(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183247
(43)【公開日】2022-12-08
(54)【発明の名称】光学フィルタの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022165705
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2020500509の分割
【原出願日】2019-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2018026163
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】大河原 昂広
(72)【発明者】
【氏名】奈良 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔一
(72)【発明者】
【氏名】吉林 光司
(57)【要約】
【課題】光学フィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】色材と重合性モノマーとを含み、全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤の合計の含有量が15質量%以下である感光性組成物を支持体上に適用して感光性組成物層を形成する工程と、感光性組成物層に対して、波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程と、を含む、光学フィルタの製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
色材と重合性モノマーとを含み、全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤の合計の含有量が15質量%以下である感光性組成物を支持体上に適用して感光性組成物層を形成する工程と、
前記感光性組成物層に対して、波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程と、
を含む、光学フィルタの製造方法。
【請求項2】
前記感光性組成物は、重合性モノマーと光重合開始剤の合計量中における重合性モノマーの含有量が50質量%以上である、請求項1に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項3】
前記感光性組成物は、重合性モノマーと光重合開始剤の合計量中における重合性モノマーの含有量が70質量%以90質量%以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項4】
前記感光性組成物の全固形分中における前記重合性モノマーの含有量が13質量%以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項5】
前記感光性組成物の全固形分中における前記光重合開始剤の含有量が5質量%以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項6】
前記感光性組成物は、前記光重合開始剤の含有量が前記色材の100質量部に対して5質量部以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項7】
前記感光性組成物は、前記光重合開始剤の含有量が前記色材の100質量部に対して1質量部以上5質量部以下である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項8】
前記感光性組成物の全固形分中における前記色材の含有量が50質量%以上である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項9】
前記波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程は、波長248nmの光をパルス露光する工程である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項10】
前記波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程は、波長248nmの光をパルス露光する工程であり、
前記パルス露光の条件は、パルス幅が100ナノ秒以下であり、周波数が1kHz以上50kHz以下であり、最大瞬間照度が50000000W/m2以上1000000000W/m2以下であり、露光量が1~2000mJ/cm2である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【請求項11】
前記波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程の後に、未露光部の感光性組成物層を現像液を用いて現像除去して画素を形成する現像工程を含み、
前記現像工程における前記現像液の温度は20~30℃であり、現像時間は20~180秒である、請求項1または2に記載の光学フィルタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色材を含む感光性組成物に関する。更に詳しくは、固体撮像素子やカラーフィルタなどに用いられる感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などには、CCD(電荷結合素子)や、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)等の固体撮像素子が用いられている。また、固体撮像素子には、カラーフィルタなどの色材を含む膜が用いられている。カラーフィルタなどの色材を含む膜は、例えば、色材と重合性モノマーと光重合開始剤とを含む感光性組成物を用いて製造されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-532334号公報
【特許文献2】特開2010-97172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
色材を含む膜について、膜の硬化が不十分であると、膜から色材が流出して他の膜に色移りなどすることがある。このため、色材を含む膜を製造するにあたり、十分に硬化した膜を製造することが必要である。感光性組成物の硬化性を高めるため、従来は、重合性モノマーと光重合開始剤とを比較的多く含む感光性組成物が用いられていた。例えば、特許文献1の実施例6では、感光性組成物の全固形分中に、重合性モノマーを23.69質量%、光重合開始剤を1質量%含んでいる。また、特許文献2の実施例1では、感光性組成物の全固形分中に、重合性モノマーを合計で20.5質量%、光重合開始剤を5.8質量%含んでいる。
【0005】
一方で、近年では、色材を含む膜についての薄膜化などの検討が進められている。例えば、目的の分光特性を維持しつつ薄膜化を図るためには、膜中の色材濃度を高めることが望ましい。しかしながら、従来の感光性組成物は、色材以外の成分として、重合性モノマーと光重合開始剤とを比較的多く含んでいるため、十分な硬化性を維持しつつ、色材等の含有量を更に増やすことは困難であった。
【0006】
よって、本発明の目的は、重合性モノマーと光重合開始剤の含有量が少なくても硬化性に優れた感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が感光性組成物について鋭意検討したところ、感光性組成物に対して波長300nm以下の光を照射して露光を行ったところ、驚くべきことに感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤の含有量が少なくても、硬化性が良好で、十分に硬化した膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 色材と重合性モノマーとを含む感光性組成物であって、
感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤の合計の含有量が15質量%以下である、波長300nm以下の光での露光用の感光性組成物。
<2> 重合性モノマーと光重合開始剤の合計量中における重合性モノマーの含有量が50質量%以上である、<1>に記載の感光性組成物。
<3> 重合性モノマーと光重合開始剤の合計量中における重合性モノマーの含有量が70質量%以上90質量%以下である、<1>に記載の感光性組成物。
<4> 感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーの含有量が13質量%以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<5> 感光性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量が5質量%以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<6> 光重合開始剤の含有量が色材の100質量部に対して5質量部以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<7> 光重合開始剤の含有量が色材の100質量部に対して1質量部以上5質量部以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<8> 感光性組成物の全固形分中における色材の含有量が50質量%以上である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<9> 重合性モノマーは2官能以上の重合性モノマーである、<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<10> 重合性モノマーはフルオレン骨格を有する重合性モノマーを含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<11> 色材は有彩色着色剤を含む、<1>~<10>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<12> 更に、シランカップリング剤を含有する、<1>~<11>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<13> パルス露光用の感光性組成物である、<1>~<12>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<14> 固体撮像素子用の感光性組成物である、<1>~<13>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<15> カラーフィルタ用の感光性組成物である、<1>~<14>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、硬化性に優れた感光性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において、(メタ)アリル基は、アリルおよびメタリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、赤外線とは、波長700~2500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0010】
<感光性組成物>
本発明の感光性組成物は、色材と重合性モノマーとを含む感光性組成物であって、
感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計の含有量が15質量%以下である、波長300nm以下の光での露光用の感光性組成物であることを特徴とする。
【0011】
本発明の感光性組成物は、波長300nm以下の光で露光することにより、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計量が少なくても、優れた硬化性を有している。このような効果が得られる理由としては次によるものであると推測される。この感光性組成物に対してKrF線などの波長300nm以下の光を照射して露光することにより、感光性組成物に含まれる重合性モノマーなどの成分からもラジカルなどの活性種を発生させて重合性モノマーを効率よく硬化させることができると推測され、その結果、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計量が少なくても、優れた硬化性が得られたと推測される。また、本発明の感光性組成物は、重合性モノマーや光重合開始剤の合計量を減らすことができるので、処方設計の自由度が高い。例えば、感光性組成物の全固形分中における色材の含有量を高めて、色材濃度が高い膜を形成することができ、それにより薄膜化を図ることが可能である。
【0012】
本発明の感光性組成物は、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計の含有量が15質量%以下であり、12質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましい。下限は、十分な硬化性を得るために1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましく、4質量%以上であることがより一層好ましい。
【0013】
本発明の感光性組成物は、波長300nm以下の光での露光用の感光性組成物である。露光に用いられる光は、波長300nm以下の光であればよく、波長270nm以下の光であることが好ましく、波長250nm以下の光であることがより好ましい。また、前述の光は、波長180nm以上の光であることが好ましい。具体的には、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、より優れた硬化性が得られやすい等の理由からKrF線(波長248nm)が好ましい。
【0014】
また、本発明の感光性組成物は、パルス露光用の感光性組成物であることも好ましい。すなわち、本発明の感光性組成物は、波長300nm以下の光をパルス的に照射して露光(パルス露光)して用いられるものであることが好ましい。この態様によれば、感光性組成物の露光時において、重合性モノマー自体からもラジカルなどの活性種をより効果的に発生させて重合性モノマーをより効率よく硬化させることができると推測され、その結果、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計量がより少なくても、優れた硬化性が得られる。したがって、良好な硬化性を維持しつつ、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計量をより低減することができる。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。
【0015】
本発明の感光性組成物は、着色画素、黒色画素、遮光膜、赤外線透過フィルタ層の画素などの形成用の組成物として好ましく用いられる。着色画素としては、赤色、青色、緑色、シアン色、マゼンタ色およびイエロ色から選ばれる色相の画素が挙げられる。赤外線透過フィルタ層の画素としては、波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である分光特性を満たしているフィルタ層の画素などが挙げられる。また、赤外線透過フィルタ層の画素は、以下の(1)~(4)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタ層の画素であることも好ましい。
(1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層の画素。
(2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層の画素。
(3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層の画素。
(4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ層の画素。
【0016】
本発明の感光性組成物を赤外線透過フィルタ層の画素形成用の組成物として用いる場合、本発明の感光性組成物は、波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Aminと、波長1100~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmaxとの比であるAmin/Bmaxが5以上である分光特性を満たしていることが好ましい。Amin/Bmaxは、7.5以上であることがより好ましく、15以上であることが更に好ましく、30以上であることが特に好ましい。
【0017】
ある波長λにおける吸光度Aλは、以下の式(1)により定義される。
Aλ=-log(Tλ/100) ・・・(1)
Aλは、波長λにおける吸光度であり、Tλは、波長λにおける透過率(%)である。
本発明において、吸光度の値は、溶液の状態で測定した値であってもよく、感光性組成物を用いて製膜した膜での値であってもよい。膜の状態で吸光度を測定する場合は、ガラス基板上にスピンコート等の方法により、乾燥後の膜の厚さが所定の厚さとなるように感光性組成物を塗布し、ホットプレートを用いて100℃、120秒間乾燥して調製した膜を用いて測定することが好ましい。
【0018】
本発明の感光性組成物を赤外線透過フィルタ層の画素形成用の組成物として用いる場合、本発明の感光性組成物は、以下の(11)~(14)のいずれかの分光特性を満たしていることがより好ましい。
(11):波長400~640nmの範囲における吸光度の最小値Amin1と、波長800~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax1との比であるAmin1/Bmax1が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長720nm以上の光を透過可能な膜を形成することができる。
(12):波長400~750nmの範囲における吸光度の最小値Amin2と、波長900~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax2との比であるAmin2/Bmax2が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nm以上の光を透過可能な膜を形成することができる。
(13):波長400~850nmの範囲における吸光度の最小値Amin3と、波長1000~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax3との比であるAmin3/Bmax3が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~850nmの範囲の光を遮光して、波長940nm以上の光を透過可能な膜を形成することができる。
(14):波長400~950nmの範囲における吸光度の最小値Amin4と、波長1100~1300nmの範囲における吸光度の最大値Bmax4との比であるAmin4/Bmax4が5以上であり、7.5以上であることが好ましく、15以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。この態様によれば、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1040nm以上の光を透過可能な膜を形成することができる。
【0019】
本発明の感光性組成物は、固体撮像素子用の感光性組成物として好ましく用いることができる。また、本発明の感光性組成物は、カラーフィルタ用の感光性組成物として好ましく用いることができる。具体的には、カラーフィルタの画素形成用の感光性組成物として好ましく用いることができ、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタの画素形成用の感光性組成物としてより好ましく用いることができる。
【0020】
以下、本発明の感光性組成物に用いられる各成分について説明する。
【0021】
<<色材>>
本発明の感光性組成物は、色材を含む。色材としては、有彩色着色剤、黒色着色剤、赤外線吸収色素などが挙げられる。本発明の感光性組成物に用いられる色材は、有彩色着色剤を少なくとも含むことが好ましい。
【0022】
(有彩色着色剤)
有彩色着色剤としては、赤色着色剤、緑色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤、オレンジ色着色剤などが挙げられる。有彩色着色剤は、顔料であってもよく、染料であってもよい。好ましくは顔料である。顔料の平均粒径(r)は、20nm≦r≦300nmであることが好ましく、25nm≦r≦250nmであることがより好ましく、30nm≦r≦200nmであることが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、顔料の一次粒子が集合した二次粒子についての平均粒径を意味する。また、使用しうる顔料の二次粒子の粒径分布(以下、単に「粒径分布」ともいう。)は、平均粒径±100nmの範囲に含まれる二次粒子が全体の70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
【0023】
顔料は、有機顔料であることが好ましい。有機顔料としては以下のものが挙げられる。
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80等(以上、青色顔料)。
これら有機顔料は、単独で若しくは種々組合せて用いることができる。
【0024】
また、黄色顔料として、下記式(I)で表されるアゾ化合物およびその互変異性構造のアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、2種以上の金属イオンと、メラミン化合物とを含む金属アゾ顔料を用いることもできる。
【化1】
式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して、-OHまたは-NR
5R
6であり、R
3およびR
4はそれぞれ独立して、=Oまたは=NR
7であり、R
5~R
7はそれぞれ独立して、水素原子またはアルキル基である。R
5~R
7が表すアルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基およびアミノ基が好ましい。
【0025】
式(I)において、R1およびR2は-OHであることが好ましい。また、R3およびR4は=Oであることが好ましい。
【0026】
金属アゾ顔料におけるメラミン化合物は、下記式(II)で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
式中R
11~R
13は、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基である。アルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐および環状のいずれであってもよく、直鎖または分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。置換基はヒドロキシ基が好ましい。R
11~R
13の少なくとも一つは水素原子であることが好ましく、R
11~R
13の全てが水素原子であることがより好ましい。
【0027】
上記の金属アゾ顔料は、上述した式(I)で表されるアゾ化合物およびその互変異性構造のアゾ化合物から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、Zn2+およびCu2+を少なくとも含む金属イオンと、メラミン化合物とを含む態様の金属アゾ顔料であることが好ましい。この態様においては、金属アゾ顔料の全金属イオンの1モルを基準として、Zn2+およびCu2+を合計で95~100モル%含有することが好ましく、98~100モル%含有することがより好ましく、99.9~100モル%含有することが更に好ましく、100モル%であることが特に好ましい。また、金属アゾ顔料中のZn2+とCu2+とのモル比は、Zn2+:Cu2+=199:1~1:15であることが好ましく、19:1~1:1であることがより好ましく、9:1~2:1であることが更に好ましい。また、この態様において、金属アゾ顔料は、更にZn2+およびCu2+以外の二価もしくは三価の金属イオン(以下、金属イオンMe1ともいう)を含んでいてもよい。金属イオンMe1としては、Ni2+、Al3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd2+、Nd3+、Sm2+、Sm3+、Eu2+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Yb2+、Yb3+、Er3+、Tm3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Mn2+、Y3+、Sc3+、Ti2+、Ti3+、Nb3+、Mo2+、Mo3+、V2+、V3+、Zr2+、Zr3+、Cd2+、Cr3+、Pb2+、Ba2+が挙げられ、Al3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Yb3+、Er3+、Tm3+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Mn2+およびY3+から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Al3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、La3+、Ce3+、Pr3+、Nd3+、Sm3+、Tb3+、Ho3+およびSr2+から選ばれる少なくとも1種であることが更に好ましく、Al3+、Fe2+、Fe3+、Co2+およびCo3+から選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。金属イオンMe1の含有量は、金属アゾ顔料の全金属イオンの1モルを基準として、5モル%以下であることが好ましく、2モル%以下であることがより好ましく、0.1モル%以下であることが更に好ましい。
【0028】
上記の金属アゾ顔料については、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0029】
また、赤色顔料として、芳香族環に酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。このような化合物としては、式(DPP1)で表される化合物であることが好ましく、式(DPP2)で表される化合物であることがより好ましい。
【化3】
【0030】
上記式中、R11およびR13はそれぞれ独立して置換基を表し、R12およびR14はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、n11およびn13はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、X12およびX14はそれぞれ独立して酸素原子、硫黄原子または窒素原子を表し、X12が酸素原子または硫黄原子の場合は、m12は1を表し、X12が窒素原子の場合は、m12は2を表し、X14が酸素原子または硫黄原子の場合は、m14は1を表し、X14が窒素原子の場合は、m14は2を表す。R11およびR13が表す置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基、アミド基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、スルホキシド基、スルホ基などが好ましい具体例として挙げられる。
【0031】
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子が平均8~12個であり、塩素原子が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/118720号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0032】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物などが挙げられる。
【0033】
染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。例えば、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリアリールメタン系、アントラキノン系、アントラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が挙げられる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。また、特開2015-028144号公報、特開2015-34966号公報に記載の染料を用いることもできる。
【0034】
(黒色着色剤)
黒色着色剤としては、カーボンブラック、金属酸窒化物(チタンブラック等)、金属窒化物(チタンナイトライド等)などの無機黒色着色剤や、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ化合物などの有機黒色着色剤が挙げられる。有機黒色着色剤は、ビスベンゾフラノン化合物、ペリレン化合物が好ましい。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、C.I.Pigment Black 31、32などが挙げられる。アゾメチン化合物としては、特開平1-170601号公報、特開平2-34664号公報などに記載のものが挙げられ、例えば、大日精化社製の「クロモファインブラックA1103」として入手できる。ビスベンゾフラノン化合物は、下記式のいずれかで表される化合物またはこれらの混合物であることが好ましい。
【化4】
式中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して水素原子又は置換基を表し、R
3およびR
4はそれぞれ独立して置換基を表し、aおよびbはそれぞれ独立して0~4の整数を表し、aが2以上の場合、複数のR
3は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR
3は結合して環を形成していてもよく、bが2以上の場合、複数のR
4は、同一であってもよく、異なってもよく、複数のR
4は結合して環を形成していてもよい。
【0035】
R1~R4が表す置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-OR301、-COR302、-COOR303、-OCOR304、-NR305R306、-NHCOR307、-CONR308R309、-NHCONR310R311、-NHCOOR312、-SR313、-SO2R314、-SO2OR315、-NHSO2R316または-SO2NR317R318を表し、R301~R318は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
【0036】
ビスベンゾフラノン化合物の詳細については、特表2010-534726号公報の段落番号0014~0037の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0037】
(赤外線吸収色素)
赤外線吸収色素としては、波長700~1300nmの範囲、より好ましくは波長700~1000nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましい。赤外線吸収色素は、顔料であってもよく、染料であってもよい。
【0038】
本発明において、赤外線吸収色素としては、単環または縮合環の芳香族環を含むπ共役平面を有する化合物を好ましく用いることができる。赤外線吸収色素が有するπ共役平面を構成する水素以外の原子数は、14個以上であることが好ましく、20個以上であることがより好ましく、25個以上であることが更に好ましく、30個以上であることが特に好ましい。上限は、例えば、80個以下であることが好ましく、50個以下であることがより好ましい。赤外線吸収色素が有するπ共役平面は、単環または縮合環の芳香族環を2個以上含むことが好ましく、前述の芳香族環を3個以上含むことがより好ましく、前述の芳香族環を4個以上含むことが更に好ましく、前述の芳香族環を5個以上含むことが特に好ましい。上限は、100個以下が好ましく、50個以下がより好ましく、30個以下が更に好ましい。前述の芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、クアテリレン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ピリジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、トリアゾール環、ベンゾトリアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾリン環、ピラジン環、キノキサリン環、ピリミジン環、キナゾリン環、ピリダジン環、トリアジン環、ピロール環、インドール環、イソインドール環、カルバゾール環、および、これらの環を有する縮合環が挙げられる。
【0039】
赤外線吸収色素は、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、クアテリレン化合物、メロシアニン化合物、クロコニウム化合物、オキソノール化合物、ジイモニウム化合物、ジチオール化合物、トリアリールメタン化合物、ピロメテン化合物、アゾメチン化合物、アントラキノン化合物及びジベンゾフラノン化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物およびジイモニウム化合物から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、ピロロピロール化合物、シアニン化合物およびスクアリリウム化合物から選ばれる少なくとも1種が更に好ましく、ピロロピロール化合物が特に好ましい。
【0040】
ピロロピロール化合物としては、特開2009-263614号公報の段落番号0016~0058に記載の化合物、特開2011-68731号公報の段落番号0037~0052に記載の化合物、国際公開WO2015/166873号公報の段落番号0010~0033に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0041】
スクアリリウム化合物としては、特開2011-208101号公報の段落番号0044~0049に記載の化合物、特許第6065169号公報の段落番号0060~0061に記載の化合物、国際公開WO2016/181987号公報の段落番号0040に記載の化合物、国際公開WO2013/133099号公報に記載の化合物、国際公開WO2014/088063号公報に記載の化合物、特開2014-126642号公報に記載の化合物、特開2016-146619号公報に記載の化合物、特開2015-176046号公報に記載の化合物、特開2017-25311号公報に記載の化合物、国際公開WO2016/154782号公報に記載の化合物、特許5884953号公報に記載の化合物、特許6036689号公報に記載の化合物、特許5810604号公報に記載の化合物、特開2017-068120号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0042】
シアニン化合物としては、特開2009-108267号公報の段落番号0044~0045に記載の化合物、特開2002-194040号公報の段落番号0026~0030に記載の化合物、特開2015-172004号公報に記載の化合物、特開2015-172102号公報に記載の化合物、特開2008-88426号公報に記載の化合物、特開2017-031394号公報に記載の化合物などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0043】
ジイモニウム化合物としては、例えば、特表2008-528706号公報に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。フタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012-77153号公報の段落番号0093に記載の化合物、特開2006-343631号公報に記載のオキシチタニウムフタロシアニン、特開2013-195480号公報の段落番号0013~0029に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。ナフタロシアニン化合物としては、例えば、特開2012-77153号公報の段落番号0093に記載の化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明において、赤外線吸収色素は市販品を用いることもできる。例えば、SDO-C33(有本化学工業(株)製)、イーエクスカラーIR-14、イーエクスカラーIR-10A、イーエクスカラーTX-EX-801B、イーエクスカラーTX-EX-805K((株)日本触媒製)、ShigenoxNIA-8041、ShigenoxNIA-8042、ShigenoxNIA-814、ShigenoxNIA-820、ShigenoxNIA-839(ハッコーケミカル社製)、EpoliteV-63、Epolight3801、Epolight3036(EPOLIN社製)、PRO-JET825LDI(富士フイルム(株)製)、NK-3027、NK-5060((株)林原製)、YKR-3070(三井化学(株)製)などが挙げられる。
【0045】
感光性組成物の全固形分中における色材の含有量は得られる膜の薄膜化の観点から50質量%以上であることが好ましく、54質量%以上であることがより好ましく、58質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。色材の含有量が50質量%以上であれば、薄膜で分光特性の良い膜を形成し易い。上限は、製膜性の観点から80質量%以下が好ましく、75質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。
【0046】
本発明の感光性組成物に用いられる色材は、有彩色着色剤および黒色着色剤から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、色材の全質量中における有彩色着色剤および黒色着色剤の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下とすることもできる。
また、本発明の感光性組成物に用いられる色材は、緑色着色剤を少なくとも含むことが好ましい。また、色材の全質量中における緑色着色剤の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、75質量%以下とすることもできる。
【0047】
本発明の感光性組成物に用いられる色材は、色材の全質量中における顔料の含有量が50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。色材の全質量中における顔料の含有量が上記範囲であれば、耐熱性に優れた膜が得られやすい。
【0048】
本発明の感光性組成物を着色画素形成用の組成物として用いる場合においては、感光性組成物の全固形分中における有彩色着色剤の含有量は50質量%以上であることが好ましく、54質量%以上であることがより好ましく、58質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。また、色材の全質量中における有彩色着色剤の含有量は、25質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、75質量%以下とすることもできる。また、上記色材は、緑色着色剤を少なくとも含むことが好ましい。また、上記色材の全質量中における緑色着色剤の含有量は、35質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、80質量%以下とすることもできる。
【0049】
本発明の感光性組成物を黒色画素用または遮光膜の形成用の組成物として用いる場合においては、感光性組成物の全固形分中における黒色着色剤(好ましくは無機黒色着色剤)の含有量は50質量%以上であることが好ましく、54質量%以上であることがより好ましく、58質量%以上であることが更に好ましい。また、色材の全質量中における黒色着色剤の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下とすることもできる。
【0050】
本発明の感光性組成物を赤外線透過フィルタ層の画素形成用の組成物として用いる場合、本発明で用いられる色材は、以下の(1)~(3)の少なくとも一つの要件を満たすことが好ましい。
【0051】
(1):2種類以上の有彩色着色剤を含み、2種以上の有彩色着色剤の組み合わせで黒色を形成している。赤色着色剤、青色着色剤、黄色着色剤、紫色着色剤および緑色着色剤から選ばれる2種類以上の着色剤の組み合わせで黒色を形成していることが好ましい。
(2):有機黒色着色剤を含む。
(3):上記(1)または(2)において、更に赤外線吸収色素を含む。
【0052】
上記(1)の態様の好ましい組み合わせとしては、例えば以下が挙げられる。
(1-1)赤色着色剤と青色着色剤とを含有する態様。
(1-2)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤とを含有する態様。
(1-3)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
(1-4)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と紫色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(1-5)赤色着色剤と青色着色剤と黄色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(1-6)赤色着色剤と青色着色剤と緑色着色剤とを含有する態様。
(1-7)黄色着色剤と紫色着色剤とを含有する態様。
【0053】
上記の(2)の態様においては、更に有彩色着色剤を含有することも好ましい。有機黒色着色剤と有彩色着色剤とを併用することで、優れた分光特性が得られ易い。有機黒色着色剤と組み合わせて用いる有彩色着色剤としては、例えば、赤色着色剤、青色着色剤、紫色着色剤などが挙げられ、赤色着色剤および青色着色剤が好ましい。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、有彩色着色剤と有機黒色着色剤との混合割合は、有機黒色着色剤100質量部に対して、有彩色着色剤が10~200質量部が好ましく、15~150質量部がより好ましい。
【0054】
上記の(3)の態様においては、色材の全質量中における赤外線吸収色素の含有量は、5~40質量%であることが好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。下限は、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましい。
【0055】
<<重合性モノマー>>
本発明の感光性組成物は、重合性モノマーを含有する。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性モノマー、カチオン重合性モノマーなどが挙げられる。ラジカル重合性モノマーとしては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などエチレン性不飽和結合基を有する化合物が挙げられる。カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基などの環状エーテル基を有する化合物が挙げられる。感光性組成物を波長300nm以下の光で露光した際において、より優れた硬化性が得られやすいという理由から、重合性モノマーは、ラジカル重合性モノマーであることが好ましい。
【0056】
重合性モノマーは、2官能以上の重合性モノマーであることが好ましく、2~15官能の重合性モノマーであることがより好ましく、2~10官能の重合性モノマーであることが更に好ましく、2~6官能の重合性モノマーであることが特に好ましい。
【0057】
重合性モノマーの分子量は、2000未満であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることが更に好ましい。下限は、100以上が好ましく、150以上が更に好ましい。
【0058】
また、本発明において、重合性モノマーは、フルオレン骨格を有する重合性モノマーを用いることも好ましい。フルオレン骨格を有する重合性モノマーは、波長300nm以下の光に対する吸光度が高く、波長300nm以下の光が照射されることにより、重合性モノマーからラジカルなどの活性種を発生しやすいと考えられ、その結果、感光性組成物を波長300nm以下の光で露光した際により優れた硬化性が得られる。
【0059】
フルオレン骨格を有する重合性モノマーとしては、下記式(Fr)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。
(Fr)
【化5】
【0060】
式中波線は、結合手を表し、Rf1およびRf2はそれぞれ独立して置換基を表し、mおよびnはそれぞれ独立して0~5の整数を表す。mが2以上の場合、m個のRf1は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよく、m個のRf1のうち2個のRf1同士が結合して環を形成していてもよい。nが2以上の場合、n個のRf2は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよく、n個のRf2のうち2個のRf2同士が結合して環を形成していてもよい。Rf1およびRf2が表す置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-ORf11、-CORf12、-COORf13、-OCORf14、-NRf15Rf16、-NHCORf17、-CONRf18Rf19、-NHCONRf20Rf21、-NHCOORf22、-SRf23、-SO2Rf24、-SO2ORf25、-NHSO2Rf26または-SO2NRf27Rf28が挙げられる。Rf11~Rf28は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
【0061】
重合性モノマーの重合性基価は、2mmol/g以上であることが好ましく、6mmol/g以上であることがより好ましく、10mmol/g以上であることが更に好ましい。上限は20mmol/g以下であることが好ましい。重合性モノマーの重合性基価が、2mmol/g以上であれば、感光性組成物の硬化性が良好である。なお、重合性モノマーの重合性基価は、重合性モノマーの1分子中に含まれる重合性基の数を重合性モノマーの分子量で割ることで算出した。
【0062】
また、重合性モノマーが、エチレン性不飽和結合基を有する化合物である場合は、重合性モノマーのエチレン性不飽和結合基価(以下、C=C価という)は、2mmol/g以上であることが好ましく、6mmol/g以上であることがより好ましく、10mol/g以上であることが更に好ましい。上限は13mmol/g以下であることが好ましい。重合性モノマーのC=C価は、重合性モノマーの1分子中に含まれるエチレン性不飽和結合基の数を重合性モノマーの分子量で割ることで算出した。
【0063】
(ラジカル重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーとしては、エチレン性不飽和結合基を2個以上有する化合物(2官能以上の化合物)であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~15個有する化合物(2~15官能の化合物)であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~10個有する化合物(2~10官能の化合物)であることが更に好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~6個有する化合物(2~6官能の化合物)であることが特に好ましい。具体的には、ラジカル重合性モノマーは、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、2~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、2~10官能の(メタ)アクリレート化合物であることが更に好ましく、2~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることが特に好ましい。具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-29760号公報の段落番号0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0064】
ラジカル重合性モノマーは、フルオレン骨格を有するラジカル重合性モノマーであることが好ましく、上述した式(Fr)で表される部分構造を有するラジカル重合性モノマーであることがより好ましい。また、フルオレン骨格を有するラジカル重合性モノマーは、エチレン性不飽和結合基を2個以上有する化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~15個有する化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~10個有する化合物であることが更に好ましく、エチレン性不飽和結合基を2~6個有する化合物であることが特に好ましい。フルオレン骨格を有するラジカル重合性モノマーの具体例としては下記構造の化合物が挙げられる。また、フルオレン骨格を有するラジカル重合性モノマーの市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【化6】
【0065】
ラジカル重合性モノマーは、下記式(MO-1)~(MO-6)で表される化合物を好ましく用いることもできる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0066】
【0067】
上記の式において、nは0~14であり、mは1~8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
上記式(MO-1)~(MO-6)で表される化合物の各々において、複数のRの内の少なくとも1つは、-OC(=O)CH=CH2、-OC(=O)C(CH3)=CH2、-NHC(=O)CH=CH2または-NHC(=O)C(CH3)=CH2を表す。
上記式(MO-1)~(MO-6)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007-269779号公報の段落0248~0251に記載されている化合物が挙げられる。
【0068】
ラジカル重合性モノマーは、カプロラクトン構造を有する化合物を用いることも好ましい。カプロラクトン構造を有する化合物は、下記式(Z-1)で表される化合物が好ましい。
【0069】
【0070】
式(Z-1)中、6個のRは全てが式(Z-2)で表される基であるか、又は6個のRのうち1~5個が式(Z-2)で表される基であり、残余が式(Z-3)で表される基、酸基またはヒドロキシ基である。
【0071】
【化9】
式(Z-2)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、mは1又は2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
【0072】
【化10】
式(Z-3)中、R
1は水素原子又はメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。
【0073】
ラジカル重合性モノマーとして、式(Z-4)又は(Z-5)で表される化合物を用いることもできる。
【0074】
【0075】
式(Z-4)及び(Z-5)中、Eは、各々独立に、-((CH2)yCH2O)-、又は-((CH2)yCH(CH3)O)-を表し、yは、各々独立に0~10の整数を表し、Xは、各々独立に、(メタ)アクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。式(Z-4)中、(メタ)アクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0~10の整数を表し、各mの合計は0~40の整数である。式(Z-5)中、(メタ)アクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0~10の整数を表し、各nの合計は0~60の整数である。
【0076】
式(Z-4)中、mは、0~6の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましい。また、各mの合計は、2~40の整数が好ましく、2~16の整数がより好ましく、4~8の整数が特に好ましい。
式(Z-5)中、nは、0~6の整数が好ましく、0~4の整数がより好ましい。また、各nの合計は、3~60の整数が好ましく、3~24の整数がより好ましく、6~12の整数が特に好ましい。
また、式(Z-4)又は式(Z-5)中の-((CH2)yCH2O)-又は-((CH2)yCH(CH3)O)-は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
【0077】
本発明において、ラジカル重合性モノマーとして、フルオレン骨格を有するラジカル重合性モノマー(好ましくはフルオレン骨格を有する2~15官能のラジカル重合性モノマー、より好ましくはフルオレン骨格を有する2~10官能のラジカル重合性モノマー、更に好ましくはフルオレン骨格を有する2~6官能のラジカル重合性モノマー、特に好ましくはフルオレン骨格を有する2官能のラジカル重合性モノマー)と、フルオレン骨格を有さないラジカル重合性モノマー(好ましくは3官能以上のラジカル重合性モノマー、より好ましくは3~15官能のラジカル重合性モノマー)を併用することが好ましい。この態様によれば、重合性モノマーを効率よく反応させ易く、より優れた硬化性が得られやすい。
【0078】
(カチオン重合性モノマー)
カチオン重合性モノマーは、環状エーテル基を2個以上有する化合物(2官能以上の化合物)であることが好ましく、環状エーテル基を2~15個有する化合物(2~15官能の化合物)であることがより好ましく、環状エーテル基を2~10個有する化合物(2~10官能の化合物)であることが更に好ましく、環状エーテル基を2~6個有する化合物(2~6官能の化合物)であることが特に好ましい。具体例としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0090に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0079】
カチオン重合性モノマーとしては、下記式(EP1)で表される化合物が挙げられる。
【0080】
【0081】
式(EP1)中、REP1~REP3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表し、アルキル基は、環状構造を有するものであってもよく、また、置換基を有していてもよい。またREP1とREP2、REP2とREP3は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。QEPは単結合若しくはnEP価の有機基を表す。REP1~REP3は、QEPとも結合して環構造を形成していても良い。nEPは2以上の整数を表し、好ましくは2~10、更に好ましくは2~6である。但しQEPが単結合の場合、nEPは2である。REP1~REP3、QEPの詳細について、特開2014-089408号公報の段落番号0087~0088の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。式(EP1)で表される化合物の具体例としては、特開2014-089408号公報の段落0090に記載の化合物、特開2010-054632号公報の段落番号0151に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0082】
カチオン重合性モノマーの市販品としては、(株)ADEKA製のアデカグリシロールシリーズ(例えば、アデカグリシロールED-505など)、(株)ダイセル製のエポリードシリーズ(例えば、エポリードGT401など)などが挙げられる。
【0083】
感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーの含有量は、13質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更に好ましい。下限は、硬化性の観点から1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましい。
【0084】
また、重合性モノマーと光重合開始剤の合計量中における重合性モノマーの含有量は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることもできるが、現像性および硬化性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましい。
【0085】
また、重合性モノマーの含有量は、色材の100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。また、下限は1質量部以上であることが好ましい。
【0086】
<<光重合開始剤>>
本発明の感光性組成物は光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤などが挙げられ、重合性モノマーの種類に応じて選択して用いることが好ましい。重合性モノマーとしてラジカル重合性モノマーを用いた場合においては、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。また、重合性モノマーとしてカチオン重合性モノマーを用いた場合においては、光重合開始剤として光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤は、波長300nm以下の光に反応して活性種を発生する化合物であることが好ましく、波長300nm以下の光に反応してラジカルを発生する化合物であることが好ましい。
【0087】
光重合開始剤は、波長265nmの光に対する量子収率が15%以上である化合物であることも好ましい。本明細書において、光重合開始剤の量子収率は、分解分子数を吸収フォトン数で割ることで求めた値である。吸収フォトン数については、KrF線近似光源(波長:265nm、強度:3mW)での露光時間から照射フォトン数を求め、露光前後での265nmの吸光度の平均を透過率に換算し、照射フォトン数に(1-透過率)をかけることで吸収フォトン数を求めた。分解分子数については、露光後の光重合開始剤の吸光度から光重合開始剤の分解率を求め、分解率に膜中の存在分子数をかけることで分解分子数を求めた。波長265nmの光に対する量子収率が15%以上である化合物としては、IRGACURE-OXE01、OXE02、OXE03(以上、BASF製)などが挙げられる。
【0088】
光重合開始剤は、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物およびオキシム化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシム化合物を含むことがより好ましい。
【0089】
アルキルフェノン化合物としては、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物などが挙げられる。
【0090】
ベンジルジメチルケタール化合物としては、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、IRGACURE-651(BASF社製)などが挙げられる。
【0091】
α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物としては、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンなどが挙げられる。α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物の市販品としては、IRGACURE-184、DAROCUR-1173、IRGACURE-500、IRGACURE-2959、IRGACURE-127(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0092】
α-アミノアルキルフェノン化合物としては、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、2-ジメチルアミノ-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノンなどが挙げられる。α-アミノアルキルフェノン化合物の市販品としては、IRGACURE-907、IRGACURE-369、および、IRGACURE-379(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0093】
アシルホスフィン化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、IRGACURE-819、IRGACURE-TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0094】
ベンゾフェノン化合物としては、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる
【0095】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0096】
トリアジン化合物としては、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0097】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-66385号公報に記載の化合物、特開2000-80068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-19766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開WO2015/152153号公報に記載の化合物、国際公開WO2017/051680号公報に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、例えば、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。オキシム化合物の市販品としては、IRGACURE-OXE01、IRGACURE-OXE02、IRGACURE-OXE03、IRGACURE-OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-14052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物は、着色性が無い化合物や、透明性が高く、その他の成分を変色させにくい化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0098】
本発明において、光重合開始剤として、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0099】
本発明において、光重合開始剤として、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。この内容は本明細書に組み込まれる。
【0100】
本発明において、光重合開始剤として、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0101】
本発明において、光重合開始剤として、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開WO2015/036910号公報に記載されるOE-01~OE-75が挙げられる。
【0102】
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0103】
【0104】
本発明は、光重合開始剤として、2官能あるいは3官能以上の光重合開始剤を用いてもよい。そのような光重合開始剤を用いることにより、光重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカル等の活性種が発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、感光性組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開WO2015/004565号公報、特表2016-532675号公報の段落番号0412~0417、国際公開WO2017/033680号公報の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開WO2016/034963号公報に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)などが挙げられる。
【0105】
また、本発明においては、光重合開始剤としてピナコール化合物を更に用いることもできる。ピナコール化合物としては、ベンゾピナコール化合物であることが好ましい。ピナコール化合物の具体例としては、ベンゾピナコール、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジエトキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ジメトキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メチルフェニル)エタン、1,2-ジフェノキシ-1,1,2,2-テトラ(4-メトキシフェニル)エタン、1,2-ビス(トリメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(トリエチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1,2-ビス(t-ブチルジメチルシロキシ)-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-トリエチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタン、1-ヒドロキシ-2-t-ブチルジメチルシロキシ-1,1,2,2-テトラフェニルエタンなどが挙げられる。また、ピナコール化合物については、特表2014-521772号公報、特表2014-523939号公報、および、特表2014-521772号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0106】
感光性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量は、パターン太りを抑制し易いという理由から5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。下限は、硬化性の観点から0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、光重合開始剤の含有量は、パターン太りを抑制し易いという理由から色材の100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、3.5質量部以下であることがより好ましく、2質量部以下であることが更に好ましい。下限は、硬化性の観点から0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好まい。本発明の感光性組成物が光重合開始剤を2種以上併用する場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を実質的に含有しないこともできる。本発明の感光性組成物は、光重合開始剤を実質的に含有しない場合とは、感光性組成物の全固形分中における光重合開始剤の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、0.05質量%以下であることが好ましく、含有しないことがより好ましい。
【0107】
<<樹脂>>
本発明の感光性組成物は、樹脂を含有することができる。なお、本発明において樹脂とは、色材以外の有機化合物であって、分子量が2000以上の有機化合物のことを言う。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0108】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
【0109】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
【0110】
エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310~3300g/eqであることが好ましく、310~1700g/eqであることがより好ましく、310~1000g/eqであることが更に好ましい。エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。エポキシ樹脂については、特開2014-043556号公報の段落番号0153~0155、特開2014-089408号公報の段落番号0092に記載されたエポキシ樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0111】
環状オレフィン樹脂としては、耐熱性向上の観点からノルボルネン樹脂が好ましく用いることができる。ノルボルネン樹脂の市販品としては、例えば、JSR(株)製のARTONシリーズ(例えば、ARTON F4520)などが挙げられる。
【0112】
また、樹脂は、国際公開WO2016/088645号公報の実施例に記載された樹脂、特開2017-57265号公報に記載された樹脂、特開2017-32685号公報に記載された樹脂、特開2017-075248号公報に記載された樹脂、特開2017-066240号公報に記載された樹脂を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、フルオレン骨格を有する樹脂を好ましく用いることもできる。フルオレン骨格を有する樹脂としては、下記構造の樹脂が挙げられる。以下の構造式中、Aは、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物から選択されるカルボン酸二無水物の残基であり、Mはフェニル基またはベンジル基である。フルオレン骨格を有する樹脂については、米国特許出願公開第2017/0102610号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化15】
【0113】
本発明において、樹脂として酸基を有する樹脂を用いることが好ましい。この態様によれば、感光性組成物の現像性を向上させることができ、矩形性に優れた画素を形成しやすい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
【0114】
酸基を有する樹脂は、側鎖に酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0115】
酸基を有する樹脂は、側鎖にカルボキシル基を有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。具体例としては、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂、側鎖にカルボキシル基を有する酸性セルロース誘導体、ヒドロキシ基を有するポリマーに酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートおよびアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。また他のモノマーは、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー、例えば、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等を用いることもできる。これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他のモノマーは1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。例えば、アクリベースFF-426(藤倉化成(株)製)などが挙げられる。
【0116】
酸基を有する樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましい。下限は、50mgKOH/g以上が好ましく、70mgKOH/g以上がより好ましく、100mgKOH/g以上が更に好ましい。上限は、180mgKOH/g以下が好ましく、150mgKOH/g以下がより好ましい。
【0117】
本発明において、樹脂として重合性基を有する樹脂を用いることが好ましい。この態様によれば、矩形性および支持体との密着性のより優れた画素を形成し易い。重合性基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などエチレン性不飽和結合基が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0118】
重合性基を有する樹脂の重量平均分子量は、5000~20000であることが好ましい。上限は、17000以下が好ましく、14000以下がより好ましい。下限は、7000以上が好ましく、9000以上がより好ましい。重合性基を有する樹脂の重量平均分子量が上記範囲であれば現像性が良好で、矩形性の良い画素を形成し易い。
【0119】
重合性基を有する樹脂の重合性基価は、0.5~3mmol/gであることが好ましい。上限は、2.5mmol/g以下であることが好ましく、2mmol/g以下であることがより好ましい。下限は、0.9mmol/g以上であることが好ましく、1.2mmol/g以上であることがより好ましい。なお、樹脂の重合性基価は、樹脂の固形分1gあたりの重合性基価のモル量を表した数値である。また、重合性基を有する樹脂のC=C価は、0.6~2.8mmol/gであることが好ましい。上限は、2.3mmol/g以下であることが好ましく、1.8mmol/g以下であることがより好ましい。下限は、1.0mmol/g以上であることが好ましく、1.3mmol/g以上であることがより好ましい。なお、樹脂のC=C価は、樹脂の固形分1gあたりのエチレン性不飽和結合基のモル量を表した数値である。
【0120】
重合性基を有する樹脂は、重合性基(好ましくはエチレン性不飽和結合基)を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、重合性基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~80モル%含むことがより好ましい。重合性基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、60モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。重合性基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、15モル%以上であることが好ましく、25モル%以上であることがより好ましい。
【0121】
重合性基を有する樹脂は、更に酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことも好ましい。この態様によれば、より矩形性に優れた画素を形成しやすい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10~60モル%が好ましい。上限は、40モル%以下であることが好ましく、25モル%以下であることがより好ましい。下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0122】
本発明で用いられる樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0123】
【0124】
式(ED1)中、R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【化17】
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0125】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-29760号公報の段落番号0317を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0126】
本発明で用いられる樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【化18】
式(X)中、R
1は、水素原子またはメチル基を表し、R
2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R
3は、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0127】
酸基および/または重合性基を有する樹脂としては、例えば下記構造の樹脂などが挙げられる。以下の構造式中、Meはメチル基を表す。
【化19】
【0128】
本発明の感光性組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤は、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0129】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより現像性に優れた感光性組成物とすることができ、フォトリソグラフィ法により画素を形成する際において、現像残渣等の発生を効果的に抑制できる。
【0130】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト共重合体であることも好ましい。グラフト共重合体は、グラフト鎖によって溶剤との親和性を有するために、顔料の分散性、及び、経時後の分散安定性に優れる。グラフト共重合体の詳細は、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、グラフト共重合体の具体例としては、下記の樹脂が挙げられる。以下の樹脂は酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)でもある。また、グラフト共重合体としては特開2012-255128号公報の段落番号0072~0094に記載の樹脂が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化20】
【0131】
また、本発明において、樹脂(分散剤)として、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むオリゴイミン系分散剤を用いることも好ましい。オリゴイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造Xを有する構造単位と、原子数40~10,000の側鎖Yを含む側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子は、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。オリゴイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。オリゴイミン系分散剤としては、下記構造の樹脂や、特開2012-255128号公報の段落番号0168~0174に記載の樹脂を用いることができる。
【0132】
また、分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する繰り返し単位を含むこと樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10~80モル%であることがより好ましく、20~70モル%であることが更に好ましい。
【0133】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、Disperbyk-111、161(BYKChemie社製)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、上述した酸基を有する樹脂などを分散剤として用いることもできる。
【0134】
感光性組成物の全固形分中における樹脂の含有量は5~25質量%が好ましい。下限は、製膜性の観点から7質量%以上が好ましく、9質量%以上がより好ましく、11質量%以上が更に好ましい。上限は、液の適性粘度の観点から22質量%以下が好ましく、19質量%以下がより好ましく、16質量%以下が更に好ましい。
【0135】
また、感光性組成物の全固形分中における酸基を有する樹脂の含有量は、3~23質量%が好ましい。下限は、現像性の観点から4質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、8質量%以上が更に好ましい。上限は、膜の耐現像液性の観点から21質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
【0136】
また、樹脂全量中における酸基を有する樹脂の含有量は、現像性の観点から50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、95質量%とすることもでき、90質量%以下とすることもできる。
【0137】
また、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと樹脂との合計含有量は、10~40質量%が好ましい。下限は、硬化性の観点から13質量%以上が好ましく、16質量%以上がより好ましく、19質量%以上が更に好ましい。上限は、液の適性粘度の観点から37質量%以下が好ましく、34質量%以下がより好ましく、31質量%以下が更に好ましい。また、重合性モノマーの100質量部に対して、樹脂を25~400質量部含有することが好ましい。下限は硬化性と現像性の両立の観点から50質量部以上が好ましく、75質量部以上がより好ましい。上限は液の適性粘度の観点から300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。
【0138】
<<シランカップリング剤>>
本発明の感光性組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる膜の支持体との密着性を向上させることができる。本発明において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0139】
感光性組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。シランカップリング剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0140】
<<顔料誘導体>>
本発明の感光性組成物は、更に顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、顔料の一部を、酸基、塩基性基、塩構造を有する基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体としては、式(B1)で表される化合物が好ましい。
【0141】
【化21】
式(B1)中、Pは色素構造を表し、Lは単結合または連結基を表し、Xは酸基、塩基性基、塩構造を有する基またはフタルイミドメチル基を表し、mは1以上の整数を表し、nは1以上の整数を表し、mが2以上の場合は複数のLおよびXは互いに異なっていてもよく、nが2以上の場合は複数のXは互いに異なっていてもよい。
【0142】
Pが表す色素構造としては、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造、アントラキノン色素構造、ジアントラキノン色素構造、ベンゾイソインドール色素構造、チアジンインジゴ色素構造、アゾ色素構造、キノフタロン色素構造、フタロシアニン色素構造、ナフタロシアニン色素構造、ジオキサジン色素構造、ペリレン色素構造、ペリノン色素構造、ベンゾイミダゾロン色素構造、ベンゾチアゾール色素構造、ベンゾイミダゾール色素構造およびベンゾオキサゾール色素構造から選ばれる少なくとも1種が好ましく、ピロロピロール色素構造、ジケトピロロピロール色素構造、キナクリドン色素構造およびベンゾイミダゾロン色素構造から選ばれる少なくとも1種が更に好ましい。
【0143】
Lが表す連結基としては、炭化水素基、複素環基、-NR-、-SO2-、-S-、-O-、-CO-もしくはこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
【0144】
Xが表す酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、カルボン酸アミド基、スルホン酸アミド基、イミド酸基等が挙げられる。カルボン酸アミド基としては、-NHCORX1で表される基が好ましい。スルホン酸アミド基としては、-NHSO2RX2で表される基が好ましい。イミド酸基としては、-SO2NHSO2RX3、-CONHSO2RX4、-CONHCORX5または-SO2NHCORX6で表される基が好ましい。RX1~RX6は、それぞれ独立に、炭化水素基または複素環基を表す。RX1~RX6が表す、炭化水素基および複素環基は、さらに置換基を有してもよい。さらなる置換基としては、ハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。Xが表す塩基性基としてはアミノ基が挙げられる。Xが表す塩構造としては、上述した酸基または塩基性基の塩が挙げられる。
【0145】
顔料誘導体としては、下記構造の化合物が挙げられる。また、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平1-217077号公報、特開平3-9961号公報、特開平3-26767号公報、特開平3-153780号公報、特開平3-45662号公報、特開平4-285669号公報、特開平6-145546号公報、特開平6-212088号公報、特開平6-240158号公報、特開平10-30063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開WO2011/024896号公報の段落番号0086~0098、国際公開WO2012/102399号公報の段落番号0063~0094、国際公開WO2017/038252号公報の段落番号0082等に記載の化合物を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【化22】
【0146】
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対し、1~50質量部が好ましい。下限値は、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限値は、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。顔料誘導体の含有量が上記範囲であれば、顔料の分散性を高めて、顔料の凝集を効率よく抑制できる。顔料誘導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0147】
<<溶剤>>
本発明の感光性組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤としては、有機溶剤が挙げられる。溶剤は、各成分の溶解性や組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。有機溶剤の例としては、例えば、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤を好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。本発明において有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドも溶解性向上の観点から好ましい。ただし溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0148】
本発明においては、金属含有量の少ない溶剤を用いることが好ましく、溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの溶剤を用いてもよく、そのような高純度溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0149】
溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
【0150】
溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0151】
本発明において、有機溶剤は、過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0152】
感光性組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~90質量%であることが更に好ましい。
【0153】
また、本発明の感光性組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、感光性組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本発明の感光性組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として感光性組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した組成物の段階いずれの段階でも可能である。
【0154】
<<重合禁止剤>>
本発明の感光性組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。感光性組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.001~5質量%が好ましい。
【0155】
<<界面活性剤>>
本発明の感光性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開WO2015/166779号公報の段落番号0238~0245を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0156】
本発明において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。感光性組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0157】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、組成物中における溶解性も良好である。
【0158】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-41318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開2014/17669号公報の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0159】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報、2016年2月22日)(日経産業新聞、2016年2月23日)、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0160】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0161】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-89090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【化23】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば、14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0162】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0163】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0164】
シリコン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。また、シリコン系界面活性剤は、下記構造の化合物を用いることもできる。
【化24】
【0165】
感光性組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は、1種のみでもよく、2種以上でもよい。2種以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0166】
<<紫外線吸収剤>>
本発明の感光性組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-68814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の具体例としては、下記構造の化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。
【化25】
【0167】
感光性組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。本発明において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0168】
<<酸化防止剤>>
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA)などが挙げられる。
【0169】
感光性組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0170】
<<その他成分>>
本発明の感光性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開WO2014/021023号公報、国際公開WO2017/030005号公報、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
【0171】
本発明の感光性組成物の粘度(23℃)は、例えば、塗布により膜を形成する場合、1~100mPa・sであることが好ましい。下限は、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上が更に好ましい。上限は、50mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下が更に好ましく、15mPa・s以下が特に好ましい。
【0172】
<収容容器>
本発明の感光性組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。
【0173】
<感光性組成物の調製方法>
本発明の感光性組成物は、前述の成分を混合して調製できる。感光性組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解または分散して感光性組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜配合した2つ以上の溶液または分散液をあらかじめ調製し、使用時(塗布時)にこれらを混合して感光性組成物として調製してもよい。
【0174】
また、本発明の感光性組成物が顔料などの粒子を含む場合は、粒子を分散させるプロセスを含むことが好ましい。粒子を分散させるプロセスにおいて、粒子の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における粒子の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、粒子を分散させるプロセスおよび分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落番号0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用出来る。また粒子を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0175】
本発明の感光性組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で感光性組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。フィルタの孔径は、0.01~7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01~3.0μm程度であり、更に好ましくは0.05~0.5μm程度である。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物を確実に除去できる。また、ファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。具体的には、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)のフィルタカートリッジが挙げられる。フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0176】
<光学フィルタの製造方法>
次に、本発明の感光性組成物を用いた光学フィルタの製造方法について説明する。光学フィルタの種類としては、カラーフィルタ、赤外線透過フィルタなどが挙げられる。
本発明における光学フィルタの製造方法は、上述した本発明の感光性組成物を支持体上に適用して感光性組成物層を形成する工程(感光性組成物層形成工程)と、感光性組成物層に対して、波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する工程(露光工程)と、未露光部の感光性組成物層を現像除去して画素を形成する工程(現像工程)と、を含むことが好ましい。以下、各工程について説明する。
【0177】
(感光性組成物層形成工程)
感光性組成物層形成工程では、上述した本発明の感光性組成物を支持体上に適用して感光性組成物層を形成する。支持体としては、例えば、シリコン、無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどの材質で構成された基板が挙げられる。また、InGaAs基板などを用いることも好ましい。また、支持体には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、支持体には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、支持体には、必要により、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層が設けられていてもよい。
【0178】
支持体への感光性組成物の適用方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(たとえば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、感光性組成物の適用方法については、国際公開WO2017/030174号公報、国際公開WO2017/018419号公報の記載された方法を用いることもでき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0179】
支持体に感光性組成物を適用した後、更に乾燥(プリベーク)を行ってもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~3000秒が好ましく、40~2500秒がより好ましく、80~2200秒が更に好ましい。乾燥は、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0180】
(露光工程)
次に、上述のようにして形成した支持体上の感光性組成物層に対して、波長300nm以下の光を照射してパターン状に露光する。感光性組成物層に対し、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、感光性組成物層をパターン状に露光することができる。これにより、感光性組成物層の露光部分を硬化することができる。
【0181】
露光に際して用いる光は、波長300nm以下の光であればよく、波長270nm以下の光であることが好ましく、波長250nm以下の光であることがより好ましい。また、前述の光は、波長180nm以上の光であることが好ましい。具体的には、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、感光性組成物に含まれる色材などの結合が切断されにくい等の理由からKrF線(波長248nm)が好ましい。また、露光は、KrF線スキャナ露光機を用いて行うことが好ましい。この態様によれば、露光のアライメント精度が良好であり、微細な画素を形成し易い。光源としてはエキシマレーザ光源、遠紫外線ランプなどが挙げられ、瞬間的に高強度の光で露光でき硬化性に有利であるという理由からエキシマレーザ光源が好ましい。
【0182】
また、露光に際して、波長300nm以下の光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよいが、より優れた硬化性が得られやすいという理由からパルス的に照射して露光(パルス露光)することが好ましい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。パルス露光の場合、パルス幅は、瞬間的にラジカル等の活性種を大量に発生させやすいという理由から100ナノ秒(ns)以下であることが好ましく、50ナノ秒以下であることがより好ましく、30ナノ秒以下であることが更に好ましい。パルス幅の下限は、特に限定はないが、1フェムト秒(fs)以上とすることができ、10フェムト秒以上とすることもできる。周波数は、露光熱による熱重合を促進させ易いとの理由から1kHz以上であることが好ましく、2kHz以上であることがより好ましく、4kHz以上であることが更に好ましい。周波数の上限は露光熱による基板などの変形を抑制させ易いという理由から50kHz以下であることが好ましく、20kHz以下であることがより好ましく、10kHz以下であることが更に好ましい。最大瞬間照度は、硬化性の観点から50000000W/m2以上であることが好ましく、100000000W/m2以上であることがより好ましく、200000000W/m2以上であることが更に好ましい。また、最大瞬間照度の上限は、高照度不軌抑制の観点から1000000000W/m2以下であることが好ましく、800000000W/m2以下であることがより好ましく、500000000W/m2以下であることが更に好ましい。なお、パルス幅とは、パルス周期における光が照射されている時間のことである。また、周波数とは、1秒あたりのパルス周期の回数のことである。また、最大瞬間照度とは、パルス周期における光が照射されている時間内での平均照度のことである。また、パルス周期とは、パルス露光における光の照射と休止を1サイクルとする周期のことである。
【0183】
露光量は、例えば、1~2000mJ/cm2が好ましい。上限は1000mJ/cm2以下が好ましく、500mJ/cm2以下がより好ましい。下限は、5mJ/cm2以上が好ましく、10mJ/cm2以上がより好ましく、20mJ/cm2以上が更に好ましい。また、パルス露光の場合、15~300mJ/cm2が好ましい。上限は250mJ/cm2以下が好ましく、150mJ/cm2以下がより好ましい。下限は、25mJ/cm2以上が好ましく、35mJ/cm2以上がより好ましく、45mJ/cm2以上が更に好ましい。
【0184】
露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、50体積%)で露光してもよい。
【0185】
(現像工程)
次に、露光工程後の感光性組成物層における未露光部の感光性組成物層を現像除去して画素(パターン)を形成する。未露光部の感光性組成物層の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、未露光部の感光性組成物層が現像液に溶出し、上記の露光工程で光硬化した部分だけが支持体上に残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0186】
現像液は、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。なお、アルカリ性水溶液を現像液として使用した場合には、現像後純水で洗浄(リンス)することが好ましい。
【0187】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うこともできる。追加露光処理や、ポストベークは、膜の硬化を完全なものとするための現像後の処理である。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光としては、g線、h線、i線等が好ましく、i線がより好ましい。また、これらを複数組み合わせた光であっても良い。
【0188】
形成される画素(パターン)の膜厚としては、画素の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.3~1.0μmが更に好ましい。上限は、0.8μm以下が好ましく、0.6μm以下がより好ましい。下限値は、0.4μm以上が好ましい。
【0189】
また、形成される画素(パターン)のサイズ(線幅)としては、用途や、画素の種類に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、2.0μm以下が好ましい。上限は、1.0μm以下が好ましく、0.9μm以下がより好ましい。下限値は、0.4μm以上が好ましい。
【0190】
複数種類の画素を有する光学フィルタを製造する場合、
少なくとも1種類の画素を上述した工程を経て形成すればよく、最初に形成する画素(1種類目の画素)を上述した工程を経て形成することが好ましい。2番目以降に形成する画素(2種類目以降の画素)については、上記と同様の工程を経て形成してもよく、波長300nmを超える光(例えばi線など)で露光して画素を形成してもよい。
【実施例0191】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0192】
<樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定)
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、以下の条件で測定した。
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
【0193】
<感光性組成物の調製>
下記表に記載の原料を混合した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、固形分濃度20質量%の感光性組成物(組成物1~25)を調製した。なお、感光性組成物の固形分濃度はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の配合量を変えることにより調整した。
【0194】
【0195】
上記表に記載の原料は以下の通りである。
(顔料分散液)
A1:以下の方法で調製した顔料分散液
C.I.Pigment Green 58の9質量部、C.I.Pigment Yellow 185の6質量部、顔料誘導体Y1の2.5質量部、分散剤D1の5質量部、および、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の77.5質量部を混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて3時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して顔料分散液A1を調製した。この顔料分散液A1は、固形分濃度が22.5質量%であり、顔料含有量が15質量%であった。
顔料誘導体Y1:下記構造の化合物。
【化26】
分散剤D1:下記構造の樹脂(Mw=24000、主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。)
【化27】
【0196】
A7:以下の方法で調製した顔料分散液
C.I.Pigment Blue 15:6の12質量部、特開2015-041058号公報の段落番号0292に記載のV染料1の3質量部、顔料誘導体Y1の2.7質量部、分散剤D1の4.8質量部、および、PGMEAの77.5質量部を混合した混合液に、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて3時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して顔料分散液A7を調製した。この顔料分散液A7は、固形分濃度が22.5質量%であり、色材含有量(顔料と染料の合計量)が15質量%であった。
【0197】
(樹脂)
B1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=10,000、酸価=70mgKOH/g、C=C価=1.4mmol/g)
B2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。Mw=40,000、酸価=95mgKOH/g、C=C価=6.8mmol/g)
【化28】
【0198】
(重合性モノマー)
M1:オグソールEA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー、C=C価=2.1mmol/g)
M2:下記構造の化合物(C=C価=10.4mmol/g)
【化29】
M3:オグソールEA-0200(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー、C=C価=3.55mmol/g)
M4:下記構造の化合物(C=C価=6.24mmol/g)
【化30】
【0199】
(光重合開始剤)
I1~I5:下記構造の化合物
【化31】
【0200】
(界面活性剤)
W1:下記化合物
【化32】
W2:下記構造の化合物(Mw=14000、繰り返し単位の割合を示す%の数値はモル%である)
【化33】
【0201】
(添加材)
T1:EHPE3150((株)ダイセル製、エポキシ樹脂)
T2:下記構造の化合物(シランカップリング剤)
【化34】
【0202】
[硬化性の評価]
(試験例1~25)
ガラス基板上に、CT-4000L(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下塗り層を形成し、下塗り層付ガラス基板(支持体)を得た。次いで、各感光性組成物(組成物1~25)をポストベーク後の膜厚が下記表に記載の膜厚となるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間ポストベークした。次いで、KrFスキャナ露光機を用い、画素(パターン)サイズが1μm四方で形成されるベイヤーパターンを有するマスクを介して200mJ/cm2の露光量にてKrF線でパルス露光した(最大瞬間照度:250000000W/m2(平均照度:30,000W/m2)、パルス幅:30ナノ秒、周波数:4kHz)。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、画素(パターン)を形成した。
【0203】
(試験例R1)
ガラス基板上に、CT-4000L(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下塗り層を形成し、下塗り層付ガラス基板(支持体)を得た。次いで、組成物3の感光性組成物をポストベーク後の膜厚が下記表に記載の膜厚となるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間ポストベークした。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、画素(パターン)サイズが1μm四方で形成されるベイヤーパターンを有するマスクを介して200mJ/cm2の露光量にてi線で露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、画素(パターン)を形成した。
【0204】
(評価方法)
得られた膜を25℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に5分間浸漬させた。PGMEAに浸漬前後の膜についての波長665nmの吸光度の変化度を観測し、以下の基準で硬化性を評価した。
吸光度の変化度=|PGMEAに浸漬前の膜の波長665nmの吸光度-PGMEAに浸漬後の膜の波長665nmの吸光度|
A:吸光度の変化度が0.01未満である。
B:吸光度の変化度が0.01以上0.05未満である。
C:吸光度の変化度が0.05以上0.1未満である。
D:吸光度の変化度が0.1以上である。
【0205】
[残渣の評価]
(試験例1~25)
8インチ(20.32cm)シリコンウエハに、CT-4000L(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下塗り層を形成し、下塗り層付シリコンウエハ(支持体)を得た。次いで、各感光性組成物(組成物1~25)をポストベーク後の膜厚が下記表に記載の膜厚となるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用い、100℃で2分間ポストベークした。次いで、KrFスキャナ露光機を用い、画素(パターン)サイズが1μm四方で形成されるベイヤーパターンを有するマスクを介して光を照射して上述した条件でパルス露光を行った。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用い、200℃で5分間加熱することで、画素(パターン)を形成した。
【0206】
(評価方法)
得られた画素を、高分解能FEB(Field Emission Beam)測長装置(HITACHI CD-SEM)S9380II((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、非画像部(画素間)の残渣を観察した。
A:残渣が全く見られない
B:非画像部の0%を超え5%未満の領域に残渣が見られた。
C:非画像部の5%以上10%未満の領域に残渣が見られる
D:非画像部の10%以上の領域に残渣が見られる。
【0207】
[最小密着線幅の評価]
各試験例において、画素バターンが0.7μm四方、0.8μm四方、0.9μm四方、1.0μm四方、1.1μm四方、1.2μm四方、1.3μm四方、1.4μm四方、1.5μm四方、1.7μm四方、2.0μm四方、3.0μm四方、5.0μm四方、10.0μm四方で形成されるベイヤーパターンを有するマスクを使用する以外は、残渣の評価との方法で画素(パターン)を製造した。高分解能FEB測長装置(HITACHI CD-SEM)S9380II((株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、0.7μm四方、0.8μm四方、0.9μm四方、1.0μm四方、1.1μm四方、1.2μm四方、1.3μm四方、1.4μm四方、1.5μm四方、1.7μm四方、2.0μm四方、3.0μm四方、5.0μm四方、10.0μm四方のパターンを観察し、剥離無くパターンが形成されている最小のパターンサイズを最小密着線幅とした。
【0208】
【0209】
上記表に示す通り、組成物1~25の組成物を、波長300nm以下の光で露光して膜を製造することで、感光性組成物の全固形分中における重合性モノマーと光重合開始剤との合計量が少なくても硬化性に優れていた(試験例1~25)。
これに対し、i線(波長300nmを超える光)で露光した試験例R1は、硬化性が不十分であった。