(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184290
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】プローバ及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
H01L21/66 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092053
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】安永 隆史
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106DD10
4M106DH22
4M106DH49
4M106DJ02
4M106DJ04
4M106DJ05
4M106DJ32
(57)【要約】
【課題】ウェーハの吸着が中断することによる不具合を防止するためのプローバ及びその制御方法を提供する。
【解決手段】プローバの制御方法は、真空源(VC2、VC1)によりウェーハチャック(12)に吸着されたウェーハ(W)を、アライメント装置(20)によりプローブカードに近づけた状態で検査を開始するステップと、検査中に、ウェーハチャックと、真空源との間に配置された圧力センサ(S4)の出力に基づいて、真空源によるウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、真空源をウェーハチャックから切り離し、一時吸着用真空源(VT、P)による吸着に切り替えるステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハを吸着保持するウェーハチャックと、
前記ウェーハチャックに対向する面にプローブを有するプローブカードと、
前記ウェーハチャックを移動させるアライメント装置と、
前記ウェーハチャックに前記ウェーハを吸着保持するための真空源と、
前記ウェーハチャックと、前記真空源との間に配置された圧力センサと、
一時吸着用真空源と、
前記アライメント装置により前記ウェーハを前記プローブカードに近づけて検査を行う場合において、前記圧力センサの出力に基づいて、前記真空源による前記ウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、前記真空源を前記ウェーハチャックから切り離し、前記一時吸着用真空源による吸着に切り替える制御装置と、
を備えるプローバ。
【請求項2】
前記制御装置は、前記アライメント装置を制御して、前記ウェーハチャックを前記プローブカードから遠ざける、請求項1に記載のプローバ。
【請求項3】
前記ウェーハチャックと前記真空源との間に設けられた電磁弁を備え、
前記圧力センサは、前記電磁弁に対して、前記ウェーハチャック側と前記真空源側にそれぞれ配置され、
前記制御装置は、前記ウェーハチャック側及び前記真空源側の圧力センサから出力される圧力の測定値に基づいて、前記真空源による前記ウェーハの吸着状態を判定する、請求項1又は2に記載のプローバ。
【請求項4】
前記一時吸着用真空源は、真空タンク又は真空ポンプである、請求項1から3のいずれか1項に記載のプローバ。
【請求項5】
真空源によりウェーハチャックに吸着保持されたウェーハを、アライメント装置によりプローブカードに近づけた状態で検査を開始するステップと、
前記検査中に、前記ウェーハチャックと、前記真空源との間に配置された圧力センサの出力に基づいて、前記真空源による前記ウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、前記真空源を前記ウェーハチャックから切り離し、一時吸着用真空源による吸着に切り替えるステップと、
を含むプローバの制御方法。
【請求項6】
前記検査中に、前記ウェーハチャックと、前記真空源との間に配置された圧力センサの出力に基づいて、前記真空源による前記ウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、前記アライメント装置を制御して、前記ウェーハチャックを前記プローブカードから遠ざけるステップを含む、請求項5に記載のプローバの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプローバ及びその制御方法に係り、半導体ウェーハ上に形成された複数の半導体デバイスの検査を行うためのプローバ及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、ウェーハレベル検査では、半導体ウェーハ(以下、ウェーハという。)上に個々の半導体デバイスに対応する複数のチップが形成された段階で、半導体デバイスの電極(パッド)をテスタに接続し、テスト信号を供給する。そして、このテスト信号に応じて半導体デバイスが出力する信号をテスタで測定して、半導体デバイスが正常に動作するかを電気的に検査する。
【0003】
上記のようなウェーハは反りを有することがあり、ウェーハレベル検査を行う際には、ウェーハチャックにウェーハを吸着して反りを矯正することにより、ウェーハをフラットな状態に保つようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6の(a)に示すように、ウェーハWを検査するときには、真空源52を用いてウェーハチャック50の表面に検査対象のウェーハWを吸着保持する。これにより、ウェーハWは、ウェーハチャック50の表面に倣ってフラットな状態に保った状態で、プローブカード54のプローブ針56を、ウェーハWの表面に形成された半導体デバイスの電極に当接させて検査を行う。
【0006】
検査が終了すると、
図6の(b)に示すように、プローブカード54とウェーハチャック50とを遠ざけた後に、真空源52による吸着を解除する。これにより、ウェーハWがウェーハチャック50の上側に反っても、プローブ針56に接触しないようにすることができる。
【0007】
ところで、ウェーハWを吸着しているときに、真空源52からの吸引が中断した場合、
図7に示すように、プローブカード54とウェーハチャック50が近づいた状態のまま、ウェーハWが反ってしまう。この場合、反ったウェーハWがプローブ針56に衝突し、プローブ針56を損傷させる場合がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ウェーハの吸着が中断することによる不具合を防止するためのプローバ及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るプローバは、ウェーハを吸着保持するウェーハチャックと、ウェーハチャックに対向する面にプローブを有するプローブカードと、ウェーハチャックを移動させるアライメント装置と、ウェーハチャックにウェーハを吸着保持するための真空源と、ウェーハチャックと、真空源との間に配置された圧力センサと、一時吸着用真空源と、アライメント装置によりウェーハをプローブカードに近づけて検査を行う場合において、圧力センサの出力に基づいて、真空源によるウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、真空源をウェーハチャックから切り離し、一時吸着用真空源による吸着に切り替える制御装置とを備える。
【0010】
本発明の第2の態様に係るプローバは、第1の態様において、制御装置は、アライメント装置を制御して、ウェーハチャックをプローブカードから遠ざける。
【0011】
本発明の第3の態様に係るプローバは、第1又は第2の態様において、ウェーハチャックと真空源との間に設けられた電磁弁を備え、圧力センサは、電磁弁に対して、ウェーハチャック側と真空源側にそれぞれ配置され、制御装置は、ウェーハチャック側及び真空源側の圧力センサから出力される圧力の測定値に基づいて、真空源によるウェーハの吸着状態を判定する。
【0012】
本発明の第4の態様に係るプローバは、第1から第3の態様のいずれかにおいて、一時吸着用真空源は、真空タンク又は真空ポンプである。
【0013】
本発明の第5の態様に係るプローバの制御方法は、真空源によりウェーハチャックに吸着保持されたウェーハを、アライメント装置によりプローブカードに近づけた状態で検査を開始するステップと、検査中に、ウェーハチャックと、真空源との間に配置された圧力センサの出力に基づいて、真空源によるウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、真空源をウェーハチャックから切り離し、一時吸着用真空源による吸着に切り替えるステップとを含む。
【0014】
本発明の第6の態様に係るプローバの制御方法は、第5の態様において、検査中に、ウェーハチャックと、真空源との間に配置された圧力センサの出力に基づいて、真空源によるウェーハの吸着状態が異常であると判定した場合に、アライメント装置を制御して、ウェーハチャックをプローブカードから遠ざけるステップを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、真空源による吸着状態に異常が検出された場合に、一時吸着用真空源による吸着に切り替えることにより、ウェーハがプローブカード側に反ることを防止することができ、プローブの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプローバの測定ユニットを示す正面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係るプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプローバの制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施形態に係るプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、ウェーハの吸着を解除する手順を示す図である。
【
図7】
図7は、プローブカードとウェーハチャックが近づいた状態でウェーハの吸着状態に不具合を生じた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明に係るプローバ及びその制御方法の実施の形態について説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
(プローバの構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプローバの測定ユニットを示す正面図である。
【0019】
本実施形態に係る測定ユニット10では、ウェーハチャック12に2つの真空源VC2及びVC3(例えば、プローバが設置される工場等の真空源、真空ポンプ、エジェクタ等)が設けられている。ウェーハレベル検査を行う際には、ウェーハWは、真空源VC2によりウェーハチャック12のウェーハ保持面12aに吸着保持される。そして、ウェーハレベル検査時等、ウェーハチャック12とプローブカード14が近づいた状態にある場合において、真空源VC2による吸着に不具合が生じた場合(例えば、真空源VC2の機能が低下又は停止した場合、ウェーハチャック12と真空源VC2との間の真空吸着ラインが遮断した場合等)に、電磁弁V1を動作させて、真空源VC2に至る真空吸着ラインL(
図2の符号L20)をウェーハチャック12から切り離し、真空タンク(一時吸着用真空源)VTに至る真空吸着ライン(真空タンクライン。
図2の符号L3)をウェーハチャック12に接続する。これにより、真空源VC2による吸着に不具合が生じた場合であっても、ウェーハチャック12にウェーハWが吸着された状態を維持することが可能となっている。上記の構成によれば、真空源VC2による吸着に不具合が生じた場合に、ウェーハWが直ちにプローブカード14側に反ってしまい、プローブ16に接触するのを防止することができる。
【0020】
まず、
図1を参照して、プローバの測定ユニットの概略構成について説明する。
図1に示すように、測定ユニット10は、ウェーハチャック12、プローブカード14及びヘッドステージ18を備える。
【0021】
ヘッドステージ18は、測定ユニット10の筐体の一部を構成するフレーム部材(不図示)に支持されており、プローブカード14が着脱自在に装着固定される。ヘッドステージ18に装着固定されたプローブカード14は、ウェーハチャック12のウェーハ保持面12aと対向するように設けられる。なお、プローブカード14は、検査対象のウェーハW(デバイス)に応じて交換可能である。
【0022】
プローブカード14には、検査対象のウェーハWの各チップの電極パッドの位置に対応して配置された、カンチレバー又はスプリングピン等の形状の複数のプローブ16が設けられている。各プローブ16は、図示しないテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドから各プローブ16を介して各チップに電源及びテスト信号が供給され、各チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。
【0023】
プローブ16は、バネ特性を有し、プローブ16の先端位置より接触点を上昇させることにより、電極パッドに所定の接触圧で接触する。また、プローブ16は、電気的検査を行うときに、電極パッドがオーバードライブの状態で接触されると、プローブ16の先端が電極パッドの表面にめり込み、その電極パッドの表面にそれぞれ針跡を形成するようになっている。
【0024】
ウェーハチャック12は、ウェーハWを真空吸着して固定する。ウェーハチャック12は、検査対象のウェーハWが載置されるウェーハ保持面12aを有しており、ウェーハ保持面12aには複数の吸引口28が設けられている。吸引口28は、ウェーハチャック12の内部に形成された吸引路30を介して真空源VC2に接続されている。
【0025】
ウェーハチャック12の内部には、検査対象のウェーハWを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば、最低で-40℃)で電気的特性の検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、ヒータ、熱流体を循環させるもの、又はペルチエ素子を使用することが可能である。
【0026】
ウェーハチャック12は、アライメント装置20に着脱自在に支持固定される。アライメント装置20は、ウェーハチャック12をX、Y、Z、θ方向に移動することで、ウェーハチャック12に保持されたウェーハWとプローブカード14との相対的な位置合わせを行う。
【0027】
アライメント装置20は、ウェーハチャック12を着脱自在に支持固定してウェーハチャック12をZ軸方向に移動し、かつ、Z軸を回転中心としてθ方向に回転するZステージ(Z軸移動・回転部)22と、Zステージ22を支持してX軸方向に移動するXキャリッジ(X軸移動台)24と、Xキャリッジ24を支持してY軸方向に移動するYキャリッジ(Y軸移動台)26とを備えている。
【0028】
Zステージ22、Xキャリッジ24及びYキャリッジ26は、例えば、モータを含む機械的な駆動機構を含んでおり、ウェーハチャック12をZXY方向にそれぞれ移動自在に構成される。さらに、Zステージ22は、Z軸(プローブカード14とウェーハチャック12とが対向する方向に平行な回転軸)を回転中心としてθ方向にウェーハチャック12を回転自在に構成される。機械的な駆動機構としては、例えば、サーボモータとボールネジとを組み合わせたボールネジ駆動機構により構成されていてもよいし、リニアモータ駆動機構又はベルト駆動機構等で構成されていてもよい。なお、Zステージ22、Xキャリッジ24及びYキャリッジ26は、制御装置40によりウェーハチャック12の移動距離、移動方向、移動速度、加速度を変更可能に構成されている。
【0029】
制御装置40は、測定ユニット10を構成する各部を統括的に制御する。制御装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等の汎用のコンピュータによって実現可能であり、操作入力を受け付けるための操作部及び表示部を備える。制御装置40は、プローブカード14によるウェーハレベル検査の際の動作(例えば、ウェーハチャック12へのウェーハWの吸着及び吸着状態の解除等)の制御などを行う。
【0030】
(吸着機構)
図2は、測定ユニット10における吸着機構を示すブロック図である。
【0031】
真空源VC1は、真空吸着ラインL1を介して、吸着(又は吸引)機構を備えたプローバ構成機器に接続されている。このようなプローバ構成機器としては、例えば、測定ユニット10の内部にあるクリーニングユニット(プローブ16に付着した削りカスなどの付着物を除去するためのユニット)、ローダ内部にあるウェーハ搬送用アームがある。
【0032】
圧力センサS1は、真空源VC1からプローバ構成機器に至る真空吸着ラインL1内における圧力を検出し、制御装置40に出力する。
【0033】
制御装置40は、圧力センサS1による検出結果に基づいて、プローバ構成機器における吸着(又は吸引)状態を検出する。制御装置40は、例えば、プローバ構成機器における吸着(又は吸引)時に、真空吸着ラインL1内における圧力が上昇した場合に、プローバ構成機器における吸着(又は吸引)状態の異常を検出し、例えば、プローバ構成機器の動作を停止させたり、表示部に警告を表示させたりすることが可能となっている。
【0034】
真空源VC2は、真空吸着ラインL2を介して、ウェーハチャック12の内部に形成された吸引路30に接続されており、ウェーハチャック12のウェーハ保持面12aにウェーハWを吸着保持する。
【0035】
電磁弁V1は、ウェーハチャック12に接続される真空源の切り替えを行う。以下の説明では、真空吸着ラインL2のうち、電磁弁V1に対して上流側(真空源VC2側)のラインをL20とし、電磁弁V1に対して下流側(ウェーハチャック12側)のラインをL21及びL22とする。
【0036】
真空吸着ラインL2は、電磁弁V1の下流側(ウェーハチャック12側)において、2本の真空吸着ラインL21及びL22に分岐している。真空吸着ラインL21には、電磁弁V3及び圧力センサS3が設けられており、真空吸着ラインL22には、電磁弁V2及び圧力センサS2が設けられている。電磁弁V3及びV2は、それぞれ真空吸着ラインL21及びL22を開放及び閉鎖する。圧力センサS3及びS2は、それぞれ真空吸着ラインL21及びL22内における圧力を検出し、制御装置40に出力する。
【0037】
真空吸着ラインL21は、ウェーハチャック12のウェーハ保持面12aにおいて、内周側に形成された吸引口28に至る吸引路30に接続されており、真空吸着ラインL22は、ウェーハチャック12のウェーハ保持面12aにおいて、外周側に形成された吸引口28に至る吸引路30に接続されている。
【0038】
ウェーハ保持面12aに吸着するウェーハWのサイズが小さい場合(例えば、直径8インチのウェーハ)には、真空吸着ラインL21の電磁弁V3を開いて、真空吸着ラインL22の電磁弁V2を閉じる。これにより、ウェーハ保持面12aの内周側(例えば、内周側の直径約8インチの領域)に形成された吸引口28だけを用いて、小さいサイズのウェーハWを吸着することができる。
【0039】
一方、ウェーハ保持面12aに吸着するウェーハWのサイズが大きい場合(例えば、直径12インチのウェーハ)には、真空吸着ラインL21の電磁弁V3と、真空吸着ラインL22の電磁弁V2を開く。これにより、ウェーハ保持面12aの内周側及び外周側(例えば、直径約12インチの領域)に形成されたすべての吸引口28を用いて、大きいサイズのウェーハWを吸着することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、電磁弁V1の下流側で真空吸着ラインL2を2本に分岐させたが、例えば、検査対象のウェーハWのサイズが多様な場合には3本以上に分岐させてもよいし、検査対象のウェーハWのサイズが一定の場合には分岐させなくてもよい。
【0041】
圧力センサS4は、上流側の真空吸着ラインL20に配置されており、真空源VC2と電磁弁V1との間の真空吸着ラインL20内における圧力を検出し、制御装置40に出力する。
【0042】
制御装置40は、圧力センサS2、S3及びS4による検出結果に基づいて、ウェーハチャック12に対するウェーハWの吸着状態を検出する。制御装置40は、ウェーハWの吸着時で、かつ、ウェーハチャック12とプローブカード14が近づいた状態にある場合において、真空吸着ラインL20からL22のうちの少なくとも1本のラインの内部における圧力が上昇した場合に、電磁弁V1を制御して、真空吸着ラインL20を閉じて(切り離して)、真空吸着ラインL3に接続する。
【0043】
真空吸着ラインL3は、真空源VC3に接続されている。真空吸着ラインL3には、下流側(電磁弁V1側)から順に、圧力センサS5、真空タンクVT、ハンドバルブHV及び電磁弁V4が設けられている。
【0044】
電磁弁V4は、真空源VC3と真空タンクVTとの間に配置されており、真空源VC3と真空タンクVTとの間の真空吸着ラインL3を開放及び閉鎖する。
【0045】
真空源VC3は、電磁弁V4が開いている間に、真空吸着ラインL3上に配置された真空タンクVTを真空引きする。
【0046】
圧力センサS5は、電磁弁V1と真空タンクVTとの間の圧力を検出し、制御装置40に出力する。
【0047】
ハンドバルブHVは、真空タンクVTを大気に開放するためのバルブである。ハンドバルブHVの開閉は手動及び自動のいずれでもよい。
【0048】
(プローバの制御方法)
次に、本実施形態に係る吸着機構において、ウェーハWの吸着状態の検出結果に基づいて、ウェーハWの吸着切り替えを行う手順について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るプローバの制御方法を示すフローチャートである。
【0049】
まず、制御装置40は、真空源VC2側の圧力センサS4から出力された真空吸着ラインL20内の圧力の測定値を取得し、圧力センサS4の動作確認を行う(ステップST10)。
【0050】
次に、制御装置40は、ハンドバルブHVを閉じた状態で、電磁弁V4の開放(真空タンクVTの真空引きの開始)を行い、真空タンクVTの真空引きを行う。そして、制御装置40は、真空タンクVT側の圧力センサS5から出力された圧力の測定値を取得し、真空タンクVTの真空度を検出する。真空タンクVTの真空度が閾値未満の場合、例えば、真空タンクVTの真空引きが十分でない場合には(ステップST12のNo)、エラーを出力する(ステップST16)。
【0051】
一方、制御装置40は、真空タンクVTの真空度が閾値以上の場合、例えば、真空タンクVTが真空に保たれている場合には(ステップST12のYes)、測定ユニット10のイニシャライズを開始し、例えば、測定ユニット10のクリーニング、プローブカード14の吸着保持、電磁弁V1の切り替えによる真空吸着ラインL2の上流側(L20)と下流側(L21及びL22)との接続、等の処理を行う(ステップST14)。
【0052】
測定ユニット10のイニシャライズが完了すると、ウェーハチャック12にウェーハWがロードされる(ステップST18)。そして、真空源VC2を動作させて、ウェーハWの真空吸着(バキューム)が行われる(ステップST20)。ステップST20では、ウェーハのサイズが小さい場合には、電磁弁V3を開いて電磁弁V2を閉じるが、ウェーハのサイズが大きい場合には、電磁弁V3及びV2の両方を開く。
【0053】
次に、制御装置40は、ウェーハWの吸着状態の判定を行う(ステップST22)。ステップST22では、制御装置40は、下流側(ウェーハチャック12側)の圧力センサ(S2及びS3)から出力された圧力の測定値に基づいて、吸着状態の判定を行う。なお、ステップST22では、ウェーハのサイズが小さい場合には、圧力センサS3の出力のみを取得するが、ウェーハのサイズが大きい場合には、圧力センサS3及びS2の両方の出力を取得して、吸着状態の判定を行う。
【0054】
制御装置40は、ウェーハWの吸着状態が異常であると判断した場合、例えば、圧力が高く、真空度が低いことを検出した場合(ステップST22のYes)、リトライ・リカバリ処理(ステップST26)に進み、操作者にリトライ・リカバリ処理を行うようにメッセージを出力する。ステップST26では、ウェーハのWのアンロードと再ロード等が行われる。
【0055】
一方、制御装置40は、ウェーハWの吸着状態が正常であると判断した場合、例えば、圧力が低く、真空度が保たれている場合(ステップST22のNo)、制御装置40は、Zステージ22を制御して、ウェーハチャック12をプローブカード14側に上昇させて、ウェーハWの検査が開始される(ステップST24)。
【0056】
制御装置40は、ウェーハWの検査中において、真空源VC2側の圧力センサS4と、吸着側(ウェーハチャック12側)の圧力センサS2及びS3から出力される圧力の測定値を監視する(ステップST28)。そして、圧力センサS2からS4から出力される圧力の測定値のうちの少なくとも1つに異常が検出された場合、例えば、圧力が高く、真空度が低いことを検出した場合(ステップST28)、制御装置40は、電磁弁V1を制御して、上流側の真空吸着ラインL20と、下流側の真空吸着ラインL21及びL22とを切り離し、真空吸着ライン(真空タンクライン)L3を下流側の真空吸着ラインL21及びL22に接続する(ステップST30)。また、電磁弁V4を閉鎖して、真空タンクVTと真空源VC3とを切断する(ステップST30)。ステップST30では、真空源VC2による吸着状態に異常が検出された場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替えることにより、ウェーハWがプローブカード14側に反ることを防止することができる。
【0057】
また、制御装置40は、検査終了(中断)を示すTEST ENDシグナルを測定ユニット10に送信する(ステップST32)。
【0058】
次に、制御装置40は、測定ユニット10からTEST ENDシグナルに対する応答があった場合には(ステップST34のYes)、直ちに、Zステージ22を制御して、ウェーハチャック12を下降させる(ステップST36)。一方、制御装置40は、測定ユニット10からTEST ENDシグナルに対する応答がない場合には(ステップST34のNo)、所定時間以内に、Zステージ22を制御して、ウェーハチャック12を下降させる(ステップST38)。そして、制御装置40は、プローバの操作者等にメンテナンスコールを出力する(ステップST40)。
【0059】
ここで、ステップST38における所定時間は、例えば、真空タンクVTによる吸着状態が維持可能な時間に設定される。
【0060】
なお、本実施形態では、TEST ENDシグナルに対する応答の有無に応じて、Zステージ22の下降開始タイミングに差を設けたが、このような工程を経ずに、直ちに、Zステージ22の下降を開始してもよい。
【0061】
真空源VC2による吸着状態に異常が検出された場合、真空源VC1及びVC3もプローバの設置場所の同じ真空源を用いる場合があるため、ほかの真空源VC1及びVC3についても異常が生じる場合がある。本実施形態では、真空源VC2による吸着状態に異常が検出された場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替えることにより、ウェーハWがプローブカード14側に反ることを防止することができる。そして、真空タンクVTによる吸着は、永続的ではないため、速やかにZステージ22を下降させる。これにより、ウェーハWがプローブカード14側に反ってプローブカード14に接触することを防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、電磁弁V1に対して上流側(真空源VC2側)の圧力センサS4と、下流側(ウェーハチャック12側)の圧力センサS2又はS3から出力される圧力の測定値のうちの少なくとも1つに異常が検出された場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替えるようにしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、上流側(真空源VC2側)又は下流側(ウェーハチャック12側)のいずれか一方のみに圧力センサを配置して、その圧力センサのから出力される圧力の測定値に異常が検出された場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替えるようにしてもよい。また、上流側(真空源VC2側)と、下流側(ウェーハチャック12側)のどちらで異常が検出されたかに応じて処理を変えてもよい。例えば、上流側(真空源VC2側)の圧力センサS4から出力される圧力の測定値に異常が検出された場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替え、下流側(ウェーハチャック12側)の圧力センサS2又はS3から出力される圧力の測定値に異常が検出された場合には、真空タンクVTによる吸着に切り替えずに、直ちに、Zステージ22を下降させるようにしてもよい。
【0063】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【0065】
図4に示すように、第2の実施形態に係る吸着機構では、真空吸着ラインL3上に真空タンクVT及び真空源VC3に代えて、真空ポンプP(一時吸着用真空源)が設けられている。
【0066】
本実施形態においても、制御装置40は、真空源VC2による吸着状態に異常を検出した場合に、真空ポンプPによる吸着に切り替えることにより、ウェーハWがプローブカード14側に反ることを防止することができる。
【0067】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。以下の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
図5は、本発明の第3の実施形態に係るプローバにおける吸着機構を示すブロック図である。
【0069】
図5に示すように、第3の実施形態に係る吸着機構では、真空吸着ラインL20及びL3がいずれも共通の真空源VC1に接続されている。
【0070】
本実施形態においても、制御装置40は、真空源VC1による吸着状態に異常を検出した場合に、真空タンクVTによる吸着に切り替えることにより、ウェーハWがプローブカード14側に反ることを防止することができる。
【符号の説明】
【0071】
10…測定ユニット、12…ウェーハチャック、14…プローブカード、16…プローブ、18…ヘッドステージ、20…アライメント装置、22…Zステージ、24…Xキャリッジ、26…Yキャリッジ、28…吸引口、30…吸引路、40…制御装置、W…ウェーハ、VC1~VC3…真空源、L1~L3…真空吸着ライン、V1~V4…電磁弁、S1~S5…圧力センサ、HV…ハンドバルブ、VT…真空タンク、P…真空ポンプ