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特開2022-184514光走査装置、光走査装置の駆動方法、及び画像描画システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184514
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】光走査装置、光走査装置の駆動方法、及び画像描画システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20221206BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20221206BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20221206BHJP
   G09G 3/02 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B26/10 C
G02B26/08 E
B81B3/00
G09G3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092417
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 宏俊
(72)【発明者】
【氏名】園田 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 慶一
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸也
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 靖
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
3C081
5C080
【Fターム(参考)】
2H045AB06
2H045AB13
2H045AB24
2H045AB38
2H045AB44
2H045AB81
2H045BA14
2H141MA12
2H141MB24
2H141MC09
2H141MD13
2H141MD16
2H141MD20
2H141MD24
2H141ME25
2H141MF12
2H141MG06
2H141MZ06
2H141MZ13
2H141MZ15
2H141MZ16
3C081AA01
3C081AA13
3C081BA28
3C081BA33
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA55
3C081BA76
3C081DA03
3C081DA24
3C081EA07
3C081EA11
3C081EA12
5C080CC02
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ06
5C080JJ07
(57)【要約】
【課題】描画される画像の画質の低下を抑制することができる光走査装置、光走査装置の駆動方法、及び画像描画システムを得る。
【解決手段】駆動制御部は、第1アクチュエータに第1駆動周波数を有する第1駆動信号を付与し、第2アクチュエータに第2駆動周波数を有する第2駆動信号を付与し、複数周期の第1駆動信号に対する第1角度検出センサの出力信号の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、複数周期の第2駆動信号に対する第2角度検出センサの出力信号の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出し、第1駆動信号及び第1平均位相遅延時間に基づいて第1基準信号を生成し、第2駆動信号及び第2平均位相遅延時間に基づいて第2基準信号を生成する。
【選択図】図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を反射する反射面を有するミラー部と、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内にある第1軸の周りに前記ミラー部を揺動させる第1アクチュエータと、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内であって前記第1軸に交差する第2軸の周りに前記ミラー部を揺動させる第2アクチュエータと、
前記ミラー部の前記第1軸周りの角度に応じた信号を出力する第1角度検出センサと、
前記ミラー部の前記第2軸周りの角度に応じた信号を出力する第2角度検出センサと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備える光走査装置であって、
前記プロセッサは、
前記第1アクチュエータに第1駆動周波数を有する第1駆動信号を付与し、
前記第2アクチュエータに第2駆動周波数を有する第2駆動信号を付与し、
複数周期の前記第1駆動信号に対する前記第1角度検出センサの出力信号の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、
複数周期の前記第2駆動信号に対する前記第2角度検出センサの出力信号の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出し、
前記第1駆動信号及び前記第1平均位相遅延時間に基づいて、前記第1軸周りの角度が基準角になったことを表す第1基準信号を生成し、
前記第2駆動信号及び前記第2平均位相遅延時間に基づいて、前記第2軸周りの角度が基準角になったことを表す第2基準信号を生成する
光走査装置。
【請求項2】
前記第1角度検出センサは、前記第1軸又は前記第2軸を挟んで対向する位置に配置された一対の角度検出センサであり、
前記第1角度検出センサの出力信号は、一対の角度検出センサから出力された一対の出力信号を加算又は減算することにより得られる出力信号であり、
前記第2角度検出センサは、前記第1軸又は前記第2軸を挟んで対向する位置に配置された一対の角度検出センサであり、
前記第2角度検出センサの出力信号は、一対の角度検出センサから出力された一対の出力信号を加算又は減算することにより得られる出力信号である
請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第1基準信号は、前記第1軸周りの角度がゼロになったことを表す信号であり、
前記第2基準信号は、前記第2軸周りの角度がゼロになったことを表す信号である
請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1角度検出センサの出力信号がゼロである時点の前記第1位相遅延時間を平均化することによって前記第1平均位相遅延時間を導出し、
前記第2角度検出センサの出力信号がゼロである時点の前記第2位相遅延時間を平均化することによって前記第2平均位相遅延時間を導出する
請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
対応する周期の前記第1駆動信号がゼロである時点から前記第1角度検出センサの出力信号がゼロである時点までの前記第1位相遅延時間を平均化することによって前記第1平均位相遅延時間を導出し、
対応する周期の前記第2駆動信号がゼロである時点から前記第2角度検出センサの出力信号がゼロである時点までの前記第2位相遅延時間を平均化することによって前記第2平均位相遅延時間を導出する
請求項4に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1平均位相遅延時間及び前記第2平均位相遅延時間それぞれに、予め設定された条件に応じたずれ時間を加えた時間に基づいて、前記第1基準信号及び前記第2基準信号それぞれを生成する
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項7】
前記条件は、前記第1位相遅延時間及び前記第2位相遅延時間を含む
請求項6に記載の光走査装置。
【請求項8】
前記条件は、更に、前記第1駆動信号の駆動電圧及び前記第2駆動信号の駆動電圧を含む
請求項7に記載の光走査装置。
【請求項9】
前記条件は、更に、前記第1駆動周波数及び前記第2駆動周波数を含む
請求項7又は請求項8に記載の光走査装置。
【請求項10】
前記条件は、更に、環境温度を含む
請求項7から請求項9の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項11】
前記ずれ時間を導出するずれ時間導出モードを備えており、
前記プロセッサは、
キャリブレーションの際に前記ずれ時間導出モードを実行することにより、前記ずれ時間を取得し、
前記第1基準信号及び前記第2基準信号を生成する際には、前記キャリブレーションにおいて予め取得した前記ずれ時間を使用する
請求項6から請求項10の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項12】
前記第1平均位相遅延時間及び前記第2平均位相遅延時間を導出する平均位相遅延時間導出モードを備えており、
前記プロセッサは、
キャリブレーションの際に前記平均位相遅延時間導出モードを実行することにより、前記第1平均位相遅延時間及び前記第2平均位相遅延時間を取得し、
前記第1基準信号及び前記第2基準信号を生成する際には、前記キャリブレーションにおいて予め取得した前記第1平均位相遅延時間及び前記第2平均位相遅延時間を使用する
請求項1から請求項11の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12の何れか1項に記載の光走査装置と、
前記ミラー部に光を照射する光源と、
を備える画像描画システムであって、
前記プロセッサは、前記第1基準信号及び前記第2基準信号に基づいて、前記光源の光の照射タイミングを制御する、
画像描画システム。
【請求項14】
入射光を反射する反射面を有するミラー部と、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内にある第1軸の周りに前記ミラー部を揺動させる第1アクチュエータと、
前記ミラー部の静止時の前記反射面を含む平面内であって前記第1軸に交差する第2軸の周りに前記ミラー部を揺動させる第2アクチュエータと、
前記ミラー部の前記第1軸周りの角度に応じた信号を出力する第1角度検出センサと、
前記ミラー部の前記第2軸周りの角度に応じた信号を出力する第2角度検出センサと、
を備える光走査装置の駆動方法であって、
前記第1アクチュエータに第1駆動周波数を有する第1駆動信号を付与し、
前記第2アクチュエータに第2駆動周波数を有する第2駆動信号を付与し、
複数周期の前記第1駆動信号に対する前記第1角度検出センサの出力信号の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、
複数周期の前記第2駆動信号に対する前記第2角度検出センサの出力信号の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出し、
前記第1駆動信号及び前記第1平均位相遅延時間に基づいて、前記第1軸周りの角度が基準角になったことを表す第1基準信号を生成し、
前記第2駆動信号及び前記第2平均位相遅延時間に基づいて、前記第2軸周りの角度が基準角になったことを表す第2基準信号を生成する
光走査装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光走査装置、光走査装置の駆動方法、及び画像描画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン(Si)の微細加工技術を用いて作製される微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems:MEMS)デバイスの1つとしてマイクロミラーデバイス(マイクロスキャナともいう)が知られている。このマイクロミラーデバイスを備える光走査装置は、小型かつ低消費電力であることから、レーザーディスプレイ又はレーザープロジェクタ等の画像描画システムへの応用が期待されている。
【0003】
マイクロミラーデバイスは、ミラー部が、互いに直交する第1軸及び第2軸の周りに揺動可能に形成されており、ミラー部が各軸の周りに揺動することで、ミラー部が反射した光を二次元的に走査する。また、ミラー部を各軸の周りに共振させることにより、光をリサージュ走査することを可能とするマイクロミラーデバイスが知られている。
【0004】
特許文献1には、ミラー部の回転角を検出するセンサと、そのセンサから得られるミラー部の回転角の振幅及び位相を補正するための補正量であって、各温度に対応する補正量が格納されるルックアップテーブルとを有する光走査装置が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ミラー部を駆動するアクチュエータの容量変化によって発生する電流を検出するとともに所定の周波数以上の成分をカットした電流信号を出力し、その電流信号の極大値と極小値との時間差に基づいてアクチュエータに付与する駆動信号を調整する光走査装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、ミラー部の振動の位相に応じて、振動の最大振幅がミラー部の共振範囲に留まるように、第1及び第2の制御周波数を調整し、第1及び第2の制御周波数は実質的に固定された整数比率を持たない光走査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-101040号公報
【特許文献2】特開2017-181951号公報
【特許文献3】特表2013-513828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の光走査装置では、ミラー部の第1軸周りの角度を検出する第1角度検出センサ、及びミラー部の第2軸周りの角度を検出する第2角度検出センサが用いられる。例えば、光走査装置は、第1角度検出センサ及び第2角度検出センサの出力信号に基づいて、ミラー部の角度が基準角となったことを表す基準信号(例えば、ゼロクロス信号)を出力する。この基準信号は、ミラー部に光を照射する光源による光の照射タイミングの制御に用いられる。
【0009】
第1角度検出センサの出力信号は、ミラー部の第2軸周りの揺動等の影響を受けて、信号波形が安定しない場合がある。同様に、第2角度検出センサの出力信号は、ミラー部の第1軸周りの揺動等の影響を受けて、信号波形が安定しない場合がある。これらの場合、第1角度検出センサ及び第2角度検出センサの出力信号に基づいて基準信号を出力すると、基準信号の出力タイミングが周期によってずれてしまう。この場合、周期毎に光源による光の照射タイミングがずれることにより、描画される画像の画質が低下してしまう。
【0010】
しかしながら、特許文献1~3に記載の技術では、基準信号の出力タイミングのずれについては考慮されていない。
【0011】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、描画される画像の画質の低下を抑制することができる光走査装置、光走査装置の駆動方法、及び画像描画システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示の光走査装置は、入射光を反射する反射面を有するミラー部と、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内にある第1軸の周りにミラー部を揺動させる第1アクチュエータと、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内であって第1軸に交差する第2軸の周りにミラー部を揺動させる第2アクチュエータと、ミラー部の第1軸周りの角度に応じた信号を出力する第1角度検出センサと、ミラー部の第2軸周りの角度に応じた信号を出力する第2角度検出センサと、少なくとも1つのプロセッサと、を備える光走査装置であって、プロセッサは、第1アクチュエータに第1駆動周波数を有する第1駆動信号を付与し、第2アクチュエータに第2駆動周波数を有する第2駆動信号を付与し、複数周期の第1駆動信号に対する第1角度検出センサの出力信号の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、複数周期の第2駆動信号に対する第2角度検出センサの出力信号の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出し、第1駆動信号及び第1平均位相遅延時間に基づいて、第1軸周りの角度が基準角になったことを表す第1基準信号を生成し、第2駆動信号及び第2平均位相遅延時間に基づいて、第2軸周りの角度が基準角になったことを表す第2基準信号を生成する。
【0013】
なお、本開示の光走査装置は、第1角度検出センサが、第1軸又は第2軸を挟んで対向する位置に配置された一対の角度検出センサであり、第1角度検出センサの出力信号が、一対の角度検出センサから出力された一対の出力信号を加算又は減算することにより得られる出力信号であり、第2角度検出センサが、第1軸又は第2軸を挟んで対向する位置に配置された一対の角度検出センサであり、第2角度検出センサの出力信号が、一対の角度検出センサから出力された一対の出力信号を加算又は減算することにより得られる出力信号であってもよい。
【0014】
また、本開示の光走査装置は、第1基準信号が、第1軸周りの角度がゼロになったことを表す信号であり、第2基準信号が、第2軸周りの角度がゼロになったことを表す信号であってもよい。
【0015】
また、本開示の光走査装置は、プロセッサが、第1角度検出センサの出力信号がゼロである時点の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、第2角度検出センサの出力信号がゼロである時点の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出してもよい。
【0016】
また、本開示の光走査装置は、プロセッサが、対応する周期の第1駆動信号がゼロである時点から第1角度検出センサの出力信号がゼロである時点までの第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、対応する周期の第2駆動信号がゼロである時点から第2角度検出センサの出力信号がゼロである時点までの第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出してもよい。
【0017】
また、本開示の光走査装置は、プロセッサが、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間それぞれに、予め設定された条件に応じたずれ時間を加えた時間に基づいて、第1基準信号及び第2基準信号それぞれを生成してもよい。
【0018】
また、本開示の光走査装置は、上記条件が、第1位相遅延時間及び第2位相遅延時間を含んでもよい。
【0019】
また、本開示の光走査装置は、上記条件が、更に、第1駆動信号の駆動電圧及び第2駆動信号の駆動電圧を含んでもよい。
【0020】
また、本開示の光走査装置は、上記条件が、更に、第1駆動周波数及び第2駆動周波数を含んでもよい。
【0021】
また、本開示の光走査装置は、上記条件が、更に、環境温度を含んでもよい。
【0022】
また、本開示の光走査装置は、ずれ時間を導出するずれ時間導出モードを備えており、プロセッサが、キャリブレーションの際にずれ時間導出モードを実行することにより、ずれ時間を取得し、第1基準信号及び第2基準信号を生成する際には、キャリブレーションにおいて予め取得したずれ時間を使用してもよい。
【0023】
また、本開示の光走査装置は、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を導出する平均位相遅延時間導出モードを備えており、プロセッサが、キャリブレーションの際に平均位相遅延時間導出モードを実行することにより、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を取得し、第1基準信号及び第2基準信号を生成する際には、キャリブレーションにおいて予め取得した第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を使用してもよい。
【0024】
また、本開示の画像描画システムは、上記の何れかの光走査装置と、ミラー部に光を照射する光源と、を備える画像描画システムであって、プロセッサが、第1基準信号及び第2基準信号に基づいて、光源の光の照射タイミングを制御する。
【0025】
また、本開示の光走査装置の駆動方法は、入射光を反射する反射面を有するミラー部と、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内にある第1軸の周りにミラー部を揺動させる第1アクチュエータと、ミラー部の静止時の反射面を含む平面内であって第1軸に交差する第2軸の周りにミラー部を揺動させる第2アクチュエータと、ミラー部の第1軸周りの角度に応じた信号を出力する第1角度検出センサと、ミラー部の第2軸周りの角度に応じた信号を出力する第2角度検出センサと、を備える光走査装置の駆動方法であって、第1アクチュエータに第1駆動周波数を有する第1駆動信号を付与し、第2アクチュエータに第2駆動周波数を有する第2駆動信号を付与し、複数周期の第1駆動信号に対する第1角度検出センサの出力信号の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出し、複数周期の第2駆動信号に対する第2角度検出センサの出力信号の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出し、第1駆動信号及び第1平均位相遅延時間に基づいて、第1軸周りの角度が基準角になったことを表す第1基準信号を生成し、第2駆動信号及び第2平均位相遅延時間に基づいて、第2軸周りの角度が基準角になったことを表す第2基準信号を生成するものである。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、描画される画像の画質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】画像描画システムの概略図である。
図2】マイクロミラーデバイスの外観斜視図である。
図3】第1駆動信号の一例を示すグラフである。
図4】第2駆動信号の一例を示すグラフである。
図5】駆動制御部の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図6】一対の第1角度検出センサから出力される信号の一例を示す図である。
図7】一対の第2角度検出センサから出力される信号の一例を示す図である。
図8】第1信号処理部の構成の一例を示す回路図である。
図9】第1信号処理の一例を示す図である。
図10】第2信号処理の一例を示す図である。
図11】第1角度検出信号がゼロクロスするタイミングがずれることを説明するための図である。
図12】第1平均位相遅延時間の導出処理を説明するための図である。
図13】第2平均位相遅延時間の導出処理を説明するための図である。
図14】第1平均位相遅延時間と第1ずれ時間との関係の一例を示す図である。
図15】第2平均位相遅延時間と第2ずれ時間との関係の一例を示す図である。
図16】第1ゼロクロスパルスの生成処理を説明するための図である。
図17】第2ゼロクロスパルスの生成処理を説明するための図である。
図18】第1ずれ時間導出処理の一例を示すフローチャートである。
図19】第2ずれ時間導出処理の一例を示すフローチャートである。
図20】第1ゼロクロスパルス生成処理の一例を示すフローチャートである。
図21】第2ゼロクロスパルス生成処理の一例を示すフローチャートである。
図22】キャリブレーションの際の画像描画システムの概略平面図である。
図23】第1キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
図24】第1キャリブレーション処理を説明するための図である。
図25】第1キャリブレーション処理を説明するための図である。
図26】第2キャリブレーション処理の一例を示すフローチャートである。
図27】第2キャリブレーション処理を説明するための図である。
図28】第2キャリブレーション処理を説明するための図である。
図29】変形例に係るマイクロミラーデバイスの平面図である。
図30】変形例に係る第1信号処理部の構成を示す回路図である。
図31】第1駆動周波数と第1ずれ時間との関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0029】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像描画システム10の構成を説明する。図1に示すように、画像描画システム10は、光走査装置2と光源3とを有する。光走査装置2は、マイクロミラーデバイス(以下、「MMD(Micro Mirror Device)」という)4と、駆動制御部5とを含む。駆動制御部5は、開示の技術に係るプロセッサの一例である。
【0030】
画像描画システム10は、駆動制御部5の制御に従って、光源3から照射された光ビームLをMMD4により反射して被走査面6を光走査することにより、画像を描画する。被走査面6は、例えば、画像を投影するためのスクリーン、又は人の目の網膜等である。
【0031】
画像描画システム10は、例えば、リサージュ走査方式のレーザーディスプレイに適用される。具体的には、画像描画システム10は、AR(Augmented Reality)グラス又はVR(Virtual Reality)グラス等のレーザースキャンディスプレイに適用可能である。
【0032】
MMD4は、第1軸aと、第1軸aに直交する第2軸aとの周りに、ミラー部20(図2参照)を揺動させることを可能とする圧電型2軸駆動方式のマイクロミラーデバイスである。以下、第2軸aと平行な方向をX方向、第1軸aと平行な方向をY方向、第1軸a及び第2軸aに直交する方向をZ方向という。本実施形態では、第1軸aと第2軸aとが直交する(すなわち、垂直に交差する)例を示しているが、第1軸aと第2軸aとは90°以外の角度で交差してもよい。ここでいう交差とは、90度を中心として、許容誤差を含む一定の角度範囲内のことを意味する。
【0033】
光源3は、光ビームLとして、例えばレーザ光を発するレーザ装置である。光源3は、例えば、R(Red)、G(Green)、及びB(Blue)の3色のレーザ光を出力する。光源3は、MMD4のミラー部20が静止した状態において、ミラー部20が備える反射面20A(図2参照)に垂直に光ビームLを照射することが好ましい。なお、光源3から反射面20Aに垂直に光ビームLを照射する場合、光ビームLを被走査面6に走査して描画する際に、光源3が障害物となる可能性がある。このため、光源3から発せられた光ビームLを、光学系で制御して、反射面20Aに垂直に照射することが好ましい。光学系は、レンズを含むものであってもいし、レンズを含まないものであってもよい。また、光源3から発せられた光ビームLを反射面20Aに照射する角度は垂直に限られず、光ビームLを反射面20Aに対して斜めに照射してもよい。
【0034】
駆動制御部5は、光走査情報に基づいて光源3及びMMD4に駆動信号を出力する。光源3は、入力された駆動信号に基づいて光ビームLを発生してMMD4に照射する。MMD4は、入力された駆動信号に基づいて、ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りに揺動させる。
【0035】
駆動制御部5がミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りにそれぞれ共振させることにより、ミラー部20で反射される光ビームLが被走査面6上においてリサージュ波形を描くように走査される。この光走査方式は、リサージュ走査方式と呼ばれる。
【0036】
次に、図2を参照して、本実施形態に係るMMD4の構成を説明する。図2に示すように、MMD4は、ミラー部20、第1支持部21、第1可動枠22、第2支持部23、第2可動枠24、接続部25、及び固定枠26を有する。MMD4は、いわゆるMEMSスキャナである。
【0037】
ミラー部20は、入射光を反射する反射面20Aを有する。反射面20Aは、ミラー部20の一面に設けられ、例えば、金(Au)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、又は銀の合金等の金属薄膜で形成されている。反射面20Aの形状は、例えば、第1軸aと第2軸aとの交点を中心とした円形状である。
【0038】
第1軸a及び第2軸aは、ミラー部20が静止した静止時において反射面20Aを含む平面内に存在する。MMD4の平面形状は、矩形状であって、第1軸aに関して線対称であり、かつ第2軸aに関して線対称である。
【0039】
第1支持部21は、ミラー部20の外側に、第2軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。第1支持部21は、第1軸a上でミラー部20と接続されており、ミラー部20を第1軸a周りに揺動可能に支持している。本実施形態では、第1支持部21は、第1軸aに沿って延伸したトーションバーである。
【0040】
第1可動枠22は、ミラー部20を取り囲む矩形状の枠体であって、第1軸a上で第1支持部21を介してミラー部20と接続されている。第1可動枠22の上には、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ圧電素子30が形成されている。このように、第1可動枠22上に2つの圧電素子30が形成されることにより、一対の第1アクチュエータ31が構成されている。
【0041】
一対の第1アクチュエータ31は、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されている。第1アクチュエータ31は、ミラー部20に、第1軸a周りの回転トルクを作用させることにより、ミラー部20を第1軸a周りに揺動させる。
【0042】
第2支持部23は、第1可動枠22の外側に、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。第2支持部23は、第2軸a上で第1可動枠22と接続されており、第1可動枠22及びミラー部20を、第2軸a周りに揺動可能に支持している。本実施形態では、第2支持部23は、第2軸aに沿って延伸したトーションバーである。
【0043】
第2可動枠24は、第1可動枠22を取り囲む矩形状の枠体であって、第2軸a上で第2支持部23を介して第1可動枠22と接続されている。第2可動枠24の上には、第2軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ圧電素子30が形成されている。このように、第2可動枠24上に2つの圧電素子30が形成されることにより、一対の第2アクチュエータ32が構成されている。
【0044】
一対の第2アクチュエータ32は、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されている。第2アクチュエータ32は、ミラー部20及び第1可動枠22に、第2軸aの周りの回転トルクを作用させることにより、第2軸aの周りにミラー部20を揺動させる。
【0045】
接続部25は、第2可動枠24の外側に、第1軸aを挟んで対向する位置にそれぞれ配置されている。接続部25は、第2軸a上で第2可動枠24と接続されている。
【0046】
固定枠26は、第2可動枠24を取り囲む矩形状の枠体であって、第2軸a上で接続部25を介して第2可動枠24と接続されている。
【0047】
また、第1可動枠22には、第1支持部21の近傍に、第1軸aを挟んで対向する位置に一対の第1角度検出センサ11A、11Bが設けられている。一対の第1角度検出センサ11A、11Bは、それぞれ圧電素子により構成されている。第1角度検出センサ11A、11Bは、それぞれ、ミラー部20の第1軸a周りの回動に伴う第1支持部21の変形により加わる力を電圧に変換して信号を出力する。すなわち、第1角度検出センサ11A、11Bは、ミラー部20の第1軸a周りの角度に応じた信号を出力する。
【0048】
また、第2可動枠24には、第2支持部23の近傍に、第2軸aを挟んで対向する位置に一対の第2角度検出センサ12A、12Bが設けられている。一対の第2角度検出センサ12A、12Bは、それぞれ圧電素子により構成されている。第2角度検出センサ12A、12Bは、それぞれ、ミラー部20の第2軸a周りの回動に伴う第2支持部23の変形により加わる力を電圧に変換して信号を出力する。すなわち、第2角度検出センサ12A、12Bは、ミラー部20の第2軸a周りの角度に応じた信号を出力する。
【0049】
図2では、第1アクチュエータ31及び第2アクチュエータ32に駆動信号を与えるための配線及び電極パッドについては図示を省略している。また、図2では、第1角度検出センサ11A、11B及び第2角度検出センサ12A、12Bから信号を出力するための配線及び電極パッドについても図示を省略している。電極パッドは、固定枠26上に複数設けられる。
【0050】
ミラー部20の第1軸a周りの振れ角(以下、「第1振れ角」という)θは、駆動制御部5が第1アクチュエータ31に与える駆動信号(以下、「第1駆動信号」という)により制御される。第1駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第1駆動信号は、一対の第1アクチュエータ31の一方に印加される駆動電圧波形V1A(t)と、他方に印加される駆動電圧波形V1B(t)とを含む。駆動電圧波形V1A(t)と駆動電圧波形V1B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
【0051】
なお、第1振れ角θは、反射面20Aの法線が、XZ平面においてZ方向に対して傾斜する角度である。
【0052】
ミラー部20の第2軸a周りの振れ角(以下、「第2振れ角」という)θは、駆動制御部5が第2アクチュエータ32に与える駆動信号(以下、「第2駆動信号」という)により制御される。第2駆動信号は、例えば正弦波の交流電圧である。第2駆動信号は、一対の第2アクチュエータ32の一方に印加される駆動電圧波形V2A(t)と、他方に印加される駆動電圧波形V2B(t)とを含む。駆動電圧波形V2A(t)と駆動電圧波形V2B(t)は、互いに逆位相(すなわち位相差180°)である。
【0053】
なお、第2振れ角θは、反射面20Aの法線が、YZ平面においてZ方向に対して傾斜する角度である。
【0054】
図3に、第1駆動信号の一例を示し、図4に、第2駆動信号の一例を示す。図3は、第1駆動信号に含まれる駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)を示す。図4は、第2駆動信号に含まれる駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)を示す。
【0055】
駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)は、それぞれ次のように表される。
1A(t)=Voff1+Vsin(2πfd1t)
1B(t)=Voff1+Vsin(2πfd1t+α)
【0056】
ここで、Vは振幅電圧である。Voff1はバイアス電圧である。Voff1はゼロでもよい。fd1は駆動周波数(以下、「第1駆動周波数」という)である。tは時間である。αは、駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)の位相差である。本実施形態では、例えば、α=180°とする。
【0057】
駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)が一対の第1アクチュエータ31に印加されることにより、ミラー部20は、第1駆動周波数fd1で第1軸a周りに揺動する。
【0058】
駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)は、それぞれ次のように表される。
2A(t)=Voff2+Vsin(2πfd2t+φ)
2B(t)=Voff2+Vsin(2πfd2t+β+φ)
【0059】
ここで、Vは振幅電圧である。Voff2はバイアス電圧である。Voff2はゼロでもよい。fd2は駆動周波数(以下、「第2駆動周波数」という)である。tは時間である。βは、駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)の位相差である。本実施形態では、例えば、β=180°とする。また、φは、駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)と、駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)との位相差である。
【0060】
駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)が一対の第2アクチュエータ32に印加されることにより、ミラー部20は、第2駆動周波数fd2で第2軸a周りに揺動する。
【0061】
第1駆動周波数fd1は、ミラー部20の第1軸a周りの共振周波数に一致するように設定される。第2駆動周波数fd2は、ミラー部20の第2軸a周りの共振周波数に一致するように設定される。本実施形態では、fd1>fd2とする。すなわち、ミラー部20は、第1軸a周りの揺動周波数が、第2軸a周りの揺動周波数よりも高い。なお、第1駆動周波数fd1及び第2駆動周波数fd2は、必ずしも共振周波数と一致していなくてもよい。例えば、第1駆動周波数fd1及び第2駆動周波数fd2は、それぞれ共振周波数の近傍の周波数範囲(例えば、共振周波数をピーク値とする周波数分布の半値幅の範囲)内の周波数であってもよい。この周波数範囲は、例えば、いわゆるQ値の範囲内である。
【0062】
次に、図5を参照して、駆動制御部5の機能的な構成を説明する。図5に示すように、駆動制御部5は、第1駆動信号生成部60A、第2駆動信号生成部60B、第1信号処理部61A、第2信号処理部61B、第1位相シフト部62A、第2位相シフト部62B、第1導出部63A、第2導出部63B、第3導出部64、第1ゼロクロスパルス出力部65A、第2ゼロクロスパルス出力部65B、及び光源駆動部66を有する。
【0063】
第1駆動信号生成部60A、第1信号処理部61A、及び第1位相シフト部62Aは、ミラー部20の第1軸a周りの揺動が指定の周波数の振動状態を維持するようにフィードバック制御を行ってもよい。第2駆動信号生成部60B、第2信号処理部61B、及び第2位相シフト部62Bは、ミラー部20の第2軸a周りの揺動が指定の周波数の振動状態を維持するようにフィードバック制御を行ってもよい。
【0064】
第1駆動信号生成部60Aは、基準波形に基づいて、上述の駆動電圧波形V1A(t)及びV1B(t)を含む第1駆動信号を生成し、生成した第1駆動信号を、第1位相シフト部62Aを介して一対の第1アクチュエータ31に付与する。これにより、ミラー部20は、第1軸a周りに揺動する。
【0065】
第2駆動信号生成部60Bは、基準波形に基づいて、上述の駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)を含む第2駆動信号を生成し、生成した第2駆動信号を、第2位相シフト部62Bを介して一対の第2アクチュエータ32に付与する。これにより、ミラー部20は、第2軸a周りに揺動する。
【0066】
第1駆動信号生成部60Aが生成する第1駆動信号と、第2駆動信号生成部60Bが生成する第2駆動信号とは、第2駆動信号に含まれる駆動電圧波形V2A(t)及びV2B(t)を示す式において、φで示したとおり、位相同期されている。
【0067】
第1角度検出センサ11A、11Bは、ミラー部20の第1軸a周りの角度に応じた信号を出力する。第2角度検出センサ12A、12Bは、ミラー部20の第2軸a周りの角度に応じた信号を出力する。
【0068】
図6は、一対の第1角度検出センサ11A、11Bから出力される信号の一例を示す。図6において、S1a及びS1aは、ミラー部20を第2軸a周りには揺動させずに、第1軸a周りにのみ揺動させた場合に一対の第1角度検出センサ11A、11Bから出力される信号を表している。信号S1a、S1aは、第1駆動周波数fd1を有する正弦波に近似した波形信号であり、互いに逆位相となる。
【0069】
ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りに同時に揺動させた場合には、一対の第1角度検出センサ11A、11Bの出力信号には、ミラー部20の第2軸a周りの揺動に起因する振動ノイズRN1が重畳される。S1bは、信号S1aに振動ノイズRN1が重畳された信号を表している。S1bは、信号S1aに振動ノイズRN1が重畳された信号を表している。なお、図6の例では、本実施形態の説明のために、振動ノイズRN1を強調して示している。
【0070】
図7は、一対の第2角度検出センサ12A、12Bから出力される信号の一例を示す。図7において、S2a及びS2aは、ミラー部20を第1軸a周りには揺動させずに、第2軸a周りにのみ揺動させた場合に一対の第2角度検出センサ12A、12Bから出力される信号を表している。信号S2a、S2aは、第2駆動周波数fd2を有する正弦波に近似した波形信号であり、互いに逆位相となる。
【0071】
ミラー部20を第1軸a及び第2軸aの周りに同時に揺動させた場合には、一対の第2角度検出センサ12A、12Bの出力信号には、ミラー部20の第1軸a周りの揺動に起因する振動ノイズRN2が重畳される。S2bは、信号S2aに振動ノイズRN2が重畳された信号を表している。S2bは、信号S2aに振動ノイズRN2が重畳された信号を表している。なお、図7の例では、本実施形態の説明のために、振動ノイズRN2を強調して示している。
【0072】
第1信号処理部61Aは、一対の第1角度検出センサ11A、11Bから出力されたS1a、S1aに基づいて、振動ノイズRN1が除去された信号(以下、「第1角度検出信号」という)S1cを生成する。第2信号処理部61Bは、一対の第2角度検出センサ12A、12Bから出力されたS2a、S2aに基づいて、振動ノイズRN2が除去された信号(以下、「第2角度検出信号」という)S2cを生成する。
【0073】
第1信号処理部61Aは、例えば、一例として図8に示す構成の回路によって実現が可能である。図8に示すように、第1信号処理部61Aは、バッファーアンプ71、可変ゲインアンプ72、減算回路73、及びゲイン調整回路74により構成されている。ゲイン調整回路74は、第1BPF(Band Pass Filter)回路75A、第2BPF回路75B、第1検波回路76A、第2検波回路76B、減算回路77により構成されている。減算回路73及び減算回路77は、オペアンプで構成された差動増幅回路である。
【0074】
第1角度検出センサ11Aから出力された信号S1bは、バッファーアンプ71を経由して、減算回路73のプラス入力端子(非反転入力端子)に入力される。また、バッファーアンプ71から出力される信号は、減算回路73に入力されるまでの間に途中で分岐されて、ゲイン調整回路74内の第1BPF回路75Aに入力される。
【0075】
第1角度検出センサ11Bから出力された信号S1bは、可変ゲインアンプ72を経由して、減算回路73のマイナス入力端子(反転入力端子)に入力される。また、可変ゲインアンプ72から出力される信号は、減算回路73に入力されるまでの間に途中で分岐されて、ゲイン調整回路74内の第2BPF回路75Bに入力される。
【0076】
第1BPF回路75A及び第2BPF回路75Bは、それぞれ、第2駆動周波数fd2を中心周波数とする通過帯域B1を有する。通過帯域B1は、例えば、fd2±5kHの周波数帯である。振動ノイズRN1は、第2駆動周波数fd2を有するので、通過帯域B1を通過する。したがって、第1BPF回路75Aは、バッファーアンプ71から入力された信号から、振動ノイズRN1を抽出して出力する。第2BPF回路75Bは、可変ゲインアンプ72から入力された信号から、振動ノイズRN1を抽出して出力する。
【0077】
第1検波回路76A及び第2検波回路76Bは、それぞれ、例えば、RMS-DCコンバータ(Root Mean Squared value to Direct Current converter)により構成されている。第1検波回路76Aは、第1BPF回路75Aから入力された振動ノイズRN1の振幅をDC電圧信号に変換して、減算回路77のプラス入力端子に入力する。第2検波回路76Bは、第2BPF回路75Bから入力された振動ノイズRN1の振幅をDC電圧信号に変換して、減算回路77のマイナス入力端子に入力する。
【0078】
減算回路77は、第1検波回路76Aから入力されたDC電圧信号から第2検波回路76Bから入力されたDC電圧信号を減算した値dを出力する。値dは、第1角度検出センサ11Aから出力された信号S1bに含まれる振動ノイズRN1の振幅と、第1角度検出センサ11Bから出力された信号S1bに含まれる振動ノイズRN1の振幅との差に対応する。減算回路77は、値dを、ゲイン調整値として可変ゲインアンプ72のゲイン調整端子に入力する。
【0079】
可変ゲインアンプ72は、ゲイン調整値として入力された値dを、第1角度検出センサ11Bから入力される信号S1bに乗じることにより、信号S1bの振幅レベルを調整する。このように、ゲイン調整回路74によりフィードバック制御が行われることで、可変ゲインアンプ72を通過した後の信号S1bに含まれる振動ノイズRN1の振幅が、バッファーアンプ71を通過した後の信号S1bに含まれる振動ノイズRN1の振幅と一致するように調整される。
【0080】
減算回路73は、プラス入力端子に入力された信号S1bから、マイナス入力端子に入力された信号S1bを減算した値を出力する。上記のフィードバック制御により両信号に含まれる振動ノイズRN1の振幅が一致しているので、減算回路73による減算処理により、両信号に含まれる振動ノイズRN1が相殺される。従って、減算回路73からは、振動ノイズRN1が除去された信号である第1角度検出信号S1c(図9参照)が出力される。
【0081】
図9は、一対の第1角度検出センサ11A、11Bから出力されたS1b、S1bに基づいて、第1角度検出信号S1cが生成される様子を示している。第1角度検出信号S1cは、信号S1bから振動ノイズRN1が除去された信号の振幅を2倍とした信号に対応する。
【0082】
ミラー部20の第1軸a周りの揺動が共振状態を維持している場合には、図9に示すように、第1信号処理部61Aから出力される第1角度検出信号S1cは、第1駆動信号に含まれる駆動電圧波形V1A(t)に対して、位相に90°の遅れが生じる。
【0083】
第2信号処理部61Bは、第1信号処理部61Aと同様の構成により実現が可能であるため、説明を省略する。
【0084】
図10は、一対の第2角度検出センサ12A、12Bから出力されたS2b、S2bに基づいて、第2角度検出信号S2cが生成される様子を示している。第2角度検出信号S2cは、信号S2bから振動ノイズRN2が除去された信号の振幅を2倍とした信号に対応する。
【0085】
ミラー部20の第2軸a周りの揺動が共振状態を維持している場合には、図10に示すように、第2信号処理部61Bから出力される第2角度検出信号S2cは、第2駆動信号に含まれる駆動電圧波形V2A(t)に対して、位相に90°の遅れが生じる。
【0086】
第1信号処理部61Aにより生成された第1角度検出信号S1cは、第1駆動信号生成部60Aにフィードバックされる。第1位相シフト部62Aは、第1駆動信号生成部60Aから出力された駆動電圧波形の位相をシフトする。第1位相シフト部62Aは、例えば、位相を90°シフトさせる。
【0087】
第2信号処理部61Bにより生成された第2角度検出信号S2cは、第2駆動信号生成部60Bにフィードバックされる。第2位相シフト部62Bは、第2駆動信号生成部60Bから出力された駆動電圧波形の位相をシフトする。第2位相シフト部62Bは、例えば、位相を90°シフトさせる。
【0088】
第1信号処理部61Aにより生成される第1角度検出信号S1cは、理想的には正弦波となるが、滑らかな正弦波とならない場合が多い。これは、第1信号処理部61Aによる処理では、ミラー部20の第2軸a周りの揺動の影響を除去しきれないためである。この場合、一例として図11に示すように、第1角度検出信号S1cがゼロクロスするタイミングは、周期によって若干ずれてしまう。図11では、複数周期の第1角度検出信号S1cがゼロクロスするタイミングの波形を重ね合わせた例を示している。
【0089】
そこで、第1導出部63Aは、複数周期の第1角度検出信号S1cを平均化することによって、上記の周期毎のずれによる影響を低減する。以下、第1導出部63Aによる処理を説明する。
【0090】
第1導出部63Aは、直近の複数周期の第1駆動信号に対する第1角度検出信号S1cの位相遅延時間(以下、「第1位相遅延時間」という)を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出する。具体的には、一例として図12に示すように、第1導出部63Aは、直近の複数周期の第1駆動信号及び第1角度検出信号S1cについて、対応する周期の第1駆動信号がゼロである時点から第1角度検出信号S1cがゼロである時点までの第1位相遅延時間t1を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出する。本実施形態では、第1駆動信号は、バイアス電圧Voff1の分だけオフセットされているため、第1駆動信号がゼロである時点とは、第1駆動信号がVoff1である時点を意味する。
【0091】
同様に、第2信号処理部61Bにより生成される第2角度検出信号S2cも、理想的には正弦波となるが、ミラー部20の第1軸a周りの揺動の影響が残っているため、滑らかな正弦波とならない場合が多い。そこで、第2導出部63Bは、複数周期の第2角度検出信号S2cを平均化することによって、上記の周期毎のずれによる影響を低減する。以下、第2導出部63Bによる処理を説明する。
【0092】
第2導出部63Bは、直近の複数周期の第2駆動信号に対する第2角度検出信号S2cの位相遅延時間(以下、「第2位相遅延時間」という)を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出する。具体的には、一例として図13に示すように、第2導出部63Bは、直近の複数周期の第2駆動信号及び第2角度検出信号S2cについて、対応する周期の第2駆動信号がゼロである時点から第2角度検出信号S2cがゼロである時点までの第2位相遅延時間t2を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出する。本実施形態では、第2駆動信号は、バイアス電圧Voff2の分だけオフセットされているため、第2駆動信号がゼロである時点とは、第2駆動信号がVoff2である時点を意味する。
【0093】
なお、以上の第1導出部63A及び第2導出部63Bによる処理では、正弦波が負から正に向けてゼロになる時点を使用しているが、これに限定されない。例えば、正弦波が正から負に向けてゼロになる時点を使用してもよいし、正弦波が負から正に向けてゼロになる時点及び正弦波が正から負に向けてゼロになる時点の双方を使用してもよい。
【0094】
以上の第1導出部63A及び第2導出部63Bによる処理により、第1角度検出信号S1c及び第2角度検出信号S2cがゼロクロスするタイミングの周期毎の違いによる影響を低減することができる。しかしながら、第1角度検出信号S1cがゼロになるタイミングと、実際に第1振れ角θがゼロになるタイミングとの間に、ずれ時間t3(以下、「第1ずれ時間t3」という)のずれが発生する場合がある。同様に、第2角度検出信号S2cがゼロになるタイミングと、実際に第2振れ角θがゼロになるタイミングとの間に、ずれ時間t3(以下、「第2ずれ時間t3」という)のずれが発生する場合がある。
【0095】
図14に、第1平均位相遅延時間と第1ずれ時間t3との関係の一例を示し、図15に、第2平均位相遅延時間と第2ずれ時間t3との関係の一例を示す。図14に示すように、第1平均位相遅延時間が長くなるに従って、第1ずれ時間t3が長くなる。図15に示すように、第2平均位相遅延時間が長くなるに従って、第2ずれ時間t3が短くなる。
【0096】
そこで、第3導出部64は、予め設定された条件に応じたずれ時間として、第1ずれ時間t3及び第2ずれ時間t3を導出する。本実施形態では、この条件として、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を適用した例を説明する。なお、第1平均位相遅延時間に代えて、例えば、直近の周期の第1位相遅延時間を用いてもよい。また、第2平均位相遅延時間に代えて、例えば、直近の周期の第2位相遅延時間を用いてもよい。
【0097】
具体的には、第3導出部64は、次の関数f1に従って、第1平均位相遅延時間t1avgに応じた第1ずれ時間t3を導出する。
t3=f1(t1avg
なお、第3導出部64は、関数f1ではなく、第1平均位相遅延時間t1avgと第1ずれ時間t3とが対応付けられたルックアップテーブルを用いて、第1平均位相遅延時間t1avgに応じた第1ずれ時間t3を導出してもよい。
【0098】
また、第3導出部64は、次の関数f2に従って、第2平均位相遅延時間t2avgに応じた第2ずれ時間t3を導出する。
t3=f2(t2avg
なお、第3導出部64は、関数f2ではなく、第2平均位相遅延時間t2avgと第2ずれ時間t3とが対応付けられたルックアップテーブルを用いて、第2平均位相遅延時間t2avgに応じた第2ずれ時間t3を導出してもよい。
【0099】
関数f1は、キャリブレーションにより得られた第1平均位相遅延時間と第1ずれ時間t3との関係を近似することによって求められた関数である。関数f2は、キャリブレーションにより得られた第2平均位相遅延時間と第2ずれ時間t3との関係を近似することによって求められた関数である。キャリブレーションの詳細については後述する。
【0100】
第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1駆動信号、第1導出部63Aにより導出された第1平均位相遅延時間、及び第3導出部64により導出された第1ずれ時間t3に基づいて、基準信号(以下、「第1基準信号」という)を生成する。第1基準信号は、ミラー部20の第1軸a周りの角度が基準角となったことを表す信号である。本実施形態では、この基準角としてゼロを適用した例を説明する。すなわち、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1駆動信号、第1導出部63Aにより導出された第1平均位相遅延時間、及び第3導出部64により導出された第1ずれ時間t3に基づいて、第1基準信号の一例としてのゼロクロスパルス(以下、「第1ゼロクロスパルス」という。)ZC1を生成する。第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、ゼロクロス検出回路により構成されている。第1ゼロクロスパルスは、ミラー部20の第1軸a周りの角度がゼロになったことを表すゼロクロス信号である。
【0101】
図16に示すように、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1駆動信号がゼロ(本実施形態では、Voff1)を横切るタイミングから、第1平均位相遅延時間と第1ずれ時間t3とを加えた時間を経過したタイミングで第1ゼロクロスパルスZC1を生成する。第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、生成した第1ゼロクロスパルスZC1を光源駆動部66に出力する。
【0102】
第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2駆動信号、第2導出部63Bにより導出された第2平均位相遅延時間、及び第3導出部64により導出された第2ずれ時間t3に基づいて、基準信号(以下、「第2基準信号」という)を生成する。第2基準信号は、ミラー部20の第2軸a周りの角度が基準角となったことを表す信号である。本実施形態では、この基準角としてゼロを適用した例を説明する。すなわち、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2駆動信号、第2導出部63Bにより導出された第2平均位相遅延時間、及び第3導出部64により導出された第2ずれ時間t3に基づいて、第2基準信号の一例としてのゼロクロスパルス(以下、「第2ゼロクロスパルス」という。)ZC2を生成する。第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、ゼロクロス検出回路により構成されている。第2ゼロクロスパルスは、ミラー部20の第2軸a周りの角度がゼロになったことを表すゼロクロス信号である。
【0103】
図17に示すように、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2駆動信号がゼロ(本実施形態では、Voff2)を横切るタイミングから、第2平均位相遅延時間と第2ずれ時間t3とを加えた時間を経過したタイミングで第2ゼロクロスパルスZC2を生成する。第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、生成した第2ゼロクロスパルスZC2を光源駆動部66に出力する。
【0104】
なお、第1ゼロクロスパルス出力部65A及び第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、正弦波が負から正に向けてゼロになる時点及び正弦波が正から負に向けてゼロになる時点の双方を用いてゼロクロスパルスを出力しているが、これに限定されない。例えば、第1ゼロクロスパルス出力部65A及び第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、正弦波が負から正に向けてゼロになる時点及び正弦波が正から負に向けてゼロになる時点の何れか一方を用いてゼロクロスパルスを出力してもよい。
【0105】
光源駆動部66は、例えば、画像描画システム10の外部から供給される描画データに基づいて、光源3を駆動する。また、光源駆動部66は、光源3によるレーザ光の照射タイミングが、第1ゼロクロスパルスZC1及び第2ゼロクロスパルスZC2と同期するように照射タイミングを制御する。
【0106】
次に、図18を参照して、第1ずれ時間導出処理の流れを説明する。例えば、画像描画システム10による画像の描画中に、予め定められた時間間隔で実行される。この時間間隔は、例えば、第1駆動信号の一周期に相当する時間間隔でもよいし、複数周期に相当する時間間隔でもよいし、周期とは関係なく予め設定された時間間隔でもよい。
【0107】
図18のステップS10で、第1導出部63Aは、対応する周期の第1駆動信号がゼロである時点から第1角度検出信号S1cがゼロである時点までの第1位相遅延時間を周期毎に取得する。ステップS12で、第1導出部63Aは、ステップS10で取得された直近の複数周期の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出する。
【0108】
ステップS14で、第3導出部64は、前述した関数f1に従って、ステップS12で導出された第1平均位相遅延時間に応じた第1ずれ時間t3を導出する。ステップS14の処理が終了すると、第1ずれ時間導出処理が終了する。画像の描画中に定期的に第1ずれ時間導出処理が実行されることによって、第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3が更新される。
【0109】
次に、図19を参照して、第2ずれ時間導出処理の流れを説明する。例えば、画像描画システム10による画像の描画中に、予め定められた時間間隔で実行される。この時間間隔は、例えば、第2駆動信号の一周期に相当する時間間隔でもよいし、複数周期に相当する時間間隔でもよいし、周期とは関係なく予め設定された時間間隔でもよい。
【0110】
図19のステップS20で、第2導出部63Bは、対応する周期の第2駆動信号がゼロである時点から第2角度検出信号S2cがゼロである時点までの第2位相遅延時間を周期毎に取得する。ステップS22で、第2導出部63Bは、ステップS20で取得された直近の複数周期の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出する。
【0111】
ステップS24で、第3導出部64は、前述した関数f2に従って、ステップS22で導出された第2平均位相遅延時間に応じた第2ずれ時間t3を導出する。ステップS24の処理が終了すると、第2ずれ時間導出処理が終了する。画像の描画中に定期的に第2ずれ時間導出処理が実行されることによって、第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3が更新される。
【0112】
次に、図20を参照して、第1ゼロクロスパルス生成処理の流れを説明する。例えば、画像描画システム10による画像の描画中に、図20に示す第1ゼロクロスパルス生成処理が実行される。
【0113】
図20のステップS30で、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1駆動信号がゼロであるか否かを判定する。この判定が肯定判定となった場合、処理はステップS32に移行し、否定判定となった場合、ステップS30が再度実行される。
【0114】
ステップS32で、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、ステップS30で第1駆動信号がゼロとなったタイミングから、上記第1ずれ時間導出処理により導出された第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3を加えた時間が経過するまで待機する。ステップS30で第1駆動信号がゼロとなったタイミングから、第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3を加えた時間が経過すると、ステップS32の判定が肯定判定となり、処理はステップS34に移行する。
【0115】
ステップS34で、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1ゼロクロスパルスZC1を生成し、生成した第1ゼロクロスパルスZC1を光源駆動部66に出力する。ステップS34の処理が終了すると、処理はステップS30に戻る。画像描画システム10による画像の描画処理が終了すると、第1ゼロクロスパルス生成処理が終了する。
【0116】
次に、図21を参照して、第2ゼロクロスパルス生成処理の流れを説明する。例えば、画像描画システム10による画像の描画中に、図21に示す第2ゼロクロスパルス生成処理が実行される。
【0117】
図21のステップS40で、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2駆動信号がゼロであるか否かを判定する。この判定が肯定判定となった場合、処理はステップS42に移行し、否定判定となった場合、ステップS40が再度実行される。
【0118】
ステップS42で、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、ステップS40で第2駆動信号がゼロとなったタイミングから、上記第2ずれ時間導出処理により導出された第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3を加えた時間が経過するまで待機する。ステップS40で第2駆動信号がゼロとなったタイミングから、第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3を加えた時間が経過すると、ステップS42の判定が肯定判定となり、処理はステップS44に移行する。
【0119】
ステップS44で、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2ゼロクロスパルスZC2を生成し、生成した第2ゼロクロスパルスZC2を光源駆動部66に出力する。ステップS44の処理が終了すると、処理はステップS40に戻る。画像描画システム10による画像の描画処理が終了すると、第2ゼロクロスパルス生成処理が終了する。
【0120】
次に、キャリブレーションにより前述した関数f1、f2を求める処理を説明する。図22は、キャリブレーションの際の画像描画システム10の概略平面図である。図22に示すように、キャリブレーションの際には、画像描画システム10は、更に、撮影装置7を備える。撮影装置7は、被走査面6を撮影可能な位置に設けられる。撮影装置7は、予め設定されたフレームレートで被走査面6を撮影し、撮影して得られた画像データを駆動制御部5に出力する。撮影装置7のフレームレートは、例えば、画像描画システム10が画像を描画する際のフレームレートと同じフレームレートに設定される。撮影装置7の例としては、デジタルカメラが挙げられる。
【0121】
本実施形態に係る光走査装置2は、第1ずれ時間t3及び第2ずれ時間t3を導出するずれ時間導出モードを備えている。キャリブレーションの際に、ずれ時間導出モードを実行することにより、図23に示す第1キャリブレーション処理及び図26に示す第2キャリブレーション処理が実行される。キャリブレーションの実行タイミングとしては、光走査装置2の起動時、又はユーザによってキャリブレーションの実行指示が入力されたタイミング等が挙げられる。また、キャリブレーションの実行タイミングは、光走査装置2が工場から出荷される前でもよい。この場合、キャリブレーションにより得られたデータは、例えば、駆動制御部5が備える不揮発性の記憶部に保存される。また、この場合、光走査装置2の出荷先のユーザ拠点では、撮影装置7が画像描画システム10に含まれなくてもよい。
【0122】
図23のステップS50で、第1駆動信号生成部60Aは、前述したように、第1駆動信号を生成し、生成した第1駆動信号を、第1位相シフト部62Aを介して一対の第1アクチュエータ31に付与する。すなわち、第1キャリブレーション処理では、ミラー部20を第2軸a周りには揺動させずに、第1軸a周りにのみ揺動させる。
【0123】
ステップS52で、第1導出部63Aは、対応する周期の第1駆動信号がゼロである時点から第1角度検出信号S1cがゼロである時点までの第1位相遅延時間を周期毎に取得する。ステップS54で、第1導出部63Aは、ステップS52で取得された直近の複数周期の第1位相遅延時間を平均化することによって第1平均位相遅延時間を導出する。
【0124】
ステップS56で、第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、第1駆動信号がゼロを横切るタイミングから、第1平均位相遅延時間と第1ずれ時間t3とを加えた時間を経過したタイミングで第1ゼロクロスパルスZC1を生成する。第1ゼロクロスパルス出力部65Aは、生成した第1ゼロクロスパルスZC1を光源駆動部66に出力する。第1キャリブレーション処理では、光源駆動部66は、第1ゼロクロスパルスZC1に同期させて、光源3からレーザ光を照射させる。この際の第1ずれ時間t3は、仮の値として設定される時間である。
【0125】
以上のステップS50からステップS56までの処理が、第1駆動周波数及第1ずれ時間t3を変更しながら複数回実行される。第1駆動周波数が変更されると、第1平均位相遅延時間も異なる値となる。すなわち、複数の第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の組み合わせのそれぞれに基づいて、第1ゼロクロスパルス出力部65Aから第1ゼロクロスパルスZC1が出力され、光源3からレーザ光が照射される。
【0126】
ステップS58で、第3導出部64は、撮影装置7により撮影された画像データを取得する。なお、駆動制御部5と撮影装置7とは時刻同期されている。このため、第3導出部64は、画像データに付与された時刻情報に基づいて、どの画像データが、どの組み合わせの第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3に基づいてレーザ光が照射されたときの画像データであるかを特定することができる。
【0127】
第1平均位相遅延時間に対して仮の値として設定された第1ずれ時間t3が実際の第1ずれ時間t3と異なる場合、その第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の組み合わせに対応する画像データが示す画像は、一例として図24に示すようになる。図24に示す輝点P1は、第1駆動信号が負から正に向けてゼロになる時点を基準とした第1ゼロクロスパルスZC1に基づいて光源3から照射されたレーザ光がMMD4のミラー部20により反射されて被走査面6に描かれた輝点を示す。また、図24に示す輝点P2は、第1駆動信号が正から負に向けてゼロになる時点を基準とした第1ゼロクロスパルスZC1に基づいて光源3から照射されたレーザ光がMMD4のミラー部20により反射されて被走査面6に描かれた輝点を示す。
【0128】
すなわち、この場合、画像データが示す画像において、輝点P1と輝点P2とは第2軸aに対応する軸上でずれる。これに対し、第1平均位相遅延時間に対して仮の値として設定された第1ずれ時間t3が実際の第1ずれ時間t3と一致する場合、その第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の組み合わせに対応する画像データが示す画像は、一例として図25に示すようになる。すなわち、この場合、輝点P1と輝点P2とが重なる。
【0129】
そこで、ステップS60で、第3導出部64は、輝点P1と輝点P2とが重なる画像データが撮影されたときの第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の組み合わせを正しい組み合わせであると特定する。この正しい組み合わせが複数得られるため、一例として図14に示した第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の関係が得られる。第3導出部64は、得られた第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の関係を近似することによって関数f1を導出する。この関数f1は、前述した第1ずれ時間導出処理(図18参照)のステップS14で用いられる。なお、第3導出部64は、得られた第1平均位相遅延時間及び第1ずれ時間t3の関係をルックアップテーブルとして保存してもよい。ステップS60の処理が終了すると、第1キャリブレーション処理が終了する。
【0130】
図26のステップS70で、第2駆動信号生成部60Bは、前述したように、第2駆動信号を生成し、生成した第2駆動信号を、第2位相シフト部62Bを介して一対の第2アクチュエータ32に付与する。すなわち、第2キャリブレーション処理では、ミラー部20を第1軸a周りには揺動させずに、第2軸a周りにのみ揺動させる。
【0131】
ステップS72で、第2導出部63Bは、対応する周期の第2駆動信号がゼロである時点から第2角度検出信号S2cがゼロである時点までの第2位相遅延時間を周期毎に取得する。ステップS74で、第2導出部63Bは、ステップS72で取得された直近の複数周期の第2位相遅延時間を平均化することによって第2平均位相遅延時間を導出する。
【0132】
ステップS76で、第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、第2駆動信号がゼロを横切るタイミングから、第2平均位相遅延時間と第2ずれ時間t3とを加えた時間を経過したタイミングで第2ゼロクロスパルスZC2を生成する。第2ゼロクロスパルス出力部65Bは、生成した第2ゼロクロスパルスZC2を光源駆動部66に出力する。第2キャリブレーション処理では、光源駆動部66は、第2ゼロクロスパルスZC2に同期させて、光源3からレーザ光を照射させる。この際の第2ずれ時間t3は、仮の値として設定される時間である。
【0133】
以上のステップS70からステップS76までの処理が、第2駆動周波数及第2ずれ時間t3を変更しながら複数回実行される。第2駆動周波数が変更されると、第2平均位相遅延時間も異なる値となる。すなわち、複数の第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の組み合わせのそれぞれに基づいて、第2ゼロクロスパルス出力部65Bから第2ゼロクロスパルスZC2が出力され、光源3からレーザ光が照射される。
【0134】
ステップS78で、第3導出部64は、撮影装置7により撮影された画像データを取得する。なお、駆動制御部5と撮影装置7とは時刻同期されている。このため、第3導出部64は、画像データに付与された時刻情報に基づいて、どの画像データが、どの組み合わせの第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3に基づいてレーザ光が照射されたときの画像データであるかを特定することができる。
【0135】
第2平均位相遅延時間に対して仮の値として設定された第2ずれ時間t3が実際の第2ずれ時間t3と異なる場合、その第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の組み合わせに対応する画像データが示す画像は、一例として図27に示すようになる。図27に示す輝点P3は、第2駆動信号が負から正に向けてゼロになる時点を基準とした第2ゼロクロスパルスZC2に基づいて光源3から照射されたレーザ光がMMD4のミラー部20により反射されて被走査面6に描かれた輝点を示す。また、図27に示す輝点P4は、第2駆動信号が正から負に向けてゼロになる時点を基準とした第2ゼロクロスパルスZC2に基づいて光源3から照射されたレーザ光がMMD4のミラー部20により反射されて被走査面6に描かれた輝点を示す。
【0136】
すなわち、この場合、画像データが示す画像において、輝点P3と輝点P4とは第1軸aに対応する軸上でずれる。これに対し、第2平均位相遅延時間に対して仮の値として設定された第2ずれ時間t3が実際の第2ずれ時間t3と一致する場合、その第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の組み合わせに対応する画像データが示す画像は、一例として図28に示すようになる。すなわち、この場合、輝点P3と輝点P4とが重なる。
【0137】
そこで、ステップS80で、第3導出部64は、輝点P3と輝点P4とが重なる画像データが撮影されたときの第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の組み合わせを正しい組み合わせであると特定する。この正しい組み合わせが複数得られるため、一例として図15に示した第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の関係が得られる。第3導出部64は、得られた第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の関係を近似することによって関数f2を導出する。この関数f2は、前述した第2ずれ時間導出処理(図19参照)のステップS24で用いられる。なお、第3導出部64は、得られた第2平均位相遅延時間及び第2ずれ時間t3の関係をルックアップテーブルとして保存してもよい。ステップS70の処理が終了すると、第2キャリブレーション処理が終了する。
【0138】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1ゼロクロスパルスZC1及び第2ゼロクロスパルスZC2の出力タイミングの周期毎のずれを低減することができる結果、描画される画像の画質の低下を抑制することができる。
【0139】
なお、上記実施形態で示したMMD4の構成は一例である。MMD4の構成は、種々の変形が可能である。例えば、ミラー部20を第1軸a周りの揺動させる第1アクチュエータ31を第2可動枠24に配置し、ミラー部20を第2軸a周りの揺動させる第2アクチュエータ32を第1可動枠22に配置してもよい。
【0140】
また、上記実施形態では、一対の第1角度検出センサ11A、11Bが、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、図29に示すように、一対の第1角度検出センサ11A、11Bは、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されてもよい。図29の例では、一対の第1角度検出センサ11A、11Bは、第1可動枠22上において、それぞれ第1支持部21の近傍に配置されている。第1角度検出センサ11Aは、ミラー部20の一方に接続された第1支持部21の近傍に配置されている。第1角度検出センサ11Bは、ミラー部20の他方に接続された第1支持部21の近傍に配置されている。従って、一対の第1角度検出センサ11A、11Bは、第2軸aを挟んで対向し、かつミラー部20を挟んで対向する位置に配置されている。また、一対の第1角度検出センサ11A、11Bは、第1軸aから同じ方向(図29の例では-X方向)にずれた位置に配置されている。
【0141】
上記実施形態のように一対の第1角度検出センサ11A、11Bが第1軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合には、両者の出力信号のうち、一方から他方を減算することにより、振動ノイズを除去することができる。これに対し、この形態例のように、一対の第1角度検出センサ11A、11Bが第2軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合には、両者の出力信号を加算することにより、振動ノイズを除去することができる。
【0142】
この形態例における第1信号処理部61Aの構成の一例を図30に示す。図30に示すように、この形態例では、第1信号処理部61Aは、減算回路73に代えて、加算回路73Aを有している。加算回路73Aは、第1角度検出センサ11Aからバッファーアンプ71を経由して入力された信号S1bと、第1角度検出センサ11Bから可変ゲインアンプ72を経由して入力された信号S1bとを加算した値を出力する。
【0143】
また、上記実施形態では、一対の第2角度検出センサ12A、12Bが、第2軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、図29に示すように、一対の第2角度検出センサ12A、12Bは、第1軸aを挟んで対向する位置に配置されてもよい。図29の例では、一対の第2角度検出センサ12A、12Bは、第2可動枠24上において、それぞれ第2支持部23の近傍に配置されている。第2角度検出センサ12Aは、第1可動枠22の一方に接続された第2支持部23の近傍に配置されている。第2角度検出センサ12Bは、第1可動枠22の他方に接続された第2支持部23の近傍に配置されている。従って、一対の第2角度検出センサ12A、12Bは、第1軸aを挟んで対向し、かつミラー部20及び第1可動枠22を挟んで対向する位置に配置されている。また、一対の第2角度検出センサ12A、12Bは、第2軸aから同じ方向(図29の例では+Y方向)にずれた位置に配置されている。
【0144】
上記実施形態のように一対の第2角度検出センサ12A、12Bが第2軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合には、両者の出力信号のうち、一方から他方を減算することにより、振動ノイズを除去することができる。これに対し、この形態例のように、一対の第2角度検出センサ12A、12Bが第1軸aを挟んで対向する位置に配置されている場合には、両者の出力信号を加算することにより、振動ノイズを除去することができる。この形態例における第2信号処理部61Bの構成は、図30に示す第1信号処理部61Aと同様の構成により実現が可能であるため、説明を省略する。
【0145】
また、上記実施形態において、一対の第1角度検出センサ11A、11Bのうちの何れか1つがMMD4に設けられる形態としてもよい。同様に、一対の第2角度検出センサ12A、12Bのうちの何れか1つがMMD4に設けられる形態としてもよい。
【0146】
また、上記実施形態では、画像の描画時に第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を導出する場合について説明したが、これに限定されない。キャリブレーションの際に、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を導出する平均位相遅延時間導出モードを実行することにより、第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を取得する形態としてもよい。この場合、第1ゼロクロスパルスZC1及び第2ゼロクロスパルスZC2を生成する際には、キャリブレーションにおいて予め取得した第1平均位相遅延時間及び第2平均位相遅延時間を使用する。この場合のキャリブレーションの実行タイミングとしては、MMD4の起動時、又はユーザによってキャリブレーションの実行指示が入力されたタイミング等が挙げられる。
【0147】
また、上記実施形態では、第3導出部64は、上記関数f1に従って、第1平均位相遅延時間に応じた第1ずれ時間t3を導出する場合について説明したが、これに限定されない。図31に、第1駆動周波数と、第1ずれ時間t3との関係の一例を示す。図31では、2つの異なる第1振れ角θそれぞれとなるように、ミラー部20を第1軸a周りに揺動させた場合の第1駆動周波数と、第1ずれ時間t3との関係が示されている。また、図31における実線は、破線よりも第1振れ角θが大きい角度でミラー部20を第1軸a周りに揺動させた状態での第1駆動周波数と第1ずれ時間t3との関係を示している。図31に示すように、第1駆動周波数が高くなるほど第1ずれ時間t3が長くなっている。図31では、第1駆動周波数と、第1ずれ時間t3との関係を示しているが、第1ずれ時間t3は、第1駆動周波数だけではなく、第1駆動信号の駆動電圧にも応じて変化する。第1駆動信号の駆動電圧とは、例えば、第1駆動信号の振幅に相当する。
【0148】
そこで、第3導出部64は、次に示す関数f3に従って、更に、第1駆動周波数F1及び第1駆動信号の駆動電圧V1に応じた第1ずれ時間t3を導出してもよい。
t3=f3(t1avg、F1、V1)
同様に、第3導出部64は、次に示す関数f4に従って、更に、第2駆動周波数F2及び第2駆動信号の駆動電圧V2に応じた第2ずれ時間t3を導出してもよい。
t3=f4(t2avg、F2、V2)
【0149】
また、第3導出部64は、次に示す関数f5、f6に従って、更に、環境温度Tに応じた第1ずれ時間t3及び第2ずれ時間t3を導出してもよい。この場合、MMD4には環境温度を測定する温度センサが設けられる。
t3=f5(t1avg、T)
t3=f6(t2avg、T)
【0150】
また、第3導出部64は、次に示す関数f7に従って、更に、第1駆動周波数F1、第1駆動信号の駆動電圧V1、及び環境温度Tに応じた第1ずれ時間t3を導出してもよい。
t3=f7(t1avg、F1、V1、T)
同様に、第3導出部64は、次に示す関数f8に従って、更に、第2駆動周波数F2、第2駆動信号の駆動電圧V2、及び環境温度Tに応じた第2ずれ時間t3を導出してもよい。
t3=f8(t2avg、F2、V2、T)
なお、上記関数f3、f7において、第1駆動周波数F1及び第1駆動信号の駆動電圧V1は、何れか一方のみでもよい。また、上記関数f4、f8において、第2駆動周波数F2及び第2駆動信号の駆動電圧V2は、何れか一方のみでもよい。
【0151】
また、駆動制御部5のハードウェア構成は種々の変形が可能である。駆動制御部5は、アナログ演算回路及びデジタル演算回路の少なくとも一方を用いて構成することが可能である。駆動制御部5は、1つのプロセッサで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで構成されてもよい。プロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、及び専用電気回路等が含まれる。CPUは、周知のとおりソフトウエア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサである。PLDは、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の、製造後に回路構成を変更可能なプロセッサである。専用電気回路は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである。
【符号の説明】
【0152】
2 光走査装置
3 光源
4 マイクロミラーデバイス(MMD)
5 駆動制御部
6 被走査面
7 撮影装置
10 画像描画システム
11A、11B 第1角度検出センサ
12A、12B 第2角度検出センサ
20 ミラー部
20A 反射面
21 第1支持部
22 第1可動枠
23 第2支持部
24 第2可動枠
25 接続部
26 固定枠
30 圧電素子
31 第1アクチュエータ
32 第2アクチュエータ
60A 第1駆動信号生成部
60B 第2駆動信号生成部
61A 第1信号処理部
61B 第2信号処理部
62A 第1位相シフト部
62B 第2位相シフト部
63A 第1導出部
63B 第2導出部
64 第3導出部
65A 第1ゼロクロスパルス出力部
65B 第2ゼロクロスパルス出力部
66 光源駆動部
71 バッファーアンプ
72 可変ゲインアンプ
73、77 減算回路
73A 加算回路
74 ゲイン調整回路
75A 第1BPF回路
75B 第2BPF回路
76A 第1検波回路
76B 第2検波回路
L 光ビーム
P1、P2、P3、P4 輝点
RN1、RN2 振動ノイズ
S1c 第1角度検出信号
S2c 第2角度検出信号
ZC1 第1ゼロクロスパルス
ZC2 第2ゼロクロスパルス
第1軸
第2軸
d1 第1駆動周波数
d2 第2駆動周波数
図1
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