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特開2022-184719転写フィルム、積層体、パターン形成方法、回路配線の製造方法
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  • 特開-転写フィルム、積層体、パターン形成方法、回路配線の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184719
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】転写フィルム、積層体、パターン形成方法、回路配線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20221206BHJP
   G03F 7/028 20060101ALI20221206BHJP
   G03F 7/11 20060101ALI20221206BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 7/06 20190101ALI20221206BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20221206BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20221206BHJP
   G03F 7/20 20060101ALN20221206BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 512
G03F7/004 502
G03F7/028
G03F7/11
G03F7/40 521
G03F7/40 511
B32B7/06
B32B27/18 Z
B32B27/16 101
G03F7/004 501
B32B7/023
G03F7/20 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022038115
(22)【出願日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2021091704
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】両角 一真
(72)【発明者】
【氏名】片山 晃男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 守正
(72)【発明者】
【氏名】有冨 隆志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】東 篤志
【テーマコード(参考)】
2H196
2H197
2H225
4F100
【Fターム(参考)】
2H196AA26
2H196BA05
2H196BA06
2H196CA09
2H196CA16
2H196DA01
2H196EA02
2H196GA08
2H196HA17
2H196HA23
2H196HA33
2H196JA04
2H197AA01
2H197AA04
2H197AA06
2H197AA10
2H197AA12
2H197AA22
2H197AA50
2H197AB05
2H197AB16
2H197BA05
2H197BA17
2H197CA02
2H197CA03
2H197CA05
2H197CD30
2H197CE01
2H197CE10
2H197DB06
2H197FA04
2H197HA02
2H197JA14
2H197JA15
2H197JA22
2H197JA24
2H225AC31
2H225AC32
2H225AC34
2H225AC36
2H225AC37
2H225AC63
2H225AC72
2H225AD14
2H225AD19
2H225AD24
2H225AM10N
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM23P
2H225AM26N
2H225AM32P
2H225AM53N
2H225AM58N
2H225AN02P
2H225AN11P
2H225AN12N
2H225AN12P
2H225AN31P
2H225AN39P
2H225AN41P
2H225AN47P
2H225AN51P
2H225AN55P
2H225AN61P
2H225AN62P
2H225AN65P
2H225AN66P
2H225AN68P
2H225AN73P
2H225AN80P
2H225AN82P
2H225AN83P
2H225AN86P
2H225AN87P
2H225AN92P
2H225AN94P
2H225AN96P
2H225AP01N
2H225BA01N
2H225BA02P
2H225BA09P
2H225BA10P
2H225BA11P
2H225BA17P
2H225BA18P
2H225BA32N
2H225BA32P
2H225CA13
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4F100AB01D
4F100AB01E
4F100AK12B
4F100AK25B
4F100AK42A
4F100AK42C
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100CA13B
4F100CA13E
4F100CA30B
4F100CC02B
4F100DE01D
4F100DE01E
4F100DE03D
4F100DE03E
4F100EH46B
4F100EH66D
4F100EH66E
4F100EJ153
4F100EJ15B
4F100EJ30A
4F100EJ523
4F100EJ52B
4F100EJ91A
4F100GB43
4F100JB14B
4F100JB16E
4F100JD08B
4F100JD14B
4F100JG01D
4F100JG01E
4F100JN01C
4F100JN01D
4F100JN01E
4F100JN17B
(57)【要約】
【課題】透明基材と透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材の両面に適用される転写フィルムであって、上記透明導電層付き基材の両面に転写フィルムを配置してなる積層体の両側から露光した際に、露光かぶりが抑制され、且つ、形成される樹脂パターンの解像性にも優れる、転写フィルムを提供する。また、積層体、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材に適用される、転写フィルムであって、仮支持体と、少なくとも感光性層を含む組成物層と、を有し、上記組成物層が、上記感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素を含み、上記感光性層の最大感度波長と、上記色素の極大吸収波長との差が、40nm以上である、転写フィルム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材と前記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材に適用される、転写フィルムであって、
仮支持体と、少なくとも感光性層を含む組成物層と、を有し、
前記組成物層が、前記感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素を含み、
前記感光性層の最大感度波長と、前記色素の極大吸収波長との差が、40nm以上である、転写フィルム。
【請求項2】
前記透明導電層が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の転写フィルム。
【請求項3】
前記感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、前記色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下である、請求項1又は2に記載の転写フィルム。
【請求項4】
前記感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、前記色素の極大吸収波長が300~395nmである、請求項1又は2に記載の転写フィルム。
【請求項5】
前記色素が、増感しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項6】
前記色素の前記感光性層の最大感度波長における吸光度が1以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項7】
前記組成物層が、増感剤を含み、
前記増感剤が、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、及び、メロシアニン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項8】
前記感光性層に、前記色素が含まれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項9】
前記組成物層が、前記感光性層よりも前記仮支持体側に熱可塑性樹脂層をさらに有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂層に、前記色素が含まれる、請求項9に記載の転写フィルム
【請求項11】
前記感光性層が、さらに重合禁止剤を含み、
前記重合禁止剤が、フェノチアジン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、及び、フェノキサジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~10のいずれか1項に記載の転写フィルム。
【請求項12】
透明基材と前記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材と、前記透明導電層付き基材の両面に貼合された請求項1~11のいずれか1項に記載の転写フィルムとを含む、積層体。
【請求項13】
前記積層体中の一方の転写フィルムにおいて、前記感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、前記色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下であり、
他方の転写フィルムにおいて前記感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、前記色素の極大吸収波長が300~395nmである、請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の積層体中の転写フィルムに対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
前記積層体中の一方の転写フィルム中の感光性層を露光する、第1露光工程と、
前記積層体中の他方の転写フィルム中の感光性層を露光する、第2露光工程と、
前記第1露光工程を経て露光された前記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
前記第2露光工程を経て露光された前記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含む、パターン形成方法。
【請求項15】
前記第1露光工程及び前記第2露光工程が、同時又は逐次に行われる、請求項14に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記第1現像工程及び前記第2現像工程が、同時又は逐次に行われる、請求項14又は15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記第1現像工程を経て形成された樹脂パターンをマスクとして用いて、前記透明基材と前記第1現像工程を経て形成された樹脂パターンと間に配置された前記透明導電層をエッチングする、第1エッチング工程と、
前記第2現像工程を経て形成された樹脂パターンをマスクとして用いて、前記透明基材と前記第2現像工程を経て形成された樹脂パターンと間に配置された前記透明導電層をエッチングする、第2エッチング工程と、を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか1項に記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写フィルム、積層体、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定のパターンを得るための工程数が少ないことから、転写フィルムを用いて任意の基板上に感光性層を配置して、この感光性層に対してマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-086238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今般、本発明者は、転写フィルムを使用して、両面リソグラフィープロセスによって、透明基材の両面にパターン化された導電層を形成する方法について検討したところ、例えば、透明基材の対向する2つの表面に、透明基材側から順に導電層及び感光性層を各々有する積層体に対して両面露光を行う場合、一方の感光性層の露光の際に、この露光光によって他方の感光性層も露光してしまう現象(以下「露光かぶり(fogging)」ともいう。)が発生する場合があることを明らかとした。露光かぶりが発生すると、感光性層が所望の形状に形成できない虞がある。
また、本発明者らは、両面リソグラフィープロセスによって、透明基材の両面にパターン化された導電層を形成する方法について更に検討を進めたところ、露光・現像処理によって各感光性層から形成される樹脂パターンの解像性が劣る場合があることも知見した。
【0005】
そこで、本発明は、透明基材と透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材の両面に適用される転写フィルムであって、上記透明導電層付き基材の両面に転写フィルムを配置してなる積層体の両側から露光(両面露光)した際に、露光かぶりが抑制され、且つ、形成される樹脂パターンの解像性にも優れる、転写フィルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、積層体、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
〔1〕透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材に適用される、転写フィルムであって、
仮支持体と、少なくとも感光性層を含む組成物層と、を有し、
上記組成物層が、上記感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素を含み、
上記感光性層の最大感度波長と、上記色素の極大吸収波長との差が、40nm以上である、転写フィルム。
〔2〕 上記透明導電層が、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む、〔1〕に記載の転写フィルム。
〔3〕 上記感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、上記色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下である、〔1〕又は〔2〕に記載の転写フィルム。
〔4〕 上記感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、上記色素の極大吸収波長が300~395nmである、〔1〕又は〔2〕に記載の転写フィルム。
〔5〕 上記色素が、増感しない、〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔6〕 上記色素の上記感光性層の最大感度波長における吸光度が1以下である、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔7〕 上記組成物層が、増感剤を含み、
上記増感剤が、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、及び、メロシアニン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔8〕 上記感光性層に、上記色素が含まれる、〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔9〕 上記組成物層が、上記感光性層よりも上記仮支持体側に熱可塑性樹脂層をさらに有する、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔10〕 上記熱可塑性樹脂層に、上記色素が含まれる、〔9〕に記載の転写フィルム
〔11〕 上記感光性層が、さらに重合禁止剤を含み、
上記重合禁止剤が、フェノチアジン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、及び、フェノキサジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の転写フィルム。
〔12〕 透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材と、上記透明導電層付き基材の両面に貼合された〔1〕~〔11〕のいずれかに記載の転写フィルムとを含む、積層体。
〔13〕 上記積層体中の一方の転写フィルムにおいて、上記感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、上記色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下であり、
他方の転写フィルムにおいて上記感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、上記色素の極大吸収波長が300~395nmである、〔12〕に記載の積層体。
〔14〕 〔12〕又は〔13〕に記載の積層体中の転写フィルムに対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
上記積層体中の一方の転写フィルム中の感光性層を露光する、第1露光工程と、
上記積層体中の他方の転写フィルム中の感光性層を露光する、第2露光工程と、
上記第1露光工程を経て露光された上記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
上記第2露光工程を経て露光された上記感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含む、パターン形成方法。
〔15〕 上記第1露光工程及び上記第2露光工程が、同時又は逐次に行われる、〔14〕に記載のパターン形成方法。
〔16〕 上記第1現像工程及び上記第2現像工程が、同時又は逐次に行われる、〔14〕又は〔15〕に記載のパターン形成方法。
〔17〕 上記第1現像工程を経て形成された樹脂パターンをマスクとして用いて、上記透明基材と上記第1現像工程を経て形成された樹脂パターンと間に配置された上記透明導電層をエッチングする、第1エッチング工程と、
上記第2現像工程を経て形成された樹脂パターンをマスクとして用いて、上記透明基材と上記第2現像工程を経て形成された樹脂パターンと間に配置された上記透明導電層をエッチングする、第1エッチング工程と、を含む、〔14〕~〔16〕のいずれかに記載のパターン形成方法。
〔18〕 〔14〕~〔17〕のいずれかに記載のパターン形成方法を含む、回路基板の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透明基材と透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材の両面に適用される転写フィルムであって、上記透明導電層付き基材の両面に転写フィルムを配置してなる積層体の両側から露光(両面露光)した際に、露光かぶりが抑制され、且つ、形成される樹脂パターンの解像性にも優れる、転写フィルムを提供できる。
また、本発明によれば、積層体、パターン形成方法、及び回路配線の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】透明導電層付き基材の両面に本発明の転写フィルムを配置してなる積層体に対して両面露光を実施したときの、本発明の転写フィルムの作用機序を説明するための模式図である。
図2】透明導電層付き基材の両面に本発明の転写フィルムを配置してなる積層体に対して両面露光を実施したときの、本発明の転写フィルムの作用機序を説明するための模式図である。
図3】転写フィルムの第1実施形態を説明するための模式図である。
図4】転写フィルムの第2実施形態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0011】
本明細書において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
【0012】
本明細書において、特段の断りのない限り、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、若しくは、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー株式会社製の商品名)、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)、検出器として示差屈折計、及び標準物質としてポリスチレンを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により測定した標準物質のポリスチレンを用いて換算した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、分子量分布がある化合物の分子量は、重量平均分子量(Mw)である。
本明細書において、特段の断りがない限り、ポリマーの構成単位の比は質量比である。
本明細書において、特段の断りがない限り、金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)分光分析装置を用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、屈折率は、波長550nmでエリプソメーターを用いて測定した値である。
本明細書において、特段の断りがない限り、色相は、色差計(CR-221、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した値である。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロキシ基」は、アクリロキシ基及びメタアクリロキシ基の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念である。
【0014】
なお、本明細書において、「アルカリ可溶性」とは、22℃において炭酸ナトリウムの1質量%水溶液100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。
【0015】
本明細書において「水溶性」とは、液温が22℃であるpH7.0の水100gへの溶解度が0.1g以上であることを意味する。したがって、例えば、水溶性樹脂とは、上述の溶解度条件を満たす樹脂を意図する。
【0016】
本明細書において、組成物の「固形分」とは、組成物を用いて形成される組成物層を形成する成分を意味し、組成物が溶剤(有機溶剤、水等)を含む場合、溶剤を除いたすべての成分を意味する。また、組成物層を形成する成分であれば、液体状の成分も固形分とみなす。
【0017】
本明細書において、感光性層について「最大感度波長」という場合、「最大感度波長」とは、光の波長毎に感光性層が反応する最低露光量を分光感度として求め、最低露光量が最も小さくなる波長を指す。
なお、「最大感度波長」は、例えば、以下の方法によって決定できる。感光性層に対し、250~500nmの範囲において、特定波長の光を、ストーファー4105ステップウエッジタブレットを通して照射した際に、感光性層中の感光材料が反応を起こす最低露光量をEminとする。照射する波長を変えることで、分光感度曲線を取得できる。Eminは波長ごとに異なるため、最小値をとる波長が「最大感度波長」となる。
ネガ型感光性層においては、露光部が残存する最低露光量をEminとすることができる。一方、ポジ型感光性層においては、露光部が除去される最低露光量をEminとすることができる。
【0018】
本明細書において、「露光波長」とは、感光性層を露光する際に照射される光の波長であって、感光性層に到達する光の波長を意味する。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して感光性層を露光する場合、上記フィルターを通過する前の光の波長は露光波長に該当しない。ここで、「波長選択性」とは、特定の波長範囲の光を透過する性質を意味する。本明細書において、光の波長及び光の強度は、公知の分光器(例えば、RPS900-R、International Light Technologies社製)を用いて測定する。
【0019】
本明細書において、「主波長」とは、感光性層に到達する光の波長(すなわち露光波長)のうち強度が最も強い光の波長を指す。例えば、感光性層に到達する光が、波長365nmと波長436nmとを有し、波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光光である場合、上記露光光の主波長は365nmとなる。本明細書において、「露光光」とは、感光性層を露光するために使用される光を意味する。
【0020】
本発明において「透明」とは、露光波長のうち主波長における透過率が30%以上であることを意味する。上記透過率としては、50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのが更に好ましく、90%以上であるのが特に好ましい。上記透過率の上限としては、特に制限されず、例えば、100%以下である。
透過率は、公知の透過率測定器(例えば、日本分光社製V-700series)を用いて測定する。
【0021】
[転写フィルム]
本発明の転写フィルムは、
透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材(以下、単に「透明導電層付き基材」ともいう。)に適用される、転写フィルムであって、
仮支持体と、少なくとも感光性層を含む組成物層と、を有し、
上記組成物層が、上記感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素を含み、
上記感光性層の最大感度波長と、上記色素の極大吸収波長との差が、40nm以上である。
なお、以下においては、感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素であって、且つ、その極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差が40nm以上である色素を「特定色素」ともいう。
また、特定色素は、紫外~可視領域のいずれかの波長帯域に極大吸収波長を有しているのが好ましく、300~780nmの波長帯域に極大吸収波長を有しているのがより好ましく、300~500nmの波長帯域に極大吸収波長を有しているのが更に好ましい。
【0022】
上記構成の本発明の転写フィルムによれば、透明導電層付き基材の両面に本発明の転写フィルムを配置してなる積層体の両側から露光(両面露光)した際に、露光かぶりが抑制され得る。つまり、一方の転写フィルム中の感光性層の露光の際に、この露光光によって他方の転写フィルム中の感光性層も露光してしまう現象が発生しにくい。
更に、本発明の転写フィルムから形成される樹脂パターンは、解像性にも優れている。
【0023】
これは、詳細には明らかではないが、本発明者は以下のように推測している。以下において、本発明の転写フィルムの構成と作用機序を図面を参照してより具体的に説明する。
ここでは、本発明の転写フィルムとして、組成物層中が感光性層からなり、且つ、感光性層が特定色素を含む転写フィルムを一例として挙げて説明する。
図1は、透明導電層付き基材の両面に本発明の転写フィルムを配置してなる積層体の一実施形態を示す図である。
図1及び図2に示す積層体20は、第1転写フィルム5Aと、透明導電層付き基材11と、第2転写フィルム5Bとをこの順に有する。第1転写フィルム5Aは、透明導電層付き基材11側から順に、第1感光性層3Aと第1仮支持体1Aとを有する。第2転写フィルム5Bは、透明導電層付き基材11側から順に、第2感光性層3Bと第2仮支持体1Bとを有する。透明導電層付き基材11は、透明基材9と、透明基材9の第1転写フィルムと接する側の面に配置された透明導電層7Aと、透明基材9の第2転写フィルムと接する側の面に配置された透明導電層7Bとを有する。
ここで、第1感光性層3Aの最大感度波長は300~395nmの範囲にある。また、第1感光性層3Aは、色素を含み、上記色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下の範囲にあり、且つ、第1感光性層3Aの最大感度波長と上記色素の極大吸収波長との差は、40nm以上である。また、第2感光性層3Bの最大感度波長は395nm超500nm以下の範囲にある。更に、第2感光性層3Bは、色素を含み、上記色素の極大吸収波長が300~395nmの範囲にあり、且つ、第2感光性層3Bの最大感度波長と上記色素の極大吸収波長の差は、40nm以上である。
【0024】
(露光かぶり抑制と優れた解像性を発現する作用機序)
以下、露光かぶりが抑制され、且つ優れた解像性を発現する第1の作用機序について、図1を参照して説明する。
例えば、高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光を使用して、積層体20の第1感光性層3Aを露光する場合、図1中の白抜きの矢印方向からマスク開口部へ入射した露光光の一部は、第1感光性層3A中の色素に吸収されて、第2感光性層3Bへの進入が抑制される(図中のL12)。この色素の極大吸収波長は、第2感光性層3Bの最大感度波長と同じ又は近似している。つまり、第1感光性層3A中の上記色素の存在により、第2感光性層3Bへ到達する露光光において、第2感光性層3Bの最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減する。この結果として、第2感光性層3Bの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)が抑制されるため、露光かぶりが抑制される。一方で、第1感光性層3Aの最大感度波長と同じ又は近似している波長の光(図1中のL21)は、第2感光性層3Bに侵入しても、通常、第2感光性層3Bの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)には寄与しない。
また、例えば、高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光を使用して、積層体20の第2感光性層3Bを露光する場合、図1中の黒矢印方向からマスク開口部へ入射した露光光の一部は、第2感光性層3B中の色素に吸収されて、第1感光性層3Aへの進入が抑制される(図中のL22)。この色素の極大吸収波長は、第1感光性層3Aの最大感度波長と同じ又は近似している。つまり、第2感光性層3B中の上記色素の存在により、第1感光性層3Aへ到達する露光光において、第1感光性層3Aの最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減する。この結果として、第1感光性層3Aの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)が抑制されるため、露光かぶりが抑制される。一方で、第2感光性層3Bの最大感度波長と同じ又は近似している波長の光(図1中のL22)は、第1感光性層3Aに侵入しても、通常、第1感光性層3Aの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)には寄与しない。
【0025】
また、感光性層の最大感度波長と色素の極大吸収波長との差が40nm以上であることから、感光性層の露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)に必要な露光量が色素に吸収されて低減されることが抑制される。換言すると、色素により感光性層の感度の低下が抑制される。この結果として、本発明の転写フィルムから形成される樹脂パターンは、解像性にも優れている。
【0026】
次に、露光かぶりが抑制され、且つ優れた解像性を発現する第2の作用機序について、図2を参照して説明する。
例えば、高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光を使用して、フィルター等により波長制御を実施して第1感光性層3Aの最大感度波長と同じ又は近似している波長のみを露光光として、積層体20の第1感光性層3Aを露光する場合、図2中の白抜きの矢印方向からマスク開口部へ入射した露光光の一部は、第2感光性層3Bへ進入し、波長選択性を有するフィルター15等で反射をする場合がある。この反射光は、第2感光性層3B中の色素の極大吸収波長と同じ又は近似しているため、第2感光性層3B中の色素に吸収されて、第1感光性層3Aへの再進入が抑制される(図2中のL21)。この結果として、反射光に起因した樹脂パターンの解像性の低下を抑制できる。なお、第1感光性層3Aの最大感度波長と同じ又は近似している波長の光(図2中のL21)は、第2感光性層3Bに侵入しても、通常、第2感光性層3Bの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)には寄与しない。したがって、露光かぶりも抑制され得る。
また、例えば、高圧水銀灯のように離散的な(g線、h線、i線のように)光量分布を持つ光源光を使用して、フィルター等により波長制御を実施して第2感光性層3Bの最大感度波長と同じ又は近似している波長のみを露光光として、積層体20の第2感光性層3Bを露光する場合、図2中の黒矢印方向からマスク開口部へ入射した露光光の一部は、第1感光性層3Aへ進入し、波長選択性を有するフィルター13等で反射をする場合がある。この反射光は、第1感光性層3A中の色素の極大吸収波長と同じ又は近似しているため、第1感光性層3A中の色素に吸収されて、第2感光性層3Bへの再進入が抑制される(図2中のL11)。この結果として、反射光に起因した樹脂パターンの解像性の低下を抑制できる。なお、第2感光性層3Bの最大感度波長と同じ又は近似している波長の光(図2中のL11)は、第1感光性層3Aに侵入しても、通常、第1感光性層3Aの露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)には寄与しない。したがって、露光かぶりも抑制され得る。
更に、感光性層の最大感度波長と色素の極大吸収波長との差が40nm以上であることから、感光性層の露光による各種反応(例えば、ネガ型感光性層の場合には重合反応)に必要な露光量が色素に吸収されて低減されることが抑制される。換言すると、色素により感光性層の感度の低下が抑制される。この点も、本発明の転写フィルムから形成される樹脂パターンも優れた解像性の発現に寄与していると推測される。
【0027】
以下において、転写フィルムの露光かぶりがより優れること、及び/又は、転写フィルムから形成される樹脂パターンの解像性がより優れることを、「本発明の効果がより優れる」という場合もある。
【0028】
以下において、本発明の転写フィルムについて説明する。
本発明の転写フィルムは、仮支持体と、少なくとも感光性層を含む組成物層とを含む。
また、上記組成物層は、単層構成であってもよいし、2層以上の構成であってもよい。上記組成物層が感光性層以外の他の組成物層を含む場合、他の組成物層としては、熱可塑性樹脂層及び中間層等が挙げられる。
また、上記組成物層は、上記感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素であって、且つ、その極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差が40nm以上である色素(特定色素)を含む。特定色素が含まれる層としては制限されず、例えば、感光性層及び熱可塑性樹脂層等が挙げられる。
さらに、特定色素は、組成物層中のいずれか1層以上に含まれていればよく、2層以上の複数の層に含まれていてもよい。
【0029】
上記組成物層は、感光性層のみを含んでいてもよいし、感光性層とそれ以外の層を含んでいてもよい。ただし、組成物層が感光性層のみの構成からなる場合、上記感光性層は特定色素を含む。
また、転写フィルムは、組成物層上に保護フィルム(以下「カバーフィルム」ということもある。)を有する構成であってもよい。
【0030】
以下において、本発明の転写フィルムの態様の一例を以下に示すが、これに制限されない。
(1)「仮支持体/中間層(中間層A)/感光性層/保護フィルム」
(2)「仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性層/保護フィルム」
(3)「仮支持体/感光性層/保護フィルム」
なお、上記各構成において、感光性層は、ネガ型感光性層であるのが好ましい。また、感光性層が着色樹脂層であることも好ましい。
以下において、具体的な実施形態の一例を挙げて、本発明の転写フィルムについて説明する。
【0031】
〔第1実施形態の転写フィルム〕
以下において、第1実施形態の転写フィルムの実施形態の一例について説明する。
図3に示す転写フィルム30は、仮支持体31と、仮支持体31側から順に、熱可塑性樹脂層33、中間層35、及び感光性層37を有する組成物層39と、保護フィルム41とを、この順に有する。感光性層37は、特定色素を含む。
なお、図3で示す転写フィルム30は保護フィルム41を配置した形態であるが、保護フィルム41は、配置されなくてもよい。また、図3で示す転写フィルム30は熱可塑性樹脂層33及び中間層35を配置した形態であるが、熱可塑性樹脂層33及び中間層35は、配置されなくてもよい。換言すると、組成物層39は、感光性層37のみから構成されていてもよい。
以下において、転写フィルムを構成する各要素について説明する。
【0032】
<仮支持体>
転写フィルムは、仮支持体を有する。
仮支持体としては、例えば、ガラス基板、樹脂フィルム、及び紙が挙げられる。仮支持体は、強度、及び可撓性の観点から、樹脂フィルムであるのが好ましい。樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。仮支持体は、ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであるのがより好ましい。
【0033】
仮支持体としては、可撓性を有し、かつ、加圧下、又は、加圧及び加熱下において、著しい変形、収縮、又は伸びを生じないフィルムを用いることができる。このようなフィルムとして、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリカーボネートフィルムが挙げられる。これらの中でも、仮支持体としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。また、仮支持体として使用するフィルムには、シワ等の変形及び傷等がないのが好ましい。
【0034】
仮支持体は、仮支持体を介してパターン露光できるという観点から、透明性が高いのが好ましい。仮支持体は、露光波長のうち主波長における透過率が、60%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましい。
【0035】
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体のヘイズは小さい方が好ましい。具体的には、仮支持体のJIS-K-7136に規定されるヘイズは、2%以下であるのが好ましく、0.5%以下であるのがより好ましく、0.3%以下であるのが更に好ましい。
【0036】
仮支持体を介するパターン露光時のパターン形成性、及び、仮支持体の透明性の観点から、仮支持体に含まれる微粒子、異物、及び欠陥の数は少ない方が好ましい。直径1μm以上の微粒子、異物、及び欠陥の数は、50個/10mm以下であるのが好ましく、10個/10mm以下であるのがより好ましく、3個/10mm以下であるのが更に好ましく、0個/10mmであるのが特に好ましい。
【0037】
仮支持体の厚さは、特に制限されないが、5~200μmであるのが好ましく、取り扱いやすさ及び汎用性の観点から、10~150μmであるのがより好ましく、10~50μmであるのが更に好ましい。
【0038】
仮支持体の好ましい態様としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落0017~段落0018、特開2016-027363号公報の段落0019~段落0026、国際公開第2012/081680号の段落0041~段落0057、及び国際公開第2018/179370号の段落0029~段落0040に記載があり、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
【0039】
<保護フィルム>
転写フィルムは、保護フィルムを有していてもよい。
保護フィルムとしては、耐熱性及び耐溶剤性を有する樹脂フィルムを用いることができ、例えば、ポリプロピレンフィルム及びポリエチレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、並びに、ポリスチレンフィルムが挙げられる。
また、保護フィルムとして上述の仮支持体と同じ材料で構成された樹脂フィルムを用いてもよい。
なかでも、保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルムが好ましく、ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンフィルムがより好ましく、ポリエチレンフィルムが更に好ましい。
【0040】
保護フィルムの厚みは、1~100μmが好ましく、5~50μmがより好ましく、5~40μmが更に好ましく、15~30μmが特に好ましい。
保護フィルムの厚みは、機械的強度に優れる点で、1μm以上が好ましく、比較的安価となる点で、100μm以下が好ましい。
【0041】
また、保護フィルムにおいては、保護フィルム中に含まれる直径80μm以上のフィッシュアイ数が、5個/m以下であるのが好ましい。
なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融し、混練、押し出し、2軸延伸及びキャスティング法等の方法によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、及び、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0042】
保護フィルムに含まれる直径3μm以上の粒子の数は、30個/mm以下が好ましく、10個/mm以下がより好ましく、5個/mm以下が更に好ましい。
これにより、保護フィルムに含まれる粒子に起因する凹凸が感光性層又は導電層に転写されることにより生じる欠陥を抑制することができる。
【0043】
巻き取り性を付与する点から、保護フィルムの組成物層と接する面とは反対側の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
保護フィルムは、転写時の欠陥抑制の点から、組成物層と接する面の表面粗さRa、0.01μm以上が好ましく、0.02μm以上がより好ましく、0.03μm以上が更に好ましい。一方で、0.50μm未満が好ましく、0.40μm以下がより好ましく、0.30μm以下が更に好ましい。
【0044】
<組成物層>
転写フィルムは、仮支持体上に組成物層を含む。組成物層は、感光性層を少なくとも含む。第1実施形態の転写フィルムは、組成物層として感光性層を単層で有する構成である。以下では、まず、感光性層について説明する。
感光性層としては、転写フィルムをエッチングレジスト用とする場合には下記第1態様の感光性層(感光性層A)とするのが好ましく、転写フィルムを配線保護膜用とする場合には下記第2態様の感光性層(感光性層B)とするのが好ましい。
第1実施形態の転写フィルムの感光性層としては、なかでも、感光性層Aが好ましい。
【0045】
(第1態様の感光性層(感光性層A))
以下、感光性層Aについて説明する。
感光性層は、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、及び特定色素を含むのが好ましく、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、増感剤、及び特定色素を含むのがより好ましく、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、増感剤、重合禁止剤、及び特定色素を含むのが更に好ましい。
また、上記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含むことも好ましい。
感光性層中の上記各成分の含有量の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、重合開始剤を0.01~15.0質量%、及び、特定色素を0.01~15.0質量%含む態様が挙げられる。
また、感光性層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、重合開始剤を0.01~10.0質量%、増感剤を0.01~5.0質量%、及び、特定色素を0.01~15.0質量%含む態様が挙げられる。
また、感光性層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、重合開始剤を0.01~10.0質量%、増感剤を0.01~5.0質量%、重合禁止剤を0.001~0.5質量%、及び、特定色素を0.01~15.0質量%含む態様が挙げられる。
以下、感光性層が含み得る各成分について説明する。
【0046】
-樹脂-
感光性層は、樹脂を含んでいてもよい。
樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
樹脂としては、後述する熱可塑性樹脂層に含まれるアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。
【0047】
露光時の焦点位置にずれが生じたときの線幅太り及び解像度の悪化を抑制する点で、樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含むのが好ましい。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニル基及び置換基を有していてもよいアラルキル基が挙げられる。
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上が更に好ましい。上限は、樹脂の全質量に対して、80.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、55.0質量%以下が更に好ましい。感光性層が複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
【0048】
芳香族炭化水素基を有する単量体としては、例えば、アラルキル基を有する単量体、スチレン及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー及びスチレントリマー等)が挙げられ、アラルキル基を有する単量体又はスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がスチレンである場合、スチレンに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~80.0質量%が好ましく、20.0~60.0質量%がより好ましく、30.0~55.0質量%が更に好ましい。感光性層が複数の樹脂を含む場合、芳香族炭化水素基を有する構成単位の含有量の質量平均値が、上記範囲内であるのが好ましい。
【0049】
アラルキル基としては、例えば、置換基を有していてもよいフェニルアルキル基(ただし、ベンジル基を除く)及び置換基を有していてもよいベンジル基が挙げられ、置換基を有していてもよいベンジル基が好ましい。
【0050】
フェニルアルキル基を有する単量体としては、例えば、フェニルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0051】
ベンジル基を有する単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等のベンジル基を有する(メタ)アクリレート;ビニルベンジルクロライド及びビニルベンジルアルコール等のベンジル基を有するビニルモノマーが挙げられ、ベンジル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
芳香族炭化水素基を有する単量体がベンジル(メタ)アクリレートである場合、ベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~85.0質量%がより好ましく、30.0~85.0質量%が更に好ましい。
【0052】
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含む樹脂は、芳香族炭化水素基を有する単量体と、後述する第1単量体を少なくとも1種及び/又は後述する第2単量体を少なくとも1種と、を重合することにより得られるのが好ましい。
【0053】
芳香族炭化水素基を有する単量体に由来する構成単位を含まない樹脂は、後述する第1単量体の少なくとも1種を重合することにより得られるのが好ましく、第1単量体の少なくとも1種と後述する第2単量体の少なくとも1種とを重合することにより得られることがより好ましい。
【0054】
第1単量体は、分子中にカルボキシ基を有する単量体である。
第1単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、4-ビニル安息香酸、マレイン酸無水物及びマレイン酸半エステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸が好ましい。
第1単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~50.0質量%が好ましく、10.0~40.0質量%がより好ましく、10.0~30.0質量%が更に好ましい。
上記含有量が5.0質量%以上である場合、優れる現像性及びエッジフューズ性の制御等を実現できる。上記含有量が50.0質量%以下である場合、レジストパターンの高解像性、スソ形状の制御及びレジストパターンの高耐薬品性を実現できる。
【0055】
第2単量体は、非酸性(酸性基を有さない)であり、かつ、分子中に重合性基を有する単量体である。
重合性基は、後述する重合性化合物が有する重合性基と同義であり、好適態様も同じである。
第2単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;酢酸ビニル等のビニルアルコールのエステル類;(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
なかでも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート又はn-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート又はエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
第2単量体に由来する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、1.0~80.0質量%が好ましく、1.0~60.0質量%がより好ましく、10.0~50.0質量%が更に好ましい。
【0056】
樹脂は、側鎖に、直鎖構造、分岐構造及び脂環構造のいずれかを有していてもよい。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体又は側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体を使用することによって、樹脂の側鎖に分岐構造又は脂環構造を導入することができる。脂環構造を有する基は、単環及び多環のいずれであってもよい。
「側鎖」とは、主鎖から枝分かれした原子団を意味する。「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を意味する。
側鎖に分岐構造を有する基を含む単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸tert-アミル、(メタ)アクリル酸sec-アミル、(メタ)アクリル酸2-オクチル、(メタ)アクリル酸3-オクチル及び(メタ)アクリル酸tert-オクチルが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル又はメタクリル酸tert-ブチルが好ましく、メタクリル酸イソプロピル又はメタクリル酸tert-ブチルがより好ましい。
側鎖に脂環構造を有する基を含む単量体としては、例えば、単環の脂肪族炭化水素基を有する単量体及び多環の脂肪族炭化水素基を有する単量体が挙げられる。また、炭素数5~20の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
具体的には、(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1〕ヘプチル-2)、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-5-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5,8-トリエチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-3,5-ジメチル-8-エチル-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-メチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸2-エチル-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-5-イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ-4,7-メンタノインデン-1-イルメチル、(メタ)アクリル酸-1-メンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシ-2,6,6-トリメチル-ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸-3,7,7-トリメチル-4-ヒドロキシ-ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸-2,2,5-トリメチルシクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-1-アダマンチル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1-メンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸-2-アダマンチル又は(メタ)アクリル酸トリシクロデカンがより好ましい。
【0057】
樹脂は、本発明の効果がより優れる点で、重合性基を有するのが好ましく、重合性基を有する構成単位を含むことがより好ましく、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが更に好ましい。
上記重合性基としては、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられ、エチレン性不飽和基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
また、上記重合性基は、重合性化合物の重合性基と重合反応し得る重合性基も好ましい。
【0058】
重合性基を有する構成単位を含む樹脂は、第1単量体に由来する構成単位を含む樹脂と、第3の単量体とを反応することにより得られるのが好ましい。
【0059】
第3の単量体は、分子中に2つ以上の重合性基を有する単量体であり、分子中に2つの重合性基を有する単量体であるのが好ましい。
上記重合性基としては、例えば、後述する重合性化合物が有する重合性基が挙げられる。なかでも、第3の単量体は、2種の重合性基を有するのが好ましく、エチレン性不飽和基とカチオン性重合性基とを有することがより好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基とエポキシ基とを有することが更に好ましい。
第3の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
【0060】
樹脂が重合性基を有する構成単位を含む場合、重合性基を有する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、10.0~50.0質量%がより好ましく、15.0~40.0質量%が更に好ましく、20.0~40.0質量%が特に好ましい。
【0061】
重合性基を樹脂に導入する方法としては、例えば、樹脂が有する、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第1級アミノ基、第2級アミノ基、アセトアセチル基及びスルホ基等の基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物及びカルボン酸無水物を反応させる方法が挙げられる。
重合性基を樹脂に導入する方法の好適態様としては、例えば、第1単量体を重合反応により合成した後、得られた樹脂の第1単量体に由来する構成単位のカルボキシ基の一部に第3の単量体(好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート)を高分子反応させて、樹脂に重合性基(好ましくは、(メタ)アクリロキシ基)を導入する方法が挙げられる。上記高分子反応の反応温度は、80~110℃が好ましい。上記高分子反応は、触媒を用いるのが好ましく、アンモニウム塩(テトラエチルアンモニウムブロミド)を用いることがより好ましい。
上記重合反応の反応温度は、70~100℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。上記重合反応は、重合開始剤を用いるのが好ましく、重合開始剤としてアゾ系開始剤を用いることがより好ましく、重合開始剤としてV-601(富士フイルム和光純薬社製)又はV-65(富士フイルム和光純薬社製)が更に好ましい。
【0062】
樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位とメチルメタクリレートに由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位又はベンジルメタクリレートに由来する構成単位とを含む樹脂及びメタクリル酸に由来する構成単位とスチレンに由来する構成単位とを含む樹脂が好ましく、更に重合性基を有する構成単位を含む樹脂がより好ましい。
上記において、各構成単位の含有量を、上述したそれぞれの好適態様にすることも好ましい。
【0063】
樹脂のTgは、60~135℃が好ましく、70~115℃がより好ましく、75~105℃が更に好ましく、80~100℃が特に好ましい。
【0064】
樹脂の酸価は、220mgKOH/g以下が好ましく、200mgKOH/g未満がより好ましく、170mgKOH/g未満が更に好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、50mgKOH/g以上がより好ましく、70mgKOH/g以上が更に好ましい。
「酸価(mgKOH/g)」とは、試料1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの質量(mg)を意味する。酸価は、例えば、JIS K0070:1992に準拠して求めることができる。
樹脂の酸価は、樹脂が有する構成単位の種類及び/又は酸基を含む構成単位の含有量によって調整できる。
【0065】
樹脂の重量平均分子量としては、5,000~500,000が好ましく、10,000~100,000がより好ましく、20,000~60,000が特に好ましい。
重量平均分子量が500,000以下である場合、解像性及び現像性を向上できる。また。重量平均分子量が5,000以上である場合、現像凝集物の性状、並びに、転写フィルムのエッジフューズ性及びカットチップ性等の未露光膜の性状を制御できる。「エッジフューズ性」とは、転写フィルムをロール状に巻き取った場合に、ロールの端面からの、感光性層のはみ出し易さの程度を意味する。「カットチップ性」とは、未露光膜をカッターで切断した場合に、チップの飛び易さの程度を意味する。このチップが転写フィルムの上面等に付着すると、後の露光工程等でマスクに転写して不良品の原因となる。
樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1.0~6.0が好ましく、1.0~4.0がより好ましく、1.0~3.0が更に好ましい。
【0066】
感光性層は、上記樹脂以外に、その他樹脂を含んでいてもよい。
その他樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0067】
樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
【0068】
樹脂の含有量は、感光性層の全質量に対して、10.0~90.0質量%が好ましく、20.0~80.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。樹脂の含有量が、感光性層の全質量に対して、90.0質量%以下である場合、現像時間を制御できる。また、樹脂の含有量が、感光性層の全質量に対して、10.0質量%以上である場合、耐エッジフューズ性を向上できる。
【0069】
樹脂の合成方法としては、例えば、上述した単量体を、アセトン、メチルエチルケトン及びイソプロパノール等の溶剤で希釈した溶液に、過酸化ベンゾイル及びアゾイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を適量添加し、加熱撹拌する方法が挙げられる。混合物の一部を反応液に滴下しながら合成してもよい。また、反応終了後、更に溶剤を加えて、所望の濃度に調整してもよい。
樹脂の合成方法としては、上記以外に、例えば、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合が挙げられる。
【0070】
-重合性化合物-
感光性層は、重合性化合物を含んでいるのが好ましい。
重合性化合物とは、重合性基を1つ以上有し、後述する重合開始剤の作用で重合する化合物を意図する。また、重合性化合物は、上記樹脂とは異なる化合物である。
【0071】
重合性化合物が有する重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
【0072】
重合性化合物としては、感光性層の感光性がより優れる点で、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)が好ましく、分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(以下、「多官能エチレン性不飽和化合物」ともいう。)がより好ましい。
また、解像性及び剥離性がより優れる点で、エチレン性不飽和化合物が分子中に有するエチレン性不飽和基の数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、2~3が更に好ましい。
【0073】
重合性化合物は、アルキレンオキシ基を有していてもよい。
上記アルキレン基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、本発明の効果がより優れる点から、エチレンオキシ基がより好ましい。重合性化合物に付加するアルキレンオキシ基の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
【0074】
感光性層の感光性と解像性及び剥離性とのバランスがより優れる点から、重合性化合物は、分子中に2又は3つのエチレン性不飽和基を有する2官能又は3官能エチレン性不飽和化合物を含むのが好ましい。
【0075】
2官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性に優れる点で、20.0質量%以上が好ましく、40.0質量%超がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましい。つまり、感光性層に含まれる全ての重合性化合物が2官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
3官能エチレン性不飽和化合物の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましい。上限は、100.0質量%以下が好ましく、80.0質量%以下がより好ましく、50.0質量%以下が更に好ましい。つまり、感光性層に含まれる全ての重合性化合物が3官能エチレン性不飽和化合物であってもよい。
また、エチレン性不飽和化合物としては、重合性基として(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0076】
-重合性化合物B1-
感光性層は、芳香環及び2つのエチレン性不飽和基を有する重合性化合物B1を含むことも好ましい。
重合性化合物B1は、上記重合性化合物のうち、分子中に1つ以上の芳香環を有する2官能エチレン性不飽和化合物である。
【0077】
重合性化合物B1が有する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環等の芳香族炭化水素環;チオフェン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、トリアゾール環及びピリジン環等の芳香族複素環;これらの縮合環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。上記芳香環は、置換基を有してもよい。
重合性化合物B1は、1つ又は2つ以上の芳香環を有していてもよい。
【0078】
重合性化合物B1は、現像液による感光性層の膨潤を抑制することにより、解像性が向上する点から、ビスフェノール構造を有するのが好ましい。
ビスフェノール構造としては、例えば、ビスフェノールA(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン)に由来するビスフェノールA構造、ビスフェノールF(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン)に由来するビスフェノールF構造及びビスフェノールB(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン)に由来するビスフェノールB構造が挙げられ、ビスフェノールA構造が好ましい。
【0079】
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、ビスフェノール構造と、そのビスフェノール構造の両端に結合した2つの重合性基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)とを有する化合物が挙げられる。
ビスフェノール構造の両端と2つの重合性基とは、直接結合してもいてもよく、1つ以上のアルキレンオキシ基を介して結合してもよい。ビスフェノール構造の両端に付加するアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基又はプロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基がより好ましい。ビスフェノール構造に付加するアルキレンオキシ基(好ましくは、エチレンオキシ基)の付加数は、1分子当たり2~30が好ましく、2~20がより好ましい。
ビスフェノール構造を有する重合性化合物B1としては、例えば、特開2016-224162号公報の段落[0072]~[0080]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0080】
重合性化合物B1としては、ビスフェノールA構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物が好ましく、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンがより好ましい。
2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリアルコキシ)フェニル)プロパンとしては、例えば、2,2-ビス(4-(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン(FA-324M、日立化成社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン及び2,2-ビス(4-(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパン等のエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(BPEシリーズ、新中村化学工業社製)、2,2-ビス(4-(メタクリロキシドデカエトキシテトラプロポキシ)フェニル)プロパン(FA-3200MY、日立化成社製)、並びに、エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート(NKエステルA-BPE-10、新中村化学工業社製)が挙げられる。
【0081】
重合性化合物B1としては、式(B1)で表される化合物も好ましい。
【0082】
【化1】
【0083】
式(B1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。Aはエチレン基を表す。Bはプロピレン基を表す。n1及びn3は、それぞれ独立に、1~39の整数を表す。n1+n3は、2~40の整数を表す。n2及びn4は、それぞれ独立に、0~29の整数を表す。n2+n4は、0~30の整数を表す。
-(A-O)-及び-(B-O)-の構成単位の配列は、ランダム及びブロックのいずれであってもよい。ブロックである場合、-(A-O)-及び-(B-O)-のいずれがビスフェニル基側であってもよい。
n1+n2+n3+n4としては、2~20が好ましく、2~16がより好ましく、4~12が更に好ましい。また、n2+n4は、0~10が好ましく、0~4がより好ましく、0~2が更に好ましく、0が特に好ましい。
【0084】
重合性化合物B1の含有量は、解像性がより優れる点から、感光性層の全質量に対して、10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、25.0質量%以上が更に好ましい。上限は、転写性及びエッジフュージョン(転写部材の端部から感光性組成物が滲み出す現象)の点から、70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましい。
【0085】
重合性化合物B1の含有量は、重合性化合物の全質量に対して、解像性がより優れる点から、40.0質量%以上が好ましく、50.0質量%以上がより好ましく、55.0質量%以上が更に好ましい。上限は、重合性化合物の全質量に対して、剥離性の点から、100.0質量%以下が好ましく、99.0質量%以下がより好ましく、95.0質量%以下が更に好ましい。
【0086】
-その他重合性化合物-
感光性層は、上記以外に、その他重合性化合物を含んでいるのも好ましい。
その他重合性化合物としては、例えば、公知の重合性化合物が挙げられる。
具体的には、分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(単官能エチレン性不飽和化合物)、芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物及び3官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
【0087】
単官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルサクシネート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0088】
芳香環を有さない2官能エチレン性不飽和化合物としては、例えば、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパンジアクリレートが挙げられる。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP、新中村化学工業社製)、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業社製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(A-NOD-N、新中村化学工業社製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(A-HD-N、新中村化学工業社製)、エチレングリコールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。また、ウレタンジ(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル社製)、UA-32P(新中村化学工業社製)及びUA-1100H(新中村化学工業社製)が挙げられる。
【0089】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート及びこれらのアルキレンオキサイド変性物が挙げられる。
「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念である。また、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」とは、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
【0090】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物としては、例えば、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD(登録商標)DPCA-20及び新中村化学工業社製A-9300-1CL等)、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート化合物(日本化薬社製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業社製ATM-35E及びA-9300、ダイセル・オルネクス社製EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製A-GLY-9E等)、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成社製)、アロニックスM-520(東亞合成社製)及びアロニックスM-510(東亞合成社製)が挙げられる。
【0091】
重合性化合物は、酸基(例えば、カルボキシ基等)を有する重合性化合物であってもよい。上記酸基は、酸無水物基を形成していてもよい。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)(例えば、TO-2349、M-520及びM-510等、東亞合成社製)が挙げられる。
酸基を有する重合性化合物としては、例えば、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が挙げられる。
【0092】
重合性化合物の分子量は、200~3000が好ましく、280~2200がより好ましく、300~2200が更に好ましい。
【0093】
重合性化合物の25℃における粘度は、1~10000mPa・sが好ましく、5~3000mPa・sがより好ましく、10~1500mPa・sが更に好ましい。
【0094】
重合性化合物は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合性化合物の含有量は、感光性層の全質量に対して、5.0~70.0質量%が好ましく、15.0~70.0質量%がより好ましく、30.0~70.0質量%が更に好ましい。
【0095】
-重合開始剤-
感光性層は、重合開始剤を含んでいるのが好ましい。
重合開始剤としては、例えば、重合反応の形式に応じて公知の重合開始剤が挙げられる。具体的には、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤は、ラジカル重合開始剤及びカチオン重合開始剤のいずれであってもよい。
【0096】
感光性層は、光重合開始剤を含むのが好ましい。
光重合開始剤は、紫外線、可視光線及びX線等の活性光線を受けて、重合性化合物の重合を開始する化合物である。
光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤が挙げられ、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0097】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤及びN-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
【0098】
光ラジカル重合開始剤は、感光性、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点で、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。なお、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体における2つの2,4,5-トリアリールイミダゾール構造は、同一であっても異なっていてもよい。
2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体の誘導体としては、例えば、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体及び2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。
【0099】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、特開2011-095716号公報の段落[0031]~[0042]及び特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載される光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0100】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’-ジメトキシベンジル)、TAZ-110(みどり化学社製)、TAZ-111(みどり化学社製)、1-[4-(フェニルチオ)]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)(IRGACURE OXE-02、BASF社製)、IRGACURE OXE-03(BASF社製)、IRGACURE OXE-04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン(Omnirad 379EG、IGM Resins B.V.社製)、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン(Omnirad 907、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン(Omnirad 127、IGM Resins B.V.社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1(Omnirad 369、IGM Resins B.V.社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(Omnirad 1173、IGM Resins B.V.社製)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(Omnirad 651、IGM Resins B.V.社製)、2,4,6-トリメチルベンゾリル-ジフェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾリル)フェニルフォスフィンオキサイド(Omnirad 819、IGM Resins B.V.社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(Lunar 6、DKSHジャパン社製)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビスイミダゾール(2-(2-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体)(B-CIM、Hampford社製)、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体(BCTB、東京化成工業社製)、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)及び3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)が挙げられる。
【0101】
光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)は、活性光線を受けて酸を発生する化合物である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、イオン性光カチオン重合開始剤及び非イオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
イオン性光カチオン重合開始剤として、例えば、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、並びに、第4級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0114]~[0133]に記載のイオン性光カチオン重合開始剤が挙げられる。
【0102】
非イオン性光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物及びオキシムスルホネート化合物が挙げられる。
ジアゾメタン化合物及びイミドスルホネート化合物としては、例えば、特開2011-221494号公報の段落[0083]~[0088]に記載の化合物が挙げられる。
オキシムスルホネート化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0084]~[0088]に記載された化合物が挙げられる。
【0103】
重合開始剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
重合開始剤(好ましくは光重合開始剤)の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。上限は、感光性層の全質量に対して、20.0質量%以下が好ましく、15.0質量%以下がより好ましく、10.0質量%以下が更に好ましい。
【0104】
-重合禁止剤-
感光性層は、重合禁止剤(好ましくはラジカル重合禁止剤)を含んでいるのも好ましい。
重合禁止剤とは、重合反応を遅延又は禁止させる機能を有する化合物を意味する。
感光性層が重合禁止剤を含む場合、本発明の効果がより向上し得る。
【0105】
重合禁止剤としては、例えば、公知の重合禁止剤を使用できる。重合禁止剤の具体例としては、例えば、フェノチアジン、ビス-(1-ジメチルベンジル)フェノチアジン、及び、3,7-ジオクチルフェノチアジン等のフェノチアジン系化合物;ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]2,4-ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕-o-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系化合物;フェノキサジン等のフェノキサジン系化合物;4-ニトロソフェノール、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミン、及び、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン等のニトロソ化合物又はその塩;メチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-t-ブチルハイドロキノン、及び、4-ベンゾキノン等のキノン化合物;4-メトキシフェノール、4-メトキシ-1-ナフトール、及び、t-ブチルカテコール等のフェノール化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸マンガン、及び、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン等の金属塩化合物が挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、重合禁止剤としては、フェノチアジン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、及び、フェノキサジン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0106】
重合禁止剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が重合禁止剤を含む場合、重合禁止剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.001~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.02~2.0質量%が更に好ましく、0.01~1.0質量%が特に好ましく、0.01~0.5質量%が最も好ましい。重合禁止剤の含有量は、重合性化合物の全質量に対しては、0.005~5.0質量%が好ましく、0.01~3.0質量%がより好ましく、0.01~1.0質量%が更に好ましい。
【0107】
-増感剤-
感光性層は、増感剤を含んでいるのが好ましい。
増感剤としては、例えば、公知の増感剤、染料、及び顔料が挙げられる。
増感剤としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、アクリドン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
【0108】
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上及び重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上の点から、感光性層の全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましい。
【0109】
増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物(好ましくは、ジアルキルアミノベンゾフェノン系化合物)、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、メロシアニン系化合物、ピラゾリン系化合物、アントラセン系化合物、キサントン系化合物、オキサゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアゾール系化合物(例えば、1,2,4-トリアゾール)、スチルベン系化合物、トリアジン系化合物、チオフェン系化合物、ナフタルイミド系化合物、トリアリールアミン系化合物、及びアミノアクリジン系化合物が挙げられる。
本発明の効果がより優れる点で、なかでも、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、シアニン系化合物、クマリン系化合物、及び、メロシアニン系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
【0110】
染料系の増感剤としては、発色系染料も使用できる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。発色系染料としては、例えば、ロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。
【0111】
増感剤の具体例としては、例えば、フクシン、フタロシアニングリーン、クマリン6、クマリン7、クマリン102、3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、DOCヨージド、インドモノカルボシアニンナトリウム、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS、パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、及びダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
【0112】
感光性層は、1種単独の増感剤を含んでいてもよく、2種以上の増感剤を含んでいてもよい。
【0113】
増感剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、感光性層の全質量に対して、0.01~5.0質量%であるのが好ましく、0.05~1.0質量%であるのがより好ましい。
【0114】
-特定色素-
感光性層は、特定色素を含む。
特定色素とは、感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素であって、且つ、その極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差が40nm以上である色素をいう。特定色素が極大吸収波長を複数有する場合、いずれの極大吸収波長も、最大感度波長との差は、40nm以上である。上記差は、特定色素の極大吸収波長および感光性層の最大感度波長のうち大きい値から、小さい値を引いて得られる値である。なお、特定色素の極大吸収波長と感光性層の最大感度波長とが同じ数値の場合、差は0に該当する。
また、特定色素は、紫外~可視領域のいずれかの波長帯域に極大吸収波長を有しているのが好ましく、300~780nmの波長帯域に極大吸収波長を有しているのがより好ましく、300~500nmの波長帯域に極大吸収波長を有しているのが更に好ましい。
【0115】
特定色素の極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で特定色素を含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することによって測定できる。
なお、感光性層の最大感度波長の測定方法としては、既述のとおりである。
【0116】
特定色素は、酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素を含まないのが好ましい。酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素とは、例えば、後述する色素N等が該当する。
特定色素としては、増感するものであっても、増感しないものであってもよいが、本発明の効果がより優れる点で、増感しないものであるのが好ましい。換言すると、特定色素としては、増感しないのが好ましい。
なお、上記増感しない色素としては、基底状態から吸光により一重項励起状態となったのち速やかにエネルギー移動もしくは電子移動により重合開始剤を励起状態にしない化合物、及び、300~500nmの波長範囲において、基底状態から吸光により一重項励起状態となったのち速やかにエネルギー移動もしくは電子移動により重合開始剤を励起状態にしないが、上記波長範囲以外の波長範囲では、基底状態から吸光により一重項励起状態となったのち速やかにエネルギー移動もしくは電子移動により重合開始剤を励起状態にする化合物等が該当する。
【0117】
また、上段部にて説明した増感剤のうち、感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素であって、且つ、その極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差が40nm以上である色素に該当するものは、特定色素として使用できる。
【0118】
特定色素の極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差としては、50nm以上であるのが好ましく、60nm以上であるのがより好ましい。上限値としては、特に制限されず、例えば、150nm以下であるのが好ましい。
特定色素の極大吸収波長の値と、感光性層の最大感度波長の値とはどちらが大きくてもよく、特定色素の極大吸収波長の値が感光性層の最大感度波長の値よりも大きくてもよいし、感光性層の最大感度波長の値が特定色素の極大吸収波長の値よりも大きくてもよい。
特定色素の極大吸収波長としては、395nm超500nm以下の波長範囲であるか、又は、300~395nmの波長範囲であるのが好ましく、410~500nmの波長範囲であるか、又は、300~395nmの波長範囲であるのがより好ましい。
【0119】
感光性層の最大感度波長と特定色素の極大吸収波長との組み合わせの好適態様の一例としては、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、特定色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下である態様が挙げられる。上記態様において、特定色素の極大吸収波長としては、410~500nmであるのも好ましい。
また、感光性層の最大感度波長と特定色素の極大吸収波長との組み合わせの好適態様の他の一例としては、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、特定色素の極大吸収波長が300~395nmである態様が挙げられる。上記態様において、感光性層の最大感度波長としては、410~500nmであるのも好ましく、410~450nmであるのもより好ましい。
【0120】
色素としては、公知の色素の中から波長条件が適合しているものを適宜使用できる。
色素としては特に制限されず、例えば、染料(金属錯体系色素を含む。)及び顔料が挙げられ、染料であるのが好ましい。
【0121】
極大吸収波長が395nm超500nm以下の染料としては、アゾ系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、メチン系染料、インドール系染料、及び金属錯体系色素等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.モルダントイエロー5、C.I.ソルベントイエロー16、及びC.I.ソルベントイエロー56等が挙げられる。
【0122】
キノリン系染料としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、及び、C.I.ディスパースイエロー64等が挙げられる。
【0123】
ニトロ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、及び、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0124】
メチン系染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー201等が挙げられる。また、メチン系染料としては、例えば、下記構造の化合物等も挙げられる。
【0125】
【化2】
【0126】
インドール系染料としては、例えば、Bonasorb UA3912、UA3912(オリエント化学社製)等が挙げられる。
【0127】
金属錯体系色素としては、コバルト錯体系色素及び亜鉛錯体系色素等が挙げられる。
コバルト錯体系色素として例えば、C.I.ソルベントイエロー89等が挙げられる。
亜鉛錯体系色素としては、例えば、下記構造の化合物が挙げられる。
【0128】
【化3】
【0129】
極大吸収波長が395nm超500nm以下の顔料としては、例えば、C.I.(カラーインデックス)ピグメントイエロー1、3、4、5、6、12、13、14、16、17、18、20、24、55、65、73、74、81、83、86、87、93、94、95、97、98、100、101、108、109、110、113、116、117、120、123、125、128、129、133、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、156、166、168、169、170、171、172、173、及び175;C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、15、16、17、18、19、31、34、36、38、40、42、43、51、52、55、59、60、61、及び62;等の黄色系顔料が挙げられる。
【0130】
極大吸収波長が300~395nmの色素としては、公知の紫外線吸収剤を使用できる。極大吸収波長が300~395nmの紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、サリチレート系化合物、及びシアノアクリレート系化合物等が挙げられる。
【0131】
特定色素としては、感光性層の最大感度波長における吸光度が1以下であるのが好ましい。上記吸光度が1以下である場合、感光性層の露光の際に色素の阻害による感度の低下が生じにくい利点がある。感光性層の最大感度波長における特定色素の吸光度としては、本発明の効果がより優れる点で、0.5以下であるのがより好ましく、0.2以下であるのが更に好ましい。なお、下限としては特に制限されず、例えば、0以上である。
特定色素の吸光度としては、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、300~780nmの範囲で特定色素を含む濃度0.01質量%の溶液(液温25℃)の透過スペクトルを光路長1mmの石英セルにより測定できる。
なお、感光性層が特定色素を1種のみ含む場合、上記特定色素の感光性層の最大感度波長における吸光度が上述の数値範囲となるのが好ましい。感光性層が特定色素を2種以上含む場合、上記2種以上の色素を層中の配合比(質量比)となるように混合した状態での吸光度が上述の数値範囲となるのが好ましい。
また、後述する第2実施形態の転写フィルムにおいて、熱可塑性樹脂層が特定色素を1種のみ含む場合、上記特定色素の感光性層の最大感度波長における吸光度が上述の数値範囲となるのが好ましい。熱可塑性樹脂層が特定色素を2種以上含む場合、上記2種以上の色素を層中の配合比(質量比)となるように混合した状態での吸光度が上述の数値範囲となるのが好ましい。
【0132】
特定色素の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、感光性層の全質量に対して、0.01~15.0質量%であるのが好ましく、0.05~10.0質量%であるのがより好ましく、0.1~10.0質量%であるのが更に好ましく、1.0~10.0質量%であるのが特に好ましい。
【0133】
好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、感光性層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素N)」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、感光性層の全質量に対して、2.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以下であるのがより好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが特に好ましく、0.01質量%以下であるのが最も好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、感光性層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素N)」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0134】
好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、感光性層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素N)」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、感光性層の全質量に対して、2.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以下であるのがより好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが特に好ましく、0.01質量%以下であるのが最も好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、感光性層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素N)」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0135】
-色素N-
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性の点から、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、かつ、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(以下、「色素N」ともいう。)を含んでいてもよい。
色素Nを含む場合、詳細なメカニズムは不明であるが、隣接する層(例えば、中間層等)との密着性が向上して解像性により優れる。
【0136】
色素が「酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより発色する態様及び発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を意味してもよい。
具体的には、色素Nは、露光により消色状態から変化して発色する化合物及び露光により発色状態から変化して消色する化合物のいずれであってもよい。上記である場合、露光により酸、塩基又はラジカルが感光性層内において発生し作用することにより、発色又は消色の状態が変化する色素であってもよく、酸、塩基又はラジカルにより感光性層内の状態(例えば、pH等)が変化することで発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基又はラジカルを刺激として直接受けて発色又は消色の状態が変化する色素であってもよい。
【0137】
なかでも、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nは、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
感光性層は、露光部及び非露光部の視認性及び解像性の点から、色素Nとしてラジカルにより極大吸収波長が変化する色素及び光ラジカル重合開始剤の両者を含むのが好ましい。また、露光部及び非露光部の視認性の点から、色素Nは、酸、塩基又はラジカルにより発色する色素であるのが好ましい。
【0138】
色素Nの発色機構としては、例えば、感光性層に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)又は光塩基発生剤を添加して、露光後に光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光塩基発生剤から発生するラジカル、酸又は塩基によって、ラジカル反応性色素、酸反応性色素又は塩基反応性色素(例えば、ロイコ色素)が発色する態様が挙げられる。
【0139】
露光部及び非露光部の視認性の点で、色素Nの発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長としては、550nm以上が好ましく、550~700nmがより好ましく、550~650nmが更に好ましい。
また、色素Nは、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を1つ又は2つ以上有していてもよい。色素Nが発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長を2つ以上有する場合、2つ以上の極大吸収波長のうち吸光度が最も高い極大吸収波長が450nm以上であればよい。
【0140】
色素Nの極大吸収波長は、大気雰囲気下で、分光光度計:UV3100(島津製作所社製)を用いて、400~780nmの範囲で色素Nを含む溶液(液温25℃)の透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を検出することによって測定できる。
【0141】
露光により発色又は消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素及びアントラキノン系色素が挙げられる。
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性の点から、ロイコ化合物が好ましい。
【0142】
ロイコ化合物としては、例えば、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)、スピロピラン骨格を有するロイコ化合物(スピロピラン系色素)、フルオラン骨格を有するロイコ化合物(フルオラン系色素)、ジアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(ジアリールメタン系色素)、ローダミンラクタム骨格を有するロイコ化合物(ローダミンラクタム系色素)、インドリルフタリド骨格を有するロイコ化合物(インドリルフタリド系色素)及びロイコオーラミン骨格を有するロイコ化合物(ロイコオーラミン系色素)が挙げられる。
なかでも、トリアリールメタン系色素又はフルオラン系色素が好ましく、トリフェニルメタン骨格を有するロイコ化合物(トリフェニルメタン系色素)又はフルオラン系色素がより好ましい。
【0143】
ロイコ化合物は、露光部及び非露光部の視認性の点で、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有するのが好ましい。これにより、ロイコ化合物が有するラクトン環、スルチン環又はスルトン環を、光ラジカル重合開始剤から発生するラジカル又は光カチオン重合開始剤から発生する酸と反応させて、ロイコ化合物を閉環状態に変化させて消色させるか又はロイコ化合物を開環状態に変化させて発色させることができる。ロイコ化合物としては、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環を有し、ラジカル又は酸により、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環して発色する化合物が好ましく、ラクトン環を有し、ラジカル又は酸によりラクトン環が開環して発色する化合物がより好ましい。
【0144】
色素Nとしては、例えば、染料及びロイコ化合物が挙げられる。
染料としては、例えば、ブリリアントグリーン、エチルバイオレット、メチルグリーン、クリスタルバイオレット、ベイシックフクシン、メチルバイオレット2B、キナルジンレッド、ローズベンガル、メタニルイエロー、チモールスルホフタレイン、キシレノールブルー、メチルオレンジ、パラメチルレッド、コンゴーフレッド、ベンゾプルプリン4B、α-ナフチルレッド、ナイルブルー2B、ナイルブルーA、メチルバイオレット、マラカイトグリーン、パラフクシン、ビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩、ビクトリアピュアブルーBOH(保土谷化学工業社製)、オイルブルー#603(オリヱント化学工業社製)、オイルピンク#312(オリヱント化学工業社製)、オイルレッド5B(オリヱント化学工業社製)、オイルスカーレット#308(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドOG(オリヱント化学工業社製)、オイルレッドRR(オリヱント化学工業社製)、オイルグリーン#502(オリヱント化学工業社製)、スピロンレッドBEHスペシャル(保土谷化学工業社製)、m-クレゾールパープル、クレゾールレッド、ローダミンB、ローダミン6G、スルホローダミンB、オーラミン、4-p-ジエチルアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシアニリノ-4-p-ジエチアミノフェニルイミノナフトキノン、2-カルボキシステアリルアミノ-4-p-N,N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ-フェニルイミノナフトキノン、1-フェニル-3-メチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロン及び1-β-ナフチル-4-p-ジエチルアミノフェニルイミノ-5-ピラゾロンが挙げられる。
【0145】
ロイコ化合物としては、例えば、p,p’,p’’-ヘキサメチルトリアミノトリフェニルメタン(ロイコクリスタルバイオレット)、Pergascript Blue SRB(チバガイギー社製)、クリスタルバイオレットラクトン、マラカイトグリーンラクトン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、2-(N-フェニル-N-メチルアミノ)-6-(N-p-トリル-N-エチル)アミノフルオラン、2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-p-トルイジノ)フルオラン、3,6-ジメトキシフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-5-メチル-7-(N,N-ジベンジルアミノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-6-メトキシ-7-アミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-(4-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-クロロフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7-ベンジルアミノフルオラン、3-(N,N-ジエチルアミノ)-7,8-ベンゾフロオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N,N-ジブチルアミノ)-6-メチル-7-キシリジノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-ザフタリド、3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド及び3’,6’-ビス(ジフェニルアミノ)スピロイソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン-3-オンが挙げられる。
【0146】
色素Nとしては、露光部及び非露光部の視認性、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、ラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、ラジカルにより発色する色素がより好ましい。
色素Nとしては、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットラクトン、ブリリアントグリーン又はビクトリアピュアブルー-ナフタレンスルホン酸塩が好ましい。
【0147】
色素Nは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
色素Nの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、現像後のパターン視認性及び解像性が優れる点から、第1感光性層又は第2感光性層の全質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.1~5質量%が更に好ましい。
【0148】
色素Nの含有量は、感光性層の全質量中に含まれる色素Nの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Nの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素N(0.001g)を溶かした溶液及び色素N(0.01g)を溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素Nを発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、島津製作所社製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素Nに代えて第1感光性層又は第2感光性層(3g)をメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた感光性層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて感光性層に含まれる色素Nの含有量を算出する。
【0149】
-その他添加剤-
感光性層は、上記成分以外に、必要に応じてその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール類、カルボキシベンゾトリアゾール類、界面活性剤、可塑剤、ヘテロ環状化合物(例えば、トリアゾールやイミダゾール等)、ピリジン類(例えば、イソニコチンアミド等)及びプリン塩基(例えば、アデニン等)が挙げられる。
また、その他添加剤としては、例えば、金属酸化物粒子、連鎖移動剤、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、増粘剤、架橋剤、有機又は無機の沈殿防止剤及び特開2014-085643号公報の段落[0165]~[0184]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
その他添加剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
【0150】
-ベンゾトリアゾール類-
ベンゾトリアゾール類としては、例えば、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-クロロ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾール、ビス(N-2-エチルヘキシル)アミノメチレン-1,2,3-トリルトリアゾール及びビス(N-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレン-1,2,3-ベンゾトリアゾールが挙げられる。
【0151】
-カルボキシベンゾトリアゾール類-
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、例えば、4-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール、N-(N,N-ジ-2-ヒドロキシエチル)アミノメチレンカルボキシベンゾトリアゾール及びN-(N,N-ジ-2-エチルヘキシル)アミノエチレンカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。
カルボキシベンゾトリアゾール類としては、具体的に、CBT-1(城北化学工業社製)が挙げられる。
【0152】
ベンゾトリアゾール類及びカルボキシベンゾトリアゾール類の合計含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましい。上記含有量が0.01質量%以上である場合、感光性層の保存安定性がより優れる。一方、上記含有量が3質量%以下である場合、感度の維持及び染料の脱色を抑制がより優れる。
【0153】
-界面活性剤-
界面活性剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落[0017]及び特開2009-237362号公報の段落[0060]~[0071]に記載の界面活性剤が挙げられる。
【0154】
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック F-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-551-A、F-552、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、MFS-578、MFS-579、MFS-586、MFS-587、R-41、R-41-LM、R-01、R-40、R-40-LM、RS-43、TF-1956、RS-90、R-94及びDS-21(以上、DIC社製);フロラード FC430、FC431及びFC171(以上、住友スリーエム社製);サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393及びKH-40(以上、AGC社製);PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520及びPF7002(以上、OMNOVA社製);フタージェント 710FL、710FM、610FM、601AD、601ADH2、602A、215M、245F、251、212M、250、209F、222F、208G、710LA、710FS、730LM、650AC、681及び683(以上、NEOS社製)が挙げられる。
【0155】
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を含む官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含む官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好ましい。
このようなフッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC社製のメガファック DSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)及び日経産業新聞(2016年2月23日))が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との共重合体を用いることも好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、ブロックポリマーも使用できる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましい。
また、フッ素系界面活性剤としては、例えば、側鎖にエチレン性不飽和基を有する含フッ素重合体も挙げられ、メガファック RS-101、RS-102、RS-718K及びRS-72-K(以上、DIC社製)が挙げられる。
【0156】
フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の点で、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤が好ましい。
【0157】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、それらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート及びグリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、並びに、ソルビタン脂肪酸エステル;プルロニック(登録商標) L10、L31、L61、L62、10R5、17R2及び25R2(以上、BASF社製);テトロニック 304、701、704、901、904及び150R1(以上、BASF社製);ソルスパース 20000(以上、日本ルーブリゾール社製);NCW-101、NCW-1001及びNCW-1002(以上、富士フイルム和光純薬社製);パイオニン D-6112、D-6112-W及びD-6315(以上、竹本油脂社製);オルフィンE1010、サーフィノール104、400及び440(以上、日信化学工業社製)が挙げられる。
【0158】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマー、並びに、側鎖及び/又は末端に有機基を導入した変性シロキサンポリマーが挙げられる。
【0159】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、DOWSIL 8032 ADDITIVE、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA及びトーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング社製);X-22-4952、X-22-4272、X-22-6266、KF-351A、K354L、KF-355A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、X-22-6191、X-22-4515、KF-6004、KP-341、KF-6001及びKF-6002(以上、信越シリコーン社製);F-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460及びTSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製);BYK307、BYK323及びBYK330(以上、ビックケミー社製)が挙げられる。
【0160】
界面活性剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、0.01~3.0質量%が好ましく、0.01~1.0質量%がより好ましく、0.05~0.8質量%が更に好ましい。
【0161】
可塑剤及びヘテロ環状化合物としては、例えば、国際公開第2018/179640号の段落[0097]~[0103]及び段落[0111]~[0118]に記載された化合物が挙げられる。
【0162】
-不純物-
感光性層は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、金属不純物又はそのイオン、ハロゲン化物イオン、残存有機溶剤、残存モノマー及び水が挙げられる。
【0163】
-金属不純物及びハロゲン化物イオン-
金属不純物としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、マンガン、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、ニッケル、亜鉛、スズ及びこれらのイオン、並びに、ハロゲン化物イオンが挙げられる。
なかでも、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びハロゲン化物イオンは、混入し易い点から、下記の含有量にするのが好ましい。
金属不純物は、転写フィルムに含まれ得る上記粒子(例えば、金属酸化物粒子)とは異なる化合物である。
【0164】
金属不純物の含有量は、感光性層の全質量に対して、80質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以下がより好ましく、2質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性層の全質量に対して、1質量ppb以上が好ましく、0.1質量ppm以上がより好ましい。
【0165】
不純物の含有量を調整する方法としては、例えば、感光性層の原料として不純物の含有量が少ないものを選択する方法、並びに、感光性層の形成時に不純物の混入を防ぐ方法及び洗浄して除去する方法が挙げられる。
不純物の含有量は、例えば、ICP発光分光分析法、原子吸光分光法及びイオンクロマトグラフィー法等の公知の方法により定量できる。
【0166】
-残存有機溶剤-
残存有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、1,3-ブタジエン、四塩化炭素、クロロホルム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びヘキサンが挙げられる。
残存有機溶剤の含有量は、感光性層の全質量に対して、100質量ppm以下が好ましく、20質量ppm以下がより好ましく、4質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性層の全質量に対して、10質量ppb以上が好ましく、100質量ppb以上がより好ましい。
残存有機溶剤の含有量を調整する方法としては、後述する転写フィルムの製造方法における乾燥処理条件を調整する方法が挙げられる。また、残存有機溶剤の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー分析等の公知の方法により定量できる。
【0167】
-残存単量体-
感光性層は、上記樹脂の各構成単位の残存単量体を含む場合がある。
残存単量体の含有量は、パターニング性及び信頼性の点で、樹脂の全質量に対して、5000質量ppm以下が好ましく、2000質量ppm以下がより好ましく、500質量ppm以下が更に好ましい。下限は、樹脂の全質量に対して、1質量ppm以上が好ましく、10質量ppm以上がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の各構成単位の残存単量体は、パターニング性及び信頼性の点で、感光性層の全質量に対して、3000質量ppm以下が好ましく、600質量ppm以下がより好ましく、100質量ppm以下が更に好ましい。下限は、感光性層の全質量に対して、0.1質量ppm以上が好ましく、1質量ppm以上がより好ましい。
【0168】
高分子反応でアルカリ可溶性樹脂を合成する際の単量体の残存量も、上記範囲とするのが好ましい。例えば、カルボン酸側鎖にアクリル酸グリシジルを反応させてアルカリ可溶性樹脂を合成する場合、アクリル酸グリシジルの含有量を上記範囲にするのが好ましい。
残存単量体の含有量を調整する方法としては、例えば、上記不純物の含有量を調整する方法が挙げられる。
残存単量体の含有量は、液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー等の公知の方法で測定できる。
【0169】
感光性層における水の含有量は、信頼性及びラミネート性を向上させる点から、0.01~1.0質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
【0170】
-感光性層(感光性層A)の特性-
感光性層の平均厚みとしては、0.1~300μmの場合が多く、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。これにより、感光性層の現像性が向上し、解像性も向上できる。
感光性層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、感光性層の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
【0171】
(第2態様の感光性層(感光性層B))
以下、感光性層Bに含まれ得る成分について詳述する。
【0172】
-バインダーポリマー-
感光性層は、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
バインダーポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂、アミドエポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、エステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシアクリレート樹脂、及び、エポキシアクリレート樹脂と酸無水物との反応で得られる酸変性エポキシアクリレート樹脂が挙げられる。
【0173】
バインダーポリマーの好適態様の一つとして、アルカリ現像性及びフィルム形成性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル樹脂とは、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位を有する樹脂を意味する。(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位のみで構成されていてもよく、(メタ)アクリル化合物以外の重合性単量体に由来する構成単位を有していてもよい。すなわち、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量の上限は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、100質量%以下である。
【0174】
(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、及び、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、及び、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドが挙げられる。
【0175】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキル基としては、直鎖状でも分岐を有していても良い。具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、及び、(メタ)アクリル酸ドデシル等の炭素数が1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1~4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチルがより好ましい。
【0176】
(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位以外の構成単位を有していてもよい。
上記構成単位を形成する重合性単量体としては、(メタ)アクリル化合物と共重合可能な(メタ)アクリル化合物以外の化合物であれば特に制限されず、例えば、スチレン、ビニルトルエン、及び、α-メチルスチレン等のα位又は芳香族環に置換基を有してもよいスチレン化合物、アクリロニトリル及びビニル-n-ブチルエーテル等のビニルアルコールエステル、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、及び、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α-シアノケイ皮酸、イタコン酸、並びに、クロトン酸が挙げられる。
これらの重合性単量体は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
【0177】
また、(メタ)アクリル樹脂は、アルカリ現像性をより良好にする点から、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、及び、ホスホン酸基が挙げられる。
なかでも、(メタ)アクリル樹脂は、カルボキシ基を有する構成単位を有することがより好ましく、上記の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有することが更に好ましい。
【0178】
(メタ)アクリル樹脂における酸基を有する構成単位(好ましくは(メタ)アクリル酸に由来する構成単位)の含有量は、現像性に優れる点で、(メタ)アクリル樹脂の全質量に対して、10質量%以上が好ましい。また、上限値は特に制限されないが、アルカリ耐性に優れる点で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0179】
また、(メタ)アクリル樹脂は、上述した(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位を有することがより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂における(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、50~90質量%が好ましく、60~90質量%がより好ましく、65~90質量%が更に好ましい。
【0180】
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有する樹脂が好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位のみで構成されている樹脂がより好ましい。
また、(メタ)アクリル樹脂としては、メタクリル酸に由来する構成単位、メタクリル酸メチルに由来する構成単位、及び、アクリル酸エチルに由来する構成単位を有するアクリル樹脂も好ましい。
【0181】
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種を有することが好ましく、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の両者を有することが好ましい。
(メタ)アクリル樹脂におけるメタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、(メタ)アクリル樹脂の全構成単位に対して、40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されず、100質量%以下であってもよく、80質量%以下が好ましい。
【0182】
また、(メタ)アクリル樹脂は、メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種と、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1種とを有することも好ましい。
メタクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル酸に由来する構成単位及びアクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位の合計含有量に対して、質量比で60/40~80/20が好ましい。
【0183】
(メタ)アクリル樹脂は、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、末端にエステル基を有することが好ましい。
なお、(メタ)アクリル樹脂の末端部は、合成に用いた重合開始剤に由来する部位により構成される。末端にエステル基を有する(メタ)アクリル樹脂は、エステル基を有するラジカルを発生する重合開始剤を用いることにより合成できる。
【0184】
また、バインダーポリマーの別の好適態様としては、アルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
バインダーポリマーは、例えば、現像性の点から、酸価60mgKOH/g以上のバインダーポリマーであることが好ましい。
また、バインダーポリマーは、例えば、加熱により架橋成分と熱架橋し、強固な膜を形成しやすいという点から、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有樹脂)であることがより好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有する(メタ)アクリル樹脂(いわゆる、カルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂)であることが更に好ましい。
バインダーポリマーがカルボキシ基を有する樹脂であると、例えば、ブロックイソシアネート化合物等の熱架橋性化合物を添加して熱架橋することで、3次元架橋密度を高めることができる。また、カルボキシ基を有する樹脂のカルボキシ基が無水化され、疎水化すると、湿熱耐性が改善し得る。
【0185】
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有(メタ)アクリル樹脂としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて、特に制限はなく、公知の(メタ)アクリル樹脂から適宜選択できる。
例えば、特開2011-095716号公報の段落[0025]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]に記載のポリマーのうち、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等を好ましく使用できる。
【0186】
バインダーポリマーの他の好適態様としてはスチレン-アクリル共重合体が挙げられる。
なお、本明細書において、スチレン-アクリル共重合体とは、スチレン化合物に由来する構成単位と、(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位とを有する樹脂を指し、上記スチレン化合物に由来する構成単位、及び、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の合計含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は、100質量%以下の場合が多い。
また、スチレン化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、5~80質量%が更に好ましい。
また、上記(メタ)アクリル化合物に由来する構成単位の含有量は、上記共重合体の全構成単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20~95質量%が更に好ましい。
【0187】
バインダーポリマーは、芳香環構造を有することが好ましく、芳香環構造を有する構成単位を有することがより好ましい。
芳香環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、アラルキル基を有するモノマー、スチレン、及び重合可能なスチレン誘導体(例えば、メチルスチレン、ビニルトルエン、tert-ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、4-ビニル安息香酸、スチレンダイマー、及びスチレントリマー等)が挙げられる。なかでも、アラルキル基を有するモノマー、又はスチレンが好ましい。
アラルキル基としては、置換又は非置換のフェニルアルキル基(ベンジル基を除く)、及び置換又は非置換のベンジル基等が挙げられ、置換又は非置換のベンジル基が好ましい。
【0188】
フェニルアルキル基を有する単量体としては、フェニルエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0189】
ベンジル基を有する単量体としては、ベンジル基を有する(メタ)アクリレート、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、及びクロロベンジル(メタ)アクリレート等;ベンジル基を有するビニルモノマー、例えば、ビニルベンジルクロライド、及びビニルベンジルアルコール等が挙げられる。なかでも、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0190】
また、バインダーポリマーは、下記式(S)で表される構成単位(スチレンに由来する構成単位)を有することがより好ましい。
【0191】
【化4】
【0192】
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~70質量%より好ましく、20~60質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~60モル%が更に好ましく、20~50モル%が特に好ましい。
なお、本明細書において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、上記「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本明細書において、上記「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
【0193】
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有することが好ましい。つまり、バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有することが好ましい。脂肪族炭化水素環構造としては単環でも多環でも良い。なかでも、バインダーポリマーは、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有することがより好ましい。
【0194】
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位における脂肪族炭化水素環構造を構成する環としては、トリシクロデカン環、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、ノルボルナン環、及び、イソボロン環が挙げられる。
なかでも、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環が好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環)がより好ましい。
脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を形成するモノマーとしては、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び、イソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、バインダーポリマーは、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましく、上記式(S)で表される構成単位、及び、下記式(Cy)で表される構成単位を有することがより好ましい。
【0195】
【化5】
【0196】
式(Cy)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、RCyは脂肪族炭化水素環構造を有する一価の基を表す。
【0197】
式(Cy)におけるRは、メチル基であることが好ましい。
式(Cy)におけるRCyは、炭素数5~20の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが好ましく、炭素数6~16の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることがより好ましく、炭素数8~14の脂肪族炭化水素環構造を有する1価の基であることが更に好ましい。
また、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、シクロペンタン環構造、シクロヘキサン環構造、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造、ノルボルナン環構造、又は、イソボロン環構造であることが好ましく、シクロヘキサン環構造、又は、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることがより好ましく、テトラヒドロジシクロペンタジエン環構造であることが更に好ましい。
更に、式(Cy)のRCyにおける脂肪族炭化水素環構造は、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造であることが好ましく、2~4環の脂肪族炭化水素環が縮環した環であることがより好ましい。
更に、式(Cy)におけるRCyは、式(Cy)における-C(=O)O-の酸素原子と脂肪族炭化水素環構造とが直接結合する基、すなわち、脂肪族炭化水素環基であることが好ましく、シクロヘキシル基、又は、ジシクロペンタニル基であることがより好ましく、ジシクロペンタニル基であることが更に好ましい。
【0198】
バインダーポリマーは、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~90質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、20~70質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(Cy)で表される構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
【0199】
バインダーポリマーが芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位を有する場合、芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、40~75質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける芳香環構造を有する構成単位及び脂肪族炭化水素環構造を有する構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける上記式(S)で表される構成単位及び上記式(Cy)で表される構成単位の総含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、10~80モル%が好ましく、20~70モル%がより好ましく、40~60モル%が更に好ましい。
【0200】
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を有することが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホン酸基、及び、リン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
上記酸基を有する構成単位としては、下記に示す、(メタ)アクリル酸由来の構成単位が好ましく、メタクリル酸由来の構成単位がより好ましい。
【0201】
【化6】
【0202】
バインダーポリマーは、酸基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが酸基を有する構成単位を有する場合、酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける酸基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
更に、バインダーポリマーにおける(メタ)アクリル酸由来の構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~50モル%がより好ましく、20~40モル%が更に好ましい。
【0203】
バインダーポリマーは、反応性基を有することが好ましく、反応性基を有する構成単位を有することがより好ましい。
反応性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、バインダーポリマーがエチレン性不飽和基を有している場合、バインダーポリマーは、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位を有することが好ましい。
本明細書において、「主鎖」とは、樹脂を構成する高分子化合物の分子中で相対的に最も長い結合鎖を表し、「側鎖」とは、主鎖から枝分かれしている原子団を表す。
エチレン性不飽和基としては、アリル基又は(メタ)アクリロキシ基がより好ましい。
反応性基を有する構成単位の一例としては、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0204】
【化7】
【0205】
バインダーポリマーは、反応性基を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上有していてもよい。
バインダーポリマーが反応性基を有する構成単位を有する場合、反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、20~40質量%が更に好ましい。
また、バインダーポリマーにおける反応性基を有する構成単位の含有量は、バインダーポリマーの全構成単位に対して、5~70モル%が好ましく、10~60モル%がより好ましく、20~50モル%が更に好ましい。
【0206】
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、第一級アミノ基、第二級アミノ基、アセトアセチル基、及び、スルホ基等の官能基に、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート化合物、イソシアネート化合物、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、及び、カルボン酸無水物等の化合物を反応させる方法が挙げられる。
反応性基をバインダーポリマーに導入する手段の好ましい例としては、カルボキシ基を有するポリマーを重合反応により合成した後、高分子反応により、得られたポリマーのカルボキシ基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートを反応させて、(メタ)アクリロキシ基をポリマーに導入する手段が挙げられる。この手段により、側鎖に(メタ)アクリロキシ基を有するバインダーポリマーを得ることができる。
上記重合反応は、70~100℃の温度条件で行うことが好ましく、80~90℃の温度条件で行うことがより好ましい。上記重合反応に用いる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましく、例えば、富士フイルム和光純薬(株)製のV-601(商品名)又はV-65(商品名)がより好ましい。上記高分子反応は、80~110℃の温度条件で行うことが好ましい。上記高分子反応においては、アンモニウム塩等の触媒を用いることが好ましい。
【0207】
バインダーポリマーとしては、以下に示すポリマーX1~X4が好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率(a~d)及び重量平均分子量Mw等は目的に応じて適宜変更できるが、本発明の効果がより優れる点で、なかでも、以下の構成であるのが好ましい。
(ポリマーX1) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX2) a:20~60質量%、b:10~50質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX3) a:30~65質量%、b:1.0~20質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
(ポリマーX4) a:1.0~20質量%、b:20~60質量%、c:5.0~25質量%、d:10~50質量%。
【0208】
【化8】



【0209】
また、バインダーポリマーは、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を有する重合体(以下、「重合体X」ともいう。)を含んでいてもよい。
カルボン酸無水物構造は、鎖状カルボン酸無水物構造、及び、環状カルボン酸無水物構造のいずれであってもよいが、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
環状カルボン酸無水物構造の環としては、5~7員環が好ましく、5員環又は6員環がより好ましく、5員環が更に好ましい。
【0210】
カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を2つ除いた2価の基を主鎖中に含む構成単位、又は、下記式P-1で表される化合物から水素原子を1つ除いた1価の基が主鎖に対して直接又は2価の連結基を介して結合している構成単位であることが好ましい。
【0211】
【化9】
【0212】
式P-1中、RA1aは、置換基を表し、n1a個のRA1aは、同一でも異なっていてもよく、Z1aは、-C(=O)-O-C(=O)-を含む環を形成する2価の基を表し、n1aは、0以上の整数を表す。
【0213】
A1aで表される置換基としては、例えば、アルキル基が挙げられる。
1aとしては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基がより好ましく、炭素数2のアルキレン基が更に好ましい。
1aは、0以上の整数を表す。Z1aが炭素数2~4のアルキレン基を表す場合、n1aは、0~4の整数であることが好ましく、0~2の整数であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
1aが2以上の整数を表す場合、複数存在するRA1aは、同一でも異なっていてもよい。また、複数存在するRA1aは、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
【0214】
カルボン酸無水物構造を有する構成単位としては、不飽和カルボン酸無水物に由来する構成単位が好ましく、不飽和環式カルボン酸無水物に由来する構成単位がより好ましく、不飽和脂肪族環式カルボン酸無水物に由来する構成単位が更に好ましく、無水マレイン酸又は無水イタコン酸に由来する構成単位が特に好ましく、無水マレイン酸に由来する構成単位が最も好ましい。
【0215】
以下、カルボン酸無水物構造を有する構成単位の具体例を挙げるが、カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、これらの具体例に限定されるものではない。下記の構成単位中、Rxは、水素原子、メチル基、CHOH基、又は、CF基を表し、Meは、メチル基を表す。
【0216】
【化10】
【0217】
【化11】
【0218】
重合体Xにおけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
【0219】
カルボン酸無水物構造を有する構成単位の総含有量は、重合体Xの全構成単位に対して、0~60モル%が好ましく、5~40モル%がより好ましく、10~35モル%が更に好ましい。
【0220】
感光性層は、重合体Xを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
感光性層が重合体Xを含む場合、重合体Xの含有量は、感光性層全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、0.2~20質量%がより好ましく、0.5~20質量%が更に好ましく、1~20質量%が更に好ましい。
【0221】
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、10,000~50,000が更に好ましく、20,000~30,000が特に好ましい。
【0222】
バインダーポリマーの酸価は、10~200mgKOH/gが好ましく、60mg~200mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gが更に好ましく、70~125mgKOH/gが特に好ましい。
なお、バインダーポリマーの酸価は、JIS K0070:1992に記載の方法に従って、測定される値である。
バインダーポリマーの分散度は、現像性の観点から、1.0~6.0が好ましく、1.0~5.0がより好ましく、1.0~4.0が更に好ましく、1.0~3.0が特に好ましい。
【0223】
感光性層は、バインダーポリマーを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
バインダーポリマーの含有量は、感光性層全質量に対して、10~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましく、30~70質量%が更に好ましい。
【0224】
-重合性化合物-
感光性層は、重合性化合物を含んでいてもよい。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物である。重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられ、ラジカル重合性基が好ましい。
【0225】
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物(以下、単に「エチレン性不飽和化合物」ともいう。)を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロキシ基が好ましい。
なお、本明細書におけるエチレン性不飽和化合物は、上記バインダーポリマー以外の化合物であり、分子量5,000未満であることが好ましい。
【0226】
重合性化合物の好適態様の一つとして、下記式(M)で表される化合物(単に、「化合物M」ともいう。)が挙げられる。
-R-Q 式(M)
式(M)中、Q及びQはそれぞれ独立に、(メタ)アクリロイルオキシ基を表し、Rは鎖状構造を有する二価の連結基を表す。
【0227】
式(M)におけるQ及びQは、合成容易性の点から、Q及びQは同じ基であることが好ましい。
また、式(M)におけるQ及びQは、反応性の点から、アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
式(M)におけるRとしては、アルキレン基、アルキレンオキシアルキレン基(-L-O-L-)、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基(-(L-O)-L-)が好ましく、炭素数2~20の炭化水素基、又は、ポリアルキレンオキシアルキレン基がより好ましく、炭素数4~20のアルキレン基が更に好ましく、炭素数6~18の直鎖アルキレン基が特に好ましい。
上記炭化水素基は、少なくとも一部に鎖状構造を有していればよく、上記鎖状構造以外の部分としては、特に制限はなく、例えば、分岐鎖状、環状、又は、炭素数1~5の直鎖状アルキレン基、アリーレン基、エーテル結合、及び、それらの組み合わせのいずれであってもよく、アルキレン基、又は、2以上のアルキレン基と1以上のアリーレン基とを組み合わせた基が好ましく、アルキレン基がより好ましく、直鎖アルキレン基が更に好ましい。
なお、上記Lは、それぞれ独立に、アルキレン基を表し、エチレン基、プロピレン基、又は、ブチレン基が好ましく、エチレン基又は1,2-プロピレン基がより好ましい。pは2以上の整数を表し、2~10の整数であることが好ましい。
【0228】
また、化合物MにおけるQとQとの間を連結する最短の連結鎖の原子数は、3~50個が好ましく、4~40個がより好ましく、6~20個が更に好ましく、8~12個が特に好ましい。
本明細書において、「QとQの間を連結する最短の連結鎖の原子数」とは、Qに連結するRにおける原子からQに連結するRにおける原子までを連結する最短の原子数である。
【0229】
化合物Mの具体例としては、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、及び、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。上記エステルモノマーは混合物としても使用できる。
上記化合物のなかでも、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが更に好ましい。
【0230】
また、重合性化合物の好適態様の一つとして、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
本明細書において、「2官能以上のエチレン性不飽和化合物」とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和化合物におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0231】
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
上記化合物M以外の2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、及び、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0232】
2官能のエチレン性不飽和化合物の市販品としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(商品名:NKエステル A-DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(商品名:NKエステル DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9-ノナンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-NOD-N、新中村化学工業(株)製)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(商品名:NKエステル A-HD-N、新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
【0233】
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、及び、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0234】
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及び、ヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
【0235】
重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社のEBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル A-GLY-9E等)も挙げられる。
【0236】
重合性化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物も挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられ、例えば、プロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、ウレタン(メタ)アクリレートとしては、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートも挙げられる。官能基数の下限としては、6官能以上がより好ましく、8官能以上が更に好ましい。なお、官能基数の上限としては、20官能以下が好ましい。3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、8UX-015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA-32P(新中村化学工業(株)製)、U-15HA(新中村化学工業(株)製)、UA-1100H(新中村化学工業(株)製)、共栄社化学(株)製のAH-600(商品名)、並びに、UA-306H、UA-306T、UA-306I、UA-510H、及びUX-5000(いずれも日本化薬(株)製)等が挙げられる。
【0237】
重合性化合物の好適態様の一つとして、酸基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
酸基としては、リン酸基、スルホ基、及び、カルボキシ基が挙げられる。
これらのなかでも、酸基としては、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、酸基を有する3~4官能のエチレン性不飽和化合物〔ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価:80~120mgKOH/g)〕、酸基を有する5~6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの〔酸価:25~70mgKOH/g)〕等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
【0238】
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物が、カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種であると、現像性及び膜強度がより高まる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、アロニックス(登録商標)TO-2349(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-520(東亞合成(株)製)、アロニックス(登録商標)M-510(東亞合成(株)製)が挙げられる。
【0239】
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、特開2004-239942号公報の段落[0025]~[0030]に記載の酸基を有する重合性化合物が好ましく、この公報に記載の内容は、本明細書に組み込まれる。
【0240】
重合性化合物としては、例えば、多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、グリシジル基含有化合物にα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、γ-クロロ-β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、β-ヒドロキシエチル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート、及び、β-ヒドロキシプロピル-β’-(メタ)アクリロイルオキシエチル-o-フタレート等のフタル酸系化合物、並びに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルも挙げられる。
これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0241】
多価アルコールにα,β-不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物としては、例えば、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、及び、2,2-ビス(4-((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、エチレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が2~14であり、かつ、プロピレンオキサイド基の数が2~14であるポリエチレンポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
【0242】
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物のカプロラクトン変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA-20、新中村化学工業(株)製A-9300-1CL等)、エチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(例えば、日本化薬(株)製KAYARAD RP-1040、新中村化学工業(株)製ATM-35E、A-9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標)135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A-GLY-9E等)等も挙げられる。
【0243】
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)としては、転写後の感光性層の現像性に優れる点で、なかでも、エステル結合を含むものも好ましい。
エステル結合を含むエチレン性不飽和化合物としては、分子内にエステル結合を含むものであれば特に制限されないが、本発明の効果が優れる点で、テトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物が好ましく、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、又は、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレートがより好ましい。
信頼性付与の点からは、エチレン性不飽和化合物としては、炭素数6~20の脂肪族基を有するエチレン性不飽和化合物と、上記のテトラメチロールメタン構造又はトリメチロールプロパン構造を有するエチレン不飽和化合物と、を含むことが好ましい。
炭素数6以上の脂肪族構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、及び、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0244】
重合性化合物の好適態様の一つとしては、脂肪族炭化水素環構造を有する重合性化合物(好ましくは、2官能エチレン性不飽和化合物)が挙げられる。
上記重合性化合物としては、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造(好ましくは、トリシクロデカン構造及びトリシクロデセン構造からなる群から選択される構造)を有する重合性化合物が好ましく、2環以上の脂肪族炭化水素環が縮環した環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物がより好ましく、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが更に好ましい。
上記脂肪族炭化水素環構造としては、シクロペンタン構造、シクロヘキサン構造、トリシクロデカン構造、トリシクロデセン構造、ノルボルナン構造、又は、イソボロン構造が好ましい。
【0245】
重合性化合物の分子量は、200~3,000が好ましく、250~2,600がより好ましく、280~2,200が更に好ましく、300~2,200が特に好ましい。
感光性層に含まれる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、感光性層に含まれる全ての重合性化合物の含有量に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0246】
感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのが好ましく、3官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むのがより好ましく、3官能又は4官能のエチレン性不飽和化合物を含むのが更に好ましい。
【0247】
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物と、脂肪族炭化水素環を有する構成単位を有するバインダーポリマーとを含むことが好ましい。
【0248】
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物とを含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物とを含むことがより好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレートと、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸変性体とを含むことが更に好ましい。
【0249】
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述する熱架橋性化合物とを含むことが好ましく、式(M)で表される化合物と、酸基を有するエチレン性不飽和化合物と、後述するブロックイソシアネート化合物とを含むことがより好ましい。
【0250】
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、2官能のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、2官能の(メタ)アクリレート化合物)と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物(好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物)と、を含むこと好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物と、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量の質量比は10:90~90:10が好ましく、30:70~70:30がより好ましい。
全てのエチレン性不飽和化合物の合計量に対する、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、20~80質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
感光性層における2官能のエチレン性不飽和化合物は、10~60質量%が好ましく、15~40質量%がより好ましい。
【0251】
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、防錆性の点から、化合物M、及び、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、化合物M、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、及び、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、化合物M、脂肪族炭化水素環構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物、3官能以上のエチレン性不飽和化合物、酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
また、感光性層の好適態様の一つとして、感光性層は、感光性層は、基板密着性、現像残渣抑制性、及び、防錆性の点から、1,9-ノナンジオールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、及び、カルボン酸基を有する多官能エチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及び、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが更に好ましく、1,9-ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、カルボン酸基を有するエチレン性不飽和化合物、及び、ウレタンアクリレート化合物を含むことが特に好ましい。
【0252】
感光性層は、エチレン性不飽和化合物として、単官能エチレン性不飽和化合物を含んでいてもよい。
上記エチレン性不飽和化合物における2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、感光性層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60~100質量%が好ましく、80~100質量%がより好ましく、90~100質量%が更に好ましい。
【0253】
重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層における重合性化合物(特に、エチレン性不飽和化合物)の含有量は、感光性層全質量に対して、1~70質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、5~60質量%が更に好ましく、5~50質量%が特に好ましい。
【0254】
-特定色素-
感光性層は、特定色素を含む。
特定色素とは、感光性層の最大感度波長とは異なる波長に極大吸収波長を有する色素であって、且つ、その極大吸収波長と感光性層の最大感度波長との差が40nm以上である色素をいう。
感光性層(感光性層B)が含む特定色素の種類及び特性、並びに、感光性層の最大感度波長との関係については、既述の感光性層Aと同じであり、好適態様も同じである。
【0255】
好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、感光性層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、感光性層の全質量に対して、2.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以下であるのがより好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが特に好ましく、0.01質量%以下であるのが最も好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、感光性層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0256】
好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、感光性層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、感光性層の全質量に対して、2.0質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以下であるのがより好ましく、本発明の効果がより優れる点で、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが特に好ましく、0.01質量%以下であるのが最も好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、感光性層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0257】
特定色素の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、感光性層の全質量に対して、0.01~15.0質量%であるのが好ましく、0.05~10.0質量%であるのがより好ましく、0.1~10.0質量%であるのが更に好ましく、1.0~10.0質量%であるのが特に好ましい。
【0258】
-重合開始剤-
感光性層は、重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤としては、光重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を使用できる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α-アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、及び、N-フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N-フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
【0259】
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、及び、N-フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
【0260】
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011-95716号公報の段落[0031]~[0042]、及び、特開2015-014783号公報の段落[0064]~[0081]に記載された重合開始剤を用いてもよい。
【0261】
光重合開始剤の市販品としては、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-01、BASF社製〕、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)〔商品名:IRGACURE(登録商標) OXE-02、BASF社製〕、IRGACURE(登録商標)OXE03(BASF社製)、IRGACURE(登録商標)OXE04(BASF社製)、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン〔商品名:Omnirad(登録商標)379EG、IGM Resins B.V社製〕、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)907、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)127、IGM Resins B.V社製〕、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1〔商品名:Omnirad(登録商標)369、IGM Resins B.V社製〕、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)1173、IGM Resins B.V社製〕、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔商品名:Omnirad(登録商標)184、IGM Resins B.V社製〕、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン〔商品名:Omnirad(登録商標)651、IGM Resins B.V社製〕等、オキシムエステル系の〔商品名:Lunar(登録商標) 6、DKSHジャパン(株)製〕、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-305、常州強力電子新材料社製)、1,2-プロパンジオン,3-シクロヘキシル-1-[9-エチル-6-(2-フラニルカルボニル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,2-(O-アセチルオキシム)(商品名:TR-PBG-326、常州強力電子新材料社製)、3-シクロヘキシル-1-(6-(2-(ベンゾイルオキシイミノ)ヘキサノイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル)-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイルオキシム)(商品名:TR-PBG-391、常州強力電子新材料社製)、APi-307(1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルホリノプロパン-1-オン、Shenzhen UV-ChemTech Ltd.製)等が挙げられる。
【0262】
光重合開始剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用することもできる。2種以上を併用する場合は、オキシム系光重合開始剤と、α-アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びα-ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤から選ばれる少なくとも1種と、を使用することが好ましい。
感光性層が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、感光性層全質量に対して、0.1質量%以上であるのが好ましく、0.5質量%以上であるのがより好ましく、1.0質量%以上であるのが更に好ましい。また、その上限値としては、感光性組成物層全質量に対して、10質量%以下であるのが好ましく、5質量%以下であるがより好ましい。
【0263】
-複素環化合物-
感光性層は、複素環化合物を含んでいてもよい。
複素環化合物が有する複素環は、単環及び多環のいずれの複素環でもよい。
複素環化合物が有するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子が挙げられる。複素環化合物は、窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有することが好ましく、窒素原子を有することがより好ましい。
【0264】
複素環化合物としては、例えば、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、及び、ピリミジン化合物が挙げられる。
上記のなかでも、複素環化合物としては、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、トリアジン化合物、ローダニン化合物、チアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、トリアゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物、テトラゾール化合物、チアジアゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、及び、ベンゾオキサゾール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物がより好ましい。
【0265】
複素環化合物の好ましい具体例を以下に示す。トリアゾール化合物及びベンゾトリアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0266】
【化12】
【0267】
【化13】
【0268】
テトラゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0269】
【化14】
【0270】
【化15】
【0271】
チアジアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0272】
【化16】
【0273】
トリアジン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0274】
【化17】
【0275】
ローダニン化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0276】
【化18】
【0277】
チアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0278】
【化19】
【0279】
ベンゾチアゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0280】
【化20】
【0281】
ベンゾイミダゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0282】
【化21】
【0283】
【化22】
【0284】
ベンゾオキサゾール化合物としては、以下の化合物が例示できる。
【0285】
【化23】
【0286】
複素環化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が複素環化合物を含む場合、複素環化合物の含有量は、感光性層全質量に対して、0.01~20.0質量%が好ましく、0.10~10.0質量%がより好ましく、0.30~8.0質量%が更に好ましく、0.50~5.0質量%が特に好ましい。
【0287】
-脂肪族チオール化合物-
感光性層は、脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
感光性層が脂肪族チオール化合物を含むことで、脂肪族チオール化合物がエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物との間でエン-チオール反応することで、形成される膜の硬化収縮が抑えられ、応力が緩和される。
【0288】
脂肪族チオール化合物としては、単官能の脂肪族チオール化合物、又は、多官能の脂肪族チオール化合物(すなわち、2官能以上の脂肪族チオール化合物)が好ましい。
【0289】
上記のなかでも、脂肪族チオール化合物としては、形成されるパターンの密着性(特に、露光後における密着性)の点から、多官能の脂肪族チオール化合物が好ましい。
【0290】
本明細書において、「多官能の脂肪族チオール化合物」とは、チオール基(「メルカプト基」ともいう。)を分子内に2個以上有する脂肪族化合物を意味する。
【0291】
多官能の脂肪族チオール化合物としては、分子量が100以上の低分子化合物が好ましい。具体的には、多官能の脂肪族チオール化合物の分子量は、100~1,500がより好ましく、150~1,000が更に好ましい。
【0292】
多官能の脂肪族チオール化合物の官能基数としては、例えば、形成されるパターンの密着性の点から、2~10官能が好ましく、2~8官能がより好ましく、2~6官能が更に好ましい。
【0293】
多官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトブチレート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビスチオプロピオネート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,2-エタンジチオール、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサメチレンジチオール、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso-2,3-ジメルカプトコハク酸、及び、ジ(メルカプトエチル)エーテルが挙げられる。
【0294】
上記のなかでも、多官能の脂肪族チオール化合物としては、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、及び、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチリルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
【0295】
単官能の脂肪族チオール化合物としては、例えば、1-オクタンチオール、1-ドデカンチオール、β-メルカプトプロピオン酸、メチル-3-メルカプトプロピオネート、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及び、ステアリル-3-メルカプトプロピオネートが挙げられる。
【0296】
感光性層は、1種単独の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよく、2種以上の脂肪族チオール化合物を含んでいてもよい。
【0297】
感光性層が脂肪族チオール化合物を含む場合、脂肪族チオール化合物の含有量は、感光性層全質量に対して、5質量%以上が好ましく、5~50質量%がより好ましく、5~30質量%が更に好ましく、8~20質量%が特に好ましい。
【0298】
-熱架橋性化合物-
感光性層は、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、熱架橋性化合物を含むことが好ましい。なお、本明細書においては、後述するエチレン性不飽和基を有する熱架橋性化合物は、エチレン性不飽和化合物としては扱わず、熱架橋性化合物として扱うものとする。
熱架橋性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール化合物、及び、ブロックイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、得られる硬化膜の強度、及び、得られる未硬化膜の粘着性の点から、ブロックイソシアネート化合物が好ましい。
ブロックイソシアネート化合物は、ヒドロキシ基及びカルボキシ基と反応するため、例えば、バインダーポリマー及びエチレン性不飽和基を有するラジカル重合性化合物の少なくとも一方が、ヒドロキシ基及びカルボキシ基の少なくとも一方を有する場合には、形成される膜の親水性が下がり、保護膜としての機能が強化される傾向がある。
なお、ブロックイソシアネート化合物とは、「イソシアネートのイソシアネート基をブロック剤で保護(いわゆる、マスク)した構造を有する化合物」を指す。
【0299】
ブロックイソシアネート化合物の解離温度は、特に制限されないが、100~160℃が好ましく、130~150℃がより好ましい。
ブロックイソシアネートの解離温度とは、「示差走査熱量計を用いて、DSC(Differential scanning calorimetry)分析にて測定した場合における、ブロックイソシアネートの脱保護反応に伴う吸熱ピークの温度」を意味する。
示差走査熱量計としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製の示差走査熱量計(型式:DSC6200)を好適に使用できる。但し、示差走査熱量計は、これに限定されない。
【0300】
解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、活性メチレン化合物〔マロン酸ジエステル(マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn-ブチル、マロン酸ジ2-エチルヘキシル等)〕、オキシム化合物(ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、及び、シクロヘキサノンオキシム等の分子内に-C(=N-OH)-で表される構造を有する化合物)が挙げられる。
これらのなかでも、解離温度が100~160℃であるブロック剤としては、例えば、保存安定性の点から、オキシム化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0301】
ブロックイソシアネート化合物は、例えば、膜の脆性改良、被転写体との密着力向上等の点から、イソシアヌレート構造を有することが好ましい。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物は、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートをイソシアヌレート化して保護することにより得られる。
イソシアヌレート構造を有するブロックイソシアネート化合物のなかでも、オキシム化合物をブロック剤として用いたオキシム構造を有する化合物が、オキシム構造を有さない化合物よりも解離温度を好ましい範囲にしやすく、かつ、現像残渣を少なくしやすいという点から好ましい。
【0302】
ブロックイソシアネート化合物は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、特に制限はなく、公知の重合性基を用いることができ、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、及び、スチリル基等のエチレン性不飽和基、並びに、グリシジル基等のエポキシ基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基が好ましく、(メタ)アクリロキシ基がより好ましく、アクリロキシ基が更に好ましい。
【0303】
ブロックイソシアネート化合物としては、市販品を使用できる。
ブロックイソシアネート化合物の市販品の例としては、カレンズ(登録商標) AOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BM、カレンズ(登録商標) MOI-BP等(以上、昭和電工(株)製)、ブロック型のデュラネートシリーズ(例えば、デュラネート(登録商標) TPA-B80E、デュラネート(登録商標) WT32-B75P等、旭化成ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
【0304】
熱架橋性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が熱架橋性化合物を含む場合、熱架橋性化合物の含有量は、感光性組成物層全質量に対して、1~50質量%が好ましく、5~30質量%がより好ましい。
【0305】
-水素供与性化合物-
感光性層は、水素供与性化合物を含んでいてもよい。
水素供与性化合物は、光重合開始剤の活性光線に対する感度を一層向上させる、及び、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。
【0306】
水素供与性化合物としては、例えば、アミン類、及び、アミノ酸化合物が挙げられる。
【0307】
アミン類としては、例えば、M.R.Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44-020189号公報、特開昭51-082102号公報、特開昭52-134692号公報、特開昭59-138205号公報、特開昭60-084305号公報、特開昭62-018537号公報、特開昭64-033104号公報、及び、Research Disclosure 33825号等に記載の化合物が挙げられる。より具体的には、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタン(別名:ロイコクリスタルバイオレット)、トリエタノールアミン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p-ホルミルジメチルアニリン、及び、p-メチルチオジメチルアニリンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミン類としては、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)メタンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0308】
アミノ酸化合物としては、例えば、N-フェニルグリシン、N-メチル-N-フェニルグリシン、N-エチル-N-フェニルグリシンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、アミノ酸化合物としては、N-フェニルグリシンが好ましい。
【0309】
また、水素供与性化合物としては、例えば、特公昭48-042965号公報に記載の有機金属化合物(トリブチル錫アセテート等)、特公昭55-034414号公報に記載の水素供与体、及び、特開平6-308727号公報に記載のイオウ化合物(トリチアン等)も挙げられる。
【0310】
水素供与性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
感光性層が水素供与性化合物を含む場合、水素供与性化合物の含有量は、重合成長速度と連鎖移動のバランスとによる硬化速度の向上の点から、感光性層全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.01~8.0質量%がより好ましく、0.03~5.0質量%が更に好ましい。
【0311】
-その他添加剤-
感光性層は、上記以外のその他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、既述の感光性層Aが有するその他添加剤と同じであり、好適態様も同じである。
【0312】
-不純物-
感光性層は、不純物を含む場合がある。
不純物としては、既述の感光性層Aが有する不純物と同じであり、好適態様も同じである。
【0313】
-その他の成分-
感光性層は、既述の成分以外の成分(以下、「他の成分」ともいう。)を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、着色剤、酸化防止剤、及び、粒子(例えば、金属酸化物粒子)が挙げられる。また、他の成分としては、特開2000-310706号公報の段落[0058]~[0071]に記載のその他の添加剤も挙げられる。
【0314】
-粒子-
粒子としては、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子における金属には、B、Si、Ge、As、Sb、及び、Te等の半金属も含まれる。
粒子の平均一次粒子径は、例えば、硬化膜の透明性の点から、1~200nmが好ましく、3~80nmがより好ましい。
粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡を用いて任意の粒子200個の粒子径を測定し、測定結果を算術平均することにより算出される。なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
【0315】
-着色剤-
感光性層は、微量の着色剤(顔料、染料等)を含んでいてもよいが、例えば、透明性の点からは、着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
感光性層が着色剤を含む場合、着色剤の含有量は、感光性層全質量に対して、1質量%未満が好ましく、0.1質量%未満がより好ましい。
【0316】
-酸化防止剤-
酸化防止剤としては、例えば、1-フェニル-3-ピラゾリドン(別名:フェニドン)、1-フェニル-4,4-ジメチル-3-ピラゾリドン、及び、1-フェニル-4-メチル-4-ヒドロキシメチル-3-ピラゾリドン等の3-ピラゾリドン類;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、メチルハイドロキノン、及び、クロルハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン類;パラメチルアミノフェノール、パラアミノフェノール、パラヒドロキシフェニルグリシン、及び、パラフェニレンジアミンが挙げられる。
なかでも、本発明の効果がより優れる点で、酸化防止剤としては、3-ピラゾリドン類が好ましく、1-フェニル-3-ピラゾリドンがより好ましい。
【0317】
-感光性層(感光性層B)の特性-
感光性層の平均厚みとしては、0.1~300μmの場合が多く、0.2~100μmが好ましく、0.5~50μmがより好ましく、1~20μmが更に好ましい。これにより、感光性層の現像性が向上し、解像性も向上できる。
感光性層の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、感光性層の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
【0318】
(中間層)
組成物層において、中間層は、熱可塑性樹脂層と感光性層との間に存在することにより、熱可塑性樹脂層及び感光性層の塗布形成の際及び塗布形成後の保存の際に生じ得る成分の混合を抑制できる。
中間層としては、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が使用できる。
また、中間層としては、特開平5-072724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断層も使用できる。中間層が酸素遮断層であると、露光時の感度が向上し、露光機の時間負荷が低減し、生産性が向上するため、好ましい。
中間層として用いられる酸素遮断層は、上記公報等に記載された公知の層から適宜選択すればよい。中でも、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する酸素遮断層が好ましい。
【0319】
以下、水溶性樹脂層(中間層)が含み得る各成分について説明する。
【0320】
-水溶性樹脂-
水溶性樹脂層(中間層)は、樹脂を含む。
上記樹脂は、その一部又は全部として、水溶性樹脂を含む。
水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。
水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
【0321】
水溶性樹脂の重量平均分子量の下限値としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
【0322】
なお、水溶性樹脂層(中間層)の層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)中の樹脂は、水溶性樹脂層(中間層)の一方の面側に配置される層に含まれる樹脂及び他方の面側に配置される層に含まれる樹脂とは異なる樹脂であることが好ましい。
【0323】
水溶性樹脂は、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンの両者を含むことがより好ましい。
【0324】
水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、酸素遮断性、並びに、層間混合抑制能をより向上させる点で、水溶性樹脂層(中間層)の全質量に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、99.9質量%以下が好ましく、99.8質量%以下が更に好ましい。
【0325】
水溶性樹脂層(中間層)の層厚は、特に制限されないが、0.1~5μmが好ましく、0.5~3μmがより好ましい。水溶性樹脂層(中間層)の厚みが上記の範囲内であると、酸素遮断性を低下させることがなく、層間混合抑制能が優れる。また、更に、現像時の水溶性樹脂層(中間層)除去時間の増大も抑制できる。
【0326】
中間層の厚みは、3.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましい。下限は、1.0μm以上が好ましい。
【0327】
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層は、通常、仮支持体と感光性層との間に配置される。転写フィルムが熱可塑性樹脂層を備えることで、転写フィルムと基板との貼合工程における基板への追従性が向上して、基板と転写フィルムとの間の気泡の混入を抑制できる。この結果として、熱可塑性樹脂層に隣接する層(例えば仮支持体)との密着性を担保できる。
熱可塑性樹脂層としては、例えば、特開2014-085643号公報の段落[0189]~[0193]が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
以下、熱可塑性樹脂層が含み得る各成分について説明する。
【0328】
-熱可塑性樹脂層-
熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。
熱可塑性樹脂としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン及びポリアルキレングリコールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、上述した感光性層に含まれるアルカリ可溶性樹脂を用いてもよい。
【0329】
アルカリ可溶性樹脂としては、現像性及び隣接する層との密着性の点から、アクリル樹脂が好ましい。
ここで、「アクリル樹脂」とは、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位からなる群から選択される少なくとも1つの構成単位を含む樹脂を意味する。
アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸アミドに由来する構成単位の合計含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。上限は、アクリル樹脂の全質量に対して、100質量%以下が好ましい。
なかでも、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計含有量が、アクリル樹脂の全質量に対して、30~100質量%が好ましく、50~100質量%がより好ましい。
【0330】
アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する樹脂が好ましい。
酸基としては、例えば、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基及びホスホン酸基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂としては、酸基を有する構成単位を含むことが好ましく、カルボキシ基を有する構成単位を含むことがより好ましく、現像性及び隣接する層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有するアクリル樹脂が更に好ましい。
【0331】
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像性の点から、60mgKOH/g以上が好ましい。上限は、300mgKOH/g以下が好ましく、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましい。
なかでも、アルカリ可溶性樹脂としては、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂が好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
【0332】
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基を有するアクリル樹脂としては、例えば、公知の樹脂から適宜選択して使用できる。
具体的には、特開2011-095716号公報の段落[0025]、特開2010-237589号公報の段落[0033]~[0052]及び特開2016-224162号公報の段落[0053]~[0068]が挙げられる。
【0333】
カルボキシ基を有する構成単位の含有量は、アクリル樹脂の全質量に対して、5~50質量%が好ましく、10~40質量%がより好ましく、12~30質量%が更に好ましい。
【0334】
アルカリ可溶性樹脂は、重合性基を有していてもよい。
重合性基としては、重合反応に関与する基であればよく、例えば、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基及びマレイミド基等のエチレン性不飽和基を有する基;エポキシ基及びオキセタン基等のカチオン性重合性基を有する基が挙げられる。
なかでも、重合性基としては、エチレン性不飽和基を有する基が好ましく、アクリロイル基又はメタアクリロイル基がより好ましい。
【0335】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、10,000~100,000より好ましく、20,000~50,000が更に好ましい。
【0336】
熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
熱可塑性樹脂の含有量は、現像性及び隣接する層との密着性の点で、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、10.0~99.0質量%が好ましく、20.0~90.0質量%がより好ましく、40.0~90.0質量%が更に好ましく、60.0~90.0質量%が特に好ましい。
【0337】
-色素B-
熱可塑性樹脂層は、発色時の波長範囲400~780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素(以下、単に「色素B」ともいう。)を含んでいてもよい。
色素Bの好適態様は、後述する点以外は、上記色素Nと同義であり、好適態様も同じである。
【0338】
色素Bとしては、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、酸又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素が好ましく、酸により極大吸収波長が変化する色素がより好ましい。
熱可塑性樹脂層は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、色素Bとしての酸により極大吸収波長が変化する色素及び後述する光により酸を発生する化合物の両者を含むことが好ましい。
【0339】
色素Bは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
色素Bの含有量は、露光部及び非露光部の視認性の点で、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.2質量%以上が好ましく、0.2~6.0質量%がより好ましく、0.2~5.0質量%が更に好ましい。
「色素Bの含有量」とは、熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、ラジカルにより発色する色素を例に、色素Bの含有量の定量方法を説明する。
メチルエチルケトン100mLに、色素B(0.001g)を溶かした溶液及び色素B(0.01g)を溶かした溶液を調製する。得られた各溶液に、光ラジカル重合開始剤(Irgacure OXE01、BASFジャパン社製)を加え、365nmの光を照射することによりラジカルを発生させ、全ての色素Bを発色状態にする。その後、大気雰囲気下で、分光光度計(UV3100、島津製作所社製)を用いて、液温が25℃である各溶液の吸光度を測定し、検量線を作成する。
次に、色素Bに代えて熱可塑性樹脂層(3g)をメチルエチルケトンに溶かすこと以外は上記と同様の方法で、色素を全て発色させた溶液の吸光度を測定する。得られた熱可塑性樹脂層を含む溶液の吸光度から、検量線に基づいて熱可塑性樹脂層に含まれる色素Bの量を算出する。
【0340】
-光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物(化合物C)-
熱可塑性樹脂層は、光により酸、塩基又はラジカルを発生する化合物(以下、単に「化合物C」ともいう。)を含んでいてもよい。
化合物Cとしては、紫外線及び可視光線等の活性光線を受けて、酸、塩基又はラジカルを発生する化合物が好ましい。
化合物Cとしては、例えば、公知の、光酸発生剤、光塩基発生剤及び光ラジカル重合開始剤(光ラジカル発生剤)が挙げられる。
【0341】
・・光酸発生剤
熱可塑性樹脂層は、解像性の点から、光酸発生剤を含んでいてもよい。
光酸発生剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る光カチオン重合開始剤が挙げられ、後述する点以外は、好適態様も同じである。
【0342】
光酸発生剤としては、感度及び解像性の点から、オニウム塩化合物及びオキシムスルホネート化合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含むことが好ましく、感度、解像性及び密着性の点から、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
光酸発生剤としては、以下の構造を有する光酸発生剤も好ましい。
【0343】
【化24】
【0344】
・・光ラジカル重合開始剤
熱可塑性樹脂層は、光ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る光ラジカル重合開始剤が挙げられ、好適態様も同じである。
【0345】
・・光塩基発生剤
熱可塑性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでいてもよい。
光塩基発生剤としては、例えば、公知の光塩基発生剤が挙げられる。
具体的には、2-ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O-カルバモイルヒドロキシルアミド、O-カルバモイルオキシム、[[(2,6-ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2-ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6-ジアミン、4-(メチルチオベンゾイル)-1-メチル-1-モルホリノエタン、(4-モルホリノベンゾイル)-1-ベンジル-1-ジメチルアミノプロパン、N-(2-ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2-ニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジン及び2,6-ジメチル-3,5-ジアセチル-4-(2,4-ジニトロフェニル)-1,4-ジヒドロピリジンが挙げられる。
【0346】
化合物Cは、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
化合物Cの含有量は、露光部及び非露光部の視認性、並びに、解像性の点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.1~10.0質量%が好ましく、0.5~5.0質量%がより好ましい。
【0347】
-可塑剤-
熱可塑性樹脂層は、解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、可塑剤を含んでいてもよい。
可塑剤は、熱可塑性樹脂(好ましくは、アルカリ可溶性樹脂)よりも分子量(オリゴマー又はポリマーであり分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が小さいことが好ましい。具体的には、可塑剤の分子量(重量平均分子量)は、200~2,000が好ましい。
可塑剤は、アルカリ可溶性樹脂と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に制限されない。
可塑剤は、可塑性付与の点から、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましく、ポリエチレンオキシ構造又はポリプロピレンオキシ構造を有することがより好ましい。
可塑剤としては、ポリアルキレングリコール化合物が好ましい。
【0348】
可塑剤は、解像性及び保存安定性の点から、(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。相溶性、解像性及び隣接する層との密着性の点から、アルカリ可溶性樹脂がアクリル樹脂であり、かつ、可塑剤が(メタ)アクリレート化合物を含むことがより好ましい。
(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る重合性化合物としての(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0349】
熱可塑性樹脂層が可塑剤として(メタ)アクリレート化合物を含む場合、熱可塑性樹脂層と隣接する層との密着性の点から、露光後の露光部においても(メタ)アクリレート化合物が重合しないことが好ましい。
また、(メタ)アクリレート化合物としては、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、1分子中に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
更に、(メタ)アクリレート化合物としては、酸基を有する(メタ)アクリレート化合物又はウレタン(メタ)アクリレート化合物も好ましい。
【0350】
可塑剤の好適な一態様としては、3官能以上のエチレン性不飽和化合物のアルキレンオキサイド変性物と、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートと、2官能以上のウレタン(メタ)アクリレート(好ましくはウレタンジ(メタ)アクリレート)との組み合わせも好ましい。なお、これら化合物の好適な態様としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る重合性化合物として説明した同化合物が挙げられる。
【0351】
可塑剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
可塑剤の含有量は、熱可塑性樹脂層の解像性、隣接する層との密着性及び現像性の点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.5~40.0質量%が好ましく、1.0~40.0質量%がより好ましく、5.0~40.0質量%が更に好ましい。
【0352】
-増感剤-
熱可塑性樹脂層は、増感剤を含んでいてもよい。
増感剤としては、上記感光性層に含まれ得る増感剤が挙げられる。
【0353】
増感剤は、1種単独又は2種以上で用いてもよい。
増感剤の含有量は、光源に対する感度の向上、並びに、露光部及び非露光部の視認性の点から、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~10.0質量%が好ましく、0.05~8.0質量%がより好ましい。
【0354】
-重合禁止剤-
重合禁止剤は、不純物を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、例えば、上記感光性層に含まれる不純物が挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~5.0質量%が好ましく、0.05~1.0質量%がより好ましい。
【0355】
-その他添加剤-
熱可塑性樹脂層は、上記成分以外に、その他添加剤を含んでいてもよい。
その他添加剤としては、例えば、上記感光性層に含まれ得るその他添加剤が挙げられる。
【0356】
-不純物-
熱可塑性樹脂層は、不純物を含んでいてもよい。
不純物としては、例えば、上記感光性層に含まれ得る不純物が挙げられる。
【0357】
熱可塑性樹脂層の平均厚み(層厚)は、隣接する層との密着性の点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましい。上限は、現像性及び解像性の点から、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
上記平均厚みの測定方法としては、上記感光性層Aの平均厚みの測定方法が挙げられる。
【0358】
(その他の層)
組成物層は、感光性層、中間層、熱可塑性樹脂層以外の他の層を含んでいてもよい。他の層としては、仮支持体と感光性層との間に配置される中間層(以下「中間層A」ともいう。)等が挙げられる。
【0359】
-中間層A-
中間層Aは、仮支持体の剥離性を向上させる機能、及び/又は、酸素遮断能を有する層であるのが好ましい。また、中間層Aとしては、水又はアルカリ水溶液(22℃の炭酸ナトリウムの1質量%水溶液)に分散又は溶解する層であるのが好ましい。
中間層Aとしては、水溶性樹脂を含む水溶性樹脂層が使用できる。
【0360】
以下、水溶性樹脂層(中間層A)が含み得る各成分について説明する。
中間層Aとしては、水溶性樹脂を含む。
水溶性樹脂として使用可能な樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体)、アクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂(例えば、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレンオキサイド系樹脂)、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等の樹脂が挙げられる。
また、水溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体等も使用できる。(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体としては、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アリルの共重合体が好ましく、メタクリル酸/メタクリル酸アリルの共重合体がより好ましい。水溶性樹脂が(メタ)アクリル酸/ビニル化合物の共重合体である場合、各組成比(モル%)としては、例えば、90/10~20/80が好ましく、80/20~30/70がより好ましい。
【0361】
水溶性樹脂の重量平均分子量の下限値としては、5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、10,000以上が更に好ましい。また、その上限値としては、200,000以下が好ましく、100,000以下がより好ましく、50,000以下が更に好ましい。
水溶性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、1~10が好ましく、1~5がより好ましい。
【0362】
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上を含むのが好ましく、ポリビニルアルコールを含むのがより好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンをいずれも含むのが更に好ましい。ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの配合比(質量比)としては、5/95~95/5であるのが好ましく、20/80~80/20がより好ましく、25/75~70/25が更に好ましい。
また、水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上と、水溶性セルロース誘導体及びポリエーテル類の1種以上とを併用するのも好ましく、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上と、水溶性セルロース誘導体とを併用するのがより好ましい。
水溶性樹脂として、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上と、水溶性セルロース誘導体とを併用する場合、仮支持体の剥離性がより向上する点、及び/又は、酸素遮断能がより優れる点で、水溶性セルロース誘導体の含有量としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び水溶性セルロース誘導体の合計含有量に対して、10質量%未満であるのが好ましく、5質量%以下であるのがより好ましい。なお、下限値としては特に制限されないが、例えば、0.1質量%以上であるのが好ましい。
【0363】
水溶性セルロース誘導体としては特に制限されないが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、及びエチルセルロース等が挙げられる。
ポリエーテル類としては、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等が挙げられる。
【0364】
水溶性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
水溶性樹脂の含有量は特に制限されないが、仮支持体の剥離性がより向上する点、及び/又は、酸素遮断能がより優れる点で、中間層Aの全質量に対して、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。なお、その上限値としては特に制限されないが、例えば、90質量%以下であり、80質量%以下が好ましい。
【0365】
また、中間層Aは、上記水溶性樹脂以外の他の成分を有していてもよい。上記他の成分としては、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキレンオキサイド付加物、フェノール誘導体、及び、アミド化合物等が挙げられる。
【0366】
〔第1実施形態の転写フィルムの変形例〕
上段部において、感光性層が特定色素を含む転写フィルムの一例として、第1実施形態の転写フィルムを挙げたが、感光性層が特定色素を含む形態の転写フィルムは上記構成に制限されない。
感光性層が特定色素を含む転写フィルムの他の一例としては、仮支持体と、仮支持体側から順に、中間層A及び特定色素を含む感光性層の2層構成からなる組成物層と、保護フィルムとを、この順に有する転写フィルムが挙げられる。
また、感光性層が特定色素を含む転写フィルムの他の一例としては、仮支持体と、特定色素を含む感光性層と、保護フィルムとを、この順に有する転写フィルムも挙げられる。なお、上記態様の転写フィルムの場合、組成物層は、感光性層の単層構成である。
更に、第1実施形態の転写フィルムの変形例として挙げた上記転写フィルムにおいて、保護フィルムは含まれていなくてもよい。
【0367】
〔第2実施形態の転写フィルム〕
以下において、第2実施形態の転写フィルムの実施形態の一例について説明する。
図4に示す転写フィルム50は、仮支持体31と、仮支持体31側から順に、熱可塑性樹脂層53、中間層55、及び感光性層57を有する組成物層59と、保護フィルム41とを、この順に有する。熱可塑性樹脂層53は、特定色素を含む。
なお、図4で示す転写フィルム50は保護フィルム41を配置した形態であるが、保護フィルム41は、配置されなくてもよい。
感光性層57は、特定色素を含んでいなくてもよいし、含んでいてもよい。
【0368】
以下において、転写フィルムを構成する各要素について説明する。
第2実施形態の転写フィルムは、熱可塑性樹脂層が特定色素を含んでいる点、及び、感光性層が特定色素を含んでいなくてもよい点以外においては、第1実施形態の転写フィルムと同様の構成である。
【0369】
<熱可塑性樹脂層>
-特定色素-
熱可塑性樹脂層は、特定色素を含む。
熱可塑性樹脂層が含む特定色素としては、既述の第1実施形態の転写フィルムの感光性層が含む特定色素と同義であり、好適態様も同じである。
なお、既述のとおり、特定色素は、酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば、後述する色素B等)を含まないのが好ましい。
【0370】
第2実施形態の転写フィルムにおいて、感光性層の最大感度波長と特定色素の極大吸収波長との組み合わせの好適態様の一例としては、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、特定色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下である態様が挙げられる。上記態様において、特定色素の極大吸収波長としては、410~500nmであるのも好ましい。
また、感光性層の最大感度波長と特定色素の極大吸収波長との組み合わせの好適態様の他の一例としては、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、特定色素の極大吸収波長が300~395nmである態様が挙げられる。上記態様において、感光性層の最大感度波長としては、410~500nmであるのも好ましく、410~450nmであるのもより好ましい。
【0371】
熱可塑性樹脂層の好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、熱可塑性樹脂層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、熱可塑性樹脂層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素B)」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、5.0質量%以下であるのが好ましく、本発明の効果がより優れる点で、2.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが更により好ましく、0.01質量%以下であるのが特に好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
熱可塑性樹脂層の特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、且つ、熱可塑性樹脂層が極大吸収波長が300~395nmの特定色素を含む場合、熱可塑性樹脂層中の極大吸収波長が395nm超500nm以下の色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素B)」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0372】
熱可塑性樹脂層の好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、感光性層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、熱可塑性樹脂層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素B)」は含まないのが好ましい。)の含有量としては、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、5.0質量%以下であるのが好ましく、本発明の効果がより優れる点で、2.0質量%以下であるのがより好ましく、1.0質量%以下であるのが更に好ましく、0.1質量%以下であるのが更により好ましく、0.01質量%以下であるのが特に好ましい。下限値としては、0質量%以上である。
熱可塑性樹脂層の特に好適な一態様として、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、且つ、熱可塑性樹脂層が極大吸収波長が395nm超500nm以下の特定色素を含む場合、感光性層中の極大吸収波長が300~395nmの色素(なお、ここでいう色素には「酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素(例えば色素B)」は含まないのが好ましい。)を含まない態様が挙げられる。
【0373】
特定色素の含有量は、本発明の効果がより優れる点で、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、0.01~20.0質量%であるのが好ましく、0.05~15.0質量%であるのがより好ましく、1.0~10.0質量%であるのが更に好ましい。
【0374】
-熱可塑性樹脂層の各成分の含有量の好適態様-
熱可塑性樹脂層中の上記各成分の含有量の好適な一例としては、例えば、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、樹脂を20.0~90.0質量%、可塑剤を5.0~40.0質量%、化合物Cを0~10.0質量%、及び、特定色素を0.01~20.0質量%含む態様が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、樹脂を40.0~90.0質量%、可塑剤を5.0~40.0質量%、化合物Cを0~10.0質量%、及び、特定色素を0.01~20.0質量%含む態様が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、熱可塑性樹脂層の全質量に対して、樹脂を40.0~90.0質量%、可塑剤を5.0~40.0質量%、化合物Cを0~10.0質量%、及び、特定色素を1.0~10.0質量%含む態様が挙げられる。
【0375】
<感光性層>
第2実施形態の転写フィルムにおいて、感光性層は、特定色素を含んでいても、含んでいなくてもよい。
特定色素を含まない感光性層としては、感光性層が特定色素を含まないこと以外は、既述の第1実施形態の転写フィルムの感光性層と同じであり、好適態様も同じである。特定色素を含まない感光性層としては、なかでも、特定色素を含まない配合の既述の感光性層Aであるのが好ましい。
また、特定色素を含む感光性層としては、既述の第1実施形態の転写フィルムの感光性層と同じであり、好適態様も同じである。特定色素を含む感光性層としては、なかでも、既述の感光性層Aであるのが好ましい。
【0376】
-特定色素を含まない感光性層の各成分の含有量の好適態様-
以下、特定色素を含まない感光性層における各成分の含有量の好適態様について述べる。
特定色素を含まない感光性層は、樹脂、重合性化合物、及び重合開始剤を含むのが好ましく、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、及び、増感剤を含むのがより好ましく、樹脂、重合性化合物、重合開始剤、増感剤、及び、重合禁止剤を含むのが更に好ましい。
また、上記樹脂は、アルカリ可溶性樹脂を含むことも好ましい。
感光性層中の上記各成分の含有量の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、及び、重合開始剤を0.01~15.0質量%含む態様が挙げられる。
また、感光性層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、重合開始剤を0.01~10.0質量%、及び、増感剤を0.01~5.0質量%含む態様が挙げられる。
また、感光性層中の上記各成分の含有量の他の好適な一例としては、例えば、感光性層の全質量に対して、樹脂を10.0~90.0質量%、重合性化合物を5.0~70.0質量%、重合開始剤を0.01~10.0質量%、増感剤を0.01~5.0質量%、及び、重合禁止剤を0.001~0.5質量%含む態様が挙げられる。
【0377】
〔第2実施形態の転写フィルムの変形例〕
上段部において、熱可塑性樹脂層が特定色素を含む転写フィルムの一例として、第2実施形態の転写フィルムを挙げたが、感光性層が特定色素を含む形態の転写フィルムは上記構成に制限されない。
熱可塑性樹脂層が特定色素を含む転写フィルムの他の一例としては、仮支持体と、仮支持体側から順に、特定色素を含む熱可塑性樹脂層、中間層、及び、特定色素を含む感光性層の3層構成からなる組成物層と、保護フィルムとを、この順に有する転写フィルムが挙げられる。特定色素を含む感光性層としては、第1実施形態の転写フィルム中の感光性層を適用できる。
更に、第2実施形態の転写フィルムの変形例として挙げた上記転写フィルムにおいて、保護フィルムは含まれていなくてもよい。
【0378】
なお、第1実施形態および第2実施形態で述べた態様以外にも、組成物層中の中間層に特定色素が含まれる形態であってもよい。
【0379】
〔転写フィルムの製造方法〕
第1実施形態及び第2実施形態の転写フィルムの製造方法(以下「転写フィルムの製造方法」ともいう。)は特に制限されず、公知の方法を使用できる。
例えば、図3に示す転写フィルム30及び図4に示す転写フィルム40の製造方法としては、例えば、仮支持体の表面に熱可塑性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して熱可塑性樹脂層を形成する工程と、熱可塑性樹脂層の表面に水溶性樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して中間層を形成する工程と、中間層の表面に感光性層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、更にこの塗膜を乾燥して感光性層を形成する工程と、を含む方法が挙げられる。
【0380】
上述の製造方法により製造された積層体の感光性層上に、保護フィルムを圧着させることにより、図3に示す転写フィルム30及び図4に示す転写フィルム40が製造される。
また、図3に示す転写フィルム30及び図4に示す転写フィルム40を製造後に巻き取って、ロール形態の転写フィルムとして保管してもよい。ロール形態の転写フィルムは、後述するロールツーロール方式での基板との貼合工程にそのままの形態で提供できる。
【0381】
また、図3に示す転写フィルム30及び図4に示す転写フィルム40の製造方法としては、保護フィルム上に、感光性層及び中間層を形成した後、上記中間層の表面に熱可塑性樹脂層を形成する製造方法であってもよい。
【0382】
<熱可塑性樹脂組成物及び熱可塑性樹脂層の形成方法>
仮支持体上に熱可塑性樹脂層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、仮支持体上に熱可塑性樹脂組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
熱可塑性樹脂組成物としては、上述した熱可塑性樹脂層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した熱可塑性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。溶剤としては、後述する感光性組成物が含む溶剤と同様のものが挙げられ、好適態様も同じである。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~1,900質量部が好ましく、100~900質量部がより好ましい。
【0383】
熱可塑性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
【0384】
<水溶性樹脂組成物及び中間層(水溶性樹脂層)の形成方法>
熱可塑性樹脂層上に中間層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂層上に水溶性樹脂組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより形成できる。
水溶性樹脂組成物としては、上述した中間層(水溶性樹脂層)を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、水溶性樹脂組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した水溶性樹脂層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、水溶性樹脂を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、水及び水混和性の有機溶剤からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水又は水と水混和性の有機溶剤との混合溶剤がより好ましい。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、炭素数1~3のアルコール、アセトン、エチレングリコール、及びグリセリンが挙げられ、炭素数1~3のアルコールが好ましく、メタノール又はエタノールがより好ましい。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対して、50~2,500質量部が好ましく、50~1,900質量部がより好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
【0385】
水溶性樹脂層の形成方法は、上記の成分を含む層を形成可能な方法であれば特に制限されず、例えば、公知の塗布方法(スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、及びインクジェット塗布等)が挙げられる。
【0386】
<感光性層形成用組成物及び感光性層の形成方法>
中間層上に感光性層を形成する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、中間層上に感光性層形成用組成物を塗布し、そして、必要に応じて乾燥させることにより感光性層を形成できる。
感光性層形成用組成物としては、上述した感光性層を形成する各種成分と溶剤とを含むのが好ましい。なお、感光性層形成用組成物において、組成物の全固形分に対する各成分の含有量の好適範囲は、上述した感光性層の全質量に対する各成分の含有量の好適範囲と同じである。
溶剤としては、溶剤以外の各成分を溶解又は分散可能であれば特に制限されず、公知の溶剤を使用できる。具体的には、例えば、アルキレングリコールエーテル溶剤、アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤、アルコール溶剤(メタノール及びエタノール等)、ケトン溶剤(アセトン及びメチルエチルケトン等)、芳香族炭化水素溶剤(トルエン等)、非プロトン性極性溶剤(N,N-ジメチルホルムアミド等)、環状エーテル溶剤(テトラヒドロフラン等)、エステル溶剤(酢酸nプロピル等)、アミド溶剤、ラクトン溶剤、並びにこれらの2種以上を含む混合溶剤が挙げられる。
【0387】
溶剤としては、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種と、ケトン溶剤及び環状エーテル溶剤からなる群より選択される少なくとも1種とを含む混合溶剤がより好ましく、アルキレングリコールエーテル溶剤及びアルキレングリコールエーテルアセテート溶剤からなる群より選択される少なくとも1種、ケトン溶剤、並びに、環状エーテル溶剤の3種を少なくとも含む混合溶剤が更に好ましい。
【0388】
アルキレングリコールエーテル溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル、及びジプロピレングリコールジアルキルエーテルが挙げられる。
アルキレングリコールエーテルアセテート溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートが挙げられる。
溶剤としては、国際公開第2018/179640号の段落[0092]~[0094]に記載された溶剤、及び特開2018-177889公報の段落[0014]に記載された溶剤を用いてもよく、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
溶剤を、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
溶剤の含有量は、組成物の全固形分100質量部に対し、50~1,900質量部が好ましく、100~1200質量部が更に好ましく、100~900質量部が更に好ましい。
【0389】
感光性層形成用組成物の塗布方法としては、例えば、印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート法、カーテンコート法、スピンコート法、及び、ダイコート法(すなわち、スリットコート法)が挙げられる。
【0390】
感光性層形成用組成物の塗膜の乾燥方法としては、加熱乾燥及び減圧乾燥が好ましい。
【0391】
更に、保護フィルムを感光性層に貼り合わせることにより、第1実施形態及び第2実施形態の転写フィルムを製造できる。
保護フィルムを感光性層に貼り合わせる方法は特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
保護フィルムを感光性組成物層に貼り合わせる装置としては、真空ラミネーター、及び、オートカットラミネーター等の公知のラミネーターが挙げられる。
ラミネーターはゴムローラー等の任意の加熱可能なローラーを備え、加圧及び加熱ができるものであることが好ましい。
【0392】
転写フィルムの製造方法において、仮支持体と感光性層の間に中間層Aを有する場合、中間層Aの形成方法としては、既述の<水溶性樹脂組成物及び中間層(水溶性樹脂層)の形成方法>と同様の方法により実施できる。
【0393】
〔転写フィルムの用途〕
本発明の転写フィルムは、透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材(透明導電層付き基材)に適用される。
以下、透明導電層付き基材について説明する。
【0394】
<透明基材>
透明導電層付き基材は、透明基材を有する。
透明基材の材料としては、例えば、樹脂材料及び無機材料が挙げられる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート)、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、及びポリカーボネート等が挙げられる。
無機材料としては、例えば、ガラス及び石英等が挙げられる。
【0395】
透明基材は、樹脂フィルムであるのが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、又はシクロオレフィンポリマーフィルムであるのが好ましい。
【0396】
透明基材の厚さは、特に制限されない。透明基材の平均厚さとしては、搬送性、電気特性、及び製膜性の点で、10~100μmであるのが好ましく、10~60μmであるのがより好ましい。透明基材の平均厚さは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、透明基材の面内方向に対して垂直方向の断面を観察することによって測定される、10箇所の厚さの平均値とする。
【0397】
<透明導電層>
透明導電層付き基材は、上記透明基材の両面に配置された透明導電層を有する。つまり、透明導電層付き基材は、図1に示したように、透明基材の2つの対向する表面に、第1透明導電層及び第2透明導電層を有する。
【0398】
透明導電層の体積抵抗率としては、1×10Ωcm未満であるのが好ましく、1×10Ωcm未満であるのがより好ましい。なお、下限値としては、1Ωcm以上である。体積抵抗率は、公知の抵抗率計(例えば、抵抗測定器EC-80P、ナプソン株式会社製)を用いて測定する。
【0399】
透明導電層は、金属ナノワイヤ及び金属ナノ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。
金属ナノ粒子としては、例えば、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、金ナノ粒子、及び白金ナノ粒子等の金属ナノ粒子が挙げられる。金属ナノワイヤとしては、例えば、銀ナノワイヤ、銅ナノワイヤ、金ナノワイヤ、及び白金ナノワイヤ等が挙げられ、透明性がより優れる点で、銀ナノ粒子又は銀ナノワイヤが好ましい。
【0400】
透明導電層の厚さは、特に制限されない。透明導電層の平均厚さは、導電性及び製膜性がより優れる点で、0.001~1,000μmであるのが好ましく、0.005~15μmであるのがより好ましく、0.01~10μmであるのが更に好ましい。透明導電層の平均厚さは、上記透明基材の平均厚さの測定方法に準ずる方法により測定する。
【0401】
透明導電層は、透明基材の全体に配置されていてもよいし、又は透明基材の一部に配置されていてもよい。
【0402】
また、透明導電層付き基材は、例えば、透明導電層の保護、電気特性制御、及び、透明導電層へ転写フィルムを貼合した後の透明導電層と転写フィルムとの密着性制御を目的として、透明導電層の透明基材側とは反対面に、更に他の層を有していてもよい。
上記他の層としては特に制限されない。他の層としては、有機物で構成された層、無機物で構成された層、有機物のマトリクス中に無機物が分散した層、及び無機物のマトリックス中に有機物が分散した層等のいずれであってもよい。
【0403】
(透明導電層付き基材の形成方法)
透明導電層付き基材の形成方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。
透明導電層付き基材の形成方法としては、透明基材上に、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びめっき等によって透明導電層を形成する方法が挙げられる。
なお、透明導電層付き基材が、第透明導電層の透明基材側とは反対面に更に他の層を有する場合、他の層の形成方法としては、例えば、塗布、真空蒸着、スパッタリング、及びラミネート等の公知の方法が挙げられる。
【0404】
[積層体]
本発明の積層体は、透明基材と上記透明基材の両面に配置された透明導電層とを有する透明導電層付き基材と、上記透明導電層付き基材の両面に貼合された転写フィルムとを有する。
積層体が有する透明導電層付き基材としては、上段部で説明した透明導電層付き基材と同義であり、好適態様も同じである。
また、積層体が有する転写フィルムとしては、上段部で説明した本発明の転写フィルムが該当する。
【0405】
積層体は、透明導電層付き基材に本発明の転写フィルムを貼合して形成される。貼合の際、転写フィルム中の保護フィルムを剥離してから、保護フィルムの剥離により露出する面と透明導電層付き基材の透明導電層とを貼り合せるのが好ましい。また、貼合後、転写フィルム中の仮支持体を剥離してもよい。換言すると、積層体は、仮支持体を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0406】
積層体の具体的な一例としては、例えば、図1及び図2に示す積層体20が挙げられる。
【0407】
積層体中の一方の転写フィルムにおいて、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、特定色素の極大吸収波長が395nm超500nm以下であり、他方の転写フィルムにおいて感光性層の最大感度波長が395nm超500nm以下であり、特定色素の極大吸収波長が300~395nmであるのが好ましく、感光性層の最大感度波長が300~395nmであり、特定色素の極大吸収波長が410~500nmであり、他方の転写フィルムにおいて感光性層の最大感度波長が410~500nmであり、特定色素の極大吸収波長が300~395nmであるのがより好ましい。
【0408】
[パターン形成方法]
本発明のパターン形成方法は、
本発明の積層体中の転写フィルムに対して露光処理及び現像処理を実施して、パターンを形成する方法であって、
上記積層体中の一方の転写フィルム中の感光性層(以下「第1感光性層」ともいう。)を露光する、第1露光工程と、
上記積層体中の他方の転写フィルム中の感光性層(以下「第2感光性層」ともいう。)を露光する、第2露光工程と、
上記第1露光工程を経て露光された第1感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第1現像工程と、
上記第2露光工程を経て露光された第2感光性層を現像して樹脂パターンを形成する、第2現像工程と、を含む。
【0409】
本発明のパターン形成方法としては、なかでも、上記第1露光工程における露光波長の主波長λと、上記第2露光工程における露光波長の主波長λとが異なる(言い換えれば、λ≠λの関係を満たす)のが好ましい。
【0410】
以下、本発明のパターン形成方法の各工程について具体的に説明する。
なお、本発明のパターン形成方法において、本発明の積層体及びその好適態様としては、既述のとおりである。
【0411】
〔第1露光工程〕
第1露光工程により露光された第1感光性層は、露光部と未露光部との間で、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第1感光性層がポジ型感光性層である場合、第1感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。一方で、例えば、第1感光性層がネガ型感光性層である場合、第1感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
【0412】
第1感光性層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第1感光性層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第1感光性層をパターン状に露光できる。第1感光性層をパターン露光することで、第1感光性層において露光部及び未露光部を形成できる。
【0413】
第1露光工程においては、第1感光性層とフォトマスクとを接触させて露光するのが好ましい。第1感光性層とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」という。)により、解像性を向上できる。
【0414】
また、第1露光工程においては、上記のコンタクト露光以外に、プロキシミティ露光方式、レンズ系若しくはミラー系のプロジェクション露光方式、又は露光レーザー等を用いたダイレクト露光方式を適宜選択して用いてもよい。レンズ系のプロジェクション露光方式の場合、必要な解像力及び焦点深度に応じて、適当なレンズの開口数(NA)を有する露光機を使用できる。ダイレクト露光方式の場合は、直接感光性層に描画を行ってもよいし、レンズを介して感光性層に縮小投影露光をしてもよい。また、露光は大気下で行うだけでなく、減圧又は真空下で行ってもよく、また、光源と感光性層の間に水等の液体を介在させて露光してもよい。
【0415】
第1感光性層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して第1感光性層を露光してもよく、第1感光性層から仮支持体を除去した後で第1感光性層を露光してもよい。コンタクト露光によって第1感光性層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第1感光性層を露光するのが好ましい。仮支持体を介して第1感光性層を露光した場合、仮支持体を除去した後、後述する第1現像工程を行うのが好ましい。
【0416】
仮支持体を介して第1感光性層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであるのが好ましい。
【0417】
露光の光源としては、現像液に対する第1感光性層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm又は436nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
【0418】
第1露光工程における露光波長の主波長λは、第2露光工程における露光波長の主波長λと同じであってもよいし、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。
第1露光工程における露光波長の主波長λは、例えば、10~450nmの波長域において決定すればよい。主波長λは、例えば、300~400nm又は370~450nmの範囲内であるのが好ましく、300~380nm又は390~450nmの範囲内であるのがより好ましい。
【0419】
第1露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。本明細書において「波長365nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値(すなわち主波長の強度をいう。以下同じ。)を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0420】
第1露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第1露光工程における露光波長は、370~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが好ましく、390~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、420~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが特に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限は特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0421】
第1露光工程における露光波長は、波長436nmを含まないこともまた好ましい。
本明細書において「波長436nmを含まない」とは、露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であることを意味する。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0422】
第1露光工程における露光波長が波長436nmを含まない場合、第1露光工程における露光波長は、300~400nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのが好ましく、300~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、350~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのが特に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0423】
第1露光工程における露光波長の一実施形態として、波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(1-1)」という。)、又は波長436nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(1-2)」という。)であるのが好ましい。条件(1-1)において波長365nmの強度を100%とした場合、波長436nmの強度は、80%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましく、5%以下であるのが最も好ましい。条件(1-1)における波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。条件(1-1)において波長365nmの強度を100%とした場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。一方、条件(1-2)において波長436nmの強度を100%とした場合、波長365nmの強度は、80%以下であるのが好ましく、50%以下であるのがより好ましく、20%以下であるのが更に好ましく、10%以下であるのが特に好ましく、5%以下であるのが最も好ましい。条件(1-2)における波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。条件(1-2)において波長436nmの強度を100%とした場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0424】
第1露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び、特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第1感光性層を露光することで、第1感光性層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。
【0425】
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
【0426】
第1露光工程においては、フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」ということもある。)、例えば、直接描画装置を用いて第1感光性層を露光できる。
直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことが可能である。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー等)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)等が挙げられる。マスクレス露光における露光波長の主波長λは、第2露光工程における露光波長の主波長λと同じであっても、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。
露光波長の好ましい範囲は、既述のとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
【0427】
〔第2露光工程〕
第2露光工程により露光された第2感光性層は、露光部と未露光部との間で、現像液に対する溶解性が変化する。例えば、第2感光性層がポジ型感光性層である場合、第2感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が増大する。一方で、例えば、第2感光性層がネガ型感光性層である場合、第2感光性層の露光部は、未露光部に比べて、現像液に対する溶解性が低下する。
【0428】
第2感光性層を露光する方法としては、例えば、フォトマスクを用いる方法が挙げられる。例えば、第2感光性層と光源との間にフォトマスクを配置することで、フォトマスクを介して第2感光性層をパターン状に露光できる。第2感光性層をパターン露光することで、第2感光性層において露光部及び未露光部を形成できる。
【0429】
第2露光工程においては、積層体とフォトマスクとを接触させて露光するのが好ましい。積層体とフォトマスクとを接触させて露光する方式(「コンタクト露光」とも称される。)により、解像性を向上できる。
【0430】
第2感光性層上に仮支持体が配置されている場合、仮支持体を介して第2感光性層を露光してもよく、第2感光性層から仮支持体を除去した後で第2感光性層を露光してもよい。コンタクト露光によって第2感光性層を露光する場合、フォトマスクの汚染及びフォトマスクに付着した異物による露光への影響を避ける観点から、仮支持体を介して第2感光性層を露光するのが好ましい。仮支持体を介して第2感光性層を露光した場合、仮支持体を除去した後、後述する第2現像工程を行うのが好ましい。
【0431】
仮支持体を介して第2感光性層を露光する場合に用いられる仮支持体は、露光の際に照射される光を透過可能なフィルムであるのが好ましい。
【0432】
露光の光源としては、現像液に対する第2感光性層の溶解性を変化し得る波長域(例えば、365nm又は436nm)の光を照射できる光源であれば制限されない。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
【0433】
第2露光工程における露光波長の主波長λは、既述のとおり、第1露光工程における露光波長の主波長λと同じであってもよいし、異なっていてもよいが、異なっているのが好ましい。第2露光工程における露光波長の主波長λは、例えば、10~410nmの波長域において決定すればよい。主波長λは、例えば、300~400nm又は370~450nmの範囲内であるのが好ましく、300~380nm又は390~450nmの範囲内であるのがより好ましい。例えば、第1露光工程における主波長λが300~400nm(好ましくは300~380nm)の範囲内である場合、第2露光工程における主波長λは370~450nm(好ましくは390~450nm)の範囲内であるのが好ましい。例えば、第1露光工程における主波長λが370~450nm(好ましくは390~450nm)の範囲内である場合、第2露光工程における主波長λは300~400nm(好ましくは300~380nm)の範囲内であるのが好ましい。
【0434】
第1露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第2露光工程における露光波長は、波長436nmを含まないのが好ましい。第1露光工程及び第2露光工程において上記のような露光波長を採用することで、各感光性層をより選択的に露光できる。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0435】
第2露光工程における露光波長が波長436nmを含まない場合、第2露光工程における露光波長は、300~400nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのが好ましく、300~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、350~380nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度が30%以下であるのが特に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長436nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0436】
第1露光工程における露光波長が波長436nmを含まない場合、第2露光工程における露光波長は、波長365nmを含まないのが好ましい。第1露光工程及び第2露光工程において上記のような露光波長を採用することで、感光性層をより選択的に露光できる。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。露光波長全域における強度の最大値を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0437】
第2露光工程における露光波長が波長365nmを含まない場合、第2露光工程における露光波長は、370~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが好ましく、390~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのがより好ましく、420~450nmの波長域に主波長を含み、且つ、上記主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度が30%以下であるのが更に好ましい。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、20%以下であるのが好ましく、10%以下であるのがより好ましく、5%以下であるのが更に好ましく、3%以下であるのが特に好ましく、1%以下であるのが最も好ましい。波長365nmの強度の下限としては、特に制限されない。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は、例えば、0%以上である。
【0438】
第1露光工程における露光波長が「波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光波長」である場合、第2露光工程における露光波長は、波長436nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(2-1)」という。)であるのが好ましい。条件(2-1)の好ましい態様は、上記「第1露光工程」の項で説明した条件(1-2)の好ましい態様と同様である。一方、第1露光工程における露光波長が「波長436nmの強度が波長365nmの強度よりも大きい露光波長」である場合、第2露光工程における露光波長は、波長365nmの強度が波長436nmの強度よりも大きい露光波長(以下、本段落において「条件(2-2)」という。)であるのが好ましい。条件(2-2)の好ましい態様は、上記「第1露光工程」の項で説明した条件(1-1)の好ましい態様と同様である。
【0439】
第2露光工程における露光波長を調節する方法としては、例えば、波長選択性を有するフィルターを用いる方法、及び特定の波長を有する光を照射可能な光源を用いる方法が挙げられる。例えば、波長選択性を有するフィルターを介して第2感光性層を露光することで、第2感光性層に到達する光の波長を特定の範囲に調節できる。
【0440】
露光量は、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~500mJ/cmであるのがより好ましく、10~200mJ/cmであるのが更に好ましい。露光量は、光源照度、及び露光時間に基づいて決定される。また、露光量は、光量計を用いて測定してもよい。
【0441】
なかでも、上記主波長λ及び上記主波長λは、以下の態様であるのが好ましい。
上記主波長λは、露光かぶり抑制の観点から、250nm以上395nm以下の範囲であるのが好ましく、335nm以上395nm以下の範囲であるのがより好ましい。
上記主波長λは、露光かぶり抑制の観点から、395nmを超え500nm以下の範囲であるのが好ましく、396nm以上456nm以下の範囲であるのがより好ましい。
また、露光かぶり抑制の観点から、上記主波長λは、250nm以上395nm以下の範囲であり、かつ上記主波長λは、395nmを超え500nm以下の範囲であるのが更に好ましく、上記主波長λは、335nm以上395nm以下の範囲であり、かつ上記主波長λは、396nm以上456nm以下の範囲であるのが特に好ましい。
【0442】
本発明のパターン形成方法において、第1露光工程における露光量、及び第2露光工程における露光量は、同じであっても異なっていてもよい。
【0443】
第2露光工程においては、フォトマスクを用いずに第2感光性層を露光してもよい。フォトマスクを用いずに第1感光性層を露光する場合(以下、「マスクレス露光」という場合がある。)、例えば、直接描画装置を用いて第1感光性層を露光することができる。直接描画装置は、活性エネルギー線を用いて直接画像を描くことができる。マスクレス露光における光源としては、例えば、波長350~410nmの光を照射可能な、レーザー(例えば、半導体レーザー、ガスレーザー、及び固体レーザー)、及び水銀ショートアークランプ(例えば、超高圧水銀灯)が挙げられる。マスクレス露光における露光波長の主波長λは、第1露光工程における露光波長の主波長λと異なっていれば制限されない。露光波長の好ましい範囲は、上記したとおりである。露光量は、光源照度、及び積層体の移動速度に基づいて決定される。描画パターンは、コンピュータによって制御できる。
【0444】
本発明のパターン形成方法において、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1露光工程及び第2露光工程の実施順序としては、第1露光工程→第2露光工程の順に実施されてもよいし、第2露光工程→第1露光工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
【0445】
本明細書において、「第1露光工程及び第2露光工程が、同時に行われる」とは、第1感光性層の露光と第2感光性層の露光が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1感光性層を露光する期間と第2感光性層を露光する期間とが重複する場合を含む。
【0446】
また、「第1露光工程及び第2露光工程が、逐次に行われる」とは、第1感光性層を露光する期間と第2感光性層を露光する期間とが重複しない範囲で、第1感光性層及び第2感光性層をそれぞれ露光することを意味する。
【0447】
〔第1現像工程〕
本発明のパターン形成方法は、露光された第1感光性層を現像して第1樹脂パターンを形成する工程(第1現像工程)を含む。第1現像工程において、例えば、露光された第1感光性層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第1樹脂パターンを形成できる。
【0448】
現像方法としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、現像液を用いて、第1感光性層を現像できる。
現像液としては、特に制限されず、公知の現像液を利用できる。現像液としては、例えば、特開平5-072724号公報に記載された現像液が挙げられる。好ましい現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載された現像液が挙げられる。
現像液は、pKaが7~13の化合物を含むアルカリ水溶液系の現像液であるのが好ましい。上記アルカリ水溶液系の現像液において、pKaが7~13の化合物の濃度は、0.05~5mol/Lであるのが好ましい。
現像液は、上記以外の成分として、例えば、水と混和性を有する有機溶剤、及び界面活性剤を含んでいてもよい。
現像液の温度は、20~40℃であるのが好ましい。
現像方式としては、特に制限されず、公知の方法を利用できる。現像方式としては、例えば、パドル現像、シャワー現像、シャワー、及びスピン現像、並びにディップ現像が挙げられる。
【0449】
第1現像工程は、第1樹脂パターンを加熱処理(「ポストベーク」ともいう。)する工程を含んでいてもよい。
加熱処理は、8.1~121.6kPaの環境下で行うのが好ましく、8.1~114.6kPaの環境下で行うのがより好ましく、8.1~101.3kPaの環境下で行うのが更に好ましい。
加熱処理の温度は、20~250℃であるのが好ましく、30~170℃であるのがより好ましく、50~150℃であるのが更に好ましい。
加熱処理の時間は、1~30分であるのが好ましく、2~10分であるのがより好ましく、2~4分であるのが更に好ましい。
加熱処理は、空気環境下で行ってもよく、窒素置換環境下で行ってもよい。
【0450】
〔第2現像工程〕
本発明のパターン形成方法は、露光された第2感光性層を現像して第2樹脂パターンを形成する工程(第2現像工程)を含む。第2現像工程において、例えば、露光された第2感光性層のうち現像液に対する溶解性が相対的に大きい部分を除去することで、第2樹脂パターンを形成できる。
第2現像工程の具体的な実施形態としては既述の第1現像工程と同じであり、また好適態様も同じである。
【0451】
本発明のパターン形成方法において、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。第1現像工程及び第2現像工程の実施順序としては、第1現像工程→第2現像工程の順に実施されてもよいし、第2現像工程→第1現像工程の順に実施されてもよい。生産性がより向上する点で、第1現像工程及び第2現像工程は、同時に行われるのが好ましい。
【0452】
本明細書において、「第1現像工程及び第2現像工程が、同時に行われる」とは、第1感光性層の現像と第2感光性層の現像が完全に同時に行われる場合に制限されず、第1感光性層を現像する期間と第2感光性層を現像する期間とが重複する場合を含む。
【0453】
また、「第1現像工程及び第2現像工程が、逐次に行われる」とは、第1感光性層を現像する期間と第2感光性層を現像する期間とが重複しない範囲で、第1感光性層及び第2感光性層をそれぞれ露光することを意味する。
【0454】
パターン形成方法の好適な一実施形態としては、第1露光工程及び第2露光工程が同時に行われ、且つ、第1現像工程及び第2現像工程が同時に行われる実施形態が挙げられる。上記実施形態によれば、露光後から現像開始までの時間及び環境を同一にできるため、製品品質を安定にすることが容易となるほか、工程長を短くでき、プロセスコストを削減できる。
また、パターン形成方法の好適な他の実施形態としては、第1露光工程及び第2露光工程が逐次に行われ、又は、第1現像工程及び第2現像工程が逐次に行われるのが好ましい。例えば、第1感光性層及び第2感光性層に関して露光後の反応進行速度が大幅に異なる場合、又は、異なる露光光源を感光性層から離して配置する必要がある場合、第1露光工程及び第2露光工程は逐次に行われるのが好ましい。また、例えば、第1感光性層の現像に使用される現像液と第2感光性層の現像に使用される現像液とが異なる場合には、第1現像工程及び第2現像工程は逐次に行われるのが好ましい。
【0455】
〔エッチング工程〕
パターン形成方法は、現像工程後に、エッチング工程を有しているのも好ましい。
エッチング工程は、第1樹脂パターンをマスクとして用いて第1透明導電層をエッチングする工程及び第2樹脂パターンをマスクとして用いて第2透明導電層をエッチングする工程の少なくとも一方を実施する工程である。
エッチング工程を経ることで、透明基材上に、第1透明導電層のパターン及び/又は第2透明導電層のパターンを形成できる。
【0456】
エッチングとしては、例えば、ドライエッチング及びウェットエッチングが挙げられる。エッチングは、真空プロセスが不要であり、そしてプロセスが簡便であることから、ウェットエッチングであるのが好ましい。エッチングとしては、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054に記載された方法も挙げられる。
【0457】
ウェットエッチングにおいて用いられるエッチング液としては、例えば、酸性タイプのエッチング液及びアルカリ性タイプのエッチング液が挙げられる。
【0458】
酸性タイプのエッチング液としては、例えば、酸性成分(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸、及びリン酸)を含む水溶液、及び、酸性成分と塩(例えば、塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、硝酸鉄、及び過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
酸性タイプのエッチング液は、酸性成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、酸性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0459】
アルカリ性タイプのエッチング液としては、例えば、アルカリ成分〔例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、及び有機アミンの塩(例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド〕を含む水溶液、及びアルカリ成分と塩(例えば、過マンガン酸カリウム)とを含む水溶液が挙げられる。
アルカリ性タイプのエッチング液は、アルカリ成分が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。また、アルカリ性タイプのエッチング液は、塩が1種単独で含まれていても、2種以上含まれていてもよい。
【0460】
エッチング液は、エッチングレートの制御の観点から、防錆剤を含んでいてもよい。防錆剤としては、例えば、含窒素含有化合物(例えば、トリアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、及びテトラゾール系化合物等)が挙げられる。
エッチング液の温度は、45℃以下であるのが好ましい。
【0461】
本発明のパターン形成方法において、マスクとして用いられる第1樹脂パターン及びマスクとして用いられる第2樹脂パターンは、エッチング耐性がより優れる点で、60℃以下のエッチング液に対する耐性が優れているのが好ましい。
【0462】
エッチング工程において、第1透明導電層及び第2透明導電層のエッチング処理は、同時に行われてもよいし、又は、逐次に行われてもよい。生産性がより向上する点で、第1露光工程及び第2露光工程は、同時に行われるのが好ましい。
【0463】
〔洗浄工程及び乾燥工程〕
本発明のパターン形成方法は、工程ラインの汚染を防ぐ観点から、上記エッチング工程後に、必要に応じて、洗浄工程及び乾燥工程を含んでいてもよい。
【0464】
洗浄工程の具体的な一例としては、常温(例えば、25℃)で純水を使用して、積層体を洗浄する方法が挙げられる。洗浄時間は、例えば、10~300秒の範囲で適宜設定できる。
乾燥工程の具体的な一例としては、エアブローを使用して積層体を乾燥する方法が挙げられる。エアブロー圧は、0.1~5kg/cmであるのが好ましい。
【0465】
〔全面露光工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を全面露光する工程(以下「全面露光工程」ともいう。)を含んでいてもよい。全面露光工程は、後述する除去工程の前に実施されるのが好ましい。本発明のパターン形成方法が全面露光工程を含むことで、現像後に残存したパターンの反応度を更に向上できる、及び/又は、後述する除去工程における樹脂パターンの除去性を向上できる効果を有する。
例えば、ポジ型感光性層により形成された樹脂パターンは、全面露光工程によって、後述する除去工程における除去性が更に向上する。一方で、ネガ型感光性層により形成された樹脂パターンは、全面露光工程によって、硬化が更に進みプロセスに対する樹脂パターンの耐性が向上する。
なお、「全面露光」とは、透明導電層付き基材上の第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンが配置された領域を露光することを意図する。透明導電層付き基材上の第1樹脂パターンが配置されていない領域、及び、透明導電層付き基材上の第2樹脂パターンが配置されていない領域は、露光されてもよいし、露光されなくてもよい。簡便性がより優れる点で、透明導電層付き基材上の全面が露光されるのが好ましい。
【0466】
露光の光源としては、特に制限されず、公知の光源を利用できる。露光の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
露光波長は、除去性の観点から、波長365nm又は波長436nmを含むのが好ましい。
露光量は、除去性の観点から、5~1,000mJ/cmであるのが好ましく、10~800mJ/cmであるのがより好ましく、100~500mJ/cmであるのが更に好ましい。
露光量は、除去性の観点から、第1露光工程及び第2露光工程の少なくとも一方の工程における露光量以上であるのが好ましく、第1露光工程及び第2露光工程の少なくとも一方の工程における露光量よりも大きいことがより好ましい。
露光照度は、5~25,000mW/cmであるのが好ましく、20~20,000mW/cmであるのがより好ましく、30~15,000mW/cmであるのが更に好ましい。照度を大きくすることで全面露光に要する時間が短縮される。
【0467】
〔加熱工程〕
本発明のパターン形成方法は、全面露光工程の間、全面露光工程の実施前、及び、後述する除去工程の実施前の少なくとも一方において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を加熱する工程(以下「加熱工程」ともいう。)を含んでいてもよい。
本発明のパターン形成方法が加熱工程を含むことで、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの除去を容易に行うことができる。例えば、ポジ型感光性層により形成された樹脂パターンにおいては、光酸発生剤の反応速度、及び、発生酸とポジ型感光性組成物との反応速度を向上できるため、除去性能を向上できる。
【0468】
加熱装置としては、特に制限されず、公知の加熱装置を利用できる。加熱装置としては、例えば、赤外線ヒーター、ホットブロワー、及びコンベクションオーブンが挙げられる。
加熱温度は、除去性の観点から、30~100℃であるのが好ましく、30~80℃であるのがより好ましく、30~60℃であるのが特に好ましい。
加熱時間は、除去性の観点から、1~600秒であるのが好ましく、1~120秒であるのがより好ましく、5~60秒であるのが特に好ましい。ここで、「加熱時間」とは、透明導電層付き基材表面が設定温度に到達した時から起算した時間を意味し、昇温中の時間は含まない。
加熱雰囲気は、空気(相対湿度:10~90%RH)であるのが好ましい。加熱雰囲気は、不活性ガス(例えば、窒素及びアルゴン)であってもよい。
圧力は、常圧であるのが好ましい。
【0469】
透明導電層付き基材上に多量の水が付着しているような場合、上記加熱工程の前及び加熱工程中の少なくとも一方において、加熱効率を高める観点から、エアナイフ等で余分な水を吹き飛ばす工程を組み合わせてもよい。
【0470】
〔除去工程〕
本発明のパターン形成方法は、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンの少なくとも一方を除去する工程(以下「除去工程」といもいう。)を含んでいてもよい。なお、以下において、第1樹脂パターン及び第2樹脂パターンを「樹脂パターン」と総称する場合もある。
【0471】
樹脂パターンを除去する方法としては、例えば、除去液等の薬品を使用する方法が挙げられ、具体的な一例として、積層体を除去液に浸漬する方法が挙げられる。
除去液としては、樹脂パターンを溶解又は分散可能なものが好ましい。
除去液の温度は、30~80℃であるのが好ましく、50~80℃であるのがより好ましい。
除去液への浸漬時間は、1~30分間であるのが好ましい。
【0472】
除去液は、除去性がより向上する点で、水を含むのが好ましい。
除去液中の水の含有量が、30質量%以上であるのが好ましく、50質量%以上であるのがより好ましく、70質量%以上であるのが更に好ましい。
【0473】
除去液としては、無機アルカリ成分又は有機アルカリ成分を含むのが好ましい。
無機アルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。有機アルカリ成分としては、例えば、第1級~第3級のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩化合物が挙げられる。
除去液としては、なかでも、除去性がより向上する点で、有機アルカリ成分を含むのがより好ましい。除去液中の有機アルカリ成分の含有量としては、除去性がより優れる点で、除去液の全質量に対して、0.01~20質量%であるのが好ましく、0.1~10質量%であるのがより好ましい。
【0474】
除去液は、除去性の観点から、界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤としては、特に制限されず、公知の界面活性剤を利用できる。
界面活性剤の含有量は、除去性の観点から、除去液の全質量に対して、0.1~10質量%であるのが好ましい。
【0475】
除去液は、水溶性有機溶剤を含むのも好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド、低級アルコール、グリコールエーテル、及びN-メチルピロリドンが挙げられる。
【0476】
除去工程において除去液と樹脂パターンとを接触させる方法としては、例えば、スプレー法、シャワー法、及びパドル法が挙げられる。
【0477】
除去液としては、特開平11-021483号公報、特開2002-129067号公報、特開平07-028254号公報、特開2001-188363号公報、特開平04-048633号公報、及び特許第5318773号公報に記載された剥離液を適用することもできる。
【0478】
第1樹脂パターンの除去及び第2樹脂パターンの除去は、同時に行われても逐次に行われてもよい。第1樹脂パターンの除去、及び第2樹脂パターンの除去は、生産性の観点から、同時に行われるのが好ましい。
【0479】
〔ロールツーロール方式〕
本発明のパターン形成方法は、ロールツーロール方式により実施されるのが好ましい。
ロールツーロール方式としては、特に制限されず、公知のロールツーロール方式を利用できる。例えば、本発明のパターン形成方法において、少なくとも1つの工程の前後に、少なくとも積層体を巻き出す工程及び少なくとも積層体を巻き取る工程をそれぞれ設けることで、積層体を搬送しながら加工できる。
【0480】
〔他の工程〕
本発明のパターン形成方法は、上記以外の工程を含んでいてもよい。上記以外の工程としては、例えば、以下の工程が挙げられる。
【0481】
(可視光線反射率を低下させる工程)
本発明のパターン形成方法は、第1透明導電層及び第2透明導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
【0482】
可視光線反射率を低下させる処理としては、例えば、酸化処理が挙げられる。例えば、第1透明導電層及び第2透明導電層が銅を含む場合、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、第1透明導電層及び第2透明導電層の可視光線反射率を低下させることができる。
【0483】
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048、及び段落0058に記載があり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0484】
[回路基板の製造方法]
本発明の回路基板の製造方法は、本発明のパターン形成方法を含む。
なお、本発明のパターン形成方法は、既述のとおりである。
回路基板としては、例えば、プリント配線板及びタッチパネルセンサーが挙げられる。
【実施例0485】
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、及び「%」は質量基準である。
【0486】
[略号]
次の略号は、それぞれ、以下の化合物を表す。
(バインダー)
「AA-1」:スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸メチルの共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度:30.0質量%、各モノマーの比率:52質量%/29質量%/19質量%、Mw:70,000)
「AA-3」:ベンジルメタクリレート、メタクリル酸、及びアクリル酸の共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分濃度:40.0質量%、Mw:13,000、各モノマーの比率:78質量%/14.5質量%/7.5質量%酸価:153mgKOH/g)
【0487】
(重合性化合物/可塑剤)
「AB-1」:BPE-500(エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製)
「AB-3」:NKエステルA-DCP(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、新中村化学工業株式会社製)
「AB-4」:8UX-015A(多官能ウレタン(メタ)アクリレート、大成ファインケミカル株式会社製)
「AB-5」:アロニックスTO-2349(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸誘導体との混合物、東亞合成株式会社製)
「AB-7」:NKエステルA-HD-N(1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、新中村化学工業株式会社製)
「AB-8」:NKエステルHD-N(1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学工業株式会社製)
【0488】
(開始剤/光酸発生剤)
「AC-1」:B-CIM(重合開始剤、黒金化成株式会社製)
「AC-11」:下記に示す構造の化合物(光酸発生剤、特開2013-047765号公報の段落0227に記載の方法に従って合成した化合物)
【0489】
【化25】
【0490】
(増感剤)
「AC-5」:クマリン7(東京化成工業株式会社製)
「AC-6」:4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(東京化成工業株式会社製)
「AC-10」:3-アセチル-7-(ジエチルアミノ)クマリン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
【0491】
(重合禁止剤)
「AD-1」:TDP-G(川口化学工業株式会社製)
「AD-2」:1-フェニル-3-ピラゾリドン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
「AD-3」:N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)
【0492】
(色素類(酸、塩基又はラジカルによって極大吸収波長が変化する色素を除く))
「AE-3」:ソルベントイエロー56(東京化成工業株式会社製、436nmの光を吸収する物質)
「AE-8」:ジエチルアミノ-フェニルスルホニル系紫外線吸収剤(大東化学株式会社製、365nmの光を吸収する物質)
「AE-15」:Bonasorb UA3911(オリエント化学社製、405nmの光を吸収する物質)
「AE-16」:Bonasorb UA3912(オリエント化学社製、405nmの光を吸収する物質)
「AE-17」:FDB-009(山田化学工業社製、405nmの光を吸収する物質)
「AE-18」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0493】
【化26】
【0494】
「AE-19」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0495】
【化27】
【0496】
「AE-20」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0497】
【化28】
【0498】
「AE-21」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0499】
【化29】
【0500】
「AE-22」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0501】
【化30】
【0502】
「AE-23」:下記構造式で表される化合物(405nmの光を吸収する物質)
【0503】
【化31】
【0504】
(その他添加剤)
「AE-1」:ロイコクリスタルバイオレット(東京化成工業株式会社製)
「AE-2」:N-フェニルカルバモイルメチル-N-カルボキシメチルアニリン(富士フイルム和光純薬株式会社製〉
「AE-12」:CBT-1(カルボキシベンゾトリアゾール類、城北化学工業株式会社製)
「AE-13」:F-552(界面活性剤、DIC株式会社製)
「AE-24」:イソニコチンアミド(東京化成工業株式会社製)
「AE-25」:1,2,4-トリアゾール(東京化成工業株式会社製)
「AE-26」:1,1-オキサリルジイミダゾール(東京化成工業株式会社製)
「AE-27」:下記に示す構造の化合物(酸により発色する色素)
【0505】
【化32】
【0506】
(溶剤)
「AF-1」:メチルエチルケトン(三協化学株式会社製)
「AF-2」:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(昭和電工株式会社製)
「AF-3」:メタノール(三菱ガス化学株式会社製)
【0507】
[実施例1~6及び比較例1~3]
以下の方法によって、透明基材の両面にそれぞれ樹脂パターンを形成した。
【0508】
〔転写フィルムの作製〕
表2に記載された処方に基づいて、透明基材の対向する2つの面(A面及びB面)に感光性層を転写するための各転写フィルムを作製した。A面用及びB面用の各転写フィルムは、仮支持体と、仮支持体上に配置された感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する構成である。例えば、実施例1の場合、A面用の転写フィルムは、仮支持体と、上記仮支持体上に、処方a-1の感光性層形成用組成物を使用して形成された感光性層と、保護フィルムとを有する。また、B面用の転写フィルムは、仮支持体と、上記仮支持体上に、処方b-1の感光性層形成用組成物を使用して形成された感光性層と、保護フィルムとを有する。なお、各感光性層形成用組成物の処方は、表1に示す通りである。また、実施例2~6及び比較例1~3で使用される転写フィルムについても、感光性層形成用組成物の各処方番号を表2に従って変更した以外は、実施例1と同様の方法により作製した。
【0509】
A面用及びB面用の各転写フィルムは、具体的には以下の方法により作製した。
仮支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、ヘイズ:0.12%)上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、乾燥後の層厚が3.0μmとなるように、表2に記載された処方番号の感光性層形成用組成物を塗布した。仮支持体上の感光性層形成用組成物を、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥して感光性層を形成した。感光性層上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm、ヘイズ:0.2%)を貼り合わせて転写フィルムを作製した。例えば、実施例1の場合、A面用の転写フィルムとして、仮支持体と、処方a-1の感光性層形成用組成物から形成した感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する転写フィルムを作製した。また、B面用の転写フィルムとして、仮支持体と、処方b-1の感光性層形成用組成物から形成した感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する転写フィルムを作製した。
【0510】
〔積層体の作製〕
表2の記載に従って選択した転写フィルムを50cm角に裁断した後、転写フィルムから保護フィルムを剥がした。次いで、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、転写フィルムを透明基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:40μm)の対向する2つの面(A面及びB面)に各々貼り合わせた。以上の手順によって、積層体を作製した。
なお、以下において、透明基材のA面に貼合された転写フィルム中の感光性層を「第1感光性層」、透明基材のB面に貼合された転写フィルム中の感光性層を「第2感光性層」という場合もある。上記積層体は、仮支持体/第1感光性層/透明基材/第2感光性層/仮支持体の構成である。
【0511】
〔パターン形成〕
仮支持体を剥離せずに、線幅3~40μmのラインアンドスペースパターンを有するガラスマスク(Duty比 1:1)を積層体の両面(積層体の最外層である仮支持体面)にそれぞれ密着させた。このとき、平面視した場合にガラスマスクのラインパターンが互いに直交するように、積層体の両面にそれぞれガラスマスクを配置した。次に、第1感光性層及び第2感光性層を同時に露光した。第1感光性層及び第2感光性層を同時に露光する際、透明基材を基準にして第1感光性層が配置された側(A面側)から第1感光性層を露光し、そして、透明基材を基準にして第2感光性層が配置された側(B面側)から第2感光性層を露光した。
露光条件は、以下のようにして決定した。
第1感光性層:第1感光性層に対し、超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
第2感光性層:第2感光性層に対し、超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、上記ガラスマスクを介して露光した後、露光後1時間放置し、現像した際にライン50ミクロン/スペース50ミクロンのパターン部において、残存パターン幅が49.0ミクロンから51.0ミクロンの範囲となるような露光量とした。
【0512】
表において、「露光条件」の欄に記載された次の用語及び記号は、それぞれ、以下の意味を有する。
「365nmを含まない」:超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、短波長カットフィルター(型番:LU0422、カットオフ波長:422nm、朝日分光株式会社製)を介して露光した。主波長は、436nmである。主波長の強度を100%とする場合、波長365nmの強度は0.5%以下である。
「436nmを含まない」:超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用い、水銀露光用バンドバスフィルター(型番:HB0365、中心波長:365nm、朝日分光株式会社製)を介して露光した。主波長は、365nmである。主波長の強度を100%とする場合、波長436nmの強度は0.5%以下である。
「-」:超高圧水銀灯(USH-2004MB、ウシオ電機株式会社製)を用いて、波長選択性を有するフィルターを用いることなく露光した。
【0513】
露光後1時間放置した後、仮支持体を剥離し、次いで、現像によって樹脂パターンを形成した。現像は、28℃の1.0%炭酸カリウム水溶液(現像液)を用い、シャワー現像で30秒行った。現像は、第1感光性層及び第2感光性層に対して同時に行った。
上記手順により、透明基材と、透明基材の対向する2つの面の一方(A面)に第1感光性層から形成された第1樹脂パターンと、他方の面(B面)に第2感光性層から形成された第2樹脂パターンとを有する透明基材(以下「樹脂パターン付き基材」ともいう。)を形成した。
【0514】
〔評価〕
実施例1~6及び比較例1~3で作製した樹脂パターン付き基板を用いて、解像性及び露光かぶりをそれぞれ評価した。評価結果を表2に示す。
【0515】
<解像性>
樹脂パターンのうち、最も高解像度であったパターンの線幅を到達解像度とした。到達解像度に基づき、以下の基準に従って解像性を評価した。なお、パターンの側壁部に大きな荒れが生じている場合、又は裾引きが顕著に生じ隣接するラインパターンとつながっているような場合はEとした。評価としては、Dが好ましく、Cがより好ましく、Bが更に好ましく、Aが特に好ましい。
(評価基準)
A:10μm以下
B:10μm超、18μm以下
C:18μm超、20μm以下
D:20μm超、30μm以下
E:30μm超、又は解像できていない
【0516】
<露光かぶり>
樹脂パターン付き基板の表面のうち非露光部(非露光部の反対側の透明基材表面が露光部である部分に限る。以下、本段落において同じ。)を観察し、以下の基準に従って露光かぶりを評価した。露光かぶりが発生すると、上記非露光部において感光性層に由来する残渣が観察される。
【0517】
(評価基準)
A:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、透明基材を基準にして第1感光性層が配置されていた側、及び、透明基材を基準にして第2感光性層が配置されていた側のいずれにも残渣が認められない。
B:倍率50倍の光学顕微鏡で観察した際に、透明基材を基準にして第1感光性層が配置されていた側、及び、透明基材を基準にして第2感光性層が配置されていた側の少なくともいずれか一方に残渣が認められる。
【0518】
以下、表1及び表2を示す。
なお、表1に記載された各成分の量(添加量)の単位は、質量部である。
また、表2中「最大感度波長」とは、感光性層の最大感度波長を表す。感光性層の最大感度波長の測定方法については、既述のとおりである。
また、「色素極大吸収波長」は、色素の極大吸収波長を表す(単位:nm)。色素の極大吸収波長の測定方法については既述のとおりである。
また、感光性層及び熱可塑性樹脂層の各項目において、「色素1」及び「色素2」は、層中に含まれる300~500nmの波長領域において極大吸収波長を有する色素を示している。
また、表2において「感光性層の最大感度波長での色素の吸光度」は、感光性層中に含まれる色素が1種の場合、上記1種の色素の吸光度を既述の測定方法にて測定した値を表す。また、感光性層中に含まれる色素が2種以上の場合、上記2種以上の色素を層中の配合比(質量比)となるように混合し、この混合状態での吸光度を既述の測定方法にて測定した値を表す。
【0519】
【表1】
【0520】
【表2】
【0521】
実施例の樹脂パターン付き基板は、樹脂パターンの解像性に優れており、且つ、露光かぶりが抑制されていることが明らかである。したがって、本発明の転写フィルム及び積層体によれば、解像性に優れた樹脂パターンを形成でき、且つ、露光かぶりが抑制されていることが明らかである。
【0522】
例えば、波長選択性を有するフィルターを使用した実施例1を例に挙げて説明すると、A面の露光光が、B面の露光光の波長選択に使用される波長選択性を有するフィルターで反射し得るが、この反射光が生じても、反射光は、B面側の感光性層中の、A面の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似している波長の光を吸収し得る色素に吸収され得る。この結果として、反射光に起因したA面での解像性悪化を抑制できる。また、B面においては、A面の露光光による露光かぶりが抑制される。
また、B面の露光光が、A面の露光光の波長選択に使用される波長選択性を有するフィルターで反射し得るが、この反射光が生じても、反射光は、A面側の感光性層中の、B面の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似している波長の光を吸収し得る色素に吸収され得る。この結果として、反射光に起因したB面での解像性悪化を抑制できる。また、A面においては、B面の露光光による露光かぶりが抑制される。
【0523】
また、例えば、波長選択性を有するフィルターを使用しない実施例3を例に挙げて説明すると、A面の露光光が透明基材を通過してB面の感光性層に進入しても、進入した光は、A面側の感光性層中に含まれる色素の作用によって、B面側の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減されている。この結果として、B面での露光かぶりを抑制できる。
また、B面の露光光が透明基材を通過してA面の感光性層に進入しても、進入した光は、B面側の感光性層中に含まれる色素の作用によって、A面側の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減されている。この結果として、A面での露光かぶりを抑制できる。
また、A面及びB面のいずれにおいても、導入される色素の極大吸収波長が感光性層の最大感度波長と40nm以上異なるため、樹脂パターンの解像性に優れる。
【0524】
実施例1~6の対比から、B面の最大感度波長が、450nm以下の場合、より解像性に優れた樹脂パターンを形成できることが確認された。
実施例の対比から、感光性層の最大感度波長と同じ又はそれに近似する色素を含まない場合、より解像性に優れた樹脂パターンを形成できることが確認された(実施例1及び2と実施例5及び6の対比)。
【0525】
[実施例11~31、比較例4~6]
〔転写フィルムの作製〕
表4に記載された処方に基づいて、透明基材の対向する2つの面(A面及びB面)に感光性層を転写するための各転写フィルムを作製した。A面用及びB面用の各転写フィルムは、仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、中間層と、感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する構成である。例えば、実施例11の場合、A面用の転写フィルムは、仮支持体と、処方A-1の熱可塑性樹脂組成物により形成された熱可塑性樹脂層と、後述する中間層形成用組成物(M-1)により形成された中間層と、処方a-4の感光性層形成用組成物により形成された感光性層と、保護フィルムと、を有する。また、B面用の転写フィルムは、仮支持体と、処方B-1の熱可塑性樹脂組成物により形成された熱可塑性樹脂層と、後述する中間層形成用組成物(M-1)により形成された中間層と、処方b-6の感光性層形成用組成物により形成された感光性層と、保護フィルムと、を有する。
なお、各感光性層形成用組成物の処方は、表1に示す通りであり、各熱可塑性樹脂組成物の処方は、表3に示す通りである。
A面用及びB面用の各転写フィルムは、具体的には以下の方法により作製した。
【0526】
仮支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:16μm、ヘイズ:0.12%)上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、かつ、乾燥後の層厚が3.0μmとなるように、表4に記載された処方番号の熱可塑性樹脂組成物を塗布した。その後、得られた熱可塑性樹脂組成物の塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、得られた熱可塑性樹脂層の上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、かつ、乾燥後の層厚が1.2μmとなるように中間層形成用組成物(M-1)を塗布した。その後、得られた中間層形成用組成物(M-1)の塗膜を80℃で40秒間かけて乾燥し、中間層を形成した。
次いで、得られた中間層の上に、スリット状ノズルを用いて、塗布幅が1.0mであり、かつ、乾燥後の層厚が3.0μmとなるように、感光性層形成用組成物を塗布し、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥して感光性層を形成した。そして、感光性層の上に保護フィルム(ポリプロピレンフィルム、厚さ:12μm、ヘイズ:0.2%)を貼り合わせて各転写フィルムを作製した。
例えば、実施例11の場合、A面用の転写フィルムとして、仮支持体と、処方A-1の熱可塑性樹脂組成物から形成した熱可塑性樹脂層と、中間層と、処方a-4の感光性層形成用組成物から形成した感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する転写フィルムを作製した。また、B面用の転写フィルムとして、仮支持体と、処方B-1の熱可塑性樹脂組成物から形成した熱可塑性樹脂層と、中間層と、処方b-6の感光性層形成用組成物から形成した感光性層と、保護フィルムとをこの順に有する転写フィルムを作製した。
【0527】
〔中間層形成用組成物(M-1)の調製〕
以下の成分を混合して中間層形成用組成物を調製した。
・クラレポバールPVA-4-88LA(クラレ製):3.22質量部
・ポリビニルピロリドンK-30(日本触媒製):1.49質量部
・メガファックF-444(DIC製):0.0015質量部
・イオン交換水:38.12質量部
・メタノール(三菱ガス化学製):57.17質量部
【0528】
〔積層体の作製〕
表4の記載に従って選択した転写フィルムを50cm角に裁断した後、転写フィルムから保護フィルムを剥がした。次いで、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/分のラミネート条件で、転写フィルムを透明基材(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ:40μm)の対向する2つの面(A面及びB面)に各々貼り合わせた。以上の手順によって、積層体を作製した。
上記積層体は、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/第1感光性層/透明基材/第2感光性層/中間層/熱可塑性樹脂層/仮支持体の構成である。
【0529】
作製した積層体を使用して、上記「パターン形成」の項で説明した方法に従って、実施例11~31及び比較例4~6の樹脂パターン付き基板を作製した。得られた樹脂パターン付き基板を用いて、上記「評価」の項で説明した解像性及び露光かぶりを評価した。評価結果を表4に示す。
【0530】
以下、表3及び表4を示す。
なお、表3に記載された各成分の量(添加量)の単位は、質量部である。
また、表4中「最大感度波長」とは、感光性層の最大感度波長を表す。感光性層の最大感度波長の測定方法については、既述のとおりである。
また、「色素極大吸収波長」は、色素の極大吸収波長を表す(単位:nm)。色素の極大吸収波長の測定方法については既述のとおりである。
また、感光性層及び熱可塑性樹脂層の各項目において、「色素1」及び「色素2」は、層中に含まれる300~500nmの波長領域において極大吸収波長を有する色素を示している。
また、表4において「感光性層の最大感度波長での色素の吸光度」は、感光性層及び熱可塑性樹脂層にて使用される色素の種類が1種の場合、上記1種の色素の吸光度を既述の測定方法にて測定した値を表す。また、感光性層及び熱可塑性樹脂層にて使用される色素が2種以上の併用形態である場合、上記2種以上の色素を層中での配合比(質量比)となるように混合し、この混合状態での吸光度を既述の測定方法にて測定した値を表す。
【0531】
【表3】
【0532】
【表4】
【0533】
【表5】
【0534】
実施例の樹脂パターン付き基板は、樹脂パターンの解像性に優れており、且つ、露光かぶりが抑制されていることが明らかである。したがって、本発明の転写フィルム及び積層体によれば、解像性に優れた樹脂パターンを形成でき、且つ、露光かぶりが抑制されていることが明らかである。
【0535】
例えば、波長選択性を有するフィルターを使用した実施例11を例に挙げて説明すると、A面の露光光が、B面の露光光の波長選択に使用される波長選択性を有するフィルターで反射し得るが、この反射光が生じても、反射光は、B面側の熱可塑性樹脂層中の、A面の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似している波長の光を吸収し得る色素に吸収され得る。この結果として、反射光に起因したA面での解像性の悪化を抑制できる。また、B面では、A面の露光光による露光かぶりが抑制される。
また、B面の露光光が、A面の露光光の波長選択に使用される波長選択性を有するフィルターで反射し得るが、この反射光が生じても、反射光は、A面側の熱可塑性樹脂層中の、B面の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似している波長の光を吸収し得る色素に吸収され得る。この結果として、反射光に起因したB面での露光かぶり及び解像性の悪化を抑制できる。また、A面では、B面の露光光による露光かぶりが抑制される。
【0536】
また、例えば、波長選択性を有するフィルターを使用しない実施例17を例に挙げて説明すると、A面の露光光が透明基材を通過してB面の感光性層に進入しても、進入した光は、A面側の熱可塑性樹脂層中に含まれる色素の作用によって、B面側の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減されている。この結果として、B面での露光かぶりを抑制できる。
また、B面の露光光が透明基材を通過してA面の感光性層に進入しても、進入した光は、B面側の熱可塑性樹脂層中に含まれる色素の作用によって、A面側の感光性層の最大感度波長と同じ又は近似する波長の光の単位面積当たりの強さが低減されている。この結果として、A面での露光かぶりを抑制できる。
また、A面及びB面のいずれにおいても、導入される色素の極大吸収波長が感光性層の最大感度波長と40nm以上異なるため、樹脂パターンの解像性に優れる。
【0537】
実施例の対比から、特定色素が増感しない色素である場合、より解像性に優れた樹脂パターンを形成できることが確認された(実施例16及び17の結果)。
実施例の対比から、組成物層が、感光性層及び中間層及び熱可塑性樹脂層からなる場合、熱可塑性樹脂層が特定色素を含む場合、より解像性に優れた樹脂パターンを形成できることが確認された(実施例11~14の対比)。
実施例の対比から、感光性層の最大感度波長と同じ又はそれに近似する色素を含まない場合、より解像性に優れた樹脂パターンを形成できることが確認された(実施例14及び実施例15の結果)。
また、実施例16の結果から、開始剤が含まれない熱可塑性樹脂層においては、増感色素を特定色素として機能させ得ることが確認された。
【0538】
実施例1~6及び実施例11~18の各積層体の作製において、透明基材を、透明基材と透明基材の両面に厚み50nmのAgNW層とを有する透明導電層付き基材に変更した以外は同様にして各積層体(実施例1A~6A及び実施例11A~18A)を作製して評価を実施したところ、同様の結果が得られた。
【0539】
また、実施例19、実施例21~24において、B面の色素のi線吸収能がやや劣るため、B面側からの一部の露光光がA面に透過して解像性が若干劣る結果となった。
【符号の説明】
【0540】
20 積層体
5A 第1転写フィルム
11 透明導電層付き基材
5B 第2転写フィルム
3A 第1感光性層
3B 第2感光性層
1A 第1仮支持体
1B 第2仮支持体
9 透明基材
7A、7B 透明導電性層
12 マスク
13、15 波長選択性を有するフィルター
白抜きの矢印、黒抜きの矢印 露光光
L11、L12、L21、L22 露光光の一部
30、50 転写フィルム
31 仮支持体
33、53 熱可塑性樹脂層
35、55 中間層
37、57 感光性層
39、59 組成物層
41 保護フィルム
図1
図2
図3
図4