナウイルス不活化活性を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、コロナウイルスを不活化する種々の場面で有効であり、例えば、手指、体躯、医療器具、学校,病院,福祉施設等の施設、工場、住居等の消毒を行う消毒剤、食品添加物、コロナウイルスの除去剤、感染予防又は治療薬として有用である。
【0065】
本発明に係る実施の形態の説明は以上である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。