(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022183813
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】受信装置、クライアント端末装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/436 20110101AFI20221206BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20221206BHJP
H04N 21/4402 20110101ALI20221206BHJP
【FI】
H04N21/436
H04N21/435
H04N21/4402
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091302
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100171446
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 尚幸
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100171930
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 郁一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 徹
(72)【発明者】
【氏名】松村 欣司
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 寛
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA04
5C164FA11
5C164PA36
5C164UA03S
5C164UA04S
5C164UB02P
5C164UB10P
5C164UB71P
(57)【要約】
【課題】ハイブリッドキャストアプリのコンテンツを、受信装置と連携するクライアント端末装置の側で利用可能とする。
【解決手段】受信装置は、コンテンツ変換部と、ウェブリソース提供部とを含む。コンテンツ変換部は、アプリを、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のアプリに変換する。ウェブリソース提供部は、クライアント端末装置から送信されるアプリ起動要求に基づいてアプリを起動させる。ウェブリソース提供部は、コンテンツ変換部が変換した結果であるウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記クライアント端末装置に対して通信を介して送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送信号を受信する受信部と、
受信された前記放送信号に基づいて取得したアプリケーション情報テーブル、または受信した前記放送信号に基づくアプリケーション情報テーブルの所在情報、の少なくともいずれかを、通信を介して、連携先のクライアント端末装置に対して送信するウェブリソース提供部と、
を備える受信装置。
【請求項2】
前記アプリケーション情報テーブルが特定するアプリを、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリに変換するコンテンツ変換部、
をさらに備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
前記アプリケーション情報テーブルが特定するアプリの稼働を制御するアプリケーション制御部、
をさらに備える請求項1または2に記載の受信装置。
【請求項4】
前記ウェブリソース提供部は、連携先のクライアント端末装置から送信されるアプリ起動要求に基づいて前記アプリを起動するよう前記アプリケーション制御部に指示し、前記コンテンツ変換部が変換した結果である前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記クライアント端末装置に対して通信を介して送信する、
請求項3に記載の受信装置。
【請求項5】
受信された前記放送信号から抽出された映像リソースまたは音声リソースの少なくともいずれかのデータを、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のデータにトランスコードして、ウェブリソースとして出力するトランスコード部、
をさらに備え、
前記ウェブリソース提供部は、前記トランスコード部が出力する前記ウェブリソースを前記クライアント端末装置に対して通信を介して送信する、
請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの前記アプリ起動要求に含まれる情報によって特定される前記アプリを起動するように前記アプリケーション制御部に指示する、
請求項4または5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記ウェブリソース提供部は、前記受信部が受信した前記放送信号に含まれる情報によって特定される前記アプリを起動するように前記アプリケーション制御部に指示する、
請求項4から6までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項8】
前記アプリケーション制御部は、前記クライアント端末装置から送信されるアプリ起動要求に基づいて前記アプリを起動するよう前記ウェブリソース提供部から指示を受けたときに、外部の起動可否判定サーバー装置に問い合わせを行い、起動可否判定サーバー装置からの応答に基づいて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記クライアント端末装置に対して送信するか否かを決定する、
請求項4から7までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項9】
前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの起動可否状態取得のリクエストに応じて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリの起動可否状態のデータを、前記クライアント端末装置に対して送信する、
請求項4から8までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項10】
前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの受信機状態取得のリクエストに応じて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリについての受信機状態のデータを、前記クライアント端末装置に対して送信する、
請求項4から9までのいずれか一項に記載の受信装置。
【請求項11】
請求項2に記載の受信装置の前記コンテンツ変換部が出力するアプリのアプリ起動要求を前記受信装置に対して送信し、前記コンテンツ変換部が変換した結果であるウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記受信装置から受信する受信端末連携制御部、
を備えるクライアント端末装置。
【請求項12】
請求項5に記載の受信装置の前記トランスコード部が出力した前記ウェブリソースを受信して利用するウェブアプリケーションを稼働させるアプリケーションエンジン、
をさらに備え、
前記受信端末連携制御部は、ハイブリッドキャストの端末連携機能により、前記ウェブリソースを利用するために必要な処理を、前記受信装置との連携動作として実行する、
請求項11に記載のクライアント端末装置。
【請求項13】
前記受信端末連携制御部は、前記アプリ起動要求とともに、起動すべきアプリを特定する情報を前記受信装置に対して送信する、
請求項11または12に記載のクライアント端末装置。
【請求項14】
前記受信端末連携制御部は、前記アプリ起動要求を送信する際に、起動すべきアプリを特定する情報を前記受信装置に対して送信せず、前記受信装置が受信する放送信号に含まれる情報によって起動すべきアプリを特定するよう前記受信装置に要求する、
請求項11または12に記載のクライアント端末装置。
【請求項15】
前記受信端末連携制御部は、起動可否状態取得のリクエストを前記受信装置に対して送信し、前記受信装置からアプリの起動可否状態のデータを受信する、
請求項11から14までのいずれか一項に記載のクライアント端末装置。
【請求項16】
前記受信端末連携制御部は、受信機状態取得のリクエストを前記受信装置に対して送信し、前記受信装置からアプリの受信機状態のデータを受信する、
請求項11から15までのいずれか一項に記載のクライアント端末装置。
【請求項17】
放送信号を受信する受信部、を備えるコンピューターを、
請求項1から10までのいずれか一項に記載の受信装置、
として機能させるためのプログラム。
【請求項18】
コンピューターを、
請求項11から16までのいずれか一項に記載のクライアント端末装置、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信装置、クライアント端末装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、テレビ受信機は、放送波に含まれる様々なリソース(映像、音声、字幕など)を活用する。このような放送に含まれるリソースの活用は、基本的に放送チューナーを有するテレビ受信機等に限られていたものである。
【0003】
これに対して、放送波に含まれるリソースをウェブプラットフォームで利活用できるようにするための技術の普及が進みつつある。このような技術では、テレビ受信機以外の端末装置(例えば、ウェブクライアント端末)でも放送に含まれるリソースの活用が可能となる。例えば、日本国外の規格であるATSC 3.0規格(ATSCは、「Advanced Television Systems Committee」の略)に準拠したテレビ受信機などは、配信サーバーの役割を担うことができる。即ち、そのようなテレビ受信機は、受信した放送映像などを別の端末装置に対して配信することができる。
【0004】
一方、日本の放送規格(ISDB-Tなど)では、様々な電機メーカーが提供する録画機などによってリモート視聴のサービスが提供されている。非特許文献1には、リモート視聴について記載されている。
【0005】
標準化された技術としては、テレビ受信機と視聴端末とが連携するための仕組みである、ハイブリッドキャストの端末連携機能が存在する。この機能は、「ハイブリッドキャストコネクト」あるいは「ハイコネ」と呼ばれる。ハイブリッドキャストコネクト(ハイブリッドキャストの端末連携機能)の技術標準では、発見・接続・データ送受信プロトコルなどが提供されている。非特許文献2には、ハイブリッドキャストの端末連携機能の規定が含まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「デジタル放送のリモート視聴について」,一般社団法人放送サービス高度化推進協会,[online],[2021年4月10日ダウンロード],インターネット<URL:https://www.apab.or.jp/remote-viewing/pdf/remote-viewing.pdf>
【非特許文献2】「IPTVフォーラム標準規格,運用規定」,一般社団法人IPTVフォーラム, IPTVFJ-STD0010 2.3版・IPTVFJ-STD0011 2.6版・IPTVFJ-STD0013 2.9版,[2020年10月2日],インターネット<URL:https://www.iptvforum.jp/download/input.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には、解決すべき課題が存在する。
【0008】
非特許文献1に記載されているリモート視聴のしくみでは、テレビ受信機と視聴端末(およびその端末上で動作するアプリケーションプログラム)の組合せが、メーカーごとに固定されている。その理由としては、テレビ受信機と視聴端末との間での発見・接続プロトコルや、コンテンツ保護のための技術として、メーカーごとの独自技術が用いられていることが考えられる。つまり、テレビ受信機と視聴端末との間の相互接続性が向上しないという問題がある。このような事情により、ユーザーの利便性が向上せず、技術の普及が阻害されているという問題がある。
【0009】
非特許文献2に記載されているハイブリッドキャストの端末連携機能のしくみでは、視聴端末において、放送波のリソースを取得して動画再生を行ったり字幕を表示したりすることができないという問題がある。
【0010】
つまり、標準的な技術でテレビ受信機と視聴端末との間の相互接続性を高めるためには、ハイブリッドキャストの端末連携機能の標準技術を拡張して、放送波に含まれる様々なリソースを視聴端末で活用できるようにすることが望まれる。
【0011】
この状況において本発明が解決すべき課題は、次の通りである。放送チューナーを有しているテレビ受信機(以下、受信端末装置あるいは受信装置とも呼ぶ)は、受信した放送信号から映像や音声を抽出して視聴者に提示するだけではなく、様々なコンテンツを提示する。そういったコンテンツの一つは、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツである。ハイブリッドキャストアプリのコンテンツは、特定の放送サービスによってマネージされる形態で起動したり、視聴者のリモコン操作等に基づいて起動したりする。従来技術では、ハイブリッドキャストアプリが出力するコンテンツは、受信端末装置においては視聴することができたが、受信端末装置と連携動作する視聴端末(以下、クライアント端末装置とも呼ぶ)では視聴することができなかった。
【0012】
しかしながら、単に放送番組の映像や音声だけではなく、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツも、受信端末装置と連携するクライアント端末装置で視聴できるようにすることが望まれる。さらに、好ましくは、受信端末装置とクライアント端末装置との間での標準的なウェブインターフェースに則った形式で、クライアント端末装置が、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツを利用・活用できるようにすることが望まれる。
【0013】
本発明は、上記の課題認識に基づいて行なわれたものであり、受信装置(テレビ受信機)からクライアント端末装置(視聴端末)に対して、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツを、クライアント端末装置側で利用可能な形で渡すことを可能にする受信装置、クライアント端末装置、およびプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様による受信装置は、放送信号を受信する受信部と、受信された前記放送信号に基づいて取得したアプリケーション情報テーブル、または受信した前記放送信号に基づくアプリケーション情報テーブルの所在情報、の少なくともいずれかを、通信を介して、連携先のクライアント端末装置に対して送信するウェブリソース提供部と、を備える。
【0015】
[2]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記アプリケーション情報テーブルが特定するアプリを、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリに変換するコンテンツ変換部、をさらに備えるものである。
【0016】
[3]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記アプリケーション情報テーブルが特定するアプリの稼働を制御するアプリケーション制御部、をさらに備えるものである。
【0017】
[4]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記ウェブリソース提供部は、連携先のクライアント端末装置から送信されるアプリ起動要求に基づいて前記アプリを起動するよう前記アプリケーション制御部に指示し、前記コンテンツ変換部が変換した結果である前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記クライアント端末装置に対して通信を介して送信する、ものである。
【0018】
[5]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、受信された前記放送信号から抽出された映像リソースまたは音声リソースの少なくともいずれかのデータを、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のデータにトランスコードして、ウェブリソースとして出力するトランスコード部、をさらに備え、前記ウェブリソース提供部は、前記トランスコード部が出力する前記ウェブリソースを前記クライアント端末装置に対して通信を介して送信する、というものである。
【0019】
[6]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの前記アプリ起動要求に含まれる情報によって特定される前記アプリを起動するように前記アプリケーション制御部に指示する、ものである。
【0020】
[7]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記ウェブリソース提供部は、前記受信部が受信した前記放送信号に含まれる情報によって特定される前記アプリを起動するように前記アプリケーション制御部に指示する、ものである。
【0021】
[8]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記アプリケーション制御部は、前記クライアント端末装置から送信されるアプリ起動要求に基づいて前記アプリを起動するよう前記ウェブリソース提供部から指示を受けたときに、外部の起動可否判定サーバー装置に問い合わせを行い、起動可否判定サーバー装置からの応答に基づいて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記クライアント端末装置に対して送信するか否かを決定する、ものである。
【0022】
[9]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの起動可否状態取得のリクエストに応じて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリの起動可否状態のデータを、前記クライアント端末装置に対して送信する、ものである。
【0023】
[10]また、本発明の一態様は、上記の受信装置において、前記ウェブリソース提供部は、前記クライアント端末装置からの受信機状態取得のリクエストに応じて、前記ウェブプラットフォームで利用可能なアプリについての受信機状態のデータを、前記クライアント端末装置に対して送信する、ものである。
【0024】
[11]また、本発明の一態様によるクライアント端末装置は、上記[2]の受信装置の前記コンテンツ変換部が出力するアプリのアプリ起動要求を前記受信装置に対して送信し、前記コンテンツ変換部が変換した結果であるウェブプラットフォームで利用可能なアプリを前記受信装置から受信する受信端末連携制御部、を備えるものである。
【0025】
[12]また、本発明の一態様は、上記のクライアント端末装置において、上記[5]の受信装置の前記トランスコード部が出力した前記ウェブリソースを受信して利用するウェブアプリケーションを稼働させるアプリケーションエンジン、をさらに備え、前記受信端末連携制御部は、ハイブリッドキャストの端末連携機能により、前記ウェブリソースを利用するために必要な処理を、前記受信装置との連携動作として実行する、ものである。
【0026】
[13]また、本発明の一態様は、上記のクライアント端末装置において、前記受信端末連携制御部は、前記アプリ起動要求とともに、起動すべきアプリを特定する情報を前記受信装置に対して送信する、ものである。
【0027】
[14]また、本発明の一態様は、上記のクライアント端末装置において、前記受信端末連携制御部は、前記アプリ起動要求を送信する際に、起動すべきアプリを特定する情報を前記受信装置に対して送信せず、前記受信装置が受信する放送信号に含まれる情報によって起動すべきアプリを特定するよう前記受信装置に要求する、ものである。
【0028】
[15]また、本発明の一態様は、上記のクライアント端末装置において、前記受信端末連携制御部は、起動可否状態取得のリクエストを前記受信装置に対して送信し、前記受信装置からアプリの起動可否状態のデータを受信する、ものである。
【0029】
[16]また、本発明の一態様は、上記のクライアント端末装置において、前記受信端末連携制御部は、受信機状態取得のリクエストを前記受信装置に対して送信し、前記受信装置からアプリの受信機状態のデータを受信する、ものである。
【0030】
[17]また、本発明の一態様は、放送信号を受信する受信部、を備えるコンピューターを、上の[1]から[10]までのいずれか一項に記載の受信装置、として機能させるためのプログラムである。
【0031】
[18]また、本発明の一態様は、コンピューターを、上の[11]から[16]までのいずれか一項に記載のクライアント端末装置、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、受信装置において稼働するハイブリッドキャストアプリのデータを、クライアント端末装置の側においても活用することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施形態によるシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態による受信端末装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】同実施形態によるクライアント端末装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】同実施形態において拡張されたハイブリッドキャストの端末連携機能を用いた、受信端末装置とクライアント端末装置との間での、リクエストおよびレスポンスのシーケンスの例を示す概略図(その1)である。
【
図5】上記
図4と同様の、受信端末装置とクライアント端末装置との間での、リクエストおよびレスポンスのシーケンスの例を示す概略図(その2)である。
【
図6】同実施形態(手法1)により、クライアント端末装置から受信端末装置に対して、ハイブリッドキャストコンテンツの起動を要求するための、拡張されたAPIを示す概略図である。
【
図7】同実施形態(手法1)において、
図6の起動要求の際に、クライアント端末装置から受信端末装置に送信されるデータの例を示す概略図である。
【
図8】同実施形態(手法1)において、受信端末装置からクライアント端末装置に返されるレスポンスのデータの例を示す概略図である。
【
図9】同実施形態(手法2)により、クライアント端末装置から受信端末装置に対して送られるハイブリッドキャストアプリ起動要求リクエストのAPIを示す概略図である。
【
図10】同実施形態(手法3)により、クライアント端末装置から受信端末装置に対して送られるハイブリッドキャストアプリ起動要求リクエストの新規APIを示す概略図である。
【
図11】同実施形態(手法3)において、
図10の起動要求の際に、クライアント端末装置から受信端末装置に送信されるデータの例を示す概略図である。
【
図12】同実施形態(手法4)により、受信端末装置からAIT起動可否判定サーバー装置に対してリクエスト(可否問合せ)を送信するためのインターフェースの例を示す概略図である。
【
図13】同実施形態(手法4)における、
図12のリクエスト(問い合わせ)に対する、AIT起動可否判定サーバー装置から受信端末装置へのレスポンスのデータ例を示す概略図である。
【
図14】同実施形態(手法4の変形例2)により、受信端末装置からAIT起動可否判定サーバー装置に対してリクエスト(可否問合せ)を送信するためのインターフェースの例を示す概略図である。
【
図15】同実施形態(手法4の変形例2)における、
図14のリクエスト(問い合わせ)に対する、AIT起動可否判定サーバー装置から受信端末装置へのレスポンスのデータ例を示す概略図である。
【
図16】同実施形態(手法6)によるハイブリッドキャストアプリの起動要求(放送信号に基づいて提供されるアプリの起動)の際に、クライアント端末装置から受信端末装置に対して送信されるデータの例を示す概略図である。
【
図17】同実施形態(手法7)において、クライアント端末装置が受信端末装置に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求するためのAPIを示す概略図である。
【
図18】同実施形態(手法8)において、クライアント端末装置が受信端末装置に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求するためのAPIを示す概略図である。
【
図19】同実施形態(手法10)によって拡張された起動可否状態取得APIにおいて、受信端末装置からクライアント端末装置に対して送信されるレスポンスのデータの例を示す概略図である。
【
図20】同実施形態(手法11)において利用可能としているハイブリッドキャストの端末連携機能のAPI(ウェブのハイブリッドキャストアプリの起動要求)を示す概略図である。
【
図21】同実施形態(手法11)において、
図20で示したリクエストに対応して、受信端末装置がクライアント端末装置に返すレスポンスデータの例を示す概略図である。
【
図22】同実施形態(手法12)で拡張したAPI(受信機状態取得)において、受信端末装置がクライアント端末装置に送信するレスポンスのデータの例を示す概略図である。
【
図23】同実施形態(手法13)で用いる、クライアント端末装置と受信端末装置との間の新規API(ウェブのハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態の取得)を示す概略図である。
【
図24】同実施形態(手法13)において、
図23で示したAPIで受信端末装置からクライアント端末装置に対して送信されるレスポンスのデータの例を示す概略図である。
【
図25】同実施形態によるシステムを構成する各装置の内部構成の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
本実施形態では、受信端末装置2は、放送波のリソースをウェブのプラットフォームで利活用できるようにするための機能を持つ。また、クライアント端末装置3は、受信端末装置2によって提供されるウェブのリソースを活用するための機能を持つ。受信端末装置2とクライアント端末装置3とのそれぞれは、ハイブリッドキャストの端末連携機能の拡張機能によって上記機能を実現する。
【0036】
本実施形態において、放送信号から抽出された映像のリソースと音声のリソースとは、標準的なウェブのプラットフォームで用いられるネット配信動画のコンテンツとして、受信端末装置2からクライアント端末装置3に配信される。本実施形態では、ハイブリッドキャストアプリをクライアント端末装置3側で利用可能とする。ハイブリッドキャストアプリは、例えばHTML5で記述されるものであり、JavaScript(登録商標)による実行コードを含むものであってよい。従来技術において、ハイブリッドキャストアプリは、放送受信端末が持つ専用の環境で稼働するものである。本実施形態では下に説明する手法により、クライアント端末装置3においてハイブリッドキャストアプリが稼働するようにする。
【0037】
図1は、本実施形態によるシステムの構成を示すブロック図である。図示するように、システム1は、受信端末装置2と、クライアント端末装置3と、アンテナ4と、ルーター8と、通信ネットワーク9と、AIT起動可否判定サーバー装置11とを含んで構成される。受信端末装置2は、「受信装置」とも呼ばれる。システム1においては、受信端末装置2とクライアント端末装置3とが、ハイブリッドキャストの端末連携機能によって連携動作する。これにより、クライアント端末装置3は、受信端末装置2から提供される放送のリソースに基づくコンテンツを、提示することができる。なお、受信端末装置2と、クライアント端末装置3と、アンテナ4と、ルーター8とは、例えば、宅内あるいは事業所内等に設置され、あるいは置かれるものであってよい。この図では、受信端末装置2、クライアント端末装置3、ルーター8、AIT起動可否判定サーバー装置11をそれぞれ1台ずつ示しているが、システム1が含むこれらそれぞれの装置の台数は任意である。例えば複数の受信端末装置2あるいはクライアント端末装置3が1つのローカルネットワークに接続されてシステム1を構成していてもよい。システム1を構成するそれぞれの装置の機能については、次に説明する。
【0038】
受信端末装置2は、アンテナ4を介して放送信号(高周波、RF)を受信する。受信端末装置2は、デジタル方式の放送信号を復調および復号し、放送信号に含まれる映像や音声や字幕等のリソースを抽出する。つまり、受信端末装置2は、いわゆるテレビ受像機である。受信端末装置2は、ローカルエリアネットワークを介して、インターネットプロトコル(IP)により、クライアント端末装置3との間で通信を行う。つまり、受信端末装置2は、ルーター8経由で、クライアント端末装置3と通信を行うことができる。受信端末装置2は、無線または有線の通信によりルーター8にアクセスすることができる。受信端末装置2上では、アプリケーションプログラム(以下、「アプリケーション」あるいは「アプリ」と呼ぶ場合がある)を稼働させることができる。受信端末装置2は、ハイブリッドキャストの端末連携機能を用いて、クライアント端末装置3と連携動作する。なお、受信端末装置2の詳細な機能構成については、後で別の図を参照しながら説明する。
【0039】
クライアント端末装置3は、受信端末装置2と連携する端末装置である。クライアント端末装置3は、具体的には、PC(パーソナルコンピューター)や、タブレット端末や、スマートフォンや、スマートスピーカー等の装置であってよい。クライアント端末装置3は、アプリを稼働させることができる。クライアント端末装置3上では、受信端末装置2と連携動作するためのアプリが稼働する。クライアント端末装置3は、ハイブリッドキャストの端末連携機能を用いて、受信端末装置2と連携動作する。クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブリソースを視聴するための各種の要求(リクエスト)を送信する。クライアント端末装置3は、リクエストした結果に応じて、ウェブリソースを利用することができる。即ち、クライアント端末装置3は、ウェブリソースをユーザー(視聴者)に提示する。なお、クライアント端末装置3自体は、放送信号を直接受信するためのチューナーの機能を持つ必要がない。
【0040】
アンテナ4は、上記の放送信号を受信するためのものである。アンテナ4は、空中波として捉えた放送信号を、電気信号として受信端末装置2に供給する。
【0041】
ルーター8は、上記のローカルエリアネットワークを構成する機器のひとつである。ルーター8は、ローカルエリアネットワークに接続されている送信元の装置から送信されるIPパケットを、宛先の装置側に向けて転送する。図示する構成においては、ルーター8がIPパケットを転送することにより、受信端末装置2とクライアント端末装置3とが相互に通信を行うことが可能となる。
【0042】
通信ネットワーク9は、受信端末装置2が外部と通信する際に用いるための通信ネットワークである。受信端末装置2は、通信ネットワーク9を介して、AIT起動可否判定サーバー装置11や、その他の外部装置との間で通信を行うことができる。
【0043】
AIT起動可否判定サーバー装置11は、ハイブリッドキャストアプリを起動することが可能か否かを判定して、判定結果を返す装置である。AIT起動可否判定サーバー装置11は、例えば受信端末装置2から、放送サービスを特定する情報と、ハイブリッドキャストアプリを特定する情報(例えば、AITの所在情報)を受信する。AIT起動可否判定サーバー装置11は、その放送サービスとハイブリッドキャストアプリとの組合せにおいて、ハイブリッドキャストアプリを起動してよいか否かを判定する。放送サービスとハイブリッドキャストアプリとが関連付けられていて、その放送サービスとそのハイブリッドキャストアプリの組合せにおいてのみ、そのハイブリッドキャストアプリを起動できる場合がある。AIT起動可否判定サーバー装置11は、その組み合わせごとに予め可否情報を保持するなどといった方法で、判定を行い、受信端末装置2からの問い合わせに対する回答を行うことができる。
【0044】
本実施形態のAIT起動可否判定サーバー装置11は、通常の(即ち、ウェブ用ではない)ハイブリッドキャストアプリの起動可否と、ウェブ用の(言い換えれば、ウェブリソースの)ハイブリッドキャストアプリの起動可否とを、区別して判定することができる。言い換えれば、本実施形態のAIT起動可否判定サーバー装置11は、上記の2種類のうちのいずれか一方のみの起動可否について判定を行ってもよい。あるいは、本実施形態のAIT起動可否判定サーバー装置11は、上記の2種類の両方のそれぞれの起動可否について判定を行ってもよい。いずれの場合も、AIT起動可否判定サーバー装置11は、受信端末装置2からの問い合わせに応答する形で、ハイブリッドキャストアプリの起動可否の情報を受信端末装置2に渡す。なお、AIT起動可否判定サーバー装置11と受信端末装置2との間のインターフェースについては、後で、複数の手法のそれぞれに応じて説明する。
【0045】
図2は、受信端末装置2の機能構成を示す機能ブロック図である。受信端末装置2は、放送波(放送信号)が含む映像や音声や字幕やイベント情報などといったリソース、あるいはその他のリソースを、ウェブのプラットフォームで活用可能とするための機能を持つ。具体的には、図示するように、受信端末装置2は、チューナー部201と、デスクランブラー202と、デマルチプレクサー203と、データ放送処理部211と、映像デコーダー部212と、音声デコーダー部213と、字幕デコーダー部214と、データ放送エンジン221と、通信部231と、ストリーミング受信部232と、デマルチプレクサー233と、映像デコーダー部242と、音声デコーダー部243と、字幕デコーダー部244と、アプリケーション制御部251と、アプリケーションエンジン252と、アプリケーションロンチャー253と、トランスコード部261と、ウェブリソース提供部262と、クライアント端末連携制御部263と、映像出力部271と、音声出力部272と、データ解析部281と、イベント処理部282と、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291と、を含んで構成される。
【0046】
受信端末装置2の各機能部は、例えば、電子回路を用いて構成される。また、受信端末装置2が持つ少なくとも一部の機能を、コンピューターと、プログラムとで実現することが可能である。また、各機能部は、必要に応じて、記憶手段を有する。記憶手段は、例えば、プログラム上の変数や、プログラムの実行によりアロケーションされるメモリーである。また、必要に応じて、磁気ハードディスク装置やソリッドステートドライブ(SSD)といった不揮発性の記憶手段を用いるようにしてもよい。受信端末装置2が持つ各部の機能は、次に説明する通りである。
【0047】
なお、
図2においては省略している機能部間のやりとりもある。それらについては、本実施形態の中で別途説明する。
【0048】
チューナー部201は、放送信号を受信し、受信した放送信号のチューニング(選局)を行い、選局された放送信号をデスクランブラー202に渡す。なお、受信される放送信号は、ISDB-T(地上デジタル放送)やISDB-S(衛星デジタル放送)などの放送信号である。なお、チューナー部201は、「受信部」とも呼ばれる。
【0049】
デスクランブラー202(descrambler)は、受信された放送信号をデスクランブルして出力する。デスクランブラー202は、デスクランブルした結果の信号を、デマルチプレクサー203に渡す。
【0050】
デマルチプレクサー203(demultiplexer)は、多重送信された放送信号から、個々のリソースの信号を取り出して出力する。具体的には、デマルチプレクサー203は、デスクランブラー202から出力された信号から、データ放送の信号や、映像の信号や、音声の信号や、字幕の信号や、必要に応じてその他の信号を、それぞれ抽出して出力する。
【0051】
データ放送処理部211は、デマルチプレクサー203が抽出したデータ放送の信号を処理する。データ放送の信号は、例えばBML(Broadcast Markup Language)で記述されたコンテンツである。
【0052】
映像デコーダー部212は、デマルチプレクサー203が抽出した映像のリソースを受け取り、映像としてデコード(復号)する。映像デコーダー部212は、デコード結果である映像を、映像出力部271およびトランスコード部261に渡す。
【0053】
音声デコーダー部213は、デマルチプレクサー203が抽出した音声のリソースを受け取り、音声としてデコードする。音声デコーダー部213は、デコード結果である音声を、音声出力部272およびトランスコード部261に渡す。
【0054】
字幕デコーダー部214は、デマルチプレクサー203が抽出した字幕のリソースを受け取り、デコードする。字幕デコーダー部214は、デコード結果である字幕のデータを、映像出力部271に渡す。さらに、字幕デコーダー部214は、その字幕のデータを、トランスコード部261にも渡してよい。
【0055】
データ放送エンジン221は、データ放送処理部211から出力されたコンテンツについての処理を行う。データ放送エンジン221は、その処理結果を、映像として、映像出力部271に渡す。
【0056】
通信部231は、外部の装置との通信を行う。通信部231は、例えば、インターネットプロトコル(IP)を用いて、外部と通信する。通信部231の機能により、受信端末装置2は、クライアント端末装置3等との間で相互に通信を行うことが可能となる。なお、通信部231は、後述する外部(例えば宅外)のサーバー装置(ウェブ編成情報管理サーバー装置91等)とも通信を行うことができる。
【0057】
ストリーミング受信部232は、通信(インターネット等)を介してストリーミング配信されるコンテンツの信号を受信する。ストリーミング受信部232は、受信した信号をデマルチプレクサー233に渡す。
【0058】
デマルチプレクサー233は、ストリーミング受信部232が受信したコンテンツの信号から、各リソースのデータをそれぞれ抽出する。抽出されるデータは、映像や、音声や、字幕等のデータである。デマルチプレクサー233は、映像のデータを映像デコーダー部242に渡し、音声のデータを音声デコーダー部243に渡し、字幕のデータを字幕デコーダー部244に渡す。デマルチプレクサー233が、映像や音声や字幕以外の種類のリソースを抽出してもよい。
【0059】
映像デコーダー部242は、デマルチプレクサー233から渡される映像のデータをデコードし、デコード後の映像を出力する。
【0060】
音声デコーダー部243は、デマルチプレクサー233から渡される音声のデータをデコードし、デコード後の音声を出力する。
【0061】
字幕デコーダー部244は、デマルチプレクサー233から渡される字幕のデータをデコードし、デコード後の字幕(テキスト)を出力する。
【0062】
アプリケーション制御部251は、受信端末装置2上で稼働するアプリケーションプログラムを制御する。つまり、アプリケーション制御部251は、下記のアプリケーションエンジン252でのアプリの稼働を制御する。具体的には、アプリケーション制御部251は、特定のアプリケーションプログラムを起動させたり、停止させたり、その他の管理を行ったりする。アプリケーション制御部251は、ハイブリッドキャストの技術(規定)に基づく制御を行う。
【0063】
アプリケーション制御部251は、クライアント端末装置3から送信されるアプリ起動要求に基づいてアプリを起動するようウェブリソース提供部262から指示を受ける場合がある。その場合、アプリケーション制御部251は、アプリを起動するための制御を行う。これにより、アプリが、アプリケーションエンジン252において実行される。
【0064】
また、アプリを起動するようウェブリソース提供部262から指示を受けたときに、アプリケーション制御部251は、後述するように、外部のAIT起動可否判定サーバー装置11に問い合わせを行ってもよい。この場合、アプリケーション制御部251は、AIT起動可否判定サーバー装置11からの応答に基づいて、アプリを起動させるか否かを決定する。クライアント端末装置3からの起動要求によってアプリケーション制御部251が起動するアプリは、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が変換結果として出力し、クライアント端末装置3に対して送信する、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリであってよい。
【0065】
アプリケーションエンジン252は、受信端末装置2上で稼働するアプリケーションプログラムを稼働させる環境である。言い換えれば、アプリケーションエンジン252は、アプリケーションプログラムを実行させる。アプリケーションプログラムは、例えば、HTML5で記述されるコンテンツである。HTML5で記述されるコンテンツは、画面等に提示するためのページの定義や、実行可能なコードを含む。
【0066】
アプリケーションロンチャー253は、特定のアプリケーションプログラムをアプリケーションエンジン252上で起動させるための機能を有するものである。
【0067】
トランスコード部261は、デコードされた映像や音声のデータを受け取り、通信を介して配信するためのフォーマット(ネット動画配信フォーマット)に変換(トランスコード)する。変換先のネット動画配信フォーマットは、例えば、MPEG-DASH(DASHは、「Dynamic Adaptive Streaming over HTTP」の略)やHLS(HTTP Live Streaming)である。つまり、トランスコード部261は、受信された放送信号から抽出されたリソース(映像リソースまたは音声リソースの少なくともいずれか)のデータを、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のデータにトランスコードして、ウェブリソースとして出力する。トランスコード部261が出力するデータは、ウェブリソース提供部262に渡され、さらにクライアント端末装置3側に提供され得るものである。なお、トランスコード部261がコンテンツをトランスコードする際のパラメーターは、アプリケーション制御部251やクライアント端末連携制御部263によって制御・設定され得るものである。
【0068】
ウェブリソース提供部262は、トランスコード部261から出力されるネット動画配信形式のコンテンツ(ウェブリソース)を受け取り、外部装置(クライアント端末装置3等)への配信の管理を行う。ウェブリソース提供部262は、トランスコード部261が出力した動画コンテンツを、少なくとも所定期間、蓄積しておくこともできる。ウェブリソース提供部262は、動画コンテンツを、通信部231経由で、クライアント端末装置3等に提供することができる。つまり、ウェブリソース提供部262は、外部に存在するクライアント端末装置3からの視聴要求に応じて、トランスコード部261が出力する前記ウェブリソースを、通信を介して、クライアント端末装置3に対して送信する。
【0069】
また、ウェブリソース提供部262は、ウェブクライアント(クライアント端末装置3等)が動画コンテンツを利用するためのエンドポイント情報を生成する。エンドポイント情報は、ウェブクライアント側から見た、動画配信コンテンツのアクセス先を表す情報である。ウェブリソース提供部262が生成したエンドポイント情報は、クライアント端末連携制御部263を介して、クライアント端末装置3側に渡され得る情報である。このエンドポイント情報によって、クライアント端末装置3は、動画コンテンツを取得するためのアクセス先を知る。
【0070】
本実施形態のウェブリソース提供部262は、さらに、チューナー部201が受信したAITのデータ、またはAITの所在情報(URL)のデータを受け取り、管理する。
【0071】
また、ウェブリソース提供部262は、クライアント端末連携制御部263と疎通し、ハイブリッドキャストの端末連携機能が持つ制御に応じた処理を行う。具体的には、ウェブリソース提供部262は、クライアント端末装置3からの、ハイブリッドキャストアプリの起動要求や、ハイブリッドキャストアプリの起動可否状態の取得要求や、ハイブリッ
ドキャストアプリに関する受信機状態の取得要求などに対応した処理を行う。
【0072】
また、ウェブリソース提供部262は、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツなどを、ウェブリソースとして、クライアント端末装置3に伝送する機能を持つ。また、ウェブリソース提供部262は、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291と疎通し、ハイブリッドキャストアプリの伝達を行ったり、変換処理の結果を受け取ったりする機能を持つ。
【0073】
つまり、ウェブリソース提供部262は、トランスコード部261が出力するウェブリソースを連携先のクライアント端末装置3に対して、通信を介して、送信する。また、ウェブリソース提供部262は、クライアント端末装置3から送信されるアプリ起動要求に基づいてアプリを起動するようアプリケーション制御部251に指示する。つまり、ウェブリソース提供部262は、連携先のクライアント端末装置3から送信されるアプリ起動要求に基づいてアプリを起動するようアプリケーション制御部251に指示し、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が変換した結果であるウェブプラットフォームで利用可能なアプリをクライアント端末装置3に対して通信を介して送信する。
【0074】
ウェブリソース提供部262は、後述するように、複数の方法のいずれかで、起動するアプリを決定する。
【0075】
ウェブリソース提供部262は、一つの方法として、クライアント端末装置3からのアプリ起動要求に含まれる情報によって特定されるアプリを起動するように、アプリケーション制御部251に指示する。この方法では、一例として、アプリ起動要求のデータ内に、AITのURLが含まれている。これにより、AITがアクセス可能となる。また、AIT内には、アプリケーションコードを特定する情報が含まれる。これにより、アプリケーション制御部251は、特定のアプリを起動することができる。
【0076】
ウェブリソース提供部262は、受信された放送信号に基づいて取得したアプリケーション情報テーブル、または受信した放送信号に基づくアプリケーション情報テーブルの所在情報、の少なくともいずれかを、通信を介して、連携先のクライアント端末装置に対して送信することができる。
【0077】
ウェブリソース提供部262は、別の方法として、チューナー部201が受信した放送信号に含まれる情報によって特定されるアプリを起動するように、アプリケーション制御部251に指示する。この方法では、一例として、受信した放送信号内に、AITのURLが含まれている。これにより、AITがアクセス可能となる。また、AIT内には、アプリケーションコードを特定する情報が含まれる。これにより、アプリケーション制御部251は、特定のアプリを起動することができる。
【0078】
ウェブリソース提供部262は、ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを介してクライアント端末装置3が情報の取得を要求してきた場合には、要求された情報をクライアント端末装置3に対して提供する場合がある。ウェブリソース提供部262が提供する情報とは、ウェブリソースのハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態であったり、ウェブリソースのハイブリッドキャストアプリに関する起動可否状態であったりしてよい。つまり、ウェブリソース提供部262は、クライアント端末装置3からの起動可否状態取得のリクエストに応じて、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリの起動可否状態のデータを、クライアント端末装置3に対して送信する。また、ウェブリソース提供部262は、クライアント端末装置3からの受信機状態取得のリクエストに応じて、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリについての受信機状態のデータを、クライアント端末装置3に対して送信する。
【0079】
クライアント端末連携制御部263は、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間の連携を制御する。具体的には、クライアント端末連携制御部263は、ハイブリッドキャストの端末連携機能によって、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間の連携を制御する。ハイブリッドキャストの端末連携機能自体は既存の技術であるが、クライアント端末連携制御部263は、本実施形態に特有の機能として、ハイブリッドキャストの端末連携機能を拡張した機能を実現するものである。
【0080】
具体的には、クライアント端末連携制御部263は、ハイブリッドキャストの端末連携機能(拡張機能を含む)によりクライアント端末装置3との連携動作を制御するとともに、ウェブリソースを利用するために必要な情報をクライアント端末装置に送信する。クライアント端末連携制御部263は、少なくとも、ウェブリソースを利用するためのロケーション(エンドポイント等)の情報をクライアント端末装置3に送信する。つまり、クライアント端末連携制御部263は、ウェブリソース提供部262と疎通し、端末間の連携のための処理の結果を、クライアント端末装置3に伝達する。その際、クライアント端末連携制御部263は、ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを介してクライアント端末装置3に対する情報伝達を行ったり、ウェブソケット(WebSocket)プロトコルによって情報伝達を行ったりする。
【0081】
クライアント端末連携制御部263は、拡張したハイブリッドキャストの端末連携機能において、次のような処理を行う。即ち、クライアント端末連携制御部263は、前述のエンドポイント情報を、クライアント端末装置3に対して提供する。また、クライアント端末連携制御部263は、放送リソースからトランスコードされたウェブリソースを利用するためのAPI(アプリケーションプログラムインターフェース)を、クライアント端末装置3に対して提供する。また、クライアント端末連携制御部263は、クライアント端末装置3側から渡されるトランスコード部261を制御するための情報を取得し、その制御情報(トランスコード処理用のパラメーター等)を、アプリケーション制御部251経由で、トランスコード部261に渡す。つまり、クライアント端末連携制御部263は、クライアント端末装置3からの情報に基づいて、トランスコード部261を制御する。なお、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間の連携については、後でさらに詳細に説明する。
【0082】
クライアント端末連携制御部263は、さらに、ハイブリッドキャストアプリの制御のために、次のような処理を行う機能を持つ。
【0083】
クライアント端末連携制御部263は、クライアント端末装置3からの、ハイブリッドキャストの端末連携機能を通しての、ハイブリッドキャストアプリの起動要求を解釈する。具体的には、クライアント端末連携制御部263は、クライアント端末装置3からの起動要求が、どのAITに基づいてアプリを起動することを要求しているものであるかを解釈する。後述する通り、クライアント端末装置3から明示的にAITの所在情報(URL、ユニフォームリソースロケーター)等が指定される場合には、クライアント端末連携制御部263は、その所在情報によって特定されるAITに基づいてアプリを起動することが要求されていると解釈する。クライアント端末装置3から明示的にAITの所在情報(URL)等が指定されない場合には、クライアント端末連携制御部263は、受信端末装置2が放送信号から抽出したAITの情報(URL等)に基づいてアプリを起動することが要求されていると解釈する。明示的にAITの所在情報等が指定されないというのは、例えば、指定された情報がヌル文字列である場合や、指定された情報が具体的にAITを直接指し示すものではない場合などである。例えば、クライアント端末装置3が、放送信号から求められるAITを用いるように明示的に指示する場合にも、クライアント端末連携制御部263は、受信端末装置2が放送信号から抽出したAITの情報に基づいてアプリを起動することが要求されていると解釈する。
【0084】
また、クライアント端末連携制御部263は、ハイブリッドキャストアプリの制御に関しても、クライアント端末装置3との間で、必要な情報の送受信を行う。つまり、クライアント端末連携制御部263は、ウェブリソース提供部262と疎通し、クライアント端末装置3から受信したリクエストの情報をウェブリソース提供部262に渡したり、ハイブリッドキャストアプリの制御の結果(レスポンス)の情報をクライアント端末装置3に送信したりする。クライアント端末連携制御部263は、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間の制御情報のやり取りを、ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを介して行ったり、websocketによる双方向のデータ(テキスト)の送受信により行ったりする。
【0085】
映像出力部271は、映像デコーダー部212や、字幕デコーダー部214や、映像デコーダー部242や、字幕デコーダー部244や、データ放送エンジン221等から渡される映像を統合して、統合された映像を出力する。つまり、映像出力部271は、その映像をユーザー(視聴者)に対して提示する。具体的には、映像出力部271は、ディスプレイ装置等に対して、提示するための映像の信号を出力する。なお、本実施形態において、受信端末装置2が、映像出力部271を持たない構成としてもよい。その場合にも、受信端末装置2は、映像(字幕に相当する情報を含む)をウェブリソースとしてクライアント端末装置3に提供することができる。
【0086】
音声出力部272は、音声デコーダー部213や音声デコーダー部243から渡される音声を、外部に出力する。具体的には、音声出力部272は、スピーカーやイヤフォン等に対して、音声の信号を出力する。なお、本実施形態において、受信端末装置2が、音声出力部272を持たない構成としてもよい。その場合にも、受信端末装置2は、音声をウェブリソースとしてクライアント端末装置3に提供することができる。
【0087】
データ解析部281は、データを解析し、映像データや音声データに関連付けられるメタデータを管理する。具体的には、データ解析部281は、受信端末装置2が受信して抽出した映像データを解析し、映像に含まれる人物あるいは物体の情報や、映像と同期する文字スーパー(テキスト)などを、メタデータとして管理する。また、データ解析部281は、受信端末装置2が受信して抽出した音声データを解析し、音声データに含まれる発話内容などの情報(話者や、発話テキスト等)をメタデータとして管理する。データ解析部281は、映像データや音声データに関連して管理しているメタデータを、クライアント端末装置3に提供することができる。具体的には、データ解析部281は、ウェブリソース提供部262と連携して、上記のメタデータをクライアント端末装置3に提供する。
【0088】
データ解析部281は、例えば、放送信号から抽出した字幕データと、放送信号から抽出した音声データの解析結果(例えば、音声認識処理等を含む解析の結果)とを照合し、こうどんな字幕処理結果を生成することもできる。
【0089】
また、データ解析部281は、上記のメタデータを、受信端末装置2が受信した番組情報(EPG-APIなどの情報)と照合(マッチング)させる機能を有する。EPGは、「Electronic Programming Guide」(電子番組表)の略である。
【0090】
なお、データ解析部281が使用する映像解析や音声解析の技術自体は、既存技術である。
【0091】
イベント処理部282は、受信した放送信号に含まれていたイベント情報に関する処理を行う。
【0092】
イベント処理部282は、ネット動画配信向けのイベント用メタデータとして、メディアタイムドイベント(MTE、MediaTimedEvents)のデータを生成する機能を有する。MTEのデータは、MPDもしくはEMSGである。MPDは、「Media Presentation Description」の略である。EMSGは、インバンド(in-band)形式のメッセージを格納するための形式である。イベント処理部282は、トランスコード部261が出力したネット動画(映像や音声)に、MTEを挿入する。イベント処理部282は、ウェブリソース提供部262と連携する。つまり、ウェブリソース提供部262がクライアント端末装置3に対してウェブリソースを提供する際に、イベント処理部282が、提供されるネット動画にMTEを挿入する。
【0093】
イベント処理部282は、MTEを用いてイベントを送信する代わりに、イベントの情報を表すテキストデータを、ハイブリッドキャストの端末連携機能の双方向の端末連携通信を用いて、クライアント端末装置3側に送信することもできる。
【0094】
つまり、イベント処理部282は、放送信号から抽出されたリソースに基づく、映像あるいは音声の少なくともいずれかに付随する付随情報を含むイベント情報を生成する。ここで、付随情報は、放送信号から抽出されたイベントメッセージと、字幕と、文字スーパーと、アプリケーション情報テーブル(AIT)と、サービス情報(SI)と、データ放送コンテンツと、のいずれか、である。あるいは、付随情報は、放送信号から抽出された映像リソースまたは音声リソースの少なくともいずれかを解析して得られたメタデータである。
【0095】
ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストコンテンツがクライアント端末装置3において利用可能となるための各種の変換等を行う。ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、単に「コンテンツ変換部」とも呼ばれる。本実施形態のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、アプリ(ハイブリッドキャストアプリ)を、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のアプリに変換する。具体的には、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、次のような処理を行う。
【0096】
ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストブラウザー向けに出力されるハイブリッドキャストアプリのコンテンツのデータを、一般的なウェブブラウザーで利用できる形のデータに変換する。さらに詳細には、次の通りである。ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストブラウザーに専用のAPIを、一般的なウェブブラウザーで利用可能なAPIに変換する。また、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストブラウザーのために出力されるタグを、一般的なウェブブラウザーで解釈可能なタグに変換する。一例としては、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストコンテンツの<object>タグを、<video>タグに変換する。また、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、受信端末装置2の状態(ステータス)を把握するためのAPIを、ハイブリッドキャストの端末連携機能が提供するAPIのリクエストに変換する。例えば、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、受信端末装置2の状態を把握するためのAPI(ハイブリッドキャストアプリ内から呼び出し可能な関数)である「getAvailableMedia()」を、ハイブリッドキャストの端末連携機能の利用可能メディア取得APIのリクエストに変換する。また、例えば、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、受信端末装置2の状態を把握するためのAPI(関数)である「getChannelInformation()」を、ハイブリッドキャストの端末連携機能のサービス一覧取得APIのリクエストに変換する。その他のAPIについても、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、適宜、同種の機能を有するハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIに変換する。
【0097】
なお、ハイブリッドキャストアプリのAPIの中には、ハイブリッドキャストの端末連携機能では代用できないものも存在する。例えば、動作環境(受信端末装置2)における郵便番号の取得のAPIなどがそれに該当する。そのようなAPIについては、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストの端末連携機能における端末連携通信(双方向)の機能を用いて、処理を、クライアント端末装置3側から受信端末装置2側に委託する流れを構築する。このとき、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、クライアント端末装置3側からのリクエストを、sendtexttohostdeviceの機能によって受信端末装置2側に送れるようにする。また、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、受信端末装置2での処理結果(レスポンス)を、endtexttoconpaniondeviceの機能によってクライアント端末装置3側に送れるようにする。
【0098】
以上のようにして、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストアプリのコンテンツを、クライアント端末装置3で利用可能とするような処理を行う。
【0099】
上記のような機能構成により、受信端末装置2は、放送信号として受信した映像や音声や字幕等のリソースを、クライアント端末装置3が持つウェブブラウザー(ウェブプラットフォーム)で提示(利用)できるようにする。即ち、受信端末装置2を用いることにより、放送リソースをウェブプラットフォームで利用できるようになる。
【0100】
なお、受信端末装置2が、オプションとして、次のような機能を持つようにしてもよい。受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対してはウェブサーバーとして機能するが、そのウェブサーバー内に、トランスコード部261が生成した動画データ(mp4など)を蓄積できるようにしても良い。これにより、例えばクライアント端末装置3からの要求に基づいて、巻き戻し視聴(特定の再生位置までジャンプ)を可能にしたり、ビデオオンデマンド(VOD)による視聴を可能にしたりすることができる。また、受信端末装置2が、動画再生プレーヤーの機能や、動画再生可能なHTMLコンテンツを持つようにしてもよい。これにより、クライアント端末装置3が動画再生プレーヤーの機能を持たない場合にも、動画の再生をすることが可能となる。また、受信端末装置2が、動画配信の際に、チャンク転送エンコーディング(chunked-transfer-encoding)を用いることができるようにしてもよい。これにより、CMAF(Common Media Application Format)での超低遅延配信を実現することも可能となる。
【0101】
図3は、クライアント端末装置3の内部の概略機能構成を示すブロック図である。図示するように、クライアント端末装置3は、通信部331と、アプリケーションエンジン352と、アプリケーションロンチャー353と、受信端末連携制御部363とを含んで構成される。クライアント端末装置3は、電子回路を用いて実現可能である。クライアント端末装置3が持つ機能の少なくとも一部を、コンピューターとプログラムとで実現してもよい。各部の機能は、次の通りである。
【0102】
なお、クライアント端末装置3を構成する機能は、必ずしもすべて同一のハードウェア上に実現される必要はない。複数の装置(ハードウェア)上に分散する形(疎結合)でクライアント端末装置3を実現してもよい。
【0103】
通信部331は、外部の装置との通信を行う。通信部331は、例えば、インターネットプロトコル(IP)を用いて、外部と通信する。通信部331の機能により、クライアント端末装置3は、受信端末装置2等との間で相互に通信を行うことが可能となる。
【0104】
アプリケーションエンジン352は、アプリケーションプログラムを実行させるものである。図示するように、例えばウェブアプリケーションは、アプリケーションエンジン352上で実行されるプログラムの一つである。具体的には、アプリケーションエンジン352は、受信端末装置2からウェブリソースを受信して利用するウェブアプリケーションを稼働させる。
【0105】
上記のウェブアプリケーションは、ウェブコンテンツを表示する機能を有するものである。ウェブコンテンツは、HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)で記述されたコンテンツや、MPEG-DASH動画再生プレーヤーなどを含むものである。
【0106】
アプリケーションロンチャー353は、アプリケーションエンジン352上で特定のアプリケーションプログラムを起動させるものである。アプリケーションロンチャー353は、例えばユーザーの操作等に基づいて、上記のウェブアプリケーションを起動させる。
【0107】
受信端末連携制御部363は、受信端末装置2との間で、ハイブリッドキャストの端末連携機能による連携動作を行う。具体的には、受信端末連携制御部363は、受信端末装置2が提供するウェブリソースを利用するための情報を、ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを介して取得する。ハイブリッドキャストの端末連携機能は標準化された技術であるため、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間では、装置のメーカー等に依存しない形で、相互に連携することが可能となる。
【0108】
つまり、受信端末連携制御部363は、ハイブリッドキャストの端末連携機能により、ウェブリソースを利用するために必要な処理を、受信端末装置2との連携動作として実行する。具体的には、受信端末連携制御部363は、少なくとも、ウェブリソースを利用するためのロケーション(エンドポイント等)の情報を受信端末装置2から受信する。また、受信端末連携制御部363は、受信端末装置2のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が出力するウェブプラットフォームで利用可能なアプリを取得するためのアプリ起動要求を受信端末装置2に対して送信する。
【0109】
受信端末連携制御部363が上記のアプリ起動要求を送信する際に、特定のアプリを指定するための情報を付けて送信する方法と、特定のアプリを指定するための情報を付けずに送信する方法との、どちらかを取り得る。前者の場合には、受信端末連携制御部363は、アプリ起動要求とともに、起動すべきアプリを特定する情報として、例えば、AITのURLを送信してよい。そのURLによって特定されるAITは、アプリの所在情報を含んでいる。後者の場合には、受信端末連携制御部363は、アプリ起動要求の際に、起動すべきアプリを特定する情報を送信しない。この場合、受信端末連携制御部363は、例えば、上記AITのURLの代わりにヌル文字列を送信したり、アプリを特定しないことを示す所定のデータを送信したりしてよい。この場合、受信端末装置2は、例えば、放送信号からAITのURL等のアプリを特定する情報を抽出し、それによって特定されるアプリを起動することができる。
【0110】
また、受信端末連携制御部363は、受信端末装置2から情報を取得するためのリクエストを受信端末装置2に対して送信することができる。具体的には、受信端末連携制御部363は、アプリの起動可否状態取得のリクエストを送信する。受信端末連携制御部363は、このリクエストに対応して受信端末装置2が送信する起動可否状態のデータを受信する。また、受信端末連携制御部363は、アプリの受信機状態取得のリクエストを送信する。受信端末連携制御部363は、このリクエストに対応して受信端末装置2が送信する受信機状態のデータを受信する。なお、受信端末装置2側で稼働する上記のアプリは、ハイブリッドキャストアプリであってよい。また、そのアプリからの出力であるコンテンツが、クライアント端末装置3で利用可能なウェブリソースであってよい。
【0111】
図4および
図5は、本実施形態において拡張されたハイブリッドキャストの端末連携機能を用いた、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間での、リクエストおよびレスポンスのシーケンスの例を示す概略図である。
【0112】
図示するステップS101からS115まで、およびステップS121からS132までの処理のうち、ステップS101からS115までが、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能においても存在するAPI(リクエストおよびレスポンス等)によるものである。ただし、従来のリクエストあるいはレスポンスの少なくとも一部が本実施形態のために拡張される場合もある。つまり、以下に説明するステップS101からS115までの処理のすべてが従来技術に属するものであるというわけではない。また、ステップS121からS132までの処理が、特に本実施形態に特有の拡張されたハイブリッドキャストの端末連携機能のAPI(リクエストおよびレスポンス)によるものである。
【0113】
また、受信端末装置2とクライアント端末装置3とが、これらのステップS101からS115まで、およびステップS121からS132までのすべての手順を順次実行するとは限らない。なお、図示する通り、ステップS115の処理以外は、リクエストとレスポンスの対としてまとまった処理である。ステップS115の処理は、双方向通信であり、その中の具体的な手順は、適用する処理内容およびデータ内容に依存する。
【0114】
以下では、
図4および
図5のそれぞれについて順に説明する。
【0115】
図4のステップS101において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、機器発見のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS102において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、機器発見のレスポンスを送信する。
【0116】
ステップS103において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、認証のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS104において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、認証のレスポンスを送信する。
【0117】
ステップS105において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、利用可能メディア取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS106において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、利用可能メディア取得のレスポンスを送信する。
【0118】
ステップS107において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、編成サービス一覧取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS108において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、編成サービス一覧取得のレスポンスを送信する。
【0119】
ステップS109において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、選局・HCアプリ起動要求のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS110において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、選局・HCアプリ起動要求のレスポンスを送信する。なお、「HC」は、ハイブリッドキャストの略である。
【0120】
ステップS111において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、起動可否状態取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS112において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、起動可否状態取得のレスポンスを送信する。
【0121】
ステップS113において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、受信機状態取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS114において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、受信機状態取得のレスポンスを送信する。なお、ここで「受信機」とは、受信端末装置2を指すものである。
【0122】
ステップS115において、クライアント端末装置3および受信端末装置2は、双方向に通信を行う。これにより、クライアント端末装置3と受信端末装置2とが連携動作することが可能となる。つまり、クライアント端末装置3と受信端末装置2とは、端末連携通信を行う。
【0123】
図5に移り、ステップS121において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブリソース機器発見のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS122において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブリソース機器発見のレスポンスを送信する。この「ウェブリソース機器発見」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0124】
ステップS123において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブリソース利用可否取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS124において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブリソース利用可否取得のレスポンスを送信する。この「ウェブリソース利用可否取得」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0125】
ステップS125において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブサービス一覧取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS126において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブサービス一覧取得のレスポンスを送信する。この「ウェブサービス一覧取得」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0126】
ステップS127において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブサービス起動要求のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS128において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブサービス起動要求のレスポンスを送信する。この「ウェブサービス起動要求」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0127】
ステップS129において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブサービス起動可否状態取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS130において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブサービス起動可否状態取得のレスポンスを送信する。この「ウェブサービス起動可否状態取得」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0128】
ステップS131において、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ウェブサービス状態取得のリクエストを送信する。上記のリクエストに対して、ステップS132において、受信端末装置2は、クライアント端末装置3に対して、ウェブサービス状態取得のレスポンスを送信する。この「ウェブサービス状態取得」のリクエストおよびレスポンスは、従来のハイブリッドキャストの端末連携機能の技術では存在しない手順である。
【0129】
次に、クライアント端末装置3からの要求に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを制御したり、ハイブリッドキャストアプリの稼働状態等に関する情報を取得したりするためのそり手順について、説明する。具体的には、以下において、手法1から手法13までのそれぞれについて説明する。また、これらの手法のバリエーション(変形例)についても説明する。
【0130】
[手法1]ハイブリッドキャストの端末連携機能経由での、ハイブリッドキャストコンテンツの活用(その1 ハイブリッドキャストの端末連携機能の機能拡張)
本手法では、ハイブリッドキャストの端末連携機能を拡張することによって、クライアント端末装置3側からのハイブリッドキャストコンテンツの起動を可能にする。ここで使用されるAPIは、
図4のステップS109(リクエスト)およびS110(レスポンス)である。本手法では、このAPIを拡張する。
【0131】
本手法では、具体的には、システム1は次のように動作する。即ち、受信端末装置2とクライアント端末装置3との間では、相互の機器発見に基づいて既にペアリングが確立している。即ち、受信端末装置2とクライアント端末装置3とは既に連携している。その状態から、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ハイブリッドキャストコンテンツの起動要求(mode=app)を送信する。受信端末装置2は、この起動要求を受け取り、指定されたハイブリッドキャストアプリケーションを起動させる。具体的には、受信端末装置2は、クライアント端末装置3からの起動要求に含まれる"resource"の指定にしたがって、放送サービス(チャンネル)を選局するとともに、上記起動要求に含まれるハイブリッドキャストのAIT(アプリケーション情報テーブル)のURLの情報にしたがって、ハイブリッドキャストアプリケーションを取得する。
【0132】
図6は、本手法によってクライアント端末装置3がハイブリッドキャストコンテンツの起動を要求するための、拡張されたAPIを示す概略図である。図示する通り、このAPIのURLは、「<BaseURL>/hybridcast」である。なお、<BaseURL>は、所定の、基底となるURLである(以後においても同様)。このAPIを呼び出すためのメソッドはPOSTである。
【0133】
図7は、上記の選局・ハイブリッドキャストアプリ起動要求(
図4のステップS109(リクエスト))の際にクライアント端末装置3から受信端末装置2に送信されるデータの例を示す概略図である。このデータは、例えば、JSON(JavaScript Object Notation)の形式で記述される。図示するように、このデータは、"resource"のブロック(第2行目から第6行目まで)と"hybridcast"のブロック(第7行目から第11行目まで)とを有する。"resource"のブロックは、上記の通り、選局対象とする放送サービスを特定する情報を持つ。具体的には、放送サービスは、トランスポートストリームID(transport_stream_id)と、オリジナルネットワークID(original_network_id)と、サービスID(service_id)との組で指定され得る。"hybridcast"のブロックは、上で説明したハイブリッドキャストのAIT(アプリケーション情報テーブル)のURLの所在情報(URL)を含む。"hybridcast"のブロックは、他に、組織ID(orgid)と、アプリケーションID(app_id)の情報を持っている。
【0134】
上記の選局・ハイブリッドキャストアプリ起動のリクエストを受けると、受信端末装置2は、ハイブリッドキャストアプリケーションを起動させるとともに、クライアント端末装置3がハイブリッドキャストコンテンツを利用するための処理を行う。つまり、受信端末装置2のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、ハイブリッドキャストコンテンツをウェブリソースに変換する。また、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、変換結果であるハイブリッドキャストコンテンツをクライアント端末装置3が利用するためのURLを生成する。受信端末装置のウェブリソース提供部262は、取得したハイブリッドキャストコンテンツを、クライアント端末装置3に提供する。即ち、ウェブリソース提供部262は、上記のリクエストに対応するレスポンスを、クライアント端末装置3に送信する。
【0135】
図8は、受信端末装置2からクライアント端末装置3に返されるレスポンス(
図4のステップS110に相当)のデータの例を示す概略図である。このデータは、例えばJSON形式で記述される。図示するように、このデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第9行目まで)とを持つ。ヘッダー("head")のデータは、ハイブリッドキャストアプリケーションが起動したことを示すものである。ボディー("body")のデータは、タスクID(taskid)の情報とウェブハイブリッドキャストURL(webhybridcasturl)の情報とを持つ。タスクIDは、稼働するタスク(ここでは、ハイブリッドキャストアプリ)を一意に識別するための情報である。また、ウェブハイブリッドキャストURLは、上述のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が生成した、ウェブリソースとしてのハイブリッドキャストコンテンツを利用するための所在情報である。本例では、そのURLは、「/webhybridcast/15180375.html」である。つまり、本例では、上記のタスクIDを用いたURLとしている。なお、このURL情報は、「エンドポイント」とも呼ばれる。
【0136】
[手法1の変形例1 ハイブリッドキャストコンテンツのURL指定方法]
ここで、本手法の変形例について、説明する。上の説明では、受信端末装置2からクライアント端末装置3へのレスポンスの中に、ウェブハイブリッドキャストURLの情報を含めるようにした。代わりに、変形例1として、レスポンス内にはURL情報を含めず、予めクライアント端末装置3側でもわかっている特定のURL(エンドポイント)で、クライアント端末装置3が、ハイブリッドキャストコンテンツを利用できるようにしてもよい。その場合、一例としては、固定のURLを用いてもよい。
【0137】
ただし、複数のクライアント端末装置3が同時に稼働する場合には、URLが競合しないように工夫することが必要である。例えば、クライアント端末装置3ごとに固有の文字列(端末ID等)を含むURLを使用する。あるいは、本変形例を用いず、リクエストの発生の都度、動的にURLを生成するようにする。
【0138】
[手法1の変形例2 ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291による変換処理の一例]
上記のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291がハイブリッドキャストコンテンツをクライアント端末装置3側で利用可能なウェブリソースに変換する処理の具体的な内容は、様々であるが、ここではその一例を説明する。
【0139】
受信端末装置2は、前述の通り、テレビ受像機である。つまり、受信端末装置2上では、ハイブリッドキャストブラウザーが稼働する。本手法では、ハイブリッドキャストアプリが出力するコンテンツを、一般的なウェブブラウザー(例えば、Chrome等)でも利用可能とするため、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、タグの変換を行う。ハイブリッドキャストアプリは、例えば放送コンテンツを表示するためのタグとして<object>タグを用いる。ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、この<object>タグを<video>タグに変換する。これにより、クライアント端末装置3側で稼働するブラウザーは、<video>タグで提供される動画を視聴者に提示することができる。
【0140】
また、ハイブリッドキャストアプリが提供するハイブリッドキャストブラウザー向けのAPIを、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が、一般的なウェブブラウザーでも利用できるように変換してもよい。ハイブリッドキャストアプリは元々ハイブリッドキャストブラウザーで動作することが想定されているが、このようにAPIを変換するようにすれば、一般的なウェブブラウザーにおいてもハイブリッドキャストアプリが利用可能となる。
【0141】
例えば、ハイブリッドキャストアプリのAPI(郵便番号の取得等)では、ハイブリッドキャストの端末連携機能におけるsendtextの機能を用いて、レスポンスのデータをテキストデータとして、受信端末装置2からクライアント端末装置3に送信するようにしてもよい。
【0142】
[手法1の変形例3 クライアント端末装置3側でのハイブリッドキャストコンテンツの変換処理]
上では、受信端末装置2内のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291が変換したコンテンツを、受信端末装置2からクライアント端末装置3に送信するようにしていた。本変形例では、受信端末装置2側では、ハイブリッドキャストコンテンツの変換を行わない。受信端末装置2は、ハイブリッドキャストアプリが出力するコンテンツのデータを、そのまま、クライアント端末装置3に送信する。クライアント端末装置3側には、既に説明した受信端末装置2内のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291と同様の変換処理の機能を持たせる。そして、クライアント端末装置3側にてハイブリッドキャストコンテンツの変換処理を行うようにする。これにより、クライアント端末装置3側でハイブリッドキャストコンテンツを利用することが可能となる。
【0143】
[手法1の変形例4 一般のウェブブラウザーで使用可能なハイブリッドキャストアプリを使用]
本変形例では、受信端末装置2側には、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291を持たない。本変形例では、代わりに、一般のウェブブラウザー(Chrome等)でも利用可能なハイブリッドキャストアプリを、予め用意しておく。ハイブリッドキャストアプリを受信端末装置2に対して提供するサーバー装置が、通常のハイブリッドキャストアプリの代わりに、一般のウェブブラウザーでも利用可能なハイブリッドキャストアプリを提供するようにする。受信端末装置2は、そのサーバー装置から、一般のウェブブラウザーでも利用可能なハイブリッドキャストアプリを取得して稼働させる。これにより、クライアント端末装置3側でハイブリッドキャストコンテンツを利用することが可能となる。
【0144】
[手法2 ハイブリッドキャストの端末連携機能経由での、ハイブリッドキャストコンテンツの活用(その2 ハイブリッドキャストの端末連携機能の別の機能拡張)]
本手法においても、ハイブリッドキャストの端末連携機能を拡張することによって、クライアント端末装置3側からのハイブリッドキャストコンテンツの起動を可能にする。本手法では、クライアント端末装置3が選局・HCアプリ起動要求のAPI(
図4のステップS109(リクエスト))を呼び出す際に、クエリーパラメーターとして「mode=web」を指定できるようにする。
【0145】
図9は、本手法におけるクライアント端末装置3からのハイブリッドキャストアプリ起動要求リクエストのAPIを示す概略図である。図示するように、このAPIを呼び出すためのURLとメソッドとは、
図6に示したものと同様である。ただし、
図9で示すAPIにおいては、拡張クエリーとして「mode=web」を指定するようになっている。このようなリクエストを受ける受信端末装置2は、このクエリーパラメーター「mode=web」を取得することにより、クライアント端末装置3からの要求がウェブでのハイブリッドキャストコンテンツの利用を求めるものであることを明示的に把握できる。
【0146】
なお、本手法において、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対するリクエストの際に送信されるデータは、
図7を参照しながら説明したデータと同様のものであってよい。
【0147】
[手法3 ハイブリッドキャストの端末連携機能経由での、ハイブリッドキャストコンテンツの活用(その3 ハイブリッドキャストの端末連携機能での新規API)]
本手法では、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対するハイブリッドキャストアプリの起動要求のために、新規APIを使用することを可能とする。
【0148】
図10は、ウェブプラットフォームで利用するための、クライアント端末装置3から受信端末装置2へのハイブリッドキャストアプリの起動要求のAPIを示す概略図である。図示するように、「webhybridcast」という新規のAPIを、クライアント端末装置3側から利用可能としている。このAPIのURLは「<BaseURL>/webhybridcast」である。また、このAPIを呼ぶためのメソッドはPOSTである。
【0149】
図11は、本手法のAPIを介してウェブプラットフォームで利用するためのハイブリッドキャストアプリの起動を要求する際に、クライアント端末装置3が受信端末装置2に対して送信されるデータの例を示す概略図である。図示するように、このデータもまた、"resource"のブロック(第2行目から第6行目まで)と"hybridcast"のブロック(第7行目から第11行目まで)とを持つ。"resource"のブロックは、上記の通り、選局対象とする放送サービスを特定する情報(トランスポートストリームID(transport_stream_id)、オリジナルネットワークID(original_network_id)、サービスID(service_id))を持つものである。"hybridcast"のブロックは、上で説明したハイブリッドキャストのAIT(アプリケーション情報テーブル)のURLの所在情報(URL)を含む。
【0150】
[手法4]ハイブリッドキャストアプリの起動可否判定サーバー装置に対する問い合わせ
本手法では、システム1において受信端末装置2がAIT起動可否判定サーバー装置11に対する問い合わせを行えるようにする。AIT起動可否判定サーバー装置11は、指定されたハイブリッドキャストアプリケーションプログラムがいかなる形態で稼働可能であるかを表す情報を、受信端末装置2に与える。
【0151】
具体的には、システム1は次の手順で動作する。クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、ハイブリッドキャストアプリの起動を要求する。クライアント端末装置3からの要求の方法は、前述の手法1から3までのどの手法であってもよい。受信端末装置2は、クライアント端末装置3からの要求を受けると、AIT起動可否判定サーバー装置11に対して、ハイブリッドキャストアプリの起動可否を問い合わせる。これに応じて、AIT起動可否判定サーバー装置11は、問い合わせ元の受信端末装置2に対して、起動可否の情報を応答する。受信端末装置2は、AIT起動可否判定サーバー装置11からの応答に応じて、クライアント端末装置3側から要求されたハイブリッドキャストアプリを起動するか否かを決定する。
【0152】
AIT起動可否判定サーバー装置11から起動不可の応答を得た場合には、受信端末装置2は、その形態でのハイブリッドキャストアプリを起動しない。また、その場合、受信端末装置2は、必要に応じてその形態でのハイブリッドキャストアプリの起動を要求したクライアント端末装置3に対して、処理結果として何らかのエラーを報告してもよい。
【0153】
AIT起動可否判定サーバー装置11から起動可能の応答を得た場合には、受信端末装置2は、その形態でのハイブリッドキャストアプリを起動する。また、その場合、受信端末装置2は、必要に応じてその形態でのハイブリッドキャストアプリの起動を要求したクライアント端末装置3に対して、処理結果として正常完了を、ないしは同種の結果を報告してもよい。
【0154】
図12は、本手法における、受信端末装置2からAIT起動可否判定サーバー装置11に対してリクエストを送信するためのインターフェースの例を示す概略図である。図示するように、このリクエストは、ハイブリッドキャストアプリの起動可否を問い合わせるものであり、メソッドはGETである。このリクエストのURLは、AIT起動可否判定サーバー装置11のURLと、クエリー文字列とを含む。受信端末装置2は、クライアント端末装置3から受信したハイブリッドキャストアプリの起動リクエストの内容に基づいて、このクエリー文字列を作成する。図示する例において、クエリー文字列は、「transport_stream_id=32736&original_network_id=32736&service_id=1024&aiturl=https%3A%2F%2Fexample.com%2Fait.xml&orgid=16&appid=5」である。つまり、このクエリー文字列は、
図7や
図11で例示した、選局・ハイブリッドキャストアプリ起動要求のデータに対応する。上記の通り、クエリー文字列は、トランスポートストリームID、オリジナルネットワークID、サービスID、AITのURL、ORGID、APPIDを具体的に特定するものである。
【0155】
図13は、
図12のリクエスト(問い合わせ)に対する、AIT起動可否判定サーバー装置11から受信端末装置2への応答のデータ例を示す概略図である。図示するように、このデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第9行目まで)とを有する。ボディーのブロックは、通常の(ウェブのコンテンツとして出力されない)ハイブリッドキャストアプリとしての起動可否の情報と、ウェブ用に出力されるハイブリッドキャストアプリとしての起動可否の情報とを、それぞれ持つ。ここに図示する例では、「hybridcast」のラベルで示されるデータは「OK」である。これは、通常のハイブリッドキャストアプリとしての起動が可能であることを表す。また、「webhybridcast」のラベルで示されるデータは「OK」である。これは、ウェブリソースとして出力されるハイブリッドキャストアプリとしての起動が可能であることを表す。
【0156】
上の例のように、AIT起動可否判定サーバー装置11は、パラメーターで指定されたハイブリッドキャストアプリの、通常のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報とを、受信端末装置2に送信する。
【0157】
[手法4の変形例1 AIT起動可否判定サーバー装置]
この手法4で用いるAIT起動可否判定サーバー装置11は、通常のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報と、の両方を、受信端末装置2に送信するものである。変形例として、通常のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報を受信端末装置2に返すAIT起動可否判定サーバー装置と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否の情報を受信端末装置2に返すAIT起動可否判定サーバー装置とを、別々に分けても受けてもよい。その場合には、これら2種類のAIT起動可否判定サーバー装置は、それぞれ独自のURLでアクセスされる。受信端末装置2は、必要に応じて、いずれか一方、あるいは両方のAIT起動可否判定サーバー装置に対して問い合わせを行うことができる。
【0158】
[手法4の変形例2 クエリー文字列内のパラメーターのキーワードにより、通常のハイブリッドキャストアプリとしての起動の問い合わせか、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリとしての起動の問い合わせかを区別]
手法4の変形例2では、クエリー文字列内のキーワードによって、通常のハイブリッドキャストアプリについての問い合わせか、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリについての問い合わせか、を区別する。
【0159】
図14は、本変形例における、受信端末装置2からAIT起動可否判定サーバー装置11に対してリクエストを送信するためのインターフェースの例を示す概略図である。
図12で示したリクエスト(クエリー)の例では、AITのURLを指定するパラメーター用のキーワードは「aiturl」であった。一方、本変形例の
図14で示すリクエストの例では、「webaiturl」というキーワードで、AITのURLを指定している。即ち、当該部分の文字列は「・・・webaiturl=https%3A%2F%2Fexample.com%2Fait.xml・・・」である。この例のように、キーワード「webaiturl」を用いて指定されたURLは、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリとしての起動の可否を問い合わせる対象となるAITのURLである。なお、キーワード「aiturl」を指定する場合には、そのクエリーは、通常のハイブリッドキャストアプリについての問い合わせである。
【0160】
図15は、
図14のリクエストに対応してAIT起動可否判定サーバー装置11が返すレスポンスのデータ例を示す概略図である。図示するように、このレスポンスのデータは、ヘッダー("head")のブロックのみを持つ。本例のレスポンスは、ヘッダーに記述された内容として、コード("code")の値「200」と、メッセージ("message")の値「OK」を持つ。このレスポンスのデータは、ハイブリッドキャストアプリが起動可能であることを表す。起動不可である場合には、AIT起動可否判定サーバー装置11は、起動不可であることを表すデータを、レスポンスとして返す。
【0161】
この変形例では、受信端末装置2からの問い合わせ時のキーワードによって、通常のアプリかウェブ用のアプリか、どちらについての問い合わせであるかを明示するようにしている。これにより、AIT起動可否判定サーバー装置11が返すレスポンスのデータを、シンプルな構造のデータとすることができる。
【0162】
[手法5 放送信号に基づくハイブリッドキャストコンテンツの活用(その1)]
本手法では、クライアント端末装置3側からAITの所在情報(URL)を指定するのではなく、放送信号に含まれるAITの所在情報に基づくハイブリッドキャストコンテンツを、クライアント端末装置3側で活用できるようにする。
【0163】
具体的には、次の通りである。受信端末装置2が受信する放送信号には、ハイブリッドキャストアプリを起動するためのAITのURLが含まれている。このようなアプリは、放送マネージドアプリとも呼ばれる。また、受信端末装置2は、ハイブリッドキャストの端末連携機能の所定の手順により、予めクライアント端末装置3との間のペアリングを完了している。即ち、受信端末装置2は、そのクライアント端末装置3と連携している。この状況において、クライアント端末装置3は、ハイブリッドキャストの端末連携機能におけるsendtext(テキスト送信)の機能を用いて、受信端末装置2に対して、ハイブリッドキャストアプリの起動を要求する。sendtextは、ハイブリッドキャストの端末連携機能のwebsocket(双方向の連携端末通信)が提供する機能の一つである。クライアント端末装置3からのリクエストのデータには、ハイブリッドキャストアプリのAITの所在情報が含まれない。つまり、クライアント端末装置3は、受信端末装置2が放送信号から抽出したAITの所在情報に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動することを、受信端末装置2に対して、要求している。
【0164】
上記のクライアント端末装置3からのリクエストに応じて、受信端末装置2は、放送信号から抽出されたURLに基づいてAITを取得し、そのAITを用いてハイブリッドキャストアプリを起動する。受信端末装置2のハイブリッドキャストコンテンツ変換部291は、そのハイブリッドキャストアプリからの出力を変換してウェブプラットフォームで利用可能な形態とする。ウェブリソース提供部262は、sendtextの機能を用いてクライアント端末装置3に対して、ハイブリッドキャストアプリにアクセスするためのURLを送信する。これにより、クライアント端末装置3は、ウェブプラットフォームを用いて、ハイブリッドキャストコンテンツを利用できる。
【0165】
上記の通り、本手法では、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対して、連携端末通信の機能を用いて、ハイブリッドキャストアプリの起動を要求する。ただし、クライアント端末装置3はAITの所在情報を送信する必要がない。また、受信端末装置2は、ハイブリッドキャストアプリを起動するとともに、そのコンテンツを利用するためのURLの情報を、クライアント端末装置3に対して、連携端末通信の機能を用いて送信する。
【0166】
[手法6 放送信号に基づくハイブリッドキャストコンテンツの活用(その2)]
本手法でも、上で説明した手法5と同様に、受信端末装置2は、放送信号から取得したAITの所在受法に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動する。ただし、本手法では、クライアント端末装置3は、ハイブリッドキャストの端末連携機能の、ハイブリッドキャストアプリ起動のリクエストを用いる。
【0167】
具体的には、次の通りである。受信端末装置2が受信する放送信号には、ハイブリッドキャストアプリを起動するためのAITのURLが含まれている。また、受信端末装置2は、ハイブリッドキャストの端末連携機能の所定の手順により、予めクライアント端末装置3との間のペアリングを完了している。その状況において、クライアント端末装置3は、ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを介して、受信端末装置2に対して、ハイブリッドキャストアプリの起動を要求する。なお、これは、「mode=app」による起動要求である。この起動要求のAPIについては、
図6を参照して説明した通りである。
【0168】
図16は、上記のハイブリッドキャストアプリの起動要求の際に、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対して送信されるデータの例を示す概略図である。図示するように、このデータは、
図7で示したデータと同様のデータ項目で構成される。ただし、
図16に示すデータでは、AITのURL("aiturl")が格納されておらず、ヌル文字列となっている。なお、URL("aiturl")として、ヌル文字列の代わりに、特定の文字列等が指定された場合に、放送信号から取得されるAITの所在情報を用いるようにしてもよい。
【0169】
図16に示すデータをクライアント端末装置3から受信した場合、受信端末装置2は、このデータが示す放送リソースの情報("resource")によって特定される放送サービスを選局する。その放送サービスを受信しているときに、受信端末装置2は、放送信号からAITのURLの情報を抽出することができる。一方、
図16に示すデータにおいて指定されているAITのURLは、ヌル文字列である。このため、受信端末装置2は、放送信号から得られたAITのURLに基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動する。
【0170】
なお、手法6で説明した事項以外については、システム1は、上述の手法5に準じて動作する。
【0171】
[手法7 放送信号に基づくハイブリッドキャストコンテンツの活用(その3 ハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIの拡張)]
本手法は、手法6の変形例である。つまり、本手法では、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求する際に、クエリーパラメーターとして「mode=web」を明示的に指定できるようにしている。
【0172】
図17は、本手法においてクライアント端末装置3が受信端末装置2に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求するためのAPIを示す概略図である。図示するように、このAPIにおいては、拡張クエリーとして「mode=web」を指定するようになっている。このようなリクエストを受ける受信端末装置2は、このクエリーパラメーター「mode=web」を取得することにより、クライアント端末装置3からの要求がウェブでのハイブリッドキャストコンテンツの利用を求めるものであることを明示的に把握する。
【0173】
なお、手法7におけるその他の点は、手法6と同様である。つまり、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対するリクエストにおいて、AITの所在情報を明示しない。受信端末装置2は、放送信号に含まれるAITの所在情報に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動する。
【0174】
[手法8 放送信号に基づくハイブリッドキャストコンテンツの活用(その4 ハイブリッドキャストの端末連携機能の新規API)]
本手法は、手法6の変形例である。本手法では、クライアント端末装置3から受信端末装置2に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求するための、新規APIを用いる。この新規APIは、ハイブリッドキャストの端末連携機能によって連携している受信端末装置2とクライアント端末装置3との間で使用され得るインターフェースである。
【0175】
図18は、本手法においてクライアント端末装置3が受信端末装置2に対してハイブリッドキャストアプリの起動を要求するためのAPIを示す概略図である。図示するように本手法では、「webhybridcast」という新規のAPIを、クライアント端末装置3側から利用可能としている。このAPIのURLは「<BaseURL>/webhybridcast」である。また、このAPIを呼ぶためのメソッドはPOSTである。
【0176】
なお、手法8におけるその他の点は、手法6や7と同様である。つまり、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対するリクエストにおいて、AITの所在情報を明示しない。受信端末装置2は、放送信号に含まれるAITの所在情報に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動する。
【0177】
[手法9 放送信号に基づくハイブリッドキャストコンテンツの活用(その5 起動可否判定サーバー装置に対する問い合わせ)]
本手法は、手法5から8までのいずれかの変形例である。つまり、本手法では、手法5から8までのいずれかの処理に加えて、受信端末装置2がAIT起動可否判定サーバー装置11に対する問い合わせを行えるようにする。AIT起動可否判定サーバー装置11は、指定されたハイブリッドキャストアプリケーションプログラムがいかなる形態で稼働可能であるかを表す情報を、受信端末装置2に与える。
【0178】
AIT起動可否判定サーバー装置11の機能は、前述の手法4と同様である。また、受信端末装置2からAIT起動可否判定サーバー装置11へのリクエスト(問い合わせ)およびそのレスポンスの手順等も、手法4において説明した通りである。即ち、受信端末装置2は、通常のハイブリッドキャストアプリとウェブ用のハイブリッドキャストアプリのいずれか、または両方について、起動可否をAIT起動可否判定サーバー装置11に問い合わせる。起動可否をAIT起動可否判定サーバー装置11は、その応答として、起動可否の情報を受信端末装置2に送信する。受信端末装置2は、起動可否をAIT起動可否判定サーバー装置11から受け取った可否情報に基づいて、ハイブリッドキャストアプリを起動するか否かを決定する。
【0179】
[手法10 起動可否状態取得APIの拡張(ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動可否状態)]
本手法では、起動可否状態取得API(
図4のステップS111およびS112)を拡張することにより、クライアント端末装置3が、ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を、受信端末装置2から受け取ることができるようにしている。
【0180】
本手法において、クライアント端末装置3は、起動可否状態取得APIを呼び出すことにより、受信端末装置2に対するリクエストを行う。リクエストするためのURLは「<BaseURL>/hybridcast」である。また、メソッドはGETである。これにより、受信端末装置2は、起動可否状態取得のリクエストを受信する。本手法の特徴は、受信端末装置2が、クライアント端末装置3に対して、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態(下記の"webhybridcast")を返す点である。
【0181】
図19は、本手法で拡張された起動可否状態取得APIにおいて、受信端末装置2からクライアント端末装置3に対して送信されるレスポンスのデータの例を示す概略図である。図示するように、このレスポンスのデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第22行目まで)とを持つ。ボディー("body")のデータは、タスクID("taskid")と、通常のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態("hybridcast")と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態("webhybridcast")と、を含む。通常のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態およびウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態は、それぞれ、受信端末装置2がクライアント端末装置3に返す起動可否状態のデータである。通常のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態およびウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態のそれぞれは、状態("status")と、コード("code")と、メッセージ("message")とを含む。
【0182】
本例では、通常のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態における状態は「NoProcess」であり、コードは「500」である。これは、通常のハイブリッドキャストアプリが起動不可であることを表している。また、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態における状態は「Done」であり、コードは「200」である。これは、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリが起動可能であることを表している。
【0183】
以上の説明の通り、本手法では、起動可否状態取得APIを拡張したことにより、クライアント端末装置3は、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を取得できる。
【0184】
[手法11 ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を取得するための新規API]
上の手法10では、既存のAPIを拡張することにより、クライアント端末装置3が、受信端末装置2から、ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を受信するようにした。これに対して、本手法では、ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を取得するための、ハイブリッドキャストの端末連携機能の新たなAPIを設けている。
【0185】
図20は、本手法において利用可能としているハイブリッドキャストの端末連携機能のAPIを示す概略図である。このAPIは、クライアント端末装置3が、受信端末装置2からウェブリソース向けのハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を取得するためのものである。クライアント端末装置3は、
図4のステップS111およびS112で示した起動可否状態取得の手順に代えて、
図20のAPIによって起動可否状態を取得することができる。図示するように、このAPIのURLは「<BaseURL>/webhybridcast」である。また、メソッドはGETである。
【0186】
図21は、
図20で示したクライアント端末装置3からのリクエストに対応して、受信端末装置2が返すレスポンスデータの例を示す概略図である。図示するように、このレスポンスのデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第15行目まで)とを持つ。ボディー("body")のデータは、タスクID("taskid")と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態("webhybridcast")とを含む。ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態は、状態("status")と、コード("code")と、メッセージ("message")とを含む。図示する例では、状態は「Done」、コードは「200」、メッセージは「OK」である。このデータは、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリが起動可能であることを表している。ウェブ用のハイブリッドキャストアプリが起動不可である場合には、例えば、状態が「NoProcess」、コードが「500」などといった値をとる。
【0187】
以上説明したように、本手法では、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動可否状態を問い合わせるための専用のAPIを用いるようにしている。これにより、受信端末装置2がクライアント端末装置3に返すレスポンスのデータを、シンプルな構造にすることができる。
【0188】
[手法12 受信機状態取得APIの拡張(ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの状態)]
本手法では、ハイブリッドキャストの端末連携機能の受信機状態取得のAPI(
図4のステップS113およびS114)を拡張することにより、クライアント端末装置3が、ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動状態を取得できるようにする。
【0189】
図22は、本手法で拡張したAPI(受信機状態取得)において、受信端末装置2がクライアント端末装置3に送信するレスポンスのデータの例を示す概略図である。図示するように、このレスポンスのデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第17行目まで)とを持つ。ボディーのデータは、通常のハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態のデータ("hybridcast"のラベルが付いている)と、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態のデータ("webhybridcast"のラベルが付いている)とを含む。このデータの例では、通常のハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態は「NotStarted」であり、即ちアプリが起動されていない(何もない)ことを表す。また、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリに関する受信機状態は「Running」であり、即ちアプリが起動され稼働中であることを表す。ボディー("body")内の状態("status")のブロック(第7行目から第16行目まで)は、アプリの起動状態を表す上記の2つのデータの他に、連携アプリ("companion_apps")およびリソース("resource")のデータを持つ。リソースのデータは、受信端末装置2が選局した放送サービスを特定する情報である。
【0190】
[手法13 ウェブリソースとして提供するハイブリッドキャストアプリの起動状態を取得するための新規API]
上の手法11では、既存のAPIを拡張することによって、受信端末装置2からクライアント端末装置3に、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの状態を渡した。本手法では、ハイブリッドキャストの端末連携機能の新規のAPIを用いる。即ち、本手法では、既存のAPIを拡張する代わりに、クライアント端末装置3がウェブ用のハイブリッドキャストアプリの状態を取得するための新規のAPIを用いるようにする。
【0191】
図23は、本手法で用いる、クライアント端末装置3と受信端末装置2との間のAPI
新規APIを示す概略図である。クライアント端末装置3は、ウェブリソースとして提供されるハイブリッドキャストアプリの起動状態を受信端末装置2に問い合わせるために、このAPIを呼び出すことができる。図示するように、このAPIのURLは「<BaseURL>/webstatus」である。また、このAPIを呼び出すためのメソッドはGETである。クライアント端末装置3は、
図4のステップS113およびS114で示した手順に代えて、本手法のAPIを呼び出すことができる。
【0192】
図24は、上の
図23で示したAPIにおける、受信端末装置2からクライアント端末装置3に対して送信されるレスポンスのデータの例を示す概略図である。図示するように、このレスポンスのデータは、ヘッダー("head")のブロック(第2行目から第5行目まで)とボディー("body")のブロック(第6行目から第16行目まで)とを持つ。ボディーのデータは、状態("status")というデータを持つ。状態のデータの要素の一つは、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動状態("status")のデータである。本図で示す例では、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動状態の値は「Running」であり、この値はウェブ用のハイブリッドキャストアプリが起動され、稼働中であることを表す。ウェブ用のハイブリッドキャストアプリが起動されていない(何もない)場合には、ウェブ用のハイブリッドキャストアプリの起動状態の値は、例えば、「NotStarted」などとされる。
【0193】
図24で示す状態("status")のデータは、他にも、連携アプリ("companion_apps")およびリソース("resource")のデータを持つ。リソースのデータは、受信端末装置2が選局した放送サービスを特定する情報である。
【0194】
以上説明したように、本手法では、ハイブリッドキャストの端末連携機能の新規のAPIを利用可能とした。このAPIは、クライアント端末装置3が、受信端末装置2から、ウェブリソースのハイブリッドキャストアプリの起動状態の情報を取得するために用いることができる。
【0195】
以上のように、手法1から13までのいずれかを用いて、受信端末装置2やクライアント端末装置3が処理を行う。なお、受信端末装置2やクライアント端末装置3が、手法1から13までのうちの複数の手法を組み合わせて処理を行ってもよい。
【0196】
図25は、本実施形態におけるシステム1を構成する各装置(受信端末装置2、クライアント端末装置3、およびその他の必要なサーバー装置等)の内部構成の例を示すブロック図である。各装置は、コンピューターを用いて実現され得る。図示するように、そのコンピューターは、中央処理装置901と、RAM902と、入出力ポート903と、入出力デバイス904や905等と、バス906と、を含んで構成される。コンピューター自体は、既存技術を用いて実現可能である。中央処理装置901は、RAM902等から読み込んだプログラムに含まれる命令を実行する。中央処理装置901は、各命令にしたがって、RAM902にデータを書き込んだり、RAM902からデータを読み出したり、算術演算や論理演算を行ったりする。RAM902は、データやプログラムを記憶する。RAM902に含まれる各要素は、アドレスを持ち、アドレスを用いてアクセスされ得るものである。なお、RAMは、「ランダムアクセスメモリー」の略である。入出力ポート903は、中央処理装置901が外部の入出力デバイス等とデータのやり取りを行うためのポートである。入出力デバイス904や905は、入出力デバイスである。入出力デバイス904や905は、入出力ポート903を介して中央処理装置901との間でデータをやりとりする。バス906は、コンピューター内部で使用される共通の通信路である。例えば、中央処理装置901は、バス906を介してRAM902のデータを読んだり書いたりする。また、例えば、中央処理装置901は、バス906を介して入出力ポートにアクセスする。
【0197】
なお、各装置の少なくとも一部の機能をコンピューターで実現する場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピューターシステムに読み込ませ、実行する。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、USBメモリー等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。つまり、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、非一過性の(non-transitory)コンピューター読み取り可能な記録媒体であってよい。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、一時的に、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリーのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0198】
[変形例A]
上で説明した実施形態では、受信端末装置2がトランスコード部261を備えていた。トランスコード部261は、放送信号から抽出される映像や音声を、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のウェブリソースに変換する。ただし、変形例として、受信端末装置2がトランスコード部261を持たなくてもよい。そのような構成であっても、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、アプリ(ハイブリッドキャストアプリ)の起動を要求できる。また、受信端末装置2は、上記起動要求に基づいてアプリ(コンテンツデータ)を出力し、そのアプリをクライアント端末装置3側で利用することが可能である。また、放送以外の、通信によって配信される映像や音声と、アプリからの出力とを組み合わせて、クライアント端末装置3側で利用することもできる。
【0199】
[変形例B]
変形例Bでは、アプリは、クライアント端末装置3上で稼働させるために、ハイブリッドキャストコンテンツ変換部291による変換を必要としない。言い換えれば、このアプリは、受信端末装置2でしか利用できない機能を用いていない。
【0200】
変形例Bにおいても、受信端末装置2のウェブリソース提供部262が、受信端末装置2によって受信された放送信号に基づいて特定されるアプリを、クライアント端末装置3が取得できるようにする。一例として、ウェブリソース提供部262は、受信された放送信号に基づいて取得したアプリケーション情報テーブル(AIT)を、通信を介して、連携先のクライアント端末装置3に対して送信するようにする。あるいは、ウェブリソース提供部262は、受信された放送信号に基づいて特定されるアプリケーション情報テーブルの所在情報(URL等)を、通信を介して、連携先のクライアント端末装置3に対して送信するようにしてもよい。これらの場合のいずれも、クライアント端末装置3は、通信を介して、そのアプリケーション情報テーブルを取得することができる。そして、クライアント端末装置3は、取得したアプリケーション情報テーブルから、アプリのコード自体の所在情報を把握し、アプリを取得することができる。
【0201】
以上説明したように、本実施形態(変形例を含む)では、クライアント端末装置3は、受信端末装置2と連携する。また、クライアント端末装置3は、受信端末装置2に対して、アプリの起動を要求する。また、受信端末装置2は、アプリを、ウェブプラットフォームで利用可能な形式のアプリに変換して、クライアント端末装置3に送信する。つまり、クライアント端末装置3は、ウェブプラットフォームで利用可能なアプリを利用することができる。
【0202】
以上、この発明の実施形態(変形例を含む)について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明は、例えば、映像等のコンテンツを提供する産業、およびそのための機器類を製造あるいは販売等する産業等に利用することができる。但し、本発明の利用範囲はここに例示したものには限られない。
【符号の説明】
【0204】
1 システム
2 受信端末装置(受信装置)
3 クライアント端末装置
4 アンテナ
8 ルーター
9 通信ネットワーク
11 AIT起動可否判定サーバー装置
201 チューナー部(受信部)
202 デスクランブラー
203 デマルチプレクサー
211 データ放送処理部
212 映像デコーダー部
213 音声デコーダー部
214 字幕デコーダー部
221 データ放送エンジン
231 通信部
232 ストリーミング受信部
233 デマルチプレクサー
242 映像デコーダー部
243 音声デコーダー部
244 字幕デコーダー部
251 アプリケーション制御部
252 アプリケーションエンジン
253 アプリケーションロンチャー
261 トランスコード部
262 ウェブリソース提供部
263 クライアント端末連携制御部
271 映像出力部
272 音声出力部
281 データ解析部
282 イベント処理部
291 ハイブリッドキャストコンテンツ変換部
331 通信部
352 アプリケーションエンジン
353 アプリケーションロンチャー
363 受信端末連携制御部
901 中央処理装置
902 RAM
903 入出力ポート
904,905 入出力デバイス
906 バス