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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184610
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/38 20100101AFI20221206BHJP
   H01L 33/42 20100101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L33/38
H01L33/42
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092556
(22)【出願日】2021-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】福井 義典
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA03
5F241AA24
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA74
5F241CA88
5F241CA92
5F241CA93
5F241CA98
5F241CB11
(57)【要約】
【課題】順方向電圧の上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる発光素子を提供すること。
【解決手段】上面視において、p側電極はn側電極の周囲に設けられ、透光性導電膜は、p側電極よりも外側であって、p側電極と、p側半導体層の外縁との間に位置する第1領域と、p側電極よりも内側に位置する第2領域とを有する。上面視において、第1領域は、p側電極からp側半導体層の外縁に向かって延伸する複数の第1部分と、第1部分間に位置する第2部分とを有する。第1部分の膜厚は、第2領域の膜厚及び第2部分の膜厚よりも厚い。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p側半導体層と、n側半導体層と、前記p側半導体層と前記n側半導体層との間に位置する活性層とを有する半導体積層体と、
前記p側半導体層上に設けられた透光性導電膜と、
前記透光性導電膜上に設けられ、第1接続部と、前記第1接続部から延伸する第1延伸部とを有するp側電極と、
前記n側半導体層上に設けられたn側電極と、
を備え、
上面視において、前記p側電極は、前記n側電極の周囲に設けられ、
上面視において、前記透光性導電膜は、前記p側電極よりも外側であって、前記p側電極と、前記p側半導体層の外縁との間に位置する第1領域と、前記p側電極よりも内側に位置する第2領域とを有し、
上面視において、前記第1領域は、前記p側電極から前記p側半導体層の外縁に向かって延伸する複数の第1部分と、前記第1部分間に位置する第2部分とを有し、
前記第1部分の膜厚は、前記第2領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚い発光素子。
【請求項2】
上面視において、前記第1領域は、前記第1部分に接続され、複数の前記第1部分のうち隣り合う2つの前記第1部分間に位置する第3部分をさらに有し、
前記第3部分の膜厚は、前記第2領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚い請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記n側電極は、第1方向において、前記第1接続部と対向して配置される第2接続部を有し、
前記第1延伸部の先端部は、前記第1方向において、前記第2接続部よりも前記p側半導体層の外縁側に位置し、
上面視において、前記透光性導電膜は、前記第1領域に連続し、前記第1延伸部の前記先端部と前記第2領域との間に位置する第3領域をさらに有し、
上面視において、前記第3領域は、前記先端部から前記n側電極に向かって延伸する第4部分を有し、
前記第4部分の膜厚は、前記第2領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚く、
前記第2領域と前記第3領域との境界は、前記n側電極よりも前記p側電極側に位置している請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
上面視において、前記第1領域は、前記第2接続部を通り前記第1方向に平行な仮想線上において、前記第2接続部と前記p側半導体層の外縁との間に位置する第5部分をさらに有し、
前記第5部分の膜厚は、前記第1部分の膜厚よりも薄く、前記第2部分の膜厚よりも厚い請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1部分が延伸する方向に直交する方向における前記第1部分の幅は、前記第1延伸部が延伸する方向に直交する方向における前記第1延伸部の幅よりも広い請求項1~4のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1領域において、単位面積当たりの前記第1部分の面積は前記第2部分の面積よりも大きい請求項1~5のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記p側電極の直下に配置された前記透光性導電膜の膜厚は、前記第1部分の膜厚と同じである請求項1~6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1部分の膜厚は、前記第2領域の膜厚の1.5倍以上3.0倍以下である請求項1~7のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項9】
p側半導体層と、n側半導体層と、前記p側半導体層と前記n側半導体層との間に位置する活性層とを有する半導体積層体と、
前記p側半導体層上に設けられた透光性導電膜と、
前記透光性導電膜上に設けられ、第1接続部と、前記第1接続部から延伸する第1延伸部とを有するp側電極と、
前記n側半導体層上に設けられ、第2接続部と、前記第2接続部から延伸する第2延伸部とを有するn側電極と、
を備え、
前記第1延伸部は、前記第2延伸部と対向して設けられ、
上面視において、前記透光性導電膜は、前記第1延伸部と、前記p側半導体層の外縁との間に位置する外側領域と、前記第1延伸部と前記第2延伸部との間に位置する内側領域とを有し、
上面視において、前記外側領域は、前記第1延伸部から前記p側半導体層の外縁に向かって延伸する複数の第1部分と、前記第1部分間に位置する第2部分とを有し、
前記第1部分の膜厚は、前記内側領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚い発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
光取り出し面側にp側電極とn側電極を配置し、p側電極とp側半導体層との間に透光性導電膜を配置した発光素子がある(例えば、特許文献1)。このような発光素子において、透光性導電膜を薄くすることは、透光性導電膜による光吸収を抑制して光取り出し効率の向上に有利であるが、順方向電圧の上昇をまねいてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-045108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、順方向電圧の上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、発光素子は、p側半導体層と、n側半導体層と、前記p側半導体層と前記n側半導体層との間に位置する活性層とを有する半導体積層体と、前記p側半導体層上に設けられた透光性導電膜と、前記透光性導電膜上に設けられ、第1接続部と、前記第1接続部から延伸する第1延伸部とを有するp側電極と、前記n側半導体層上に設けられたn側電極と、を備える。上面視において、前記p側電極は、前記n側電極の周囲に設けられる。上面視において、前記透光性導電膜は、前記p側電極よりも外側であって、前記p側電極と、前記p側半導体層の外縁との間に位置する第1領域と、前記p側電極よりも内側に位置する第2領域とを有する。上面視において、前記第1領域は、前記p側電極から前記p側半導体層の外縁に向かって延伸する複数の第1部分と、前記第1部分間に位置する第2部分とを有する。前記第1部分の膜厚は、前記第2領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚い。
また、本発明の一態様によれば、発光素子は、p側半導体層と、n側半導体層と、前記p側半導体層と前記n側半導体層との間に位置する活性層とを有する半導体積層体と、前記p側半導体層上に設けられた透光性導電膜と、前記透光性導電膜上に設けられ、第1接続部と、前記第1接続部から延伸する第1延伸部とを有するp側電極と、前記n側半導体層上に設けられ、第2接続部と、前記第2接続部から延伸する第2延伸部とを有するn側電極と、を備える。前記第1延伸部は、前記第2延伸部と対向して設けられる。上面視において、前記透光性導電膜は、前記第1延伸部と、前記p側半導体層の外縁との間に位置する外側領域と、前記第1延伸部と前記第2延伸部との間に位置する内側領域とを有する。上面視において、前記外側領域は、前記第1延伸部から前記p側半導体層の外縁に向かって延伸する複数の第1部分と、前記第1部分間に位置する第2部分とを有する。前記第1部分の膜厚は、前記内側領域の膜厚及び前記第2部分の膜厚よりも厚い。
【発明の効果】
【0006】
本発明の発光素子によれば、順方向電圧の上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態の発光素子の模式上面図である。
図2A図1におけるA部の拡大図である。
図2B】本発明の第1実施形態の発光素子の模式上面図である。
図3図1のIII-III線における模式断面図である。
図4図1のIV-IV線における模式断面図である。
図5】各サンプルの第1領域の全体の面積、第1領域の各部分の幅及び面積を示す表である。
図6A】各サンプルの順方向電圧を説明するためのグラフである。
図6B】各サンプルの出力を説明するためのグラフである。
図7】本発明の第2実施形態の発光素子の模式上面図である。
図8図7におけるB部の拡大図である。
図9図7のIX-IX線における模式断面図である。
図10A】本発明の実施形態による透光性導電膜の第1の形成方法を示す模式断面図である。
図10B】本発明の実施形態による透光性導電膜の第1の形成方法を示す模式断面図である。
図10C】本発明の実施形態による透光性導電膜の第1の形成方法を示す模式断面図である。
図11A】本発明の実施形態による透光性導電膜の第2の形成方法を示す模式断面図である。
図11B】本発明の実施形態による透光性導電膜の第2の形成方法を示す模式断面図である。
図11C】本発明の実施形態による透光性導電膜の第2の形成方法を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ構成には同じ符号を付している。なお、断面図には切断面のみを示すものも含む。
【0009】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の発光素子1の模式上面図である。
図2Aは、図1におけるA部の拡大図である。
図3は、図1のIII-III線における模式断面図である。
図4は、図1のIV-IV線における模式断面図である。
【0010】
発光素子1は、基板100と、半導体積層体10と、透光性導電膜20と、p側電極50と、n側電極60と、絶縁膜81とを備える。なお、図1及び図2Aは、図3及び図4に示す絶縁膜81を除いた構成の上面を示す。基板100の主面に対して平行な方向であり互いに直交する2方向を第1方向X及び第2方向Yとする。第1方向X及び第2方向Yに直交し、基板100から半導体積層体10に向かう方向を第3方向Zとする。
【0011】
上面視における半導体積層体10の形状は、例えば、正方形、矩形とすることできる。第1実施形態の発光素子1においては、図1に示すように、上面視における半導体積層体10の形状は正方形である。この正方形における角は、直角でもよいし、丸みをもっていてもよい。半導体積層体10の一辺の長さは、例えば、100μm以上1500μm以下とすることができる。上面視における発光素子1の形状は、正方形である。
【0012】
半導体積層体10は、例えば、InAlGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)などの窒化物半導体を含む。基板100は、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgAl)のような絶縁性基板を用いることができる。また、基板100として、GaN、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Siなどの導電性の基板を用いても良い。上面視において、基板100の一辺の長さは、例えば、100μm以上1500μm以下とすることができる。
【0013】
図3及び図4に示すように、半導体積層体10は、n側半導体層11と、p側半導体層12と、n側半導体層11とp側半導体層12との間に位置する活性層13とを有する。基板100上にn側半導体層11が設けられ、n側半導体層11上に活性層13が設けられ、活性層13上にp側半導体層12が設けられる。活性層13は、光を発する発光層である。活性層13は、複数の障壁層と複数の井戸層とを含み、障壁層と井戸層とが交互に積層された多重量子井戸構造とすることができる。
【0014】
n側半導体層11の上面は、活性層13及びp側半導体層12が設けられず、活性層13及びp側半導体層12から露出する第1面11a及び第2面11bを有する。第1面11a上にn側電極60が設けられる。
【0015】
図1に示すように、第2面11bは、n側半導体層11の最外周に位置し、n側半導体層11の外縁11cに沿って連続している。n側半導体層11の外縁11cは、半導体積層体10の外縁を構成する。p側半導体層12の外縁12aは、n側半導体層11の外縁11cよりも内側においてn側半導体層11の外縁11cに沿っている。上面視において、n側半導体層11の第2面11bは、n側半導体層11の外縁11cとp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する。
【0016】
図3及び図4に示すように、p側半導体層12上に透光性導電膜20が設けられている。透光性導電膜20は、n側半導体層11の第1面11a及び第2面11bには設けられていない。透光性導電膜20は、p側電極50を通じて供給される電流をp側半導体層12の面方向に拡散させる。透光性導電膜20は、p側半導体層12及びp側電極50と電気的に接続されている。また、透光性導電膜20は、活性層13からの光の波長に対して透光性を有する。透光性導電膜20は、活性層13からの光の波長に対して60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上の透過率を有することが好ましい。
【0017】
透光性導電膜20として、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、Gaなどの酸化膜を用いることができる。透光性導電膜20の膜厚は、例えば、10nm以上100nm以下とすることができる。
【0018】
透光性導電膜20上にp側電極50が設けられている。p側電極50は透光性導電膜20に接している。p側電極50の抵抗率は、透光性導電膜20の抵抗率よりも低い。活性層13からの光の波長に対するp側電極50の透過率は、活性層13からの光の波長に対する透光性導電膜20の透過率よりも低い。p側電極50は、金属材料からなる。p側電極50として、例えば、Au、Cu、Al、Ru、Ti、Cr、Niなどの金属材料、又はこれらの金属材料を含む合金を用いることができる。p側電極50の膜厚は、例えば、0.3μm以上5μm以下とすることができる。
【0019】
図1に示すように、p側電極50は、第1接続部51と、第1接続部51から延伸する第1延伸部52とを有する。第1接続部51は、半導体積層体10の一辺を二等分し第1方向Xに平行な仮想線上に位置している。例えば、2つの第1延伸部52が第1接続部51から延伸している。2つの第1延伸部52は、第1接続部51を通り第1方向Xに平行な仮想線(図1においてIV-IV線に一致)を第2方向Yにおいて挟んで位置する。2つの第1延伸部52は、第1接続部51を通り第1方向Xに平行な仮想線に対して線対称に配置されている。
【0020】
n側半導体層11の第1面11a上にn側電極60が設けられている。n側電極60はn側半導体層11に接している。n側電極60の抵抗率は、透光性導電膜20の抵抗率よりも低い。n側電極60の抵抗率は、例えば、1μΩ・cm以上100μΩ・cm以下とすることができる。透光性導電膜20の抵抗率は、10μΩ・cm以上300μΩ・cm以下とすることができる。活性層13からの光の波長に対するn側電極60の透過率は、活性層13からの光の波長に対する透光性導電膜20の透過率よりも低い。n側電極60は、金属材料からなる。n側電極60として、例えば、上述したp側電極50と同様の金属材料を用いることができる。n側電極60の膜厚は、例えば、0.3μm以上5μm以下とすることができる。
【0021】
n側電極60は、第2接続部61と、第2接続部61から延伸する第2延伸部62とを有する。第2接続部61は、半導体積層体10の一辺を二等分し第1方向Xに平行な仮想線上に位置している。第2接続部61は、第1方向Xにおいて、p側電極50の第1接続部51と対向して配置されている。例えば、2つの第2延伸部62が第2接続部61から延伸している。2つの第2延伸部62は、第2方向Yにおいて、p側電極50の2つの第1延伸部52の間に位置する。また、2つの第2延伸部62は、第1接続部51及び第2接続部61を通り第1方向Xに平行な仮想線(図1においてIV-IV線に一致)を第2方向Yにおいて挟んで位置する。2つの第2延伸部62は、第1接続部51及び第2接続部61を通り第1方向Xに平行な仮想線に対して線対称に配置されている。
【0022】
上面視において、p側電極50の第1接続部51及び2つの第1延伸部52は、n側電極60の周囲に設けられている。p側電極50の第1延伸部52の先端部54aは、第1方向Xにおいて、n側電極60の第2接続部61よりもp側半導体層12の外縁12a側に位置する。すなわち、第1延伸部52の先端部54aとp側半導体層12の外縁12aとの間の第1方向Xにおける距離は、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間の第1方向Xにおける距離よりも短い。
【0023】
p側電極50は、さらに第3延伸部53を有する。第3延伸部53は、第1接続部51から、n側電極60の第2接続部61に向かって延伸している。第3延伸部53の先端部53aは、第2方向Yにおいて、n側電極60の2つの第2延伸部62の間に位置する。
【0024】
図3及び図4に示すように、絶縁膜81が、半導体積層体10、透光性導電膜20、p側電極50、及びn側電極60を覆っている。図4に示すように、p側電極50の第1接続部51の上面51aの一部、及びn側電極60の第2接続部61の上面61aの一部は、絶縁膜81から露出している。第1接続部51の上面51a及び第2接続部61の上面61aには例えばワイヤが接合され、ワイヤを介してp側電極50及びn側電極60が外部回路と電気的に接続される。
【0025】
上面視において、透光性導電膜20は、第1領域21と第2領域22と第3領域23とを有する。図2B図1と同様の模式上面図であり、図2Bにおいて第1領域21及び第3領域23をドットによるハッチングで表す。第1領域21は、p側電極50よりも外側であって、第1延伸部52とp側半導体層12の外縁12aとの間、及び第1接続部51とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する。第2領域22は、p側電極50の第1延伸部52及び第1接続部51よりも内側に位置する。上面視において、第1領域21と第2領域22との間に、p側電極50の第1接続部51と第1延伸部52が位置する。
【0026】
図2に示すように、上面視において、透光性導電膜20の第1領域21は、複数の第1部分21aと、複数の第2部分21bと、複数の第3部分21cとを有する。第1部分21aは、p側電極50の第1延伸部52からp側半導体層12の外縁12a(図1に示す)に向かって延伸している。また、第1部分21aは、p側電極50の第1接続部51からp側半導体層12の外縁12aに向かって延伸している。第2部分21bは、複数の第1部分21a間に位置する。第3部分21cは、第1部分21aに接続され、複数の第1部分21aのうち隣り合う2つの第1部分21a間に位置する。上面視において、1つの第2部分21bは、第1部分21aと第3部分21cに囲まれている。
【0027】
本明細書において、膜厚は第3方向Zにおける厚さを表す。第1部分21aは、第1膜厚を持つ。第1膜厚は、第1部分21aの最大膜厚である。第2部分21bは、第1膜厚よりも薄い第2膜厚を持つ。第2膜厚は、第2部分21bの最大膜厚である。以降、第1膜厚を単に第1部分21aの膜厚と称し、第2膜厚を単に第2部分21bの膜厚と称する。また、以下に説明するその他の領域や部分の膜厚も最大膜厚を表す。
【0028】
第1部分21aの膜厚は、第2領域22の膜厚及び第2部分21bの膜厚よりも厚い。第3部分21cの膜厚は、第2領域22の膜厚及び第2部分21bの膜厚よりも厚い。例えば、第1部分21aの膜厚と第3部分21cの膜厚は同じである。第1領域21において、同じ膜厚を有する透光性導電膜20が、格子状に配置されている。例えば、第2領域22の膜厚と第2部分21bの膜厚は同じである。第1部分21aの膜厚は、例えば、50nm以上100nm以下とすることができる。第2部分21bの膜厚は、例えば、10nm以上50nm以下とすることができる。第1部分21aの第1膜厚と第2部分21bの第2膜厚の差は、例えば、20nm以上40nm以下とすることできる。断面視において、第1部分21aと第2部分21bの間に傾斜面又は曲面が形成される場合、例えば、第1部分21aの第1膜厚の60%以下の膜厚になる部分を第2部分21bとする。
【0029】
図3における透光性導電膜20の第1領域21の断面は、第1部分21aの切断面を示す。図4における透光性導電膜20の第1領域21の断面は、第1部分21aの切断面及び後述する第5部分21dの切断面を表す。図2Aに示すように、第1部分21aは第1延伸部52から第2方向Yに沿ってp側半導体層12の外縁12aに向かって延伸している。図1におけるIV-IV線上においては、第1部分21aは第1接続部51から第1方向Xに沿ってp側半導体層12の外縁12aに向かって延伸している。
【0030】
図1図2A及び図2Bに示すように、上面視において、透光性導電膜20は、第1領域21に連続し、第1延伸部52の先端部54aと第2領域22との間に位置する第3領域23をさらに有する。また、第3領域23は、第1延伸部52の先端側部分54と第2領域22との間にも位置する。第1延伸部52の先端側部分54は、先端部54aを含む部分である。先端側部分54は、第1延伸部52のうち、第1方向Xに平行な部分と先端部54aの間の部分である。先端側部分54の長さは、例えば、1つの第1延伸部52の全体の長さの20%以上30%以下である。
【0031】
上面視において、第3領域23は、第1延伸部52の先端側部分54に隣接している。上面視において、第2領域22と先端側部分54との間に第3領域23が位置し、第3領域23と第1領域21との間に先端側部分54が位置している。
【0032】
図2Bに示すように、第2領域22と第3領域23との第1境界91は、n側電極60よりもp側電極50の第1延伸部52側に位置する。第2領域22と第3領域23との第1境界91と、先端部54aとの間の最短距離は、第2領域22と第3領域23との第1境界91と、n側電極60との間の最短距離よりも短い。
【0033】
先端側部分54の延伸方向に直交する方向における第3領域23の幅は、先端部54aから先端側部分54に沿って第1接続部51に近づくにしたがって徐々に小さくなっていることが好ましい。
【0034】
図2Aに示すように、上面視において、第3領域23は、複数の第4部分23aと、複数の第6部分23bとを有する。第4部分23aは、第1延伸部52の先端側部分54からn側電極60に向かって延伸している。第6部分23bは、複数の第4部分23a間に位置する。上面視において、例えば、第4部分23aは格子状に配置されている。
【0035】
第4部分23aの膜厚は、第2領域22の膜厚、第2部分21bの膜厚、及び第6部分23bの膜厚よりも厚い。例えば、第4部分23aの膜厚は、第1部分21aの膜厚及び第3部分21cの膜厚と同じである。例えば、第6部分23bの膜厚は、第2領域22の膜厚及び第2部分21bの膜厚と同じである。
【0036】
図2Bに示すように、上面視において、第1領域21は、第1方向Xにおいて、第1延伸部52の先端部54aとp側半導体層12の外縁12aとの間、及び第3領域23とp側半導体層12の外縁12aとの間にも位置する。また、第1方向Xにおいて、n側電極60とp側半導体層12の外縁12aとの間に、第2領域22と第1領域21が位置する。2つの第1延伸部52の先端部54aを結び第2方向Yに平行な仮想線93よりも第1方向Xにおいてp側半導体層12の外縁12a側に、第2領域22と第1領域21との第2境界92が位置する。第2境界92は、第1境界91と連続していてもよい。図2Bに示すように、第2境界92は、1つの曲線で設けられている。第2境界92は、例えば、第2接続部61及び第2延伸部62の形状に対応させた複数の曲線で設けてもよい。第1領域21と第3領域23との間の境界は、仮想線93上に位置する。
【0037】
n側電極60の第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第1領域21は、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第2領域22よりもp側半導体層12の外縁12a側に位置する。第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第2領域22と第1領域21との第2境界92と、p側半導体層12の外縁12aとの間の最短距離は、第2境界92と第2接続部61との間の最短距離よりも短い。
【0038】
上面視において、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第1領域21は、第5部分21dをさらに有する。第5部分21dは、少なくとも、n側電極60の第2接続部61を通り、第1方向Xに平行な仮想線(IV-IV線に一致する)上において、第2接続部61と、p側半導体層12の外縁12aとの間に位置する。第5部分21dの膜厚は、第1部分21aの膜厚及び第3部分21cの膜厚よりも薄く、第2部分21bの膜厚及び第2領域22の膜厚よりも厚い。
【0039】
第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第1領域21において、第5部分21dが格子状に配置されてもよい。また、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する第1領域21において、複数の第5部分21d間に位置し、第5部分21dよりも膜厚が薄い部分が配置されてもよい。
【0040】
透光性導電膜20は、厚膜部と、厚膜部よりも膜厚が薄い薄膜部とを有する。厚膜部は、第1部分21aを含む。厚膜部は、第3部分21c、第4部分23a、及び第5部分21dを含んでいてもよい。薄膜部は、第2領域22、第2部分21bを含む。薄膜部は、第6部分23bを含んでいてもよい。例えば、透光性導電膜20において、厚膜部の膜厚は、薄膜部の膜厚の1.5倍以上3.0倍以下である。
【0041】
また、p側電極50の直下に配置された透光性導電膜20の膜厚は、薄膜部の膜厚よりも厚いことが好ましい。例えば、p側電極50の直下に配置された透光性導電膜20の膜厚は、厚膜部の膜厚と同じである。p側電極50の直下には、透光性導電膜20の薄膜部を配置してもよい。
【0042】
本実施形態の発光素子1において、活性層13からの光は、主にp側半導体層12及び透光性導電膜20を介して発光素子1の外部に取り出される。
【0043】
上面視においてn側電極60の周囲にp側電極50が設けられた構成において、p側電極50とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する透光性導電膜20の第1領域21は、p側電極50よりも内側に位置する第2領域22よりも電流が拡散されにくい領域である。
【0044】
本実施形態によれば、第1領域21に、第2領域22よりも厚い厚膜部である第1部分21aを配置している。これにより、第1領域21の全体を第2領域22のような薄膜部にする場合に比べて、第1領域21のシート抵抗を低減でき、第1領域21に電流を拡散させやすくできる。また、第1領域21に第1部分21aよりも薄い薄膜部である第2部分21bを配置することで、第1領域21の全体を厚膜部にする場合に比べて、第1領域21における光吸収を抑制できる。また、第1領域21よりも電流が拡散されやすい第2領域22の膜厚は第1領域21の厚膜部よりも薄くすることで、透光性導電膜20の全領域を厚くする場合に比べて、透光性導電膜20による光吸収を抑制できる。したがって、本実施形態の発光素子1によれば、順方向電圧の上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0045】
p側電極50からの電流を透光性導電膜20の面方向に拡散させやすくするために、p側電極50の直下に配置されp側電極50に接する領域の透光性導電膜20の膜厚は、第1部分21aなどの厚膜部の膜厚と同じにすることが好ましい。
【0046】
第1領域21において、隣り合う第1部分21a間に厚膜部としてさらに第3部分21cを配置することで、第1部分21aだけを配置した場合に比べて第1領域21に電流を拡散させやすくできる。
【0047】
発光素子1には、例えば第1接続部51及び第2接続部61に設けたワイヤを介して外部回路から電流が供給される。第1接続部51に供給された電流は、第1接続部51から先端部54aに向かって第1延伸部52を流れる。先端部54aは、第1延伸部52の中でも電流が流れる経路において第1接続部51から最も遠い位置にある。したがって、透光性導電膜20において、第1延伸部52の先端部54aを含む先端側部分54の近くの領域は、先端側部分54よりも第1接続部51に近い領域に比べて電流が拡散されにくい領域である。
【0048】
そのような電流が拡散されにくい領域においては、第1延伸部52の内側に透光性導電膜20の厚膜部として第4部分23aを含む第3領域23を設けることで、透光性導電膜20における先端側部分54に近い領域に電流を拡散させやすくでき、順方向電圧の上昇を抑制できる。
【0049】
第1方向Xにおいて、p側電極50の第1接続部51と、n側電極60の第2接続部61とは対向して配置されている。このような配置の場合、第1接続部51と第2接続部61との間の透光性導電膜20に電流が偏る傾向があり、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間の領域には電流が拡散されにくくなる。
【0050】
本実施形態によれば、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間の領域に、透光性導電膜20の厚膜部として第5部分21dを配置することで、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間の領域に電流を拡散させやすくでき、順方向電圧の上昇を抑制できる。
【0051】
なお、第2接続部61とp側半導体層12の外縁12aとの間の領域は、第1延伸部52とp側半導体層12の外縁12aとの間の領域よりは電流が拡散されやすい傾向がある。そのため、第5部分21dの膜厚は、第1部分21aの膜厚ほどに厚くしなくても順方向電圧の上昇を抑制できる。したがって、第5部分21dの膜厚を、第1部分21aの膜厚よりは薄く、第2領域22の膜厚及び第2部分21bの膜厚よりも厚くすることで、順方向電圧を低減しつつ、光吸収も抑制できる。
【0052】
本実施形態において、絶縁膜81を設ける形態を説明したが、絶縁膜81は設けなくてもよい。本実施形態において、第3延伸部53を設ける形態を説明したが、第3延伸部53は設けなくてもよい。本実施形態において、第3部分21cを設ける形態を説明したが、第3部分21cは設けなくてもよい。本実施形態において、第3領域23を設ける形態を説明したが、第3領域23は設けなくてもよい。例えば、上面視において、先端側部分54と第2延伸部62との間の距離が同じである場合は、第3領域23を設けなくてもよい。本実施形態において、第1接続部51及び第2接続部61が、半導体積層体10の一辺を二等分し第1方向Xに平行な仮想線上に位置している形態を説明したが、第1接続部51及び第2接続部61は、半導体積層体10の対角線上にそれぞれ配置されていてもよい。
【0053】
次に、各サンプルの順方向電圧と出力を測定した結果について説明する。
【0054】
図5は、第1実施形態の発光素子のサンプルA、サンプルB、及びサンプルCの第1領域の全体の面積、第1領域の各部分の幅及び面積を示す表である。
【0055】
第1部分21aの幅は、第1部分21aが延伸する方向に直交する方向における幅である。第3部分21cの幅は、第3部分21cが延伸する方向に直交する方向における幅である。
【0056】
サンプルAの第1部分21aの幅及び第3部分21cの幅は、5μmである。サンプルBの第1部分21aの幅及び第3部分21cの幅は、7μmである。サンプルCの第1部分21aの幅及び第3部分21cの幅は、9μmである。なお、p側電極50の第1延伸部52が延伸する方向に直交する方向における第1延伸部52の幅は、6μmである。
【0057】
第1領域21の全面積は、400μmである。第2部分21bの面積は、第1領域21における複数の第2部分21bの合計面積を表す。サンプルAの第2部分21bの面積は、225μmである。サンプルBの第2部分21bの面積は、169μmである。サンプルCの第2部分21bの面積は、121μmである。
【0058】
第1部分21a及び第3部分21cの面積は、第1領域21における複数の第1部分21a及び複数の第3部分21cの合計面積を表す。サンプルAの第1部分21a及び第3部分21cの面積は、175μmである。サンプルBの第1部分21a及び第3部分21cの面積は、231μmである。サンプルCの第1部分21a及び第3部分21cの面積は、279μmである。
【0059】
サンプルAの第1領域21の全面積に対する第1部分21a及び第3部分21cの面積の割合は、43.75%である。サンプルBの第1領域21の全面積に対する第1部分21a及び第3部分21cの面積の割合は、57.75%である。サンプルCの第1領域21の全面積に対する第1部分21a及び第3部分21cの面積の割合は、69.75%である。
【0060】
各サンプルA~Cにおける透光性導電膜20の厚膜部(第1部分21a、第3部分21c)の膜厚は60nmであり、薄膜部(第2部分21b、第2領域22)の膜厚は30nmである。
【0061】
図6Aは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、比較サンプルRef1、及び比較サンプルRef2の順方向電圧Vf[V]を説明するためのグラフである。
図6Bは、サンプルA、サンプルB、サンプルC、比較サンプルRef1、及び比較サンプルRef2の出力Po[mW]を説明するためのグラフである。
図6A及び図6Bに示す順方向電圧差及び出力差は、Ref2の順方向電圧及び出力と、サンプルA、サンプルB、サンプルC、比較サンプルRef1の順方向電圧及び出力との差である。また、図6A及び図6Bに示す値は、それぞれのサンプルにおける3つの測定値の平均値から算出している。
【0062】
比較サンプルRef1及び比較サンプルRef2の透光性導電膜は、厚膜部と薄膜部を含まない。比較サンプルRef1の透光性導電膜の全領域の膜厚は、サンプルA~Cの厚膜部の膜厚と同じ60μmである。比較サンプルRef2の透光性導電膜の全領域の膜厚は、サンプルA~Cの薄膜部の膜厚と同じ30μmである。透光性導電膜以外の構成については、サンプルA~C、比較サンプルRef1、及び比較サンプルRef2は同じである。
【0063】
図6Aの結果より、実施形態のサンプルA~Cによれば、比較サンプルRef2よりも順方向電圧Vfを低くできる。すなわち、透光性導電膜の全領域を薄膜部にする比較サンプルRef2に比べて、透光性導電膜に厚膜部と薄膜部とを設ける実施形態のサンプルA~Cでは順方向電圧を低くすることができる。サンプルA~Cにおいて、厚膜部(第1部分21a、第3部分21c)の幅が広くなり、第1領域21の全面積に対する厚膜部(第1部分21a、第3部分21c)の面積の割合が大きくなるほど順方向電圧Vfが低くなる。
【0064】
図6Bの結果より、透光性導電膜に厚膜部と薄膜部とを設ける実施形態のサンプルA~Cによれば、透光性導電膜の全領域を厚膜部にする比較サンプルRef1よりも大きな出力Poが得られ、比較サンプルRef2と同等以上の出力Poが得られる。
【0065】
したがって、実施形態のサンプルA~Cによれば、順方向電圧Vfの上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0066】
特に、サンプルB及びサンプルCにおいて、サンプルAよりも順方向電圧Vfを低くでき、且つ比較サンプルRef2よりも大きな出力Poが得られる。したがって、透光性導電膜20の第1領域21における厚膜部(第1部分21a、第3部分21c)の幅は、p側電極50の第1延伸部52の幅(6μm)よりも広く、第1領域21において、単位面積当たりの厚膜部(第1部分21a、第3部分21c)の面積は第2部分21bの面積よりも大きいことが好ましい。
【0067】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態の発光素子2の模式上面図である。
図8は、図7におけるB部の拡大図である。
図9は、図7のIX-IX線における模式断面図である。
【0068】
第2実施形態の発光素子2は、基板100と、半導体積層体10と、透光性導電膜20と、p側電極150と、n側電極160と、絶縁膜81とを備える。なお、図7は、図9に示す絶縁膜81を除いた構成の上面を示す。
【0069】
第2実施形態の発光素子2においては、図7に示すように、上面視における半導体積層体10の形状は矩形である。この矩形における角は、直角でもよいし、丸みをもっていてもよい。半導体積層体10の長手方向は第1方向Xに平行であり、短手方向は第2方向Yに平行である。上面視における発光素子2の形状は、矩形である。
【0070】
第2実施形態においても、図9に示すように、半導体積層体10は、n側半導体層11と、p側半導体層12と、n側半導体層11とp側半導体層12との間に位置する活性層13とを有する。n側半導体層11は、活性層13及びp側半導体層12が設けられず、活性層13及びp側半導体層12から露出する露出面11dを有する。
【0071】
図7に示すように、n側半導体層11の外縁は、第1方向Xに延びる一対の長辺側の外縁11c1と、第2方向Yに延びる一対の短辺側の外縁11c2とを有する。上面視において、n側半導体層11の露出面11dは、n側半導体層11の外縁11c1、11c2と、p側半導体層12の外縁12aとの間に位置する。露出面11dは、n側半導体層11の外縁11c1、11c2に沿って連続している。
【0072】
図9に示すように、p側半導体層12上に透光性導電膜20が設けられている。透光性導電膜20は、n側半導体層11の露出面11dには設けられていない。透光性導電膜20は、p側電極150を通じて供給される電流をp側半導体層12の面方向に拡散させる。透光性導電膜20は、p側半導体層12及びp側電極150と電気的に接続されている。
【0073】
透光性導電膜20上にp側電極150が設けられている。p側電極150は透光性導電膜20に接している。p側電極150の抵抗率は、透光性導電膜20の抵抗率よりも低い。活性層13からの光に対するp側電極150の透過率は、活性層13からの光の波長に対する透光性導電膜20の透過率よりも低い。p側電極150は、金属材料からなる。
【0074】
図7に示すように、p側電極150は、第1接続部151と、第1接続部151から延伸する第1延伸部152とを有する。第1接続部151は、第1方向Xにおける一方の端側に位置し、第1延伸部152は第1接続部151から第1方向Xにおける他方の端側に向けて延伸している。
【0075】
n側半導体層11の露出面11d上にn側電極160が設けられている。n側電極160はn側半導体層11に接している。n側電極160の抵抗率は、透光性導電膜20の抵抗率よりも低い。活性層13からの光に対するn側電極160の透過率は、活性層13からの光の波長に対する透光性導電膜20の透過率よりも低い。n側電極160は、金属材料からなる。
【0076】
n側電極160は、第2接続部161と、第2接続部161から延伸する第2延伸部162とを有する。第2接続部161は、第1接続部151が位置する第1方向Xにおける一方の端とは反対側の他方の端側に位置している。第2接続部161は、n側半導体層11が有する4つの角部のうちの1つの角部の近くに位置する。第2延伸部162は、n側半導体層11の長辺側の露出面11d上を、第2接続部161から一方の端側に向けて延伸している。
【0077】
図9に示すように、絶縁膜81が、半導体積層体10、透光性導電膜20、p側電極150、及びn側電極160を覆っている。p側電極150の第1接続部151の上面の一部、及びn側電極160の第2接続部161の上面の一部は絶縁膜81から露出する。それら露出した上面には例えばワイヤが接合され、ワイヤを介してp側電極150及びn側電極160が外部回路と電気的に接続される。
【0078】
図7に示すように、上面視において、p側電極150の第1延伸部152は、n側電極160の第2延伸部162と対向している。上面視において、透光性導電膜20は、第1延伸部152とp側半導体層12の外縁12aとの間に位置する外側領域26と、第1延伸部152と第2延伸部162との間に位置する内側領域25とを有する。上面視において、内側領域25と外側領域26との間に、p側電極150が位置する。
【0079】
図8に示すように、上面視において、透光性導電膜20の外側領域26は、複数の第1部分26aと、複数の第2部分26bと、複数の第3部分26cとを有する。第1部分26aは、第1延伸部152からp側半導体層12の外縁12aに向かって延伸している。また、第1部分26aは、第1接続部151からp側半導体層12の外縁12aに向かって延伸している。第2部分26bは、複数の第1部分26a間に位置する。第3部分26cは、第1部分26aに接続され、複数の第1部分26aのうち隣り合う2つの第1部分26a間に位置する。第1部分26aと第3部分26cとが、格子状に配置されている。上面視において、1つの第2部分26bは、第1部分26aと第3部分26cに囲まれている。
【0080】
第1部分26aの膜厚は、内側領域25の膜厚及び第2部分26bの膜厚よりも厚い。第3部分26cの膜厚は、内側領域25の膜厚及び第2部分26bの膜厚よりも厚い。例えば、第1部分26aの膜厚と第3部分26cの膜厚は同じである。外側領域26において、同じ膜厚を有する透光性導電膜20が、格子状に配置されている。例えば、内側領域25の膜厚と第2部分26bの膜厚は同じである。第1部分26aの膜厚は、例えば、50nm以上100nm以下とすることができる。第2部分26bの膜厚は、例えば、10nm以上50nm以下とすることができる。
【0081】
図9における透光性導電膜20の外側領域26の断面は、第1部分26aの切断面を示す。
【0082】
第1実施形態と同様に第2実施形態においても、透光性導電膜20は、厚膜部(第1部分26a、第3部分26c)と、厚膜部よりも膜厚が薄い薄膜部(内側領域25、第2部分26b)とを有する。例えば、厚膜部の膜厚は、薄膜部の膜厚の1.5倍以上3.0倍以下である。
【0083】
また、p側電極150の直下に配置された透光性導電膜20の膜厚は、薄膜部の膜厚よりも厚い。例えば、p側電極150の直下に配置された透光性導電膜20の膜厚は、厚膜部の膜厚と同じである。
【0084】
第2実施形態においても、活性層13からの光は、主にp側半導体層12及び透光性導電膜20を介して発光素子2の外部に取り出される。
【0085】
発光素子2の透光性導電膜20において、外側領域26は、p側電極150の第1延伸部152とn側電極160の第2延伸部162との間に位置する内側領域25よりも電流が拡散されにくい領域である。
【0086】
そのような外側領域26に、内側領域25よりも厚い厚膜部である第1部分26aを配置することで、外側領域26の全体を内側領域25のような薄膜部にする場合に比べて、外側領域26のシート抵抗を低減でき、外側領域26に電流を拡散させやすくできる。また、外側領域26に第1部分26aよりも薄い薄膜部である第2部分26bを配置することで、外側領域26の全体を厚膜部にする場合に比べて、外側領域26における光吸収を抑制できる。また、外側領域26よりも電流が拡散されやすい内側領域25の膜厚は外側領域26の厚膜部よりも薄くすることで、透光性導電膜20の全領域を厚くする場合に比べて、透光性導電膜20による光吸収を抑制できる。したがって、第2実施形態の発光素子2によれば、順方向電圧の上昇を抑制しつつ、光取り出し効率を向上させることができる。
【0087】
p側電極150からの電流を透光性導電膜20の面方向に拡散させやすくするために、p側電極150の直下に配置されp側電極150に接する領域の透光性導電膜20の膜厚は、第1部分26aなどの厚膜部の膜厚と同じにすることが好ましい。
【0088】
外側領域26において、隣り合う第1部分26a間に厚膜部としてさらに第3部分26cを配置することで、第1部分26aだけを配置した場合に比べて外側領域26に電流を拡散させやすくできる。
【0089】
図10A図10Cは、本発明の各実施形態による透光性導電膜20の第1の形成方法を示す模式断面図である。
【0090】
図10Aに示すように、p側半導体層12上に透光性導電膜20を形成する。透光性導電膜20の上面にはレジスト200が形成され、そのレジスト200に対するフォトリソグラフィー及び現像処理により、透光性導電膜20の上面の一部にレジスト200を残す。透光性導電膜20のうち厚膜部にする部分にレジスト200が残される。そして、図10Bに示すように、レジスト200をマスクにして透光性導電膜20をエッチングし、透光性導電膜20のうちレジスト200から露出する部分を除去する。この後、レジスト200を除去し、図10Cに示すように、図10Bに示す工程で残された透光性導電膜20の上面と、p側半導体層12の上面と覆うように再び透光性導電膜20を成膜する。これらの工程により、前述した工程で透光性導電膜20がエッチングされた部分に形成された薄膜部20bと、レジスト200に覆われ透光性導電膜20エッチングされなかった部分に形成された厚膜部20aとを含む透光性導電膜20を形成することできる。
【0091】
図11A図11Cは、本発明の各実施形態による透光性導電膜20の第2の形成方法を示す模式断面図である。
【0092】
図11Aに示すように、p側半導体層12上に透光性導電膜20を形成する。透光性導電膜20の上面にはレジスト200が形成され、そのレジスト200に対するフォトリソグラフィー及び現像処理により、透光性導電膜20の上面の一部にレジスト200を残す。図11Bに示すように、透光性導電膜20のうち厚膜部にする部分にレジスト200が残される。そして、レジスト200をマスクにして、レジスト200から露出する透光性導電膜20をエッチングする。図11Cに示すように、レジスト200から露出する透光性導電膜20を厚さ方向の途中までエッチングを行う。これにより、厚さ方向の途中までエッチングされた薄膜部20bと、レジスト200に覆われエッチングされなかった厚膜部20aとを含む透光性導電膜20を形成することできる。
【0093】
透光性導電膜20の膜厚が比較的薄く、エッチングによる膜厚制御が難しい場合には、第2の形成方法よりも、第1の形成方法が好ましい。また、透光性導電膜20のエッチング後の表面はダメージを受けやすいため、透光性導電膜20の上面の表面状態を悪化させないという観点においても、透光性導電膜20をエッチング後に再び透光性導電膜20を成膜する第1の形成方法が好ましい。
【0094】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。本発明の上述した実施形態を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての形態も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0095】
1、2…発光素子、10…半導体積層体、11…n側半導体層、12…p側半導体層、13…活性層、20…透光性導電膜、21…第1領域、21a…第1部分、21b…第2部分、21c…第3部分、21d…第5部分、22…第2領域、23…第3領域、23a…第4部分、23b…第6部分、25…内側領域、26…外側領域、26a…第1部分、26b…第2部分、50、150…p側電極、51、151…第1接続部、52、152…第1延伸部、54…先端側部分、54a…先端部、60、160…n側電極、61、161…第2接続部、62、162…第2延伸部、100…基板
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C