(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181796
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】ガラス板収納装置
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20221201BHJP
B65D 85/48 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D85/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088959
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】神田 基裕
【テーマコード(参考)】
3E066
3E096
【Fターム(参考)】
3E066AA71
3E066AA77
3E066BA03
3E066CA01
3E066CA11
3E066DA01
3E066FA02
3E066HA03
3E066KA04
3E066LA17
3E066MA09
3E066NA30
3E096AA06
3E096AA13
3E096BA24
3E096BB03
3E096CA08
3E096CB03
3E096DA03
3E096DA11
3E096DA23
3E096DB02
3E096DC01
3E096EA02Y
3E096EA06Y
3E096FA09
3E096FA10
3E096FA30
3E096GA01
3E096GA11
(57)【要約】
【課題】収納作業を簡素化することが可能なガラス板収納装置を提供することである。
【解決手段】本発明の一態様にかかるガラス板収納装置1は、樹脂枠付きガラス板100を収納するガラス板収納装置1であって、鉛直方向に伸びる支持部10と、支持部10に各々固定され、鉛直方向において互いに離間するように配置された複数の棚板11と、を備える。各々の棚板11の上面には第1緩衝材12が取り付けられており、各々の棚板11の下面には第2緩衝材13が取り付けられている。各々の棚板11は、水平状態と跳ね上げた状態との間で、回動軸15を中心に回動可能に支持部10に固定されており、各々の棚板11の間において、第1緩衝材12と第2緩衝材13との間に樹脂枠付きガラス板100を配置することで、樹脂枠付きガラス板100が収納される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂枠付きガラス板を収納するガラス板収納装置であって、
鉛直方向に伸びる支持部と、
前記支持部に各々固定され、鉛直方向において互いに離間するように配置された複数の棚板と、を備え、
前記各々の棚板の上面には第1緩衝材が取り付けられており、
前記各々の棚板の下面には第2緩衝材が取り付けられており、
前記各々の棚板は、水平状態である第1状態と跳ね上げた状態である第2状態との間で、回動軸を中心に回動可能に前記支持部に固定されており、
前記各々の棚板の間において、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材との間に前記樹脂枠付きガラス板を配置することで前記樹脂枠付きガラス板が収納される、
ガラス板収納装置。
【請求項2】
第1状態の前記棚板の前記第1緩衝材の上に前記樹脂枠付きガラス板を載置した後、次段の棚板を第2状態から第1状態とすることで、前記樹脂枠付きガラス板を前記棚板の間に収納する、請求項1に記載のガラス板収納装置。
【請求項3】
前記樹脂枠付きガラス板は、一方の主面に固定具が取り付けられており、
前記樹脂枠付きガラス板は、前記固定具が前記第1緩衝材と対向するように前記棚板の上に配置され、前記固定具が前記第1緩衝材と当接するように構成されている、請求項1または2に記載のガラス板収納装置。
【請求項4】
前記棚板の上面には第3緩衝材が取り付けられており、
前記樹脂枠付きガラス板は、前記樹脂枠付きガラス板の前記固定具が取り付けられている主面が前記第3緩衝材と当接するように配置されている、請求項3に記載のガラス板収納装置。
【請求項5】
前記樹脂枠付きガラス板は、前記樹脂枠付きガラス板の前記固定具が取り付けられている主面とは反対側の主面が前記第2緩衝材と当接するように配置されている、請求項3または4に記載のガラス板収納装置。
【請求項6】
前記棚板は、平面視した際の形状が矩形状であり、
前記矩形状の棚板の一端側が前記支持部に固定されており、
前記矩形状の棚板の前記一端側と対向する他端側にスペーサが設けられており、
前記各々の棚板が第1状態のときに、前記各々の棚板に設けられた前記スペーサ同士が互いに当接することで、前記各々の棚板の間に、前記樹脂枠付きガラス板を収納するための空間が形成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のガラス板収納装置。
【請求項7】
前記棚板は、枠体と、当該枠体にスライドさせて挿入可能な板状部材とを用いて構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のガラス板収納装置。
【請求項8】
第2状態の前記枠体に前記板状部材をスライドさせて挿入することで、前記棚板が第2状態から第1状態となる、請求項7に記載のガラス板収納装置。
【請求項9】
前記枠体は金属材料で構成されており、
前記板状部材は樹脂材料で構成されている、
請求項7または8に記載のガラス板収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス板収納装置に関し、特に樹脂枠付きガラス板を収納するガラス板収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスメーカから出荷される車両用窓ガラスの一製品として、ガラス板に予めポリ塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂枠を取り付けたもの(以下、樹脂枠付きガラス板という)が製品化されている。
【0003】
特許文献1には、簡便かつ短時間で多数のガラス板を収納できる樹脂枠付きガラス板の収納方法に関する技術が開示されている。特許文献2には、簡便かつ短時間で多数のガラス板を梱包できる樹脂枠付きガラス板の梱包方法に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-200962号公報
【特許文献2】特開2003-200963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、樹脂枠付きガラス板は、ガラス板の周囲に樹脂枠が形成されている。このため、樹脂枠付きガラス板の搬送時に樹脂枠同士が接触等して樹脂枠に力が働くと、樹脂枠が変形してしまう場合がある。このように樹脂枠が変形した場合は、樹脂枠付きガラス板が不良品となる。このような問題を解決するために、従来では工場出荷時に一枚ずつポリエチレンシートで包装した後、緩衝材とともに段ボール等の収納手段に収納していた。
【0006】
しかしながら、樹脂枠付きガラス板を一枚ずつ包装してから収納手段に収納した場合は、収納作業が煩雑になるという問題がある。また、特許文献1、2には、簡便かつ短時間で多数のガラス板を収納等する技術が開示されているが、これらの技術を用いたとしても収納作業を十分に簡素化できない。
【0007】
上記課題に鑑み本発明の目的は、収納作業を簡素化することが可能なガラス板収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかるガラス板収納装置は、樹脂枠付きガラス板を収納するガラス板収納装置であって、鉛直方向に伸びる支持部と、前記支持部に各々固定され、鉛直方向において互いに離間するように配置された複数の棚板と、を備える。前記各々の棚板の上面には第1緩衝材が取り付けられており、前記各々の棚板の下面には第2緩衝材が取り付けられており、前記各々の棚板は、水平状態である第1状態と跳ね上げた状態である第2状態との間で、回動軸を中心に回動可能に前記支持部に固定されており、前記各々の棚板の間において、前記第1緩衝材と前記第2緩衝材との間に前記樹脂枠付きガラス板を配置することで前記樹脂枠付きガラス板が収納される。
【0009】
上述のガラス板収納装置において、第1状態の前記棚板の前記第1緩衝材の上に前記樹脂枠付きガラス板を載置した後、次段の棚板を第2状態から第1状態とすることで、前記樹脂枠付きガラス板を前記棚板の間に収納してもよい。
【0010】
上述のガラス板収納装置において、前記樹脂枠付きガラス板は、一方の主面に固定具が取り付けられており、前記樹脂枠付きガラス板は、前記固定具が前記第1緩衝材と対向するように前記棚板の上に配置され、前記固定具が前記第1緩衝材と当接するように構成してもよい。
【0011】
上述のガラス板収納装置において、前記棚板の上面には第3緩衝材が取り付けられており、前記樹脂枠付きガラス板は、前記樹脂枠付きガラス板の前記固定具が取り付けられている主面が前記第3緩衝材と当接するように配置してもよい。
【0012】
上述のガラス板収納装置において、前記樹脂枠付きガラス板は、前記樹脂枠付きガラス板の前記固定具が取り付けられている主面とは反対側の主面が前記第2緩衝材と当接するように配置してもよい。
【0013】
上述のガラス板収納装置において、前記棚板は、平面視した際の形状が矩形状であってもよく、前記矩形状の棚板の一端側が前記支持部に固定されていてもよく、前記矩形状の棚板の前記一端側と対向する他端側にスペーサが設けられていてもよく、前記各々の棚板が第1状態のときに、前記各々の棚板に設けられた前記スペーサ同士が互いに当接することで、前記各々の棚板の間に、前記樹脂枠付きガラス板を収納するための空間が形成されてもよい。
【0014】
上述のガラス板収納装置において、前記棚板は、枠体と、当該枠体にスライドさせて挿入可能な板状部材とを用いて構成してもよい。
【0015】
上述のガラス板収納装置において、第2状態の前記枠体に前記板状部材をスライドさせて挿入することで、前記棚板が第2状態から第1状態となるようにしてもよい。
【0016】
上述のガラス板収納装置において、前記枠体は金属材料で構成してもよく、前記板状部材は樹脂材料で構成してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、収納作業を簡素化することが可能なガラス板収納装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】樹脂枠付きガラス板の一例を示す平面図である。
【
図2】
図1の切断線II-IIにおける断面図である。
【
図3】実施の形態にかかるガラス板収納装置を示す断面図である。
【
図4】実施の形態にかかるガラス板収納装置を示す正面斜視図である。
【
図5】実施の形態にかかるガラス板収納装置が備える棚板の構成例を示す平面図である。
【
図6】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納した状態を示す断面図である。
【
図7】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納した状態を示す拡大断面図である。
【
図8】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納した状態の他の例を示す拡大断面図である。
【
図9】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納する際の動作を説明するための断面図である。
【
図10】実施の形態にかかるガラス板収納装置の棚板の上面に樹脂枠付きガラス板を配置した状態を示す上面図である。
【
図11】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納する際の動作を説明するための断面図である。
【
図12】実施の形態にかかるガラス板収納装置に樹脂枠付きガラス板を収納する際の動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施の形態にかかるガラス板収納装置に収納される樹脂枠付きガラス板について説明する。
図1は、樹脂枠付きガラス板の一例を示す平面図である。
図2は、
図1の切断線II-IIにおける断面図である。
【0020】
図1、
図2に示すように、樹脂枠付きガラス板100は、ガラス板101と樹脂枠102とを備える。樹脂枠付きガラス板100は、ガラス板101に予めポリ塩化ビニルやポリウレタン等の樹脂枠を取り付けたものである。樹脂枠付きガラス板100は、車両に取り付けられる場合に車内側を向く主面の周縁に接着剤が塗布され、車体の開口部に接着される。そして、樹脂枠付きガラス板100に塗布された接着剤が硬化するまでに樹脂枠付きガラス板100の位置がずれないように、樹脂枠付きガラス板100が車両に取り付けられる場合に車内側を向く主面には、固定具103が形成されている(
図2参照)。固定具103は、樹脂枠付きガラス板100の主面から突出するように形成されている。
図1に示す例では、樹脂枠付きガラス板100の周縁の3箇所に固定具103が形成されている例を示している。
【0021】
なお、
図1、
図2に示す樹脂枠付きガラス板100は一例であり、本実施の形態にかかるガラス板収納装置は、
図1、
図2に示す形状以外の形状を有する樹脂枠付きガラス板を収納してもよい。
【0022】
図1に示す樹脂枠付きガラス板100において、ガラス板101は平面視において、略四角形状(台形形状)に形成されている。ただし、ガラス板101の形状は略四角形状に限定されず、略三角形状などでもよい。ガラス板101は、無機ガラスでもよいし、有機ガラスでもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが特に制限なく用いられる。これらのなかでも、製造コスト、及び成形性の観点からソーダライムガラスが特に好ましい。ガラス板101の成形法は特に限定されない。例えば、無機ガラスの場合、フロート法などにより成形されたガラス板が好ましい。
ガラス板101が無機ガラスである場合、ガラス板101は、未強化ガラス又は強化ガラスの何れでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形して徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものであり、風冷強化ガラス、化学強化ガラスのいずれでもよい。
【0023】
強化ガラスが物理強化ガラス(例えば、風冷強化ガラス)である場合、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷させるなど、徐冷以外の操作により、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力層を生じさせることで、ガラス表面を強化してもよい。強化ガラスが化学強化ガラスである場合、曲げ成形の後、イオン交換法などによってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化してもよい。また、ガラス板101としては、紫外線又は赤外線を吸収するガラスを用いてもよい。ガラス板101は透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板であってもよい。
【0024】
ガラス板101は、車両に取り付けられたときに、車外側が凸となるような湾曲形状であってよい。ガラス板101は、1方向にのみ曲げ成形された単曲曲げ形状を有していてもよいし、2方向(例えば所定方向と、当該所定方向と直交する方向)に曲げ成形された複曲曲げ形状を有していてもよい。ガラス板101の曲げ成形には、重力成形、プレス成形又はローラー成形などが用いられる。ガラス板101が所定の曲率に曲げ成形されている場合、ガラス板101の曲率半径は、1000~100000mmであってよい。
【0025】
ガラス板101は、1枚のガラス板であってもよいが、例えば、2枚以上のガラス板が中間膜を介して接着された合わせガラスであってもよい。合わせガラスの中間膜は、一例としてポリビニルブチラール(PVB)製又はエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)製などの公知の熱可塑性樹脂膜が用いられる。合わせガラスの中間膜は、透明であってもよいし、着色された中間膜であってもよい。また、中間膜は2層以上であってもよい。
【0026】
ガラス板101が合わせガラスである場合、ガラス板101を車両に取り付けた場合に外側に位置するガラスの厚みと、内側に位置するガラスの厚みとは同じであってもよいし、異なっていてもよい。ガラス板101を車両に取り付けた場合に、外側に位置するガラスの厚みは1.0mm以上3.0mm以下であることが好ましい。外側に位置するガラス板の厚みが1.0mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3.0mm以下であると、合わせガラスの質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。内側に配置されるガラス板の厚みは、0.3mm以上2.3mm以下であることが好ましい。車内側に位置するガラス板の板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることにより質量が大きくなり過ぎない。外側に位置するガラスの厚みと内側に位置するガラスの厚みがそれぞれ1.8mm以下であれば、ガラス板101の軽量化と遮音性を両立させることができ、好ましい。なお、内側に位置するガラスの厚みが1.0mm以下の場合、内側に位置するガラスが化学強化ガラスであってもよい。内側に位置するガラスが化学強化ガラスである場合、ガラス表面の圧縮応力値は300MPa以上、圧縮応力層の深さは2μm以上であることが好ましい。
【0027】
ガラス板101が1枚のガラス板である場合、ガラス板101は風冷強化ガラスであることが好ましく、この場合、ガラス板101の厚みは1.0mm以上5.0mm以下であることが好ましい。
【0028】
また、ガラス板101が有機ガラスである場合、有機ガラスの材料としては、ポリカーボネート又はアクリル樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート)などの透明樹脂が挙げられる。
【0029】
ガラス板101は、車内側の面の周縁に遮蔽層を備えていてもよい。遮蔽層は、例えば、黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットを含むセラミックカラーペーストを塗布し、焼成することによって形成される。ガラス板101に塗布される接着剤などを紫外線による劣化を防ぐことが出来る。なお、ガラス板101には、耐候性を高める観点や、親水性や撥水性などの機能性を高める観点から各種適切な膜が、ガラス板101の主面に形成されてもよい。
【0030】
樹脂枠102は、一例としてガラス板101の周囲を取り囲むように設けられる。樹脂枠102の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)及び熱可塑性エラストマー(TPE)などの合成樹脂を例示できる。樹脂枠102は、その形状に対応したキャビティを有する金型にガラス板101を装着し、キャビティに上記の合成樹脂(溶融した合成樹脂)を射出することにより、ガラス板101の周囲に設けられてもよい。また、ガラス板101とは別に形成された樹脂枠102をガラス板101の外周に嵌合させてもよい。
【0031】
樹脂枠102がガラス板101の周囲に射出成形で一体成形されている場合、樹脂枠付きガラス板100は、ガラス板101と樹脂枠102と固定具103とが一体に成形された一体成形品であってもよいし、別途準備した固定具103を樹脂枠付きガラス板100に取り付けられてもよい。
【0032】
次に、本実施の形態にかかるガラス板収納装置について説明する。
図3、
図4はそれぞれ、本実施の形態にかかるガラス板収納装置を示す断面図および正面斜視図である。
図3、
図4に示すように、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1は、鉛直方向(z軸方向)に伸びる支持部10と、複数の棚板11と、を備える。
【0033】
支持部10は、複数の棚板11を支持している。具体的には、支持部10は、矩形状であり、平板上の棚板11のy軸方向の両端部(
図4参照)に設けられており、棚板11のx軸方向マイナス側を支持している。支持部10は、例えば金属材料等を用いて構成されている。
【0034】
複数の棚板11は、支持部10に各々固定されており、鉛直方向(z軸方向)において互いに離間するように配置されている。また、各々の棚板11は、水平状態(第1状態)と跳ね上げた状態(第2状態)との間で、回動軸15を中心に回動可能に支持部10に固定されている。つまり、各々の棚板11は、水平状態(
図3の棚板11a参照)と跳ね上げた状態(
図3の棚板11b参照)の2つの状態をとることができる。なお、本明細書では、水平状態の棚板を棚板11aと記載し、跳ね上げた状態の棚板を棚板11bと記載し、棚板11a、11bを総称する場合は棚板11と記載する。
【0035】
図4に示すように、各々の棚板11のx軸方向プラス側の端部(両端部)には、スペーサ16が設けられている。このように、各々の棚板11にスペーサ16を設けることで、各々の棚板11の間に空間を形成できる。すなわち、各々の棚板11が水平状態のときに、各々の棚板11のスペーサ16が鉛直方向において互いに当接することで、各々の棚板11の間に空間が形成される。
【0036】
各々の棚板11の上面には第1緩衝材12が取り付けられている。また、各々の棚板の下面には第2緩衝材13が取り付けられている。各々の棚板11の間に樹脂枠付きガラス板100が収納された際、第1緩衝材12は樹脂枠付きガラス板100の固定具103が取りけられている主面側(樹脂枠付きガラス板100の下側)に位置し、第2緩衝材13は樹脂枠付きガラス板100の固定具103が取りけられている主面とは反対側(樹脂枠付きガラス板100の上側)に位置する(
図6参照)。つまり、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1では、各々の棚板11の間において、第1緩衝材12と第2緩衝材13との間に樹脂枠付きガラス板100を配置することで樹脂枠付きガラス板100が収納される(
図6参照)。
【0037】
本実施の形態では、ガラス板101の周囲に取り付けられる樹脂枠102が、第1緩衝材12が取り付けられている棚板11に触れないことが好ましい。樹脂枠付きガラス板100が、固定具103が取りけられている主面とは反対側が凸となるような湾曲形状である場合や、樹脂枠102に突起が形成されている場合に、棚板11に樹脂枠102が接してしまうと樹脂枠102が変形してしまう恐れがある。そのため、第1緩衝材12は、湾曲形状や、突起が形成されている樹脂枠付きガラス板100が配置された場合でも、樹脂枠102が棚板11に接することがない程度の高さを有することが好ましい。
【0038】
なお、本実施の形態では、各々の棚板11のうち、最上層に位置する棚板11については第1緩衝材12を省略し、最下層に位置する棚板11については第2緩衝材13を省略することが好ましい。第1緩衝材12、第2緩衝材13は、棚板11に公知の両面テープや、接着剤、面ファスナなどで取り付けてもよいし、棚板11に嵌合させるなど、直接取り付けてもよい。
【0039】
第1緩衝材12および第2緩衝材13には、例えば、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、発泡スチロール等の発泡樹脂を用いてもよい。なお、第1緩衝材12および第2緩衝材13には互いに同一の材料を用いてもよく、また互いに異なる材料を用いてもよい。
【0040】
また、第1緩衝材12および第2緩衝材13の配置は、樹脂枠付きガラス板100の形状に応じて適宜変更できる。また、第1緩衝材12および第2緩衝材13は、棚板11から取り外し可能に構成してもよい。第1緩衝材12および第2緩衝材13を取り外し可能に構成した場合は、収納する樹脂枠付きガラス板100の種類が変更になった際に、第1緩衝材12および第2緩衝材13の配置を、変更後の樹脂枠付きガラス板100の形状に応じて容易に変更できる。これにより、第1緩衝材12、第2緩衝材13、及び棚板11を再利用できる。
【0041】
図5は、本実施の形態にかかるガラス板収納装置が備える棚板11の構成例を示す平面図である。
図5に示すように、棚板11は、枠体21と板状部材22とを用いて構成されている。板状部材22の上面には第1緩衝材12が取り付けられている。例えば、枠体21は強度の強い金属材料を用いて構成できる。また、板状部材22は、柔軟性のある樹脂材料を用いて構成できる。板状部材22に樹脂材料を用いた場合は、板状部材22が鉛直方向において撓むことができ、これにより樹脂枠付きガラス板100にかかる鉛直方向の衝撃を吸収できる。
【0042】
例えば、板状部材22は、枠体21にスライドさせて挿入可能に構成されている。具体的には、枠体21のx軸方向プラス側から板状部材22を挿入した後、板状部材22をx軸方向マイナス側にスライドさせることで、板状部材22を枠体21に取り付けられる。例えば、跳ね上げた状態の枠体21に板状部材22をスライドさせて挿入することで、板状部材22の自重により棚板11が跳ね上げた状態から水平状態となるようにしてもよい。
【0043】
次に、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納した状態について、
図6~
図8を用いて説明する。
図6、
図7は、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納した状態を示す断面図、及び拡大断面図である。
図6に示すように、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1は、各々の棚板11の間に空間が形成されており、各々の樹脂枠付きガラス板100は各々の棚板11の間に形成された空間に収納される。このとき、各々の樹脂枠付きガラス板100は、第1緩衝材12と第2緩衝材13との間に配置される。
【0044】
具体的には、
図7の拡大断面図に示すように、樹脂枠付きガラス板100の下側には固定具103が設けられており、樹脂枠付きガラス板100を第1緩衝材12の上に配置する際は、樹脂枠付きガラス板100の固定具103が第1緩衝材12と当接するように配置する。このように、樹脂枠付きガラス板100の固定具103が第1緩衝材12と当接するように配置することで、運搬時に樹脂枠付きガラス板100が水平方向(xy平面方向)に変位することを抑制できる。
【0045】
例えば、第1緩衝材12の上面には、樹脂枠付きガラス板100の固定具103と対応する位置に孔部(不図示)が形成されていてもよい。つまり、第1緩衝材12の上面に形成されている孔部(不図示)に、樹脂枠付きガラス板100の固定具103を挿入するように配置することで、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれをより確実に抑制できる。
【0046】
また、本実施の形態では、
図7の拡大断面図に示すように、樹脂枠付きガラス板100の上面が第2緩衝材13と当接していてもよい。つまり、樹脂枠付きガラス板100を第1緩衝材12と第2緩衝材13とで挟んで固定することで、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれを抑制できる。なお、本実施の形態では、樹脂枠付きガラス板100の上面と第2緩衝材13との間に若干の隙間が形成されるようにしてもよい。また、本実施の形態では、第2緩衝材13の変形後の厚みが元の厚みの80%~99%程度となるように、樹脂枠付きガラス板100の上面に第2緩衝材13を当接させてもよい。このようにすることで、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれをより確実に抑制できる。
【0047】
図8は、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納した状態の他の例を示す拡大断面図である。
図8に示すように、本実施の形態では、樹脂枠付きガラス板100の下面(固定具103が取り付けられている面)が第3緩衝材14と当接するようにしてもよい。すなわち、樹脂枠付きガラス板100を収納する際に、固定具103を第1緩衝材12と当接させるとともに、樹脂枠付きガラス板100の下面(つまり、固定具103が設けられている位置以外の面)を第3緩衝材14と当接させてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、
図8の拡大断面図に示すように、複数の第2緩衝材13が樹脂枠付きガラス板100の上面と当接するようにしてもよい。このとき、鉛直方向(z軸方向)における第1緩衝材12および第3緩衝材14の位置(下側の緩衝材の位置)と第2緩衝材13の位置(上側の緩衝材の位置)とを互いにずらすようにしてもよい。このような構成とすることで、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれを効果的に抑制できる。
【0049】
なお、上述した構成例では、樹脂枠付きガラス板100に固定具103が設けられている場合について説明したが、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1は、固定具103を備えない樹脂枠付きガラス板100を収納することも可能である。この場合は、樹脂枠付きガラス板100の下面(好ましくは任意の複数箇所)が第1緩衝材12と当接するようにするとともに、第2緩衝材13が樹脂枠付きガラス板100の上面と当接するようにする。つまりこの場合も、樹脂枠付きガラス板100を第1緩衝材12と第2緩衝材13とで挟んで固定することで、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれを抑制できる。
【0050】
特に樹脂枠付きガラス板100が固定具103を備えない場合は、第1緩衝材12および第2緩衝材13の変形後の厚みが元の厚みの80%~99%程度となるように、第1緩衝材12および第2緩衝材13を用いて樹脂枠付きガラス板100を挟持することが好ましい。これにより、運搬時における樹脂枠付きガラス板100の位置ずれを効果的に抑制できる。
【0051】
次に、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納する際の動作について説明する。本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納する際は、まず、水平状態の棚板11aの第1緩衝材12の上に樹脂枠付きガラス板100を載置する。その後、次段の棚板11bを跳ね上げた状態から水平状態とすることで、樹脂枠付きガラス板100を棚板11の間に収納する。このような動作を繰り返すことで、鉛直方向において互いに離間して配置された複数の棚板11の間の空間に、複数の樹脂枠付きガラス板100を収納できる。以下、
図9~
図12を用いて、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1に樹脂枠付きガラス板100を収納する際の動作について詳細に説明する。
【0052】
まず、
図9の断面図、及び
図10の上面図に示すように、水平状態の棚板11aの第1緩衝材12の上に樹脂枠付きガラス板100を載置する。このとき、樹脂枠付きガラス板100の固定具103が第1緩衝材12と当接するように、樹脂枠付きガラス板100を第1緩衝材12の上に載置する(
図9参照)。
図9、
図10に示す例では、1枚の棚板11aに4枚の樹脂枠付きガラス板100を収納する例を示している。なお、1枚の棚板11a当たりに収納される樹脂枠付きガラス板100の枚数は、樹脂枠付きガラス板100の形状、大きさに応じて適宜変更できる。
【0053】
次に、
図11の断面図に示すように、樹脂枠付きガラス板100を載置した棚板11aの一つ上の段(次段)の棚板11bを、跳ね上げた状態から水平状態とする。このように次段の棚板11bを水平状態とすることで、
図12に示すように、樹脂枠付きガラス板100の上面に第2緩衝材13が当接される。このような動作により、樹脂枠付きガラス板100を第1緩衝材12と第2緩衝材13とで挟んで固定できる。以降、上述の動作を繰り返すことで、鉛直方向において互いに離間して配置された複数の棚板11の間の空間に、複数の樹脂枠付きガラス板100を収納できる。
【0054】
背景技術で説明したように、樹脂枠付きガラス板は、ガラス板の周囲に樹脂枠が形成されている。このため、樹脂枠付きガラス板の搬送時に樹脂枠同士が接触等して樹脂枠に力が働くと、樹脂枠が変形してしまう場合があった。このように樹脂枠が変形した場合は、樹脂枠付きガラス板が不良品となる。このような問題を解決するために、従来では工場出荷時に一枚ずつポリエチレンシートで包装した後、緩衝材とともに収納手段に収納していた。しかしながら、樹脂枠付きガラス板を一枚ずつ包装してから収納手段に収納した場合は、収納作業が煩雑になるという問題があった。
【0055】
これに対して本実施の形態にかかるガラス板収納装置1では、鉛直方向において互いに離間するように複数の棚板11を配置するとともに、各々の棚板11を、水平状態と跳ね上げた状態との間で回動軸を中心に回動可能に構成している。そして、互いに離間して配置された各々の棚板11の間において、第1緩衝材12と第2緩衝材13との間に樹脂枠付きガラス板100を配置して樹脂枠付きガラス板100を収納している。したがって、樹脂枠付きガラス板100の収納作業を簡素化できる。
【0056】
特に、本実施の形態にかかるガラス板収納装置1では、水平状態の棚板11aの第1緩衝材12の上に樹脂枠付きガラス板100を載置した後、次段の棚板11bを跳ね上げた状態から水平状態とすることで、樹脂枠付きガラス板100を棚板11の間に収納している。そして、このような動作を繰り返すことで、鉛直方向において互いに離間して配置された複数の棚板11の間の空間に、複数の樹脂枠付きガラス板100を収納している。したがって、樹脂枠付きガラス板100の収納作業を簡素化できる。
【0057】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
1 ガラス板収納装置
10 支持部
11 棚板
11a 水平状態(第1状態)の棚板
11b 跳ね上げた状態(第2状態)の棚板
12 第1緩衝材
13 第2緩衝材
14 第3緩衝材
15 回動軸
16 スペーサ
21 枠体
22 板状部材
100 樹脂枠付きガラス板
101 ガラス板
102 樹脂枠
103 固定具