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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022182418
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】液状樹脂塗布ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/06 20060101AFI20221201BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20221201BHJP
   B05B 7/08 20060101ALI20221201BHJP
   B05C 11/10 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
B05B17/06
B05C5/00 101
B05B7/08
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021089961
(22)【出願日】2021-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】邱 暁明
(72)【発明者】
【氏名】武田 昇
【テーマコード(参考)】
4D074
4F033
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D074AA01
4D074BB01
4D074BB05
4D074DD08
4D074DD09
4D074DD14
4D074DD17
4D074DD22
4D074DD34
4D074DD44
4D074DD49
4D074DD64
4D074DD65
4F033QA01
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB10X
4F033QB12Y
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD19
4F033QD25
4F033QE09
4F041AA02
4F041AA06
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA21
4F041BA34
4F042AA02
4F042AA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA21
4F042CB19
(57)【要約】
【課題】液状樹脂を霧化させ被対象物に塗布して樹脂の薄膜を形成する場合に、高圧エアを用いないで液状樹脂を霧化する。また、粘度が高い液状樹脂を霧化して塗布する。
【解決手段】液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズル2であって、柱状で一方の端面207を端面207に直交方向に高周波振動させる超音波振動子29を備える超音波ホーン20と、端面207との間に僅かな隙間220を形成して端面207に対面して配置する円板22と、端面207の中心と円板22の中心とを連結する連結部23と、液状樹脂供給部28と、を備え、超音波振動子29が発振する高周波振動により端面207を高周波振動させ、端面207の高周波振動が連結部23を介して円板22に伝達され、端面207と円板22とが高周波振動して隙間220に供給した液状樹脂を隙間220外周にて霧化して、隙間220外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズル2。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルであって、
柱状で一方の端面を該端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、該端面との間に僅かな隙間を形成して該端面に対面して配置する板と、該端面の中心と該板の中心とを連結する連結部と、該隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備え、
該超音波振動子が発振する高周波振動によって該端面を高周波振動させ、該端面の高周波振動が該連結部を介して該板に伝達され、該端面と該板とを高周波振動させ該隙間に供給した液状樹脂を該隙間の外周にて霧化して、該隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズル。
【請求項2】
前記液状樹脂供給部は、前記連結部の側面に開口し前記隙間に連通する出口と、前記超音波ホーンに配設する入口と、該出口と該入口とを連通する連通路と、を備える請求項1記載の液状樹脂塗布ノズル。
【請求項3】
液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルであって、
柱状で一方の端面を該端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、
2つの該超音波ホーンを向かい合わせて互いの該端面の間に僅かな隙間を形成して2つの該超音波ホーンを支持する超音波ホーン支持部と、
該隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備え、
向かい合う該端面が互いに接近、又は離間するよう高周波振動周期を同期させ、該隙間に供給した液状樹脂を該隙間の外周にて霧化させ、該隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズル。
【請求項4】
前記液状樹脂供給部は、少なくとも一方の前記超音波ホーンに形成され、前記端面の中心に開口する第2出口と、該超音波ホーンに形成する第2入口と、該第2出口と該第2入口とを連通する第2連通路と、を備え、液状樹脂を少なくとも一方の該端面の中心から該隙間に供給する請求項3記載の液状樹脂塗布ノズル。
【請求項5】
前記液状樹脂供給部は、前記隙間の外側から該隙間に向かって液状樹脂を供給する供給ノズルを備える請求項1、又は請求項3記載の液状樹脂塗布ノズル。
【請求項6】
前記隙間より外側に配置し被対象物に向かう方向にエアを噴射するエア噴射部を備え、
該エア噴射部が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物に塗布する請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、又は請求項5に記載の液状樹脂塗布ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂を半導体ウェーハ等の被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
液状樹脂を基板に塗布する液状樹脂塗布装置は、特許文献1、特許文献2、又は特許文献3に開示されているように、液状樹脂と高圧エアとを混合させ、液状樹脂を霧化して基板に吹き付けて塗布している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-255296号公報
【特許文献2】特開2011-110523号公報
【特許文献3】特開2006-175358号公報
【特許文献4】特開2014-115435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示されている技術では、高圧エアが供給できないところでは液状樹脂を霧化することができない。また、液状樹脂の粘度が高い場合、高圧エアでは霧化が難しい。
したがって、液状樹脂を霧化させ基板等の被対象物に塗布して樹脂の薄膜等を形成する場合には、高圧エアを用いずとも液状樹脂を霧化したい。また、粘度が高い液状樹脂を霧化して被対象物に塗布したいという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルであって、柱状で一方の端面を該端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、該端面との間に僅かな隙間を形成して該端面に対面して配置する板と、該端面の中心と該板の中心とを連結する連結部と、該隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備え、該超音波振動子が発振する高周波振動によって該端面を高周波振動させ、該端面の高周波振動が該連結部を介して該板に伝達され、該端面と該板とを高周波振動させ該隙間に供給した液状樹脂を該隙間の外周にて霧化して、該隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルである。
【0006】
例えば、前記液状樹脂供給部は、前記連結部の側面に開口し前記隙間に連通する出口と、前記超音波ホーンに配設する入口と、該出口と該入口とを連通する連通路と、を備えると好ましい。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明は、液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルであって、柱状で一方の端面を該端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、2つの該超音波ホーンを向かい合わせて互いの該端面の間に僅かな隙間を形成して2つの該超音波ホーンを支持する超音波ホーン支持部と、該隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備え、向かい合う該端面が互いに接近、又は離間するよう高周波振動周期を同期させ、該隙間に供給した液状樹脂を該隙間の外周にて霧化させ、該隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布する液状樹脂塗布ノズルである。
【0008】
前記液状樹脂供給部は、少なくとも一方の前記超音波ホーンに形成され、前記端面の中心に開口する第2出口と、該超音波ホーンに形成する第2入口と、該第2出口と該第2入口とを連通する第2連通路と、を備え、液状樹脂を少なくとも一方の該端面の中心から該隙間に供給すると好ましい。
【0009】
前記液状樹脂供給部は、前記隙間の外側から該隙間に向かって液状樹脂を供給する供給ノズルを備えると好ましい。
【0010】
前記隙間より外側に配置し被対象物に向かう方向にエアを噴射するエア噴射部を備え、該エア噴射部が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物に塗布すると好ましい。
【発明の効果】
【0011】
液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズルは、柱状で一方の端面を端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、端面との間に僅かな隙間を形成して端面に対面して配置する板と、端面の中心と板の中心とを連結する連結部と、隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備えることで、超音波振動子が発振する高周波振動によって端面を高周波振動させ、端面の高周波振動が連結部を介して板に伝達され、端面と板とを高周波振動させ隙間に供給した液状樹脂を隙間の外周にて霧化して、隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布することが可能となる。即ち、超音波振動で液状樹脂を霧化させて、被対象物に塗布するので、高圧エアが無くても被対象物に液状樹脂をまんべんなく塗布することが可能となる。また、液状樹脂の粘度が高くても、超音波振動を液状樹脂に伝達させるため、液状樹脂を霧化して被対象物に塗布することが可能となる。
【0012】
また、液状樹脂を霧化して被対象物に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズルは、柱状で一方の端面を端面に直交方向に高周波振動させる超音波振動子を備える超音波ホーンと、2つの超音波ホーンを向かい合わせて互いの端面の間に僅かな隙間を形成して2つの超音波ホーンを支持する超音波ホーン支持部と、隙間に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部と、を備えることで、向かい合う端面が互いに接近、又は離間するよう高周波振動周期を同期させ、隙間に供給した液状樹脂を隙間の外周にて霧化させ、隙間の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物に塗布することが可能となる。即ち、超音波振動で液状樹脂を霧化させて、被対象物に塗布するので、高圧エアが無くても被対象物に液状樹脂をまんべんなく塗布することが可能となる。また、液状樹脂の粘度が比較的高くても、超音波振動を液状樹脂に伝達させるため、液状樹脂を霧化して被対象物に塗布することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る液状樹脂塗布ノズルは、隙間より外側に配置し被対象物に向かう方向にエアを噴射するエア噴射部を備え、エア噴射部が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物に塗布することで、塗布時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の液状樹脂塗布ノズルの一例を示す斜視図である。
図2】液状樹脂供給部が、隙間に連通する連結部の側面に開口する出口と、超音波ホーンに配設する入口と、出口と入口とを連通する連通路と、を備えている実施形態1の液状樹脂塗布ノズルの側面図である。
図3】液状樹脂供給部が、隙間の外側から隙間に向かって液状樹脂を供給する供給ノズルを備える実施形態1の液状樹脂塗布ノズルの側面図である。
図4】隙間より外側に配置し被対象物に向かう方向にエアを噴射するエア噴射部をさらに備え、エア噴射部が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物に塗布する実施形態1の液状樹脂塗布ノズルを示す斜視図である。
図5】隙間より外側に配置し被対象物に向かう方向にエアを噴射するエア噴射部を備え、エア噴射部が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物に塗布する実施形態1の液状樹脂塗布ノズルを示す側面図である。
図6図6(A)は、円板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を示す側面図である。図6(B)は、円板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を円板側から見た正面図である。
図7図7(A)は、楕円板の超音波ホーンの端面からはみ出した部分に供給ノズルが位置づけされている状態を示す側面図である。図7(B)は、楕円板の超音波ホーンの端面からはみ出した部分に供給ノズルが位置づけされている状態を楕円板側から見た正面図である。
図8図8(A)は、四角板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を示す側面図である。図8(B)は、四角板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を四角板側から見た正面図である。
図9図9(A)は、多芒星形状の板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を示す側面図である。図9(B)は、多芒星形状の板と超音波ホーンの端面との間の隙間に供給ノズルの先端が入り込んでいる状態を多芒星形状の板側から見た正面図である。
図10】2つの超音波ホーンを向かい合わせて構成された実施形態2の液状樹脂塗布ノズルの一例を示す斜視図である。
図11】2つの超音波ホーンを向かい合わせて構成された実施形態2の液状樹脂塗布ノズルの一例を示す正面図である。
図12】実施形態1の液状樹脂塗布ノズルを備える保護膜形成装置の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示す液状樹脂を霧化して半導体ウェーハ等の被対象物に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズル2(以下、実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2とする)は、柱状で一方の端面207を端面207に直交方向(図1においてはZ軸方向)に高周波振動させる超音波振動子29を備える超音波ホーン20と、端面207との間に僅かな隙間220を形成して端面207に対面して配置する例えば円板22と、端面207の中心と円板22の中心とを連結する連結部23と、隙間220に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部27と、を備えている。
【0016】
超音波ホーン20は、例えば、所定の金属(例えば、チタン合金又はステンレス鋼)で構成される第1の円柱部201と、第1の円柱部201と中心軸を同じくして連結され第1の円柱部201の直径より大きい直径の第2の円柱部202と、例えば第2の円柱部202の自由端側(+Z方向端側)に第3の円柱部203を介して接続される超音波振動子29と、を備えている。
【0017】
第1の円柱部201は、第2の円柱部202にその根元が一体的に連結されている。第1の円柱部201の根元の外周面は、図2に示すように例えば末広がりのR状の傾斜となるように形成されている。
【0018】
本実施形態において、超音波ホーン20は、第1の円柱部201及び第2の円柱部202に加えて、さらに、第3の円柱部203を備えている。
所定の金属で構成され下部側が上部側よりも縮径された円柱形状の棒状体である第3の円柱部203は、その一端面(図1における-Z方向端面)が第2の円柱部202の自由端面に図示しない連結ネジ等によって連結されている。
【0019】
第3の円柱部203の上部側は、例えば、超音波振動子29の直径と略同径になるように設定されている。そして、第3の円柱部203の他端(上端)には、超音波振動子29が所定のろう付け部材等で接着固定されている。第3の円柱部203は、超音波振動子29から伝達されてきた超音波振動の振幅(振動の大きさ)を増減させて調整するブースターの役割を果たす。なお、超音波ホーン20は、第3の円柱部203を備えていなくてもよい。
【0020】
超音波振動子29は、例えば、電圧が印加されることで伸縮する板状の第1の圧電素子291及び第2の圧電素子292が重ねて接合されたものである。第1の圧電素子291及び第2の圧電素子292は、例えば、セラミックスの一種であるピエゾ素子である。また、第1の圧電素子291と第2の圧電素子292とには、それぞれ図示しない電極が取り付けられ、該電極及び配線を介して交流電圧を印加して高周波電力を超音波振動子29に供給する高周波電源295が接続されている。高周波電源295によって所定の周波数で電圧の印加のオンとオフとを繰り返すことで、第1の圧電素子291と第2の圧電素子292とにZ軸方向における伸縮運動を発生させることができる。そして、該伸縮運動が機械的な超音波振動となる。
【0021】
超音波振動子29上には、固定板204が配設されており、固定板204は、第3の円柱部203と螺合する図示しない固定ボルトによって、超音波振動子29上に固定される。そして超音波振動子29は、固定板204と第3の円柱部203とによりZ軸方向両側から挟まれて固定された状態となっている。
【0022】
図1に示す超音波ホーン20の第1の円柱部201の下端面である平坦な端面207の中心に上端が接続された所定の金属等からなる連結部23は、第1の円柱部201に比べてずっと細い円柱状に形成されている。そして、連結部23の下端面に所定の金属等で構成された板の上面の中心が接続されており、板は、円板22である。なお、円板22の代わりに、四角形、六角形などの多角形に形成した板を用いてもよいし、楕円に形成した板を用いてもよい。円板22の平坦な上面と端面207との間には、例えば0.5mmの隙間220が形成されている。また、円板22の均一な厚みは、例えば、1mmとなっている。なお、連結部23、円板22は、超音波ホーン20と同一の金属の、例えば、チタン合金またはステンレス鋼で形成されるとよい。
【0023】
図1に示す液状樹脂塗布ノズル2を横にした状態を示す図2の例において、隙間220に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部27は、連結部23の側面230に開口し隙間220に連通する出口271と、超音波ホーン20に配設する入口272と、出口271と入口272とを連通する連通路273と、を備える。例えば、入口272は、固定板204の中央に開口しており、図示しない継手や樹脂チューブを介して、液状樹脂供給源28に連通している。
液状樹脂供給源28が送出可能な液状樹脂は、例えば、水溶性樹脂(ポリビニルピロリドンやポリビニルアルコール)からなる保護膜形成剤であり、一例としては、株式会社ディスコ製のHogoMaxである。HogoMaxの粘度は、例えば、30cp~300cpに設定されている。なお、使用する液状樹脂は、上記例に限定されるものではない。
【0024】
入口272に連通する連通路273は、固定板204、超音波振動子29、第3の円柱部203、第2の円柱部202、及び第1の円柱部201の内部を一直線に貫通しており、連結部23の側面230に例えば周方向に等間隔を空けて開口する複数の出口271に連通している。なお、側面230に開口する出口271は、一つであってもよい。また、入口272が、例えば、第1の円柱部201の側面に形成されていてもよい。
【0025】
液状樹脂供給部は、図1図2に示す液状樹脂供給部27に限定されず、図3に示す隙間220の外側から隙間220に向かって液状樹脂を供給する供給ノズル279を備えていてもよい。隙間220の上方において隙間220と対向する供給口を備える供給ノズル279には、液状樹脂供給源28が連通している。 例えば、図6(A)、図6(B)に示すように、供給ノズル279を隙間220内部に進入させてもよい。
【0026】
例えば、図7(A)、図7(B)に示すように、液状樹脂塗布ノズル2においては、円板22に代えて、楕円板24がその中心と連結部23の中心とを合わせて連結されていてもよい。例えば、楕円板24は、長軸が超音波ホーン20の端面207の直径よりも大きく、短軸が端面207の直径よりも小さくなっている。この場合においては、超音波ホーン20の端面207に対して、楕円板24の長軸方向における一部が端面207から径方向外側にはみ出した状態になり、楕円板24のはみ出した部分に供給ノズル279の供給口を位置づけてもよい。そして、この場合には、隙間220の外周中で端面207の外周と楕円板24の外周との正面視で交差する図7(B)に示す箇所246において、より多くの霧化樹脂が外側に向かって噴出する。
なお、図7(B)に示す楕円板24の短軸方向における端面207の一部が楕円板24からはみ出した箇所247に供給ノズル279の供給口を位置づけてもよい。
【0027】
例えば、図8(A)、図8(B)に示すように、液状樹脂塗布ノズル2においては、円板22に代えて、例えば正方形の四角板26がその中心と連結部23の中心とを合わせて連結されていてもよい。例えば、四角板26は、縦横の長さが超音波ホーン20の端面207の直径と略同一となっている。そして、例えば、四角板26の一対の対角が+Z軸方向と-Z軸方向とに向いた状態になっている。この場合においては、例えば超音波ホーン20の端面207に対して、四角板26の左右にはみ出た一部に供給ノズル279の供給口を位置づけてもよい。または、図8(B)に示すように、供給ノズル279を隙間220内部に進入させて、隙間220の外周中で四角板26の外周との正面視で接する箇所267において、より多くの霧化樹脂が外側に向かって噴出するようにしてもよい。
【0028】
例えば、図9(A)、図8(B)に示すように、液状樹脂塗布ノズル2においては、円板22に代えて、例えば多芒星形状の板25がその中心と連結部23の中心とを合わせて連結されていてもよい。例えば、多芒星形状の板25は、複数の頂点が超音波ホーン20の端面207の外周よりも径方向外側に突き出ている。そして、図9(B)に示すように、供給ノズル279を隙間220内部に進入させて位置づけてもよい。
【0029】
図2に示すように、本実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2は、例えば、隙間220より外側に配置し半導体ウェーハ等の被対象物90に向かう方向(図2においては、-Z方向)にエアを噴射するエア噴射部70を備え、エア噴射部70が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物90に塗布するものとしてもよい。
【0030】
エア噴射部70は、隙間220の側方(図2においては、上方)において隙間220の外側近傍に向く噴射口を備える噴射ノズルであり、エア噴射部70には、コンプレッサー等からなるエア供給源79が連通している。エア供給源79から供給されエア噴射部70から隙間220の外側近傍に向かって噴射されたエアによって、隙間220に生成されて隙間220から外側に放出された霧状樹脂が、被対象物90に向かってエアが無い場合よりも速く落下していくため、被対象物90の上面900に対する霧状樹脂の塗布時間を短くすることが可能となる。また、エアによって霧状樹脂を飛散させることで塗布面積を広げ塗布時間を短くすることが可能になる。
【0031】
図2に示すエア噴射部70の代わりに、実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2は、図4図5に示すエア噴射部72を備えていてもよい。エア噴射部72は、筒状のケーシングであり、円筒状の側壁720と、側壁720の下端に一体的に形成された底部721とを備えている。側壁720の内側に形成された筒内空間に、超音波ホーン20が長手方向(図4図5においてはZ軸方向)を合わせるようにして挿入されており、超音波ホーン20の第1の円柱部201の下端が僅かに底部721の開口722から外側下方に露出している。
【0032】
図5に示すように、底部721は、開口722に向かって縮径している。また、側壁720内部にはエア流路724が形成されており、エア流路724の上端側にはエア供給源728が連通している。エア流路724の下端側は、底部721の開口722を囲繞するように開口する円環状のエア噴射口725となっており、エア噴射口725の斜め下方直近に、液状樹脂塗布ノズル2の隙間220が位置している。エア供給源728から供給されエア噴射口725から隙間220の外側近傍に向かって噴射されたエアによって、隙間220に生成されて隙間220から外側に放出された霧状樹脂が、被対象物90に向かってエアが無い場合よりも速く落下していくため、被対象物90の上面900に対する霧状樹脂の塗布時間を短くすることが可能となる。なお、エア噴射口725の下端の形状を末広がりにして、放出される霧状樹脂が広範囲に飛散するようにして塗布時間を短くしてもよい。
【0033】
図10図11に示す液状樹脂を霧化して半導体ウェーハ等の被対象物に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズル4(以下、実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4とする)は、柱状で一方の端面207を端面207に直交方向(図10図11においては、X軸方向)に高周波振動させる超音波振動子29を備える先に説明した超音波ホーン20と、2つの超音波ホーン20を向かい合わせて互いの端面207の間に僅かな隙間209を形成して2つの超音波ホーン20を支持する超音波ホーン支持部42と、隙間209に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部49と、を備えている。
【0034】
超音波ホーン支持部42は、門型状に形成されており、互いに中心軸を合わせてX軸方向に一直線に並ぶようにして向かい合わせて配設された各超音波ホーン20の第2の円柱部202の上側外側面に下端がそれぞれ接続されている。
【0035】
液状樹脂供給部49は、例えば、隙間209の外側上方から隙間209に向かって液状樹脂を供給する供給ノズル490を備えている。隙間209の上方において隙間209と対向する供給口を備える供給ノズル490には、例えばHogoMaxを供給可能な液状樹脂供給源496が連通している。供給ノズル490は、超音波ホーン支持部42の前面(+Y方向側面)中央に取り付けられており、直下に隙間209が位置している。なお、隙間209は、0.05mmから0.5mmの範囲内で設定されている。
例えば、液状樹脂供給源496が供給ノズル490に供給可能な液状樹脂は、上記HogoMaxであるが、図1に示す実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2において使用するものよりも、より粘度が高いタイプを使用可能となっている。
【0036】
例えば、図10図11に示すように、実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4は、隙間209より外側に配置し被対象物90(図11のみ図示)に向かう方向(-Z方向)にエアを噴射するエア噴射部48を備え、エア噴射部48が噴射したエアで霧化した霧化樹脂を被対象物90に塗布することが可能となっている。
【0037】
隙間209の上方において隙間209の外側近傍に向いた噴射口を備えるエア噴射部48のエアノズル480には、エア供給源481が連通している。図10に示すようにエアノズル480は、超音波ホーン支持部42の後面(-Y方向側面)中央に取り付けられている。
【0038】
図11に示すエア供給源481から供給されエアノズル480から隙間209外側近傍に向かって噴射されたエアによって、隙間209に生成され隙間209から外側に放出された霧状樹脂が、被対象物90に向かってエアが無い場合よりも速く落下していくため、被対象物90の上面900に対する霧状樹脂の塗布時間を短くすることが可能となる。
【0039】
実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4は、液状樹脂供給部49に代えて、図10図11に示す液状樹脂供給部46を備えていてもよい。
液状樹脂供給部46は、少なくとも一方の超音波ホーン20に形成され、端面207の中心に開口する第2出口462と、超音波ホーン20に形成する第2入口464と、第2出口462と第2入口464とを連通する第2連通路467と、を備え、液状樹脂を少なくとも一方の端面207の中心から隙間209に供給する。
【0040】
例えば、図示の例においては、-X方向側の超音波ホーン20の固定板204の側面中央に第2入口464が開口しており、図示しない継手や樹脂チューブを介して、液状樹脂供給源28に連通している。第2入口464に連通する第2連通路467は、固定板204、超音波振動子29、第3の円柱部203、第2の円柱部202、及び第1の円柱部201の内部を並び方向に貫通しており、端面207の中心に開口する第2出口462に連通している。
【0041】
図12に示す保護膜形成装置1は、例えば円形の半導体ウェーハ等の被対象物90を保持する保持テーブル30と、保持テーブル30を回転させる回転機構32と、例えば先に説明した図4図5に示す実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2と、を少なくとも備えている。
保護膜形成装置1は、これ単独で用いることができ、また、切削装置又は研削装置等に組み込んで使用することもできる。
【0042】
被対象物90は、例えば、シリコン母材等からなる円形の半導体ウェーハであるが、これに限定されず、シリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム、樹脂、セラミックス、又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよいし、矩形のパッケージ基板等であってもよい。
【0043】
保護膜形成装置1は、上端部に円形の開口を備えた有底円筒状のケーシング10を備えており、保持テーブル30は、ケーシング10の内部空間に収容されている。なお、図1において、ケーシング10の側壁の一部を切欠いて内部が把握できるように示している。ケーシング10は、その底面側に配設された脚部100により支持されている。
【0044】
保持テーブル30の下側には、保持テーブル30を回転させる回転機構32が配設されている。回転機構32は、保持テーブル30に上端が固定され軸方向がZ軸方向(鉛直方向)であるスピンドル320と、モータ等で構成されスピンドル320の下端側に連結する回転駆動源321とを少なくとも備えている。
【0045】
保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり被対象物90を吸引保持する平坦な保持面300を備えている。保持面300は図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、保持面300に伝達されることで、保持テーブル30は保持面300上で被対象物90を吸引保持する。
例えば、被対象物90が、被対象物90よりも大径のテープとテープに貼着された環状フレームとで支持されたワークセットとなっている場合には、保持テーブル30は環状フレームをクランプ固定可能となっていてもよい。
【0046】
例えば、保持テーブル30は、エアシリンダ等からなる図示しない昇降ユニットによって上下方向に移動可能になっていてもよい。図示しない昇降ユニットは、保持テーブル30を上昇させて、保持テーブル30を被対象物90の搬入・搬出高さ位置に位置付け、また、被対象物90を保持した状態の保持テーブル30を下降させて、保持テーブル30をケーシング10内における保護膜形成を行う際の高さ位置に位置付ける。
【0047】
図12に示すノズル移動機構37は、液状樹脂塗布ノズル2を水平方向に旋回移動させる。具体的には、ケーシング10の底板上には、ノズル移動機構37を構成する側面視逆L字状の旋回アーム370が図示しないベアリング等を介して立設されており、旋回アーム370の先端側には、液状樹脂塗布ノズル2が配設されている。旋回アーム370の下端側には旋回モータ373が連結されている。
なお、旋回アーム370の先端側に、図10図11に示す実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4の超音波ホーン支持部42が接続されていてもよい。
【0048】
以下に、保護膜形成装置1を使用して被対象物90に保護膜を形成する場合の、特に液状樹脂塗布ノズル2の動作について説明する。
まず、被対象物90が、その中心を保持テーブル30の保持面300の中心におおよそ合致するようにして保持面300上に載置され、保持テーブル30によって被対象物90が吸引保持される。
【0049】
その後、回転機構32が保持テーブル30を所定の回転速度で回転させる。また、図12に示す旋回モータ373が旋回アーム370を旋回させることで、液状樹脂塗布ノズル2が、保持テーブル30の外側の退避位置から吸引保持された被対象物90の上方に移動される。
【0050】
液状樹脂供給源28から所定量の液状樹脂が、入口272、連通路273、及び出口271(図5参照)を通して隙間220に供給され始める。また、高周波電源295(図4図5参照)から、所定の周波数の高周波電力が超音波振動子29に供給されることで、超音波振動子29がZ軸方向に振動する。なお、超音波振動子29の周波数は、20kHzから60kHzの範囲内で設定するとよい。そして、先に説明したとおりに、超音波振動子29から発振された超音波振動が第1の円柱部201に至るまでに増幅されて、第1の円柱部201の端面207がZ軸方向において高周波振動する。
【0051】
さらに、端面207の高周波振動が連結部23を介して円板22に伝達され、円板22もZ軸方向に高周波振動する。そして、隙間220に順次供給される液状樹脂が、Z軸方向にそれぞれ高周波振動する第1の円柱部201の端面207と円板22とから受ける高周波振動によって、主に隙間220の外周にて微細に分解されて霧化する。
【0052】
そして、隙間220の外周から外側に向かって霧化樹脂が放出される。霧化樹脂は、そのまま被対象物90に向かって落下して、被対象物90の上面900に固まりになることなく均一に塗布されていく。
【0053】
また、本実施形態においては、図5に示すエア供給源728から供給されエア噴射口725から隙間220の外側近傍に向かって噴射されたエアによって、隙間220に生成されて外側に放出された霧状樹脂が被対象物90に向かってエアが無い場合よりも速く落下していくため、被対象物90の上面900に対する霧状樹脂の塗布時間を短くすることが可能となる。
【0054】
そして、例えば、液状樹脂塗布ノズル2が、被対象物90の中心上方を通過するようにして、被対象物90の上方を所定角度で往復するように旋回移動することで、保持テーブル30によって回転する被対象物90の上面900全面に霧化した樹脂が略均一に降っていき、略均一厚みの保護膜を形成することが可能となる。
【0055】
上記のように、液状樹脂を霧化して被対象物90に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズル2は、柱状で一方の端面207を端面207に直交方向に高周波振動させる超音波振動子29を備える超音波ホーン20と、端面207との間に僅かな隙間220を形成して端面207に対面して配置する例えば円板22と、端面207の中心と円板22の中心とを連結する連結部23と、隙間220に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部27と、を備えることで、超音波振動子29が発振する高周波振動によって端面207を高周波振動させ、端面207の高周波振動が連結部23を介して円板22に伝達され、端面207と円板22とを高周波振動させて隙間220に供給した液状樹脂を主に隙間220の外周にて霧化して、隙間220の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物90に塗布することが可能となる。即ち、超音波振動で液状樹脂を霧化させて、被対象物90に塗布するので、高圧エアが無くても被対象物90に液状樹脂をまんべんなく塗布することが可能となる。また、液状樹脂の粘度が高くても、超音波振動を液状樹脂に伝達させるため、液状樹脂を霧化して被対象物90の上面900に塗布することが可能となる。
【0056】
図12に示す旋回アーム370の先端側に、図10図11に示す実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4の超音波ホーン支持部42が接続されている場合における被対象物90に対する霧化樹脂の塗布について、以下に説明する。
液状樹脂塗布ノズル4が、図12に示す保持テーブル30の外側の退避位置から吸引保持され回転する被対象物90の上方に、ノズル移動機構37によって移動される。
【0057】
図10図11に示す例えば液状樹脂供給源28から所定の粘度(たとえば230cp)で所定量の液状樹脂(たとえば、50ml)が、第2入口464、第2連通路467、及び第2出口462を通して隙間209(たとえば、大きさ0.1mm)に供給され始める。または、液状樹脂供給源496から所定量の液状樹脂が、供給ノズル490に供給され、供給ノズル490の供給口から隙間209に向かって液状樹脂が噴射/滴下される。
【0058】
また、高周波電源295から、所定の周波数(たとえば、55kHz)の高周波電力が2つの超音波ホーン20のそれぞれの超音波振動子29に供給されることで、各超音波振動子29がX軸方向に振動する。そして、先に説明したとおりに、超音波振動子29は発振した超音波振動が第1の円柱部201に至るまでに増幅されて、第1の円柱部201の端面207がX軸方向において高周波振動する。
【0059】
ここで、高周波電源295によって、図11に示す被対象物90の上方においてX軸方向に向かい合う端面207が互いに接近、又は離間するよう高周波振動周期を同期させる。即ち、図10図11に示す-X方向側の超音波ホーン20の端面207が+X方向に移動するのと同時に、+X方向側の超音波ホーン20の端面207が-X方向に移動して両端面207が接近する。次に、図10図11に示す-X方向側の超音波ホーン20の端面207が-X方向に移動するのと同時に、+X方向側の超音波ホーン20の端面207が+X方向に移動して両端面207が離間する。これが繰り返される。
【0060】
そして、隙間209に順次供給される液状樹脂が、X軸方向において同期してそれぞれ高周波振動する各第1の円柱部201の端面207から受ける高周波振動によって、微細に分解されて霧化する。
なお、低粘度の液状樹脂は、周波数を低くすることで、霧化樹脂を多く発生させてもよい。つまり、樹脂の粘度が大きくなるに比例して霧化させるための周波数も高くなる。
【0061】
そして、隙間209の外周から外側に向かって霧化樹脂が放出される。霧化樹脂は、そのまま被対象物90に向かって落下して、被対象物90の上面900に固まりになることなく均一に塗布されていく。
【0062】
また、本実施形態においては、エア供給源481から供給されエアノズル480から隙間209の外側近傍に向かって噴射されたエアによって、隙間209に生成されて外側に放出された霧状樹脂が被対象物90に向かってエアが無い場合よりも速く落下していくため、被対象物90の上面900に対する霧状樹脂の塗布時間を短くすることが可能となる。
【0063】
そして、例えば、液状樹脂塗布ノズル4が、被対象物90の中心上方を通過するようにして、被対象物90の上方を図12に示すノズル移動機構37によって所定角度で往復するように旋回移動することで、保持テーブル30によって回転する被対象物90の上面900全面に霧化した樹脂が略均一に降っていき、略均一厚みの保護膜を形成することが可能となる。
【0064】
上記のように、液状樹脂を霧化して被対象物90に塗布する本発明に係る液状樹脂塗布ノズル4は、柱状で一方の端面207を端面207に直交方向に高周波振動させる超音波振動子29を備える超音波ホーン20と、2つの超音波ホーン20を向かい合わせて互いの端面207の間に僅かな隙間209を形成して2つの超音波ホーン20を支持する超音波ホーン支持部42と、隙間209に液状樹脂を供給する液状樹脂供給部49と、を備えることで、向かい合う端面207が互いに接近、又は離間するよう高周波振動周期を同期させ、隙間209に供給した液状樹脂を主に隙間209の外周にて霧化させ、隙間209の外周から霧化樹脂を放出させ被対象物90に塗布することが可能となる。即ち、超音波振動で液状樹脂を霧化させて、被対象物90に塗布するので、高圧エアが無くても被対象物90に液状樹脂をまんべんなく塗布することが可能となる。また、使用する液状樹脂の粘度が比較的高くても、超音波振動を液状樹脂に伝達させるため、液状樹脂を霧化して被対象物90に塗布することが可能となる。さらに、従来のスピンコート等による保護膜形成に比べて、液状樹脂の使用量の無駄を少なくすることが可能となる。
【0065】
本発明に係る液状樹脂塗布ノズルは上記実施形態1の液状樹脂塗布ノズル2、又は実施形態2の液状樹脂塗布ノズル4に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、液状樹脂塗布ノズル2、又は液状樹脂塗布ノズル4を備える保護膜形成装置1を用いた被対象物90に対する保護膜形成の工程や、保護膜形成装置1の各構成も上記実施形態に限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
例えば、液状樹脂塗布ノズル2、又は液状樹脂塗布ノズル4は、使用する液状樹脂を接着剤にして、特許文献4に開示されている表示パネル上に保護板を設置するための液状樹脂の塗布を行う際に用いてもよい。
【符号の説明】
【0066】
90:被対象物 900:被対象物の上面
2:実施形態1の液状樹脂塗布ノズル
20:超音波ホーン 201:第1の円柱部 207:端面 202:第2の円柱部
203:第3の円柱部
29:超音波振動子 291:第1の圧電素子 292:第2の圧電素子 295:高周波電源 204:固定板
22:円板 220:隙間 23:連結部
27:液状樹脂供給部 271:出口 272:入口 273:連通路 28:液状樹脂供給源
70:エア噴射部 79:エア供給源
72:エア噴射部 720:側壁 721:底部 722:開口 724:エア流路
725:エア噴射口 728:エア供給源
4:実施形態2の液状樹脂塗布ノズル
20:超音波ホーン 209:隙間 42:超音波ホーン支持部
49:液状樹脂供給部 490:供給ノズル 496:液状樹脂供給源
48:エア噴射部 480:エアノズル 481:エア供給源
46:液状樹脂供給部 462:第2出口 464:第2入口 467:第2連通路
1:保護膜形成装置 10:ケーシング 100:脚部
30:保持テーブル 300:保持面
32:回転機構 320:スピンドル 321:回転駆動源
37:ノズル移動機構 370:旋回アーム 373:旋回モータ
24:楕円板 26:四角板 25:多芒星形状の板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12