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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185393
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】半導体製造装置及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20221207BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20221207BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20221207BHJP
   G01K 13/024 20210101ALI20221207BHJP
   G01K 1/14 20210101ALI20221207BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
C23C16/44 B
G01K13/024
G01K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093048
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】榎本 忠
(72)【発明者】
【氏名】菅原 勉
【テーマコード(参考)】
2F056
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2F056CB06
2F056WF01
2F056WF05
2F056WF08
4K030KA39
4K030KA41
5F045AA06
5F045AB03
5F045AB04
5F045AB32
5F045AB33
5F045DP19
5F045DQ05
5F045EC02
5F045EC09
5F045EF02
5F045EJ02
5F045EJ10
5F045EK06
5F045GB05
(57)【要約】
【課題】ガス導入配管内のガスの温度を測定する。
【解決手段】半導体製造装置の処理容器に接続され、前記処理容器の内部にガスを導入するガス導入配管と、前記ガス導入配管に設けられ、前記ガス導入配管の内部のガスの温度を測定するように構成された温度センサと、を有する、半導体製造装置が提供される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置の処理容器に接続され、前記処理容器の内部にガスを導入するガス導入配管と、
前記ガス導入配管に設けられ、前記ガス導入配管の内部のガスの温度を測定するように構成された温度センサと、
を有する、半導体製造装置。
【請求項2】
前記温度センサは、測温部が前記ガス導入配管の内壁よりも内側に配置されている、
請求項1に記載の半導体製造装置。
【請求項3】
前記温度センサは、前記処理容器のガス導入口付近に配置される、
請求項1又は2に記載の半導体製造装置。
【請求項4】
前記温度センサは、2箇所以上で前記ガス導入配管に接合されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項5】
前記温度センサは、前記ガス導入配管に設けられた2つの貫通孔を貫通するように構成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項6】
前記温度センサは、前記ガス導入配管に設けられた1つの貫通孔を貫通し、先端部が前記ガス導入配管の内壁に当接するように構成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項7】
前記温度センサは、前記ガス導入配管の内部を流れるガスの流れに対して垂直に配置されるように構成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
前記ガス導入配管の内部に配置され、前記ガス導入配管の内部のガスを加熱するように構成されるヒータを有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体製造装置。
【請求項9】
前記ヒータは、長手方向が前記ガス導入配管の内部を流れるガスの流れに対して水平に配置されるように構成される、
請求項8に記載の半導体製造装置。
【請求項10】
前記ヒータの一端又は両端において前記ガス導入配管に接合されている、
請求項8又は9に記載の半導体製造装置。
【請求項11】
半導体製造装置の処理容器に接続され、前記処理容器の内部にガスを導入するガス導入配管と、前記ガス導入配管に設けられ、前記ガス導入配管の内部のガスの温度を測定するように構成された温度センサと、前記ガス導入配管の内部に配置され、前記ガス導入配管の内部のガスを加熱するように構成されたヒータと、を有する半導体製造装置において実行する温度制御方法であって、
前記温度センサを使用して前記ガス導入配管の内部を流れるガスの温度を測定する工程と、
測定した前記ガスの温度に基づき、前記ガス導入配管の内部のガスの温度が目標温度になる又は前記目標温度に近づくように前記ヒータに供給する電流を制御する工程と、
を含む温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体製造装置及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置の処理容器内の温度を測定し、測定結果を処理容器内にて実行される基板処理におけるプロセス条件の制御に使用することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-172409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、ガス導入配管内のガスの温度を測定することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一の態様によれば、半導体製造装置の処理容器に接続され、前記処理容器の内部にガスを導入するガス導入配管と、前記ガス導入配管に設けられ、前記ガス導入配管の内部のガスの温度を測定するように構成された温度センサと、を有する、半導体製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、ガス導入配管内のガスの温度を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る半導体製造装置の一例を示す断面模式図。
図2】実施形態に係る温度センサと比較例に係る温度センサを示す図。
図3】実施形態に係る温度センサの実施例1~3を示す図。
図4】実施形態に係るヒータの実施例1、2を示す図。
図5】実施形態に係る温度制御方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
[半導体製造装置]
はじめに、図1を参照し、実施形態の半導体製造装置の一例について説明する。図1は、実施形態の半導体製造装置の一例を示す断面模式図である。
【0010】
半導体製造装置1は、処理容器10、ガス供給部20、排気部30、加熱部40、冷却部50、制御部90等を有する。
【0011】
処理容器10は、略円筒形状を有する。処理容器10は、内管11、外管12、マニホールド13、インジェクタ14、ガス出口15、蓋体16等を含む。内管11は、略円筒形状を有する。内管11は、例えば石英等の耐熱材料により形成されている。内管11は、インナーチューブとも称される。
【0012】
外管12は、有天井の略円筒形状を有し、内管11の周囲に同心的に設けられている。すなわち、内管11と外管12とにより2重管構造を構成する。外管12は、例えば石英等の耐熱材料により形成されている。外管12は、アウターチューブとも称される。
【0013】
マニホールド13は、略円筒形状を有する。マニホールド13は、内管11及び外管12の下端を支持する。マニホールド13は、例えばステンレス鋼により形成されている。インジェクタ14は、マニホールド13を貫通して内管11内に水平に延びると共に、内管11内でL字状に屈曲して上方に延びる。インジェクタ14は、基端がガス導入配管24と接続され、先端が開口する。インジェクタ14は、ガス導入配管24を介して導入される処理ガス(以下、単に「ガス」ともいう。)を先端の開口から内管11内に吐出する。処理ガスは、例えば成膜ガス、クリーニングガス、パージガスを含む。本実施形態において、成膜ガスは、シリコン含有膜を成膜するために用いられるガスであり、例えばシリコン含有ガス、窒化ガス、酸化ガス、ドーピングガスを含む。シリコン含有膜は、例えばシリコン膜、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜を含む。シリコン膜は、例えばアモルファスシリコン(a-Si)膜、ポリシリコン(Poly-Si)膜、ドープドシリコン(Doped-Si)膜を含む。クリーニングガスは、クリーニング方法を実施するために用いられるガスであり、例えばFガス、Clガス、ClFガス、NFガス、HFガス等のハロゲン含有ガスを含む。パージガスは、処理容器10内の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換するためのガスであり、例えばNガス、Arガス等の不活性ガスを含む。なお、図1の例では、インジェクタ14が1本の場合を示しているが、インジェクタ14は複数本であってもよい。
【0014】
ガス出口15は、マニホールド13に形成されている。ガス出口15には、排気配管32が接続されている。処理容器10内に供給される処理ガスは、ガス出口15を介して排気部30により排気される。
【0015】
蓋体16は、マニホールド13の下端の開口を気密に塞ぐ。蓋体16は、例えばステンレス鋼により形成されている。蓋体16上には、保温筒17を介してウエハボート18が載置されている。保温筒17及びウエハボート18は、例えば石英等の耐熱材料により形成されている。ウエハボート18は、複数のウエハWを鉛直方向に所定間隔をあけて略水平に保持する。ウエハボート18は、昇降機構19が蓋体16を上昇させることで処理容器10内へと搬入(ロード)され、処理容器10内に収容される。ウエハボート18は、昇降機構19が蓋体16を下降させることで処理容器10内から搬出(アンロード)される。
【0016】
ガス供給部20は、ガスソース21、IGS22(Integrated Gas System)、外部配管23、及びガス導入配管24を含む。ガスソース21は、処理ガスの供給源であり、例えば成膜ガスソース、クリーニングガスソース、パージガスソースを含む。IGS22は、ガス配管の集積回路であり、ガスソース21の成膜ガスソース、クリーニングガスソース、パージガスソース等にそれぞれ接続された配管群が集積される。IGS22内には流量制御部が設置され、各配管を流れるガスの流量を制御する。流量制御部は、例えばマスフローコントローラ、開閉バルブを含む。
【0017】
IGS22は、外部配管23に接続されている。外部配管23は、ガス導入配管24に接続されている。外部配管23の外壁にヒータを巻き、外部配管23を加熱するように構成されている。ガス導入配管24は、半導体製造装置1の処理容器10に接続され、処理容器10の内部にガスを導入する。つまり、ガスソース21からの処理ガスをIGS22内の流量制御部でその流量を制御し、外部配管23を通流する際に加熱してガス導入配管24に流し、ガス導入配管24からインジェクタ14を介して処理容器10内に供給する。インジェクタ14は処理容器10のガス導入口として機能する。
【0018】
処理容器10のガス導入口付近には、ガス導入配管24に接続されたガス配管継手(以下、継手70という。)が設けられている。温度センサ80は、継手70を貫通するように構成されている。温度センサ80は、ガス導入配管24内のガスの温度を測定するように構成されている。温度センサ80は、測定した温度を制御部90に送信する。また、ガス導入配管24内には、ヒータ100が配置され、ヒータ100はガス導入配管24内のガスを加熱するように構成されている。
【0019】
排気部30は、排気装置31、排気配管32及び圧力制御器33を含む。排気装置31は、例えばドライポンプ、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプである。排気配管32は、ガス出口15と排気装置31とを接続する。圧力制御器33は、排気配管32に介設されており、排気配管32のコンダクタンスを調整することにより処理容器10内の圧力を制御する。圧力制御器33は、例えば自動圧力制御バルブである。
【0020】
加熱部40は、断熱材41、発熱体42及び外皮43を含む。断熱材41は、略円筒形状を有し、外管12の周囲に設けられている。断熱材41は、シリカ及びアルミナを主成分として形成されている。発熱体42は、線状を有し、断熱材41の内周に螺旋状又は蛇行状に設けられている。発熱体42は、処理容器10の高さ方向に複数のゾーンに分けて温度制御が可能なように構成されている。外皮43は、断熱材41の外周を覆うように設けられている。外皮43は、断熱材41の形状を保持すると共に断熱材41を補強する。外皮43は、ステンレス鋼等の金属により形成されている。また、加熱部40の外部への熱影響を抑制するために、外皮43の外周に水冷ジャケット(図示せず)を設けてもよい。係る加熱部40は、発熱体42が発熱することにより、処理容器10内を加熱する。
【0021】
冷却部50は、処理容器10に向けて冷却流体を供給し、処理容器10内のウエハWを冷却する。冷却流体は、例えば空気であってよい。冷却部50は、例えば熱処理の後にウエハWを急速降温させる際に処理容器10に向けて冷却流体を供給する。また、冷却部50は、例えば処理容器10内の堆積膜を除去するクリーニングの際に処理容器10内に向けて冷却流体を供給する。冷却部50は、流体流路51、吹出孔52、分配流路53、流量調整部54、排熱口55を有する。
【0022】
流体流路51は、断熱材41と外皮43との間に高さ方向に複数形成されている。流体流路51は、例えば断熱材41の外側に周方向に沿って形成された流路である。吹出孔52は、各流体流路51から断熱材41を貫通して形成されており、外管12と断熱材41との間の空間に冷却流体を吹き出す。分配流路53は、外皮43の外部に設けられており、冷却流体を各流体流路51に分配して供給する。流量調整部54は、分配流路53に介設されており、流体流路51に供給される冷却流体の流量を調整する。
【0023】
排熱口55は、複数の吹出孔52よりも上方に設けられており、外管12と断熱材41との間の空間に供給された冷却流体を半導体製造装置1の外部に排出する。半導体製造装置1の外部に排出された冷却流体は、例えば熱交換器により冷却されて再び分配流路53に供給される。ただし、半導体製造装置1の外部に排出された冷却流体は、再利用されることなく排出されてもよい。
【0024】
温度センサ60は、処理容器10内の温度を検出する。温度センサ60は、例えば内管11内に設けられている。ただし、温度センサ60は、処理容器10内の温度を検出できる位置に設けられていればよく、例えば内管11と外管12との間の空間に設けられていてもよい。温度センサ60は、例えば複数のゾーンに対応して高さ方向の異なる位置に設けられた複数の測温部を有する。温度センサ60の測温部は、それぞれ上から順に「TOP」、「C-T」、「CTR」、「C-B」及び「BTM」のゾーンに対応して設けられている。複数の測温部は、例えば熱電対、測温抵抗体であってよい。温度センサ60は、複数の測温部で検出した温度を制御部90に送信する。
【0025】
制御部90は、半導体製造装置1の動作を制御する。制御部90は、例えばコンピュータであってよい。半導体製造装置1の全体の動作を行うコンピュータのプログラムは、記憶媒体に記憶されている。記憶媒体は、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、フラッシュメモリ、DVD等であってよい。
【0026】
[温度センサ]
ガス導入配管24の外壁にヒータを巻いて加熱することで間接的に配管内のガスを加熱し、ガス導入配管24の外壁に取り付けられた温度センサによりガス導入配管24の温度を測定することで間接的に配管内のガスの温度を測定することがある。この場合、測定した温度と実際にガス導入配管24内を流れるガスの温度との間に温度差が生じてしまう。また、ガス導入配管24内のガスの流量変化や配管の構造によってその温度差が変動してしまう。
【0027】
ガスの温度は、処理容器10内で実行されるプロセス(基板処理)に影響を及ぼす要因の一つである。このため、本開示の半導体製造装置1では、ガス導入配管24内のガスの温度を直接測定することが可能な温度センサ80を設置する。温度センサ80の設置場所は、処理容器10内のガスの温度に最も近い温度を測定できる位置が好ましく、処理容器10のガス導入口付近がよい。図1の例では、温度センサ80は、処理容器10内にガスを導入するインジェクタ14に接続されるガス導入配管24のガス導入口付近、すなわちインジェクタ14付近に継手70を設け、その継手70に配置する。
【0028】
半導体製造装置1では、基板を処理する際、処理容器10内を減圧状態にし、ガス導入配管24に設けられた図示しないガスバルブ開き、処理容器10内にガスを供給する。このとき、真空チャンバの処理容器10に音速に近い又はそれ以上、例えばマッハ0.3~マッハ0.1未満の速度で急激にガスが流入するため、ガス導入配管24の内部にカルマン渦が発生する。温度センサ80がカルマン渦で破損するリスクは高い。
【0029】
しかし、カルマン渦に耐え得る強度を確保する目的で温度センサ80を太くしてしまうと温度センサ80の動特性を損ない、実際の温度に対する測定温度の遅れが生じる恐れがある。そこで、以下に説明する実施形態の温度センサ80は、動特性を損なわず、かつ、カルマン渦による破損が生じない構造を有する。
【0030】
図2(a)は実施形態の温度センサ80を示し、図2(b)は比較例の温度センサ200を示す。図2(a)では、ガス導入配管24と接合した継手70を貫通する2つの孔を設け、その2つの孔に温度センサ80を挿入し、継手70の両端で温度センサ80を溶接している。これにより、本開示の温度センサ80は、点Aと点Bの2箇所で支持されている。
【0031】
これに対して、図2(b)では、比較例の温度センサ200がガス導入配管24に設けられた1つの孔から差し込まれている。比較例の温度センサ200は、1箇所で支持されている。ガス導入配管24と接合した継手70を貫通する1つの孔から差し込まれてもよい。
【0032】
温度センサ80及び温度センサ200のいずれも、測温部TCがガス導入配管24の内壁よりも内側に配置されている。これにより、ガス導入配管24内のガスの温度を測定できる。なお、温度センサ80の測温部TCはガス導入配管24の中心軸Ax上に設けられ、温度センサ200の測温部TCはガス導入配管24の中心軸Axから外れた位置に設けられている。しかし、これに限らず、測温部TCはガス導入配管24の内壁よりも内側に配置されていればよい。ただし、測温部TCは中心軸Axの近くに配置されることがより好ましい。
【0033】
比較例の温度センサ200の支持点は1点であり、温度センサ200に共振が生じ易い。カルマン渦による破損は共振によって生じるため、温度センサ200はカルマン渦により破損する恐れがある。また、温度センサ200は、温度センサ80よりも太く、温度センサ80における測定信号の動特性を損う恐れがある。
【0034】
これに対して、実施形態の温度センサ80の支持点は2点であり、温度センサ200に共振が生じ難い。よって、温度センサ80の構成及び配置によれば、カルマン渦による温度センサ80の破損のリスクをなくすことができる。つまり、温度センサ80を2箇所以上で接合することで共振が発生せず、温度センサ80を細くしても破損しない構成にできる。また、温度センサ80を細くするほど、動特性が良くなり、応答性が良くなる。よって、実施形態に係る温度センサ80の構成によれば、温測部TCの構造を細くしつつ、2箇所以上で接合することで共振によって引き起こされるカルマン渦による破損がなく、応答性が高く、継手70内のガスの温度を直接測定できる。
【0035】
[実施例1~3]
次に、実施形態の温度センサ80の実施例1~3について、図3を参照しながら説明する。図3(a)~(c)は、実施形態に係る温度センサ80の実施例1~3を示す図である。図3(a)~(c)に示す温度センサ80では、シース温度センサを用いる。温度センサ80は、外装のシース81の内部にシース熱電対82(熱電対素線)を入れ、酸化マグネシウム83等の絶縁材を充填した構成を有する。シース81は金属の円柱のチューブであり、シース81の材質は、例えばステンレス(SUS316)、インコネル(NCF600)であってもよい。シース81の材質は、継手70及び/又はガス導入配管24と同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。なお、実施例1~3では、実施形態の温度センサ80は円柱であるが、これに限らない。実施形態の温度センサ80は、カルマン渦を抑制する形状であれば、いずれの形状(たとえば、直方体等の角柱やその他の形状)を使用してもよい。なお、カルマン渦を抑制する形状については、「カルマン渦列の発生と物理と数理」、数理解析研究所講究録、第1776巻2012年28~42に開示された事項を考慮して定めることができる。
【0036】
(実施例1)
図3(a)に示す実施例1では、継手70に2つの貫通孔71、72を設け、温度センサ80を貫通孔71、72に挿入し、貫通孔71、72の2箇所(両端)を溶接し、温度センサ80を継手70に接合する。温度センサ80の先端部84は閉じており、継手70から突出している。シース熱電対82は、シース81内にて折り返し、折り返し部に温度センサ80の測温部TCを有する。
【0037】
このように温度センサ80の測温部TCは、継手70の内壁70aよりも内側に配置され、内壁70aに接しない。なお、各実施例において、継手70はガス導入配管24の一部であり、測温部TCがガス導入配管24の内壁よりも内側に配置されるとしてよい。つまり、測温部TCは内壁70aよりも内側に配置され、内壁70aに接しない。これにより、温度センサ80は、ガス導入配管24の内部のガスの温度を直接測定できる。
【0038】
また、実施例1の温度センサは、継手70に設けられた2つの貫通孔71、72を貫通し、貫通孔71、72の2箇所で継手70に接合されている。これにより、共振が発生せず、カルマン渦による温度センサ80の破損を防止できる。
【0039】
(実施例2)
図3(b)に示す実施例2では、継手70に1つの貫通孔71を設け、温度センサ80を貫通孔71に挿入し、先端部84を貫通孔71に対向する継手70の内壁70aに当接する。実施例2では、貫通孔71、先端部84が当接する内壁70aの2箇所(両端)で溶接し、温度センサ80を継手70に接合する。シース熱電対82は、温度センサ80のシース81内にて折り返し、折り返し部に温度センサ80の測温部TCを有する。
【0040】
実施例2の温度センサ80においても、測温部TCは内壁70aよりも内側に配置され、内壁70aに接しない。これにより、温度センサ80は、ガス導入配管24の内部のガスの温度を直接測定できる。
【0041】
また、実施例2の温度センサは、貫通孔71と内壁70aの2箇所で継手70に接合されている。これにより、共振が発生せず、カルマン渦による温度センサ80の破損を防止できる。
【0042】
(実施例3)
図3(c)に示す実施例3では、継手70に2つの貫通孔71、72を設け、温度センサ80を貫通孔71、72に挿入し、貫通孔71、72の2箇所を溶接し、温度センサ80を継手70に接合する。実施例3の温度センサ80の先端は開いており、継手70から突出している。シース熱電対82は、温度センサ80のシース81内にて1本の線として貫通し、シース熱電対82に測温部TCが設けられている。測温部TCは内壁70aよりも内側に配置され、内壁70aに接しない。
【0043】
係る構成の実施例1の温度センサ80は、測温部TCが継手70の内壁70aよりも内側に配置されている。これにより、温度センサ80は、ガス導入配管24の内部のガスの温度を直接測定できる。
【0044】
また、実施例3の温度センサは、継手70に設けられた2つの貫通孔71、72を貫通し、貫通孔71、72の2箇所で継手70に接合されている。これにより、共振が発生せず、カルマン渦による温度センサ80の破損を防止できる。
【0045】
(共通事項)
各実施例に係る温度センサ80は、ガス導入配管24(継手70)の内部を流れるガスの流れに対して垂直に配置されるように構成されることが好ましい。ここで、ガスの流れに対して垂直とは、ガスの流れに対して90°であることに限らず、例えば、90°から2°~3°程度ずれて配置されている場合を含む。また、温度センサ80の測温部TCはガス導入配管24(継手70)の径方向の中央に設けることが好ましい。これにより、ガスの温度を精度良く測定できる。ただし、測温部TCは、図2のガス導入配管24(継手70)の中心軸Ax上に配置することに限らず、中心軸Axから径方向にずれて配置されている場合を含む。ただし、測温部TCは、ガス導入配管24(継手70)の内壁には接しない。
【0046】
温度センサ80を、2箇所以上でガス導入配管24に接合する構造とすることで機械的な強度が向上しカルマン渦による共振などによる破損を防止すると共にシース熱電対の径を細くする事が可能となる。
【0047】
シース81の外径は、例えば0.08mm程度であってもよい。このように温度センサ80を細くすることで、温度センサ80の熱容量を小さくすることができる。これにより、応答性を高め、測定精度を向上させることができる。
【0048】
[実施例1、2]
次に、実施形態に係るヒータ100の実施例1、2について、図4を参照しながら説明する。図4(a)及び(b)は、実施形態に係るヒータ100の実施例1、2を示す図である。
【0049】
実施形態に係るヒータ100は、ガス導入配管24及び継手70に設置されている。ヒータ100をガス導入配管24に設置することで、ガス導入配管24に流れるガスの温度を、ヒータ100を使用して温度制御することができる。これにより、ガスの温度に起因するプロセス性能のバラツキを抑制することができる。ただし、ヒータ100は、ガス導入配管24等に設置しなくてもよい。
【0050】
ヒータ100は、金属のシース中に発熱体を保持し、その隙間を熱伝導のよい絶縁材で充填したシースヒータを使用してもよい。図4(a)及び(b)に示すように、ヒータ100は、ガス導入配管24の内部にてガスの流れに対して水平に配置されるように構成される。ヒータ100は、一端又は両端においてガス導入配管24に接合されてよい。図4(a)の例では、温度センサ80が設けられた継手70に貫通孔70bを開ける。貫通孔70bにヒータ100を通し、継手70内でヒータ100を略直角に曲げてガス導入配管24の内部にて、ヒータ100の長手方向がガスの流れに対して水平になるように配置する。貫通孔70bの位置にてヒータ100を継手70に溶接する。この場合、ヒータ100の一端100aが貫通孔70bから露出する。なお、ヒータ100の長手方向がガスの流れに対して水平に配置されるとは、ヒータ100の長手方向がガスの流れと完全に同一方向である場合だけでなく略同一方向、例えば、図2の中心軸Axに対して2°~3°程度斜めに配置されている場合を含む。
【0051】
図4(b)の例では、温度センサ80が設けられた継手70と、ヒータ100の長さに相当する分、継手70から離れた位置においてガス導入配管24に設けられた継手75とに貫通孔70b、75aを開ける。貫通孔70b、75aにヒータ100を通し、継手70内でヒータ100を略直角に曲げてガス導入配管24の内部にてガスの流れに対して水平に配置されるように配置する。貫通孔70b、75aの位置にてヒータ100を継手70に溶接する。この場合、ヒータ100の両端100a、100bが貫通孔70b、75aから露出する。
【0052】
図4(a)及び(b)の例では、ガス導入配管24の内壁24aの径(太さ)は約4.4πであり、その内部に約2πの径(太さ)のヒータ100を挿入する。これにより、ある程度太いヒータ100をガスの流れに対して水平に配置することでカルマン渦によるヒータ100の破損を防止できる。
【0053】
また、層流では熱の授受が行われ難い。よって、ヒータ100をある程度太くすることで、ガス導入配管24の内部に乱流を発生させることで熱の授受が行われ易いようにし、これにより、ヒータ100の加熱効率を高めることができる。
【0054】
[温度制御方法]
次に、以上に説明した半導体製造装置1を使用して行う実施形態に係る温度制御方法について図5を参照しながら説明する。図5は、実施形態に係る温度制御方法を示すフローチャートである。本開示の温度制御方法は、制御部90によって実行される。
【0055】
本処理では、まず、ステップS1において、制御部90は、ガス導入配管24内に配置した温度センサ80の測温部TCによりガスの温度を取得する。
【0056】
次に、ステップS2において、制御部90は、測定したガスの温度に基づき、ガス導入配管24内のガスの温度が目標温度になる又は目標温度に近づくようにヒータ100に供給する電流を制御する。ヒータ100は、ガス導入配管24内に配置され、ガス導入配管24内のガスを直接加熱するように構成されている。
【0057】
次に、ステップS3において、制御部90は、プロセスが終了したかを判定する。制御部90は、プロセスが終了したと判定するまで所定時間毎にステップS1~S3の処理を繰り返し実行し、プロセスが終了したと判定したとき本処理を終了する。
【0058】
以上に説明したように、本開示の温度センサ80によれば、ガス導入配管24内のガスの温度を測定することができる。これにより、処理容器10内のガスの温度をより精度よく予測できる。また、温度センサ80を細くして2箇所以上で固定することで、カルマン渦による温度センサ80の破損を防止できると共に、熱容量低減による動特性の向上を図ることができる。更に、ガス導入配管24内へヒータ100を配置することでガスの温度を制御することができる。
【0059】
半導体製造装置1にて実行する成膜等のプロセスにおいて、温度、ガス濃度及び圧力は基板のプロセスに影響を及ぼす主なパラメータである。そこで、これまで温度センサ60により測定していた処理容器10内の温度に加えて、本開示では、温度センサ80及びヒータ100を用いることで処理容器10のガス導入口付近のガスの温度を測定し、かつガスの温度をヒータ100により制御する。これにより、ガスの温度を積極的に成膜プロセスの結果に基づき制御することで、プロセスの安定性の向上を図ることができ、処理容器10内の熱負荷の低減に貢献できる。
【0060】
なお、温度センサ80及びヒータ100は、ガス導入配管24内だけでなく、ガス供給部20の外部配管23等のいずれのガス配管にも配置可能である。温度センサ80及びヒータ100の個数も1つに限らない。これにより、プロセスに影響を及ぼす重要パラメータの一つである温度として、ガス導入配管24及びその他のガス配管の内部のガス温度のデータを収集できる。このため、処理容器10内の温度センサ60等の他の各種温度センサのデータとの解析を行い、プロセス条件等、半導体製造装置1の各種の改良へ温度センサ80のデータが活用可能となる。
【0061】
今回開示された実施形態に係る半導体製造装置及び温度制御方法は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
【0062】
本開示の半導体製造装置は、Atomic Layer Deposition(ALD)装置、Capacitively Coupled Plasma(CCP)、Inductively Coupled Plasma(ICP)、Radial Line Slot Antenna(RLSA)、Electron Cyclotron Resonance Plasma(ECR)、Helicon Wave Plasma(HWP)のいずれのタイプの装置でも適用可能である。
【0063】
また、本開示の半導体製造装置は、基板に所定の処理(例えば、成膜処理、エッチング処理等)を施す装置であれば、プラズマを使用する処理装置及びプラズマを使用しない処理装置のいずれでもよい。また、本開示の半導体製造装置は、基板を一枚ずつ処理する枚葉装置、複数枚の基板を一括処理するバッチ装置、バッチ装置で一括処理する枚数よりも少ない複数枚の基板を一括処理するセミバッチ装置のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 半導体製造装置
10 処理容器
14 インジェクタ
20 ガス供給部
24 ガス導入配管
30 排気部
40 加熱部
50 冷却部
60 温度センサ
80 温度センサ
90 制御部
100 ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5