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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022181838
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】磁性細線デバイスの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/8239 20060101AFI20221201BHJP
   H01L 43/08 20060101ALI20221201BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20221201BHJP
   G11C 11/16 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L27/105 447
H01L43/08 A
H01L29/82 Z
G11C11/16 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089020
(22)【出願日】2021-05-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】宮本 泰敬
(72)【発明者】
【氏名】石井 紀彦
【テーマコード(参考)】
4M119
5F092
【Fターム(参考)】
4M119AA02
4M119AA17
4M119BB20
4M119CC02
4M119CC03
4M119CC10
4M119DD17
4M119DD22
4M119DD60
4M119EE04
4M119EE08
4M119HH01
4M119KK09
5F092AA15
5F092AA20
5F092AB06
5F092AC04
5F092AD23
5F092AD24
5F092AD26
5F092BB04
5F092BB43
5F092BC13
5F092BD04
5F092BD18
5F092BD21
5F092DA01
(57)【要約】
【課題】リーク電流を抑制し、デバイスとしての動作を実現することができる磁性細線デバイスの制御方法を提供する。
【解決手段】細線状の磁性体である磁性細線10と、磁性細線に層間絶縁層30を介して配置されて電流磁界によって磁性細線に情報を磁区として記録する記録素子20と、を備える磁性細線デバイス1の制御方法であって、記録素子20は、磁性細線10とねじれの位置で交差する導線部を2つ有し、記録時に磁性細線10上で2つの導線部に挟まれた磁性細線領域に磁区を記録し、記録時に、記録素子20に電気的に接続された第1記録電源41、第2記録電源42によって、磁区を記録できる記録電流が記録素子20に流れるように、かつ、磁性細線10と記録素子20との電位差を低減するように各記録電源41,42間に所定の電位差を生成し、導線部の両端に接続された一対の記録電源41,42から互いに逆符号のパルス電圧を導線部に印加する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細線状の磁性体である磁性細線と、前記磁性細線に層間絶縁層を介して配置されて電流磁界によって前記磁性細線に情報を磁区として記録する記録素子と、を備える磁性細線デバイスの制御方法であって、
前記記録素子は、前記磁性細線とねじれの位置で交差する導線部を2つ有し、記録時に前記磁性細線上で2つの前記導線部に挟まれた磁性細線領域に磁区を記録し、
前記記録時に、前記記録素子に電気的に接続された2台以上の記録電源によって、磁区を記録できる記録電流が前記記録素子に流れるように、かつ、前記磁性細線と前記記録素子との電位差を低減するように各記録電源間に所定の電位差を生成し、前記導線部の両端に接続された一対の記録電源から互いに逆符号のパルス電圧を前記導線部に印加することを特徴とする磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項2】
前記記録素子は、2つの前記導線部が繋がったコの字の形状の構造を有し、
2つの前記導線部が繋がった全体の両端に前記一対の記録電源が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項3】
2台の前記記録電源を用いることを特徴とする請求項2に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項4】
前記一対の記録電源から前記導線部に印加するパルス電圧の大きさは等しいことを特徴とする請求項3に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項5】
前記記録時に、前記記録素子から前記磁性細線に漏れる電流の電流値を、前記磁性細線上に記録する磁区または既に記録された磁区を駆動させない電流値に低減させるように、前記磁性細線と前記記録素子との電位差を低減させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項6】
前記記録素子は、2つの前記導線部が電気的に分離されており、
2台以上の前記記録電源によって、前記記録素子の2つの前記導線部に対して互いに反対向きに同時に記録電流が流れるように、それぞれの導線部において、前記導線部の両端に接続された一対の記録電源から互いに逆符号のパルス電圧を前記導線部に印加することを特徴とする請求項1に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項7】
前記磁性細線デバイスは、複数の前記磁性細線を備えており、
前記記録素子は、2つの前記導線部が複数の前記磁性細線とねじれの位置で交差するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項8】
前記磁性細線デバイスは、メモリまたは空間光変調器であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【請求項9】
前記磁性細線デバイスは、外気と隔離して乾燥窒素雰囲気または真空に保つことができる容器に封入されていることを特徴とする請求項8に記載の磁性細線デバイスの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性細線デバイスの制御方法に係り、特に、電流磁界によって情報を磁区として記録する磁性細線デバイスの制御方法関する。
【背景技術】
【0002】
従来、垂直磁気異方性を持つ材料を用いた磁性細線が知られている。例えば、これまでに、磁性細線材料として、垂直磁化膜として実績のあるコバルト(Co)とテルビウム(Tb)の多層積層膜構造や、コバルトとパラジウム(Pd)の多層積層膜構造を用いて、磁区を駆動することに成功していることが報告されている。また、この種の磁性細線デバイスにおける記録素子(記録部)として、従来のHDD用記録ヘッドを磁性細線上に接触配置して、情報を記録する方法が考えられている。しかしながら、記録ヘッドの保護膜には数百nmほどの厚みがあるために記録ヘッドを磁性細線上に最近接に配置できない問題や、記録ヘッドがサスペンションなどの機械的な動作部を有しているために位置合わせの際にずれが生じるなどの問題があった。
【0003】
そこで図15(a)に示す磁性細線デバイス101のように、磁性細線110と、層間絶縁層130を挟んで直交ねじれの位置となるように、導線(記録素子120)を配置することにより、これらの問題を解決している。わかりやすくするため、初期値では磁性細線110はすべて下向きにあらかじめ磁化されているものとする。
【0004】
この構造の磁性細線デバイスにおいて磁区を形成する原理を図15(b)で示す。導線(記録素子120)に電流(記録電流A)を流すことにより、記録電流Aに沿って右回りの方向に電流磁界(記録磁界H)が、記録素子120の周囲に生成される。この電流磁界の強度が、垂直磁気異方性を持つ磁性細線110の異方性磁界の強度よりも大きくなると、磁性細線110上に上向きまたは下向きの磁区を形成(磁区記録)することができる。図15(c)に記録素子120と磁性細線110の断面における記録磁界Hの拡がりと、形成される磁区Dの様子を模式的に示す。磁性細線110が垂直磁化媒体である場合、記録素子120を中心に同心円状に広がる記録磁界ベクトルのうち、膜厚方向のベクトル成分が主に磁化反転に寄与する。
【0005】
このときの評価系を図16(デバイス俯瞰図)、図17(デバイス断面図)で示す。記録素子120には記録電源40が接続されており、記録電流(パルス電圧)を記録素子120に印加することができる。記録電流の向き(電流の正負)を変えることで、磁性細線110上に上向き、下向きの磁区を形成することができる。具体的には、導線(記録素子120)の一端121には記録電源40の端子40aが接続されており、他端122は接地されているものとする。磁性細線110の一端(左端)には、第1駆動電源51の端子51aが接続されている。磁性細線110の他端(右端)には、第2駆動電源52の端子52aに接続されている。符号40b,51b,52bは接地端子であり、符号40c,51c,52cは操作表示部である。
上向きの磁区を記録するときは、記録電源40が記録素子120に正の記録電流(パルス電圧)を、下向きの磁区(パルス電圧)を記録するときは負の記録電流を印加する。磁性細線110の両端には第1駆動電源51、第2駆動電源52が接続されており、磁性細線110上の磁区を左右に移動(駆動)することができる。磁区を右に移動(駆動)させるときは第1駆動電源51から第2駆動電源52へ駆動電流(パルス電圧)を印加することで実現する。また、左に移動(駆動)させるときは第2駆動電源52から第1駆動電源51へ、駆動電流(パルス電圧)を印加することで実現する。
【0006】
なお、従来、磁性細線に直交するように設けられた導線(金属配線)を記録素子として用いる方法は広く実施されている(例えば非特許文献1参照)。また1本の記録素子による記録磁界では、磁性細線上にできる磁区が磁性細線の長手方向に広がり微小磁区の形成が難しく、その形状も揺らいでしまう。これに対して、導線(記録素子)が磁性細線上を往路と復路の2回跨ぐコの字型の構造とし、2本の導線(記録素子)の合成磁界によって2本の導線のギャップ間に磁区記録を行うことで、磁区長を制御するという方法が提案されている(特許文献1、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-27805号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】近藤剛、外7名、「Co/Ni細線内磁壁位置制御技術と磁気シフトレジスタへの応用」、電子情報通信学会技術研究報告、2017年10月12日、vol. 117、no.24、p.13-16
【非特許文献2】川那真弓、外3名、「様々な記録素子形状における磁性細線中への磁区形成シミュレーション」、日本磁気学会学術講演概要集、2018年8月28日、第42巻、P.109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
磁性細線デバイス101において、記録素子120と磁性細線110は電気的に隔離されている必要があるため、層間絶縁層130を両者間に挿入する必要がある。層間絶縁層130は絶縁性を担保する必要性があるが、必要以上に厚くすると、磁性細線110と記録素子120との間の距離が大きくなることで、磁性細線110上に印加される電流磁界が弱くなる。その結果、記録に必要となる記録電流の増大や、記録素子120への大電流印加による素子の破壊の原因となる。そのため、層間絶縁層30の膜厚は薄い方が望ましい。しかし、層間絶縁層130を薄くすることにより、記録時に記録電流の一部が磁性細線110へリーク電流として流出する虞も生じる。このリーク電流は、磁区記録時に磁性細線110上にすでに形成されている磁区を意図せず駆動させる原因となる。磁区記録と磁区駆動とが同時に起こるため、記録時に磁区が広がり、最小ビット長を大きくする虞がある。
【0010】
またリーク電流の大きな素子においては、記録する磁区やすでに形成されている磁区がジュール熱によってバラバラに破壊(磁区がメイズパターン化)されるため、磁区記録自体が困難となる。リーク電流の抑制は安定した磁区記録に必要不可欠である。層間絶縁層の膜厚は非常に薄いため(例えば十数nm程度)、同じ基板上で複数の磁性細線を製作したときにそれぞれのばらつきの差によりリーク電流が生じる場合がある。
【0011】
また、デバイス製作では、基板上に磁性細線/層間絶縁層/記録素子の順に作る際に電子線描画によるパターンの形成、スパッタ装置による材料の堆積、レジスト剥離などの多くのプロセスを介しながら積層構造を形成するのが現状である。そのため、製作時における歩留まりの問題(層間絶縁層の膜厚や均一性、磁性細線や記録素子のエッジ形状、基板上における膜厚の不均一性など)により、本来リーク電流が発生しない条件でデバイスを設計したとしても、やむなくリーク電流が発生する場合がある。リーク電流を完全に抑制できる素子を製作することが最も望ましいが、リーク電流が発生する素子においてもデバイスの制御技術の工夫により、不要なリーク電流を抑制できれば、素子の歩留まりの問題を解決し、更には不良となったデバイスでも一定の範囲で活用することができる。
【0012】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、リーク電流を抑制し、デバイスとしての動作を実現することができる磁性細線デバイスの制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明に係る磁性細線デバイスの制御方法は、細線状の磁性体である磁性細線と、前記磁性細線に層間絶縁層を介して配置されて電流磁界によって前記磁性細線に情報を磁区として記録する記録素子と、を備える磁性細線デバイスの制御方法であって、前記記録素子は、前記磁性細線とねじれの位置で交差する導線部を2つ有し、記録時に前記磁性細線上で2つの前記導線部に挟まれた磁性細線領域に磁区を記録し、前記記録時に、前記記録素子に電気的に接続された2台以上の記録電源によって、磁区を記録できる記録電流が前記記録素子に流れるように、かつ、前記磁性細線と前記記録素子との電位差を低減するように各記録電源間に所定の電位差を生成し、前記導線部の両端に接続された一対の記録電源から互いに逆符号のパルス電圧を前記導線部に印加することとした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下に示す優れた効果を奏するものである。
磁性細線デバイスの制御方法によれば、磁性細線デバイスにおける記録素子から磁性細線へのリーク電流を抑制し、デバイスとしての動作を実現することができる。また、リーク電流が大きな素子として従来技術では使用に供されないデバイスであってもリーク電流を抑制して活用できる可能を高めることができる。したがって、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る磁性細線デバイスと電源を接続した模式図である。
図2】実験に用いた磁性細線が4並列化した磁性細線デバイスと電源を接続した模式図である。
図3図2の磁性細線デバイス断面と電源の接続を示す模式図である。
図4】実験1において第2記録電源から記録素子にパルス電圧を印加したときに記録素子に流れた記録電流の波形図である。
図5図4の記録電流を記録素子に流した際に磁性細線へ流れたリーク電流1およびリーク電流2の波形図である。
図6】実験2において第1記録電源から記録素子に印加したパルス電圧の波形図である。
図7】実験2において第1記録電源と同時に第2記録電源から記録素子に印加したパルス電圧の波形図である。
図8】実験2において記録素子に流れた記録電流の波形図である。
図9】実験2において4本の磁性細線に流れたリーク電流1およびリーク電流2の波形図である。
図10】磁性細線デバイスへの磁区記録と磁区駆動を繰り返すときに印加される電圧のタイミングチャートである。
図11図10のタイミングチャートを繰り返すことにより磁性細線デバイスに生成した磁区の磁気光学顕微鏡像である。
図12】本発明の実施形態に係る磁性細線デバイスの制御方法の第1変形例の模式図である。
図13】本発明の実施形態に係る磁性細線デバイスの制御方法の第2変形例の模式図である。
図14】本発明の実施形態に係る磁性細線デバイスの制御方法の第3変形例の模式図である。
図15図15(a)は磁性細線デバイスの模式図、図15(b)は磁性細線上に磁区記録を行う模式図(俯瞰図)、図15(c)は磁性細線上に磁区記録を行う模式図(断面図)である。
図16図15の磁性細線デバイスと電源を接続した模式図である。
図17図16の磁性細線デバイス断面と電源の接続を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[磁性細線デバイスの制御方法]
図1を参照して磁性細線デバイスの制御方法について説明する。本実施形態では、磁性細線デバイス1は、メモリであるものとして説明する。
磁性細線デバイス1は、細線状の磁性体である磁性細線10と、磁性細線10に層間絶縁層30を介して配置されて電流磁界によって磁性細線10に情報を磁区として記録する記録素子20と、を備えている。記録素子20は、磁性細線10とねじれの位置で交差する導線部を2つ有し、記録時に磁性細線10上で2つの導線部に挟まれた磁性細線領域に磁区を記録する。
磁性細線デバイスの制御方法は、記録時に、記録素子20に電気的に接続された2台以上の記録電源によって、磁区を記録できる記録電流が記録素子20に流れるように、かつ、磁性細線10と記録素子20との電位差を低減するように各記録電源間に所定の電位差を生成し、導線部の両端に接続された一対の記録電源41,42から互いに逆符号のパルス電圧を導線部に印加する。
【0017】
図1に示すように、記録素子20は、2つの導線部が繋がったコの字の形状の構造を有し、2つの導線部が繋がった全体の両端に一対の記録電源41,42が接続されている。また、ここでは、2台の記録電源(第1記録電源41および第2記録電源42)を用いることとした。一対の記録電源41,42から導線部に印加するパルス電圧の大きさは等しいことが好ましい。記録時に、記録素子20から磁性細線10に漏れる電流の電流値を、磁性細線10上の磁区を駆動させない電流値にまで低減させるように、磁性細線10と記録素子20との電位差を低減することが好ましく、磁性細線10と記録素子20との電位差が0であることがより好ましい。ここで磁性細線10上の磁区とは、磁性細線10上に記録する磁区または既に記録された磁区を指す。
【0018】
[磁性細線デバイスの構成]
次に、磁性細線デバイス1の各部の詳細な構成について更に説明する。
本実施形態では、図1のように磁性細線デバイス1は、一例として、1本の磁性細線10と、2本の導線部を有する記録素子20を持つこととした。磁性細線デバイス1は、磁性細線10上に層間絶縁層30を介して、磁性細線10に対してねじれの位置に記録素子20が形成されている。
【0019】
磁性細線10は、薄膜であって、しかも長さに対して厚さおよび幅が薄く、狭い細線状に形成されている。磁性細線10の厚さは例えば5nm~2μm、幅は例えば20nm~100μm、長さは例えば100nm~500μmとすることができる。なお、後記する実施例では磁性細線10の膜厚は例えば数nmオーダーであるものとする。磁性細線10は、電子線描画やフォトリソグラフィおよび、エッチングまたはリフトオフにより、前記形状に成形される。磁性細線10を記録媒体として利用し、高密度に情報を記録するためには、磁性細線10の材料として、垂直磁気異方性を持つ磁性材料を用いることが好ましい。そのような材料としては、例えばCo-Tb,Co-Pd,Co-Cr,Co-Pt,Co-Cr-Pt等の合金や、Tb-Fe-Co,Gd-Fe等の希土類金属と遷移金属との合金(RE-TM合金)、さらに上記元素からなる多層積層構造膜が挙げられる。
【0020】
記録素子20は、導線であり、磁性細線10とは電気的に隔離された状態で磁性細線10内部に磁区を形成する記録素子用導電層である。記録素子20は、磁性細線10とねじれの位置に、磁性細線10を2回またぐように導線部が直交配置されている。記録素子20の厚さ、幅、長さ等の範囲は、概ね磁性細線10の厚さ、幅、長さ等の範囲と同様にすることができる。なお、後記する実施例では記録素子20の膜厚は、例えば100nmオーダーであるものとする。
【0021】
記録素子20の材料としては、一般的な電極材料を適用できる。具体的には、例えば、導電性のよいCu,Al,Au,Ag,Ta,Cr,Co等の金属やその合金を挙げることができる。記録素子20の形成方法としては、例えばスパッタリング法等の公知の方法により電極材料を成膜し、電子線描画やフォトリソグラフィ工程と、エッチングまたはリフトオフ法等の工程とを用いることができる。
【0022】
なお、図1に示す例では、記録素子20の断面形状を円形としたが矩形でも構わない。また、記録素子20および磁性細線10の断面形状は、正方形、長方形、多角形、円形、楕円形等でも構わない。
【0023】
層間絶縁層30を形成する絶縁体は、一般的な絶縁体材料で構成されている。このような材料として、例えばSiO2やAl23等の酸化膜や、窒化シリコン(Si34)やMgF2等を挙げることができる。層間絶縁層30は、図示しない基板上で安定に支持されていればその形状は図示した平板状に限定されず、例えば、記録素子20の間に絶縁材料を充填してもよい。または、層間絶縁層30は、記録素子20の周囲に絶縁材料を敷き詰めた絶縁被膜としてもよい。
【0024】
[システムの構成]
図1に示すように、磁性細線デバイス1を制御する評価するシステム2は、第1記録電源41および第2記録電源42と、第1駆動電源51および第2駆動電源52と、を備えている。システム2において、図16に示すシステム102と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。第1記録電源41および第2記録電源42において、符号41a,42aは端子、符号41b,42bは接地端子、符号41c,42cは操作表示部である。第1記録電源41および第2記録電源42は、それぞれ記録素子20の2つの端子に接続されており、それぞれ互いに逆符号のパルス電圧を印加することができるものとする。
第1記録電源41および第2記録電源42は、コの字に配置された導線(記録素子20)の両端に接続されている。
【0025】
記録時には、記録素子20に対して、第1記録電源41よりパルス電圧を、第2記録電源42からは同じタイミングで第1記録電源41とは符号の逆の同じ振幅を持ったパルス電圧を印加する。このときに記録素子20に流れる記録電流は、第1記録電源41によるパルス電圧と、第2記録電源42による逆符号のパルス電圧との差の電圧となり、記録素子20の持つ抵抗値に応じた記録電流が流れる。このときに、磁性細線10から見た記録素子20の電位は、第1記録電源41によるパルス電圧と、第2記録電源42による逆符号のパルス電圧との和となるため、見かけ上0V、すなわち磁性細線10と同電位となり、リーク電流は流れない。また、第1記録電源41および第2記録電源42の記録電圧の大きさは、その電位差が記録電流を流すために十分な電位差であり、磁性細線10から見た記録素子20の電位差がリーク電流を抑制するのに十分小さければ、必ずしも等しくする必要はないが、等しい方が最も望ましい。
【0026】
本実施形態においては、記録素子20が図1のように磁性細線10の直上以外の部分で折り返すコの字型(1本の導体配線が往復する過程で磁性細線10と2回交差する形状)である。これのように構成することにより、容易に第1記録電源41および第2記録電源42にそれぞれ逆の符号を持つ同じ振幅を持ったパルス電圧の印加を実現し、記録素子20と磁性細線10との電位差を見かけ0Vにすることが可能となっている。
【0027】
[複数の磁性細線を有する磁性細線デバイス]
磁性細線デバイスが複数の磁性細線10を備えて記録素子20の2つの導線部が複数の磁性細線10とねじれの位置で交差するように構成されることが好ましい。その理由は、将来、磁性細線メモリが実現されるときには、数百万本に及ぶ磁性細線を並列に配置することが想定されるからである。そして、これらの並列磁性細線に対して、2本の導線部が直交となるように記録素子を配置し、2本の導線部間のギャップに発生する合成磁界により、すべての並列磁性細線上に同一の磁化方向を持つ磁区を記録するという記録制御が想定されている。
【0028】
そこで、以下では、図2で示すように複数の磁性細線に同じ情報を同時に磁区記録できるかどうか検証するため、磁性細線を4並列化した磁性細線デバイスにおいて磁区記録を試みた基礎実験(実験1、実験2)について説明する。図2に示すシステム2Bにおいて、図1のシステム2と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。磁性細線デバイス1Bは、4本の磁性細線10を備える点が図1の磁性細線デバイス1とは異なる。記録素子20はコの字型をしており、2つの導線部が各磁性細線10をそれぞれ2回、ねじれの位置で交差することで、2つの導線部を流れる電流(記録電流)の合成磁界により、2つの導線部の間に磁区を形成する。この導線部間の距離(ギャップ)を短くすることにより、合成磁界の範囲を狭くでき、記録される磁区の長さを短くすることが可能となる。記録密度の観点からは、ギャップを短くする方が望ましい。例えば電子線リソグラフィーを用いることにより40nmから100nm程度の微細なギャップを形成することも可能である。以下、実験1、実験2について順に説明する。
【0029】
(実験1)
表面熱酸化シリコン基板にスパッタリング法を用いて、4本並列に並べた磁性細線10を形成する。磁性細線10としては、垂直磁化の特性を持つものを用い、今回、コバルトとテルビウムの多層積層膜(膜厚4.5nm)と、その上に白金を堆積させ合計膜厚を7.5nmとした。また、このときの磁性細線10の幅を3μmとした。なお、多層積層膜は、膜厚0.3nmコバルトと膜厚0.6nmテルビウムを交互に積層したものを1ペアとして5ペア積層したものである。
【0030】
磁性細線10の上に層間絶縁層30として窒化シリコンを18nm堆積させた。その上にコの字の導線(記録素子20)を膜厚100nm、幅3μmのサイズで形成した。コの字の導線は、片方を往路、片方を復路とし、2本の導線の合成磁界によって記録素子20のギャップ間に磁区記録を行うものとする。
【0031】
このときの記録素子20の導線部間のギャップは100nmとした。層間絶縁層30の膜厚は記録素子20と磁性細線10の絶縁性を確保するために十分な膜厚として18nmとしている。ただし、多層構造のデバイスの形成における歩留まりや基板上の位置に起因する不均一性により生じた、絶縁性が悪い素子を選択する。この素子は磁区記録時に記録素子20から磁性細線10にリーク電流が生じるものとする。この絶縁性が悪い素子を用いて以下の実験1を行った。
【0032】
実験1は、本発明の効果を説明するための比較例に係る実験であって、磁区記録時における記録電圧印加工程のみを行うものである。実験1では図2の第1記録電源41を用いずに第2記録電源42より記録電流を流し、各磁性細線10に磁区記録ができるかどうかを確かめた。これまでの実験により、リーク電流がない状態において、上記の構成の磁性細線10および、コの字型の記録素子20において、記録素子20に約100mAの電流が流れたときに、磁性細線10上に磁区記録できることを確認している。また、図2のように4本並列に並べた磁性細線10においては、4本の磁性細線の全体に15mAの電流を流したときに磁区が駆動することが事前の実験により確かめられている。
【0033】
図4は、記録素子20に対して第2記録電源42から第1記録電源41の方向に71.6mA、3μsの記録電流を印加したときの記録電流の波形を示している。なお、記録電流は、例えば第2駆動電源52により観測することができる。このときに層間絶縁層30を介して磁性細線10へ流れたリーク電流1,2を図5に示す。ここで、リーク電流1は、図3に示すように磁性細線10から第1駆動電源51の側に流れるリーク電流であり、リーク電流2は、磁性細線10から第2駆動電源52の側に流れるリーク電流である。なお、図4から図8を参照して説明する電流値および電圧値は、1.5×10-6sのときの値である。
【0034】
図5に示すように、リーク電流1は13mAであり、リーク電流2は15mAであった。このうちリーク電流2の大きさ(15mA)は、磁性細線10の磁区を駆動させるときの駆動電流と同じ大きさであった。そのため、リーク電流2によって、すでに磁性細線10上に形成されていた磁区が、図3において右(第2駆動電源52の側)に駆動してしまうことが確認された。また、磁区記録が可能となる記録電流100mAを第2記録電源42から印加しようとしたが、リーク電流がさらに大きくなり、磁区を駆動させるだけでなく、磁性細線全体の磁区がメイズパターン化してしまい、磁区を記録することができなかった。なお、磁区のメイズパターン化とは、リーク電流のジュール熱によって、磁性細線の磁区がバラバラに破壊される現象である。
【0035】
(実験2)
実験1の方法では磁区記録ができなかったため、2台の記録電源41,42をそれぞれ導線(記録素子20)の両端に図2のように接続した。そして第1記録電源41に対して図6に示す記録電圧(パルス電圧)を印加し、同時に第2記録電源42に対して図7に示す記録電圧(パルス電圧)を印加した。これらの記録電圧は、共に振幅が7.5V、パルス幅が3μsであるけれども、符号は互い逆向きとした。すなわち記録素子20に対して第1記録電源41からは-7.5Vの記録電圧を印加し、第2記録電源42から+7.5Vの記録電圧を印加した。ここではパルス幅を3μsとしたが、磁区記録に十分なパルス幅であれば、これに限らない。ただし、磁性細線デバイスとしては高速に磁区記録できる方が望ましく、そのためにはパルス幅は小さい方が望ましいため、パルス幅はたとえば20psから5μs程度が好適である。
【0036】
このとき、第2記録電源42(正のパルス電源)からみた第1記録電源41(負のパルス電源)との電位差は15Vとなり、電位差が生じるため記録素子20には第2記録電源42から第1記録電源41の向きに電流が印加される。
また、このとき磁性細線10から見た記録素子20との電位差は、第1記録電源41と第2記録電源42の電圧の和となるため、0Vとなる。そのため記録素子20から層間絶縁層30を介したリーク電流を抑えることができる。また記録素子20の導線部間のギャップは100nmあり、層間絶縁層30の膜厚(18nm)と比較しても十分に距離があることから、導線部間でのリークによる素子の破壊や記録された磁区の破壊などは観測されなかった。
【0037】
図8は、実際に記録素子20に流れた記録電流(第2記録電源42から第1記録電源41の向きを正とする)の波形を示している。このときに層間絶縁層30を介して磁性細線10へ流れたリーク電流1,2を図9に示す。図8に示すように記録素子20には108mA(>100mA)の電流が流れており、この記録電流は、各磁性細線10に磁区記録をするのに十分な電流であったことを確認することができた。また、図9に示すように、このときのリーク電流1,2は、-3mA~+3mA程度であり、磁区を駆動させる駆動電流(15mA)より十分に低い値に抑えることができた。なお、実験2の条件では、磁性細線10の磁区が移動しない十分に抑えられたリーク電流としては、例えば3.5mA以下の電流のことである。
【0038】
一例として、磁性細線デバイス1において、上向きの磁区記録および、そのときに記録された磁区の駆動と、下向き磁区記録および、そのときに記録された磁区駆動と、を交互に繰り返す場合について図10を参照して説明する。図10は、第1記録電源41と、第2記録電源42と、第2駆動電源52とを用いて、磁性細線デバイス1への磁区記録と磁区駆動とを交互に繰り返したときのタイミングチャートの一例である。
【0039】
この例では、磁区記録時において、時刻t0から時刻t11までの期間では、第2記録電源42から第1記録電源41に向かって記録電流が流れるようにするために、記録素子20に対して第2記録電源42から正のパルス電圧を印加し、第1記録電源41から負のパルス電圧を印加した。
また、別の磁区記録時において、時刻t12から時刻t13までの期間では、第1記録電源41から第2記録電源42に向かって記録電流が流れるようにするために、記録素子20に対して第1記録電源41から正のパルス電圧を印加し、第2記録電源42から負のパルス電圧を印加した。
【0040】
磁区駆動時(時刻t11から時刻t12、時刻t13から時刻t14)には、第1駆動電源51は0Vにしておき、第2駆動電源52を負のパルス電源として、図10に示すように、磁性細線10に対して第2駆動電源52から負の駆動電圧(負のパルス電圧)を印加した。例えば時刻t11から時刻t12までの磁区駆動期間に、磁性細線10に500nsのパルス電圧を3回印加することで、第1駆動電源51から第2駆動電源52に向かう駆動電流(14mA、500nsの駆動電流)が流れるようにした。またこの方法では記録素子20から磁性細線10へのリーク電流があったとしても、それ自身を駆動電流に活用することもできる。ここでは、磁区駆動を磁気光学顕微鏡にて観測するのに十分な駆動を行うために、500nsの駆動電流を3回印加しているが、磁区を駆動させたい距離に応じてパルス幅や印加する回数を自由に選ぶことができる。ただしパルス幅を大きくすると、磁性細線を加熱する原因となるため、パルス幅を小さくし、印加回数を増やすことでそれを回避できる。
【0041】
なお、磁区駆動時に、逆に第2駆動電源52は0Vにしておき、第1駆動電源51を正のパルス電源として、磁性細線10に対して第1駆動電源51から正の駆動電圧(正のパルス電圧)を印加することで磁区を同様に駆動することもできる。
【0042】
図11図10のタイミングチャートを繰り返すことで、磁性細線上に上向き磁区と下向き磁区を交互に形成したものを磁気光学顕微鏡によって観察した磁気光学顕微鏡像であり、4本の磁性細線10のうちの1つを拡大して表示している。磁性細線10において、記録素子20の一方(図11において左)の導線部の中央と、他方(図11において右)の導線部の中央と、の間の磁性細線領域に磁区が記録される。4つの磁区Dはそれぞれ、記録素子20の直下から右に駆動された磁区である。右端から上向き磁区、下向き磁区、上向き磁区、下向き磁区に対応している。
【0043】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
(第1変形例)
また、磁性細線10が磁性材料としてCo-Tbを含む具体例について説明したが、他の垂直磁気異方性を持つ材料を用いてもよい。磁性細線デバイスを構成する磁性材料に、Tbのように酸素や水分によって酸化されるものも含まれる場合には、磁性細線が酸化されることで、磁区駆動がしにくくなる虞がある。また、酸化が進むことで磁性細線中の磁化が失われ、磁区記録も困難になると、磁性細線デバイスとしての機能を失うことになる。したがって、磁性材料の種類によっては、磁性細線デバイスの酸化を防ぐために、磁性細線デバイスを外気から十分に遮断できる容器に封入することが好ましい。この変形例の模式図を図12に示す。図12に示すシステム2Cにおいて、図3に示すシステム2Bと同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。外気を遮断する容器60は磁性細線デバイス1Bを大気から隔離するものである。符号60a、60b、60c、60dはコネクタであり、これらコネクタによって、容器60外部の大気を隔離しながら容器60内部の磁性細線デバイス1Bに通電することができる。また、外気を遮断する容器60の内部の雰囲気70は乾燥窒素雰囲気で満たされているか、もしくは真空である。この変形例によれば、磁性細線デバイスの酸化を防止することで、より正確な磁区記録および磁区駆動の制御および評価が可能となる。
【0044】
(第2変形例)
磁性細線デバイスの制御に用いる記録電源の台数は2台に限らず、図13に示すように4台でもよい。図13に示すシステム2Dにおいて、図1に示すシステム2と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。第3記録電源43および第4記録電源44において、符号43a,44aは端子、符号43b,44bは接地端子、符号43c,43cは操作表示部である。図13に示す磁性細線デバイス1の記録素子は、2つの導線部20a,20bが電気的に分離されている。このシステム2Dでは、4台の記録電源41~44を用いて、記録素子の2つの導線部20a,20bに対して互いに反対向きに同時に記録電流が流れるように、それぞれの導線部において、導線部の両端に接続された一対の記録電源から互いに逆符号のパルス電圧を導線部に印加する。具体的には、導線部20aの両端に接続された第1記録電源41および第3記録電源43から互いに逆符号のパルス電圧を導線部20aに印加する。同時に、導線部20bの両端に接続された第2記録電源42および第4記録電源44から互いに逆符号のパルス電圧を導線部20bに印加する。このシステム2Dも図1のこのシステム2と同様の効果を奏することができる。
【0045】
(第3変形例)
磁性細線デバイスの制御に用いる記録電源の台数は図14に示すように3台でもよい。図14に示すシステム2Eにおいて、図1に示すシステム2と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。このシステム2Eでは、3台の記録電源41~43を用いて、記録素子20において繋がっている導線部の両端に接続された第1記録電源41および第2記録電源42から互いに逆符号のパルス電圧を導線部に印加する。第3記録電源43は、記録素子20において繋がっている導線部の両端以外の任意の位置に接続することができる。第3記録電源43が記録素子20に印加する記録電圧は、第1記録電源41および第2記録電源42の印加電圧に依存し、また、導線部全長に対する記録素子20の端部から第3記録電源43までの長さの割合に応じて設定することができる。このシステム2Eも図1のこのシステム2と同様の効果を奏することができる。
【0046】
磁性細線デバイス1は、メモリであるものとしたが、空間光変調器であってもよい。また、反射型の空間光変調器とする場合、磁性細線10は、入射する光に対して偏光状態の変化を与えることができるもの、すなわち磁気光学効果の影響が強いものが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1,1B 磁性細線デバイス
2,2B,2C,2D,2E システム
10 磁性細線(磁性体)
20 記録素子
20a 導線部(記録素子)
20b 導線部(記録素子)
30 層間絶縁層
41 第1記録電源(記録電源)
42 第2記録電源(記録電源)
43 第3記録電源(記録電源)
44 第4記録電源(記録電源)
51 第1駆動電源
52 第2駆動電源
60 外気を遮断する容器
D 磁区
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図16
図17