(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022018547
(43)【公開日】2022-01-27
(54)【発明の名称】管理システム、管理方法及びダミー容器
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20220120BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20220120BHJP
【FI】
G01N35/02 C
G16H10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020121722
(22)【出願日】2020-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 義弘
(72)【発明者】
【氏名】中津川 晴康
【テーマコード(参考)】
2G058
5L099
【Fターム(参考)】
2G058GC02
2G058GC05
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】検査結果と検査オーダーの対応付けを効率よく適切に行うことができる管理システム及び管理方法を得る。
【解決手段】管理システム20は、プロセッサを備えた管理システムであって、プロセッサは、検体を収容し、かつ当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器と、被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、外表面を撮影して得られる画像を取得する。また、画像に基づき、各々の検体容器に付与された被検者情報と、境界用容器に付与されたグループ境界情報と、を認識し、当該認識の結果と、被検者情報を含み、グループ境界情報に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の検体容器に収容された検体に係る検査結果と検査オーダーとを対応付ける。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを備えた管理システムであって、
前記プロセッサは、
検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器と、前記被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、前記複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、前記外表面を撮影して得られる画像を取得し、
前記画像に基づき、各々の前記検体容器に付与された前記被検者情報と、前記境界用容器に付与された前記グループ境界情報と、を認識し、
当該認識の結果と、前記被検者情報を含み、前記グループ境界情報に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の前記検体容器に収容された検体に係る検査結果と、前記検査オーダーとを対応付ける
管理システム。
【請求項2】
前記境界用容器は、前記グループ内において最初及び最後の少なくとも一方に検査が行われる検体を収容した検体容器である
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記境界用容器は、検体を収容しないダミー容器である
請求項1に記載の管理システム。
【請求項4】
前記グループ境界情報は、前記被検者が属するグループを判別するためのグループ判別情報を含み、
前記プロセッサは、
前記画像に基づき、前記グループ判別情報を更に認識し、
当該認識の結果と、前記グループ判別情報を更に含む前記検査オーダーとに基づき、各々の前記検体容器に収容された検体に係る検査結果と、前記検査オーダーとを対応付ける
請求項1から3の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項5】
前記グループ境界情報は、文字及び記号の少なくとも一方により表される
請求項1から4の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記ダミー容器の外表面に被検者情報の記入がないことを前記グループ境界情報として用いる
請求項3に記載の管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記検査結果と、前記検査オーダーと、を対応付けてディスプレイに表示する制御を行う
請求項1から6の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
複数の被検者ごとに、前記画像から前記被検者情報を含む領域を抽出したラベル画像を生成し、
前記ラベル画像に含まれる前記被検者情報に基づき、前記ラベル画像と、前記検査結果と、前記検査オーダーと、を対応付けてディスプレイに表示する制御を行う
請求項1から7の何れか1項に記載の管理システム。
【請求項9】
検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器と、前記被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、前記複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、前記外表面を撮影して得られる画像を取得し、
前記画像に基づき、各々の前記検体容器に付与された前記被検者情報と、前記境界用容器に付与された前記グループ境界情報と、を認識し、
当該認識の結果と、前記被検者情報を含み、前記グループ境界情報に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の前記検体容器に収容された検体に係る検査結果と、前記検査オーダーとを対応付ける
管理方法。
【請求項10】
検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器が、前記被検者が属する複数のグループごとに分けられ、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、前記複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された
ダミー容器。
【請求項11】
前記グループ境界情報は、前記被検者が属するグループを判別するためのグループ判別情報を含む
請求項10に記載のダミー容器。
【請求項12】
前記グループ境界情報は、文字及び記号の少なくとも一方により表される
請求項10又は11に記載のダミー容器。
【請求項13】
前記ダミー容器の外表面に被検者情報の記入がないことを前記グループ境界情報として用いる
請求項10に記載のダミー容器。
【請求項14】
前記ダミー容器は、前記検体容器が収容する検体を検査するための検査装置に収納され得る形状である
請求項10から13の何れか1項に記載のダミー容器。
【請求項15】
前記ダミー容器は、前記検体容器の形状と同様の形状である
請求項14に記載のダミー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム、管理方法及びダミー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便潜血検査及び血液検査等の様々な検査が行われている。こうした検査の中には、例えば検査機関等の検査を実施する機関と、例えば病院等の検査結果を利用する機関と、が異なる場合がある。
【0003】
例えば、便潜血検査の場合、被検者は、糞便等の検体を採取して病院に提出する。病院は、複数の被検者から提出された検体とともに、各々の被検者を特定するための氏名、性別及び年齢等の情報が含まれた検査オーダーを検査機関に提供する。検査機関は、病院から提供を受けた複数の検体の各々について検査を実施し、病院から受けた検査オーダーに基づいて、被検者と検査結果を対応付けて病院及び/又は被検者に通知する。
【0004】
すなわち、検査機関においては、検体を収容した検体容器の検体に係る検査結果と、検査オーダーと、を対応付ける作業を行っている。従来、この作業は、検査オーダーに基づいて発行されたバーコード等を対応する被検者の検体容器に手作業で貼付し、検体の検査時にバーコードを読み取る等の手法により行われていた。
【0005】
また、例えば、検体を被検者の所属するグループごとに仕分けする技術として、収容する容器にバーコード等で表示された仕分先情報を付し、当該仕分先情報に基づいて検体を仕分けして搬送する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、同姓同名等の理由により検体に取り違いが発生しないよう、検体の取り違いが発生している可能性をチェックする技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001-108690号公報
【特許文献2】特開2010-216868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、上述したような検査作業について、効率化を図るために、検体容器にバーコード等の識別手段を付与せずとも、検体容器に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーと、を適切に対応付けることができる技術が望まれている。また、このような場合において、異なる複数の検査オーダーのそれぞれに含まれる複数の検体容器をまとめて検査装置にセットしても、検査結果と検査オーダーとを適切に対応付けることができる技術が望まれている。
【0009】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検査結果と検査オーダーの対応付けを効率よく適切に行うことができる管理システム、管理方法及びダミー容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の管理システムは、少なくとも1つのプロセッサを備えた管理システムであって、プロセッサは、検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器と、被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、外表面を撮影して得られる画像を取得し、画像に基づき、各々の検体容器に付与された被検者情報と、境界用容器に付与されたグループ境界情報と、を認識し、当該認識の結果と、被検者情報を含み、グループ境界情報に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の検体容器に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。
【0011】
なお、本開示の管理システムにおいて、境界用容器は、グループ内において最初及び最後の少なくとも一方に検査が行われる検体を収容した検体容器であってもよい。
【0012】
また、本開示の管理システムにおいて、境界用容器は、検体を収容しないダミー容器であってもよい。
【0013】
また、本開示の管理システムにおいて、グループ境界情報は、被検者が属するグループを判別するためのグループ判別情報を含み、プロセッサは、画像に基づき、グループ判別情報を更に認識し、当該認識の結果と、グループ判別情報を更に含む検査オーダーとに基づき、各々の検体容器に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付けてもよい。
【0014】
また、本開示の管理システムにおいて、グループ境界情報は、文字及び記号の少なくとも一方により表されてもよい。
【0015】
また、本開示の管理システムにおいて、ダミー容器の外表面に被検者情報の記入がないことをグループ境界情報として用いてもよい。
【0016】
また、本開示の管理システムにおいて、プロセッサは、検査結果と、検査オーダーと、を対応付けてディスプレイに表示する制御を行ってもよい。
【0017】
また、本開示の管理システムにおいて、プロセッサは、複数の被検者ごとに、画像から被検者情報を含む領域を抽出したラベル画像を生成し、ラベル画像に含まれる被検者情報に基づき、ラベル画像と、検査結果と、検査オーダーと、を対応付けてディスプレイに表示する制御を行ってもよい。
【0018】
本開示の管理方法は、検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器と、被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、外表面を撮影して得られる画像を取得し、画像に基づき、各々の検体容器に付与された被検者情報と、境界用容器に付与されたグループ境界情報と、を認識し、当該認識の結果と、被検者情報を含み、グループ境界情報に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の検体容器に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。
【0019】
本開示のダミー容器は、検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器が、被検者が属する複数のグループごとに分けられ、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報が外表面に付与されている。
【0020】
なお、本開示のダミー容器は、グループ境界情報が、被検者が属するグループを判別するためのグループ判別情報を含むものであってもよい。
【0021】
また、本開示のダミー容器は、グループ境界情報が、文字及び記号の少なくとも一方により表されるものであってもよい。
【0022】
また、本開示のダミー容器は、ダミー容器の外表面に被検者情報の記入がないことをグループ境界情報として用いるものであってもよい。
【0023】
また、本開示のダミー容器は、検体容器が収容する検体を検査するための検査装置に収納され得る形状であることが好ましい。
【0024】
また、本開示のダミー容器は、検体容器の形状と同様の形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、検査結果と検査オーダーの対応付けを効率よく適切に行うことができる管理システム、管理方法及びダミー容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】各実施形態に係る管理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】便潜血検査用の検体容器の一例を示す図である。
【
図3】便潜血検査装置(検査装置)の一例を示す斜視図である。
【
図4】各実施形態に係る管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】各実施形態に係る管理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態に係る検査オーダーの一例を示す図である。
【
図7】同姓同名の被検者が強調して表示された画面の一例を示す図である。
【
図8】被検者判別情報が付与された検体容器の一例を示す図である。
【
図9】被検者判別情報が含まれる検査オーダーの一例を示す図である。
【
図10】検体容器がラックに収容された状態の一例を示す図である。
【
図11】検体容器を撮影して得られる画像と検査結果の一例を示す図である。
【
図12】検体容器を撮影して得られる画像の認識結果の一例を示す図である。
【
図13】検査結果と検査オーダーとを対応付ける処理を説明するための図である。
【
図14】検査結果と検査オーダーとが対応付けられて表示された画面の一例を示す図である。
【
図15】管理装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】検査装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第2実施形態に係る検査オーダーの一例を示す図である。
【
図18】グループ境界情報が付与された検体容器の一例を示す図である。
【
図19】検査結果と検査オーダーとを対応付ける処理を説明するための図である。
【
図20】グループ境界情報が付与されたダミー容器の一例を示す図である。
【
図21】検査結果と検査オーダーとを対応付ける処理を説明するための図である。
【
図22】グループ境界情報が付与されたダミー容器の一例を示す図である。
【
図23】グループ境界情報が付与されたダミー容器の一例を示す図である。
【
図24】グループ境界情報が付与されたダミー容器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
[第1実施形態]
まず、
図1を参照して、本開示の管理システム20の構成について説明する。
図1に示すように、便潜血検査又は血液検査等の各種医療関連の検査(以下、単に「検査」という)では、被検者10が健康診断その他検査又は診断等のために訪れる病院11と、病院11とは別組織である検査機関12とが関わる。
【0029】
被検者10は、検査に用いる検体を採取し、採取した検体を専用の容器(以下、「検体容器」という)13に収容して病院11に提出する。検体とは、被検者10の体組織又は分泌物等である。例えば、便潜血検査においては、検体は被検者10の糞便である。また、血液検査においては、検体は、被検者10の血液である。以下、説明のため、実施する検査が具体的に便潜血検査であるとする。
【0030】
一方、病院11は、通常、検査の専門機関である検査機関12に検査の依頼をする。例えば、病院11は病院情報システム(HIS(Hospital Information System))16等を用いて、検査機関12に検査の依頼(以下、「検査オーダー」という。詳細は後述。)を発行する。また、病院11は、検体を収容した検体容器13を、検査機関12に送る。
【0031】
図2は、検体容器13の一例としての採便容器を示す図である。検体容器13は、被検者10が自ら採便し、かつ、一定期間安定に保存し得るようにキット化した容器である。
図2に示すように、検体容器13は、検体である糞便を収容する容器本体31と、容器本体31に着脱自在に設けられたキャップ32と、を備える。容器本体31は、例えば透明又は半透明であり、内部には検体である糞便の保存液及び/又は希釈液等が入っている。キャップ32には、容器本体31に挿入する挿入部(図示しない)が取り付けられている。このため、被検者10は、キャップ32を容器本体31から取り外し、挿入部の先端で検体である糞便の表面をなぞる等して糞便を採取し、挿入部を容器本体31に挿入してキャップ32を閉じることにより、検体である糞便を採取する。
【0032】
検体容器13において、容器本体31の外表面にはラベル35が貼付され、被検者10が自身の氏名情報を含む各種情報を記入することが可能となっている。すなわち、検体容器13の外表面には、検体容器13に収容された検体が採取された被検者の氏名情報が少なくとも付与されている。
図2の例では、ラベル35には、氏名記入欄(
図2における「富士一郎」)、性別選択欄(
図2における「男」)、年齢記入欄(
図2における「37才」)及び採便日時記入欄(
図2における「2019年4月25日18時」)が設けられている。
【0033】
なお、通常、便潜血検査は2日分の糞便を用いて検査を行うため、同一人物に係る2日分の検体容器13の区別のために、色違いの2種類のラベル35を用いてもよい。例えば、氏名記入欄を示す文字(「氏名」)、性別選択欄を示す文字(「男」及び「女」)、年齢記入欄を示す文字(「才」)、採便日時記入欄を示す文字(「年」「月」「日」及び「時」)、及び/又はその他罫線等の色を異ならせてもよい。以下では、説明の簡略化のため、同一の被検者10に係る検体容器13は1本のみとして説明する。
【0034】
検査機関12は、少なくとも1台の検査装置21と、管理装置22と、を備える。本開示の管理システム20は、管理装置22と、検査装置21の一部又は全部と、によって構成される。なお、検査機関12は、実施する検査の種類に応じて、複数種類の検査装置21を備えてもよい。例えば、検査機関12が便潜血検査と血液検査に対応する場合、便潜血検査装置と血液検査装置の2種類の検査装置21を備えていてもよい。
【0035】
図3は、検査装置21の一例としての便潜血検査装置を示す斜視図である。検査装置21は、検体容器載置部41と、検査を実施する実体的な機構である検査部42と、検査装置21の操作部かつ表示部として機能するタッチパネル43と、を備える。検査装置21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含んで構成される。
【0036】
検体容器載置部41は、検査を実施する場合に、1又は複数の検体容器13を載置する部分である。本実施形態においては、
図10に示すように、複数の検体容器13を、被検者情報に係る部分がラック46に隠されていない状態で保持するラック46にセットし、複数の検体容器13をラック46ごと検体容器載置部41に載置する。なお、同一の被検者10に係る複数の検体容器13を1つのラック46にセットしてもよいが、以下の説明では、ラック46にセットする検体容器13は、各々異なる被検者10が提出したものとする。
【0037】
検査部42は、
図5に示すように、撮影部52と、検査機構53と、を備える。検査機構53は、ラック46にセットされた複数の検体容器13に含まれる検体について、便潜血検査を順次実施するための機構であり、便潜血検査に使用する試薬のストック等を含む。検査機構53は、検査を終えると、順次、検査結果及び検査の進捗状況等をタッチパネル43に表示するよう制御してもよい。
【0038】
撮影部52は、例えばカメラ等の撮影装置を含んで構成される。撮影部52は、各検体容器13が収容する検体を検査機構53に提供するタイミングで、検体容器13の外表面に付与された氏名情報、及び被検者判別情報100(詳細は後述)を含む領域を撮影して画像を得る。なお、撮影部52は、ラック46にセットされた複数の検体容器13をそれぞれ個別に撮影してもよいし、ラック46にセットされた複数の検体容器13の一部又は全部をまとめて撮影してもよい。また、撮影部52は、複数の被検者10ごとに、撮影して得られた画像から氏名情報を含む領域を抽出したラベル画像55を生成する。
【0039】
検査装置21は、検査機構53により得られた検査結果と、当該検査結果が得られた検体が収容されていた検体容器13のラベル画像55と、を対応付けて管理装置22に出力する(
図11参照)。
【0040】
なお、ラック46にバーコード又はICチップ等(不図示)を用いてID(IDentifier)を付与し、検査装置21がラック46を個別に認識可能としてもよい。このような形態によれば、検体容器13及び検査結果をラック46ごとに管理することができるので、混同を抑制することができる。
【0041】
次に、
図4を参照して、本実施形態に係る管理装置22のハードウェア構成を説明する。
図4に示すように、管理装置22は、CPU81、不揮発性の記憶部82、及び一時記憶領域としてのメモリ83を含む。また、管理装置22は、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイ84、キーボードとマウス等の入力部85、及びネットワークに接続されるネットワークI/F(InterFace)86を含む。CPU81、記憶部82、メモリ83、ディスプレイ84、入力部85、及びネットワークI/F86は、バス88に接続される。CPU81は、本開示におけるプロセッサの一例である。
【0042】
記憶部82は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、及びフラッシュメモリ等の記憶装置によって実現される。記憶媒体としての記憶部82には、情報処理プログラム87が記憶される。CPU81は、記憶部82から情報処理プログラム87を読み出してからメモリ83に展開し、展開した情報処理プログラム87を実行する。
【0043】
次に、
図5~14を参照して、本実施形態に係る管理装置22の機能的な構成を説明する。
図5に示すように、管理装置22は、取得部60、認識部62、対応付け部64及び表示制御部66を含む。CPU81が情報処理プログラム87を実行することにより、取得部60、認識部62、対応付け部64及び表示制御部66として機能する。
【0044】
図5に示すように、取得部60は、病院情報システム16から検査オーダーを取得する。検査オーダーの一例を
図6に示す。
図6に示すように、検査オーダーは、検査を実施する被検者10、すなわち検体を採取する被検者10の情報(以下、「被検者情報」という)を含む。被検者情報は、被検者10の氏名情報を少なくとも含み、被検者10の性別及び年齢等の情報、並びに被検者10ごとに割り振られた被検者ID等を含んでもよい。また、検査オーダーは、実施する検査の対象及び内容を表す情報等を含んでもよい。
【0045】
なお、検査オーダーは、例えば企業及び学校等の、被検者が所属するグループごとに作成される。
図6には、グループの一例としての「P社」及び「Q社」ごとに、検査オーダーが作成されている例を示している。なお、検査オーダーは、被検者が所属するグループの情報を、被検者情報として含んでいてもよい。
【0046】
図7は、検査オーダーに同姓同名の複数の被検者が含まれる場合にディスプレイ84に表示される画面の一例を示す図である。表示制御部66は、取得部60が取得した検査オーダーに同姓同名の複数の被検者が含まれるか否かを判定し、検査オーダーに同姓同名の複数の被検者が含まれる場合には、当該同姓同名の複数の被検者を強調してディスプレイ84に表示する制御を行う。
図7の例では、「富士一郎」の同姓同名の2名について、背景色を変えて強調表示している。この表示制御部66による処理は、上述した検査装置21による検体容器13の外表面を撮影する処理に先立って行われる。
【0047】
検査者は、ディスプレイ84に表示された画面に基づき、検査オーダーに同姓同名の複数の被検者10が含まれていることを確認した場合、当該同姓同名の被検者10に係る検体容器13の外表面に被検者判別情報100を付与する。被検者判別情報100は、同姓同名の複数の被検者10を判別するための情報であり、同姓同名の複数の被検者10のそれぞれに異なる文字列(例えば、識別番号等)が付与されればよい。検査者は、例えば年齢情報及び性別情報等の、氏名情報以外の被検者情報に基づき、同姓同名の被検者10を判別する。
【0048】
図8の例では、同姓同名の「富士一郎」の検体容器13のうち、年齢情報として「37歳」が付与された検体容器13には「A」が付与され、年齢情報として「50歳」が付与された検体容器13には「B」が付与されている。すなわち、被検者判別情報100は、複数の検体容器13のうち、同姓同名の被検者10の検体容器13のみに付与される。
【0049】
また、
図9に示すように、検査者は、同姓同名の被検者10に係る検体容器13の外表面に付与した被検者判別情報100と同じ被検者判別情報100を、検査オーダーの「備考」欄に追記する。すなわち、この時点で、検査オーダーには氏名情報、及び検体容器13の外表面に付与されたものと同じ被検者判別情報100が少なくとも含まれる。
【0050】
その後、
図10に示すように、検査者は、同姓同名の被検者10に係る検体容器13の外表面には被検者判別情報100を付与した状態で、検査対象の複数の検体容器13をラック46にセットし、検査装置21による検体の検査を実行させる。なお、ラック46への検体容器13の配置順は任意であり、検査オーダーに登録された順と異なっていてもよい。
【0051】
なお、以上の同姓同名の被検者10に関して施される処理は、同姓同名の被検者だけでなく、同音異字等の類似した氏名を有する複数の被検者10に関しても行うことが好ましい。例えば、同音異字の氏名を有する複数の被検者10の各々が、検査オーダーに登録された氏名表記と異なる表記(例えば、ひらがな等)で検体容器13の外表面に氏名を記載した場合には、被検者判別情報100によって判別の精度を向上させることが好ましいためである。
【0052】
取得部60は、検査装置21から検査結果及びラベル画像55を取得する。上述した通り、ラベル画像55及び検査結果は、
図11に示すようにそれぞれ対応付けられて検査装置21から出力される。
図11の例では、検査結果の一例として「測定値」が示されている。また、
図11の例には、ラベル画像55及び検査結果に対応した「検査ID」も含まれている。「検査ID」は、検査を実施した順序(あるいは検査結果等の取得順序)を表し、例えば、取得部60が、相互に対応するラベル画像55及び検査結果を取得した場合に、そのラベル画像55及び検査結果の組に対して付す。
【0053】
認識部62は、ラベル画像55に基づき、各々の検体容器13に付与された、少なくとも氏名情報を含む被検者情報、及び被検者判別情報100を認識する。具体的には、認識部62は、OCR(Optical Character Recognition/Reader)等の文字認識機能を有する。
図12には、認識部62がラベル画像55に基づいて認識した氏名情報(「氏名」)、性別及び年齢に関する情報を含む被検者情報と、被検者判別情報100(「備考」)と、を示している。
【0054】
なお、認識部62は、ラベル画像55に基づき、被検者判別情報100が付与されない同姓同名の複数の被検者に係る検体容器を認識した場合に、警告を発する制御を行ってもよい。警告を発する制御としては、例えば、ディスプレイ84に警告を表示すること、及び管理装置22がスピーカーを備える場合に音を発することが挙げられる。
【0055】
対応付け部64は、認識部62の認識結果(
図12参照)と、検査者によって被検者判別情報100が追記された検査オーダー(
図9参照)と、に基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。ここで、検査結果と検査オーダーの「対応付け」とは、特定の検体容器13の検体に係る検査結果を、特定の検査オーダーに係る検査結果であると特定することをいう。換言すれば、特定の検体容器13を、特定の検査オーダーに係る検体容器13であると特定すること、及び/又は、ある特定の検体容器13の検体を提供した特定の被検者10が特定の検査オーダーに係る被検者10であると同定すること、と実質的に同義である。これらのうち1つが対応付けられれば、他も自動的に定まるからである。また、検体容器13はラベル画像55と一対一対応であるから、検体容器13と検査オーダーとの対応付けは、ラベル画像55と検査オーダーとの対応付けと言い換えることができる。
【0056】
対応付け部64は、認識部62の認識結果の一部又は全部を、検査オーダーの対応する項目と照合する。そして、
図13に示すように、認識結果と検査オーダーが共通に含む被検者情報の内容が一致する検査オーダーを、認識処理をしたラベル画像55及びその検査結果に対応付ける。
【0057】
なお、対応付け部64は、認識結果と検査オーダーが共通に含む被検者情報の内容が一致する検査オーダーがない場合、部分的に一致する検査オーダーの中で一致率が高い検査オーダーを、認識処理をしたラベル画像55及びその検査結果の組に対応付けてもよい。すなわち、対応付け部64は、ラベル画像55の認識結果と検査オーダーとを照合し、被検者情報の一致率が良好な(例えば最も一致率が高い)検査オーダーを、認識処理をしたラベル画像55及びその検査結果の組に対応する検査オーダーと推定して対応付けを行ってもよい。この場合、ラベル画像55が認識不良の場合でも、暫定的に最も正確性が高いと考えられる対応付けを行うことができる。
【0058】
また、対応付け部64は、認識部62が複数の被検者情報を認識する場合、これらの被検者情報間に優先順位を設けてもよい。例えば、認識部62が、ラベル画像55から被検者10の氏名、性別及び年齢を認識する場合、これらの中で被検者10の氏名を優先して、検査オーダーとの対応付けを行ってもよい。被検者10の氏名が他の被検者10と一致する確率は、性別及び年齢が他の被検者10と一致する確率よりも低いので、氏名の一致度を優先することにより、被検者情報が完全に一致しない場合でも、正確な対応付けをしやすくなる。
【0059】
表示制御部66は、
図14に示すように、ラベル画像55と、検査結果と、検査オーダーと、を対応付けてディスプレイ84に表示する制御を行う。なお、ラベル画像55の表示を省略した形態としてもよい。また、管理装置22は、病院11の病院情報システム16等に対して、
図14に示すような検査結果報告を送信してもよい。
【0060】
次に、
図15を参照して、本実施形態に係る管理装置22の作用を説明する。CPU81が情報処理プログラム87を実行することによって、
図15に示す処理が実行される。
図15に示す処理は、例えば、検査者等の操作者によって、検査開始の指示が入力部85を介して入力された場合に実行される。
【0061】
図15のステップS10で、取得部60は、病院情報システム16から検査オーダーを取得する。ステップS12で、表示制御部66は、検査オーダーに同姓同名の複数の被検者10が含まれる場合に、当該同姓同名の複数の被検者10を強調してディスプレイ84に表示する制御を行う。ステップS14で、表示制御部66は、操作者による検査オーダーへの被検者判別情報100の入力を受け付ける。ステップS16で、取得部60は、検査装置21から検査結果及び画像を取得するまで待機する。
【0062】
ここで、
図16を参照して、上記ステップS14とステップS16の間に検査装置21で行われる処理について説明する。
図16に示す処理は、例えば、検査者等の操作者によって、検査開始の指示がタッチパネル43を介して入力された場合に実行される。
【0063】
図16のステップS30で、検査装置21は、検体容器載置部41に検体容器13がセットされたか否かを判定する。検体容器載置部41に検体容器13がセットされると(ステップS30がY)、ステップS32で、撮影部52は、検体容器13の外表面に付与された氏名情報及び被検者判別情報100を含む領域を撮影し、画像を得る。ステップS34で、検査機構53は、検体の検査を実施する。ステップS36で、検査装置21は、ステップS32で得られた画像と、ステップS34で得られた検査結果と、を対応付けて管理装置22に出力する。なお、ステップS32の処理とステップS34の処理は、並行して行ってもよいし、順序を入れ替えて行ってもよい。
【0064】
図15に戻って説明をする。
図15のステップS18で、認識部62は、ステップS16で取得した画像に基づき、各々の検体容器13に付与された氏名情報及び被検者判別情報100を認識する。ステップS20で、対応付け部64は、ステップS18の認識結果と、ステップS14で被検者判別情報100が入力された検査オーダーと、に基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。ステップS22で、表示制御部66は、ステップS20で対応付けられた検査結果と、検査オーダーと、を対応付けてディスプレイ84に表示する制御を行う。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム20は、少なくとも1つのプロセッサを備えた管理システムであって、プロセッサが、検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者10の氏名情報及び同姓同名の複数の被検者を判別するための被検者判別情報100が外表面に付与された複数の検体容器13の各々について、外表面を撮影して得られる画像を取得する。また、画像に基づき、各々の検体容器13に付与された氏名情報及び被検者判別情報100を認識し、当該認識の結果と、氏名情報及び被検者判別情報100を含む検査オーダーとに基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。このような形態によれば、同姓同名の複数の被検者10が存在していても、検査結果と検査オーダーの対応付けを効率よく適切に行うことができる。
【0066】
なお、上記実施形態においては、被検者判別情報100を同姓同名の被検者10に係る検体容器13に付与する形態について説明したが、これに限らず、被検者10と、検体容器13と、検査オーダーとを対応付けられる任意の形態を採用することができる。例えば、同姓同名の被検者10に係る検体容器13をラック46にセットする場合に、当該同姓同名の被検者10に係る検体容器13の前後の少なくとも一方に、被検者判別情報100を付与したダミー容器をセットする形態としてもよい。このような形態によっても、認識部62は、ダミー容器を撮影して得られる画像から、対応する検体容器13の被検者判別情報100を認識することができる。
【0067】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では、同一の検査オーダーに同姓同名の複数の被検者10が存在する場合でも、検査結果と検査オーダーの対応付けを効率よく適切に行うことができる管理システム20及び管理方法について説明した。すなわち、上述した通り、検査オーダーは被検者が所属するグループごとに作成されるから、同一のグループに同姓同名の複数の被検者10が存在する場合についても対応できる管理システム20について説明した。
【0068】
本実施形態では、同一の検査オーダー(すなわち同一のグループ)には同姓同名の複数の被検者10が存在せず、異なる検査オーダー(すなわち異なるグループ)に同姓同名の複数の被検者10が存在する場合について説明する。
図17には、同姓同名の2名の「富士一郎」が、P社及びQ社のそれぞれ異なる検査オーダー(すなわち異なるグループ)に存在する例を示す。以下、第1実施形態と同様の構成には同様の記号を付し、説明を省略する。
【0069】
通常、検査装置21における検査は、検査者がラック46に検体容器13を検査オーダーごと(すなわちグループごと)にセットすることで、検査オーダー順に行われる。一方、検査作業の効率化のためには、特にラック46に空きがある場合等において、異なる複数のグループに含まれる検体容器13を同じラック46にセットし、連続的に検査を行うことが望まれている。このような場合、グループ間の境界を判断することができれば、異なるグループに同姓同名の複数の被検者10を含む場合に、第1実施形態に記載の被検者判別情報100を付与しなくても、対応付けができる。
【0070】
そこで、本実施形態においては、被検者のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報102が外表面に付与された境界用容器を用いて、グループ間の境界を判断する。グループ境界情報102は、被検者10が属するグループを判別するためのグループ判別情報104を含んでいてもよい。グループ境界情報102及びグループ判別情報104は、文字及び記号の少なくとも一方により表される。
【0071】
境界用容器は、例えば、グループ内において最初及び最後の少なくとも一方に検査が行われる検体を収容した検体容器13である。以下では、グループ境界情報102が、境界用容器の一例としての各グループ内で最初に検査が行われる検体を収容した検体容器13の外表面に付与された例について説明する。
【0072】
図18は、グループ境界情報102の一例としての1本の線、並びに「P」及び「Q」の文字が、それぞれP社及びQ社の各グループの最初の検体容器13に付与された例を示す。このうち、「P」及び「Q」の文字は、それぞれP社及びQ社のグループを判別するためのグループ判別情報104としても機能する。
【0073】
図18に示すように、検査者は、グループの最初の検体容器13にグループ境界情報102を付与して、ラック46にセットし、検査装置21による検査を実行する。ラック46への検体容器13のセットは、例えばP社が先でQ社が後となるように、検査オーダー順に、グループごとに一まとまりとなるようにセットされる。すなわち、検査は、検査オーダー順に、グループごとに行われる。なお、各グループ内での検体容器13の配置順は任意であり、検査オーダーに登録された順と異なっていてもよい。
【0074】
取得部60は、検査装置21から検査結果及びラベル画像55を取得する。ラベル画像55には、被検者情報と、グループ境界情報102とが含まれる。また、グループ境界情報102は、グループ判別情報104を含み得る。
【0075】
認識部62は、ラベル画像55に基づき、各々の検体容器13に付与された被検者情報と、境界用容器に付与されたグループ境界情報102とを認識する。また、認識部62は、グループ境界情報102がグループ判別情報104を含む場合は、グループ判別情報104を認識する。
【0076】
対応付け部64は、ラベル画像55にグループ境界情報102が付与されていると認識された検体容器13を、P社及びQ社の各グループの最初の検体容器13であると判断する。対応付け部64は、
図19に示すように、認識部62の認識結果と、グループ境界情報102に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。
【0077】
ここで、「グループ境界情報102に対応するグループ分けがなされた検査オーダー」とは、例えば、上述したようにグループごとに作成された検査オーダーを意味する。また、例えば、複数の被検者10ごとに、被検者10が所属するグループの情報が含まれている検査オーダーを意味する。また、例えば、1つの検査オーダーに複数のグループが含まれている場合は、グループ間の境界に予め定められた文字列及び空欄等で表されるグループの境界を示す情報が含まれる検査オーダーを意味する。
【0078】
上述したように、検査は検査オーダー順に、グループごとに行われる。したがって、グループ境界情報102がグループ判別情報104を含まない場合であっても、グループ境界情報102によってグループ間の境界が分かることにより、異なるグループに存在する同姓同名の複数の被検者10のそれぞれに対応付けができる。
【0079】
また、対応付け部64は、グループ境界情報102がグループ判別情報104を含む場合は、認識部62の認識結果と、グループ判別情報104を更に含む検査オーダーとに基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。この場合は、ラベル画像55から認識されたグループ判別情報104と、検査オーダーに含まれるグループ判別情報104(例えば「P社」及び「Q社」)との照合により、異なるグループに存在する同姓同名の複数の被検者10のそれぞれに対応付けができる。
【0080】
なお、本実施形態において、表示制御部66は、ラベル画像55と、検査結果と、検査オーダーと、を対応付けてディスプレイ84に表示する制御を行う場合に、異なるグループに存在する同姓同名の複数の被検者10について強調表示する制御を行ってもよい。例えば、同姓同名の複数の被検者10について、背景色を変えて強調表示してもよい。この場合、検査者が、異なるグループに存在する同姓同名の複数の被検者10の存在を確認することができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る管理システム20は、少なくとも1つのプロセッサを備えた管理システムであって、プロセッサが、検体を収容し、かつ、当該検体が採取された被検者10の被検者情報が外表面に付与された複数の検体容器13と、被検者10のグループが複数存在し、複数のグループについて検体の検査が連続的に行われる場合に、複数のグループ間の境界を示すグループ境界情報102が外表面に付与された境界用容器と、の各々について、外表面を撮影して得られる画像を取得する。また、画像に基づき、各々の検体容器13に付与された被検者情報と、境界用容器に付与されたグループ境界情報102と、を認識し、当該認識の結果と、被検者情報を含み、グループ境界情報102に対応するグループ分けがなされた検査オーダーとに基づき、各々の検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付ける。
【0082】
本実施形態に係る管理システム20によれば、従来のように検体容器13にバーコード等の識別手段を付与せずとも、グループ間の境界を判断することができる。したがって、異なる複数の検査オーダーのそれぞれに含まれる複数の検体容器13をまとめて検査装置にセットしても、検査結果と検査オーダーとを適切に対応付けることができる。また、例えば、異なるグループに同姓同名の複数の被検者10が存在する場合に、検査結果と検査オーダーの対応付けをより効率よく、適切に行うことができる。
【0083】
なお、上記実施形態では、被検者を特定するための情報として氏名情報を用い、異なる検査オーダー(すなわち異なるグループ)に同姓同名の複数の被検者10が存在する場合について説明したが、これに限らない。本実施形態に係る管理システム20は、氏名情報以外の任意の被検者情報について、同一の被検者情報を有する複数の被検者10が、それぞれ異なる検査オーダーに存在する場合にも適用することができる。すなわち、本実施形態においては、検体容器13の外表面に付与された被検者情報には、氏名情報が含まれていなくてもよい。
【0084】
例えば、被検者情報として、被検者ごとに予め定められたIDを検体容器13の外表面に付与し、認識部62が当該IDを認識し、対応付け部64が当該IDに基づいて、検査結果と検査オーダーとを対応付ける形態としてもよい。この場合、異なる検査オーダー(すなわち異なるグループ)に同一IDの複数の被検者10が存在していても、グループ間の境界を判断することができるので、検査結果と検査オーダーとを適切に対応付けることができる。
【0085】
また、境界用容器としては、上述したようなグループ境界情報102が付与された検体容器13の他に、例えば、検体を収容しないダミー容器14を用いることができる。
図20は、一例として、被検者情報の記入がないダミー容器14を用いる例を示す図である。ダミー容器14は、検体容器13が収容する検体を検査するための検査装置21に収納され得る形状であればよく、検体容器13の形状と同様の形状であることが好ましい。
【0086】
この場合、ダミー容器14の外表面に被検者情報の記入がないことをグループ境界情報102として用いてもよい。対応付け部64は、
図21に示すように、氏名情報等の被検者情報が付与されていないと認識されたダミー容器14のラベル画像55によって、グループの境界を判断する。
【0087】
また、
図22~24に示すように、ダミー容器14の外表面に、文字及び記号の少なくとも一方により表されたグループ境界情報102及びグループ判別情報104を付与してもよい。
図22は、グループ境界情報102の一例としての1本の線が付与されたダミー容器14の例を示している。
図23は、グループ境界情報102の一例としての1本の線、並びにグループの先頭を意味する「S」及びグループの末尾を意味する「E」の文字が付与されたダミー容器14を示す。
図24は、グループ境界情報102の一例としての1本の線、並びに「P」及び「Q」の文字が付与されたダミー容器14を示す。このうち、「P」及び「Q」の文字は、それぞれP社及びQ社のグループを判別するためのグループ判別情報104としても機能する。
【0088】
以上説明したように、ダミー容器14を用いる形態によれば、検体容器13にグループ境界情報102を付与することで、氏名情報等の被検者情報を認識しづらくなることを抑制することができる。したがって、検査結果と検査オーダーの対応付けをより適切に行うことができる。また、ダミー容器14を予め用意しておくことで、検査者が検体容器13にグループ境界情報102を付与する作業を省略することができるので、検査作業の効率化を図ることができる。
【0089】
なお、上記各実施形態に開示の技術は、任意の組合せが可能である。例えば、第1実施形態に開示の被検者判別情報と、第2実施形態に開示のグループ境界情報102及びグループ判別情報104と、の全てを用いて、検体容器13に収容された検体に係る検査結果と、検査オーダーとを対応付けてもよい。
【0090】
また、上記各実施形態において、検査装置21及び管理装置22が内包する各機能部を、検査装置21及び管理装置22に接続された外部装置で行うようにしてもよい。例えば、検査装置21が撮影部52を内包せず、デジタルカメラ等の外部の撮影装置によって撮影されたラベル画像55を検査装置21が受信し、受信したラベル画像55と、検査結果とを対応付けて出力する形態としてもよい。また、例えば、管理装置22が認識部62を内包せず、文字認識機能を有する外部装置にラベル画像55を認識させて得られる被検者情報、グループ境界情報102及びグループ判別情報104を、管理装置22が受信する形態としてもよい。
【0091】
また、上記各実施形態において、例えば、取得部60、認識部62、対応付け部64及び表示制御部66といった各種の処理を実行する処理部(Processing Unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(Processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、上述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device :PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0092】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせ又はCPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアとの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0093】
さらに、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)を用いることができる。
【符号の説明】
【0094】
10 被検者
11 病院
12 検査機関
13 検体容器
14 ダミー容器
16 病院情報システム
20 管理システム
21 検査装置
22 管理装置
31 容器本体
32 キャップ
35 ラベル
41 検体容器載置部
42 検査部
43 タッチパネル
46 ラック
52 撮影部
53 検査機構
55 ラベル画像
60 取得部
62 認識部
64 対応付け部
66 表示制御部
81 CPU
82 記憶部
83 メモリ
84 ディスプレイ
85 入力部
86 ネットワークI/F
87 情報処理プログラム
88 バス
100 被検者判別情報
102 グループ境界情報
104 グループ判別情報