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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185038
(43)【公開日】2022-12-13
(54)【発明の名称】培養支援装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/38 20060101AFI20221206BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
C12M1/38 Z
C12M1/34 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022155821
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2020502064の分割
【原出願日】2019-01-04
(31)【優先権主張番号】P 2018029336
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 侑也
(72)【発明者】
【氏名】大谷 直也
(72)【発明者】
【氏名】高橋 聡志
(72)【発明者】
【氏名】小池 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清田 泰次郎
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細胞の培養状態を的確に評価することができる培養支援装置を提供する。
【解決手段】培養支援装置は、細胞の培養過程の第1の時期における細胞の培養状態に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、第1の時期より後の第2の時期における細胞の培養状態に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルの選択に用いられるパラメータを取得するパラメータ取得部と、パラメータ取得部が取得するパラメータと、第1情報取得部が取得する第1情報と、第2情報取得部が取得する第2情報と、培養プロトコルによる細胞の培養結果と培養プロトコルとの関連性が学習された学習結果とに基づいて培養プロトコルを提示する培養プロトコル提示部と、を備える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞の培養過程の第1の時期における細胞の培養状態に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、
前記第1の時期より後の第2の時期における細胞の培養状態に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、
細胞の培養の条件を示す培養プロトコルの選択に用いられるパラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記パラメータ取得部が取得する前記パラメータと、前記第1情報取得部が取得する前記第1情報と、前記第2情報取得部が取得する前記第2情報と、前記培養プロトコルによる前記細胞の培養結果と前記培養プロトコルとの関連性が学習された学習結果とに基づいて前記培養プロトコルを提示する培養プロトコル提示部と、
を備える培養支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養支援装置に関する。
本願は、2018年2月22日に、日本に出願された特願2018-029336号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、細胞の培養状態を評価する技術は、再生医療などの先端医療分野や医薬品のスクリーニングを含む幅広い分野での基盤技術となっている。例えば、再生医療分野では、in vitroで細胞を増殖、分化させるプロセスが存在する。そして、上述のプロセスでは、細胞の分化の成否、細胞の癌化や感染の有無などの、細胞の培養状態を的確に評価することが求められる。一例として、細胞が撮像された画像を画像処理することによって、細胞の培養状態を判定する方法が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-229619号公報
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、細胞の培養過程の第1の時期における細胞の培養状態に関する第1情報を取得する第1情報取得部と、前記第1の時期より後の第2の時期における細胞の培養状態に関する第2情報を取得する第2情報取得部と、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルの選択に用いられるパラメータを取得するパラメータ取得部と、前記パラメータ取得部が取得する前記パラメータと、前記第1情報取得部が取得する前記第1情報と、前記第2情報取得部が取得する前記第2情報と、前記培養プロトコルによる前記細胞の培養結果と前記培養プロトコルとの関連性が学習された学習結果とに基づいて前記培養プロトコルを提示する培養プロトコル提示部と、を備える培養支援装置である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態の培養支援装置を含むインキュベータの概要を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態のインキュベータの正面図の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態のインキュベータの平面図の一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態のインキュベータでの観察動作の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態の制御装置の機能構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態の学習段階の処理の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態の記憶部に記憶される情報の一例である。
図8】本発明の実施形態の実施イベント情報の一例を示す図である。
図9】本発明の実施形態の適用段階の処理の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態の画像記憶部に記憶される画像の一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態の初期情報入力画面の一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態の終了情報入力画面の一例を示す図である。
図13】本発明の実施形態の培養プロセス解析の処理の一例を示す図である。
図14】本発明の実施形態の最終状態の細胞画像の画像特徴量を予測する処理の一例を示す図である。
図15】本発明の実施形態の培養モード選択画面の一例を示す図である。
図16】本発明の実施形態の解析結果画面の一例を示す図である。
図17】本発明の実施形態のイベント選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、実施形態の培養支援装置を含むインキュベータ11の概要を示すブロック図である。また、図2及び図3は、本実施形態のインキュベータ11の正面図および平面図の一例を示す図である。
このインキュベータ11とは、観察装置の一例である。
【0007】
実施形態のインキュベータ11は、上部ケーシング12と下部ケーシング13とを有している。インキュベータ11の組立状態において、上部ケーシング12は下部ケーシング13の上に載置される。なお、上部ケーシング12と下部ケーシング13との内部空間は、ベースプレート14によって上下に仕切られている。
【0008】
まず、上部ケーシング12の構成の概要を説明する。上部ケーシング12の内部には、細胞の培養を行う恒温室15が形成されている。この恒温室15は温度調整装置15aおよび湿度調整装置15bを有しており、恒温室15内は細胞の培養に適した環境(例えば温度37℃、湿度90%の雰囲気)に維持されている(なお、図2図3での温度調整装置15a、湿度調整装置15bの図示は省略する)。つまり、恒温室15は、内部を所定の環境条件に維持可能である。
【0009】
恒温室15の前面には、大扉16、中扉17、小扉18が配置されている。大扉16は、上部ケーシング12および下部ケーシング13の前面を覆っている。中扉17は、上部ケーシング12の前面を覆っており、大扉16の開放時に恒温室15と外部との環境を隔離する。小扉18は、細胞を培養する培養容器19を搬出入するための扉であって、中扉17に取り付けられている。この小扉18から培養容器19を搬出入することで、恒温室15の環境変化を抑制することが可能となる。なお、大扉16、中扉17、小扉18は、パッキンSL1、パッキンSL2、パッキンSL3によりそれぞれ気密性が維持されている。
【0010】
例えば、「培地交換」「継代」「掃除」及び「インキュベータの移し替え」などの作業を行う際にこれらの扉が開けられる。これらの作業は、細胞の培養状態に応じてその種類が選択される。以下の説明においては、これらの作業を総称して「イベント」とも記載する。なお、「イベント」には、扉を開けずに行われる作業や、何もしないこと、細胞の培養の中止等も含まれる。
なお、「培地交換」とは、培養容器内の培地の全部又は一部を新しい培地に交換することである。また、「継代」とは、増殖した細胞を採取して別の培養容器に再播種することである。また、「掃除」とは、インキュベータ内を掃除することである。掃除には、インキュベータ表面の消毒や、インキュベータ内の湿度の維持に必要な水の殺菌等が含まれる。また、「インキュベータの移し替え」とは、複数のインキュベータがある場合において、培養器を異なるインキュベータに移し替えることである。
【0011】
また、恒温室15には、ストッカー21、観察ユニット22、容器搬送装置23、搬送台24が配置されている。ここで、搬送台24は、小扉18の手前に配置されており、培養容器19を小扉18から搬出入する。
【0012】
ストッカー21は、上部ケーシング12の前面(図3の下側)からみて恒温室15の左側に配置される。ストッカー21は複数の棚を有しており、ストッカー21の各々の棚には培養容器19を複数収納することができる。なお、各々の培養容器19には、培養の対象となる細胞が培地とともに収容されている。このように恒温室15は、細胞を培養する培養容器を収納する。
【0013】
観察ユニット22は、上部ケーシング12の前面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット22は、培養容器19内の細胞のタイムラプス観察を実行することができる。ここで、タイムラプス観察とは、予め設定されている撮像スケジュールに基づいて、所定の時間毎にサンプルを撮像することにより、サンプルの時系列の変化を観察する手法のことである。サンプルの撮像は一定の時間間隔で行われてよいし、異なる時間間隔で行われてもよい。
【0014】
ここで、観察ユニット22は、上部ケーシング12のベースプレート14の開口部に嵌め込まれて配置される。観察ユニット22は、試料台31と、試料台31の上方に張り出したスタンドアーム32と、位相差観察用の顕微光学系および撮像装置34を内蔵した本体部分33とを有している。そして、試料台31およびスタンドアーム32は恒温室15に配置される一方で、本体部分33は下部ケーシング13内に収納される。
【0015】
試料台31は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器19を載置することができる。この試料台31は水平方向に移動可能に構成されており、上面に載置した培養容器19の位置を調整できる。また、スタンドアーム32にはLED光源35が内蔵されている。そして、撮像装置34は、スタンドアーム32によって試料台31の上側から透過照明された培養容器19の細胞を、顕微光学系を介して撮像することで細胞の顕微鏡画像を取得できる。撮像装置34は、恒温室15内で培養容器に収容されている細胞を所定時間毎に撮像する。
【0016】
容器搬送装置23は、上部ケーシング12の前面からみて恒温室15の中央に配置される。この容器搬送装置23は、ストッカー21、観察ユニット22の試料台31および搬送台24との間で培養容器19の受け渡しを行う。
【0017】
図3に示すように、容器搬送装置23は、多関節アームを有する垂直ロボット38と、回転ステージ39と、ミニステージ36と、アーム部37とを有している。回転ステージ39は、垂直ロボット38の先端部に回転軸35aを介して水平方向に180°回転可能に取り付けられている。そのため、回転ステージ39は、ストッカー21、試料台31および搬送台24に対して、アーム部37をそれぞれ対向させることができる。
【0018】
また、ミニステージ36は、回転ステージ39に対して水平方向に摺動可能に取り付けられている。ミニステージ36には培養容器19を把持するアーム部37が取り付けられている。
【0019】
次に、下部ケーシング13の構成の概要を説明する。下部ケーシング13の内部には、観察ユニット22の本体部分33や、インキュベータ11の制御装置41が収納されている。
【0020】
制御装置41は、温度調整装置15a、湿度調整装置15b、観察ユニット22および容器搬送装置23とそれぞれ接続されている。この制御装置41は、演算部42と、記憶部43とを備えており、所定のプログラムに従ってインキュベータ11の各部を統括的に制御する。この制御装置41とは、培養支援装置の一例である。
【0021】
一例として、制御装置41は、温度調整装置15aおよび湿度調整装置15bをそれぞれ制御して恒温室15内を所定の環境条件に維持する。また、制御装置41は、所定の観察スケジュールに基づいて、観察ユニット22および容器搬送装置23を制御して、培養容器19の観察シーケンスを自動的に実行する。さらに、制御装置41は、観察シーケンスで取得した画像に基づいて、細胞の培養状態の評価を行う培養状態評価処理を実行する。
【0022】
[観察動作の例]
次に、図4の流れ図を参照しつつ、インキュベータ11での観察動作の一例を説明する。
図4は、本実施形態のインキュベータ11での観察動作の一例を示す図である。同図は、恒温室15内に搬入された培養容器19を、登録された観察スケジュールに従ってタイムラプス観察する動作例を示している。
【0023】
ステップS101:演算部42は、記憶部43の管理データの観察スケジュールと現在日時とを比較して、培養容器19の観察開始時間が到来したか否かを判定する。観察開始時間となった場合(ステップS101:YES)、演算部42はS102に処理を移行させる。一方、培養容器19の観察時間ではない場合(ステップS101:NO)、演算部42は次の観察スケジュールの時刻まで待機する。
【0024】
ステップS102:演算部42は、観察スケジュールに対応する培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19をストッカー21から搬出して観察ユニット22の試料台31に載置する。なお、培養容器19が試料台31に載置された段階で、スタンドアーム32に内蔵されたバードビューカメラ(不図示)によって培養容器19の全体観察画像が撮像される。
【0025】
ステップS103:演算部42は、観察ユニット22に対して細胞の顕微鏡画像の撮像を指示する。観察ユニット22は、LED光源35を点灯させて培養容器19を照明するとともに、撮像装置34を駆動させて培養容器19内の細胞の顕微鏡画像を撮像する。
【0026】
このとき、撮像装置34は、記憶部43に記憶されている管理データに基づいて、ユーザーの指定した撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点)に基づいて顕微鏡画像を撮像する。例えば、培養容器19内の複数のポイントを観察する場合、観察ユニット22は、試料台31の駆動によって培養容器19の位置を逐次調整し、各々のポイントでそれぞれ顕微鏡画像を撮像する。なお、S103で取得された顕微鏡画像のデータは、制御装置41に読み込まれるとともに、演算部42の制御によって記憶部43に記録される。
【0027】
ステップS104:演算部42は、観察スケジュールの終了後に培養容器19の搬送を容器搬送装置23に指示する。そして、容器搬送装置23は、指示された培養容器19を観察ユニット22の試料台31からストッカー21の所定の収納位置に搬送する。その後、演算部42は、観察シーケンスを終了してS101に処理を戻す。
【0028】
上述した手順により、インキュベータ11によって観察された時系列の画像データが、記憶部43に記憶される。以下の説明において、インキュベータ11によって時系列の画像データを得ることをタイムラプス撮像ともいう。
【0029】
[培養モードに応じた培養プロトコル及び最終状態の予測の提示機能]
次に図5から図16を参照して、培養モードに応じた培養プロトコル及び最終状態の予測の提示機能について説明する。ここで培養プロトコルとは、実施すべきイベントや設定すべき環境条件の手順を示す情報である。最終状態とは、培養終了時に得られる細胞の状態である。
【0030】
図5は、本実施形態の制御装置41の機能構成の一例を示す図である。上述したように、制御装置41は、演算部42と記憶部43とを備える。
演算部42は、画像取得部421と、表示制御部422と、操作検出部423と、記憶制御部424と、学習部425と、解析情報生成部426と、培養モード選択部427と、パラメータ取得部4285と、解析結果提示部428とを、その機能部として備える。
記憶部43は、画像記憶部431と、実施イベント記憶部432と、環境ログ記憶部433と、学習結果記憶部434と、培養モード記憶部435と、予測結果記憶部436とを備える。
【0031】
画像取得部421は、撮像装置34から、画像Pを取得する。この画像Pとは、培養中の細胞が、撮像スケジュールに基づいて、例えば所定時間毎に、撮像された画像である。画像取得部421は、撮像装置34から画像Pを取得すると、撮像日時を示す撮像日時情報DTを付加して、画像記憶部431に記憶させる。
【0032】
表示制御部422は、表示部44の画面表示を制御する。具体的には、表示制御部422は、画像記憶部431に記憶されている画像Pと、この画像Pに関連するイベントの候補を、表示部44に表示する。表示制御部422は、初期情報ISを入力するための初期情報入力画面DI、終了情報FSを入力するための終了情報入力画面DF、培養モードを選択するための培養モード選択画面DM、培養プロセスの解析結果を示す解析結果画面DO、及び実施するイベントを選択するイベント選択画面DEを表示する。
【0033】
操作部45は、タッチパネル、マウス、又はキーボードなどを備えている。なお、操作部45がタッチパネルである場合、操作部45と表示部44とは一体となって構成されてよい。また、操作部45と表示部44とは、上部ケーシング12または下部ケーシング13に備えられたタッチパネルとして構成してもよい。
観察者は、この操作部45を操作することにより、実施イベントを選択する。上述の一例では、培地交換作業を行った場合、観察者は、操作部45を操作して「培地交換」を実施イベントとして選択する。
また、観察者は、この操作部45を操作することにより、恒温室15の環境条件を設定する。
また、上述の例では、恒温室15の環境条件として恒温室15の温度や湿度が設定される態様について説明したが、これに限られない。恒温室15は二酸化炭素濃度を調整する二酸化炭素濃度調整装置を有してもよく、この二酸化炭素濃度調整装置は、制御装置41によって制御されてもよい。
【0034】
操作検出部423は、操作部45に対する操作を検出する。操作検出部423は、操作を検出すると、この操作に応じた実施イベント情報EVを生成する。観察者が操作部45に対して「培地交換」を選択する操作を行った場合、操作検出部423は、「培地交換」を実施イベントとして選択されたことを検出する。
また、操作検出部423は、「培地交換」を示す実施イベント情報EVを生成する。また、操作検出部423は、恒温室15の環境条件を設定する操作を検出すると、この操作に応じた環境ログ情報ELを生成する。観察者が操作部45に対して恒温室15の環境条件を温度37℃、湿度90%の雰囲気に設定する操作を行った場合、操作検出部423は、温度37℃、湿度90%の雰囲気が環境条件として設定されたことを検出する。
【0035】
記憶制御部424は、記憶部43に対する情報の書込みを制御する。具体的には、記憶制御部424は、画像取得部421が取得する画像と、画像が撮像されたタイミングにおける細胞の培養に関するイベントを示す実施イベント情報EVとを対応付けて、実施イベント記憶部432に記憶させる。記憶制御部424は、画像取得部421が取得する画像と、画像が撮像されたタイミングにおける恒温室15の環境条件を示す環境ログ情報ELとを対応付けて、環境ログ記憶部433に記憶させる。
【0036】
また、記憶制御部424は、実施イベント情報EVに対して、イベントが実施された日時に関する情報を付加して記憶させてもよい。この場合、実施イベント情報EVには、イベントが実施された日時に関する情報が含まれる。
また、記憶制御部424は、環境ログ情報ELに対して、環境ログが取得された日時に関する情報を付加して記憶させてもよい。この場合、環境ログ情報ELには、環境ログが取得された日時に関する情報が含まれる。
【0037】
学習部425は、画像記憶部431に記憶されている画像と、この画像に対応付けられている実施イベント情報EVと、この画像に対応付けられている環境ログ情報ELとの関連性を学習する。学習部425は、種々の既知の手法によって、これらの情報どうしの関連性を学習する。学習部425は、学習した結果を学習結果LRとして学習結果記憶部434に記憶させる。
【0038】
解析情報生成部426は、解析結果提示部428が解析に用いる各情報を生成する。解析情報生成部426は、初期情報生成部4261と、現在情報生成部4262と、終了情報生成部4264と、途中情報生成部4263とを備える。
【0039】
初期情報生成部4261は、画像記憶部431に記憶されている画像Pのうち、培養過程の開始時から最初の培地交換までに取得された画像Pを取得する。初期情報生成部4261は、実施イベント記憶部432に記憶されている実施イベント情報EVのうち培養過程の開始時から最初の培地交換までに検出された実施イベントに対する実施イベント情報EVを取得する。初期情報生成部4261は、環境ログ記憶部433に記憶されている環境ログ情報ELのうち培養過程の開始時から最初の培地交換までに検出された環境ログ情報ELを取得する。ここで培養過程の開始時とは、例えば細胞の培養過程の播種直後である。
初期情報生成部4261は、取得した画像Pと、実施イベント情報EVと、環境ログ情報ELとを、初期情報ISとして解析結果提示部428に供給する。
【0040】
現在情報生成部4262は、画像記憶部431に記憶されている画像Pのうち、播種直後から現在までに取得された画像Pを取得する。現在情報生成部4262は、実施イベント記憶部432に記憶されている実施イベント情報EVのうち播種直後から現在までに検出された実施イベントに対する実施イベント情報EVを取得する。現在情報生成部4262は、環境ログ記憶部433に記憶されている環境ログ情報ELのうち播種直後から現在までに検出された環境ログ情報ELを取得する。
現在情報生成部4262は、取得した画像Pと、実施イベント情報EVと、環境ログ情報ELとを、現在情報PSとして解析結果提示部428に供給する。
【0041】
途中情報生成部4263は、操作検出部423から途中情報MSを取得し、解析結果提示部428に供給する。途中情報MSは、操作部45から入力される。
なお、途中情報生成部4263は備えられなくてもよい。
【0042】
終了情報生成部4264は、操作検出部423から終了情報FSを取得し、解析結果提示部428に供給する。ここで終了情報FSは、操作部45から入力される。
【0043】
終了情報FSは、拡大培養、薬効、移植、生体物質生産、細胞実験、培養プロセス向上などの培養の目的あるいは目標に応じて選択される情報である。終了情報FSは、例えば、細胞の量、細胞・臓器・器官の名前、培養によって得たい細胞のサンプル画像、分化誘導の手法名・論文、使いたい薬剤・手技・条件、細胞を移植する移植手術の術式名、移植対象患者の病名・病状あるいは年齢・性別・身長・体重あるいはカルテ、薬効薬理試験をする薬の名前・成分、病態解明対象の病名、培養によって得たい生体物質・タンパク質、及び培養によって得る細胞を活用したい細胞実験の種類などである。なお、細胞の量は、拡大培養において目標とされる細胞の増加量、面積、培養後の継代の回数などによって指定される。
終了情報FSのうち培養によって得たい細胞のサンプル画像を、終了画像PFと呼ぶ。終了情報FSのうち終了画像PF以外を非画像終了情報CFと呼ぶ。
【0044】
培養モード選択部427は、培養モードCMを選択する。培養モードCMは、解析結果提示部428が培養プロトコルを解析する際に用いる設定値Vのうち、いずれの設定値を他の設定値よりも優先するかを示すウェイトWの組を示す情報である。したがって、培養モードCMは、ウェイトWの所定の組を示す情報である。また、ウェイトWは、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルの選択に用いられる。
【0045】
ここで設定値Vとは、例えば、過去の培養実績、予測される細胞の量、予測される培養細胞の種類、予測精度(保証される精度)、培養設定値から算出される金額・期間などの培養コスト、培養設定値から算出される培地・機材の消費量、細胞が増える過程・程度、及び培養作業時間などである。設定値Vは、これらの量の上限値や下限値を指定する値であってもよい。
ウェイトWは、設定値Vそれぞれに対応づけられた重みである。なお、ウェイトWは、複数の設定値Vに対応づけられてもよい。
【0046】
培養モードCMには、一例として、品質重視モード、生産量重視モード、及びスピードモードがある。品質重視モードとは、設定値Vのうち予測精度を、設定値Vの他の設定値よりも重視する培養モードである。生産量重視モードとは、設定値Vのうち予測される細胞の量を、設定値Vの他の設定値よりも重視する培養モードである。スピードモードとは、設定値Vのうち培養コストを、設定値Vの他の設定値よりも重視する培養モードである。
【0047】
培養モード選択部427は、操作部45からの操作に応じて培養モードCMを選択する。ここで培養モードCMは培養モード記憶部435に予め記憶される。すなわち、培養モード選択部427は、培養モード記憶部435に予め記憶される1以上の培養モードCMの中から培養モードCMを選択する。
【0048】
なお、上述の例では、培養モード選択部427が取得するウェイトWは、培養モード選択部427が選択する培養モードCMによって決められる態様について説明したが、これに限られない。培養モード選択部427は、操作部45から入力されるウェイトWを取得してもよい。ウェイトWが操作部45から入力される場合、観察者はウェイトWのそれぞれを操作部45から入力する。
【0049】
また、培養モードCMは、ウェイトWの組の代わりに1つ以上の設定値Vの組を示す情報であってもよい。また、培養モードCMには、ウェイトWの組と、1つ以上の設定値Vとの組を示す情報であってもよい。品質重視モードは、例えば予測精度を所定の値として含んでもよい。生産量重視モードは、例えば予測される細胞の量を所定の値として含んでもよい。スピードモードは、例えば培養期間の長さを所定の値として含んでもよい。
【0050】
解析結果提示部428は、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルを提示する。解析結果提示部428は、初期情報取得部4281と、現在情報取得部4282と、途中情報取得部4283と、終了情報取得部4284と、パラメータ取得部4285と、特徴量抽出部4286と、培養プロトコル提示部4287と、状態予測部4288とを備える。
【0051】
初期情報取得部4281は、初期情報生成部4261が供給する初期情報ISを取得する。ここで初期情報ISは、培養過程の開始時から最初の培地交換までの時期における細胞の培養状態に関する情報である。すなわち、初期情報生成部4261は、培養過程の開始時から最初の培地交換までの時期における細胞の培養状態に関する初期情報ISを取得する。
【0052】
現在情報取得部4282は、現在情報生成部4262が供給する現在情報PSを取得する。ここで現在情報PSは、細胞の培養過程の播種直後から現在までの時期における細胞の培養状態に関する情報である。すなわち、現在情報取得部4282は、培養過程の開始時から現在までの時期における細胞の培養状態に関する現在情報PSを取得する。
【0053】
途中情報取得部4283は、途中情報生成部4263が供給する途中情報MSを取得する。ここで途中情報MSは、培養過程の開始時と培養過程の終了時との途中の細胞の培養状態に関する情報である。すなわち、途中情報取得部4283は、培養過程の開始時と培養過程の終了時との間の時期における細胞の培養状態に関する途中情報MSを取得する。
【0054】
終了情報取得部4284は、終了情報生成部4264が供給する終了情報FSを取得する。ここで終了情報FSは、細胞の培養過程の終了時における細胞の培養状態に関する情報である。すなわち、終了情報生成部4264は、培養過程の開始時から最初の培地交換までの時期より後の終了時における細胞の培養状態に関する終了情報FSを取得する。
【0055】
パラメータ取得部4285は、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルの選択に用いられるパラメータPMを取得する。ここでパラメータPMとは、培養モード選択部427が選択する培養モードCMが示すウェイトW、及び操作検出部423から供給される設定値Vである。設定値Vは、操作部45から観察者により入力される。
【0056】
特徴量抽出部4286は、取得した初期情報ISに含まれる画像Pから、公知の機械学習の手法を用いて画像特徴量FPを抽出する。特徴量抽出部4286は、取得した現在情報PSに含まれる画像Pから、公知の機械学習の手法を用いて画像特徴量FPを抽出する。
【0057】
ここで画像特徴量FPとは、例えば、生育状態(単独、コロニー形成、シート状)、細胞の数、細胞のサイズ、細胞の外形の特徴(球形、泡立ち形状、ぎざぎざ形状)、細胞間の接着性、隣接間結合性,核の数、核の形状,核の大きさ、核小体の数、核小体の大きさ、核小体の濃度、細胞質顆粒の量、細胞質顆粒の輝度,空胞の大きさ、空胞の数、細胞質突起の形状(数、長さ、太さ)、占有面積、密集状況などである。また、画像特徴量FPには、画像Pの時間変化についての特徴量が含まれる。
【0058】
特徴量抽出部4286は、取得した初期情報ISに含まれる実施イベント情報EV及び環境ログ情報ELから非画像特徴量Fを抽出する。特徴量抽出部4286は、取得した現在情報PSに含まれる実施イベント情報EV及び環境ログ情報ELから非画像特徴量Fを抽出する。
【0059】
非画像特徴量Fとは、播種直後から最初の培地交換までの画像特徴量FP以外の特徴量である。非画像特徴量Fは、例えば、継代の履歴(未分化細胞の培養履歴)、コーティング剤、培地の量及び種類、細胞株の種類、培養プロトコルの名称、播種の仕方、凍結作業の仕方、参照論文などである。なお、非画像特徴量Fには、登録された培養者IDや培養者の培養経験年数などを示す培養者情報が含まれてもよい。培養者情報は、操作部45から入力されてよい。
【0060】
特徴量抽出部4286は、抽出した画像特徴量FPと、非画像特徴量Fとを培養プロトコル提示部4287、及び状態予測部4288に供給する。
培養プロトコル提示部4287は、画像特徴量FP及び非画像特徴量Fと、終了情報FSと、ウェイトW及び設定値Vと、学習結果LRとに基づいて培養プロトコルを算出する。ここで培養プロトコル提示部4287は、学習結果記憶部434から学習結果LRを取得する。
状態予測部4288は、画像特徴量FP及び非画像特徴量Fと、終了情報FSと、ウェイトW及び設定値Vと、学習結果LRとに基づいて培養の最終状態を予測する。ここで状態予測部4288は、学習結果記憶部434から学習結果LRを取得する。
【0061】
解析結果提示部428は、培養プロトコル提示部4287が算出した培養プロトコルを示す培養プロトコルEVCと、状態予測部4288が予測した培養の最終状態を示す最終状態予測PFSとを表示制御部422に供給し、表示部44に表示させる。また、解析結果提示部428は、状態予測部4288が予測した最終状態を示す最終状態予測PFSを、学習結果記憶部434に記憶させる。
【0062】
つまり、解析結果提示部428は、パラメータ取得部4285が取得するパラメータと、初期情報生成部4261が取得する初期情報ISと、終了情報生成部4264が取得する終了情報FSと、培養プロトコルによる細胞の培養結果と培養プロトコルとの関連性が学習された学習結果とに基づいて培養プロトコルを提示する。
【0063】
制御装置41が行う処理について説明する。制御装置41が行う処理は、学習段階の処理と、適用段階の処理とがある。制御装置41は学習段階の処理の結果に基づいて、適用段階の処理を行う。
【0064】
[学習段階]
ここで図6図8を参照し、制御装置41が行う学習段階の処理について説明する。図6は、本実施形態の学習段階の処理の一例を示す図である。
【0065】
ステップS200:学習部425は、培養工程にわたり、時系列細胞画像と、実施イベントと、環境ログとが紐付いたデータを、記憶部43から複数取得する。ここで学習部425は、画像記憶部431から画像P1~画像Pnと、これらの画像P1~画像Pnのそれぞれに付加された撮像日時情報DT1~撮像日時情報DTnとを、時系列細胞画像として取得する。学習部425は、実施イベント記憶部432から実施イベント情報EV1~実施イベント情報EVnを取得する。
ここで図7を参照し学習部425が記憶部43から取得する複数のデータについて説明する。
図7は、本実施形態の記憶部43に記憶される情報の一例である。同図に示す一例では、記憶部43には、培養シーケンスseq1における培養経過が記憶される。この培養シーケンスseq1においては、時刻t1、時刻t2…時刻t3においてそれぞれ画像Pが撮像されている。上述したように、これらの画像Pは、撮像日時情報DTと対応付けられて、画像記憶部431に時系列に記憶されている。
また、これらの画像Pには、それぞれ実施イベント情報EVが対応付けられている。この一例では、画像P1には、「培地交換」「すぐ実施」「半量交換」が実施イベント情報EVとして対応付けられている。上述したように、これらの実施イベント情報EVは、実施イベント記憶部432に記憶されている。
また、これらの画像Pには、それぞれ環境ログ情報ELが対応付けられている。この一例では、画像P1には、温度「37℃」及び湿度「90%」が環境ログ情報ELとして対応付けられている。上述したように、これらの環境ログ情報ELは、環境ログ記憶部433に記憶されている。
【0066】
ここで実施イベント情報EVについてさらに詳しく説明する。
図8は、本実施形態の実施イベント情報EVの一例を示す図である。実施イベント情報EVにおいては、イベントが階層分けされている。この一例では、イベントは3階層に階層分けされている。
同図に示す一例として、イベント(階層1)には、「培地交換」「継代」「掃除」…がある。「培地交換」についてのイベント(階層2)には、「すぐ実施」「所定時間後実施」…がある。なお、図示していないが、各イベントを行う観察者の情報もイベント情報として表示されてよい。
【0067】
図6に戻り学習部425の学習の処理の説明を続ける。
ステップS201:学習部425は、記憶部43から取得した複数のデータを所定の期間ごとに分割する。ここで学習部425は、一例として、複数のデータを、実施イベント情報EVが示す実施イベントの種類ごとに分割する。学習部425は、複数のデータを、所定の時間の長さごとに分割してもよい。分割された複数のデータのそれぞれは、画像の撮像日時と、画像と、環境ログと、実施イベントとの組を1以上含む。
【0068】
ステップS202:学習部425は、各期間の細胞画像の特徴量を抽出する。学習部425は、ステップS201において分割されたデータごとに細胞画像の特徴量を抽出する。学習部425は、ある期間の細胞画像が画像P-i(i=1、2、・・・、N:Nはある期間に含まれる画像の数)である場合、画像P-iのそれぞれの特徴量f-i(i=1、2、・・・、N:Nはある期間に含まれる画像の数)を抽出する。特徴量f-iの算出に際して、対応する画像P-i以外に、前後の画像P-(i-1)、P-(i+1)及びその他の時刻の画像P-j(j=1、2、・・・、N:Nはある期間に含まれる画像の数)を併用してもよい。
【0069】
学習部425は、公知の画像処理を用いて形態特徴量を特徴量f-iとして抽出する。ここで形態特徴量とは、例えば、画像P-iに撮像されている細胞の面積、外周、播種のばらつきなどである。学習部425は、公知の機械学習の手法を用いて特徴量f-iを抽出してもよい。ここで機械学習とは、例えば、深層学習である。学習部425は、特徴量f-iの抽出に深層学習を用いる場合、予め取得した学習データを深層学習の学習に用いる。この学習データには、例えば、理想的な細胞の面積の値が用いられる。学習部425は、特徴量f-iの抽出に深層学習を用いる場合、深層学習に用いられるニューラルネットワークの中間層から出力される値を特徴量f-iとして抽出してよい。
学習部425は、抽出した特徴量f-i(i=1、2、・・・、N:Nはある期間に含まれる画像の数)の各成分の代表値を、ある期間の画像の特徴量とする。ここで代表値とは、平均値や中央値である。
【0070】
ステップS203:学習部425は、過去の細胞画像の特徴量と、環境ログと、実施イベントとに基づいて、各期間の細胞画像の特徴量を回帰分析により再現するモデルを学習する。ここで過去の細胞画像の特徴量とは、各期間より以前の期間の画像から抽出された特徴量である。モデルとは、過去の細胞画像の特徴量と、環境ログと、実施イベントとが入力されると、1以上の値を出力する関数である。1以上の値の個数は、各期間の細胞画像の特徴量の成分の数に等しい。このモデルは、このモデルを特徴づける値であるモデルパラメータを1以上含む。学習部425は、過去の細胞画像の特徴量と、環境ログと、実施イベントとをこのモデルに入力したときに、モデルが出力する1以上の値が、各期間の細胞画像の特徴量に近くなるようにモデルパラメータを調整する。
【0071】
なお、学習部425は、モデルの学習が行われる前に、各期間の環境ログからヒューリスティックな値を抽出し、各期間の環境ログとしてからモデルの学習を行ってもよい。ここでヒューリスティックな値とは、平均、分散、最大値、最小値などである。
また、学習部425は、ステップS203の処理において、自動的に特徴抽出を行う深層学習アーキテクチャを併用してもよい。
学習部425は、学習したモデルを学習結果LRとして解析結果提示部428に供給する。ここで、学習部425が深層学習を用いる場合、学習結果LRは、深層学習により得られた結果である。
【0072】
[適用段階]
図9図17を参照し、制御装置41が行う適用段階の処理について説明する。
図9は、本実施形態の適用段階の処理の一例を示す図である。図9に示す処理は、図6において示した学習段階の処理が終了し、学習部425が学習結果LRを解析結果提示部428に供給した後に行われる。
【0073】
ステップS300:初期情報取得部4281は、初期情報ISを取得する。初期情報ISは、播種直後から最初の培地交換までに取得される画像P0~画像Pnと、実施イベント情報EV及び環境ログ情報ELとを含む。初期情報取得部4281は、取得した初期情報ISを、培養プロトコル提示部4287及び状態予測部4288に供給する。
【0074】
ここで図10を参照し、初期情報取得部4281が画像記憶部431から取得する画像P0~画像Pnについて説明する。
図10は、本実施形態の画像記憶部431に記憶される画像Pの一例を示す図である。この一例において、撮像装置34は、時刻t0、時刻t1、…時刻tn-1、時刻tn、時刻tn+1の各時刻において画像を撮像する。例えば、画像P0とは、時刻t0において撮像された画像である。画像取得部421は、時刻t0において画像P0を撮像装置34から取得すると、時刻t0を示す撮像日時情報DTを付加して画像P0を画像記憶部431に記憶させる。画像P1~画像Pn+1についても同様に、画像取得部421は、それぞれの画像Pに撮像日時情報DTを付加して画像記憶部431に記憶させる。
【0075】
時刻tnと時刻tn+1との間の時刻tEにおいて、実施イベントとして培地交換が実施されている。初期情報生成部4261は、画像記憶部431に記憶されている画像Pのうち、播種直後の時刻t0から最初の培地交換が実施される時刻tEまでに取得された画像P0~画像Pnを取得する。
【0076】
表示制御部422は、初期情報取得部4281が画像Pn+1を取得すると、初期情報入力画面DIを表示部44に表示させる。ここで画像Pn+1は、播種直後から最初の培地交換が実施された後に撮像された細胞画像である。図11を参照し、初期情報入力画面DIについて説明する。
【0077】
図11は、本実施形態の初期情報入力画面DIの一例を示す図である。表示部44には、初期情報入力画面DIが表示される。この一例では、初期情報入力画面DIの領域AR1には、初期画像PIが表示される。この初期画像PIは図10の画像Pn+1である。初期情報入力画面DIの領域AR2には、実施イベント情報EV及び環境ログ情報ELが表示される。この一例では、非画像特徴量Fとして、継代の履歴、培地の量及び種類、細胞株の種類、手技が表示されている。
【0078】
なお、この一例においては、初期情報取得部4281が、初期情報ISを初期情報生成部4261から取得する態様について説明したがこれに限らない。初期情報取得部4281は、初期情報ISを操作検出部423から取得してもよい。また、初期情報取得部4281は、初期情報ISを、記憶部43と操作検出部423との両方から取得してもよい。
【0079】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS301:終了情報取得部4284は、操作検出部423が供給する終了情報FSを取得する。終了情報取得部4284は、取得した終了情報FSを解析結果提示部428に供給する。ここで終了情報FSは、終了画像PFと非画像終了情報CFとの少なくとも一方を含む。
【0080】
ここで図12を参照し、終了情報入力画面DFについて説明する。
図12は、本実施形態の終了情報入力画面DFの一例を示す図である。表示部44には、終了情報入力画面DFが表示される。この一例では、終了情報入力画面DFの領域AR3には、終了画像PFが表示されている。終了情報入力画面DFの領域AR4には、非画像終了情報CFを入力するための入力フォームが表示されている。終了画像PF及び非画像終了情報CFは、操作部45から観察者により入力される。
【0081】
なお、この一例においては、終了情報取得部4284が、終了情報FSを、現在情報生成部4262から取得する態様について説明したがこれに限らない。終了情報取得部4284は、終了情報FSを記憶部43に記憶される画像Pから取得してもよい。この画像Pは、例えば、制御装置41の学習段階において画像記憶部431に記憶された細胞画像である。
【0082】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS302:解析結果提示部428は、培養プロセスを解析する。ここで図13を参照し、培養プロセス解析の処理について説明する。ただし、ステップS302の処理において、現在とは、播種直後から最初の培地交換が実施された直後である。
【0083】
図13は、本実施形態の培養プロセス解析の処理の一例を示す図である。
ステップS400:特徴量抽出部4286は、現在の画像Pから画像特徴量FPを抽出する。ここで特徴量抽出部4286は、初期情報ISに含まれる画像P0~画像Pnからそれぞれ画像特徴量FP0~画像特徴量FPnを抽出する。特徴量抽出部4286は、公知の機械学習の手法を用いて画像特徴量FP0~画像特徴量FPnを抽出する。特徴量抽出部4286が抽出する画像特徴量FP0~画像特徴量FPnは、細胞の種類に応じて選択されてよい。また、特徴量抽出部4286は、画像P0~画像Pnの時間変化についての特徴量を抽出し、画像特徴量FP0~画像特徴量FPnに含める。
特徴量抽出部4286は、抽出した画像特徴量FP0~画像特徴量FPnを培養プロトコル提示部4287及び状態予測部4288に供給する。
【0084】
なお、特徴量抽出部4286は、画像P0~画像Pnから、公知の画像処理を用いて形態特徴量を画像特徴量FP0~画像特徴量FPnとして抽出してもよい。ここで形態特徴量とは、例えば、画像P0~画像Pnにそれぞれ撮像されている細胞の面積、外周、播種のばらつきなどである。特徴量抽出部4286は、機械学習の手法を用いて抽出される画像特徴量FP0~画像特徴量FPnの代わりに、画像処理を用いて抽出される形態特徴量を画像特徴量FP0~画像特徴量FPnとしてもよいし、機械学習の手法を用いて抽出される特徴量と、画像処理を用いて抽出される形態特徴量とを合わせて画像特徴量FP0~画像特徴量FPnとしてもよい。
【0085】
ステップS401:特徴量抽出部4286は、環境ログ情報EL及び実施イベント情報EVに基づいて、一連の環境ログ及び実施イベントを設定する。ここで特徴量抽出部4286が一連の環境ログ及び実施イベントを設定するとは、播種直後から現在までの環境ログ及び実施イベントから非画像特徴量Fを抽出し、培養プロトコル提示部4287及び状態予測部4288に供給することである。
【0086】
ステップS402:解析結果提示部428は、培養によって得られる最終状態の細胞画像の画像特徴量FPを予測する処理を行う。ここで図14を参照し最終状態の細胞画像の画像特徴量FPを予測する処理について説明する。
【0087】
図14は、本実施形態の最終状態の細胞画像の画像特徴量FPを予測する処理の一例を示す図である。
ステップS500:状態予測部4288は、特徴量抽出部4286が供給する画像特徴量FP及び非画像特徴量Fを取得する。ここで特徴量抽出部4286が供給する画像特徴量FPは、現在の画像Pから抽出された特徴量である。特徴量抽出部4286が供給する非画像特徴量Fは、設定された一連の環境ログ及び実施イベントから抽出された特徴量である。
【0088】
ステップS501:状態予測部4288は、現在の画像から抽出された画像特徴量FPと、与えられた環境ログ及びイベントから抽出された非画像特徴量Fと、学習したモデル(学習結果LR)とを用いて次の期間の細胞画像の画像特徴量FPを予測する。状態予測部4288は、予測した細胞画像の画像特徴量FPと、非画像特徴量Fとを組にして予測結果PRとする。
【0089】
ステップS502:状態予測部4288は、次の期間の環境ログ及びイベントから抽出された非画像特徴量Fと、予測結果PRと、学習したモデル(学習結果LR)とを用いて、次の期間の細胞画像の画像特徴量FPを予測する。
状態予測部4288は、ステップS502の処理を行う度に、ステップS502の予測処理において予測された細胞画像の画像特徴量FPと、ステップS502の予測処理において用いられた次の期間の環境ログ及びイベントから抽出された非画像特徴量Fとを組にして、現在の予測結果PRに追加する。
【0090】
ステップS503:状態予測部4288は、細胞画像が最終状態に到達したか否かを判定する。ここで状態予測部4288は、一例として、培養シーケンスが所定の長さ以上となる場合に細胞画像が最終状態に到達したと判定する。なお、状態予測部4288は、終了情報FSに終了画像PFが含まれる場合、予測した細胞画像の画像特徴量FPと、終了画像PFから抽出される画像特徴量FPとの距離が所定の値以下となる場合に、細胞画像が最終状態に到達したと判定してもよい。ここで画像特徴量FP同士の距離とは、例えば、画像特徴量FPを示す1以上の値同士の距離である。この距離には、ユークリッド距離などが用いられる。
【0091】
状態予測部4288は、細胞画像が最終状態に到達したと判定する場合(ステップS503:YES)、処理を終了する。一方、状態予測部4288は、細胞画像が最終状態に到達していないと判定する場合(ステップS503:NO)、ステップS502において示した処理を繰り返す。
【0092】
図13に戻って、培養プロセス解析の処理の説明を続ける。
ステップS403:状態予測部4288は、予測結果PRを予測結果記憶部436に記憶させる。
【0093】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS303:パラメータ取得部4285は、設定値Vを操作検出部423から取得する。パラメータ取得部4285は、取得した設定値Vを培養モード選択部427に供給する。なお、パラメータ取得部4285は、予め記憶された所定の値を設定値Vとしてもよい。
【0094】
ステップS304:培養モード選択部427は、培養モードCMを提示する。ここで培養モード選択部427は、培養モード記憶部435から培養モードCMを取得する。培養モード選択部427は、予測結果記憶部436から予測結果PRを取得する。培養モード選択部427は、パラメータ取得部4285から設定値Vを取得する。
【0095】
培養モード選択部427は、取得した培養モードCM毎に、予測結果PRと、設定値Vとに基づいて、環境ログ及びイベントを選択する。ここで培養モード選択部427は、培養モード選択部427は、初期状態から選択した最終状態に到達するまでの環境ログ及びイベントに基づいて、最終状態に到達したときの設定値Vに対応する予測値を予測する。設定値Vに対応する予測値とは、例えば、培養に要する期間、コスト、及び成功率の予測値である。培養モード選択部427は、予測した予測値が設定値Vに対応する条件を満たす環境ログ及びイベントを選択する。ただし、培養モード選択部427は、培養モードCMに基づいて、設定値Vに対応する条件のうちいずれの条件を優先するかを決定する。
【0096】
培養モード選択部427は、培養モードCMと、この培養モードCMに対応する予測値とを表示制御部422に供給する。表示制御部422は、培養モード選択部427が供給する培養モードCMと、予測値とを培養モード選択画面DMとして表示部44に表示させる。
【0097】
ここで図15を参照し、培養モード選択画面DMについて説明する。
図15は、本実施形態の培養モード選択画面DMの一例を示す図である。表示部44には、培養モード選択画面DMが表示される。この一例では、培養モードCMとして品質重視モード情報CM1、生産量重視モード情報CM2、及びスピードモード情報CM3が表示されている。培養モード選択画面DMの領域AR5には、品質重視モード情報CM1が予測値とともに表示されている。培養モード選択画面DMの領域AR6には、生産量重視モード情報CM2が予測値とともに表示されている。培養モード選択画面DMの領域AR6には、スピードモード情報CM3が予測値とともに表示されている。
観察者は、培養目的に応じて、培養モード選択画面DMに表示される培養モードCMのなかからいずれか1つを操作部45から選択する。
【0098】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS305:培養モード選択部427は、培養モードCMを選択する。ここで培養モード選択部427は、操作検出部423が供給する、選択された培養モードCMを示す情報を取得する。培養モード選択部427は、取得した選択された培養モードCMを示す情報に基づいて培養モードCMを選択する。培養モード選択部427は、選択した培養モードCMが示すウェイトWの組をパラメータ取得部4285に供給する。パラメータ取得部4285は、培養モード選択部427が供給するウェイトWと、操作検出部423が供給する設定値Vとを培養プロトコル提示部4287に供給する。
【0099】
ステップS306:解析結果提示部428は、培養モードCMに応じた培養プロトコルEVC及び最終状態予測PFSを提示する。ここで解析結果提示部428は、予測結果PRを予測結果記憶部436から取得する。
【0100】
培養プロトコル提示部4287は、設定値Vと、ウェイトWと、現在情報PSと、終了情報FSと、予測結果PRとに基づいて、培養プロトコルEVCを選択する。培養プロトコル提示部4287は、現在の状態から選択した最終状態に到達するまでの環境ログ及びイベントに基づいて、最終状態に到達したときの設定値Vに対応する予測値を予測する。培養プロトコル提示部4287は、予測した予測値が設定値Vに対応する条件を満たす環境ログ及びイベントを培養プロトコルEVCとして選択する。
【0101】
ただし、培養プロトコル提示部4287は、ウェイトWに基づいて、設定値Vに対応する条件のうちいずれの条件を優先するかを決定する。つまり、培養プロトコル提示部4287は、培養モードCMに応じた培養プロトコルEVCを選択する。なお、培養プロトコル提示部4287は、培養プロトコルEVCを、ウェイトWを用いずに選択してもよい。
【0102】
培養プロトコル提示部4287は、選択した培養プロトコルEVCを表示制御部422に供給する。表示制御部422は、培養プロトコル提示部4287が供給する培養プロトコルEVCを解析結果画面DOとして表示部44に表示させる。
【0103】
なお、培養プロトコル提示部4287は、複数の培養プロトコルEVCを選択してもよい。培養プロトコル提示部4287が複数の培養プロトコルEVCを選択した場合、表示制御部422は、培養プロトコル提示部4287が供給する複数の培養プロトコルEVCを含む解析結果画面DOを、表示部44に表示させる。観察者は、解析結果画面DOから複数の培養プロトコルEVCのうちいずれかを選択してよい。
【0104】
状態予測部4288は、現在情報PSと、培養プロトコル提示部4287が選択した培養プロトコルEVCと、予測結果PRとに基づいて、最終状態を予測する。
ここで、予測結果PRは、図14において示したステップS501及びステップS502において、ある期間の環境ログ及びイベントから抽出された非画像特徴量Fと、予測結果PRと、学習したモデル(学習結果LR)とを用いて、状態予測部4288により予測された結果である。つまり、予測結果PRは、学習結果LRに基づいて予測された結果である。したがって、状態予測部4288は、現在情報取得部4282が取得する現在情報PSと、培養プロトコル提示部4287が提示する培養プロトコルEVCと、学習結果LRとに基づいて細胞の培養状態を予測する。
【0105】
状態予測部4288は、予測した最終状態を示す最終状態予測PFSを表示制御部422に供給する。状態予測部4288は、状態予測部4288が供給する最終状態予測PFSを解析結果画面DOとして表示部44に表示させる。
【0106】
ここで、図16を参照し、解析結果画面DOについて説明する。
図16は、本実施形態の解析結果画面DOの一例を示す図である。表示部44には、解析結果画面DOが表示される。この一例では、解析結果画面DOの領域AR8にスピードモード情報CM3が予測値とともに表示されている。
解析結果画面DOの領域AR9に培養プロトコルEVCが表示されている。この一例では、培養プロトコルEVCは、培地の交換についての指示や、気を付けるべき事項や、培養を中止すべき条件を示している。
解析結果画面DOの領域AR10に最終状態予測PFSが表示されている。最終状態予測PFSには、予測された終了画像PFが含まれる。この一例では、最終状態予測PFSは、細胞数や品質や未分化細胞率を示している。
【0107】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS307:操作検出部423は、操作部45への観察者のイベント選択の操作を検出する。観察者は、表示部44に表示されるイベント選択画面DEから実施するイベントを選択する。
【0108】
なお、上述したステップS306に示す処理においては、培養プロトコル提示部4287が、設定値Vと、ウェイトWと、現在情報PSと、終了情報FSと、予測結果PRとに基づいて、培養プロトコルEVCを選択する態様について説明したが、これに限らない。培養プロトコル提示部4287は、設定値Vと、ウェイトWと、現在情報PSと、終了情報FSと、予測結果PRとに加えて、さらに途中情報MSとに基づいて、培養プロトコルEVCを選択してもよい。
【0109】
つまり、培養プロトコル提示部4287は、パラメータ取得部4285が取得するウェイトWと、現在情報取得部4282が取得する現在情報PSと、終了情報生成部4264が取得する終了情報FSと、途中情報生成部4263が取得する途中情報MSと、学習結果LRとに基づいて培養プロトコルEVCを提示してもよい。
【0110】
この場合、培養プロトコル提示部4287は、終了情報FSが示す終了画像PFに対応する最終状態に到達する過程において、途中情報MSが示す途中の状態を経由するための培養プロトコルEVCを選択する。
【0111】
また、上述したステップS306に示す処理においては、培養プロトコル提示部4287が、設定値Vと、ウェイトWと、現在情報PSと、終了情報FSと、予測結果PRとに基づいて、環境ログ及びイベントを培養プロトコルEVCとして選択する態様について説明したが、これに限らない。培養プロトコル提示部4287は、設定値Vと、ウェイトWと、現在情報PSと、終了情報FSと、予測結果PRとに基づいて、環境ログ及びイベントを生成し培養プロトコルEVCとしてもよい。つまり、培養プロトコル提示部4287は、学習結果LRに基づいて培養プロトコルEVCを生成してもよい。
【0112】
ここで図17を参照し、イベント選択画面DEについて説明する。
図17は、本実施形態のイベント選択画面DEの一例を示す図である。表示部44には、イベント選択画面DEが表示される。この一例では、イベント選択画面DEの領域AR11に現在の画像Pxが撮像日時とともに表示されている。イベント選択画面DEの領域AR12に提示イベントREVと候補イベントOEVとが表示されている。提示イベントREVは、培養プロトコル提示部4287により提示された培養プロトコルEVCにより示されるイベントである。提示イベントREVには、「(推奨)」のテキストが付加され、培養プロトコルEVCにより示されるイベントであることが示されている。
なお、観察者は、培養プロトコルEVCにより示される提示イベントREV以外の候補イベントOEVを選択してもよい。
【0113】
図9に戻って適用段階の処理の説明を続ける。
ステップS308:現在情報取得部4282は、現在情報PSを取得する。現在情報PSは、播種直後から現在までに取得される画像Pと、実施イベント情報EV及び環境ログ情報ELとを含む。現在情報取得部4282は、取得した現在情報PSを解析結果提示部428に供給する。
【0114】
ステップS309:状態予測部4288は、現在情報PSに含まれる画像Pが最終状態に到達したか否かを判定する。ここで状態予測部4288は、一例として、培養シーケンスの長さが所定の長さ以上となる場合に細胞画像が最終状態に到達したと判定する。なお、状態予測部4288は、現在情報PSに含まれる画像Pの画像特徴量FPと、終了画像PFから抽出される画像特徴量FPとの距離が所定の値以下となる場合に、細胞画像が最終状態に到達したと判定してもよい。
【0115】
ステップS310:解析結果提示部428は、培養プロセスを解析する。ステップS310における培養プロセスを解析する処理と、ステップS302における培養プロセスを解析する処理とを比較すると、ステップS310では解析結果提示部428は現在情報PSに基づいて解析を行うのに対して、ステップ302では解析結果提示部428は初期情報ISに基づいて解析を行う点が異なる。ステップS310における他の処理内容についてはステップ302と同じであるため説明を省略する。
【0116】
なお、培養モード選択部427は、図9のステップS304に示した処理において、予測した予測値が設定値Vに対応する条件を満たす環境ログ及びイベントを選択できない場合、初期画像PIが示す細胞からは、設定された条件を満たす最終状態は得られないと予測したことを示す警告情報AL0を表示制御部422に供給してよい。表示制御部422は、培養モード選択部427が供給する警告情報ALを表示部44に表示させてよい。
【0117】
また、培養プロトコル提示部4287は、図9のステップS306に示した処理において、予測した予測値が設定値Vに対応する条件を満たす環境ログ及びイベントを選択できない場合、現在情報PSの画像Pが示す細胞からは、設定された条件を満たす最終状態は得られないと予測したことを示す警告情報AL1を表示制御部422に供給してよい。表示制御部422は、培養プロトコル提示部4287が供給する警告情報AL1を表示部44に表示させてよい。
【0118】
なお、上述の実施形態においては、終了情報生成部4264が終了情報FSを操作検出部423から取得する態様、つまり、終了情報FSが操作部45から入力される態様について説明したが、これに限らない。終了情報生成部4264は、1つ以上の終了情報FSM-1~終了情報FSM-nを、記憶部43から取得してもよい。終了情報生成部4264が終了情報FSM-1~終了情報FSM-nを記憶部43から取得する場合、記憶部43には終了情報FSM-1~終了情報FSM-nが記憶されている。
【0119】
終了情報生成部4264は、終了情報FSM-1~終了情報FSM-nを記憶部43から取得し、特徴量抽出部4286に供給する。培養プロトコル提示部4287は、終了情報生成部4264が供給する終了情報FSM-1~終了情報FSM-n毎に、培養プロトコルEVCM-1~培養プロトコルEVCM-nを選択する。表示制御部422は、培養プロトコル提示部4287が選択した培養プロトコルEVCM-1~培養プロトコルEVCM-nを含む解析結果画面DOを表示部44に表示させる。
【0120】
この一例では、制御装置41は、培養の目的あるいは目標が終了情報FSとして操作部45から入力されない場合であっても、培養の目的あるいは目標を仮に複数設定し、それぞれの培養の目的あるいは目標に応じて培養プロトコルEVCM-1~培養プロトコルEVCM-nを提示することができる。例えば、記憶部43に記憶される終了情報FSM-1~終了情報FSM-nが細胞の量を含む場合、制御装置41は、培養プロトコルEVCM-1~培養プロトコルEVCM-nを、細胞の量毎のプロトコルのリストとして提示することができる。
なお、制御装置41は、適用段階の処理の終了後、当該適用段階の処理において得られた情報を用いて学習段階の処理を実行してもよい。このように、制御装置41では、適用段階の処理の情報が得られる度に学習段階の処理を実行することにより、常に最善のモデルを得ることができる。
【0121】
以上に説明したように、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)は、第1情報取得部(初期情報取得部4281または現在情報取得部4282)と、第2情報取得部(終了情報取得部4284)と、パラメータ取得部4285と、培養プロトコル提示部4287とを備える。
第1情報取得部(初期情報取得部4281または現在情報取得部4282)は、細胞の培養過程の第1の時期における細胞の培養状態に関する第1情報(初期情報ISまたは現在情報PS)を取得する。
第2情報取得部(終了情報取得部4284)は、第1の時期より後の第2の時期における細胞の培養状態に関する第2情報(終了情報FS)を取得する。
パラメータ取得部4285は、細胞の培養の条件を示す培養プロトコルEVCの選択に用いられるパラメータ(設定値VまたはウェイトW)を取得する。
培養プロトコル提示部4287は、パラメータ取得部4285が取得するパラメータ(設定値VまたはウェイトW)と、第1情報取得部(初期情報取得部4281または現在情報取得部4282)が取得する第1情報(初期情報ISまたは現在情報PS)と、第2情報取得部(終了情報取得部4284)が取得する第2情報(終了情報FS)と、培養プロトコルEVCによる細胞の培養結果と培養プロトコルEVCとの関連性が学習された学習結果LRとに基づいて培養プロトコルEVCを提示する。
【0122】
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、細胞の培養過程の第1の時期において、学習結果LRに基づいて、第2情報が示す細胞の培養状態を得るための培養プロトコルEVCを提示することができるため、培養の目的や目標に応じて培養状況を確認しながら培養の手技や環境条件を逐次微調整することができる。
【0123】
また、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、学習結果LRは、深層学習により得られた結果である。
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、深層学習を用いない場合に比べて精度の高い学習結果に基づいて培養プロトコルEVCを提示することができる。
【0124】
また、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)は、状態予測部4288をさらに備える。状態予測部4288は、第1情報(初期情報ISまたは現在情報PS)と、第2情報取得部(終了情報取得部4284)が取得する第1情報(初期情報ISまたは現在情報PS)と、培養プロトコル提示部4287が提示する培養プロトコルEVCと、学習結果LRとに基づいて細胞の培養状態を予測する。
【0125】
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、細胞の培養過程の第1の時期において、学習結果LRに基づいて、第2情報が示す細胞の培養状態を予測することができるため、観察者は培養状態の予測を確認しながら逐次微調整することができる。
【0126】
また、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)は、途中情報取得部4283をさらに備える。途中情報取得部4283は、第1の時期と第2の時期との間の時期における細胞の培養状態に関する途中情報MSを取得する。
培養プロトコル提示部4287は、パラメータ取得部4285が取得するパラメータ(設定値VまたはウェイトW)と、第1情報取得部(初期情報取得部4281または現在情報取得部4282)が取得する第1情報(初期情報ISまたは現在情報PS)と、第2情報取得部(終了情報取得部4284)が取得する第2情報(終了情報FS)と、途中情報取得部4283が取得する途中情報MSと、学習結果LRとに基づいて培養プロトコルEVCを提示する。
【0127】
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、細胞の培養過程の第1の時期において、学習結果LRに基づいて、途中情報MSが示す、第1の時期と第2の時期との間の時期における細胞の培養状態を経由して第2情報が示す細胞の培養状態を得るための培養プロトコルEVCを提示することができるため、培養の途中の状態を指定して培養を行うことができる。
【0128】
また、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、培養モード記憶部435と、培養モード選択部427とをさらに備える。培養モード記憶部435は、パラメータの所定の組を示す情報である1以上の培養モードCMを予め記憶する。培養モード選択部427は、培養モード記憶部435が記憶する1以上の培養モードCMの中から培養モードCMを選択する。パラメータ取得部4285は、培養モード選択部427が選択する培養モードCMが示すパラメータ(設定値VまたはウェイトW)を取得する。
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、培養プロトコルEVCの提示に用いられるパラメータ(設定値VまたはウェイトW)を逐次指定する必要がないため、培養プロトコルEVCの提示に用いられるパラメータ(設定値VまたはウェイトW)を簡便に指定できる。
【0129】
また、第1の時期は、培養過程の開始時としてよく、第2の時期は、培養過程の終了時としてよい。
この構成により、本実施形態に係る培養支援装置(制御装置41)では、細胞の培養過程の開始時において、学習結果LRに基づいて、培養過程の終了時における細胞の培養状態を得るための培養プロトコルEVCを提示することができるため、細胞の培養過程の開始時から終了時まで観察者は培養状況を確認しながら培養の手技や環境条件を逐次微調整することができる。なお、第1の時期は、培養過程の開始時に限られず、これよりも後のタイミングであってよい。また、第2の時期は、培養過程の終了時に限られず、培養過程の終了時よりも前のタイミングであってよい。
【0130】
本実施形態に係る観察装置は、恒温室15と、撮像装置34と、培養支援装置(制御装置41)とを備える。恒温室15は、細胞を培養する培養容器19を収納可能であり、内部を所定の環境条件に維持可能である。撮像装置34は、恒温室15内で培養容器19に収容されている細胞を所定時間毎に撮像する。
【0131】
[変形例]
上述の実施形態の変形例として、複数のインキュベータ11-1~インキュベータ11-nがある場合について説明する。本変形例は、そのうちの1台であるインキュベータ11-iにおいて培養される細胞では目標とする最終状態に到達することができないと予測された場合であっても、他のインキュベータ11-jにおいて培養される細胞では終了情報FSが示す最終状態に到達することができる場合に適用できる。
【0132】
培養システムSは、管理装置ADと、複数のインキュベータ11-1~インキュベータ11-nとを備える。インキュベータ11-1~インキュベータ11-nは、それぞれ制御装置41-1~制御装置41-nを備える。
管理装置ADは、制御装置41-1~制御装置41-nのそれぞれと通信を行う。管理装置AD、及び制御装置41-1~制御装置41-nは、それぞれ通信モジュールを備え、有線通信または無線通信により相互に通信を行う。
【0133】
制御装置41-1~制御装置41-nのうち制御装置41-iは、図9のステップS304に示した処理や、ステップS306に示した処理において、予測した予測値が設定値Vに対応する条件を満たす環境ログ及びイベントを選択できない場合、警告情報AL(警告情報AL0または警告情報AL1)を管理装置ADに供給する。
【0134】
管理装置ADは、制御装置41-iが供給する警告情報ALを取得した場合、制御装置41-iから、設定値V及び終了情報FSを取得する。ここで制御装置41-1~制御装置41-nのうち制御装置41-i以外のいずれか1つを代表させて制御装置41-jとする。管理装置ADは、制御装置41-jに、制御装置41-iから取得した設定値V-i及び終了情報FS-iを供給する。
【0135】
制御装置41-jは、制御装置41-iから取得した設定値V-iと、自装置の現在情報PS-jと、制御装置41-iから取得した終了情報FS-iとに基づいて、現在情報PS-jが示す細胞画像の状態から終了情報FS-iが示す最終状態に到達できるか否かを判定する。制御装置41-jは、現在情報PS-jが示す細胞画像の状態から終了情報FS-iが示す最終状態に到達できると判定する場合、インキュベータ11-jにおいて培養される細胞が最終状態に到達できることを示す培養可能情報PCを管理装置ADに供給する。
【0136】
管理装置ADは、制御装置41-jが供給する培養可能情報PCを、制御装置41-iに供給する。制御装置41-iは、管理装置ADが供給する培養可能情報PCを、自装置の表示部44-iに表示させる。
なお、培養システムSは、管理装置ADを備える代わりに、制御装置41-1~制御装置41-n相互間において直接通信が行われてもよい。
【0137】
本変形例においては、1台のインキュベータ11-iにおいて培養される細胞では終了情報FS-iが示す最終状態に到達することができないと予測された場合であっても、観察者は、培養システムSの他のインキュベータ11-jにおいて培養される細胞では終了情報FS-iが示す最終状態に到達すると予測されることを知ることができる。
【0138】
なお、上述した実施形態における制御装置41の一部、例えば、画像取得部421、表示制御部422、操作検出部423、記憶制御部424、学習部425、解析情報生成部426、培養モード選択部427、及び解析結果提示部428をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この制御機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、制御装置41に内蔵されたコンピュータシステムであって、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
また、上述した実施形態における制御装置41の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。制御装置41の各機能ブロックは個別にプロセッサ化してもよいし、一部、または全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0139】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0140】
11…インキュベータ(観察装置)、41…制御装置(培養支援装置)、43…記憶部、44…表示部、45…操作部、421…画像取得部、422…表示制御部、423…操作検出部、424…記憶制御部、425…学習部、426…解析情報生成部、427…培養モード選択部、428…解析結果提示部
図1
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