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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184150
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/472 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
A61F13/472 300
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021091831
(22)【出願日】2021-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】川上 祐介
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA15
3B200BB09
3B200CA11
3B200CA12
3B200CA15
(57)【要約】
【課題】股下域の外側縁に掛かった力を吸収性物品全体に伝わり難くし、吸収性物品の側縁におけるよれや折れを抑制できる吸収性物品を提供する。
【解決手段】吸収性物品(1)は、表面シート(10)、裏面シート(20)、及び表面シートと裏面シートの間に配置された吸収体(30)を有する。吸収性物品は、着用者の排泄口に対向する股下域(S1)、股下域よりも前側に位置する前側域(S2)、及び股下域よりも後側に位置する後側域(S3)を有する。吸収性物品の幅方向の外側縁である物品側縁(80)は、股下域において前後方向に延びる股下側縁(85)と、股下側縁よりも前後方向の外側に位置し、幅方向の内側に凹む凹み側縁(81,82)と、を有する。物品側縁は、股下側縁よりも前後方向の外側の領域(R10)の全域に亘って、股下側縁に沿う線を股下側縁の外側に延長した延長仮想線(EL1)よりも前記幅方向の内側に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体を有し、
着用者の排泄口に対向する股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域、及び前記股下域よりも後側に位置する後側域を有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品の幅方向の外側縁である物品側縁は、前記股下域において前記前後方向に延びる股下側縁と、前記股下側縁よりも前後方向の外側に位置し、前記幅方向の内側に凹む凹み側縁と、を有し、
前記物品側縁は、前記股下側縁よりも前記前後方向の外側の領域の全域に亘って、前記股下側縁に沿う線を前記股下側縁の外側に延長した延長仮想線よりも前記幅方向の内側に位置する、吸収性物品。
【請求項2】
前記股下側縁は、前記股下側縁の中央から前記前後方向の外側に向かって前記幅方向の外側に延びる傾斜部分を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記股下側縁は、最も幅方向の内側に位置する股下内側点と、前記股下側縁の前記前後方向の外端である前記股下外端点と、を有し、
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有し、
前記股下内側点と前記股下外端点を繋ぐ股下仮想線は、前記股下側縁に隣接する前記凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線よりも前後方向に対する傾斜角度が小さい、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である前記凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有し、
前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度は、前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点を有し、
前記凹み内側点は、前記凹み側縁の前記前後方向の中心よりも前記前後方向の内側に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である前記凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有し、
前記凹み側縁は、第1凹み側縁と、前記第1凹み側縁よりも前記前後方向の外側に位置する第2凹み側縁と、を有し、
前記第2凹み側縁における凹み内側点と凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度よりも大きい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第2凹み側縁におる前記内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度よりも大きい、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
少なくとも前記吸収体を厚み方向に圧縮し、前記吸収性物品の前記幅方向の中心を挟んで前後方向に延びる一対の圧搾部を有し、
前記圧搾部において最も幅方向の外側に位置する最外側縁は、前記前後方向において、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点と、の間に位置する、請求項6又は請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収体は、2層のエアレイドパルプ不織布と、前記エアレイドパルプ不織布間に配置された高吸収ポリマーと、を含む吸収シートを備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品の側縁に幅方向の内側に凹む凹み側縁が設けられた吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸収性物品の側縁に幅方向の内側に凹む凹み部を有する吸収性物品が開示されている。特許文献1の吸収性物品の凹み部は、股下域から前側域、及び後側域の全体にかけて複数並んで配置されている。各凹み部の幅方向の外側縁間を結んだ仮想線は、股下域の中央が幅方向の内側に膨らむ円弧形状である。当該仮想線上に、各凹み部の幅方向の外側縁が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-111792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
股下域の外側縁には、着用者の脚が当たり、当該脚によって押圧される。このとき、股下域に外側縁に掛かる力は、各凹み部の幅方向の外側縁が配置された仮想線に沿って伝播する。このとき、仮想線上に、凹み部の幅方向の外側縁が配置されているため、股下域に掛かった力が仮想線に沿って順々に前後方向の外側に位置する凹み部に伝わり、吸収性物品全体に亘ってよれや折れが発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、股下域の外側縁に掛かった力を吸収性物品全体に伝わり難くし、吸収性物品の側縁におけるよれや折れを抑制できる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る吸収性物品は、表面シート、裏面シート、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体を有し、着用者の排泄口に対向する股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域、及び前記股下域よりも後側に位置する後側域を有する。前記吸収性物品の幅方向の外側縁である物品側縁は、前記股下域において前記前後方向に延びる股下側縁(85)と、前記股下側縁よりも前後方向の外側に位置し、前記幅方向の内側に凹む凹み側縁(81,82)と、を有する。前記物品側縁は、前記股下側縁よりも前記前後方向の外側の領域の全域に亘って、前記股下側縁に沿う線を前記股下側縁の外側に延長した延長仮想線(EL1)よりも前記幅方向の内側に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、吸収性物品の肌面側から見た平面図である。
図2図2は、図1のA-A線に沿った断面図である。
図3図3は、図1のB部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
一態様に係る吸収性物品は、表面シート、裏面シート、前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体を有し、着用者の排泄口に対向する股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域、及び前記股下域よりも後側に位置する後側域を有する。前記吸収性物品の幅方向の外側縁である物品側縁は、前記股下域において前記前後方向に延びる股下側縁(85)と、前記股下側縁よりも前後方向の外側に位置し、前記幅方向の内側に凹む凹み側縁(81,82)と、を有する。前記物品側縁は、前記股下側縁よりも前記前後方向の外側の領域の全域に亘って、前記股下側縁に沿う線を前記股下側縁の外側に延長した延長仮想線(EL1)よりも前記幅方向の内側に位置する。物品側縁は、股下側縁よりも前後方向の外側の領域において、延長仮想線よりも幅方向の内側に位置しており、延長仮想線上に配置されない。物品側縁が延長仮想線上に配置されないため、延長仮想線に沿って力が前側域及び後側域に伝播しても、物品側縁の変形や折れを抑制できる。よって、股下域の外側縁に掛かった力を吸収性物品全体に伝わり難くし、物品側縁におけるよれや折れを抑制できる
【0009】
好ましい態様によれば、前記股下側縁は、前記股下側縁の中央から前記前後方向の外側に向かって前記幅方向の外側に延びる傾斜部分を有する。股下側縁の中央から前後方向の外側に向かって、幅方向の内側から幅方向の外側に力を逃がすことができ、当該逃がす方向に物品側縁が存在しないため、前側域及び後側域の折れやよれを抑制できる。
【0010】
好ましい態様によれば、前記股下側縁は、最も幅方向の内側に位置する股下内側点と、前記股下側縁の前記前後方向の外端である前記股下外端点と、を有する。前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有する。前記股下内側点と前記股下外端点を繋ぐ股下仮想線は、前記股下側縁に隣接する前記凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線よりも前後方向に対する傾斜角度が小さい。股下仮想線の方が前後方向に対する傾斜角度が小さく、股下域においては、なだらかに傾斜しており、脚の内側の形状に沿い易い。一方、着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。物品側縁の形状が、前後方向に対してより傾斜(幅方向に延びるため)、物品側縁が身体の形状に対して沿いやすくなる。
【0011】
好ましい態様によれば、前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である前記凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有する。前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度は、前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度よりも小さい。内側仮想線は、外側仮想線よりも、前後方向の短い範囲で凹み内側点に向かって幅方向内側に延びている。そのため、股下側縁側から凹み側縁に向けて力が伝播した際に、当該力を短い距離で分断し易く、前後方向の外側に向けて力を伝え難くできる。よって、股下側縁から前後方向の外側に向かって変形をより伝播し難くできる。
【0012】
好ましい態様によれば、凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点を有し、前記凹み内側点は、前記凹み側縁の前記前後方向の中心よりも前記前後方向の内側に位置する。凹み内側点は、物品側縁の変形基点となり、股下側縁からの力を分断する点となる。本態様によれば、股下側縁に近い側に変形基点となる凹み内側点を配置し、吸収性物品の前後方向の外側における変形をより抑制できる。
【0013】
好ましい態様によれば、前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である前記凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である前記凹み外端点と、を有する。前記凹み側縁は、第1凹み側縁と、前記第1凹み側縁よりも前記前後方向の外側に位置する第2凹み側縁と、を有する。前記第2凹み側縁における凹み内側点と凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度よりも大きい。着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。前後方向の外側に位置する第2凹み側縁の形状が、前後方向に対してより傾斜(幅方向に延びるため)、物品側縁が身体の形状に対してより沿いやすくなる。
【0014】
好ましい態様によれば、前記第2凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度よりも大きい。着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。前後方向の外側に位置する第2凹み側縁の形状が、前後方向に対してより傾斜(幅方向に延びるため)、物品側縁が身体の形状に対してより沿いやすくなる。
【0015】
好ましい態様によれば、少なくとも前記吸収体を厚み方向に圧縮し、前記吸収性物品の前記幅方向の中心を挟んで前後方向に延びる一対の圧搾部を有する。前記圧搾部において最も幅方向の外側に位置する最外側縁は、前記前後方向において、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点と、の間に位置する。第1凹み側縁の凹み内側点と第2凹み側縁の凹み内側点との間の領域は、圧搾部において最も幅方向の外側に位置する最外側縁によって剛性を確保でき、平面状に維持され易く、身体に対して適切に当たり続けることができる。
【0016】
好ましい態様によれば、前記吸収体は、2層のエアレイドパルプ不織布と、前記エアレイドパルプ不織布間に配置された高吸収ポリマーと、を含む吸収シートを備える。エアレイドパルプ不織布を構成する繊維は、比較的繊維長が長く、平面状態を維持しやすい。また、吸収体は、パルプを積層した吸収体と比較して、一旦変形した後に元の形状に戻り易い。よって、使用過程において吸収性物品の幅を確保しやすく、身体に当て続けやすくなる。
【0017】
(2)実施形態に係る吸収性物品の全体概略構成
以下、図面を参照して、実施形態に係る吸収性物品を詳細に説明する。図1は、一実施形態における吸収性物品の平面図である。図2は、図1に示すA-A線に沿った吸収性物品の断面図である。図3は、図1のB部分の拡大図である。図2においては、説明の便宜上、吸収性物品を構成する各部材が部分的に厚み方向に離間しているが、実際の製品においては、各部材が接合された部分を有する。ここで、本発明における外端縁とは、前後方向Lの外側に位置する縁であり、内端縁とは、前後方向Lの内側に位置する縁である。ここで、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける縁である。吸収性物品1は、主として体液を吸収する目的の吸収性物品である。吸収性物品1は、ナプキンのように主として経血を吸収する目的であってもよいし、おりものシートのように主としておりものを吸収する目的であってもよいし、軽失禁パッドのように主として尿を吸収する目的であってもよい。本実施の形態の吸収性物品1は、主として尿を吸収する軽失禁パッドである。吸収性物品1は、薄型であってよく、自然状態における厚みは、4.5mm以下であってよく、より好適には、3.0mm以下であってよい。
【0018】
吸収性物品1は、互いに直交する前後方向Lと幅方向Wを有し、かつ着用者の肌面側T1から非肌面側T2へ延びる厚み方向Tを有する。肌面側T1は、使用時に、着用者の肌に面する側に相当する。非肌面側T2は、使用時に、肌面側T1とは反対側、すなわち着用者の肌とは反対に向けられる側に相当する。吸収性物品1は、股下域S1、前側域S2及び後側域S3を有する。股下域S1は、着用者の排泄口、例えば排尿口に対向する領域である。吸収性物品1が下着に装着されたときに、股下域S1は下着の股下部に配置され、着用者の両足の間に配置される領域である。前側域S2は、股下域S1よりも前側に位置する。後側域S3は、股下域S1よりも後方に位置する。股下域S1、前側域S2及び後側域S3は、吸収性物品1を前後方向Lに三等分した領域によって構成されてよい。
【0019】
吸収性物品1は、吸収体30と、表面シート10と、裏面シート20と、を少なくとも有してよい。表面シート10は、吸収体30の肌面側T1を覆っている。表面シート10は、吸収体30の肌面側T1を覆うセンターシート11と、センターシート11よりも肌面側T1に位置し、センターシート11の幅方向Wの外側部を覆うサイドシート12と、を有してよい。サイドシート12は、着用時に起立する防漏ギャザー70を構成する。センターシート11は、吸収性物品の外縁(前後方向Lの端縁、及び幅方向Wの端縁)に到達している。センターシート11及びサイドシート12は、不織布によって構成されてよく、少なくともセンターシート11は、液透過性を有し、サイドシート12は、その表面が疎水処理されていてもよい。裏面シート20は、吸収性物品1の全域に配置されており、厚み方向Tの最も非肌面側T2に設けられている。裏面シート20は、液不透過性を有し、フィルムによって構成されてよい。裏面シート20の非肌面には、吸収性物品1を着用物品に接合する接合部60が設けられてよい。
【0020】
吸収性物品1は、吸収性物品1の幅方向Wの側部において起立可能な防漏ギャザー70を有してよい。防漏ギャザー70は、防漏弾性部材74の収縮によって起立可能な収縮部71と、収縮部71よりも前後方向Lの外側に位置し、収縮部71の起立基点となる前後基点(図示せず)と、収縮部71よりも幅方向Wの外側に位置し、収縮部71の起立基点となる幅基点(図示せず)と、を有する。より詳細には、図2に示すように、サイドシート12の内側部が折り畳まれており、当該サイドシート12に前後方向Lに伸長された状態で防漏弾性部材74が配置されている。サイドシート12は、センターシート11に対して接合されていない領域において、防漏弾性部材74の収縮によって着用者側に起立する。
【0021】
吸収体30は、体液を吸収する吸収材料を有する。吸収材料は、主として高吸収ポリマー35であってよい。吸収材料における高吸収ポリマー35の含有量は、吸収材料全体の25%以上である。なお、吸収体30は、パルプを有してよい。図2に示すように、本実施の形態の吸収体30は、吸収シートであり、高吸収ポリマー35を複数のシート部材によって挟んでいる。複数のシート部材は、吸収体30の肌面及び非肌面の一方に配置され、吸収体30の外側部に位置する折り目FLを基点に、吸収体30の肌面及び非肌面の他方側に折り返された一対の折り返し部382を有する折り返しシート38と、一対の折り返し部382を跨いで配置されたカバーシート39と、を有してよい。本実施の形態の折り返しシート38は、吸収体30の肌面に配置され、折り目FLを基点に、非肌面側T2かつ幅方向Wの内側に向けて折り返されている。折り返しシート38の非折り返し部381は、一対の折り目FL間において連続して延びる領域に配置されている。折り返しシート38の折り返し部382は、折り目FLから幅方向Wの内側に延びており、一対の折り返し部382は、互いに離間していてもよいし、重なっていてもよい。
【0022】
カバーシート39は、一対の折り返し部382に当接する。カバーシート39は、折り返し部382よりも厚み方向Tの内側に位置する内側カバーシート391と、折り返し部382よりも厚み方向Tの外側に位置する外側カバーシート392と、を有してよい。また、折り返しシート38の非折り返し部381と、折り返し部382と、の間には、中間シート33が配置されてよい。吸収体30のシート部材は、肌面側T1から非肌面側T2に向かって、折り返しシート38の非折り返し部381、中間シート33、内側カバーシート391、折り返しシート38の折り返し部382、及び外側カバーシート392の順で並んでいる。高吸収ポリマー35は、折り返しシート38と中間シート33の間、及び内側カバーシート391と中間シート33の間に配置されてよい。本実施形態の折り返しシート38、内側カバーシート391、外側カバーシート392は、エアレイドパルプ不織布によって構成され、中間シート33は、エアスルー不織布によって構成されている。なお、変形例において、折り返しシート38は、吸収体30の非肌面側T2に配置され、カバーシート39は、吸収体の肌面側T1に配置されてよい。また、変形例において、カバーシート39は、内側カバーシート391と外側カバーシート392のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0023】
吸収性物品1には、少なくとも吸収体30を厚み方向Tに圧縮した圧搾部90が設けられてよい。圧搾部90は、吸収体30と表面シート10が厚み方向Tに圧縮されていてもよい。圧搾部90は、吸収体30が配置された領域に設けられてよく、股下域S1、前側域S2、後側域S3の全域に亘って設けられてよい。圧搾部90は、一対で設けられており、吸収性物品の幅方向Wの中心を通り、かつ前後方向Lに延びる幅中心線1WCに対して線対称である。圧搾部90は、吸収性物品1の股下域S1の中央から前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側へ膨らむ幅広部と、幅広部の前後方向Lの外端縁から前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの内側へ凹む幅狭部と、を有する。圧搾部90の最外側縁は、幅広部と幅狭部の境界であってよい。
【0024】
本実施の形態の吸収性物品1は、吸収性物品の側縁である物品側縁80におけるよれや折れを抑制できるように構成されている。次いで、物品側縁80におけるよれや折れを抑制できる構成について詳細に説明する。物品側縁80は、平面視における吸収性物品の外形線を構成する縁のうち、前後方向Lの延びる縁である。なお、本発明において、前後方向Lに延びる構成は、前後方向Lに平行な構成のみならず、前後方向Lに対して45度以内で傾斜する構成も含んでおり、幅方向Wに延びる構成は、幅方向Wに平行な構成のみならず、幅方向Wに対して45度未満で傾斜する構成も含むものである。なお、本実施の形態の物品側縁は、波形状であり、前後方向Lに延びつつ幅方向Wに延びる部分を有する。当該形態において、物品側縁80の波形状の一部が、前後方向Lに対して45度以上で傾斜していてもよい。すなわち、物品側縁80は、全体として(例えば、物品側縁の前端縁と後端縁を繋ぐ仮想線)が前後方向Lに沿っていればよく、前後方向Lに対して45度以上で傾斜した部分を一部有していてもよい。また、本実施の形態の物品側縁80は、左右対称及び前後対称である。説明の便宜上、図3に示す、吸収性物品1の正面視にて右側かつ前側に位置する物品側縁80について詳細に説明するが、当該構成は、左側の物品側縁においても同様の構成であり、また後側の物品側縁においても同様の構成である。
【0025】
物品側縁80は、股下域S1において前後方向Lに延びる股下側縁85を有する。股下側縁85は、股下域S1の前後方向Lの中心を跨いでいればよい。股下側縁85は、前後方向Lに平行な直線部分、前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側に延びる傾斜部分、及び直線部分と傾斜部分の組み合わせのいずれかによって構成されてよい。なお、傾斜部分は、前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側に直線状に延びていてもよいし、前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側に曲線状に延びる円弧形状であってもよい。
【0026】
物品側縁80は、股下側縁85よりも前後方向Lの外側に位置し、幅方向Wの内側に凹む凹み側縁81,82を有している。凹み側縁81,82は、股下側縁85の前後方向Lの外端縁よりも幅方向Wの内側に延びる部分を有する。本実施の形態の凹み側縁は、第1凹み側縁81と、第1凹み側縁81よりも前後方向Lの外側に位置する第2凹み側縁82と、を有している。第1凹み側縁81は、股下側縁85に連なっているが、変形例において、股下側縁85と離間していてもよい。また、凹み側縁は、股下側縁85よりも前後方向Lの外側において3個以上連なっていてもよいし、股下側縁85よりも前後方向Lの外側に1個のみ配置されていてもよい。
【0027】
吸収性物品1は、股下側縁85に沿う線を股下側縁85の外側に延長した延長仮想線EL1を有する。延長仮想線EL1は、股下側縁85が直線状の形態にあっては、当該直線を延長した線であり、股下側縁85が複数の直線を組み合わせた形態にあっては、股下側縁85の前端縁(又は後端縁)に到達した直線を延長した線である。また、延長仮想線EL1は、股下側縁85が同一の曲率の曲線の形態にあっては、当該曲率の曲線を延長した線であり、股下側縁85が異なる曲率の曲線を組み合わせた形態にあっては、股下側縁85の前端縁(又は後端縁)に到達した曲線を延長した線である。本実施の形態の股下側縁85は、股下域の前後方向Lの中心である股下中心1LCを跨いだ前後方向Lに平行な平行部分と、当該平行部分の前後方向Lの外端縁から幅方向Wの外側に向けて直線状に延びる傾斜部分と、を含んでいる。股下側縁85の前後方向Lの外端縁は、股下域S1に配置されてよいし、前側域S2及び後側域S3に配置されていてもよい。すなわち、凹み側縁は、股下域S1に配置されていてもよいし、前側域S2及び後側域S3のみに配置されていてもよいが、好ましくは、前側域S2及び後側域S3のみに配置されているとよい。当該好ましい構成によれば、股下域S1に凹み側縁が配置されない。股下域S1に凹み側縁が配置された形態にあっては、凹み内側点よりも前後方向の外側の外端縁に股間部から幅方向の内側に向かう力がかかると物品側縁が幅方向の内側にたおれたり、めくれたりして、吸収面を覆い、吸収を阻害したり横漏れするおそれがある。しかし、股下域S1に凹み側縁が配置されないことにより、物品側縁のめくれやたおれを抑制できる。
【0028】
図3に示すように、物品側縁80は、股下側縁85よりも前後方向Lの外側の外側領域R10(図1参照)の全域に亘って、延長仮想線EL1よりも幅方向Wの内側に位置する。すなわち、外側領域R10において、物品側縁80は、延長仮想線EL1上に配置されず、延長仮想線EL1よりも幅方向Wの外側に配置されず、延長仮想線EL1よりも幅方向Wの内側のみに配置されている。股下側縁85には、着用者の脚が当たり、当該脚によって押圧される。股下側縁85に係る力は、延長仮想線EL1に沿って伝播する。このとき、股下側縁85の前後方向Lの外側に凹み側縁が設けられているため、股下側縁85に掛かった力は、凹み側縁で分断され、股下側縁85から前後方向Lの外側に向かって変形を伝わり難くできる。加えて、外側領域R10において、物品側縁80は、延長仮想線EL1よりも幅方向Wの内側に位置しており、延長仮想線EL1上に配置されない。仮に、延長仮想線上に物品側縁が配置されていると、当該延長仮想線EL1を基点に物品側縁が折れ曲がったり、延長仮想線EL1の周囲に皺やよれが形成されたりするおそれがある。特に、股下側縁85よりも前後方向Lの外側に位置する前側域S2及び後側域S3において、吸収性物品を身体に適切に当てられないおそれがある。しかし、物品側縁が延長仮想線EL1上に配置されないため、延長仮想線EL1に沿って力が前側域S2及び後側域S3に伝播しても、物品側縁80の変形や折れを抑制できる。よって、股下域S2の外側縁に掛かった力を吸収性物品1全体に伝わり難くし、物品側縁80におけるよれや折れを抑制できる。
【0029】
股下側縁85は、股下側縁85の中央から前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側に延びる傾斜部分を有してよい。股下側縁85は、前後方向Lの外側に向かって幅方向Wの外側に延びる傾斜部分を有し、股下側縁85の中央が幅方向Wの内側に凹むため、脚の内側の形状に沿い易い。よって、股下側縁85は、脚の力を受け易く、当該力に沿って変形し易くなる。また、股下側縁85の中央から前後方向Lの外側に向かって、幅方向Wの内側から幅方向Wの外側に力を逃がすことができ、当該逃がす方向に物品側縁80が存在しないため、前側域S2及び後側域S3の物品側縁80の折れやよれを抑制できる。
【0030】
図1及び図3に示すように、股下側縁85は、最も幅方向Wの内側に位置する股下内側点851と、股下側縁85の前後方向Lの外端である股下外端点852と、を有する。股下内側点851は、本実施の形態のように、一点でなく、直線上に配置された複数の点の場合にあっては、最も股下中心1LC側に位置する点とする。本実施の形態の股下内側点851は、股下中心1LC上に位置する。吸収性物品1は、股下内側点851と股下外端点852を繋ぐ股下仮想線EL2を有する。
【0031】
凹み側縁81、82は、最も幅方向Wの内側に位置する凹み内側点811、821と、凹み側縁の前後方向Lの外端である凹み外端点812、822と、凹み側縁の前後方向Lの内端である凹み内端点813、823と、を有する。凹み内側点811,821は、前後方向Lにおいて、凹み内端点813,823と凹み外端点812、822の間に位置してよい。本実施の形態のように、複数の凹み側縁を有する形態にあっては、前後方向Lの内側に位置する凹み側縁(第1凹み側縁)の凹み外端点812が、前後方向Lの外側に位置する凹み側縁(第2凹み側縁)の凹み内端点823に一致してよい。吸収性物品1は、第1凹み側縁81における第1凹み内側点811と第1凹み外端点812を繋ぐ第1外側仮想線EL3と、第1凹み内側点811と第1凹み内端点813を繋ぐ第1内側仮想線EL4と、を有する。吸収性物品1は、第2凹み側縁82における第2凹み内側点821と第2凹み外端点822を繋ぐ第2外側仮想線EL5と、第2凹み内側点821と第2凹み内端点823を繋ぐ第2内側仮想線EL6と、を有する。股下側縁85と第1凹み側縁81が連なる形態にあっては、股下外端点852は、第1凹み内端縁813と一致する。
【0032】
図1に示すように、股下仮想線EL2は、股下側縁85に隣接する第1凹み側縁81における外側仮想線EL3よりも前後方向Lに対する傾斜角度が小さい。当該構成によれば、股下仮想線EL2の方が前後方向Lに対する傾斜角度が小さいため、物品側縁80は、股下域S1においては、なだらかに傾斜しており、脚の内側の形状に沿い易い。一方、着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。物品側縁の形状が、前後方向Lに対してより傾斜(幅方向Wに延びるため)、物品側縁80が身体の形状に対してより沿いやすくなる。
【0033】
第1内側仮想線EL4と、第1凹み内側点811から幅方向Wに沿って延びる線と、がなす角度θ1は、第1外側仮想線EL3と、第1凹み内側点811から幅方向Wに沿って延びる線と、がなす角度θ2よりも小さくてよい。同様に、第2内側仮想線EL6と、第2凹み内側点821から幅方向Wに沿って延びる線と、がなす角度θ7は、第2外側仮想線EL5と、第2凹み内側点821から幅方向Wに沿って延びる線θ8と、がなす角度よりも小さくてよい。内側仮想線は、外側仮想線よりも、前後方向Lの短い範囲で凹み内側点に向かって幅方向W内側に延びている。そのため、股下側縁85側から凹み側縁81,82に向けて力が伝播した際に、当該力を短い距離で分断し易く、前後方向Lの外側に向けて力を伝え難くできる。よって、股下側縁85から前後方向Lの外側に向かって変形をより伝播し難くできる。複数の凹み側縁を有する形態にあっては、いずれか1つの凹み側縁において、θ1<θ2又はθ7<θ8を満たしていればよいが、好適には、全ての凹み側縁において、θ1<θ2及び又はθ7<θ8を満たしてよい。
【0034】
凹み内側点は、凹み側縁の前後方向Lの中心よりも前後方向Lの内側に位置してよい。すなわち、第1凹み内側点811は、第1凹み側縁81の前後方向Lの中心よりも前後方向Lの内側に位置し、第2凹み内側点821は、第2凹み側縁82の前後方向Lの中心よりも前後方向Lの内側に位置してよい。凹み内側点は、物品側縁80の変形基点となり、股下側縁85からの力を分断する点となる。本態様によれば、股下側縁85に近い側に変形基点となる凹み内側点を配置し、吸収性物品1の前後方向Lの外側における変形をより抑制できる。また、内側仮想線の長さは、外側仮想線の長さよりも短くてよい。当該構成によれば、股下側縁85から前後方向Lの外側に向かって変形をより伝播し難くできる。
【0035】
第2外側仮想線EL5と、第2凹み内側点821から前後方向Lの外側に延びる線と、がなす角度θ3は、第1外側仮想線EL3と、第1凹み内側点811から前後方向Lの外側に延びる線と、がなす角度θ4よりも大きくてよい。着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。前後方向Lの外側に位置する第2凹み側縁82の形状が、前後方向Lに対してより傾斜(幅方向Wに延びるため)、物品側縁80が身体の形状に対してより沿いやすくなる。
【0036】
第2内側仮想線EL6と、第2凹み内側点821から前後方向Lの内側に延びる線と、がなす角度θ5は、第1内側仮想線EL4と、第1凹み内側点811から前後方向Lの内側に延びる線と、がなす角度θ6よりも大きくてよい。着用者の身体の形状は、鼠径部や臀部等、股間から腹側又は背側に向かって幅広となる。前後方向Lの外側に位置する第2凹み側縁82の形状が、前後方向Lに対してより傾斜(幅方向Wに延びるため)、物品側縁80が身体の形状に対してより沿いやすくなる。
【0037】
圧搾部90において最も幅方向Wの外側に位置する最外側縁M90は、前後方向Lにおいて、第1凹み内側点811と、第2凹み内側点821と、の間に位置してよい。第1凹み内側点811と第2凹み内側点821との間の領域は、凹み内側縁を基点とした変形によって平面状に維持されにくいおそれがある。しかし、第1凹み内側点811と第2凹み内側点821との間の領域は、圧搾部90において最も幅方向Wの外側に位置する最外側縁M90によって剛性を確保でき、平面状に維持され易く、身体に対して適切に当たり続けることができる。
【0038】
吸収体30は、2層のエアレイドパルプ不織布と、エアレイドパルプ不織布間に配置された高吸収ポリマー35と、を含む吸収シートを備えてよい。本実施の形態の吸収体30は、エアレイドパルプ不織布としての折り返しシート38と、カバーシート39と、折り返しシート38と内側カバーシート391の間に配置された高吸収ポリマー35と、を有する吸収シートである。エアレイドパルプ不織布を構成する繊維は、比較的繊維長が長く、平面状態を維持しやすい。また、吸収体は、パルプを積層した吸収体と比較して、一旦変形した後に元の形状に戻り易い。よって、使用過程において吸収性物品の幅を確保しやすく、身体に当て続けやすくなる。
【0039】
防漏ギャザー70は、複数の防漏弾性部材74を有してよい。吸収体30の幅方向Wの外側縁は、複数の防漏弾性部材74間に配置されてよい。すなわち、防漏弾性部材74は、吸収体30の幅方向Wの外側縁よりも幅方向Wの内側と、吸収体30の幅方向Wの外側縁よりも幅方向Wの外側と、の両方に配置されてよい。吸収体の外側縁は、脚の力を受けやすく、変形しやすい。このとき、吸収体の外側縁を跨いで防漏弾性部材74が配置されているため、当該防漏弾性部材の収縮によって吸収体の外側縁の剛性が高くなり、吸収体の外側縁が一旦変形しても元の形状に戻りやすい。吸収体の外側縁が元の形状に戻ることにより、物品側縁の変形を抑制したり、物品側縁が変形した際に元の形状に戻りやすくなり、吸収性物品の側縁におけるよれや折れを抑制できる。
【0040】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0041】
1 :吸収性物品
10 :表面シート
20 :裏面シート
30 :吸収体
80 :物品側縁
81 :第1凹み側縁(凹み側縁)
811 :第1凹み内側点(凹み内側点)
812 :第1凹み外端点(凹み外端点)
813 :第1凹み内端点(凹み内端点)
82 :第2凹み側縁(凹み側縁)
821 :第2凹み内側点(凹み内側点)
822 :第2凹み外端点(凹み外端点)
823 :第2凹み内端点(凹み内端点)
85 :股下側縁
851 :股下内側点
852 :股下外端点
90 :圧搾部
EL1 :延長仮想線
EL2 :股下仮想線
EL3 :第1外側仮想線(外側仮想線)
EL4 :第1内側仮想線(内側仮想線)
EL5 :第2外側仮想線(外側仮想線)
EL6 :第2内側仮想線(内側仮想線)
L :前後方向
S1 :股下域
S2 :前側域
S3 :後側域
T :厚み方向
T1 :肌面側
T2 :非肌面側
W :幅方向
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面シート、裏面シート、及び前記表面シートと前記裏面シートの間に配置された吸収体を有し、
着用者の排泄口に対向する股下域、前記股下域よりも前側に位置する前側域、及び前記股下域よりも後側に位置する後側域を有する吸収性物品であって、
前記吸収性物品の幅方向の外側縁である物品側縁は、前記股下域において前後方向に延びる股下側縁と、前記股下側縁よりも前記前後方向の外側に位置し、前記幅方向の内側に凹む凹み側縁と、を有し、
前記物品側縁は、前記股下側縁よりも前記前後方向の外側の領域の全域に亘って、前記股下側縁に沿う線を前記股下側縁の外側に延長した延長仮想線よりも前記幅方向の内側に位置する、吸収性物品。
【請求項2】
前記股下側縁は、前記股下側縁の前記前後方向の中央から前記前後方向の外側に向かって前記幅方向の外側に延びる傾斜部分を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記股下側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する股下内側点と、前記股下側縁の前記前後方向の外端である股下外端点と、を有し、
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である凹み外端点と、を有し、
前記股下内側点と前記股下外端点を繋ぐ股下仮想線は、前記股下側縁に隣接する前記凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線よりも前記前後方向に対する傾斜角度が小さい、請求項2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である凹み外端点と、を有し、
前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度は、前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記凹み内側点から前記幅方向に沿って延びる線と、がなす角度よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点を有し、
前記凹み内側点は、前記凹み側縁の前記前後方向の中心よりも前記前後方向の内側に位置する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記凹み側縁は、最も前記幅方向の内側に位置する凹み内側点と、前記凹み側縁の前記前後方向の内端である凹み内端点と、前記凹み側縁の前記前後方向の外端である凹み外端点と、を有し、
前記凹み側縁は、第1凹み側縁と、前記第1凹み側縁よりも前記前後方向の外側に位置する第2凹み側縁と、を有し、
前記第2凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み外端点を繋ぐ外側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の外側に延びる線と、がなす角度よりも大きい、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第2凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度は、前記第1凹み側縁における前記凹み内側点と前記凹み内端点を繋ぐ内側仮想線と、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点から前記前後方向の内側に延びる線と、がなす角度よりも大きい、請求項6に記載の吸収性物品。
【請求項8】
少なくとも前記吸収体を厚み方向に圧縮し、前記吸収性物品の前記幅方向の中心を挟んで前記前後方向に延びる一対の圧搾部を有し、
前記圧搾部において最も前記幅方向の外側に位置する最外側縁は、前記前後方向において、前記第1凹み側縁の前記凹み内側点と、前記第2凹み側縁の前記凹み内側点と、の間に位置する、請求項6又は請求項7に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記吸収体は、2層のエアレイドパルプ不織布と、前記エアレイドパルプ不織布間に配置された高吸収ポリマーと、を含む吸収シートを備える、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の吸収性物品。