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特開2022-184046外周塗布方法、基板処理装置及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184046
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】外周塗布方法、基板処理装置及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20221206BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221206BHJP
   B05C 11/08 20060101ALI20221206BHJP
   B05C 9/14 20060101ALI20221206BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20221206BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20221206BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20221206BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20221206BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20221206BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
G03F7/20 521
B05C11/08
B05C9/14
B05C11/10
B05D7/00 P
B05D7/24 301T
B05D3/06 102Z
B05D3/10 N
B05D3/10 H
B05D3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091665
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【弁理士】
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(74)【代理人】
【識別番号】100187849
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 隆史
(74)【代理人】
【識別番号】100212059
【弁理士】
【氏名又は名称】三根 卓也
(72)【発明者】
【氏名】川北 直史
【テーマコード(参考)】
2H197
4D075
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
2H197AA37
2H197AB04
2H197BA02
2H197CA03
2H197CE01
2H197DB05
2H197DB34
2H197HA03
4D075AC64
4D075AC88
4D075AC91
4D075AC94
4D075AE05
4D075BB20Z
4D075BB28Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB54Z
4D075BB63Z
4D075BB69Z
4D075BB91Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA06
4D075DA34
4D075DA35
4D075DB14
4D075DC21
4D075DC22
4D075EA05
4D075EA21
4D075EA45
4D075EC30
4F042AA07
4F042BA08
4F042BA12
4F042BA25
4F042CC10
4F042DB42
4F042EB05
4F042EB09
4F042EB18
5F146DD03
5F146JA01
5F146JA09
5F146JA13
5F146JA15
5F146JA20
(57)【要約】
【課題】基板の外周塗布における欠陥を抑制する。
【解決手段】周縁塗布方法であって、(A)基板の周縁部に、紫外線硬化型材料の塗布液を供給し、目標幅より広い塗布膜を形成する工程と、(B)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記目標幅を有する所定の領域に、紫外線を選択的に照射し硬化させる工程と、(C)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記紫外線が照射されておらず硬化されていない部分を、溶剤で除去する工程と、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)基板の周縁部に、紫外線硬化型材料の塗布液を供給し、目標幅より広い塗布膜を形成する工程と、
(B)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記目標幅を有する所定の領域に、紫外線を選択的に照射し硬化させる工程と、
(C)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記紫外線が照射されておらず硬化されていない部分を、溶剤で除去する工程と、を含む、周縁塗布方法。
【請求項2】
前記(B)工程は、基板を回転させながら紫外線を照射し、
(D)前記(B)工程前に、前記塗布液を供給しない状態で、基板を回転させ、前記(A)工程により形成された前記目標幅より広い前記塗布膜の流動性を低下させる工程を含む、請求項1に記載の周縁塗布方法。
【請求項3】
前記(D)工程は、回転する基板の外周を囲うカップに、回転する基板から排出された塗布液が衝突しない回転数で、基板を回転させる、請求項2に記載の周縁塗布方法。
【請求項4】
前記(A)工程は、前記塗布膜における前記(C)工程で除去される不要部分が基板の中央側に形成されるよう、基板を回転させながら、前記塗布液を供給する、請求項1~3のいずれか1項に記載の周縁塗布方法。
【請求項5】
前記(C)工程は、前記不要部分よりさらに基板の中央側から前記溶剤を供給する、請求項4に記載の周縁塗布方法。
【請求項6】
前記(A)工程は、基板の中央側から基板の外周に向けて前記塗布液を供給する、請求項4または5に記載の周縁塗布方法。
【請求項7】
前記(A)工程開始時に、基板上に既存膜が既に形成されている場合、
前記既存膜の外周端の位置に基づいて、前記(B)工程における前記紫外線の照射範囲を決定する工程を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の周縁塗布方法。
【請求項8】
互いに外周端位置が異なる前記既存膜が複数形成されている場合、
前記(B)工程は、最も基板の中央側に位置する前記既存膜の外周端から基板の外周端までの領域の一部を構成する保護対象領域に、前記紫外線を照射する、請求項7に記載の周縁塗布方法。
【請求項9】
前記(A)~(C)工程を繰り返し行い、目標幅の前記塗布膜を積層し、厚膜化する、請求項1~8のいずれか1項に記載の周縁塗布方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の周縁塗布方法を基板処理装置によって実行させるように、当該基板処理装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムを記憶した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持して回転させる回転保持部と、
前記回転保持部に保持されている基板に、紫外線硬化型材料の塗布液を供給する塗布液供給部と、
前記回転保持部に保持されている基板に、紫外線を照射する照射部と、
前記回転保持部に保持されている基板に、溶剤を供給する溶剤供給部と、
制御部と、を備え、
基板の周縁部に、前記塗布液を供給し、目標幅より広い塗布膜を形成する制御と、
前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記目標幅を有する所定の領域に、紫外線を選択的に照射し、前記所定の領域を硬化させる制御と、
前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記紫外線が照射されておらず硬化されていない部分を、溶剤で除去する制御と、を行う、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外周塗布方法、基板処理装置及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基板の周縁部に塗布液を塗布する周縁部塗布装置が開示されている。この装置は、基板を水平に保持して回転させる回転保持部と、基板の上方に位置して下方に塗布液を吐出する塗布液ノズルを有し、基板の表面に塗布液を供給する塗布液供給部と、塗布液ノズルを水平方向に移動させる水平移送部と、回転保持部、塗布液供給部及び水平移送部を制御する塗布制御部と、を備える。塗布制御部は、回転保持部を制御して前記基板を回転させると共に、塗布液供給部を制御して塗布液ノズルから塗布液を吐出させながら、水平移送部を制御して塗布液ノズルを基板の周縁の外側から基板の周縁部上に移動させるスキャンイン制御を行う。また、塗布制御部は、回転保持部を制御して基板を回転させると共に、塗布液供給部を制御して塗布液ノズルから塗布液を吐出させながら、水平移送部を制御して塗布液ノズルを基板の周縁部上から基板の周縁の外側に移動させるスキャンアウト制御とを行う。スキャンアウト制御を行うときに、塗布液が基板の周縁側に移動する速度に比べ低い速度で塗布液ノズルを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-110386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示にかかる技術は、基板の外周塗布における欠陥を抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、周縁塗布方法であって、(A)基板の周縁部に、紫外線硬化型材料の塗布液を供給し、目標幅より広い塗布膜を形成する工程と、(B)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記目標幅を有する所定の領域に、紫外線を選択的に照射し硬化させる工程と、(C)前記目標幅より広い前記塗布膜における、前記紫外線が照射されておらず硬化されていない部分を、溶剤で除去する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板の外周塗布における欠陥を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態にかかる基板処理装置としての外周塗布装置を備えた塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す説明図である。
図2】塗布現像処理システムの正面側の内部構成の概略を示す図である。
図3】塗布現像処理システムの背面側の内部構成の概略を示す図である。
図4】外周塗布装置構成の概略を示す縦断面図である。
図5】外周塗布装置の構成の概略を示す横断面図である。
図6】外周塗布処理の一例を示すフローチャートである。
図7】外周塗布処理中のウェハWの表面の周囲の様子を示す図である。
図8】塗布膜の形成領域の他の例を説明するための図である。
図9】ウェハの一例を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、例えば基板としての半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成し、その後レジスト膜にパターンを露光し、その後ウェハに対して現像処理を行い、ウェハ表面にレジストパターンを形成する。
【0009】
ところで、ウェハの周縁部のみに塗布液を供給し塗布膜を形成する外周塗布が知られている(特許文献1参照)。しかし、従来の外周塗布では、ウェハの周縁部に塗布液を供給したときに液跳ねが起こり、この液跳ねに起因した欠陥の発生等、不良が生じることがある。
【0010】
そこで、本開示にかかる技術は、基板の外周塗布における欠陥を抑制する。
【0011】
以下、本実施形態にかかる外周塗布方法及び基板処理装置を、図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<塗布現像処理システム>
図1は、本実施形態にかかる基板処理装置としての外周塗布装置を備えた塗布現像処理システムの内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3はそれぞれ、塗布現像処理システム1の正面側と背面側の内部構成の概略を示す図である。
【0013】
塗布現像処理システム1は、図1図3に示すように、ウェハを複数収容可能な容器であるカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、レジスト塗布処理等の所定の処理を施す各種処理装置を複数備えた処理ステーション3と、を有する。そして、塗布現像処理システム1は、カセットステーション2と、処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。また、塗布現像処理システム1は、後述の搬送装置70の制御を含む当該塗布現像処理システム1の制御を行う制御部6を有している。
【0014】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、塗布現像処理システム1のY方向負方向(図1の左方向)側の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、複数、例えば4つの載置板13が設けられている。載置板13は、水平方向のX方向(図1の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板13には、塗布現像処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0015】
ウェハ搬送部11には、ウェハWを搬送する搬送装置20が設けられている。搬送装置20は、X方向に延びる搬送路21と、搬送路21上を移動自在な搬送ユニット22が設けられている。搬送ユニット22は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各載置板13上のカセットCと、後述する処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0016】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数、例えば第1~第4の4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0017】
第1のブロックG1には、図2に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像処理装置30、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置31、ウェハWの周縁部に塗布液を供給し塗布膜を形成する外周塗布装置32が下からこの順に配置されている。
【0018】
例えば現像処理装置30、レジスト塗布装置31、外周塗布装置32は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像処理装置30、レジスト塗布装置31、外周塗布装置32の数や配置は、任意に選択できる。
【0019】
現像処理装置30、レジスト塗布装置31では、例えばスピン塗布法でウェハW上に所定の処理液を塗布する。スピンコーティングでは、例えば吐出ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0020】
例えば第2のブロックG2には、図3に示すようにウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う熱処理装置40や、ウェハW上のレジスト膜の周縁部を露光する周辺露光装置41が上下方向と水平方向に並べて設けられている。これら熱処理装置40、周辺露光装置41の数や配置についても、任意に選択できる。
【0021】
第3のブロックG3には、検査装置50と複数の受け渡し装置51が設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60が設けられている。
【0022】
図1に示すように第1のブロックG1~第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハWを搬送する搬送装置70が配置されている。
【0023】
搬送装置70は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。搬送装置70は、ウェハWを保持した搬送アーム70aをウェハ搬送領域D内で移動させ、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置に、ウェハWを搬送できる。搬送装置70は、例えば図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1~G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0024】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置71が設けられている。
【0025】
シャトル搬送装置71は、支持したウェハWをY方向に直線的に移動させ、同程度の高さの第3のブロックG3の受け渡し装置51と第4のブロックG4の受け渡し装置60との間でウェハWを搬送できる。
【0026】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側には、搬送装置72が設けられている。搬送装置72は、例えばθ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム72aを有している。搬送装置72は、ウェハWを保持した搬送アーム70aを上下に移動させ、第3のブロックG3内の各受け渡し装置51に、ウェハWを搬送できる。
【0027】
インターフェイスステーション5には、搬送装置73と受け渡し装置74が設けられている。搬送装置73は、例えばθ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム73aを有している。搬送装置73は、搬送アーム73aにウェハWを保持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置60、受け渡し装置74及び露光装置4との間でウェハWを搬送できる。
【0028】
上述の制御部6は、例えばCPU等のプロセッサやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、上述の各種処理装置や各種搬送装置等の駆動系の動作を制御して、後述のウェハ処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な非一時的な記憶媒体Mに記録されていたものであって、当該記憶媒体Mから制御部6にインストールされたものであってもよい。記憶媒体Mは、一時的なものであっても、非一時的なものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
【0029】
<ウェハ処理>
次に、塗布現像処理システム1を用いたウェハ処理の一例について説明する。なお、以下の処理は制御部6の制御の下、行われる。
【0030】
塗布現像処理システム1を用いたウェハ処理では、先ず、搬送装置20によって、カセット載置台12上のカセットCからウェハWが取り出され、処理ステーション3の検査装置50に搬送される。検査装置50では、当該検査装置50が有する撮像部(図示せず)によりウェハWの表面が撮像され、撮像結果が制御部6に出力される。上記撮像結果は、例えばウェハWの検査に用いられる。
【0031】
次にウェハWは、搬送装置70によって第2のブロックG2の熱処理装置40に搬送され温度調節処理される。その後、ウェハWは、第1のブロックG1のレジスト塗布装置31に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、プリベーク処理(PAB:Pre-Applied Bake)される。なお、プリベーク処理や後段のPEB(Post Exposure Bake)処理、ポストベーク処理では、同様な熱処理が行われる。ただし、各熱処理に供される熱処理装置40は互いに異なる。
【0032】
その後、ウェハWは、周辺露光装置41に搬送され、周辺露光処理される。
次にウェハWは、露光装置4に搬送され、所定のパターンで露光処理される。
【0033】
次いで、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、PEB処理される。その後ウェハWは、たとえば現像処理装置30に搬送されて現像処理される。現像処理終了後、ウェハWは、熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。
【0034】
続いて、ウェハは、外周塗布装置32に搬送され、外周塗布処理が行われ、ウェハWの周縁部の表面に、環状の塗布膜が形成される。外周塗布処理の詳細については後述する。
その後、ウェハWは、搬送ユニット22等により、カセット載置台12上のカセットCに搬送され、一連のフォトリソグラフィー工程が完了する。
【0035】
<外周塗布装置32>
次に、上述した外周塗布装置32の構成について図4及び図5を用いて説明する。図4及び図5はそれぞれ、外周塗布装置32の構成の概略を示す縦断面図及び横断面図である。
【0036】
外周塗布装置32は、図4及び図5に示すように内部を密閉可能な処理容器120を有している。処理容器120の側面には、ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0037】
処理容器120内には、ウェハWを保持して回転させる回転保持部としてのスピンチャック121が設けられている。スピンチャック121は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック121上に吸着保持できる。
【0038】
スピンチャック121は、チャック駆動機構122に接続されており、そのチャック駆動機構122により所望の速度に回転可能である。チャック駆動機構122は、スピンチャック121の回転のための駆動力を発生するモータ等の回転駆動源(図示せず)を有する。チャック駆動機構122によってスピンチャック121が回転することにより、ウェハWが回転する。
【0039】
さらに、チャック駆動機構122には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、チャック駆動機構122によりスピンチャック121は昇降可能である。チャック駆動機構122によってスピンチャック121が昇降することにより、ウェハWが昇降する。
チャック駆動機構122は制御部6により制御される。
【0040】
また、スピンチャック121の下方を取り囲むように、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン123が設けられている。昇降ピン123は、ピン駆動機構124に接続されており、そのピン駆動機構124により昇降可能である。昇降ピン123は、ピン駆動機構124により、スピンチャック121の上面より高い位置まで突出することができ、スピンチャック121に対するウェハWの受け渡しを行うことができる。
【0041】
スピンチャック121の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するアウターカップ130と、アウターカップ130の内周側に位置するインナーカップ140とが設けられている。アウターカップ130は、スピンチャック121に保持された状態で回転するウェハWの外周側方を囲い、インナーカップ140は、スピンチャック121に保持されたウェハWの下方に位置する。
【0042】
図5に示すようにアウターカップ130のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するレール150A、150Bが形成されている。レール150A、150Bは、例えばアウターカップ130のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール150Aには、2本のアーム151、152が設けられ、レール150Bには、1本のアーム153が設けられている。
【0043】
第1アーム151には、塗布液供給部としての液供給ノズル160が支持されている。液供給ノズル160は、スピンチャック121に保持されているウェハWの表面に紫外線硬化型材料の塗布液を供給する。紫外線硬化型材料の塗布液は、レジスト塗布装置31で用いられるレジスト液とは異なるものであり、例えば紫外線硬化樹脂である。紫外線硬化樹脂は、例えばモノマー、オリゴマー、光重合開始材等を有しており、紫外線が照射されると、液体であるモノマーの状態から、光重合により、固体であるポリマーの状態に変化し、硬化する。紫外線硬化型材料の塗布液は、液供給ノズル160からウェハWの表年に供給された段階では流動性を有している。
【0044】
第1アーム151は、ノズル駆動機構161により、レール150A上を移動自在である。ノズル駆動機構161は、第1アーム151の移動のための駆動力を発生するモータ等の移動駆動源(図示せず)を有する。ノズル駆動機構161により第1アーム151がレール150A上を移動することにより、液供給ノズル160が、アウターカップ130のY方向負方向側の外方に設置された待機部162からアウターカップ130内のウェハWの周縁部上方まで移動できる。また、ノズル駆動機構161には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、ノズル駆動機構161によって第1アーム151は昇降可能である。ノズル駆動機構161によって第1アーム151が昇降することにより、液供給ノズル160が昇降する。
ノズル駆動機構161は制御部6により制御される。
【0045】
液供給ノズル160には、紫外線硬化型材料の塗布液の供給源(図示せず)が接続されている。また、液供給ノズル160と上記供給源とを接続する供給管(図示せず)には、上記供給源から液供給ノズル160への紫外線硬化型材料の塗布液の供給を制御するための供給機器群(図示せず)が設けられている。上記供給機器群は、例えば、紫外線硬化型材料の塗布液の供給及び供給停止を切り換える供給弁や上記塗布液の流量を調節する流量調整弁を有する。
上述の供給機器群は制御部6により制御される。
【0046】
第2アーム152には、溶剤供給部としての溶剤供給ノズル170が支持されている。溶剤供給ノズル170は、スピンチャック121に保持されているウェハWの表面に溶剤を供給する。溶剤は、紫外線硬化型材料の塗布液の供給によりウェハW上に形成された塗布膜のうち、硬化されている部分を除去せずに硬化されてない部分のみを除去することができる。
【0047】
第2アーム152は、ノズル駆動機構171により、レール150A上を移動自在である。ノズル駆動機構171は、第2アーム152の移動のための駆動力を発生するモータ等の移動駆動源(図示せず)を有する。ノズル駆動機構171により第2アーム152がレール150A上を移動することにより、溶剤供給ノズル170が、アウターカップ130のY方向正方向側の外方に設置された待機部172からアウターカップ130内のウェハWの周縁部上方まで移動できる。また、ノズル駆動機構171には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、ノズル駆動機構171によって第2アーム152は昇降可能である。ノズル駆動機構161によって第2アーム152が昇降することにより、溶剤供給ノズル170が昇降する。
ノズル駆動機構171は制御部6により制御される。
【0048】
溶剤供給ノズル170には、溶剤の供給源(図示せず)が接続されている。また、溶剤供給ノズル170と上記供給源とを接続する供給管(図示せず)には、上記供給源から溶剤供給ノズル170への溶剤の供給を制御するための供給機器群(図示せず)が設けられている。上記供給機器群は、例えば、溶剤の供給及び供給停止を切り換える供給弁や溶剤の流量を調節する流量調整弁を有する。
上述の供給機器群は制御部6により制御される。
【0049】
第3アーム153には、照射部としての照射ノズル180が支持されている。照射ノズル180は、スピンチャック121に保持されているウェハWの表面に上方から紫外線を照射する。照射ノズル180から照射される紫外線の波長は例えば10~500nmである。照射ノズル180は、例えば、紫外線を出射する光源(図示せず)を有する。この光源は制御部6により制御される。
【0050】
第3アーム153は、ノズル駆動機構181により、レール150B上を移動自在である。ノズル駆動機構181は、第3アーム153の移動のための駆動力を発生するモータ等の移動駆動源(図示せず)を有する。ノズル駆動機構181により第3アーム153がレール150B上を移動することにより、照射ノズル180が、アウターカップ130のY方向正方向側の外方からアウターカップ130内のウェハWの周縁部上方まで移動できる。また、ノズル駆動機構181には、シリンダ等の昇降駆動源が設けられており、ノズル駆動機構181によって第3アーム153は昇降可能である。ノズル駆動機構181によって第3アーム153が昇降することにより、照射ノズル180が昇降する。
ノズル駆動機構181は制御部6により制御される。
【0051】
液供給ノズル160には、紫外線硬化型材料の塗布液の供給源(図示せず)が接続されている。また、液供給ノズル160と上記供給源とを接続する供給管(図示せず)には、上記供給源から液供給ノズル160への紫外線硬化型材料の塗布液の供給を制御するための供給機器群(図示せず)が設けられている。上記供給機器群は、例えば、紫外線硬化型材料の塗布液の供給及び供給停止を切り換える供給弁や上記塗布液の流量を調節する流量調整弁を有する。
上述の供給機器群は制御部6により制御される。
【0052】
この外周塗布装置32は、制御部6が接続されており、該制御部6がノズル駆動機構161、171、181、紫外線硬化型材料の塗布液及び溶剤の供給に対する前述の供給機器群、照射ノズル180の光源等を制御することにより、ウェハWの表面の周縁部に沿って、ウェハWと略同心且つ環状の塗布膜を形成する。なお、この塗布膜は、例えば、レジストパターンの周縁部に対する保護膜として用いられる。このように保護膜を設けることにより、保護膜形成後のウェハWに対するエッチング処理時に、レジストパターンの周縁部が除去され下地が露出したり、レジストパターンが異常形状となったりするのを防ぐことができる。
【0053】
<外周塗布処理>
次に、外周塗布装置32における外周塗布処理の一例について説明する。図6は、外周塗布処理の一例を示すフローチャートである。図7は、外周塗布処理中のウェハWの表面の周囲の様子を示す図である。なお、以下の処理は、制御部6の制御の下、行われる。
【0054】
(ステップS1)
図6に示すように、例えば、まず、ウェハWが、搬送装置70によって外周塗布装置32に搬入される(ステップS1)。外周塗布装置32に搬入されたウェハWは、搬送装置70から、予め上昇して待機していた昇降ピン123に受け渡され、続いて昇降ピン123が下降して、アウターカップ130内のスピンチャック121に受け渡され吸着保持される。
【0055】
(ステップS2)
次いで、図7(a)に示すように、ウェハWの周縁部に、紫外線硬化型材料の塗布液D1が供給され、目標幅Pより広い塗布膜T1が形成される(ステップS2)。具体的には、例えば、後述のステップS5で塗布膜T1の不要部分Hが除去されるところ、その不要部分HがウェハWの中央側に形成されるよう、ウェハWが回転され、その回転中に紫外線硬化型材料の塗布液D1が供給され、目標幅Pより広い環状の塗布膜T1が、ウェハWの周縁部の表面に形成される。
【0056】
より具体的には、液供給ノズル160が、ウェハWの周縁部の上方まで移動される。その後、スピンチャック121に保持されたウェハWが回転され、その回転中に、液供給ノズル160からの紫外線硬化型材料の塗布液D1が、ウェハWの周縁部の表面における、目標幅Pの塗布膜が形成される領域R1より内側に供給される。これにより、目標幅Pより広い環状の塗布膜T1が、ウェハWの周縁部の表面に形成される。
【0057】
紫外線硬化型材料の塗布液D1の供給の際、図に示すように、ウェハWの中央側からウェハWの外周に向けて、紫外線硬化型材料の塗布液D1が供給されるよう、液供給ノズル160が傾けられていてもよい。より具体的には、紫外線硬化型材料の塗布液D1の供給の際、側面視で目標幅PよりもウェハWの中央側からウェハWの外周に向けて、紫外線硬化型材料の塗布液D1が供給されるよう、液供給ノズル160が傾けられていてもよい。これにより、以下を防ぐことができる。すなわち、液供給ノズル160から吐出された紫外線硬化型材料の塗布液はウェハWの表面に衝突すると跳ね返ることがあるが、この跳ね返った塗布液が、目標幅Pの環状の塗布膜が形成される領域R1よりウェハWの中央側すなわち内側に付着することを抑制することができる。
なお、このステップS2により形成される環状の塗布膜は、その幅が例えば目標幅より0.5mm以上大きく、その内周端からウェハWの周端までの距離Lが10mm未満である。また、ステップS2でのウェハWの回転数は例えば200~700rpmである。
【0058】
(ステップS3)
続いて、紫外線硬化型材料の塗布液D1を供給させていない状態で、ウェハWを回転させ、目標幅より広い塗布膜の流動性を低下させる。
具体的には、液供給ノズル160からの紫外線硬化型材料の塗布液D1の供給が停止された後、液供給ノズル160がアウターカップ130外に退避されると共に、ステップS2から引き続いてウェハWが回転される。これにより、ウェハWの周縁部の表面上の上記塗布膜T1を構成する塗布液の一部が排出され、その結果、上記塗布膜T1の流動性が低下する。
【0059】
このステップS3により、塗布膜T1の流動性は、後述のステップS4でウェハWを回転させ塗布膜に紫外線を照射させるときに、ウェハWの回転により塗布膜T1が変位しない程度に低下する。ただし、このステップS3により、塗布膜T1の流動性が完全に失われるわけではない。すなわち、このステップS3により塗布膜T1が乾燥するわけではない。このステップS3で塗布膜T1が乾燥すると、塗布膜T1の表面の外周端と内周端に盛り上がり(ハンプ(hump))が生じる場合があるが、上述のようにこのステップS3では塗布膜T1乾燥しないため上記ハンプを抑制することができる。
【0060】
例えば、このステップS3では、回転するウェハWから排出された塗布液D1がアウターカップ130に衝突しない回転数でウェハWが回転される。これにより、アウターカップ130に衝突した塗布液D1の飛沫が生じるのを防ぐことができる。このような回転数であれば、ステップS3において、ウェハWの回転により塗布膜T1が変位しない程度に、塗布膜の流動性を低下させることができる。
【0061】
なお、このステップS3でのウェハWの回転数はステップS2と等しくてもよいし高くてもよい。
また、ステップS3は省略してもよい。
【0062】
(ステップS4)
その後、目標幅Pより広い塗布膜T1における、目標幅Pを有する所定の領域R2に、紫外線Uを選択的に照射させ、上記所定の領域R2を硬化させる。
具体的には、照射ノズル180がウェハWの周縁部の上方まで移動される。また、ステップS3に引き続いてウェハWが回転され、回転中に、照射ノズル180からの紫外線がウェハWの周縁部の表面に向けて照射される。これにより、照射ノズル180からの紫外線が、ウェハWの表面の周縁部に形成された目標幅Pより広い塗布膜T1における、目標幅Pを有する所定の環状の領域R2に照射され、上記所定の環状の領域R2が選択的に硬化される。なお、前述の不要部分Hは硬化されない。
【0063】
(ステップS5)
そして、図7に示すように、目標幅Pより広い塗布膜T1における、紫外線Uが照射されておらず硬化されていない部分すなわち不要部分Hが溶剤D2で除去され、これにより、硬化された目標幅Pの塗布膜T2が形成される。
具体的には、照射ノズル180からの紫外線Uの照射が停止されると共に、照射ノズル180がアウターカップ130から退避され、代わりに、溶剤供給ノズル170がウェハWの周縁部の上方まで移動される。また、ステップS4に引き続いてウェハWが回転され、回転中に、溶剤供給ノズル170からの溶剤D2が、ウェハWの周縁部の表面に供給される。これにより、目標幅Pより広い環状の塗布膜T1における未硬化部分すなわち前述の不要部分Hが除去され、目標幅Pの環状の塗布膜T2が形成される。
【0064】
また、このステップS5では、上記未硬化部分すなわち前述の不要部分Hよりさらにウェハの中央側から溶剤D2を供給することが好ましい。これにより、ステップS2で前述の不要部分Hより内側に跳ね返って付着した塗布液D1の液滴Zを除去することができる。
なお、ステップS5においても、ステップS2と同様、溶剤の供給の際、図に示すように、ウェハWの中央側からウェハWの外周に向けて溶剤D2が供給されるよう、溶剤供給ノズル170が傾けられていてもよい。
【0065】
(ステップS6)
その後、ウェハWの搬入時と逆の手順で、ウェハWが搬出される。これにより一連の外周塗布処理が完了する。
【0066】
<本実施形態の主な効果>
以上の外周塗布処理では、制御部6が、
・ウェハWの周縁部に、紫外線硬化型材料の塗布液D1を供給し、目標幅Pより広い塗布膜T1を形成する制御
・目標幅Pより広い塗布膜T1における、目標幅Pを有する所定の領域R2に、紫外線Uを選択的に照射し、所定の領域R2を硬化させる制御
・目標幅Pより広い塗布膜T1における、紫外線Uが照射されておらず硬化されていない不要部分Hを、溶剤D2で除去する制御
を行っている。
つまり、本実施形態では、目標幅Pより広い塗布膜T1の形成後、必要部分のみを硬化させ、不要部分Hを洗浄、除去している。
そのため、ウェハWの周縁部に紫外線硬化型材料の塗布液D1を供給したときに液跳ねが起こったとしても、溶剤D2により除去することができる。この液跳ねに起因した欠陥の発生等、を抑制することができる。つまり、ウェハWの外周塗布における欠陥を抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態の外周塗布処理では、以上の説明から明らかな通り、塗布膜形成後のウェハWの加熱が不要である。外周塗布処理で、塗布膜形成後のウェハWの加熱が必要な場合、塗布膜形成時に当該塗布膜内に生じた気泡が、ウェハWの加熱により膨張し、気泡を含む部分が破裂し、塗布膜に穴が開くことがある。それに対し、前述のように、本実施形態では、塗布膜形成後のウェハWの加熱が不要であるため、塗布膜形成時に当該塗布膜T1内に生じた気泡が生じたとしても、気泡が膨張しないので、塗布膜T1、T2に穴が開くのを抑制することができる。
【0068】
さらに、従来の外周塗布処理では、塗布液が付着した部分が全て塗布膜となるため、環状の塗布膜の内周端に、塗布液の広がり方や吐出精度に起因したうねり(ブレ)が発生する。本実施形態の外周塗布処理によれば、環状の塗布膜T1の形成時に、環状の塗布膜T1の内周端にうねりが発生していたとしても、そのうねり部分を除去することができる。つまり、本実施形態によれば、内周端にうねりのない環状の塗布膜T2を得ることができる。その結果、ウェハWにおけるデバイス形成領域を有効に活用することができる。
【0069】
また、塗布膜T1の形成時の条件(例えば塗布液供給時のウェハWの回転数や液の吐出量)及び薬液種によって塗布液の広がり態様が変わる。そのため、従来の外周塗布処理では、例えば薬液種毎等に上記条件を調節する必要がある。それに対し、本実施形態の塗布処理は、上記条件を薬液毎に調節する必要がないため、ロバスト性が高い。
【0070】
<塗布膜の形成領域の他の例>
以上の例では、ウェハWのベベルを除いた部分における、周縁部の表面に、紫外線硬化型材料の塗布膜を形成していた。これに加えて、図8に示すように、本実施形態の外周処理によってベベルW1を含むウェハWの周縁部の表面に目標幅の紫外線硬化型材料の塗布膜T1aを形成してもよい。
【0071】
ベベルW1に目標幅の紫外線硬化型材料の塗布膜T1aを形成する場合、例えば、照射ノズル180の光軸を可変とし、被照射領域に応じて光軸を調整してもよい。これより、ウェハWのベベルW1にも、紫外線硬化型材料の塗布膜T1aを適切に形成することができる。照射ノズル180の光軸を可変とすることに代えて、以下のようにしてもよい。すなわち、光源からの紫外線をミラーにより反射し、反射光をベベルW1に照射する構成とし、上記ミラーの角度を可変とし、被照射領域に応じてミラーの角度すなわち光路を調整してもよい。
【0072】
また、本実施形態にかかる外周塗布処理では、塗布膜の乾燥が不要であり、ウェハWを高速で回転させる必要がないため、ウェハWのベベルW1まで塗布膜を形成する場合でも、塗布膜を構成する塗布液の塊がベベルW1から飛び出すことを抑制することができる。したがって、上記塗布液の塊の飛び出しに起因する窪み(クレーター)が塗布膜に形成されるのを抑制することができる。
さらに、本実施形態にかかる外周塗布処理によれば、ウェハWのベベルW1における塗布膜を形成する領域を容易に調整することができる。
【0073】
なお、本実施形態にかかる技術は、紫外線硬化型材料の塗布膜をウェハWの周縁部の裏面に形成する場合にも適用することができる。
【0074】
<外周塗布処理の他の例>
図9は、ウェハの一例を示す部分拡大断面図である。
図9に示すように、ウェハWに、互いに外周端位置が異なる既存膜が複数形成されている場合がある。図の例では、3つの既存膜F1~F3がウェハWに形成されている。
このように複数の既存膜が形成されている場合または1つの既存膜が形成されている場合も、基本的に、図7を用いて説明した外周塗布処理と同様な処理が行われる。ただし、上述のような場合、既存膜の外周端位置に基づいて、前述のステップS4における紫外線の照射範囲が制御部6により決定されてもよい。また、上述のような場合、前述のステップS2における塗布膜の形成領域は、十分大きな範囲が予め定められていてもよいし、既存膜の外周端位置に基づいて制御部6により決定されてもよい。
【0075】
既存膜の外周端位置は、例えば、ウェハW毎に当該ウェハWの識別情報と関連付けられたデバイス・レイヤー情報を参照して取得される。デバイス・レイヤー情報とは、ウェハW上の各層(レイヤー)を構成する膜に関する情報のリストであり、例えば膜種の情報や前後の処理フローに関する情報等を含む。
また、既存膜の外周端位置は、例えば、検査装置50等の撮像装置で事前に撮像されたウェハWの画像から取得されてもよい。
【0076】
上述のように外周端位置が異なる既存膜F1~F3が形成されている場合、前述のステップS3では、図9に示すように、最もウェハの中央側に位置する既存膜F3の外周端からウェハWの外周端までの領域の一部を構成する領域が保護対象領域とされ、当該保護対象領域に、紫外線が照射されるようにしてもよい。図の例では、既存膜F3の外周端と、既存膜F1~F3にも覆われていないウェハWの外周端が、保護対象領域A1、A2とされている。
【0077】
このようにすることにより、既存膜F1~F3の外周端及び既存膜F1~F3にも覆われていないウェハWの周端のうち、保護が要求される個所が複数であっても、その複数の保護が要求される個所に、一回の外周塗布処理で同時に保護膜すなわち塗布膜T2を形成することができる。なお、「保護が要求される個所」とは、例えば、後のエッチングにおいて侵食の抑制が要求される部分に設定される。
【0078】
また、保護が要求される個所は、例えば、前述のデバイス・レイヤー情報に基づいて、制御部6が判定してもよい。前述のデバイス・レイヤー情報は、膜種の材料特性に関する情報や、前後の処理フローに関する情報を含んでいる。これらの情報に基づいて、制御部6が、後の処理で保護が必要か否かの判定や、既存膜の材料が保護する必要があるものであるか否かの判定を行い、判定結果に基づいて、保護が要求される個所すなわち前述の紫外線の照射範囲を決定してもよい。なお、保護が要求される個所は、ユーザからの入力に基づいて決定されてもよい。
【0079】
<外周塗布処理のその他の例>
前述のステップS2~S5を繰り返し順に行い、目標幅の塗布膜を積層させ、厚膜化させてもよい。1回目のステップS5までの実施による硬化状態の塗布膜に対して2回目のステップS2の実施により、その硬化状態の塗布膜及びその内側を含む範囲で塗布膜が形成される。そのときの塗布膜は上記硬化状態の塗布膜の範囲において他の領域よりも上方に盛り上がった状態となる。その後、また同様にステップS3~S5を行うと、上記他の領域の塗布膜は除去され、上記硬化状態の塗布膜の厚みが目標幅で増す。流量や回転数を上げても液種や粘度による流動性から一度の供給と硬化によって得られる厚さには限界があることと、基板上の塗布対象範囲外に液を広げたくないことからも、基板上への局所領域での厚膜化に対して、上記のように繰り返しによる複数回の硬化による塗布膜の積層化は有効である。
【0080】
<変形例>
以上の例では、外周塗布処理を外周塗布装置32のみで行っていたが、外周塗布処理のうち紫外線照射を周辺露光装置41で行い、その他を外周塗布装置32で行うようにしてもよい。
【0081】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
6 制御部
32 外周塗布装置
121 スピンチャック
160 液供給ノズル
170 溶剤供給ノズル
180 照射ノズル
D1 塗布液
D2 溶剤
P 目標幅
R2 領域
T1 塗布膜
U 紫外線
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9