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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185237
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】測定装置及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20221207BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221207BHJP
   G03F 9/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G03F7/20 521
G03F9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092769
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】504162958
【氏名又は名称】株式会社ニューフレアテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瑠美
【テーマコード(参考)】
2H197
4M106
【Fターム(参考)】
2H197EA11
2H197EA19
2H197EA20
2H197EB16
2H197EB18
2H197EB19
2H197EB20
2H197EB22
2H197EB23
2H197HA03
2H197JA22
4M106AA01
4M106AA09
4M106BA02
4M106BA04
4M106CA39
4M106DB05
4M106DB07
4M106DH12
4M106DH24
4M106DH31
4M106DH33
4M106DJ07
4M106DJ14
(57)【要約】
【課題】 長時間測定における測定の信頼性を向上することができる測定装置および測定方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、測定装置は、測定が行われるパターンが形成された試料100上に配置されたアライメントマーク101を用いてグローバルアライメントを行った後、指定位置でローカルアライメントを行うことで、測定座標系と前記試料の座標系とのアライメントを行う測定装置であって、ローカルアライメントで得られた位置ずれ量が予め設定された閾値より大きい場合に、再度前記グローバルアライメントを実行するよう判断する判断部32と、前記閾値を記憶する記憶部22と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定が行われるパターンが形成された試料上に配置されたアライメントマークを用いてグローバルアライメントを行った後、指定位置でローカルアライメントを行うことで、測定座標系と前記試料の座標系とのアライメントを行う測定装置であって、
前記ローカルアライメントで得られた位置ずれ量が予め設定された閾値より大きい場合に、再度前記グローバルアライメントを実行するよう判断する判断部と、
前記閾値を記憶する記憶部と、
を有する測定装置。
【請求項2】
前記閾値は、前記試料が載置されるステージの制御精度、または前記指定位置で取得される画像範囲に基づき設定される、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
予め取得した、前記グローバルアライメントを行ってから前記ローカルアライメントを行うまでの経過時間である測定時間と前記位置ずれ量との関係に基づいて、前記位置ずれ量が前記閾値となる前記測定時間を予測し、
予測された前記測定時間の経過後に行われる前記ローカルアライメントの前に再度前記グローバルアライメントを行う、請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
算出された前記位置ずれ量が、前記測定時間と前記位置ずれ量との関係と、予め求められた前記位置ずれ量の変動許容量に基づき、前記測定時間における変動許容範囲を超えた場合、再度前記グローバルアライメントを行う、請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
パターンが形成された試料上に配置されたアライメントマークを用いて、グローバルアライメントを行った後、指定位置でローカルアライメントを行うことにより、測定座標系と前記試料の座標系とのアライメントを行い、前記パターンの測定を行う測定方法であって、
前記ローカルアライメントにおいて得られた位置ずれ量が予め設定された閾値以内かどうかを判断し、
前記位置ずれ量が前記閾値より大きい場合、再度前記グローバルアライメントを行う、
測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板あるいはマスク等に形成されたパターンの測定装置及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程では、縮小投影露光装置(ステッパまたはスキャナーと呼ばれる)を用いて、マスク(「レチクル」とも呼ばれる)に形成された原画パターン(以下、単に「パターン」とも表記する)が、半導体基板(「ウェハ」とも呼ばれる)上に露光される。
【0003】
このようなマスク等の試料に形成されたパターンの寸法や、線幅の測定には、例えば、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron microscope)」と表記する)を用いて測定対象パターンの電子線画像(SEM画像)を撮像する測定装置(以下、「CD(Critical Dimension)-SEM」と表記する)が用いられる。
【0004】
このようなCD-SEMを用いて、複数のパターンの寸法や線幅の自動測定が行われる場合がある。この場合、CD-SEMは、例えば予め指定されたパターンの座標情報に基づいて、試料が載置されたステージを移動させる。このとき、CD-SEMの座標系と、試料の座標系とを合わせるため、2段階のアライメントが行われる。
【0005】
先ず、試料に設けられたアライメントマークを用いてアライメントを行う。以下、このアライメントをグローバルアライメントという。グローバルアライメントにより座標系のずれが補正されるが、指定されたパターンの位置に移動するため、ステージ精度により、補正された座標系とのずれ(位置決め誤差)が生じる。そのため、さらにパターン位置の近傍でアライメントを行う。以下、このアライメントをローカルアライメントといい、ローカルアライメントを行う位置を指定位置という。ローカルアライメントでは、指定位置でアライメントパターン画像を取得し、参照画像と比較(パターンマッチング)することで、得られた位置ずれ量に基づいて、座標系のずれが補正される。ローカルアライメント後、パターンの線幅や寸法が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-148587号公報
【特許文献2】特開2002-139450号公報
【特許文献3】特開2016-145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、長時間測定を繰り返すと、指定位置に移動させても、時間経過によりアライメントがずれ、指定位置への移動ができなくなるため、ローカルアライメントに失敗するという問題がある。
【0008】
本実施形態はこうした点に鑑みてなされたものであり、長時間測定における測定の信頼性を向上させることができる測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、測定装置は、測定が行われるパターンが形成された試料上に配置されたアライメントマークを用いてグローバルアライメントを行った後、指定位置でローカルアライメントを行うことで、測定座標系と試料の座標系とのアライメントを行う測定装置であって、ローカルアライメントで得られた位置ずれ量が予め設定された閾値より大きい場合に、再度グローバルアライメントを実行するよう判断する判断部と、閾値を記憶する記憶部と、を有する。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、閾値は、試料が載置されるステージの制御精度、または指定位置で取得される画像範囲に基づき設定されることが好ましい。
【0011】
本発明の第1の態様によれば、予め取得した、グローバルアライメントを行ってからローカルアライメントを行うまでの経過時間である測定時間と位置ずれ量との関係に基づいて、位置ずれ量が閾値となる測定時間を予測し、予測された測定時間の経過後に行われるローカルアライメントの前に再度グローバルアライメントを行うことが好ましい。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、算出された位置ずれ量が、測定時間と位置ずれ量との関係と、予め求められた位置ずれ量の変動許容量に基づき、測定時間における変動許容範囲を超えた場合、再度グローバルアライメントを行うことが好ましい。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、測定方法は、パターンが形成された試料上に配置されたアライメントマークを用いて、グローバルアライメントを行った後、指定位置でローカルアライメントを行うことにより、測定座標系と試料の座標系とのアライメントを行い、パターンの測定を行う測定方法であって、ローカルアライメントにおいて得られた位置ずれ量が予め設定された閾値以内かどうかを判断し、位置ずれ量が閾値より大きい場合、再度グローバルアライメントを行う。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様の測定装置によれば、長時間測定における測定の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る測定装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る測定装置におけるローカルアライメントの概念図である。
図3図3は、第1実施形態に係る測定装置における測定フローチャートである。
図4図4は、第2実施形態の第1実施例に係る測定装置における位置ずれ量と閾値との関係を示すグラフである。
図5図5は、第2実施形態の第1実施例に係る測定装置における位置ずれ量と閾値との関係を示すテーブルである。
図6図6は、第2実施形態の第2実施例に係る測定装置における位置ずれ量と閾値との関係を示すテーブルである。
図7図7は、第2実施形態の第2実施例に係る測定装置における閾値とFOVサイズとの関係を示すグラフである。
図8図8は、第3実施形態に係る測定装置における測定フローチャートである。
図9図9は、第3実施形態に係る測定装置における位置ずれ量と測定時間との関係を示すグラフである。
図10図10は、第3実施形態に係る測定装置における測定フローチャートである。
図11図11は、第4実施形態に係る測定装置における測定フローチャートである。
図12図12は、第4実施形態に係る測定装置における位置ずれ量と測定時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。本発明の技術的思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
【0017】
1.第1実施形態
第1実施形態に係る測定装置について説明する。以下では、測定装置として、CD-SEMを例に挙げて説明する。なお、本実施形態では、測定対象の試料がマスクである場合について説明するが、マスクに限定されない。例えば、試料は、半導体基板であってもよい。
【0018】
1.1 測定装置の構成
まず、測定装置の全体構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、測定装置1の全体構成を示す図である。
【0019】
図1に示すように、測定装置1は、撮像機構10と制御機構20とを含む。
【0020】
撮像機構10は、試料室11及び鏡筒12を含む。
【0021】
試料室11内には、ステージ13、ステージ駆動機構14、及び光学顕微鏡15が設けられている。
【0022】
ステージ13は、ステージ13の表面に平行なX方向、及びステージ13の表面に平行であり且つX方向と交差するY方向に移動可能である。また、ステージ13は、ステージ13の表面に垂直なZ方向に移動可能であってもよいし、Z方向を回転軸として、XY平面上で回転軸周りに回転可能であってもよい。ステージ13の上には、試料(マスク)100が載置される。
【0023】
試料100は、例えば、石英ガラスを用いた試料100の基板上に、クロム(Cr)等を用いた遮光膜あるいは位相シフト膜等のパターンが形成され、表面にアライメントマーク101が設けられている。
【0024】
アライメントマーク101は、試料100の表面の、例えば端部に設けられる。あるいは、試料100に形成されたパターンをアライメントマークとして用いてもよい。アライメントマーク101は、グローバルアライメントに用いられる。なお、図1の例では、4つのアライメントマーク101が、試料100の4つの角の近傍に、それぞれ設けられている場合を示しているが、このような個数、形状、及び配置等に限定されるものではない。
【0025】
ステージ駆動機構14は、ステージ13を、XY平面を移動させるための駆動機構を有する。なお、ステージ駆動機構14は、例えば、ステージ13をZ方向に移動させる機構を有していてもよいし、Z方向を回転軸として、ステージ13をXY平面上で回転軸周りに回転させる機構を有していてもよい。
【0026】
鏡筒12は、試料室11の上に設置されている。例えば、鏡筒12は、外形がZ方向に延伸する円筒形状を有している。試料室11と鏡筒12とは連通し、これらにより形成される空間は、真空(減圧)状態に保持される。
【0027】
鏡筒12内には、光学顕微鏡15や、SEMの構成要素である電子銃16及び電子光学系17、検出器18が設けられている。
【0028】
光学顕微鏡15は、例えば、グローバルアライメントの際に、アライメントマーク101の検出に用いられる。
【0029】
電子銃16は、試料室11に向かって電子線を射出するように設置されている。
【0030】
電子光学系17は、電子銃16から射出された電子線を、試料100の所定の位置に収束させて照射する。
【0031】
検出器18は、試料から放出された二次電子等を検出するために設けられる。
【0032】
制御機構20は、制御回路21及び記憶部22を含む。
【0033】
制御回路21は、測定装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路21は、撮像機構10の光学顕微鏡15、電子銃16、及び電子光学系17等を制御する。制御回路21は、例えば、マイクロプロセッサなどのCPU(Central Processing Unit)デバイスであってもよいし、外部に設けられるパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であってもよい。また、制御回路21の一部または全部の機能が、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Alley)、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)などの他の集積回路によって担われてもよい。
【0034】
制御回路21は、ステージ駆動制御部30、画像取得部31、判断部32を含む。なお、これらは、CPU、ASIC、FPGA、または、GPUなどの集積回路が実行するプログラムによって構成されてもよいし、それらの集積回路が備えるハードウェアまたはファームウェアによって構成されてもよいし、それらの集積回路によって制御される個別の回路によって構成されてもよい。以下では、これらが、記憶部22に格納され、制御回路21によって実行されるプログラムである場合について説明する。
【0035】
ステージ駆動制御部30は、ステージ駆動機構14を制御する。より具体的には、ステージ駆動制御部30は、ステージ13の位置情報を取得し、取得した情報に基づいてステージ駆動機構14を制御する。また、ステージ駆動制御部30は、ステージ13の位置情報と、試料の座標情報とに基づいて、ステージ駆動機構14を制御する。
【0036】
画像取得部31は、光学画像あるいは電子線画像(SEM画像)を取得する。例えば、画像取得部31は、グローバルアライメントの際には、光学顕微鏡15を用いてアライメントマークの光学画像を取得し、ローカルアライメント及び測定の際には、測定対象のパターンのSEM画像を取得する。
【0037】
判断部32は、参照画像と、アライメントパターン画像とを比較(パターンマッチング)する。アライメントパターン画像と参照画像とのずれ量が位置ずれ量となる。そして、位置ずれ量が予め設定された閾値以内にあるか否かを判断し、閾値を超えている場合グローバルアライメントを行う。
【0038】
記憶部22は、制御回路21の処理に関する情報を保持する。例えば、記憶部22は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)を含んでいてもよいし、外部ストレージとして、例えば、磁気ディスク記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD)などの各種記憶装置を含んでいてもよい。
【0039】
記憶部22には、例えば、試料の設計データ(各種パターンの座標情報)40、グローバルアライメント、ローカルアライメント、及び測定等に用いられる参照画像41、ローカルアライメントの閾値データ42、並びに測定データ43が記憶される。なお、閾値データ42は、外部で求められ入力されても制御回路21で求められてもよい。また、測定データ43には、グローバルアライメント、ローカルアライメント、及び測定の際に撮像された画像、各種パターンの座標情報、位置ずれ量、ローカルアライメント判定結果、及び測定対象パターンの測定結果等が含まれる。
【0040】
1.2 ローカルアライメントの具体例
次に、ローカルアライメントの具体例について、図2を用いて説明する。図2は、ローカルアライメントを説明するための概念図である。図2の例は、ステージ精度に基づいてローカルアライメントで得られた位置誤差の閾値が設定されている場合を示している。
【0041】
以下の説明では、位置ずれ量をΔAと表記し、位置ずれ量ΔAの許容範囲を判定するための閾値をTVと表記する。また、ステージ精度の許容範囲をSTと表記する。
【0042】
図2の(a)に示すように、例えば、ローカルアライメントにおける位置ずれ量ΔAの基準点としてパターンの原点(左下の座標)が設定されている場合、基準点がローカルアライメントで取得した画像範囲(FOV)の中心に位置するように、ローカルアライメントの参照画像が設定される。
【0043】
判断部32は、参照画像と取得されたアライメントパターン画像とを比較し、参照画像の中心位置から、取得された画像におけるアライメントパターンの原点までの距離を、位置ずれ量ΔAとして算出する。例えば、図2の(b1)に示すように、アライメントパターン画像1が取得された場合、位置ずれ量ΔA1が算出される。例えば、ステージ精度の許容範囲STと閾値TVとが、TV=ST/2の関係となるように閾値TVが設定されている場合、閾値TVは、図2の(c1)に示すように、直径がSTである破線の円周で示される。位置ずれ量ΔA1は、破線の円周内にあるため、判断部32は、位置ずれ量ΔA1は、閾値TV以下であると判断する。
【0044】
また、例えば、図2の(b2)に示すように、アライメントパターン画像2が取得された場合、位置ずれ量ΔA2が算出される。この場合、図2の(c2)に示すように、位置ずれ量ΔA2は、破線の円周の範囲外にあるため、判断部32は、位置ずれ量ΔA1は、閾値TV以下ではないと判断する。
【0045】
なお、本実施形態では、TV=ST/2の関係となるように閾値TVを設定したが、閾値TVの設定は、これに限定されない。例えば、要求される測定精度によって、閾値TVは、ST/2よりも大きくても小さくてもよい。換言すれば、閾値TVは、ステージ精度の許容範囲よりも大きくても小さくてもよい。また、アライメントパターンは、測定対象パターンと同じであってもよいし、近傍であれば異なっていてもよい。
【0046】
1.3 測定フロー
次に、測定フローの一例について、図3を用いて説明する。図3は、測定フローチャートである。
【0047】
図3に示すように、まず、試料100がステージ13上にセット(載置)される(ステップS1)。
【0048】
次に、制御回路21は、グローバルアライメントを実行する(ステップS2)。より具体的には、例えば、画像取得部31により光学顕微鏡15を用いて取得したアライメントマーク101の光学画像に基づいて、試料100(ステージ13)のXY平面における位置合わせが行われる。
【0049】
グローバルアライメント終了後、制御回路21は、ステージ駆動制御部30を制御して、最初の指定位置に試料100を移動させる(ステップS3)。
【0050】
次に、制御回路21は、ローカルアライメントを実行する(ステップS4)。判断部32は、参照画像と取得されたアライメントパターン画像とを比較して、位置ずれ量ΔAを算出する。
【0051】
次に、判断部32は、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下か否かを判断する(ステップS5)。
【0052】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TVより大きいと判断した場合(ステップS5_No)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。
【0053】
グローバルアライメントを再度実行した後、制御回路21は、前回の指定位置に、試料100を移動させる(ステップS3)。そして、制御回路21は、ローカルアライメントを再度実行する(ステップS4)。
【0054】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下であると判断した場合(ステップS5_Yes)、制御回路21は、測定対象パターンの測定を行う(ステップS6)。
【0055】
予め指定された全てのパターンの測定が終了していない場合(ステップS7_No)、すなわち、測定未了のパターンが残っている場合、次の指定位置に移動し(ステップS8)、ローカルアライメントを実行する。
【0056】
予め指定された全てのパターンの測定が終了した場合(ステップS7_Yes)、すなわち、測定未了のパターンが残っていない場合、試料100が試料室11から取り出され(ステップS9)、測定が終了する。
【0057】
1.4 本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、長時間測定における測定の信頼性を向上できる。本効果につき詳述する。
【0058】
例えば、ビーム座標系のドリフト等に起因して、参照画像の座標と、アライメントパターンの座標との位置ずれ(誤差)が、測定時間の経過とともに大きくなる場合がある。位置ずれ量が大きくなると、例えば、FOVにアライメントパターンが入らなくなる。その結果、アライメントパターンを認識できない、あるいはアライメントパターンを誤認識する問題が生じる。このため、ローカルアライメントにおいて、正しい補正量を算出できなくなる。すなわち、ローカルアライメントを正常に実行できなくなる。
【0059】
これに対し、本実施形態によれば、ローカルアライメントにおいて算出された位置ずれ量が予め設定された閾値を超えた場合に、ドリフトによりビーム座標系のずれが生じているとして、グローバルアライメントを再度実行してビーム座標系を補正した後、ローカルアライメントをやり直すことで、正しい補正量を算出することができる。従って、長時間測定における測定の信頼性を向上できる。
【0060】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、閾値TVの設定について2つの実施例を示す。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0061】
2.1 第1実施例
まず、第1実施例について説明する。第1実施例では、各FOVにおいて、それぞれ異なる閾値TVが設定される場合について、図4及び図5を用いて説明する。図4は、閾値TVと位置ずれ量ΔAとの関係を直交座標で示したグラフである。図5は、各FOVにおけるローカルアライメントの閾値TVを示すテーブルである。
【0062】
図4に示すように、X方向及びY方向に対する閾値TVを別々に設定してもよい。より具体的には、例えば、閾値TVのX方向の下限値を-TV_xとし、上限値をTV_xとする。更に、閾値TVのY方向の下限値を-TV_yとし、上限値をTV_yとする。すると、閾値TVは、座標(-TV_x、-TV_y)、座標(-TV_x、TV_y)、座標(TV_x、-TV_y)、及び座標(TV_x、TV_y)を結ぶ破線の四角枠で表される。また、X方向の位置ずれ量をΔA_xとし、Y方向の位置ずれ量をΔA_yとすると、位置ずれ量ΔAの座標は(ΔA_x、ΔA_y)と表記される。図4において、位置ずれ量ΔAが破線で示す閾値TVの枠内にある場合、すなわち、X方向の位置ずれ量の絶対値|ΔA_x|がX方向の閾値の絶対値|TV_x|以下であり、且つY方向の位置ずれ量の絶対値|ΔA_y|がY方向の閾値の絶対値|TV_y|以下である場合に、測定が行われる。
【0063】
図5に示すように、例えば、閾値のテーブルに、FOVのサイズが3種類(A、B、C)登録されている。例えば、FOVサイズAにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして“5”が設定されている。なお、“5”の単位は、例えば、長さでもよいし、画像データにおける画素数(ピクセル数)であってもよい。また、FOVサイズBにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして“3”が設定されている。FOVサイズCにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして“2”が設定されている。なお、図5の例では、1つのFOVサイズにおいて、閾値TV_xと閾値TV_yとに同じ値が設定される場合を示しているが、閾値TV_xとTV_yとは異なる値であってもよい。また、FOVサイズ以外であっても、例えば、FOV内のアライメントパターンあるいは測定対象パターンのレイアウト、面積密度等に基づいて、閾値TV_x及びTV_yを任意に設定できる。
【0064】
2.2 第2実施例
次に、第2実施例について説明する。第2実施例では、FOVのサイズに基づいて閾値TVを設定する場合について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、各FOVにおけるローカルアライメントの閾値TVを示すテーブルである。図7は、FOVのサイズと閾値TVの関係を示すグラフである。
【0065】
図6及び図7に示すように、例えば、FOVサイズBを基準として、FOVサイズA及びFOVサイズCにおけるローカルアライメントの閾値TVを設定してもよい。より具体的には、例えば、FOVサイズBにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして、“4”が設定されている。この状態において、例えば、FOVサイズAが基準サイズであるFOVサイズBの0.5倍である場合、閾値TV_x及びTV_yも0.5倍されて、FOVサイズAにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして“2”が設定される。また、FOVサイズCが基準となるFOVサイズBの2倍である場合、閾値TV_x及びTV_yも2倍されて、FOVサイズCにおけるローカルアライメントの閾値TV_x及びTV_yとして“8”が設定される。図7に示すように、FOVのサイズと閾値TVとの関係に基づき、補間関数を用いて、他のFOVサイズの閾値TV_x及びTV_yを設定してもよい。
【0066】
このように、閾値TVは、FOVサイズと閾値TV_x及びTV_yとの関係を示すテーブルに基づいて設定されてもよいし、テーブルから予測される関数に基づいて設定されてもよい。
【0067】
2.3 本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
また、本実施形態によれば、FOVサイズ毎に異なる閾値TVを設定してローカルアライメントすることができる。
【0069】
3.第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、制御回路21は、グローバルアライメントを実行してから各指定位置においてローカルアライメントを実行するまでの時間(以下、「測定時間」と表記する)と、各指定位置におけるローカルアライメントにおける位置ずれ量ΔAの変動と、に基づき、位置ずれ量ΔAが閾値TVを超えるまでの測定時間を予測する。そして、制御回路21は、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間で、閾値TVを超えることが予測される場合、グローバルアライメントを実行する。
【0070】
以下、第1及び第2実施形態と異なる測定フローを中心に説明する。
【0071】
3.1 測定フロー
まず、測定フローについて、図8を用いて説明する。図8は、測定フローチャートである。
【0072】
図8に示すように、第1実施形態と同様に、試料100がステージ13上にセット(載置)される(ステップS1)。
【0073】
次に、制御回路21は、グローバルアライメントを実行する(ステップS2)。
【0074】
グローバルアライメント終了後、制御回路21は、最初の指定位置に試料100を移動させる(ステップS3)。
【0075】
次に、制御回路21は、ローカルアライメントを実行する(ステップS4)。このとき、制御回路21は、各ローカルアライメントでの測定時間と、位置ずれ量ΔAとを関連づけて、記憶部22に記憶させる。
【0076】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下ではないと判断した場合(ステップS5_No)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。このとき、制御回路21は、前回のグローバルアライメントに基づく測定時間をリセットする。次いで、制御回路21は、前回の指定位置に試料100を移動させる(ステップS3)。そして、制御回路21は、ローカルアライメントを再度実行する(ステップS4)。このとき、制御回路21は、リセット後の測定時間と、位置ずれ量ΔAとを関連づけて、記憶部22に記憶させる。
【0077】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下であると判断した場合(ステップS5_Yes)、制御回路21は、FOV内の測定対象パターンの測定を行う(ステップS6)。
【0078】
予め指定された全てのパターンの測定が終了していない場合(ステップS7_No)、制御回路21は、実行された各ローカルアライメントでの測定時間と、位置ずれ量ΔAと、閾値TVとから、位置ずれ量ΔAが閾値TVを超える測定時間を予測する(ステップS10)。測定時間は、外部で予測され入力されてもよい。予測された時間を、測定時間の閾値とする。
【0079】
次に、制御回路21は、予測された測定時間の閾値と、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間とを比較する(ステップS11)。
【0080】
次に実行されるローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超える場合(ステップS11_Yes)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。このとき、制御回路21は、前回のグローバルアライメントに基づく測定時間をリセットする。制御回路21は、グローバルアライメントが終了する(ステップS2)と、次にローカルアライメントを実行する指定位置に移動する(ステップS3)。
【0081】
他方で、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超えない場合(ステップS11_No)、制御回路21は、実行されたローカルアライメントでの位置ずれ量ΔAに基づいて、試料100の座標の補正を行った後、次の指定位置に試料を移動させる(ステップS8)。次に、制御回路21は、ステップS4に戻り、ローカルアライメントを実行する。
【0082】
予め指定された全てのパターンの測定が終了した場合(ステップS7_Yes)、すなわち、測定未了のパターンが残っていない場合、試料100が試料室11から取り出され(ステップS9)、測定が終了する。
【0083】
なお、図8の例では、制御回路21が、測定時間の閾値を予測する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御回路21は、次に実行されるローカルアライメントでの位置ずれ量ΔAを予測してもよい。この場合、制御回路21は、予測した位置ずれ量ΔAが閾値TVを超える場合に、グローバルアライメントを再度実行してから、ローカルアライメントを実行する。
【0084】
3.2 測定時間の閾値予測の具体例
次に、直近3回のローカルアライメントの結果から測定時間の閾値を予測する場合について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、位置ずれ量と測定時間との関係を示すグラフである。図10は、直近3回のローカルアライメントの結果から測定時間の閾値を予測する場合のフローチャートである。なお、本例では、直近3回のローカルアライメントの結果から、測定時間の閾値を予測する場合について説明するが、測定時間の閾値の予測に用いられるローカルアライメントの回数は任意に設定可能である。例えば、全てのローカルアライメントの結果を用いて測定時間の閾値を予測してもよいし、直近n回のローカルアライメントの結果を用いて測定時間の閾値を予測してもよい。測定時間の閾値は、外部で予測され入力されても制御回路21で予測されてもよい。
【0085】
本例では、グローバルアライメント後に実行されたローカルアライメントの実行回数を、変数n(nは0の整数)を用いて表記する。そして、例えば、n回目のローカルアライメントにおける位置ずれ量をΔA(n)と表記し、n回目のローカルアライメントが実行された時刻をt(n)と表記する。また、時刻t0は、グローバルアライメントが実行された時刻を示している。従って、n回目のローカルアライメントにおける測定時間は、(t(n)-t0)である。
【0086】
図9に示すように、制御回路21は、n回目のローカルアライメントを実行後、直近3回のローカルアライメントの結果から、測定時間の閾値超過時刻teを予測している。より具体的には、制御回路21は、グローバルアライメントを実行した時刻t0と、(n-2)回目、(n-1)回目、及びn回目のローカルアライメントを実行した時刻t(n-2)、t(n-1)、及びt(n)と、(n-2)回目、(n-1)回目、及びn回目のローカルアライメントでそれぞれ算出された位置ずれ量ΔA(n-2)、ΔA(n-1)、及びΔA(n)との関係から例えば近似直線を算出する。例えば、近似直線は、定数a及びbを用いて、ΔA(n)=a×t(n)+bと表される。なお、近似直線の算出方法は、例えば、最小二乗法であってもよいし、他の演算方法であってもよい。更には、例えば2次関数等に基づく近似曲線が算出されてもよい。そして、制御回路21は、近似直線と閾値TVとの交点から、測定時間の閾値超過時刻teを算出している。この場合、測定時間の閾値は、(te-t0)である。
【0087】
制御回路21は、次の(n+1)回目のローカルアライメントが実行される予定の時刻t(n+1)が、時刻teの前にある場合、すなわち、(n+1)回目のローカルアライメントでの測定時間(t(n+1)-t0)が、測定時間の閾値(te-t0)よりも短い場合、(n+1)回目のローカルアライメントを実行する。他方で、制御回路21は、次の(n+1)回目のローカルアライメントが実行される時刻t(n+1)が、時刻teの後にある場合、すなわち、(n+1)回目のローカルアライメントでの測定時間(t(n+1)-t0)が、測定時間の閾値(te-t0)よりも長い場合、グローバルアライメントを実行する。
【0088】
なお、次の(n+1)回目のローカルアライメントでの位置ずれ量ΔA(n+1)を予測して閾値TVと比較する場合、予測値ΔA’(n+1)は、ΔA’(n+1)=a×t(n+1)+bと表される。これが、閾値TVよりも大きい場合、制御回路21は、グローバルアライメントを実行する。また、ローカルアライメントの回数に閾値を設けてもよい。
【0089】
次に、直近3回のローカルアライメントの結果から測定時間の閾値を予測する場合の測定フローチャートについて説明する。
【0090】
図10に示すように、ステップS1~S3は、図8と同様である。
【0091】
最初の指定位置に移動後、制御回路21は、変数n=1を設定する(ステップS20)。なお、ステップS3とS20との順序は入れ替えてもよい。
【0092】
次に、制御回路21は、図8のステップS4と同様に、n回目のローカルアライメントを実行する(ステップS21)。
【0093】
ステップS5~S7は、図8と同様である。
【0094】
予め指定された全てのパターンの測定が終了していない場合(ステップS7_No)、制御回路21は、変数nが3以上であるか確認する(ステップS22)。
【0095】
変数nが3以上である場合(ステップS22_Yes)、制御回路21は、(n-2)回目、(n-1)回目、及びn回目のローカルアライメントでの位置ずれ量ΔA(n-2)、ΔA(n-1)、及びΔA(n)に基づいて、測定時間の閾値を予測する(ステップS23)。
【0096】
次に、制御回路21は、測定時間の閾値と、次に実行されるn+1回目のローカルアライメントでの測定時間とを比較する(ステップS11)。
【0097】
次に実行されるn+1回目のローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超える場合(ステップS11_Yes)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。このとき、制御回路21は、前回のグローバルアライメントに基づく測定時間をリセットする。制御回路21は、グローバルアライメントが終了する(ステップS2)と、次にn+1回目のローカルアライメントを行う指定位置に試料100を移動させる(ステップS3)。
【0098】
変数nが3以上ではない場合(ステップS22_No)、または次に実行されるn+1回目のローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超えない場合(ステップS11_No)、制御回路21は、位置ずれ量ΔAに基づいて、試料100の座標の補正を行った後、次に実行されるn+1回目のローカルアライメントが行われる指定位置に試料100を移動させる(ステップS8)。次に、制御回路21は、変数nをインクリメントして、n=n+1とする(ステップS24)。なお、ステップS8とS24との順序は入れ替えてもよい。次に、制御回路21は、ステップS21に戻り、ローカルアライメントを実行する。
【0099】
予め指定された全てのパターンの測定が終了した場合(ステップS7_Yes)、すなわち、測定未了のパターンが残っていない場合、試料100が試料室11から取り出され(ステップS9)、測定が終了する。
【0100】
3.3 本実施形態に係る効果
本実施形態よれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0101】
更に、本実施形態よれば、測定時間の閾値を予測できる。このため、測定時間の閾値を超える前に、グローバルアライメントを再度実行することができる。よって、測定装置の処理能力を向上できる。
【0102】
4.第4実施形態
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、次に実行されるローカルアライメントにおいて予測される位置ずれ量ΔAのばらつきの許容値を設定し、閾値TVと許容値とに基づいて判断を行う場合について説明する。
【0103】
以下、第1~第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0104】
4.1 測定フロー
まず、測定フローについて、図11を用いて説明する。図11は、測定フローチャートである。
【0105】
図11に示すように、ステップS1~S5は、第3実施形態の図8と同様である。
【0106】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下ではないと判断した場合(ステップS5_No)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。このとき、制御回路21は、前回のグローバルアライメントに基づく測定時間をリセットする。グローバルアライメントを再度実行した後、制御回路21は、前回ローカルアライメントを行った指定位置に試料100を移動させる(ステップS3)。そして、制御回路21は、ローカルアライメントを再度実行する(ステップS4)。このとき、制御回路21は、再度実行したグローバルアライメントに基づく測定時間と、位置ずれ量ΔAとを関連づけて、記憶部22に記憶させる。
【0107】
判断部32が位置ずれ量ΔAが閾値TV以下であると判断した場合(ステップS5_Yes)、判断部32は、位置ずれ量ΔAと閾値TVとを比較する(ステップS30)。
【0108】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TVを超えると判断した場合(ステップS30_No)、制御回路21は、ステップS2に戻る。
【0109】
判断部32が、位置ずれ量ΔAが閾値TV以下であると判断した場合(ステップS30_Yes)、制御回路21は、測定対象パターンの測定を行う(ステップS6)。
【0110】
予め指定された全てのパターンの測定が終了していない場合(ステップS7_No)、制御回路21は、第3実施形態の図8と同様に、測定時間の閾値を予測する(ステップS10)。また、制御回路21は、次に実行されるローカルアライメントでの位置ずれ量ΔAを予測し、この予測された位置ずれ量ΔAに基づいて、次に実行されるローカルアライメントにおける許容値を設定する(ステップS31)。測定時間の閾値、位置ずれ量ΔAは、外部で予測され入力されてもよい。
【0111】
次に、制御回路21は、測定時間の閾値と、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間とを比較する(ステップS11)。
【0112】
次に実行されるローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超える場合(ステップS11_Yes)、制御回路21は、ステップS2に戻り、グローバルアライメントを再度実行する。このとき、制御回路21は、前回のグローバルアライメントに基づく測定時間をリセットする。なお、例えば、制御回路21は、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超えていなくても、設定した許容範囲の上限を超えている場合には、グローバルアライメントを再度実行する。
【0113】
他方で、次に実行されるローカルアライメントでの測定時間が、測定時間の閾値を超えない場合(ステップS11_No)、制御回路21は、実行されたローカルアライメントに対応する位置ずれ量ΔAに基づいて、試料100の座標の補正を行った後、次の指定位置に試料を移動させる(ステップS8)。制御回路21は、ステップS4に戻り、ローカルアライメントを実行する。
【0114】
予め指定された全てのパターンの測定が終了した場合(ステップS7_Yes)、すなわち、測定未了のパターンが残っていない場合、試料100が試料室11から取り出され(ステップS9)、測定が終了する。
【0115】
4.2 実施例
次に、実施例として、第3実施形態の図9で説明した(n-2)回目、(n-1)回目、及びn回目のローカルアライメントの結果から算出した近似直線に基づいて、(n+1)回目のローカルアライメントでの許容値を設定する場合について、図12を用いて説明する。図12は、位置ずれ量と測定時間との関係を示すグラフである。
【0116】
図12に示すように、第3実施形態の図9と同様に、位置ずれ量の近似直線は、ΔA(n)=a×t(n)+bと表される。従って、次に実行される(n+1)回目のローカルアライメントでの位置ずれ量の予測値ΔA’(n+1)は、ΔA’(n+1)=a×t(n+1)+bと表される。ここで位置ずれ量の予測値ΔA’に対する許容幅をステージ精度から予め予測された誤差量ΔSの1/2とすると、(n+1)回目のローカルアライメントにおける許容値の上限値ΔAu(n+1)として、ΔAu(n+1)=ΔA’(n+1)+ΔS/2が設定される。また、許容値の下限値ΔAlとして、ΔAl(n+1)=ΔA’(n+1)-ΔS/2が設定される。すなわち、許容範囲は、ΔAl(n+1)からΔAu(n+1)までとなる。従って、制御回路21は、次に実行される(n+1)回目のローカルアライメントでの位置ずれ量ΔA(n+1)が、ΔA(n+1)≦TVであり、且つΔAl(n+1)≦ΔA(n+1)≦ΔAu(n+1)であれば許容されることになる。
【0117】
例えば、図12に示すように、(n+1)回目のローカルアライメントでの位置ずれ量ΔA(n+1)が、許容範囲の下限より小さいか、許容範囲の上限値ΔAu(n+1)を超える場合、グローバルアライメントが行われる。
【0118】
4.3 本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、第1及び第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0119】
更に、本実施形態によれば、位置ずれ量に対して許容範囲を設定できる。このため、閾値の範囲内であっても、ローカルアライメント毎のばらつき量が大きい場合は、グローバルアライメントを再度実行することで座標系のずれを補正することができる。これにより、測定の信頼性を向上できる。
【0120】
5.変形例等
上述の実施形態は、グローバルアライメントとローカルアライメントとの2段階のアライメントを行う測定装置を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態に係る技術の適用範囲は、これに限らない。例えば、アライメント方法として、3段階以上のアライメントを行う測定装置に適用されてもよい。
【0121】
なお、測定装置において、光学顕微鏡や受光素子を用いて光学画像を取得してもよい。また、測定装置は、パターンのCD測定装置であってもよいし、欠陥検査装置であってもよい。
【0122】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0123】
1…測定装置、2…画像データ、10…撮像機構、11…試料室、12…鏡筒、13…ステージ、14…ステージ駆動機構、15…光学顕微鏡、16…電子銃、17…電子光学系、20…制御機構、21…制御回路、22…記憶部、30…ステージ駆動制御部、31…画像取得部、32…判断部、40…設計データ、41…参照画像、42…閾値データ、43…測定データ、100…試料、101…アライメントマーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12