(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182381
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、基板処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/268 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H01L21/268 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089903
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】道田 典明
(72)【発明者】
【氏名】山本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 崇
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 和宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板の温度の低温化を図りながら基板に形成された膜を改質処理することが可能となる、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板200を処理する処理室201と、処理室に電磁波を供給するマイクロ波発振器655-1、655-2と、を有する基板処理装置の枚葉型処理炉であって、基板に対して、電磁波が照射されると、作用対象膜が発熱し、処理対象膜を改質処理する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、
前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、
前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置。
【請求項2】
前記作用対象膜は、前記処理対象膜に対して隣接して設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記作用対象膜は、前記処理対象膜の両側に設けられる請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板に対して、前記電磁波を供給する工程と、
前記処理対象膜を改質処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項5】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板に対して、前記電磁波を供給する工程と、
前記処理対象膜を改質処理する工程と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、加熱装置を用いて処理室内の基板を加熱し、基板の表面に成膜された薄膜中の組成や結晶構造を変化させたり、成膜された薄膜内の結晶欠陥等を修復したりするアニール処理に代表される改質処理がある。近年の半導体デバイスにおいては、微細化、高集積化が著しくなっており、これに伴い、高いアスペクト比を有するパターンが形成された高密度の基板への改質処理が求められている。このような高密度基板への改質処理方法としてマイクロ波を用いた熱処理方法が検討されている。一例として、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロ波を用いた処理では、基板上に形成された膜によっては、熱履歴の影響を受ける膜も存在し、デバイス製造工程で要求される熱履歴を満たしつつ、基板上に形成された膜を低温で所望の熱処理(改質処理)することが困難となってしまう場合がある。
【0005】
本開示の目的は、基板の温度の低温化を図りながら基板に形成された膜を改質処理することが可能となる、基板処理装置、半導体装置の製造方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、
前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、
前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、基板の温度の低温化を図りながら基板に形成された膜を改質処理することが可能となる構成を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を示した縦断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を示した横断面図である。
【
図3】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の枚葉型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。
【
図4】本開示で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図である。
【
図5】本開示における基板処理のフローを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態で好適に用いられる、基板上の膜の構成を示す断面図である。
【
図7】本開示における改質処理後の非晶質膜の屈折率の一例を示す図である。
【
図8】本開示における改質処理後の非晶質膜のシート抵抗の一例を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態で好適に用いられる、基板上の膜の構成の変形例1を示す斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態で好適に用いられる、基板上の膜の構成の変形例2を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
本実施形態において、本開示に係る基板処理装置100は、ウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されており、後述する電磁波を用いたアニール処理(改質処理)を行う装置として説明を行う。本実施形態における基板処理装置100では、基板としてのウエハ200を内部に収容した収納容器(キャリア)としてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドと称する)110が使用される。 ポッド110は、ウエハ200を種々の基板処理装置間を搬送する為の搬送容器としても用いられる。
【0011】
図1および
図2に示すように、基板処理装置100は、ウエハ200を搬送する搬送室(搬送エリア)203を内部に有する搬送筐体(筐体)202 と、搬送筐体202の側壁に設けられ、ウエハ200を処理する処理室201-1、201-2をそれぞれ内部に有する後述する処理容器としてのケース102-1、102-2を備えている。搬送室203の筐体前側である
図1の向かって右側(
図2の向かって下側)には、ポッド110の蓋を開閉し、ウエハ200を搬送室203に搬送・搬出するための、ポッド開閉機構としてのロードポートユニット(LP)106が配置されている。ロードポートユニット106は、筐体106aと、ステージ106bと、オープナ10 6cとを備え、ステージ106bは、ポッド110を載置し、搬送室203 の筐体前方に形成された基板搬入搬出口134にポッド110を近接させるように構成され、オープナ106cによってポッド110に設けられている図示しない蓋を開閉させる。また、筐体202は、搬送室203内をN2などのパージガスを循環させるためのクリーンユニット166を設けたパージガス循環構造を有している。
【0012】
搬送室203の筐体202後側である
図1の向かって左側(
図2の向かって上側)には、処理室201-1、202-2を開閉するゲートバルブ205-1、205-2がそれぞれ配置されている。搬送室203には、ウエハ200を移載する基板移載機構(基板移載ロボット)としての移載機125 が設置されている。移載機125は、ウエハ200を載置する載置部としてのツィーザ(アーム)125a-1、125a―2と、ツィーザ125a- 1、125a―2のそれぞれを水平方向に回転または直動可能な移載装置125bと、移載装置125bを昇降させる移載装置エレベータ125cとで構成されている。ツィーザ125a-1、125a-2、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、後述する基板保持具(ボート)217やポッド110にウエハ200を装填(チャージング)または脱装(ディスチャージング)することを可能な構成としている。以降、ケース102- 1、102-2、処理室201-1、201-2、ツィーザ125a-1および125a-2のそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にケース102、処理室201、ツィーザ125aとして記載する。
【0013】
図1に示すように、搬送室203の上方空間であって、クリーンユニット166よりも下方には処理したウエハ200を冷却するためのウエハ冷却用載置具108がウエハ冷却テーブル109上に設けられている。ウエハ冷却用載置具108は、後述する基板保持具としてのボート217と同様の構造を有しており、複数のウエハ保持溝(保持部)によって複数枚のウエハ200を垂直多段に水平保持することが可能なように構成されている。ウエハ冷却用載置具108およびウエハ冷却テーブル109は、基板搬入搬出口13 4およびゲートバルブ205の設置位置よりも上方に設けられることで、ウエハ200を移載機125によってポッド110から処理室201へ搬送する際の動線上から外れるため、ウエハ処理のスループットを低下させることなく、処理後のウエハ200を冷却することを可能としている。以降、ウエハ冷却用載置具108とウエハ冷却テーブル109を合わせて冷却エリア( 冷却領域)と称する場合もある。
【0014】
ここで、ポッド110内の圧力、搬送室203内の圧力および処理室201内の圧力は、すべて大気圧、または大気圧よりも10~200Pa(ゲージ圧)程度の高い圧力にて制御される。搬送室203内の圧力の方が処理室201の圧力よりも高く、また、処理室201内の圧力の方がポッド110 内の圧力よりも高くするのが好ましい。
【0015】
(処理炉)
図1の破線で囲まれた領域Aには、
図3に示すような基板処理構造を有する処理炉が構成される。
図2に示すように、本実施形態においては処理炉が複数設けられているが、処理炉の構成は同一である為、一方の構成を説明するに留め、他方の処理炉構成の説明は省略する。
【0016】
図3に示すように、処理炉は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティ(処理容器)としてのケース102を有している。また、ケース102の天井面には金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板) 104が、封止部材(シール部材)としてのOリング(図示せず)を介してケース102の天井面を閉塞するように構成する。
主にケース102とキャップフランジ104の内側空間をシリコンウエハ等の基板を処理する処理室201として構成している。ケース102の内部に電磁波を透過させる石英製の図示しない反応管を設置してもよく、反応管内部が処理室となるように処理容器を構成してもよい。また、キャップフランジ104を設けずに、天井が閉塞したケース102を用いて処理室201を構成するようにしてもよい。
【0017】
処理室201内には載置台210が設けられており、載置台210の上面には、基板としてのウエハ200を保持する基板保持具としてのボート217が載置されている。ボート217には、処理対象であるウエハ200と、ウエハ200を挟み込むようにウエハ200の垂直方向上下に載置された断熱板としての石英プレート101a、101bが所定の間隔で保持されている。また、石英プレート101a、101bとウエハ200のそれぞれの間には、例えば、シリコンプレート(Si板)や炭化シリコンプレート(SiC板)などの、サセプタ103a、103bを載置してもよい。本実施形態において、石英プレート101a、101b、および、サセプタ103a、103bは、それぞれ同一の部品であり、以後、特に区別して説明する必要が無い場合には、石英プレート101、サセプタ103と称して説明する。
【0018】
処理容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、搬送筐体202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料などにより構成されている。なお、ケース102に囲まれた空間を処理空間としての処理室201又は反応エリア201と称し、搬送筐体202に囲まれた空間を搬送空間としての搬送室203又は搬送エリア203と称する場合もある。なお、処理室201と搬送室203は、本実施形態のように水平方向に隣接させて構成することに限らず、垂直方向に隣接させる構成としてもよい。
【0019】
図1、
図2および
図3に示すように、搬送筐体202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入搬出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入搬出口206を介して処理室201と搬送室203との間を移動する。
【0020】
ケース102の側面には、後に詳述する加熱装置としての電磁波供給部が設置されており、電磁波供給部から供給されたマイクロ波等の電磁波が処理室201に導入されてウエハ200等を加熱し、ウエハ200を処理する。
【0021】
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、ケース102の底部を貫通しており、更には搬送容器202 の外部で回転動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267 を作動させてシャフト255及び載置台210を回転させることにより、ボート217上に載置されるウエハ200を回転させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送エリア203内は気密に保持されている。
【0022】
ここで、載置台210は基板搬入搬出口206の高さに応じて、駆動機構267によって、ウエハ200の搬送時にはウエハ200がウエハ搬送位置となるよう上昇または下降し、ウエハ200の処理時にはウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇または下降するよう構成されていてもよい。
【0023】
処理室201の下方であって、載置台210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。
図3に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
【0024】
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報(後述する圧力センサ245からのフィードバック信号)を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0025】
主に、排気口221、排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。なお、載置台210を囲むように排気口を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。また、排気部の構成に、真空ポンプ246を加えるようにしてもよい。
【0026】
キャップフランジ104には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。
【0027】
ガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)である マスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ2 43が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に、上流側から順に流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続された構成を用いることで複数種類のガスを供給することができる。なお、ガス種毎にMFC、バルブが設けられたガス供給管を設置してもよい。
【0028】
主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243によりガス供給系(ガス供給部)が構成される。ガス供給系に不活性ガスを流す場合には、不活性ガス供給系とも称する。不活性ガスとしては、例えば、N2ガスや、A rガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0029】
キャップフランジ104には、非接触式の温度測定装置として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR( Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。温度センサ263は、石英プレート101aの表面温度、または、ウエハ200の表面温度を測定するように設置される。上述したサセプタが設けられている場合にはサセプタの表面温度を測定するように構成してもよい。
【0030】
なお、本開示においてウエハ200の温度(ウエハ温度)と記載した場合は、後述する温度変換データによって変換されたウエハ温度、すなわち、推測されたウエハ温度のことを意味する場合と、温度センサ263によって直接ウエハ200の温度を測定して取得した温度を意味する場合と、それらの両方を意味する場合を指すものとして説明する。
【0031】
温度センサ263によって石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200のそれぞれに対し、温度変化の推移を予め取得しておくことで石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200の温度の相関関係を示した温度変換データを記憶装置121cまたは外部記憶装置123に記憶させてもよい。このように予め温度変換データを作成することによって、ウエハ200の温度は、石英プレート101の温度のみを測定することで、ウエハ200の温度を推測可能とし、推測されたウエハ200の温度を基に、マイクロ波発振器655の出力、すなわち加熱装置の制御を行うことが可能となる。
【0032】
なお、基板の温度を測定する手段として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と非接触式温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対をウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要がある。すなわち、処理室201内に熱電対を配置する必要があるため、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうので正確に測温することができない。したがって、非接触式温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
【0033】
また、温度センサ263は、キャップフランジ104に設けることに限らず、載置台210に設けるようにしてもよい。また、温度センサ263は、キャップフランジ104や載置台210に直接設置するだけでなく、キャップフランジ104や載置台210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されてもよい。さらに、温度センサ263は1つ設置することに限らず、複数設置するようにしてもよい。
【0034】
ケース102の側壁には電磁波導入ポート653-1、653-2が設置されている。電磁波導入ポート653-1、653-2のそれぞれには処理室201内に電磁波を供給するための導波管654-1、654-2のそれぞれの一端が接続されている。導波管654-1、654-2それぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源、電磁波発振器)655-1、655-2が接続されている。マイクロ波発振器655-1、655-2はマイクロ波などの電磁波を導波管654-1、654-2にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655-1、655-2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。以降、電磁波導入ポート653-1、653-2、導波管654-1、654-2、マイクロ波発振器655-1、655-2は、特にそれぞれを区別して説明する必要のない場合には、電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載して説明する。
【0035】
マイクロ波発振器655によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2のそれぞれの周波数は同一の周波数としてもよいし、異なる周波数で設置されてもよい。
【0036】
また、本実施形態において、マイクロ波発振器655は、ケース102の側面に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよく、また、ケース102の対向する側面等の異なる側面に設けられるように配置してもよい。主に、マイクロ波発振器655―1、6 55-2、導波管654-1、654-2および電磁波導入ポート653-1、653-2によって加熱装置としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置とも称する)が構成される。
【0037】
マイクロ波発振器655-1、655-2のそれぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される石英プレート101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、上述した方法によって石英プレート101またはサセプタ103、若しくは、ウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655-1、655-2の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。
【0038】
ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655-1、655-2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655-1、655-2が個々に制御されるように構成してもよい。
【0039】
(制御装置)
図4に示すように、制御部(制御装置、制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0040】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、アニール(改質)処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121a によって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0041】
I/Oポート121dは、上述のMFC241、バルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、駆動機構267、マイクロ波発振器655等に接続されている。
【0042】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すことが可能なように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、圧力センサ245に基づくAPC バルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器655の出力調整動作、駆動機構267による載置台210(またはボート217)の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0043】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ、SSD等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0044】
(2)基板処理工程
次に、上述の基板処理装置100の処理炉を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板200上に形成された熱処理(改質処理)の対象となる膜(処理対象膜、ターゲット膜)としてのリン(P)を含有する非晶質シリコン(Si)膜(Pが添加(ドープ)されたシリコン膜、P-doped-Si膜、P含有シリコン膜)2002を改質(結晶化)する方法の一例について
図5に示した処理フローに沿って説明する。
【0045】
基板200上には、
図6に示すように、シリコン酸化膜(SiO膜)2001、処理対象膜であるP-doped-Si膜2002が形成されている。また、このP-doped-Si膜2002の表面には、この熱処理(改質処理)の対象となる膜(処理対象膜、ターゲット膜)に対する加熱をアシストする膜(アシスト膜、作用対象膜)として、カーボン(C)を含有するシリコン酸化膜(SiOC膜)2003が形成されている。すなわち、P-doped-Si膜2002に隣接してSiOC膜2003が形成されている。
【0046】
なお、SiO膜2001は、所定の温度(例えば、900℃)の反応室内を酸素雰囲気にしてシリコン基板の表面に酸素(O)を拡散させて形成される膜である。また、P-doped-Si膜2002は、所定の温度(例えば、500℃~650℃)の反応室内に、例えば、SiH4(モノシラン)とPH3(フォスフィン)を供給することで形成される膜である。また、SiOC膜2003は、所定の温度(例えば、300℃)の反応室内に原料ガスを供給して形成される膜である。これらSiO膜2001、P-doped-Si膜2002、SiOC膜2003は、上述の基板処理装置100とは、別の基板処理装置で、例えば、バッチ式の基板処理装置により基板200に成膜される。
【0047】
以下の説明において、基板処理装置100を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。また、上述した処理炉構造と同様に本実施形態における基板処理工程においても、処理内容、すなわちレシピについては複数設けられた処理炉において同一レシピを使用する為、一方の処理炉を使用した基板処理工程について説明するに留め、他方の処理炉を用いた基板処理工程の説明は省略する。
【0048】
ここで、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0049】
(基板搬入工程(S501))
図3に示されるように、ツィーザ125a-1、125a―2のいずれか一方、または両方に載置されたウエハ200はゲートバルブ205の開閉動作によって所定の処理室201に搬入(ローディング)される(S501)。
【0050】
(炉内圧力・温度調整工程(S502))
処理室201内へのウエハ200の搬入が完了したら、処理室201内が所定の圧力(例えば10~102000Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を制御する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244の弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする。また、同時に予備加熱として電磁波供給部を制御し、所定の温度まで加熱を行うように制御してもよい(S502)。電磁波供給部によって、所定の基板処理温度まで昇温させる場合、ウエハ200が変形・破損しないように、後述する改質工程の出力よりも小さな出力で昇温を行うことが好ましい。なお、大気圧下で基板処理を行う場合、炉内圧力調整を行わず、炉内の温度調整のみを行った後、後述する不活性ガス供給工程S503へ移行するように制御してもよい。
【0051】
(不活性ガス供給工程(S503))
炉内圧力・温度調整工程S502によって処理室201内の圧力と温度を所定の値に制御すると、駆動機構267は、シャフト255を回転させ、載置台210上のボート217を介してウエハ200を回転させる。このとき、窒素ガス等の不活性ガスがガス供給管232を介して供給される(S50 3)。さらにこのとき、処理室201内の圧力は10Pa以上102000 Pa以下の範囲となる所定の値であって、例えば101300Pa以上101650Pa以下となるように調整される。なお、シャフトは基板搬入工程S501時、すなわち、ウエハ200を処理室201内に搬入完了後に回転させてもよい。
【0052】
(改質工程(S504))
処理室201内を所定の圧力となるように維持すると、マイクロ波発振器655は上述した各部を介して処理室201内に所定時間(加熱時間、処理時間)として、例えば600秒間マイクロ波を供給する。処理室201内にマイクロ波等の電磁波が供給されることによって、アシスト膜(作用対象膜)としてのC含有シリコン酸化膜(SiOC膜)2003にマイクロ波が照射されて加熱されて、このC含有シリコン酸化膜が発熱することにより、隣接しているターゲット膜(処理対象膜)としてのPが添加(ドープ)されたシリコン膜(P-doped-Si膜)2002が加熱されて改質(結晶化)される。
【0053】
図7は、Pが添加(ドープ)されたシリコン膜(非晶質シリコン膜、P-doped-Si膜、処理対象膜、ターゲット膜)2002のマイクロ波による改質処理(アニール処理)後の屈折率を示している。P-doped-Si膜2002の屈折率は、未処理では約4.5でありアモルファスであることが示されている。SiOC膜2003なしでマイクロ波の出力を6.0kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002の屈折率は、約4.3となり結晶化は不十分である。SiOC膜(作用対象膜、アシスト膜)2003なしでマイクロ波の出力を9.5kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002の屈折率は、約4.0となり結晶化していることがわかる。P-doped-Si膜2002にSiOC膜2003を形成して、マイクロ波の出力を6.0kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002の屈折率は、約4.0となり結晶化していることがわかる。このことにより、SiOC膜2003にマイクロ波を照射すると、SiOC膜2003が、加熱されて発熱し、隣接しているP-doped-Si膜2002を加熱して結晶化させていることを示している。すなわち、P-doped-Si膜2002に隣接してSiOC膜2003を形成して、改質処理を実施すると、マイクロ波の出力を低くして改質処理をすることが可能となる。また、マイクロ波の出力を低くすることが可能となるため、より低い温度でP-doped-Si膜(処理対象膜、ターゲット膜)2002の改質処理が可能となる。よって、P-doped-Si膜2002などの処理対象膜に対して、低い温度での改質処理が可能となるため熱履歴の影響を抑えて改質処理が可能となる。
【0054】
図8は、Pが添加(ドープ)されたシリコン膜(非晶質シリコン膜、P-doped-Si膜)2002のマイクロ波による改質処理(アニール処理)後のシート抵抗を示している。P-doped-Si膜2002のシート抵抗は、未処理では1e9ohm/sq(1.E+9ohm/sq)でありアモルファスであることが示されている。SiOC膜2003なしでマイクロ波の出力を6.0kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002のシート抵抗は、約1e6ohm/sq(1.E+6ohm/sq)となり活性化は不十分である。SiOC膜2003なしでマイクロ波の出力を9.5kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002のシート抵抗は、約1e3ohm/sq(1.E+3ohm/sq)となり活性化していることがわかる。P-doped-Si膜2002にSiOC膜2003を形成して、マイクロ波の出力を6.0kWで600秒間の改質処理を実施すると、P-doped-Si膜2002のシート抵抗は、約1e3ohm/sq(1.E+3ohm/sq)となり、活性化していることがわかる。これは、SiOC膜2003なしでマイクロ波の出力を9.5kWで600秒間の改質処理を実施した時と同程度のシート抵抗であり、十分活性化して活性化していることを示している。このことにより、SiOC膜2003にマイクロ波を照射することで、SiOC膜(作用対象膜、アシスト膜)2003が、加熱されて発熱し、隣接しているP-doped-Si膜(処理対象膜、ターゲット膜)2002を加熱して活性化させていることを示している。すなわち、P-doped-Si膜2002に隣接してSiOC膜2003を形成して、改質処理を実施すると、マイクロ波の出力を低くして改質処理をすることが可能なとなる。また、マイクロ波の出力を低くすることが可能となるため、より低い温度でP-doped-Si膜(処理対象膜)2002の改質処理が可能となる。よって、P-doped-Si膜2002などの処理対象膜に対して、低い温度での改質処理が可能となるため熱履歴の影響を抑えて改質処理が可能となる。
【0055】
予め設定された処理時間が経過すると、ボート217の回転、ガスの供給、マイクロ波の供給および排気管の排気が停止する。
【0056】
(基板搬出工程(S505))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後、ゲートバルブ205を開放し処理室201と搬送室203とを空間的に連通させる。その後、ボートに載置されているウエハ200を移載機125のツィーザ125aによって、搬送室203に搬出する(S505)。
【0057】
以上の動作が繰り返されることにより、ウエハ200が改質処理され、次の基板処理工程に移行することとなる。
【0058】
次の基板処理工程としては、例えば上述のSiOC膜(作用対象膜、アシスト膜)2003が、デバイス特性上、不必要な膜であれば、このSiOC膜を除去する工程を有することが必要である。なお、作用対象膜が、デバイス特性上、有用であれば除去する必要はない。
【0059】
本開示では、基板200及び処理対象膜2002を除いた基板200上の他の膜(例えば、SiO膜2001)よりも作用対象膜2003のマイクロ波吸収率が大きくなることが重要であり、その差が大きいほど他の膜(例えば、SiO膜2001)の熱履歴を抑えることが可能となる。
【0060】
数式1は、誘電加熱によるエネルギー量を示す式である。マイクロ波の吸収率が大きな物質としては、誘電加熱による加熱の場合、εr(誘電体の比誘導率)、Tanδ(誘電体の誘電損失角)が、例えば、シリコン基板(Si基板)のマイクロ波の吸収率に比べて十分に大きい物質を上述の作用対象膜(アシスト膜)に含有させればい。
【0061】
【0062】
また、ジュール熱を用いた加熱の場合、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)、Ni(ニッケル)、Co(コバルト)等の金属薄膜に対しても細線効果による加熱が可能となる。
【0063】
上述ではマイクロ波を用いて説明したが、作用対象膜(アシスト膜)に含有させる物質の吸収特性は、電磁波の波長にも依存しているので、本開示は、マイクロ波以外にも様々な電磁波の波長を用いることができる。
【0064】
本実施形態による効果
本実施形態によれば以下に示す1つまたは複数の効果が得られる。
【0065】
(a)P-doped-Si膜(処理対象膜)2002を改質処理(熱処理)する際に、SiOC膜(作用対象膜)2003により、照射するマイクロ波の出力を低下させることが可能となる。
【0066】
(b)P-doped-Si膜2002を改質処理する際に、SiOC膜(作用対象膜)2003により、照射するマイクロ波の出力を低下させることが可能となるので、より低い温度でP-doped-Si膜(処理対象膜)2002を改質処理することが可能となる。
【0067】
(c)P-doped-Si膜2002などの処理対象膜を低い温度で改質処理することが可能となるため熱履歴の影響を抑えて改質処理が可能となる。
【0068】
(変形例1)
以下、本実施形態の変形例1について説明する。
図9に示すように、変形例1では、基板200上に形成された処理対象膜2002に対して、2つの作用対象膜2003を挟み込むように隣接して形成している。このように作用対象膜2003を形成することで、処理対象膜を両側から効率的に加熱することが可能となる。また、2つの作用対象膜2003の膜厚を調整することで処理対象膜3001に対する加熱量を調整することが可能となる。
【0069】
(変形例2)
以下、本実施形態の変形例2について説明する。
図10に示すように、変形例2では、基板200上に形成された複数の処理対象膜2002(本変形例2では5つの処理対象膜2002が形成されいる)に対して、作用対象膜2003を覆う(取り囲む)ように隣接して形成している。このように作用対象膜を形成することで、複数の処理対象膜2002の間の溝部及びに処理対象膜の上部から効率的に加熱することが可能となる。また、作用対象膜の上部の膜厚を調整することで、処理対象膜2002に対する加熱量を調整することが可能となる。
【0070】
以上述べたように、本開示によれば、基板の温度の低温化を図りながら基板に形成され膜を改質処理する技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
655 マイクロ波発振器(電磁波源、電磁波発振器)
2002 P-doped-Si膜(処理対象膜、ターゲット膜)
2003 SiOC膜(作用対象膜、アシスト膜)
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、
前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、
前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置。
【請求項2】
前記作用対象膜は、前記処理対象膜の表面に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記作用対象膜は、前記処理対象膜に対して隣接して設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記作用対象膜は、前記処理対象膜の両側に設けられる請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記基板に前記処理対象膜が複数形成され、
前記作用対象膜が複数形成された前記処理対象膜を覆うように設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理対象膜は、リンが添加されたシリコン膜である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記作用対象膜は、カーボン含有シリコン酸化膜である請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記電磁波が照射されると、前記カーボン含有シリコン酸化膜が発熱し、前記リンが添加されたシリコン膜を加熱して結晶化させる請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記改質処理の終了後に、前記作用対象膜を除去する請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記電磁波は、マイクロ波である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記作用対象膜には、前記基板のマイクロ波の吸収率よりマイクロ波の吸収率が大きい物質が含有されている請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板に対して、前記電磁波を供給する工程と、
前記処理対象膜を改質処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記改質処理する工程の後に、前記作用対象膜を除去する工程を有する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板に対して、前記電磁波を供給する工程と、
前記処理対象膜を改質処理する工程と、
を有する基板処理方法。
【請求項15】
前記改質処理する工程の後に、前記作用対象膜を除去する工程を有する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
処理対象膜と作用対象膜とが形成された基板を処理する処理室と、前記処理室に電磁波を供給する電磁波発生器と、を有し、前記基板に対して、前記電磁波が照射されると、前記作用対象膜が発熱し、前記処理対象膜を改質処理する基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する手順と、
前記基板に対して、前記電磁波を供給する手順と、
前記処理対象膜を改質処理する手順と、
をコンピュータにより前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項17】
前記改質処理する手順の後に、前記作用対象膜を除去する手順を有する請求項14に記載のプログラム。