(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183561
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】冷却装置および冷却方法
(51)【国際特許分類】
F25D 17/08 20060101AFI20221206BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20221206BHJP
F25D 13/00 20060101ALI20221206BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20221206BHJP
F25D 21/06 20060101ALI20221206BHJP
A23L 3/36 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
F25D17/08 303
F25D11/00 101E
F25D13/00 101Z
F25D23/00 302D
F25D21/06 J
F25D23/00 306B
A23L3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021090939
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】西村 伸一
【テーマコード(参考)】
3L045
3L046
3L345
4B022
【Fターム(参考)】
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA02
3L045HA07
3L045KA12
3L045LA02
3L045LA12
3L045NA03
3L045PA02
3L045PA04
3L045PA05
3L046CA17
3L046JA10
3L046LA02
3L046MA02
3L046MA04
3L046MA05
3L345AA02
3L345AA14
3L345AA17
3L345AA20
3L345BB01
3L345BB05
3L345DD12
3L345DD18
3L345DD24
3L345DD34
3L345EE04
3L345EE34
3L345FF04
3L345FF33
3L345GG12
3L345KK02
3L345KK04
3L345KK05
4B022LF02
4B022LF03
4B022LP02
4B022LT06
(57)【要約】
【課題】庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することのできる冷却装置および冷却方法を提供する。
【解決手段】
冷却装置1は、冷却装置1を循環する冷媒によって、庫内の空気を冷却するための複数の冷却コイル31、41と、冷却運転時の一の冷却コイルに空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の他の冷却コイルに空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される混合領域51と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内の食品を高湿度冷却する冷却装置であって、
前記冷却装置を循環する冷媒によって、前記庫内の空気を冷却するための複数の冷却コイルと、
冷却運転時の一の前記冷却コイルに空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の他の前記冷却コイルに空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される混合領域と、を有する冷却装置。
【請求項2】
前記食品を高湿度冷却した前記庫内の前記空気を取り込んで、一の前記冷却コイルに向けて送風する第1ファンと、
前記食品を高湿度冷却した前記庫内の前記空気を取り込んで、他の前記冷却コイルに向けて送風する第2ファンと、を有する、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却コイルは、マイクロチャンネル熱交換器である、請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
高湿度冷却される前記空気が流れる向きと、前記冷媒が流通する向きは、同一である、請求項1~3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
庫内の食品を高湿度冷却する冷却方法であって、
冷却装置を循環する冷媒によって、前記庫内を循環する空気を冷却するための複数の冷却コイルを備える冷凍サイクルにおいて、一方の前記冷却コイルには冷媒が供給される冷却運転が行われ、他方の前記冷却コイルには前記冷媒の供給が停止されるオフサイクルのデフロスト運転が交互に繰り返される冷却方法。
【請求項6】
第1ファンによって、前記食品を高湿度冷却した前記庫内の前記空気を取り込んで、一の前記冷却コイルに向けて送風するとともに、
第2ファンによって、前記食品を高湿度冷却した前記庫内の前記空気を取り込んで、他の前記冷却コイルに向けて送風し、
前記冷却運転を行う場合のファンの風速は、前記デフロスト運転を行う場合のファンの風速よりも大きい、請求項5に記載の冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置および冷却方法に関し、特に食品を高湿度冷却する冷却装置および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新鮮な野菜等を、鮮度を維持したまま貯蔵する冷蔵貯蔵庫としては、降雪地帯において雪を使った冷蔵貯蔵庫が知られている。このような冷蔵貯蔵庫では、冷蔵貯蔵庫内に野菜等を貯蔵し、雪によって冷蔵貯蔵庫内の空気を冷却する。そして、その冷気が自然対流して野菜等を冷却する。このとき、溶解した水によって冷蔵貯蔵庫内を加湿して、冷蔵貯蔵庫内を高湿度に保持している。
【0003】
しかしながら、雪が解けてなくなると、冷蔵貯蔵ができなくなってしまう。換言すれば、上述の冷蔵貯蔵庫では、限られた地域かつ限られた期間しか使用できないという問題があった。
【0004】
そこで、この問題点を解消するものとして、冷凍機および加湿器を備える冷蔵貯蔵庫が実用化されている。冷凍機は、例えば圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器により構成されている。加湿器としては、特に限定されないが、例えば水噴霧方式の加湿器である。
【0005】
このような冷蔵貯蔵庫では、冷蔵貯蔵庫内に野菜等を貯蔵し、冷凍機の冷媒によって冷蔵貯蔵庫内の空気を冷却し、その冷気がファンにより強制対流されて、野菜等を冷却する。このとき、加湿器が水を噴霧して冷蔵貯蔵庫内を高湿度に保持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、冷凍機および加湿器を備える冷蔵貯蔵庫では、冷凍機によって除湿するとともに、加湿器によって加湿を行っているため冷凍機の冷却コイルに霜が付きやすい。冷却コイルに霜が付くと冷凍機の冷却能力が低下するため、定期的に霜を取り除くデフロスト運転を行う必要があるが、デフロスト運転中は冷却運転が止まるため、庫内温度の上昇、過加湿または加湿不足が生じ安定的に低温高湿度状態を維持することができない。また、加湿器から出るミスト水滴が空気中で落下して野菜等に当たり腐食・カビが生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することのできる冷却装置および冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る冷却装置は、庫内の食品を高湿度冷却する冷却装置である。冷却装置は、前記冷却装置を循環する冷媒によって、前記庫内の空気を冷却するための複数の冷却コイルと、冷却運転時の一の前記冷却コイルに空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の他の前記冷却コイルに空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される混合領域と、を有する。
【0009】
また、上記目的を達成する本発明に係る冷却方法は、庫内の食品を高湿度冷却する冷却方法である。冷却方法では、冷却装置を循環する冷媒によって、前記庫内を循環する空気を冷却するための複数の冷却コイルを備える冷凍サイクルにおいて、一方の前記冷却コイルには冷媒が供給される冷却運転が行われ、他方の前記冷却コイルには前記冷媒の供給が停止されるオフサイクルのデフロスト運転が交互に繰り返される。
【発明の効果】
【0010】
上述の冷却装置によれば、デフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している冷却コイルに空気を送ることによって、ドレイン水が蒸発し高湿度空気が生成されて、この高湿度空気および冷却運転で冷却された冷却空気が、混合領域において混合される。これによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することができる。
【0011】
また、上述の冷却方法によれば、デフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している冷却コイルに空気を送ることによって、高湿度空気が生成されて、この高湿度空気および冷却運転で冷却された冷却空気を混合することによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却装置を示す概略平面図である。
【
図2】本実施形態に係る冷却装置を示す概略正面図である。
【
図3】庫内を所定の温度まで冷却するクーリングダウン運転時における冷却装置の運転状況を示す図である。
【
図4】所定温度まで冷却された庫内の温度を維持するキーピング運転時における冷却装置の運転状況を示す図である。
【
図5】キーピング時における冷却装置の運転状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る冷却装置1を、
図1、
図2を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
図1は、本実施形態に係る冷却装置1を示す概略平面図である。
図2は、本実施形態に係る冷却装置1を示す概略正面図である。
【0015】
本実施形態に係る冷却装置1は、庫内の食品を高湿度冷却するための装置である。庫内温度は貯蔵される食品によって設定値が変化するが、0~10℃の範囲内で設定されるチルド温度帯に維持される。なお、現状の冷却設備においてはチルド温度帯の雰囲気を作る為には冷却装置蒸発温度を0℃以下にする必要があり、冷却コイルに着霜が生じる。
【0016】
本実施形態に係る冷却装置1は、
図1に示すように、第1ファン10と、第2ファン20と、第1冷凍サイクル30と、第2冷凍サイクル40と、ハウジング50と、エリミネーター60と、を有する。以下、各構成について説明する。
【0017】
第1ファン10は、
図1、
図2に示すように、第1冷却コイル31の空気の流れの上流側に設けられる。すなわち、第1ファン10は、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第1冷凍サイクル30の第1冷却コイル31に向けて送風する。ここで、高湿度冷却とは、湿度が100%に近い状態で冷却することを意味する。
【0018】
第2ファン20は、
図1、
図2に示すように、第2冷却コイル41の空気の流れの上流に設けられる。すなわち、第2ファン20は、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第2冷凍サイクル40の第2冷却コイル41に向けて送風する。
【0019】
第1ファン10および第2ファン20は、ハウジング50の内部に配置される。
【0020】
第1冷凍サイクル30は、
図1に示すように、蒸発器としての第1冷却コイル31と、圧縮機である第1冷凍機32と、第1凝縮器33と、第1膨張弁34と、第1循環ライン35と、を有する。
【0021】
第1冷却コイル31において、第1ファン10によって取り込まれた空気の熱により蒸発した冷媒は、第1冷凍機32によって圧縮され、高温高圧になった冷媒は第1凝縮器33において冷却されて凝縮し、凝縮された冷媒は、第1膨張弁34に送られて膨張され、膨張した冷媒は、第1冷却コイル31に送られて、第1ファン10によって取り込まれた空気の冷却に用いられる。
【0022】
本実施形態において、第1ファン10によって取り込まれた空気が流れる向き(
図1の右向き)と、冷媒が流通する向き(
図1の右向き)は同一(以下、並行流と称する)である。
【0023】
ここで、第1ファン10によって取り込まれた空気が流れる向き(
図1の右向き)と冷媒が流通する向き(
図1の左向き)が逆(対向流と称する)の場合、冷却コイル31、41の出口において空気の温度が並行流と同じであっても、冷却コイル31、41の出口における冷媒の温度は並行流より低い。このため、対向流の方が並行流よりも除湿水分量が多くなる。したがって、低温度域において高湿度が求められる場合には、並行流の構成を採用して除湿水分量を少なくすることが好ましい。
【0024】
第1冷却コイル31は、
図1に示すように、ハウジング50の内部に配置されている。第1冷却コイル31は、マイクロチャンネル熱交換器である。この構成によれば、マイクロチャンネル熱交換器のフィンのピッチが狭く表面張力が発生するため、フィン上にデフロストで融解した水が付着保持される。このため、後述するデフロスト運転の際に、第1冷却コイル31から出る空気は、高湿度状態が維持される。また、第1冷却コイル31の小型化を達成することができる。
【0025】
第1冷凍サイクル30を循環する冷媒としては、フロンやCO2等を用いることができるが、特に限定されない。
【0026】
第2冷凍サイクル40は、
図1に示すように、蒸発器としての第2冷却コイル41と、圧縮機である第2冷凍機42と、第2凝縮器43と、第2膨張弁44と、第2循環ライン45と、を有する。
【0027】
第2冷却コイル41において、第2ファン20によって取り込まれた空気の熱により蒸発した冷媒は、第2冷凍機42によって圧縮され、高温高圧になった冷媒は第2凝縮器43において冷却されて凝縮し、凝縮された冷媒は、第2膨張弁44に送られて膨張され、膨張した冷媒は、第2冷却コイル41に送られて、第2ファン20によって取り込まれた空気の冷却に用いられる。
【0028】
本実施形態において、第2ファン20によって取り込まれた空気が流れる向き(
図1の右向き)と、冷媒が流通する向き(
図1の右向き)は同一である。この構成によれば、上述したように、対向流の構成と比較して、除湿水分量を少なくすることができる。
【0029】
第2冷却コイル41は、
図1に示すように、ハウジング50の内部に配置されている。第2冷却コイル41は、マイクロチャンネル熱交換器である。この構成によれば、マイクロチャンネル熱交換器のフィンのピッチが狭く表面張力が発生するため、フィン上にデフロスト運転で融解した水が付着保持される。このため、後述するデフロスト運転の際に、第2冷却コイル41から出る空気は、高湿度状態が維持される。また、第2冷却コイル41の小型化を達成することができる。
【0030】
第2冷凍サイクル40を循環する冷媒としては、フロンやCO2等を用いることができるが、特に限定されない。
【0031】
ハウジング50の内部には、
図1、
図2に示すように、第1ファン10、第2ファン20、第1冷却コイル31、第2冷却コイル41が配置されている。また、ハウジング50は、
図1、
図2に示すように、第1冷却コイル31を通過した空気、および第2冷却コイル41を通過した空気が混合される混合領域51を有する。
【0032】
混合領域51では、冷却運転時の第2冷却コイル41に空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の第1冷却コイル31に空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される(
図4参照)。また、混合領域51では、冷却運転時の第1冷却コイル31に空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の第2冷却コイル41に空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される(
図5参照)。
【0033】
混合領域51の出口側には、温度計を配置しておくことが好ましい。温度計を配置することによって、後述する第2運転状態から第3運転状態への切り替え時、および第3運転状態から第2運転状態への切り替え時に、温度計の温度を確認して、温度が上昇する前に、切り替えを行うことができる。したがって、無駄なエネルギー消費を抑制することができる。
【0034】
ハウジング50は、断熱壁から構成されることが好ましい。
【0035】
エリミネーター60は、混合領域51の空気の出口側に配置される。エリミネーター60は、第1ファン10および第2ファン20の送風によって第1冷却コイル31および第2冷却コイル41に付着した水分が、ハウジング50外の庫内に吹き出されることを防止するために設けられる。
【0036】
次に、
図3~
図5を参照して、本実施形態に係る冷却装置1の冷却方法について説明する。
図3は、庫内を所定の温度まで冷却するクーリングダウン運転時における冷却装置1の運転状況を示す図である。
図4、
図5は、所定温度まで冷却された庫内の温度を維持するキーピング運転時における冷却装置1の運転状況を示す図である。
図3~
図5において、太線箇所は、冷媒が循環している箇所に相当する。
【0037】
まず、
図3に示すように、第1冷凍サイクル30および第2冷凍サイクル40において、冷媒を循環させて、庫内のクーリングを行う(第1運転状態)。このときの第1ファン10および第2ファン20の風速は、例えば3~4m/sである。このように風速を比較的速くすることによって、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41における熱伝達係数を大きくすることができる。
【0038】
そして、第1運転状態を所定の時間続けた後、第1冷却コイル31または第2冷却コイル41への着霜を確認したら、
図4に示すように、第2冷凍サイクル40における冷媒の循環を維持しつつ、第1冷凍サイクル30における冷媒の循環を停止させる(第2運転状態)。このとき、第1ファン10および第2ファン20の駆動は維持される。また着霜を確認する方法は特に限定されないが、第1冷却コイル31または第2冷却コイル41前後の差圧計測、タイマーによる時間測定やカメラ撮影等を用いることができる。
【0039】
このとき、第1冷凍サイクル30の第1冷却コイル31では、オフサイクルでのデフロスト運転が行われる。具体的には、第2運転状態において第1冷却コイル31への冷媒の供給が停止され、第1ファン10の顕熱とチルド域の庫内温度を熱源として、第1冷凍サイクル30の第1冷却コイル31のデフロスト運転が行われる。本実施形態に係る庫内温度は0℃以上のプラス温度帯であるため、第1冷却コイル31への冷媒供給を停止することで霜が融解する。
【0040】
また、デフロスト運転を行う際、第1ファン10の風速は、例えば1~2m/sに下げる。これによって、第1冷却コイル31に水分が付着した状態を維持することができる。このように第1冷却コイル31に水分が付着した状態を維持することによって、第1冷却コイル31における熱伝達係数を所定の数値(例えば、30W/(m2・K))以上にすることができ、好適に空気を冷却することができる。また、冷却運転を行う第2ファン20の風速は、例えば3~4m/sにすることができる。
【0041】
第2運転状態において、第1冷却コイル31におけるデフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している第1冷却コイル31に空気を送ることによって、ドレイン水が蒸発し高湿度空気が生成されて、この高湿度空気、および第2冷凍サイクル40の冷却運転で冷却された冷却空気が混合領域51において混合されることによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、高湿度冷却することができる。また、この方法によれば第1冷却コイル31のデフロスト運転中も第2冷却コイル41の冷却運転が継続して行われるため、連続して安定的に庫内に高湿度冷却空気を供給することができる。
【0042】
次に、第2運転状態でのデフロスト運転が完了した後、
図5に示すように、第1冷凍サイクル30における冷媒の循環を開始させつつ、第2冷凍サイクル40における冷媒の循環を停止させる(第3運転状態)。第2運転状態から第3運転状態への切り替えは、タイマーによる時間測定や、静圧の変動で判断することができる。
【0043】
このとき、第2冷凍サイクル40の第2冷却コイル41では、オフサイクルでのデフロスト運転が行われる。具体的には、第3運転状態において第2冷却コイル41への冷媒の供給が停止され、第2ファン20の顕熱とチルド域の庫内温度を熱源として、第2冷凍サイクル40の第2冷却コイル41のデフロスト処理が行われる。このとき、本実施形態に係る庫内温度は0℃以上のプラス温度帯であるため、第2冷却コイル41への冷媒供給を停止することで霜が融解する。
【0044】
また、デフロスト運転を行う際、第2ファン20の風速は、例えば1~2m/sに下げる。これによって、第2冷却コイル41に水分が付着した状態を維持することができる。このように第2冷却コイル41に水分が付着した状態を維持することによって、第2冷却コイル41における熱伝達係数を所定の数値(例えば、30W/(m2・K))以上にすることができ、好適に空気を冷却することができる。また、冷却運転を行う第1ファン10の風速は、例えば3~4m/sにすることができる。
【0045】
第3運転状態において、第2冷却コイル41におけるデフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している第2冷却コイル41に空気を送ることによって、ドレイン水が蒸発し高湿度空気が生成されて、この高湿度空気、および第1冷凍サイクル30の冷却運転で冷却された冷却空気が混合領域51において混合されることによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、高湿度冷却することができる。また、この方法によれば第2冷却コイル41のデフロスト運転中も第1冷却コイル31の冷却運転が継続して行われるため、連続して安定的に庫内に高湿度冷却空気を供給することができる。
【0046】
次に、第3運転状態が所定の時間経過した後、第2運転状態に切り替えて、その後は第2運転状態および第3運転状態を交互に繰り返す。
【0047】
ここで、初期負荷であるクーリングダウン負荷(第1運転状態に相当)と、その後の安定したキーピング負荷(第2運転状態および第3運転状態に相当)では、2~3倍の違いがある。このため、第1冷凍サイクル30および第2冷凍サイクル40の冷却能力を、キーピング負荷の1~1.5倍の能力を持たせることによって、初期のクーリングダウン時には第1冷凍サイクル30および第2冷凍サイクル40を運転して、温度が安定したキーピング時には、第1冷凍サイクル30または第2冷凍サイクル40のどちらかを運転する。そして、運転していない側の冷凍サイクルは、オフサイクルのデフロスト処理を行う。
【0048】
また、
図6に示すように、冷却装置3の冷凍サイクル130は1つであってもよい。冷凍サイクル130を1つにする場合、複数の冷却コイル31、41それぞれの前後ラインに弁31A、31B、41A、41Bを設け、第2運転状態および第3運転状態を切り替えるよう冷媒を分岐させながら運転する。
【0049】
以上説明したように、本実施形態に係る冷却装置1は、庫内の食品を高湿度冷却する冷却装置1である。冷却装置1は、冷却装置1を循環する冷媒によって、庫内の空気を冷却するための第1冷却コイル31、第2冷却コイル41と、冷却運転時の第1冷却コイル31に空気を送ることによって生じる冷却空気、およびデフロスト運転時の第2冷却コイル41に空気を送ることによって生じる高湿度空気が混合されて高湿度冷却空気が生成される混合領域51と、を有する。このように構成された冷却装置1によれば、デフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している第2冷却コイル41に空気を送ることによって、ドレイン水が蒸発し高湿度空気が生成されて、この高湿度空気、および第1冷凍サイクル30の冷却運転で冷却された冷却空気が、混合領域51において混合される。これによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することができる。
【0050】
また、冷却装置1は、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第1冷却コイル31に向けて送風する第1ファン10と、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第2冷却コイル41に向けて送風する第2ファン20と、を有する。このように構成された冷却装置1によれば、デフロスト処理する際の第1ファン10、第2ファン20の風速を調整することができるため、第1冷却コイル31または第2冷却コイル41に水分を付着した状態を維持することができる。
【0051】
また、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41は、マイクロチャンネル熱交換器である。このように構成された冷却装置1によれば、マイクロチャンネル熱交換器のフィンのピッチが狭く表面張力が発生するため、フィン上にデフロストで融解した水が付着保持される。このため、デフロスト処理の際に、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41から吹き出る空気は、高湿度状態が維持される。また、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41の小型化を達成することができる。
【0052】
また、高湿度冷却される空気が流れる向きと、冷媒が流通する向きは同一である。このように構成された冷却装置1によれば、対向流の構成と比較して、除湿水分量を少なくすることができる。
【0053】
また、以上説明したように、本実施形態に係る冷却方法は、庫内の食品を高湿度冷却する冷却方法であって、冷却装置1を循環する冷媒によって、庫内を循環する空気を冷却するための第1冷却コイル31を備える第1冷凍サイクル30および第2冷却コイル41を備える第2冷凍サイクル40において、一方の冷却コイルには冷媒が供給される冷却運転が行われ、他方の冷却コイルには冷媒の供給が停止されるオフサイクルのデフロスト運転が交互に繰り返される。この冷却方法によれば、デフロスト運転によって融解したドレイン水が付着している第1冷却コイル31または第2冷却コイル41に空気を送ることによって、高湿度空気が生成されて、この高湿度空気および冷却運転で冷却された冷却空気を混合することによって、高湿度冷却空気が生成されるため、庫内の食品を衛生的に、かつ安定的に高湿度冷却することができる。
【0054】
また、第1ファン10によって、食品を高湿度冷却した庫内の前記空気を取り込んで、第1冷却コイル31に向けて送風するとともに、第2ファン20によって、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第2冷却コイル41に向けて送風し、冷却運転を行う場合のファン10、20の風速は、デフロスト運転を行う場合のファン10、20の風速よりも大きい。この冷却方法によれば、デフロスト処理する際の第1ファン10、第2ファン20の風速を調整することができるため、第1冷却コイル31または第2冷却コイル41に水分を付着した状態を維持することができる。
【0055】
以上、実施形態を通じて、冷却装置の構成について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0056】
例えば、上述した実施形態では、冷却装置1は、第1ファン10および第2ファン20を有したが、1つのファンによって、食品を高湿度冷却した庫内の空気を取り込んで、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41に向けて送風してもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、第1冷却コイル31および第2冷却コイル41は、マイクロチャンネル熱交換器であった。しかしながら、第1冷却コイルおよび第2冷却コイルは、プレートフィンコイルであってもよい。プレートフィンコイルを用いる場合は、フィンピッチを3~4mmとすることができる。
【0058】
また、上述した実施形態では、高湿度冷却される空気が流れる向きと、冷媒が流通する向きは、同一であった。しかしながら、高湿度冷却される空気が流れる向きと、冷媒が流通する向きは、逆であってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、冷凍サイクルは1つまたは2つ設けられたが、3つ以上設けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、3 冷却装置、
10 第1ファン、
20 第2ファン、
30 第1冷凍サイクル、
31 第1冷却コイル、
40 第2冷凍サイクル、
41 第2冷却コイル。