(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022184847
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】液晶材料の製造方法及び液晶材料の評価方法とその測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 22/00 20060101AFI20221206BHJP
【FI】
G01N22/00 N
G01N22/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136698
(22)【出願日】2022-08-30
(62)【分割の表示】P 2022519724の分割
【原出願日】2021-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2020219499
(32)【優先日】2020-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(57)【要約】 (修正有)
【課題】均質な電気的特性を有する液晶材料、その製造方法、均質な電気的特性を有する液晶材料を測定する方法、その測定装置を提供する。
【解決手段】液晶材料を調製する工程と液晶材料のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により液晶材料を測定する工程とを有し、デルタディレイ測定機構は、内部導体8及び外部導体を含む同軸管6を1本備え、基準電圧V
0を内部導体8及び外部導体間に印加した状態で内部導体8と外部導体9との間の間隙に充填された液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t
0と、基準電圧V
0より大きい実行電圧Vを内部導体及び外部導体間に印加した状態で液晶材料に対して電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を有する、液晶材料の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶材料を調製する工程(I)と、
前記液晶材料のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により、液晶材料を測定する工程(II)と、を有し、
前記デルタディレイ測定機構は、線状の内部導体及び当該内部導体が挿通される間隙を有する外部導体を含む同軸管を1本備え、基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記内部導体と前記外部導体との間の前記間隙に充填された前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を有する、液晶材料の製造方法。
【請求項2】
前記電磁波は、0.1~26.5GHzの範囲の周波数を連続的に変化する、請求項1に記載の液晶材料の製造方法。
【請求項3】
前記伝送遅延時間t0は、前記内部導体及び前記外部導体間に無バイアス状態で前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される、請求項1又は2に記載の液晶材料の製造方法。
【請求項4】
前記液晶材料は、-NCS基を有する液晶化合物を含む、請求項1又は2に記載の液晶材料の製造方法。
【請求項5】
線状の内部導体及び当該内部導体が挿通される間隙を有する外部導体を有する同軸管を1本用いて、前記間隙中に充填された液晶材料中を電磁波が伝搬する伝送遅延時間の変化量であるデルタディレイの測定方法であって、
前記液晶材料を準備する工程と、
前記液晶材料を前記内部導体と前記外部導体との間に充填する工程と、
基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で連続的に変化する周波数の電磁波を前記液晶材料に伝搬させて計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に前記電磁波を伝搬させて計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出する工程と、を備えるデルタディレイの測定方法。
【請求項6】
線状の内部導体、当該内部導体が内部に挿通される外部導体及び前記内部導体と前記外部導体との間に液晶材料を充填可能な間隙を有する同軸管1本と、
前記同軸管に電磁波の電気信号を入力し、かつ当該電気信号に応答して出力された電磁波の出力信号を受信する電気信号送受信部と、
前記電気信号送受信部により送受信される前記電気信号及び前記出力信号を解析処理する解析処理部と、を有し、
前記解析処理部は、基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出することを特徴とする、デルタディレイ値の測定装置。
【請求項7】
0.01以上のデルタディレイ値を有する液晶材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶組成物の製造方法及びデルタディレイの測定方法とその測定装置、並びに液晶材料に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、テレビ、モニター、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末などのディスプレイ用途だけでなく、自動車の自動運転化技術の開発に伴い、自動車等の移動体と通信衛星との間で、マイクロ波帯電波の送受信を行うアンテナ用途として注目を集めている。液晶材料を用いたアンテナは、ディスプレイ等と同様に外部電場の印加によって液晶が動作するため、電波の送受信方向を自在に変えることができる。
【0003】
そのため、ディスプレイ用途及びアンテナ用途のいずれの液晶材料であっても、電場印加による液晶の分子配列の変化が、液晶の誘電率異方性に基づく誘電的トルクによって誘起されることから、液晶の誘電率異方性(Δε=ε∥-ε⊥)が重要な物理量となる。一般的に、誘電率異方性(Δε)は、液晶分子の長軸方向に平行な方向における誘電率(ε∥)と、液晶分子の長軸方向に垂直な方向における誘電率(ε⊥)との差で定義される量であり、液晶材料の誘電率(複素誘電率)から算出される。
液晶の動作に必要な周波数は数Hz~数kHzであるために、一般的には1kHzにおける誘電率を測定することで誘電率異方性(Δε)を求める。一方、アンテナ用途の液晶材料では、1kHzにおける誘電率異方性の大きさと共に、適用するマイクロ波帯における誘電率異方性を精度よく測定することが求められている。
【0004】
このようなアンテナ用途の液晶材料などに代表されるマイクロ波帯における誘電体の誘電率(複素誘電率)を測定する方法は、従来から種々存在し、例えば、(1)共振器内に誘電体を挿入した際の共振周波数及びQ値の変化量から誘電率(複素誘電率)を算出する空洞共振器法、(2)同軸管内部に誘電体を充填し、反射波の振幅と位相差から誘電率(複素誘電率)を算出する同軸管法、及び(3)2つの電極間に試料を充填し、当該電極間の静電容量を測定する集中定数容量法などが挙げられる。なかでも、上記(2)の同軸管法は、液体材料などを簡便に測定できるため、流動性を示す材料が多い液晶材料の誘電率(複素誘電率)の測定では一般的に採用されている。
しかし、同軸管法による誘電率(複素誘電率)の測定は、1つの測定試料に対して、長さの異なる同軸管を複数用いて、それぞれの測定を行う必要があることが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に、液晶材料は、特有の誘電率異方性(Δε=ε∥-ε⊥)を有するため、電圧の印可の有無により測定試料中の液晶分子を特定の方向に配向させない状態と、特定の方向に配向させた状態とでさらに複数回の測定を強いられる。そのため、同軸管法を用いた液晶材料の誘電率(複素誘電率)の測定には、同軸管の脱着による測定誤差(電磁波の反射又は電磁波強度の損失の誤差)の累積及び測定再現性の低下という課題が付きまとうのが現状である。
【0007】
このような課題を解決するために、本開示は、従来の測定方法において電気的特性の一つとして算出されていた誘電率の代替として、「デルタディレイ」という新たな物理量(nsec)を導入するものであり、その「デルタディレイ」によって液晶材料の電気的特性を特定すると均質な電気的特性を有する液晶材料が得られることを確認した。
【0008】
そこで、本開示は、均質な電気的特性を有する液晶材料及びその製造方法、並びに均質な電気的特性を有する液晶材料を測定する方法及びその測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、液晶材料の電気的特性を物理量(デルタディレイ(単位(nsec))を用いて特定すると、誘電率と比べて均質な電気的特性を有する液晶材料を製造又は評価することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明の構成は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕本開示は、液晶材料を調製する工程(I)と、
前記液晶材料のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により、液晶材料を測定する工程(II)と、を有し、
前記デルタディレイ測定機構は、線状の内部導体及び当該内部導体が挿通される間隙を有する外部導体を含む同軸管を1本備え、基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記内部導体と前記外部導体との間の前記間隙に充填された前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を備えることを特徴とする、液晶材料の製造方法である。
【0011】
〔2〕本実施形態において、前記電磁波は、0.1~26.5GHzの範囲の周波数を連続的に変化することが好ましい。
【0012】
〔3〕本実施形態において、前記伝送遅延時間t0は、前記内部導体及び前記外部導体間に無バイアス状態で前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測されることが好ましい。
【0013】
〔4〕本実施形態において、前記液晶材料は、イソチオシアネート基(-NCS)を有する液晶化合物を含むことが好ましい。
【0014】
〔5〕本開示は、線状の内部導体及び当該内部導体が挿通される間隙を有する外部導体を有する同軸管を1本用いて、前記間隙中に充填された液晶材料中を電磁波が伝搬する伝送遅延時間の変化量であるデルタディレイの測定方法であって、
前記液晶材料を準備する工程と、
前記液晶材料を前記内部導体と前記外部導体との間に充填する工程と、
基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で連続的に変化する周波数の電磁波を前記液晶材料に伝搬させて計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に前記電磁波を伝搬させて計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出する工程と、を備えるデルタディレイの測定方法である。
【0015】
〔6〕本開示は、線状の内部導体、当該内部導体が内部に挿通される外部導体及び前記内部導体と前記外部導体との間に液晶材料を充填可能な間隙を有する同軸管1本と、
前記同軸管に電磁波の電気信号を入力し、かつ当該電気信号に応答して出力された電磁波の出力信号を受信する電気信号送受信部と、
前記電気信号送受信部により送受信される前記電気信号及び前記出力信号を解析処理する解析処理部と、を有し、
前記解析処理部は、基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出することを特徴とする、デルタディレイ値の測定装置である。
【0016】
〔7〕本開示は、0.01以上のデルタディレイ値を有する液晶材料である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、均質な電気的特性を有する液晶材料及びその製造方法、並びに均質な電気的特性を有する液晶材料を測定する方法及びその測定装置を提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本実施形態におけるデルタディレイ測定系の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のI-I方向の断面図を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する。)について詳細に説明するが、本開示は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0020】
〔液晶材料の製造方法〕
本実施形態に係る液晶材料の製造方法は、液晶材料を調製する工程(I)と、前記液晶材料のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により、液晶材料を測定する工程(II)と、を有する。そして、前記デルタディレイ測定機構は、線状の内部導体及び当該内部導体が挿通される間隙を有する外部導体を含む同軸管を1本備え、基準電圧V0を前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記内部導体と前記外部導体との間の前記間隙に充填された前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体及び前記外部導体間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を備える。
これにより、均質な電気的特性を有する液晶材料及びその製造方法を提供しうる。
【0021】
以下、各工程について説明する。
(工程(I))
本実施形態の液晶材料の製造方法は、液晶材料を調製する工程(I)を有する。
本実施形態における液晶材料は、流動性及び液晶性を示す材料、いわゆる液晶性を示す液体(例えば、溶液、懸濁液)であればよい。したがって、液晶材料は、化合物単体で液晶性及び流動性を示す材料であってもよく、あるいは他の化合物と混合した組成物全体が液晶性及び流動性を示す材料であってもよい。
本明細書でいう「液晶性を示す」とは、メソゲンと呼ばれる剛直な部位を有し、配向性を示すことをいう。また、発現する液晶性の種類は特に制限されることはなく、ネマチック相、スメクチックA相、(キラル)スメクチックC相、コレステリック相又はディスコティック相が挙げられ、ネマチック相が好ましい。
また、本明細書でいう「液晶性を示す」とは、室温(25℃)における状態をいう。
【0022】
本実施形態において、液晶材料が化合物単体である場合、公知の合成方法に従って合成することにより、液晶材料を調製することができる。また、液晶材料が2種以上の化合物を含む液晶組成物である場合、当該液晶組成物を調製する方法としては、液晶組成物の一般的な製造方法を採用することができる。具体的には、当該液晶組成物の構成要素である全ての化合物を混合容器に投入し、外部高温媒体から混合容器壁を経由した熱伝導によって溶解させ、減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において攪拌翼あるいは容器自体の回転等によって混合する方法が挙げられる。また、液晶化合物を混合した容器を自転及び公転させて脱泡しながら、加熱することなく液晶組成物を得る方法(遊星式攪拌)、或いは混合容器に液晶化合物を投入しマイクロ波を照射して加熱する方法などを採用してもよい。なお、液晶組成物の構成要素である全ての化合物は、公知の方法に従って合成してもよく、あるいは市販の化合物を購入してもよい。さらには、液晶組成物の調製においては、例えば、公知の重合性(液晶)化合物又は配向助剤、その他酸化防止剤などの添加剤等の任意成分が、複数種の液晶化合物と共に混合されてもよい。
【0023】
本開示に係る液晶材料が液晶組成物である場合、当該液晶組成物は、例えば、下述の一般式(i)で表される化合物、下述の一般式(ii)で表される化合物、必要に応じて上述の任意成分、下記の添加物を混合することにより、製造することができる。
添加物としては、安定剤、色素化合物、重合性化合物等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β-ナフチルアミン類、β-ナフトール類、ニトロソ化合物類、ヒンダードフェノール類、ヒンダードアミン類等が挙げられる。
安定剤を使用する場合における安定剤の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、0.005~1質量%であることが好ましく、0.02~0.5質量%であることが好ましく、0.03~0.1質量%であることが好ましい。
【0024】
本実施形態に係る液晶材料は、イソチオシアネート基(-NCS)を有する化合物が好ましい。
イソチオシアネート基は、フッ素基又はシアノ基よりも電場中の電子分極が大きくなるため、液晶材料として、イソチオシアネート基(-NCS)を有する化合物単体又は当該化合物を含む液晶組成物を使用すると、デルタディレイ値が大きくなる傾向を示す。
本実施形態における液晶材料は、以下の一般式(i)~一般式(ii)で表される化合物からなる群から選択される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましい。
下記一般式(i):
【0025】
【0026】
(一般式(i)中、
Ri1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-、-O-CO-CH=CH-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
Ai1及びAi2は、それぞれ独立して、炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環のいずれかを表し、
前記Ai1及びAi2中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基Si1によって置換されていてもよく、
置換基Si1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表し、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-及び/又は-NH-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-及び/又は-O-CO-CH=CH-で置換されてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
置換基Si1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく、
Li1及びLi2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数1から20のアルキル基のいずれかを表し、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-及び/又は-NH-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-及び/又は-O-CO-CH=CH-で置換されていてもよく、
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
Zi1及びZi2は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表し、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-CF2-及び/又は-CO-で置換されていてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH3)-、-C(CH3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-CO-O-及び/又は-O-CO-で置換されてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=N-N=CH-で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
mi1は、0~1の整数を表し、
ni1は、0~3の整数を表すが、
Ai2又はZi2が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
【0027】
下記一般式(ii):
【0028】
【0029】
(一般式(ii)中、
Rii1は、それぞれ独立して、炭素原子数1~20のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
Aii1及びAii2は、それぞれ独立して、以下の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d):
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1つの-CH2-又は非隣接の2つ以上の-CH2-は-O-及び/又は-S-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1つの-CH=又は非隣接の2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1つの-CH=又は非隣接の2つ以上の-CH=は-N=に置換されていてもよい。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表し、
前記Aii1及びAii2中の一つ又は二つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基Sii1により置換されていてもよく、
置換基Sii1は、ハロゲン原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又-CS-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-、-O-CO-CH=CH-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
置換基Sii1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよく、
Zii1は、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表し、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH3)-、-C(CH3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-CO-O-及び/又は-O-CO-で置換されてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよく、
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-C(Ria)=N-N=C(Rib)-で置換されていてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
前記Ria及びRibは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-CO-及び/又は-S-で置換されていてもよく、
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-及び/又は-C≡C-で置換されてもよいが、
酸素原子と酸素原子が直接結合することはなく、
nii1は、1~4の整数を表し、
Aii1及びZii1が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。)
また、本実施形態における液晶材料は、一般式(i)~一般式(ii)で表される化合物からなる群から選択される1種の液晶化合物であっても、或いは2種以上の液晶化合物が混合された液晶組成物であってもよい。
【0030】
(工程(II))
本実施形態の液晶材料の製造方法は、液晶材料のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により、液晶材料を測定する工程(II)と、を有する。
したがって、工程(II)は、工程(I)で調製された液晶材料のデルタディレイ値を測定する工程である。
デルタディレイ値を規定することにより測定誤差の少ない液晶材料を提供できるため、均質な電気的特性を有する液晶材料及びその製造方法を提供しうる。
上記(II)において、工程(I)で調製された液晶材料のうち少なくとも一部の量だけを抽出してデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定機構により評価してもよい。
【0031】
本明細書における「デルタディレイ値」とは、群遅延量の変化量(Δt)とも称し、基準電圧V0下の液晶に対して連続的に変化する周波数の電気信号(電磁波)を与えた際における電束密度の発生までの遅延時間と、実行電圧V下の液晶に対して連続的に変化する周波数の電気信号(電磁波)を与えた際における電束密度の発生までの遅延時間との差の絶対値をいい、換言すると、実行電圧V下での被測定物の群遅延量と基準電圧V0下の被測定物の群遅延量の差の絶対値である。そして、本実施形態におけるデルタディレイ値の測定は、いわゆるFDR法を用いて測定しており、後述の通り、信号源、信号分離器(パワースプリッタ)、方向性結合器(カップラ)及び少なくとも3以上の受信機(ここでは、基準受信機(R)、反射受信機(A)及び伝送受信機(B)の3つとする)から構成される回路網解析器、例えば、ベクトルネットワークアナライザのSパラメータにより算出される。より詳細には、伝送遅延時間t(=群遅延量)は、S21の位相を用いて、以下の式(I)で表すことができる。
【0032】
【0033】
(上記式(I)中、ωは角周波数であり、S21は、2つのportを持つ被測定物の入出力特性を表すパラメータであり、port1からport2への伝送係数を表す。)
また、伝送線路長lの同軸管に充填された液晶材料に高周波電場を印加してFDR法により算出されるデルタディレイ値(Δt)は以下の式(II)でも表すことができる。
【0034】
【0035】
(上記式(II)中、lは伝送線路長であり、cは光速であり、ε(v)は実行電圧下での液晶材料の複素誘電率の実部であり、ε(0)は基準電圧下での液晶材料の複素誘電率の実部である。)
【0036】
まずは、本実施形態のデルタディレイ測定機構を備えた被測定物(液晶材料)のデルタディレイ値を測定するデルタディレイ測定系100の全体像について
図1及び
図2を参照しながら以下に説明する。
図1は、本実施形態におけるデルタディレイ測定系100の構成の一例を示す概略図である。ベクトルネットワークアナライザ2に接続された信号送信端子部Lと信号受信端子部Rとの間に、DCブロック用コンデンサ3a,b、同軸コンポーネント4a,b及びアダプタ5a,bを介して、液晶材料が充填された同軸管6が接続されている。そして、同軸コンポーネント4a,bを介して、DC電源7が電気的に接続されている。また、ベクトルネットワークアナライザ2には処理装置1が接続されている。
【0037】
そのため、デルタディレイ測定系100による測定結果はベクトルネットワークアナライザ2のディスプレイ部に表示され、ベクトルネットワークアナライザ2に接続した処理装置1に送出される。当該処理装置1としてはプロッタ、計算機(パソコン)等の機器を必要に応じて切り替え、又は同時並列的に接続できる。ディスプレイ部に表示された伝送特性の測定結果、又は処理装置3による処理の結果から、同軸管6内に充填された液晶材料の伝送特性が算出される。
【0038】
伝送特性の測定にあたってはネットワークアナライザ2の掃引周波数発振器の発振周波数範囲を、被測定物の液晶材料が同軸管6に充填されたときの遮断周波数を含むように設定してもよい。デルタディレイ値はベクトルネットワークアナライザ2のディスプレイ部に表示されてもよく、あるいはプロッタに記録された伝送係数の周波数特性から、直接読み取って算出しても、あるいは処理装置1によって伝送係数の周波数に関する微分値を求めてその最大値を与える周波数から算出してもよい。
【0039】
一般的には、信号送信端子部Lおよび信号受信端子部Rは、同軸ケーブルコネクタ又は導波管のいずれかを使用することができるが、
図1では同軸ケーブルコネクタの例を一例としている。また、ネットワークアナライザ2には、掃引周波数発振器(図示せず)、レベル検出器(図示せず)及び校正回路(図示せず)等が内蔵されている。
【0040】
図1では、同軸管6の一例として、円筒状の外部導体の内部を内部導体8である線状体が挿通された形態を示している。そして、内部導体8と円筒状の外部導体の内壁との間には間隙(空間部)が存在する。液晶材料などの被測定物は当該間隙に充填される。同軸管6の間隙に液晶材料を充填した状態について
図2を用いて次に説明する。
【0041】
図2(a),(b)は、いずれも
図1に示す同軸管6をI-I方向に切断した断面図を表す。より詳細には、
図2(a)は、同軸コンポーネント4a,bを介してDC電源7から内部導体8に電流を流さない又は微弱電流を流して、内部導体8と外部導体9との間に基準電圧Vo(例えば、電圧0V)を印可した状態(無バイアス状態)の液晶分子10の配向を表す模式図である。そして、
図2(b)は、同軸コンポーネント4a,bを介してDC電源7から内部導体8に電流を流して、内部導体8と外部導体9との間に実行電圧V(例えば、0V超)を印可した状態の液晶分子の配向を表す模式図である。
内部導体8と外部導体9との間の電圧が基準電圧Vo以下であると、
図2(a)に示すとおり、液晶分子10の長軸方向は電界E
0方向に対してランダムに向くため、液晶分子10はいわゆるランダム配向状態である。そして、内部導体8と外部導体9との間の電圧が実行電圧V以上であると、
図2(b)に示すとおり、液晶分子10は電界E
v方向と平行に液晶分子10の長軸方向が倣う配向状態をとる。
【0042】
以下、本実施形態におけるデルタディレイ測定系100の各構成要素について説明する。
<デルタディレイ測定機構>
本実施形態におけるデルタディレイ測定機構は、線状の内部導体8及び当該内部導体8が挿通される間隙を有する外部導体9を含む同軸管6を1本備え、基準電圧V0を前記内部導体8及び前記外部導体9間に印加した状態で前記内部導体8と前記外部導体9との間の前記間隙に充填された前記液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、前記基準電圧V0より大きい実行電圧Vを前記内部導体8及び前記外部導体9間に印加した状態で前記液晶材料に対して前記電磁波を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を有する。
すなわち、本実施形態におけるデルタディレイ測定機構は、測定試料である液晶材料を充填可能な同軸管6を1本備え、かつ基準電圧V0下における液晶材料中を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、実行電圧V下における液晶材料中を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構を有している。また、当該伝送遅延時間の差分は、群遅延量の差分に相当する。
上記の通り、デルタディレイ測定機構は同軸管6を1本のみ使用するため、同軸管6の脱着による測定誤差(電磁波の反射又は電磁波強度の損失の誤差)の累積及び測定再現性の低下という課題を解決することができる。
【0043】
-同軸管-
本実施形態における同軸管6は、
図1及び
図2に示すとおり、両端に開口部を備える管状の外部導体9と、当該外部導体8の内壁に当接することなく挿通された中実の線状体である内部導体8とを有する。そのため、同軸管6は、外部導体8の内壁と内部導体8とは所定の間隔で離間されることによって同軸管6内に液晶材料を充填できる間隙を有する。
また、同軸管6は、同軸管本体と、挿通される内部導体8を支持するために、同軸管本体の両端に設置される同軸管コネクタとから構成される。このような同軸管6を構成する材料としては、特に制限されることはないが、加工性及び耐蝕性に優れた金属製であることが好ましい。例えば、同軸管6を構成する材料としては、黄銅又は真鍮であることが好ましい。
さらに、同軸管6の形状は、円柱状又は多角柱状などが挙げられるが、円柱状であることが好ましい。
なお、
図1では、説明の便宜上、同軸管本体と1対の同軸管コネクタとが離間された状態を記載しているが、実際の同軸管6は、同軸管本体と同軸管コネクタとが連結されている。また、同軸管本体と同軸管コネクタとが同軸管6の構成要素であることを示すために、実線により同軸管本体及び同軸管コネクタを囲っている。
【0044】
本実施形態において、内部導体8は中実の線状体であり、中心導線とも称する。内部導体8を構成する材料は、導電性に優れ、かつ剛性の高い導線が好ましく、例えば、硬鋼線又はピアノ線であることが好ましい。内部導体8は、同軸管6の断面中心部に内装されることが望ましく、内部導体8の長軸方向は直線状であることが好ましい。
本実施形態において、外部導体9と内部導体8との間に被測定物(液晶材料)を満たす間隙を確保する必要があるために、同軸管6の断面内径(=外部導体9の断面内径)よりも内部導体8の断面外径を小さくする必要がある。被測定物を満たす間隙の幅、すなわち外部導体9と内部導体8との最短離間距離(外部導体9の断面内径-内部導体8の断面外径)は、1mm程度、より具体的には好ましくは0.5~1.5mm確保することが好ましい。また、同軸管6の内径でもある外部導体9の断面内径は、3mm程度、より具体的には好ましくは2.5~3.5mm程度であればよい。さらには、内部導体8の断面外径は1mm程度、より具体的には好ましくは0.5~1.5mmであることが好ましい。
【0045】
本実施形態において、内部導体8の長軸方向の長さは、同軸管本体とその両端に設置される同軸管コネクタを含めた長さと同じであることが好ましい。同軸管本体における液晶材料充填部の長軸方向の長さとしては、好ましくは10~100mm、より好ましくは10~50mmである。また、内部導体8の内装数は1本であることが好ましい。
【0046】
本実施形態において、外部導体9と内部導体8とは電気的に絶縁されることが必要であり、かつ流動性のある被測定物が間隙から漏れ出さないことを必要とする。そのため、内部導体8を支える同軸管コネクタにはテフロン(登録商標)樹脂等を用いたシーリング材を内装することが好ましい。
【0047】
-伝送遅延時間-
本実施形態において、前記伝送遅延時間t0と前記伝送遅延時間tvとの差分である液晶材料のデルタディレイ値を算出する機構としては、回路網解析器、例えばベクトルネットワークアナライザ2が挙げられる。一般的にベクトルネットワークアナライザ2は、電子回路網を解析する装置として開発され、基本的にインピーダンスと減衰量を測定する装置である。振幅及び位相の測定が可能なために、様々な試料の高周波特性を測定することが可能である。
なお、前記伝送遅延時間t0と前記伝送遅延時間tvの測定は、液晶材料が室温(25℃)の条件の下に行う。
【0048】
このようなベクトルネットワークアナライザ2の測定機構を用いることにより、伝送遅延時間に相当する群遅延量を算出するためのS21の測定について以下説明する。そして、Sパラメータはportの定義によって変わってくるため、以下では、説明の便宜上、2つのport(ポート)を持つ被測定物の各ポートをport1及びport2とした場合について説明する。なお、port1及びport2は、ベクトルネットワークアナライザ2の2つのportと捉えてもよい。
ベクトルネットワークアナライザ2は、信号源、信号分離器(パワースプリッタ)、方向性結合器(カップラ)及び少なくとも3以上の受信機(ここでは、基準受信機(R)、反射受信機(A)及び伝送受信機(B)の3つとする)から構成される。そして、前記信号源から出力された電磁波の信号が前記信号分離器(パワースプリッタ)を介して2つに分岐されて、一方の電磁波である信号は基準受信機(R)に入力され、他方の信号は入射信号としてport1から出力され、被測定物である同軸管6に充填された液晶材料に対して(例えば、信号送信端子部L側から)前記入射信号が入力される。当該同軸管6(液晶材料)で反射された反射信号は反射受信機(A)で受信する。そして、同軸管6(液晶材料)を通過した伝送信号(=液晶材料内を伝搬して通過した入射信号)は伝送受信部(B)で受信される。これにより、伝送受信部(B)で受信した伝送信号及び反射受信機(A)で受信した反射信号をそれぞれ、基準受信機(R)で受けた基準信号と比較して位相を検出する。また、基準信号との差から同軸管6に充填された液晶材料の反射係数(S11)と伝送係数(S21)を演算する。そして、上記までが順方向伝送の1サイクルとなり、設定値の範囲(0.1~26.5GHz)で周波数を変化させながら上記サイクルを繰り返す。また、上記サイクルは、port1から出力される順方向伝送とも称する。
【0049】
本実施形態において、ベクトルネットワークアナライザ2から液晶材料に対して伝搬させる電磁波(入射信号)の連続的に変化する周波数は、後述のとおり、例えば、0.1~26.5GHzの範囲であることが好ましい。また、本実施形態では、0.1から26.5GHzの範囲の周波数を複数回繰り返し(0.1から26.5GHzまで周波数を連続的増加させ、26.5GHzに到達した際、再び0.1から26.5GHzまで周波数を連続的増加させることを繰り返す)、当該周波数の電磁波(入射信号)を内部導体8に重畳させながら、同軸コンポーネント4a,bを用いてDC電源7から内部導体8に直流(DC)を印可することが必要である。
【0050】
また本実施形態では、上記のサイクルを
図2(a)に示す液晶分子10がランダム配向状態(基準電圧Vo以下の条件)と、
図2(b)に示す液晶分子10の長軸方向が特定の方向に配向した状態(実行電圧V以上の条件)とのそれぞれに対して行う。これにより、液晶材料中の液晶分子10の配向状態が異なる場合のそれぞれに対応する伝送係数(S21)を計測できる。
これにより、上記一般式(I)を用いることによって、内部導体8及び外部導体9間に印加された、基準電圧Vo以下の条件での伝送遅延時間t
0及び実行電圧V以上の条件での伝送遅延時間t
vを計測でき、両者の差分の絶対値からデルタディレイ値を測定する。
なお、ここでいう、反射係数(S11)及び伝送係数(S21)はSパラメータと称され、例えば、S11(反射係数)は、入射信号に対する反射信号の大きさと位相の変化量を表し、S21(伝送係数)は、入射信号に対する伝送信号の大きさと位相の変化量を表す。
【0051】
また、スイッチを反対方向に切り替えると、上記の順方向伝送と同様に、port2から出力される逆方向伝送により、被測定物である同軸管6に充填された液晶材料に対して(例えば、信号送信端子部R側から)入射信号が入力され、逆方向特性を測定する。これにより、逆方向の反射係数(S22)、伝送係数(S12)を演算する。
【0052】
本実施形態おいて、内部導体8と外部導体9との間に印加する実行電圧Vは、5V以上が好ましく、50~150Vが好ましい。また、伝送遅延特性は、印加した電圧が一定値(印加値)に達してから測定される。
【0053】
本実施形態において、ベクトルネットワークアナライザ2から液晶材料に対して伝搬させる電磁波(入射信号)の周波数は、好ましくは0.1~26.5GHzの範囲で連続的に変化させながら、0.1→26.5GHzの範囲を複数回繰り返して、内部導体8に重畳する。当該周波数範囲は測定に用いるベクトルネットワークアナライザ2の性能により決定するため、特性を得たい周波数帯を使用できるベクトルネットワークアナライザ2を選定することが必要である。
【0054】
<デルタディレイ測定系100の他の構成要素>
本実施形態において、DCブロック用コンデンサ3a,bは、直流電圧が重畳されている信号を計測する場合にベクトルネットワークアナライザ2への直流の阻止ができるものであれば、特に制限されることはない。また、アダプタ5a,bは、同軸管6と同軸コンポーネント4a,bと電気的に接続するため使用できるものであれば特に制限されることはない。同様に、DC電圧7も特に指定はないが、同軸コンポーネント4a,bを介して直流電圧(DC)を印可することが必要であり、内部導体8に印可する電圧に合ったDC電源7を選定することが必要である。
【0055】
〔デルタディレイの測定方法〕
本開示は、線状の内部導体8及び当該内部導体8が挿通される間隙を有する外部導体9を有する同軸管6を1本用いて、前記間隙中に充填された液晶材料中を電磁波が伝搬する伝送遅延時間の変化量であるデルタディレイの測定方法である。また、当該デルタディレイの測定方法は、液晶材料を準備する工程と、液晶材料を内部導体8と外部導体9との間に充填する工程と、基準電圧V0を内部導体8及び外部導体9間に印加した状態で連続的に変化する周波数の電磁波(入射信号)を液晶材料に伝搬させて計測される伝送遅延時間t0と、基準電圧V0より大きい実行電圧Vを内部導体8及び外部導体9間に印加した状態で液晶材料に(入射信号)を伝搬させて計測される伝送遅延時間tvとの差分である液晶材料のデルタディレイ値を算出する工程と、を備える。
【0056】
本実施形態におけるデルタディレイの測定方法は、液晶材料を準備した後、同軸管6の間隙である内部導体8及び外部導体9間に気泡が入らないように、同軸管6の間隙中に液晶材料を満たせばよい。また、液晶材料は、上記の工程(I)の欄で説明した材料と同様である。本実施形態のデルタディレイの測定方法においては、液晶材料は市販の化合物でも、あるいは合成した化合物であってもよい。
【0057】
本実施形態におけるデルタディレイの測定方法の手順としては、第1に、内部導体8と外部導体9との間に基準電圧V0以下の電圧を印加して(例えば、電圧を印加せず(無バイアス))上記で説明したデルタディレイの測定系100を用いて、S21を算出した後、上記式(I)から伝送遅延時間t0を求める。次いで、実行電圧V以上の電圧を印加して、上記で説明したデルタディレイの測定系100を用いて、S21を算出した後、上記式(I)から伝送遅延時間tvを求める。その後、伝送遅延時間t0と伝送遅延時間tvとの差の絶対値を算出することにより、デルタディレイ値を測定する。
【0058】
〔デルタディレイの測定装置〕
本開示は、線状の内部導体8、内部導体8が内部に挿通される外部導体9及び内部導体8と外部導体9との間に液晶材料を充填可能な間隙を有する同軸管6を1本と、同軸管6に電磁波の電気信号(=入射信号)を入力し、かつ当該電気信号に応答して出力された電磁波の出力信号(=伝送信号)を受信する電気信号送受信部(=反射受信機(A)及び伝送受信機(B))と、前記電気信号送受信部により送受信される前記電気信号及び前記出力信号を解析処理する解析処理部(=ベクトルネットワークアナライザ2及び処理装置)と、を有し、
前記解析処理部は、基準電圧V0を内部導体8及び外部導体9間に印加した状態で液晶材料に対して連続的に変化する周波数の電磁波(=入射信号)を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間t0と、基準電圧V0より大きい実行電圧Vを内部導体8及び外部導体間9に印加した状態で液晶材料に対して電磁波(=入射信号)を伝搬させることにより計測される伝送遅延時間tvとの差分である前記液晶材料のデルタディレイ値を算出することを特徴とする、デルタディレイ値の測定装置である。
したがって、当該デルタディレイ値の測定装置は、上記のデルタディレイの測定系100に対応するため、ここでの説明は省略する。
【0059】
〔液晶材料の物性値及び液晶材料に用いる化合物〕
液晶相上限温度(Tni)は、液晶組成物がネマチック相から等方相へ相転移する温度である。
Tniは、液晶組成物をスライドガラスとカバーガラスで挟持したプレパラートを作成し、ホットステージ上で加熱しながら偏光顕微鏡観察することで測定する。
また、示差走査熱量測定(DSC)により測定することもできる。
単位は「℃」を用いる。
Tniが高いほど高温でもネマチック相を維持することができ、駆動温度範囲を広く取ることができる。
本実施形態における液晶材料の液晶相上限温度(Tni)は、液晶表示素子の外温のコントロールが可能な屋内や自動車内などで使用する場合や屋外で使用する場合に応じて適宜設定することができるが、駆動温度範囲の観点から、50℃以上であることが好ましく、100~200℃であることが好ましく、110℃~180℃であることが好ましい。
【0060】
液晶相下限温度(T→n)は、液晶組成物が他の相(ガラス、スメクチック相、結晶相)からネマチック相へ相転移する温度である。
T→nは、液晶組成物をガラスキャピラリーに充填し、-70℃の冷媒に浸漬させて液晶組成物を他の相に相転移させ、温度を上昇させながら観察することで測定する。
また、示差走査熱量測定(DSC)により測定することもできる。
単位は「℃」を用いる。
T→nが低いほど低温でもネマチック相を維持することができるため、駆動温度範囲を広く取ることができる。
本実施形態における液晶材料の液晶相下限温度(T→n)は、駆動温度の観点から、10℃以下であることが好ましく、-70~0℃であることが好ましく、-45~-5℃であることが好ましい。
【0061】
Δn(屈折率異方性)は、対象とする波長の光の位相変調力に関する指標である。
25℃、589nmにおけるΔnはアッベ屈折計を用いて液晶組成物の異常光屈折率(ne)と常光屈折率(no)の差(ne-no)から求める。
また、位相差測定装置から、Δnを求めることもできる。
位相差Re、液晶層の厚さd及びΔnとの間には、Δn=Re/dの関係が成り立つ。
セルギャップ(d)が約3.0μmで、アンチパラレルラビング処理を施したポリイミド配向膜付きガラスセルに液晶組成物を注入し、面内のReを位相差フィルム・光学材料検査装置RETS-100(大塚電子株式会社製)で測定する。
測定は温度25℃、589nmの条件で行い、単位はない。
本実施形態における液晶材料の25℃、589nmにおけるΔnは、波長の光の位相変調力の観点から、0.20以上であることが好ましく、0.25~0.60であることが好ましく、0.30~0.55であることが好ましく、0.35~0.50であることが好ましい。
【0062】
回転粘度(γ1)は、液晶分子の回転に関わる粘性率である。
γ1は、液晶組成物をセルギャップ約10μmのガラスセルに充填し、LCM-2(東陽テクニカ製)を用いて測定することができる。
誘電率異方性が正の液晶組成物の場合は水平配向セル、誘電率異方性が負の液晶組成物の場合は垂直配向セルを使用する。
測定は温度25℃で行い、単位はmPa・sを用いる。
γ1が小さいほど液晶組成物の応答速度が速くなるためいずれの液晶表示素子においても好適である。
本実施形態における液晶材料の25℃における液晶組成物の回転粘度(γ1)は、応答速度の観点から、150~2000mPa・sであることが好ましく、200~1500mPa・sであることが好ましく、250~1000mPa・sであることが好ましい。
【0063】
閾値電圧(Vth)は、液晶組成物の駆動電圧に相関する。
Vthは、8.3μmギャップのTNセルに液晶組成物を充填し、電圧を印加した際の透過率から決定することができる。
測定は温度25℃で行い、単位は「V」を用いる。
Vthが低いほど低電圧で駆動できる。
本実施形態における液晶材料の25℃におけるVthは、駆動電圧の観点から、3.0V以下であることが好ましく、0.3~3.0Vであることが好ましく、0.5~2.7Vであることが好ましく、0.7~2.5Vであることが好ましく、0.9~2.3Vであることが好ましく、1.1~2.1Vであることが好ましく、1.3~2.1Vであることが好ましい。
【0064】
Δε(1kHz(キロヘルツ))は、Δε(1kHz)=ε∥-ε⊥で表される。
つまり、Δε(1kHz)は、誘電率ε∥と誘電率ε⊥の差であり、誘電率は分極のしやすさの指標である。
Δε(1kHz)は以下の方法により測定することができる。
まず、垂直配向処理されたセルに測定対象の液晶材料を封入して、液晶分子長軸の誘電率ε∥を測定し、次いで水平配向処理されたセルに測定対象の液晶材料を封入して、液晶分子短軸方向の誘電率ε⊥を測定する。
これらの測定値の差により、誘電率異方性Δε(1kHz)を求めることができる。
なお、誘電率はLCRメーターと呼ばれる誘電率測定装置を用いて測定周波数を1kHzにすることによって測定することができる。
また、測定は温度25℃で行い、単位はない。
本実施形態における液晶材料の25℃におけるΔε(1kHz)は、駆動電圧の観点から、1~25であることが好ましく、3~20であることが好ましく、5~15であることが好ましい。
【0065】
本実施形態における液晶材料は、0.01以上、好ましくは0.01~0.05、好ましくは0.015~0.045、好ましくは0.015~0.040、好ましくは0.020~0.035、好ましくは0.025~0.325のデルタディレイ値を有する。デルタディレイ値が0.01以上の液晶材料は電気的特性に優れる傾向を示す。
0.01以上のデルタディレイ値を有するためには、電場中の電子分極が、フッ素基又はシアノ基よりも大きい基を有する化合物を組み合わせることが必要となる。そのため、液晶材料は、イソチオシアネート基(-NCS)を有することが好ましい。
当該0.01以上のデルタディレイ値を有する液晶材料は、以下の一般式(i)~一般式(ii)で表される化合物からなる群から選択される化合物を1種又は2種以上含むことが好ましい。
液晶材料また、本実施形態における液晶材料は、一般式(i)~一般式(ii)で表される化合物からなる群から選択される1種の液晶化合物であっても、或いは2種以上の液晶化合物が混合された液晶組成物であってもよい。
【0066】
本開示に係る液晶材料は、インダン構造又はテトラリン構造とイソチオシアネート基(-NCS)を有する下記一般式(i)で表される化合物の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0067】
【0068】
一般式(i)中、Ri1は、水素原子又は炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~20のアルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-、-O-CO-CH=CH-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
例えば、Ri1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-S-に置換されることにより、炭素原子数1~19のチオアルコキシ基(アルキルチオ基、アルキルスルファニル基)を表すことができる。
当該チオアルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のチオアルコキシ基であり、直鎖状のチオアルコキシ基であることが好ましい。
当該チオアルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-C≡C-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルキニル基を表すことができる。
当該アルキニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル基であり、直鎖状のアルキニル基であることが好ましい。
当該アルキニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Ri1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
Ri1における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Ri1-1)~(Ri1-36)で表される基等が挙げられる。
【0069】
【0070】
式(Ri1-1)~(Ri1-36)中、黒点はインダン構造又はテトラリン構造への結合手を表す。
なお、Ri1としては、他の液晶化合物との相溶性の観点から、炭素原子数2~6の直鎖状のアルキル基が好ましい。
一般式(i)中、Ai1及びAi2は、それぞれ独立して、炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環のいずれかを表す。
炭素原子数3~16の炭化水素環又は炭素原子数3~16の複素環は、より具体的には、以下の基(a)、基(b)基(c)及び基(d):
(a)1,4-シクロへキシレン基(この基中に存在する1つの-CH2-又は隣接していない2つ以上の-CH2-は-O-又は-S-に置き換えられても良い。)
(b)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4-シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン-1,4-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基、フェナントレン-2,7-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基、ナフタレン-1,4-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1,4-ジイル基、アントラセン-2,6-ジイル基、アントラセン-1,4-ジイル基、アントラセン-9,10-ジイル基又はフェナントレン-2,7-ジイル基中に存在する1つの-CH=又は2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表すことが好ましい。
Ai1及びAi2中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基Si1によって置換されていてもよい。
置換基Si1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは3~6である。
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-及び/又は-CO-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-及び/又は-NH-CO-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、-O-CO-O-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-及び/又は-O-CO-CH=CH-で置換されても良い。
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
置換基Si1としては、フッ素原子又は炭素数1~3の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、Ai1及びAi2の少なくとも一つは少なくとも一つの置換基Si1で置換されていることが好ましい。
また、Ai2は、少なくとも一つの置換基Si1で置換されていることが好ましい。
なお、置換基Si1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
Ai1における置換基Si1の置換位置としては、下記式(Ai1-SP-1)~(Ai1-SP-2)のいずれかであることが好ましい。
【0071】
【0072】
式(Ai1-SP-1)~(Ai1-SP-2)中、白点はZi1への結合手を表し、黒点はZi2又はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
Ai2における置換基Si1の置換位置としては、下記式(Ai2-SP-1)~(Ai2-SP-2)のいずれかであることが好ましい。
【0073】
【0074】
式(Ai2-SP-1)~(Ai2-SP-2)中、白点はZi2への結合手を表し、黒点はZi2又はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
より具体的には、Ai1は、下記式(Ai1-1)~(Ai1-4)のいずれかを表すことが好ましい。
【0075】
【0076】
式(Ai1-1)~(Ai1-4)中、白点はZi1への結合手を表し、黒点はZi2又はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
より具体的には、Ai2は、下記式(Ai2-1)~(Ai2-3)のいずれかを表すことが好ましい。
【0077】
【0078】
式(Ai2-1)~(Ai2-3)中、白点はZi2への結合手を表し、黒点はZi2又はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
一般式(i)中、Li1及びLi2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数1から20のアルキル基のいずれかを表す。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~20のアルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-、-CF=CF-、-C≡C-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-及び/又は-NH-CO-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、-O-CO-O-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-及び/又は-O-CO-CH=CH-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基における1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
例えば、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-S-に置換されることにより、炭素原子数1~19のチオアルコキシ基(アルキルチオ基、アルキルスルファニル基)を表すことができる。
当該チオアルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のチオアルコキシ基であり、直鎖状のチオアルコキシ基であることが好ましい。
当該チオアルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-C≡C-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルキニル基を表すことができる。
当該アルキニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル基であり、直鎖状のアルキニル基であることが好ましい。
当該アルキニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
Li1及びLi2は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
Li1及びLi2における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Li1/2-1)~(Li1/2-36)で表される基等が挙げられる。
【0079】
【0080】
式(Li1/2-1)~(Li1/2-36)中、黒点はインダン構造又はテトラリン構造への結合手を表す。
他の液晶化合物との相溶性の観点から、Li1及びLi2の少なくとも一つは、フッ素原子であることが好ましく、Li1及びLi2が共にフッ素原子であることが好ましい。
Zi1及びZi2は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表す。
当該アルキレン基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。
当該アルキレン基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-CF2-及び/又は-CO-で置換されていてもよい。
また、当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH3)-、-C(CH3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-CO-O-及び/又は-O-CO-で置換されてもよい。
また、当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=N-N=CH-で置換されていてもよい。
但し、当該アルキレン基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
炭素原子数2~20のアルキレン基の具体例(置換されたものも含む)としては、式(Zi1/2-1)~(Zi1/2-24)で表される基等が挙げられる。
【0081】
【0082】
式(Zi1/2-1)~(Zi1/2-24)中、白点はインダン構造、テトラリン構造、Ai1又はAi2への結合手を表し、黒点はAi1又はAi2への結合手を表す。
Zi1及びZi2の少なくとも一つは、式(Zi1/2-4)(-C≡C-)あることが好ましく、Zi1及びZi2が共に式(Zi1/2-4)(-C≡C-)であることが好ましい。
一般式(i)中、mi1は、0~1の整数を表す。
他の液晶化合物との相溶性、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、mi1は、1を表すことが好ましい。
一般式(i)中、ni1は、0~3の整数を表す。
他の液晶化合物との相溶性、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、ni1は、1又は2であることが好ましい。
Ai2又はZi2が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(i)で表される化合物としては、下記一般式(i-1)~(i-3)で表される化合物であることが好ましい。
【0083】
【0084】
一般式(i-1)~(i-3)中、Ri1、Ai1、Ai2、Zi1、Li1及びLi2は、上記一般式(i)中のRi1、Ai1、Ai2、Zi1、Li1及びLi2とそれぞれ同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-1)で表される化合物としては、下記一般式(i-1-a)~(i-1-f)で表される化合物であることが好ましい。
【0085】
【0086】
【0087】
一般式(i-1-a)~(i-1-f)中、Ri1、Si1、Li1及びLi2は、それぞれ独立して、上記一般式(i)中のRi1、Si1、Li1及びLi2と同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
一般式(i-1-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-a.1)~(i-1-a.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0088】
【0089】
一般式(i-1-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-b.1)~(i-1-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0090】
【0091】
一般式(i-1-c)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-c.1)~(i-1-c.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0092】
【0093】
一般式(i-1-d)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-d.1)~(i-1-d.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0094】
【0095】
一般式(i-1-e)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-e.1)~(i-1-e.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0096】
【0097】
一般式(i-1-f)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-1-f.1)~(i-1-f.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0098】
【0099】
一般式(i-2)で表される化合物としては、下記一般式(i-2-a)~(i-2-d)で表される化合物であることが好ましい。
【0100】
【0101】
一般式(i-2-a)~(i-2-d)中、Ri1、Si1、Li1及びLi2は、それぞれ独立して、上記一般式(i)中のRi1、Si1、Li1及びLi2と同じ意味を表し、好ましい基も同じものを表す。
【0102】
一般式(i-2-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-a.1)~(i-2-a.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0103】
【0104】
一般式(i-2-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-b.1)~(i-2-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0105】
【0106】
一般式(i-2-c)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-c.1)~(i-2-c.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0107】
【0108】
一般式(i-2-d)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-2-d.1)~(i-2-d.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0109】
【0110】
一般式(i-3)で表される化合物としては、下記一般式(i-3-a)~(i-3-b)で表される化合物であることが好ましい。
【0111】
【0112】
一般式(i-3-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-a.1)~(i-3-a.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0113】
【0114】
一般式(i-3-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(i-3-b.1)~(i-3-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0115】
【0116】
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-3)、一般式(i-1-a)~(i-1-f)、一般式(i-2-a)~(i-2-d)、一般式(i-3-a)~(i-3-b)、構造式(i-1-a.1)~(i-1-a.3)、構造式(i-1-b.1)~(i-1-b.3)、構造式(i-1-c.1)~(i-1-c.3)、構造式(i-1-d.1)~(i-1-d.3)、構造式(i-1-e.1)~(i-1-e.3)、構造式(i-1-f.1)~(i-1-f.3)、構造式(i-2-a.1)~(i-2-a.3)、構造式(i-2-b.1)~(i-2-b.3)、構造式(i-2-c.1)~(i-2-c.3)、構造式(i-2-d.1)~(i-2-d.3)、構造式(i-3-a.1)~(i-3-a.3)又は構造式(i-3-b.1)~(i-3-b.3)で表される化合物の液晶組成物に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~5種、好ましくは1~4種、好ましくは1~3種、好ましくは1~2種、好ましくは1種である。
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-3)、一般式(i-1-a)~(i-1-f)、一般式(i-2-a)~(i-2-d)、一般式(i-3-a)~(i-3-b)、構造式(i-1-a.1)~(i-1-a.3)、構造式(i-1-b.1)~(i-1-b.3)、構造式(i-1-c.1)~(i-1-c.3)、構造式(i-1-d.1)~(i-1-d.3)、構造式(i-1-e.1)~(i-1-e.3)、構造式(i-1-f.1)~(i-1-f.3)、構造式(i-2-a.1)~(i-2-a.3)、構造式(i-2-b.1)~(i-2-b.3)、構造式(i-2-c.1)~(i-2-c.3)、構造式(i-2-d.1)~(i-2-d.3)、構造式(i-3-a.1)~(i-3-a.3)又は構造式(i-3-b.1)~(i-3-b.3)で表される化合物の液晶組成物100質量%中の合計含有量は、0.5~100質量%であることが好ましく、1~50質量%であることが好ましく、1.5~25質量%であることが好ましい。
一般式(i)、一般式(i-1)~(i-3)、一般式(i-1-a)~(i-1-f)、一般式(i-2-a)~(i-2-d)、一般式(i-3-a)~(i-3-b)、構造式(i-1-a.1)~(i-1-a.3)、構造式(i-1-b.1)~(i-1-b.3)、構造式(i-1-c.1)~(i-1-c.3)、構造式(i-1-d.1)~(i-1-d.3)、構造式(i-1-e.1)~(i-1-e.3)、構造式(i-1-f.1)~(i-1-f.3)、構造式(i-2-a.1)~(i-2-a.3)、構造式(i-2-b.1)~(i-2-b.3)、構造式(i-2-c.1)~(i-2-c.3)、構造式(i-2-d.1)~(i-2-d.3)、構造式(i-3-a.1)~(i-3-a.3)又は構造式(i-3-b.1)~(i-3-b.3)で表される化合物は、公知の合成方法を用いて合成することができる。
(一般式(ii)で表される化合物)
本開示に係る液晶材料は、イソチオシアネート基(-NCS)を有する下記一般式(ii)で表される化合物の1種又は2種以上を含むことが好ましい。
【0117】
【0118】
一般式(ii)中、Rii1は、炭素原子数1~20のアルキル基を表す。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又は-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、-O-CO-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
例えば、Rii1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換されることにより、炭素原子数1~19のアルコキシ基を表すことができる。
当該アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルコキシ基であり、直鎖状のアルコキシ基であることが好ましい。
当該アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-S-に置換されることにより、炭素原子数1~19のチオアルコキシ基(アルキルチオ基、アルキルスルファニル基)を表すことができる。
当該チオアルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のチオアルコキシ基であり、直鎖状のチオアルコキシ基であることが好ましい。
当該チオアルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルケニル基を表すことができる。
当該アルケニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基であり、直鎖状のアルケニル基であることが好ましい。
当該アルケニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-C≡C-に置換されることにより、炭素原子数2~20のアルキニル基を表すことができる。
当該アルキニル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキニル基であり、直鎖状のアルキニル基であることが好ましい。
当該アルキニル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ一つ又は2つ以上の-CH2-CH2-が、-CH=CH-に置換されることにより、炭素原子数2~19のアルケニルオキシ基を表すことができる。
当該アルケニルオキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルケニルオキシ基であり、直鎖状のアルケニルオキシ基であることが好ましい。
当該アルケニルオキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~20のハロゲン化アルキル基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルキル基であり、直鎖状のハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
また、Rii1は、当該アルキル基中の1つの-CH2-が-O-に置換され、且つ当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されることにより、炭素原子数1~19のハロゲン化アルコキシ基を表すことができる。
当該ハロゲン化アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のハロゲン化アルコキシ基であり、直鎖状のハロゲン化アルコキシ基であることが好ましい。
当該ハロゲン化アルコキシ基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
Rii1における炭素原子数1~20のアルキル基(置換されたものも含む)の具体例としては、式(Rii1-1)~(Rii1-36)で表される基等が挙げられる。
【0119】
【0120】
式(Rii12-1)~(Rii1-36)中、黒点はAii1への結合手を表す。
Rii1が結合する環構造がフェニル基(芳香族)である場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び炭素原子数4~5のアルケニル基が好ましく、Ri1が結合する環構造がシクロヘキサン、ピラン及びジオキサンなどの飽和した環構造の場合には、直鎖状の炭素原子数1~5のアルキル基、直鎖状の炭素原子数1~4のアルコキシ基及び直鎖状の炭素原子数2~5のアルケニル基が好ましい。
また、Rii1としては、ネマチック相を安定化させるためには、炭素原子及び存在する場合の酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
なお、Rii1としては、他の液晶化合物との相溶性の観点から、炭素原子数2~8の直鎖状のアルキル基又は炭素原子数2~8の直鎖状のアルコキシ基が好ましい。
一般式(ii)中、Aii1及びAii2は、それぞれ独立して、以下の基(a)、基(b)、基(c)及び基(d):
(a) 1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1つの-CH2-又は非隣接の2つ以上の-CH2-は-O-及び/又は-S-に置き換えられてもよい。)、
(b) 1,4-フェニレン基(この基中に存在する1つの-CH=又は非隣接の2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
(c) ナフタレン-2,6-ジイル基、又はデカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1つの-CH=又は非隣接の2つ以上の-CH=は-N=に置換されていてもよい。)
(d)チオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,5-ジイル基、ベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、ジベンゾチオフェン-3,7-ジイル基、ジベンゾチオフェン-2,6-ジイル基、チエノ[3,2-b]チオフェン-2,5-ジイル基(この基中に存在する1つの-CH=又は隣接していない2つ以上の-CH=は-N=に置き換えられても良い。)
からなる群より選ばれる基を表す。
Aii1及びAii2中の一つ又は二つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、置換基Sii1により置換されていてもよい。
置換基Sii1は、ハロゲン原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基又は炭素原子数1~20のアルキル基のいずれかを表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素原子数1~20のアルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
炭素原子数1~20のアルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~10、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-S-、-CO-及び/又-CS-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CO-S-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CH=CH-、-CF=CF-及び/又は-C≡C-で置換されていてもよい。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよい。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH=CH-CO-O-、-CH=CH-O-CO-、-CO-O-CH=CH-、-O-CO-CH=CH-で置換されていてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子に置換されていてもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
但し、当該アルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
置換基Sii1としては、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
また、Aii1の少なくとも一つ又はAii2は、少なくとも一つの置換基Sii1で置換されていることが好ましい。
なお、置換基Sii1が複数ある場合は、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
Aii1における置換基Sii1の置換位置としては、下記式(Aii1-SP-1)~(Aii1-SP-4)のいずれかであることが好ましい。
【0121】
【0122】
式(Aii1-SP-1)~(Aii1-SP-4)中、白点はRii1又はZii1への結合手を表し、黒点はZii1への結合手を表す。
Aii2における置換基Sii1の置換位置としては、下記式(Aii2-SP-1)~(Aii2-SP-7)のいずれかであることが好ましい。
【0123】
【0124】
式(Aii2-SP-1)~(Aii2-SP-7)中、白点はZii1への結合手を表し、黒点はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
より具体的には、Aii1は、下記式(Aii1-1)~(Aii1-6)いずれかを表すことが好ましい。
【0125】
【0126】
式(Aii1-1)~(Aii1-6)中、白点はRii1又はZii1への結合手を表し、黒点はZii1への結合手を表す。
より具体的には、Aii2は、下記式(Aii2-1)~(Aii2-5)のいずれかを表ことが好ましい。
【0127】
【0128】
式(Aii2-1)~(Aii2-5)中、白点はZii1への結合手を表し、黒点はイソチオシアネート基(-NCS)への結合手を表す。
一般式(ii)中、Zii1は、単結合、炭素原子数1~20のアルキレン基のいずれかを表す。
当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-CH=CH-、-CF=CF-、-CH=C(CH3)-、-C(CH3)=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-N=N-、-C≡C-、-CO-O-及び/又は-O-CO-で置換されてもよい。
また、当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-O-CO-O-で置換されていてもよい。
また、当該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-CH2-CH2-は、それぞれ独立して、-C(Ria)=N-N=C(Rib)-で置換されていてもよい。
但し、炭素原子数1~10のアルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
Ria及びRibは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
当該アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、直鎖状のアルキル基であることが好ましい。
当該アルキル基における炭素原子数は、好ましくは2~8、好ましくは2~6である。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-は、それぞれ独立して、-O-、-CO-及び/又は-S-で置換されていてもよい。
当該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH2-CH2-は、-CH=CH-、-CO-O-、-O-CO-及び/又は-C≡C-で置換されてもよい。
但し、炭素原子数1~10のアルキル基が所定の基により置換される場合においては、酸素原子と酸素原子が直接結合することはない。
また、化合物の安定性の観点から、硫黄原子と硫黄原子及び/又は酸素原子と硫黄原子が直接結合することはないことが好ましい。
炭素原子数1~20のアルキレン基の具体例(置換されたものも含む)としては、式(Zii1-1)~(Zii1-24)で表される基等が挙げられる。
【0129】
【0130】
式(Zii1-1)~(Zii1-24)中、白点はAii1への結合手を表し、黒点はAii1又はAii2への結合手を表す。
一般式(ii)中、nii1は、1~4、好ましくは1~2の整数を表す。
nii1が1である場合においては、Zii1は単結合又は-C≡C-を表すことが好ましい。
また、nii1が2である場合においては、Zii1の少なくとも一つは-C≡C-を表すことが好ましい。
なお、一般式(ii)において、Aii1及びZii1が複数存在する場合は、それらはそれぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
一般式(ii)で表される化合物としては、下記一般式(ii-1)~(ii-5)で表される化合物であることが好ましい。
【0131】
【0132】
一般式(ii-1)~(ii-5)中、Rii1、Aii1及びAii2は、上記一般式(ii)中のRii1、Aii1及びAii2とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-3)~(ii-6)中、Aii1-2の定義は、上記一般式(ii)中のAii1の定義に同じである。
一般式(ii-1)で表される化合物としては、下記一般式(ii-1-a)で表される化合物であることが好ましい。
【0133】
【0134】
一般式(ii-1-a)中、Rii1は、それぞれ独立して、上記一般式(ii)中のRii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-1-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-1-a.1)~(ii-1-a.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0135】
【0136】
一般式(ii-2)で表される化合物としては、下記一般式(ii-2-a)~(ii-2-c)で表される化合物であることが好ましい。
【0137】
【0138】
一般式(ii-2-a)~(ii-2-c)中、Rii1及びSii1は、それぞれ独立して、上記一般式(i)中のRii1及びSii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-2-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-2-a.1)~(ii-2-a.5)で表される化合物等が挙げられる。
【0139】
【0140】
一般式(ii-2-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-2-b.1)~(ii-2-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0141】
【0142】
一般式(ii-2-c)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-2-c.1)~(ii-2-c.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0143】
【0144】
一般式(ii-3)で表される化合物としては、下記一般式(ii-3-a)~(ii-3-d)で表される化合物であることが好ましい。
【0145】
【0146】
一般式(ii-3-a)~(ii-3-d)中、Rii1及びSii1は、それぞれ独立して、上記一般式(ii)中のRii1及びSii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-3-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-3-a.1)~(ii-3-a.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0147】
【0148】
一般式(ii-3-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-3-b.1)~(ii-3-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0149】
【0150】
一般式(ii-3-c)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-3-c.1)~(ii-3-c.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0151】
【0152】
一般式(ii-3-d)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-3-d.1)で表される化合物等が挙げられる。
【0153】
【0154】
一般式(ii-4)で表される化合物としては、下記一般式(ii-4-a)~(ii-4-d)で表される化合物であることが好ましい。
【0155】
【0156】
一般式(ii-4-a)~(ii-4-d)中、Rii1及びSii1は、それぞれ独
立して、上記一般式(ii)中のRii1及びSii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-4-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-4-a.1)~(ii-4-a.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0157】
【0158】
一般式(ii-4-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-4-b.1)~(ii-4-b.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0159】
【0160】
一般式(ii-4-c)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-4-c.1)~(ii-4-c.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0161】
【0162】
一般式(ii-4-d)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-4-d.1)~(ii-4-d.3)で表される化合物等が挙げられる。
【0163】
【0164】
一般式(ii-5)で表される化合物としては、下記一般式(ii-5-a)~(ii-5-b)で表される化合物であることが好ましい。
【0165】
【0166】
一般式(ii-5-a)~(ii-5-b)中、Rii1及びSii1は、それぞれ独立して、上記一般式(ii)中のRii1及びSii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-5-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-5-a.1)~(ii-5-a.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0167】
【0168】
一般式(ii-5-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-5-b.1)~(ii-5-b.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0169】
【0170】
一般式(ii-6)で表される化合物としては、下記一般式(ii-6-a)~(ii-6-b)で表される化合物であることが好ましい。
【0171】
【0172】
一般式(ii-6-a)~(ii-6-b)中、Rii1及びSii1は、それぞれ独立して、上記一般式(ii)中のRii1及びSii1とそれぞれ同じ意味を表す。
一般式(ii-6-a)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-6-a.1)~(ii-6-a.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0173】
【化56】
一般式(ii-6-b)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(ii-6-b.1)~(ii-6-b.4)で表される化合物等が挙げられる。
【0174】
【0175】
一般式(ii-1)、一般式(ii-1-a)又は構造式(ii-1-a.1)~(ii-1-a.4)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-1)、一般式(ii-1-a)又は構造式(ii-1-a.1)~(ii-1-a.4)で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、1~40質量%であることが好ましく、2~35質量%であることが好ましく、3~30質量%であることが好ましい。
一般式(ii-2)、一般式(ii-2-a)~(ii-2-c)、構造式(ii-2-a.1)~(ii-2-a.5)、構造式(ii-2-b.1)~(ii-2-b.3)又は構造式(ii-2-c.1)~(ii-2-c.3)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-2)、一般式(ii-2-a)~(ii-2-c)、構造式(ii-2-a.1)~(ii-2-a.5)、構造式(ii-2-b.1)~(ii-2-b.3)又は構造式(ii-2-c.1)~(ii-2-c.3)で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、5~70質量%であることが好ましく、10~65質量%であることが好ましく、15~60質量%であることが好ましい。
一般式(ii-3)、一般式(ii-3-a)~(ii-3-d)、構造式(ii-3-a.1)~(ii-3-a.4)、構造式(ii-3-b.1)~(ii-3-b.3)、構造式(ii-3-c.1)~(ii-3-c.3)又は構造式(ii-3-d.1)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-3)、一般式(ii-3-a)~(ii-3-d)、構造式(ii-3-a.1)~(ii-3-a.4)、構造式(ii-3-b.1)~(ii-3-b.3)、構造式(ii-3-c.1)~(ii-3-c.3)又は構造式(ii-3-d.1)で表される化合物で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、20~65質量%であることが好ましく、25~60質量%であることが好ましく、30~55質量%であることが好ましい。
一般式(ii-4)、一般式(ii-4-a)~(ii-4-d)、構造式(ii-4-a.1)~(ii-4-a.3)、構造式(ii-4-b.1)~(ii-4-b.3)、構造式(ii-4-c.1)~(ii-4-c.3)又は構造式(ii-4-d.1)~(ii-4-d.3)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-4)、一般式(ii-4-a)~(ii-4-d)、構造式(ii-4-a.1)~(ii-4-a.3)、構造式(ii-4-b.1)~(ii-4-b.3)、構造式(ii-4-c.1)~(ii-4-c.3)又は構造式(ii-4-d.1)~(ii-4-d.3)で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、1~30質量%であることが好ましく、3~25質量%であることが好ましく、5~20質量%であることが好ましい。
一般式(ii-5)、一般式(ii-5-a)~(ii-5-b)、構造式(ii-5-a.1)~(ii-5-a.4)又は構造式(ii-5-b.1)~(ii-5-b.4)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-5)、一般式(ii-5-a)~(ii-5-b)、構造式(ii-5-a.1)~(ii-5-a.4)又は構造式(ii-5-b.1)~(ii-5-b.4)で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、5~45質量%であることが好ましく、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが好ましい。
一般式(ii-6)、一般式(ii-6-a)~(ii-6-b)、構造式(ii-6-a.1)~(ii-6-a.4)又は構造式(ii-6-b.1)~(ii-6-b.4)で表される化合物の液晶材料に用いる種類は、1種又は2種以上、好ましくは1~20種、好ましくは1~15種、好ましくは1~10種、好ましくは1~5種である。
一般式(ii-6)、一般式(ii-6-a)~(ii-6-b)、構造式(ii-6-a.1)~(ii-6-a.4)又は構造式(ii-6-b.1)~(ii-6-b.4)で表される化合物の液晶材料100質量%中の合計含有量は、他の液晶組成物との相溶性の観点から、1~25質量%であることが好ましく、3~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることが好ましい。
一般式(ii)、一般式(ii-1)~(ii-6)、一般式(ii-1-a)、一般式(ii-2-a)~(ii-2-c)、一般式(ii-3-a)~(ii-3-d)、一般式(ii-4-a)~(ii-4-d)、一般式(ii-5-a)~(ii-5-b)、一般式(ii-6-a)~(ii-6-b)、構造式(ii-1-a.1)~(ii-1-a.4)、構造式(ii-2-a.1)~(ii-2-a.5)、構造式(ii-2-b.1)~(ii-2-b.3)、構造式(ii-2-c.1)~(ii-2-c.3)、構造式(ii-3-a.1)~(ii-3-a.4)、構造式(ii-3-b.1)~(ii-3-b.3)、構造式(ii-3-c.1)~(ii-3-c.3)、構造式(ii-3-d.1)、構造式(ii-4-a.1)~(ii-4-a.3)、構造式(ii-4-b.1)~(ii-4-b.3)、構造式(ii-4-c.1)~(ii-4-c.3)、構造式(ii-4-d.1)~(ii-4-d.3)、構造式(ii-5-a.1)~(ii-5-a.4)、構造式(ii-5-b.1)~(ii-5-b.4)、構造式(ii-6-a.1)~(ii-6-a.4)又は構造式(ii-6-b.1)~(ii-6-b.4)で表される化合物は、公知の合成方法を用いて合成することができる。
【0176】
本開示に係る液晶材料に用いる化合物の組み合わせとしては、回転粘度(γ1)低減の観点から、A)一般式(i)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii-1)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii-2)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii-3)で表される化合物(下位概念を含む)と、一般式(ii-5)で表される化合物(下位概念を含む)との組み合わせ、B)一般式(ii-1)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-2)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-3)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-5)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上との組み合わせ、C)一般式(ii-1)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-2)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-5)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上との組み合わせ、D)一般式(ii-1)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-2)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-3)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上と、一般式(ii-5)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上との組み合わせ、一般式(ii-6)で表される化合物(下位概念を含む)の1種又は2種以上との組み合わせが好ましい。
また、本開示に係る液晶材料は、液晶化合物としてイソチオシアネート基(-NCS)を有する化合物のみを含むことが好ましい。
【0177】
(液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ)
本発明により製造した液晶材料は、液晶表示素子、センサ(好ましくはLiDAR(Light Detection And Ranging)用の測距センサ)、液晶レンズ、光通信機器、アンテナ等に用いることができる。とりわけ、マイクロ波帯のアンテナ用途に好適である。
【実施例0178】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例及び比較例で使用した測定及び評価に使用する機器>
・第一の同軸管(実施例の同軸管6、比較例(基準の同軸管)):
構成キット長(同軸管本体における液晶材料充填部の長軸方向の長さ)(30mm) 内寸Φ(内径)3mm 中心導線径φ1mm 内容積0.19cc
・同軸管(比較例(比較の同軸管)):
試料キット長(同軸管本体における液晶材料充填部の長軸方向の長さ)(80mm) 内寸Φ(内径)3mm 中心導線径φ1mm 内容積0.50cc
・ベクトルネットワークアナライザ:キーサイトテクノロジー株式会社製「P5005A」のベクトルネットワークアナライザを使用した。
・電源:菊水電子工業株式会社製「PMX250」のDC(直流)電源を使用した。
・処理装置:東芝株式会社製「Dynabook BZ55」のパーソナルコンピュータを使用した。
・DCブロック用コンデンサ:Pasternack,Inc.社製「PE8225」のDCブロックを使用した。
・同軸コンポーネント:Auriga Microwave社製「BT1026-1」のBias Teeを使用した。
【0179】
<実施例及び比較例で用いた各材料>
以下の実施例及び比較例の組成物は各化合物を表中の割合で含有し、含有量は「質量%」で記載した。
以下の化合物の記載は、以下の略号を用いる。なお、シス体とトランス体を取りうる化合物は、特に断りがない限りトランス体を表す。
<環構造>
【0180】
【0181】
<末端構造>
【0182】
【表1】
(ただし、表中のnは自然数である。)
<連結構造>
【0183】
【0184】
(実施例)
<液晶材料の調製又は準備>
液晶材料として、以下の表3に記載の組成比の液晶材料(a)及び(b)を調製した。
なお、液晶材料(a)及び(b)は共に25℃において、液体であり、ネマチック相を示した。
【0185】
【0186】
<デルタディレイ値の測定>
-液晶材料(a)のデルタディレイ値の測定-
次に、
図1と同様の回路網になるように、円柱状の同軸管6以外の上記の「使用する機器」の欄に記載の機器をそれぞれ配置、接続して、デルタディレイ測定系(測定機構)を構成した。そして、内径3mm、同軸管本体における液晶材料充填部の長軸方向の長さ30mmの管状の外部導体9中に直径1mmの中心導線8が内装された同軸管6の間隙内に気泡が入らないように上記液晶材料(a)を満たした。その後、液晶材料(a)を充填した同軸管6をベクトルネットワークアナライザ2と接続した後、まずは電圧を印可しない状態での群遅延量である無バイアス下の伝送遅延時間(t
0)を測定した。この際に13GHzにおける無バイアス下の伝送遅延時間(t
0)は、0.3211(nsec)であった。
その後、同軸コンポーネント(バイアスT)4a,b間に実行電圧(100Vの直流)を印可し、同様に100Vの直流下の群遅延量である実行電圧下での伝送遅延時間(t
v)を測定したところ、13GHzにおける実行電圧下の伝送遅延時間(t
v)は、0.3290nsecであった。
その後、同様の測定をさらに2回行い、合計3回の無バイアス下の伝送遅延時間(t
0)及び実行電圧下の伝送遅延時間(t
v)をそれぞれ測定した。
そして、得られた無バイアス下の伝送遅延時間(t
0)及び実行電圧下の伝送遅延時間(t
v)の値を、処理装置1のパーソナルコンピュータを用いて演算処理・解析を行い、液晶材料(a)のデルタディレイ値(Δt=|t
v-t
0|)を算出した。なお、伝送遅延時間(t
v)及び伝送遅延時間(t
0)の測定は、液晶材料が室温(25℃)の条件の下に行った。また、デルタディレイ値の測定において液晶材料(a)を充填した同軸管6をベクトルネットワークアナライザ2と接続した後は終始、ベクトルネットワークアナライザ2から液晶材料に対して、0.1から26.5GHzの範囲の周波数(0.1から26.5GHzまで周波数を連続的増加させ、26.5GHzに到達した際、再び0.1から26.5GHzまで周波数を連続的増加させることを繰り返す)の電磁波(入射信号)を伝搬させていた。その結果を実施例1として表4に示す。
【0187】
-液晶材料(b)のデルタディレイ値の測定-
同軸管6の間隙内に気泡が入らないように上記液晶材料(b)を満たす以外は上記液晶材料(a)のデルタディレイ値の測定方法と同様にして、合計3回の無バイアス下の伝送遅延時間(t0)及び実行電圧下の伝送遅延時間(tv)を測定した後、液晶材料(b)デルタディレイ値(Δt=|tv-t0|)を算出した。その結果を実施例2として表5に示す。
【0188】
(比較例)
-液晶材料(a)の誘電率異方性(Δε)の測定方法-
比較例で使用した誘電率異方性(Δε)測定機構は、同軸管6以外上記実施例で使用したデルタディレイ値の測定機構と同一のものを使用した。液晶材料(a)の誘電率異方性(Δε)の測定では、2つの円柱状の同軸管を使用した。一方は、基準の同軸管として長さ30mmの同軸管を用い、他方は、前記基準の同軸管と同じ直径で長さが80mmの同軸管を比較の同軸管とした。そして、この2つの同軸管に液晶材料(a)をそれぞれ充填した後、「有機分子エレクトロニクスの現状と将来展望論文小特集(10kHz~40GHzにおけるネマチック液晶の誘電測定と可変遅延線への応用)亀井 利久著、第1150頁~第1151頁)に記載の同軸管法に従って誘電率異方性を算出した。具体的には、当該誘電率異方性の測定は、まず、中心導線に電圧を印可しない状態で、30mmの同軸管と80mmの同軸管との測定結果から、13GHzにおけるΔτgとL(ΔL)を求めた。次に中心導線に100VのDC電圧を印可した状態で、同様に13GHzにおけるΔτgとL(ΔL)を求めて、液晶材料(a)の誘電率異方性(Δε)を算出した。なお、誘電率異方性(Δε)の測定は、液晶材料が室温(25℃)の条件の下に行った。その結果を比較例1として表4に示す。また、液晶材料(a)の誘電率異方性(Δε)の測定はそれぞれ3回行った。
【0189】
-液晶材料(b)の誘電率異方性(Δε)の測定方法-
同軸管6の間隙内に気泡が入らないように上記液晶材料(b)を満たす以外は、上記液晶材料(a)の誘電率異方性(Δε)の測定方法と同様にして、合計3回の誘電率異方性(Δε)を測定した。その結果を比較例2として表5に示す。
【0190】
【0191】
【0192】
<デルタディレイ値の確認>
上記表2及び表3の結果から、デルタディレイ値は、誘電率異方性(Δε)の値より変動係数が極めて低いことが確認される。したがって、特定のデルタディレイ値を有する液晶材料であるということは、特定の誘電率異方性(Δε)の値を有する液晶材料と比べて、電気的に均質であることが確認される。特に、実施例2の液晶材料(b)は、実施例1の液晶材料(a)より、デルタディレイが大きくなっても、デルタディレイの変動係数が小さく、電気的により均質な液晶材料を提供することができることが確認された。
【0193】
更に液晶材料として、以下の表6に記載の組成比の液晶材料(c)~(h)を調製した。なお、液晶材料(c)~(h)はいずれも25℃において、液体であり、ネマチック相を示した。
そして、液晶材料(c)~(h)を用いて液晶材料(a)及び(b)と同様にデルタディレイ値及び誘電率異方性(Δε)を測定した。結果を表6~12に示す。
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【0200】
【0201】
表6~12の結果から、複数種の化合物を用いた組成物であっても、デルタディレイ値は、誘電率異方性(Δε)の値より変動係数が極めて低いことが確認された。したがって、特定のデルタディレイ値を有する液晶材料であるということは、特定の誘電率異方性(Δε)の値を有する液晶材料と比べて、電気的に均質であることが確認された。特に、実施例3~8の液晶材料(c)~(h)は、デルタディレイ値が大きくなっても、デルタディレイ値の変動係数が小さく、電気的により均質な液晶材料を提供することができることが確認された。また、デルタディレイ値が大きい(遅延時間が長い)ため、電磁波の送受信角度のレンジを大きく確保することが期待できる。
本発明の液晶材料の製造方法は、液晶表示素子、センサ、液晶レンズ、光通信機器及びアンテナ等に利用することができる。とりわけ、マイクロ波帯のアンテナ用途に好適である。