(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022185493
(43)【公開日】2022-12-14
(54)【発明の名称】二色性色素組成物、液晶素子、位相差板および偏光子
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20221207BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
G02B5/30
C09B57/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021093223
(22)【出願日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 悟史
(72)【発明者】
【氏名】仲嶋 翔
(72)【発明者】
【氏名】齊部 佑紀
(72)【発明者】
【氏名】折田 雄一朗
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA00
2H149AA17
2H149AA22
2H149AA23
2H149AB05
2H149BA02
2H149BA14
2H149BB05
2H149DA02
2H149DA12
2H149DB14
2H149FA22W
2H149FA26W
2H149FD01
(57)【要約】
【課題】様々な光学素子に有用な新規の二色性色素組成物、およびこれを利用した光学素子を提供すること。
【解決手段】ヘテロ原子を含有するスクアリリウム色素と可視光を透過する液晶化合物とを含む二色性色素組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ原子を含有するスクアリリウム色素と可視光を透過する液晶化合物とを含む二色性色素組成物。
【請求項2】
前記スクアリリウム色素が、下記式(X)で表される化合物である、請求項1に記載の二色性色素組成物。
【化1】
[前記式(X)中の記号は以下のとおりである。
Arは炭素数5~14の芳香族性を有する単環、縮環または連結環である。
R
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子もしくは環構造を含んでよい炭素数1~20の1価炭化水素基を示す。
R
1とR
2、R
1およびR
2の少なくとも一方とArを構成する炭素原子は、互いに連結して窒素原子と共に員数が3から10の複素環を形成してもよい。]
【請求項3】
前記スクアリリウム色素が、下記式(I)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化2】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
R
11およびR
21は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合もしくはヘテロ原子を含んでよい炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~19のアシルオキシ基、炭素数6~11のアリール基、または、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基を示す。
R
31およびR
51は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~8のアシルオキシ基、炭素数6~9のアリール基、置換基を有してもよく炭素原子間に酸素原子を有してもよい炭素数7~9のアルアリール基、-NR
31aR
31b(R
31aおよびR
31bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-C(=O)-R
31c(R
31cは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~8の炭化水素基)、-NHR
31d、または、-SO
2-R
31d(R
31dは、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~8の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R
31e、R
31fは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
【化3】
R
41およびR
61は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~8のアシルオキシ基、炭素数6~9のアリール基、または、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~9のアルアリール基を示す。
R
11とR
21、R
11とR
41、およびR
21とR
61は、互いに連結して窒素原子と共に、それぞれ員数が4から6の複素環A1、員数が5から7の複素環B1、および員数が5から7の複素環C1を形成してもよい。]
【請求項4】
前記スクアリリウム色素が、下記式(II)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化4】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
環Z2は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有する5員環または6員環であり、環Z2が有する水素原子は置換されていてもよい。
R
12とR
22は、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭素数1~20の1価炭化水素基を示す。
R
32およびR
42は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
R
12とR
22、R
12とR
42、およびR
22と環Z2を構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれ員数が4から6の複素環A2、員数が5から7の複素環B2、および員数が5から7の複素環C2を形成していてもよい。]
【請求項5】
前記スクアリリウム色素が、下記式(III)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化5】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
R
13およびR
23は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
R
33は、不飽和結合を必須としない有機基R
33Aまたは不飽和結合を必須とする有機基R
33Bである。
X
31はCR
43またはNである。
X
32はS、NR
53、またはOである。
X
33はS、NR
63、またはOである。
R
43は水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル構造含有1価有機基、リン酸基、シリル基、チオール基、スルフィド基、アミド構造含有1価有機基、スルホンアミド基、ウレア基、ウレタン構造含有1価有機基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~9のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアシルオキシ基、または、―N(R
43g)
2(R
43gは水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基である。)である。
R
53およびR
63は、それぞれ独立に、水素原子、カルボニル構造含有1価有機基、スルホ基、または置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基である。
R
13は、R
23、R
33、X
31、X
32、またはX
33と連結して員数3~6の環を形成してもよい。
R
23は、R
13、R
33、X
31、X
32、またはX
33と連結して員数3~6の環を形成してもよい。
R
33は、X
31、X
32、またはX
33と連結して員数5~7の環を形成してもよい。]
【請求項6】
前記スクアリリウム色素が、下記式(IV)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化6】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
R
14およびR
24は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
R
34は、不飽和結合を必須としない有機基R
34Aまたは不飽和結合を必須とする有機基R
34Bである。
X
41はCR
43またはNである。
X
42はS、NR
53、またはOである。
X
43はS、NR
63、またはOである。
R
43は水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル構造含有1価有機基、リン酸基、シリル基、チオール基、スルフィド基、アミド構造含有1価有機基、スルホンアミド基、ウレア基、ウレタン構造含有1価有機基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~9のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアシルオキシ基、または、―N(R
43g)
2(R
43gは水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基である。)である。
R
44、R
54、R
64、R
74は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または炭素数1~9の1価有機基である。
R
14は、R
24、R
54またはR
74と連結して員数3~6の環を形成してもよい。
R
24は、R
14、R
54またはR
74と連結して員数3~6の環を形成してもよい。]
【請求項7】
前記スクアリリウム色素が、下記式(V)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化7】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
R
15およびR
25は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基、または炭素数4~20のアルアリール基である。
R
35、R
45、R
55、R
65は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数4~9のアリール基または置換基を有してもよい炭素数5~9のアルアリール基である。
R
35とR
45、R
45とR
55、および、R
55とR
65は、それぞれ互いに連結して単環または2~4の環が縮環した多環を形成してもよい。
R
15およびR
25は、互いに連結して窒素原子とともに員数が4~10の複素環を形成してもよい。]
【請求項8】
前記スクアリリウム色素が、下記式(VI)で表される化合物である、請求項1または2に記載の二色性色素組成物。
【化8】
[上記式中の記号は以下のとおりである。
R
16およびR
26は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
R
36は、非共有電子対を有する原子を含む炭素数9以下の1価有機基である。
R
46は、水素原子、または炭素数1~9のアルキル基である。
R
56は、水素原子、または炭素数1~9のアルキル基である。
X
61は、C=O、C=S、またはSO
2である。
R
16とR
26、R
16とR
46、R
36とR
46は、互いに連結して員数3~6の環を形成してもよい。]
【請求項9】
前記液晶化合物の含有量が50質量%以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の二色性色素組成物。
【請求項10】
一対の電極基板と、前記一対の電極基板の間に形成された液晶性層とを備える液晶素子であって、
前記液晶性層が、請求項1~9のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された、液晶素子。
【請求項11】
基板と、前記基板の少なくとも一方の主面側に形成された屈折率異方性膜とを備える位相差板、または
一対の基板と、前記一対の基板の間に形成された屈折率異方性膜とを備える位相差板あって、
前記屈折率異方性膜が、請求項1~9のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された、位相差板。
【請求項12】
基板と、前記基板の少なくとも一方の主面側に形成された光吸収異方性膜とを備える偏光子、または
一対の基板と、前記一対の基板の間に形成された光吸収異方性膜とを備える偏光子であって、
前記光吸収異方性膜が、請求項1~9のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された、偏光子。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の二色性色素組成物から形成された光学素子を備える撮像装置、光波測距装置、仮想現実装置、または日射制御部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二色性色素組成物、液晶素子、位相差板および偏光子等に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために偏光子が用いられ、近年、偏光子に使用される二色性物質として有機系の色素が検討されている。例えば、ホストとなる液晶材料とゲストとなる二色性色素とを含むゲストホスト型液晶組成物を利用した偏光子が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5923941号公報
【特許文献2】特許第6343866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2には、二色性色素としてスクアリリウム色素を使用することについては開示されていない。
本発明は、偏光子等の様々な光学素子に有用な新規の二色性色素組成物、これを利用した液晶素子、位相差板および偏光子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は下記二色性色素組成物に関する。
〔1〕ヘテロ原子を含有するスクアリリウム色素と可視光を透過する液晶化合物とを含む二色性色素組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、液晶素子、位相差板および偏光子等の様々な光学素子に有用な新規の二色性色素組成物、これを利用した液晶素子、位相差板および偏光子等を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本明細書において、式(A1)で示される化合物を化合物(A1)という。他の式で表される化合物も同様である。化合物(A1)からなるNIR色素をNIR色素(A1)ともいい、他の色素についても同様である。また、例えば、式(1a)で表される基を基(1a)とも記し、他の式で表される基も同様である。
本明細書において、数値範囲を表す「~」では、上下限を含む。
【0008】
本明細書において、特に断りのない限り、アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状またはこれらの構造を組み合わせた構造でもよい。
ハロゲン原子としては、特に断りのない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
本明細書において、特に断りのない限り、アリール基は芳香族化合物が有する芳香環、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル等を構成する炭素原子を介して結合する基をいう。また、ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を有する芳香族化合物が有する芳香環、例えば、フラン環、チオフェン環、ピロール環等を構成する炭素原子あるいはヘテロ原子を介して結合する基をいう。
【0009】
本明細書において、スクアリリウム化合物とは、構造式において下記式(S2)で表す共鳴構造をとり得る下記式(S1)で表されるスクアリリウム骨格を有する化合物をいう。本明細書において、スクアリリウム骨格は式(S1)または式(S2)のいずれかで示される。
【0010】
【0011】
<二色性色素組成物>
本発明の二色性色素組成物(以下、「本発明の組成物」とも記載する。)は、ヘテロ原子を含有するスクアリリウム色素と可視光を透過する液晶化合物とを含む。
本発明において、スクアリリウム色素は二色性色素として機能する。二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度が異なる性質を有する色素を意味する。本発明の組成物が二色性色素を含むことで、得られる光学素子が偏光子として機能できる。
スクアリリウム色素はまた、可視光を透過し、700nm以上の波長領域に最大吸収波長を有する近赤外線吸収色素である。二色性色素が近赤外線吸収色素であることで、近赤外及び赤外領域の偏光を吸収できる光学素子が得られる。
【0012】
<スクアリリウム色素>
本発明の組成物に含まれるスクアリリウム色素はヘテロ原子を含有する。これにより吸光係数が高まり可視光透過率が高くなる。なおヘテロ原子は、スクアリリウム骨格中の酸素原子とは区別される。すなわち本発明におけるスクアリリウム色素は、スクアリリウム骨格を除く構造中にヘテロ原子を含有する。
ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が挙げられる。
【0013】
スクアリリウム色素としては、下記式(X)で表される化合物であることが好ましい。
【0014】
【0015】
式(X)中の記号は以下のとおりである。
Arは炭素数5~14の芳香族性を有する単環、縮環または連結環である。
R1とR2、R1およびR2の少なくとも一方とArを構成する炭素原子は、互いに連結して窒素原子と共に員数が3から10の複素環を形成してもよい。
【0016】
R1およびR2が複素環を形成しない場合、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子、または、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子もしくは環構造を含んでよい炭素数1~20の1価炭化水素基を示す。
1価炭化水素基としては、分岐状でも直鎖状でも環状でもよいが、スクアリリウム色素が直線状となりやすい、すなわち二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。
1価炭化水素基の炭素数は1~8がより好ましい。
【0017】
R1およびR2が複素環を形成する場合、R1およびR2は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子もしくは環構造を含んでよい炭素数1~20の2価炭化水素基を示す。
【0018】
R1およびR2における置換基としてはハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
なお、R1およびR2が置換基を有する場合、置換基の炭素数はR1およびR2の炭素数に含まれる。
【0019】
R1およびR2における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、1~5個の置換基を有してもよいフェニル基または、1~7個の置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~12のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~12)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0020】
R1およびR2におけるヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子が好ましい。
【0021】
R1およびR2が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0022】
R1およびR2における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0023】
R1とR2が互いに連結して窒素原子と共に複素環を形成する場合、かかる複素環の員数は、スクアリリウム色素が直線状となりやすい観点、すなわち二色性を発現しやすい観点から、4~6が好ましい。
かかる複素環において、窒素原子から最も遠い炭素原子に結合する水素原子の一つが、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換されていてもよい。
また、かかる複素環において、窒素原子から最も遠い炭素原子が窒素原子に置き換えられ、当該窒素原子に結合する水素原子が、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換されていてもよい。
アルキル基は分岐状でも直鎖状でも環状でもよいが、スクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。また、かかる複素環における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていてもよく、その場合、窒素原子と隣接しない炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていることが好ましい。
【0024】
R1およびR2の少なくとも一方とArを構成する炭素原子が互いに連結して窒素原子と共に複素環を形成する場合、かかる複素環の員数は、5~7が好ましい。かかる複素環において、窒素原子に隣接する炭素原子に結合する水素原子の一つが、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換され、残りの水素原子の一部または全部が、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~4のアルキル基に置換されていてもよい。アルキル基は分岐状でも直鎖状でも環状でもよいが、スクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。また、かかる複素環における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていてもよく、その場合、窒素原子と隣接しない炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていることが好ましい。
【0025】
なお、2つのR1は、スクアリリウム骨格の左右で異なってもよいが、製造容易性の観点から左右が同一であることが好ましい。R2、Arについても同様である。また、これ以降の記号についても同様である。すなわち化学式中における2つの記号はスクアリリウム骨格の左右で異なってもよいが、製造容易性の観点から左右が同一であることが好ましい。
【0026】
Arは1以上の置換基を有してもよい。ここで、スクアリリウム色素の短軸方向の分子長と長軸方向の分子長の比率(アスペクト比)が大きい方が二色性を発現しやすい観点から、置換基はハロゲン原子、水酸基、または置換基を有してもよい炭素数1~9の1価有機基RArから選ばれることが好ましい。なお、RArの炭素数およびRArが有する置換基の炭素数は上記Arの炭素数には含まれない。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられる。
1価有機基RArとしては、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルアリール基、アミノ基、アルケニル基、アルキニル基、イミノ基、シアノ基、カルボニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。
RArは置換基を有してもよい。置換基の炭素数はRArの炭素数に含まれる。
【0027】
スクアリリウム色素としては、下記式(I)~(VI)のいずれかで表される化合物が好ましい。なお、スクアリリウム色素は1種以上の化合物を含んでもよい。
【0028】
<スクアリリウム色素(I)>
【0029】
【0030】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
【0031】
R11およびR21は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合もしくはヘテロ原子を含んでよい炭素数1~20のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~19のアシルオキシ基、炭素数6~11のアリール基、または、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~18のアルアリール基を示す。アルキル基としては、スクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。
【0032】
R31およびR51は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~8のアシルオキシ基、炭素数6~9のアリール基、置換基を有してもよく炭素原子間に酸素原子を有してもよい炭素数7~9のアルアリール基、-NR31aR31b(R31aおよびR31bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-C(=O)-R31c(R31cは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~8の炭化水素基)、-NHR31d、または、-SO2-R31d(R31dは、それぞれ1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~8の炭化水素基)を示す。)、または、下記式(S)で示される基(R31e、R31fは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~3のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。kは2または3である。)を示す。
【0033】
【0034】
R41およびR61は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基、炭素数1~8のアシルオキシ基、炭素数6~9のアリール基、または、置換基を有していてもよく炭素原子間に酸素原子を有していてもよい炭素数7~9のアルアリール基を示す。
【0035】
R11とR21、R11とR41、およびR21とR61は、互いに連結して窒素原子と共に、それぞれ員数が4から6の複素環A1、員数が5から7の複素環B1、および員数が5から7の複素環C1を形成してもよい。
【0036】
複素環A1が形成される場合のR11とR21は、これらが結合した2価の基-Q1-として、炭素数3~5のアルキレン基または炭素数2~4のアルキレンオキシ基を示す。ここで、窒素原子とQ1とから構成される複素環において、窒素原子から最も遠い炭素原子に結合する水素原子の一つが、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換されていてもよい。アルキル基はスクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。また、かかる複素環における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていてもよく、その場合、窒素原子と隣接しない炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていることが好ましい。
【0037】
複素環B1が形成される場合のR11とR41、および複素環C1が形成される場合のR21とR61は、これらが結合したそれぞれ2価の基-X1-Y1-および-X2-Y2-(窒素に結合する側がX1およびX2)として、X1およびX2がそれぞれ下記式(1x)または(2x)で示される基であり、Y1およびY2がそれぞれ下記式(1y)~(5y)から選ばれるいずれかで示される基である。X1およびX2が、それぞれ下記式(2x)で示される基の場合、Y1およびY2はそれぞれ単結合であってもよく、その場合、炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
【0038】
【0039】
式(1x)中、4個のZは、それぞれ独立して水素原子、水酸基、炭素数1~6のアルキル基もしくはアルコキシ基、または-Nx38x39(x38およびx39は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~8のアルキル基を示す)を示す。x31~x36はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を、x37は炭素数1~6のアルキル基または炭素数6~10のアリール基を示す。
R31a、R31b、R31c、x31~x37、複素環を形成していない場合のR11、R21、R41およびR61は、これらのうちの他のいずれかと互いに結合して5員環または6員環を形成してもよい。x31とx36、x31とx37は直接結合してもよい。
【0040】
R11およびR21における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
【0041】
R11およびR21における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、1~5個の置換基を有してもよいフェニル基または、1~7個の置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~12のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~12)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0042】
R11およびR21が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0043】
R11およびR21における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0044】
化合物(I)としては、例えば、式(I-1)~(I-4)のいずれかで示される化合物が挙げられる。
【0045】
【0046】
式(I-1)~式(I-4)中の記号は、式(I)における同記号の各規定と同じであり、特に言及しない限り好ましい態様も同様である。
【0047】
化合物(I-1)において、X1としては、基(2x)が好ましく、Y1としては、単結合または基(1y)が好ましい。すなわち-Y1-X1-として、-C(x31)(x32)-C(x33)(x34)-または-C(x35)(x36)-C(x31)(x32)-C(x33)(x34)-が好ましい。この場合、x31、x32、x35、x36としては、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましい。x33、x34は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基がより好ましい。窒素原子に隣接する炭素原子に直鎖アルキル基が1つ結合すると二色性を発現しやすい点から、x33、x34のいずれか一方が水素原子、他方が炭素数3~8の直鎖アルキル基が特に好ましい。
【0048】
なお、-Y1-X1-として、具体的には、下記式(11-1)~(11-4)、(12-1)~(12-3)で示される2価の有機基が挙げられる。
-C(CH3)2-CH(CH3)- …(11-1)
-C(CH3)2-CH2- …(11-2)
-C(CH3)2-CH(nCkH2k+1)- …(11-3)(k=2~6)
-C(CH3)2-C(CH3)(nCkH2k+1)- …(11-4)(k=3~6)
-C(CH3)2-CH2-CH2- …(12-1)
-C(CH3)2-CH2-CH(CH3)- …(12-2)
-C(CH3)2-CH(CH3)-CH2- …(12-3)
【0049】
また、化合物(I-1)において、R11は、二色比を向上させる観点から、独立して、メチル基がより好ましい。
【0050】
化合物(I-4)において、R51は水素原子または水酸基が好ましい。
【0051】
<スクアリリウム色素(II)>
【0052】
【0053】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
環Z2は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を環中に0~3個有する5員環または6員環であり、環Z2が有する水素原子は置換されていてもよい。
R12とR22は、それぞれ独立して、水素原子、または、炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよく、置換基を有してもよい炭素数1~20の1価炭化水素基を示す。
R32およびR42は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素原子間にヘテロ原子を含んでもよく、置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
R12とR22、R12とR42、およびR22と環Z2を構成する炭素原子またはヘテロ原子は、互いに連結して窒素原子とともにそれぞれ員数が4から6の複素環A2、員数が5から7の複素環B2、および員数が5から7の複素環C2を形成していてもよく、その場合、複素環A2、複素環B2および複素環C2が有する水素原子は置換されていてもよい。
【0054】
R12およびR22における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
【0055】
R12およびR22における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、1~5個の置換基を有してもよいフェニル基または、1~7個の置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~12のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~12)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0056】
R12およびR22が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0057】
R12およびR22における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0058】
化合物(II)としては、例えば、式(II-1)~(II-3)のいずれかで示される化合物が挙げられ、耐久性の観点から、式(II-1)で示される化合物、式(II-3)で示される化合物が特に好ましい。
【0059】
【0060】
式(II-1)、式(II-2)中、R12およびR22は、それぞれ独立に水素原子、または、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~20のアルキル基を示す。R32、R42、R52、R62はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基を示す。アルキル基における置換基としてはハロゲン原子が挙げられる。
【0061】
式(II-3)中、R12は、水素原子、または、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~20のアルキル基を示す。R92a~R92dは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上のアルキル基を示し、かつ、-CR92aR92b-CR92cR92d-全体の炭素数が20以下である。R32、R72およびR82はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、または、置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基を示す。アルキル基における置換基としてはハロゲン原子が挙げられる。
【0062】
化合物(II-1)および化合物(II-2)におけるR12およびR22は、配向度の観点から、独立して、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~20の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数1~3の直鎖アルキル基がより好ましい。また、R12とR22を構成する炭素原子が互いに連結して複素環を形成することが好ましく、複素環が4員環~6員環であることが特に好ましい。
【0063】
化合物(II-3)におけるR12は、配向度の観点から、炭素数1~8の直鎖アルキル基が好ましく、炭素数1~4の直鎖アルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0064】
R32およびR42は、独立して、配向度の観点から、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0065】
R72およびR82は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~8のアルキル基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、メチル基がより好ましい。
【0066】
R92aは、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよく炭素原子間に不飽和結合もしくはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~18のアルキル基がより好ましい。窒素原子に隣接する炭素原子に直鎖アルキル基が一つ結合すると二色性を発現しやすい点から、R92aは、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~18の直鎖アルキル基が特に好ましい。
R92b~R92dは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
-CR92aR92b-CR92cR92d-として、下記基(13-1)~(13-9)で示される2価の有機基が挙げられる。
-CH(CH3)-C(CH3)2- …(13-1)
-C(CH3)2-CH(CH3)- …(13-2)
-C(CH3)2-CH2- …(13-3)
-C(CH3)2-CH(C2H5)- …(13-4)
-CH(CH3)-C(CH3)(CH2-CH(CH3)2)-…(13-5)
-CH(CH2CH(CH3)2)-C(CH3)2-…(13-6)
-CH(CnH2n+1)-C(CH3)2- …(13-7)(n=1~12)
-CH(CnH2n+1)-CH2- …(13-8)(n=1~12)
-C(CH3)(CnH2n+1)-C(CH3)2- …(13-9)(n=1~12)
【0067】
化合物(II-1)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0068】
【0069】
化合物(II-3)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0070】
【0071】
化合物(I)~(II)は、それぞれ公知の方法で製造できる。化合物(I)については、米国特許第5,543,086号明細書、米国特許出願公開第2014/0061505号明細書、国際公開第2014/088063号に記載された方法で製造可能である。化合物(II)については、国際公開第2017/135359号に記載された方法で製造可能である。
【0072】
<スクアリリウム色素(III)>
【0073】
【0074】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
R13およびR23は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
【0075】
R13は、R23、R33、X31、X32、またはX33と連結して環を形成してもよい。
R23は、R13、R33、X31、X32、またはX33と連結して環を形成してもよい。
環としては員数3~6の脂環または芳香環が好ましい。また、該環は置換基を有していてもよい。
【0076】
R13およびR23における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
【0077】
R13およびR23における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、1~5個の置換基を有してもよいフェニル基または、1~7個の置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~12のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~12)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0078】
R13およびR23が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0079】
R13およびR23における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0080】
R13およびR23の炭素数としては1~20が挙げられる。R13およびR23の炭素数は、直鎖状の場合2~20が好ましく、3~16がより好ましく、4~12がさらに好ましい。R13およびR23の炭素数は、分岐鎖状の場合、3~20が好ましく、4~16がより好ましく、8~10がさらに好ましい。
R13およびR23が置換基を有する場合、および主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、上記炭素数に置換基、脂環、芳香環の炭素数は含まれる。
【0081】
R13およびR23は同一であっても異なってもよいが、製造容易性の点から同一であるのが好ましい。
【0082】
R13およびR23は、配向度の観点から、直鎖状であることが好ましい。
【0083】
R13およびR23は、例えば、基(1b)~(5b)、基(1c)~(2c)から選ばれる基がさらに好ましい。
-CH(CnH2n+1)2 …(1b)
-C(CnH2n+1)3 …(1c)
-CH2-CH(CnH2n+1)2 …(2b)
-CH2-C(CnH2n+1)3 …(2c)
-(CH2)2-CH(CnH2n+1)2 …(3b)
-(CH2)3-CH(CnH2n+1)2 …(4b)
-(CH2)m-CH3 …(5b)
【0084】
ただし、式(1b)~(4b)、式(1c)~(2c)においてnは1~10の整数であり、2~8が好ましく、2~4がより好ましい。ただし、基(1b)~(4b)、基(1c)~(2c)の炭素数は1~20の範囲内とする。式(1b)~(4b)における2個のCnH2n+1、式(1c)~(2c)における3個のCnH2n+1は、それぞれ直鎖であっても分岐鎖であってもよく、同一であっても異なってもよい。式(5b)においてmは0~19の整数であり、1~19が好ましく、2~15がより好ましく、3~11がさらに好ましい。さらに、基(1b)~(5b)、基(1c)~(2c)は炭素-炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
【0085】
また、R13およびR23が互いに連結して窒素原子と共に複素環を形成する場合、R13およびR23が結合した2価の基-Q3-として、炭素数3~5のアルキレン基または炭素数2~4のアルキレンオキシ基を示す。ここで、窒素原子とQ3とから構成される複素環において、窒素原子から最も遠い炭素原子に結合する水素原子の一つが、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換されていてもよい。アルキル基はスクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。また、かかる複素環における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていてもよく、その場合、窒素原子と隣接しない炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていることが好ましい。
【0086】
R33は、不飽和結合を必須としない有機基R33Aまたは不飽和結合を必須とする有機基R33Bである。
不飽和結合を必須としない有機基R33Aは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基もしくはアルアリール基である。
不飽和結合を必須とする有機基R33Bは、置換基を有してもよい炭素数2以上のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数1以上のイミノ基、シアノ基、カルボニル構造を含み置換基を有してもよい炭素数1以上の有機基、置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基、または置換基を有してもよい炭素数3~9のヘテロアリール基である。
R33は、X31、X32、またはX33と連結して環を形成してもよい。環としては員数5~7の環が好ましい。また、該環は置換基を有していてもよい。
【0087】
R33Aにおける置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~8のアルコキシ基が挙げられる。R33Aがアリール基またはアルアリール基の場合、置換基は、芳香環に結合する水素原子またはこれらが有するアルキル基の水素原子を置換する基であり、上記置換基の他にさらにアリール基を含む。
【0088】
R33Aがアルキル基またはアルコキシ基の場合、炭素数は1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。R33Aがアリール基の場合、炭素数は6~9が好ましい。R33Aがアルアリール基の場合、炭素数は7~9が好ましい。
R33Aが置換基を有する場合、R33Aの炭素数に置換基の炭素数は含まれる。
【0089】
R33Aは、光安定性の観点から、水素原子または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0090】
不飽和結合を必須とする有機基R33Bにおける置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボニル構造含有1価有機基、リン酸基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、チオール基、スルフィド基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素数3~8のヘテロアリール基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基、シリル基、炭素数1~8のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
R33Bが置換基を有する場合、R33Bの炭素数に置換基の炭素数は含まれる。
【0091】
R33Bがアルケニル基の場合、炭素数は2以上であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~6であり、さらに好ましくは2~4である。
アルケニル基としては下記式(3-1)で表される基が好ましい。
【0092】
【0093】
R3a、R3b、R3cは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~7のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~7のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~7のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~7のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~7のアルキニル基、炭素数3~7のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等)、炭素数3~7のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~7のハロゲン化アルキル基である。R3bはR3aまたはR3cと連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環を形成してもよく、その場合、該環は置換基を有していてもよい。
【0094】
アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、R3bがR3aまたはR3cと連結して形成した環における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0095】
基(3-1)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0096】
【0097】
R33Bがアルキニル基の場合、炭素数は2以上であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~6であり、さらに好ましくは2~4である。
アルキニル基としては下記式(3-2)で表される基が好ましい。
【0098】
【0099】
R3dは水素原子、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~7のアルコキシ基、炭素数1~7のアルキル基、炭素数6~7のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~7のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~7のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~7のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~7のアルキニル基、炭素数3~7のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~7のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~7のハロゲン化アルキル基である。
【0100】
アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~5のアルコキシ基、炭素数3~5のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~5のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~5のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0101】
基(3-2)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0102】
【0103】
R33Bがイミノ基の場合、炭素数は1以上であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4である。
イミノ基としては下記式(3-3)で表される基が好ましい。
【0104】
【0105】
R3e、R3fは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~8のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~10のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~8のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~8のアルキニル基、炭素数3~8のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基、等)、炭素数3~8のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~8のハロゲン化アルキル基である。R3eとR3fは連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環を形成してもよく、その場合、該環は置換基を有していてもよい。
【0106】
アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、R3eとR3fが連結して形成した環における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0107】
基(3-3)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0108】
【0109】
R33Bがシアノ基の場合、下記式(3-4)で表される基である。
【0110】
【0111】
R33Bがカルボニル構造を含み置換基を有してもよい炭素数1以上の有機基の場合、炭素数は1以上であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4である。
かかる有機基としては下記式(3-5)で表される基が好ましい。
【0112】
【0113】
R3gは水素原子、水酸基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、アルコキシカルボニル基、スルフィド基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~8のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~8のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~8のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~8のアルキニル基、炭素数3~8のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~8のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~8のハロゲン化アルキル基である。
【0114】
アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0115】
基(3-5)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0116】
【0117】
R33Bがアリール基の場合、炭素数は6~9である。
【0118】
アリール基としては下記式(3-6)で表される基が好ましい。
【0119】
【0120】
R3h、R3i、R3j、R3k、R3lは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~3のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~3のアルキニル基、トリメチルシリル基、トリメトキシシリル基、または炭素数1~3のハロゲン化アルキル基である。
R3hとR3i、R3iとR3j、R3jとR3k、R3kとR3lは互いに連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環を形成してもよい。
【0121】
アルケニル基、アルキニル基における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、メトキシ基、メチル基、またはハロゲン化メチル基が挙げられる。
【0122】
基(3-6)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0123】
【0124】
R33Bがヘテロアリール基の場合、炭素数は3~9である。
【0125】
ヘテロアリール基としては下記式(3-7)~(3-9)のいずれかで表される基が好ましい。
【0126】
【0127】
X3a、X3b、X3c、X3d、X3eは、それぞれ独立して、NまたはCR3mであり、少なくとも一つはNである。R3mは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基、置換基を有してもよい炭素数3~6のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルキニル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基である。
X3a、X3b、X3c、X3d、X3eがCR3mである場合、隣り合うX3a~X3eは互いに連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環Ar30、Ar31、Ar32、Ar33を形成してもよく、その場合、該環は置換基を有していてもよい。
ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、環Ar30、Ar31、Ar32、Ar33における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、トリメチルシリル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキル基、または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0128】
基(3-7)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0129】
【0130】
【0131】
X3f、X3g、X3hは、それぞれ独立してNまたはCR3nである。Y3aはS、OまたはNR3oである。
R3nはおよびR3oはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基、置換基を有してもよい炭素数3~6のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルキニル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基である。
X3f、X3g、X3hがCR3nであり、Y3aがNR3oである場合、隣り合うX3f、X3g、X3h、Y3aは互いに連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環Ar34、Ar35、Ar36を形成してもよく、その場合、該環は置換基を有していてもよい。
ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、環Ar34、Ar35、Ar36における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、トリメチルシリル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキル基、または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0132】
基(3-8)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0133】
【0134】
【0135】
X3i、X3j、X3kは、それぞれ独立してNまたはCR3pである。Y3bはS、OまたはNR3qである。R3pおよびR3qは、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基、置換基を有してもよい炭素数3~6のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアルキニル基、炭素数3~6のトリオルガノシリル基(トリメチルシリル基等)、炭素数3~6のトリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基、ジメトキシエトキシシリル基等)、または炭素数1~6のハロゲン化アルキル基である。
X3i、X3j、X3kがCR3pであり、Y3bがNR3qである場合、隣り合うX3i、X3j、X3k、Y3bは互いに連結してヘテロ原子を含んでもよい員数3~6の環Ar37、Ar38、Ar39を形成してもよく、その場合、該環は置換基を有していてもよい。
アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、環Ar37、Ar38、Ar39における置換基としては、ハロゲン原子、ホルミル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、スルフィド基、トリメチルシリル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~4のアルキル基、または炭素数1~4のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0136】
基(3-9)としては好ましくは下記構造が挙げられる。
【0137】
【0138】
式(III)において、X31はCR43またはNである。X32はS、NR53、またはOである。X33はS、NR63、またはOである。
【0139】
R43は水素原子、ハロゲン原子、スルホ基、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル構造含有1価有機基、リン酸基、シリル基、チオール基、スルフィド基、アミド構造含有1価有機基、スルホンアミド基、ウレア基、ウレタン構造含有1価有機基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基、置換基を有してもよい炭素数3~9のヘテロアリール基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数2~9のアシルオキシ基、または、―N(R43g)2(R43gは水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基である。)である。
【0140】
R43がアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、または、―N(R43g)2である場合、R43はR13~R33のいずれかと互いに連結して員数3~6の環を形成してもよい。また、当該環は置換基を有してもよい。
【0141】
R43における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボニル構造含有1価有機基、リン酸基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、チオール基、スルフィド基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~8のアルキル基、炭素数6~8のアリール基、炭素数3~8のヘテロアリール基、炭素数2~8のアルケニル基、炭素数2~8のアルキニル基、シリル基、炭素数1~8のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
R43が置換基を有する場合、R43の炭素数に置換基の炭素数は含まれる。
【0142】
R43におけるハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。
【0143】
R43におけるカルボニル構造含有1価有機基としては、-C(=O)-R43aが好ましい。R43aは水素原子、置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基、または置換基を有してもよい炭素数1~8のアルコキシ基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基が好ましい。
【0144】
R43におけるシリル基としては-Si(R43b)3が好ましい。R43bは、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。3つのR43bは同一でも異なっていてもよい。
【0145】
R43におけるスルフィド基としては-SR43cが好ましい。R43cは、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基が好ましい。
【0146】
R43におけるアミド構造含有1価有機基としては、-C(=O)-NH-R43dが好ましい。R43dは、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基が好ましい。
【0147】
R43におけるスルホンアミド基としては、-SO2-N(R43e)2が好ましい。R43eは、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、t-ブチル基が好ましい。2つのR43eは同一でも異なっていてもよい。
【0148】
R43におけるウレタン構造含有1価有機基としては、-NH-C(=O)O-R43fが好ましい。R43fは、水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~8のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基が好ましい。
【0149】
R43における炭素数1~9のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、が好ましい。
【0150】
R43における炭素数2~9のアルケニル基としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソブテニル基、スチリル基、2-フルオロビニル基、2,2-ジフルオロビニル基、3,3,3-トリフルオロプロペニル基が好ましい。
【0151】
R43における炭素数2~9のアルキニル基としては、アセチレニル基、1-プロピニル基、トリメチルシリルエチニル基、トリエチルシリルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基、t-ブチルジメチルシリルエチニル基が好ましい。
【0152】
R43における炭素数6~9のアリール基としては、フェニル基、4‐メトキシフェニル基、3,4,5-トリフルオロフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3-ニトロフェニル基が好ましい。
【0153】
R43における炭素数3~9のヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基が好ましい。
【0154】
R43における炭素数1~9のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基が好ましい。
【0155】
R43における炭素数2~9のアシルオキシ基としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が好ましい。
【0156】
R43における―N(R43g)2において2つのR43gは同一でも異なっていてもよい。また、2つのR43g同士が連結して環を形成してもよい。―N(R43g)2としてはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、モルホリノ基が好ましい。
【0157】
X32はS、NR53、またはOである。
R53は水素原子、カルボニル構造含有1価有機基、スルホ基、または置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基であり、水素原子、メチル基、エチル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、ベンジル基、t-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2-トリエトキシカルボニル基、2―ニトロベンゼンスルホニル基が好ましい。
置換基としてはR43における置換基と同様の置換基が挙げられる。
【0158】
R53が置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基である場合、R53はR13~R33のいずれかと連結して員数3~6の環を形成してもよい。
【0159】
X33はS、NR63、またはOである。
R63は水素原子、カルボニル構造含有1価有機基、スルホ基、または置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基であり、水素原子、メチル基、エチル基、イソブチル基、2-エチルヘキシル基、ベンジル基、t-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2,2,2-トリエトキシカルボニル基、2―ニトロベンゼンスルホニル基が好ましい。
置換基としてはR43における置換基と同様の置換基が挙げられる。
【0160】
R63がアルキル基である場合、R63はR43と連結して員数3~6の環を形成してもよい。
【0161】
式(III)において、X31,X32,X33としては、以下の組み合わせが挙げられる。
【0162】
【0163】
合成容易性の観点から、好ましい組み合わせは、(X31,X32,X33)=(CR43,S,S)、(CR43,S,O)、(CR43,O,S)、(CR43,O,O)、(CR43,NR53,S)、(CR43,NR53,O)であり、より好ましい組み合わせは、(X31,X32,X33)=(CR43,S,S)、(CR43,S,O)、(CR43,NR53,S)、(CR43,NR53,O)である。
【0164】
式(III)で表されるスクアリリウム化合物としては、合成容易性に加えて、分子の直線性が高まる観点から、下記式(III-1)で表されるスクアリリウム化合物および下記式(III-2)で表されるスクアリリウム化合物が好ましい。
【0165】
【0166】
R13、R23、R33A、R33B、R43は式(III)におけるR13、R23、R33A、R33B、R43と好ましい態様を含めてそれぞれ同様である。
【0167】
化合物(III-1)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0168】
【0169】
化合物(III-2)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
スクアリリウム化合物(III)は、公知の製造方法または後述する製造方法により合成できる。
【0175】
スクアリリウム化合物(III-1)は、例えば国際公開第2019/230570号に記載の方法により製造できる。
【0176】
スクアリリウム化合物(III)におけるR33がR33Bであるスクアリリウム化合物(III-B)を得る方法をスキーム(F-B)に示す。
【0177】
【0178】
工程A(step(A))はカルボン酸をジアルキルアミンに変換する反応であり、詳細を下記スキームに示す。
下記スキームにおいてHetArはヘテロアリールを意味する。また、azideはジフェニルホスホリルアジドが好ましい。N alkylationは、ハロゲン化アルキルと塩基を用いるSN2反応または、アルデヒドと還元剤を用いる還元的アミノ化反応が好ましい。
【0179】
【0180】
工程B(step(B))はハロゲンを各種置換基に変換する反応であり、クロスカップリング反応、Heck反応、ホルミル化、およびホルミル化により得られるアルデヒドに対するWittig反応、Knevenagel反応、ヘンリー反応、アルキル金属反応剤の求核付加反応等を利用することができるが、これらに限られない。
【0181】
スキーム(F-B)の出発原料(a2-1)は、例えば公知の化合物から下記合成方法により得ることができる。
【0182】
出発原料(a2-1)において、X31、X32、Rが下記である、化合物の合成方法:
化合物(a2-1-1):(X31、X32、R)=(-CH、S、-CH2CH3)
化合物(a2-1-2):(X31、X32、R)=(-CH、S、H)
化合物(a2-1-3):(X31、X32、R)=(-CH、O、-CH2CH3)
化合物(a2-1-4):(X31、X32、R)=(-CH、O、H)
【0183】
【0184】
出発原料(a2-1)において、X31、X32、(X33)、Rが下記である、化合物の合成方法:
化合物(a2-1-5):(X31、X32、R)=(-CH、-NH、-CH2CH3)
化合物(a2-1-6):(X31、X32、R)=(-CH、-NH、H)
化合物(a2-1-7):(X31、X32、X33、R)=(-CH、-NH、-NH、-CH2CH3)
化合物(a2-1-8):(X31、X32、X33、R)=(-CH、-NH、-NH、H)
【0185】
【0186】
出発原料(a2-1)において、X31、X32、Rが下記である、化合物の合成方法:
化合物(a2-1-9):(X31、X32、R)=(N、O、-CH2CH3)
化合物(a2-1-10):(X31、X32、R)=(N、O、H)
【0187】
【0188】
出発原料(a2-1)において、X31、X32、Rが下記である、化合物の合成方法:
化合物(a2-1-11):(X31、X32、R)=(N、-NH、-CH2CH3)
化合物(a2-1-12):(X31、X32、R)=(N、-NH、H)
【0189】
【0190】
出発原料(a2-1)において、X31、X32、Rが下記である、化合物の合成方法:
化合物(a2-1-13):(X31、X32、R)=(N、S、-CH2CH3)
化合物(a2-1-14):(X31、X32、R)=(N、S、H)
【0191】
【0192】
<スクアリリウム色素(IV)>
【0193】
【0194】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
R14およびR24は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
【0195】
R14は、R24、R54またはR74と連結して環を形成してもよい。
R24は、R14、R54またはR74と連結して環を形成してもよい。
環としては員数3~6の脂環または芳香環が好ましい。また、該環は置換基を有していてもよい。
【0196】
R14およびR24の炭素数としては1~20が挙げられる。R14およびR24の炭素数は、直鎖状の場合2~12が好ましく、3~10がより好ましく、4~8がさらに好ましい。R14およびR24の炭素数は、分岐鎖状の場合、3~12が好ましく、4~8がより好ましい。
【0197】
R14およびR24における置換基としては、スクアリリウム色素(III)におけるR13およびR23における置換基と同様の基が挙げられる。
【0198】
R14およびR24が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0199】
R14およびR24が置換基を有する場合、および主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、上記炭素数に置換基、脂環、芳香環の炭素数は含まれる。
【0200】
R14およびR24は同一であっても異なってもよいが、製造容易性の点から同一であるのが好ましい。
【0201】
R14およびR24は、配向度の観点から、直鎖状であることが好ましい。
【0202】
R14およびR24は、例えば、上述のスクアリリウム色素(III)中のR13およびR23における基(1b)~(5b)、基(1c)~(2c)から選ばれる基がさらに好ましい。
【0203】
また、R14およびR24が互いに連結して窒素原子と共に複素環を形成する場合、R14およびR24が結合した2価の基-Q4-としては、上述のスクアリリウム色素(III)中の2価の基-Q3-と同様の基が好ましい。
【0204】
R34は、不飽和結合を必須としない有機基R34Aまたは不飽和結合を必須とする有機基R34Bである。
不飽和結合を必須としない有機基R34Aは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよいアルキル基、アルコキシ基、アリール基もしくはアルアリール基である。
不飽和結合を必須とする有機基R34Bは、置換基を有してもよい炭素数2以上のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2以上のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数1以上のイミノ基、シアノ基、カルボニル構造を含み置換基を有してもよい炭素数1以上の有機基、置換基を有してもよい炭素数6~9のアリール基、または置換基を有してもよい炭素数3~9のヘテロアリール基である。
【0205】
R34Aにおける置換基としては、上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Aにおける置換基と同様の基が挙げられる。
【0206】
R34Aがアルキル基またはアルコキシ基の場合、炭素数は1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。R34Aがアリール基の場合、炭素数は6~9が好ましい。R34Aがアルアリール基の場合、炭素数は7~9が好ましい。
R34Aが置換基を有する場合、R34Aの炭素数に置換基の炭素数は含まれる。
【0207】
R34Aは、光安定性の観点から、水素原子または炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子が特に好ましい。
【0208】
不飽和結合を必須とする有機基R34Bにおける置換基としては、上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bにおける置換基と同様の基が挙げられる。
R34Bが置換基を有する場合、R34Bの炭素数に置換基の炭素数は含まれる。
【0209】
R34Bがアルケニル基の場合、炭素数は2以上であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~6であり、さらに好ましくは2~4である。
アルケニル基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-1)で表される基が好ましい。
【0210】
R34Bがアルキニル基の場合、炭素数は2以上であり、好ましくは2~8であり、より好ましくは2~6であり、さらに好ましくは2~4である。
アルキニル基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-2)で表される基が好ましい。
【0211】
R34Bがイミノ基の場合、炭素数は1以上であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4である。
イミノ基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-3)で表される基が好ましい。
【0212】
R34Bがシアノ基の場合、上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-4)で表される基である。
【0213】
R34Bがカルボニル構造を含み置換基を有してもよい炭素数1以上の有機基の場合、炭素数は1以上であり、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6であり、さらに好ましくは1~4である。
かかる有機基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-5)で表される基が好ましい。
【0214】
R34Bがアリール基の場合、炭素数は6~9である。
アリール基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-6)で表される基が好ましい。
【0215】
R34Bがヘテロアリール基の場合、炭素数は3~9である。
ヘテロアリール基としては上述のスクアリリウム色素(III)中のR33Bと同様に上述の式(3-7)~(3-9)のいずれかで表される基が好ましい。
【0216】
R44、R54、R64、R74は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、または炭素数1~9の1価有機基である。
【0217】
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、ヨウ素原子、臭素原子が挙げられる。
1価有機基としては、アルキル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルアリール基、アミノ基、アルケニル基、アルキニル基、イミノ基、シアノ基、カルボニル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられる。
【0218】
式(IV)において、X41はCR43またはNである。X42はS、NR53、またはOである。X43はS、NR63、またはOである。R43、R53、R63は、上述のスクアリリウム色素(III)中のR43、R53、R63と定義および好ましい態様も含め同様である。
【0219】
化合物(IV)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0220】
【0221】
【0222】
化合物(IV)は、アミノ基にR14とR24が結合した4-アミノベンゼンボロン酸と、X41とX42に挟まれた炭素原子にハロゲン原子が結合した縮環した複素環化合物をカップリング反応で連結したのち、スクアリン酸と反応させることで製造できる。
【0223】
【0224】
<スクアリリウム色素(V)>
【0225】
【0226】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
R35、R45、R55、R65は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい炭素数1~9のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数4~9のアリール基または置換基を有してもよい炭素数5~9のアルアリール基である。
【0227】
R35、R45、R55、R65において、アルキル基、アリール基またはアルアリール基は、置換基を有してもよい。
また、アルキル基、アリール基またはアルアリール基は、炭素-炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、エステル結合、アミド結合、もしくはチオアミド結合を含んでよい。
さらに、アルキル基、アリール基またはアルアリール基は、チオフェン環と結合する末端に酸素原子、エステル結合、アミド結合、もしくはチオアミド結合を有してもよい。
【0228】
R35、R45、R55、R65における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~8のアルコキシ基が挙げられる。R35、R45、R55、R65がアリール基またはアルアリール基の場合、置換基は、芳香環に結合する水素原子またはこれらが有するアルキル基の水素原子を置換する基であり、上記置換基の他にさらにアリール基を含む。
【0229】
R35、R45、R55、R65がアルキル基の場合、炭素数は1~8であり、1~4が好ましく、1~2がより好ましい。
R35、R45、R55、R65がアリール基の場合、炭素数は4~9であり、4~6が好ましい。
R35、R45、R55、R65がアルアリール基の場合、炭素数は5~9であり、5~7が好ましい。
【0230】
R35、R45、R55、R65が置換基を有する場合、上記炭素数には置換基の炭素数が含まれる。
【0231】
R35とR45、R45とR55、および、R55とR65は、それぞれ互いに連結して単環または2~4の環が縮環した多環を形成してもよく、その場合、該環に結合する水素原子は置換基で置換されていてもよい。
【0232】
R35とR45、および、R55とR65が連結して形成される環は脂環であっても芳香環であってもよく、炭化水素環であっても複素環であってもよい。好ましくは芳香環である。単環としては、ベンゼン環が挙げられ、多環としてはナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環等が挙げられる。
【0233】
R45とR55が連結した場合、色素(V)は、2個のチオフェン環の間に環が形成されて少なくとも3つの環が縮環した構造を含む。
【0234】
R35とR45、R45とR55、および、R55とR65が連結して形成される環に結合する水素原子は置換基で置換されていてもよい。
これらの連結環における置換基としては、R35、R45、R55、R65における置換基と同様の基、および、置換基を有してもよいフェニル基が挙げられる。
【0235】
R15およびR25は、それぞれ独立して、炭素数1~20のアルキル基、または炭素数4~20のアルアリール基である。
【0236】
R15およびR25は、置換基を有してもよく、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を含んでよい。
R15およびR25における置換基としてはハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
なお、R1およびR2が置換基を有する場合、置換基の炭素数はR1およびR2の炭素数に含まれる。
【0237】
R15およびR25における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、1~5個の置換基を有してもよいフェニル基または、1~7個の置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~12のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~12)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0238】
R15およびR25が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0239】
R15およびR25における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0240】
R15およびR25がアルキル基の場合、炭素数は1~20であり、1~12が好ましく、1~10がより好ましい。R15およびR25は、可視光透過性や、二色比を向上させる観点からは、炭素-炭素原子間にヘテロ原子を含んでよい炭素数3~20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、直鎖状の場合、3~12がより好ましく、分岐鎖状の場合、3~10がより好ましく、環状の場合、5~10がより好ましい。R15およびR25が置換基を有する場合、上記炭素数には置換基の炭素数が含まれる。
【0241】
R15およびR25は、例えば、基(1a)~(15a)から選ばれる基がさらに好ましく、基(3a)が特に好ましい。
【0242】
【0243】
R15およびR25は、互いに連結して窒素原子とともに員数が4~10の複素環を形成してもよく、スクアリリウム色素が直線状となりやすい観点、すなわち二色性を発現しやすい観点から、員数は4~6が特に好ましい。かかる複素環において、窒素原子から最も遠い炭素原子に結合する水素原子の一つが、炭素原子間に不飽和結合またはヘテロ原子を有してもよい炭素数1~12、好ましくは1~8、さらに好ましくは3~8のアルキル基に置換されていてもよい。アルキル基は分岐状でも直鎖状でも環状でもよいが、スクアリリウム色素が二色性を発現しやすい観点から、直鎖状が好ましい。また、かかる複素環における水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていてもよく、その場合、窒素原子と隣接しない炭素原子に結合する水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されていることが好ましい。
【0244】
R15およびR25が結合した2価の基を-Q5-で示した場合、-Q5-として具体的には以下の基(11)~(15)が挙げられる。
【0245】
-(CH2)4- (11)
-(CH2)5- (12)
-C(CH3)2(CH2)2C(CH3)2- (13)
-C(CH3)2(CH2)3C(CH3)2- (14)
-CH2-CH(nC8H17)-(CH2)2- (15)
【0246】
スクアリリウム化合物(V)としては、例えば、以下の式(V-1)で示される化合物または、式(V-2)で示される化合物が好ましい。スクアリリウム化合物(V-1)は、スクアリリウム化合物(V)において、R45とR55が連結してシクロペンタジチオフェン環を形成してなる化合物である。スクアリリウム化合物(V-2)は、スクアリリウム化合物(V)において、R45とR55が連結せず、2個のチオフェン環が結合した構造を含む化合物である。
【0247】
【0248】
R15、R25、R35およびR65の定義は、式(V)におけるR15、R25、R35およびR65の定義と好ましい態様も含めて同様である。
R45bおよびR55bの定義は、互いに連結して環を形成しない点を除き、式(V)におけるR45およびR55の定義と好ましい態様も含めて同様である。
【0249】
R45aおよびR55aは、可視光透過性や、耐光性や、二色比向上の観点からは、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~9の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基が好ましい。アルキル基の炭素数は、直鎖状の場合、1~9であり、分岐鎖状の場合、3~9が好ましく、環状の場合、5~9がより好ましい。R45aおよびR55aは、例えば、メチル基および上述のR15およびR25の具体例として示した基(1a)~(13a)から選ばれる基がさらに好ましく、メチル基または、基(1a)または、基(3a)または、基(9a)が特に好ましい。
【0250】
R45aおよびR55aは、耐熱性や、耐光性や、NIR吸収波長の制御の観点からは、置換基を有してもよいフェニル基または、炭素数5~9の環状アルキル基が好ましい。フェニル基の置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~3のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~3)が挙げられ、特に、メチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。フェニル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましい。
【0251】
置換基を有してもよいフェニル基として、具体的には、基(P1)~(P6)が挙げられる。
【0252】
【0253】
化合物(V-1)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
【0258】
化合物(V-1)としては、これらの中でも、二色比向上の点から、化合物(V-1-59)等が好ましい。
【0259】
化合物(V-2)としては、より具体的には以下の表に示す化合物が挙げられる。また、以下の表に示す化合物は、スクアリリウム骨格の左右において各記号の意味は同一である。
【0260】
【0261】
【0262】
【0263】
化合物(V-2)としては、これらの中でも、二色比向上の点から、化合物(V-2-36)等が好ましい。
【0264】
化合物(V)は公知の方法で製造でき、たとえば、国際公開第2019/230660号に記載された方法で製造可能である。
【0265】
<スクアリリウム色素(VI)>
【0266】
【0267】
ただし、上記式中の記号は以下のとおりである。
【0268】
R16およびR26は、それぞれ独立して、置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、ヘテロ原子、脂環もしくは芳香環を含んでよい、炭素数1~20のアルキル基である。
【0269】
R16およびR26における置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、アミノ基、N-置換アミノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、N-置換カルバモイル基、イミド基、炭素数1~19のアルコキシ基が挙げられる。
【0270】
R16およびR26における置換基としては、さらに、環状のアルキル基またはアリール基が挙げられる。アリール基としては、置換基を有してもよいフェニル基または、置換基を有してもよいナフチル基が好ましい。フェニル基およびナフチル基の水素原子を置換してもよい置換基としては、炭素-炭素原子間に不飽和結合または酸素原子を含んでよい炭素数1~9のアルキル基、もしくはアルコキシ基、またはアルキルアミノ基(アルキル基の炭素数は1~9)が挙げられる。フェニル基およびナフチル基は、非置換または、水素原子が1~3個置換されているのが好ましく、置換基としては、メチル基、t-ブチル基、ジメチルアミノ基、メトキシ基等が好ましい。
【0271】
R16およびR26における置換基としては、さらに、光学素子の信頼性向上の観点から、重合性基であることが好ましい。
【0272】
R16およびR26が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、耐熱性や、NIR吸収波長の制御の点で好ましい。R16およびR26が、主鎖または側鎖に脂環または芳香環を有しない場合、耐光性や、製造容易性や、二色比向上の点で好ましい。脂環の炭素数としては3~10が好ましい。芳香環の炭素数は4~14が好ましい。
【0273】
R16およびR26の炭素数としては1~20が挙げられる。R16およびR26の炭素数は、直鎖状の場合2~20が好ましく、3~16がより好ましく、4~12がさらに好ましい。R16およびR26の炭素数は、分岐鎖状の場合、3~20が好ましく、4~16がより好ましく、4~8がさらに好ましい。
【0274】
R16およびR26が置換基を有する場合、および主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、上記炭素数に置換基、脂環、芳香環の炭素数は含まれる。
【0275】
R16およびR26は同一であっても異なってもよいが、製造容易性の点から同一であるのが好ましい。R16およびR26は、配向度の観点からは、分岐鎖状より直鎖状が好ましく、炭素数1~8がより好ましく、炭素数1~2がさらに好ましい。
【0276】
R16およびR26が分岐鎖状の場合、分岐の数は特に制限されない。分岐の数は1~5が好ましく、1~3がより好ましい。液晶および溶媒への溶解性および製造容易性の両観点から、分岐の位置は、β位が好ましい。また、一つの炭素原子から2つに分岐していてもよく3つに分岐していてもよい。
【0277】
R16およびR26は、例えば、スクアリリウム色素(III)におけるR13およびR23のさらに好ましい態様として記載した基(1b)~(5b)、(1c)、(2c)から選ばれる基がさらに好ましい。
-CH(CnH2n+1)2 …(1b)
-C(CnH2n+1)3 …(1c)
-CH2-CH(CnH2n+1)2 …(2b)
-CH2-C(CnH2n+1)3 …(2c)
-(CH2)2-CH(CnH2n+1)2 …(3b)
-(CH2)3-CH(CnH2n+1)2 …(4b)
-(CH2)m-CH3 …(5b)
【0278】
ただし、式(1b)~(4b)、(1c)、(2c)においてnは1~10の整数であり、2~8が好ましく、2~4がより好ましい。ただし、基(1b)~(4b)、基(1c)~(2c)の炭素数は1~20の範囲内とする。式(1b)~(4b)、(1c)、(2c)における2個のCnH2n+1、式(1c)~(2c)における3個のCnH2n+1は、それぞれ直鎖であっても分岐鎖であってもよく、同一であっても異なってもよい。式(5b)においてmは0~19の整数であり、1~19が好ましく、2~15がより好ましく、3~11がさらに好ましい。さらに、基(1b)~(5b)、(1c)、(2c)は炭素-炭素原子間にヘテロ原子を有してもよい。
【0279】
R36は、非共有電子対を有する原子を含む炭素数9以下の1価有機基である。スクアリリウム骨格に最も近い炭素原子に非共有電子対を有する基が結合することで、不飽和炭素環の電子密度が高まり、色素の生成(スクアリン酸との反応)において非共有電子対を有する原子が必要となる。かかる観点から、R36における非共有電子対を有する原子は、R36が結合する不飽和炭素環の炭素原子と直接結合することが好ましい。
非共有電子対を有する原子は、N、SまたはOであることが好ましい。
【0280】
R36としては、NH-Y36a-R36a、SH、またはOHが好ましい。
NH-Y36a-R36aにおいて、Y36aは単結合または炭素数0~3の2価有機基であり、好ましくは-CO-、―COO-、-CONH-、-SO2-である。
R36としては、NH―R36a、NH―CO-R36a、NH―COO-R36a、NH-CONH-R36a、NH-SO2-R36a、SH、またはOHが好ましい。
【0281】
NH-Y36a-R36aにおいて、R36aは置換基を有してもよく、炭素-炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、脂環もしくは芳香環を含んでもよい、炭素数1~9のアルキル基である。なお、Y36aとR36aの合計炭素数の上限は9である。
【0282】
R36aの炭素数としては、直鎖状の場合、1~9が好ましく、1~4がより好ましく、1~2が特に好ましく、また、分岐鎖状の場合、3~9が好ましく、3~4が特に好ましい。
【0283】
R36aにおける置換基としては、R16およびR26における置換基と同様の基が挙げられる。
R36aが置換基を有する場合、および主鎖または側鎖に脂環または芳香環を含む場合、上記炭素数に置換基、脂環、芳香環の炭素数は含まれる。
【0284】
R36aは二色比向上の観点からは、直鎖状であるのが好ましい。
【0285】
R36aとしては、基(11b)~(15b)、(11c)、(12c)から選ばれる基がさらに好ましい。
-CH(CnH2n+1)2 …(11b)
-C(ClH2l+1)3 …(11c)
-CH2-CH(CnH2n+1)2 …(12b)
-CH2-C(ClH2l+1)3 …(12c)
-(CH2)2-CH(CnH2n+1)2 …(13b)
-(CH2)3-CH(CnH2n+1)2 …(14b)
-(CH2)m-CH3 …(15b)
【0286】
ただし、式(11b)~(14b)においてnは1~3の整数であり、2~3が好ましい。式(11c)、(12c)においてlは1~2の整数である。式(11b)~(14b)、(11c)、(12c)における2個のCnH2n+1または3個のClH2l+1は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、同一であっても異なってもよい。式(15b)においてmは0~8の整数であり、0~8が好ましく、0~3がより好ましく、0~1がさらに好ましい。さらに、基(11b)~(15b)、(11c)、(12c)は炭素-炭素原子間に酸素原子を有してもよい。
【0287】
R46は、水素原子、または炭素数1~9のアルキル基である。
【0288】
アルキル基の炭素数としては、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、二色比向上の観点からは、直鎖状であるのが好ましい。
【0289】
R46が炭素数1~9のアルキル基である場合、R36aにおいて好ましい態様として記載した、基(11b)~(15b)、(11c)、(12c)から選ばれる基がさらに好ましい。
【0290】
立体障害の観点から、R46は水素原子が好ましい。
【0291】
R56は、水素原子、または炭素数1~9のアルキル基である。
立体障害の観点から、R56は水素原子が好ましい。
【0292】
R16とR26、R16とR46、R36とR46は、互いに連結して環を形成してもよい。
環としてはR16とR26、R16とR46は員数3~6の脂環、R36とR46は員数3~6の脂環または芳香環が好ましい。また、該環は置換基を有していてもよい。置換基としてはR16およびR26における置換基と同様の基が挙げられる。
【0293】
X61は、C=O、C=S、またはSO2である。
【0294】
スクアリリウム化合物(VI)としては、下記式(VI-1)で表されるスクアリリウム化合物が好ましい。
【0295】
【0296】
R16~R46は式(VI)におけるR16~R46と好ましい態様を含めて同様である。
【0297】
スクアリリウム化合物(VI)としては、R36がNH-CO-R36aである、下記スクアリリウム化合物(VI-11)、R36がNH-SO2-R36aである、下記スクアリリウム化合物(VI-12)、R36がNH-CONH-R36aである、下記スクアリリウム化合物(VI-13)、R36がNH-COO-R36aである、下記スクアリリウム化合物(VI-14)、R36がOHである、下記スクアリリウム化合物(VI-15)が好ましい。
【0298】
【0299】
【0300】
スクアリリウム化合物(VI-11)~(VI-15)としては、より具体的には、R16、R26、R36a、R46が、以下の表に示される化合物(表には、そのスクアリリウム化合物(VI-11)~(VI-15)としての略号を併せて示す。)が挙げられる。表中において、R16、R26、R36a、R46は、式が示された基である場合、式の記号を示す。表中に示す全ての化合物において、R16、R26、R36a、R46は式の左右で全て同一である。
【0301】
【0302】
【0303】
【0304】
【0305】
<化合物(VI)の製造方法>
スクアリリウム化合物(VI)の製造方法について、スクアリリウム化合物(VI-11)の製造方法を用いて説明するが、スクアリリウム化合物(VI)の製造方法はこれらに限定されない。
スクアリリウム化合物(VI-11)を得る方法をスキーム(F-A11)に示す。
【0306】
【0307】
(1)公知化合物である出発原料(pA11-1)に対し、ジイソプロピルエチルアミン(CH3CH2N(CH(CH3)2)2)と無水酢酸を反応させ、アミノ基を保護した化合物(pA11-2)を得る。
(2)ニトロ化反応により化合物(pA11-3)を得る。
(3)アミノ基の脱保護により化合物(pA11-4)を得る。
(4)N alkylation(ハロゲン化アルキルと塩基を用いるSN2反応または、アルデヒドと還元剤を用いる還元的アミノ化反応)により化合物(pA11-5)を得る。
(5)ニトロ基の還元により化合物(pA11-6)を得る。
(6)化合物(pA11-6)とアルカノイルクロライド(R36a-C(=O)-Cl)とを反応させることにより化合物(pA11-7)を得る。
(7)メトキシ基の脱保護により化合物(pA11-8)を得る。
(8)化合物(pA11-8)とスクアリン酸とを反応させることにより化合物(VI-11)を得る。
【0308】
スクアリリウム化合物(VI-12)は、上記工程(6)におけるアルカノイルクロライド(R36a-C(=O)-Cl)を、R36aSO2Clに変更することで製造できる。
スクアリリウム化合物(VI-13)は、上記工程(6)においてカルボニルジイミダゾールを反応させた後にR36aNH2を反応させることで製造できる。
スクアリリウム化合物(VI-14)は、上記工程(6)におけるアルカノイルクロライド(R36a-C(=O)-Cl)を、R36aO-C(=O)-Clに変更することで製造できる。
【0309】
本発明の二色性色素組成物における、上記スクアリリウム色素の含有量は、十分な吸光度とする観点から、液晶化合物100質量部に対して好ましくは0.1mmol以上、より好ましくは0.3mmol以上であり、また、安定な液晶相を広い温度範囲で発現させる観点から液晶化合物100質量部に対して好ましくは10mmol以下、より好ましくは5mmol以下である。なお、色素は二種以上を組み合わせて用いてもよく、その場合、合計含有量を上記範囲内とする。
【0310】
<液晶化合物>
本発明の二色性色素組成物は、上記色素に加え、可視光を透過する液晶化合物を含む。
【0311】
液晶化合物の種類としては、ネマチック相を示す非重合性液晶化合物、ネマチック相を示す重合性液晶化合物、スメクチック相を示す重合性液晶化合物等が挙げられる。液晶化合物は、公知の製法により合成してもよく、また、市販品を用いてもよい。
【0312】
本発明の二色性色素組成物における液晶化合物の含有量は、安定な液晶相を広い温度範囲で発現させる観点から好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、また、十分な吸光度とする観点から好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、特に好ましくは99質量%以下である。
【0313】
<その他の成分>
本発明の二色性色素組成物に、ホスト液晶の物性を所望の範囲に変化させることを目的として(例えば、液晶相の温度範囲を所望の範囲にする)、液晶性を示さない化合物を添加してもよい。また、カイラル化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、重合開始剤などの化合物を含有させてもよい。そのような添加剤は、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第199~202頁に記載のTN、STN用カイラル剤が挙げられる。
本発明の二色性色素組成物はコレステリルノナノエートなどの、液晶相を示しても示さなくてもよい光学活性化合物を含有してもよく、また紫外線吸収剤、酸化防止剤などの各種の添加剤を含有してもよい。
【0314】
また、液晶化合物がネマチック相を示す非重合性液晶化合物の場合、本発明の二色性色素組成物に、重合性官能基を有する液晶性硬化性化合物や、重合性官能基を有する非液晶性硬化性化合物を添加してもよい。高品質な透過-散乱型の動作モードを有する高分子分散型液晶素子(PDLC)を作製する観点から、前記二色性色素組成物において、前記液晶性硬化性化合物の含有量よりも前記非液晶性硬化性化合物の含有量が多く、且つ前記液晶性硬化性化合物および前記非液晶性硬化性化合物の合量が、全体の8質量%以上、20質量%未満であることが好ましい。
【0315】
また、PDLCは電圧非印可時に散乱状態を示すが、電圧非印可時に透過状態を示す素子についても含まれる。電圧非印可時に透過状態を示すような素子としては、組成物中に液晶分子と同様に配向性を有する硬化性化合物より成る構造体が含まれ、液晶分子はその構造体と同じ配向軸を取るように配向を取ることで透過性が担保される。本発明において、硬化性化合物としては液晶性を有するようなもの、または液晶性を有さないものと両方含まれ、硬化性化合物の含量が組成物全体の5質量%以上20質量%未満であることが好ましい。
【0316】
<屈折率異方性膜、光吸収異方性膜>
本発明において二色性色素であるスクアリリウム色素は可視光を透過し近赤外光を吸収するため、本発明の二色性色素組成物から形成された膜は、屈折率異方性および光吸収異方性の両者の性質を兼ね備える。したがって、可視光領域においては位相差膜として機能し、近赤外光領域では偏光膜として機能する。位相差膜は、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
また、偏光膜は、偏光していない入射光を直交する2つの偏光成分に分解し、一方の偏光成。分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収するために用いられる。透過する偏光成分の軸方向は透過軸、吸収する偏光成分の軸方向は吸収軸という。
【0317】
<光学素子>
液晶性と二色性を兼ね備える本発明の二色性色素組成物は、位相差板、偏光子、液晶素子等の各種光学素子の材料として有用である。本発明における二色性色素は近赤外光を吸収する性質を有するため、近赤外光を吸収する可視光の位相差膜や、可視光を透過する近赤外光吸収偏光膜が作製可能である。
以下、各光学素子について説明する。
【0318】
<位相差板、偏光子>
本発明は、基板と、該基板上もしくは対となる該基板間に本発明の屈折率異方性膜とを有する位相差板にも関する。
本発明は、基板と、該基板上もしくは対となる該基板間に本発明の光吸収異方性膜とを有する偏光子にも関する。
前記基板は、通常ガラスあるいはプラスチックからなる基板を用いることができる。プラスチック基板としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。基板については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第218~231頁に記載のものを用いることができる。
【0319】
前記基板が屈折率異方性膜または光吸収異方性膜と接する表面には、配向処理を施した層(配向膜)を形成することが好ましい。前記配向処理としては、例えば、4級アンモニウム塩を塗布し配向させる方法、ポリイミドを塗布しラビング処理により配向する方法、SiOxを斜め方向から蒸着して配向する方法、さらには、光異性化を利用した光照射による配向方法などが挙げられる。配向膜については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第240~256頁に記載のものが用いられる。
【0320】
屈折率異方性膜もしくは光吸収異方性膜を一対の基板の間に形成する場合、例えば、一対の基板を、スペーサーなどを介して1~50μmの間隔で対向させ、基板間に形成された空間に本発明の二色性色素組成物を注入し、必要に応じて所定の波長の光を照射して光重合を行うことにより作製する方法が挙げられる。前記スペーサーについては、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第257~262頁に記載のものを用いることができる。
【0321】
<液晶素子>
本発明は、一対の電極基板と、電極基板間に形成された液晶性層とを備える液晶素子にも関する。液晶性層は、本発明の二色性色素組成物から形成される。基板上に形成される電極層は、好ましくは透明電極層であり、例えば、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ等から形成できる。透明電極については、例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日本学術振興会第142委員会編、日刊工業新聞社、1989年)の第232~239頁に記載のものが用いられる。
なお本発明の液晶素子は、可視光領域においては位相差板としても機能し、近赤外光領域では偏光子としても機能する。
【0322】
本発明の光学素子は、以下に記載する種々の機器に搭載可能である。
【0323】
<撮像装置>
本発明の撮像装置は、例えば、固体撮像素子と、撮像レンズと、上記本発明の光学素子とを備える。これにより色再現性の高い良好な画像を得られる。
【0324】
<光波測距装置>
本発明の光波測距装置は、例えば、レーザーダイオードと、ビームスプリッターやMEMSミラー等の走査部と、フォトダイオードと、上記本発明の光学素子とを備える。これによりレーザーダイオードへの戻り光雑音や光波測距装置内の迷光を抑制し、検出精度が向上し、誤検出を減少できる。
【0325】
<日射制御部材>
本発明の日射制御部材は、例えば、上記本発明の光学素子を備える。これにより可視光の透過率を損なうことなく、近赤外光の透過、吸収を切り替えることができる。
【0326】
<仮想現実装置>
本発明の仮想現実装置は、例えば、LCD、OLED、μLED等のディスプレイユニットと、レンズユニットと、ディスプレイユニットとレンズユニットの間に本発明の光学素子と、ユーザーの眼を撮影可能な近赤外線照明を搭載したカメラとを備える。
レンズユニットは位相差板と反射偏光子を備えることができ、位相差板としては本発明の位相差板を用いることができる。
ディスプレイユニットとレンズユニットの間の光学素子としては、本発明の位相差板や偏光子を用いることができる。
上記構成により仮想現実装置内の近赤外光の迷光を抑制し、視線追跡精度が向上し、誤検出を減少できる。
【実施例0327】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0328】
各例で用いた色素は下記のとおりである。
化合物1~4:国際公開第2017/135359号に基づき合成した。
化合物5:ピロリドンとTMS-Clを反応させてN-TMSピロリドンとし、これにLDAを作用させヨウ化n-オクタンを反応させ、水を加えることで5-オクチルピロリドンとし、LiAlH4で還元することで、対応するアミン(3-オクチルピロリジン)を合成し、その他は国際公開第2017/135359号に基づき合成した。
化合物6~7:国際公開第2017/135359号に基づき合成した。
化合物8:国際公開第2019/230570号に基づき合成した。
【0329】
化合物9:以下に示す反応経路にしたがい合成した。
【0330】
【0331】
<ステップ1>
窒素置換した1Lの4つ口フラスコにリチウムジイソプロピルアミド(THF/ヘキサン溶液、1.08M、200mL、216mmol)を入れ、--78℃に冷却したのち、THF(200mL)で希釈した3,4-ジブロモチオフェン(50.11g、207mmol)を滴下ロートにより10分間かけて加えたのち30分間撹拌した。0℃に昇温し10分間撹拌したのち、DMF(19.2mL,、248mmol)を加え30℃で2.5時間撹拌した。反応終了後、0℃に冷却し飽和塩化アンモニウム水(200mL)を加えた。酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥したのち減圧濃縮し、中間体a1-1の粗生成物(60.8g)を得た。粗生成物のまま次の反応に用いた。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ9.95(1H,s),7.76(1H,s).
【0332】
<ステップ2>
窒素置換した500mLの4つ口フラスコに炭酸カリウム(42.86g、310mmol)、上記中間体a1-1の粗生成物(60.82g)、DMF(200mL)、メルカプト酢酸エチル(25mL、229mmol)、18-クラウン-6-エーテル(2.742g、10.4mmol)を加え、60℃で終夜加熱撹拌した。室温にしたのち、固体を濾過除去し、水を加え酢酸エチルで抽出、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮後、ヘキサンで洗浄し、中間体a1-2(42.6g、2工程71%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ8.01(1H,s),7.47(1H,s),4.39(2H,q,J=7.1Hz),1.40(3H,t,J=7.2Hz).
【0333】
<ステップ3>
窒素置換したナスフラスコ(500mL)に中間体a1-2(29.31g,100.6mmol)、カリウムビニルトリフルオロボラート(15.52g,110.1mmol)、塩化パラジウム(II)(374.6mg,2.007mmol)、トリフェニルホスフィン(1.571g,5.990mmol)、炭酸セシウム(97.72g,299.9mmol)、THF/水(9/1)(200mL)を加え、85℃で3日間加熱撹拌した。反応終了後、水を加えジクロロメタンで抽出、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮し、中間体a1-3の粗生成物(27.09g)を得た。粗生成物のまま次の反応に用いた。
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ8.00(1H,s),7.47(1H,s),6.83(1H,dd,J=17.7,11.0Hz),5.73(1H,d,J=17.6Hz),5.48(1H,d,J=10.9Hz),4.40(2H,q,J=7.1Hz),1.41(3H,t,J=7.1Hz).
【0334】
<ステップ4>
窒素置換したナスフラスコ(300mL)に上記粗生成物、水酸化リチウム1水和物(4.617g,110.0mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(1.848g,5.003mmol)、水(33mL)、メタノール(20mL)、THF(67mL)を加え、80℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、ヘキサンを加え、水で抽出したのち、6規定塩酸により酸性化した。酢酸エチルにて抽出、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮した後、ジクロロメタンで洗浄し、中間体a1-4(18.69g、2工程88%収率)を得た。
1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ8.04(1H,s),7.72(1H,s),6.91(1H,dd,J=17.6,11.1Hz),5.69(1H,d,J=17.8Hz),5.47(1H,d,J=11.1Hz).
【0335】
<ステップ5>
窒素置換した2口ナスフラスコ(300mL)に中間体a1-4(7.489g,35.61mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(11.3mL,52.0mmol)、トリエチルアミン(7.3mL,52mmol)、THF(140mL)を加え、80℃で2.5時間加熱還流した。室温放冷後、シリカゲル(500cm3)を加え、濾過したのち減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5)で中間体a1-5(6.938g、94%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ8.04(1H,s),7.55(1H,s),6.83(1H,dd,J=17.8,11.1Hz),5.73(1H,d,J=17.6Hz),5.51(1H,d,J=11.1Hz).
【0336】
<ステップ6>
窒素置換したマイクロウェーブ用試験管に中間体a1-5(724.4mg,3.495mmol)、THF(8.0mL),水(8.0mL)を加え、マイクロ波照射下、150℃で5分加熱撹拌した。これを7バッチ行い、中間体a1-5を計4.926g用いて反応を行った。反応終了後、7バッチを合わせ、酢酸エチルで抽出、濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)で中間体a1-6(2.223g、52%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ7.02(1H,s),6.76(1H,dd,J=17.7,11.0Hz),6.43(1H,s),5.53(1H,d,J=17.6Hz),5.35(1H,d,J=10.9Hz),3.91(2H,brs).
【0337】
<ステップ7>
窒素置換した2口フラスコ(200mL)に、中間体a1-6(3.008g、16.59mmol)、2-エチルヘキサナール(9.297g、72.51mmol)、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(15.38g、72.58mmol)、1,2-ジクロロエタン(82.5mL)を加え、室温で7.5時間撹拌した。飽和重曹水を加えたのち、ジクロロメタンで抽出、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン100%)で精製し中間体a2-7(369.1mg、6%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ6.91(1H,s),6.76(1H,dd,J=17.6,11.0Hz),6.05(1H,s),5.57(1H,d,J=17.6Hz),5.33(1H,d,J=11.0Hz),3.14(4H,d,J=9.8Hz),1.88-1.77(2H,m),1.44-1.21(16H,m),0.93-0.85(12H,m).
【0338】
<ステップ8>
窒素置換したナスフラスコ(100mL)に中間体a2-7(249.9mg、0.6160mmol)、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(37.8mg、0.331mmol)、オルトギ酸トリメチル(0.33mL、3.0mmol)、1-プロパノール(30mL)を加え、80℃で2時間加熱還流した。反応終了後、溶媒を除去して、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)で化合物(9)(39.7mg、14%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ8.59(2H,dd,J=17.6,11.1Hz),6.09(2H,s),5.73(2H,d,J=17.3Hz),5.72(2H,d,J=11.4Hz),3.33(8H,d,J=7.3Hz),2.00-1.87(4H,m),1.45-1.21(32H,m),0.99-0.85(24H,m).
【0339】
化合物10:以下に示す反応経路にしたがい、合成した。
【0340】
【0341】
<ステップ1~2>
化合物(9)の製造方法のステップ1~2と同様の工程により、中間体a1-2を得た。
【0342】
<ステップ3>
窒素置換したナスフラスコ(2L)に中間体a1-2(83.66g、272.9mmol)、THF(175mL)、エタノール(175mL)、水酸化ナトリウム水溶液(1.0M、430mL、430mmol)を加え、40℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、0℃にて塩酸(1.0M、450mL)を加え酸性化し、有機溶媒を減圧除去後、親水性メンブレンフィルターを用いて濾過した。ろ物を水、ついで水:メタノール(=1:1)混合溶媒で洗浄し、トルエン共沸で溶媒除去したのち、真空乾燥して中間体a4-3(79.4g、>99%収率)を得た。
1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ13.51(1H,brs),8.23(1H,s),8.08(1H,s).
【0343】
<ステップ4>
窒素置換したナスフラスコ(300mL)に中間体a4-3(26.53g、100.8mmol)、トルエン(200mL)、トリエチルアミン(21.0mL、151mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(30.62g、111.3mmol)を加え、60℃で30分加熱撹拌した。反応終了後、0℃にて飽和重曹水と酢酸エチルを加えて分液後、得られた有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮後、ヘキサンで洗浄したのち、真空乾燥して中間体a4-4(25.24g、96%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,400MHz)δ8.05(1H,s),7.55(1H,s).
【0344】
<ステップ5>
窒素置換したナスフラスコ(500mL)に中間体a4-4(12.01g、46.19mmol)、t-ブチルアルコール(100mL)、トルエン(100mL)を加え、80℃で15時間加熱撹拌した。反応終了後、濃縮し、ジクロロメタンに溶解してシリカゲル濾過し、溶媒留去、真空乾燥により中間体a4-5(12.21g、79%収率)を得た。
1H NMR(DMSO-d6,300MHz)δ10.80(1H,s),7.50(1H,s),6.92(1H,s),1.49(9H,s).
【0345】
<ステップ6~7>
窒素置換したナスフラスコ(1L)に中間体a4-5(12.20g、36.49mmol)、ヨウ化ナトリウム(11.00g、73.40mmol)、アセトニトリル(370mL)を加え40℃でクロロトリメチルシラン(7.776g、71.58mmol)を加えた。16.5時間加熱撹拌した後、室温にて飽和重曹水と酢酸エチルを加えて分液し、有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に2-エチルヘキサナール(7.021g、54.76mmol)と硫酸ナトリウムを加え15分静置したのち、濾過し、溶媒留去した。得られたものを4口フラスコ(1L)に移し、メタノール(270mL)、酢酸(37mL)、2-エチルヘキサナール(14.05g、109.6mmol)を加え、窒素雰囲気下-10℃で撹拌し、2-ピコリンボラン(7.900g、71.65mmol)のメタノール(100mL)溶液を10分かけて滴下した。19時間撹拌した後、飽和重曹水、ヘキサン、酢酸エチルを加えて分液し、得られた有機層を飽和重曹水、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し粗生成物を得た。原料のアルデヒドをNH2シリカゲル濾過で除去したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン100%)で中間体a4-7(12.01g、72%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ6.98(1H,s),6.14(1H,s),3.13(4H,d,J=7.5Hz),1.91-1.75(2H,m),1.45-1.21(16H,m),1.00-0.82(12H,m).
【0346】
<ステップ8>
窒素置換した2口フラスコ(50mL)に中間体a4-7(1.994g、4.349mmol)、アクリル酸メチル(560.4mg、6.509mmol)、トリエチルアミン(1.300g、12.84mmol)、酢酸パラジウム(II)(49.9mg、0.222mmol)、トリオルトトリルホスフィン(132.8mg、0.4363mmol)、DMF(25.0mL)を加え、85℃で3時間加熱撹拌した。反応終了後、0℃にて飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ヘキサン/酢酸エチルで抽出、水、飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で中間体a9-8(461.9mg、23%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ7.71(1H,d,J=16.1Hz),7.24(1H,s),6.23(1H,d,J=15.8Hz),6.04(1H,s),3.82(3H,s),3.15(4H,d,J=7.3Hz),1.47-1.21(16H,m),0.96-0.83(12H,m).
【0347】
<ステップ9>
窒素置換したナスフラスコ(100mL)に中間体a9-8(461.9mg、0.996mmol)、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン(172.2mg、1.509mmol)、オルトギ酸トリメチル(1.279g、12.05mmol)、1-プロパノール(50mL)を加え、80℃で1.5時間加熱撹拌した。反応終了後、約半量まで濃縮し、ヘキサン、酢酸エチル、飽和重曹水を加えて分液し、得られた有機層を水で洗浄、硫酸ナトリウムで乾燥、濃縮し、ヘキサンで洗浄した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル=30:1)で精製し、化合物(10)(345.5mg、69%収率)を得た。
1H NMR(CDCl3,300MHz)δ9.57(2H,d,J=14.3Hz),6.32(2H,d,J=16.1Hz),6.13(2H,s),3.94(6H,s),3.35(8H,d,J=7.1Hz),2.00-1.87(4H,m),1.48-1.23(32H,m),1.01-0.85(24H,m).
【0348】
化合物11:国際公開第2019/230660号に基づき合成した。
【0349】
化合物12:以下に示す反応経路にしたがい、に基づき合成した。
【0350】
【0351】
(工程1):化合物(1x)(東京化成製3-アミノ-2-メトキシピリジン)(2.5g)をジクロロメタン(60ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(2.8g)と無水酢酸(2.25g)を加え、室温で3時間攪拌した。生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー法で精製し、化合物(2x)を得た(収率94%)。
(工程2):化合物(2x)(2.5g)に無水トリフルオロ酢酸(7.5ml)を0℃で添加し30分攪拌した後、1.1当量の硝酸(1.1g)と無水トリフルオロ酢酸(12g)の混合溶液を0℃で滴下した。室温で12時間攪拌後、水酸化ナトリウム水溶液で中和して現れた化合物(3x)の固体2.4gを回収した(収率76%)。
(工程3):化合物(3x)(1.9g)をメタノール(50ml)に溶解し、1Mの塩酸(18ml)を添加して60℃で12時間攪拌した。メタノールを除去後、中和して化合物(4x)の固体1.47gを濾別した(収率96%)。
(工程4):化合物(4x)(5.1g)をジクロロメタン(80ml)に溶解し、2-エチルヘキシルアルデヒド(42ml)(20当量)、トリアセトキシボロハイドライド(25g)(4当量)、酢酸(0.2ml)を添加し、室温で4時間攪拌した。アルカリをpH7まで添加後ジクロロメタン/水で分液し、濃縮した有機層をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物(5x)(5.9g)を得た(収率78%)。
(工程5):化合物(5x)(5.9g)をメタノールに溶解し、パラジウム炭素(3g)を添加して水素雰囲気下で5時間攪拌した。水を添加してセライト濾過でパラジウムを除去し、メタノールを除去後に酢酸エチル/水で分液して目的の化合物(6)(3.7g)を得た(収率71%)。
(工程6):化合物(6x)(3.7g)をジクロロメタン(50ml)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(2.36g)を添加した。溶液を0℃に冷却してクロロギ酸イソブチル(2.7g)を添加し、室温で12時間攪拌した。反応終了後ジクロロメタン/水で分液し、有機層を濃縮した後にカラムクロマトグラフィー法で精製して目的物の化合物(7x)を得た(収率88%)。
(工程7):化合物(7x)(5.8g)を150mlのアセトニトリルに溶解し、TMS-Cl(5.4g)とヨウ化ナトリウム(7.5g)を各3当量添加した。80℃で3時間反応させた後、濃縮しカラムクロマトグラフィーで精製したところ、目的の化合物(8x)(2g)を得た(収率35%)。
(工程8):化合物(8x)および0.6当量の3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオンを添加し、1-ブタノール中110℃で16時間反応させた。反応終了後は溶媒を全て除去しカラムで精製、酢酸/メタノール溶液で抽出し、スクアリリウム化合物(12)を35%の収率で得た。
【0352】
化合物13~15:国際公開第2017/135359号に基づき合成した。
なお、化合物13~15において、インドリンは下記方法に基づき合成した。
化合物13では、2,3,3-トリメチルインドレニンを酢酸溶媒中で過剰量の水素化ホウ素ナトリウムと反応させ、さらにイソブチルアルデヒドを反応させることでN-イソブチル-2,3,3-トリメチルインドリンを合成した。
化合物14では、イソブチロニトリルとイソブチルマグネシウムを反応させ、さらにフェニルヒドラジンを反応させてインドレニンを合成した。酢酸溶媒中でこのインドレニンと過剰量の水素化ホウ素ナトリウムを反応させ、さらにプロピオンアルデヒドを反応させることでN-プロピル-2-イソブチル-3,3-ジメチルインドリンを合成した。
化合物15では、2,3-ジメチルインドールにエチルマグネシウムブロミドを作用させ、さらにメタリルクロリドを反応させてインドレニンを合成した。酢酸溶媒中でこのインドレニンと過剰量の水素化ホウ素ナトリウムを反応させ、さらにアセトアルデヒドを反応させることでN-エチル-3-イソブチル-2,3-ジメチルインドリンを合成した。
【0353】
化合物16:Dyes and pigments 73 (2007) 344-352に記載の方法に基づき合成した。
【0354】
液晶化合物としては、下記非重合性ネマチック液晶化合物(株式会社LCC製ZLI-1132)を用いた。
【0355】
【0356】
<二色性色素組成物の製造・評価>
(例1)
下記化合物1のスクアリリウム色素と上記液晶化合物とを混合し、スクアリリウム色素含有量が0.19質量%(液晶化合物100質量部に対して0.34mmol)である例1の二色性色素組成物を得た。
得られた二色性色素組成物を、イーエッチシー社製の5μmのギャップが保たれた水平配向セルに注入し、ラビング方向と平行な偏光および垂直な偏光を各々照射し、それぞれの吸収スペクトル(A||およびA⊥)を可視吸収スペクトル計(島津製作所製)にて測定することで二色比を測定した。
【0357】
【0358】
(例2)
スクアリリウム色素として下記化合物2を用い、スクアリリウム色素含有量を0.24質量%(液晶化合物100質量部に対して0.30mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0359】
【0360】
(例3)
スクアリリウム色素として下記化合物3を用い、スクアリリウム色素含有量を0.21質量%(液晶化合物100質量部に対して0.34mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0361】
【0362】
(例4)
スクアリリウム色素として下記化合物4を用い、スクアリリウム色素含有量を0.10質量%(液晶化合物100質量部に対して0.22mmol)とした以外は例1と同様に、二色比を測定した。
【0363】
【0364】
(例5)
スクアリリウム色素として下記化合物5を用い、スクアリリウム色素含有量を0.18質量%(液晶化合物100質量部に対して0.27mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0365】
【0366】
(例6)
スクアリリウム色素として下記化合物6を用い、スクアリリウム色素含有量を0.16質量%(液晶化合物100質量部に対して0.33mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0367】
【0368】
(例7)
スクアリリウム色素として下記化合物7を用い、スクアリリウム色素含有量を0.16質量%(液晶化合物100質量部に対して0.33mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0369】
【0370】
(例8)
スクアリリウム色素として下記化合物8を用い、スクアリリウム色素含有量を0.25質量%(液晶化合物100質量部に対して0.30mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0371】
【0372】
(例9)
スクアリリウム色素として下記化合物9を用い、スクアリリウム色素含有量を0.20質量%(液晶化合物100質量部に対して0.22mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0373】
【0374】
(例10)
スクアリリウム色素として下記化合物10を用い、スクアリリウム色素含有量を0.50質量%(液晶化合物100質量部に対して0.50mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0375】
【0376】
(例11)
スクアリリウム色素として下記化合物11を用い、スクアリリウム色素含有量を0.31質量%(液晶化合物100質量部に対して0.33mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0377】
【0378】
(例12)
スクアリリウム色素として下記化合物12を用い、スクアリリウム色素含有量を0.20質量%(液晶化合物100質量部に対して0.20mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0379】
【0380】
(例13)
スクアリリウム色素として下記化合物13を用い、スクアリリウム色素含有量を0.16質量%(液晶化合物100質量部に対して0.27mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0381】
【0382】
(例14)
スクアリリウム色素として下記化合物14を用い、スクアリリウム色素含有量を0.17質量%(液晶化合物100質量部に対して0.26mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0383】
【0384】
(例15)
スクアリリウム色素として下記化合物15を用い、スクアリリウム色素含有量を0.19質量%(液晶化合物100質量部に対して0.30mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0385】
【0386】
(例16)
スクアリリウム色素に替えてシアニン色素として下記化合物16を用い、シアニン色素含有量を0.25質量%(液晶化合物100質量部に対して0.32mmol)とした以外は例1と同様に、二色性色素組成物を調製し、二色比を測定した。
【0387】
【0388】
上記各二色性色素組成物の二色比を下記表に示す。
なお、例1~例15が実施例であり、例16が比較例である。
【0389】
【0390】
【0391】
上記結果より実施例の二色性色素組成物はいずれも優れた二色性を示した。
本発明の二色性色素組成物は、液晶素子、偏光子、位相差板等の光学素子の材料として有用である。また、本発明の二色性色素組成物は、近赤外線吸収能を有するため、近赤外光、及び赤外光のセンサーなどに特に有用である。