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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184689
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/48 20100101AFI20221206BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20221206BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20221206BHJP
【FI】
H01L33/48
H01L33/60
H01L33/50
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021197849
(22)【出願日】2021-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2021091897
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 耕治
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA81
5F142BA32
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD15
5F142CE16
5F142CG05
5F142CG24
5F142DA13
5F142DB02
5F142DB24
5F142DB44
5F142FA24
5F142GA21
5F142GA29
(57)【要約】
【課題】より信頼性に優れる発光装置を提供すること。
【解決手段】発光装置100は、発光素子1と、発光素子1を上面に載置する素子載置領域13を有する第1基板10と、発光素子1を覆うシート状の透光性部材5であって、下面の外縁が第1基板10の素子載置領域13の外側の上面に接する透光性部材5と、第1基板10の上面と透光性部材5の上面とに亘って延在し、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置され、前記発光素子の上面よりも高い頂部を有する第1凸部41と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子を上面に載置する素子載置領域を有する第1基板と、
前記発光素子を覆うシート状の透光性部材であって、下面の外縁が前記第1基板の前記素子載置領域の外側の上面に接する前記透光性部材と、
前記第1基板の上面と前記透光性部材の上面とに亘って延在し、前記透光性部材の上面の外縁に沿って配置され、前記発光素子の上面よりも高い頂部を有する第1凸部と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記第1凸部は、前記素子載置領域を囲うように配置される請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記透光性部材は、平面視において矩形状であり、
前記第1凸部は、平面視において矩形の枠状に配置される請求項1または請求項2のいずれかに記載の発光装置。
【請求項4】
前記発光素子が、前記素子載置領域に複数整列して配置されている請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記発光素子の上面を露出し側面を覆う反射性部材を有し、
前記透光性部材は、前記発光素子及び前記反射性部材を覆う請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1凸部の頂部は、前記透光性部材の頂部より高い位置に配置されている請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記透光性部材は蛍光体を含有する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1基板を上面に載置する基板載置領域を有する第2基板と、
前記第1基板の前記素子載置領域より外側の上面に配置される第1端子と、前記第2基板の前記基板載置領域より外側の上面に配置される第2端子とを接続するワイヤと、
前記ワイヤを被覆する被覆部材と、をさらに備え、
前記被覆部材は前記第1凸部に接し、前記第1凸部より外側に配置される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第2基板の上面において、前記被覆部材に接する第2凸部を有し、
前記第2凸部は、前記第1基板を囲うように配置され、
前記被覆部材は、前記第1凸部と前記第2凸部との間に配置される請求項8に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用の光源やプロジェクタの光源として発光素子を複数用いる発光装置が使用されている。発光装置を光源として使用する場合、例えば、光源からレンズを介して外部へ光を照射する構成がとられる。このような発光装置として、複数の発光素子がサブマウント上に配列され、サブマウントをさらに配線基板に搭載し、サブマウントと配線基板とがワイヤにより接続される構成が知られている(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-009898号公報
【特許文献2】特開2017-212301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、より信頼性に優れる発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態に係る発光装置は、発光素子と、前記発光素子を上面に載置する素子載置領域を有する第1基板と、前記発光素子を覆うシート状の透光性部材であって、下面の外縁が前記第1基板の前記素子載置領域の外側の上面に接する前記透光性部材と、前記第1基板の上面と前記透光性部材の上面とに亘って延在し、前記透光性部材の上面の外縁に沿って配置され、前記発光素子の上面よりも高い頂部を有する第1凸部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示に係る実施形態によれば、より信頼性に優れる発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
図2】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図3図2のIII-III線における断面図である。
図4図2のIV-IV線における部分の断面図である。
図5図2のV-V線における断面図である。
図6図2のVI-VI線における断面図である。
図7】第1実施形態に係る発光装置において第1凸部及び第2凸部と、透光性部材と、ワイヤとを模式的に示す平面図である。
図8】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図9A】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9B】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9C】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す拡大平面図である。
図9D】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9E】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9F】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9G】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図9H】第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。
図10A】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図である。
図10B図10AのXB-XB線における断面図である。
図10C図10Bの一部分を拡大した部分拡大断面図である。
図11】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。
図12A】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12B】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12C】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図12D】第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
図13】第1実施形態の変形例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、平面図と対応する断面図とで、各部材の寸法や配置位置が厳密には一致しないことがある。図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりする場合がある。更に以下の説明において、上下左右前後は相対的なものであり、絶対的な方向を示すものではない。そして、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する場合がある。また、実施形態について、「被覆」や「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して被覆する場合も含む。本明細書において平面視とは、発光装置の光取り出し面側から観察することを意味する。
【0009】
<第1実施形態>
[第1実施形態に係る発光装置の構成]
第1実施形態に係る発光装置の構成について、図1乃至図7を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る発光装置全体を模式的に示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る発光装置全体を模式的に示す平面図である。図3は、図2のIII-III線における断面図である。図4は、図2のIV-IV線における断面図である。図5は、図2のV-V線における断面図である。図6は、図2のVI-VI線における断面図である。図7は、第1実施形態に係る発光装置において第1凸部及び第2凸部と、透光性部材と、ワイヤとを模式的に示す平面図である。
【0010】
発光装置100は、発光素子1と、発光素子1を載置する素子載置領域13を上面に有する第1基板10と、発光素子1を覆う透光性部材5であって、下面の外縁が第1基板10の素子載置領域13の外側の上面に接する透光性部材5と、第1基板10の上面と透光性部材5の上面とに亘って延在し、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置される第1凸部41と、を備えている。第1凸部41は、透光性部材5の上面の外縁全てを被覆する連続する1つの枠状に配置されてもよいし、透光性部材5の上面の外縁に沿って断続的に複数の第1凸部が配置されてもよい。また、枠の一部が途切れたような形状に配置されてもよい。第1凸部41は、ここでは、素子載置領域13を囲むように矩形の枠状に配置されている。発光装置100は、ここでは、複数の発光素子1を備える。そして、複数の発光素子1は、素子載置領域13に整列して配置されている。
さらに、発光装置100は、第1基板10を上面に載置する基板載置領域23を有する第2基板20と、第1基板10の素子載置領域13より外側の上面に配置される第1端子110と、第2基板20の基板載置領域23より外側の上面に配置される第2端子120とを接続するワイヤ130と、ワイヤ130を被覆する被覆部材40と、を備えることとしてもよい。この際、被覆部材40は第1凸部41に接し、第1凸部41より外側の第1基板10の上面を被覆している。
【0011】
なお、発光装置100は、第1基板10上の素子載置領域13において、発光素子1の上面を露出し側面を覆う反射性部材7を備えることができる。さらに、発光装置100は、第2基板20の上面において、第2端子120より外側に配置され、被覆部材40に接する第2凸部42を有することとしてもよい。
以下、各構成について説明する。
【0012】
(第1基板)
第1基板10は、平板状の支持部材と、支持部材の上面に配置された配線とを含む。第1基板10は上面に複数の発光素子1が載置される素子載置領域13を有する。素子載置領域13には、発光素子1と接続される配線が配置されている。第1基板10は、素子載置領域13よりも外側の上面に配置される配線として複数の第1端子110を有する。第1端子110は、素子載置領域13に配置された配線と電気的に接続される。第1基板10は、例えばシリコン等の半導体基板であり、上面の配線が配置されていない領域は絶縁膜で覆われている。配線は、支持部材の内部や下面にも配置されていてもよい。例えば、第1基板10は、複数の発光素子1を駆動制御するための回路が集積された集積回路(IC)基板を用いることができる。
素子載置領域13には、複数の発光素子1が行列状に載置されている。平面視における素子載置領域13は、一例として、矩形の領域とすることができる。この素子載置領域13は、ここでは長方形であり、第1端子110は、素子載置領域13を挟むように、長方形の対向する長辺に沿って列状に配置されている。
【0013】
第1端子110は、例えば、第1基板の給電用端子であり、ここでは、ワイヤ130の一端が接続され、第1基板10は、ワイヤ130を介して、第2基板と電気的に接続されている。複数の第1端子110は、ここでは一例として一つ一つが略矩形状であり、第1基板10の上面において、それぞれが互いに離隔して素子載置領域13の長辺に沿って列状に配置されている。
【0014】
複数の発光素子1は、第1基板10上に行列状に載置され、第1端子のいずれかと電気的に接続されている。複数の発光素子1は、所定個数ずつのグループとして、第1端子と直列接続又は並列接続されていてもよい。
配線は、例えば、Cu,Ag,Au,Al,Pt,Ti,W,Pd,Fe,Niなどの金属又はその合金などを用いて形成することができる。このような配線は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等によって形成することができる。
【0015】
(第2基板)
第2基板20は、平板状の基材と、基材の少なくとも上面に配置された配線とを含む。第2基板20は上面に第1基板10を載置する基板載置領域23を有し、さらに基板載置領域23よりも外側の上面に第2端子120を備える。
基板載置領域23は、第1基板10が載置される領域である。この基板載置領域23は第1基板10の平面視形状と同等の面積を備える領域として設定されている。ここで、同等とは、部材公差や実装公差により生じる誤差を許容範囲として含むものとする。第1基板10が平面視で長方形であれば、基板載置領域23も長方形とすることができる。
【0016】
第2端子120は、基板載置領域23の外側において、長方形の基板載置領域23の対向する長辺に沿ってそれぞれ列状に複数配置されている。第2端子120は、第1端子110に一端が接続されるワイヤ130の他端が接続される端子である。第2端子120は、ここでは一例として一つ一つが略矩形状で、第2基板20の上面において、それぞれが互いに離隔して、基板載置領域23に沿って列状に整列して配置されている。
第2端子120は、例えば、既に説明した第1基板10の配線と同様の材料及び形成方法により形成することができる。
【0017】
基材は、放熱性が高い材料を用いるのが好ましく、さらに、高い遮光性や基材強度を備える材料であることがより好ましい。具体的には、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどのセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、BTレジン(bismaleimide triazine resin)、ポリフタルアミド(PPA)などの樹脂、さらに、樹脂と金属又はセラミックスとで構成される複合材などが挙げられる。基材は、平板状のものを用いることもできるし、上面にキャビティを備える基材を用いてもよい。この場合、第2基板20はキャビティの底を基板載置領域として、キャビティ内に第1基板10を載置することができる。
第2基板20は、基板載置領域23の表面に、第1基板10を載置するための配線を備えていてもよい。第1基板10と第2基板20とは、Ag焼結体、半田、接着用樹脂などの接合材を介して接合することができる。
【0018】
(ワイヤ)
ワイヤ130としては、Au、Cu、Pt、Al等の金属及び/又は少なくともそれらの金属を含有する合金を用いた導電性ワイヤが挙げられる。特に、熱抵抗等に優れたAuを用いるのが好ましい。ワイヤの径は、例えば、15μm以上50μm以下が挙げられる。なお、ここでは、ワイヤ130は、それぞれ長さの異なる第1ワイヤ31、第2ワイヤ32、第3ワイヤ33を含む。第1ワイヤ31、第2ワイヤ32、第3ワイヤ33は、それぞれ同様の部材で形成することができる。
ワイヤ130は、平面視で略長方形の第1基板10の長辺を跨いで、例えば、長辺と略直交するように配置することができる。
【0019】
(発光素子)
発光素子1は、例えば、平面視形状が略矩形であり、半導体積層体と、半導体積層体の表面に配置される正負の電極と、を備える。発光素子1は同一面側に正負の電極を備えており、電極を備える面を下面として、下面を第1基板10の上面に対面させて、第1基板10上に実装されている。この場合、電極が配置された面と対向する上面が、発光素子1の主な光取り出し面となる。なお、発光装置100では、発光素子1は、第1基板10上において、行列方向に所定間隔を開けて整列して載置される。用いる発光素子1の大きさや個数は、得ようとする発光装置の形態によって適宜選択することができる。なかでも、より小さい発光素子1をより多く高密度に載置することが好ましい。これにより、照射範囲をより多い分割数で制御できるようになり、高解像度の照明システムの光源として用いることができる。例えば、平面視において1辺が40~100μmである矩形状の発光素子1が1000~20000個、全体として長方形を成すように行列状に載置されたものが挙げられる。
【0020】
発光素子1は、任意の波長の物を選択することができる。例えば、青色や緑色の発光素子1としては、ZnSeや窒化物半導体(InAlGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、GaPを用いたものが選択できる。また、赤色の発光素子1としては、GaAlAs、AlInGaP、で表される半導体を好適に用いることができる。更に、これら以外の材料からなる半導体発光素子を用いることもできる。用いる発光素子1の組成や発光色は目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
(接合部材)
なお、発光素子1は、図6に示すように、第1基板10の素子載置領域13に配置された配線上に、導電性の接合部材により接合されている。発光素子1を第1基板10にフリップチップ実装する場合、接合部材として、Au,Ag,Cu,Alなどの金属材料からなるバンプを用いることができる。また、接合部材として、AuSn系合金、Sn系の鉛フリー半田などの半田を用いるようにしてもよい。この場合は、リフロー法によって、発光素子1を第1基板10に接合することができる。また、接合部材として、樹脂に導電性粒子を含有させた導電性接着材を用いることもできる。発光素子1と第1基板10との接合は、めっき法を用いて形成してもよい。めっき材料としては、例えば、Cuが挙げられる。
また、発光素子1と第1基板10との接合は、接合部材を介さずに、発光素子1の電極と第1基板10の配線とが直接接合により接合されていてもよい。
【0022】
(反射性部材)
反射性部材7は、図6に示すように、第1基板10の上面及び発光素子1の側面を被覆する部材である。発光素子1の上面は反射性部材7から露出する。反射性部材7は、発光素子1の下面と第1基板10との間を被覆してもよい。反射性部材7は、発光素子1の側面から出射する光を反射して、発光装置100の発光面である透光性部材5の上面から出射させることができる。このため、発光装置100の光取り出し効率を高めることができる。また、発光素子1を個別点灯した際に、発光エリアと非発光エリアとの境界を明確にすることができる。これにより、発光エリアと非発光エリアとのコントラスト比が向上する。また、反射性部材7は、第1凸部41から離隔して配置されていてもよく、第1凸部41に接して配置されていてもよい。
【0023】
なお、反射性部材7は、比較的低弾性で形状追従性に優れた軟質の樹脂を用いることが好ましい。具体的には、反射性部材7は、母材となる透光性樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させた白色樹脂を用いることが好ましい。透光性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができる。なかでも耐熱性、耐光性に優れるシリコーン樹脂を用いることが好ましく、ジメチルシリコーン樹脂を用いることがより好ましい。ジメチルシリコーン樹脂は、より高温耐性等の信頼性に優れるため、車載用途の材料として好適に用いることができる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーなどを好適に用いることができる。なお、反射性部材7は、カーボンブラック、グラファイト等の光吸収性物質を含有してもよい。
【0024】
(透光性部材)
透光性部材5は、透光性を有し、複数の発光素子1の上面を被覆する。透光性部材5は、複数の発光素子1の上面及び反射性部材7の上面、側面を一括して被覆する。透光性部材5の上面は発光装置100の発光面を構成する。透光性部材5は、少なくとも母材となる透光性樹脂を含み、その母材中に波長変換部材を含有してもよい。ここでは、一例として、透光性部材5に波長変換部材を含有しており、発光素子1から出射される光の少なくとも一部を波長変換して外部に取り出している。
【0025】
透光性部材5は、平面視で略長方形のシート状であり、複数の発光素子1を内包するように配置されている。そして、透光性部材5の下面の外縁51は、第1基板10の素子載置領域13の外側の上面に接するように配置されている。このような透光性部材5は、一例として、後記する製造工程において、シート状に加工された未硬化の透光性部材5を、発光素子1及び反射性部材7を覆うように配置した後、透光性部材5を加熱等により軟化させて、透光性部材5の下面の外縁が第1基板10の上面に接するように反射性部材7に沿って変形させることで得られる。そして、透光性部材5は、発光素子1の上面、反射性部材の上面、外側面、及び、第1基板10の上面に接した状態で硬化させられる。そして、シート状の透光性部材5は発光素子1の上面及び第1基板10の上面に沿って配置される。このため発光装置100は、透光性部材5の上面に、第1基板10の上面と発光素子1の上面との高さの差により生じる段差を有する。
【0026】
透光性部材5は、シート状または板状に加工されたものを発光素子1上に配置してもよいし、スプレー等によって発光素子1及び反射性部材7上に層状に塗布されてもよい。あるいは、金型等を用いた射出成形、トランスファーモールド、圧縮成型などによって発光素子1上にシート状に形成されてもよい。透光性部材5は、下面の外縁51が第1基板10の上面に接して配置されることで、第1基板10との密着性が向上する。
波長変換部材を含有する透光性部材5としては、母材となる透光性樹脂に、蛍光体の粉末を含有させたものを挙げることができる。母材としては、反射性部材7の母材で例示した樹脂と同様の樹脂を用いることができる。透光性部材5の厚みは、例えば、20μm以上100μm以下程度とすることができる。なお、透光性部材5は、複数の発光素子1の上面全て及び反射性部材7を被覆して下面の外縁51が第1基板10に接する大きさに形成されている。具体的には、透光性部材5の外縁が、反射性部材7の外縁から発光素子1の厚みの少なくとも2倍以上外側に位置するような大きさ、かつ、反射性部材7の外縁から透光性部材5の厚みの少なくとも2倍以上外側に位置するような大きさ、が挙げられる。そして、透光性部材5は、第1基板10上において、後記する第1凸部41に覆われる位置まで延在して設けられている。
【0027】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)、α系サイアロン蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si,Al)F:Mn)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I))、又は、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS又はAgInSe)等を用いることができる。
【0028】
KSAF系蛍光体としては、下記式(I)で表される組成を有していてよい。
[SiAlMn] (I)
【0029】
式(I)中、Mはアルカリ金属を示し、少なくともKを含んでよい。Mnは4価のMnイオンであってよい。p、q、r及びsは、0.9≦p+q+r≦1.1、0<q≦0.1、0<r≦0.2、5.9≦s≦6.1を満たしていてよい。好ましくは、0.95≦p+q+r≦1.05又は0.97≦p+q+r≦1.03、0<q≦0.03、0.002≦q≦0.02又は0.003≦q≦0.015、0.005≦r≦0.15、0.01≦r≦0.12又は0.015≦r≦0.1、5.92≦s≦6.05又は5.95≦s≦6.025であってよい。例えば、K[Si0.946Al0.005Mn0.0495.995]、K[Si0.942Al0.008Mn0.0505.992]、K[Si0.939Al0.014Mn0.0475.986]で表される組成が挙げられる。このようなKSAF系蛍光体によれば、輝度が高く、発光ピーク波長の半値幅の狭い赤色発光を得ることができる。
【0030】
(被覆部材)
被覆部材40は、素子載置領域13よりも外側においてワイヤ130を覆う遮光性の樹脂である。なお、被覆部材40は、一例として、ワイヤ130を覆うと共に素子載置領域13を囲うように平面視で枠状に配置されている。被覆部材40は、後述する第1凸部に接するように配置されている。
枠状に配置される被覆部材40は、平面視略長方形の第1基板10の長方形の長辺側では、短辺側の領域よりもより広い幅を有する。さらに、被覆部材40の高さ(つまり第2基板20の上面から被覆部材40の上面までの距離)は、ワイヤ130の頂部130a(ここではワイヤのループトップ)の直上において最も高くなるように配置されている。言い換えると、被覆部材40は、被覆部材40の頂部40aが、ワイヤ130の頂部130aとオーバーラップするように配置されている。なお、被覆部材40の頂部40aの位置は、後記する第1凸部41の頂部41aよりも上方に位置するように配置されている。
【0031】
遮光性の被覆部材40としては、例えば、遮光性を有するフィラーを含有する樹脂が挙げられる。母材の樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。遮光性を有するフィラーとしては、顔料、カーボンブラック、グラファイト等の光吸収性物質、上述した反射性部材に含まれる光反射性物質と同様の光反射性物質などが挙げられる。具体的には、光反射性に優れた白色樹脂、光吸収性に優れた黒色樹脂、また光反射性および光吸収性を有する灰色樹脂等が挙げられる。また被覆部材40は、これらの樹脂層が複数積層されていてもよい。
なかでも、光吸収による樹脂の劣化を考慮して、被覆部材40は、少なくとも最表面に光反射性を有する白色樹脂を用いることが好ましい。
【0032】
被覆部材40は、遮光性を有すると共に後述する第1凸部41に接して配置されている。被覆部材40は、遮光性を有するためのフィラーとして、光反射性物質及び/又は光吸収性物質を含有するため、これらのフィラーを含有しない透光性樹脂を用いる場合よりも、被覆部材40における樹脂の量を少なくすることができる。これにより、樹脂の熱膨張によるワイヤへの負荷を抑制することができる。ワイヤに熱の影響を与えることが少ないので、ワイヤの接続性が向上し、信頼性に優れた発光装置とすることができる。
【0033】
(第1凸部、第2凸部)
発光装置100は、第1基板10の上面と透光性部材5の上面とに亘って延在し、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置される第1凸部41を備える。第1凸部41は、素子載置領域13を囲むように、平面視で枠状に配置されている。具体的には、第1凸部41は、素子載置領域13と第1端子110との間の第1基板10上において、透光性部材5の上面の外縁に沿って配置され、透光性部材5の上面の外縁51を覆うと共に第1基板10の上面に接して配置されている。これにより、発光装置100における、透光性部材5と第1基板10との密着性が向上し、信頼性に優れる発光装置100とすることができる。また、発光装置100の上面における第1凸部41で囲まれる領域に、第1基板10の上面が露出しないため、素子載置領域13に配置された配線等を塵芥、水分、外力等から保護することができる。これにより、より信頼性に優れる発光装置100とすることができる。
【0034】
発光装置100において、第1凸部41は、その頂部41aが発光素子1の上面よりも上方に位置するように配置することができる。これにより、発光素子1から側方に出射される光を上方へと反射させて、より正面輝度の高い発光装置100とすることができる。さらに、第1凸部41の頂部41aは、素子載置領域13に位置する透光性部材5の頂部より高い位置に配置されていることが好ましい。これにより、透光性部材5を介して側方に出射される光を反射させることができる。
【0035】
さらに、発光装置100は、第2基板20の上面において、被覆部材40に接する第2凸部42を有していてもよい。この場合、第2凸部42は第1基板10を囲うように枠状に配置され、被覆部材40は、第1基板10の上面から第2基板20の上面に亘って、第1凸部41と第2凸部42との間に配置される。つまり、被覆部材40は、第1基板10上において素子載置領域13を囲うように配置された第1凸部41と、第2基板20上において基板載置領域23を囲うように配置された第2凸部42との間に配置される。このような被覆部材40の配置は、第1凸部41と第2凸部42とで囲まれた枠内に被覆部材40を構成する未硬化の樹脂を供給することで形成することができる。言い換えると、第1凸部41及び第2凸部42は、被覆部材40が供給される際の、未硬化の樹脂の流動を堰き止めるためのダムとして用いることができる。被覆部材40は、一例として、第1凸部41及び第2凸部42のそれぞれの頂部に接するように配置されている。
【0036】
第1凸部41及び第2凸部42は、未硬化の樹脂を高さ方向に複数重なるように設けることで所定高さとすることができる。例えば、第1凸部41及び第2凸部42は、ノズルから所定粘度に調整された樹脂を基板上に1段配置し、その作業を繰り返すことで所定の高さとなるようにしている。
第1凸部41及び第2凸部42は、それぞれ、発光素子1及び透光性部材5から出射される光に対して透光性を有していても良いし、遮光性を有していても良い。第1凸部41及び第2凸部42としては、上述した被覆部材40として例示した材料を用いることができる。なお、第1凸部41及び第2凸部42を構成する樹脂は、被覆部材40を構成する樹脂よりも高い粘度のものを用いることが好ましい。樹脂の粘度は、例えば、樹脂に含有させる粘度調整用フィラーの量により調整することができる。
【0037】
第1凸部41は、平面視において、透光性部材5の上面の外縁を被覆し、透光性部材5の上面及び第1基板10の上面に接するように配置される。具体的には、第1凸部41は、第1基板10の上面に接する透光性部材5の下面に対応する上面と、第1基板10の上面とに接するように配置される。このように、透光性部材5の外縁を含む端部が第1凸部41の下面と第1基板10の上面との間に配置されることで、透光性部材5の第1基板10からの剥離が抑制され、透光性部材5と第1基板10との密着性が向上する。つまり、発光装置は、第1凸部41を備えることで、透光性部材5における、第1基板10の上面からの剥がれが抑制され、信頼性に優れた発光装置とすることができる。
【0038】
第1凸部41は、発光素子1から透光性部材5を介して上方出射される光を遮らないように、平面視において、発光素子1と重ならないように配置される。さらに、第1凸部41は素子載置領域13を囲う枠状に配置されることが好ましく、この際、枠の内縁が、第1基板10の上面に接する透光性部材5の上方に位置するように配置されることが好ましい。そして、第1凸部41は、上述した透光性部材5の上面の段差と離隔して配置される(つまり段差を被覆しない)ことがより好ましい。これにより、第1凸部41と第1基板10との間に配置される透光性部材5の厚みが一定となり、第1凸部41と第1基板10との密着性がより向上する。
さらに、透光性部材5が、素子載置領域13に配置される透光性部材5の上面と、第1凸部41に被覆される透光性部材5の上面との間に段差を有することにより、つまり、透光性部材5の上面が第1凸部41に沿って、素子載置領域13よりも低い領域を有することにより、樹脂で形成された第1凸部41から染み出した樹脂成分が素子載置領域13に濡れ拡がることを抑制することができる。
【0039】
以上の構成を備える発光装置100は、一例として、車両のヘッドライトの光源として使用することができる。この際、例えば、光源からレンズを介して外部へ光を照射する構成がとられる。発光装置100は、発光素子1を外部からの電源スイッチにより点灯する。なお、発光装置100は、予め設定された発光素子1の一部又は全部を個別に駆動させることができるように構成されている。
【0040】
[第1実施形態に係る発光装置の製造方法]
次に、発光装置の製造方法について、図8図9A図9Hを参照して説明する。
図8は、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。図9A図9Hは、第1実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す平面図である。なお、発光素子1は所定の間隔を開けて載置されているが、図9Cの拡大平面図以外では、間隔を省略して示している。
【0041】
発光装置の製造方法は、発光素子を第1基板の上面の素子載置領域に載置する素子載置工程S11と、発光素子の上面を露出して側面を覆う反射性部材を第1基板上に配置する反射性部材配置工程S12と、発光素子及び反射性部材の上面を覆い下面の外縁が第1基板に接するように透光性部材を配置する透光性部材配置工程S15と、第1基板の上面と透光性部材の上面の外縁に亘って延在し、透光性部材の上面の外縁に沿って第1凸部を配置する第1凸部配置工程S16と、を備える。さらに、発光装置の製造方法は、第1基板を第2基板の上面の基板載置領域に載置する基板載置工程S13と、第1基板の素子載置領域より外側の上面に配置される第1端子と第2基板の基板載置領域より外側に配置される第2端子とをワイヤで接続するワイヤ接続工程S14と、第2基板上において、第2端子より外側に配置される第2凸部を配置する第2凸部配置工程S17と、第1凸部より外側において、第1凸部に接し、ワイヤを被覆する遮光性の被覆部材を配置する被覆部材配置工程S18と、をさらに含んでいてもよい。なお、第1凸部配置工程S16と、第2凸部配置工程S17とは、どちらが先でも後でもよく、あるいは同時に行ってもよい。以下、各工程について説明する。
【0042】
素子載置工程S11は、複数の発光素子1を第1基板10の素子載置領域13に載置する工程である。なお、素子載置工程S11を行う前に、予め第1端子110等の配線が配置された第1基板10を準備することが好ましい。
発光素子1は、第1基板10上の素子載置領域13に、例えば共晶はんだ、導電ペースト、バンプ、めっき等の導電性接合部材を介してフリップチップ実装することができる。発光素子1は、素子載置領域13において、所定の間隔を開けて行列方向に整列して載置される。発光素子1は、半導体成長等の工程を経るなど、製造工程の一部または全部を経ることで準備することができる。或いは購入等により準備してもよい。
【0043】
反射性部材配置工程S12は、第1基板10の素子載置領域13に発光素子1が載置された後に、発光素子1の側面を反射性部材で覆う工程である。ここでは、第1基板10に発光素子1を載置した後に、発光素子1の側面に反射性部材である、例えば白色樹脂を発光素子1間に配置する。反射性部材は、例えば、圧縮成形、トランスファーモールド、ポッティング、印刷、スプレー等の方法で形成することができる。
【0044】
基板載置工程S13は、第1基板10を第2基板20の基板載置領域23に載置する工程である。ここでは、発光素子1を載置した第1基板10を第2基板20の基板載置領域23に配置し、例えば、焼結Agなどの接合材を介して接合する。なお、基板載置工程S13を行う前に、予め第2端子120等の配線が配置された第2基板20を準備することが好ましい。
【0045】
ワイヤ接続工程S14は、第1基板10の第1端子110と第2基板20の第2端子120とをワイヤ130で接続する。
ワイヤ130は、最初に第1基板10上の第1端子110と接続した後、第2基板上の
第2端子120と接続させるのが好ましい。このような順番でワイヤ130を接続させることで、ワイヤ130の頂部を第1端子110のより近くに配置させることができる。つまり、第1基板10と第2基板20との段差に沿ってワイヤ130を形成することができるため、後述する被覆部材配置工程S18において、ワイヤ130の下方に配置される樹脂量が抑えられ、被覆部材の熱膨張に起因したワイヤ130の断線を抑制することができる。
【0046】
透光性部材配置工程S15は、複数の発光素子1及び反射性部材7を覆い、下面の外縁が第1基板10の上面に接する透光性部材5を配置する工程である。この工程では、まず、波長変換部材を含有し、予め所定の大きさのシート状に加工された未硬化又は半硬化の透光性部材5を準備し、発光素子1及び反射性部材7上に配置する。この際、透光性部材5の下面の外縁は第1基板10の上面と離隔していてもよい。透光性部材5は発光素子1上に、樹脂等の透光性の接合部材を介して配置されてもよいし、接合部材を介さずに透光性部材のタック性等を利用して配置されてもよい。そして、ここでは、未硬化又は半硬化の透光性部材5を硬化させるために加熱する硬化工程を行う。硬化工程では、透光性部材5をオーブン等による加熱手段を用いて加熱する。硬化工程において、未硬化又は半硬化のシート状の透光性部材は、加熱により一旦軟化し、自重により発光素子1及び反射性部材7に沿って変形し、下面の外縁51が第1基板10の上面に接した状態で硬化される。
【0047】
第1凸部配置工程S16は、第1基板10の上面であって素子載置領域13と第1端子110との間において、透光性部材5の上面と、第1基板10の上面とに亘って透光性の第1凸部41を配置する工程である。第1凸部配置工程S16では、第1凸部41を形成する未硬化の樹脂をディスペンサのノズルから供給させながら、ノズルを透光性部材5の素子載置領域13に沿って移動させることで第1凸部41を配置する。なお、第1基板10の上面から透光性部材5の上面までの高さは、透光性部材5の上面中央部(つまり発光素子1の直上の領域)よりも、上面外縁(つまり第1基板の上面に接する領域)の方が低い。第1凸部41は、この低い領域を被覆している。これにより、第1凸部41を供給する際に、発光素子1を被覆する透光性部材5の上面(つまり発光装置100の発光面)に第1凸部41を形成する未硬化の樹脂の這い上がりが抑制される。
【0048】
第2凸部配置工程S17は、第2基板20の上面において第2端子120より外側に第2凸部42を配置する。なお、第1凸部41と第2凸部42は同じ材料を用いることが好ましく、これにより、第1凸部配置工程S16と第2凸部配置工程S17とを同じ工程として行うことができる。
なお、第1凸部配置工程S16及び第2凸部配置工程S17では、先に、第2凸部配置工程S17により第2凸部42を配置し、その後、第1凸部配置工程S16により第1凸部41を配置するようにしてもよい。さらに、第1凸部配置工程S16は、第2凸部配置工程S17と同時に行い、第1凸部41及び第2凸部42を略同時に配置するようにしてもよい。
【0049】
被覆部材配置工程S18は、第1凸部41より外側において、第1凸部41に接し、ワイヤ130を被覆する遮光性の被覆部材40を配置する工程である。具体的には、第1凸部41と第2凸部42との間に第1凸部41及び第2凸部42よりも低粘度の樹脂を母材とする遮光性の被覆部材40を配置する工程である。被覆部材40は、第1基板10と第2基板20とに亘って配置される。このため、被覆部材40は、第1基板10の側面も被覆する。なお、被覆部材配置工程S18により配置される被覆部材40の頂部40aの位置は、第1凸部41の頂部41aよりも高い位置になるように形成する。被覆部材40の頂部40aの位置を第1凸部41の頂部41aよりも高い位置にするには、一例として、供給された樹脂が硬化する前に複数回樹脂の供給を繰り返し行うことが好ましい。被覆部材40の供給は、ワイヤの頂部の直上から行うことが好ましい。これにより、ワイヤの頂部が被覆部材40で被膜されやすくなる。
【0050】
第1凸部配置工程S16、第2凸部配置工程S17及び被覆部材配置工程S18では、例えば、第1凸部41、第2凸部42が、シリコーン樹脂であり、被覆部材40も、シリコーン樹脂である。被覆部材40を形成する未硬化の樹脂の粘度は、当該樹脂に用いられる樹脂の物性や粘度調整用のフィラーを添加すること等によって調整することができる。さらに、本工程において、第1凸部41及び第2凸部42を配置するとは、未硬化、又は、好ましくは仮硬化状態の樹脂材料を配置する場合を含むものであり、本硬化まで完了させる場合のみに限定されない。
【0051】
<第2実施形態>
[第2実施形態に係る発光装置の構成]
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図10A乃至図10Cを参照して説明する。図10Aは、第2実施形態に係る発光装置101を模式的に示す平面図である。図10Bは、図10AのXB-XB線における断面図である。図10Cは、図10Bの一部分を拡大して示す部分拡大断面図である。なお、すでに説明した同じ構成の部材は、同じ符号の後にHの英文字を付して適宜説明を省略する。
発光装置101は、発光素子1Hと、発光素子1Hを上面に載置する素子載置領域13Hを有する第1基板10Hと、発光素子1Hを覆う透光性部材5Hであって、下面の外縁51が第1基板10Hの素子載置領域13Hの外側の上面に接する透光性部材5Hと、第1基板10Hの上面と透光性部材5Hの上面とに亘って延在し、透光性部材5Hの上面の外縁51に沿って配置される第1凸部41Hと、を備えている。
【0052】
第1基板10Hは、上面に素子載置領域13Hを有し、素子載置領域13Hに発光素子1Hと接続される配線が配置されている。また、第1基板10Hは、第2基板あるいは外部との電気的な接続を行うための配線が下面、側面あるいは基板上面外縁側のいずれか少なくとも1ケ所に配置されている。
透光性部材5Hは、下面の外縁51が第1基板10Hの上面に接するように、発光素子1Hの上面から、第1基板10Hにおける素子載置領域の外側の上面まで延在して配置されている。この透光性部材5Hは、第1実施形態で説明したように、例えば、シリコーン樹脂等の透光性樹脂を用いることができる。また透光性部材5Hは、波長変換部材を含有することができる。透光性部材5Hは、平面視において、少なくとも1つの発光素子1Hの上面を内包するように配置され、かつ、第1基板10Hの上面まで延在して、下面の外縁が第1基板10Hの上面に接するように配置されている。なお、透光性部材5Hの外縁51は、発光素子1Hの厚みD1に対して、2倍以上となるように、発光素子1Hの外縁から距離W1だけ離れた位置になることが好ましい。
【0053】
そして、第1凸部41Hは、透光性部材5Hの上面の外縁51と、第1基板10Hの上面とに亘って配置されている。一例として、第1凸部41Hは、図10Bに示すように、断面視において第1凸部の下面の略半分が透光性部材5Hの上面の外縁51を覆い、残りの略半分が第1基板10Hの上面に接するように配置されることが好ましい。なお、発光装置101では、発光素子1Hの上面を露出するように側面に反射性部材を配置した状態で、透光性部材5Hを配置するように構成しても構わない。反射性部材を配置した場合には、透光性部材5Hは、発光素子1Hの上面と、反射性部材の上面及び側面とを覆い、第1基板10Hの上面に接するように配置される。発光装置101は、第1凸部41Hが透光性部材5Hの上面の外縁51を覆うように配置されることで、言い換えると、透光性部材5Hの端部が第1凸部41Hと第1基板10Hとの間に挟まれるように配置されることにより透光性部材5Hと第1基板10Hとの密着性が向上し、信頼性に優れた発光装置101とすることができる。なお、第1凸部41Hは、透光性部材5Hが発光素子1Hを覆うことで形成される透光性部材5Hの段差から離れた位置に配置されることが好ましい。
【0054】
[第2実施形態に係る発光装置の製造方法]
次に、発光装置101の製造方法について、図11図12A乃至図12Dを参照して説明する。図11は、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を説明するフローチャートである。図12A乃至図12Dは、第2実施形態に係る発光装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
発光装置101の製造方法は、素子載置工程S21と、透光性部材配置工程S22と、透光性部材硬化工程S23と、第1凸部配置工程S24とを含む。なお、発光装置101の製造方法は、素子載置工程S21と透光性部材配置工程S22との間に反射性部材配置工程を行うようにしてもよい。
素子載置工程S21は、発光素子1Hを第1基板10Hの素子載置領域13Hに載置する工程である。発光素子1Hは、第1基板10H上の素子載置領域13Hに、例えば共晶はんだ、導電ペースト、バンプ、めっき等の導電性接合部材を介してフリップチップ実装することができる。
【0055】
透光性部材配置工程S22は、発光素子1Hの上面を覆う透光性部材5Hを配置する工程である。透光性部材5Hは、例えば、波長変換部材を含有する樹脂をシート状に加工したものを用いることができる。具体的には、予め所定の大きさのシート状に加工された未硬化の透光性部材5Hを準備し、発光素子1H上に配置する。透光性部材5Hは発光素子1H上に、樹脂等の透光性の接合部材を介して固定されてもよいし、接合部材を介さずに透光性部材のタック性等を利用して固定されてもよい。透光性部材5Hは、次工程で軟化される際に、下面の外縁が第1基板10Hの上面に接するように、発光素子1Hの上面の面積よりも大きいものが用いられる。
【0056】
例えば、発光素子1Hが平面視略矩形状である場合、透光性部材5Hは平面視略矩形状のシート状であり、発光素子1Hの上面を被覆する際に、透光性部材5Hの外縁が、発光素子の外縁からの距離W1として、発光素子1Hの側面の高さD1の2倍以離れるように配置される大きさとすることが好ましい。
透光性部材硬化工程S23は、発光素子1H上に配置された透光性部材5Hを、下面の外縁51が第1基板10H上に接するよう変形させ、透光性部材5Hを硬化させる工程である。透光性部材硬化工程S23では、透光性部材5Hを加熱により硬化している。透光性部材硬化工程S23では、未硬化のシート状の透光性部材5Hを加熱により軟化させ、発光素子1Hの上面及び側面に沿って変形させ、透光性部材5Hの下面の外縁51が第1基板10Hの上面に接した状態で硬化させている。
【0057】
第1凸部配置工程S24は、第1基板10Hの上面と透光性部材5Hの上面とに亘って延在するように、透光性部材5Hの上面の外縁51に沿って第1凸部41Hを配置する工程である。第1凸部配置工程S24では、第1凸部41Hを形成する未硬化の樹脂をディスペンサのノズルから供給させながら、ノズルを透光性部材5Hの上面の外縁51に沿って移動させることで第1凸部41Hを配置する。ここで、透光性部材5Hの上面の高さ(つまり第1基板の上面から透光性部材5Hの上面までの距離)は、発光素子1H上に位置する透光性部材5Hの上面よりも第1基板10Hに接する透光性部材5Hの上面の外縁の方が低い。これにより、第1凸部41Hを配置する際に、第1凸部を成形する未硬化の樹脂を、透光性部材5Hの上面に這い上がりにくくすることができる。
以上のような各工程を経ることで発光装置101を製造することができる。なお、発光装置101は、第1基板10Hを第2基板に載置して、使用することも可能である。
【0058】
(変形例)
なお、図13に示すように、発光装置100Dは、第2基板20Dの上面に凹部24を有し、その凹部24内に基板載置領域23Dを備えるようにしてもよい。図13は、第1実施形態の変形例を模式的に示す断面図である。既に説明した構成は同じ符号を付している。このように、発光装置100Dは、第2基板20Dが基板載置領域23Dを構成する凹部24を有することで、全体の厚みを小さくできる。
さらに、すでに説明した各発光装置において、第1凸部を部分的に配置、例えば、透光性部材の対向する辺に沿って直線状に配置する構成としても構わない。この場合も、第1凸部は、透光性部材の上面の外縁と、第1基板の上面とに亘るように延在して設置される。
以上、本発明に係る発光装置及びその製造方法について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示の実施形態に係る発光装置100、100D、101は、車両のヘッドライトや、プロジェクタ、照明など、種々の光源に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 発光素子
5 透光性部材
7 反射性部材
10 第1基板
110 第1端子
13 素子載置領域
20,20D 第2基板
120 第2端子
23 基板載置領域
24 凹部
130 ワイヤ
130a ワイヤの頂部
31 第1ワイヤ
32 第2ワイヤ
33 第3ワイヤ
40 被覆部材
41 第1凸部
42 第2凸部
100,101,100D 発光装置
S11 素子載置工程
S12 反射性部材配置工程
S13 基板載置工程
S14 ワイヤ接続工程
S15 透光性部材配置工程
S16 第1凸部配置工程
S17 第2凸部配置工程
S18 被覆部材配置工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13