(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183107
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】測定される瞳内で照明光によって照明されるときの光学系の結像品質を決定するための方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20221201BHJP
G01M 11/02 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G01M11/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085924
(22)【出願日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】10 2021 205 328.9
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】マルクス コッホ
(72)【発明者】
【氏名】レンツォ カペッリ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス グウォッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー シマコフ
【テーマコード(参考)】
2G086
2H197
【Fターム(参考)】
2G086HH07
2H197CA06
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA22
2H197GA24
(57)【要約】
【課題】光学系の結像品質を決定するための改善された方法を提供すること。
【解決手段】光学系の測定される瞳内で照明光によって照明されるときの光学系の結像品質を決定するために、および/または、テスト構造の位相効果を適切化するために、少なくとも1つの次元で周期的テスト構造は、光学系の物体面に配置される。面積が全瞳面積の10%未満である最初の瞳領域でテスト構造を照明するための最初の照明角度分布が特定され、テスト構造は、物体面に対して異なる距離位置で照明される。テスト構造の最初の測定された空間像は決定される。照明分布を特定し、空間像を照明して決定することは、さらなる照明角度分布のために繰り返され、光学系の結像寄与は、測定された空間像の比較から決定され、結像品質パラメータは決定され、および/または、テスト構造の複素数値回折スペクトルは前記結像寄与から決定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の測定される瞳(22、24)内で照明光(1)によって照明されるときの前記光学系の結像品質を決定するための、および/または、テスト構造の位相効果を適切化するための方法であって、前記方法は、
- 少なくとも1つの次元(x;x,y)で周期的であるテスト構造(5)を前記光学系の物体面(4)に配置するステップ、
- 隣接する完全に照明された最初の瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するための最初の照明角度分布
【数1】
を特定するステップであって、前記最初の瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であるステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定された最初の照明角度分布で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)の最初の測定された空間像
【数2】
を決定するために、空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 隣接する完全に照明されたさらなる瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するためのさらなる照明角度分布
【数3】
を特定するステップであって、前記さらなる瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であり、前記さらなる瞳領域(19)は、前記最初の瞳領域(19)に重複していないステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定されたさらなる照明角度分布
【数4】
で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)のさらに測定された空間像
【数5】
を決定するために、前記空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の前記像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 前記測定された空間像の比較から前記光学系の結像寄与を決定するステップ、
- 前記測定された結像寄与から少なくとも1つの結像品質パラメータを決定するステップ、および/または、
- 前記測定された結像寄与から前記テスト構造(5)の複素数値回折スペクトルを決定するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記瞳(22、24)は、少なくともほぼ円形または楕円形の端を有し、それぞれの前記照明角度分布を表現する前記瞳領域(19)は、前記瞳(22、24)の半径の30%以下である半径を有する円形または楕円形の領域によって少なくとも近似可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
「さらなる照明角度分布を特定する」ステップ、「前記テスト構造を前記特定されたさらなる照明角度分布で照明する」ステップおよび「強度を測定する」ステップは、少なくとも1回繰り返される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
測定されたスペクトル(S)は、前記強度を測定するステップの範囲内で測定され、前記光学系を通して導かれる前記周期的テスト構造(5)の回折スペクトル(M)として測定される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記瞳(22、24)における前記テスト構造の回折スペクトル(M)の純粋な変位は、さまざまな前記照明角度分布
【数6】
で前記結像寄与を決定するステップに含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周期的テスト構造(5)の前記回折スペクトル(M)および前記光学系の伝達関数(T)の両方は、前記測定されたスペクトル(S)に含まれ、前記結像寄与を決定するステップは、前記伝達関数(T)が、それぞれ特定された前記照明角度分布
【数7】
内で各照明方向に対して一定であるという仮定を含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記測定されたスペクトル(S)の再構成は、前記結像寄与を決定するステップに含まれる、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
測定された空間像
【数8】
と、再構成される前記測定されたスペクトル(S)に依存する空間像
【数9】
と、の差は、前記測定されたスペクトル(S)の前記再構成の間最小化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学系の伝達関数(T)は、前記結像寄与を決定するとき、振幅および位相が再構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなる瞳領域(19)の中心は、前記テスト構造(5)の回折スペクトル(18)の正確に1つの回折次数によって、前記最初の瞳領域(19)の中心から離れている、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記瞳領域(19)の1つは、前記瞳(22、24)の中心に位置する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
それぞれの前記照明角度分布
【数10】
は、絞りを前記光学系の前の照明ビーム経路(12)に位置決めすることによって特定されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するための計測システム(2)であって、
- 前記テスト構造(5)のためのホルダ(14)を有し、
- 前記ホルダ(14)により特定された物体面(4)に照明光(1)を導くための照明光学装置(9)を有し、
- 前記照明角度分布
【数11】
を特定するための特定装置(10)を有し、
- その結像品質に関して調べられる前記光学系(17)を有し、
- 前記像面(26)における前記照明光(1)の前記強度を測定するための空間分解の検出装置(25)を有し、
- 前記特定装置(10)は、駆動される方法で変位可能で、前記物体面(4)の前の照明光ビーム経路(12)に位置する絞りとして実施される、
計測システム(2)。
【請求項14】
前記照明光(1)のための光源(8)を特徴とする、請求項13に記載の計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願DE102021205328.9の優先権を主張し、その内容は、本願明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学系の測定される瞳内で照明光によって照明されるときの光学系の結像品質を決定するための方法に関する。さらに、本発明は、この種の方法を実行するための計測システムに関する。代替例として、または、結像品質を決定することに加えて、記載されている方法は、光の位相に与えるテスト構造の影響の適切化(qualification)を容易にする。
【背景技術】
【0003】
この種の方法および計測システムは、この目的で、DE102019215800A1から周知である。リソグラフィマスクの空間像を3次元で測定するための計測システムは、WO2016/012426A1から周知である。DE102013219524A1は、光学系の結像品質を決定するためのデバイスおよび方法ならびに光学系を記載する。DE102013219524A1は、ピンホールの結像に基づいて波面を決定するための位相回復方法を記載している。専門家記事A new system for a wafer lever CD metrology on photomasks, proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering, 2009, 7272. by Martin et al.は、ウェーハレベルの限界寸法(CD)を決定するための計測システムを開示している。DE102017216703A1は、投影露光装置の少なくとも1つの光学部品の特徴描写のための方法を開示する。DE102019215800A1は、構造化物体の表面を介した測定波長を有する測定光の光学位相差を決定する方法を開示する。DE102018211895A1は、検査装置を測定する方法を開示する。DE10317366A1は、レンズの透過率を決定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】DE102019215800A1
【特許文献2】WO2016/012426A1
【特許文献3】DE102013219524A1
【特許文献4】DE102017216703A1
【特許文献5】DE102019215800A1
【特許文献6】DE102018211895A1
【特許文献7】DE10317366A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A new system for a wafer lever CD metrology on photomasks, proceedings of SPIE-The International Society for Optical Engineering, 2009, 7272. by Martin et al.
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、光学系の結像品質を決定するための方法を改善することである。
【0007】
この目的は、請求項1で特定されている特徴を有する決定方法によって、本発明に従って達成される。
【0008】
本発明によれば、光学系の結像寄与を決定するための、および/または、光の位相に対するテスト構造の影響を適切化するための周期的テスト構造の使用が、決定方法の設計に応じて、結像品質が決定される精度を増加させるか、または、結像品質が決定される速度を増加させる境界条件を生成するということが認識された。測定される瞳は、光学系の射出瞳、および、特に、投影光学装置の射出瞳とすることができる。複素マスクスペクトルは、光の位相に対するテスト構造の影響を適切化するために決定可能である。テスト構造は、正確に1つの次元で周期的とすることができる(1Dテスト構造)。代替的には、テスト構造はまた、複数の次元、例えば2次元で周期的でもよい(2Dテスト構造)。
【0009】
その精度に関しておよび/またはその速度に関して決定方法を改善するさらなる境界条件は、瞳と比較して小さい瞳領域を有する照明角度分布を特定することによって生ずる。この瞳領域の面積は、全瞳面積の5%より小さくてもよく、例えば、全瞳面積の4%以下でもよい。瞳領域の面積は、通常、瞳の全瞳面積の0.001%より大きい。
【0010】
その方向に関して対応して良く定義されるテスト構造の照明を用いて、例えば、テスト構造の回折効果が、測定される光学系の結像効果から分離可能とすることを確実にすることができる。
【0011】
テスト構造の周期性についての知識以外に、構造周期についての特定の知識では、テスト構造についてのさらなる事前知識は、決定方法を実行するために必要とされない。周期は、次に、周知の回折測定ステップによる決定方法の範囲内で決定可能である。
【0012】
物体面の物体フィールドを像面の像フィールドに結像する(image)ための投影光学装置は、結像品質が決定されることを意図する光学系を表現することができるか、または、この種の光学系の構成要素とすることができる。
【0013】
例えば、決定方法を用いて、前記マスクの回折スペクトルから、リソグラフィマスクの吸収体と多層フィルムとの間の位相差を決定することができる。位相差の対応する決定は、DE102019215800A1およびWO2008025433A2に記載されている。次に、光学系は、決定された結像品質に基づいて調整可能である、および/または、修正可能である。決定された結像品質のさらなる応用は、マスクのフォトレジストにおける空間像の合成計算である(WO2017207297A1参照)。さらなる応用は、光近接効果補正モデルとして周知であるものの計算である。この点において、DE102016218977Aが参照される。
【0014】
請求項2に記載の少なくともほぼ円形の瞳および/または少なくともほぼ円形の瞳領域または楕円形の瞳領域は、決定方法を単純化する。瞳および/または瞳領域が円形から逸脱する程度まで、瞳の半径および/または瞳領域の半径は、平均半径として計算可能である。それぞれの照明角度分布を表現する瞳領域の半径のための上限は、瞳の半径の25%、20%、15%または10%とすることができるか、または、より小さくすることができる。
【0015】
請求項3に記載の方法ステップの繰り返しは、決定方法の精度の改善につながる。原則として、方法はまた、正確に2つの照明角度分布によって、例えば、瞳の中心照明を有する最初の照明角度分布によって、および、この最初の照明角度分布に対して変位した正確に1つの照明角度分布によって実行可能である。
【0016】
請求項4に記載の測定されたスペクトルを測定することは、周期的テスト構造の純粋な回折スペクトルに関する、および、光学系の伝達関数に関する情報の獲得を含む。決定方法では、これを用いて、光学系の伝達関数およびそれゆえ光学系の結像寄与が残るように、測定された測定スペクトルから、周期的テスト構造の純粋な回折スペクトルの部品を分離することができる。
【0017】
請求項5に記載の結像寄与の決定は、決定方法を単純化する。瞳における回折スペクトルのこの種の純粋な変位は、ホプキンス近似の文脈において周知である。この点において、米国特許出願公開第2019/0391087号およびその中で特定された引用文献が参照される。
【0018】
さらなる単純化は、請求項6に記載の決定方法において生ずる。
【0019】
請求項7に記載の再構成は、決定方法の品質を増加させる。
【0020】
これは、特に、請求項8に記載の再構成方法にあてはまる。測定された空間像と、再構成される測定されたスペクトルに依存する空間像と、の差を最小化することは、DE102019215800A1に記載されている。
【0021】
請求項9に記載の伝達関数の再構成は、例えば、伝達関数の振幅による光学系のアポディゼーション、または、伝達関数の位相による光学系の波面収差の適切化を容易にする。アポディゼーションおよび波面収差は、決定された結像寄与から決定される結像品質パラメータの例である。周期的テスト構造の回折スペクトルは、結像品質を決定するために結像寄与を決定するとき、再構成可能である。
【0022】
請求項10のスタイルで照明角度分布を特定することは、決定方法を単純化する。各場合におけるさらなる照明角度分布の特定のいくつかの繰り返しの場合、すべてのそれぞれの瞳領域は、いずれの場合においても、それぞれ隣接する瞳領域の回折スペクトルの正確に1つの回折次数によって離れていることができる。2Dのテスト構造が用いられるとき、距離は、正確に1つの回折次数として、または、両方の2D座標に沿ってその整数倍として、いずれの場合においても存在することができる。
【0023】
回折次数の整数倍による間隔もまた可能である。
【0024】
請求項11に記載の瞳領域を特定することは、回折次数の最大可能な数の検出を容易にする。
【0025】
請求項12に記載のそれぞれの照明角度分布を特定することは、実際にその価値を証明した。絞りは、光学系の前の照明光学装置の瞳面に配置可能である。
【0026】
請求項13に記載の計測システムの利点は、決定方法を参照してすでに上述したものに対応する。一旦光学系の結像品質が決定方法を用いて計測システムにおいて決定されると、次に、計測システムを用いて、まだその構造に関して知られておらず、例えば非周期的であるテスト構造の構造を決定することができ、これは、次に決定されていた結像品質に起因し、計測システムの装置機能をテスト構造の構造影響から分離することができる。計測システムの特定装置の利点は、決定方法を参照してすでに上述したものに対応する。絞り開口は、可変的な方法、例えば、虹彩絞りのスタイルで特定可能である。絞りは、少なくとも1つの横方向に変位可能でもよい。例えば、絞りは、2つの相互に垂直な横方向に変位可能であり、このことは、2Dのテスト構造が用いられるとき、特に有利である。
【0027】
請求項14に記載の光源は、EUV光源として実施可能である。光源のEUV波長は、5nm~30nmの間で変動してもよい。DUV波長範囲、例えば193nmのオーダの光源もまた可能である。
【0028】
以下、本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】光学系の測定される瞳内で照明光によって照明されるときの光学系の結像品質を決定するための計測システムの側面図を非常に概略的に示し、光学系は、照明光学装置および結像光学装置を備え、その両方は、それぞれ非常に概略的に表現される。
【
図2】
図1に従う計測システムにおいてIIに配置されるバイナリの周期的テスト構造の平面図を示す。
【
図3】同様に
図2に従う平面図において、テスト構造への照射後に、
図1のIIIでの照明光ビーム経路内の照明光の電磁界の電界分布を示す。
【
図4】再び
図2に従う平面図において、
図1のIVでの照明光ビーム経路内のテスト構造の回折スペクトルを示す。
【
図5】
図4に類似の表現で、計測システムの開口絞りのために端で制限された回折スペクトルを示し、前記開口絞りは、
図1のVで見出される。
【
図6】
図5に類似の表現で、計測システムの結像光学装置によって、
図1のVIで結像光学装置の射出瞳の領域において測定されたスペクトルとして、等高線の高さとして示される波面影響を含む回折スペクトルを示す。
【
図7】
図3に類似の平面図において、
図1のVIIでの照明光ビーム経路内の計測システムの空間分解の検出装置への照射時の照明光の複素電界分布を示す。
【
図8】
図7に類似の表現で、
図1のVIIIでの検出装置の位置で検出装置によって測定される照明光強度を示す。
【
図9】
図6に類似の表現で、小さい中心の最初の瞳領域で特定されたテスト構造の中心の照明を有する最初の照明角度分布を有する計測システムの測定状況を示し、テスト構造の0次の回折次数は、最初の瞳領域の中心、かつ、開口絞りによって特定される計測システムの瞳の中心に位置し、
図9はまた、開口絞りによる制限を越えた回折次数も描写する。
【
図10】
図9に類似の表現で、さらなる照明角度分布を有する計測システムのさらなる測定状況を示し、最初の瞳領域およびそれゆえテスト構造によって回折する照明光の0次の回折次数は、
図9に従う測定状況の-1次の回折次数の位置に変位するように変位している。
【
図11】
図9に類似の表現で、さらなる照明角度分布を有する計測システムのさらなる測定状況を示し、最初の瞳領域およびそれゆえテスト構造によって回折する照明光の0次の回折次数は、
図9に従う測定状況の+1次の回折次数の位置に変位するように変位している。
【
図12】
図1に類似の表現で、追加の自由度を有する計測システムを示し、追加の自由度は、計測システムの部品のためであり、表現されている異なる測定状況を特定する。
【
図13】
図9に類似の表現で、最初の測定状況の間、2次元のバイナリの周期的テスト構造の回折スペクトルを示し、最初の照明角度分布は、最初の瞳領域によって特定されるテスト構造の0次の回折次数が、開口絞りによって特定される計測システムの瞳の中心に位置するように選択される。
【
図14】
図10に類似の表現で、照明角度分布を有するさらなる測定状況の間の、
図13に従う回折スペクトルを示し、最初の瞳領域およびそれゆえ0次の回折次数は、
図13に従う-1次の回折次数の位置に水平方向に変位している。
【
図15】
図13および
図14に類似の表現で、さらなる照明角度分布を有するさらなる測定状況の間の回折スペクトルを示し、2次元のテスト構造の回折スペクトルは、最初の瞳領域およびそれゆえ0次の回折次数が垂直方向に+1次の回折次数の位置に位置するように垂直方向に変位している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、位置関係の表現を容易にするために、デカルトのxyz座標系が用いられる。x軸は、
図1において水平に右に延在する。y軸は、
図1の紙面に直角に延在する。z軸は、
図1において垂直に上に延在する。
【0031】
子午断面に対応する図面において、
図1は、測定される瞳内で照明光1によって照明されるときの、光学系の結像品質を決定するための計測システム2におけるEUV照明光または結像光1のビーム経路を示す。この場合、物体面4における物体フィールド3に配置されるテスト構造5が結像される。
【0032】
図2の平面図において、テスト構造5が描写される。テスト構造5は、1次元で、特にx座標に沿って周期的である。テスト構造5は、吸収体線6と、照明光1を反射するそれぞれ交互の多層線7と、を有するバイナリのテスト構造として設計される。線6、7は、垂直構造である。
【0033】
計測システム2を用いて、3次元(3D)の空間像を分析する(空間像計測システム)。空間像はまた、例えばスキャナにおける生成投影露光装置の中を見るので、応用は、リソグラフィマスクの空間像の再生を含む。この目的で、特に、計測システム2自体の結像品質を測定して、任意に調整することが必要である。したがって、空間像の分析は、計測システム2の投影光学装置の結像品質を決定するか、または、他に、特に投影露光装置内の投影光学装置の結像品質を決定するように機能することができる。計測システムは、WO2016/012426A1から、米国特許出願公開第2013/0063716号(その中の
図3参照)から、DE10220815A1(その中の
図9参照)から、DE10220816A1(その中の
図2参照)からおよび米国特許出願公開第2013/0083321号から周知である。
【0034】
照明光1は、テスト構造5で反射され、回折する。照明光1の入射面は、中心の最初の照明の場合、xz平面に平行である。
【0035】
EUV照明光1は、EUV光源8によって生成される。光源8は、レーザープラズマ源(LPP;レーザー生成プラズマ)または放電源(DPP;放電生成プラズマ)とすることができる。原則として、シンクロトロンベースの光源、例えば自由電子レーザー(FEL)もまた用いてもよい。EUV光源の用いられる波長は、5nm~30nmの間で変動してもよい。原則として、計測システム2の異型の場合、光源8の代わりに、他の用いられる光波長のための光源、例えば193nmの用いられる波長のための光源を用いてもよい。
【0036】
計測システム2の照明光学装置9は、光源8とテスト構造5との間に配置される。照明光学装置9は、調べられるテスト構造5の照明として機能し、物体フィールド3への所定の照明強度分布を有し、同時に所定の照明角度分布を有し、それによって、物体フィールド3のフィールド点が照明される。この種の照明角度分布はまた、照明設定とも呼ばれる。
【0037】
照明光1のそれぞれの照明角度分布は、照明光学装置の瞳面11に配置される特定装置10により特定される。特定装置10は、開口絞りとして設計され、開口絞りは、それに入射する照明光1のビームの端を境界設定する。この境界設定のために生ずる照明角度分布は、隣接する完全に照明された瞳領域によって表現され、その面積は、計測システム2の光学系の用いられる瞳の全瞳面積の10%未満である。
【0038】
例えば、用いられる瞳が正規化された直径1を有する場合、特定装置10によって特定される照明角度分布の直径は、計測システム2の光学系の次の瞳面において0.2以下でもよい。この場合、完全に照明された瞳領域の面積は、全瞳面積の4%以下である。
【0039】
特定装置10は、駆動される方法で変位可能で、物体面4の前の照明光1の照明光ビーム経路12に配置される絞りとして設計される。特定装置10の駆動される変位のために用いられる駆動装置は、
図1の13で描写される。駆動装置13によって、特定装置は、x座標に沿っておよび/またはy座標に沿って変位可能である。照明光学装置の瞳面11に対する特定装置10の配置面の対応を調整するために、z座標に沿った微調整もまた可能である。さらに、駆動装置13は、x軸に平行および/またはy軸に平行な少なくとも1つの傾動軸の周りの絞りの傾斜が可能であるように設計可能である。特定装置10の開口絞りの直径は、調節可能でもよく、特に、駆動される方法で特定可能でもよい。
【0040】
テスト構造5は、計測システム2の物体ホルダ14によって保持される。物体ホルダ14は、特にz座標に沿ってテスト構造5を変位させるための物体変位駆動15と協働する。
【0041】
テスト構造5での反射後に、照明光1の電磁界は、
図2のそれに対応する平面図の
図3において表現される分布16を有する。電界分布16において、振幅および位相値は、テスト構造5の吸収体線6および多層線7に対応する。
【0042】
テスト構造5によって反射される照明光1は、計測システム2の結像光学装置または投影光学装置17に入る。投影光学装置17は、その結像品質に関して調べられることを意図される計測システム2の光学系である。
【0043】
回折スペクトル18は、テスト構造5の周期性のために、投影光学装置17の瞳面において生ずる(
図4参照)。
【0044】
回折スペクトル18の回折次数に加えて、
図4はまた、計測システム2の最初の中心照明角度分布のために生ずる最初の瞳領域19を表現する。そのサイズおよび相対的な位置に関して、この最初の瞳領域19は、
図11の瞳面に共役な照明光学装置の瞳面11における特定装置10によって特定された瞳領域に対応する。テスト構造5の0次の回折次数は、この特定された瞳領域19の位置で、回折スペクトル18に存在する。さらに、
図4はまた、回折スペクトル18の±1次の回折次数および±2次の回折次数を再生する。
【0045】
図4において表現される回折スペクトル18の回折次数は、計測システム2の光学系の瞳面において、例えば、投影光学装置17の入射瞳面20においてこの形式で現れる。投影光学装置17の入射瞳22を端で境界設定する、投影光学装置17の開口絞り21は、この入射瞳面20に配置される。
【0046】
図5は、入射瞳22、および、最初の照明角度分布における入射瞳22内に位置する回折スペクトル18の3つの回折次数、特に、0次および±1次の回折を示す。再び、
図5は、特定装置10によって照明のために選択される最初の瞳領域19を表現する。
【0047】
図6は、照明光学装置17の射出瞳面における照明/結像光1の強度の分布を示す。
図6において表現される射出瞳24は、入射瞳22の像として生ずる。
【0048】
瞳22(
図5参照)および瞳24(
図6参照)は、円形である。瞳22、24はまた、代替の仕様の場合、適切な開口絞り21によって円形から逸脱してもよく、瞳は、少なくともほぼ円形とすることができる。この場合、瞳の半径は、平均半径として計算可能である。例えば、この種の代替の瞳は、1~例えば3の間で変動する半軸間のアスペクト比を有する楕円形設計を有することができる。瞳22および24はまた、本願明細書において描写されない実施形態では、楕円形でもよい。
【0049】
瞳領域19は、同様に円形もしくは楕円形であるか、または、円形領域によって近似可能である。関係σ≦0.2は、この種の円形の瞳領域19の半径が瞳22、24の半径の20%以下であることを意味する。
【0050】
射出瞳24における強度分布は、第1に、-1次、0次および+1次の回折次数の像からの寄与、第2に、光学系、特に投影光学装置17からの結像寄与を見出す。
図6において破線の等高線によって説明されるこの結像寄与は、以下でさらに説明されるように、光学系の伝達関数によって記載可能である。光学系の不可避の結像収差は、射出瞳24に、さらに、回折次数の周りの領域にさえ存在する照明/結像光1のかなりの強度につながる。
【0051】
投影光学装置17は、テスト構造5を計測システム2の空間分解の検出装置25の方に結像する。投影光学装置17は、拡大光学装置として実施される。投影光学装置17の拡大係数は、10より大きくてもよく、50より大きくてもよく、100より大きくてもよく、さらに大きくてもよい。概して、この拡大係数は、1000未満である。
【0052】
図3に従って、
図7は、検出装置25が配置される像面26の領域における照明/結像光1の複素電界分布27を示す。
【0053】
図8は、像フィールド28においてカメラ25により測定される照明/結像光1の強度分布29を示す。吸収体線6の像は、低い強度の実質的に暗い線30として強度分布29に存在し、多層線7の像は、より大きな強度の明るい線31として強度分布29に存在する。
【0054】
検出装置25は、CCDカメラとして、または、CMOSカメラとして設計可能である。
【0055】
図12は、計測システム2の光学系の結像品質を決定するための方法に関連してもよい自由度を説明し、特に、
図12において描写されない物体変位駆動装置を駆動することによってもたらされるテスト構造5のz変位可能性(両矢印32)、および、
図12において描写されない駆動装置13を駆動することによってもたらされるテスト構造5を照明するための照明角度分布のための特定装置10のx/y変位可能性(両矢印33)を示す。
【0056】
さらに、特定装置10の絞りの開口幅は、駆動装置13により可変的に特定可能である。
【0057】
図12は、特定装置10によって特定される、ベクトル
【数1】
によって再生されるテスト構造5に対する照明光1の主光線の方向をさらに示す。
【0058】
以下でさらに詳細に説明される、計測システム2の光学系の結像品質の決定において、テスト構造5の電界分布、テスト構造5の回折スペクトル、すなわち物体電界分布のフーリエ変換、投影光学装置17の点拡がり関数およびそのフーリエ変換、投影光学装置17の複素数値伝達関数は、
図8の強度分布29のスタイルにおいて、テスト構造5の異なるz位置に対応し、空間像全体と呼ばれる一連の測定された強度分布から、および、一連のこの種の空間像から決定される。
【0059】
計測システム2の光学系の結像品質を決定するとき、テスト構造5は、物体ホルダ14に適切に接続されることによって、最初に、投影光学装置17の物体フィールド3における物体面4に配置される。
【0060】
次に、最初の照明角度分布
【数2】
は、特定装置10によって中心の瞳領域19に従って設定される。この最初の照明角度分布は、最初の瞳領域19によって表現される照明方向からの照明光1でテスト構造5を照明する。瞳領域19の面積は、入射瞳22の全瞳面積の10%未満である。特に、以下は、瞳領域19にあてはまる。すなわち、σ<0.2である。
【0061】
最初の照明角度分布
【数3】
の特定、すなわち、照明の中心化は、照明光1の主光線が投影光学装置17の結像ビーム経路の主光線に一致するように(
図12参照)実施される。次に、以下は、定義によってあてはまる。すなわち、投影光学装置17の瞳22、24の対応する座標系において、
【数4】
である。
【0062】
現在、テスト構造は、照明光1によって物体面4に対してテスト構造5の異なる距離位置で、すなわち、物体ホルダ14によって特定されるテスト構造5の異なるz位置でこの最初の照明角度分布で照明される。投影光学装置17によって、これらのz距離位置の各々にテスト構造5を結像する範囲内で導かれる照明光1の強度は、投影光学装置17の像面26において、検出装置25を用いて、テスト構造5の最初の測定された空間像を決定するために測定される。このz距離位置はまた、相対的な焦点位置とも呼ばれる。したがって、強度分布29に対応する強度分布のスタックは、さまざまなz位置のために測定される。例えば、テスト構造5の9つの異なるz位置は、この空間像測定において設定可能である。ここで用いられるz範囲は、複数のレイリーユニット(レイリーユニット=0.5λ/NA2、λは照明光の波長を意味し、NAは照明の開口数を意味する)にわたり掃引してもよい。
【0063】
z距離位置で採用され、強度分布29に対応する強度分布の各々は、
【数5】
として書くことができる。
【0064】
ここで、
【数6】
は、強度分布内のそれぞれのx,y位置ベクトル、すなわち投影デバイス25の検出器ピクセルの位置を意味する。
【0065】
zは、この強度分布が測定されるそれぞれのz距離位置を意味する。
【0066】
【数7】
は、この測定が実行される最初の照明角度分布を意味する。
【0067】
ここで、テスト構造5を照明するための主光線方向を有するさらなる照明角度分布
【数8】
は、変位している特定装置10の絞りによって特定される。この変位は、
図9および
図10の比較から明らかになる。これは、瞳22、24が新しい照明角度分布のために完全に照明される瞳領域19が
図9の最初の照明角度分布の-1次の回折次数の位置で停止するような投影光学装置17の瞳22、24のx軸に沿った変位である。したがって、以下は、ここで特定されたさらなる照明角度分布の照明方向にあてはまる。すなわち、瞳22、24のx,y座標において、
【数9】
である。ここで、p=ピッチ/λであり、ピッチ=テスト構造5の周期であり、λ=照明/結像光1の波長である。
【0068】
それゆえ、変位の後に生ずる
図10の瞳領域19の中心は、回折スペクトル18の正確に1つの回折次数によって、最初の瞳領域19(
図9参照)の中心から離れている。
【0069】
このさらなる照明角度分布が特定されるとき、瞳領域19は、それが瞳22、24における最初の瞳領域(
図9の瞳領域19の位置参照)に重複しないように変位する。
【0070】
次に、空間像スタックは、このさらなる照明角度分布において再び測定される。したがって、テスト構造5は、このさらなる照明角度分布を用いて、物体面4に対してテスト構造5の異なるz距離位置で照明され、投影光学装置17に従って通して導かれる照明/結像光1の強度は、各z距離位置でさらに測定された空間像を決定するために、空間分解の検出装置25によって測定される。したがって、ここで測定されるのは空間像スタック
【数10】
である。
【0071】
ここで、
図11において説明されるように、さらなる照明角度分布を特定することができ、特定装置10により特定される照明方向
【数11】
を再生する瞳領域19は、次に、瞳22、24内でプラスx方向に変位されるので、前記瞳領域は、
図9の最初の照明角度分布の+1次の回折次数の位置で停止する。したがって、照明主光線は、
【数12】
の方向に変位し、空間像スタック
【数13】
が測定される。
【0072】
ここでもあてはまることは、
図11に従って、さらなる瞳領域19の中心が、回折スペクトル18の正確に1つの回折次数によって最初の瞳領域(
図9参照)の中心から離れているということである。
【0073】
ここで、計測システム2の光学系、すなわち投影光学装置17の結像寄与は、これらの測定された空間像
【数14】
の比較から決定される。
【0074】
この決定の間用いられる計算関係を導出するために、計測システム2の光学系における結像プロセスは、最初に、個別の照明方向
【数15】
のために考慮される。
【0075】
【数16】
をこの照明方向のための複素数値回折スペクトル18とする。この場合、
【数17】
は、波長に対して正規化される空間周波数(すなわち、無次元の空間周波数)を意味する。
【数18】
はまた、回折次数の方向として、または、瞳における回折次数のx,y瞳座標として解釈可能である。
【0076】
投影光学装置17を通る照明/結像光1の伝搬は、このスペクトルMと、物体zの相対的な焦点位置に依存する、投影光学装置の同様に複素数値伝達関数
【数19】
と、の乗算に対応する。以下があてはまる。すなわち、
【数20】
である。
【0077】
この場合、Pは、開口数NAを有する開口絞り21によって特定される瞳孔関数を意味する。NAの内側では、
【数21】
であり、NAの外側では、
【数22】
である。
【0078】
【数23】
は求められる伝達関数であり、上記の式(1)における最後の因数は、物体の周知のピンぼけによって生じる波面収差である。
【0079】
次に、投影光学装置17の射出瞳24(
図6も参照)の回折スペクトルGは、以下のとおりである。
【数24】
【0080】
そこから生ずる像電界分布27は、この回折スペクトルGのフーリエ変換である。カメラは、その強度Iを測定する(例示的な方法の
図8の強度分布29参照)。すなわち、
【数25】
である。
【0081】
部分的にコヒーレントな照明システムの場合、照明は、互いに対してインコヒーレントな複数の照明方向を含む。同じ照明設定を有するが、異なる主光線方向
【数26】
である複数のフォーカスシリーズ(focus series)は、決定方法の間記録される。測定値nのための照明角度分布の照明方向に依存する重みは、
【数27】
である。すべてのフォーカスシリーズ、すなわち、すべての照明設定の合計は、以下を生ずる。
【数28】
【0082】
ここで、以下があてはまる。すなわち、
【数29】
である。式(3)を式(4)に代入すると、以下を生ずる。
【数30】
【0083】
次に、2つの近似が実施される。
1)最初に、照明方向の変位がマスクスペクトルの変位のみにつながる、すなわち、
【数31】
ということが仮定される。文献において、この種の近似は、ホプキンス近似として周知である。したがって、さまざまな照明角度分布での光学系の結像寄与を決定するとき、瞳22、24におけるテスト構造の回折スペクトル18の純粋な変位が含まれる。
2)小さい<<1、例えば、σ≦0.2を有する比較的コヒーレントな照明設定が存在する。以下は、照明角度分布の重みのために生ずる。
【数32】
さらに、光学装置の伝達関数TがσNAによって定義される領域内で少しだけ変化するということが仮定される。すなわち、以下の仮定が行われる。q<σNAに関して
【数33】
である。σは、常に、この条件が満たされるほど小さく選択可能である。したがって、伝達関数Tが、それぞれ特定された照明角度分布内で各照明方向
【数34】
に対して一定であるという仮定は、結像寄与の決定に含まれる。
【0084】
次に、これらの近似を用いて、空間像は、以下のように書くことができる。
【数35】
【0085】
ここで、計測システム2の光学系を通して、すなわち投影光学装置17を通して伝搬されたスペクトルSは、新しい変数として導入される。
【数36】
【0086】
式(6)への代入は、結果として以下になる。
【数37】
【0087】
したがって、伝搬スペクトルSは、決定方法の範囲内で強度を測定するとき、測定されたスペクトルとして測定され、前記測定されたスペクトルは、光学系を通して導かれた周期的テスト構造5の回折スペクトルMとして生ずる。測定されたスペクトルSは、周期的テスト構造5の回折スペクトルMと光学系の伝達関数との積である。
【0088】
各測定された照明方向に対して別々に実行される、伝搬スペクトルSの再構成は、以下のように実施される。
1.上述したように、さまざまな照明角度分布の空間像スタックの強度測定から生じるスペクトル
【数38】
から開始する。
2.これから、上記の式(8)から、空間像
【数39】
を計算する。
3.前のステップ2で計算される空間像と、さまざまなz位置でかつさまざまな照明角度分布によって検出装置25を用いて測定される空間像I
measと、の差が最小化されるまで、すなわち、以下の最小化問題が解けるまで、伝搬スペクトル
【数40】
を変化させる。
【数41】
【0089】
類似の再構成ステップはまた、DE102019215800A1に記載されている。
【0090】
上記の段落に記載されている再構成の結果は、最適化された伝搬スペクトル
【数42】
であり、すなわち、照明方向に変位されたマスクスペクトルと投影光学装置17の伝達関数Tとの積である(上記の式(7)参照)。
【0091】
ここで、2つの構成要素(マスクスペクトルMおよび伝達関数T)は、伝搬スペクトル(S)から決定される。最初にこのために考慮されることは、テスト構造5が周期的であるということである、すなわち、スペクトルは、空間周波数
【数43】
を有する個別の回折次数から成り、ここで、l=-Inf...Infは、整数の回折次数である。さらに考慮されることは、各場合において空間像測定が行われた照明方向、すなわち、照明角度分布が回折次数の個別の数nによって、特に、
【数44】
によって、各々変位され、n=0、-1、1であるということである。
【0092】
それゆえ、ここで考慮される垂直構造体のために、以下は、マスクスペクトルMにあてはまる。すなわち、
【数45】
である。
【0093】
したがって、マスクスペクトルM、すなわち回折スペクトル18は、x座標に沿った回折点の等距離列である。
【0094】
これらの近似を用いて、再構成されたスペクトルSは、式(7)に代入することによって以下のように書くことができる。
【数46】
【0095】
再構成されたスペクトルは、以下のように離散化される、すなわち、それぞれの回折次数の位置での値のみが考慮される。以下は、回折次数nによって照明方向の変位を有する再構成されたスペクトルの1次の回折次数のために生ずる。
【数47】
【0096】
ここでn=0、-1、1は、測定が実行されたさまざまな照明方向のためであり、l=-L...Lであり、ここでは、L=floor(pNA)は、NA内の最大の回折次数であり、すなわち本例ではL=1である。
【0097】
式(12)の対数をとることによって、以下が生ずる。
【数48】
ここで、
【数49】
、
【数50】
および
【数51】
である。上記の式(13)~(15)はまた、行列形式で書くことができる。
【数52】
【数53】
【0098】
ここで、I
2L+1は(2L+1)×(2L+1)の成分を有する単位行列であり、0
2L+1は2L+1の成分を有する列ゼロベクトルである。式(16)および(17)の左側のベクトルの成分は、測定値から決定された複素数値伝搬スペクトルSの対数である。右側のベクトルの成分は、マスクスペクトルMおよび伝達関数Tの求められる対数である。MおよびTのこれらの求められる対数は、疑似逆行列pinvによって、測定された値から決定可能である。
【数54】
【0099】
ここで、求められるマスクスペクトルM、すなわち、テスト構造5によって選び出されるのみの回折スペクトル18(
図4参照)、および、伝達関数T、すなわち、光学系、特に投影光学装置17の求められる結像寄与は、l=-L-1...L+1のために、回折次数によって定義されるサンプリング点で計算可能である。
【数55】
次に、これらの再構成されたスペクトルを用いて、例えば、DE102019215800A1に記載されていることに対応する方法でマスク位相を決定することができる。決定方法の特色は、NAの外側に位置する回折次数の再構成もまた存在するということである(この場合、例えば、回折次数L+1、および、特定の例示的な実施形態において、±2次を含む回折次数)。さらにより高い回折次数は、照明方向のさらなる変位によって再構成可能である。l=-L...Lのために
【数56】
である。
【0100】
したがって、伝達関数Tは、振幅および位相に関して再構成される。
【0101】
伝達関数の振幅は、アポディゼーションを反映し、一方、位相は、波面収差を反映する。アポディゼーションおよび波面収差は、決定された結像寄与から決定可能な結像品質パラメータの例を表現する。
【0102】
回折次数の間の伝達関数は、内挿により任意に決定可能であるので、結像寄与はまた、テスト構造5の回折次数の方向に対応しない投影光学装置17を通して結像光の方向のために決定される。
【0103】
1つの座標に沿った、特に、これまで述べられたx座標に沿った周期を有するテスト構造5の例を用いて、x軸上の回折次数で伝達関数Tを再構成することができる。瞳全体にわたり伝達関数を決定するために、2次元で、すなわち、x座標に沿ってかつy座標に沿って周期的であるテスト構造5を利用することができる。この種の2次元で周期的なテスト構造5の例は、コンタクトホールのグリッドのような2D周期構造である。この種のコンタクトホールのグリッドは、円形(ピンホール、ピンホール開口)または正方形の周期的な2D配列として設計可能である。
【0104】
図13~
図15に示すように、この場合、回折次数は、瞳全体22、24にわたり分散される。この場合、決定方法が実行されるとき、それぞれのさらなる照明角度分布を特定する範囲内で、照明方向は、最初、1つまたは複数の回折次数によってx方向に、次に、1つまたは複数の回折次数によってy方向に変位する。
【0105】
再び、
図13は、最初の照明角度分布を表現し、瞳領域19は、瞳22、24の中心に配置され、したがって、回折次数(x=0,y=0)、すなわち、(0,0)も同様である。
図13はまた、-3≦x≦3かつ-2≦y≦2のさらなる回折次数(x,y)を表現する。
【0106】
図14は、照明/結像光1の瞳領域19を(-1,0)の回折次数の位置に特定装置10により変位することによって生ずるさらなる照明角度分布を示す。
【0107】
図15は、照明/結像光1による照明の瞳領域19を最初の(0,1)の回折次数の位置に特定装置10により変位することによって生ずるさらなる照明角度分布を示す。
【0108】
したがって、上述した方法を用いて、最初に回折次数(x,y)の位置で、そしてまた、内挿による回折次数の間で、マスクスペクトルMおよび伝達関数Tを決定することができる。
【0109】
原則として、再構成は、1Dの場合に類似した方法で実施される。xおよびy方向の変位の結果、式(16)、(17)の行列は、より多くの成分を有する形を有する。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
この目的は、当初請求項1で特定されている特徴を有する決定方法によって、本発明に従って達成される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
当初請求項2に記載の少なくともほぼ円形の瞳および/または少なくともほぼ円形の瞳領域または楕円形の瞳領域は、決定方法を単純化する。瞳および/または瞳領域が円形から逸脱する程度まで、瞳の半径および/または瞳領域の半径は、平均半径として計算可能である。それぞれの照明角度分布を表現する瞳領域の半径のための上限は、瞳の半径の25%、20%、15%または10%とすることができるか、または、より小さくすることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
当初請求項3に記載の方法ステップの繰り返しは、決定方法の精度の改善につながる。原則として、方法はまた、正確に2つの照明角度分布によって、例えば、瞳の中心照明を有する最初の照明角度分布によって、および、この最初の照明角度分布に対して変位した正確に1つの照明角度分布によって実行可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
当初請求項4に記載の測定されたスペクトルを測定することは、周期的テスト構造の純粋な回折スペクトルに関する、および、光学系の伝達関数に関する情報の獲得を含む。決定方法では、これを用いて、光学系の伝達関数およびそれゆえ光学系の結像寄与が残るように、測定された測定スペクトルから、周期的テスト構造の純粋な回折スペクトルの部品を分離することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
当初請求項5に記載の結像寄与の決定は、決定方法を単純化する。瞳における回折スペクトルのこの種の純粋な変位は、ホプキンス近似の文脈において周知である。この点において、米国特許出願公開第2019/0391087号およびその中で特定された引用文献が参照される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
さらなる単純化は、当初請求項6に記載の決定方法において生ずる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
当初請求項7に記載の再構成は、決定方法の品質を増加させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
これは、特に、当初請求項8に記載の再構成方法にあてはまる。測定された空間像と、再構成される測定されたスペクトルに依存する空間像と、の差を最小化することは、DE102019215800A1に記載されている。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
当初請求項9に記載の伝達関数の再構成は、例えば、伝達関数の振幅による光学系のアポディゼーション、または、伝達関数の位相による光学系の波面収差の適切化を容易にする。アポディゼーションおよび波面収差は、決定された結像寄与から決定される結像品質パラメータの例である。周期的テスト構造の回折スペクトルは、結像品質を決定するために結像寄与を決定するとき、再構成可能である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
当初請求項10のスタイルで照明角度分布を特定することは、決定方法を単純化する。各場合におけるさらなる照明角度分布の特定のいくつかの繰り返しの場合、すべてのそれぞれの瞳領域は、いずれの場合においても、それぞれ隣接する瞳領域の回折スペクトルの正確に1つの回折次数によって離れていることができる。2Dのテスト構造が用いられるとき、距離は、正確に1つの回折次数として、または、両方の2D座標に沿ってその整数倍として、いずれの場合においても存在することができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
当初請求項11に記載の瞳領域を特定することは、回折次数の最大可能な数の検出を容易にする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
当初請求項12に記載のそれぞれの照明角度分布を特定することは、実際にその価値を証明した。絞りは、光学系の前の照明光学装置の瞳面に配置可能である。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
当初請求項13に記載の計測システムの利点は、決定方法を参照してすでに上述したものに対応する。一旦光学系の結像品質が決定方法を用いて計測システムにおいて決定されると、次に、計測システムを用いて、まだその構造に関して知られておらず、例えば非周期的であるテスト構造の構造を決定することができ、これは、次に決定されていた結像品質に起因し、計測システムの装置機能をテスト構造の構造影響から分離することができる。計測システムの特定装置の利点は、決定方法を参照してすでに上述したものに対応する。絞り開口は、可変的な方法、例えば、虹彩絞りのスタイルで特定可能である。絞りは、少なくとも1つの横方向に変位可能でもよい。例えば、絞りは、2つの相互に垂直な横方向に変位可能であり、このことは、2Dのテスト構造が用いられるとき、特に有利である。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
当初請求項14に記載の光源は、EUV光源として実施可能である。光源のEUV波長は、5nm~30nmの間で変動してもよい。DUV波長範囲、例えば193nmのオーダの光源もまた可能である。
[当初請求項1]
光学系の測定される瞳(22、24)内で照明光(1)によって照明されるときの前記光学系の結像品質を決定するための、および/または、テスト構造の位相効果を適切化するための方法であって、前記方法は、
- 少なくとも1つの次元(x;x,y)で周期的であるテスト構造(5)を前記光学系の物体面(4)に配置するステップ、
- 隣接する完全に照明された最初の瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するための最初の照明角度分布
を特定するステップであって、前記最初の瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であるステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定された最初の照明角度分布で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)の最初の測定された空間像
を決定するために、空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 隣接する完全に照明されたさらなる瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するためのさらなる照明角度分布
を特定するステップであって、前記さらなる瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であり、前記さらなる瞳領域(19)は、前記最初の瞳領域(19)に重複していないステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定されたさらなる照明角度分布
で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)のさらに測定された空間像
を決定するために、前記空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の前記像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 前記測定された空間像の比較から前記光学系の結像寄与を決定するステップ、
- 前記測定された結像寄与から少なくとも1つの結像品質パラメータを決定するステップ、および/または、
- 前記測定された結像寄与から前記テスト構造(5)の複素数値回折スペクトルを決定するステップ、
を含む方法。
[当初請求項2]
前記瞳(22、24)は、少なくともほぼ円形または楕円形の端を有し、それぞれの前記照明角度分布を表現する前記瞳領域(19)は、前記瞳(22、24)の半径の30%以下である半径を有する円形または楕円形の領域によって少なくとも近似可能である、当初請求項1に記載の方法。
[当初請求項3]
「さらなる照明角度分布を特定する」ステップ、「前記テスト構造を前記特定されたさらなる照明角度分布で照明する」ステップおよび「強度を測定する」ステップは、少なくとも1回繰り返される、当初請求項1または2に記載の方法。
[当初請求項4]
測定されたスペクトル(S)は、前記強度を測定するステップの範囲内で測定され、前記光学系を通して導かれる前記周期的テスト構造(5)の回折スペクトル(M)として測定される、当初請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項5]
前記瞳(22、24)における前記テスト構造の回折スペクトル(M)の純粋な変位は、さまざまな前記照明角度分布
で前記結像寄与を決定するステップに含まれる、当初請求項4に記載の方法。
[当初請求項6]
前記周期的テスト構造(5)の前記回折スペクトル(M)および前記光学系の伝達関数(T)の両方は、前記測定されたスペクトル(S)に含まれ、前記結像寄与を決定するステップは、前記伝達関数(T)が、それぞれ特定された前記照明角度分布
内で各照明方向に対して一定であるという仮定を含む、当初請求項4または5に記載の方法。
[当初請求項7]
前記測定されたスペクトル(S)の再構成は、前記結像寄与を決定するステップに含まれる、当初請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項8]
測定された空間像
と、再構成される前記測定されたスペクトル(S)に依存する空間像
と、の差は、前記測定されたスペクトル(S)の前記再構成の間最小化される、当初請求項7に記載の方法。
[当初請求項9]
前記光学系の伝達関数(T)は、前記結像寄与を決定するとき、振幅および位相が再構成される、当初請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項10]
前記さらなる瞳領域(19)の中心は、前記テスト構造(5)の回折スペクトル(18)の正確に1つの回折次数によって、前記最初の瞳領域(19)の中心から離れている、当初請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項11]
前記瞳領域(19)の1つは、前記瞳(22、24)の中心に位置する、当初請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項12]
それぞれの前記照明角度分布
は、絞りを前記光学系の前の照明ビーム経路(12)に位置決めすることによって特定されることを特徴とする、当初請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
[当初請求項13]
当初請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行するための計測システム(2)であって、
- 前記テスト構造(5)のためのホルダ(14)を有し、
- 前記ホルダ(14)により特定された物体面(4)に照明光(1)を導くための照明光学装置(9)を有し、
- 前記照明角度分布
を特定するための特定装置(10)を有し、
- その結像品質に関して調べられる前記光学系(17)を有し、
- 前記像面(26)における前記照明光(1)の前記強度を測定するための空間分解の検出装置(25)を有し、
- 前記特定装置(10)は、駆動される方法で変位可能で、前記物体面(4)の前の照明光ビーム経路(12)に位置する絞りとして実施される、
計測システム(2)。
[当初請求項14]
前記照明光(1)のための光源(8)を特徴とする、当初請求項13に記載の計測システム。
【手続補正15】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系の測定される瞳(22、24)内で照明光(1)によって照明されるときの前記光学系の結像品質を決定するための、および/または、テスト構造の位相効果を適切化するための方法であって、前記方法は、
- 少なくとも1つの次元(x;x,y)で周期的であるテスト構造(5)を前記光学系の物体面(4)に配置するステップ、
- 隣接する完全に照明された最初の瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するための最初の照明角度分布
【数1】
を特定するステップであって、前記最初の瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であるステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定された最初の照明角度分布で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)の最初の測定された空間像
【数2】
を決定するために、空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 隣接する完全に照明されたさらなる瞳領域(19)によって表現される、前記テスト構造(5)を前記照明光(1)で照明するためのさらなる照明角度分布
【数3】
を特定するステップであって、前記さらなる瞳領域(19)の面積は、前記瞳(22、24)の全瞳面積の10%未満であり、前記さらなる瞳領域(19)は、前記最初の瞳領域(19)に重複していないステップ、
- 前記テスト構造(5)を、前記特定されたさらなる照明角度分布
【数4】
で、前記物体面(4)に対して前記テスト構造(5)の異なる距離位置(z)で照明するステップ、
- 前記テスト構造(5)のさらに測定された空間像
【数5】
を決定するために、前記空間分解の検出装置(25)を用いて前記光学系の前記像面(26)における前記照明光(1)の強度を測定するステップであって、各距離位置(z)で前記テスト構造(5)を結像するとき、前記照明光は、前記光学系によって導かれているステップ、
- 前記測定された空間像の比較から前記光学系の結像寄与を決定するステップ、
- 前記測定された結像寄与から少なくとも1つの結像品質パラメータを決定するステップ、および/または、
- 前記測定された結像寄与から前記テスト構造(5)の複素数値回折スペクトルを決定するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記瞳(22、24)は、少なくともほぼ円形または楕円形の端を有し、それぞれの前記照明角度分布を表現する前記瞳領域(19)は、前記瞳(22、24)の半径の30%以下である半径を有する円形または楕円形の領域によって少なくとも近似可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
「さらなる照明角度分布を特定する」ステップ、「前記テスト構造を前記特定されたさらなる照明角度分布で照明する」ステップおよび「強度を測定する」ステップは、少なくとも1回繰り返される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
測定されたスペクトル(S)は、前記強度を測定するステップの範囲内で測定され、前記光学系を通して導かれる前記周期的テスト構造(5)の回折スペクトル(M)として測定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記瞳(22、24)における前記テスト構造の回折スペクトル(M)の純粋な変位は、さまざまな前記照明角度分布
【数6】
で前記結像寄与を決定するステップに含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記周期的テスト構造(5)の前記回折スペクトル(M)および前記光学系の伝達関数(T)の両方は、前記測定されたスペクトル(S)に含まれ、前記結像寄与を決定するステップは、前記伝達関数(T)が、それぞれ特定された前記照明角度分布
【数7】
内で各照明方向に対して一定であるという仮定を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記測定されたスペクトル(S)の再構成は、前記結像寄与を決定するステップに含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
測定された空間像
【数8】
と、再構成される前記測定されたスペクトル(S)に依存する空間像
【数9】
と、の差は、前記測定されたスペクトル(S)の前記再構成の間最小化される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学系の伝達関数(T)は、前記結像寄与を決定するとき、振幅および位相が再構成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなる瞳領域(19)の中心は、前記テスト構造(5)の回折スペクトル(18)の正確に1つの回折次数によって、前記最初の瞳領域(19)の中心から離れている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記瞳領域(19)の1つは、前記瞳(22、24)の中心に位置する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
それぞれの前記照明角度分布
【数10】
は、絞りを前記光学系の前の照明ビーム経路(12)に位置決めすることによって特定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の方法を実行するための計測システム(2)であって、
- 前記テスト構造(5)のためのホルダ(14)を有し、
- 前記ホルダ(14)により特定された物体面(4)に照明光(1)を導くための照明光学装置(9)を有し、
- 前記照明角度分布
【数11】
を特定するための特定装置(10)を有し、
- その結像品質に関して調べられる前記光学系(17)を有し、
- 前記像面(26)における前記照明光(1)の前記強度を測定するための空間分解の検出装置(25)を有し、
- 前記特定装置(10)は、駆動される方法で変位可能で、前記物体面(4)の前の照明光ビーム経路(12)に位置する絞りとして実施される、
計測システム(2)。
【請求項14】
前記照明光(1)のための光源(8)を特徴とする、請求項13に記載の計測システム。
【外国語明細書】